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特表2024-504682μLEDの大量生産における費用対効果が高いプロービング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】μLEDの大量生産における費用対効果が高いプロービング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240125BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20240125BHJP
   H01J 37/256 20060101ALI20240125BHJP
   G01N 21/62 20060101ALI20240125BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01L21/66 X
H01J37/22 502H
H01J37/256
G01N21/62 A
G01N21/88 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543336
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 IB2022050448
(87)【国際公開番号】W WO2022157647
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/138,863
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520316771
【氏名又は名称】アットライト エージー
【氏名又は名称原語表記】Attolight AG
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,マシュー ジョン
【テーマコード(参考)】
2G043
2G051
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043CA05
2G043EA11
2G043FA02
2G043HA03
2G043HA09
2G043JA03
2G043KA02
2G043LA02
2G043LA03
2G051AA51
2G051AB02
2G051CA03
2G051CA04
2G051CC15
2G051EC04
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA18
4M106DH12
4M106DH40
4M106DH50
4M106DJ20
4M106DJ27
5C101AA03
5C101AA21
5C101BB03
5C101FF02
5C101GG08
5C101GG36
5C101GG37
5C101GG42
5C101HH11
5C101HH25
5C101HH27
5C101HH38
(57)【要約】
μLEDを有するウエハがカソードルミネッセンス顕微鏡を用いて検査される。CLビームをいくつかのビームに分割し、点検出器でビームを検出することにより、高速スキャンが可能となる。各検出器が異なる周波数帯を検出するように、光学フィルタが光路で検出器の上流に挿入される。信号の比が求められ、予想される基準に対して比が比較される。極値の領域が特定され、必要に応じて、高分解能スキャンが領域または領域のサンプルで実行される。生存スコアが各特定された領域について計算される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロLEDのメサが形成されたウエハを検査するためのカソードルミネッセンス顕微鏡であって、
電子源、前記電子源から放出される電子を集束しそれによって電子ビームを形成する磁気レンズ、および前記電子ビームをサンプル上で走査するスキャナを有する電子ビームカラムと、
前記電子ビームのスキャンに反応して前記サンプルから放出される光を集め、光ビームを形成する光対物レンズと、
集束レンズ、前記光ビームを複数の分割ビームに分割するスプリッタアレンジメント、それぞれ前記分割ビームの1つを受けるように配置された複数の点検出器、および前記複数の分割ビームの少なくとも一部分の帯域幅を制限するフィルタアレンジメントを備えるイメージング部と、
前記複数の点検出器から出力信号を受け、前記複数の点検出器の、対をなす出力信号の比を生成するコントローラと、を備える、カソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項2】
前記点検出器は、バイアスフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、増幅型フォトダイオードまたは光電子増倍管(PMT)を備える、請求項1に記載のカソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項3】
400ナノメートル未満の波長を遮断するバックグラウンドフィルタをさらに備える、請求項1に記載のカソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項4】
前記フィルタアレンジメントは、少なくとも1つのダイクロイックミラーを備える、請求項1に記載のカソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項5】
前記フィルタアレンジメントは、異なる中心周波数または異なる帯域幅を有する複数のバンドパスフィルタを備える、請求項1に記載のカソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項6】
前記フィルタアレンジメントは、少なくとも1つのバイアスLEDウエハを備える、請求項1に記載のカソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項7】
前記コントローラは、基準比に対して前記比を比較し、前記基準比から逸する比を有するウエハ領域を特定する、請求項1に記載のカソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項8】
前記コントローラは、さらに、前記領域に生存スコアを割り当てる、請求項7に記載のカソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項9】
各メサが100ミクロン以下の長さを有し、各メサにマイクロLEDを形成するための複数のメサを有するウエハを検査するための方法であって、
前記ウエハをCL顕微鏡に置くステップと、
複数のCLビームを生成するために、前記ウエハの第1スキャンを第1分解能で実行するステップと、
前記複数のCLビームを同時に検出するために複数の単一点検出器を用いるステップであって、点検出器の各々が残りの点検出器とは異なる部分スペクトルを受けるように配置されているステップと、
複数の検出器比を生成するステップであって、前記検出器比の各々が、前記点検出器の2つから受ける信号の比を備えるステップと、
前記メサの特性を判定するために、予想される比に対して、前記検出された比を比較するステップと、を備える、方法。
【請求項10】
前記第1分解能は、メサあたり少なくとも1ピクセル、メサあたり最大10×10のピクセルを生成するように設定されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の点検出器の1つは、バックグラウンド波長よりも高い波長のスペクトルを受けるように配置されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記走査されたメサの各々における前記スペクトル発光を再構築するために、前記複数の検出器から受ける前記信号を用いるステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記走査されたメサの各々におけるCL放射の非対称性を判定するために、前記複数の検出器から受ける前記信号を用いるステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記走査されたメサの各々における強度分布を判定するために、前記複数の検出器から受ける前記信号を用いるステップと、前記走査されたメサのすべてから判定される総母集団強度分布に対して比較するステップと、をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記走査されたメサを複数のグループに割り当てるために、前記複数の検出器から受ける前記信号を用いるステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記ウエハ上で対象領域を特定するために、前記複数の検出器から受ける前記信号を用いるステップと、
検査信号を生成するために、前記対象領域の第2スキャンを前記第1分解能よりも高い第2分解能で実行するステップと、
