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特表2024-504698PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)を含む組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】PEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)を含む組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20240125BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240125BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240125BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
A61K38/17
A61P21/00
A61P9/00
A61P17/14
A61P19/02
A61P17/00
A61P1/16
A61P27/04
A61P9/10
A61K9/08
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/26
C07K14/47 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544246
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022013547
(87)【国際公開番号】W WO2022159829
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,851
(32)【優先日】2021-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519124338
【氏名又は名称】ブリム バイオテクノロジー インク
【氏名又は名称原語表記】BRIM BIOTECHNOLOGY, INC.
【住所又は居所原語表記】8F, No.1, Alley 30, Lane 358 Ruiguang Rd., Neihu Dist. Taipei, 11492 (TW)
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】リー フランク ウェン-チー
(72)【発明者】
【氏名】リャウ ウェイン ウェイ-チェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジェイソン ピン-イン
(72)【発明者】
【氏名】ワン エミリー シャオ-ハン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076CC09
4C076CC10
4C076CC18
4C076DD22
4C076DD38D
4C076DD67D
4C076FF14
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084NA03
4C084NA05
4C084ZA33
4C084ZA36
4C084ZA75
4C084ZA89
4C084ZA92
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZC52
4H045AA10
4H045BA17
4H045BA18
4H045BA19
4H045CA40
(57)【要約】
水性製剤は、SEQ ID NO:1、2、3、5、6、8または9の何れかの配列を有するPEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)と、0.01mM~923mMの濃度のホウ酸と、非イオン性等張化剤を含む。pH値は約5.5~8.4である。非イオン性等張化剤は、グリセリン、スクロース、マンニトールまたはソルビトールである。PDSPの濃度は0.01%~1%w/vである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:1、2、3、5、6、8、または9の配列を有するPEDF由来短鎖ペプチド(PDSP)と、
0.01mM~923mMの濃度のホウ酸と、
非イオン性等張化剤と、
を含む水性製剤。
【請求項2】
前記ホウ酸の濃度が10mM~100mMである、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項3】
前記ホウ酸の濃度が20mM~50mMである、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項4】
