(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス用の加熱装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240125BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240125BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543343
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022051801
(87)【国際公開番号】W WO2022167296
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】ハイマ,ヘルマン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル発生デバイス用の加熱装置が開示される。加熱装置は、第1のケーシング部材(330)と、第2のケーシング部材(332)と、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタ(342)とを含む。第1のケーシング部材、第2のケーシング部材、及び1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、協働的に係合し、エアロゾル発生基材の少なくとも一部を受け入れるための管状加熱チャンバ(318)を形成する。1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、第1のケーシング部材を第2のケーシング部材に結合するように配置される。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイス用の加熱装置であって、
第1のケーシング部材と、
第2のケーシング部材と、
1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタであって、前記第1のケーシング部材、前記第2のケーシング部材、及び前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、協働的に係合し、エアロゾル発生基材の少なくとも一部を受け入れるための管状加熱チャンバを形成し、前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記第1のケーシング部材を前記第2のケーシング部材に結合するように配置される、前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタと
を含む、加熱装置。
【請求項2】
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記第1のケーシング部材を前記第2のケーシング部材に結合する固定要素として機能する、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記第1のケーシング部材と前記第2のケーシング部材と前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタとが互いに対して回り止めされるように、前記第1のケーシング部材及び前記第2のケーシング部材と係合する、請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記加熱チャンバの壁内に組み込まれる細長いロッドとして形成され、前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記加熱チャンバの周りに間隔をおいて配置され、前記加熱チャンバの長手方向軸線に平行な方向に延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記加熱チャンバの壁内に組み込まれる湾曲板として形成され、前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記加熱チャンバの周りに間隔をおいて配置され、前記加熱チャンバの長手方向軸線に平行な方向に延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、使用時に、前記加熱チャンバ内に受け入れられた前記エアロゾル発生基材が圧縮されるように、前記加熱チャンバ内に突出して前記加熱チャンバの断面積を減少させる、内方に延びる少なくとも1つの部分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、前記加熱チャンバから突出して、誘導加熱され得る前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタの質量を増加させる、外方に延びる少なくとも1つの部分を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記第1のケーシング部材は、略管状であり、第1の長手方向端部を含み、
前記第2のケーシング部材は、略管状であり、第2の長手方向端部を含み、
前記第1のケーシング部材及び前記第2のケーシング部材は、前記第1のケーシング部材の前記第1の長手方向端部が前記第2のケーシング部材の前記第2の長手方向端部に隣接した状態で同軸に位置合わせされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記第1のケーシング部材の前記第1の長手方向端部は、1つ又は複数のスロットを含むスロット付き構成を有し、
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、前記1つ又は複数のスロット内に位置する、請求項8に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記第2のケーシング部材の前記第2の長手方向端部は、1つ又は複数のスロットを含むスロット付き構成を有し、
前記第1のケーシング部材の前記第1の長手方向端部の前記1つ又は複数のスロットは、前記第2のケーシング部材の前記第2の長手方向端部の前記1つ又は複数のスロットと位置合わせされ、
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、各対の位置合わせされたスロット内に位置するとともに、各対の位置合わせされたスロットの間に延びて、前記第1のケーシング部材を前記第2のケーシング部材に結合する、請求項9に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記第1のケーシング部材の前記第1の長手方向端部と前記第2のケーシング部材の前記第2の長手方向端部との間に配置された誘導加熱可能サセプタリングをさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記第1のケーシング部材の前記第1の長手方向端部及び前記第2のケーシング部材の前記第2の長手方向端部は、前記第1のケーシング部材と前記第2のケーシング部材とが互いに対して回り止めされるように、前記第1のケーシング部材の前記第1の長手方向端部が前記第2のケーシング部材の前記第2の長手方向端部と実質的に係合するような、相補的なスロット付き構成を有し、
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、前記相補的なスロット付き構成間の1つ又は複数の長手方向境界に沿って位置する、請求項8に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記第1のケーシング部材及び前記第2のケーシング部材は、略管状である前記加熱チャンバを形成するように前記第1のケーシング部材及び前記第2のケーシング部材の長さに沿って組み合わせることができ、
前記第1のケーシング部材及び前記第2のケーシング部材は、前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタにより互いに締結される、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項14】
前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記第1のケーシング部材及び前記第2のケーシング部材から着脱可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項15】
加熱アセンブリを製造する方法であって、
第1のケーシング部材を用意するステップと、
第2のケーシング部材を用意するステップと、
1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタを用意するステップと、