各対象スキャン領域内における波長あたりのピーク発光を判定するために、前記検査信号を用いるステップと、をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記対象スキャン領域の各々の二次電子画像を形成するために、二次電子検出器を用いるステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象スキャン領域内における各メサの物理的形状を判定するために、画像処理を用いるステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象スキャン領域内における異物を特定するために、前記二次電子画像を検査するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記対象スキャン領域の各々に生存スコアを割り当てるステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
複数のメサが形成されたウエハを検査するためのカソードルミネッセンス顕微鏡であって、
電子源、前記電子源から放出される電子を集束しそれによって電子ビームを形成する磁気レンズ、および前記電子ビームをウエハ上で走査するスキャナを有する電子ビームカラムと、
前記電子ビームのスキャンに反応して前記サンプルから放出されるCL光を集め、CL光ビームを形成する光対物レンズと、
前記CL光ビームから、空間的にも時間的にも本質的に合わされる複数の分割ビームを同時に生成するビームスプリットアレンジメントと、
少なくとも1つの前記CL光ビームの光路または少なくとも1つの前記分割ビームの光路と交差するように配置されたフィルタアレンジメントと、
それぞれ前記分割ビームの1つを検出するように配置された複数の点検出器と、を備える、カソードルミネッセンス顕微鏡。
【請求項22】
前記フィルタアレンジメントは、400nm未満の放射を遮断するバックグラウンドフィルタを含む、請求項21に記載の顕微鏡。
【請求項23】
複数の積分された放射を生成するために、前記点検出器の各々から受ける前記信号を積分するコントローラをさらに備える、請求項21に記載の顕微鏡。
【請求項24】
前記フィルタアレンジメントは、複数のバンドパスフィルタ、少なくとも1つのダイクロイックミラーおよびバイアスLEDウエハのうち、いずれか1つを備える、請求項21に記載の顕微鏡。
【請求項25】
ストレージデバイスに記憶されていて、コンピュータによって実行されると当該コンピュータに以下のステップを実行させる、複数のメサを有するウエハを検査するためのコンピュータプログラムであって、
前記メサの1つから放出される第1フィルタリング済カソードルミネッセンスビームに対応する第1電気信号、および前記メサから放出されて、前記第1フィルタリング済カソードルミネッセンスビームとは異なるフィルタリング波長を有する第2フィルタリング済カソードルミネッセンスビームに対応する第2電気信号を受けるステップと、
第1積分信号および第2積分信号を生成するために、前記第1および第2電気信号を積分するステップと、
前記メサの発光スペクトル曲線を再構築するために、前記第1および第2積分信号を用いるステップと、
前記メサの特性を判定するために、前記発光スペクトル曲線を分析するステップと、を備える、コンピュータプログラム。
【請求項26】
前記発光スペクトル曲線を分析するステップは、ピーク波長シフト、発光強度変化または半値全幅を決定するステップを含む、請求項25に記載のコンピュータプログラム。
【請求項27】
前記発光スペクトル曲線に従って前記ウエハの各領域に生存スコアを割り当てるステップをさらに備える、請求項26に記載のコンピュータプログラム。
【請求項28】
マイクロLED製造用の半導体ウエハ内におけるメサの物理的および光学的特性を判定するためにカソードルミネッセンス顕微鏡を稼動する方法であって、
前記ウエハの領域を電子ビームで第1分解能で走査するステップと、
スキャン中に前記領域から放出されるカソードルミネッセンス光を集め、前記カソードルミネッセンス光から光ビームを形成するステップと、
前記光ビームを複数の分割ビームに分割するステップと、
前記複数の分割ビームの少なくとも一部分をフィルタリングするステップと、
前記分割ビームを同時に検出し、それぞれ前記分割ビームの1つの強度にフィルタリング周波数で対応する複数の電気信号を生成するために、複数の点検出器を用いるステップと、
前記ウエハ内における疑わしい領域を特定するために、前記複数の信号を分析するステップと、を備える、方法。
【請求項29】
前記疑わしい領域の各々を前記電子ビームで前記第1分解能よりも高い第2分解能で走査するステップと、
前記疑わしい領域からスキャン中に放出されるカソードルミネッセンス光を集め、前記カソードルミネッセンス光から第2光ビームを形成するステップと、
前記第2光ビームを複数の第2分割ビームに分割するステップと、
前記複数のフィルタを前記第2分割ビームの一部分の光路に挿入するステップと、
前記第2分割ビームを同時に検出し、それぞれ前記第2分割ビームの1つに対応する複数の第2電気信号を生成するために、前記複数の点検出器を用いるステップと、
前記疑わしい領域の各々に生存スコアを割り当てるために、前記複数の第2信号を分析するステップと、をさらに備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記疑わしい領域から放出される二次電子を検出するステップと、
前記疑わしい領域内におけるメサの形状を判定するために、前記二次電子によって生成される画像を分析するステップと、をさらに備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記疑わしい領域から放出される二次電子を検出するステップと、
前記疑わしい領域内に異物が存在するか否かを決定するステップと、をさらに備える、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第2光ビームを検出するために、分光器および検出器アレイのアセンブリを用いてフルスペクトルカソードルミネッセンス画像を生成するステップをさらに備える、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年1月19日に出願された米国仮出願第63/138,863からの優先権の利益を主張し、これらの開示は全体的に参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、カソードルミネッセンス顕微鏡に関し、より具体的には、μLEDの大量生産を効果的に検査するために、カソードルミネッセンス顕微鏡を用いてμLEDをプロービングするための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロLEDまたはμLEDは、新しいフラットパネルディスプレイの技術であり、個々の赤/青/緑ピクセル要素を形成する微小なLEDのアレイで構成される。標準的な4Kディスプレイは、3840×2160画像ピクセル、すなわち、800万を超えるピクセルを有し、各々が赤/青/緑の3色のピクセルで成っていて、約2500万個の個々のマイクロLEDに相当する。人間の目は色の変化に非常に敏感であるため、これらのLEDの各々の光放射は、強度および色で均一でなければならず、活性化電位に対する反応も均一でなければならない。したがって、生産中にこれらのLEDをテストし、製造されたLEDが適切に動作するのを確実にすることが重要である。
【0004】
本出願人は、例えば、PCT/EP2020/063093で、新しい走査型カソードルミネッセンス顕微鏡を以前に開示しており、その開示は、参照により全体的に本明細書に援用される。この顕微鏡は、走査型電子顕微鏡(SEM)の電子ビームがサンプルを走査すると、電子がサンプルと相互作用し、サンプルの表面トポグラフィ、構造および組成についての情報を含む検出可能な種々の信号を生み出すという観察に基づいて稼動する。SEMによって生み出される信号の種類は、二次電子(SE)、後方散乱電子(BSE)、特性または制動輻射(Bremstrahlung)X線、光、吸収/誘起電流(EBAC/EBIC)、透過電子(TEM)を含む。電子衝撃の際に試片によって放出される光(約0.1から10eVまでの範囲にわたるエネルギーを有する光子として定義される)は、カソードルミネッセンス(CL)と呼ばれる。電子顕微鏡の高集束電子ビームプローブを試片の表面上で走査し、カソードルミネッセンス信号強度を試片上の電子ビーム位置の関数として記録することにより、走査型電子顕微鏡でカソードルミネッセンス測定を実行することができる。カソードルミネッセンスマップ(本明細書では画像またはCL画像とも呼ばれる)が生成され、これは、光顕微鏡によって得られる広視野光光学像よりも高解像度の分光学的な情報を提供する。本開示の目的のために、読者は上記引用された開示について精通していることが推定される。CL顕微鏡の他の開示については、読者は、米国特許第3,845,305号、米国公開公報第2013/0335817号および第2019/0103248号、ならびにフランス特許第2173436号を参照されたい。
