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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】抗KIT抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240125BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240125BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240125BHJP
   C07K 16/40 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240125BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240125BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20240125BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240125BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C12N15/13
A61P3/04
A61P11/06
A61P1/04
A61P29/00
A61P37/08
A61P17/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K47/68
A61K39/395 P
C07K16/40 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/02
C12P21/08
G01N33/53 Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544273
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022013365
(87)【国際公開番号】W WO2022159737
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/238,649
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/140,642
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517224458
【氏名又は名称】セルデックス セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ゴールドステイン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ79
4B064AG26
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC03
4C076CC18
4C076CC27
4C076CC41
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA891
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC202
4C084ZC412
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB11
4C085BB22
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、受容体チロシンキナーゼであるKITに免疫特異的に結合する抗体、及びその使用である。また提供されるのは、そのような抗体をコードするポリヌクレオチド及びベクター、そのようなポリヌクレオチド又はベクターを含む細胞、並びにそのような抗体を作製する方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、前記抗体。
【請求項2】
前記改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
(i)前記VLが、アミノ酸配列:
【化1】
(ここで、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK2は、脂肪族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、かつXK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含み;
(ii)前記VHが、アミノ酸配列:
【化2】
(ここで、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、かつXH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)を含む、
請求項1又は2記載の抗体。
【請求項4】
XK1が、アミノ酸F又はSであり、XK2が、アミノ酸A又はSであり、XK3が、アミノ酸T又はSであり、XK4が、アミノ酸S又はPであり、XK5が、アミノ酸D又はTであり、XK6が、アミノ酸F又はYであり、XH1が、アミノ酸L又はVであり、XH2が、アミノ酸L又はVであり、XH3が、アミノ酸K又はRであり、XH4が、アミノ酸V又はAであり、XH5が、アミノ酸L又はIであり、XH6が、アミノ酸E又はDであり、XH7が、アミノ酸Q又はEであり、かつXH8が、アミノ酸S又はTである、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
(i)前記VLが、配列番号13、14、15又は16のアミノ酸配列を含み、かつ
(ii)前記VHが、配列番号8、9、10、11又は12のアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の抗体。
【請求項6】
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項7】
(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項8】
アミノ酸配列:
【化3】
を含む重鎖を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項9】
アミノ酸配列:
【化4】
を含む軽鎖を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項10】
アミノ酸配列:
【化5】
を含む重鎖;及びアミノ酸配列:
【化6】
を含む軽鎖を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の抗体。
【請求項11】
薬剤に連結された請求項1~10のいずれか一項記載の抗体を含むコンジュゲート。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項記載の抗体、又は請求項11記載のコンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項記載の抗体、又は前記抗体のVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせ。
【請求項14】
請求項13記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせを含むベクター又はベクターの組み合わせ。
【請求項15】
請求項14記載のベクターもしくはベクターの組み合わせ又は請求項13記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせを含む宿主細胞。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか一項記載の抗体、請求項11記載のコンジュゲート、又は請求項12記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項17】
KIT関連障害を予防、治療又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~10のいずれか一項記載の抗体、請求項11記載のコンジュゲート、又は請求項12記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
前記KIT関連障害が、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記KIT関連障害が、肥満細胞関連障害である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記肥満細胞関連障害が、慢性蕁麻疹である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、請求項20記載の方法。
【請求項26】
前記KIT関連障害が、好酸球関連障害である、請求項18記載の方法。
【請求項27】
前記対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項17~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する方法であって、前記細胞を、請求項1~10のいずれか一項記載の抗体、請求項11記載のコンジュゲート、又は請求項12記載の医薬組成物の有効量と接触させることを含む、前記方法。
【請求項30】
前記方法が、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%阻害する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
KIT関連障害を有する対象を診断するインビトロ法であって、前記対象から得られた細胞又は試料を、請求項1~10のいずれか一項記載の抗体と接触させること、及び前記細胞又は前記試料中のKITの発現レベルを検出することを含む、前記インビトロ法。
【請求項32】
抗体を作製する方法であって、請求項15記載の宿主細胞を培養すること、及び/又は前記抗体を、前記宿主細胞を用いて発現させることを含む、前記方法。
【請求項33】
前記宿主細胞から得られた抗体を精製することをさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
対象における慢性蕁麻疹を予防、治療又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、(1)ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、(2)薬剤に連結された該抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート、又は(3)前記抗体もしくはその抗原結合断片もしくは前記コンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
前記ヒトKITが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、請求項34又は35記載の方法。
【請求項37】
前記抗体が、改変Fc領域又はドメインを含む、請求項34~36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
前記抗体が、改変ヒトFc領域又はドメインを含む、請求項34~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
前記抗体が、低下したFc受容体結合活性を有する、請求項34~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
前記抗体が、低下したFcγR結合活性を有する、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、請求項33~40のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、請求項33~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、請求項33~42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
前記慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、請求項44記載の方法。
【請求項48】
前記慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、請求項43記載の方法。
【請求項49】
前記対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項33~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、請求項49記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2021年1月22日に出願された米国仮出願第63/140,642号及び2021年8月30日に出願された米国仮出願第63/238,649号の恩典を主張する。
【0002】
(電子提出される配列表への言及)
本出願は、2022年1月10日に作成され、サイズが44,171バイトである、「Seqlisting_12638-170-228.txt」と題するテキストファイルとして本出願と共に提出されている配列表を引用により組み込む。
【0003】
(1.分野)
本明細書に提供されるのは、受容体チロシンキナーゼであるKITに免疫特異的に結合する抗体、及びその使用である。また提供されるのは、そのような抗体をコードするポリヌクレオチド及びベクター、そのようなポリヌクレオチド又はベクターを含む細胞、並びにそのような抗体を作製する方法である。
【背景技術】
【0004】
(2.背景)
KIT(又はc-Kit)は、c-kit遺伝子によってコードされるIII型受容体チロシンキナーゼである。KITは、5つの細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、単一の膜貫通領域、抑制性細胞質膜近傍ドメイン、及びキナーゼ挿入セグメントによって隔てられた分割された細胞質キナーゼドメインを含む(例えば、Yardenらの文献、Nature, 1986, 323:226-232; Ullrich及びSchlessingerの文献、Cell, 1990, 61:203-212; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。KIT受容体をコードするヒトc-kit遺伝子は、Yardenらの文献、EMBO J., 1987, 6:3341-3351に記載されているようにクローニングされた。KITは、幹細胞因子(「SCF」)リガンド(別名、Steel因子又はKitリガンド)の受容体であるので、CD117又は幹細胞因子受容体(「SCFR」)としても知られている。SCFリガンドのKITの最初の3つの細胞外Ig様ドメインへの結合は、受容体二量体化を誘導し、それにより、膜近傍ドメイン及びキナーゼドメイン中の特定のチロシン残基のリン酸化を通じて固有のチロシンキナーゼ活性を活性化する(例えば、Weiss及びSchlessingerの文献、Cell, 1998, 94:277-280; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。Stat、Src、ERK、及びAKTシグナル伝達経路のメンバーは、KITシグナル伝達の下流シグナル伝達物質であることが示されている。
【0005】
KITの4番目(D4)及び5番目(D5)の細胞外Ig様ドメインは、受容体二量体化を媒介すると考えられている(例えば、国際特許出願公開WO 2008/153926号; Yuzawaらの文献、Cell, 2007, 130:323-334を参照されたい)。
【0006】
KITの発現は、肥満細胞、幹細胞、脳細胞、メラニン芽細胞、卵巣細胞、及び癌細胞(例えば、白血病細胞)などの様々な細胞型で検出されている(例えば、Besmer, P.の文献、Curr. Opin. Cell Biol., 1991, 3:939-946; Lymanらの文献、Blood, 1998, 91:1101-1134; Ashman, L. K.の文献、Int. J. Biochem. Cell Biol., 1999, 31:1037-1051; Kitamuraらの文献、Mutat. Res., 2001, 477:165-171; Molらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。さらに、KITは、造血、メラニン形成、及び配偶子形成に重要な役割を果たしている(Uedaらの文献、Blood, 2002, 99:3342-3349を参照されたい)。
【0007】
ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体は、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国際特許公開WO2014018625A1から公知である。
【0008】
ヒトKITに対する改善された抗体を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
(3.概要)
一態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、前記抗体である。具体的な実施態様において、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む。
【0010】
具体的な実施態様において、(i)該抗体のVLは、アミノ酸配列:
【化1】
(ここで、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK2は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含み;(ii)該抗体のVHは、アミノ酸配列:
【化2】
(ここで、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、XH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)
を含む。具体的な実施態様において、XK1は、アミノ酸F又はSであり、XK2は、アミノ酸A又はSであり、XK3は、アミノ酸T又はSであり、XK4は、アミノ酸S又はPであり、XK5は、アミノ酸D又はTであり、XK6は、アミノ酸F又はYであり、XH1は、アミノ酸L又はVであり、XH2は、アミノ酸L又はVであり、XH3は、アミノ酸K又はRであり、XH4は、アミノ酸V又はAであり、XH5は、アミノ酸L又はIであり、XH6は、アミノ酸E又はDであり、XH7は、アミノ酸Q又はEであり、XH8は、アミノ酸S又はTである。
【0011】
具体的な実施態様において、(i)該抗体のVLは、配列番号13、14、15又は16のアミノ酸配列を含み、(ii)該抗体のVHは、配列番号8、9、10、11又は12のアミノ酸配列を含む。
【0012】
具体的な実施態様において、該抗体は、(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び(iii) Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む。
【0013】
具体的な実施態様において、該抗体は、(i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び(iii) Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む。
【0014】
具体的な実施態様において、該抗体は、アミノ酸配列:
【化3】
を含む重鎖を含む。
【0015】
具体的な実施態様において、該抗体は、アミノ酸配列:
【化4】
を含む軽鎖を含む。
【0016】
具体的な実施態様において、該抗体は、(i)アミノ酸配列:
【化5】
を含む重鎖;及び(ii)アミノ酸配列:
【化6】
を含む軽鎖を含む。
【0017】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、薬剤に連結された、本明細書に提供される抗体を含むコンジュゲートである。
【0018】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗体又はコンジュゲート及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。
【0019】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗体、又は前記抗体のVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせである。
【0020】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせを含むベクター又はベクターの組み合わせである。
【0021】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるベクターもしくはベクターの組み合わせ、又は本明細書に提供されるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせを含む宿主細胞である。
【0022】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗体、本明細書に提供されるコンジュゲート、又は本明細書に提供される医薬組成物を含むキットである。
【0023】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、KIT関連障害を予防、治療又は管理するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に提供される抗体、本明細書に提供されるコンジュゲート、又は本明細書に提供される医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害である。特定の実施態様において、肥満細胞関連障害は、慢性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性誘発性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、寒冷蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、症候性皮膚描記症である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、コリン作動性蕁麻疹である。別の実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性自然発生蕁麻疹である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE)である。
【0024】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、第2の治療剤は、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である。
【0025】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する方法であって、該細胞を、本明細書に提供される抗体、本明細書に提供されるコンジュゲート、又は本明細書に提供される医薬組成物の有効量と接触させることを含む、前記方法である。具体的な実施態様において、本方法は、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%阻害する。
【0026】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、KIT関連障害を有する対象を診断するインビトロ法であって、本明細書に提供される抗体と対象から得られた細胞又は試料とを接触させ、該細胞又は試料におけるKITの発現レベルを検出することを含む、前記インビトロ法である。
【0027】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、抗体を作製する方法であって、本明細書に提供される宿主細胞を培養すること、及び/又は該抗体を、本明細書に提供される宿主細胞を用いて発現させることを含む、前記方法である。具体的な実施態様において、本方法は、前記宿主細胞から得られた抗体を精製することをさらに含む。
【0028】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、KIT関連障害を予防、治療又は管理するための医薬の製造のための、本明細書に提供される抗体、本明細書に提供されるコンジュゲート、又は本明細書に提供される医薬組成物の使用である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害である。特定の実施態様において、肥満細胞関連障害は、慢性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性誘発性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、寒冷蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、症候性皮膚描記症である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、コリン作動性蕁麻疹である。別の実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性自然発生蕁麻疹である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE)である。
【0029】
ある実施態様において、本明細書に記載の医薬は、第2の治療剤と組み合わせて投与されるように製造される。具体的な実施態様において、第2の治療剤は、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である。
【0030】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するための医薬の製造のための、本明細書に提供される抗体、本明細書に提供されるコンジュゲート、又は本明細書に提供される医薬組成物の使用である。具体的な実施態様において、該医薬は、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%阻害する。
【0031】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、KIT関連障害を予防、治療又は管理する方法で使用するための、本明細書に記載の抗体、本明細書に記載のコンジュゲート、又は本明細書に記載の医薬組成物である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害である。特定の実施態様において、肥満細胞関連障害は、慢性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性誘発性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、寒冷蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、症候性皮膚描記症である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、コリン作動性蕁麻疹である。別の実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性自然発生蕁麻疹である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE)である。
【0032】
ある実施態様において、本方法は、該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、第2の治療剤は、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である。
【0033】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する方法で使用するための、本明細書に記載の抗体、本明細書に記載のコンジュゲート、又は本明細書に記載の医薬組成物である。具体的な実施態様において、本方法は、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%阻害する。
【0034】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性蕁麻疹を予防、治療又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、(1)ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、(2)薬剤に連結された該抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート、又は(3)該抗体もしくはその抗原結合断片もしくは該コンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、ヒトKITは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該抗体は、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する。ある実施態様において、該抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメイン)を含む。ある実施態様において、該抗体は、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する。ある実施態様において、該抗体は、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない。ある実施態様において、該抗体は、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。ある実施態様において、該抗体は、(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。一実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性誘発性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、寒冷蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、症候性皮膚描記症である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、コリン作動性蕁麻疹である。別の実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性自然発生蕁麻疹である。
【0035】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、第2の治療剤は、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である。
【0036】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、対象における慢性蕁麻疹を予防、治療又は管理するための医薬の製造のための、(1)ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、(2)薬剤に連結された該抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート、又は(3)該抗体もしくはその抗原結合断片もしくは該コンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物の使用である。ある実施態様において、ヒトKITは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該抗体は、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する。ある実施態様において、該抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメイン)を含む。ある実施態様において、該抗体は、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する。ある実施態様において、該抗体は、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない。ある実施態様において、該抗体は、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。ある実施態様において、該抗体は、(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。具体的な実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性誘発性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、寒冷蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、症候性皮膚描記症である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、コリン作動性蕁麻疹である。別の実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性自然発生蕁麻疹である。
【0037】
ある実施態様において、本明細書に記載の医薬は、第2の治療剤と組み合わせて投与されるように製造される。具体的な実施態様において、第2の治療剤は、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である。
【0038】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、慢性蕁麻疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための、(1)ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、(2)薬剤に連結された該抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート、又は(3)該抗体もしくはその抗原結合断片もしくは該コンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。ある実施態様において、ヒトKITは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。ある実施態様において、該抗体は、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する。ある実施態様において、該抗体は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメイン)を含む。ある実施態様において、該抗体は、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する。ある実施態様において、該抗体は、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない。ある実施態様において、該抗体は、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。ある実施態様において、該抗体は、(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。具体的な実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性誘発性蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、寒冷蕁麻疹である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、症候性皮膚描記症である。一実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、コリン作動性蕁麻疹である。別の実施態様において、慢性蕁麻疹は、慢性自然発生蕁麻疹である。
【0039】
ある実施態様において、本方法は、該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、第2の治療剤は、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である。
(3.1 例示的な実施態様)
1. ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む軽鎖可変領域(「VL」);
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む重鎖可変領域(「VH」);並びに
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、前記抗体。
2. 該改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインが、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む、実施態様1記載の抗体。
3. (i)VLがアミノ酸配列:
【化7】
(ここで、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK2は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含み;かつ
(ii)VHがアミノ酸配列:
【化8】
(ここで、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、XH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)を含む、実施態様1又は2記載の抗体。
4. XK1が、アミノ酸F又はSであり、XK2が、アミノ酸A又はSであり、XK3が、アミノ酸T又はSであり、XK4が、アミノ酸S又はPであり、XK5が、アミノ酸D又はTであり、XK6が、アミノ酸F又はYであり、XH1が、アミノ酸L又はVであり、XH2が、アミノ酸L又はVであり、XH3が、アミノ酸K又はRであり、XH4が、アミノ酸V又はAであり、XH5が、アミノ酸L又はIであり、XH6が、アミノ酸E又はDであり、XH7が、アミノ酸Q又はEであり、XH8が、アミノ酸S又はTである、実施態様3記載の抗体。
5. i)VLが、配列番号13、14、15又は16のアミノ酸配列を含み、かつ
ii)VHが、配列番号8、9、10、11又は12のアミノ酸配列を含む、
実施態様1~4のいずれか一項記載の抗体。
6. (i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~5のいずれか一項記載の抗体。
7. (i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び
(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、実施態様1~5のいずれか一項記載の抗体。
8. アミノ酸配列:
【化9】
を含む重鎖を含む、実施態様1~5のいずれか一項記載の抗体。
9. アミノ酸配列:
【化10】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~5のいずれか一項記載の抗体。
10. アミノ酸配列:
【化11】
を含む重鎖;及びアミノ酸配列:
【化12】
を含む軽鎖を含む、実施態様1~5のいずれか一項記載の抗体。
11. 薬剤に連結された実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体を含むコンジュゲート。
12. 実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体、又は実施態様11記載のコンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
13. 実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体、又は前記抗体のVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせ。
14. 実施態様13記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせを含むベクター又はベクターの組み合わせ。
15. 実施態様14記載のベクターもしくはベクターの組み合わせ又は実施態様13記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせを含む宿主細胞。
16. 実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体、実施態様11記載のコンジュゲート、又は実施態様12記載の医薬組成物を含むキット。
17. KIT関連障害を予防、治療又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体、実施態様11記載のコンジュゲート、又は実施態様12記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
18. 該KIT関連障害が、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である、実施態様17記載の方法。
19. 該KIT関連障害が、肥満細胞関連障害である、実施態様18記載の方法。
20. 該肥満細胞関連障害が、慢性蕁麻疹である、実施態様19記載の方法。
21. 該慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、実施態様20記載の方法。
22. 該慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、実施態様21記載の方法。
23. 該慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、実施態様21記載の方法。
24. 該慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、実施態様21記載の方法。
25. 該慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、実施態様20記載の方法。
26. 該KIT関連障害が、好酸球関連障害である、実施態様18記載の方法。
27. 該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、実施態様17~26のいずれか一項記載の方法。
28. 前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、実施態様27記載の方法。
29. KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する方法であって、該細胞を、実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体、実施態様11記載のコンジュゲート、又は実施態様12記載の医薬組成物の有効量と接触させることを含む、前記方法。
30. 本方法が、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%阻害する、実施態様29記載の方法。
31. KIT関連障害を有する対象を診断するインビトロ法であって、該対象から得られた細胞又は試料を、実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体と接触させ、該細胞又は該試料中のKITの発現レベルを検出することを含む、前記インビトロ法。
32. 抗体を作製する方法であって、前記方法が、実施態様15の宿主細胞を培養すること、及び/又は該抗体を、該宿主細胞を用いて発現させることを含む、前記方法。
33. 前記宿主細胞から得られた抗体を精製することをさらに含む、実施態様32記載の方法。
34. KIT関連障害を予防、治療又は管理するための医薬の製造のための、実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体、実施態様11記載のコンジュゲート、又は実施態様12記載の医薬組成物の使用。
35. 該KIT関連障害が、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である、実施態様34記載の使用。
36. 該KIT関連障害が、肥満細胞関連障害である、実施態様35記載の使用。
37. 該肥満細胞関連障害が、慢性蕁麻疹である、実施態様36記載の使用。
38. 該慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、実施態様37記載の使用。
39. 該慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、実施態様38記載の使用。
40. 該慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、実施態様38記載の使用。
41. 該慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、実施態様38記載の使用。
42. 該慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、実施態様37記載の使用。
43. 該KIT関連障害が、好酸球関連障害である、実施態様35記載の使用。
44. 該医薬が、第2の治療剤と組み合わせて投与されるように製造される、実施態様34~43のいずれか一項記載の使用。
45. 前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、実施態様44記載の使用。
46. KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するための医薬の製造のための、実施態様1~10のいずれか一項記載の抗体、実施態様11記載のコンジュゲート、又は実施態様12記載の医薬組成物の使用。
47. 該医薬が、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%阻害する、実施態様46記載の使用。
48. KIT関連障害を予防、治療又は管理する方法で使用するための、実施態様1~10いずれか一項記載の抗体、実施態様11記載のコンジュゲート、又は実施態様12記載の医薬組成物。
49. 該KIT関連障害が、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である、実施態様48記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
50. 該KIT関連障害が、肥満細胞関連障害である、実施態様49記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
51. 該肥満細胞関連障害が、慢性蕁麻疹である、実施態様50記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
52. 該慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、実施態様51記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
53. 該慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、実施態様52記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
54. 該慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、実施態様52記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
55. 該慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、実施態様52記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
56. 該慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、実施態様51記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
57. 該KIT関連障害が、好酸球関連障害である、実施態様49記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
58. 本方法が、該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、実施態様48~57のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
59. 前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、実施態様58記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
60. KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する方法で使用するための実施態様1~10いずれか一項記載の抗体、実施態様11記載のコンジュゲート、又は実施態様12記載の医薬組成物。
61. 本方法が、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%阻害する、実施態様60記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
62. 対象における慢性蕁麻疹を予防、治療又は管理する方法であって、それを必要とする対象に、(1)ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、(2)薬剤に連結された該抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート、又は(3)該抗体もしくはその抗原結合断片もしくは該コンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
63. ヒトKITが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施態様62記載の方法。
64. 該抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、実施態様62又は63記載の方法。
65. 該抗体が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含む、実施態様62~64のいずれか一項記載の方法。
66. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメインを含む、実施態様62~65のいずれか一項記載の方法。
67. 該抗体が、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する、実施態様62~66のいずれか一項記載の方法。
68. 該抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、実施態様62~67のいずれか一項記載の方法。
69. 該抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、実施態様62~68のいずれか一項記載の方法。
70. 該抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、実施態様62~69のいずれか一項記載の方法。
71. 該慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、実施態様70記載の方法。
72. 該慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、実施態様71記載の方法。
73. 該慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、実施態様71記載の方法。
74. 該慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、実施態様71記載の方法。
75. 該慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、実施態様70記載の方法。
76. 該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、実施態様70~75のいずれか一項記載の方法。
77. 前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、実施態様76記載の方法。
78. 対象における慢性蕁麻疹を予防、治療又は管理するための医薬の製造のための、(1)ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、(2)薬剤に連結された該抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート、又は(3)該抗体もしくはその抗原結合断片もしくは該コンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物の使用。
79. ヒトKITが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施態様78記載の使用。
80. 該抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、実施態様78又は79記載の使用。
81. 該抗体が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含む、実施態様78~80のいずれか一項記載の使用。
82.該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメイン)を含む、実施態様78~81のいずれか一項記載の使用。
83. 該抗体が、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する、実施態様78~82のいずれか一項記載の使用。
84. 該抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、実施態様78~83のいずれか一項記載の使用。
85. 該抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、実施態様78~84のいずれか一項記載の使用。
86. 該抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、実施態様78~85のいずれか一項記載の使用。
87. 該慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、実施態様86記載の使用。
88. 該慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、実施態様87記載の使用。
89. 該慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、実施態様87記載の使用。
90. 該慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、実施態様87記載の使用。
91. 該慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、実施態様86記載の使用。