前記第1のケーシング部材と前記第2のケーシング部材と前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタとを協働的に係合させ、エアロゾル発生基材の少なくとも一部を受け入れるための管状加熱チャンバを形成するステップであって、前記1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、前記第1のケーシング部材を前記第2のケーシング部材に結合するように配置される、前記形成するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生デバイス用の加熱装置、エアロゾル発生デバイス用の加熱アセンブリを製造する方法、及びエアロゾル発生デバイスに関する。本開示は、詳細には、自己完結型且つ低温であり得る携帯型エアロゾル発生デバイスに適用可能である。このようなデバイスは、タバコ又は他の好適なエアロゾル基材材料を、燃やすのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させ得る。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及び巻きタバコなど、従来のタバコ製品の使用を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を典型的に含むエアロゾル基材(すなわち消耗品)を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させるか又は燃やすのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼による望ましくない副生成物を含まないエアロゾルが放出される。また、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料を加熱することにより生成されるエアロゾルは、ユーザにとって不快となり得る、燃焼に起因し得る焦げた味又は苦味を典型的には含まない。
【0004】
現在利用可能なエアロゾル発生デバイスは、多数の異なる手法のうちの1つを使用して、エアロゾル発生基材に熱を与えることができる。そのような手法の1つは、誘導加熱システムを採用するエアロゾル発生デバイスを提供することである。このようなデバイスでは、誘導コイルがデバイス内に設けられ、誘導加熱可能サセプタがエアロゾル発生基材を加熱するために設けられる。ユーザがデバイスを作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに供給され、次いでこれにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生させ、この熱は、例えば伝導によって、エアロゾル発生基材に伝達され、エアロゾル発生基材が加熱されるとエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなデバイス内での、加熱チャンバに取り付けられたサセプタの使用は、多くの場合、エアロゾル発生デバイスの嵩張りの原因となる。それゆえ、本発明の目的は、エアロゾル発生基材を効率的に加熱できる、コンパクトな加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル発生デバイス用の加熱装置であって、第1のケーシング部材と、第2のケーシング部材と、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタとを含み、第1のケーシング部材、第2のケーシング部材、及び1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、協働的に係合し、エアロゾル発生基材の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバを形成する、加熱装置が提供される。
【0007】
このように、誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバ上又は加熱チャンバ内に取り付けられるのではなく、加熱チャンバの一部を形成するので、よりコンパクトな加熱装置が提供される。誘導加熱可能サセプタは、第1のケーシング部材及び第2のケーシング部材と協働的に係合し、これにより、加熱装置の嵩張りを増加させることなく、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル発生基材を加熱するために誘導加熱可能サセプタを最適に位置決めすることが可能となる。
【0008】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、第1のケーシング部材を第2のケーシング部材に結合するように配置される。このように、誘導加熱可能サセプタは、加熱装置が構造的に安全であることを確実にする一方で、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル発生基材を加熱するという二重の目的を有する。換言すれば、誘導加熱可能サセプタは、第1のケーシング部材を第2のケーシング部材に固定する固定要素として機能し、このことにより、誘導加熱可能サセプタを加熱チャンバ内に組み込むことが可能となり、それにより、コンパクトな加熱装置が提供される。加熱装置の製造の容易さも改善され得る。
【0009】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、第1のケーシング部材と第2のケーシング部材と1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタとが互いに対して回り止めされるように、第1のケーシング部材及び第2のケーシング部材と係合する。このように、加熱装置のコンパクト性に悪影響を及ぼさずに、加熱装置の耐久性がさらに高められる。エアロゾル発生デバイスは、携帯型であり、ユーザによって乱暴に扱われ得るので、加熱装置が高い耐久性を有することを確実にすることは特に有利である。
【0010】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの壁内に組み込まれる細長いロッドとして形成され、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの周りに間隔をおいて配置され、加熱チャンバの長手方向軸線に平行な方向に延びる。このように、誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材の長さに沿って集中加熱効果をもたらす一方で、コンパクトな加熱装置も提供する。エアロゾル発生基材は、加熱チャンバの周りに間隔をおいて配置された誘導加熱可能サセプタにより迅速且つ均一に加熱される。
【0011】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの壁内に組み込まれる湾曲板として形成され、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバの周りに間隔をおいて配置され、加熱チャンバの長手方向軸線に平行な方向に延びる。このように、誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル基材を加熱するための大きな表面積を提供する一方で、コンパクトな加熱装置も提供する。エアロゾル発生基材は、加熱チャンバの周りに間隔をおいて配置された誘導加熱可能サセプタにより迅速且つ均一に加熱される。
【0012】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、使用時に、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル発生基材が圧縮されるように、加熱チャンバ内に突出して加熱チャンバの断面積を減少させる、内方に延びる少なくとも1つの部分を含む。このように、エアロゾル発生基材を圧縮することにより、エアロゾル発生基材に熱をより効率的に伝達することができ、エネルギー効率を最大化すると同時に、より迅速な加熱を達成することができる。
【0013】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、加熱チャンバから突出して、誘導加熱され得る1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタの質量を増加させる、外方に延びる少なくとも1つの部分を含む。このように、より大きな質量の誘導加熱可能サセプタが加熱チャンバの中心から離れた場所に(すなわち、取り囲む誘導コイルにより近接して)設けられる。これにより、誘導コイルから電磁エネルギーを得る誘導加熱可能サセプタの能力が高められる。
【0014】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタの外方に延びる少なくとも1つの部分は、第1のケーシング部材及び第2のケーシング部材の外周縁部に対して径方向外方に延びる。
【0015】
好ましくは、第1のケーシング部材は、略管状であり、第1の長手方向端部を含み、第2のケーシング部材は、略管状であり、第2の長手方向端部を含み、第1のケーシング部材及び第2のケーシング部材は、第1のケーシング部材の第1の長手方向端部が第2のケーシング部材の第2の長手方向端部に隣接した状態で同軸に位置合わせされる。このように、略円筒状のエアロゾル発生基材を受け入れるように構成されたコンパクトな加熱チャンバが提供される。この加熱チャンバは、エアロゾル発生物品の形態のエアロゾル発生基材が円筒形態で包装され販売されることが多いので有利であり得る。
【0016】