【0005】
LEDは、半導体ウエハ上で製造され、LEDのサイズが小さくなるにつれて、ウエハ上におけるLEDの数が増加する。本出願人は、フロントエンド生産中、すなわち、LEDが未だウエハ上にあるときにLEDをテストする非接触の方法として、CL顕微鏡を用いることの可能性を調査した。本発明者は、LEDのサイズが縮小するにつれて、物理的な電気的接触が必要な従来の電気光学テストを1枚のウエハで行うのにかかる時間が著しく長くなることに着目した。例えば、1000ミクロンのチップサイズを有するウエハを電気光学的にテストするには約1時間かかるのに対して、50ミクロンチップサイズのウエハを検査するには2週間かかり、10ミクロンチップサイズのウエハを検査するには約1年かかり、5ミクロンチップサイズのウエハを検査するには約4年かかる。したがって、本発明者は、マイクロLED(すなわち、100ミクロン以下のチップサイズ)を有するフルウエハの非接触テストを実現可能とするために、新しいハードウェアおよび新しいテスト手法を開発することを目指した。
【発明の概要】
【0006】
以下の本開示の概要は、本発明のいくつかの態様および特徴の基本的な理解を提供するために含まれる。この概要は、本発明の広範な概要ではなく、またそのようなものとして、本発明の鍵となるもしくはクリティカルな要素を特に特定すること、または本発明の範囲を画定することを意図したものではない。その唯一の目的は、下記提示されるより詳細な説明の前触れとして、本発明のいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0007】
本開示の目的は、半導体ウエハ内におけるマイクロLEDチップの特定および分類を可能とすることである。本明細書に開示されるハードウェアおよび方法は、マイクロLEDのフロントエンド製造を開発および検査するために用いられてもよい。本明細書に開示される装置および方法を用いて、例えば、製造されたマイクロLEDに影響を与えるプロセスステップにおける変化を判定すること、製造プロセスにおける逸脱を検出すること、製造プロセスの1以上のステップにおける不具合を検出すること、さらなる処理を行わずに廃棄されるべき救済不能なウエハを特定すること、均一性/性能に従ってLEDチップを分類/ビニングすること、が可能である。
【0008】
開示される態様に従って、CL顕微鏡は、入射CLビームをいくつかのビームに分割するためにビームスプリッタを備える。種々のフィルタが、分割ビームの光路に挿入され、別々の点検出器が、フィルタを通過する光を検出するように配置される。点検出器からの信号が、検査されるウエハ内に製造されたマイクロLEDの特性を分析するために用いられる。点検出器の各々は、バイアスフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、増幅型フォトダイオードまたは光電子増倍管(PMT)であってもよい。
【0009】
開示される実施形態では、カソードルミネッセンス顕微鏡が、複数のマイクロLEDが形成されたウエハを検査するために提供され、当該顕微鏡は、電子源、電子源から放出される電子を集束しそれによって電子ビームを形成する磁気レンズ、および電子ビームをウエハ上で走査するスキャナを有する電子ビームカラムと、電子ビームのスキャンに反応してサンプルから放出されるCL光を集め、CL光ビームを形成する光対物レンズと、CL光ビームから、空間的にも時間的にも本質的に合わされる複数の分割ビームを同時に生成するビームスプリットアレンジメントと、少なくとも1つのCL光ビームの光路または少なくとも1つの分割ビームの光路と交差するように配置されたフィルタアレンジメントと、それぞれ分割ビームの1つを検出するように配置された複数の点検出器と、を備える。一実施形態では、点検出器の1つがパンクロマティック画像を生成し、残りの検出器が、フィルタリングされた画像を生成するように、異なるフィルタが1つの分割ビーム以外の分割ビームの各々の光路に配置される。さらに、他の実施形態では、チップ間で発生するGaNバルク放射から、LEDに対応する放射を分離するために、他のフィルタリングされていないチャネルにフィルタを用いることができる。400nm未満の放射を遮断するフィルタは、GaNバルク放射を除去する他に、メサ放射のフルスペクトルを通過させるために有用である。さらなる実施形態では、フィルタリングのパートと同時にビーム分割を実行するために、1以上のダイクロイックビームスプリッタが用いられてもよいが、それでも少なくとも1つのパンクロマティック基準を、フィルタを用いずに、またはGaNバルク放射を遮断するために400nmフィルタを用いて、生成することができる。当該顕微鏡は、複数の積分された放射を生成するために、点検出器の各々から受ける信号を積分し、マイクロLEDの構造的および光学的なパラメータを判定するために、積分された放射を分析するコントローラを備えてもよい。
【0010】
開示される態様に従って、ストレージデバイスに記憶されていて、コンピュータによって実行されると当該コンピュータにステップを実行させるコンピュータプログラムが提供され、当該ステップは、第1フィルタリング済カソードルミネッセンスビームに対応する第1電気信号、および第1フィルタリング済カソードルミネッセンスビームとは異なるフィルタリング波長を有する第2フィルタリング済カソードルミネッセンスビームに対応する第2電気信号を受けるステップと、第1積分信号および第2積分信号を生成するために、第1および第2電気信号を積分するステップと、発光スペクトル曲線を再構築するために、第1および第2積分信号を用いるステップと、マイクロLEDの特性を判定するために、発光スペクトル曲線を分析するステップと、を備える。発光スペクトル曲線を分析するステップは、ピーク波長シフト、発光強度変化、FWHM(半値全幅)などを決定するステップ含んでもよい。プロセッサは、さらに、発光スペクトル曲線に従ってサンプルの各領域に生存スコアを割り当ててもよく、生存スコアは、領域内におけるLEDが許容仕様内である可能性が高い高生存率領域、領域内におけるLEDが許容仕様外である可能性が高く、さらなる調査に値しない低生存率領域、および領域におけるLEDがさらなる詳細な調査に値するボーダーライン生存率領域を示す。
【0011】
さらなる態様に従って、半導体サンプル内におけるマイクロLEDの物理的および光学的特性を判定するためにカソードルミネッセンス顕微鏡を稼動する方法が開示され、当該方法は、サンプルを電子ビームで第1分解能で走査するステップと、スキャン中に領域から放出されるカソードルミネッセンス光を集め、カソードルミネッセンス光から光ビームを形成するステップと、光ビームを複数の分割ビームに分割するステップと、複数の分割ビームの少なくとも一部分をフィルタリングするステップと、分割ビームを同時に検出し、それぞれ分割ビームの1つの強度に対応する複数の電気信号を生成するために、複数の点検出器を用いるステップと、サンプル内における疑わしい領域を特定するために、複数の信号を分析するステップと、疑わしい領域の各々を電子ビームで第1分解能よりも高い第2分解能で走査するステップと、疑わしい領域からスキャン中に放出されるカソードルミネッセンス光を集め、カソードルミネッセンス光から第2光ビームを形成するステップと、第2光ビームを複数の第2分割ビームに分割するステップと、複数のフィルタを第2分割ビームの一部分の光路に挿入するステップと、第2分割ビームを同時に検出し、それぞれ第2分割ビームの1つに対応する複数の第2電気信号を生成するために、複数の点検出器を用いるステップと、疑わしい領域の各々に生存スコアを割り当てるために、複数の第2信号を分析するステップと、を備える。当該方法は、疑わしい領域から放出される二次電子を検出するステップと、疑わしい領域内におけるLEDの形状を判定するため、および/または疑わしい領域内に異物が存在するか否かを判定するために、二次電子によって生成される画像を分析するステップと、をさらに含んでもよい。当該方法は、第2光ビームを検出するために、分光器および検出器アレイのアセンブリを用いてフルスペクトルCL画像を生成するステップをさらに含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面は、明細書に取り入れられ、この明細書の一部を構成するものであり、本発明の実施形態を例示し、説明とともに、本発明の原理を解説し、示すのに役立つものである。図面は、例示的な実施形態の主な特徴を図式的に示すことを意図するものである。図面は、実際の実施形態のすべての特徴を描写することを意図するものでも、描写された要素の相対的な寸法を示すことを意図するものでもなく、縮尺通りに描かれていない。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照した以下の非限定的な例示的実施形態の説明から明らかとなる。
