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特表2024-504693横方向電界効果トランジスタ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】横方向電界効果トランジスタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240125BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544225
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2022118904
(87)【国際公開番号】W WO2023124246
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111629255.0
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523274056
【氏名又は名称】湖南三安半導体有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 文必
(72)【発明者】
【氏名】劉 成
(72)【発明者】
【氏名】徐 寧
(72)【発明者】
【氏名】叶 念慈
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GK04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GR12
5F102GS04
5F102GT03
5F102GV05
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
(57)【要約】
本出願は半導体技術分野に関連する横方向電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供し、横方向電界効果トランジスタの非ソース領域内に配置されるゲート電極溶接パッド及びソース電極溶接パッドはそれぞれデバイス機能層の第1の表面から基板の表面まで延伸し、この中で、ゲート電極溶接パッド自身はデバイス機能層及び基板からそれぞれ絶縁隔離され、ソース電極溶接パッドは基板とショート接続し、これによりゲート電極溶接パッドは基板とショート接続するソース電極溶接パッドとコンデンサ構造を形成することで、ゲート電極溶接パッドとソース電極溶接パッドとの間に形成されるデバイスのゲートソース電気容量Cを増大させることができ、そして生成される振動を効果的に緩和し、パワーデバイスの消耗を抑えて横方向電界効果トランジスタの誤った起動を回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に配置されると共に、前記基板から離れた第1の表面を有するデバイス機能層と、を有する横方向電界効果トランジスタであって、
前記横方向電界効果トランジスタにはソース領域と非ソース領域が配置されており、前記非ソース領域にゲート電極溶接パッドが配置されており、前記ゲート電極溶接パッドは前記第1の表面から前記基板の表面まで延伸し、前記ゲート電極溶接パッドは前記基板及び前記デバイス機能層と絶縁されていて、前記非ソース領域にソース電極溶接パッドが配置されており、前記ソース電極溶接パッドは前記第1の表面から前記基板の表面まで延伸していることを特徴とする横方向電界効果トランジスタ。
【請求項2】
前記横方向電界効果トランジスタは更に、前記第1の表面から前記基板の表面まで延伸する第1の槽と、誘電体層と、前記第1の表面から前記基板の表面まで延伸する第2の槽とを有し、
前記ゲート電極溶接パッドは第1の部分と第2の部分とにより構成され、前記ゲート電極溶接パッドの第1の部分は前記第1の槽の周縁の第1の表面に位置し、前記ゲート電極溶接パッドの第2の部分は前記第1の槽内に充填されており、
前記誘電体層は第1の部分と第2の部分とにより構成され、前記誘電体層の第1の部分は前記第1の槽の周壁及び底壁に配置され、前記誘電体層の第2の部分は前記第1の表面に配置されており、
前記ソース電極溶接パッドは第1の部分と第2の部分とにより構成され、前記ソース電極溶接パッドの第1の部分は前記第2の槽の周縁の第1の表面に位置し、前記ソース電極溶接パッドの第2の部分は前記第2の槽の第2の部分を充填することを特徴とする請求項1に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項3】
前記非ソース領域は前記ソース領域の一側に配置される第1の側部を有し、前記第1の槽と前記第2の槽はいずれも前記第1の側部に位置することを特徴とする請求項2に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項4】
前記横方向電界効果トランジスタは、更に、前記ソース領域に配置されるゲート電極とソース電極とドレイン電極とを有し、前記ゲート電極溶接パッドは前記ゲート電極に接続し、前記ソース電極溶接パッドは前記ソース電極に接続し、前記横方向電界効果トランジスタが前記ゲート電極溶接パッドがゲート電極駆動回路と直列接続するように配置される際、前記ゲート電極及びゲート電極溶接パッドが前記ゲート電極駆動回路と接続して形成する回路構造の電気抵抗はRであり、前記ゲート電極及びゲート電極溶接パッドが前記ゲート電極駆動回路と接続して形成する回路構造の寄生インダクタンスはLであり、前記横方向電界効果トランジスタはゲートソース電気容量Cを有し、この中で、
【数1】
であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項5】
前記ソース電極溶接パッドは接地するように配置されることができ、前記ドレイン電極は電源に接続するように配置されることができることを特徴とする請求項4に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項6】
前記横方向電界効果トランジスタはHEMTデバイスであり、前記デバイス機能層は前記基板に形成される複数の活性半導体層を有し、この中で、前記複数の活性半導体層のうちの少なくとも2つの間にある異質境界面の箇所に、2次元エレクトロンガスを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項7】
前記活性半導体層の材料はIII-V族化合物であることを特徴とする請求項6に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項8】