92. 該医薬が、第2の治療剤と組み合わせて投与されるように製造される、実施態様86~91のいずれか一項記載の使用。
93. 前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、実施態様92記載の使用。
94. 対象における慢性蕁麻疹を予防、治療又は管理する方法で使用するための、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体もしくはその抗原結合断片、薬剤に連結された該抗体もしくはその抗原結合断片を含むコンジュゲート、又は抗体もしくはその抗原結合断片もしくは該コンジュゲート、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
95. ヒトKITが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施態様94記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
96. 該抗体が、ヒトKITのD4又はD5領域に特異的に結合する、実施態様94又は95記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
97. 該抗体が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインを含む、実施態様94~96のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
98. 該抗体が、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメインを含む、実施態様94~97のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
99. 該抗体が、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有する、実施態様94~98のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
100. 該抗体が、FcgRIを発現するヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない、実施態様94~99のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
101. 該抗体が、顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない、実施態様94~100のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
102. 該抗体が、
(A)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(B)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(C)(i)それぞれ、配列番号28、配列番号29、及び配列番号30のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号25、配列番号31、及び配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;
(D)(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号33、配列番号34、及び配列番号27のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;又は
(E)(i)それぞれ、配列番号35、配列番号36、及び配列番号37のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)それぞれ、配列番号38、配列番号39、及び配列番号40のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む、実施態様94~101のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
103. 該慢性蕁麻疹が、慢性誘発性蕁麻疹である、実施態様102記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
104. 該慢性誘発性蕁麻疹が、寒冷蕁麻疹である、実施態様103記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
105. 該慢性誘発性蕁麻疹が、症候性皮膚描記症である、実施態様103記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
106. 該慢性誘発性蕁麻疹が、コリン作動性蕁麻疹である、実施態様103記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
107. 該慢性蕁麻疹が、慢性自然発生蕁麻疹である、実施態様102記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
108. 本方法が、該対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、実施態様102~107のいずれか一項記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
109. 前記第2の治療剤が、化学療法剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗体、サイトカイン、チロシンキナーゼ阻害剤、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、又は抗炎症剤である、実施態様108記載の使用のための抗体、コンジュゲート、又は医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0040】
(4.図面の簡単な説明)
図1図1は、全長ヒトKIT(配列番号1)、GenBank(商標)アクセッション番号AAC50969のアミノ酸配列を示す。1番目から5番目までの細胞外Ig様ドメイン(すなわち、D1、D2、D3、D4、及びD5)が示されている;「{」は、各ドメインのアミノ末端残基を示し、「}」は、各ドメインのカルボキシル末端残基を示す。D1ドメインはP34~R112に示され、D2ドメインはD113~P206に示され、D3ドメインはA207~D309に示され、D4ドメインはK310~N410に示され、D4とD5の間のヒンジ領域はV409~N410に位置し、D5ドメインはT411~K509に示される。また、D1/D2ヒンジ領域はD113~L117に位置し; D2/D3ヒンジ領域はP206~A210に位置し; D3/D4ヒンジ領域はD309~G311に位置する。D4/D5領域は、K310~K509を含む。膜貫通ドメインは、残基F525~Q545を含み、キナーゼドメインは、残基K589~S933を含む。
【0041】
図2図2A~2Eは、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、血漿トリプターゼレベルに対する効果を示す。
【0042】
図3図3A及び3Bは、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、血漿トリプターゼレベルに対するさらなる効果を示す。
【0043】
図4図4は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、血漿幹細胞因子(SCF)レベルに対する効果を示す。
【0044】
図5図5は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、野生型KIT及び下流の細胞内シグナル伝達経路のSCF誘導活性化に対する効果を示す。
【0045】
図6図6は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、SCF依存性細胞増殖に対する効果を示す。
【0046】
図7図7は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、組換えヒトFc-ガンマ受容体(FcγR)及びヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に対する結合親和性を示す。
【0047】
図8図8A~8Nは、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、組換えヒトFc-ガンマ受容体(FcγR)及びヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に対する結合曲線を示す。図8Aは、FcγRIに対するmAb1の結合曲線を示す。図8Bは、FcγRIIaに対するmAb1の結合曲線を示す。図8Cは、FcγRIIbに対するmAb1の結合曲線を示す。図8Dは、FcγRIIIaに対するmAb1の結合曲線を示す。図8Eは、FcγRIIIbに対するmAb1の結合曲線を示す。図8Fは、FcRnに対するmAb1の結合曲線を示す(pH6.0)。図8Gは、FcRnに対するmAb1の結合曲線を示す(pH7.2)。図8Hは、FcγRIに対するmAbcの結合曲線を示す。図8Iは、FcγRIIaに対するmAbcの結合曲線を示す。図8Jは、FcγRIIbに対するmAbcの結合曲線を示す。図8Kは、FcγRIIIaに対するmAbcの結合曲線を示す。図8Lは、FcγRIIIbに対するmAbcの結合曲線を示す。図8Mは、FcRnに対するmAbcの結合曲線を示す(pH6.0)。図8Nは、FcRnに対するmAbcの結合曲線を示す(pH7.2)。
【0048】
図9図9は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1、及び同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列を有する対応する抗体mAbcの、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)活性に対する効果を示す。
【0049】
図10図10は、本発明による特定の抗KIT抗体であるmAb1の、特異的サイトカイン産生に対する効果を示す。各棒グラフに示される条件は、左から右に:PHA、LPS、huIgG1 (可溶性)、mAb1 0.02nM (可溶性)、mAb1 0.2nM (可溶性)、mAb1 40nM (可溶性)、mAb1 0.02nM (ドライコーティング)、mAb1 0.2nM (ドライコーティング)、及びmAb1 40nM (ドライコーティング)である。
【0050】
図11図11は、肥満細胞におけるKITシグナル伝達の役割及びKIT受容体に対するmAb1の作用を示す模式図である。
【0051】
図12図12A~12Dは、mAb1の単回投与が、慢性誘発性蕁麻疹(CIndU)患者における95%完全奏功(CR)率で迅速かつ持続的な応答をもたらしたことを示す。10/10の寒冷蕁麻疹(ColdU)患者がCRを達成した(図12A)。8/9の症候性皮膚炎(SD)患者がCRを達成し、1/9のSD患者が部分奏功(PR)を達成した(図12B)。CR=4℃以下での誘発試験が陰性又は0ピン;PR=4℃の改善又は2以上のピン;各患者に対する最大応答が示されている。ColdU患者における経時的なTempTest(登録商標)結果を図12Cに示す。完全ColdU患者(n=8)のうち、CRは、期間中央値の77日の間維持された(図12C)。SD患者における経時的なFricTest(登録商標)結果が図12Dに示されている。完全SD患者(n=6)のうち、CRは、期間中央値の57日の間維持された(図12D)。
【0052】
図13図13A~13Bは、医師の全体評価(Phys-GA)及び患者の全体評価(Pat-GA)によって証明される全体的な疾患改善を示す。0はなし、3は重篤の0~3のリッカートスケールを使用して、Phys-GA及びPat-GAは疾患の重症度を評価する。
【0053】
図14図14A~14Dは、mAb1処置が、皮膚肥満細胞及び血清トリプターゼを顕著に枯渇させたことを示す。図14Aは、mAb1が皮膚肥満細胞数を減少させたことを示す(n=14、*はp<0.05を意味し、**はp<0.01を意味し、***はp<0.001を意味し、****はp<0.0001を意味する)。図14Bは、mAb1が全患者において血清トリプターゼを検出限界以下まで低下させたことを示す(アッセイ定量限界以下(LLoQ=1ng/mL)のトリプターゼ値を0に正規化した)。図14Cは、肥満細胞及びトリプターゼ動態を示す。図14Dは、皮膚肥満細胞数が血清トリプターゼレベルと相関した(p<0.0001; R2=0.45)ことを示す。
【0054】
図15図15A~15Dは、皮膚肥満細胞及びトリプターゼ枯渇の動態が、誘発閾値の低下を反映したことを示す。図15Aは、ColdU患者における経時的な肥満細胞動態及びTempTest(登録商標)結果を示す。図15Bは、SD患者における経時的な肥満細胞動態及びFricTest(登録商標)結果を示す。図15Cは、ColdU患者における経時的なトリプターゼ動態及びTempTest(登録商標)結果を示す(LLoQ以下のトリプターゼ値を0に正規化した;4℃以下の臨界温度閾値(陰性試験)を3℃の値とした)。図15Dは、SD患者における経時的なトリプターゼ動態及びFricTest(登録商標)結果を示す。
【0055】
図16図16A~16Dは、血液学的パラメータがほとんどの場合正常範囲内にとどまり、ヘモグロビン及び白血球(WBC)パラメータの軽度の一時的かつ無症候性減少が認められたことを示す。図 16Aは、経時的なヘモグロビン(HgB)のレベルを示す。図16Bは、経時的なWBC数を示す。図16Cは、経時的な血小板数を示す。図16Dは、経時的な絶対好中球数(ANC)を示す。各グラフにおいて、斜線領域は、対応する正常範囲を表す。
【0056】
図17図17A~17Bは、3mg/kgのmAb1の単回投与が、寒冷蕁麻疹(ColdU)患者(n=10、図17Aを参照されたい)及び症候性皮膚描記症(SD)患者(n=10、図17Bを参照されたい)における蕁麻疹コントロールの迅速かつ持続的な改善をもたらしたことを示す。蕁麻疹コントロールテスト(UCT)スコア=16は、蕁麻疹の完全なコントロールを意味し、UCTスコア≧12は、蕁麻疹の良好にコントロールされた状態を意味し、UCTスコア<12は、コントロールが不十分な蕁麻疹の状態を意味する。各グラフには、平均UCTスコア±SEMが表示されている。
【0057】
図18図18A~18Bは、3mg/kgのmAb1の単回投与が、ColdU及びSD患者における蕁麻疹コントロールの迅速かつ持続的な改善をもたらしたことを示す。図18Aは、100%の患者が8週までに「十分にコントロールされた」状態(UCTスコア≧12)を達成したことを示す。図18Bは、63%の患者が8週までに「完全にコントロールされた」状態(UCTスコア=16)を達成したことを示す。
【0058】
図19図19A~19Bは、mAb1が、寒冷蕁麻疹(ColdU、n=10、図19Aを参照されたい)及び症候性皮膚描記症(SD、n=10、図19Bを参照されたい)を有する患者の生活の質に及ぼす疾患の影響を大幅に低減したことを示す。平均DLQIスコア±SEMが示されている。
【0059】
図20図20A~20Bは、mAb1が、寒冷蕁麻疹(ColdU)及び症候性皮膚描記症(SD)を有する患者の生活の質に及ぼす疾患の影響を大幅に低減したことを示す。図20Aは、93%の患者が、4週までに生活の質の臨床的に顕著な改善を達成したことを示す。:DLQI≧4点の低下は、最小の臨床的に重要な差異(MCID)である。*:ベースラインのDLQIスコアが4以上である患者のみを含めた。図20Bは、58%の患者が、4週までに生活の質に影響を及ぼす疾患がないことを報告したことを示す。:各週に提供された全ての応答を含めた。
【0060】
図21図21A~21Bは、3mg/kgのmAb1の単回投与が、95%完全奏功(CR)及び大幅なトリプターゼ低下を伴って、誘発試験において迅速かつ持続的な改善をもたらしたことを示す。図21Aは、mAb1が、95%の完全奏功で、誘発試験において迅速かつ持続的な改善をもたらしたことを示す。疾患活動性を、寒冷蕁麻疹(ColdU)についてはTempTest(登録商標)による臨界温度閾値(CTT)によって、及び症候性皮膚描記症(SD)についてはFricTest(登録商標)による臨界摩擦閾値(CFT)によって評価した。*:4℃以下の臨界温度閾値(陰性試験)を3℃の値とした。10/10のColdU及び9/10のSD患者が試験中にCRを経験した。CR=(ColdUについては)4℃以下での誘発試験が陰性又は(SDについては)0ピン。グラフには、平均値±SEMが示されている。図21Bは、mAb1が、迅速で、永続的で、かつ大幅なトリプターゼ低下をもたらしたことを示す。定量下限以下のトリプターゼ値(1ng/mL)を0に正規化した。グラフには平均値±SEMが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0061】
(5.詳細な説明)
本明細書に提供されるのは、ヒトKIT(例えば、ヒトKIT D4又はD5ドメインを含むKITポリペプチド)に免疫特異的に結合する抗体、及びその抗原結合断片、並びにそれらのコンジュゲートである。好ましい実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体、特に、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)、及び改善された薬物動態、FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の低下した脱顆粒及び/又は低下したFc受容体依存性KITアゴニスト活性を有する抗体である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗原結合断片である。また提供されるのは、そのような抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸(ポリヌクレオチド)である。さらに提供されるのは、そのような抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含むベクター(例えば、発現ベクター)及び細胞(例えば、宿主細胞)である。また提供されるのは、そのような抗体、細胞、例えば、宿主細胞を作製する方法である。また本明細書に提供されるのは、KIT関連障害もしくは疾患を予防、治療又は管理するための方法及び使用であって、本明細書に記載の抗体、又はその抗原結合断片又はそのコンジュゲートを投与することを含む、前記方法及び使用である。また本明細書に提供されるのは、KIT関連障害又は疾患を診断する方法であって、試料を本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片と接触させること、及び、参照試料(例えば、対照試料)と比べた該試料におけるKITの発現レベルを決定することを含む、前記方法である。さらに本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するための方法及び使用であって、該細胞を本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片の有効量と接触させることを含む、前記方法及び使用である。またさらに本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞における細胞分化もしくはアポトーシスを誘導又は増強する方法であって、該細胞を、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合性断片の有効量と接触させることを含む、前記方法である。
【0062】
本明細書で使用されるように、「投与する」又は「投与」は、物質(例えば、本明細書に提供されるヒト化抗KIT抗体もしくはその抗原結合断片)を、対象又は患者(例えば、ヒト)に、例えば、粘膜、局所、皮内、非経口、静脈内、筋肉内送達、及び/又は本明細書に記載のもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法によって注射するか又は別の方法で物理的に送達する行為を指す。
【0063】
本明細書で使用されるように、「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所与の疾患及び/又はそれに関連する症状の重症度及び/又は持続期間を低下させ及び/又は改善するのに十分である療法(例えば、本明細書に提供される抗体又は医薬組成物)の量を指す。これらの用語は、所与の疾患の発展もしくは進行の低下、遅延、又は改善、所与の疾患の再発、発生もしくは発症の低下、遅延、又は改善、及び/又は別の療法(例えば、本明細書に提供される抗KIT抗体以外の療法)の予防的もしくは治療的効果(複数可)の改善もしくは増強のために必要な量も包含する。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される「有効量」は、特定の結果、例えば、肥満細胞の数及び/もしくは活性の低下、好酸球の数及び/もしくは活性の低下、細胞のKIT生物学的活性の阻害(例えば、部分阻害)、例えば、細胞増殖もしくは細胞生存の阻害、又はアポトーシスもしくは細胞分化の増強もしくは誘導などを達成するための本明細書に記載の抗体の量も指す。
【0064】
本明細書で使用されるように、「D4又はD5領域」又は「D4/D5ドメイン」という用語は、KITの4番目のIg様細胞外(「D4」)ドメイン、5番目のIg様細胞外(「D5」)ドメイン、及びD4ドメインとD5ドメインの間のヒンジ領域(「D4-D5ヒンジ領域」)に、アミノ末端からカルボキシル末端に、次の順序:D4、D4-D5ヒンジ領域、及びD5という順序でまたがるKITポリペプチド内の領域を指す。本明細書で使用されるように、図1のアミノ酸V308~H515は、D4/D5領域又はドメインの例と考えられる。
【0065】
本明細書で使用されるように、「KIT」又は「KIT受容体」又は「KITポリペプチド」という用語は、全長KITの任意の形態を指し、これには、ネイティブなKIT、KITのアイソフォーム、種間KITホモログ、或いはKIT変異体、例えば、天然に生じる変異体(例えば、アレルもしくはスプライス変異体、又は突然変異体、例えば、体細胞突然変異体)、或いは人為的に構築された変異体(例えば、組換え又は化学修飾変異体)が含まれるが、これらに限定されない。KITは、c-kit遺伝子によってコードされるIII型受容体チロシンキナーゼである(例えば、Yardenらの文献、Nature, 1986, 323:226-232; Ullrich及びSchlessingerの文献、Cell, 1990, 61:203-212; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464; Yardenらの文献、EMBO J., 1987, 6:3341-3351; Molらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。GenBank(商標)アクセッション番号NM 000222は、例示的なヒトKIT核酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号NP 001087241、PI 0721、及びAAC50969は、例示的なヒトKITアミノ酸配列を提供する。GenBank(商標)アクセッション番号AAH75716は、例示的なマウスKITアミノ酸配列を提供する。ネイティブなKITは、5つの細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメイン(D1、D2、D3、D4、D5)、単一の膜貫通領域、抑制性細胞質膜近傍ドメイン、及びキナーゼ挿入セグメントによって隔てられた分割された細胞質キナーゼドメインを含む(例えば、Yardenらの文献、Nature, 1986, 323:226-232; Ullrich及びSchlessingerの文献、Cell, 1990, 61:203-212; Cliffordらの文献、J. Biol. Chem., 2003, 278:31461-31464を参照されたい)。ヒトKITのD4/D5領域の例示的なアミノ酸配列は、図1のアミノ酸残基V308~H515に提供されている。具体的な実施態様において、KITは、ヒトKITである。特定の実施態様において、KITは、単量体、二量体、多量体、ネイティブな形態、又は変性した形態として存在することができる。
【0066】
本明細書で使用されるように、他の療法の実施との関連における「組み合わせて」という用語は、複数の療法の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、療法が実施される順序を制限するものではない。療法は、例えば、連続的に、順次、並行して、又は同時に実施することができる。
【0067】
本明細書で使用されるように、「KIT関連障害」又は「KIT関連疾患」という用語は、互換的に使用されており、完全に又は部分的に、KIT発現及び/もしくは活性又はそれらの欠如によって引き起こされるか、これらと関連するか、又はこれらの結果である、任意の疾患を指す。一態様において、KIT関連障害又は疾患は、当業者に公知であり得るか、又は当業者によって確認され得る。ある実施態様において、KIT関連疾患又は障害は、KIT発現及び/又は活性と関連する。例えば、KIT発現及び/又は活性は、1以上の他の因子(例えば、突然変異、又は別の遺伝子の発現及び/もしくは活性)と組み合わさって、KIT関連疾患もしくは障害の発生及び/又は進行の一因となり得る。ある実施態様において、KIT関連疾患又は障害は、KITの1以上の突然変異と関連する。
【0068】
ある実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である。ある実施態様において、KIT関連障害は、線維症又は炎症性障害、例えば、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病(CD)又は潰瘍性大腸炎(UC)である。他の実施態様において、KIT関連疾患は、癌、例えば、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、白血病、神経芽腫、黒色腫、肉腫(例えば、ユーイング肉腫)、又は消化管間質腫瘍(GIST)である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE)である。
【0069】
本明細書で使用されるように、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、及び「治療する(treating)」という用語は、1以上の療法の実施(限定されないが、1以上の予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に提供される抗体の投与を含む)によってもたらされる、KIT関連疾患(例えば、癌、炎症性障害、又は線維症)の進行、重症度、及び/もしくは持続期間の低下又は改善を指す。
【0070】
本明細書で使用されるように、「管理する(manage)」、「管理する(managing)」、及び「管理(management)」という用語は、対象が療法(例えば、予防剤又は治療剤)から得る、治癒をもたらさない、有益な効果を指す。ある実施態様において、障害の進行又は悪化を予防するために、対象に、1以上の療法(例えば、予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に記載の抗体)を投与して、障害、又はその1以上の症状を「管理する」。
【0071】
本明細書で使用されるように、障害との関連における「予防する」、「妨害する(impede)」又は「妨害する(impeding)」という用語は、本明細書に提供される療法又は療法の組合せ(例えば、予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に記載の抗体の組合せ)の投与によってもたらされる、完全阻害もしくは部分阻害(例えば、100%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、もしくは5%未満)、又は障害及び/もしくはそれに関連する症状の発生、再発、発症もしくは拡大の阻止を指す。
【0072】
本明細書で使用されるように、「予防剤」という用語は、対象における障害、及び/もしくはそれに関連する症状の発生、再発、発症又は拡大を完全に又は部分的に阻害することができる任意の薬剤を指す。ある実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に記載の抗体を指す。ある他の実施態様において、「予防剤」という用語は、本明細書に記載の抗体以外の薬剤を指す。通常、予防剤は、障害及び/もしくはそれに関連する症状を予防するか、又は障害及び/もしくはそれに関連する症状の発症、発生、進行、及び/もしくは重症度を妨害するために有用であることが知られているか、又はそのために使用されてきたか、又はそのために現在使用されている薬剤である。具体的な実施態様において、予防剤は、ヒト抗KIT抗体、例えば、ヒト化又は完全ヒト抗KITモノクローナル抗体である。
【0073】
本明細書で使用されるように、「副作用」又は「有害な作用」という用語は、療法(例えば、予防剤又は治療剤)の望ましくない及び有害な作用を包含する。望ましくない作用は、必ずしも有害というわけではない。療法(例えば、予防剤又は治療剤)による有害な作用は、害のあるもの又は不快なもの又は危険なものであり得る。副作用の例としては、下痢、咳、胃腸炎、喘鳴、吐き気、嘔吐、食欲不振、腹部痙攣、発熱、疼痛、体重減少、脱水症、脱毛症、呼吸困難、不眠症、目眩、粘膜炎、神経及び筋肉作用、疲労、口内乾燥症、並びに食欲不振、投与部位での発疹又は腫脹、インフルエンザ様症状、例えば、発熱、悪寒及び疲労、消化管異常並びにアレルギー反応が挙げられる。患者が経験するさらなる望ましくない作用は数多くあり、当技術分野で公知である。多くは、医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)(第71版、2017年)に記載されている。
【0074】
本明細書で使用されるように、「対象」及び「患者」という用語は、互換的に使用される。本明細書で使用されるように、対象は、哺乳動物、例えば、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、ウサギ、ラット、マウスなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)、例えば、ヒトである。一実施態様において、対象は、障害を有すると診断された哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施態様において、対象は、KIT関連障害を発症するリスクのある哺乳動物、例えば、ヒトである。別の実施態様において、対象は、非ヒト霊長類である。具体的な実施態様において、対象は、成人である。具体的な実施態様において、対象は、少なくとも18歳の成人対象である。具体的な実施態様において、対象はヒトの子供である。具体的な実施態様において、対象は、1歳~18歳のヒトの子供である。具体的な実施態様において、対象は、1歳~3歳のヒトである。具体的な実施態様において、対象は、3歳~12歳又は12歳~18歳のヒトである。
【0075】
本明細書で使用されるように、「療法(therapies)」及び「療法(therapy)」という用語は、状態もしくは障害又はそれらの症状又はそれと関連する1以上の症状もしくは状態の防止、予防、治療、管理、又は改善において使用することができる任意のプロトコル(複数可)、方法(複数可)、組成物、製剤、及び/又は薬剤(複数可)を指すことができる。ある実施態様において、「療法(therapies)」及び「療法(therapy)」という用語は、薬物療法、補助療法、放射線、外科手術、生物療法、支持療法、及び/或いは状態もしくは障害又はそれらの1以上の症状又はそれと関連する1以上の症状もしくは状態の予防、治療、管理、防止、又は改善に有用な他の療法を指す。ある実施態様において、「療法(therapy)」という用語は、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物以外の療法を指す。具体的な実施態様において、「追加の療法(additional therapy)」及び「追加の療法(additional therapies)」は、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物を用いる治療以外の療法を指す。具体的な実施態様において、療法は、補助療法としての本明細書に記載の抗KIT抗体の使用を含む。例えば、本明細書に記載の抗KIT抗体を薬物療法、生物療法、外科手術、及び/又は支持療法と併用する。
【0076】
本明細書で使用されるように、「治療剤」という用語は、障害及び/又はそれに関連する症状の予防、治療、管理又は改善において使用することができる任意の薬剤を指す。ある実施態様において、「治療剤」という用語は、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその抗原結合断片を指す。ある他の実施態様において、「治療剤」という用語は、本明細書に記載の抗体以外の薬剤を指す。具体的な実施態様において、治療剤は、障害又はそれに関連する1以上の症状の予防、治療、管理又は改善に有用であることが知られているか、又はそのために使用されてきたか、又はそのために現在使用されている薬剤である。
【0077】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上そうでないことが明示されない限り、複数形を含む。「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)という用語、並びに「1以上」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。
【0078】
どんな態様も「含む」という言葉で本明細書に記載され、そうでなければ、「からなる」及び/又は「から本質的になる」に関して記載される類似の態様も提供されることが理解される。
【0079】
本明細書で使用されるように、特に断りのない限り、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、例えば、20%又は10%又は5%以内の変動などの、当業者によって判断された正常な変動を可能にするように解釈されるものとする。具体的な実施態様において、「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、列挙された正確な値を包含する。
【0080】
(5.1 抗体)
本明細書に提供されるのは、KIT受容体(例えば、例として配列番号1又は図1に記載のヒトKIT受容体の細胞外ドメイン)に特異的に結合する抗体(例えば、抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片である。
【0081】
本明細書で使用されるように、「抗体」及び「免疫グロブリン」及び「Ig」という用語は、技術用語であり、本明細書で互換的に使用することができ、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を有する分子を指す。
【0082】
抗体としては、例えばモノクローナル抗体、組換え産生抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体及びキメラ抗体が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAもしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAlもしくはIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)のものであることができる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、IgG抗体、或いはそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)又はサブクラスである。
【0083】
本明細書で使用されるように、「抗原」は、エピトープを含み、したがって、抗体によって特異的に結合されもする、部分又は分子である。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体が結合する抗原は、KIT(例えば、ヒトKIT)、又はその断片、例えば、KIT(例えば、ヒトKIT)の細胞外ドメインもしくはKIT(例えば、ヒトKIT)のD4領域である。
【0084】
本明細書で使用されるように、「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合断片」、という用語、及び類似の用語は、抗原と相互作用し、抗体分子に、抗原に対するその特異性を付与するアミノ酸残基を含む抗体分子の部分(例えば、相補性決定領域(CDR))を指す。抗原結合領域は、任意の動物種、例えば、齧歯類(例えば、マウス、ラット、又はハムスター)及びヒトに由来し得る。抗体分子のCDRは、当業者に周知の任意の方法によって決定することができる。特に、CDRは、Kabat付番体系に準拠して決定することができる(Kabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)(U.S. Department of Health and Human Services, Washington, D.C.)、第5版を参照されたい)。ある態様において、抗体のCDRは、(i)本明細書において、「Chothia CDR」と呼ばれるChothia付番スキーム(例えば、Chothia及びLeskの文献、1987, J. Mol. Biol., 196:901-917; Al-Lazikaniらの文献、1997, J. Mol. Biol., 273:927-948;及び米国特許第7,709,226号を参照されたい);(ii)例えば、Lefranc, M.-P.の文献、1999, The Immunologist, 7:132-136及びLefranc, M.-P.らの文献、1999, Nucleic Acids Res., 27:209-212に記載されているIMGT付番体系;(iii)例えば、MacCallumらの文献, 1996, J. Mol. Biol., 262:732-745及びMartin, A.の文献, 抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)内の「抗体変異ドメインのタンパク質配列と構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」, Kontermann及びDubelらの文献,(編).,第31章, pp. 422-439, Springer-Verlag, Berlin (2001)に記載されているAbM付番体系;又は(iv)利用可能な複合結晶構造の分析(bioinf.org.uk/abs)に基づく接触付番体系(Contact numbering system)(例えば、MacCallumらの文献, (1996) J Mol Biol 5:732-745)を参照されたい)に準拠して決定することができる。好ましい実施態様において、本明細書に記載の抗原結合断片は、全長重鎖Fc領域又はドメイン(例えば、全長ヒトIgG1、全長ヒトIgG2、全長ヒトIgG3、もしくは全長ヒトIgG4 Fc領域又はドメイン)、又は部分重鎖Fc領域又はドメイン(例えば、部分ヒトIgG1、部分ヒトIgG2、部分ヒトIgG3、もしくは部分ヒトIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む。
【0085】
本明細書で使用されるように、「定常領域」又は「定常ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に直接は関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示す又は寄与する、抗体部分、例えば、軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分を指す。これらの用語は、免疫グロブリン可変ドメインと比べて、全般的により保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。
【0086】
本明細書で使用されるように、「エピトープ」は、技術用語であり、抗体が特異的に結合することができる抗原の局所領域を指す。エピトープに寄与する領域又はポリペプチドは、ポリペプチドの連続するアミノ酸であってもよく、又はエピトープは、ポリペプチドの2以上の連続していない領域が集まったものであってもよい。
【0087】
本明細書で使用されるように、抗体に関して使用される場合の「重鎖」という用語は、IgGのサブクラス、例えば、IgGi、IgG2、IgG3及びIgG4を含め、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMクラスの抗体を生じる、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく、任意の異なるタイプ、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を指す。具体的な実施態様において、重鎖は、ヒト重鎖である。
【0088】
本明細書で使用されるように、「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」、及び「特異的に認識する」という用語は、抗体との関連において類似の用語であり、そのような結合が当業者によって理解されるように、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子を指す。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、例えば、免疫アッセイ、Biacore(商標)、KinExA 3000装置(Sapidyne Instruments, Boise, ID)、又は当技術分野で公知の他のアッセイにより決定したときに、一般により低い親和性で他のペプチド又はポリペプチドに結合し得る。具体的な実施態様において、抗原に免疫特異的に結合する分子は、該分子が別の抗原に結合するときのKaよりも少なくとも2 log、2.5 log、3 log、4 log又はそれよりも大きいKaで抗原に結合する。別の具体的な実施態様において、抗原に免疫特異的に結合する分子は、他のタンパク質と交差反応しない。別の具体的な実施態様において、抗原に免疫特異的に結合する分子は、他の非KITタンパク質と交差反応しない。
【0089】
本明細書で使用されるように、「単離された」又は「精製された」抗体は、該抗体が得られる細胞もしくは組織源由来の細胞物質もしくは他の夾雑タンパク質を実質的に含まず、又は化学合成されるときの化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体又は抗原結合断片は単離される。
【0090】
「Kabat付番」という用語及び類似の用語は、当技術分野で認識されており、抗体又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸残基を付番する体系を指す(Kabatらの文献(1971) Ann. NY Acad. Sci. 190:382-391、及びKabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。Kabat付番体系を用いると、抗体重鎖分子内のCDRは、通常、アミノ酸位置31~35(「CDR1」)、アミノ酸位置50~65(「CDR2」)、及びアミノ酸位置95~102(「CDR3」)に存在する。Kabat付番体系を用いると、抗体軽鎖分子内のCDRは、通常、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、及びアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。
【0091】
本明細書で使用されるように、抗体に関して使用される場合の「軽鎖」という用語は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく、任意の異なるタイプ、例えば、カッパ(κ)又はラムダ(λ)を指す。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野で周知である。具体的な実施態様において、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0092】
本明細書で使用されるように、「モノクローナル抗体」という用語は、均質な又は実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、各々のモノクローナル抗体は、通常、抗原上の単一のエピトープを認識する。「モノクローナル」という用語は、任意の特定の抗体作製方法に限定されない。一般に、モノクローナル抗体の集団は、細胞、細胞の集団、又は細胞株により作製され得る。具体的な実施態様において、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」とは、単一のハイブリドーマ又は他の細胞(例えば、組換え抗体を産生する宿主細胞)により産生される抗体であり、ここで、該抗体は、例えば、ELISA又は当技術分野で公知のもしくは本明細書に提供される実施例中の他の抗原結合もしくは競合結合アッセイにより決定したとき、KITエピトープ(例えば、ヒトKITのD4のエピトープ)に免疫特異的に結合する。本明細書に記載のモノクローナル抗体は、例えば、Kohlerらの文献; Nature, 256:495(1975)に記載されているハイブリドーマ法により作製することができるか、又は例えば、本明細書に記載の技術を用いて、ファージライブラリーから単離することができる。クローン細胞株及びそれにより発現されるモノクローナル抗体の他の調製方法は、当技術分野で周知である(例えば、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002)、第5版、Ausubelら編、John Wiley and Sons, New York:の第11章を参照されたい)。具体的な実施態様において、モノクローナル抗体は、その抗原結合領域が同じエピトープに特異的であるという点で、単一特異性抗体である。さらなる具体的な実施態様において、モノクローナル単一特異性抗体は、一価(1つの抗原結合領域を有する)又は多価(2以上の抗原結合領域を有する)、例えば二価(2つの抗原結合領域を有する)であり得る。
【0093】
本明細書で使用されるように、「ネイキッド抗体」という用語は、別の薬剤又は分子(例えば、標識又は薬物)、ペプチド又はポリペプチドに連結、融合又はコンジュゲートされていない抗体を指す。具体的な実施態様において、哺乳動物宿主細胞によって発現されるネイキッド抗体は、宿主細胞のグリコシル化装置、例えば、グリコシル化酵素によってグリコシル化され得る。ある実施態様において、ネイキッド抗体は、それが、それ自身のグリコシル化装置、例えば、グリコシル化酵素を有さない宿主細胞によって発現されるときにはグリコシル化されない。ある実施態様において、ネイキッド抗体は、完全抗体であり、他の実施態様において、ネイキッド抗体は、Fab抗体などの完全抗体の抗原結合断片である。
【0094】
本明細書で使用されるように、「ポリクローナル抗体」という用語は、抗原(単数)又は抗原(複数)内の同じエピトープに対する及び異なるエピトープに対する種々の異なる抗体を含む抗体集団を指す。ポリクローナル抗体の産生方法は、当技術分野で公知である(例えば、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002)、第5版、Ausubelら編、John Wiley and Sons, New York:の第11章を参照されたい)。
【0095】
本明細書で使用されるように、「組換えヒト抗体」という用語は、組換え手段により単離され、調製され、発現され、又は作出されるヒト抗体、例えば、宿主細胞内にトランスフェクトされる組換え発現ベクターを用いて発現される抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック及び/もしくはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、もしくはウシ)から単離される抗体(例えば、Taylor, L. D.らの文献(1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295を参照されたい)、又は例えば、合成、ヒト免疫グロブリン配列をコードするDNA配列の遺伝子改変、もしくはヒト免疫グロブリンをコードする配列、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のそのような配列へのスプライシングによる作出を含む任意の他の手段により調製され、発現され、作出され、もしくは単離される抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有することができる。ある実施態様において、そのような組換えヒト抗体のアミノ酸配列は、そのように修飾されており、したがって、組換え抗体のVH及び/又はVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、それらに関連しているが、生体内のヒト抗体生殖系列レパートリーには本来存在しない配列である。非限定的な例として、組換えヒト抗体は、いくつかのヒト配列断片を組換えヒト抗体の複合ヒト配列へとアセンブルすることにより得ることができる。
【0096】
本明細書で使用されるように、「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体間で配列が大きく異なり、特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に関して使用される、抗体の部分、一般に、軽鎖又は重鎖の部分、通常、成熟重鎖中のアミノ末端の約110~120アミノ酸及び成熟軽鎖中の約90~100アミノ酸を指す。配列のばらつきは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中しており、一方、可変ドメイン中のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。
【0097】
任意の特定の機序又は理論に束縛されることを望まないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用に関与すると考えられる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体のアミノ酸位置の付番は、Kabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242(「Kabatらの文献」)に見られるような、EUインデックスによるものである。ある態様において、抗体のCDRは、(i)本明細書において「Chothia CDR」と呼ばれるChothia付番スキーム(例えば、Chothia及びLeskの文献、1987, J. Mol. Biol., 196:901-917; Al-Lazikaniらの文献、1997, J. Mol. Biol., 273:927-948;及び米国特許第7,709,226号を参照されたい);(ii)例えば、Lefranc, M.-P.の文献、1999, The Immunologist, 7:132-136及びLefranc, M.-P.らの文献、1999, Nucleic Acids Res., 27:209-212に記載されているIMGT付番体系;(iii)例えば、MacCallumらの文献, 1996, J. Mol. Biol., 262:732-745及びMartin, A.の文献,抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)内の「抗体変異ドメインのタンパク質配列と構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」, Kontermann及びDubel(編).,第31章, pp. 422-439, Springer-Verlag, Berlin (2001)に記載されているAbM付番体系;又は(iv)利用可能な複合結晶構造の分析(bioinf.org.uk/abs)に基づく接触付番体系(Contact numbering system)(例えば、MacCallumらの文献, (1996) J Mol Biol 5:732-745)を参照されたい)に準拠して決定することができる。ある実施態様において、該可変領域は、ヒト可変領域である。ある実施態様において、該可変領域は、齧歯類又はマウスCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施態様において、該可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。ある実施態様において、該可変領域は、齧歯類又はマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。非限定的な例として、本明細書に記載の可変領域は、ヒト配列の2以上の断片を複合ヒト配列へとアセンブルすることにより得られる。
【0098】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、表1に記載のVL CDR1~3を含む軽鎖可変領域(「VL」)、及びVH CDR1~3を含む重鎖可変領域(「VH」)を含む。具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、表2に記載のVL CDR1~3を含む軽鎖可変領域(「VL」)、及びVH CDR1~3を含む重鎖可変領域(「VH」)を含む(セット1又はセット2)。具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、表3に記載のVL CDR1~3を含む軽鎖可変領域(「VL」)、及びVH CDR1~3を含む重鎖可変領域(「VH」)を含む(AbM CDR又はコンタクトCDR)。
【0099】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、表1に記載のVL CDR1~3(配列番号2~4)を含むVL、及び表1に記載のVH CDR1~3(配列番号5~7)を含むVHを含む。特定の実施態様において、そのような抗KIT抗体は、ネイキッド抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二価の単一特異性抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体である。ある実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体ではない。
【0100】
表1:CDRアミノ酸配列
【表1】
【0101】
表2:CDRアミノ酸配列
【表2】
【0102】
表3:CDRアミノ酸配列
【表3】
【0103】
特定の態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、
(i)アミノ酸配列:
【化13】
(ここで、XK1~XK6は、任意のアミノ酸である)を含むVL;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化14】
(ここで、XH1~XH8は、任意のアミノ酸である)を含むVH
を含む。
【0104】
特定の実施態様において、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK2は、脂肪族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸であり、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、XH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である。
【0105】