図1図1は、本明細書に開示される実施形態を実施するためのカソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡の下部の概略断面図である。
図2A-2C】図2A図2Cは、例示される実施形態に従うカソードルミネッセンス顕微鏡の画像取得部の簡略化された概略図である。
図3図3は、一実施形態に従って、マイクロLEDの特性および性能を評価し、欠陥を分類するためのプロセスを示すフローチャートである。
図4図4は、一実施形態に従う、総母集団および個々の領域についてのCL強度のプロットである。
図5図5は、一実施形態に従う領域生存スコアのマップである。
図6図6は、一実施形態に従う形状均一性スコアのマップである。
図7図7は、一実施形態に従う仕様逸脱スコアのマップである。
図8図8は、一実施形態に従うマイクロLEDのメサのCLハイパースペクトル画像である。
図9図9は、一実施形態に従う、マイクロLEDのメサのピーク発光エネルギーを差し引いた、ピクセルあたりのピーク発光エネルギー(波長)である。
図10】一実施形態に従うマイクロLEDウエハ検査方法のプロセスフローを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、添付図面を参照して下記に詳細に説明される。異なる図面に現れる同様の機能的および構造的要素には、同じ参照番号が付与されることがある。
【0015】
次に、新しいカソードルミネッセンス走査型電子顕微鏡および稼動方法の実施形態が、図面を参照して説明される。異なる実施形態またはこれらの組み合わせは、異なるアプリケーションのために、または異なる利益を達成するために用いられてもよい。達成しようとする結果に応じて、本明細書に開示される異なる特徴は、部分的にまたは最大限に、単独でまたは他の特徴と組み合わせて、要件および制約と利点とのバランスを取りながら、利用されてもよい。したがって、特定の特徴、要素または利益は、異なる実施形態を参照して強調されるが、開示される実施形態に限定されない。すなわち、本明細書に開示される特徴、要素および利益は、これらが説明される実施形態に限定されないが、例え本明細書に明示的に説明されていなくとも、他の特徴と組み合わされて(“mixed and matched”)もよいし、他の実施形態に取り入れられてもよい。
【0016】
図1は、上記引用されたPCT/EP2020/063093でより詳しく説明されるCL顕微鏡の下部を断面図で示す。図1に示されるように、顕微鏡は、一般に、真空エンクロージャ10内に収容された電子カラム41と、大気環境下にあるイメージング部42と、を含む。図1に示される統合型の顕微鏡は、電子ビーム画像、光ビーム画像、カソードルミネッセンス(CL)画像、およびCL分光画像を生成することができる。画像化されたCL放射を、サンプルの材料の構造および品質にナノスケールで相関付けることができる。CLデータは、他のイメージングモードを用いて視認不可能な、材料応力、不純物、結晶構造および表面下の欠陥を明らかにすることができる。重要なことに、CLイメージングは、サンプルを検査する非破壊的な方法である。
【0017】
電子カラムは、電子を放出する、熱電子または電界放出源などの電子源1を含む。放出される電子は、電磁気レンズ5’、電磁対物レンズ5およびアパーチャディスク(ストップと呼ばれることがある)6などの種々の粒子光学要素によって電子ビーム9にされる。ここで、アパーチャディスク6のいずれもが、電位の印加によって静電レンズとして機能してもよい。周知の方法で、コイル11は、磁場を発生させるために提供される。磁場のほとんどは、アウトプットまたは出口アパーチャ13のレベルに位置していてもよく、あるいは、代わりにレンズと試片との間の領域の外であってもよい。
【0018】
磁場の目的は、サンプル7の表面に集束可能な収束電子ビーム9を生成することである。この例では、電子エミッタ1によって生成される電子ビーム9は、図の上部から下方に伝播する。電子ビームスパンは、発散し、平行化され、または収束することができるように、レンズ5’などのコンデンサアレンジメントによって変更されてもよい。コンデンサは、電子エミッタの下に配置されていてもよい。電子ビームは、通常、数ミリメートル、例えば、2~3mmの範囲の幅を有する。
【0019】
レンズ5は、光軸に沿って中空の内部を有し、それにより電子ビーム9が通過することができる。中空部(通路またはギャップ)は、サンプル7から放出されまたは反射される光も特段の障害なしに通過できる程度に幅広である。良好な電子光学的性能を保つために電磁対物レンズ5の出口アパーチャ13をできる限り小さくすることが好ましいことから、作動距離(working distance)が小さく留まるようにシステムを構築することが好ましい。
【0020】
図で見られるように、サンプル7の表面を画像化するために電磁対物レンズ5内に反射対物レンズが提供される。この例では、シュバルツシルト(Schwarzschild)反射対物レンズが用いられる。シュバルツシルト(Schwarzschild)対物レンズは、光軸z(電子ビームの経路と本質的に一致する)周りに回転対称であり、無収差および無限遠補正である、2枚ミラーの反射対物レンズである。電磁対物レンズ5および反射対物レンズは、同一の焦点面を有してもよい。電磁対物レンズ5内における反射対物レンズは、この例では球状および凹状であり、主要ミラーとも呼ばれる第1ミラーM1と、この例では球状および凸状であり、二次ミラーとも呼ばれる第2ミラーM2と、を備える。第1ミラーM1の直径は、第2ミラーM2の直径よりも大きい。第1ミラーM1は、第2ミラーM2の上に配置され、電子ビーム9がサンプル7の表面に当たった結果としてサンプルから入射する光を反射するように、かつ、サンプルと第1ミラーM1との間に配置された第2ミラーM2に光を向けるように、配置される。第2ミラーM2は、電磁対物レンズの光軸に沿って(すなわち、上方に)光を向け直すように配置され、この例では平面状である第3ミラーM3は、光ビームをアウトプットに向け直すように配置される。この例では、第3ミラーM3は、電子ビーム9の軸に対して45°の角度を有し、光を真空エンクロージャ10の外に向け直すために用いられる。3つのミラーM1、M2およびM3はすべて、電子ビームが遮られないように、電子ビームの経路に沿ってアパーチャまたは開口を有する。
【0021】
光イメージング部42では、ミラーM3によって反射された光がレンズ22によってイメージングモノクロメータ43上に集束される。この例では、例えばCCDカメラ45である検出器アレイと、InGaAsまたはPMT検出器などの点検出器46と、の2つのイメージャが提供される。ミラー24がハーフミラーである場合、両方のイメージャを同時に稼動してもよい。反対に、ミラー24はフリップミラーであってもよく、一度に1つのイメージャを稼動することが可能となる。このアレンジメントでは、特定の波長の光強度を検出するために検出器46を用いることができ、いくつかの波長で同時に光強度を検出するためにCCDカメラを用いることができる。
【0022】
CL顕微鏡は、欠陥を検出するために半導体を検査するのに用いられてきたものである。この開示では、CL顕微鏡は、マイクロLEDの検査、具体的には、複数のマイクロLEDを有するウエハを、別々のダイまたはチップにカットされる前に検査するために適合される。本明細書に記載の装置およびプロセスは、マイクロLEDの生産プロセスの開発中でもマイクロLEDの実際の大量生産中でも用いられてもよい。いずれのケースでも、例えばフロントエンドのポストメサエッチングの初期段階、またはフロントエンドのプレシンギュレーションの終わりに、構造化されたウエハの検査を実行することが有益である。半導体の製造とは異なりLEDの製造では通常1つチップが単一のLEDであるが、以下、構造化されたウエハ上のメサを意味の区別なくチップと呼ぶことがある。反対に、マイクロLEDの製造では、単一のチップ上の各マイクロLEDをシンギュレートすると、取り扱いが難しくなり、コストが嵩む。したがって、ウエハが複数色のマイクロLEDで製造された場合、各シンギュレートされたチップは、RGBレンダリングのための3つのマイクロLEDを含む傾向にある。したがって、ウエハが個々のチップにシンギュレートされるとき、個々のチップは、そこに形成された単一のまたはいくつかのマイクロLEDを有してもよいが、各マイクロLEDは、単一のメサ上に形成される。したがって、ウエハ上の領域という点では、メサとLEDという用語は言い換え可能であるが、チップという用語は1つまたはいくつかのメサを含む領域を指すことがある。
【0023】
上述のように、マイクロLEDウエハを検査しようとするときに対処する必要がある第1の問題は、各ウエハ上のマイクロLEDの数が非常に多いことであり、許容できなくなるほど検査時間を大幅に長引かせる。したがって、この問題を克服するために新しいアプローチが開発された。この新しいアプローチは、LED製造のプロセス開発および生産成熟度の、異なるステージにおけるテストを可能とするために、必要に応じて利用、再配置、または変更をすることが可能ないくつかのサブプロセスを含むという点で、ある程度モジュール化されている。