前記誘電体層の厚さは5nmより大であり、且つ/もしくは、前記誘電体層はSiO、Si、Alの中のいずれか1種であり、あるいは、前記誘電体層はSiとAlとの積層であることを特徴とする請求項2に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記第1の槽の深さはデバイス機能層の厚さより大であり、且つ/もしくは、前記第2の槽の深さはデバイス機能層の厚さより大である
ことを特徴とする請求項2に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記ソース電極溶接パッドの材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の数種類の合金であり、且つ/もしくは、前記ゲート電極溶接パッドの材料はニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の1種であり、あるいは、ニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の数種類の合金であり、もしくはケイ化白金であることを特徴とする請求項1に記載の横方向電界効果トランジスタ。
【請求項11】
以下の手順を含む横方向電界効果トランジスタの作成方法であって、
基板と前記基板に配置されて前記基板から離れた第1の表面を有するデバイス機能層とを有するデバイス構造を提供し、
前記デバイス構造にソース領域の作成に用いられる第1のエリアと、非ソース領域の作成に用いられる第2のエリアとが配置されており、
前記第1の表面から前記基板まで延伸する第1の槽と第2の槽とを前記第2のエリアに作成し、
第1の部分と第2の部分とにより構成される誘電体層を作成し、前記誘電体層の第1の部分は前記第1の槽の周壁及び底壁に配置され、前記誘電体層の第2の部分は前記第1の表面に配置されており、
第1の部分と第2の部分とにより構成されるゲート電極溶接パッドを作成し、前記ゲート電極溶接パッドの第1の部分は前記第1の槽の周縁の第1の表面の第1の部分に位置し、前記ゲート電極溶接パッドの第2の部分は前記第1の槽に充填されており、
第1の部分と第2の部分とにより構成されるソース電極溶接パッドを作成し、前記ソース電極溶接パッドの第1の部分は前記第2の槽の周縁の第1の表面に位置する第1の部分を有し、前記ソース電極溶接パッドの第2の部分は前記第2の槽に充填されることを特徴とする横方向電界効果トランジスタの作成方法。
【請求項12】
前記横方向電界効果トランジスタはHEMTデバイスであり、前記デバイス機能層は前記基板に形成される複数の活性半導体層を有し、この中で、前記複数の活性半導体層のうちの2つの間にある異質境界面の箇所に、2次元エレクトロンガスを有し、前記活性半導体層の材料はIII-V族化合物であることを特徴とする請求項11に記載の横方向電界効果トランジスタの作成方法。
【請求項13】
前記誘電体層の厚さは5nmより大であり、且つ/もしくは、前記誘電体層はSiO、Si、Alの中のいずれか1つであり、あるいは、前記誘電体層はSiとAlとの積層であることを特徴とする請求項11に記載の横方向電界効果トランジスタの作成方法。
【請求項14】
前記第1の槽の深さはデバイス機能層の厚さより大であり、且つ/もしくは、前記第2の槽の深さはデバイス機能層の厚さより大であることを特徴とする請求項11に記載の横方向電界効果トランジスタの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は半導体の技術分野に関連し、具体的には、横方向電界効果トランジスタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
横方向電界効果トランジスタ(LDMOS/GaN HEMTなど)がハードスイッチングに応用される際、内部にあるゲート電極とソース電極との間の寄生電気容量や配線インダクタンスなどの要素の影響により、ゲート電極駆動信号が寄生振動を生成してパワーデバイスの消耗を大きくする。振動幅が比較的に大きい場合、横方向電界効果トランジスタの誤った起動を引き起こす可能性がある。
【0003】
現在の横方向電界効果トランジスタ(LDMOS/GaN HEMT等)は材料と構成の制限により、閾値電圧は通常比較的に低く、故に、ゲート電極駆動信号の振動に対しては更に敏感となっており、横方向電界効果トランジスタの誤った起動が更に引き起こされやすくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の目的は、上記従来技術の不足に対し、横方向電界効果トランジスタが応用される過程におけるゲート電極駆動信号の振動を改善することができる横方向電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するため、本出願の実施例が採用する技術案は以下の通りである。
【0006】
本出願の実施例の1つの方面は、横方向電界効果トランジスタを提供し、横方向電界効果トランジスタにおける非ソース領域に配置されたゲート電極溶接パッドとソース電極溶接パッドはそれぞれデバイス機能層の第1の表面から基板の表面まで延伸し、この中で、ゲート電極溶接パッドはそれぞれデバイス機能層と基板から絶縁隔離され、ソース電極溶接パッドは基板とショート接続する。
【0007】
本出願の実施例のもう1つの方面は、横方向電界効果トランジスタの製造方法を提供し、横方向電界効果トランジスタの非ソース領域に第1の槽と第2の槽とを作成し、この中でゲート電極溶接パッドが第1の槽の中に部分的に充填され、ゲート電極溶接パッドがそれぞれデバイス機能層と基板から絶縁隔離され、ソース電極溶接パッドは第2の槽の中に部分的に充填され、ソース電極溶接パッドは基板とショート接続する。
【0008】
本出願の有利な効果には、横方向電界効果トランジスタの応用過程におけるゲート電極駆動信号の振動を改善できることが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本出願の実施例の技術的特徴をより明白に説明するため、以下では実施例において使用が必要な添付図面を簡単に紹介する。なお、以下の添付図面においては本出願の一部の実施例が示されるのみであり、従って範囲に対する限定と見做すべきではないことを理解されたい。この分野における普通の技術者にとって、創造的労働を行わないことを前提として、これらの添付図面に基づいて更に他の関連する添付図面を得ることができる。
図1】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタの上面図である。
図2】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタの状態説明図その一である。