好ましくは、第1のケーシング部材の第1の長手方向端部は、1つ又は複数のスロットを含むスロット付き構成を有し、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、1つ又は複数のスロット内に位置する。このように、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、装置の嵩張りを増加させることなく、加熱チャンバ内に受け入れられるエアロゾル発生基材に近接して設けられる。また、加熱装置の製造の容易さも改善され得る。
【0017】
好ましくは、第2のケーシング部材の第2の長手方向端部は、1つ又は複数のスロットを含むスロット付き構成を有し、第1のケーシング部材の第1の長手方向端部の1つ又は複数のスロットは、第2のケーシング部材の第2の長手方向端部の1つ又は複数のスロットと位置合わせされ、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、各対の位置合わせされたスロット内に位置するとともに、各対の位置合わせされたスロットの間に延びて、第1のケーシング部材を第2のケーシング部材に結合する。このように、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、デバイスの嵩張りを増加させることなく、加熱チャンバ内に受け入れられるエアロゾル発生基材に近接して設けられる一方で、第1のケーシング部材と第2のケーシング部材との間の確実な固定も提供する。
【0018】
好ましくは、加熱装置は、第1のケーシング部材の第1の長手方向端部と第2のケーシング部材の第2の長手方向端部との間に配置された誘導加熱可能サセプタリングをさらに含む。このように、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル発生基材の中心に向けて集中加熱効果がもたらされ得る一方で、コンパクトな加熱装置も提供される。
【0019】
一例では、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタと誘導加熱可能サセプタリングとは、単一の構成要素として形成され得る。このように、第1のケーシング部材と第2のケーシング部材との結合の強度がさらに高められ得る。
【0020】
好ましくは、第1のケーシング部材の第1の長手方向端部及び第2のケーシング部材の第2の長手方向端部は、第1のケーシング部材と第2のケーシング部材とが互いに対して回り止めされるように、第1のケーシング部材の第1の長手方向端部が第2のケーシング部材の第2の長手方向端部と実質的に係合するような、相補的なスロット付き構成を有し、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタはそれぞれ、相補的なスロット付き構成間の1つ又は複数の長手方向境界に沿って位置する。このように、誘導加熱可能サセプタは、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル発生基材を加熱するための最適な位置に位置する一方で、第1のケーシング部材を第2のケーシング部材に確実に固定することができる。
【0021】
好ましくは、第1のケーシング部材及び第2のケーシング部材は、略管状である加熱チャンバを形成するように第1のケーシング部材及び第2のケーシング部材の長さに沿って組み合わせることができ、第1のケーシング部材及び第2のケーシング部材は、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタにより互いに締結される。このように、容易に組み立てられ、分解され得る、構成要素の確実な配置が提供される。
【0022】
好ましくは、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタは、第1のケーシング及び第2のケーシングから着脱可能である。このように、誘導加熱可能サセプタは、例えば誘導加熱可能サセプタの材料が劣化し始めた場合には取り外され交換され得る。
【0023】
好ましくは、加熱チャンバは、略管状である。このように、加熱チャンバは、エアロゾル発生物品の形態のエアロゾル発生基材が円筒形態で包装され販売されることが多いので有利であり得る、略円筒状のエアロゾル発生基材を受け入れるように構成され得る。
【0024】
好ましくは、加熱装置は、加熱チャンバを取り囲む誘導加熱コイルをさらに含む。
【0025】
好ましくは、第1のケーシング及び第2のケーシングは、耐熱性プラスチック材料、好ましくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、加熱アセンブリを製造する方法であって、第1のケーシング部材を用意するステップと、第2のケーシング部材を用意するステップと、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタを用意するステップと、第1のケーシング部材と第2のケーシング部材と1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタとを協働的に係合させ、エアロゾル発生基材の少なくとも一部を受け入れるための加熱チャンバを形成するステップとを含む、方法が提供される。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様による加熱装置を含むエアロゾル発生デバイスが提供される。
【0028】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】エアロゾル発生デバイスと、エアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内に位置決めされる準備の整ったエアロゾル発生物品とを含む、エアロゾル発生システムの概略断面図である。
【
図2】エアロゾル発生デバイスの加熱チャンバ内に位置決めされたエアロゾル発生物品を示す、
図1のエアロゾル発生システムの概略断面図である。
【
図3A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図3B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図3C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図4A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図4B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図4C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図5A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図5B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図5C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図6A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図6B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図7A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図7B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図7C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図8A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図8B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図8C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図9A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図9B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図9C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図10A】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図10B】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図10C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図10D】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図11】加熱チャンバが、着脱可能な誘導加熱可能サセプタを含む、本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図12A】加熱チャンバが、着脱可能な誘導加熱可能サセプタを含む、本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【