pH値が約5.5~8.4である、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項5】
pH値が約6.5~7.5である、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項6】
前記非イオン性等張化剤がグリセリン、スクロース、マンニトールまたはソルビトールである、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項7】
前記非イオン性等張化剤がグリセリンである、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項8】
グリセリンの濃度が10mM~500mMである、請求項7に記載の水性製剤。
【請求項9】
グリセリンの濃度が300mM~350mMである、請求項7に記載の水性製剤。
【請求項10】
前記非イオン性等張化剤がソルビトールである、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項11】
ソルビトールの濃度が100mM~400mMである、請求項10に記載の水性製剤。
【請求項12】
ソルビトールの濃度が300mM~350mMである、請求項10に記載の水性製剤。
【請求項13】
前記PDSPがSEQ ID NO:3の前記配列を有する、請求項1乃至12の何れか1項に記載の水性製剤。
【請求項14】
前記PDSPの濃度が0.01%~1%w/vである、請求項13に記載の水性製剤。
【請求項15】
前記PDSPの濃度が0.03%w/vである、請求項13に記載の水性製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PEDF由来の短いペプチドの組成物に関し、詳細には、そのようなペプチドの製剤及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト色素上皮由来因子(PEDF)は、約50kDaの分子量を有する418個のアミノ酸からなる分泌タンパク質である。PEDFは、多くの生物学的機能を有する多機能タンパク質である(米国特許出願公開第2010/0047212号明細書を参照されたい)。ヒトPEDFの異なるペプチド領域は、異なる機能を担うことが分かっている。例えば、34mer断片(PEDFの残基44~77)は抗血管新生活性を有することが確認されており、一方、44mer断片(PEDFの残基78~121)は神経栄養特性を有することが確認されている。
【0003】
ヒトPEDF由来短ペプチド(PDSP)は、様々な疾患又は障害を治療又は予防するための有望な治療薬であることが分かっている。例えば、PDSPは、筋肉再生又は動脈形成の促進(米国特許第9,884,012号明細書)、脱毛症及び/又は脱毛症の治療(米国特許第9,938,328号明細書)、変形性関節症の治療(米国特許第9,777,048号)、皮膚老化の予防又は改善(米国特許第9,815,878号明細書)、肝硬変の治療(米国特許第8,507,446号明細書)、又は様々な眼の疾患又は状態の治療(例えば、網膜変性、マイボーム腺疾患、ドライアイ)に有効であることが分かっている。対応するマウスPEDF由来の短いペプチド(moPDSP)も、同じ治療効果を有することが分かっている。しかしながら、これらのペプチドの調製物は、長期安定性を欠くことが見出された。したがって、この有望なバイオ医薬品としての良好な製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、配列番号1(39mer)、配列番号2(34mer)、配列番号3(29mer)、配列番号5(24mer)、配列番号6(20mer)、配列番号8(mo29mer)、及び配列番号9(mo20mer)を含む、PEDF由来の短いペプチド(PDSP)の製剤に関し、ここで、mo29mer及びmo20merは、それぞれヒト29mer及び20merに対応するマウスPDSPである。
【0005】
本発明の1つの態様は、SEQ ID NO:1、2、3、5、6、8、または9のうちの1つの配列を有するPDSP、ホウ酸緩衝剤および等張化剤を含む水性製剤に関する。等張化剤は好ましくは非イオン性等張化剤である。非イオン性等張化剤は、グリセリン、スクロース、マンニトール、またはソルビトールであってもよい。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、水性製剤のpH値は約5-9、好ましくは約5.5-8.4、より好ましくは約6.5-7.5であってもよい。等張化剤は好ましくはグリセリンであり、その濃度は10mM-500mM、好ましくは200-400mM、より好ましくは300-350mMである。PDSPの濃度は、0.01%-1%w/v、好ましくは0.01-0.1%w/v、より好ましくは約0.03%とすることができる。