【0024】
図1に関して説明したように、CL顕微鏡は、サンプルについての詳細な情報を得るために用いることが可能な、サンプルから放出される光のヒストグラムを生成することができる。反対に、フォトダイオードまたはPMTなどの点検出器は、それが受けるあらゆる光の強度信号を生成し、そのため、CCDよりも少ない情報を伝達する。しかし、単一点検出器の利点は、CCDよりもはるかに高速であることである。したがって、CL顕微鏡は、点検出器の速度における高速スキャンを可能とするように変更されているが、単一点検出器によって提供される情報よりも有意義な情報を提供する。
【0025】
図2A図2Cは、図1のCL顕微鏡の点検出器部が強化されている、変更を加えたCL顕微鏡の実施形態を示す。すなわち、図1のCCD、SEおよび他の検出およびイメージング要素は、図2A図2Cの実施形態から除去されていないが、以下の説明は単一点検出器部のみに関するものであるため、図示されていない。図2Aでは、メインCLビームMBは、ビームスプリッタアレンジメント、例えばビームスプリッタ51、によって複数の分割ビームSBに分割され、例えば3つの分割ビームが示されているが、任意の数の複数の分割ビームを用いてもよく、ほとんどの場合、少なくとも3つの分割ビームである。対応する数の点検出器46a~46fは、各々が分割ビームの1つを受けるように配置される。点検出器46a~46fの各々は、バイアスフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、増幅型フォトダイオードまたは光電子増倍管(PMT)であってもよい。さらに、フィルタアレンジメント、例えばフィルタ49aおよび49bが、分割ビームの少なくとも1つまたは一部分の光路に挿入される。点検出器の1つ(ここでは46a)がフルスペクトルを捕捉する場合、すなわち、フィルタの数が分割ビームの数から1を差し引いた数に等しい場合、有益な結果を得ることができる。任意に、バックグラウンドフィルタBFがメインビームの光路に、またはフルスペクトルを捕捉する点検出器(ここでは46a)の上流に挿入されてもよい。バックグラウンドフィルタは、メサ周辺のウエハ領域から生成される放射を除去するように設計され、例えば、400nm未満の波長を遮断する光学フィルタである。
【0026】
図2Bでは、ビームスプリッタアレンジメントは、メインビームMBを、一方がフルスペクトル検出のために検出器46aに向けられ他方がダイクロイックミラー49dに向けられる2つの分割ビームに分割するビームスプリッタ51で構成される。ダイクロイックミラー49dは、反射された光および透過された光が2つの異なる波長となるように、異なる反射および透過特性を有する。この点で、ダイクロイックミラー49dは、ビームスプリッタとフィルタとを組み合わせたものとして機能する。検出器46eに向けて反射された分割ビームは、検出器46dへ透過された分割ビームとは異なる波長および/または帯域幅を有する。図2Cでは、1以上のフィルタを、表側と裏側との間に逆バイアス電圧が印加されるLEDエピウエハの薄片と交換することができる。この構成におけるバイアスLEDエピウエハは、複雑な透過プロファイルを有するカスタム吸収光学フィルタとして、および光検出器として、同時に機能する。
【0027】
図2A図2Cにおける吹き出しの各々は、点検出器46a~46fの各々によって受けられるCLスペクトルを示す。曲線は、フィルタの上流の分割ビームの実際のCLスペクトルを示し、矩形は、フィルタを通過するスペクトル、すなわち、フィルタの透過範囲を示す。破線の吹き出しに示されるように、点検出器46aの分割ビームにはフィルタが適用されない、またはバックグラウンドフィルタのみが適用されることから、点検出器46aは、全スペクトルまたは400nmを超えるスペクトルを受け、それにより、点検出器46aによって出力される信号は、メサに対応するCLビームのフルスペクトル(パンクロマティック)の積分強度に対応する。これは、図1のフィルタリングされていない点検出器46のパンクロマティック(すなわち、検出器が感受する全スペクトルをカバーする)信号と同様である。反対に、点線の吹き出しによって示されるように、フィルタ49cは、狭い帯域幅を有するハイパスフィルタであり、それにより、点検出器46cによって出力される信号は、CLビームの高エネルギースペクトル、狭帯域の積分強度に対応する。また、一点鎖線の吹き出しに示されるように、フィルタ49bは、広帯域幅のローパスフィルタであり、そのため、点検出器46bによって出力される信号は、CLビームの低エネルギースペクトル、広帯域の積分強度に対応する。同様に、図2Bでは、ダイクロイックミラー49dは、低周波数帯で光を反射する一方で、高周波数帯で光を透過する。
【0028】
したがって、図2A図2Cのシステムは、1つのパンクロマティック画像と、異なるエネルギー中心およびエネルギー帯域の複数のフィルタリングされた画像と、を生成する。とりわけ、これらは例にすぎず、任意の数、種類および組み合わせのビームスプリッタ、ミラーおよびフィルタが用いられてもよい。しかし、有益な結果のためには、結果として得られる点検出器の信号出力が異なるものとなるように、結果として得られる分割ビームは、互いに異なるべきである。ミラーおよびフィルタは、エッジパス、バンドパス、またはさらに複雑な透過特性を有するフィルタを含んでもよい。図2Bに示されるように、信号のフィルタリングされた部分と透過された部分との両方を検出器46dおよび46eで検出することができるように、ダイクロイックミラーと呼ばれる特殊なクラスのフィルタ49dが用いられる。これにより、設計が簡略化され、全体の光子収集効率が最適化される。図2Cでは、透過された光を検出器46fで検出することと、フィルタによって吸収された光を光電流として逆バイアスLEDエピウエハで記録することとの両方が可能となるように、特殊なカスタム光学フィルタ49fが逆バイアスLEDエピウエハの形で実装される。この点で、逆バイアスLEDエピウエハは、ビームスプリッタ(光の一部を通過させ、光の他の部分を吸収するため)、フィルタ(吸収する光とは異なるエネルギー帯域における光を通過させるため)、および検出器(吸収された光に相関する電流を出力するため)として機能する。
【0029】
したがって、複数のマイクロLEDが形成されたウエハを検査するためのカソードルミネッセンス顕微鏡が提供され、当該顕微鏡は、電子源、電子源から放出される電子を集束しそれによって電子ビームを形成する磁気レンズ、および電子ビームをサンプル上で走査するスキャナを有する電子ビームカラムと、電子ビームのスキャンに反応してサンプルから放出されるCL光を集め、CL光ビームを形成する光対物レンズと、CL光ビームから、空間的にも時間的にも本質的に合わされる複数の分割ビームを同時に生成するビームスプリットアレンジメントと、分割ビームの少なくとも1つをフィルタリングするように配置されたフィルタアレンジメントと、それぞれ分割ビームの1つを検出するように配置された複数の点検出器と、複数の点検出器から出力信号を受け、それからパンクロマティック画像および複数のフィルタリングされた画像を生成するコントローラと、を備える。コントローラは、さらに、複数の積分された放射を生成するために、点検出器の各々から受ける信号を積分するように稼動してもよく、マイクロLEDの特性を判定するために、積分された放射を分析するように稼動してもよい。コントローラは、さらに、複数の点検出器の2つから受ける信号の比をそれぞれ備える複数の比を生成するように稼動してもよい。
【0030】
図3は、一実施形態に従う、マイクロLEDウエハを検査するためにCL顕微鏡を利用したプロセスのフローチャート示す。本明細書に開示されるプロセスは、特定のテスト環境(プロセス開発または生産)および製造プロセスの成熟度に応じてワークフローに含まれても省略されてもよい3つのモジュールに分割されてもよい。例えば、モジュール1のみが、成熟した生産プロセス下におけるウエハを検査するときの検査方法として必要となる場合がある一方で、3つのモジュールすべてがマイクロLED技術開発中に実施されてもよい。
【0031】