図3】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタの状態説明図その二である。
図4】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタの状態説明図その三である。
図5】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタの状態説明図その四である。
図6図1におけるA‐A’線の断面図である。
図7】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタのソース領域における断面図である。
図8】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタの寄生パラメータの分布の説明図である。
図9】本出願の実施例が提供する横方向電界効果トランジスタの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の文章において述べられた実施方式には、この技術分野の人間が前記実施方式を実践するのに必要な情報が提示されており、且つ、前記実施方式を実践する最も優れたモードが示されている。添付図面を参照して以下の説明を読んだ後、この技術分野の人間はこの開示の概念を理解し、且つ、本文の中では具体的に提示されていないこれらの概念の応用を認識する。これらの概念及び応用はこの開示及び関連する特許請求の範囲の中に属することを理解されたい。
【0011】
また、第1の、第2の等の用語は本文の中で各種要素の説明に用いられ得るが、これらの用語によりこれらの要素が制限されるものではないことを理解されたい。これらの用語は1つの要素と他の1つの要素との区別に用いられるにすぎない。例えば、この開示の範囲から離れない状況で、第1の要素は第2の要素と称してもよく、そして同様に、第1の要素は第2の要素と称してもよい。本文で使用されるように、用語「及び(且つ)/もしくは」とは、関連して列挙される項目の中の1つもしくは複数の任意のそして全ての組合せを含む。
【0012】
更に、1つの要素(例えば層、区域もしくは基板)が「他の1つの要素に」もしくは「他の1つの要素まで延伸」と称される場合、これは直接的に他の1つの要素にもしくは直接的に他の1つの要素まで延伸し、あるいは中間にある要素が存在し得ることも理解されたい。これに反して、1つの要素が「直接的に他の1つの要素に」もしくは「他の1つの要素まで直接的に延伸」と称される場合は、中間にある要素は存在しない。同様に、要素(例えば層、区域もしくは基板)が「他の1つの要素の上に」もしくは「他の1つの要素の上まで延伸」と称される場合、これは直接的に他の1つの要素の上もしくは直接的に他の1つの要素の上まで延伸し、あるいは中間にある要素が存在し得ることを理解されたい。これに反して、1つの要素が「直接的に他の1つの要素の上に」もしくは「他の1つの要素の上まで直接的に延伸」と称される場合は、中間にある要素は存在しない。更に、1つの要素が他の1つの要素と「接続」されるもしくは「カップリング」されると称される際、これは直接的に他の1つの要素に接続もしくはカップリングされ、あるいは中間にある要素が存在し得ることを理解されたい。これに反して、1つの要素が他の1つの要素に「直接的に接続」されるもしくは「直接的にカップリング」されると称される場合は、中間にある要素は存在しない。
【0013】
例えば、「…の下方」もしくは「…の上方」もしくは「上部」もしくは「下部」もしくは「水平」もしくは「垂直」といった用語が、本文において1つの要素、層、区域の他の1つの要素、層、区域との関係の説明に用いられることが可能であることは、図中に示される通りである。これらの用語および上記において論述されたそれらの用語の意図は図中に描かれた方向性とは異なった方向性をもカバーすることを理解されたい。
【0014】
本文の中で用いられる用語は特定の実施方式を説明することを目的としており、この開示を制限することを意図していない。本文で用いられるように、文脈において明白に示された場合を除いて、単数形の「1つ(a)」と「一個(an)」と「前記」は複数形をも含む。更に本文の中で用いられる際、「含む」という用語は、述べられた特徴、整数、手順、操作、要素、及び/もしくは、部材が存在することを意味するが、1個もしくは複数の他の特徴、整数、手順、操作、要素、部材、及び/もしくはこれらの組合せが存在もしくは追加されることを排除するものではないことも理解されたい。
【0015】
他に定義がある場合を除き、本文の中で用いられるすべての用語(技術用語と科学用語を含む)の意味は、この開示が属する分野の一般の技術者が理解する意味と同じである。更には、本文の中で用いられる用語は、意味がこの明細書及び関連する分野の状況におけるそれらの意味と一致すると解釈されるべきであり、本文の中でそのように明確に定義される場合を除いて、理想化されたもしくは過度に正式な意味で解釈してはならないことを理解されたい。
【0016】
本出願の実施例の1つの方面は、横方向電界効果トランジスタを提供することであり、図1図6に示されるもの合わせると、基板108と、基板108に配置されると共に、基板108から離れた第1の表面を有するデバイス機能層と、を有する。横方向電界効果トランジスタにはソース領域101と非ソース領域102とが配置され、この中で非ソース領域102は基板108と基板108に配置されると共に、基板108から離れた第1の表面を有するデバイス機能層とを有する。非ソース領域102には第1の表面から基板108の表面まで延伸するゲート電極溶接パッド104が配置され、ゲート電極溶接パッド104は基板108及びデバイス機能層と絶縁されている。非ソース領域102にはソース電極溶接パッド106が配置され、ゲート電極溶接パッド104は第1の表面から基板108の表面まで延伸し、ソース電極溶接パッド106は基板108とショート接続する。
【0017】
本出願の横方向電界効果トランジスタにおいて非ソース領域102内に配置するゲート電極溶接パッド104及びソース電極溶接パッド106はそれぞれデバイス機能層の第1の表面から基板108の表面まで延伸し、その中で、ゲート電極溶接パッド104自身はデバイス機能層及び基板108と絶縁隔離されて、ソース電極溶接パッド106が基板108とショート接続することにより、ゲート電極溶接パッド104は基板108とショート接続するソース電極溶接パッド106とコンデンサ構造を形成するようになり、これによりゲート電極溶接パッド104とソース電極溶接パッド106との間に形成されたデバイスのゲートソース電気容量Cを増大させ、更には生成される振動を効果的に緩和し、パワーデバイスの消耗を抑えて横方向電界効果トランジスタの誤った起動を回避することができる。