【0007】
本発明の他の態様は、以下の説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、PDSP溶液の様々な製剤の安定性を評価するための試験プロトコルを示す概略図を示している。異なるPDSP溶液を試験デザインに従って調製した。PDSP溶液のpH値を1NのHClまたは2NのNaOHで調整し、0.2μmのシリンジフィルターでろ過し、それぞれを50mlのガラス瓶に入れた。ろ過したPDSP溶液を室温で1,150RPMで攪拌した。400μlのPDSP溶液の分取量を異なる時点(最初の7時間は30分ごと)で分取し、13,000rpmで遠心分離して沈殿の有無を観察した。さらにPDSP溶液の攪拌を続け、攪拌開始から10時間と24時間の時点で沈殿の有無を調べた。浮遊物、沈殿および濁りが現れた時刻を記録した。
【0009】
図2図2は、異なる賦形剤とpH値の10mMクエン酸緩衝液中で、連続攪拌条件下で調製したPDSP製剤の安定性試験の結果を示している。(A)0.85%NaClまたは334mMグリセリンを加えた10mMクエン酸中で、pH6.0で調製したPDSP(BRM421)。(B)334mMグリセリンを加えた10mMクエン酸中で、pH7.0調製したPDSP(BRM421)。これらの溶液をろ過後、室温で1,150RPMで攪拌し、最初の7時間は30分ごとに、そして10時間後と24時間後にも調査した。沈殿と濁りが現れた時間を表2に記録した。
【0010】
図3図3は、異なる濃度のホウ酸(BA)と303mMのグリセリンを用いて調製したPDSP(BRM421)製剤の連続攪拌条件下における安定性試験の結果を示している。15種類の異なる配合で調製したPDSPをそれぞれろ過後50mLビーカーに入れ、室温で1,150rpmで攪拌した。これらの溶液を、最初の7時間は30分ごとに、そして10時間後、12.5時間後と24時間後にも調査した。沈殿と濁りが現れた時間を記録した。
【0011】
図4図4は、異なる濃度のBAと303mMのグリセリンを用いて調製したPDSP製剤において、連続攪拌条件下で浮遊物、沈殿および濁りが現れた時間を示している。曲線1:浮遊物が現れた時間。曲線2:目に見える沈殿が現れた時間。曲線3:溶液の濁りが見られた時間。アスタリスク:40mMのBAと303mMのグリセリンで調製したBRM421では、この試験期間中(24時間)、浮遊物、沈殿および濁りは観察されなかった。観察は、7時間の攪拌中、30分ごとに行った。そして7時間後、10時間後、12.5時間後と24時間後にも観察を行った。7時間後、各現象が最初に観察された時間を記録した。
【0012】
図5図5は、連続攪拌条件下で、BA/グリセリンの異なる組み合わせで調製したDPSP溶液の安定性試験の結果を示している。8つの異なる濃度のBA/グリセリン溶液および2つのBAのみの溶液で調製したDPSPを、それぞれろ過後に50mLビーカーに入れ、室温で1,150rpmで攪拌した。これらの溶液を、最初の10時間は30分ごとに、そして24時間後にも調査した。
【0013】
図6図6は、異なるBA/グリセリン溶液の組み合わせで調製したPDSP溶液について、連続攪拌条件下で浮遊物、沈殿および濁りが現れた時間を示している。曲線1:浮遊物が現れた時間。曲線2:目に見える沈殿が現れた時間。曲線3:溶液の濁りが見られた時間。最初の10時間は30分ごとに観察した。10時間後、24時間後にも再度観察を行った。
【0014】
図7図7は、連続攪拌条件下で、9.46%のスクロースを含む異なる濃度のBAで調製したPDSP溶液の安定性試験の結果を示す。(A)4つの異なる配合で調製したPDSP(BRM421)をそれぞれろ過後50mLビーカーに入れ、室温で1,150RPMで攪拌した。これらの溶液を、最初の7時間は30分ごとに、そして10時間および24時間攪拌した後にも調査した。(B)連続攪拌条件下で、浮遊物、沈殿および濁りが現れた時間の折れ線グラフ。
【0015】
図8図8は、異なる濃度のホウ酸(BA)と4.29%のマンニトールで調製したPDSP(BRM421)の連続攪拌条件下での安定性試験結果を示す。(A)4つの異なる配合で調製したPDSPをそれぞれろ過後50mLビーカーに入れ、室温で1,150rpmで攪拌した。これらの溶液を、最初の7時間は30分ごとに、そして10時間と24時間攪拌した後にも調査した。(B)剪断力下で浮遊物、沈殿および濁りが現れる時間のチャート。
【0016】
図9A図9Aは、40mMのホウ酸(BA)と様々な濃度のソルビトール中のPDSP(BRM421)の剪断力下における安定性試験の結果を示している。これらの溶液を室温で1150RPMで攪拌し、30分ごとに9時間まで調べた。9時間後、BRM421を連続的に攪拌し、24時間後と33時間後にも濁りを調べた。326mMと336mMのソルビトールを加えた40mMのホウ酸中のBRM421の安定性を、攪拌後11時間から20時間までさらに調べた。浮遊物、沈殿および濁りが現れる時間を記録した。20mMヒスチジン/350mMニコチンアミド中のBRM421を参照コントロールとして用いた。