図12B】加熱チャンバが、着脱可能な誘導加熱可能サセプタを含む、本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイス用の加熱チャンバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書中の図面は、上位の桁が図面の図番号に対応し、残りの桁が図面中の要素又は構成要素を識別するという番号規則に従う。異なる図面間の同様の要素又は構成要素は、同様の数字の使用により識別され得る。例えば、306は、
図3の要素「06」を参照し得、同様の要素は、
図4の406のように参照され得る。当業者であれば、各要素の特性及び構成の説明が他の実施形態における対応する要素に等しく適用され得ることを認識するであろう。
【0031】
本明細書で説明するように、蒸気は、臨界温度よりも低い温度で気相である物質を指すと一般に理解されており、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味し、一方、エアロゾルは、空気又は別のガス中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために発生させる吸入可能媒体の形態に関して同義で使用され得ることに留意すべきである。
【0032】
初めに
図1及び
図2を参照すると、エアロゾル発生システム1の例が概略的に示されている。エアロゾル発生システム1は、エアロゾル発生デバイス10と、デバイスと共に使用されるエアロゾル発生物品70とを含む。
【0033】
エアロゾル発生物品70は、タバコなどの、エアロゾル発生基材72を含む。エアロゾル発生デバイス10は、デバイス10のユーザによる吸入のためにエアロゾル発生物品70を燃やすことなく加熱してエアロゾル発生基材72からエアロゾルを形成するように構成される。
【0034】
エアロゾル発生デバイス10は、エアロゾル発生デバイス10の様々な構成要素を収容する本体12を含む。本体12は、本明細書に記載する様々な実施形態で説明する構成要素に適合するような及び手助けなしにユーザにより片手で無理なく保持されるような大きさとされる、任意の形状を有することができる。
【0035】
図1及び
図2の下方に示すエアロゾル発生デバイス10の第1の端部14は、便宜上、エアロゾル発生デバイス10の遠位端部、底端部、基端部、又は下側端部として説明される。
図1及び
図2の上方に示すエアロゾル発生デバイス10の第2の端部16は、エアロゾル発生デバイス10の近位端部、上端部、又は上側端部として説明される。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル発生デバイス10を、第1の端部14を下向きに及び/又はユーザの口に対して遠位位置に、且つ第2の端部16を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接位置に向ける。
【0036】
エアロゾル発生デバイス10は、本体12内に位置決めされた加熱チャンバ18を含む。加熱チャンバ18は、エアロゾル発生物品70を受け入れるための、略管状断面、例えば円筒状断面を有する空洞20の形態の内部容積を画定する。加熱チャンバ18は、長手方向を定める長手方向軸線を有する。エアロゾル発生デバイス10は、電源22、例えば充電式であり得る1つ又は複数のバッテリと、コントローラ24とをさらに含む。
【0037】
加熱チャンバ18は、エアロゾル発生デバイス10の第2の端部16に向かって開放している。換言すれば、加熱チャンバ18は、エアロゾル発生デバイス10の第2の端部16側に開放端部26を有する。加熱チャンバ18は典型的には、本体12への熱伝達を最小限に抑えるために、本体12の内面から間隔を空けて保持される。加熱チャンバ18は、典型的には、開放端部26とは反対側の閉鎖端部34を有する。
【0038】
エアロゾル発生デバイス10は、加熱チャンバ18の開放端部26を覆って加熱チャンバ18へのアクセスを防止する閉鎖位置(
図1を参照)と、加熱チャンバ18の開放端部26を露出させて加熱チャンバ18へのアクセスを提供する開放位置(
図2を参照)との間で横断方向に移動可能なスライドカバー28を任意選択的に含むことができる。いくつかの実施形態では、スライドカバー28を閉鎖位置に付勢することができる。
【0039】
加熱チャンバ18、具体的には空洞20は、対応する形状のエアロゾル発生物品70を受け入れるように配置される。例えば、この例では、加熱チャンバ18は、略円筒状又はロッド状のエアロゾル発生物品70を受け入れるように配置される。したがって、加熱チャンバ18は、管状、例えば、略円筒状である。しかしながら、当業者であれば、加熱チャンバ18の形状が変わる場合があることを認識するであろう。
【0040】
典型的には、エアロゾル発生物品70は、事前に包装されたエアロゾル発生基材72を含む。エアロゾル発生物品70は使い捨てで交換可能な物品(「消耗品」としても知られる)であり、例えば、エアロゾル発生基材72としてタバコを含み得る。エアロゾル発生物品70は、近位端部74(又は口側端部)と遠位端部76とを有する。エアロゾル発生物品70は、エアロゾル発生基材72の下流に位置決めされたマウスピースセグメント78をさらに含む。エアロゾル発生基材72及びマウスピースセグメント78は、ラッパー80(例えば、紙ラッパー)内に同軸に位置合わせされて配置され、構成要素を適所に保持して、ロッド状のエアロゾル発生物品70を形成する。
【0041】
マウスピースセグメント78は、下流方向に、換言すれば、エアロゾル発生物品70の遠位端部76から近位(口側)端部74に向けて順次に且つ同軸に位置合わせされて配置された以下の構成要素(詳細に図示せず)、すなわち冷却セグメント、中心穴セグメント、及びフィルタセグメントの1つ又は複数を含むことができる。冷却セグメントは、典型的には、ラッパー80の厚さよりも大きい厚さを有する中空紙管を含む。中心穴セグメントは、酢酸セルロース繊維及び可塑剤を含有する硬化された混合物を含み得、マウスピースセグメント78の強度を増加させるように機能する。フィルタセグメントは、典型的には、酢酸セルロース繊維を含み、マウスピースフィルタとして機能する。加熱された蒸気がエアロゾル発生基材72からエアロゾル発生物品70の近位(口側)端部74に向かって流れると、蒸気が、冷却セグメント及び中心穴セグメントを通過するときに冷却され凝縮して、フィルタセグメントを通してユーザが吸入するのに好適な特性を有するエアロゾルを形成する。
【0042】
加熱チャンバ18は、第1のケーシング部材30と、第2のケーシング部材32と、1つ又は複数の誘導加熱可能サセプタ42とを含み、これらは、協働的に係合し、加熱チャンバ18を形成して、加熱チャンバ18の内部容積を画定する。加熱チャンバ18の構成を、
図3~
図12を参照して後にさらに詳述する。
【0043】
エアロゾル発生デバイス10は、電磁場を発生させるための電磁場発生器46を含む。電磁場発生器46は、略螺旋状の誘導コイル48を含む。誘導コイル48は、円形断面を有し、略管状加熱チャンバ18の周りに螺旋状に延びる。誘導コイル48は、電源22及びコントローラ24により励磁させることができる。コントローラ24は、他の電子部品の中でもとりわけ、電源22からの直流を誘導コイル48用の交流高周波電流に変換するよう配置されるインバータを含む。
【0044】
加熱チャンバ18の外壁は、外面内に形成されたコイル支持構造50を含み得る。図示の例では、コイル支持構造50は、加熱チャンバ18の外面の周りに螺旋状に延びるコイル支持溝52を含む。誘導コイル48は、コイル支持溝52内に位置決めされるので、誘導加熱可能サセプタ42に対して確実且つ最適に位置決めされる。
【0045】
エアロゾル発生デバイス10を使用するために、ユーザは、スライドカバー28(存在する場合)を、
図1に示す閉鎖位置から
図2に示す開放位置に変位させる。その後、ユーザは、開放端部26を通してエアロゾル発生物品70を加熱チャンバ18に挿入する。エアロゾル発生基材72は空洞20内に受け入れられ、エアロゾル発生物品70の近位端部74は、ユーザの唇による係合を可能にするために、マウスピースセグメント78の少なくとも一部が開放端部26から突き出た状態で、加熱チャンバ18の開放端部26に位置決めされる。
【0046】
ユーザがエアロゾル発生デバイス10を作動させると、誘導コイル48が、誘導コイル48に交流電流を供給する電源22及びコントローラ24により励磁され、それにより、交流及び時変電磁場が誘導コイル48により生成される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタ42と結合し、サセプタ42内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を発生させ、サセプタ42を発熱させる。その後、熱は、例えば、伝導、放射、及び対流により、誘導加熱可能サセプタ42からエアロゾル発生基材72に伝達される。これにより、燃焼させる又は燃やすことなく、エアロゾル発生基材72の加熱が生じることで、蒸気を発生させる。発生した蒸気は、冷却され凝縮して、エアロゾル発生デバイス10のユーザがマウスピースセグメント78を通して、より詳細にはフィルタセグメントを通して吸入できる、エアロゾルを形成する。
【0047】
エアロゾル発生基材72の気化は、例えば加熱チャンバ18の開放端部26を通る、周囲環境からの空気の追加によって促され、空気流の空気は、エアロゾル発生物品70のラッパー80と加熱チャンバ18の内面36との間を流れるときに加熱される。より詳細には、ユーザがフィルタセグメントを通じて吸引すると、