【0018】
いくつかの実施形態においては、図4図6に示されるように、非ソース領域102のデバイス機能層にゲート電極溶接パッド104に対応する第1の槽105と、ソース電極溶接パッド106に対応する第2の槽107とがそれぞれ配置される。具体的には、第1の槽105に対しては、図4に示されるように、第1の槽105はデバイス機能層の第1の表面から基板108の表面まで下方へ延伸し、図5に示されるように、誘電体層113の第1の部分は第1の槽105の周壁及び底壁を覆い、誘電体層113の第2の部分は誘電体層113の第1の部分に連続し、且つ、第1の槽105の周縁の第1の表面を覆い、図6に示されるように、ゲート電極溶接パッド104の第2の部分は誘電体層113により完全に覆われる第1の槽105内に充填され、ゲート電極溶接パッド104の第1の部分は第1の槽105外に位置し、且つ、ゲート電極溶接パッド104の第2の部分に連続すると共に誘電体層113の第2の部分の上に位置し、これによりゲート電極溶接パッド104がデバイス機能層との間及び基板108との間において誘電体層113により絶縁隔離される構造をそれぞれ形成する。第2の槽107に対しては図4に示されるように、第2の槽107もデバイス機能層の第1の表面から基板108の表面まで下方へ延伸し、図6に示されるように、ソース電極溶接パッド106の第2の部分は第2の槽107内に直接的に充填され、ソース電極溶接パッド106の第1の部分は第2の槽107外に位置し、且つ、ソース電極溶接パッド106の第2の部分に連続する上第2の槽107の周縁の第1の表面を覆うことにより、ソース電極溶接パッド106がデバイス機能層及び基板108にそれぞれショート接続する構造を形成する。
【0019】
横方向電界効果トランジスタにソース領域101と非ソース領域102とが配置され、非ソース領域102はソース領域101の一側に位置する第1の側部を有し、非ソース領域102のデバイス機能層に配置される第1の槽105と第2の槽107はいずれも第1の側部に位置することで、第1の槽105と第2の槽107とがソース領域101により遮断されてデバイスのゲートソース電気容量Cの増大が制限されることを回避することができる。例えば、いくつかの実施形態においては図1に示されるように、非ソース領域102はソース領域101の外周を包囲し、非ソース領域102の中の第1の側部はソース領域101の一側(図1における下方側)に位置し、非ソース領域102の第1の側部内のデバイス機能層上に第1の槽105と第2の槽107とを形成すると、第1の槽105と第2の槽107との位置をいずれも非ソース領域102の第1の側部に位置させることができるので、これにより第2の槽107と第1の槽105との間がソース領域101により遮断されてデバイスのゲートソース電気容量Cの増大が制限されることを回避することができる。
【0020】
いくつかの実施形態においては、デバイス機能層に配置される第1の槽105の数が複数個であることは可能であり、具体的には実際の需要に基づいて合理的に設定することができる。例えば図1に示されるように、第1の槽105が2個である場合、2個の第1の槽105はゲート電極溶接パッド104の基板108における垂直投影エリア内に対角的に分布することができる。
【0021】
いくつかの実施形態においては、デバイス機能層上に配置される第2の槽107の数も複数個であることは可能であり、具体的には同じく実際の需要に基づいて合理的に設定することができる。例えば図1に示されるように、第2の槽107が4個である場合、4個の第2の槽107はソース電極溶接パッド106の基板108における垂直投影エリア内に対角的に分布することができる。
【0022】
いくつかの実施形態においては、図6を更に参照すると、非ソース領域102内にゲート電極溶接パッド104及びソース電極溶接パッド106が配置され、図7に示されるように、横方向電界効果トランジスタは更にソース領域101に配置されるゲート電極、ソース電極117、およびドレイン電極118を含み、ゲート電極溶接パッド104はゲート電極と電気的に接続し、ソース電極溶接パッド106はソース電極117と電気的に接続し、ゲート電極溶接パッド104がゲート電極駆動回路に直列接続するように横方向電界効果トランジスタが配置される際、ゲート電極とゲート電極溶接パッド104とゲート電極駆動回路とが接続して形成する回路構造の電気抵抗はRであり、ゲート電極とゲート電極溶接パッド104とゲート電極駆動回路とが接続して形成する回路構造の寄生インダクタンスはLであり、横方向電界効果トランジスタはゲートソース電気容量Cを有し、非ソース領域102内に配置されるゲート電極溶接パッド104及びソース電極溶接パッド106がそれぞれデバイス機能層の第1の表面から基板108の表面まで延伸することにより、この中で、ゲート電極溶接パッド104自身がデバイス機能層と基板108からそれぞれ絶縁隔離され、ソース電極溶接パッド106が基板108にショート接続することで、ゲート電極溶接パッド104を基板108にショート接続させるソース電極溶接パッド106がコンデンサ構造を形成し、ゲート電極溶接パッド104とソース電極溶接パッド106との間に形成するデバイスのゲートソース電気容量Cを増大させる。いくつかの実施形態においては、図8に示されるように、横方向電界効果トランジスタの寄生パラメータ分布が示され、
【数1】
が成立する際、横方向電界効果トランジスタはオーバーダンピング状態で稼働することができ、RLC直列共振回路によって更にゲート電極振動を緩和させてデバイス消耗を抑えてデバイスの誤った起動を回避することができる。
【0023】
いくつかの実施形態においては、図1に示されるように、非ソース領域102内のデバイス機能層に更にドレイン電極パッド103が配置され、ドレイン電極パッド103はソース領域101内の主動デバイスのドレイン電極118に接続することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、ソース電極溶接パッド106は接地するように配置されることが可能であり、ドレイン電極118は電源と接続するように配置されることができる。
【0025】