【0017】
図9B図9Bは、図9Aの試験による浮遊物、沈殿および濁りの出現時間を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、安定性が向上したPEDF由来の短いペプチド(PDSP)の製剤に関する。様々なヒトPDSPは、筋肉再生若しくは動脈形成、脱毛症及び/若しくは脱毛、変形性関節症、皮膚老化、肝硬変、又は眼の疾患若しくは状態を含む様々な疾患又は障害を治療又は予防するための有望な治療薬であることが見出された。そのようなPDSPの例として、表1に示すものを挙げることができる。

表1:PEDF由来短ペプチド(PDSP)の例
【表1】
【0019】
本発明の実施形態によれば、PDSPは、配列番号1、2、3、5、6、8、又は9であり得る。さらに、これらのペプチドのN末端は、任意選択でアシル化(例えば、アセチル又はプロピオニル)で保護されていてもよく、C末端は、任意選択でアミドとして保護されていてもよい。
【0020】
これらのPDSPはクエン酸緩衝液中で調製され、様々な前臨床研究において治療目的に有効であることが分かっている。しかしながら、これらの短いペプチドの調製物(例えば、BRM421、0.85%w/vのNaClを含む10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)中の29merPDSP(配列番号3))は、(数ヶ月にわたる)長期安定性を欠くことが見出された。
【0021】
化学的ストレス(例えば、酸化、加水分解など)及び物理的ストレス(例えば、温度、光、及び撹拌)を含む多くの要因が、特に長期保存におけるバイオ医薬品の品質及び安定性に影響を及ぼす可能性がある。異なる製剤のPDSPの安定性を調査するために、加速安定性試験を実施した。具体的には、最適な製剤を同定するために、ストレス条件下、特に剪断応力下で様々な製剤を試験した。広範な試験後、ホウ酸緩衝液内の製剤が、予想外にも、元のクエン酸緩衝製剤よりも非常に優れた長期安定性を有することが見出された。
【0022】
ホウ酸には穏やかな抗生物質特性があり、真菌や細菌感染の治療に使用できる。ホウ酸は、眼を洗浄または灌流するための洗眼薬として点眼液に使用されてきた。ホウ酸は目の炎症を和らげる効果もある。さらに、ホウ酸は、点眼液の緩衝剤および/または等張化剤としても機能する。本発明の実施形態は、ホウ酸のこれらの有益な効果、ならびにPDSP製剤の長期安定性を促進する予期せぬ能力を利用する。
【0023】
以下では、本発明の実施形態を説明するための具体例について説明する。しかしながら、当業者は、これらの特定の例が例示のためのものに過ぎず、本発明の範囲から逸脱することなく他の変更及び変形が可能であることを理解するであろう。例えば、以下の例では説明のためにBRM421 DP (29mer PDSP;配列番号3)を使用しているが、代わりに他のPDSPを使用してもよい。
1.クエン酸緩衝液(0.85%w/vのNaClを含む10mM作業クエン酸緩衝液、pH6.0)
【0024】
1.クエン酸緩衝液(0.85%w/vNaClを含む10mM実効クエン酸緩衝液、pH6.0)
クエン酸緩衝液は、所望の緩衝能とpH値を得るために、クエン酸およびクエン酸三ナトリウムから調製した。例えば、クエン酸一水和物(分子量210.14Da)(Merck社製)とクエン酸三ナトリウム二水和物(分子量294.12Da)(BioShop社製)を用いて、溶液Aと溶液Bをそれぞれ調製した。この2つの溶液を用いて、所望の濃度とpH値のクエン酸緩衝液を調製する。溶液Aと溶液Bの配合は、例えば以下の通りである。
溶液A(0.1Mクエン酸一水和物)(10ml):210.14Da×10/1000×0.1=0.21gクエン酸一水和物。クエン酸一水和物0.21gを量り、10mlの再蒸留水に溶かし、10mlの溶液Aのストックを作る。
溶液B(0.1Mクエン酸三ナトリウム二水和物)(10ml):294.12Da×10/1000×0.1=0.294gクエン酸三ナトリウム二水和物。クエン酸三ナトリウム二水和物0.294gを量り、10mlの再蒸留水に溶かし、10mlの溶液Bのストックを作る。
【0025】
例として、10倍のpH6.0のクエン酸緩衝液ストックを調製するために、1.15mlの溶液Aと8.85mlの溶液Bを混合し、0.1Mクエン酸緩衝液10mLを得た。次に、10mlの0.1Mクエン酸緩衝液ストックを90mlの再蒸留水で希釈し、10mMの実効クエン酸緩衝液100ml(1倍溶液)を調製した。0.85%w/vのNaClを含む10mMクエン酸緩衝液を調製するため、0.85gのNaClを10mMの実効クエン酸緩衝液100mlに添加した。使用前にpHを測定し、試験デザインに基づいて調整した。