実施されるワークフローにかかわらず、ワークフローが検査を含む場合、モジュール1の高速スキャン300から開始する(そうでない場合、ウエハのサンプリングのみが必要な場合は、第2または第3モジュールにスキップすることができる)。高速スキャンは、グローバル領域で実行され、これは、ウエハ全体、またはウエハ全体の適切な表現を形成するようにウエハのかなりの部分を併せて包含するいくつかの大きな領域を意味する。高速スキャンは、ターゲットとなるメサのサイズに応じて、例えば250μmから250nmの空間分解能を有する低分解能スキャンである。例えば、点検出器のサンプリングレートによって、分解能を調整することができる。一実施形態では、空間分解能は、少なくとも1つデータ点がグローバル領域における個々のメサ(LED)から集められるように設定され、有益には、複数のデータ点が各メサから得られるように設定される。例えば、メサあたり2×2、3×3、4×4、5×5、6×6または最大10×10ピクセルを得るように、スキャン分解能を設定することができる。例えば、10ミクロンのメササイズを有するウエハについては、分解能をメサあたり4×4ピクセルに設定すると、2.5ミクロンの空間分解能となり、1ミクロンのメサを有するウエハについては、メサあたり4×4ピクセルにすると、250nmの空間分解能となる。
【0032】
高速スキャン中、点検出器の各々は、定められたエネルギー帯域(フィルタが用いられないときはすべてのエネルギー)におけるCL放射に対応する信号を出力する。一実施形態では、点検出器から得られるデータは、定められた期待値310から光学的特性が逸する疑わしい領域を特定するために、305で分析される。一実施形態では、各空間的スキャン位置についての点検出器データは、その位置におけるスペクトル発光を大まかに再構築するために用いられる。例えば、フィルタリングされていない分割ビームからの信号を、総発光強度を判定するために用いることができ、微分解析(例えば、点検出器の信号の比を得る)を用いることにより、波長あたりの発光強度を推定し、放射FWHM、放射の非対称性、すなわち、高エネルギー半値最大値に対する低エネルギー半値最大値の比(これは、最終的に、LEDの演色性に影響を与える)に関連するパラメータを判定することが可能である。
【0033】
微分解析の例として、1つがパンクロマティックで4つがフィルタ付きである5つの点検出器が用いられる場合、5つの強度信号は、パンクロマティック信号、I、ローパス狭帯域信号、ILNB、ローパス広帯域信号、ILWB、ハイパス狭帯域信号、IHNB、ハイパス広帯域信号、IHWBであり得る。また、信号を、ILNB/I、ILWB/I、IHNB/I、IHWB/I、ILNB/ILWB、ILNB/IHNB、ILNB/IHWB、ILWB/IHNB、ILWB/IHWB、などに形成することが可能である。これらの検出器信号および比は、予想される比に対して比較されてもよく、総ウエハ母集団を構築するために用いられてもよく、これらの検出器信号および比を、総ウエハ母集団の分布に対して各メサ/LED比を比較するために用いることなどができる。また、上述のように、各メサ/LEDのエネルギー分布曲線を推定するために、検出器信号および比を用いることができる。推定された分布を、予想される分布またはウエハの総母集団の分布に対して比較することができる。このような分析の結果を、製造ラインを検査するためにおよび/またはウエハ/LEDをビニングするために用いることができる。
【0034】
数値的な例を提供するために、システムが2つのチャネルを記録することを想定する。Ch1は、すべての波長(パンクロマティック)を積分する一方で、Ch2は、470~600nmの波長を積分する。LEDターゲット波長が470nmである場合、Ch2/Ch1について予想される比は、次のようになる。したがって、測定された比が0.6であることは、スペクトルが赤方偏移、すなわち、ピーク波長が所望の470nmよりも高いこと、あるいは、放射線幅の比(長波長対短波長)が大きく変化したことを意味する。追加のチャネル、例えば、所望の470nm未満、例えば450~460nmの狭帯域を積分するCh3と、所望の470nmを超える、例えば480~490nmの狭帯域を積分するCh.4と、を記録することにより、Ch2/Ch1の比における変化がピークシフトによるものであるか、発光スペクトルの線幅/対称性における変化によるものであるか、を判定することができる。
【0035】
305における分析を、極値、すなわち、予想される分布に適合しない領域/メサを特定するために用いることができる。予想される分布がわかっている場合、例えば、スキャンが、成熟した生産プロセス下におけるウエハ上で実行される場合、分布を、基準分布、例えば“すばらしい(golden)ウエハ”に対して単純に比較することができる。反対に、基準がない場合、またはウエハ分布内で判定したい場合、総母集団(走査されたウエハの、または複数の以前走査されたウエハの総母集団)の分布を基準として用いることができ、基準に対して各領域の分布を比較することができる。任意の良好な領域内における強度分布は、総母集団分布と同等であることが予想される。
【0036】
図4は、ウエハ内におけるLEDの総母集団の強度分布プロットを示す。別々にプロットされたもの(楕円の中)は、ウエハ内における2つの領域の強度分布である。見られるように、プロットの1つは、右に少しシフトしているが、総母集団分布プロットにいくらか似ている。この領域を、許容範囲内とみなすことができる。反対に、第2のプロットは、左に大幅にシフトしており、その分布は、総母集団分布に似ておらず、したがって、許容範囲外とみなしてもよい。
【0037】
305で行われる分析によって、仕様の範囲外となる空間的領域を特定することが可能である。さらに、個々のメサ/LEDについてデータが集められるように分解能が設定されている場合、領域は、特定のLEDに対応してもよい。この点、本明細書で用いられる領域という用語は、単一のメサ/LEDまたは特定のメサ/LEDおよびいくつかの隣接するメサ/LEDを包含してもよい。例えば、予め定められたパーセンタイル(例えば、下位0.1%、上位0.1%および中央値1%)に基づいて母集団分布の極値から部分母集団を判定することが可能であり、フィルタリングは、所与のチャネル(点検出器)の強度、2つのチャネルの比などの性能特性に基づいて行われる。
【0038】
ステップ310が完了すると、315で、モジュール2のプロセスに進むか否かを判定することができる。例えば、成熟した製造ラインを検査するためにモジュール1の検査が実行される場合、必要なことは、プロセスにおける逸脱が発生したか否かを特定すること、またはプロセスが安定していて製造を進めることができるということを検証することだけである場合があるため、モジュール2または3に進む必要がない場合がある。さらに、このような条件下では、モジュール1のプロセスは、生産中にLEDをビニングするために用いられてもよい。すなわち、LEDの発光スペクトルは、LEDが動作中に放出する光の色に対応する。したがって、例えば、検査されたLEDを、ピーク強度のエネルギーに従って、FWHMにおける幅に従って、強度分布の非対称性に従って、などしてビニングすることができる。
【0039】
ステップ315で、モジュール2に進む決定がなされた場合、例えば、プロセス開発中または生産プロセスの成熟の前である場合、極値と特定された選択領域上のみで、高分解能レビュースキャンが実行される。“すばらしい(golden)”基準がない場合、レビュースキャンは、ステップ310で特定されたワースト、ベストおよび中央値パフォーマンス領域から選択された局所領域上で実行されてもよい。ゴールデン基準がある場合、レビュースキャンは、不具合の原因をさらに調査するために、ワーストパフォーマンス局所領域についてのみ実行されてもよい。
【0040】
レビュースキャン320では、各スキャン領域、例えば各選択メサ、からさらなる情報を集めることができるように、点検出器は、高速スキャン中よりも高いサンプリングレートで稼動される。例えば、レビュースキャンは、メサあたり16×16を超え、最大64×64ピクセルを生成するように設定されていてもよい。さらに、レビュースキャン中に、CCDを用いるフルスペクトル、SEイメージングなどの他のデータが集められる。レビュースキャン中に集められたデータは、325で分析される。例えば、発光の強度および均質性、貫通転位密度について、高分解能CL画像を評価することができる(例えば、米国特許出願第17/537,422号を参照)。また、局所スキャン領域が特定のメサおよびその直近のメサを含む場合、直近のメサのスペクトルに対して特定のメサのスペクトルを比較することができる。メサの形状(例えば、基準の“すばらしい(golden)”形状に対する比較によって、またはメサの外縁のライントレースによって)、エッチング堆積物などの粒子の存在、および均一性などの、マスク転写エラーの存在について、SE画像を評価することができる。また、形状均一性ファクタ(SUF)を割り当てるために、エッジトレースおよび特徴認識などの、画像処理およびマシンビジョン技術を用いることができる。波長あたりの高空間分解能ピーク発光、FWHM、全強度などについて、例えばCCDからのフルスペクトルデータが評価されてもよい。
【0041】
上述のように、ウエハ均一性内などの種々の考慮事項について、レビュースキャンおよび分析は、高速スキャンの結果に基づく、母集団のベスト、中央値およびワーストパフォーマーをランダムにサンプリングすることに基づくことができる。母集団のベスト、中央値およびワーストパフォーマーをランダムにサンプリングし、サンプリングされたメサ/LEDにおける分散を評価することにより、プロセス制御限界に関して、各領域の性能を評価することができる。