具体的な実施態様において、XK1は、アミノ酸F又はSであり、XK2は、アミノ酸A又はSであり、XK3は、アミノ酸T又はSであり、XK4は、アミノ酸S又はPであり、XK5は、アミノ酸D又はTであり、XK6は、アミノ酸F又はYであり、XH1は、アミノ酸L又はVであり、XH2は、アミノ酸L又はVであり、XH3は、アミノ酸K又はRであり、XH4は、アミノ酸V又はAであり、XH5は、アミノ酸L又はIであり、XH6は、アミノ酸E又はDであり、XH7は、アミノ酸Q又はEであり、XH8は、アミノ酸S又はTである。
【0106】
特定の態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、
(i)アミノ酸配列:
【化15】
(ここで、XK1~XK6は、任意のアミノ酸である)を含むVL;並びに
(ii)それぞれ配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH
を含む。
【0107】
特定の実施態様において、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK2は、脂肪族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である。
【0108】
具体的な実施態様において、XK1は、アミノ酸F又はSであり、XK2は、アミノ酸A又はSであり、XK3は、アミノ酸T又はSであり、XK4は、アミノ酸S又はPであり、XK5は、アミノ酸D又はTであり、XK6は、アミノ酸F又はYである。
【0109】
特定の態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;並びに
(ii)アミノ酸配列:
【化16】
(ここで、XH1~XH8は、任意のアミノ酸である)を含むVH
を含む。
【0110】
特定の実施態様において、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、XH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である。
【0111】
具体的な実施態様において、XH1は、アミノ酸L又はVであり、XH2は、アミノ酸L又はVであり、XH3は、アミノ酸K又はRであり、XH4は、アミノ酸V又はAであり、XH5は、アミノ酸L又はIであり、XH6は、アミノ酸E又はDであり、XH7は、アミノ酸Q又はEであり、XH8は、アミノ酸S又はTである。
【0112】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、表4から選択されるアミノ酸配列(配列番号8~12)を含む重鎖可変領域(「VH」)及び/又は表5から選択されるアミノ酸配列(配列番号13~16)を含む軽鎖可変領域(「VL」)を含む。特定の実施態様において、そのような抗KIT抗体は、ネイキッド抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二価の単一特異性抗体である。具体的な実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体である。ある実施態様において、そのような抗KIT抗体は、二重特異性抗体ではない。
【0113】
表4:VHアミノ酸配列
【表4】
【0114】
表5:VLアミノ酸配列
【表5】
【0115】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0116】
一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0117】
一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0118】
一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号11のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0119】
一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号14のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号15のアミノ酸配列を含むVLを含む。一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0120】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)は、
(i)配列番号13と少なくとも90%同一であるか、配列番号14と少なくとも88%同一であるか、配列番号15と少なくとも87%同一であるか、又は配列番号16と少なくとも84%同一であるアミノ酸配列を含むVL;かつ
(ii)配列番号8と少なくとも93%同一であるか、配列番号9と少なくとも92%同一であるか、配列番号10と少なくとも90%同一であるか、配列番号11と少なくとも87%同一であるか、又は配列番号12と少なくとも86%同一であるアミノ酸配列を含むVH
を含む。
【0121】
以前の抗KIT抗体は、FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を誘導し、かつ/又はFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示すことが見出され、これは、他の副作用の中で望ましくない輸液関連反応(IRR)を生じる可能性がある。
【0122】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む。好ましくは、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、低下したFc受容体結合活性(特に、低下したFcγR結合活性)を有し、FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を誘導せず、かつ/又はFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。ある実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片のこれらの特性のうちの1以上は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメインから生じる。
【0123】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、Fc受容体結合活性が低下している(特に、FcγR結合活性が低下している)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、顕著なFc受容体(特にFcγR)結合活性を有さない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、検出可能なFc受容体(特にFcγR)結合活性を有さない。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して少なくとも10%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも40%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、又は少なくとも99%小さいFc受容体(特にFcγR)結合活性を有する。本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメインを含む場合、好ましい実施態様において、適切な対照抗体又は抗原結合断片は、同一のVH及びVLを有するが、同一アイソタイプの野生型(未改変)Fc領域又はドメインを有する抗体又は抗原結合断片である。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して少なくとも10%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも40%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、又は少なくとも99%小さいFc受容体(特にFcγR)結合活性を有する。
【0124】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の検出可能な脱顆粒を誘導しない。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む場合、好ましい実施態様において、適切な対照抗体又は抗原結合断片は、同一のVH及びVLを有するが、同一アイソタイプの野生型(未改変)Fc領域又はドメインを有する抗体又は抗原結合断片である。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、(例えば、培養中(例えば、IFNガンマの存在下で)のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の脱顆粒を少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、IFNガンマの存在下での培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。
【0125】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)検出可能なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KIT活性を少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、適切な対照抗体又は抗原結合断片と比較して、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片が、改変(例えば、変異)Fc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG Fc領域又はドメイン、例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む場合、好ましい実施態様において、適切な対照抗体又は抗原結合断片は、同一のVH及びVLを有するが、同一アイソタイプの野生型(未改変)Fc領域又はドメインを有する抗体又は抗原結合断片である。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、(例えば、KITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KIT活性を少なくとも10%小さく、少なくとも20%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%小さく、少なくとも50%小さく、少なくとも60%小さく、少なくとも70%小さく、少なくとも80%小さく、少なくとも90%小さく、少なくとも95%小さく、又は少なくとも99%小さく誘導する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、THP-1細胞上で架橋されていても、本明細書に記載のように顕著な又は検出可能なFc受容体依存性KITアゴニスト活性を示さない。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により50%超低下する。特定の実施態様において、(架橋したFc受容体によるKITリン酸化によって決定されるように)Fc受容体依存性KITアゴニスト活性は、同一のVH及びVLを有するが、野生型(未改変)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを有する対応する抗体又は抗原結合断片と比較して、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片により60%超、70%超、又は80%超低下する。
【0126】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における疾患活動性を低下させ、(2)CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における皮膚肥満細胞数を減少させ、(3)CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)におけるトリプターゼレベルを低下させ、(4)CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における蕁麻疹コントロールを改善し、(5)CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における生活の質を改善し、かつ/又は(6)CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)などの患者における血液学的パラメータ(例えば、ヘモグロビン(HgB)レベル、白血球(WBC)数、血小板数、及び/又は絶対好中球数(ANC))を正常な範囲内に維持する。
【0127】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前の値と比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)用のTempTest(登録商標)において臨界温度閾値を顕著に減少させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前の値と比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)用のTempTest(登録商標)において臨界温度閾値を少なくとも5℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも8℃、少なくとも9℃、少なくとも10℃、少なくとも11℃、少なくとも12℃、少なくとも13℃、少なくとも14℃、少なくとも15℃、少なくとも16℃、少なくとも17℃、少なくとも18℃、少なくとも19℃、又は少なくとも20℃(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)減少させることができる。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0128】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のピン数と比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)用のFricTest(登録商標)においてピン数を顕著に減少させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のピン数と比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)用のFricTest(登録商標)においてピン数を、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも4(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)減少させることができる。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0129】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比べて、医師の全体評価(Phys-GA)及び/又は患者の全体評価(Pat-GA)を顕著に改善することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比較して、(0はなしで、3は重篤である0~3の)リッカートスケールを少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、少なくとも0.9、少なくとも1.0、少なくとも1.1、少なくとも1.2、又は少なくとも1.3(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)低下させることによって医師の全体評価(Phys-GA)及び/又は患者の全体評価(Pat-GA)を改善することができる。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0130】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前の数と比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における皮膚肥満細胞数を顕著に低下させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前の数と比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における皮膚肥満細胞数を少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも60%、又は少なくとも80%(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)低下させることができる。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0131】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における血清トリプターゼを顕著に低下させることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における血清トリプターゼを少なくとも50%、少なくとも70%、又は少なくとも90%(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)低下させることができる。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0132】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における蕁麻疹コントロールを顕著に改善することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比べて、蕁麻疹コントロールテスト(UCT)スコアを少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、もしくは16増加させることによって、又はUCTスコアを少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、もしくは16(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)増加させることによって、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における蕁麻疹コントロールを改善することができる。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0133】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比べて、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における生活の質を顕著に改善することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、治療前のレベルと比べて、皮膚科学的ライフクオリティ指標(DLQI)を少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、もしくは25減少させることによって、又はDLQIを最大5、最大4、最大3、最大2、最大1、もしくは0(例えば、抗KIT抗体又は抗原結合断片で治療した後1週、2週、4週、6週、8週、10週、又は12週間以内に)減少させることによって、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における生活の質を改善することができる。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又は抗原結合断片の効果は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0134】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、患者における血液学的パラメータ(例えば、ヘモグロビン(HgB)レベル、白血球(WBC)数、血小板数、及び/又は絶対好中球数(ANC))を正常な範囲内に維持する。ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は抗原結合断片は、CIndU患者(例えば、CIndUが抗ヒスタミン薬治療に不応性であるCIndU患者)における血液学的パラメータ(例えば、ヘモグロビン(HgB)レベル、白血球(WBC)数、血小板数、及び/又は絶対好中球数(ANC))を正常な範囲内に維持する。具体的な実施態様において、血液学的パラメータは、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間持続する。
【0135】
様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、本明細書に記載の特性のうちの1以上を有する。様々な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体の抗原結合断片は、本明細書に記載の特性のうちの1以上を有する。
【0136】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含む。
【0137】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスにより付番される、234A、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R. 243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247V、247G、252Y、254T、256E、2621、262A、262T、262E、2631、263A、263T、263M、264L、2641、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、2651、265L、265H、265T、2661、266A、266T、266M、267Q、267L、269H、269Y、269F、269R、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、313F、322Q、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、3281、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、3301、330F、330R、330H、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、及び332Aからなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含む。任意に、該Fc領域又はドメインは、当業者に公知のさらなる及び/又は代わりの非天然アミノ酸残基を含み得る(例えば、米国特許第5,624,821号;第6,277,375号;第6,737,056号;PCT特許公開WO 01/58957号;WO 04/016750号;WO 04/029207号;WO 04/035752号及びWO 05/040217号を参照されたい)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG3のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG4のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。
【0138】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスにより付番される、234A、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241L、241Y、241E、241R. 243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247V、247G、252Y、254T、256E、2621、262A、262T、262E、2631、263A、263T、263M、264L、2641、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、2651、265L、265H、265T、2661、266A、266T、266M、267Q、267L、269H、269Y、269F、269R、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、313F、322Q、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、3281、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、3301、330F、330R、330H、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、及び332Aからなる群から選択される少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含む。任意に、該Fc領域又はドメインは、当業者に公知のさらなる及び/又は代わりの非天然アミノ酸残基を含み得る(例えば、米国特許第5,624,821号;第6,277,375号;第6,737,056号;PCT特許公開WO 01/58957号;WO 04/016750号;WO 04/029207号;WO 04/035752号及びWO 05/040217号を参照されたい)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG3のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変されたFc領域又はドメインを含み、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG4のFc領域又はドメインであり、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)のアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失もしくは付加)又は少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つもしくは6つ)の非天然アミノ酸残基を含み、これは、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等のものである。
【0139】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、239、330及び332からなる群から選択される1以上の位置に少なくとも1つの非天然のアミノ酸を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、239D、330L及び332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然のアミノ酸を含む。任意に、該Fc領域又はドメインはさらに、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、252、254、及び256からなる群から選択される1以上の位置にさらなる非天然アミノ酸をさらに含み得る。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG1のFc領域又はドメインであり、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、239D、330L及び332Eからなる群から選択される少なくとも1つの非天然のアミノ酸を含み、1以上の位置の少なくとも1つの非天然アミノ酸は、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、252Y、254T及び256Eからなる群から選択される。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2、IgG3、もしくはIgG4のFc領域又はドメインであり、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載のアミノ酸残基(複数可)と同等(複数可)である少なくとも1つの非天然アミノ酸残基を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、Fc領域又はドメインを含む抗体であり、ここで、該Fc領域又はドメインは、ヒトIgG2、IgG3、もしくはIgG4のFc領域又はドメインであり、当業者によって決定され得るように、ヒトIgG1 Fc領域又はドメインについて本明細書に記載の位置と同等(複数可)である1以上の位置に少なくとも1つの非天然アミノ酸残基を含む。一実施態様において、そのような配列を含むFc領域又はドメインは、1以上のFc活性、例えば、Fc受容体に対する結合親和性、又はエフェクター機能、例えば、ADCCもしくはCDCを示す。具体的な実施態様において、そのような配列を含むFc領域又はドメインは、低下したFc活性、例えば、Fc受容体に対する低下した結合親和性又は低下したエフェクター機能、例えば、ADCCもしくはCDCを示す。特定の実施態様において、そのような配列を含むFc領域又はドメインは、増強されたFcRn活性、例えば、延長された半減期を示す。
【0140】
Fc領域又はドメイン修飾のさらなる非限定的な例は、Ghetieらの文献、1997, Nat Biotech. 15:637-40; Duncanらの文献、1988, Nature 332:563-564; Lundらの文献、1991, J. Immunol 147:2657-2662; Lundらの文献、1992, Mol Immunol 29:53-59; Alegreらの文献、1994, Transplantation 57:1537-1543; Hutchinsらの文献、1995, Proc Natl. Acad Sci U S A 92:11980-11984; Jefferisらの文献、1995, Immunol Lett. 44:111-117; Lundらの文献、1995, Faseb J 9:115-119; Jefferisらの文献、1996, Immunol Lett 54:101-104; Lundらの文献、1996, J Immunol 157:4963-4969; Armourらの文献、1999, Eur J Immunol 29:2613-2624; Idusogieらの文献、2000, J Immunol 164:4178-4184; Reddyらの文献、2000, J Immunol 164:1925-1933; Xuらの文献、2000, Cell Immunol 200:16-26; Idusogieらの文献、2001, J Immunol 166:2571-2575; Shieldsらの文献、2001, J Biol Chem 276:6591-6604; Jefferisらの文献、2002, Immunol Lett 82:57-65; Prestaらの文献、2002, Biochem Soc Trans 30:487-490);米国特許第5,624,821号;第5,885,573号;第5,677,425号;第6,165,745号;第6,277,375号;第5,869,046号;第6,121,022号;第5,624,821号;第5,648,260号;第6,528,624号;第6,194,551号;第6,737,056号;第6,821,505号;第6,277,375号;第8,163,882号;第7,355,008号;第7,960,512号;第8,039,592号;第8,039,359号;第8,101,720号;第7,214,775号;第7,682,610号;第7,741,442号;米国特許公報2004/0002587号及びPCT公開WO 94/29351号;WO 99/58572号;WO 00/42072号;WO 04/029207号;WO 04/099249号;WO 04/063351号に提供されている。
【0141】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む。特定の実施態様において、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸252Y、254T及び256Eをさらに含む。
【0142】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q及び322Qと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG2 Fc領域又はドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG2 Fc領域又はドメインを含む。
【0143】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q及び322Qと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG3 Fc領域又はドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG3 Fc領域又はドメインを含む。
【0144】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q及び322Qと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG4 Fc領域又はドメインを含む。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、当業者によって決定され得るヒトIgG1 Fc領域又はドメインについてKabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eと同等の非天然アミノ酸を含む改変(例えば、変異)ヒトIgG4 Fc領域又はドメインを含む。
【0145】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、表1に記載のVL及びVH CDR配列、並びに改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、及び322Qを含む。
【0146】
好ましい実施態様において、本明細書に記載の抗体は、表1に記載のVL及びVH CDR配列、並びに改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含み、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む。
【0147】
したがって、一態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、及び322Qを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、前記抗体である。
【0148】
したがって、さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、
(i)それぞれ、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVL;(ii)それぞれ、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン
を含む、前記抗体である。
【0149】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、
(i)アミノ酸配列:
【化17】
(ここで、XK1は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK2は、芳香族又は脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK3は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であり、XK4は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸であるか、又はPであり、XK5は、荷電又は酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XK6は、芳香族側鎖を有するアミノ酸である)を含むVL;(ii)アミノ酸配列:
【化18】
ここで、XH1は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH2は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH3は、極性又は塩基性側鎖を有するアミノ酸であり、XH4は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH5は、脂肪族側鎖を有するアミノ酸であり、XH6は、酸性側鎖を有するアミノ酸であり、XH7は、酸性又はアミド誘導体側鎖を有するアミノ酸であり、XH8は、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸である)
を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q及び好ましくは、252Y、254T及び256Eも含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン、を含む、前記抗体である。
【0150】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、i)配列番号13、14、15、又は16のアミノ酸配列を含むVL、及びii)配列番号8、9、10、11、又は12のアミノ酸配列を含むVH;並びに(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q及び好ましくは252Y、254T及び256Eも含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、前記抗体である。
【0151】
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトKITに免疫特異的に結合する抗体であって、i)配列番号14のアミノ酸配列を含むVLとii)配列番号10のアミノ酸配列を含むVH;及び(iii)Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q及び好ましくは252Y、254T及び256Eも含む改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメインを含む、前記抗体である。
【0152】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化19】
を含む重鎖を含む。
【0153】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化20】
を含む軽鎖を含む。
【0154】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、以下のアミノ酸配列:
【化21】
を含む重鎖;及び以下のアミノ酸配列:
【化22】
を含む軽鎖を含む。
【0155】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、
(i)アミノ酸配列:
【化23】
ここで、リーダー配列は太字の斜体で示され、可変領域(VH)は斜体で示され、定常領域は下線で示されている。さらに、定常領域内の変異(野生型ヒトIgG1と比較して)は二重下線で示されている)
を含む重鎖;及び
(ii)アミノ酸配列:
【化24】
(ここで、リーダー配列は太字の斜体で示され、可変領域(VL)は斜体で示され、定常領域は下線で示されている)
を含む軽鎖、を含む抗体である。
【0156】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、任意のヒトFcガンマ受容体(FcγR受容体)に結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIaに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIbに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIIaに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒトFcγRIIIbに結合しない(例えば、検出可能な結合を有さない)。
【0157】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、同じ可変領域配列を有するが非改変(野生型)ヒトIgG定常領域を有する対応する抗体と比べて、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)への増強された結合(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、5000倍、又は10000倍高い結合親和性)を有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で20nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で2nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で1nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で500nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH6.0で400pM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で200nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で150nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で100nM未満のKDでFcRnに結合する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、pH7.2で80nM未満のKDでFcRnに結合する。
【0158】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を示さない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、同じ可変領域配列を有するが非改変(野生型)ヒトIgG定常領域を有する対応する抗体と比べて(例えば、少なくとも10%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも40%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、又は少なくとも99%小さい)低下したADCCを示す。
【0159】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、改変(例えば、変異)ヒトIgG定常領域(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含み、同じ可変領域配列を有するが非改変(野生型)ヒトIgG定常領域を有する対応する抗体と比べて(例えば、少なくとも10%小さい、少なくとも20%小さい、少なくとも30%小さい、少なくとも40%小さい、少なくとも50%小さい、少なくとも60%小さい、少なくとも70%小さい、少なくとも80%小さい、少なくとも90%小さい、少なくとも95%小さい、又は少なくとも99%小さい)低下したサイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-8、IL-10及び/又はTNF-α)産生を示す。
【0160】
具体的な態様において、また提供されるのは、本明細書に記載の抗体の抗原結合断片、好ましくは、全長の重鎖Fc領域又はドメイン(例えば、全長ヒトIgG1、全長ヒトIgG2、全長ヒトIgG3、又は全長ヒトIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む抗原結合断片である。具体的な態様において、また提供されるのは、部分重鎖Fc領域又はドメイン(例えば、部分ヒトIgG1、部分ヒトIgG2、部分ヒトIgG3、又は部分ヒトIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む本明細書に記載の抗体の抗原結合断片である。
【0161】
ある態様において、抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で公知の方法を用いて取得することができ、例えば、以下の節5.4を参照されたい。
【0162】
特定の態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKITのD4ドメイン及びKIT、例えば、ヒトKITのD5領域に特異的に結合する。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT、例えば、ヒトKITのD4ドメインに対するよりも低い親和性で、KIT、例えば、ヒトKITのD5ドメインに特異的に結合する。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT、例えば、ヒトKITのD5ドメインに対するよりも高い親和性で、KIT、例えば、ヒトKITのD4ドメインに特異的に結合し;例えば、より高い親和性は、当技術分野で公知の方法、例えば、ELISA又はBiacoreアッセイにより決定したとき、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、又は1000倍である。
【0163】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT、例えば、ヒトKITのD4又はD4/D5領域に特異的に結合し、D5ドメインのみから本質的になるKIT抗原よりも少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍高いD4ドメインのみから本質的になるKIT抗原に対する親和性を有する。
【0164】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ELISAなどの当技術分野で説明されるアッセイにより決定したとき、約50nM、10nM、500pM、300pM、200pM、100pM又は50pM以下のEC50(半最大有効濃度)値で、KITポリペプチド(例えば、ヒトKITのD4領域)に特異的に結合する。
【0165】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、CHO-WT-KIT細胞(野生型ヒトKITを組換え発現するように改変されたCHO細胞)を用いるELISA又はFACsなどの当技術分野で説明されるアッセイにより決定したとき、約200pM又は150pM以下のEC50値で、KITポリペプチド(例えば、ヒトKITのD4領域)に特異的に結合する。
【0166】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、約600pM以下のIC50(50%阻害濃度)値で、KITリン酸化を遮断することができる。
【0167】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での内在化と比べて、KIT受容体内在化を、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での内在化と比べて、KIT受容体内在化を、例えば、少なくとも約25%又は35%、任意に約75%まで誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法によって評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での内在化と比べて、KIT受容体内在化を、例えば、少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍誘導又は増強することができる。細胞表面受容体の定量又は可視化のための技術は当技術分野で周知であり、種々の蛍光及び放射性技術を含む。例えば、ある方法は、細胞を放射性標識された抗受容体抗体とともにインキュベートすることを含む。或いは、受容体の天然リガンドを蛍光分子又は放射性標識にコンジュゲートし、細胞とともにインキュベートすることができる。さらなる受容体内在化アッセイは当技術分野で周知であり、例えば、Jimenezらの文献、Biochemical Pharmacology, 1999, 57:1125-1131; Bernhagenらの文献、Nature Medicine, 2007, 13:587-596;及びConwayらの文献、J. Cell Physiol., 2001, 189:341-55に記載されている。
【0168】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での代謝回転と比べて、KIT受容体代謝回転を、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での代謝回転と比べて、KIT受容体代謝回転を少なくとも約25%又は35%、任意に約75%まで誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法によって評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での代謝回転と比べて、KIT受容体代謝回転を少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍誘導又は増強することができる。受容体代謝回転を決定するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、KITを発現している細胞を、35S-EXPRESSタンパク質標識ミックス(NEG772, NEN Life Science Products)を用いてパルス標識し、洗浄し、非標識培地で一定期間チェイスすることができ、その後、標識細胞由来のタンパク質溶解物を、抗KIT抗体を用いて免疫沈降し、SDS-PAGEで分離し、可視化する(例えば、PhosphoImagerスクリーン(Molecular Dynamics)に対して露光し、Typhoon8600スキャナー(Amersham)を用いてスキャンし、ImageQuantソフトウェア(Molecular Dynamics)を用いて解析する)(例えば、Chanらの文献、Development, 2004, 131:5551-5560を参照されたい)。
【0169】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での分解と比べて、KIT受容体分解を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法により評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での分解と比べて、KIT受容体分解を少なくとも約25%又は35%、任意に約75%まで誘導又は増強することができる。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法によって評価したとき、無関係な抗体(例えば、KITに免疫特異的に結合しない抗体)の存在下での分解と比べて、KIT受容体分解を少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍誘導又は増強することができる。細胞表面受容体のユビキチン化及び/又は分解(例えば、分解の動力学又は速度)を定量又はモニタリングするための技術は当技術分野で周知であり、種々の蛍光及び放射性技術を含む(例えば、国際特許出願公開WO 2008/153926 A2号を参照されたい)。例えば、パルスチェイス実験又は125I-SCFなどの放射性標識リガンドを用いる実験を実施して、KITの分解を定量的に測定することができる。
【0170】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KITの細胞外リガンド結合部位、例えば、KITのSCF結合部位に結合しない。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で説明される方法、例えば、ELISAにより決定したとき、KITに対するリガンド結合を阻害せず、例えば、KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を阻害しない。ある実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で説明される方法、例えば、ELISA又はFACS(蛍光活性化細胞選別)により決定したとき、KITに対するリガンド結合を完全に阻害しないか、又は部分的に阻害せず、例えば、KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を完全に阻害しないか、又は部分的に阻害しない。
【0171】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト又はヒト化抗体)は、阻害抗体、すなわち、KIT活性、すなわち、1以上のKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)抗体である。具体的な実施態様において、KIT活性の部分阻害は、例えば、約25%~約65%又は75%の阻害をもたらす。具体的な実施態様において、KIT活性の部分阻害は、例えば、約35%~約85%又は95%の阻害をもたらす。KIT活性の非限定的な例としては、KIT二量体化、KITリン酸化(例えば、チロシンリン酸化)、KITの下流のシグナル伝達(例えば、Stat、AKT、MAPK、もしくはRasシグナル伝達)、遺伝子転写(例えば、c-Myc)の誘導もしくは増強、細胞増殖の誘導もしくは増強又は細胞生存が挙げられる。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、KITリン酸化(例えば、リガンド誘導性リン酸化)を阻害する。
【0172】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT細胞質ドメインにおけるKITチロシンリン酸化を阻害する。
【0173】
別の特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、細胞増殖、例えば、肥満細胞増殖又は好酸球増殖を阻害する。また別の特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、細胞生存、例えば、肥満細胞生存又は好酸球細胞生存を阻害する。ある態様において、細胞増殖の阻害、例えば、肥満細胞増殖又は好酸球増殖は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0174】
別の特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、肥満細胞の活性化又は好酸球活性化を阻害する。ある態様において、肥満細胞の活性化もしくは活性又は好酸球の活性化もしくは活性の阻害は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0175】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、好酸球又は肥満細胞脱顆粒を阻害する(例えば、Staatsらの文献, 2012, Med. Chem. Commun., 2013, 4:88-94;及びOchkurらの文献, 2012, J. Immunol. Methods, 384: 10-20を参照されたい)。ある態様において、好酸球又は肥満細胞脱顆粒の阻害は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。