【0026】
2.ホウ酸緩衝液(0.77%w/vNaClまたは303mMグリセリンまたは9.46%w/vスクロースまたは4.29%w/vマンニトールを含む、1~923mMホウ酸緩衝液、pH7.0)。
本発明の製剤は、様々なホウ酸緩衝液中で調製される。試験のためにpH7.0で様々な濃度の20mLのホウ酸緩衝液を調製するには、以下の式を使用して必要なホウ酸の量を計算することができる。61.83(Da)×0.000001×X(mM)×Y(最終溶液mL)=BA(g)。具体的には、以下のホウ酸緩衝液を準備した。0.01mM、0.1mM、1mM、10mM、20mM、30mM、40mM、45mM、50mM、80mM、100mM、280mM、290mM、500mM、800mMおよび923mM(923mMは25℃の水中におけるBAの飽和濃度)。
【0027】
眼科用製剤には、NaCl、スクロース、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなど、さまざまな等張化剤が使用されてきた。例えば、このような等張化剤を用いて20mLのpH7.0のホウ酸(BA)溶液を調製するために、異なる量のBAを15mLの再蒸留水に溶解し、512.6μlの87%グリセリン、または0.154gのNaCl、または1.892gのスクロース、または0.858gのマンニトールをBA溶液に添加し、それぞれ303mMのグリセリン、0.77%のNaCl、9.46%のスクロース、4.29%のマンニトールを含むホウ酸緩衝液を調製した。緩衝液のpH値は、2NのNaOHを用いてpH7.0に調整した。pH値調整のための2NのNaOHの容量を記録し、その後再蒸留水を合計20ml加えた。
【0028】
3.異なる濃度のホウ酸(0.01~280mM)とグリセリンを用いたpH7.0のBA/グリセリン緩衝液の調製
グリセリンは等張化剤であり、眼科製剤の潤滑剤としても使用される。そこで、異なる濃度のホウ酸緩衝液中のグリセリンを調製し、BR421DP製剤の安定性を検討した。これらのホウ酸緩衝液において、グリセリンの量は実質的に同じ張度を維持するように以下のように調整した。XmMのホウ酸緩衝液に必要なグリセリンの濃度(%)は、以下の式を用いて計算することができる。
{100-[(X(mM)÷40)×14.2]}÷100×2.6=グリセリン%
例:(この研究で使用したグリセリンは87%溶液である)
0.01mMBA/353mMグリセリン:{100-[(0.01÷40)×14.2]}÷100×2.6=2.5999077%
グリセリン=597.68μl/20ml(すなわち、総量20mlで2.5999077%グリセリンを得るためには、597.68μlの87%グリセリン溶液が必要である)
10mMBA/341mMグリセリン:{100-[(10÷40)×14.2]}÷100×2.6=2.5077%
グリセリン=576.48μl/20ml(すなわち、総量20mlで2.5077%のグリセリンを得るためには、576.48μlの87%グリセリン溶液が必要である)
20mMBA/328mMグリセリン:{100-[(20÷40)×14.2]}÷100×2.6=2.4154%
グリセリン=555.26μl/20ml(すなわち、総量20mlで2.4154%のグリセリンを得るためには、555.26μlの87%グリセリン溶液が必要である)
30mMBA/316mMグリセリン:{100-[(30÷40)×14.2]}÷100×2.6=2.3231%
グリセリン=534.05μl/20ml(すなわち、総量20mlで2.3231%のグリセリンを得るためには、534.05μlの87%グリセリン溶液が必要である。)
50mMBA/291mMグリセリン:{100-[(50÷40)×14.2]}÷100×2.6=2.1385%
グリセリン=491.61μl/20ml(すなわち、総量20mlで2.1385%のグリセリンを得るためには、491.61μlの87%グリセリン溶液が必要である)
80mMBA/253mMグリセリン:{100-[(80÷40)×14.2]}÷100×2.6=1.8616%
グリセリン=427.95μl/20ml(すなわち、総量20mlで1.8616%のグリセリンを得るためには、427.95μlの87%グリセリン溶液が必要である)
100mM BA/228mMグリセリン:{100-[(100÷40)×14.2]}÷100×2.6=1.677%
グリセリン=385.52μl/20ml(すなわち、総量20mlで1.677%のグリセリンを得るためには、385.52μlの87%グリセリン溶液が必要である)
280mMBA/2mMグリセリン:{100-[(280÷40)×14.2]}÷100×2.6=0.0156%
グリセリン=3.59μl/20ml(すなわち、総量20mlで0.0156%のグリセリンを得るためには、3.59μlの87%グリセリン溶液が必要である)
【0029】