図2に矢印Aで示すように、開放端部26を通して空気が加熱チャンバ18内に引き込まれる。加熱チャンバ18に流入した空気は、加熱チャンバ18の開放端部26から閉鎖端部34に向かって、エアロゾル発生基材72と加熱チャンバ18の内面36との間を流れる。
【0048】
空気は、加熱チャンバ18の閉鎖端部34に到達すると、約180°向きを変えて、エアロゾル発生物品70の遠位端部76に流入する。次いで、空気は、生成された蒸気と共に遠位端部76から近位(口側)端部74に向けて、
図2に矢印Bで示すように、エアロゾル発生物品70を通して引き出される。
【0049】
ユーザは、エアロゾル発生基材72が蒸気を生成し続けることができる間は常に、例えば、好適な蒸気に気化させるための気化可能な成分がエアロゾル発生基材72に残っている間は常に、エアロゾルを吸入し続けることができる。コントローラ24は、誘導加熱可能サセプタ42の温度、ひいてはエアロゾル発生基材72の温度が閾値レベルを超えないことを確実にするために、誘導コイル48に流れる交流電流の大きさを調整し得る。具体的には、エアロゾル発生基材72の構成に依存する特定の温度において、エアロゾル発生基材72は燃え始めることになる。これは望ましい効果ではなく、この温度以上の温度は回避される。
【0050】
次に、
図3A~
図12Bを参照して、加熱チャンバ18の多数の好ましい実施形態を説明する。
【0051】
図3A~
図3Bは、本発明の実施形態による加熱チャンバ318の様々な図を示す。
図3Aは、加熱チャンバ318の斜視図であり、
図3Bは、加熱チャンバ318の開放端部326を見下ろした図であり、
図3Cは、加熱チャンバ318の分解図である。
【0052】
加熱チャンバ318は、第1のケーシング部材330と、第2のケーシング部材332と、複数の誘導加熱可能サセプタ342とを含む。第1のケーシング部材330、第2のケーシング部材332、及び複数の誘導加熱可能サセプタ342は、協働的に係合し、加熱チャンバ318を形成する。特に、複数の誘導加熱可能サセプタ342は、第1のケーシング部材330を第2の部材332に固定するように配置される。
【0053】
第1のケーシング部材330は、管状、例えば略円筒状であり、複数のスロット364を含むスロット付き構成を有する第1の長手方向端部360を有する。第1のケーシング部材330は、第1の長手方向端部360とは反対側の開放端部326を有し、この開放端部326を通して、エアロゾル発生物品70が受け入れられ得る。第2のケーシング部材332もまた、管状、例えば略円筒状であり、複数のスロット364を含むスロット付き構成を有する第2の長手方向端部362を有する。第2のケーシング部材332は、第2の長手方向端部362とは反対側の閉鎖端部334を有する。第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332は、長手方向に同軸に位置合わせされる。
【0054】
第1のケーシング部材330の第1の長手方向端部360のスロット付き構成及び第2のケーシング部材332の第2の長手方向端部362のスロット付き構成は、第1のケーシング部材330と第2のケーシング部材332とが互いに対して回り止めされるように、第1のケーシング部材330の第1の長手方向端部360と第2のケーシング部材332の第2の長手方向端部362とが実質的に係合するように配置される。換言すれば、第1のケーシング部材330の第1の長手方向端部360及び第2のケーシング部材332の第2の長手方向端部362は、これらのスロット付き構成により互いに噛み合って一体型の管状本体を形成するように構成される。
【0055】
各誘導加熱可能サセプタ342は、加熱チャンバ318の長手方向、すなわち、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332の長手方向に平行な方向に延びるロッドとして形成される。誘導加熱可能サセプタ342は、加熱チャンバ318の外周に間隔をおいて配置され、加熱チャンバ318の壁内に組み込まれ、すなわち、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332の壁内に組み込まれる。特に、誘導加熱可能サセプタ342はそれぞれ、第1のケーシング部材330の第1の長手方向端部360のスロット付き構成と第2のケーシング部材332の第2の長手方向端部362のスロット付き構成との間に形成された長手方向境界に沿って位置する。このように、誘導加熱可能サセプタ342は、第1のケーシング部材330を第2のケーシング部材332に結合する固定要素として機能する一方で、加熱チャンバ318内に受け入れられたエアロゾル発生基材72を加熱するように最適にも位置する。
【0056】
各誘導加熱可能サセプタ342は、加熱チャンバ318の径方向に加熱チャンバ318内に突出する内方に延びる部分344を含む。特に、内方に延びる各部分344は、それぞれの誘導加熱可能サセプタ342上に細長い隆起部を形成し、この細長い隆起部は、加熱チャンバ318の内部容積内に突出する。この例では、内方に延びる各部分344は、それぞれの誘導加熱可能サセプタ342の全長にわたって存在する。しかしながら、当業者であれば、他の実施形態では、内方に延びる部分344が誘導加熱可能サセプタ342の各々の長さの一部のみに沿って存在し得ることを認識するであろう。内方に延びる部分344により、加熱チャンバ318の断面積が減少する。すなわち、内方に延びる部分344は、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332の内壁から離れる方向に、加熱チャンバ318の内方に延びる。有利には、内方に延びる部分344は、加熱チャンバ318内に受け入れられたエアロゾル発生基材72との摩擦嵌めを形成し、それにより、エアロゾル発生基材72に圧縮力を加え得る。エアロゾル発生基材72を圧縮することにより、エアロゾル発生基材72に熱をより効率的に伝達することができ、エネルギー効率を最大化すると同時に、より迅速な加熱を達成することができる。
【0057】
各誘導加熱可能サセプタ342はまた、外方に延びる部分345を含む。外方に延びる部分345は、誘導加熱可能サセプタ342のそれぞれのロッドの長さに沿って延在し、それにより、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332から離れる方向に径方向外方に突出する細長い隆起部を形成する。外方に延びる部分345及び内方に延びる部分344は、誘導加熱可能サセプタ342の長さの両側に沿って延びる切り欠き343を画定する。第1のケーシング部材330及び第2の部材332のスロット付き構成の長手方向境界は、誘導加熱可能サセプタ342の両側のそれぞれの切り欠き343内に位置する。このように、外方に延びる部分345と内方に延びる部分344との組み合わせによりもたらされる拘束は、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332が誘導加熱可能サセプタ342のそれぞれの切り欠き343内に保持されることを確実にし、それにより、第1のケーシング部材330を第2のケーシング部材332に固定する。
【0058】
第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332は、実質的に非導電性且つ非透磁性の材料を含み得る。例えば、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの、耐熱性プラスチック材料を含み得る。第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332自体は、エアロゾル発生デバイス10の動作中に誘導コイル48(図示せず)により加熱されず、誘導加熱可能サセプタ342へのエネルギー入力が最大化されることを確実にする。そして、このことは、デバイス10のエネルギー効率が最大化されることを確実にするのに役立つ。デバイスはまた、触れると冷たいままであり、ユーザの快適性が最大化されることを確実にする。
【0059】
誘導加熱可能サセプタ342は、誘導加熱されるのに好適な金属を含む。金属は、典型的には、ステンレス鋼及び炭素鋼からなる群から選択される。しかしながら、誘導加熱可能サセプタ342は、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、炭素鋼、及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅の1種以上を含むが、これらに限定されない任意の好適な材料を含むことができる。サセプタの付近に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされることに起因して、各誘導加熱可能サセプタ342が熱を発生させる。このように、加熱チャンバ318内に受け入れられたエアロゾル発生基材72は、エアロゾルを生成するために、誘導加熱可能サセプタ342により加熱され得る。
【0060】
当業者であれば、これらの材料特性が、本明細書で説明する加熱チャンバの他の実施形態に等しく適用されることを認識するであろう。
【0061】