いくつかの実施形態においては、誘電体層113をゲート電極溶接パッド104と基板108にショート接続するソース電極溶接パッド106とにより形成されるコンデンサの誘電体とされるので、誘電体層113の厚さ及び材料を改変することにより、デバイスゲートソース電気容量Cの大きさを対応して調節することができる。例えば、デバイスゲートソース電気容量Cをある数値に調節する必要がある際は、厚さと材料とのうちの1つもしくは両者の組み合わせを改変することによって、デバイスゲートソース電気容量Cをある数値に据えることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、ゲート電極溶接パッド104と基板108にショート接続するソース電極溶接パッド106とにより形成されるコンデンサの絶縁破壊電圧は横方向電界効果トランジスタの実稼働電圧より高くあるべきであり、これによりデバイスの安定性を効果的に向上させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態においては、ゲート電極溶接パッド104とソース電極溶接パッド106とにより形成されるコンデンサの絶縁破壊電圧の要求及びデバイスゲートソース電気容量Cの要求に鑑みて、誘電体層113の厚さ及び材料を合理的に選択配置すべきである。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1の槽105、及び/もしくは、第2の槽107の深さはデバイス機能層の厚さより大であり,例えば650V GaN HEMTの典型的エキタピシャル厚さは5μmであり、第1の槽105、及び/もしくは、第2の槽107は5μmより大の深さで基板108の表面にエッチングされる必要がある。
【0029】
いくつかの実施形態においては、誘電体層113の厚さは5nmより大きいことが可能であり、例えば5nm、10nm、15nmなどであり、これにより、絶縁破壊電圧の要求及びデバイスゲートソース電気容量Cの要求を満足することができる。例えば、GaN E-HEMTゲート稼働電圧は6Vであり、誘電体材料はSiOであり、典型的絶縁破壊電場は6MV/cmである場合、誘電体層113の厚さは10nmより大きい必要がある。
【0030】
いくつかの実施形態において、誘電体層113の材料はSiOとSiとAlとの中の一種類であることができる。いくつかの実施形態において、誘電体層113はSi/Alの積層であることができ、誘電体層113を誘電体積層と言うのは、Si層を先に堆積形成してから、Si層の上にAl層を更に堆積することを意味する。
【0031】
いくつかの実施形態において、横方向電界効果トランジスタはHEMTデバイスであり、HEMTデバイスは基板108と基板108に位置するデバイス機能層とを含み、基板108とデバイス機能層とはいずれもソース領域101に位置する部分と非ソース領域102に位置する部分を含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、デバイス機能層は基板108に形成される複数の活性半導体層を含むことができ、複数の活性半導体層はいずれもソース領域101及び非ソース領域102に位置し、ソース領域101に位置する少なくとも2つの活性半導体層の間に形成される異質境界面の箇所に2次元エレクトロンガスを有し、非ソース領域102に位置する2つの活性半導体層の間に形成される異質境界面の箇所は2次元エレクトロンガスを有しない(2次元エレクトロンガスを有しない方法はイオン注入などの工業技術を採用して除去することができる)。
【0033】
いくつかの実施形態において、横方向電界効果トランジスタがHEMTデバイスである場合、HEMTデバイスは基板108と基板108に形成されるデバイス機能層とを含み、この中で、図7に示されるように、デバイス機能層が含む複数の活性半導体層は、基板108に形成されるコア形成層(図示せず)と、コア形成層に順番に形成されるバッファー層109とチャンネル層110と、チャンネル層110に形成される遮蔽層111と、遮蔽層111に形成される鈍化層116と、であることができ、コア形成層は基板108の次の層の活性半導体層との間の格子不整合を減少させることができ、チャンネル層110と遮蔽層111との間に2次元エレクトロンガスが形成され(非ソース領域102に位置する部分は除去される)、鈍化層116に遮蔽層111に接触するソース電極117及びドレイン電極118が形成され、且つ、ソース電極117とドレイン電極118との間に遮蔽層111に接触するゲート電極が形成される。
【0034】
いくつかの実施形態においては、図7に示されるように、ゲート電極は遮蔽層111に形成されるPタイプドープ層119とPタイプドープ層119に形成されるゲート電極金属120とを含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、基板108は炭化ケイ素とサファイアとスピネルと酸化亜鉛とケイ素と窒化ガリウムと窒化アルミニウムもしくはIII族窒化物材料の成長をサポートできる他のあらゆる材料を用いて作成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、コア形成層は複数種類の異なる材料を含むことができ、例えばAlGa1-xN(0≦x≦1)を含む。例えば金属酸化物化学気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)もしくは分子線エピタキシー法(MBE)などの既知の半導体成長技術を用いて基板108にコア形成層を形成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、バッファー層109とチャンネル層110は例えばAlGaIn(1-x-y)N(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)などのIII族窒化物材料を用いて作成することができる。例えば、バッファー層109とチャンネル層110はGaN層であり、他のいくつかの実施形態においては、GaN層にFeをドープすることができる。コア形成層の成長に用いられるのと同じ方法を用いてバッファー層109とチャンネル層110を作成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、遮蔽層111とチャンネル層110との中のいずれもがドープされたもしくはドープされていないIII族窒化物材料を含むことができる。遮蔽層111は例えばInGaN、AlGaN、AlNもしくはこれらの組合せなど異なる材料の1つもしくは複数の層を含むことができる。コア形成層の成長に用いられるのと同じ方法を用いて遮蔽層111を作成することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、ソース電極溶接パッド106の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の数種類の合金であり、いくつかの実施形態において、ゲート電極溶接パッド104の材料はニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の1種であり、あるいは、ニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の数種類の合金であり、もしくはケイ化白金である。