【0176】
別の特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、肥満細胞メディエーターの放出を阻害する。ある態様において、肥満細胞メディエーターの放出は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%である。げっ歯類及びヒト肥満細胞培養物などの肥満細胞培養物から、メディエーターの放出などの肥満細胞活性を測定するアッセイについて説明されている(例えば、Kuehnらの文献,「肥満細胞メディエーター放出の測定(Measuring Mast Cell Mediator Release)」 Current Protocols in Immunology, Unite 7.38.1- 7.38.9, November 2010 (John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい)。ある態様において、CD34末梢血前駆細胞又は肥満細胞株、例えば、HMC-1又はヒトLAD2肥満細胞株を、これらのアッセイにおいて使用して、肥満細胞に対する抗KIT抗体の効果を確認することができる。
【0177】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、アポトーシス、例えば、肥満細胞アポトーシス又は好酸球アポトーシスを誘導する。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、細胞分化、例えば、肥満細胞分化を誘導する。
【0178】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、以下のもの:好酸球の数及び/又は活性の低下、肥満細胞の増殖の低下、血漿トリプターゼレベルの低下、血漿SCFレベルの低下、肥満細胞の数又は量の低下、肥満細胞の活性の阻害又は低下、肥満細胞誘発性産生又は炎症因子の放出の低下、炎症因子の放出の低下、肥満細胞の恒常性の回復、肥満細胞の遊走の低下、肥満細胞の接着の低下、好酸球の肥満細胞動員の阻害又は低下、並びに肥満細胞の抗原媒介性脱顆粒の阻害又は低下のうちの任意の1つを達成することができる。
【0179】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT活性を阻害するが、KIT二量化を阻害しない。別の特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KIT活性を阻害するが、KITに対するリガンド結合を阻害せず、例えば、KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を阻害しないが、KIT二量化を阻害する。
【0180】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で周知の細胞ベースのリン酸化アッセイ、例えば、本明細書に記載の細胞ベースのリン酸化アッセイにより決定したとき、KIT活性、例えば、KIT細胞質ドメインのリガンド誘導性チロシンリン酸化を、約25%~約65%又は75%阻害する。ある実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で周知の細胞ベースのリン酸化アッセイ、例えば、本明細書に記載の細胞ベースのリン酸化アッセイにより決定したとき、KIT活性、例えば、KIT細胞質ドメインのリガンド誘導性チロシンリン酸化を、約35%~約85%又は95%阻害する。
【0181】
特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、当技術分野で周知の細胞ベースのリン酸化アッセイ、例えば、本明細書に記載の細胞ベースのリン酸化アッセイにより決定したとき、約600pM未満、又は約500pM未満、又は約250pM未満の50%阻害濃度(IC50)で、KIT活性、例えば、KIT細胞質ドメインのリガンド誘導性チロシンリン酸化を阻害する。具体的な実施態様において、該IC50は、約550pM又は200pM未満である。具体的な実施態様において、該IC50は、約50pM~約225pMの範囲、又は100pM~約600pMの範囲である。具体的な実施態様において、該IC50は、約50pM~約550pM、又は約50pM~約600pM、又は約150pM~約550pMの範囲である。
【0182】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、(i)ヒトKITのD4及び/又はD5領域を含むKITポリペプチドに免疫特異的に結合し、(ii)KITリン酸化(例えば、チロシンリン酸化)を阻害し、かつ(iii)KITに対するKITリガンド(例えば、SCF)結合を完全に阻害しないか、又は部分的に阻害しない。さらに別の具体的な実施態様において、そのような抗体は、KIT二量体化を阻害しない。また別の具体的な実施態様において、そのような抗体は、少なくとも0.5μg/mL、例えば、少なくとも1.0μg/mLの平均力価でCHO細胞によって組換え発現され得る。さらなる具体的な実施態様において、そのような抗体は、非免疫原性であるVHドメイン及びVLドメインを含み、例えば、該VHドメイン及びVLドメインは、T細胞エピトープを含有しない。
【0183】
他の具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、単量体形態のKIT(例えば、ヒトKIT)に免疫特異的に結合する。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、単量体形態のKIT(例えば、ヒトKIT)に特異的に結合する。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、二量体形態のKIT(例えば、ヒトKIT)に特異的に結合する。
【0184】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、単量体形態のKITに結合せず、二量体形態のKIT又は多量体形態のKITに特異的に結合する。ある実施態様において、抗体は、KIT二量体よりもKIT単量体に対する高い親和性を有する。ある実施態様において、抗体は、KIT多量体よりもKIT単量体に対する高い親和性を有する。
【0185】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、KITのネイティブなアイソフォーム又はネイティブな変異体(すなわち、動物、好ましくは、ヒトから単離することができる、動物(例えば、サル、マウス、ヤギ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ラット、ヒト、カエル、又は鳥類)のKITの天然のアイソフォーム又は変異体)に特異的に結合する。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片に特異的に結合する。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片に特異的に結合し、非ヒトKIT(例えば、サル、マウス、ヤギ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ラット、もしくは鳥類)又はその断片には特異的に結合しない。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片に特異的に結合し、マウスKITには特異的に結合しない。ある実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)及び非ヒト霊長類(例えば、サル)KITに特異的に結合する。ある実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)及び非ヒト霊長類(例えば、サル)KITに特異的に結合するが、マウスもしくはラットのKIT又はその断片(例えば、マウスKITのD4領域)には特異的に結合しない。
【0186】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)、ネコ科(ネコ)及びカニクイザルKITに特異的に結合するが、マウスもしくはラットのKIT又はその断片(例えば、マウスKITのD4領域)には特異的に結合しない。
【0187】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、マウスもしくはラットのKIT又はその断片(例えば、マウスKITのD4領域)に対するよりも高い親和性(例えば、少なくとも0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、又は10倍)で、ヒトKIT又はその断片(例えば、ヒトKITのD4領域)及びイヌ科(イヌ)、ネコ科(ネコ)及びカニクイザルKITに特異的に結合する。
【0188】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、突然変異、例えば、体細胞突然変異、例えば、位置502及び503のAla及びTyr残基が重複しているヒトKITのエキソン9中の突然変異を含むヒトKITの細胞外ドメインに特異的に結合する(例えば、KIT突然変異を記載している、Marciaらの文献(2000) Am. J. Pathol. 156(3):791-795;及びDebiec-Rychterらの文献(2004) European Journal of Cancer. 40:689-695を参照されたく、これらはどちらも、引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。
【0189】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、グリコシル化されているヒトKITの細胞外ドメインに特異的に結合する。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、ヒトKITの細胞外ドメインの2つの異なるグリコシル化形態に結合する。例えば、異なるグリコシル化パターンを示す、異なる分子量を有するヒトKITの2つの形態が、免疫ブロッティングによって観察されている。
【0190】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、異なるグリコシル化パターンを有する、例えば、一方の形態がもう一方よりも多くグリコシル化されている、ヒトKITのこれらの形態の両方に特異的に結合することができる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、グリコシル化されていないヒトKITの細胞外ドメインに結合する。
【0191】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、2つの抗原結合領域(例えば、2つの同一の抗原結合領域)を有し、両方の抗原結合領域が同じ抗原のKIT(例えば、ヒトKIT)に特異的に結合するという点で、二価の単一特異性抗体である。ある実施態様において、抗原結合領域は、表1に記載のVH及びVL CDRを含む。特定の実施態様において、抗原結合領域は、配列番号8~12のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVH、及び/又は配列番号13~16のいずれか1つのアミノ酸配列を含むVLを含む。ある態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体又はその抗原結合断片は、二重特異性抗体ではない。
【0192】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、モノクローナル抗体又は単離されたモノクローナル抗体である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、組換え抗体、例えば、組換えヒト抗体、組換えヒト化抗体又は組換えモノクローナル抗体である。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、非ヒトアミノ酸配列、例えば、非ヒトCDR又は非ヒト(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク残基を含有する。
【0193】
本明細書に提供される特定の実施態様において、組換え抗体は、組換え手段によって単離し、調製し、発現させ、又は作出することができ、これには、例えば、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、又は例えば、合成、ヒト免疫グロブリン配列をコードするDNA配列の遺伝子改変、もしくはヒト免疫グロブリンをコードする配列、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のそのような配列へのスプライシングによる作出を含む任意の他の手段によって調製され、発現され、作出され、もしくは単離された抗体がある。ある実施態様において、そのような組換え抗体のアミノ酸配列は、そのように修飾されており、したがって、そのような抗体、例えば、VH及び/又はVL領域のアミノ酸配列は、生物のインビボの抗体生殖系列レパートリー、例えば、マウス又はヒト生殖系列レパートリーに天然には存在しない配列である。特定の実施態様において、組換え抗体は、生物(例えば、霊長類、例えば、ヒト)に天然に存在するいくつかの配列断片を組換え抗体の複合配列へとアセンブルすることによって得ることができ、その場合、該複合配列は、生物(例えば、霊長類、例えば、ヒト)に天然には存在しない。
【0194】
本明細書に提供される抗体としては、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスの免疫グロブリン分子が挙げられる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、IgG抗体(例えば、ヒトIgG抗体)、又はそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)又はサブクラスである。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、IgG1(例えば、ヒトIgG1(アイソタイプa、z、もしくはf))又はIgG4抗体である。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、完全(whole)又は完全(entire)抗体、例えば、完全(whole)又は完全(entire)ヒト化、ヒト、又は複合ヒト抗体である。
【0195】
具体的な態様において、本明細書に提供される抗体は、抗体の軽鎖及び重鎖、例えば、別々の軽鎖及び重鎖を含む。軽鎖に関して、具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、カッパ軽鎖である。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、ラムダ軽鎖である。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖である。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒト軽鎖定常領域を含む。ヒト軽鎖定常領域配列の非限定的な例は、当技術分野で記載されており、例えば、米国特許第5,693,780号及びKabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい。
【0196】
重鎖に関して、具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖であることができる。別の具体的な実施態様において、記載されている抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖を含むことができる。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、ヒト重鎖定常領域(例えば、ヒトIgG定常領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域)を含む。ヒト重鎖定常領域配列の非限定的な例は、当技術分野で記載されており、例えば、米国特許第5,693,780号及びKabatらの文献(1991)、免疫学的関心対象のタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変(例えば、変異)ヒトFc領域又はドメイン(例えば、改変(例えば、変異)ヒトIgG1 Fc領域又はドメイン、改変(例えば、変異)ヒトIgG2 Fc領域又はドメイン、改変(例えば、変異)ヒトIgG3 Fc領域又はドメイン、又は改変(例えば、変異)ヒトIgG4 Fc領域又はドメイン)を含む。
【0197】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、ヒト、複合ヒト、又はヒト化モノクローナル抗体である。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、改変抗体、例えば、組換え法により産生された抗体である。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、1以上の非ヒト(例えば、齧歯類又はマウス)CDR及び1以上のヒトフレームワーク領域(FR)、並びに任意に、ヒト重鎖定常領域及び/又は軽鎖定常領域を含むヒト化抗体である。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、1以上の霊長類(又は非ヒト霊長類)フレームワーク領域を含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、非ヒト霊長類フレームワーク領域を含まない。
【0198】
本明細書に提供される抗体には、化学修飾を含む抗体、例えば、化学的に、例えば、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって修飾されている抗体が含まれ得る。例えば、限定するものではないが、抗KIT抗体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、又はアミド化することができ、保護基/ブロッキング基によって誘導体化することができ、或いは細胞リガンド及び又は他のタンパク質もしくはペプチド(例えば、異種タンパク質もしくはペプチド)などをさらに含むことができる。例えば、本明細書に提供される抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への結合などによって化学的に修飾することができる。さらに、本明細書に記載の抗KIT抗体は、1以上の非古典的アミノ酸を含有することができる。
【0199】
一実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、別の分子、ペプチド又はポリペプチド(例えば、異種ポリペプチド)に連結、融合又はコンジュゲート(例えば、人工的に連結、融合又はコンジュゲート)されていないネイキッド抗体である。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、抗体-薬物コンジュゲートではない。特定の実施態様において、本明細書に提供される抗KIT抗体は、融合タンパク質ではない。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、非古典的アミノ酸を含まない。
【0200】
(5.1.1.コンジュゲート)
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、診断剤、検出剤もしくは治療剤又は任意の他の分子にコンジュゲートされた又は組換え融合させた抗体(例えば、ヒトもしくはヒト化抗体)、又はその抗原結合断片である。コンジュゲートされた又は組換え融合させられた抗体は、例えば、KIT関連障害又は疾患の発生、発症、進行、及び/又は重症度を、例えば、特定の療法の有効性の判定などの臨床治験手順の一部として、モニタリング又は予後判定するのに有用で有り得る。コンジュゲートされた又は組換え融合させた抗体は、例えば、KIT関連障害を治療もしくは管理するために、又はKIT関連障害の作用を予防、治療もしくは管理するために有用で有り得る。本明細書に記載の抗体は、抗体の1以上の生物学的特性及び/又は分子特性、例えば、安定性(例えば、血清中の)、半減期、溶解度、及び抗原性に影響を及ぼし得る分子(例えば、ポリエチレングリコール)にコンジュゲートすることもできる。
【0201】
特定の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体(又はその抗原結合断片)に連結された薬剤(例えば、治療剤)を含むコンジュゲートである。具体的な実施態様において、コンジュゲートは、本明細書に記載の抗体及び分子(例えば、治療的部分又は薬物部分)を含み、該抗体は、該分子に直接、又は1以上のリンカーによって連結される。ある実施態様において、抗体は、分子に共有結合的にコンジュゲートされる。特定の実施態様において、抗体は、分子に非共有結合的にコンジュゲートされる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体、例えば、薬剤にコンジュゲートされた抗体は、野生型ヒトKITに結合する。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体、例えば、薬剤にコンジュゲートされた抗体は、突然変異、例えば、癌(例えば、GIST)と関連する体細胞突然変異、例えば、位置502及び503のAla及びTyr残基が重複しているヒトKITのエキソン9中の突然変異を含むヒトKITの細胞外ドメインに結合する。
【0202】
そのような診断及び検出は、例えば、抗体を検出可能な分子又は物質にカップリングさせることによって達成することができ、該分子又は物質には、様々な酵素、例えば、限定されないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼ;補欠分子族、例えば、限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチン;蛍光物質、例えば、限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセン、ダンシルクロリド又はフィコエリトリン;発光物質、例えば、限定されないが、ルミノール;生体発光物質、例えば、限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリン;放射性物質、例えば、限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123I、及び121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、及び111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、及び117Sn;並びに様々な陽電子放出断層撮影法を用いる陽電子放出金属、並びに非放射性常磁性金属イオンが含まれるが、これらに限定されない。
【0203】
提供されるのは、治療的部分(又は1以上の治療的部分)にコンジュゲートされた又は組換え融合させられた本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片、及びそのような抗体の使用である。該抗体は、細胞毒素、例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊剤、治療剤、又は放射性金属イオン、例えば、α-放射体などの、治療的部分にコンジュゲートするか又は組換え融合させることができる。細胞毒素又は細胞毒性剤には、細胞にとって有害である任意の薬剤が含まれる。治療的部分としては、オーリスタチン又はその誘導体、例えば、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、オーリスタチンPYE、及びオーリスタチンE(AE)(例えば、米国特許第7,662,387号並びに米国特許出願公開第2008/0300192号及び第2008/0025989号を参照されたく、これらは各々、引用により本明細書中に組み込まれる);微小管破壊剤、例えば、メイタンシン又はその誘導体、例えば、メイタンシノイドDM1(例えば、米国特許第7,851,432号、第7,575,748号、及び第5,416,064号を参照されたく、これらは各々、引用により本明細書中に組み込まれる);プロドラッグ、例えば、CC-1065(ラケルマイシン)類似体のプロドラッグ;代謝アンタゴニスト(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン);アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、並びにシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)、並びにシスプラチン);マイナーグルーブ結合アルキル化剤;アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧名、ダウノマイシン)及びドキソルビシン);抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC));オーリスタチン分子(例えば、オーリスタチンPHE、ブリオスタチン1、及びソラスタチン10; Woykeらの文献、Antimicrob. Agents Chemother. 46:3802-8(2002)、Woykeらの文献、Antimicrob. Agents Chemother. 45:3580-4(2001)、Mohammadらの文献、Anticancer Drugs 12:735-40(2001)、Wallらの文献、Biochem. Biophys. Res. Commun. 266:76-80(1999)、Mohammadらの文献、Int. J. Oncol. 15:367-72(1999)を参照されたく、これらは全て、引用により本明細書中に組み込まれる);ホルモン剤(例えば、グルココルチコイド、プロゲスチン、アンドロゲン、及びエストロゲン)、DNA修復酵素阻害剤(例えば、エトポシド又はトポテカン)、キナーゼ阻害剤(例えば、化合物ST1571、メシル酸イマチニブ(Kantarjianらの文献、Clin Cancer Res. 8(7):2167-76(2002));細胞毒性剤(例えば、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルコルチコイド(glucorticoid)、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン、並びにそれらの類似体又はホモログ、並びに米国特許第6,245,759号、第6,399,633号、第6,383,790号、第6,335,156号、第6,271,242号、第6,242,196号、第6,218,410号、第6,218,372号、第6,057,300号、第6,034,053号、第5,985,877号、第5,958,769号、第5,925,376号、第5,922,844号、第5,911,995号、第5,872,223号、第5,863,904号、第5,840,745号、第5,728,868号、第5,648,239号、第5,587,459号に開示されている化合物、これらは各々、そのような化合物の開示に関して、引用により本明細書中に組み込まれる);ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、R115777、BMS-214662、並びに例えば、米国特許:第6,458,935号、第6,451,812号、第6,440,974号、第6,436,960号、第6,432,959号、第6,420,387号、第6,414,145号、第6,410,541号、第6,410,539号、第6,403,581号、第6,399,615号、第6,387,905号、第6,372,747号、第6,369,034号、第6,362,188号、第6,342,765号、第6,342,487号、第6,300,501号、第6,268,363号、第6,265,422号、第6,248,756号、第6,239,140号、第6,232,338号、第6,228,865号、第6,228,856号、第6,225,322号、第6,218,406号、第6,211,193号、第6,187,786号、第6,169,096号、第6,159,984号、第6,143,766号、第6,133,303号、第6,127,366号、第6,124,465号、第6,124,295号、第6,103,723号、第6,093,737号、第6,090,948号、第6,080,870号、第6,077,853号、第6,071,935号、第6,066,738号、第6,063,930号、第6,054,466号、第6,051,582号、第6,051,574号、及び第6,040,305号によって開示されているもの、これらは各々、そのような阻害剤の開示に関して、引用により本明細書中に組み込まれる);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン;イリノテカン; SN-38;トポテカン; 9-アミノカンプトテシン; GG-211(GI 147211); DX-8951f; IST-622;ルビテカン;ピラゾロアクリジン; XR-5000;サイントピン; UCE6; UCE1022; TAN-1518A; TAN 1518B; KT6006; KT6528; ED-110; NB-506; ED-110; NB-506;及びレベッカマイシン);ブルガレイン; DNAマイナーグルーブ結合剤、例えば、Hoescht色素33342及びHoechst色素33258;ニチジン;ファガロニン;エピベルベリン;コラリン;β-ラパコン; BC-4-1;ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート、シマドロント(cimadronte)、クロドロネート、チルドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート、オルパンドロネート、リセドロネート、ピリドロネート、パミドロネート、ゾレンドロネート)、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、スタチン、セリバスタチン、レスコール、ルピトール、ロスバスタチン、及びアトルバスタチン);アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第6,277,832号、第5,998,596号、第5,885,834号、第5,734,033号、及び第5,618,709号に開示されているもの、これらは各々、そのようなオリゴヌクレオチドに関して、引用により本明細書中に組み込まれる);アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、リン酸フルダラビン及び2-クロロデオキシアデノシン);イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標)))並びにそれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、包摂化合物、及びプロドラッグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
特定の実施態様において、治療的部分又は薬物部分は、抗チューブリン薬、例えば、オーリスタチン又はその誘導体である。オーリスタチンの非限定的な例としては、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)、オーリスタチンPYE、及びオーリスタチンE(AE)が挙げられる(例えば、米国特許第7,662,387号並びに米国特許出願公開第2008/0300192号及び第2008/0025989号を参照されたく、これらは各々、引用により本明細書中に組み込まれる)。ある実施態様において、治療的部分又は薬物部分は、微小管破壊剤、例えば、メイタンシン又はその誘導体、例えば、メイタンシノイドDM1又はDM4である(例えば、米国特許第7,851,432号、第7,575,748号、及び第5,416,064号を参照されたく、これらは各々、引用により本明細書中に組み込まれる)。ある実施態様において、治療的部分又は薬物部分は、プロドラッグ、例えば、CC-1065(ラケルマイシン)類似体のプロドラッグである(例えば、米国特許出願公開第2008/0279868号、並びにPCT国際特許出願公開WO 2009/017394号、WO 2010/062171号、及びWO 2007/089149号を参照されたく、これらは各々、引用により本明細書中に組み込まれる)。
【0205】
具体的な実施態様において、該抗体及び治療剤/薬物物質は、1以上のリンカーによってコンジュゲートされる。別の具体的な実施態様において、該抗体及び治療剤/薬物物質は、直接コンジュゲートされる。
【0206】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体へのコンジュゲーション用の治療的部分又は薬物部分の非限定的な例としては、カリケアマイシン(例えば、LL-E33288複合体、例えば、ガンマ-カリケアマイシン、例えば、米国特許第4,970,198号を参照されたい)及びその誘導体(例えば、ガンマカリケアマイシンヒドラジド誘導体)、オゾガマイシン、デュオカルマイシン及びそれらの誘導体(例えば、CC-1065(NSC 298223)、又はデュオカルマイシンのアキラル類似体(例えば、AS-1-145もしくはセンタナマイシン))、タキサン及びその誘導体、並びにエンジイン及びその誘導体が挙げられる(例えば、PCT国際特許出願公開WO 2009/017394号、WO 2010/062171号、WO 2007/089149号、WO 2011/021146号、WO 2008/150261号、WO 2006/031653号、WO 2005/089809号、WO 2005/089807号、及びWO 2005/089808号を参照されたく、これらは各々、引用により完全に本明細書中に組み込まれる)。
【0207】
本明細書に記載の抗体へのコンジュゲーションに好適なカリケアマイシンの非限定的な例は、例えば、米国特許第4,671,958号;第5,053,394号;第5,037,651号;第5,079,233号;及び第5,108,912号;並びにPCT国際特許出願公開WO 2011/021146号、WO 2008/150261号、WO 2006/031653号、WO 2005/089809号、WO 2005/089807号、及びWO 2005/089808号に開示されており;これらは各々、そのようなカリケアマイシンの開示について、引用により本明細書中に組み込まれる。特定の実施態様において、これらの化合物は、適切なチオールと反応して、ジスルフィドを形成し、同時に、ヒドラジドなどの官能基又はカリケアマイシンを本明細書に記載の抗体にコンジュゲートするのに有用で有り得る他の官能基を導入するメチルトリスルフィドを含有し得る。ある実施態様において、ジメチル置換基を付加することによって、カリケアマイシンコンジュゲート中に存在するジスルフィド結合を安定化すると、改善された抗体/薬物コンジュゲートが生じ得る。具体的な実施態様において、カリケアマイシン誘導体は、コンジュゲーション用の最適化された誘導体の1つとしての、N-アセチルガンマカリケアマイシンジメチルヒドラジド、又はNAc-ガンマDMH(CL-184,538)である。本明細書に記載の抗体にコンジュゲートすることができるカリケアマイシンのジスルフィド類似体は、例えば、米国特許第5,606,040号及び第5,770,710号に記載されており、これらは各々、そのような化合物の開示について、引用により本明細書中に組み込まれる。ある実施態様において、部分(例えば、カリケアマイシン又はその誘導体)は、リンカーによって抗体にコンジュゲートされる。特定の実施態様において、部分(例えば、カリケアマイシン又はその誘導体)は、リンカーにおいて抗体-薬物コンジュゲートから加水分解される。一実施態様において、部分(例えば、カリケアマイシン又はその誘導体)は、約pH 3.0~pH 4.0で、1~24時間、20~50℃、好ましくは、37℃の温度で、リンカーにおいて抗体コンジュゲートから加水分解される。
【0208】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体へのコンジュゲーション用の治療的部分又は薬物部分の非限定的な例としては、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)及びその誘導体、例えば、PBD二量体(例えば、SJG-136又はSG2000)、C2-不飽和PBD二量体、C2アリール置換を有するピロロベンゾジアゼピン二量体(例えば、SG2285)、加水分解によって活性化されるPBD二量体プロドラッグ(例えば、SG2285)、並びにポリピロール-PBD(例えば、SG2274)が挙げられる(例えば、PCT国際特許出願公開WO 2000/012507号、WO 2007/039752号、WO 2005/110423号、WO 2005/085251号、及びWO 2005/040170号、並びに米国特許第7,612,062号を参照されたく、これらは各々、そのような化合物の開示について、引用により本明細書中に組み込まれる)。
【0209】
さらに、本明細書に記載の抗体は、治療的部分、例えば、放射性金属イオン、例えば、α-放射体、例えば、213Bi、又は限定されないが、131In、131LU、131Y、131Ho、131Smを含む、放射性金属イオンをポリペプチドに共役させるのに有用な大環状キレート剤にコンジュゲートすることができる。ある実施態様において、該大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体に結合させることができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)である。そのようなリンカー分子は、当技術分野で一般に知られており、各々引用により完全に組み込まれる、Denardoらの文献、1998, Clin Cancer Res. 4(10):2483-90; Petersonらの文献、1999, Bioconjug. Chem. 10(4):553-7;及びZimmermanらの文献、1999, Nucl. Med. Biol. 26(8):943-50に記載されている。
【0210】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、直接的に又は1以上のリンカー分子を介して間接的に、1以上の分子(例えば、治療的部分又は薬物部分)にコンジュゲートされる。特定の実施態様において、リンカーは、酵素切断可能なリンカー又はジスルフィドリンカーである。具体的な実施態様において、該切断可能なリンカーは、アミノペプチダーゼ、アミノエステラーゼ、ジペプチジルカルボキシペプチダーゼ、又は血液凝固カスケードのプロテアーゼなどの酵素によって切断可能である。特定の実施態様において、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は20個のアミノ酸残基を含む。ある実施態様において、リンカーは、1~10個のアミノ酸残基、1~15個のアミノ酸残基、5~20個のアミノ酸残基、10~25個のアミノ酸残基、10~30個のアミノ酸残基、又は10~50個のアミノ酸残基からなる。
【0211】
ある実施態様において、部分は、1以上のリンカーによって抗体にコンジュゲートされる。特定の実施態様において、部分は、リンカーにおいて抗体-薬物コンジュゲートから加水分解される。一実施態様において、部分は、約pH 3.0~pH 4.0で、1~24時間、及び20~50℃、好ましくは、37℃の温度で、リンカーにおいて抗体コンジュゲートから加水分解される。具体的な実施態様において、リンカーは、血流中で安定であるが、ひとたびそれが標的細胞の内部に入るとコンジュゲート部分を放出する。ある実施態様において、部分は、1以上のトリアゾール含有リンカーを介して本明細書に記載の抗体にコンジュゲートされる(例えば、引用により本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO 2007/018431号を参照されたい)。本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートへの組込み用のリンカー及びスペーサーの非限定的な例は、PCT国際特許出願公開WO 2007/018431号、WO 2004/043493号、及びWO 2002/083180号に開示されている。
【0212】
さらに、本明細書に記載の抗体は、マーカー配列、例えば、精製を容易にするためのペプチドに融合させることができる。好ましい実施態様において、マーカーアミノ酸配列は、その多くが市販されている、ヘキサ-ヒスチジンペプチド、例えば、とりわけ、pQEベクター(QIAGEN社)中に提供されているタグである。Gentzらの文献、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載されているように、例えば、ヘキサ-ヒスチジンは、融合タンパク質の好都合な精製をもたらす。精製に有用な他のペプチドタグとしては、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する血球凝集素(「HA」)タグ(Wilsonらの文献、1984, Cell 37:767)、及び「FLAG」タグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0213】
治療的部分(ポリペプチドを含む)を抗体に融合させるか又はコンジュゲートする方法は周知であり、例えば、Arnonらの文献、「癌療法における薬物のイムノターゲッティングのためのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy)」、モノクローナル抗体及び癌療法(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)、Reisfeldら(編), pp. 243-56(Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstromらの文献、「薬物送達のための抗体(Antibodies For Drug Delivery)」、制御された薬物送達(Controlled Drug Delivery)(第2版)、Robinsonら(編), pp. 623-53(Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpeの文献、「癌療法における細胞毒性剤の抗体担体:概説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review)」、モノクローナル抗体84:生物学的及び臨床的応用(Monoclonal Antibodies 84: Biological And Clinical Applications)、Pincheraら(編), pp. 475-506(1985);「癌療法における放射性標識抗体の治療的使用の解析、結果、及び将来的展望(Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、癌の検出及び治療のためのモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy)、Baldwinら(編), pp. 303-16(Academic Press 1985)、Thorpeらの文献、1982, Immunol. Rev. 62:119-58; 米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、第5,723,125号、第5,783,181号、第5,908,626号、第5,844,095号、及び第5,112,946号; EP 307,434号; EP 367,166号; EP 394,827号; PCT公開WO 91/06570号、WO 96/04388号、WO 96/22024号、WO 97/34631号、及びWO 99/04813号; Ashkenaziらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 10535-10539, 1991; Trauneckerらの文献、Nature, 331:84-86, 1988; Zhengらの文献、J. Immunol., 154:5590-5600, 1995; Vilらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:11337-11341, 1992を参照されたく、これらは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0214】
本明細書に記載の抗体は、特に、免疫アッセイ又は標的抗原の精製に有用である固体支持体に結合させることもできる。そのような固体支持体としては、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
ある態様において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片は、任意にリンカーによって薬物に連結された抗体を含む細胞外薬物コンジュゲート(ECD)である(例えば、PCT国際特許出願公開WO 2011/031870号を参照されたい)。薬物は、細胞外で作用することができ、したがって、コンジュゲートの内在化は必要とされない。ECDが標的細胞に結合した後、薬物は細胞内にシグナルを送る。
【0216】
一実施態様において、ECDのリンカーは、切断不可能なリンカーである。切断不可能なリンカーの例としては、酸又は塩基感受性があるもの(例えば、ヒドラゾン含有リンカー)ではなく、還元剤又は酸化剤に感受性があるもの(例えば、ジスルフィド結合を含有するもの)ではなく、及び細胞又は循環系に見出され得る酵素に感受性があるものではない、ポリエチレングリコール鎖又はポリエチレン鎖を含有するリンカーが挙げられる。切断不可能なリンカーの具体的な例としては、SMCCリンカー(米国特許出願第20090202536号)が挙げられる。例示するために、切断可能なリンカーの例としては、非ヒンダードグルタチオン感受性ジスルフィド、エステル、カテプシン又はプラスミンなどのペプチダーゼに感受性のあるペプチド配列、pH感受性ヒドラゾンを含有するリンカー(Bioconjugate Chem., 2010, 21(1), pp 5-13を参照されたい)及び非ヒンダードジスルフィドリンカーSPP(米国特許出願第20090202536号を参照されたい)が挙げられる。
【0217】
ある態様において、ECDは、強心配糖体、例えば、プロスシラリジン又は糖強化プロスシラリジンである薬物又は薬剤を含む。一実施態様において、該薬剤は、糖を欠く強心配糖体から構成される。様々な実施態様において、該強心配糖体は、PCT公開WO 2010/017480号(PCT/US2009/053159号)で同定されている化合物である。
【0218】
(5.2 ポリヌクレオチド)
ある態様において、本明細書に提供されるのは、KIT抗原に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗体(例えば、ヒトもしくはヒト化抗体)又はその断片(例えば、可変軽鎖領域及び/もしくは可変重鎖領域)をコードするヌクレオチド配列(複数可)を含むポリヌクレオチド及びポリヌクレオチドの組み合わせである。また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗KIT抗体を作製するためのKIT抗原をコードするポリヌクレオチドである。
【0219】
本明細書で使用されるように、「単離された」ポリヌクレオチド又は核酸分子は、核酸分子の天然供給源(例えば、ヒト)に存在する他の核酸分子から分離されているポリヌクレオチド又は核酸分子である。さらに、「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子は、他の細胞物質、もしくは組換え技術によって産生される場合は、培養培地を実質的に含まないものであり得、又は化学合成される場合は、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。例えば、「実質的に含まない」という言葉は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満(特に、約10%未満)の他の物質、例えば、細胞物質、培養培地、他の核酸分子、化学的前駆体及び/又は他の化学物質を有するポリヌクレオチド又は核酸分子の調製物を含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体をコードする核酸分子(複数可)は、単離又は精製されている。
【0220】
特定の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせ、又は前記抗体もしくはその抗原結合断片のVH及びVLである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVHをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVLをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする第1のヌクレオチド配列、及び前記抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする第2のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのポリヌクレオチドの組み合わせであり、該組み合わせの第1のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする第1のヌクレオチド配列を含み、該組み合わせの第2のポリヌクレオチドは、前記抗体又はその抗原結合断片のVLをコードする第2のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体の重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体の軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体の重鎖をコードする第1のヌクレオチド配列及び前記抗体の軽鎖をコードする第2のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのポリヌクレオチドの組み合わせであり、該組み合わせの第1のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の抗体の重鎖をコードする第1のヌクレオチド配列を含み、該組み合わせの第2のポリヌクレオチドは、前記抗体の軽鎖をコードする第2のヌクレオチド配列を含む。
【0221】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、配列番号23のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、配列番号24のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、配列番号23のヌクレオチド配列及び配列番号24のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドの組み合わせは、配列番号23のヌクレオチド配列を含む第1のポリヌクレオチド及び配列番号24のヌクレオチド配列を含む第2のポリヌクレオチドを含む。
【0222】
また本明細書に提供されるのは、例えば、コドン/RNA最適化、異種シグナル配列との交換、及びmRNA不安定性エレメントの除去によって最適化される抗KIT抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドである。コドン変化を導入し、かつ/又はmRNA中の阻害性領域を除去することによって、抗KIT抗体又はその断片(例えば、軽鎖、重鎖、VHドメイン、又はVLドメイン)をコードする組換え発現用の最適化された核酸を作製する方法は、例えば、米国特許第5,965,726号;第6,174,666号;第6,291,664号;第6,414,132号;及び第6,794,498号に記載されている最適化方法を相応に適合させることによって実施することができる。例えば、RNA内の潜在的スプライス部位及び不安定性エレメント(例えば、A/T又はA/Uリッチエレメント)を、核酸配列によってコードされるアミノ酸を改変することなく突然変異させて、組換え発現のためにRNAの安定性を増大させることができる。改変は、例えば、同一のアミノ酸に対する代替コドンを用いる遺伝暗号の縮重を利用する。いくつかの実施態様において、1以上のコドンを、保存的突然変異、例えば、もとのアミノ酸と類似した化学構造及び特性並びに/又は機能を有する類似のアミノ酸をコードするように改変することが望ましいことがある。そのような方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによってコードされる抗KIT抗体の発現と比べて、抗KIT抗体又はその断片の発現を、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、もしくは100倍、又はそれを超えて増大させることができる。
【0223】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその断片(例えば、VLドメイン及び/もしくはVHドメイン)をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその断片(例えば、VLドメイン及び/もしくはVHドメイン)をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、相補的)ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又は断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー条件下で、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその断片をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高いストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー又はより低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその断片をコードする最適化されていないヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション条件に関する情報は記載されており、例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、米国特許出願公開US 2005/0048549号(例えば、段落72~73)を参照されたい。
【0224】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗体のVL領域をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、配列番号23のヌクレオチド配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%同一である。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体のVH領域をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、配列番号24のヌクレオチド配列と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%同一である。
【0225】
該ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の任意の方法によって取得することができ、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、該方法によって決定することができる。本明細書に記載の抗体及びこれらの抗体の修飾型をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野で周知の方法を用いて決定することができる、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、該抗体をコードする核酸を作製するような方法でアセンブルされる。該抗体をコードするそのようなポリヌクレオチドは、化学合成されたオリゴヌクレオチド(例えば、Kutmeierらの文献、1994, BioTechniques 17:242に記載されているもの)からアセンブルすることができ、これは、簡潔に述べると、抗体をコードする配列の部分を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーション、その後、ライゲーションされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。
【0226】
或いは、本明細書に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で周知の方法(例えば、PCR及び他の分子クローニング法)を用いて、好適な供給源(例えば、ハイブリドーマ)由来の核酸から作製することができる。例えば、既知の配列の3'及び5'末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いるPCR増幅は、関心対象の抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られるゲノムDNAを用いて実施することができる。そのようなPCR増幅法を用いて、抗体の軽鎖及び/又は重鎖をコードする配列を含む核酸を得ることができる。そのようなPCR増幅法を用いて、抗体の可変軽鎖領域及び/又は可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得ることができる。増幅された核酸を、宿主細胞での発現用の及びさらなるクローニング用のベクターにクローニングして、例えば、キメラ及びヒト化抗体を作製することができる。
【0227】
特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンは入手可能でないが、抗体分子の配列が公知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、化学合成するか、或いは配列の3'及び5'末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いるPCR増幅によって、又は例えば、特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いて抗体をコードするcDNAライブラリー由来のcDNAクローンを同定するクローニングによって、好適な供給源(例えば、抗体を発現している任意の組織又は細胞、例えば、本明細書に記載の抗体を発現させるために選択されたハイブリドーマ細胞から作製される抗体cDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリー、又は該細胞から単離される核酸、好ましくは、ポリA+RNA)から得ることができる。その後、PCRによって作製される増幅された核酸は、当技術分野で周知の任意の方法を用いて、複製可能なクローニングベクターにクローニングすることができる。
【0228】
本明細書に記載の抗KIT抗体をコードするDNAを、従来の手順を用いて(例えば、抗KIT抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)容易に単離し、シークエンシングすることができる。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源としての役割を果たすことができる。ひとたび単離されれば、DNAを発現ベクター中に入れることができ、これを、その後、それ以外の方法では免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)由来のCHO細胞)、又は骨髄腫細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞内での抗KIT抗体の合成を得る。
【0229】
完全抗体を作製するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び該制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを用いて、scFvクローン中でVH又はVL配列を増幅させることができる。当業者に公知のクローニング技術を用いて、PCR増幅されたVHドメインを、重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ1又はガンマ4定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅されたVLドメインを、軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパ又はラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。ある実施態様において、VH又はVLドメインを発現させるためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメインのクローニング部位、定常ドメイン、及びネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VH及びVLドメインは、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。その後、当業者に公知の技術を用いて、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを細胞株にコトランスフェクトし、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な又は一過性の細胞株を作製する。
【0230】
DNAは、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列をマウス配列の代わりに代用することによるか、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てもしくは一部を共有結合させることによって改変することもできる。
【0231】
(5.3 宿主細胞及び抗体の組換え発現)
ある態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体(又はその抗原結合断片)及び関連発現ベクターを組換え発現する宿主細胞である。本明細書に提供されるのは、宿主細胞、好ましくは、哺乳動物細胞内での組換え発現用の、抗KIT抗体又は抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター及びベクター(例えば、発現ベクター)の組み合わせである。また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗KIT抗体(例えば、ヒト又はヒト化抗体)の組換え発現用のそのようなベクター又はベクターの組み合わせを含む宿主細胞である。
【0232】
KIT抗原に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗体(例えば、全長抗体、抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖、又は本明細書に記載の単鎖抗体)の組換え発現は、該抗体をコードするポリヌクレオチド(複数可)を含有する発現ベクター(複数可)の構築を含む。本明細書に記載の抗体分子、抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖、又はそれらの断片(重鎖及び/もしくは軽鎖可変ドメインを含有することが好ましいが、必ずしもその必要はない)をコードするポリヌクレオチドが得られれば、抗体分子の産生用のベクター(複数可)を、当技術分野で周知の技術を用いる組換えDNA技術によって作製することができる。したがって、抗体(又はVH/VL又は重/軽鎖)をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製する方法が本明細書に記載されている。当業者に周知である方法を用いて、抗体をコードする配列並びに適切な転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビトロ遺伝子組換えが含まれる。また提供されるのは、プロモーターに作用可能に連結された、本明細書に記載の抗体分子、抗体の重鎖又は軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメイン又はそれらの断片、或いは重鎖又は軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターである。そのようなベクターは、例えば、抗体分子の定常領域(例えば、国際公開WO 86/05807及びWO 89/01036;並びに米国特許第5,122,464号を参照されたい)を含むことができ、抗体の可変ドメインを、重鎖全体、軽鎖全体、又は重鎖全体と軽鎖全体の両方の発現用のそのようなベクターにクローニングすることができる。
【0233】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVHをコードするポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVLをコードするポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVH及びVLをコードするポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする第1のポリヌクレオチド、及び該抗体又は抗原結合断片のVLをコードする第2のポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのベクターの組み合わせであり、該組み合わせの第1のベクターは、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片のVHをコードする第1のポリヌクレオチドを含み、該組み合わせの第2のベクターは、該抗体又は抗原結合断片のVLをコードする第2のポリヌクレオチドを含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体の重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体のVHをコードする第1のポリヌクレオチド及び該抗体のVLをコードする第2のポリヌクレオチドを含むベクターである。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのベクターの組み合わせであり、該組み合わせの第1のベクターは、本明細書に記載の抗体のVHをコードする第1のポリヌクレオチドを含み、該組み合わせの第2のベクターは、該抗体のVLをコードする第2のポリヌクレオチドを含む。
【0234】
発現ベクター又は発現ベクターの組み合わせを、従来技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に導入することができ、その後、得られた細胞を従来技術によって培養して、本明細書に記載の抗体又はその断片を産生することができる。したがって、本明細書に提供されるのは、宿主細胞内でのそのような配列の発現用のプロモーターに作用可能に連結された、本明細書に記載の抗体もしくはその断片、或いはその重鎖もしくは軽鎖又はそれらの断片、或いは本明細書に記載の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの組み合わせを含有する宿主細胞である。ある実施態様において、二重鎖抗体の発現のために、重鎖と軽鎖の両方を個別にコードするベクターを、以下で詳述するように、免疫グロブリン分子全体の発現用の宿主細胞内で共発現させることができる。ある実施態様において、宿主細胞は、本明細書に記載の抗体の重鎖と軽鎖の両方(又はVHとVLの両方)、又はそれらの断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する。具体的な実施態様において、宿主細胞は、第一のベクターが、本明細書に記載の抗体の重鎖(もしくはVH)又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含み、第二のベクターが、本明細書に記載の抗体の軽鎖(もしくはVL)又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む、2つの異なるベクターを含有する。他の実施態様において、第一の宿主細胞は、本明細書に記載の抗体の重鎖(もしくはVH)又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む第一のベクターを含み、第二の宿主細胞は、本明細書に記載の抗体の軽鎖(もしくはVL)又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む第二のベクターを含む。
【0235】
種々の宿主-発現ベクター系を用いて、本明細書に記載の抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたい)。そのような宿主-発現系は、関心対象のコード配列を産生し、その後、精製することができる媒体であるが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換又はトランスフェクトしたときに、本明細書に記載の抗体分子をインサイチュで発現することができる細胞でもある。これらには、微生物、例えば、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌及び枯草菌(B. subtilis));抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス・ピキア(Saccharomyces Pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したもしくは抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系(例えば、緑藻類、例えば、緑藻クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii));又は哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現コンストラクトを保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、MDCK、HEK 293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH 3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合断片の発現用の細胞は、CHO細胞、例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)由来のCHO細胞である。具体的な実施態様において、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC(商標)又はpcDNA3.3である。好ましくは、細菌細胞、例えば、大腸菌、及びより好ましくは、とりわけ、完全組換え抗体分子の発現用の真核細胞を組換え抗体分子の発現のために使用する。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併用される、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、抗体の効果的な発現系である(Foeckingらの文献、1986, Gene 45:101;及びCockettらの文献、1990, Bio/Technology 8:2)。ある実施態様において、本明細書に記載の抗体は、CHO細胞又はNS0細胞によって産生される。具体的な実施態様において、KIT抗原に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、又は組織特異的プロモーターによって調節される。
【0236】
細菌系において、いくつかの発現ベクターを、発現される抗体分子に対して意図される用途に応じて有利に選択することができる。例えば、大量のそのような抗体が産生されることになっている場合、抗体分子の医薬組成物の作製のために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を導くベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターとしては、融合タンパク質が産生されるように、抗体コード配列を、lac Zコード領域とインフレームでベクターに個別に連結することができる、大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherらの文献、1983, EMBO 12:1791); pINベクター(Inouye及びInouyeの文献、1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van Heeke及びSchusterの文献、1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509);などが挙げられるが、これらに限定されない。pGEXベクターを用いて、異種ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合と、それに続く、遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から放出させることができるように、トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むよう設計される。
【0237】
昆虫系において、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、異種遺伝子を発現させる。該ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞の中で成長する。抗体コード配列を該ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
【0238】
哺乳動物宿主細胞において、いくつかのウイルスベースの発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、関心対象の抗体コード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三部分リーダー配列に連結することができる。その後、このキメラ遺伝子を、インビトロ又はインビボ組換えによって、アデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域El又はE3)への挿入は、感染宿主内で生存可能であり、かつ抗体分子を発現することができる組換えウイルスを生じさせる(例えば、Logan及びShenkの文献、1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8 1:355-359を参照されたい)。特異的な開始シグナルも、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳に必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体が確実に翻訳されるように、所望のコード配列のリーディングフレームと同期していなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然と合成の両方の、種々の起源のものであることができる。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって増強することができる(例えば、Bittnerらの文献、1987, Methods in Enzymol. 153:51-544を参照されたい)。
【0239】
さらに、挿入された配列の発現を調節するか又は遺伝子産物を望ましい特定の様式で修飾及びプロセッシングする宿主細胞株を選ぶことができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセッシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセッシング及び修飾のための特徴的かつ特定の機構を有する。適切な細胞株又は宿主系を、発現される異種タンパク質の正確な修飾及びプロセッシングを確保するように選ぶことができる。この目的のために、一次転写物の適切なプロセッシング、遺伝子産物のグリコシル化、及びリン酸化のための細胞装置を保有する真核宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、CHO、VERO、BHK、Hela、COS、MDCK、HEK 293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内在性に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、並びにHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、本明細書に記載のヒト化モノクローナル抗KIT抗体は、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞で産生される。
【0240】
組換えタンパク質の長期の高収率産生のために、安定発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定に発現する細胞株を人為作製することができる。ウイルスの複製開始点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、及び選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換することができる。異種DNAの導入後、人為作製された細胞を、富化培地中で1~2日間成長させておくことができ、その後、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをその染色体に安定に組み込み、成長して、フォーカスを形成するのを可能にし、このフォーカスをさらにクローニングし、細胞株へと拡大することができる。この方法を有利に用いて、抗体分子を発現する細胞株を人為作製することができる。そのような人為作製された細胞株は、抗体分子と直接的又は間接的に相互作用する組成物をスクリーニング及び評価する際に特に有用で有り得る。
【0241】
限定されないが、それぞれ、tk-、hgprt-、又はaprt-細胞で利用することができる、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerらの文献、1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska及びSzybalskiの文献、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyらの文献、1980, Cell 22:8-17)を含む、いくつかの選択系を使用することができる。また、代謝拮抗物質耐性を以下の遺伝子:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerらの文献、1980, Natl. Acad. Sci. USA 77:357; O'Hareらの文献、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan及びBergの文献、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Wu及びWuの文献、1991, Biotherapy 3:87-95; Tolstoshevの文献、1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596; Mulliganの文献、1993, Science 260:926-932;及びMorgan及びAndersonの文献、1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217; Mayの文献、1993, TIB TECH 11(5):l55-2 15);並びにハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerreらの文献、1984, Gene 30:147)の選択の基礎として使用することができる。組換えDNA技術の分野で一般に知られている方法をルーチンに適用して、所望の組換えクローンを選択することができ、そのような方法は、例えば、Ausubelらの文献(編)、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons, NY(1993); Krieglerの文献、遺伝子導入及び発現、実験マニュアル(Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual)、Stockton Press, NY(1990);及びDracopoliらの文献(編)、ヒト遺伝学の最新プロトコル(Current Protocols in Human Genetics)、John Wiley & Sons, NY(1994)の第12章及び第13章; Colberre-Garapinらの文献、1981, J. Mol. Biol. 150:1に記載されており、これらは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0242】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大させることができる(総説については、Bebbington及びHentschelの文献、DNAクローニングにおける哺乳動物細胞内でのクローニング遺伝子の発現のための遺伝子増幅に基づくベクターの使用(The use of vector based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells)、第3巻(Academic Press, New York, 1987)を参照されたい)。抗体を発現するベクター系中のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの増大は、マーカー遺伝子のコピー数を増大させる。増幅した領域は抗体遺伝子と関連しているので、抗体の産生も増大する(Crouseらの文献、1983, Mol. Cell. Biol. 3:257)。
【0243】
宿主細胞に、第一のベクターが重鎖由来ポリペプチドをコードし、第二のベクターが軽鎖由来ポリペプチドをコードする、2以上の本明細書に記載の発現ベクターをコトランスフェクトすることができる。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含有することができる。宿主細胞に、異なる量の2以上の発現ベクターをコトランスフェクトすることができる。例えば、宿主細胞に、以下の比: 1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、又は1:50のいずれか1つの第一の発現ベクター及び第二の発現ベクターをトランスフェクトすることができる。
【0244】
或いは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、これらを発現することができる単一のベクターを使用することができる。そのような状況では、軽鎖を重鎖の前に配置して、過剰な毒性遊離重鎖を回避すべきである(Proudfootの文献、1986, Nature 322:52;及びKohlerの文献、1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2197-2199)。重鎖及び軽鎖のコード配列は、cDNA又はゲノムDNAを含むことができる。発現ベクターは、単シストロン性又は多シストロン性であることができる。多シストロン性核酸コンストラクトは、ヌクレオチド配列当たり2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれより多くの遺伝子、又は2~5、5~10もしくは10~20遺伝子の範囲でコードすることができる。例えば、2シストロン性核酸コンストラクトは、以下の順序で、プロモーター、第一の遺伝子(例えば、本明細書に記載の抗体の重鎖)、及び第二の遺伝子(例えば、本明細書に記載の抗体の軽鎖)を含むことができる。そのような発現ベクターでは、両方の遺伝子の転写は、プロモーターによって促進され得るが、第一の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存的走査機構によるものであり得、第二の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ非依存的機構によるもの、例えば、IRESによるものであり得る。
【0245】
本明細書に記載の抗体分子が組換え発現によって産生されれば、それを、免疫グロブリン分子の精製のための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、プロテインAの後ろの特異的抗原に対する親和性によるもの、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度によって、又は任意の他の標準的なタンパク質精製技術によって精製することができる。さらに、本明細書に記載の抗体を、本明細書に記載の又はそれ以外で精製を容易にすることが当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合させることができる。
【0246】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、単離又は精製される。通常、単離された抗体は、単離された抗体と異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体である。例えば、特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体の調製物は、細胞物質及び/又は化学前駆体を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉は、抗体が、それが単離される又は組換え産生される細胞の細胞成分から分離されている抗体の調製物を含む。したがって、細胞物質を実質的に含まない抗体は、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満の異種タンパク質(本明細書では、「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)及び/又は抗体の変異体、例えば、異なる翻訳後修飾形態の抗体もしくは他の異なる型の抗体(例えば、抗体断片)を有する抗体の調製物を含む。抗体が組換え産生される場合、それはまた、一般に、培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の体積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満に相当する。抗体が化学合成によって産生される場合、それは、一般に、化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、それは、タンパク質の合成に関与する化学前駆体又は他の化学物質から分離されている。したがって、該抗体のそのような調製物は、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、又は5%未満の化学前駆体又は関心対象の抗体以外の化合物を有する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体は、単離又は精製される。
【0247】
(5.4 抗体産生)
KIT抗原に免疫特異的に結合する本明細書に記載の抗体(例えば、ヒトもしくはヒト化抗体)(又はその抗原結合断片)は、抗体の合成のための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、化学合成によって又は組換え発現技術によって産生することができる。特定の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗体を作製する方法であって、本明細書に記載の宿主細胞を培養し、かつ/又はそのような抗体を、該宿主細胞を用いて発現させることを含む、前記方法であり、その方法は、任意に、宿主細胞から得られる抗体を精製することをさらに含む。本明細書に記載の方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに関連分野の従来の技術を利用しており、該技術は、当業者の能力の範囲内である。これらの技術は、本明細書に引用されている参考文献に記載されており、かつ文献で十分に説明されている。例えば、Maniatisらの文献(1982)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(1989)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(2001)、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次改訂版);免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次改訂版) Gaitの文献(編)(1984)、オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)、IRL Press; Ecksteinの文献(編)(1991)、オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的アプローチ(Oligonucleotide and Analogues: A Practical Approach)、IRL Press; Birrenらの文献(編)(1999)、ゲノム解析:実験マニュアル(Genome Analysis: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0248】
例えば、ヒト化抗体は、当技術分野で公知の種々の技術を用いて産生することができ、該技術には、CDR移植(欧州特許EP 239,400号;国際公開WO 91/09967号;並びに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、及び第5,585,089号)、ベニアリング又はリサーフェシング(欧州特許EP 592,106号及びEP 519,596号; Padlanの文献、1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498; Studnickaらの文献、1994, Protein Engineering 7(6):805-814;及びRoguskaらの文献、1994, PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、並びに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、WO 9317105号、Tanらの文献、J. Immunol. 169:1119 25(2002)、Caldasらの文献、Protein Eng. 13(5):353-60(2000)、Moreaらの文献、Methods 20(3):267 79(2000)、Bacaらの文献、J. Biol. Chem. 272(16):10678-84(1997)、Roguskaらの文献、Protein Eng. 9(10):895 904(1996)、Coutoらの文献、Cancer Res. 55(23 Supp):5973s-5977s(1995)、Coutoらの文献、Cancer Res. 55(8):1717-22(1995)、Sandhu JSの文献、Gene 150(2):409-10(1994)、及びPedersenらの文献、J. Mol. Biol. 235(3):959-73(1994)に開示されている技術が含まれるが、これらに限定されない。引用により本明細書中に組み込まれる米国特許公報US 2005/0042664 A1号(2005年2月24日)も参照されたい。
【0249】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、組換え技術、及びファージディスプレイ技術、又はこれらの組合せの使用を含む、当技術分野で公知の多種多様な技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を用いて産生することができ、該技術には、当技術分野で公知の技術及び例えば、Harlowらの文献、抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988); Hammerlingらの文献:モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas)、563 681(Elsevier, N.Y., 1981)に教示されている技術が含まれる。本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体を組換え技術によって産生することができ、例えば、組換えモノクローナル抗体を、哺乳動物宿主細胞などの宿主細胞によって発現させることができる。
【0250】
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を産生及びスクリーニングする方法はルーチンであり、かつ当技術分野で周知である。例えば、ハイブリドーマ法において、マウス又は他の適切な宿主動物、例えば、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター、もしくはマカクザルを免疫して、免疫に使用されるタンパク質(例えば、ヒトKITの細胞外領域)に特異的に結合する抗体を産生する又は産生することができるリンパ球を誘発させる。或いは、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。その後、リンパ球を、好適な融合剤、例えば、ポリエチレングリコールを用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Godingの文献、モノクローナル抗体:原理及び実践(Monoclonal Antibodies: Principles and Practice)、pp. 59-103(Academic Press, 1986))。さらに、RIMMS(複数部位反復免疫(repetitive immunization multiple sites))技術を用いて、動物を免疫することができる(引用により本明細書中に組み込まれる、Kilptrackらの文献、1997 Hybridoma 16:381-9)。
【0251】
骨髄腫細胞株の非限定的な例としては、マウス骨髄腫株、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, CA, USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍に由来するもの、並びにAmerican Type Culture Collection, Rockville, MD, USAから入手可能なSP-2又はX63-Ag8.653細胞が挙げられる。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生のために記載されている(Kozborの文献、J. Immunol., 133:3001(1984); Brodeurらの文献、モノクローナル抗体生産技術及び応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications)、pp. 51-63(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
本明細書に記載の抗体には、特異的KIT抗原を認識し、当業者に公知の任意の技術によって作製することができる抗体断片が含まれる。例えば、本明細書に記載のFab及びF(ab')2断片は、パパイン(Fab断片を産生するため)又はペプシン(F(ab')2断片を産生するため)などの酵素を用いる、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断によって産生することができる。Fab断片は、抗体分子の2つの同一のアームのうちの1つに相当し、重鎖のVH及びCHIドメインと対になった完全な軽鎖を含有する。F(ab')2断片は、ヒンジ領域中のジスルフィド結合によって連結された抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0252】
一態様において、完全抗体を作製するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び該制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを用いて、鋳型、例えば、scFvクローンからVH又はVL配列を増幅させることができる。当業者に公知のクローニング技術を用いて、PCR増幅したVHドメインを、VH定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅したVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトカッパ又はラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。VH及びVLドメインを、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングすることもできる。その後、当業者に公知の技術を用いて、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを細胞株にコトランスフェクトし、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な又は一過性の細胞株を作製する。
【0253】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体は、当技術分野で周知の方法によって産生することができる。Riechmannらの文献、1999, J. Immunol. 231:25-38; Nuttallらの文献、2000, Curr. Pharm. Biotechnol. 1(3):253-263; Muyldermanの文献、2001, J. Biotechnol. 74(4):277302; 米国特許第6,005,079号;並びに国際公開WO 94/04678号、WO 94/25591号、及びWO 01/44301号を参照されたい。
【0254】
(5.5 治療方法及び医療用途)
本明細書に提供されるのは、KIT関連障害又は疾患を妨害、防止、予防、治療及び/又は管理する方法である。そのような方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)、その抗原結合断片、そのコンジュゲート、又は本明細書に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む。ある態様において、また本明細書に提供されるのは、KIT関連障害又は疾患を防止、妨害、予防、治療又は管理する方法である。
【0255】
具体的な実施態様において、KIT関連障害又は疾患を治療するための本明細書に記載の方法は、1以上の療法の投与(限定されないが、1以上の予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に記載の抗KIT抗体の投与を含む)によってもたらされる、KIT関連障害又は疾患の進行、重症度、及び/もしくは持続期間の低下又は改善を提供する。さらなる具体的な実施態様において、KIT関連障害又は疾患を治療するための本明細書に記載の方法は、KIT関連障害又は疾患の1以上の症状を軽減することに関する。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体、又はその抗原結合断片、又はそのコンジュゲート、又は本明細書に記載の医薬組成物は、KIT関連障害の予防、治療又は管理において使用するためのものである。特定の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、又はその抗原結合断片、又はそのコンジュゲート、又は本明細書に記載の医薬組成物で治療又は管理又は予防されるKIT関連疾患又は障害は、KIT発現及び/又は活性と関連し、例えば、KITを発現する及び/又はKIT活性を示す細胞が関与するが、KIT発現又は活性によって引き起こされるものでも、KIT発現又は活性の結果でもない。
【0256】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法で使用される抗体は、それが結合する細胞によって内在化される。特定の実施態様において、コンジュゲートが本明細書に記載の方法で使用され、ここで、該コンジュゲートは、本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はそのKIT結合断片を含む。具体的な実施態様において、該コンジュゲートは、治療剤、例えば、毒素に共有結合的又は非共有結合的に連結された、本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はそれらのKIT結合断片を含む。ある実施態様において、本明細書に記載の方法で使用されるコンジュゲートは、それが結合する細胞に内在化される。
【0257】
ある実施態様において、KITは、細胞によって異常に(例えば、高度に)発現され、例えば、KITは過剰発現される。特定の実施態様において、KIT発現(例えば、細胞表面でのもの)は、対照細胞(例えば、正常レベルのKITを発現している細胞、例えば、正常な、例えば、ヒトの、肥満細胞、幹細胞、脳細胞、メラニン芽細胞、又は卵巣細胞)の表面でのKIT発現よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%高い。特定の実施態様において、KIT発現は、対照細胞集団(例えば、正常レベルのKITを発現している細胞集団、例えば、正常な、例えば、ヒトの、肥満細胞集団、幹細胞集団、脳細胞集団、メラニン芽細胞集団、又は卵巣細胞集団)の表面での平均KIT発現よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%高い細胞表面KIT発現をもたらす。具体的な実施態様において、そのような対照細胞は、健常個体(例えば、健常ヒト)から取得されるか、又は該個体に由来することができる。いくつかの実施態様において、KITは、KITが細胞表面に異常に発現されるかどうかを問わず、特定の細胞型で異常に上方調節され得る。特定の実施態様において、KITシグナル伝達又は活性は、KITが細胞表面に異常に発現されるかどうかを問わず、特定の細胞型で異常に上方調節され得る。特定の実施態様において、KITシグナル伝達は、対照細胞(例えば、正常なKITシグナル伝達を含む細胞、例えば、肥満細胞、幹細胞、脳細胞、メラニン芽細胞、又は卵巣細胞)のKITシグナル伝達よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%大きい。特定の実施態様において、KITシグナル伝達は、対照細胞集団(例えば、正常なKITシグナル伝達を示す細胞集団、例えば、正常な、例えば、ヒトの、肥満細胞集団、幹細胞集団、脳細胞集団、メラニン芽細胞集団、又は卵巣細胞集団)の平均KITシグナル伝達よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%大きい。ある実施態様において、正常な、異常な、又は過剰な細胞シグナル伝達は、KITのKITリガンドへの結合によって引き起こされる。他の実施態様において、異常な又は過剰な細胞シグナル伝達は、KITのKITリガンドへの結合とは独立に起こる。
【0258】
ある態様において、KIT関連障害又は疾患は、機能獲得型KIT活性、KIT活性の増大、又はKITの過剰発現を特徴とし得る。一実施態様において、KIT関連障害又は疾患は、完全に又は部分的に、機能獲得型KIT活性もしくはKITの発現、例えば、過剰発現によって引き起こされるか、又はその結果である。ある実施態様において、機能獲得型KIT活性は、KIT受容体に対するKITリガンド(例えば、SCF)結合とは独立に起こり得る。特定の態様において、細胞内でのKITの高発現又は過剰発現は、正常なKIT発現もしくはKIT活性を有することが知られている参照細胞の発現レベルよりも、又は正常なKIT発現もしくはKIT活性を有することが知られている細胞もしくは試料の集団におけるKITの平均発現レベルよりも少なくとも約35%、45%、55%、又は65%大きい発現レベルを指す。KITの発現レベルは、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、ウェスタンブロッティング又は免疫組織化学)によって評価することができる。特定の実施態様において、KIT関連障害又は疾患は、正常なKIT活性よりも高く、かつ細胞形質転換、新生物形成、及び腫瘍形成に寄与する、KIT活性を特徴とする。特定の態様において、細胞における高いKIT活性又はKIT活性の増大は、正常なKIT活性を有することが知られている参照細胞の発現レベルよりも、又は正常なKIT活性を有することが知られている細胞もしくは試料の集団におけるKIT活性の平均レベルよりも少なくとも約35%、45%、55%、又は65%大きいKIT活性レベルを指す。KIT活性の非限定的な例としては、KITの細胞質ドメインのチロシンリン酸化、及びKITの下流のシグナル伝達、例えば、Stat又はAktシグナル伝達が挙げられる。
【0259】
ある実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害、好酸球関連障害、癌、喘息、炎症性疾患、関節リウマチ、アレルギー性炎症、炎症性腸疾患、胃腸障害、又は線維症である。ある実施態様において、KIT関連障害は、線維症又は炎症性障害、例えば、炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病(CD)又は潰瘍性大腸炎(UC)である。他の実施態様において、KIT関連疾患は、癌、例えば、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、白血病、神経芽腫、黒色腫、肉腫(例えば、ユーイング肉腫)又は消化管間質腫瘍(GIST)である。他の実施態様において、KIT関連疾患は、全身性肥満細胞障害(例えば、肥満細胞症)、血液障害、線維症(例えば、特発性肺線維症(TPF)、強皮症又は骨髄線維症)、又は炎症性疾患、例えば、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、又はアレルギー性炎症である。
【0260】
具体的な実施態様において、KIT関連障害は、肥満細胞関連障害である。具体的な実施態様において、KIT関連障害は、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE)である。
【0261】
骨髄前駆細胞由来の肥満細胞は、体内の結合組織に見いだされ、粘膜下組織及び真皮内で最も豊富な巨大細胞である。それらは、血管作動性アミンのヒスタミンを含む種々のメディエーター分子を貯蔵する大顆粒を含有し、それらとIgEモノマーを結合させることを可能にする高親和性Fes受容体(FcsRI)を有する。肥満細胞に結合したIgEへの抗原結合は、肥満細胞の脱顆粒及び肥満細胞の活性化を誘発し、局所的又は全身性の即時型過敏反応を引き起こす。したがって、肥満細胞は、炎症性及びアレルギー反応において重要な役割を果たす。しかし、適切なバランス及び調整を必要とせず、肥満細胞はまた、アナフィラキシー、アトピー、及び鼻炎などの障害で観察される抗原に対する有害な過剰反応の原因となることもある。
【0262】
KITシグナル伝達は、肥満細胞の発生及びホメオスタシス、例えば、それらの前駆細胞からの肥満細胞の増殖、及びそれらのその後の成熟及び常在組織での生存、生体内での肥満細胞の滞留部位へのホーミング、及び細胞外マトリックスタンパク質への肥満細胞の接着の促進に重要である。KITのアミノ酸残基816又は560などでのKITの活性化変異は、肥満細胞の過剰産生、及び消化管間質細胞腫瘍(GIST)によって特徴付けられる肥満細胞症と関連する。
【0263】
特定の実施態様において、それを必要とする対象におけるKIT媒介性障害、例えば、線維症又は炎症性疾患(例えば、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及びアレルギー性炎症)を予防、治療又は管理するための本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の抗KIT抗体の治療有効量の投与により以下の効果:(i)線維症もしくは炎症性疾患(例えば、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及びアレルギー性炎症)並びに/又はそれと関連する1以上の症状の重症度の低下又は改善;(ii)線維症又は炎症性疾患(例えば、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及びアレルギー性炎症)と関連する1以上の症状の持続時間の短縮;(iii)線維症又は炎症性疾患(例えば、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及びアレルギー性炎症)の再発の予防、(iv)対象の入院の減少;(v)入院期間の短縮;(vi)線維症又は炎症性疾患(例えば、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及びアレルギー性炎症)及び/又はそれと関連する1以上の症状の進行の阻害(例えば、部分阻害);(vii)別の療法の治療効果の増強又は改善(例えば、ステロイドなどの抗炎症療法);(viii)寛解期(すなわち、炎症性疾患と関連する症状がないか又は最小限になることを特徴とする期間)にある患者数の増加;(ix)患者の寛解期間の延長;(x)入院率の低下;(xi)線維症又は炎症性疾患(例えば、喘息、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、及びアレルギー性炎症)と関連する症状の数の減少;(xii)線維症又は炎症性疾患(例えば、喘息、関節リウマチ、炎症性腸疾患、及びアレルギー性炎症)を有する対象の生物検体(例えば、血漿、血清、脳脊髄液、尿、又は任意の他の生体液)中の1以上の炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン又はインターロイキン)の濃度の低下;並びに(xiii)当技術分野で周知の方法、例えば、アンケートによって評価される生活の質の改善のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ又はそれより多くを達成することができる。
【0264】
KIT関連障害又は疾患の他の非限定的な例としては、全身肥満細胞障害(例えば、肥満細胞症)、血液障害、線維症(例えば、特発性肺線維症(TPF)、強皮症、又は骨髄線維症)が挙げられる。
【0265】