【0042】
325で実行される分析は、種々の領域に生存スコアを割り当てるために、ステップ330で用いられてもよい。一実施形態では、生存スコアは、10から100の範囲にわたり、例えば、領域レベル、ウエハレベル、カセットレベル、などの所与のプロセスウィンドウに関する母集団分布に依存する。図5は、ウエハレベルのプロセスウィンドウに関して計算された領域生存スコアを示す。領域生存スコアを計算することは、ウエハ上の高および低パフォーマンス領域をできるだけ早期に特定するのに役立つ。一実施形態では、生存領域は、3つのレベルに分割される。高生存率領域(HVR)は、低パフォーマンスメサ/LEDでさえもが仕様内である可能性が高い領域である。ウエハ上でさらなる計測が実行される場合、これらの領域をスキップすることができ、それによって計測時間を削減することができる。低生存率領域(LVR)は、ベストパフォーマンスメサ/LEDさえもが仕様外である可能性が高い領域である。この場合であっても、これらの領域を調査するためのさらなる計測を拡げる必要はない。最も関心のある領域は、ボーダーライン生存率領域(BVR)である。これらの領域は、仕様内であるメサ/LEDと、仕様外であるメサ/LEDと、を有する可能性が高い。したがって、計測の労力は、それらの領域上のみに集中されるべきである。
【0043】
ステップ330は、特定の状況下で非常に有益であり得る。例えば、低生存率領域の早期特定は、重要なプロセスステップにおけるフィードバック時間を削減することによりWIPの削減をサポートする。また、これは、後の計測段階で費やされる時間を最適化し、プロービングの時間予算をさらに効果的に割り振ることにより、総プロービングコストを低減する。これは、また、どのプロセス変更が他のプロセスよりも生存率に影響を与えるかを早期に理解するのに役立つことから、市場投入までの時間の短縮をサポートすることができる。
【0044】
図5に示された領域生存スコアマップに加えて、プロセス開発および検査ならびにビニングで支援するために、他のマップを生成することができる。例えば、レビュースキャンが個々のメサの高分解能画像を生成することから、均一性について各メサの形状を分析することができる。図6は、フォトリソグラフィ段階またはエッチング段階における問題を示し得る形状均一性スコアマップを示す。
【0045】
同様に、図7は、ウエハの種々のパラメータについて実施され得る逸脱スコアマッピングを示す。スコアは、結果が、定められたプロセスウィンドウからどれだけ逸するかに相関する。すなわち、各領域におけるスコアは、仕様からの逸脱度を示す。これを、例えば、ピーク強度における波長(LED色に相関する)、FWHMにおける幅(色のシャープネス/広がりに相関する)などについて実行することができる。
【0046】
ステップ335で、ウエハ内における特定のメサ/LEDの詳細な調査を伴うオプション的なモジュール3に進むか否かの決定がなされてもよい。ステップ340で、超高分解能レビューが実行される。デバイスの光電子特性とのプロセス相互作用をより深く理解するために、特定のフロントエンドプロセスステップ、例えばメサエッチングプロセス、の直前および直後に測定を実行することができるため、超高分解能レビューモジュール3は、プロセス開発段階と、鍵となる変更点(redactors)の特定とにとって特に興味深いものである。エピプロセスステップの相互作用の理解を深めることは、最終的には、より良好な重要業績評価指標(KPI)の定義および新しいKPIの発見を通して、より良好なプロセス制御に導く。
【0047】
超高分解能スキャン340で、分解能は、メサあたり64×64ピクセル以上に設定される。空間分解能に関して、超高分解能は、100nmまたはそれよりも良好、例えば20nm以上100nm以下に設定される。このスキャンでは、高分解能パンクロマティック/フィルタリングされたデータセットが集められるか、あるいは、例えばCCDを用いて、メサ毎にハイパースペクトルデータが集められる。このステップにおけるハイパースペクトルデータの取得は、本明細書に特定される分解能を用いることにより空間的に分解することが可能であるが、空間的に分解される必要はない。空間的に分解されない場合、視野が定められ(例えば、16×16ピクセル)、発光がCCDによって集められる間、領域が電子ビームで走査される。CCDバッファは、プリセットされた積分時間の後でのみ読み取られる。このモードを、時間積分スキャンモードと呼ぶことができる。
【0048】
第1のタイプの収集を、例えば、貫通転位密度、発光波長均質性、強度均質性、メサエッジ形状、メサ均一性などをメサ毎に特定するために分析することができる。上記の点のすべてだけではなく、ピーク発光エネルギーまたはFWHMおよび図9に示されるような他の関連パラメータなどの他の指標をも判定するために、ハイパースペクトルマップを分析することができる。図8は、超高分解能スキャンから得られる、単一のメサについてのハイパースペクトル強度マップを示す。図9は、図8と同じデータのハイパースペクトルマップであるが、超高分解能スキャンから得られる、各メサについての平均エネルギーを差し引いたピーク発光エネルギーのマップを示す。図9のプロットでは、データから平均ピーク発光エネルギーを差し引くことにより、エネルギーシフトとして表されている。正のエネルギーシフトのピクセル(マップ内)は、発光がもっと(平均と比較して)青波長範囲の方にシフトしていることを意味し、負のエネルギーシフトのピクセルは、赤波長範囲の方へのシフトを表す。
【0049】
本明細書に開示される実施形態によれば、プロセス開発中およびデバイス製造中に適切な情報を提供するために、CL顕微鏡を用いてマイクロLEDを検査する様々な方法を調整することができる。図3のフローチャートとともに開示される種々のモジュールを、図2に示される例に従ってCL顕微鏡を利用して、必要に応じて実施することができる。図10に、複数の点検出器が、異なるフィルタを通過する分割ビームを受けていて、ウエハまたはその大きなグローバル領域の高速マルチチャネルスキャンがモジュール1で実行される、一般的なフローが示される。種々のフィルタリングリングされた帯域(例えば、赤、緑および青フィルタ)の信号が積分され、チャネルの異なる比が生成される。その結果を、予想結果、またはウエハの総母集団から得られる平均結果に対して比較することができる。
【0050】
予想結果からかなりの逸脱を有する局所領域は、モジュール2における高分解能スキャンのために選択される。スキャンは、特定のメサおよびそれに最も近い隣のメサ上で実行される。スキャン中に、種々のイメージング、例えば、SEイメージング、CLハイパースペクトルイメージング、CLフィルタリング/単一スペクトルイメージングなどを実行することができる。このイメージング情報を、例えば、強度、ピーク発光エネルギーまたはFWHM、メサの形状、メサ間の空間などを得るために分析することができる。モジュール3では、特定のメサが超高分解能レビューのために選択される。超高分解能スキャンは、特定のメサの特性を調査するために、特定に選択されたメサの、SE画像、CL画像、CLピークシフト、CLピークFWHMなどの高空間分解能画像を生成する。
【0051】
一実施形態では、CL顕微鏡を利用したマイクロLEDの検査方法が提供され、当該検査方法は、複数の点検出器、すなわち、PMTまたはバイアスフォトダイオードなどの単一チャネル検出器を用いてウエハのグローバル領域の第1スキャンを第1分解能で実行するステップであって、互いに異なる複数の光学フィルタが複数の点検出器の少なくとも一部分の光路に挿入されるステップを備える。光学フィルタは、エッジパス、バンドパス、またはさらに複雑な透過特性を有するフィルタを含んでもよい。いくつかのバンドパスフィルタが用いられる場合、中心周波数または帯域幅が、すべてのフィルタで異なる。走査されるグローバル領域を、ウエハ全体、または統計学的に意味があるようにウエハ全体を表すサイズを有するウエハサブ領域とすることができる。次に、当該方法は、記録された単一チャネルの比を決定し、その比を基準スペクトルからの予想値に対して比較することにより、測定されたグローバル領域の母集団分布を分析する。基準スペクトルは、走査されたグローバル領域内における全母集団について集められるデータを用いて構築されてもよい。その後、当該方法は、所与のチャネルの強度、2つのチャネルの比などの性能特性に基づいて、予め定められたパーセンタイル(例えば、ワースト0.1%、ベスト0.1%および中央値1%)に基づいて母集団分布の極値から部分母集団を判定する。
【0052】