いくつかの実施形態において、ドレイン電極パッド103の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中にある数種類の合金である。いくつかの実施形態において、ソース電極117の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中にある数種類の合金であり、いくつかの実施形態において、ゲート電極の材料はニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の1種であり、あるいは、ニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中にある数種類の合金であり、もしくはケイ化白金である。いくつかの実施形態において、ドレイン電極118の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の数種類の合金である。
【0040】
本出願の実施例の他の1つの方面では、横方向電界効果トランジスタの製造方法を提供し、図9に示されるように、この方法は以下の手順を含む。
【0041】
S010:デバイス構造を提供し、デバイス構造は基板と基板に配置されると共に、基板から離れる第1の表面を有するデバイス機能層とを有し、デバイス構造にはソース領域の作成に用いられる第1のエリアと非ソース領域の作成に用いられる第2のエリアとが配置される。
【0042】
S020:第2のエリアに第1の表面から基板まで延伸する第1の槽及び第2の槽を作成する。
【0043】
S030:誘電体層を作成し、誘電体層は第1の部分と第2の部分とを含むように構成され、誘電体層の第1の部分は第1の槽の周壁及び底壁に配置され、誘電体層の第2の部分は第1の表面に配置される。
S040:ゲート電極溶接パッドを作成し、ゲート電極溶接パッドは第1の部分と第2の部分とを有するように構成され、ゲート電極溶接パッドの第1の部分は第1の槽の周縁の第1の表面の第1の部分に位置し、ゲート電極溶接パッドの第2の部分は第1の槽に充填される。
【0044】
S050:ソース電極溶接パッドを作成し、ソース電極溶接パッドは第1の部分と第2の部分とにより構成され、ソース電極溶接パッドの第1の部分は第2の槽の周縁の第1の表面の第1の部分に位置し、ソース電極溶接パッドの第2の部分は第2の槽に充填される。
【0045】
本出願はソース領域の中の主動デバイスの構成に対して変更を行わないため、従って、元のデバイス工業技術に対する改変幅を小さくしてコストを低下させることができる。これと同時に、本出願の第2の槽と第1の槽とはいずれも元々あるソース電極溶接パッド区域とゲート電極溶接パッド区域との中にあるので、余分な面積を占めるためにデバイスのサイズが比較的に大きくなることを回避することができる。
【0046】
いくつかの実施形態においては図2に示されるように、S010において、デバイス構造は基板108とデバイス機能層とを含み、デバイス機能層は基板108に配置され、且つ、基板108から離れた第1の表面を有する。デバイス構造に第1のエリアと第2のエリアが配置され、第1のエリアによってソース領域101を作成することができ、第2のエリアによって非ソース領域102を作成することができる。具体的な作成方法は第2のエリアに対して表面エッチングもしくはイオン注入により行うことができ、これにより第2のエリアに非ソース領域102を形成し、そして第1のエリアはソース領域101とされる。
【0047】
いくつかの実施形態において、S020では、図3に示されるように、非ソース領域102のデバイス機能層の第1の表面にフォトレジスト層112全体を塗布してから、露光、現像などの工業技術によりフォトレジスト層112にウィンドウを開けてデバイス機能層を露出させることによって、第1の槽105及び第2の槽107の位置を定義する。図4に示されるように、ウィンドウを開けた位置からデバイス機能層に対してエッチングを行うことで、デバイス機能層に第1の槽105と第2の槽107とをそれぞれ形成する。エッチングの際においては、形成される第1の槽105及び第2の槽107をデバイス機能層の第1の表面から基板108の表面まで延伸させ、基板108の表面を第1の槽105と第2の槽107内に露出させてフォトレジスト層112を剥離させるべきである。
【0048】
いくつかの実施形態において、S030では、図5に示されるように、デバイス機能層に誘電体層113全体を堆積し、誘電体層113が覆う第1の槽105の周壁及び底壁の第1の部分及び誘電体層113の第1の部分に連続し且つ、第1の槽105の周縁の第1の表面の第2の部分をエッチングにより残す。
【0049】
いくつかの実施形態において、図6に示されるように、S040では、フォトリソグラフィ、蒸着、金属剥離の方法によりゲート電極溶接パッド104を作成できる。ウィンドウの位置に基づいて、ゲート電極溶接パッド104の第2の部分を誘電体層113により完全に覆われる第1の槽105の中に充填し、ゲート電極溶接パッド104の第1の部分は第1の槽105の外に位置し、且つ、ゲート電極溶接パッド104に連続する第2の部分は誘電体層113の第2の部分に位置し、これにより、ゲート電極溶接パッド104を形成してそれぞれデバイス機能層との間、基板108との間の誘電体層113により絶縁隔離された構造を形成する。
【0050】
いくつかの実施形態において、図6に示されるように、S050では、フォトリソグラフィ、蒸着、金属剥離の方法によりソース電極溶接パッド106を作成できる。ウィンドウの位置に基づいて、ソース電極溶接パッド106の第2の部分を直接的に第2の槽107の中に充填し、ソース電極溶接パッド106の第1の部分は第2の槽107の外に位置し、且つ、ソース電極溶接パッド106の第2の部分に連続し且つ第2の槽107の周縁の第1の表面を覆う。これによりソース電極溶接パッド106がそれぞれデバイス機能層に接触して基板108にショート接続する構造を形成する。
【0051】
いくつかの実施形態において、図7に示されるように、ソース領域101のデバイス機能層に主動デバイスを作製する際、まずはデバイス機能層の表面に鈍化層116全体を形成してから、フォトリソグラフィにより鈍化層116にソース電極117ウィンドウ及びドレイン電極118ウィンドウを形成し、フォトリソグラフィ、蒸着、金属剥離等の方法によりソース電極117ウィンドウ及びドレイン電極118ウィンドウの中にソース電極117及びドレイン電極118を形成する。これと同じ道理で、ソース電極117ウィンドウ及びドレイン電極118ウィンドウが形成される工業技術を参照し、鈍化層116をエッチングして鈍化層116にゲート電極槽を形成し、ゲート電極槽はソース電極117とドレイン電極118との間に位置し、それからゲート電極槽の中にゲート電極を作成する。