本明細書で使用されるように、「肥満細胞関連障害(disorder)」又は「肥満細胞関連障害(disorders)」という用語は、肥満細胞活性が病理に関与し、かつ/又は肥満細胞が、異常な量、例えば、通常を上回る量又は通常を下回る量で見出される障害を指す。例えば、肥満細胞関連障害は、潜在的に任意のもしくは全ての器官及び組織における病理肥満細胞の蓄積及び/又は炎症性メディエーターなどの1以上の肥満細胞メディエーターの異常な放出を呈し得る。肥満細胞によって放出される炎症性メディエーターの非限定的な例としては、(i)ヒスタミン、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)、及び種々のプロテアーゼ及びペプチダーゼを含む顆粒関連メディエーター;(ii)プロスタグランジンD2 (PGD2)及びロイコトリエンC4 (LTC4)などのエイコサノイド;並びに(iii)インターロイキン-2(IL-2)、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13を含むサイトカイン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、及び腫瘍壊死因子a(TNFa)、並びにCCL-2、CCL-3、CCL-5、及びCXCL8を含むケモカインのいずれかが挙げられる。
【0266】
具体的な態様において、肥満細胞関連障害は、神経系、例えば、中枢神経系の肥満細胞関連障害、例えば、NMO、NMOSD、MS、又はNF(例えば、NF型1(NF1)、NF型2(NF2)、又は神経鞘腫症)である。
【0267】
MSは、脳内又は脊髄内の白質が炎症を起こした後、個人自身の免疫システムによって損傷を受けるエピソードを伴う中枢神経系(脳及び脊髄)の慢性炎症性脱髄障害である。これらの炎症領域は、脳内及び脊髄内で瘢痕化される。損傷は、神経系の一部の伝達能力を破壊し、結果として、物理的、精神的、及び/又は精神医学的問題を含む様々な症状をもたらす。MSの形態には、限定されないが、症状が単独の発作で生じる再発型、及び症状が経時的に蓄積する進行型が含まれるが、これらに限定されない。MSを診断するためのガイドラインが説明されており、例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK48919/から利用可能なNational Collaborating Centre for Chronic Conditions (UK),「多発性硬化症:一次及び二次医療における診断及び管理のための国家臨床ガイドライン(Multiple Sclerosis: National Clinical Guideline for Diagnosis and Management in Primary and Secondary Care)」 英国王立内科医協会(London: Royal College of Physicians (UK)), 2004, (NICE臨床ガイドライン, No. 8.)を参照されたい。MSの症状は、自律神経、視覚、運動、及び感覚の問題などの任意の神経学的症状又は徴候として現れ得る。MSの症状の非限定的な例としては、感受性の喪失又は感覚の変化、例えば、ピン及び針のピリピリ感又はしびれ、筋力低下、非常に顕著な反射、筋肉のけいれん、又は動きの困難、調整とバランスの障害(運動失調症)、発声又は嚥下に関する問題、視覚的問題(眼振、視神経炎又は複視)、疲労、急性又は慢性の疼痛、膀胱及び腸の障害、うつ病又は不安定な気分などの感情的な問題、ウートホフ現象(通常よりも高い温度に曝されることによる症状の悪化)、及びレルミット徴候(首を曲げるときに背中に走る電気的感覚)が挙げられる。具体的な態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要とする対象に、KIT(例えば、ヒトKIT)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片の治療有効量を投与することによって、MSのこれらの症状のうちの1以上を予防、治療、緩和、又は管理する方法である。
【0268】
肥満細胞関連障害の他の非限定的な例としては、例えば、アナフィラキシー、アトピー性疾患、肥満細胞活性化症候群、アレルギー性鼻炎、食物及び毒関連アレルギー(例えば、木の実、貝、魚、膜翅目の毒又はハチに刺されたときのアレルギー)、乾癬、アトピー性皮膚炎、酒さ、湿疹、尿細管間質性腎炎、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、同種移植片拒絶、アミロイドーシス、腎血管虚血、逆流性腎症、多発性嚢胞腎疾患、薬物誘発性腎症、移植後イオン線維症、及び肝線維症(例えば、アルコール消費、ウイルス性B型肝炎及びC型肝炎、並びに非アルコール性脂肪性肝炎(NASH))、寄生虫感染(例えば、住血吸虫症、アメーバ症、エキノコックス症)、及び非IgE肥満細胞媒介性活性化、例えば、血管浮腫及びアナフィラキシーが挙げられる。
【0269】
或いは、肥満細胞関連障害は、蕁麻疹、特に、慢性自然発生蕁麻疹、慢性特発性蕁麻疹及び慢性誘発性蕁麻疹(chronic induced urticaria)(すなわち、慢性誘発性蕁麻疹(chronic inducible urticaria)(CIndU)を含む慢性蕁麻疹であり得る。具体的な実施態様において、肥満細胞関連障害は、慢性誘発性蕁麻疹である。慢性誘発性蕁麻疹は、これらと関連する起因するトリガーを有する蕁麻疹の形態であり、通常、膨疹(蕁麻疹)又は血管浮腫をもたらす。具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、寒冷蕁麻疹(ColdU)である。寒冷蕁麻疹に罹患している人々は、皮膚が皮膚温度より低い温度にさらされたときに、痒み、灼熱性膨疹及び血管浮腫のような症状を経験する。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は症候性皮膚描記症(SD)である。症候性皮膚描記症は、皮膚をなでる、引っ掻く又はこすることに応答して膨疹及び発赤反応を発症することを特徴とし、通常、誘発刺激の数分以内に生じる。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹はコリン作動性蕁麻疹である。コリン作動性蕁麻疹は、能動的又は受動的体温上昇に対する体の発汗反応によって誘発され、真っ赤なフレアで囲まれた小さい(1~4mm)膨疹を特徴とする。一般的なトリガーには、運動、温浴/シャワー、発熱、閉塞包帯、スパイシー食品の摂取及び精神的ストレスが含まれる。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、熱蕁麻疹である。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、遅発性褥瘡である。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、日光蕁麻疹である。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、振動性蕁麻疹である。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、接触蕁麻疹である。別の具体的な実施態様において、慢性誘発性蕁麻疹は、水性蕁麻疹である。抗ヒスタミン薬は、慢性誘発性蕁麻疹のために承認された治療剤である。
【0270】
様々な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する1以上の前治療に失敗している。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗ヒスタミン薬治療(複数可)に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対するH1抗ヒスタミン薬治療(複数可)に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対するH2抗ヒスタミン薬治療(複数可)に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対するH1-とH2-抗ヒスタミン薬治療の両方に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療(複数可)に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療に失敗している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する1以上のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)、(3)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/もしくは抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)、並びに/又は(4)1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、並びに(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に失敗している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、並びに(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に失敗している。
【0271】
障害が治療に不応性であり、治療に抵抗性であり、治療後に再発する場合、かつ/又は治療の不耐性が原因で、患者が治療を中断している場合には、患者は治療に失敗していると考えられる。
【0272】
様々な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、障害に対する1以上の前治療に不応性である。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗ヒスタミン薬治療(複数可)に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H2-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-とH2-抗ヒスタミン薬治療の両方に不応性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)に不応性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療(複数可)に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療に不応性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に不応性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)、(3)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)、及び/又は(4)1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に不応性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)に不応性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、並びに(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に不応性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性である。
【0273】
様々な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、障害に対する1以上の前治療に抵抗性である。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗ヒスタミン薬治療(複数可)に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H2-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-とH2-抗ヒスタミン薬治療の両方に抵抗性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)に抵抗性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療(複数可)に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療に抵抗性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療に抵抗性である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)、(3)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)、及び/又は(4)1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に抵抗性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)に抵抗性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、並びに(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に抵抗性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に抵抗性である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に抵抗性である。
【0274】
様々な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、障害に対する1以上の前治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗ヒスタミン薬治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H2-抗ヒスタミン薬治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-とH2-抗ヒスタミン薬治療の両方に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)、(3)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)、及び/又は(4)1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、並びに(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療に不応性と抵抗性の両方である。
【0275】
様々な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、障害に対する1以上の前治療後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗ヒスタミン薬治療(複数可)後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-抗ヒスタミン薬治療(複数可)後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H2-抗ヒスタミン薬治療(複数可)後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、H1-とH2-抗ヒスタミン薬治療の両方後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療(複数可)後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)後に再発した再発性障害である。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)、(3)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)、及び/又は(4)1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療(複数可)後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、並びに(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害は、(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に再発した再発性障害である。
【0276】
様々な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療(複数可)の不耐性が原因で障害に対する1以上の前治療を中断している。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する少なくとも1つの標準治療療法を含む。ある実施態様において、1以上の前治療は、障害に対する全ての標準治療療法である。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療(複数可)の不耐性が原因で障害に対する抗ヒスタミン薬治療(複数可)を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療(複数可)の不耐性が原因で障害に対するH1-抗ヒスタミン薬治療(複数可)を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療(複数可)の不耐性が原因で障害に対するH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可)を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対するH1-とH2-抗ヒスタミン薬治療の両方を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療(複数可)の不耐性が原因で障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療(複数可)の不耐性が原因で障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療(複数可)を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療を中断している。具体的な実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療(複数可)の不耐性が原因で障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療(複数可)、(3)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)、並びに/又は(4)1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療(複数可)を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療(複数可)を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、並びに(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する(1)抗ヒスタミン薬治療(複数可)(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))、並びに(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療を中断している。ある実施態様において、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者は、治療の不耐性が原因で障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療を中断している。
【0277】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対するH1-抗ヒスタミン薬単独の使用又はH2-抗ヒスタミン薬及び/又はロイコトリエン受容体アンタゴニストとの併用にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。
【0278】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。
【0279】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。
【0280】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。
【0281】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤もしくは抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤による治療(複数可)にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療にもかかわらず、症候性のままである蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者に投与される。
【0282】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による前記治療に失敗している患者に投与される。
【0283】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる前記治療に失敗している患者に投与される。
【0284】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療後に、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、IgE阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、IL-4R阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、IL-5R阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、IL-5阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、Siglec 8阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、TSLP又はTSLPR阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、C5aR阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、CD200R阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。
【0285】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、1種以上のBTK阻害剤による前記治療に失敗している患者に投与される。
【0286】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤による治療(複数可)後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、前記治療(複数可)に失敗している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、前記治療に失敗している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、前記治療に失敗している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、前記治療に失敗している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、前記治療に失敗している患者に投与される。
【0287】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による前記治療に不応性である患者に投与される。
【0288】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる前記治療に不応性である患者に投与される。
【0289】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIgE阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-4R阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5R阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がSiglec 8阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がTSLP又はTSLPR阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がC5aR阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がCD200R阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。
【0290】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のBTK阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。
【0291】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤による治療(複数可)後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療(複数可)に不応性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性である患者に投与される。
【0292】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が、1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による前記治療に抵抗性である患者に投与される。
【0293】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる前記治療に抵抗性である患者に投与される。
【0294】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIgE阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-4R阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5R阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がSiglec 8阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がTSLP又はTSLPR阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がC5aR阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がCD200R阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。
【0295】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のBTK阻害剤による前記治療に抵抗性である患者に投与される。
【0296】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤による治療(複数可)後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療(複数可)に抵抗性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に抵抗性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に抵抗性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に抵抗性である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に抵抗性である患者に投与される。
【0297】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。
【0298】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。
【0299】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIgE阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-4R阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5R阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がSiglec 8阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がTSLP又はTSLPR阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がC5aR阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がCD200R阻害剤による前記治療に不応性である患者に投与される。
【0300】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のBTK阻害剤による前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。
【0301】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤による治療(複数可)後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療(複数可)に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療に不応性と抵抗性の両方である患者に投与される。
【0302】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。
【0303】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。
【0304】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIgE阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-4R阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5R阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がIL-5阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がSiglec 8阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がTSLP又はTSLPR阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がC5aR阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害がCD200R阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。
【0305】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が1種以上のBTK阻害剤による前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。
【0306】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤による治療(複数可)後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療(複数可)後に再発した再発性障害である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、該障害が前記治療後に再発した再発性障害である患者に投与される。
【0307】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))による前記治療を中断している患者に投与される。
【0308】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストによる前記治療を中断している患者に投与される。
【0309】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でIgE阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でIL-4R阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でIL-5R阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でIL-5阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でSiglec 8阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でTSLP又はTSLPR阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でC5aR阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因でCD200R阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。
【0310】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブによる治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で1種以上のBTK阻害剤による前記治療を中断している患者に投与される。
【0311】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤による治療(複数可)後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療(複数可)の不耐性が原因で前記治療(複数可)を中断している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で前記治療を中断している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で前記治療を中断している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で前記治療を中断している患者に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤による治療後に蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)などの肥満細胞関連障害又は好酸球性食道炎などの好酸球関連障害を有する患者で、治療の不耐性が原因で前記治療を中断している患者に投与される。
【0312】
好酸球は、適応免疫応答のリンパ球によって活性化される白血球であり、寄生虫感染に対する防御に重要である。血液中の好酸球のレベルは通常低く、アトピーなどのある状況において顕著に増加し得、血液中に異常に多数の好酸球が存在する好酸球増加症をもたらし得る。
【0313】
本明細書で使用されるように、「好酸球関連障害(disorder)」又は「好酸球関連障害(disorders)」という用語は、好酸球が、身体の様々な部分において異常な量、例えば、通常を上回る量又は通常を下回る量で見出される場合に生じる障害を指す。例えば、身体が過剰に好酸球を産生すると、慢性炎症を引き起こし、結果として組織損傷をもたし得る。ある態様において、好酸球障害は、トリガーに応答して組織中に長期間存在する異常な量の好酸球と関連付けられ得る。例えば、感染症又はアレルゲンなどのトリガーに応答して、より多くの量の好酸球が生成され得るが、多量の好酸球は、通常速度で減少せず、したがって、予想よりも長い期間にわたって多量で維持される。
【0314】
好酸球のレベルが上昇した場所に応じて、好酸球関連障害を診断することができる。好酸球関連障害の非限定的な例としては、アレルギー性疾患、感染症、血液障害、免疫障害及び免疫反応、内分泌障害、肺疾患、胃腸障害、神経系障害、リウマチ性障害、心臓病、及び腎臓病が挙げられる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の好酸球関連障害は好酸球性食道炎(EoE)である。ある態様において、好酸球症は、例えば、450/μL超の、正常レベルを超える末梢血好酸球数を特徴とする好酸球関連障害である。好酸球症は、アレルギー又は感染などの様々な条件によって誘導又は誘発され得る。特定の態様において、好酸球のレベルの増加は、局所的に、例えば、肺、心臓、脊髄、又は脳内で観察される。
【0315】
好酸球を含む神経学的障害の非限定的な例としては、中枢神経系感染症、脳室腹腔シャント、及び薬物誘導性有害反応が挙げられる。ある態様において、好酸球数又は活性の増加は、脳脊髄液(CSF)又は中枢神経系の体液の組織から得られる他の試料中で検出され得る。
【0316】
好酸球又は肥満細胞関連兆候の非限定的な例としては、アレルギー性鼻炎及び副鼻腔炎などの上気道疾患、異物誤嚥、声門狭窄、気管狭窄、喉頭気管軟化症、血管輪、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及びうっ血性心不全、好酸球性気管支炎、多発性軟骨炎、サルコイドーシス、乳頭腫症、関節炎(例えば、関節リウマチ)及びウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0317】
ある実施態様において、「好酸球関連障害(disorder)」又は「好酸球関連障害(disorders)」は、好酸球活性が障害に寄与する障害、例えば、身体の様々な部分において異常な量、例えば、通常を上回る量又は通常を下回る量で見出される場合に生じる障害を含むことができる。
【0318】
ある態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体又はその抗原結合断片又はその医薬組成物は、それを必要とする対象に、好酸球又は肥満細胞関連障害(例えば、神経系、例えば、中枢神経系における好酸球又は肥満細胞関連障害)を治療するために、好酸球又は肥満細胞関連障害と診断された対象において、以下のもの:好酸球の数及び/又は活性の低下、肥満細胞の増殖の低下、肥満細胞の数又は量の減少、肥満細胞の活性の阻害又は低下、炎症因子の肥満細胞誘発性産生の低下、炎症因子の産生の低下、肥満細胞の恒常性の回復、肥満細胞の遊走の低下、肥満細胞の接着の低下、好酸球の肥満細胞動員の阻害又は低下、並びに肥満細胞の抗原媒介性脱顆粒の阻害又は低下のうちの1以上を達成する投薬量及び頻度で、本明細書に提供される方法に従って投与される。
【0319】
他の実施態様において、KIT関連疾患は、癌、例えば、乳癌、白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、肥満細胞白血病)、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、神経芽腫、消化管間質腫瘍(GIST)、メラノーマ、結腸直腸癌、肉腫(例えば、ユーイング肉腫)、及び生殖細胞腫瘍(例えば、セミノーマ)である。特定の実施態様において、本明細書に提供される方法によって治療又は管理又は予防される癌は、機能獲得型KIT突然変異又はKITの過剰発現を特徴とする。
【0320】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の方法に従って治療される癌は、細胞表面KIT又はその突然変異形態を発現する癌又は腫瘍細胞を含む任意のタイプの癌であることができ、これは、当業者に公知の任意の組織学的又は細胞学的方法によって確認することができる。
【0321】
ある実施態様において、癌は、転移性である。ある実施態様において、癌は、局所浸潤又は転移のいずれかによって、起源の部位又は器官の外部に拡大した進行癌である。
【0322】
特定の実施態様において、癌は、原発部位又は遠位部位のいずれかにおいて、初期療法に対する応答の後に(例えば、腫瘍を除去するための外科手術及び外科手術後の補助療法の後に)再び成長した再発性癌である。いくつかの実施態様において、癌は、抗腫瘍剤、例えば、化学療法剤が、癌患者に投与されているか又は投与されてきたにもかかわらず進行する難治性癌である。難治性癌の非限定的な例は、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、SUTENT(登録商標)(SU11248もしくはスニチニブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(登録商標)(エルロチニブ)、NEXAVAR(登録商標)(ソラフェニブ)、又はVOTRIENT(商標)(パゾパニブ)に対して不応性である癌である。いくつかの実施態様において、癌は、放射線又は化学療法が、癌患者に投与されているか又は投与されてきたにもかかわらず進行する難治性癌である。
【0323】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要とする患者における難治性癌を治療する方法であって、該患者に本明細書に記載の抗体の治療有効量を投与することを含む、前記方法であり、ここで、該難治性癌は、抗癌剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)又はSUTENT(登録商標)(SU11248もしくはスニチニブ))に対して不応性又は抵抗性である。チロシンキナーゼ(kinse)阻害剤の他の非限定的な例としては、706及びAMNI07(ニロチニブ)、RAD00I、PKC412、ゲフィチニブ(IRESSA(商標))、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(商標))、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ(RECENTIN(登録商標))、SPRYCEL(登録商標)(ダサチニブ)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、レスタウルチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ、トセラニブ(PALLADIA(商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(商標))、及びバタラニブが挙げられる。ある実施態様において、難治性癌は、当初は、抗癌剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC(登録商標)又はSU11248(すなわち、スニチニブ))に応答性であったが、抗癌剤に対する抵抗性を生じた。ある実施態様において、対象は、抗癌剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤に対する抵抗性を付与するKITの1以上の突然変異を有する。
【0324】
特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、1以上の抗癌療法、例えば、化学療法剤、或いはチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、SUTENT(登録商標)(SU11248もしくはスニチニブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(登録商標)(エルロチニブ)、NEXAVAR(登録商標)(ソラフェニブ)、又はVOTRIENT(商標)(パゾパニブ))、或いはヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット又はスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA))を以前に受けたか、或いはこれらを現在受けている患者に投与される。他の特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、抗癌療法、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、GLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)、SUTENT(登録商標)(SU11248もしくはスニチニブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(登録商標)(エルロチニブ)、NEXAVAR(登録商標)(ソラフェニブ)、又はVOTRIENT(商標)(パゾパニブ)に対して抵抗性又は不応性であるか或いはその疑いがある患者に投与される。
【0325】
特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はコンジュゲート)は、1以上の抗癌療法、例えば、抗成長因子受容体抗体(例えば、抗HER2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGFR抗体、もしくは抗KIT抗体)、又は抗成長因子抗体(例えば、抗EGF抗体、抗VEGF抗体)を以前に受けたか、或いはこれらを現在受けている患者に投与される。他の特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体は、抗癌療法、例えば、抗成長因子受容体抗体(例えば、抗HER2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGFR抗体、もしくは抗KIT抗体)又は抗成長因子抗体(例えば、抗EGF抗体、抗VEGF抗体)に対して抵抗性又は不応性であるか或いはその疑いがある患者に投与される。
【0326】
特定の実施態様において、それを必要とする対象における癌を予防、治療又は管理するための本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の抗KIT抗体の治療有効量の投与による以下の効果:(i)癌(例えば、白血病、肺癌、もしくは消化管間質性癌)及び/又はそれと関連する1以上の症状の重症度の低下又は改善;(ii)癌(例えば、白血病、肺癌、又は消化管間質性癌)と関連する1以上の症状の持続期間の低下;(iii)腫瘍(例えば、肺腫瘍又は消化管間質腫瘍)の再発防止;(iv)癌(例えば、白血病、肺癌、もしくは消化管間質腫瘍)及び/又はそれと関連する1以上の症状の退行;(v)対象の入院の減少;(vi)入院期間の短縮;(vii)対象の生存の延長;(viii)癌(例えば、白血病、肺癌、もしくは消化管間質腫瘍)及び/又はそれと関連する1以上の症状の進行の阻害;(ix)別の療法(例えば、外科手術、放射線、化学療法、又は別のチロシンキナーゼ阻害剤)の治療効果の増強又は改善;(x)癌細胞集団(例えば、白血病細胞集団、肺癌細胞集団、消化管間質腫瘍細胞集団)の低下又は消失;(xi)腫瘍又は新生物の成長の低下;(xii)腫瘍サイズ(例えば、体積又は直径)の減少;(xiii)新たに形成される腫瘍の形成の低下;(xiv)原発性、局所性、及び/又は転移性の癌の根絶、除去、又は制御;(xv)外科手術前の腫瘍及び/又は浮腫関連血管新生の減少による腫瘍の除去のしやすさ;(xvi)転移の数又はサイズの減少;(xvii)死亡率の低下;(xviii)患者の無腫瘍生存率の増加;(xvix)無再発生存の増加;(xx)寛解期にある患者の数の増加;(xxi)入院率の低下;(xxii)当業者に利用可能な従来の方法、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴イメージング(MRI)、ダイナミック造影MRI(DCE-MRI)、又は陽電子放出断層撮影(PET)スキャンによって測定したとき、腫瘍のサイズが維持され、増加しないか、又は標準療法の投与後の腫瘍の増加未満だけ増加する;(xxiii)癌と関連する1以上の症状の発生又は発症の防止;(xxiv)患者の寛解期間の延長;(xxv)癌と関連する症状の数の低下;(xxvi)癌患者の無症状生存の増加;(xxvii)癌(例えば、白血病、肺癌、又は消化管間質性癌)を有する対象の生物標本(例えば、血漿、血清、脳脊髄液、尿、又は任意の他の生体液)中の1以上の炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン又はインターロイキン)の濃度の減少;(xxviii)癌(例えば、白血病、肺癌、又は消化管間質性癌)を有する対象の血液中の循環腫瘍細胞(CTC)の減少;(xxix)腫瘍代謝又は灌流の阻害(例えば、部分阻害)又は減少;並びに(xxx)当技術分野で周知の方法、例えば、アンケートによって評価される生活の質の改善のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ又はそれより多くを達成することができる。
【0327】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、個体における癌細胞を死滅させる方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片、又はそのコンジュゲートの有効量を投与することを含む、前記方法である。ある態様において、本明細書に提供されるのは、個体における癌細胞の成長又は増殖を阻害する方法であって、それを必要とする個体に、本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片、又はそのコンジュゲートの有効量を投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、癌細胞の成長又は増殖の部分阻害、例えば、癌細胞の成長又は増殖の少なくとも約20%~約55%の阻害が達成される。
【0328】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要とする個体における腫瘍サイズ又は負荷を低下させる方法であって、前記個体に、本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片、又はそのコンジュゲートの有効量を投与することを含む、前記方法である。
【0329】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、任意の好適な方法によって、それを必要とする対象に投与することができる。投与方法の非限定的な例としては、粘膜、皮内、静脈内、腫瘍内、皮下、筋肉内送達、及び/又は本明細書に記載のもしくは当技術分野で公知の任意の他の物理的送達方法が挙げられる。一実施態様において、抗KIT抗体又はその医薬組成物は、それを必要とする対象に全身(例えば、非経口)投与される。別の実施態様において、抗KIT抗体又はその医薬組成物は、それを必要とする対象に局所(例えば、腫瘍内)投与される。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又はその医薬組成物は、静脈内投与される。具体的な実施態様において、抗KIT抗体又はその医薬組成物は、皮下投与される。各用量は、同一の投与経路によって投与されても、投与されなくてもよい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、他の用量の本明細書に記載の同じ又は異なる抗KIT抗体と同時に又はその後に、複数の投与経路によって投与することができる。
【0330】
疾患又はその症状が治療されているときに、物質の投与は、通常、該疾患又はその症状の発症後に行われる。疾患又はその症状が予防されているときに、物質の投与は、通常、疾患又はその症状の発症前に行われる。ある実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、対象に予防的に又は治療的に投与される。本明細書に記載の抗KIT抗体は、KIT関連障害もしくは疾患(例えば、癌、炎症性疾患、線維症)又はそれらの症状を防止、緩和又は改善するために、対象に予防的に又は治療的に投与することができる。
【0331】
本明細書に提供されるKIT関連障害、好酸球関連障害又は肥満細胞関連障害を治療する方法に従って、それを必要とする対象(例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌもしくはネコ)に投与される本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物の投薬量及び投与頻度は、有効であると同時に、副作用を最小限に抑える。特定の対象に投与されるべき本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物の正確な投薬量は、治療を必要とする対象に関連する因子を考慮して決定され得る。考慮に入れることができる因子としては、病態の重症度、対象の全般的な健康、対象の年齢及び体重、食事、投与の時間及び頻度、他の治療剤又は薬物との組合せ(複数可)、反応感度、並びに療法に対する忍容性/応答が挙げられる。本明細書に記載の抗KIT抗体又はその医薬組成物の投与の投薬量及び頻度は、抗KIT抗体の十分なレベルを提供するために又は所望の効果を維持するために、経時的に調整することができる。
【0332】
製剤中で利用される正確な用量は、投与経路、及び障害又は疾患の重篤度によっても決まり、医師の判断及び各々の患者の状況によって決定されるべきである。
【0333】
ある態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体について、KIT関連障害、好酸球関連障害又は肥満細胞関連障害を防止、予防、管理、又は治療するために患者に投与される投薬量は、通常、0.1mg/kg~100mg/kg患者体重である。具体的な実施態様において、KIT関連障害、好酸球関連障害(例えば、好酸球性食道炎(EoE))又は肥満細胞関連障害(例えば、慢性蕁麻疹、例えば、慢性誘発性蕁麻疹)を防止、予防、管理、又は治療するために患者に投与される投薬量は、約3mg/kg患者体重である。一般に、ヒト抗体は、異種ポリペプチドに対する免疫応答のために、他の種由来の抗体よりも長いヒト体内での半減期を有する。したがって、多くの場合、より少ない投薬量のヒト抗体及びより少ない頻度の投与が可能となる。さらに、本明細書に記載の抗体の投薬量及び投与頻度は、例えば、脂質化などの修飾によって抗体の摂取及び組織浸透を増強することによって低下させることができる。
【0334】
一実施態様において、約0.001mg/kg(mg抗体/kg対象体重)~約500mg/kgの本明細書に記載の抗KIT抗体が、KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE)を防止、予防、管理、又は治療するために投与される。