図示の実施形態では、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332は各々、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332の外周にそれぞれ等間隔に配置された2つのスロット364を含む。結果として、加熱チャンバ318は、第1のケーシング部材330の第1の長手方向端部360と第2のケーシング部材332の第2の長手方向端部362との間の長手方向境界に対応する、加熱チャンバ318の外周に等間隔に配置された4つの誘導加熱可能サセプタ342を含む。しかしながら、当業者であれば、スロット364の数、ひいては誘導加熱可能サセプタ342の数が変わる場合があることを認識するであろう。
【0062】
また、当業者であれば、
図1及び
図2を参照して説明したように、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング部材332の外面が、誘導コイル48を支持するか又は受け入れるように構成され得ることを認識するであろう。
【0063】
図4A~
図4Bは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ418の様々な図を示す。
図4Aは、加熱チャンバ418の斜視図であり、
図4Bは、加熱チャンバ418の開放端部426を見下ろした図であり、
図4Cは、加熱チャンバ418の分解図である。
【0064】
ここでもまた、加熱チャンバ418は、第1のケーシング部材430と、第2のケーシング部材432と、複数の誘導加熱可能サセプタ442とを含む。第1のケーシング部材430、第2のケーシング部材432、及び複数の誘導加熱可能サセプタ442は、協働的に係合し、第1のケーシング部材430を第2のケーシング部材432に固定するために配置される複数の誘導加熱可能サセプタ442により加熱チャンバ418を形成する。
【0065】
第1のケーシング部材430は、管状、例えば略円筒状であり、複数のスロット464を含むスロット付き構成を有する第1の長手方向端部460を有する。第1のケーシング部材430は、第1の長手方向端部460とは反対側の開放端部426を有する。第2のケーシング部材432もまた、管状、例えば略円筒状であり、複数のスロット464を含むスロット付き構成を有する第2の長手方向端部462を有する。第2のケーシング部材432は、第2の長手方向端部362とは反対側の閉鎖端部434を有する。
【0066】
しかしながら、この実施形態では、第1のケーシング部材430及び第2のケーシング部材432のスロット付き構成は、直接連結するようには構成されない。代わりに、第1のケーシング部材430及び第2のケーシング部材432は、第1のケーシング部材430の第1の長手方向端部460のスロット464が、第2のケーシング部材432の第2の長手方向端部462のそれぞれのスロット464と位置合わせされるように、第1のケーシング部材430の第1の長手方向端部460が第2のケーシング部材432の第2の長手方向端部462に隣接した状態で同軸に位置合わせされる。誘導加熱可能サセプタ442は、各対の位置合わせされたスロット464内に位置する細長いロッドである。すなわち、誘導加熱可能サセプタ442は、第1のケーシング部材430及び第2のケーシング部材432の対応するスロット464の間に延び、それにより、第1のケーシング部材430を第2のケーシング部材432に固定する。
【0067】
特に、誘導加熱可能サセプタ442は、各誘導加熱可能サセプタ442の内方に延びる部分444と外方に延びる部分445との間に画定されたそれぞれの切り欠き443により、それぞれのスロット443内に確実に着座する。すなわち、内方に延びる部分444により課される拘束により、誘導加熱可能サセプタ442が径方向外方に移動することが防止され、これに対して、外方に延びる部分445により課される拘束により、誘導加熱可能サセプタ442が径方向内方に移動することが防止される。
【0068】
図示の実施形態では、第1のケーシング部材430及び第2のケーシング部材432は各々、第1のケーシング部材430及び第2のケーシング部材432の外周にそれぞれ等間隔に配置された4つのスロット464を含む。結果として、加熱チャンバ318は、加熱チャンバ318の外周に等間隔に配置され、各対の位置合わせされたスロット464内に位置する4つの誘導加熱可能サセプタ442を含む。しかしながら、当業者であれば、スロット464の数、及び誘導加熱可能サセプタ442の対応する数が変わる場合があることを認識するであろう。
【0069】
当業者であれば、
図3A~
図3Cの誘導加熱可能サセプタ342、第1のケーシング部材330、及び第2のケーシング部材332の構成の他の態様が、
図4A~
図4Cの誘導加熱可能サセプタ442、第1のケーシング部材430、及び第2のケーシング部材432に等しく適用されることを認識するであろう。例えば、誘導加熱可能サセプタ442は、内方に延びる部分344に対応する内方に延びる部分444を含む。
【0070】
図5A~
図5Cは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ518の様々な図を示す。
図5Aは、加熱チャンバ518の斜視図であり、
図5Bは、加熱チャンバ518の開放端部526を見下ろした図であり、
図5Cは、加熱チャンバ518の分解図である。
【0071】
加熱チャンバ518は、第1のケーシング部材530と、第2のケーシング部材532と、複数の誘導加熱可能サセプタ542とを含む。第1のケーシング部材530、第2のケーシング部材532、及び複数の誘導加熱可能サセプタ542は、協働的に係合し、加熱チャンバ518を形成する。特に、複数の誘導加熱可能サセプタ542は、第1のケーシング部材530を第2の部材532に締結するように配置される。
【0072】
第1のケーシング部材530及び第2のケーシング部材532は、それらの長手方向縁部に沿って係合して、管状本体、例えば円筒体を形成するように配置される。具体的には、図示の実施形態では、第1のケーシング部材530及び第2のケーシング部材532は、管状半部の長さに沿って互いに接合して加熱チャンバ518を形成する、管状半部として形成される。しかしながら、当業者であれば、ケーシング部材の数及び形状が変えられ得ることを認識するであろう。
【0073】
各誘導加熱可能サセプタ542は、第1のケーシング部材530を第2のケーシング部材532に結合するために、第1のケーシング部材530及び第2のケーシング部材532の外側の一部の周りに延びる湾曲板として形成される。特に、誘導加熱可能サセプタ542の各板は、それぞれ第1のケーシング部材530及び第2のケーシング部材532に入り込み(及びこれらを貫通し)、それにより、第1のケーシング部材530を第2のケーシング部材532に締結する、内方に延びる2つの部分544を含む。内方に延びる部分544は、加熱チャンバ518の長手方向に平行に延在して、誘導加熱可能サセプタ542の板の対向縁部における、板の内(すなわち凹面)側に位置する。
【0074】
第1のケーシング部材530及び第2のケーシング部材532は、内方に延びる部分544を受け入れるように構成された細長いスロット564を含む。具体的には、細長いスロット564は、第1のケーシング部材530及び第2のケーシング部材532のそれぞれの長手方向縁部に隣接して平行に位置し、それにより、第1のケーシング部材530と第2のケーシング部材532との間の長手方向接合境界の両側に位置する対応するスロット564を提供する。このように、各誘導加熱可能サセプタ542は、対応するスロット564の各対の間に、すなわち、第1のケーシング部材530と第2のケーシング部材532との間に延びて、第1のケーシング部材530を第2のケーシング部材532に確実に固定し、加熱チャンバ518を形成する。内方に延びる部分544は、それぞれの細長いスロット564内にスナップ嵌めを形成するものとして説明され得る。
【0075】
有利には、各誘導加熱可能サセプタ542は、加熱チャンバ518の外側の周りに延びる板として形成されるので、誘導加熱され得る各誘導加熱可能サセプタ542の質量が増加する。特に、誘導加熱可能サセプタ542は、誘導加熱可能サセプタ542がより多くの誘導熱を得ることができるように、取り囲む誘導コイル48により近接するより大きな質量を有する。加熱チャンバ518の外側の周りに延びる誘導加熱可能サセプタ542の板の一部は、外方に延びる部分545と呼ばれることがある。
【0076】
図6A及び
図6Bは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ618の異なる図を示す。
図6Aは、加熱チャンバ618の斜視図であり、
図6Bは、加熱チャンバ618の分解図である。
【0077】
加熱チャンバ618の構成は、
図4A~
図4Cを参照して説明した加熱チャンバ418に実質的に対応する。しかしながら、加熱チャンバ618は、第1のケーシング部材630の第1の長手方向端部660と第2のケーシング部材662の第2の長手方向端部662との間に配置された誘導加熱可能サセプタのリング640をさらに含む。具体的には、誘導加熱可能サセプタのリング640は、第1のケーシング部材630と第2のケーシング部材632との間で(且つ第1のケーシング部材630及び第2のケーシング部材632と)同軸に位置合わせされる。
【0078】