【0052】
横方向電界効果トランジスタにソース領域101と非ソース領域102とが配置され、非ソース領域102はソース領域101の一側に位置する的第1の側部を有し、非ソース領域102のデバイス機能層に配置される第1の槽105と第2の槽107はいずれも第1の側部に位置することで、第1の槽105と第2の槽107とがソース領域101により遮断されてデバイスのゲートソース電気容量Cの増大が制限されることを回避することができる。例えば、いくつかの実施形態においては図1に示されるように、非ソース領域102はソース領域101の外周を包囲し、非ソース領域102の中の第1の側部はソース領域101の一側(図1における下方側)に位置し、非ソース領域102の第1の側部内のデバイス機能層上に第1の槽105と第2の槽107とを形成すると、第1の槽105と第2の槽107との位置をいずれも非ソース領域102の第1の側部に位置させることができるので、これにより第2の槽107と第1の槽105との間がソース領域101により遮断されてデバイスのゲートソース電気容量Cの増大が制限されることを回避することができる。
【0053】
いくつかの実施形態においては、図6を更に参照すると、非ソース領域102内にゲート電極溶接パッド104及びソース電極溶接パッド106が配置され、図7に示されるように、横方向電界効果トランジスタは更にソース領域101に配置されるゲート電極、ソース電極117、ドレイン電極118を含み、ゲート電極溶接パッド104はゲート電極と電気的に接続し、ソース電極溶接パッド106はソース電極117と電気的に接続し、ゲート電極溶接パッド104がゲート電極駆動回路に直列接続するように横方向電界効果トランジスタが配置される際、ゲート電極とゲート電極溶接パッド104とゲート電極駆動回路とが接続して形成する回路構造の電気抵抗はRであり、ゲート電極とゲート電極溶接パッド104とゲート電極駆動回路とが接続して形成する回路構造の寄生インダクタンスはLであり、横方向電界効果トランジスタはゲートソース電気容量Cを有し、非ソース領域102内に配置されるゲート電極溶接パッド104及びソース電極溶接パッド106がそれぞれデバイス機能層の第1の表面から基板108の表面まで延伸することにより、この中で、ゲート電極溶接パッド104自身がデバイス機能層と基板108からそれぞれ絶縁隔離され、ソース電極溶接パッド106が基板108にショート接続することで、ゲート電極溶接パッド104を基板108にショート接続させるソース電極溶接パッド106によりコンデンサ構造を形成し、ゲート電極溶接パッド104とソース電極溶接パッド106との間に形成するデバイスのゲートソース電気容量Cを増大させる。いくつかの実施形態においては、図8に示されるように、横方向電界効果トランジスタの寄生パラメータ分布が示され、
【数2】
が成立する際、横方向電界効果トランジスタはオーバーダンピング状態で稼働することができ、RLC直列共振回路によって更にゲート電極振動を緩和させてデバイス消耗を抑えてデバイスの誤った起動を回避する。いくつかの実施形態においては、図1に示されるように、非ソース領域102内のデバイス機能層に更にドレイン電極パッド103が配置され、ドレイン電極パッド103はソース領域101内の主動デバイスのドレイン電極118に接続することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、ソース電極溶接パッド106は接地するように配置され、ドレイン電極118は電源と接続するように配置される。
【0055】
いくつかの実施形態においては、誘電体層113をゲート電極溶接パッド104と基板108にショート接続するソース電極溶接パッド106とにより形成されるコンデンサの誘電体とされるので、誘電体層113の厚さ及び材料を改変することにより、デバイスゲートソース電気容量Cの大きさを対応して調節することができる。例えば、デバイスゲートソース電気容量Cをある数値に調節する必要がある際は、厚さと材料とのうちの1つもしくは両者の組み合わせを改変することによって、デバイスゲートソース電気容量Cをある数値に据えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、ゲート電極溶接パッド104と基板108にショート接続するソース電極溶接パッド106とにより形成されるコンデンサの絶縁破壊電圧は横方向電界効果トランジスタの実稼働電圧より高くあるべきであり、これによりデバイスの安定性を効果的に向上させることができる。
【0057】
いくつかの実施形態においては、ゲート電極溶接パッド104とソース電極溶接パッド106とにより形成されるコンデンサの絶縁破壊電圧の要求及びデバイスゲートソース電気容量Cの要求に鑑みて、誘電体層113の厚さ及び材料を合理的に選択配置すべきである。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1の槽105、及び/もしくは、第2の槽107の深さはデバイス機能層の厚さより大であり,例えば650V GaN HEMTの典型的エキタピシャル厚さは5μmであり、第1の槽105、及び/もしくは、第2の槽107は5μmより大の深さで基板108の表面にエッチングされる必要がある。
【0059】
いくつかの実施形態においては、誘電体層113の厚さは5nmより大きいことが可能であり、例えば5nm、10nm、15nmなどであり、これにより、絶縁破壊電圧の要求及びデバイスゲートソース電気容量Cの要求を満足することができる。例えば、GaN E-HEMTゲート稼働電圧は6Vであり、誘電体材料はSiOであり、典型的絶縁破壊電場は6MV/cmである場合、誘電体層113の厚さは10nmより大きい必要がある。
【0060】
いくつかの実施形態において、誘電体層113の材料はSiOとSiとAlとの中の一種類であることができる。いくつかの実施形態において、誘電体層113はSi/Alの積層であることができ、誘電体層113を誘電体積層と言うのは、Si層を先に堆積形成してから、Si層の上にAl層を更に堆積することを意味する。
【0061】