【0335】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体の有効量は、約0.01mg~約1,000mgである。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体の「有効量」又は「治療有効量」は、以下の効果:KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害、及び/もしくはそれらと関連する1以上の症状の重症度の低下又は改善;KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害の1以上の症状、及び/もしくはそれらと関連する1以上の症状の持続期間の低下;KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害の1以上の症状、及び/もしくはそれらと関連する1以上の症状の再発の予防;対象の入院の減少;入院期間の短縮;KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害の1以上の症状、及び/もしくはそれらと関連する1以上の症状の進行の阻害(例えば、部分阻害);KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害と関連する1以上の症状の発生又は発症の防止;KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害を有する対象の生物学的検体(例えば、血漿、血清、脳脊髄液、尿、又は任意の他の生体液)中の1以上の炎症性メディエーター(例えば、サイトカイン又はインターロイキン)の濃度の減少;並びに当技術分野で周知の方法、例えば、アンケートによって評価される生活の質の改善のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ又はそれより多くを達成するのに十分である本明細書に記載の抗KIT抗体の量を指す。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される「有効量」は、特定の結果(例えば、細胞の1以上のKIT生体活性の阻害、例えば、細胞増殖の阻害)を達成するための本明細書に記載の抗体の量も指す。
【0336】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、必要に応じて、例えば、毎週、隔週(すなわち、2週間毎)、毎月、隔月、3カ月毎などで投与される。
【0337】
いくつかの実施態様において、単回投与の本明細書に記載の抗KIT抗体は、KIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎(EoE)を妨害し、予防し、管理し、治療し、かつ/又は改善するために、患者に1回以上投与される。
【0338】
特定の実施態様において、抗KIT抗体又はその医薬組成物は、対象に、本明細書に提供されるKIT関連障害、肥満細胞関連障害又は好酸球関連障害の治療方法に従って、周期的に投与され、ここで、該抗KIT抗体又は医薬組成物は、一定期間投与され、その後、一定期間休止される(すなわち、該抗KIT抗体又は医薬組成物は、一定期間、投与されない)。
【0339】
本明細書に提供される方法は、任意の好適な経路によって抗KIT抗体を投与することを含む。投与経路の非限定的な例としては、非経口投与、例えば、皮下、筋肉内又は静脈内投与、硬膜外投与、腸内投与、脳内投与、経鼻投与、動脈内投与、心内投与、骨内注入、髄腔内投与、及び腹腔内投与が挙げられる。本明細書に提供される方法は、脳、眼組織又は器官、脊髄、又は耳若しくは耳介組織をターゲッティングする投与の経路を含む。特定の態様において、本明細書に提供される方法は、神経系、例えば、中枢神経系をターゲッティングする投与の経路を含む。
【0340】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法は、血液脳関門を横断するのに好適な経路を介して抗KIT抗体を投与することを含む。
【0341】
また、本明細書に提示されるのは、KIT関連障害又は疾患(例えば、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎、癌、炎症性疾患、線維症)の治療のための併用療法であって、本明細書に記載の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートを、1以上の追加の療法(例えば、第2の治療剤、例えば、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、PGP阻害剤、HSP-90阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗体、又はサイトカイン)と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、前記併用療法である。具体的な実施態様において、本明細書に提示されるのは、KIT関連障害又は疾患(例えば、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎、癌、炎症性疾患、線維症)の治療のための併用療法であって、ある量(例えば、治療有効量又は準最適量)の本明細書に記載の抗KIT抗体を、ある量(例えば、治療有効量又は準最適量)の別の療法(例えば、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗体、サイトカイン、抗ヒスタミン、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、免疫調節剤、抗炎症剤、又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤)と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、前記併用療法である。様々な実施態様において、併用療法は、ほぼ同時に、同じ日、同じ週、又は同じ治療サイクルで、又は同様のもしくは重複した投薬スケジュールで、対象に投与される。いくつかの実施態様において、併用療法は、同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)対象に投与される。他の実施態様において、併用療法は、順次、対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、組み合わせる他の療法(複数可)の前に対象に投与される。別の実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、組み合わせる他の療法(複数可)の後に対象に投与される。
【0342】
併用療法では、本明細書に提供される1以上の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はそのコンジュゲートは、KIT関連障害又は疾患(例えば、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)、好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎、癌、炎症性疾患、線維症)の予防、治療、管理、及び/又は改善において使用するための1以上の追加の療法(例えば、薬剤、外科手術、又は放射線)の投与の前に、その投与と同時に、又はその投与の後に投与することができる。「組み合わせて」という用語の使用は、1以上の抗KIT抗体及び1以上の追加の療法が対象に投与される順序を制限するものではない。具体的な実施態様において、該療法は、連続的に又は順次投与することができる。
【0343】
具体的な実施態様において、本明細書に提供される1以上の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートは、KIT関連障害又は疾患(例えば、癌、例えば、GIST、黒色腫、又は肺癌)を予防、治療、管理、及び/又は改善するための1以上の追加の療法、例えば、抗癌剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブ(Gleevec(登録商標))もしくはスニチニブ(SUTENT)、又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタットもしくはスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA))の投与の前に、その投与と同時に、又はその投与の後に投与することができる。
【0344】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療(複数可))と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の抗ヒスタミン薬(例えば、H1-及び/又はH2-抗ヒスタミン薬治療)と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0345】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストと組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストと同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニストと順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0346】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上の免疫調節剤又は抗炎症剤(例えば、抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤、抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤、抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤、抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤、抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤、抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤、及び/又は抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤)と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0347】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0348】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0349】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5R抗体、例えば、ベンラリズマブ(Fasenra(登録商標))などのIL-5R阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0350】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗IL-5抗体、例えば、メポリズマブなどのIL-5阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0351】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗Siglec 8抗体、例えば、リレンテリマブなどのSiglec 8阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0352】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗TSLP抗体又は抗TSLPR抗体、例えば、テゼペルマブ(Tezspire(商標))などのTSLP又はTSLPR阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0353】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗C5aR抗体、例えば、アブドラリマブなどのC5aR阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0354】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する抗CD200R抗体、例えば、LY3454738などのCD200R阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0355】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブと組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブと同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する1種以上のBTK阻害剤、例えば、レミブルチニブ及び/又はリルザブルチニブと順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0356】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤もしくは抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤もしくは抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)上記の1種以上のロイコトリエン受容体アンタゴニスト、(3)上記の1種以上の免疫調節剤もしくは抗炎症剤、及び/又は(4)上記の1種以上のBTK阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0357】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤もしくは抗炎症剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤もしくは抗炎症剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)上記の1種以上の免疫調節剤もしくは抗炎症剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0358】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(3)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0359】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)上記の1種以上の抗ヒスタミン薬、及び(2)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0360】
一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と組み合わせて、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、又は同時に(concomitantly)、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。一実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体、その抗原結合断片、又はコンジュゲートは、障害に対する(1)抗IgE抗体、例えば、オマリズマブ(Xolair(登録商標))又はリゲリズマブなどのIgE阻害剤、及び(2)抗IL-4R抗体、例えば、デュピルマブ(Dupixent(登録商標))などのIL-4R阻害剤と順次、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎を有する対象に投与される。
【0361】
別の具体的な実施態様において、本明細書で提示されるのは、KIT関連障害又は疾患(例えば、肥満細胞関連障害、例えば、蕁麻疹(例えば、慢性誘発性蕁麻疹)又は好酸球関連障害、例えば、好酸球性食道炎、癌、炎症性疾患、線維症)の治療のための併用療法であって、ある量の本明細書に記載の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートを、ある量の別の療法(例えば、化学療法剤、チロシンキナーゼ阻害剤、又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤)と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、前記併用療法である。具体的な実施態様において、該併用療法は、相乗効果をもたらす。ある実施態様において、該併用療法は、相加効果をもたらす。
【0362】
具体的な実施態様において、本明細書に提示されるのは、癌の治療のための併用療法であって、ある量の本明細書に記載の抗KIT抗体を、ある量の別の療法(例えば、外科手術、放射線、幹細胞移植、又は化学療法)と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、前記併用療法である。具体的な実施態様において、該併用療法は、相乗効果をもたらす。別の具体的な実施態様において、該併用療法は、相加効果をもたらす。
【0363】
具体的な実施態様において、本明細書に提示されるのは、炎症性疾患の治療のための併用療法であって、ある量の本明細書に記載の抗KIT抗体を、ある量の別の療法(例えば、抗炎症療法、例えば、ステロイド療法)と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、前記併用療法である。具体的な実施態様において、該併用療法は、相乗効果をもたらす。別の具体的な実施態様において、該併用療法は、相加効果をもたらす。
【0364】
本明細書に記載の抗体と組み合わせて使用するための別の療法の非限定的な例としては、KITの異なるエピトープに免疫特異的に結合する別の抗KIT抗体、1以上の他の抗体(例えば、抗HER2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGF抗体)、抗炎症療法、化学療法(例えば、微小管分解遮断薬、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼ阻害剤、及びDNAクロスリンカー又は損傷剤)、放射線、外科手術、PGP阻害剤(例えば、シクロスポリンA、ベラパミル)、HSP-90阻害剤(例えば、17-AAG、STA-9090)、プロテオソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、並びにチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、スニチニブ(SUTENT(登録商標)又はSU11248)、ゲフィチニブ(IRESSA(商標))、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、パゾパニブ(VOTRIENT(商標))、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ(RECENTIN(登録商標))、SPRYCEL(登録商標)(ダサチニブ)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標))、レスタウルチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ(TASIGNA(登録商標))、セマキサニブ、トセラニブ(PALLADIA(商標))、バンデタニブ(ZACTIMA(商標))、及びバタラニブ)が挙げられる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗体と組み合わせて使用するための別の療法は、メシル酸イマチニブである。
【0365】
本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートと組み合わせて使用するための別の療法の他の非限定的な例としては、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、例えば、ボリノスタットもしくはスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、又は下に示す化学式(I)、(II)、もしくは(III)を有する化合物が挙げられる。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌(例えば、GIST又は肺癌)を治療する方法であって、(i)本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲート;及び(ii)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、例えば、ボリノスタットもしくはスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、又は下に示す化学式(I)、(II)、もしくは(III)を有する化合物を投与することを含む、前記方法である。
【0366】
一実施態様において、抗KIT抗体と組み合わせて本明細書に記載の方法で使用するために本明細書に提供されるのは、式(I)の化合物
【化25】
又はその医薬として許容し得る塩、その水和物、もしくは溶媒和物であり、式中、
R1はヒドロキシルアミノであり;
R2及びR3の各々は、独立に、互いに同じ又は異なり、置換又は非置換であり、分岐又は非分岐であり、かつ水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、もしくはピリジンであるか;又はR2及びR3は結合して、ピペリジンを形成し;かつ
nは、5~7の整数である。
【0367】
一実施態様において、R2は水素原子であり、R3は、置換又は非置換フェニルである。ある実施態様において、R3は、メチル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、アミノカルボニル、メチルシアノ、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、2,3-ジフルオロ、2,4-ジフルオロ、2,5-ジフルオロ、3,4-ジフルオロ、3,5-ジフルオロ、2,6-ジフルオロ、1,2,3-トリフルオロ、2,3,6-トリフルオロ、2,4,6-トリフルオロ、3,4,5-トリフルオロ、2,3,5,6-テトラフルオロ、2,3,4,5,6-ペンタフルオロ、アジド、ヘキシル、t-ブチル、フェニル、カルボキシル、ヒドロキシル、メトキシ、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、フェニルアミノオキシ、フェニルアミノカルボニル、メトキシカルボニル、メチルアミノカルボニル、ジメチルアミノ、ジメチルアミノカルボニル、又はヒドロキシルアミノカルボニルで置換されたフェニルである。別の実施態様において、R3は、非置換フェニルである。さらなる実施態様において、nは6である。
【0368】
一実施態様において、抗KIT抗体と組み合わせて本明細書に記載の方法で使用するために本明細書に提供されるのは、式(II)の化合物
【化26】
又はその医薬として許容し得る塩、又はその溶媒和物であり、式中、nは、5~8の整数である。一実施態様において、nは6である。
【0369】
一実施態様において、抗KIT抗体と組み合わせて本明細書に記載の方法で使用するために本明細書に提供されるのは、式(III)の化合物(SAHA)
【化27】
又はその医薬として許容し得る塩、その水和物もしくは溶媒和物である。
【0370】
式I~IIIの化合物は、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国再発行特許RE38,506号及び米国特許第6,087,367号に記載されている方法に従って合成することができる。
【0371】
一実施態様において、抗KIT抗体と組み合わせて本明細書に記載の方法で使用するために本明細書に提供されるのは、引用により完全に本明細書中に組み込まれる米国特許第7,456,219号の図13Aに示されているものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とするSAHAの形態I多型である。一実施態様において、SAHAの形態I多型は、Siemens D500自動粉末回折装置(範囲: 4~40°の2θ;源: Cu; λ=1.54オングストローム、50kV、40mA)で測定したとき、約9.0、9.4、17.5、19.4、20.0、24.0、24.4、24.8、25.0、28.0、及び43.3°の2θにおける特徴的ピークを含むX線回折パターンを特徴とする。
【0372】
ある実施態様において、SAHAの形態I多型は、観測される融解温度を上回る50℃から少なくとも30℃まで10℃/分の加熱速度でPerkins Elmer DSC 6装置によって測定したとき、約164.4±2.0℃で単一の最大値を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0373】
SAHAの形態I多型は、米国特許第7,456,219号に記載されている方法に従って合成することができる。
【0374】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、リジン及び引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO2008/042146号の図1に示されているものと実質的に同様のX線回折パターンを特徴とするSAHAを含む結晶性組成物である。別の実施態様において、該結晶性組成物は、PANanalytical X'Pert Pro X線粉末回折装置(範囲: 2~40°の2θ; 源: Cu Kα1及びKα2)で測定したとき、約6.8、20.1及び23.2°の2θにおける特徴的ピークを含むX線回折パターンを特徴とする。別の実施態様において、該結晶性組成物は、PANanalytical X'Pert Pro X線粉末回折装置(範囲: 2~40°の2θ; 源: Cu Kα1及びKα2)で測定したとき、約6.8、12.6、18.7、20.1、23.2、及び24.0°の2θにおける特徴的ピークを含むX線回折パターンを特徴とする。別の実施態様において、該結晶性組成物は、PANanalytical X'Pert Pro X線粉末回折装置(範囲: 2~40°の2θ; 源: Cu Kα1及びKα2)で測定したとき、約6.8、12.0、12.6、16.4、18.7、20.1 23.2、24.0、29.3°の2θにおける特徴的ピークを含むX線回折パターンを特徴とする。
【0375】
ある実施態様において、リジン及びSAHAを含む結晶性組成物は、室温から300℃まで10℃/分の加熱速度でTA Instruments Q1000示差走査熱量計によって測定したとき、該結晶性組成物の吸熱が約182℃の補外開始温度を示す、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを特徴とする。
【0376】
リジン及びSAHAを含む結晶性組成物は、国際特許出願公開WO2008/042146号に記載されている方法に従って合成することができる。
【0377】
ある実施態様において、本明細書に記載の併用療法は、相乗作用又は相乗効果をもたらす。具体的な実施態様において、併用療法の相乗効果により、対象に対するより少ない投薬量(例えば、準最適用量)の本明細書に記載の抗KIT抗体及び/もしくは追加の療法の使用並びに/又はより低い頻度の本明細書に記載の抗KIT抗体もしくは追加の療法の投与が可能になる。ある実施態様において、より少ない投薬量の抗KIT抗体及び/もしくは追加の療法を利用し、かつ/又はより低い頻度で抗KIT抗体もしくは前記追加の療法を投与することができることにより、KIT関連障害又は疾患の治療における抗KIT抗体又は前記追加の療法の有効性をそれぞれ低下させることなく、それぞれ、対象への抗KIT抗体又は前記追加の療法の投与と関連する毒性が低下する。いくつかの実施態様において、相乗効果により、KIT関連障害又は疾患の治療における本明細書に記載の抗KIT抗体及び/又は前記追加の療法の有効性の向上がもたらされる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体と1以上の追加の療法の組合せの相乗効果により、任意の単一の療法の使用と関連する有害な作用又は望ましくない副作用が回避又は軽減される。
【0378】
本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する方法であって、該細胞を、本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートの有効量と接触させることを含む、前記方法である。具体的な実施態様において、本方法は、KITを発現している細胞においてKIT活性を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、又は少なくとも約50%阻害する。また本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞におけるアポトーシスを誘導又は増強する方法であって、該細胞を、本明細書に記載の抗体の有効量と接触させることを含む、前記方法である。また本明細書に提供されるのは、KITを発現している細胞における細胞分化を誘導又は増強する方法であって、該細胞を、本明細書に記載の抗体の有効量と接触させることを含む、前記方法である。
【0379】
KIT活性、及び例えば、KIT活性に対する抗体の作用は、例えば、細胞ベースのアッセイ、例えば、本明細書に記載されるものを用いて、ルーチンに評価することができる。
【0380】
本明細書に提供される方法によって阻害することができるKIT活性の非限定的な例としては、当技術分野で公知又は記載のKITの任意の活性、例えば、KIT受容体二量体化、KIT受容体リン酸化(チロシンリン酸化)、KIT受容体の下流のシグナル伝達(例えば、Stat、AKT、MAPK、もしくはRasシグナル伝達)、KITリガンド(例えば、SCF)誘導性転写調節(例えば、c-MycのSCF誘導性転写活性化)、細胞増殖の誘導もしくは増強、又は細胞生存を挙げることができる。
【0381】
ある実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、本明細書に記載の及び/又は当業者に公知の方法(例えば、ELISA)によって評価したとき、KIT活性を少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%阻害するか、又はKIT活性に、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%拮抗するのに十分な本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートの有効量と該細胞を接触させることを含む。ある実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、本明細書に記載の及び/又は当業者に公知の方法(例えば、ELISA)によって評価したとき、KIT活性を少なくとも約25%、35%、45%、50%、55%、もしくは65%阻害するか、又はKIT活性に少なくとも約25%、35%、45%、50%、55%、もしくは65%拮抗するのに十分な本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、例えば、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートの有効量と該細胞を接触させることを含む。KIT活性の非限定的な例としては、KIT受容体リン酸化、KIT受容体シグナル伝達、KITリガンド(例えば、SCF)媒介性細胞増殖、KITリガンド(例えば、SCF)媒介性細胞生存、及びKIT標的遺伝子(例えば、c-Myc)の転写活性化を挙げることができる。
【0382】
特定の実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する方法は、下流のKITシグナル伝達、例えば、Srcファミリーキナーゼ、PI3-キナーゼ、又はRas-MAPKのメンバーのシグナル伝達を阻害する(例えば、部分的に阻害する)か、又は該シグナル伝達に拮抗するのに十分な本明細書に記載の抗体(例えば、ヒト化抗KIT抗体)、又はその抗原結合断片(例えば、そのKIT結合断片)、又はその抗体コンジュゲートの有効量と該細胞を接触させることを含む。
【0383】
別の特定の実施態様において、KITを発現している細胞における1以上のKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、下流のKITシグナル伝達、例えば、MAPKのリン酸化、AKTのリン酸化、又はStat1、Stat3、もしくはStat5のリン酸化を阻害するか又はこれらに拮抗するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。
【0384】
ある実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法、例えば、ウェスタンブロット又はELISAアッセイ又は免疫ブロッティングアッセイによって評価したとき、AKTのリン酸化(例えば、AKTのKITリガンド(例えば、SCF)誘導性リン酸化)を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、もしくは99%阻害するか又は低下させるのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。ある実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法、例えば、ウェスタンブロット又はELISAアッセイ又は免疫ブロッティングアッセイによって評価したとき、AKTのリン酸化(例えば、AKTのKITリガンド(例えば、SCF)誘導性リン酸化)を少なくとも約25%、35%、45%、55%、又は65%阻害するか又は低下させるのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。
【0385】
ある態様において、KITを発現している細胞(例えば、癌細胞)におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、該細胞を、細胞増殖を阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と接触させることを含む。細胞増殖アッセイは当技術分野で記載されており、当業者によって容易に実施され得る。例えば、細胞増殖は、ブロモデオキシウリジン(BrdU)の取込み(例えば、Hoshinoらの文献、1986, Int. J. Cancer 38, 369; Campanaらの文献、1988, J. Immunol. Meth. 107:79を参照されたい)もしくは(3H)チミジンの取込み(例えば、Blechmanらの文献、Cell, 1995, 80:103-113; Chen, J.の文献、1996, Oncogene 13:1395-403; Jeoung, J.の文献、1995, J. Biol. Chem. 270:18367 73を参照されたい)を測定することによるか、様々な時間間隔(例えば、12時間もしくは24時間間隔)での直接的な細胞カウントによるか、又は既知の遺伝子、例えば、癌原遺伝子(例えば、fos、myc)もしくは細胞周期マーカー(Rb、cdc2、サイクリンA、D1、D2、D3、Eなど)の転写、翻訳もしくは活性の変化を検出することによってアッセイすることができる。そのようなタンパク質及びmRNA及び活性のレベルは、当技術分野で周知の任意の方法によって決定することができる。例えば、タンパク質は、市販の抗体を含む抗体を用いるELISA、ウェスタンブロッティング又は免疫沈降などの既知の免疫診断法によって定量することができる。mRNAは、当技術分野で周知かつルーチンである方法を用いて、例えば、ノーザン解析、RNアーゼ保護、又は逆転写と関連したポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量することができる。
【0386】
具体的な実施態様において、KITを発現している細胞(例えば、癌細胞)におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、BrdU取込みアッセイ)によって評価したとき、細胞増殖を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、BrdU取込みアッセイ)によって評価したとき、細胞増殖を少なくとも約25%、35%、45%、55%、又は65%を阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するか又は該KIT活性に拮抗する方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、BrdU取込みアッセイ)によって評価したとき、細胞増殖を少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。
【0387】
ある態様において、KITを発現している細胞(例えば、癌細胞)におけるKIT活性を阻害するための本明細書に提供される方法は、細胞の生存を低下させるか又は阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。細胞生存アッセイは当技術分野で記載されており、当業者によって容易に実施され得る。例えば、細胞生存率は、トリパンブルー染色又は当技術分野で公知の他の細胞生死マーカーを用いて評価することができる。具体的な実施態様において、細胞ATPのレベルを測定して、細胞生存率を決定する。具体的な実施態様において、細胞生存率は、細胞内ATPレベルを測定する、当技術分野で標準的なアッセイ、例えば、CellTiter-Gloアッセイキット(Promega)を用いて、3日及び7日の期間で測定される。細胞ATPの低下は細胞傷害効果を示す。別の具体的な実施態様において、細胞生存率は、ニュートラルレッド取込みアッセイで測定することができる。他の実施態様において、形態変化の目視観察には、肥大、粒状度、ギザギザの縁を有する細胞、薄膜状の外観、円形化、ウェル表面からの剥離、又は他の変化が含まれ得る。これらの変化には、観察される細胞傷害性の程度に従って、T(100%毒性)、PVH(部分的毒性-非常に強い-80%)、PH(部分的毒性-強い-60%)、P(部分的毒性-40%)、Ps(部分的毒性-わずか-20%)、又は0(毒性なし-0%)という呼称が与えられる。50%細胞阻害(細胞傷害)濃度(IC50)は、これらのデータの回帰分析によって決定される。
【0388】
具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)ための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、トリパンブルー排除アッセイ)によって評価したとき、該細胞の生存を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%低下させるか又は阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)ための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、トリパンブルー排除アッセイ)によって評価したとき、該細胞の生存を少なくとも約25%、35%、45%、55%、又は65%低下させるか又は阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、トリパンブルーアッセイ)によって評価したとき、該細胞の生存を少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍低下させるか又は阻害するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。
【0389】
具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)ための本明細書に提供される方法は、アポトーシス(すなわち、プログラム細胞死)を誘導するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。アポトーシスを検出するための方法は当技術分野で記載されており、当業者によって容易に実施され得る。例えば、フローサイトメトリーを用いて、アポトーシスを経ている細胞におけるアポトーシス媒介酵素の活性化カスパーゼ3を検出することができるか、又はウェスタンブロッティングを用いて、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の切断を検出することができる(例えば、Smolichらの文献、Blood, 2001, 97:1413-1421を参照されたい)。PARPの切断は、アポトーシスの指標である。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するか又は該KIT活性に拮抗するための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、活性化カスパーゼ3を検出するためのフローサイトメトリー)によって評価したとき、アポトーシスを少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導又は増強するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するか又は該KIT活性に拮抗するための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、活性化カスパーゼ3を検出するためのフローサイトメトリー)によって評価したとき、アポトーシスを少なくとも約25%、35%、45%、55%、又は65%誘導又は増強するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するための本明細書に提供される抗体方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、活性化カスパーゼ3を検出するためのフローサイトメトリー)によって評価したとき、アポトーシスを少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍誘導又は増強するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。
【0390】
具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)ための本明細書に提供される方法は、分化を誘導するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。分化を検出するための方法は当技術分野で記載されており、当業者によって容易に実施され得る。例えば、フローサイトメトリーを用いて、本明細書に記載の抗体と接触させた細胞における1以上の分化マーカーの発現、又は1以上の未分化マーカーの発現の欠如を検出することができる。同様に、ウェスタンブロッティングを用いて、分化マーカーを検出することもできる。好適な分化マーカー及び未分化マーカーが記載されており、これらは当業者に公知である。
【0391】
具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)ための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、フローサイトメトリー)によって評価したとき、分化を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%誘導するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害する(例えば、部分的に阻害する)ための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、フローサイトメトリー)によって評価したとき、分化を少なくとも約25%、35%、45%、55%、又は65%誘導するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。具体的な実施態様において、KITを発現している細胞におけるKIT活性を阻害するための本明細書に提供される方法は、本明細書に記載の又は当業者に公知の方法(例えば、フローサイトメトリー)によって評価したとき、分化を少なくとも約1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍を誘導するのに十分な本明細書に記載の抗体の有効量と該細胞を接触させることを含む。
【0392】
本明細書に記載の方法によって分化させることができる細胞の非限定的な例としては、幹細胞(例えば、胚性幹細胞、造血幹細胞)及び前駆細胞が挙げられる。例示的な造血幹細胞マーカーとしては、CD38、CD34、CD59、CD133、Sca-1、及びABCG2が挙げられる。神経幹細胞マーカーの非限定的な例としては、Nestin、PSA-NCAM、p75ニューロトロフィンR、及びビメンチンが挙げられる。幹細胞マーカーの他の非限定的な例としては、Oct4、Sox2、Klf4、LIN28、Nanog、SSEA-3、SSEA-4、Notch、及びWntが挙げられる。
【0393】
(5.6 組成物)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の1以上の抗体(例えば、ヒト化抗体)もしくはそれらの抗原結合断片、又はそれらのコンジュゲートを含む組成物、例えば、医薬組成物である。特定の態様において、本明細書に記載の組成物は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボ用途のためのものであり得る。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)又はその抗原結合断片又は本明細書に記載のそのコンジュゲート及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物である。
【0394】
本明細書で使用されるように、「医薬として許容し得る」という用語は、動物、より特にはヒトでの使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているか、又は米国薬局方、欧州薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
【0395】
本明細書に提供される1以上の抗体(例えば、ヒト化抗体)を含有する治療製剤は、貯蔵用に、所望の純度を有する抗体を、任意の生理的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1990) Mack Publishing Co., Easton, PA;レミントン:調剤の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第21版(2006) Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MD)と混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製することができる。許容し得る担体、賦形剤、又は安定剤は、利用される投薬量及び濃度でレシピエントに無害であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;並びに/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0396】
製剤、例えば、本明細書に記載の製剤は、治療されている特定の適応症に必要な場合、複数の活性化合物(例えば、分子、例えば、本明細書に記載の抗体(単数)又は抗体(複数))を含有することもできる。ある実施態様において、製剤は、本明細書に提供される抗体及び互いに悪影響を及ぼさない補完的活性を有する1以上の活性化合物を含む。そのような分子は、意図される目的に対して有効である量の組合せで好適に存在する。
【0397】
インビボ投与に使用されるべき製剤は、滅菌されていてもよい。これは、例えば、滅菌濾過膜に通して濾過することによって容易に達成される。
【0398】
具体的な態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、医薬として許容し得る担体中に、治療有効量の1以上の本明細書に提供される抗KIT抗体(例えば、ヒト化抗体)、及び任意に1以上の追加の予防剤又は治療剤を含有する。そのような医薬組成物は、KIT関連障害、好酸球関連障害又は肥満細胞関連障害、又はそれらの1以上の症状の防止、予防、治療、管理又は改善に有用である。
【0399】
本明細書に提供される抗体の投与に好適な医薬担体には、特定の投与様式に好適であることが当業者に知られている任意のそのような担体が含まれる。
【0400】
さらに、本明細書に記載の抗体は、組成物中の唯一の医薬活性成分として製剤化することができるか、又は他の活性成分(例えば、1以上の他の予防剤もしくは治療剤)と組み合わせることができる。
【0401】
組成物は、1以上の本明細書に提供される抗KIT抗体を含有することができる。一実施態様において、該抗体は、好適な医薬調製物、例えば、非経口投与用の滅菌溶液もしくは懸濁液中の液剤、懸濁剤、散剤、又はエリキシル剤に製剤化される。一実施態様において、該抗体は、好適な医薬調製物、例えば、経口投与用の液剤、懸濁剤、錠剤、分散錠、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤もしくはエリキシル剤中に、並びに経皮パッチ調製物及び乾燥粉末吸入剤中に製剤化される。
【0402】
そのような組成物中で、1以上の本明細書に提供される抗体(又はそのコンジュゲート)は、好適な医薬担体と混合される。該組成物中の抗体(単数)又は抗体(複数)の濃度は、例えば、投与時に、KIT関連障害、好酸球関連障害又は肥満細胞関連障害、又はそれらの1以上の症状を治療、防止、予防又は管理する量の送達に有効であり得る。
【0403】
一実施態様において、該組成物は、単一投薬量投与用に製剤化される。組成物を製剤化するために、化合物の重量分率を、治療される状態を緩和し、予防し、又は1以上の症状を改善するような有効濃度で、選択された担体に溶解させ、懸濁させ、分散させ、又は別の方法で混合する。
【0404】
ある態様において、本明細書に提供される抗体(例えば、ヒト化抗体)(又はその抗体-薬物コンジュゲート)は、治療される患者に対する望ましくない副作用がなく、又は最小限もしくは無視できる程度の望ましくない副作用で、治療的に有用な効果を発揮するのに十分な有効量で、医薬として許容し得る担体に含まれる。治療的有効濃度は、該化合物をインビトロ及びインビボ系でルーチンの方法を用いて試験することによって実験的に決定し、その後、それからヒトに対する投薬量を推定することができる。
【0405】
医薬組成物中の抗体の濃度は、例えば、該抗体の物理化学的特性、投薬スケジュール、及び投与される量、並びに当業者に公知の他の因子によって決まる。ある態様において、医薬組成物中の抗体-薬物コンジュゲートの濃度は、例えば、該抗体及び/又は薬物の物理化学的特性、投薬スケジュール、並びに投与される量、並びに当業者に公知の他の因子によって決まる。
【0406】
一実施態様において、治療的有効投薬量は、約0.1ng/mlから約50~100μg/mlの血清濃度の抗体を生じさせる。医薬組成物は、別の実施態様において、一定期間にわたる、例えば、毎日、毎週、2週毎、又は3、4もしくは8週毎の投与に対して、キログラム体重当たり約0.001mg~約2000mgの投薬量の抗体を提供する。医薬投薬単位形態は、投薬単位形態当たり約0.01mg~約2000mg、一実施態様において、約10mg~約500mgの抗体及び/又は他の任意の必須成分の組合せを提供するように調製することができる。
【0407】
特定の実施態様において、本明細書に記載の抗体-薬物コンジュゲートは、一定期間にわたる、例えば、毎日、毎週、2週毎、又は3週毎の投与に対して、キログラム体重当たり約1~100mgの抗体-薬物コンジュゲートの有効投薬量で投与される。
【0408】
本明細書に記載の抗KIT抗体は、一度に投与することができるか、又は時間間隔を置いて投与されるいくつかのより小さい用量に分割することができる。正確な投薬量及び治療期間は、治療されている疾患の関数であり、公知の試験プロトコルを用いて実験的に、又はインビボもしくはインビトロの試験データからの推定によって決定することができることが理解される。濃度及び投薬量値は、緩和されるべき状態の重症度によっても異なり得ることに留意すべきである。任意の特定の対象のために、特定の投薬レジメンが、個々の必要性及び組成物の投与を管理又は監督する人の専門的な判断によって経時的に調整され得ること、並びに本明細書に示される濃度範囲が例示的なものであるに過ぎず、特許請求された組成物の範囲又は実施を限定することを意図するものではないことがさらに理解されるべきである。
【0409】
抗体を混合又は添加したとき、得られる混合物は、液剤、懸濁剤、乳剤などであり得る。得られる混合物の形態は、意図される投与様式及び選択された担体又はビヒクルへの該化合物の溶解度を含む、いくつかの因子によって決まる。有効濃度は、治療される疾患、障害、又は状態の症状を改善するのに十分であり、実験的に決定することができる。
【0410】
医薬組成物は、ヒト及び動物、例えば、哺乳類(例えば、ネコ又はイヌ)への投与用に、好適な分量の化合物又はその医薬として許容し得る誘導体を含有する滅菌非経口(例えば、静脈内)液剤又は懸濁剤などの単位剤形で提供される。医薬組成物は、ヒト及び動物、例えば、哺乳類(例えば、ネコ又はイヌ)への投与用に、好適な分量の化合物又はその医薬として許容し得る誘導体を含有する錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、及び経口液剤又は懸濁剤、及び油-水乳剤などの単位剤形でも提供される。抗体は、一実施態様において、単位剤形又は複数剤形で製剤化され、投与される。本明細書で使用される単位用量形態は、ヒト及び動物対象に好適で、かつ当技術分野で知られているように個別に包装された、物理的に分離した単位を指す。各々の単位用量は、必要とされる医薬担体、ビヒクル又は希釈剤と関連して、所望の治療効果をもたらすのに十分な所定量の抗体を含有する。単位用量形態の例としては、アンプル及びシリンジ及び個別包装された錠剤又はカプセル剤が挙げられる。単位用量形態は、その分数又は倍数で投与することができる。複数用量形態は、分離された単位用量形態で投与されるように、単一の容器中に包装された複数の同一の単位剤形である。複数用量形態の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤の瓶、又はパイントもしくはガロンの瓶が挙げられる。したがって、複数用量形態は、包装中で分離されていない複数の単位用量である。
【0411】
ある実施態様において、1以上の本明細書に記載の抗KIT抗体は、液体医薬製剤中にある。医薬として投与可能な液体組成物は、例えば、上で定義した活性化合物及び任意の医薬補助剤を、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどの担体に溶解させ、分散させ、又は別の方法で混合し、それにより、液剤又は懸濁剤を形成させることによって調製することができる。望ましい場合、投与される医薬組成物は、微量の無毒な補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、及びpH緩衝剤なども含有することができる。
【0412】
そのような剤形の実際的な調製方法は当業者に公知であるか、又は明白になるであろう;例えば、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)(1990) Mack Publishing Co., Easton, PA;レミントン:調剤の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第21版(2006) Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore, MDを参照されたい。