20mLのpH7.0のBA緩衝液を調製するため、異なる量のBA(上述の通り)と異なる量のグリセリンを、上述の通り15mLの再蒸留水に溶解した。この緩衝液のpH値を2NのNaOHを用いてpH7.0に調整した。pH値調整のための2NのNaOHの容量を記録し、その後再蒸留水を合計20mL加えた。
【0030】
4.異なる配合のPDSP(BM421DP)の調製
これらの実施例で用いたPDSPはBRM421で、N末端がアセチル化され、C末端がアミド化された短い合成ペプチド(29mer;SEQ ID NO:3)である。他のPDSPも同様に調製することができる。BM421ペプチドはBachem社(カリフォルニア州トーランス、ロット:7003945、ペプチド含量88.6%)によって合成され、特性が評価された。BRM421の分子量は3243.6Daである。例として、以下の研究のためのBRM421DP溶液中のBRM421濃度は、上記の緩衝液/溶液中0.03%w/vである。20mL溶液の計算式は以下の通りである。
0.03%BRM421=0.03g/100ml=0.0003g/ml
0.0003g÷ペプチド含有率88.6%=0.0003386g
0.0003386×20=0.006772g
例:20mlBA緩衝液またはクエン酸緩衝液+0.006772gBachemBRM421=20ml、0.03%BRM421DP
【0031】
BRM421DPのpH値をBRM421が溶液中に完全に溶解した後に測定し、試験デザインに従って7.0または6.0に調整した。試験で使用する前に、BRM421DPを0.2μmのシリンジフィルターでろ過する必要がある。異なる濃度のPDSPも同様に調製することができる。
【0032】
5.異なる配合で調製したBRM421DPの剪断力に対する耐性評価
本発明者らは、クエン酸緩衝液中のPDSPの以前の製剤が(数ヶ月にわたる)長期保存において安定ではないことに気付いた。安定性に対する異なる製剤の効果を試験するために、様々なPDSP製剤を、変化を早めるべく、ストレス条件(例えば、せん断応力)
【0033】
これらの試験のために、異なる緩衝液と賦形剤(表2に示す)で調製した20ミリリットルのPDSP(BRM421)を、それぞれろ過後に50mLビーカーに入れた。そして、溶液を室温で1,150RPMで攪拌し、観察した。PDSP溶液を400μlずつ、30分毎に7時間まで1.5mlエッペンドルフチューブに分取した。回収したサンプルを13,000rpmで5分間遠心分離し、沈殿の有無を評価した。連続観察後、24時間までPDSP溶液の攪拌を続け、沈殿の有無を調べた。10時間攪拌後と24時間攪拌後の溶液の外観と生じうる沈殿を調べた。浮遊物、沈殿、濁りが現れた時刻を記録した。実験手順を図1に示す。
表2:本研究で試験した製剤のリスト
【表2-1】
【表2-2】
【0034】
結果
1.0.85%w/vのNaClを含むpH6.0の10mMクエン酸緩衝液で調製したBRM421PDの剪断力に対する耐性
BRM421DPの当初の配合は、0.85%w/vのNaCl、pH6.0の10mMクエン酸緩衝液であった。この配合は、様々な前臨床試験においては問題が無かった。しかし、この配合では長期間(何ヶ月も)保存すると濁りが生じた。そこで、強制凝集法を用いてその安定性を調べ、剪断力に対する耐性を明らかにした。図2に示すように、攪拌前の溶液は濁りが無く透明であった(図2上段)。この配合では、攪拌開始から1時間前後で浮遊物が見られた(図2左図および表3)。攪拌開始から1.5時間後と2.5時間後に、それぞれ沈殿と濁液が観察された。これらの観察は、他の製剤との比較のためのベースラインとして使用される。
表3:異なる配合で調製されたBRM421DPの攪拌条件下における安定性
【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】
この2組の研究は、結果を確認するために2回実施され、どちらの研究からも同じ結果が得られた。
【0035】
2.BA系緩衝液とクエン酸系緩衝液で調製したBRM421DPの剪断力に対する耐性
攪拌条件下でBA緩衝液とクエン酸緩衝液で調製したBRM421DPの安定性を評価するために、334mMグリセリンを含む10mM、pH6.0またはpH7.0のクエン酸緩衝液と、303mMグリセリンを含む40mM、pH7.0のBA緩衝液を比較のために選択した。これら2つの製剤間のグリセリン濃度の違いは、BA緩衝液とクエン酸緩衝液の浸透圧が異なるためであり、すなわち、同じ張度を保つためには異なる量のグリセリンが必要であるためである。クエン酸系緩衝液で調製したBRM421DPでは、どのようなpH値であっても、攪拌後4.5~5時間以内に浮遊物と沈殿が見られた(図2Bおよび表3)。しかし、BA系緩衝液で調製したBRM421DPでは、24時間攪拌しても浮遊物も沈殿も観察されなかった(図3および表3)。これらのデータは、BAがBRM421DPにより適したベース緩衝液であることを示している。