いくつかの実施形態において、横方向電界効果トランジスタはHEMTデバイスであり、HEMTデバイスは基板108と基板108に位置するデバイス機能層とを含み、基板108とデバイス機能層とはいずれもソース領域101に位置する部分と非ソース領域102に位置する部分を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、デバイス機能層は基板108に形成される複数の活性半導体層を含むことができ、複数の活性半導体層はいずれもソース領域101及び非ソース領域102に位置し、ソース領域101に位置する2つの活性半導体層の間に形成される異質境界面の箇所に2次元エレクトロンガスを有し、非ソース領域102に位置する2つの活性半導体層の間に形成される異質境界面の箇所は2次元エレクトロンガスを有しない(2次元エレクトロンガスを有しない方法はイオン注入などの工業技術を採用して除去することができる)。
【0063】
いくつかの実施形態において、横方向電界効果トランジスタがHEMTデバイスである場合、HEMTデバイスは基板108と基板108に形成されるデバイス機能層とを含み、この中で、図7に示されるように、デバイス機能層が含む複数の活性半導体層は、基板108に形成されるコア形成層(図示せず)と、コア形成層に順番に形成されるバッファー層109とチャンネル層110と、チャンネル層110に形成される遮蔽層111と、遮蔽層111に形成される鈍化層116と、であることができ、コア形成層は基板108の次の層の活性半導体層との間の格子不整合を減少させることができ、チャンネル層110と遮蔽層111との間に2次元エレクトロンガスが形成され(非ソース領域102に位置する部分は除去される)、鈍化層116に遮蔽層111に接触するソース電極117及びドレイン電極118が形成され、且つ、ソース電極117とドレイン電極118との間に遮蔽層111に接触するゲート電極が形成される。
【0064】
いくつかの実施形態においては、図7に示されるように、ゲート電極は遮蔽層111に形成されるPタイプドープ層119とPタイプドープ層119に形成されるゲート電極金属120とを含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、基板108は炭化ケイ素とサファイアとスピネルと酸化亜鉛とケイ素と窒化ガリウムと窒化アルミニウムもしくはIII族窒化物材料の成長をサポートできる他のあらゆる材料を用いて作成することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、コア形成層は複数種類の異なる材料を含むことができ、例えばAlGa1-xN(0≦x≦1)を含む。例えば金属酸化物化学気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)もしくは分子線エピタキシー法(MBE)などの既知の半導体成長技術を用いて基板108にコア形成層を形成することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、バッファー層109とチャンネル層110は例えばAlGaIn(1-x-y)N(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)などのIII族窒化物材料を用いて作成することができる。例えば、バッファー層109とチャンネル層110はGaN層であり、他のいくつかの実施形態においては、GaN層にFeをドープすることができる。コア形成層の成長に用いられるのと同じ方法を用いてバッファー層109とチャンネル層110を作成することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、遮蔽層111とチャンネル層110の中のいずれもがドープされたもしくはドープされていないIII族窒化物材料を含むことができる。遮蔽層111は例えばInGaN、AlGaN、AlNもしくはこれらの組合せなどの異なる材料の1つの層もしくは複数の層を含むことができる。コア形成層の成長に用いられるのと同じ方法を用いて遮蔽層111を作成することができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、ソース電極溶接パッド106の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の数種類の合金であり、いくつかの実施形態において、ゲート電極溶接パッド104の材料はニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の1種であり、あるいは、ニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の数種類の合金であり、もしくはケイ化白金である。いくつかの実施形態において、ドレイン電極パッド103の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の数種類の合金である。
【0070】
いくつかの実施形態において、ソース電極117の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の数種類の合金であり、いくつかの実施形態において、ゲート電極の材料はニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の1種であり、あるいは、ニッケルと金と白金とチタニウムとクロムとチタニウムとタングステンとの中の数種類の合金であり、もしくはケイ化白金である。いくつかの実施形態において、ドレイン電極118の材料はチタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の1種であり、あるいは、チタニウムとアルミニウムと金とニッケルとの中の数種類の合金である。
【0071】
以上にのべたものは本出願の好ましい実施形態に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、本領域の技術人員にとって、本出願は各種の変更や変化があり得る。本出願の精神および原則の範囲内における全てのあらゆる修飾および均等な構成も、本出願の請求範囲に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0072】
101 ソース領域
102 非ソース領域
103 ドレイン電極パッド
104 ゲート電極溶接パッド
105 第1の槽
106 ソース電極溶接パッド
107 第2の槽
108 基板
109 バッファー層
110 チャンネル層
111 遮蔽層
112 フォトレジスト層
113 誘電体層
116 鈍化層
117 ソース電極
118 ドレイン電極
119 Pタイプドープ層
120 ゲート電極金属
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】