【0413】
0.005%~100%の範囲の抗体を含有し、残りは無毒な担体から構成される剤形又は組成物を調製することができる。これらの組成物の調製方法は、当業者に公知である。
【0414】
一実施態様において、皮下、筋肉内、又は静脈内のいずれかへの注射を特徴とする非経口投与も、本明細書において企図される。注射剤は、液体の液剤もしくは懸濁剤、注射前の液体への溶解もしくは懸濁に好適な固体形態としてか、又は乳剤としてかのいずれかの、従来の形態で調製することができる。注射剤、液剤、及び乳剤は、1以上の賦形剤も含有する。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、又はエタノールである。さらに、望ましい場合、投与される医薬組成物は、微量の無毒な補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解性増強剤、及び他のそのような薬剤も含有することができる。他の投与経路としては、硬膜外投与、腸内投与、脳内投与、鼻腔投与、動脈内投与、心内投与、骨内注入、髄腔内投与、及び腹腔内投与を挙げることができる。
【0415】
非経口投与用の調製物としては、すぐに注射可能な滅菌液剤、皮下注射錠を含む、使用直前に溶媒とすぐに組み合わせることができる滅菌乾燥可溶性製品、例えば、凍結乾燥粉末、すぐに注射可能な滅菌懸濁剤、使用直前にビヒクルとすぐに組み合わせることができる滅菌乾燥不溶性製品、及び滅菌乳剤が挙げられる。液剤は、水性又は非水性のいずれかであり得る。
【0416】
静脈内投与される場合、好適な担体としては、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、並びに増粘剤及び可溶化剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール並びにこれらの混合物を含有する溶液が挙げられる。
【0417】
非経口調製物で使用される医薬として許容し得る担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔薬、懸濁化剤及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤並びに他の医薬として許容し得る物質が挙げられる。
【0418】
医薬担体としては、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール;並びにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸も挙げられる。
【0419】
実例として、活性化合物を含有する滅菌水性液剤の静脈内又は動脈内注入は、効果的な投与様式である。別の実施態様は、所望の薬理作用を生じさせるために必要に応じて注射される活性材料を含有する滅菌された水性又は油性の液剤又は懸濁剤である。
【0420】
本明細書に記載の抗KIT抗体を、微粉化された又は他の好適な形態で懸濁させることができる。得られる混合物の形態は、意図される投与様式及び選択された担体又はビヒクルへの化合物の溶解度を含む、いくつかの因子によって決まる。有効濃度は、状態の症状を改善するのに十分であり、実験的に決定することができる。
【0421】
他の実施態様において、医薬製剤は、投与のために液剤、乳剤、及び他の混合物として再構成することができる凍結乾燥粉末である。それらを固体又はゲルとして再構成し、製剤化することもできる。
【0422】
凍結乾燥粉末は、本明細書に提供される抗体を好適な溶媒に溶解させることによって調製される。いくつかの実施態様において、凍結乾燥粉末は、滅菌されている。溶媒は、粉末又は粉末から調製される再構成溶液の安定性又は他の薬理学的要素を改善する賦形剤を含有することができる。使用し得る賦形剤としては、デキストロース、ソルビタール(sorbital)、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の好適な薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、緩衝剤、例えば、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、又は一実施態様において、約中性pHの当業者に公知の他のそのような緩衝剤を含有することもできる。その後の溶液の滅菌濾過と、それに続く、当業者に公知の標準的な条件下での凍結乾燥によって、所望の製剤が提供される。一実施態様において、得られる溶液は、凍結乾燥用のバイアルに分注される。各々のバイアルは、単回投薬量又は複数回投薬量の化合物を含有する。凍結乾燥粉末は、適切な条件下、例えば、約4℃~室温で貯蔵することができる。
【0423】
この凍結乾燥粉末の注射用水による再構成によって、非経口投与で使用するための製剤が提供される。再構成のために、凍結乾燥粉末を滅菌水又は他の好適な担体に添加する。正確な量は、選択された化合物によって決まる。そのような量は、実験的に決定することができる。
【0424】
本明細書に提供される抗体は、局部又は局所適用のために、例えば、ゲル剤、クリーム剤、及びローション剤の形態での、皮膚及び粘膜、例えば、眼内への局所適用のために、及び眼への適用のために、又は嚢内もしくは脊髄内適用のために製剤化することができる。局所投与は、経皮送達のために、さらには眼もしくは粘膜への投与のために、又は吸入療法のために企図される。単独の又は他の医薬として許容し得る賦形剤と組み合わせた活性化合物の点鼻液を投与することもできる。
【0425】
本明細書に提供される抗体及び他の組成物は、特定の組織、受容体、又は治療されることになる対象の身体の他の部分にターゲッティングされるように製剤化することもできる。多くのそのようなターゲッティング法は、当業者に周知である。全てのそのようなターゲッティング法が、本組成物での使用のために本明細書において企図される。ターゲッティング法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号及び第5,709,874号を参照されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、骨髄にターゲッティングされる(又は別の方法で投与される)。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、消化管にターゲッティングされる(又は別の方法で投与される)。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、脳にターゲッティングされる(又は別の方法で投与される)。具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、血液脳関門を横断することができる。
【0426】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体は、眼組織又は器官にターゲッティング(又は他の方法で投与)される。特定の態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体を含む組成物は、点眼剤又はゲルとして眼組織又は器官にターゲッティングされ得る。特定の態様において、本明細書に記載の抗KIT抗体を含む組成物は、耳にターゲッティングされ得る。
【0427】
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の医薬組成物の1以上の成分、例えば、本明細書に提供される1以上の抗体を充填した1以上の容器を含む医薬パック又はキットである。そのような容器(複数可)には、薬剤もしくは生物学的製剤の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって定められた形での注意書きが任意に関連付けられることがあり、この注意書きは、該機関による、ヒト投与のための製造、使用又は販売の認可を示すものである。
【0428】
(5.7 診断法)
KIT抗原に免疫特異的に結合する標識された又は別の方法で検出可能な抗体を診断目的で用いて、KIT関連疾患を検出、診断、又はモニタリングすることができる。
【0429】
本明細書に提供されるのは、KIT関連障害又は疾患を有する患者から得られた試料におけるKIT発現を検出するための方法である。特定の実施態様において、患者から得られた試料におけるKIT発現を検出するための方法は、該試料を本明細書に記載の抗KIT抗体と接触させ、例えば、抗KIT抗体のKITへの結合をKIT発現レベルと関連付けることによって、該試料中のKITの発現レベルを検出することを含む。検出方法は、当業者に公知である。
【0430】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、KIT関連障害又は疾患を有する患者を診断するための方法である。ある態様において、KIT関連障害又は疾患を有する対象を診断する方法は、該対象から得られた細胞又は試料を、本明細書に記載の抗KIT抗体(又はその抗原結合断片)と接触させ、該細胞又は試料中のKITの発現レベルを検出することを含む。ある実施態様において、KIT関連障害又は疾患を有する患者を診断するための方法は、インビトロ法である。特定の実施態様において、KIT関連障害又は疾患を有する患者を診断するための方法は、エクスビボ法である。ある実施態様において、本方法は、診断の後に、本明細書に記載の抗体又は抗原結合断片を患者に投与することをさらに含む。
【0431】
ある態様において、本明細書に提供されるのは、KIT関連疾患を検出するための方法であって:(a)1以上の本明細書に記載の抗体を用いて、対象の細胞又は組織試料におけるKIT抗原の発現をアッセイすること;及び(b)KIT抗原のレベルを対照レベル、例えば、正常組織試料(例えば、KIT関連疾患を有さない患者由来のもの、又は疾患発症前の同じ患者由来のもの)中のレベルと比較することを含み、KIT抗原の対照レベルと比較したKIT抗原のアッセイレベルの増加は、KIT関連疾患の指標である、前記方法である。
【0432】
検出法は、当業者に公知である。例えば、抗KIT抗体を検出可能な分子(例えば、第5.1.1節に記載されているもの)にコンジュゲートすることができ、該検出可能な分子を、標準的な技術(例えば、顕微鏡観察)を用いて可視化することができる。本明細書に記載の抗体を用いて、本明細書に記載の又は当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法を用いて生体試料中のKIT抗原レベルをアッセイすることができる(例えば、Jalkanenらの文献、1985, J. Cell. Biol. 101:976-985;及びJalkanenらの文献、1987, J. Cell . Biol. 105:3087-3096を参照されたい)。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用な他の抗体ベースの方法としては、免疫アッセイ、例えば、ELISA及び放射免疫アッセイ(RIA)が挙げられる。好適な抗体アッセイ標識は当技術分野で公知であり、これには、酵素標識、例えば、グルコースオキシダーゼ;放射性同位体、例えば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)、及びテクネチウム(99Tc);発光標識、例えば、ルミノール;並びに蛍光標識、例えば、フルオレセイン及びローダミン、並びにビオチンが含まれる。具体的な実施態様において、本明細書に記載の診断法は、検出マーカーにコンジュゲートされていない裸の又は非標識の抗体の使用を含み、該裸の又は非標識の抗体は、例えば、標識することができる二次抗体を用いることによって、間接的に検出される。
【0433】
ある実施態様において、正常対照試料(例えば、KIT関連障害又は疾患に罹患していない健常患者から得られた試料)と比べた試料におけるKITの高発現は、患者がKIT関連障害又は疾患に罹患していることを示す。
【0434】
患者から得られた試料において、KIT関連障害又は疾患、例えば、癌を有する患者を診断する方法は、該試料を本明細書に記載の抗KIT抗体と接触させ、該試料中のKITの発現レベルを検出することを含む。ある実施態様において、正常対照試料(例えば、KIT関連障害又は疾患に罹患していない健常患者から得られた試料)と比べた試料におけるKITの高発現は、患者がKIT関連障害又は疾患に罹患していることを示す。
【0435】
ある実施態様において、試料は、患者の腫瘍に由来するか又は患者の腫瘍に由来する腫瘍細胞を含む、腫瘍試料であることができる。本明細書中の腫瘍試料の例としては、腫瘍生検、循環腫瘍細胞、循環血漿タンパク質、腹水、初代細胞培養物、又は腫瘍に由来するかもしくは腫瘍様の性質を示す細胞株、及び保存された腫瘍試料、例えば、ホルマリン固定されたパラフィン包埋腫瘍試料又は凍結腫瘍試料が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、試料は、固定剤を用いて組織学的に保存されている固定された腫瘍試料である。いくつかの実施態様において、試料は、ホルムアルデヒドを固定剤として用いて保存されているホルマリン固定された腫瘍試料である。ある実施態様において、試料は、強固でかつ一般に硬い媒体、例えば、パラフィン、ろう、セロイジン、又は樹脂によって囲まれている包埋された腫瘍試料である。包埋は、検鏡用又は組織マイクロアレイ(TMA)作製用の薄片の切削を可能にする。特定の実施態様において、試料は、石油から誘導される固体炭化水素の精製混合物によって囲まれているパラフィン包埋腫瘍試料である。ある実施態様において、試料は、凍結される又は凍結されている凍結腫瘍試料である。具体的な実施態様において、試料、例えば、パラフィン包埋試料又は凍結試料を切片にする。
【0436】
ある態様において、KIT発現、増幅、又は活性化を示す癌又は生体試料は、診断検査で、KIT受容体を発現(過剰発現を含む)しており、KIT遺伝子を増幅させており、及び/又はさもなければ、KIT受容体の活性化もしくはリン酸化を示している、癌又は生体試料である。
【0437】
また本明細書に提供されるのは、ヒトにおけるKIT関連疾患の検出及び診断である。一実施態様において、診断は:a)対象に本明細書に記載の標識抗体の有効量を(例えば、非経口、皮下、又は腹腔内)投与すること;b)標識抗体が、KIT抗原が発現されている対象内の部位に優先的に集中する(及び未結合の標識分子がバックグラウンドレベルにまで除去される)のを可能にするために、投与後一定期間待つこと;c)バックグラウンドレベルを決定すること;並びにd)該対象において該標識抗体を検出すること、を含み、その結果、バックグラウンドレベルを上回る標識抗体の検出によって、該対象がKIT媒介性疾患を有することが示される。バックグラウンドレベルは、検出される標識分子の量を特定の系について過去に決定された標準値と比較することを含む、様々な方法によって決定することができる。
【0438】
対象のサイズ及び使用されるイメージングシステムが、診断画像を作成するのに必要とされるイメージング部分の量を決定することは当技術分野では理解される。放射性同位体部分の場合、ヒト対象について、注入される放射能の量は、通常、約5~20ミリキュリーの99Tcである。その後、標識抗体は、特定のタンパク質を含む細胞の場所に優先的に蓄積する。インビボ腫瘍イメージングは、S.W. Burchielらの文献、「放射性標識抗体及びその断片の免疫薬物動態(Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments)」(腫瘍イメージング:癌の放射性化学検出(Tumor Imaging: The Radiochemical Detection of cancer)、S.W. Burchiel及びB.A. Rhodes編、Masson Publishing Inc.(1982)の第13章)に記載されている。
【0439】
使用される標識の種類及び投与様式を含むいくつかの変数によって、標識抗体が対象内の部位に優先的に集中し、未結合の標識抗体がバックグラウンドレベルにまで除去されるのを可能にする投与後の時間間隔は、6~48時間又は6~24時間又は6~12時間である。別の実施態様において、投与後の時間間隔は、5~20日又は5~10日である。
【0440】
一実施態様において、KIT媒介性疾患のモニタリングは、KIT媒介性疾患の診断法を、例えば、初回診断の1カ月後、初回診断の6カ月後、初回診断の1年後などに、反復することによって実施される。
【0441】
標識分子の存在は、インビボスキャニングについて当技術分野で公知の方法を用いて、対象内で検出することができる。これらの方法は、使用される標識の種類によって決まる。当業者は、特定の標識を検出するための適切な方法を決定することができるであろう。本発明の診断法で使用することができる方法及び装置としては、コンピュータ断層撮影法(CT)、全身スキャン、例えば、陽電子放出断層撮影法(PET)、磁気共鳴イメージング(MRI)、及び超音波検査が挙げられるが、これらに限定されない。
【0442】
具体的な実施態様において、該分子は、放射性同位体で標識され、放射線応答性手術器具を用いて患者内で検出される(Thurstonらの文献、米国特許第5,441,050号)。別の実施態様において、該分子は、蛍光化合物で標識され、蛍光応答性スキャニング装置を用いて患者内で検出される。別の実施態様において、該分子は、陽電子放出金属で標識され、陽電子放出断層撮影法を用いて患者内で検出される。また別の実施態様において、該分子は、常磁性標識で標識され、磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて患者内で検出される。
【実施例
【0443】
(6.実施例)
本明細書の実施例は、例証を目的として提供されており、限定を目的とするものではない。
【0444】
(6.1 実施例1)
抗KIT抗体のFc突然変異H(重鎖)及びL(軽鎖)アミノ酸配列をコードする核酸分子(それぞれ、配列番号23及び配列番号24、下記表6を参照されたい)を発現ベクターに直接クローニングした。配列決定によってコンストラクトを確認し、ベクターをCHO細胞にトランスフェクトした。抗体を発現している細胞株を樹立するための安定なトランスフェクションを実施し、その後、薬物で選択した。最も良好に発現する株を、上清中のバックグラウンドを上回るIgG力価に基づいて選択し、薬物選択の存在下で増殖させ、各段階でOctet(登録商標) QKe systemを用いてIgG発現についてスクリーニングした。
【0445】
表6:抗KIT抗体の重鎖及び軽鎖配列をコードするDNA配列
【表6】
【0446】
リーダー配列の除去後に得られた抗体を抗体mAb1とした。抗体の重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列(リーダー配列の除去後)は、以下の表7に記載されている。
【0447】
表7: mAb1の全長重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列
【表7】
【0448】
この抗体の重鎖のFcドメインは、Kabatの文献に示されるEUインデックスによって付番される、非天然アミノ酸234A、235Q、322Q、252Y、254T及び256Eを含む。これら6つの非天然アミノ酸は、上記の配列において太字の下線付きテキストで示されている。
【0449】
野生型(非変異)IgG1 Fcドメイン(「mAbc」)を有する対応する抗体と比較して(培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出率(%)によって決定されるように)FcgRIを発現しているヒト肥満細胞の顕著な脱顆粒を誘導しないmAb1を決定した。培養中のヒト肥満細胞からのベータ-ヘキソサミニダーゼの放出(IFNガンマの存在下で)は、mAbcと比較してmAb1で50%超低下した。さらに、mAb1は、THP-1細胞上で架橋された場合であっても、mAbcと比較して顕著なFc受容体依存性KITアゴニスト活性(KITリン酸化によって決定される)を示さなかった。Fc受容体依存性KITアゴニスト活性(架橋されたFc受容体によるKITリン酸化によって決定される)は、mAbcと比較してmAb1で50%超低下した。
【0450】
(6.2 実施例2)
健常ボランティアに、0.3、1、3、もしくは9mg/kgのmAb1又はプラセボの単回注入を行った。全血漿トリプターゼレベルを、トリプターゼのアルファ型とベータ型の両方を検出するImmunocap(登録商標)アッセイを用いて測定した。治療前の値を100%、アッセイの定量下限(1ng/mL)を0%として、各コホートについて、トリプターゼ値を正規化した。平均値と平均の標準誤差を用量ごとにプロットした。
【0451】
結果は図2A~2Eに示され、mAb1が用量依存的に血漿トリプターゼを抑制したこと示している。
【0452】
(6.3 実施例3)
mAb1の単回投与により、アッセイ定量レベル未満(1ng/mL)のトリプターゼ値に、長期にわたる減少をもたらした。検出レベル未満の値を0.5ng/mLとして任意にプロットした。絶対血漿トリプターゼ値を示した。
【0453】
結果は図3A及び3Bに示され、3mg/kgと9mg/kgの両方のmAb1の単回投与により、持続的なトリプターゼ抑制が提供されたことを示している。
【0454】
(6.4 実施例4)
健常ボランティアに、0.3、1、3、もしくは9mg/kgのmAb1又はプラセボの単回注入を行った。c-KIT/CD117受容体の唯一のリガンドである幹細胞因子(SCF)の血漿レベルを、Meso Scale Diagnostics (MSD))プラットフォームを使用して、研究室で開発したアッセイを用いて測定した。SCF血漿レベルは用量依存的に増加し、これは、KIT受容体へのSCFのアロステリック遮断と一致していた。平均値と平均の標準誤差を用量ごとにプロットした。
【0455】
結果は図4に示され、mAb1が血漿SCFレベルの用量依存的増加を誘導したことを示している。
【0456】
(6.5 実施例5)
M-07e細胞を血清飢餓にさせ、次いで、i)mAb1、ii)同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列(「mAbc」)を有する対応する抗体、iii)アイソタイプ対照抗体又はiv)KITを標的とする小分子キナーゼ阻害剤(イマチニブ)であらかじめ処理し、次いで、幹細胞因子(SCF)で刺激した。リン酸化をウェスタンブロッティングによって評価した。
【0457】
1つの実験からの結果が図5に示されている。示されているデータは、3回の独立した実験の代表である。IgG=ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体; p-KIT=チロシンリン酸化KIT; p-AKT=リン酸化AKT; p-ERK=リン酸化ERK1/2。総合して、これらの結果は、mAb1が、試験した小分子KIT阻害剤よりも野生型KITのSCF誘導性活性化及び下流の細胞内シグナル伝達経路のより強力な阻害剤であったことを示している。
【0458】
(6.6 実施例6)
SCF依存的M-07e細胞増殖に対するmAb1及びイマチニブの効果も特徴付けた。
【0459】
M-07e細胞を血清飢餓にさせ、次いで、i)mAb1、ii)同じ可変領域配列であるが、変異していない(野生型)ヒトIgG1配列(「mAbc」)を有する対応する抗体又はiii)イマチニブであらかじめ処理し、次いで、SCFで刺激した。細胞を37℃で6日間インキュベートした。
【0460】
結果は図6に示されている。データは、3回の独立した実験の代表であり、技術的に3回の平均と平均の標準偏差として提示されている。
【0461】
mAb1とmAbcの両方は、M-07e細胞増殖の類似の用量依存的阻害を示し、平均IC50値は、それぞれ1.11±0.15nM及び1.12±0.22nM(±SEM;n=5;図6)であった。比較すると、イマチニブは、効力は弱いがSCF依存的M-07e細胞増殖を阻害し、3回の独立した実験からの平均IC50は228±39nM(±SEM)であった。mAb1のアンタゴニスト活性はmAbcに匹敵し、mAb1のFc領域に導入された突然変異はKITを阻害する能力に影響を与えなかったことが示された。
【0462】
(6.7 実施例7)
組換えヒトFc-ガンマ受容体(FcγR)及びヒト胎児性Fc受容体(FcRn)に対するmAb1の結合親和性を特徴付け、平衡KD値を生成した。
【0463】
組換えヒトFc受容体への結合を、Octet(登録商標) QKe装置を使用して、バイオレイヤー干渉法によって測定した。ヒスチジンタグ付きFc受容体を抗ペンタ-Hisバイオセンサー上で捕捉し、次いで、mAbc又はmAb1の段階希釈液に2~3分間曝露し、続いて5~10分の範囲で解離ステップを行った。装置の解析ソフトウェアを使用して、曲線フィッティングを行った。pH6.0及びpH7.2での会合及び解離ステップで、FcRnへの結合を行った。
【0464】
結果は、図7及び8A~8Nに示されており、FcγRI(KD=3.39nM)には高い親和性で、FcγRIIIa(KD=127nM)には中間の親和性で、FcγRIIa(KD=391nM)及びFcγRIIIb(KD=816nM)には弱い親和性でmAbcが結合したことを示している。FcγRIIbへの結合は観察されなかった。対照的に、任意の組換えヒトFcγRへのmAb1(濃度=500nM)の結合は検出されなかった。
【0465】
エンドサイトーシス状態をシミュレートするために、ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)への結合を、生理的pH7.2及びpH6.0で試験した。pH7.2で、mAbcのFcRnへの結合は観察されなかったが、mAb1は中程度の親和性(KD=77.1nM)で結合した。pH6.0では、中程度の親和性(KD=211nM)でmAbcはFcRnに結合した。しかしながら、mAb1は顕著により高い親和性で、pH6.0でFcRnに結合し、非常に遅い解離(KD=0.38nM)を示した。
【0466】
これらのデータは、mAb1中のFc突然変異がFcγR相互作用を無効にする一方で、インビトロでFcRnとの相互作用を増強したことを示している。
【0467】
(6.8 実施例8)
mAb1の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を、市販のADCCレポーターバイオアッセイキット(Promega Corporation, Madison, WI)を用いて評価した。ADCCレポーターバイオアッセイでは、FcγRIIIa受容体V158 (高親和性)変異体を安定発現する操作されたJurkat細胞、及びエフェクター細胞として、ホタルルシフェラーゼの発現を促進する活性化T細胞の核因子(NFAT)応答エレメントを使用した。標的細胞上の抗原に結合した抗体のFcエフェクター部分に、エフェクター細胞の表面上のFcγRIIIa受容体が結合すると、架橋及びFcγRIIIaシグナル伝達の活性化が生じ、NFATレポーター遺伝子の発現が誘導される。ADCCを誘導するmAb1及びmAbcの能力を評価するために、KIT発現M-07e細胞、トランスフェクトCHO細胞(CHO-WT KIT)、及びヒト小細胞肺癌H526細胞を標的細胞として使用した。さらに、KITを発現しなかった非トランスフェクトCHO細胞を対照の標的細胞として使用した。生じたレポーター遺伝子シグナルの用量依存的増加が観察された場合、ADCCは活性化されたと考えられた。
【0468】
図9に示すように、mAbcは、KIT発現M-07e標的細胞に対するADCC応答を誘発する一方で、mAb1又はアイソタイプ対照は誘発しなかった。CHO-WT KIT及びH526細胞を用いると、同様の結果が観察された。総合して、これらのデータから、mAbcとは異なり、mAb1は、検査したKIT発現標的細胞に対してADCC応答を誘発しなかったことが示される。
【0469】
(6.9 実施例9)
新鮮な全血を、示されるように、溶液中の又はドライコーティングのいずれかでの、40nMのhuIgG1アイソタイプ対照又は0.02、0.2、又は40nMのmAb1のいずれかと一晩インキュベートした。植物性血球凝集素(PHA) (10μg/mL)及びリポ多糖(LPS)(10μg/mL)を陽性対照として使用した。血漿試料を採取し、-80℃で凍結保存した。サイトカインのレベルを、Eve Technologies (Calgary, Alberta, Canada)によって実行されるマルチプレックスレーザービーズ技術を利用することによって決定した。
【0470】
結果は図10に示されており、個々のドナーのサイトカイン濃度は二重の試料の平均を表している。全てのドナー(n=6)についての平均サイトカイン濃度をプロットし、エラーバーはSEMを表す。結果は、ヒトIgG1アイソタイプ対照と比べて、全体的に非常にわずかな特異的サイトカイン誘導がmAb1で観察されたことを示している。
【0471】
(6.10 実施例10)
ヒト患者は、肥満細胞関連障害を呈し、それを有すると診断される。該患者にmAb1を静脈内投与し、臨床評価による応答について治療の前、治療中、及び治療後にモニタリングする。
【0472】
(6.11 実施例11-慢性自然発生蕁麻疹を有する患者におけるmAb1の試験)
この実施例に記載されるのは、慢性自然発生蕁麻疹を有する患者におけるアドオン療法としてのmAb1の安全性、薬物動態、及び薬力学を評価するための無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第1相複数回漸増用量試験のプロトコルである。試験のタイプは介入(臨床治験)である。患者の割り当ては無作為化される。介入モデルは、並列割り当てである。マスキングタイプは、二重盲検(参加者及び調査員)である。
【0473】
この試験の目的は、抗ヒスタミン薬で治療しているにもかかわらず症候性のままである慢性自然発生蕁麻疹を有する患者におけるmAb1の漸増用量の安全性、薬力学、及び薬物動態を調べることである。治療後、最長2週のスクリーニング期間、12週間の二重盲検処置期間及び12週間の経過期間がある。患者に、抗ヒスタミン薬へのアドオン療法として、複数用量のmAb1又はプラセボを投与する。あらゆる性別の18歳~75歳の成人患者が、この試験に適格である。健常ボランティアは受け入れられない。この試験に40人の患者が登録されると推定される。この試験の1つのアームの患者には、4~8週間ごとにmAb1を静脈内投与し、この試験の他方のアームの患者には、4~8週間ごとに通常の生理食塩水を静脈内投与する。
【0474】
主要評価項目:
【0475】
1. 有害事象の発生及び重症度によって評価される安全性(時間枠:1日目(最初の投与)~169日目(最後の経過訪問))。薬物関連有害事象によって決定されるmAb1の複数回漸増用量の安全性。
【0476】
副次評価項目:
【0477】
1. 薬物動態評価(時間枠:1日目(最初の投与前)~169日目(最後の経過訪問))。MAb1血清濃度を指定訪問時に測定する。
【0478】
2. 薬力学的評価(時間枠:1日目(最初の投与)~169日目(最後の経過訪問))。mAb1投与患者対プラセボ投与患者における蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインからの変化。
【0479】
3. 薬力学的評価(時間枠:1日目(最初の投与前)~169日目(最後の経過訪問))。トリプターゼ及び幹細胞因子レベルに対するmAb1の影響。
【0480】
4. 薬力学的評価(時間枠:1日目(最初の投与)~169日目(最後の経過訪問))。mAb1投与患者対プラセボ投与患者における蕁麻疹重症度スコア(Hives Severity Score)(HSS7)のベースラインからの変化。
【0481】
5. 薬力学的評価(時間枠:1日目(最初の投与)~169日目(最後の経過訪問))。mAb1投与患者対プラセボ投与患者における掻痒重症度スコア(ISS7)のベースラインからの変化。
【0482】
6. 安全性評価(時間枠:1日目(投与前)~169日目(最後の経過訪問))。抗mAb1抗体の発生を測定することによる免疫原性の評価。
【0483】
主要な包含基準:
【0484】
1. 男性及び女性、18~75歳。
【0485】
2. H1-抗ヒスタミン薬を単独で、又はH2-抗ヒスタミン薬及び/又はロイコトリエン受容体アンタゴニストと組み合わせて使用しているにもかかわらず、以下のことによって定義される慢性自然発生蕁麻疹(CSU)の診断:
【0486】
a. 6カ月以上の間のCSUの診断。
【0487】
b. 現在、H1-抗ヒスタミン薬を使用しているにもかかわらず、1回目の訪問前のいずれの時点でも、連続6週以上の間、掻痒及び蕁麻疹が存在すること。
【0488】
c. 治療前7日間、16以上のUAS7及び8以上のHSS7。
【0489】
d. スクリーニング訪問日のうちの1日に、クリニックで4以上のUAS。
【0490】
e. 試験登録の直前の少なくとも3日間及び試験中のH1-抗ヒスタミン薬単独の使用又はH2-抗ヒスタミン薬及び/又はロイコトリエン受容体アンタゴニストとの併用。
【0491】
3. CSU以外に、さらなるリスクを引き起こすか又は試験手順を妨げる可能性のある他の重大な病状がないこと。
【0492】
4. 正常な血球数と肝機能検査。
【0493】
5. 子を産む可能性のある男女両方が、試験中及び治療後150日間、非常に効果的な避妊薬を使用することに同意することが必要。
【0494】
6. 試験期間中、毎日の症状の電子日記を完成させ、試験訪問スケジュールを厳守する意欲と能力があること。
【0495】
主要な除外基準:
【0496】
1. 妊娠中又は授乳中の女性。
【0497】
2. 慢性蕁麻疹の原因が明確に定義されていること。
【0498】
3. HIV、B型肝炎又はC型肝炎感染が判明していること。
【0499】
4. 治験薬投与前4週間以内の生ワクチンの予防接種(対象は、試験中の予防接種を回避することに同意する必要がある)。季節性インフルエンザなどの注入用不活化ワクチンは認められる。
【0500】
5. アナフィラキシーの既往。
【0501】
試験の適格性を確認するために、治療医師が候補者と検討する追加の基準がある。
【0502】
(6.12 実施例12-寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹を有する患者におけるmAb1の安全性、薬物動態及び薬力学の単回投与試験)
本明細書に記載されるのは、寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹を有する患者におけるアドオン療法としてのmAb1の安全性、薬物動態、及び薬力学を評価するための非盲検第1相単回投与試験のプロトコルである。試験タイプは介入(臨床治験)である。介入モードは、単一グループ割り当てである。
【0503】
この試験は、抗ヒスタミン薬による治療にもかかわらず症候性のままである寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹を有する患者におけるmAb1の単回投与の安全性、薬物動態、及び薬力学を評価する非盲検第1相試験である。寒冷蕁麻疹の10人の患者、症候性皮膚描記症の10人の患者、及びコリン作動性蕁麻疹の10人の患者が、合計30人の患者用の3つの別々のコホートに登録されると推定される。見込みのある患者を、登録前の2週間、クリニックでの検査と毎日の自宅での日記を用いてスクリーニングする。mAb1の単回投与を1日目に静脈内投与する。治療後、患者を12週間経過観察する。あらゆる性別の18歳~75歳の成人患者がこの試験に適格である。健常ボランティアは受け入れられない。
【0504】
主要評価項目:
【0505】
1. 有害事象の発生及び重症度によって評価される安全性(時間枠:1日目~12週目)。有害事象によって決定されるmAb1の単回投与の安全性。
【0506】
副次評価項目:
【0507】
1. 寒冷蕁麻疹患者について、臨床温度閾値の変化(CTT)(時間枠:1日目~85日目)。TempTest(登録商標)を用いる誘発試験によって決定される、経時的な臨床温度閾値のベースラインからの変化。
【0508】
2. 症候性皮膚描記症患者について、誘発閾値の変化(時間枠:1日目~85日目)。FricTest(登録商標)を用いる誘発試験によって決定される、経時的な誘発閾値のベースラインからの変化。
【0509】
3. コリン作動性蕁麻疹患者について、蕁麻疹活動性スコア誘発(UASprovo)のベースラインの変化(時間枠:1日目~85日目)。UASprovoによって測定されるベースラインからの変化及び応答者の割合。
【0510】
4. 蕁麻疹コントロールテスト(UCT)のベースラインからの変化(時間枠:1日目~85日目)。UCT及び修正されたUCTに対するベースラインからの変化及び応答者の割合。
【0511】
5. 血液バイオマーカー(時間枠:1日目~85日目)。治療前及び治療後に血液試料を採取し、幹細胞因子の変化について分析する。
【0512】
6. 血液バイオマーカー(時間枠:1日目~85日目)。治療前及び治療後に血液試料を採取し、トリプターゼの変化について分析する。
【0513】
7. 薬物動態評価(時間枠:1日目~85日目)。mAb1濃度を測定する。
【0514】
8. 免疫原性評価(時間枠:1日目~85日目)。患者を、抗薬物抗体の発生についてモニタリングする。
【0515】
主要な包含基準:
【0516】
1. 抗ヒスタミン薬には応答しない寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹の診断。診断期間3カ月以上;抗ヒスタミン薬を併用しているにもかかわらず、蕁麻疹(膨疹)と掻痒/灼熱感/痛覚的な感覚の両方の症状。クリニックにおけるスクリーニング中、寒冷蕁麻疹については、患者は寒冷刺激試験が陽性である必要があり、症候性皮膚描記症については、患者はFricTest(登録商標)が陽性である必要があり、コリン作動性蕁麻疹については、患者はパルス制御エルゴメトリー(PCE)誘発試験が陽性である必要がある。対象は安定した用量の抗ヒスタミン薬を服用している。
【0517】
2. 寒冷蕁麻疹、症候性皮膚描記症、又はコリン作動性蕁麻疹の診断以外に、医学的評価に基づいて試験者によって決定される、さらなるリスクを引き起こすか又は試験手順を妨げる可能性のある他の重大な病状がないこと。
【0518】
3. スクリーニングの訪問時から試験の治療を受けた後少なくとも150日間にわたり、女性患者も男性患者も効果の高い避妊法を使用する必要がある。
【0519】
4. 毎日の服薬日記とアンケートの完了を含む全ての試験要件及び手順を厳守する意欲と能力があること。
【0520】
主要な除外基準:
【0521】
1. 慢性蕁麻疹以外の蕁麻疹又は血管浮腫の明確に定義された診断。
【0522】
2. 過去3カ月以内に生物学的療法(例えば、オマリズマブ、デュピルマブ、リゲリズマブ)を受けている。
【0523】
3. 4週間以内又は5半減期以内の免疫抑制剤(例えば、全身性コルチコステロイド、シクロスポリン、メトトレキサート、ダプソン、シクロホスファミド、タクロリムス及びミコフェノール酸モフェチル、ヒドロキシクロロキンなど)での治療。
【0524】
4. 活動性COVID-19感染。
【0525】
5.HIV、B型肝炎又はC型肝炎感染。
【0526】
試験の適格性を確認するために、治療医師が候補者と検討する追加の基準がある。
【0527】
(6.13 実施例13-慢性誘発性蕁麻疹患者におけるmAb1によって低下した疾患活動性及びトリプターゼレベル)
(6.13.1 試験の背景と要約)
慢性誘発性蕁麻疹(CIndU)は、寒冷蕁麻疹(ColdU)の寒さ又は症候性皮膚描記症(SD)の皮膚の引っ掻きなどのトリガーに応答して、肥満細胞(MC)に促進される膨疹を特徴とする。これらの疾患は、重篤で衰弱する場合が多く、患者の生活に著しく影響を与える可能性がある。MCは、生存、増殖、及び分化のための幹細胞因子によるそれらのKIT受容体の活性化を必要とする。MC負荷は、MCが特異的に分泌するプロテアーゼである循環トリプターゼと相関する。mAb1は、幹細胞因子(SCF)依存的KIT活性化を選択的に阻害するように操作されたモノクローナル抗KIT抗体である(図11を参照されたい)。mAb1は、循環トリプターゼの大幅な用量関連減少を示し、健常ボランティアで全体的に忍容性が良好であった。この試験では、CIndU患者がmAb1での治療の恩恵を受けた。
【0528】
(6.13.2 試験の設計及び方法)
この継続中の非盲検第1b相試験において、抗ヒスタミン薬治療に不応性のColdU患者及びSD患者は、12週間の経過観察と共に、3mg/kgのmAb1の単回IV注入(H1-抗ヒスタミン薬へのアドオン治療として)を受けた。患者の症状は、誘発試験により誘発され、実際の生活で引き起こされる状況に似ていた。主要目的は、mAb1の安全性/忍容性(有害事象及び臨床検査)を評価することであった。副次目的及び探索的目的には、ベースライン誘発閾値からの変化、トリプターゼ及び幹細胞因子のレベル測定、臨床活性結果(蕁麻疹の症状、疾患コントロール、臨床応答への影響)、生活の質の評価及び皮膚生検による組織肥満細胞の測定を含む薬物動態学的評価と薬力学的評価が含まれる。副次目的には、臨床活性及び血清トリプターゼに対するmAb1の影響の評価が含まれる。活動評価項目には、誘発試験(TempTest(登録商標)/ColdU; FricTest(登録商標)/SD)、疾患の重症度の医師の全体評価(Phys-GA)及び患者の全体評価(Pat-GA)が含まれる。誘発試験、バイオマーカー及び血液学についての平均±標準誤差(SE)が、それぞれ図12C~12D、図14A~14C、図15A~15D及び図16A~16Dに示されている。非病変皮膚生検を使用して評価する皮膚MC数を、トリプターゼ染色によって数えた。
【0529】
この試験を、コリン作動性蕁麻疹を有する患者のコホートを追加するために修正した。
【0530】
この試験を、基本的に実施例12で説明される臨床治験プロトコルに従って行った。
【0531】
(6.13.3 試験状況)
20人の患者に、3mg/kgで試験薬(すなわち、mAb1)を一回静脈内注入し、安全性分析に含めた。11人はColdUを有し、9人の患者がSDを有していた。患者は、誘発閾値試験によって評価されるように、疾患活動性が高かった。ColdU患者では、ベースラインの臨界温度閾値は18.9℃/66゜F(範囲:5~27℃/41~80.6゜F)であった。SD患者では、ベースラインのFricTest(登録商標)閾値は、4ピンの3.8(範囲:3~4)であった。
【0532】
19人の患者に全量投与し、活動分析に含めた。19人中14人の患者が12週間の観察期間を完了し;5人は継続中であった。
【0533】
(6.13.4 人口動態とベースラインの疾患の特徴)
20人の患者の特徴については以下の表8を参照されたい。全ての患者は、事前に抗ヒスタミン薬治療を受けていた。
【0534】
表8:人口動態及びベースラインの疾患の特徴
【表8】
【0535】
(6.13.5 試験結果)
図12A~12Dに示されるように、mAb1の単回投与(3mg/kg)は、抗ヒスタミン薬に不応性であるCIndU患者において迅速で、顕著で、かつ持続的な応答をもたらした。完全奏功(CR)は、95%(18/19)患者(ColdUで100%(10/10)(図12A)及びSDで89%(8/9)(図12B)患者)で達成された。完全奏功は、Xolair(登録商標)不応性であった2人を含めて、以前にXolair(登録商標)(オマリズマブ)経験者であった全3人の患者(1人のColdU患者及び2人のSD患者)で観察された。投与後の応答の迅速な開始及び持続的な耐久性が観察された。ColdU及びSDを有するほとんどの患者は、それぞれ1週及び4週までに完全奏功を経験した。CRは、12週間の経過期間を完了したColdU患者で期間中央値77日及びSD患者で期間中央値57日にわたって持続した(すなわち、8人のColdU及び6人のSD患者)(図12C及び12D)。19人中1人の患者(SD患者)が、部分奏功(PR)を経験した。CR=4℃以下での誘発試験が陰性(ColdU用)又は0ピン(SD用)。PR=4℃の改善(ColdU用)又は2ピン以上(SD用)。
【0536】
Phys-GA及びPat-GAによって評価される改善された疾患活動性は、誘発試験によって測定される完全奏功と一致した(ColdU及びSD患者についてそれぞれ図13A及び13B)。
【0537】
図14A及び14Bに示されるように、3mg/kgのmAb1の単回投与は、皮膚MCの迅速で、顕著で、かつ持続的な枯渇(87%枯渇、図14Aを参照されたい)、及び生検で測定される血清トリプターゼの抑制(図14B)をもたらした。MC及びトリプターゼ動態は、経時的に同様の傾向を示した(図14C)。さらに、皮膚MC数は血清トリプターゼレベルと正の相関があった(図14D)。
【0538】
皮膚MC及び血清トリプターゼ枯渇の動態は臨床活性を反映した。特に、皮膚MC及び血清トリプターゼ枯渇の動態は、誘発閾値の減少を反映した(図15A~15D)。データから、血清トリプターゼレベルが、CIndU患者、及び潜在的に、肥満細胞を要因とする病変を伴う他の疾患におけるMC負荷及び臨床活性を評価するためのロバストな薬物動態バイオマーカーであることが確認された。
【0539】
さらに、mAb1は、良好な安全性及び耐容性を示した。mAb1は、一般に、CIndU患者において忍容性が良好であった。最も一般的な有害事象は、毛髪色変化(14/20(70%))、注入反応(9/20(45%))、及び味覚障害(8/20(40%))であった。毛髪色変化(一般に、毛髪の小領域の色が明るくなる)及び味覚障害(一般に、塩味を感じる能力の部分的変化)は、他の細胞型におけるKITシグナル伝達の阻害と一致しており、完全に可逆的であることが期待された。ほとんどの有害事象は軽度であった。毛髪色変化は、より長い観察期間中に改善された。一般に蕁麻疹及び掻痒として現れる注入反応は、自然に治まった。失神歴のある患者に短時間の意識喪失を伴う重篤な注入反応が1回生じたが、血清トリプターゼのモニタリングにより測定されるMC活性化が原因ではなかった。患者はすぐに回復した。味覚障害は、選択的かつ一過性であった。血液学パラメータは、一般に正常範囲内にとどまった(図16A~16Dを参照されたい)。ヘモグロビン及び白血球(WBC)パラメータの軽度で、一過性で、かつ無症候性の減少が認められた(図16A~16Dを参照されたい)。しかし、血液パラメータの臨床的に顕著な減少の証拠はなかった。これは、KIT阻害剤の重要な知見であった。
【0540】
総合して、データから、mAb1が、良好な安全性プロファイルを備えた前例のないMC枯渇を示し、迅速で、持続的で、かつ有意義な軽減のためのCIndU療法として大きな可能性をもたらし、肥満細胞が関与する他の疾患に影響を与える可能性を示し、多くの疾患にわたってMCが関与するかを評価するための機会を開いたことが示される。
【0541】
(6.14 実施例14-mAb1は、慢性誘発性蕁麻疹患者において迅速かつ持続的な臨床応答と生活の質の改善を示した)
(6.14.1 序論及び目的:)
慢性誘発性蕁麻疹 (CIndU)は、寒冷蕁麻疹(ColdU)における冷たさなどの既知のトリガーによる掻痒、膨疹を特徴とする、肥満細胞(MC)促進疾患のグループである。MC表面受容体KITは、MC活性化及び生存に必要である。mAb1は、健常な成人における以前の研究において、MC数のマーカーである循環トリプターゼの大幅な抑制を示したモノクローナル抗KIT抗体である。
【0542】
(6.14.2 材料&方法:)
本実施例は、抗ヒスタミン薬に不応性であるCIndU: ColdU又は症候性皮膚描記症(SD)を有する成人におけるmAb1の非盲検第1相試験(NCT04548869)の中間結果を説明する。患者にmAb1を3mg/kgで単回静脈(IV)注入し、12週間経過観察した。試験薬を服用した19人の患者(ColdU: n=10, SD: n=9)についての安全性の結果は、本明細書で説明され;全量用量を服用した18人の患者についての臨床効果の結果は、本明細書で説明される。疾患活動性を、ColdUについてはTempTest(登録商標)による臨床温度閾値(CTT)及びSDについてはFricTest(登録商標)による臨床摩擦閾値(CFT)によって評価し;完全奏功を誘発試験が陰性として定義した。試験評価には、蕁麻疹コントロールテスト(UCT)及び皮膚科学的ライフクオリティ指標(DLQI)も含まれた。
【0543】
(6.14.3 結果:)
最終評価(2~12週)のように、17/18人の患者が、誘発試験に対する完全奏功を達成した。ColdU患者において、平均CTTはベースラインで18.6℃(範囲:5~27℃)であった。治療後経過観察の中央値の10週で、全9人の患者が、最終評価の時点(4~12週)で完全奏功を達成し、6/9人の患者が2週までに完全奏功を達成した。SD患者において、平均CFTは、ベースラインで3.8(範囲:3~4)であり、治療後経過観察の中央値の7週で、8/9人の患者が最終評価の時点(2~12週)で完全奏功を達成し、3/9人の患者が2週までに完全奏功を達成した。12週目の評価を完了した全7人(6人のColdUと1人のSD)患者は、完全奏功を維持した。誘発閾値の低下は、2週目に大部分の患者で持続的な血清トリプターゼ抑制:ベースライン4.4±1.6ng/mlから検出限界付近又はそれ以下を伴い、8週まで維持された。4週目に、平均UCTスコアはベースライン6(範囲:0~13)から13(10~16)に改善し、14人の患者が12以上のUCT(良好なコントロール)を達成し、そのうち5人が4週までにUCT=16(完全コントロール)を達成した。ベースライン及び4週目のDLQIスコアが15人の患者に利用可能であった。平均DLQIスコアは、ベースライン時の11(レンジ:2~21)から4週目の2(範囲:0~8)に改善し、4週までに8人の患者が0又は1のスコア(疾患が生活の質に影響を与えない)を達成した。最も一般的な有害事象は、11/19人の毛髪色変化、9/19人の注入反応、及び8/19の味覚障害であり、ほとんどの事象が軽度であった。
【0544】
(6.14.4 結論)
3mg/kgのmAb1の単回投与は、迅速かつ持続的な臨床応答及びトリプターゼ抑制、生活の質の改善を示し、全体として忍容性が良好であった。これらのデータは、CIndUの管理のための潜在的な治療アプローチとしてのKIT促進MC抑制を支持する。
【0545】
(6.15 実施例15-mAb1は慢性誘発性蕁麻疹患者において迅速かつ持続的な臨床応答と生活の質の改善を示した)
(6.15.1 試験の背景と要約)
慢性誘発性蕁麻疹(CIndU)は、寒冷蕁麻疹(ColdU)における冷たさによって引き起こされる掻痒及び膨疹、又は症候性皮膚描記症(SD)における皮膚の引っ掻きを特徴とする肥満細胞(MC)促進疾患である。幹細胞因子によるKIT受容体の活性化は、MCの生存、増殖、及び分化に必須である。mAb1は、幹細胞因子(SCF)依存的KIT活性化を選択的に阻害するように操作されたモノクローナル抗KIT抗体である(図11を参照されたい)。健常ボランティアでは、mAb1は、MC負荷のバイオマーカーである循環トリプターゼの顕著な用量依存的低下を誘導し、全体的に忍容性が良好であった。実施例13に記載されているように、mAb1(3mg/kg)の単回投与は、一般に忍容性が良好であり、抗ヒスタミン不応性CIndU(ColdU及びSD)患者において迅速かつ持続的な完全奏功(誘発試験が陰性)をもたらした。この実施例15には、同じ試験から得られた追加のデータが記載されている。この実施例15で提示されるデータは、これらの患者の蕁麻疹コントロール及び生活の質(QoL)に対するmAb1の効果を示している。
【0546】
(6.15.2 試験の設計及び方法)
この継続中の非盲検第1b相試験では、抗ヒスタミン薬治療に不応性のColdU患者及びSD患者は、12週間の経過観察と共に3mg/kgのmAb1の単回IV注入を受けた。主要目的は、mAb1の安全性/耐容性(有害事象及び臨床検査)を評価することであった。副次目的には、臨床効果及び血清トリプターゼに対するmAb1の効果の評価が含まれた。臨床効果評価には、誘発試験(TempTest(登録商標)/ColdU; FricTest(登録商標)/SD)、蕁麻疹コントロールテスト(UCT)及び皮膚科学的ライフクオリティ指標(DLQI)が含まれた。
【0547】
この試験を、基本的に実施例12で説明される臨床治験プロトコルに従って行った。
【0548】
(6.15.3 試験状況)
21人の患者に、3mg/kgで試験薬(すなわち、mAb1)を一回静脈内注入し、安全性分析に含めた。11人はColdUを有し、10人の患者がSDを有していた。
【0549】
20人の患者に試験薬を全量投与し、UCT、DLQI、及び誘発試験データに含めた。
【0550】
21人中20人の患者が12週間の観察期間を完了し;1人は継続中であった。
【0551】
(6.15.4 人口動態とベースラインの特徴)
21人の患者の特徴については以下の表9を参照されたい。全ての患者は、事前に抗ヒスタミン薬治療を受けていた。
【0552】
表9:人口動態及びベースラインの特徴
【表9】
【0553】
(6.15.5 試験結果)
実施例13に記載されているように、抗ヒスタミン薬に不応性であるCIndU患者において、mAb1の単回投与(3mg/kg)は、100%の患者において迅速で、顕著で、かつ持続的な応答をもたらし、95%が完全奏功を達成した。
【0554】
誘発試験に対するこの顕著な応答は、蕁麻疹コントロール及び生活の質の著しい改善も伴った。3mg/kgのmAb1の単回投与は、ColdU及びSD患者における蕁麻疹コントロールに迅速かつ持続的な改善をもたらした(図17A、17B、18A及び18B)。UCTスコアの迅速な改善は、4週間以内に認められ、12週まで持続した(図17A、17B、18A及び18B)。80%及び100%の患者が、それぞれ、4週及び8週までに「十分にコントロールされた」状態(UCT≧12)を達成した(図18A)。63%の患者が、8週までに「完全なコントロール」状態(UCT=16)を達成した(図18B)。
【0555】
mAb1はまた、ColdU患者及びSD患者の生活の質に対する疾患の影響を大幅に低下させた(図19A及び19B)。93%及び92%の患者が、それぞれ4週及び8週までにDLQIにおいて4ポイント以上の低下(臨床的に重要な最小限の差異(MCID))を達成した(図20A)。58%及び68%の患者が、それぞれ4週及び8週までに0~1のDLQIスコア(疾患が生活の質に影響を与えない)を達成した(図20B)。
【0556】
さらに、上記のように、誘発試験における迅速で耐久性のある改善が、95%の完全奏功で達成された(図21A)。迅速で、耐久性があり、顕著なトリプターゼの低下も達成された(図21B)。誘発反応における迅速で耐久性のある改善はトリプターゼの低下を反映した(図21A及び21B)。
【0557】
mAb1は、一般に、CIndU(ColdU及びSD)患者において忍容性が良好であった。最も一般的な有害事象は、毛髪色変化(15/21(71%))、注入反応(9/21(43%))、及び味覚障害(8/21(38%))であった。毛髪色変化及び味覚障害は、他の細胞型におけるKITシグナル伝達の阻害と一致しており、完全に可逆的であることが期待された。ほとんどの有害事象は軽度であった。毛髪色変化は、より長い観察期間中に改善された。注入反応は、ほとんど軽度であり、一般に、蕁麻疹及び掻痒として現れ、自然に治まった。重篤な注入反応が1回生じたが、MC活性化が原因ではなかった。味覚障害は、選択的かつ一過性であった。血液学パラメータは、一般に正常範囲内にとどまった。ヘモグロビン及び白血球(WBC)パラメータの軽度で、一過性で、かつ無症候性の減少が認められた。しかし、血液パラメータの臨床的に顕著な減少の証拠はなかった。
【0558】
総合して、データから、mAb1が、一般に安全で、忍容性が良好であること、及びCIndU及び他の肥満細胞関連疾患の療法として大きな可能性を有することが示される。
【0559】
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施態様によって範囲を限定されるものではない。実際に、上記のものに加えて、前述の説明及び添付の図面から本発明の様々な変更が当業者には明らかになるであろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0560】
本明細書に引用される全ての参考文献は、あたかも各々の個々の刊行物又は特許又は特許出願が、あらゆる目的のために引用により完全に本明細書中に組み込まれることが具体的かつ個別的に示されるのと同じ程度まで、引用により完全に及びあらゆる目的のために本明細書中に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A-B】
図8C-D】
図8E-F】
図8G
図8H-I】
図8J-K】
図8L-M】
図8N
図9
図10
図11
図12A-B】
図12C-D】
図13
図14A-B】
図14C-D】
図15A-B】
図15C-D】
図16A-B】
図16C-D】
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024504706000001.app
【国際調査報告】