【0036】
3.303mMグリセリンと異なる濃度のBA溶液中で調製したBRM421DPの剪断力に対する耐性
どの濃度のBAが安定性により優れているかを調べるため、BRM421DP製剤を、303mMのグリセリンとともに15種類の異なる濃度のBA(0.01~923mM)で調製して試験を行った(表3)。0.01-、0.1-、1-、10-、20-、30-、40-、45-、50-、80-、100-、290-、500-、800-および923mMのBA/303mMのグリセリンで調製したBRM421DP製剤について、それぞれ攪拌後3、3.5、5.5、5、6.5、7-10、>24、12-24、7-10、6.5、6、5.5、6、および6時間後に浮遊物が観察された。(図3、4および表3)。
【0037】
我々の以前の研究では、10mMクエン酸緩衝液/0.85%NaClで調製したBRM421DP製剤中の浮遊物は粗く、解剖顕微鏡下で小さな粒子や繊維として確認できることが分かった。しかし、BA緩衝液で調製したBRM421DP製剤中の浮遊物は微細であり、解剖顕微鏡下でも粒子が見えず、溶液の透明性を低下させるだけであった。
【0038】
浮遊物が出現したときにも沈殿が観察されたかどうかを評価するために、遠心分離(13,000rpm、5分間)を行うべく、各BRM421DP製剤400μlを1.5mlのエッペンドルフチューブに採取した。図3に示すように、0.01-、0.1-、1-、10-、20-、30-、40-、45-、50-、80-、100-、290-、500-、800-、および923-mMBA/303mMグリセリンでそれぞれ調製したBRM421DP製剤の遠心分離開始後0.5、3.5、6、5、6.5、7-10、>24、12-24、7-10、6.5、6、5.5、5、6および6時間後に、目に見える沈殿が観察された(図3中段、図4および表3)。
【0039】
BRM421DP溶液を、浮遊物または沈殿が観察された後、溶液が濁るまで攪拌し続けた。図3に示すように、0.01-、0.1-、1-、10-、20-、30-、40-、45-、50-、80-、100-、290-、500-、800-および923mMBA/303mMグリセリンで調製したBRM421DP製剤が、5.5、5.5、7-10、7-10、7-10、>24、12-24、10-12.5、10-24、8.5、8.5、10-24および7-10時間後にそれぞれ濁った。(図3下段、図4、表3)。
【0040】
これらの製剤の中で、40mMBA/303mMのグリセリンで調製したBRM421DP製剤は、唯一24時間攪拌しても透明なままであった。(図3、4および表3)。
【0041】
これらの結果を総合すると、BRM421DP製剤に最も安定性を付与できる最適なBA濃度範囲は、約303mMのグリセリン存在下で約30~100mMであることが示唆される。
【0042】
4.グリセリン/BA溶液の組み合わせにより調製したBRM421DPの剪断力に対する耐性
浸透圧が剪断力に対する耐性に影響するかどうかを評価するため、8種類のBA/グリセリンの組み合わせ、および2種類のBAのみの緩衝液で調製したBRM421DP製剤を検討した(表2)。図5に示すように、攪拌前の溶液はすべて濁りが無く透明であった(図5上段)。0.01/353-、10/341-、20/328-、30/316-、50/291-、80/253-、100/228-および280/2-mMのBA/グリセリン緩衝液で調製したBRM421DP溶液では、攪拌後、それぞれ2.5、5、6.5、7.5、6.5、4.5および4時間で浮遊物と沈殿が観察された。290mMおよび500mMのBAのみの緩衝液で調製したBRM421DPでは、攪拌後それぞれ5時間および4時間で浮遊物および沈殿が観察された(図5、6および表3)。
【0043】
0.01/353-、10/341-、20/328-、30/316-、50/291-、80/253-、100/228-および280/2-mMBA/グリセリン緩衝液で調製したBRM421DP製剤では、それぞれ攪拌後7、8.5、10、24、10、10および10時間で溶液が濁った。290mMおよび500mMのBAのみの緩衝液で調製したBRM421DP製剤では、溶液は攪拌後それぞれ8.5時間および8時間で濁った(図5下段、図6および表3)。これらの結果は、30mM付近のBAおよび316mM付近のグリセリン緩衝液組成物が、最良の安定性を提供することを示している。
【0044】
5.異なる賦形剤を添加したBA緩衝液中で調製したBRM421DP製剤の剪断力に対する耐性
他の賦形剤(グリセリン以外)もBA緩衝液と作用して製剤の安定性を改善できるかどうかを評価するために、NaCl、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを賦形剤とする40mMのBA系の緩衝液でBRM421DP製剤を調製した。