図示の実施形態では、誘導加熱可能サセプタ642の複数のロッド及び誘導加熱可能サセプタのリング640は、第1のケーシング部材630を第2のケーシング部材632に固定し、加熱チャンバ618内に受け入れられたエアロゾル発生基材72に集中加熱を提供するように構成された単一の(例えば一体型の)構成要素として形成される。しかしながら、当業者であれば、誘導加熱可能サセプタ642の複数のロッドと誘導加熱可能サセプタのリング640とが別個の構成要素として形成され得ることを認識するであろう。
【0079】
誘導加熱可能サセプタ642の複数のロッド及び誘導加熱可能サセプタのリング640が統合ユニットとして形成されている場合、当業者であれば、第1のケーシング部材630及び第2のケーシング部材632におけるそれぞれのスロット646が、もはや位置合わせされる必要はなく、むしろ正しく位置合わせされなくてもよいことを認識するであろう。
【0080】
図7A~
図7Cは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ718の様々な図を示す。
図7Aは、加熱チャンバ718の斜視図であり、
図7Bは、加熱チャンバ718の開放端部726を見下ろした図であり、
図7Cは、加熱チャンバ718の分解図である。
【0081】
加熱チャンバ718は、第1のケーシング部材730と、第2のケーシング部材732と、複数の誘導加熱可能サセプタ742とを含む。第1のケーシング部材730及び第2のケーシング732の構成は、
図3A~
図3Bを参照して説明した第1のケーシング部材330及び第2のケーシング332の構成に実質的に対応する。しかしながら、この実施形態では、第1のケーシング部材330及び第2のケーシング332のスロット付き構成は、直接係合して連結するようには配置されない。代わりに、第1のケーシング部材730の第1の長手方向端部760におけるスロット764は、第2のケーシング部材732の第2の長手方向端部762におけるそれぞれのスロット764と位置合わせされる。誘導加熱可能サセプタ742は、各対の位置合わせされたスロット764内にそれぞれ位置する湾曲板として形成される。換言すれば、各誘導加熱可能サセプタ742は、第1のケーシング部材730の第1の長手方向端部760及び第2のケーシング部材732の第2の長手方向端部762の位置合わせされたスロットの間に形成された隙間内に位置する。このように、誘導加熱可能サセプタ742は、第1のケーシング部材730を第2のケーシング部材732に固定するために、第1のケーシング部材730の第1の長手方向端部760(のスロット764)と第2のケーシング部材732の第2の長手方向端部762(のスロット764)との間に延びる。誘導加熱可能サセプタ742は、加熱チャンバ718の壁内に組み込まれ、すなわち、誘導加熱可能サセプタ742は、加熱チャンバ718の壁の一部を形成する。有利には、この配置は、加熱チャンバ718内に受け入れられたエアロゾル発生基材を加熱するための大きな表面積を提供する一方で、コンパクト且つ安全な加熱チャンバ718を提供する。
【0082】
誘導加熱可能サセプタ742の板は、内方に延びる1つ又は複数の部分744を含む。特に、各誘導加熱可能サセプタ742は、加熱チャンバ718の長手方向に平行に延在して、誘導加熱可能サセプタ742の板の対向縁部における、板の内(すなわち凹)面に配置された、内方に延びる2つの部分744を含む。前述したように、内方に延びる部分744は、加熱チャンバ718の減少した断面積をもたらし、それにより、加熱チャンバ718内に受け入れられたエアロゾル発生基材72に圧縮力を加える。
【0083】
誘導加熱可能サセプタ742の板は、それぞれの位置合わせされたスロット764内にスナップ嵌めを形成し、それにより、第1のケーシング部材730を第2のケーシング部材732に確実に固定する。特に、内方に延びる各部分744は、第1のケーシング部材730及び第2のケーシング部材732のスロット付き構成のそれぞれの長手方向境界に沿ってスナップ嵌めを形成するフック部分(片持ち梁とも呼ばれる)を含む。
【0084】
図示の実施形態では、第1のケーシング部材730及び第2のケーシング部材732は各々、第1のケーシング部材730及び第2のケーシング部材732の外周にそれぞれ等間隔に配置された2つのスロット764を含む。結果として、加熱チャンバ718は、加熱チャンバ718の外周に等間隔に配置され、各対の位置合わせされたスロット764内に位置する2つの誘導加熱可能サセプタ742を含む。しかしながら、当業者であれば、スロット764の数、及び誘導加熱可能サセプタ742の対応する数が変わる場合があることを認識するであろう。
【0085】
図8A~
図8Cは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ818の様々な図を示す。
図8Aは、加熱チャンバ818の斜視図であり、
図8Bは、加熱チャンバ818の開放端部826を見下ろした図であり、
図8Cは、加熱チャンバ818の分解図である。
【0086】
加熱チャンバ818は、第1のケーシング部材830と、第2のケーシング部材832と、複数の誘導加熱可能サセプタ842とを含む。第1のケーシング部材830及び誘導加熱可能サセプタ842の構成は、
図7A~
図7Bを参照して説明した第1のケーシング部材730及び誘導加熱可能サセプタ742の構成に実質的に対応する。しかしながら、この実施形態では、第2のケーシング部材832は、スロット付き構成を有しない、すなわち、第2のケーシング部材832の第2の長手方向端部862にはスロットがない。代わりに、第2のケーシング部材832は、完全円筒状の管として形成される。
【0087】
誘導加熱可能サセプタ842の湾曲板は、第1のケーシング部材830の第1の長手方向端部860のそれぞれのスロット864内に完全に位置する。すなわち、誘導加熱可能サセプタ842は、スロット864に対応する位置において第1のケーシング部材830の壁内に組み込まれる。誘導加熱可能サセプタ842は、第2のケーシング部材832内に延びていない。
【0088】
誘導加熱可能サセプタ842の各板は、それぞれのスロット864内にスナップ嵌めを形成する。特に、内方に延びる各部分844は、第1のケーシング部材830のスロット付き構成のそれぞれの長手方向境界に沿ってスナップ嵌めを形成するフック部分(片持ち梁とも呼ばれる)を含む。
【0089】
第2のケーシング部材832の第2の長手方向端部862は、第2のケーシング部材832の第2の長手方向端部862が第1のケーシング部材830の第1の長手方向端部860及び各誘導加熱可能サセプタ842の長手方向端部との境界を形成するように、第1のケーシング部材830の第1の長手方向端部860と同軸に位置合わせされる。第2のケーシング部材832の第2の長手方向端部862は、ねじ、ボルト、又は接着剤などの、任意の好適な固定機構を使用して、第1のケーシング部材830の第1の長手方向端部860と誘導加熱可能サセプタ842とに接合され得る。
【0090】
図9A~
図9Cは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ918の様々な図を示す。
図9Aは、加熱チャンバ918の斜視図であり、
図9Bは、加熱チャンバ918の開放端部926を見下ろした図であり、
図9Cは、加熱チャンバ918の分解図である。
【0091】
加熱チャンバ918は、第1のケーシング部材930と、第2のケーシング部材932と、複数の誘導加熱可能サセプタ942とを含む。第1のケーシング部材930及び第2のケーシング932の構成は、
図3A~
図3Bを参照して説明した第1のケーシング部材330及び第2のケーシング332の構成に実質的に対応する。すなわち、第1のケーシング部材930の第1の長手方向端部960及び第2のケーシング部材932の第2の長手方向端部962は、第1のケーシング部材930と第2のケーシング部材932とが互いに対して回り止めされるように、第1のケーシング部材930の第1の長手方向端部960が第2のケーシング部材932の第2の長手方向端部962と実質的に係合するような、相補的なスロット付き構成を有する。
【0092】
しかしながら、この実施形態では、誘導加熱可能サセプタ942は、板がそれぞれ第1のケーシング部材930及び第2のケーシング部材932の外側の一部の周りに延びるように配置される、湾曲板又は「C」字形板として形成される。特に、各誘導加熱可能サセプタ942は、第1のケーシング部材930の第1の長手方向端部960のスロット付き構成と第2のケーシング部材932の第2の長手方向端部962のスロット付き構成との間に形成された長手方向境界内にそれぞれ位置する(とともに長手方向境界を貫通して延びる)内方に延びる部分944を含む。このように、誘導加熱可能サセプタ942は、第1のケーシング部材930を第2のケーシング部材932に結合する固定要素として機能する。
【0093】
具体的には、誘導加熱可能サセプタ942の各板は、加熱チャンバ918の長手方向軸線に平行な方向に延在して、誘導加熱可能サセプタ542の板の対向縁部における、板の内(すなわち凹面)側に位置する、内方に延びる2つの部分944を含む。断面図では、内方に延びる部分944が、誘導加熱可能サセプタ942の「C」字形板の先端に対応していることが分かる。各誘導加熱可能サセプタ942は、各アームがそれぞれの内方に延びる部分944を含む、2つのアームを有するものとして説明され得る。
【0094】