部分母集団が特定されると、当該方法は、部分母集団が第1分解能よりも高い第2分解能で走査されるレビュースキャンに進んでもよい。局所領域のスキャン中に、当該方法は、高分解能パンクロマティック画像、高分解能SE画像、ハイパースペクトルマップおよび/または面積平均ハイパースペクトル取得マップを得る。部分母集団のサンプリングレートを、必要とされるスループット基準によって判定することができ、各局所領域は、特定のメサおよびその直近のメサを含んでもよい。レビューされたメサのハイパースペクトル特性は、予め定められたプロセス制御限界、または基準を得るためにサンプリングされた母集団のすべての結果を平均することから判定される予想結果に対して、比較される。そして、部分母集団の各々について、予め定められたプロセスウィンドウ内となる再構築母集団の割合を推定するために、関連する性能基準が評価される。プロセス基準は、総発光強度、エネルギーあたりの発光波長、放射FWHM、発光スペクトルの非対称性(例えば、演色性に影響を与える、高エネルギー半値最大値に対する低エネルギー半値最大値の比)、形状均一性ファクタ(基準形状に対するメサの形状に対応する)、貫通転位密度などのいずれの組み合わせを含んでもよい。これらの性能基準の各々についてのスコアは、領域生存スコアを生成するために、任意に重みづけを用いて組み合わされる。重みづけは、個々の指標に対するプロセス感度に従って判定されてもよい。
【0053】
一実施形態では、CL顕微鏡を利用したマイクロLEDの検査方法が提供され、当該検査方法は、複数の点検出器、すなわち、PMTまたはバイアスフォトダイオードなどの単一チャネル検出器を用いてウエハのグローバル領域の第1スキャンを実行するステップであって、フィルタアレンジメントが、複数の点検出器の少なくとも一部分に向けられる光の帯域幅を制限するステップを備える。フィルタアレンジメントは、エッジパス、バンドパス、ダイクロイックミラー、バイアスウエハ、またはさらに複雑な透過特性を有するフィルタを含んでもよい。走査されるグローバル領域を、ウエハ全体、または統計学的に意味があるようにウエハ全体を表すウエハサブ領域とすることができる。次に、当該方法は、記録された単一チャネルの比を決定し、その比を基準スペクトルからの予想値に対して比較することにより、測定されたグローバル領域の母集団分布を分析する。基準スペクトルは、走査されたグローバル領域内における全母集団について集められるデータを用いて構築されてもよい。
【0054】
この実施形態では、レビュースキャンが実行されない。代わりに、プロセスは、予め定められたプロセス制御限界に対して、メサの測定された母集団分布を比較することに進む。そして、当該プロセスは、プロセス制御限界内となる母集団分布の割合を計算することにより、すべての関連する性能基準についてパラメータ性能指標を判定する。プロセス基準は、総発光強度、エネルギーあたりの発光波長、放射FWHM(複数の単一チャネル強度比を組み合わせることにより推定される)、発光スペクトルの非対称性(例えば、演色性に影響を与える、高エネルギー半値最大値に対する低エネルギー半値最大値の比)のいずれの組み合わせを含んでもよい。これらの性能基準の各々についてのスコアは、領域有効スコアを生成するために、任意に重みづけを用いて組み合わされる。図3のフローに関して、これは、ステップ330がステップ310の後に実行されることを意味する。重みづけは、個々の指標に対するプロセス感度に従って判定されてもよい。
【0055】
この開示によれば、マイクロLEDを製造するための方法が提供され、当該方法は、各メサの長さが100ミクロン以下である複数のメサをウエハ上に形成し、ウエハをCL顕微鏡に移送するステップと、複数のCLビームを生成するために、ウエハの第1スキャンを第1分解能で実行するステップと、複数のCLビームを同時に検出するために複数の単一点検出器を用いるステップであって、点検出器の各々が残りの点検出器とは異なる部分スペクトルを受けるように配置されているステップと、複数の検出器比を生成するステップであって、検出器比の各々が、点検出器の2つから受ける信号の比を備えるステップと、メサの特性を判定するために、予想される比に対して、検出された比を比較するステップと、を備える。
【0056】
また、各メサが100ミクロン以下の長さを有し、各メサにマイクロLEDを形成するための複数のメサを有するウエハを検査するための方法が提供され、当該方法は、ウエハをCL顕微鏡に置くステップと、複数のCLビームを生成するために、ウエハの第1スキャンを第1分解能で実行するステップと、複数のCLビームを同時に検出するために複数の単一点検出器を用いるステップであって、点検出器の各々が残りの点検出器とは異なる部分スペクトルを受けるように配置されているステップと、複数の検出器比を生成するステップであって、検出器比の各々が、点検出器の2つから受ける信号の比を備えるステップと、メサの特性を判定するために、予想される比に対して、検出された比を比較するステップと、を備える。第1分解能は、メサあたり少なくとも1ピクセル、メサあたり最大10×10ピクセルを生成するように設定されていてもよい。複数の点検出器の1つは、バックグラウンド波長よりも高い、例えば400nmよりも高い波長のスペクトルを受けるように配置されていてもよい。当該方法は、走査されたメサの各々におけるスペクトル発光を再構築するために、複数の検出器から受ける信号を用いるステップをさらに備えてもよい。当該方法は、走査されたメサの各々におけるCL放射の非対称性を判定するために、複数の検出器から受ける信号を用いるステップをまた備えてもよい。当該方法は、走査されたメサの各々における強度分布を判定するために、複数の検出器から受ける信号を用いるステップと、走査されたメサのすべてから判定される総母集団強度分布に対して比較するステップと、を含んでもよい。複数の検出器から受ける信号は、走査されたメサを複数のグループに割り当てるために用いられてもよい。複数の検出器から受ける信号を、ウエハ上の対象領域を特定するために用いることができ、そして、検査信号を生成するために、対象領域の第2スキャンを第1分解能よりも高い第2分解能で実行するステップと、各対象スキャン領域内における波長あたりのピーク発光を決定する検査信号を用いるステップと、を実行することができる。また、対象スキャン領域の各々の二次電子画像を形成するために、第2スキャン中に二次電子検出器を用いることができる。対象スキャン領域内における各メサの物理的形状を判定するために、画像処理を用いることができる。対象スキャン領域内における異物を特定するために、二次電子画像を検査することができる。生存スコアを対象スキャン領域の各々に割り当てることができる。
【0057】
図2に関して開示されるように、複数のマイクロLEDメサが形成されたウエハを検査するためのカソードルミネッセンス顕微鏡が提供され、当該カソードルミネッセンス顕微鏡は、電子源、電子源から放出される電子を集束しそれによって電子ビームを形成する磁気レンズ、および電子ビームをサンプル上で走査するスキャナを有する電子ビームカラムと、電子ビームのスキャンに反応してサンプルから放出される光を集め、光ビームを形成する光対物レンズと、集束レンズ、光ビームを複数の分割ビームに分割するスプリッタアレンジメント、それぞれ分割ビームの1つを受けるように配置された複数の点検出器、および複数の分割ビームの少なくとも一部分の帯域幅を制限するフィルタアレンジメントを備えるイメージング部と、複数の点検出器からの出力信号を受け、複数の点検出器の、対をなす出力信号の比を生成するコントローラと、を備える。点検出器は、バイアスフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、増幅型フォトダイオードまたは光電子増倍管(PMT)を備えてもよい。カソードルミネッセンス顕微鏡は、400ナノメートル未満の波長を遮断するバックグラウンドフィルタをさらに備えてもよい。フィルタアレンジメントは、少なくとも1つダイクロイックミラー、異なる中心周波数または異なる帯域幅を有する複数のバンドパスフィルタ、または少なくとも1つのバイアスLEDウエハを備えてもよい。コントローラは、基準比に対して比を比較してもよく、基準比から逸する比を有するウエハ領域を特定してもよい。コントローラは、領域に生存スコアをさらに割り当ててもよい。
【0058】
本発明は、図面および前述の説明で詳細に示されおよび説明されたが、このような図示および説明は、理解を助けるものまたは例示的であって限定的なものではないとみなされ、本発明は、開示された実施形態に限定されない。図面、開示および添付の特許請求の範囲の検討に基づいて、他の実施形態および変形例が理解され、請求項に係る発明を実行するときに当業者によって達成され得る。
【0059】
請求項において、「備える」という語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”または“an”は、複数であることを排除するものではない。相互に異なる従属請求項において異なる特徴が記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせを有利に用いることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照記号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】