【0045】
図7および表3に示すように、9.46%のスクロースを含む10-、40-、50-および100-mMのBA緩衝液で調製したBRM421DP製剤では、浮遊物はそれぞれ攪拌後7、10、7および7時間で認められた。また、4.29%マンニトールを含む10-、40-、50-および100-mMBA緩衝液で調製したBRM421DP製剤では、浮遊物はそれぞれ攪拌後5、4.5、3.5および2時間で認められた(図8および表3)。BA/スクロースおよびBA/マンニトールのいずれにおいても、40mMBA/303mMグリセリンよりも浮遊物が出現する時間が早く、これらの賦形剤はBRM421DP製剤の安定化にはあまり適していないことが示唆された。
【0046】
図9Aおよび図9Bおよび表3に示すように、40mのMBAとソルビトール(180mM~380mM)で調製したBRM421DP製剤では、ソルビトール濃度が316~346mM付近、特に約326mMのソルビトールが最も安定な製剤であることが見出された。例えば、326mMのソルビトールと40mMのBAでは、攪拌後12時間頃に溶液中に浮遊物が見られ、攪拌後33時間頃に沈殿が観察され、攪拌後33時間頃に濁りが観察された。
【0047】
これらの結果を総合すると、ホウ酸緩衝液中のBRM421にはイオン性等張化剤よりも非イオン性等張化剤の方が適しており、BRM421DPの賦形剤としてはスクロースやマンニトールよりもソルビトールやグリセリンの方が適していることが示唆される。
【0048】
上記の例は、ソルビトール、グリセリンまたはその他の等張化剤を含むホウ酸系緩衝液を添加したPDSPの製剤が、クエン酸系緩衝液を添加した元の製剤と比較して、安定性を劇的に改善できることを明確に示している。例えば、10mMクエン酸/0.85%NaClで調製したBRM421DP製剤は攪拌後1時間以内に沈殿が生じたが、0.77%NaClを含む40mMBAで調製したBRM421DP製剤は5時間攪拌後に沈殿が観察された。
【0049】
NaCl(等張化剤)を非イオン性等張化剤(例えば、ソルビトールまたはグリセリン)に置き換えると、製剤の安定性は大幅に改善された。例えば、10mMクエン酸/334mMグリセリンで調製したBRM421DP製剤(4.5時間)と0.01mMBA/303mMグリセリンで調製したBRM421DP製剤(3時間)では、0.01mMBAは緩衝力が極めて低く、沈殿が出現するまでの時間は同様であった。40mMBA/303mMグリセリンで調製したBRM421DP製剤では、室温で24時間攪拌しても浮遊物も沈殿も観察されなかった。これらのデータから、BRM421DP製剤のベース緩衝液としては、クエン酸塩よりもBAの方が格段に優れていることが示された。
【0050】
異なる濃度の等張化剤(例えばグリセリン)がBRM421DP製剤の安定性に影響を与えるかどうかをさらに評価するために、同じ浸透圧になるようにBAとグリセリンの異なる組み合わせを選択し、これらの緩衝液中におけるBRM421DP製剤の安定性を攪拌により試験した。BAとグリセリンのすべての組み合わせの中で、20~100mMBAと228~328mMグリセリンの組み合わせがより安定であった。特に、BAと303mMグリセリンを組み合わせた製剤は、沈殿が出現した時間から見て最も安定性が高かったが、他の組み合わせでは沈殿がすぐに出現するか、ほぼ同時に出現した。この観察から、BA緩衝液で調製したBRM421DP製剤については、303mM付近のグリセリンがより良い選択であることがさらに確認された。同様に、40mMBAと316~336mMソルビトールでは、より安定した製剤が得られることがわかった。特に、約326mMソルビトールと40mMBAでは、非常に安定した製剤が得られた。
【0051】
ベースとなる緩衝液に加えて、グリセリン以外の賦形剤の種類と濃度についても、BRM421DP製剤の安定性を促進する能力について検討した。調査した38製剤のうち、9.46%スクロース緩衝液で懸濁物が現れるまでの平均時間は少なくとも7時間であり、これはマンニトールやNaClよりも良好であったが、グリセリンよりも悪かった。40mMBA/0.77%w/vNaClの結果と比較すると、グリセリン、ソルビトール、スクロース、マンニトールなどの非イオン性等張化剤は、イオン性等張化剤よりも良好な結果を示した。これらの結果から、本発明の実施形態では、好ましくは非イオン性等張化剤、例えばグリセリン、スクロース、ソルビトール、マンニトールを使用する。
【0052】
本発明の実施形態は、限られた数の例を用いて例示されている。当業者は、これらの実施例が例示のみのためであり、本発明の範囲から逸脱することなく他の変更及び変形が可能であることから、本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
【配列表】
2024504698000001.app
【国際調査報告】