加熱チャンバ921の外側の周りに延びる誘導加熱可能サセプタ942の板の部分は、外方に延びる部分945として説明され得る。すなわち、外方に延びる部分945は、第1のケーシング部材930及び第2のケーシング部材932の壁から外方にずらされている。有利には、これにより、取り囲む誘導コイル48に近接して位置するより大きな質量の誘導加熱可能サセプタ945が設けられ、それにより、誘導加熱される誘導加熱可能サセプタ945の能力を増大させる。
【0095】
内方に延びる部分944及び外方に延びる部分945は各々、誘導加熱可能サセプタ942の各アームの両側に沿って延びる切り欠き943を画定するように構成される。第1のケーシング部材930及び第2の部材932のスロット付き構成の長手方向境界は、誘導加熱可能サセプタ942の各アームの両側のそれぞれの切り欠き943内に位置する。このように、外方に延びる部分945と内方に延びる部分944との組み合わせによりもたらされる拘束は、第1のケーシング部材930及び第2のケーシング部材932が誘導加熱可能サセプタ942のそれぞれの切り欠き943内に保持されることを確実にし、それにより、第1のケーシング部材930を第2のケーシング部材932に固定する。
【0096】
図示の実施形態では、誘導加熱可能サセプタ942の板、特に外方に延びる部分945は、加熱チャンバ918の外側の周りに第1のケーシング部材930及び第2のケーシング部材932の壁から離れる方向にずらされている。すなわち、外方に延びる部分945と、第1のケーシング部材930及び第2のケーシング部材932の外面との間に空隙が存在する。しかしながら、当業者であれば、代替的な実施形態では、誘導加熱可能サセプタ942の板が、第1のケーシング部材930及び第2のケーシング部材932のそれぞれの外面と直接境界を接し、すなわち同一平面上に位置し得ることを認識するであろう。
【0097】
図10A~
図10Dは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ1018の様々な図を示す。
図10Aは、加熱チャンバ1018の斜視図であり、
図10Bは、第2のケーシング部材1032の第2の長手方向端部1062を見下ろした図であり、
図10Cは、加熱チャンバ1018の開放端部1026を見下ろした図であり、
図10Dは、加熱チャンバ1018の分解図である。
【0098】
加熱チャンバ1018は、第1のケーシング部材1030と、第2のケーシング部材1032と、複数の誘導加熱可能サセプタ1042とを含む。第1のケーシング部材1030及び誘導加熱可能サセプタ1042の構成は、
図4A~
図4Bを参照して説明した第1のケーシング部材430及び誘導加熱可能サセプタ442の構成に実質的に対応する。しかしながら、この実施形態では、第1のケーシング部材1032は、スロット付き構成を有しない、すなわち、第1のケーシング部材1030の第1の長手方向端部1060にはスロットがない。代わりに、第1のケーシング部材1032は、完全円筒状の管として形成される。
【0099】
誘導加熱可能サセプタ1042の細長いロッドは、第2のケーシング部材1032の第2の長手方向端部1062のそれぞれのスロット1064内に完全に位置する。すなわち、誘導加熱可能サセプタ1042は、スロット1064に対応する位置において第2のケーシング部材1032の壁内に組み込まれる。誘導加熱可能サセプタ1042は、第1のケーシング部材1030内に延びていない。
【0100】
第1のケーシング部材1030の第1の長手方向端部1060は、第1のケーシング部材1030の第1の長手方向端部1060が第2のケーシング部材1032の第2の長手方向端部1062及び誘導加熱可能サセプタ1042の各ロッドの長手方向端部との境界を形成するように、第2のケーシング部材1032の第2の長手方向端部1062と同軸に位置合わせされる。第1のケーシング部材1030の第1の長手方向端部1060は、ねじ、ボルト、又は接着剤などの、任意の好適な固定機構を使用して、第2のケーシング部材1032の第2の長手方向端部1062と誘導加熱可能サセプタ1042とに接合され得る。
【0101】
加えて、この実施形態では、各誘導加熱可能サセプタ1042は、外方に延びる部分1045を含む。外方に延びる部分1045は、誘導加熱可能サセプタ1042のそれぞれのロッドの長さに沿って延在し、それにより、第1のケーシング部材1030及び第2のケーシング部材1032から離れる方向に径方向に突出する細長い隆起部を形成する。このように、より大きな質量の誘導加熱可能サセプタ1045が、取り囲む誘導コイル48に近接して設けられ、それにより、誘導加熱される誘導加熱可能サセプタ1045の能力を増大させる。
【0102】
また、当業者であれば、誘導加熱可能サセプタ1042が、各誘導加熱可能サセプタ1042の内方に延びる部分1044と外方に延びる部分1045との間に画定されたそれぞれの切り欠き1043により、それぞれのスロット1043内に確実に着座することを認識するであろう。すなわち、内方に延びる部分1044により課される拘束により、誘導加熱可能サセプタ1042が径方向外方に移動することが防止され、これに対して、外方に延びる部分1045により課される拘束により、誘導加熱可能サセプタ1042が径方向内方に移動することが防止される。
【0103】
図11は、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ1118の斜視図である。加熱チャンバ1118は、第1のケーシング部材1130と、第2のケーシング部材1132と、複数の誘導加熱可能サセプタ1142とを含む。
【0104】
第1のケーシング部材1130は、管状であり、第1のケーシング部材1130の第1の長手方向端部1160の周りに周方向に間隔をおいて配置された複数のスロット1164を含む。同様に、第2のケーシング部材1130は、管状であり、第2のケーシング部材1132の第2の長手方向端部1162の周りに周方向に間隔をおいて配置された複数のスロット1164を含む。複数の誘導加熱可能サセプタ1142は、加熱チャンバ1188の長手方向に平行な方向に延びる細長いロッドとして形成される。具体的には、誘導加熱可能サセプタ1142は、略円筒状ロッドであるが、当業者であれば、誘導加熱可能サセプタ1142の形状が変わる場合があることを認識するであろう。
【0105】
第1のケーシング部材1130及び第2のケーシング部材1132は、同軸に位置合わせされるが、空間的に分離される。特に、第1のケーシング部材1130の第1の長手方向端部1160におけるスロット1164は、第2のケーシング部材1132の第2の長手方向端部1162におけるスロット1164と位置合わせされ、複数の誘導加熱可能サセプタ1142は、位置合わせされたスロット1164の間に延びる。誘導加熱可能サセプタ1142の対向する端部は、対向するスロット1164内に位置する。このように、誘導加熱可能サセプタ1142のロッド間に複数の空隙が設けられ、それにより、加熱チャンバ1188の内部への空気流を増加させることが可能となる。
【0106】
この実施形態では、スロット1164は、誘導加熱可能サセプタ1142の各ロッドの端部の全周に拘束をもたらす円筒状空洞として形成されるので、ソケットと呼ばれることがある。誘導加熱可能サセプタ1142は、それぞれのスロット1164に取り外し可能に挿入され得る。すなわち、誘導加熱可能サセプタ1142は、誘導加熱可能サセプタ1142のロッドを長手方向にスロット1164の内外に摺動させることにより、第1のケーシング部材1130及び第2のケーシング部材1132から着脱可能である。このように、誘導加熱可能サセプタ1142は、加熱チャンバ1118の寿命中に、取り外され及び/又は交換され得る。
【0107】
図12A及び
図12Bは、本発明の別の実施形態による加熱チャンバ1218の異なる図を示す。
図12Aは、加熱チャンバ1218の斜視図であり、
図12Bは、説明の目的で第2のケーシング部材1232と1つの誘導加熱可能サセプタ1242とのみを示す加熱チャンバ1218の斜視図である。
【0108】
加熱チャンバ1218は、第1のケーシング部材1230と、第2のケーシング部材1232と、複数の誘導加熱可能サセプタ1242とを含む。このような構成要素は、
図11を参照して説明した加熱チャンバ1118の構成に実質的に対応する構成を有する。しかしながら、この実施形態では、スロット1264は、第1のケーシング部材1230の第1の長手方向端部1260及び第2のケーシング部材1232の第2の長手方向端部1262の内周面における窪みとして形成される。窪みは、窪みに径方向外方に押し込まれて摩擦嵌めを形成し得る、相補形状の誘導加熱可能サセプタ1242を受け入れるように構成される。同様に、誘導加熱可能サセプタ1242は、径方向内方に加えられる力により窪みから取り出され得る。これは、「クリックイン/クリックアウト」機構と呼ばれることがある。誘導加熱可能サセプタ1242もまた、
図11を参照して説明した実施形態と同様に、第1のケーシング部材1230及び第2のケーシング部材1232の長手方向にスロット1264の内外に摺動させ得る。
【0109】
このように、誘導加熱可能サセプタ1242は、第1のケーシング部材1230及び第2のケーシング部材1232から着脱可能である。当業者であれば、他の実施形態の加熱チャンバも、誘導加熱可能サセプタが第1のケーシング部材及び/又は第2のケーシング部材から着脱可能であるように構成され得ることを認識するであろう。
【国際調査報告】