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特表2024-504763エアロゾル生成デバイス加熱構成要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エアロゾル生成デバイス加熱構成要素
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20240125BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240125BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545782
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2022051782
(87)【国際公開番号】W WO2022167292
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】21154733.6
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】ハイマ,ヘルマン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル生成デバイス(10)加熱構成要素が提供される。加熱構成要素は、加熱チャンバ(18)を少なくとも部分的に取り囲むように構成された電磁場発生器(48)を含み、加熱チャンバは、1つ以上のサセプタ(42)を収容するように構成される。電磁場発生器は、複数の一緒に巻かれた螺旋ストランドを含む。複数の螺旋ストランドの各螺旋ストランドは、複数の巻線を含むようにコイル状に巻かれる。複数の螺旋ストランドの第1の螺旋ストランド(72)の巻線(72A)は、第1のサイズのものであり、及び複数の螺旋ストランドの第2の螺旋ストランド(74)の巻線(74B)は、第2のサイズのものであり、第1のサイズ及び第2のサイズは、異なるサイズである。
【選択図】図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成デバイス加熱構成要素であって、加熱チャンバを少なくとも部分的に取り囲むように構成された電磁場発生器を含み、前記加熱チャンバは、前記電磁場発生器によって加熱可能な1つ以上のサセプタを収容するように構成され、及び前記電磁場発生器は、複数の一緒に巻かれた螺旋ストランドを含み、
前記複数の螺旋ストランドの各螺旋ストランドは、複数の巻線を含むようにコイル状に巻かれ、及び
前記複数の螺旋ストランドの第1の螺旋ストランドの前記巻線は、第1のサイズのものであり、及び前記複数の螺旋ストランドの第2の螺旋ストランドの前記巻線は、第2のサイズのものであり、前記第1のサイズ及び前記第2のサイズは、異なるサイズである、エアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項2】
前記螺旋ストランドは、前記第1の螺旋ストランドの前記巻線が少なくとも部分的に前記電磁場発生器の軸方向長さに沿って前記第2の螺旋ストランドの前記巻線と交互になるように交互配置される、請求項1に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項3】
前記複数の螺旋ストランドは、第3の螺旋ストランドを更に含み、及び前記螺旋ストランドは、前記第1、第2及び第3の螺旋ストランドの前記巻線が少なくとも部分的に前記電磁場発生器の前記軸方向長さに沿って互いに交互になるように交互配置され、前記第3の螺旋ストランドの前記巻線は、前記第1の螺旋スタンド及び前記第2の螺旋ストランドの一方の前記巻線と同じサイズであるか、又は前記第1の螺旋ストランド及び前記第2の螺旋ストランドの両方の前記巻線と異なるサイズである、請求項2に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項4】
前記第1の螺旋ストランドの前記巻線は、前記第2の螺旋ストランドの前記巻線よりも小さい直径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項5】
各螺旋ストランドの前記複数の巻線は、実質的に円形である、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項6】
各螺旋ストランドの前記複数の巻線は、実質的に三角形である、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項7】
前記電磁場発生器は、前記加熱チャンバ内に配置された前記1つ以上のサセプタを加熱するように構成された誘導コイルである、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項8】
前記誘導コイルの内側にあり、且つ前記誘導コイルと前記1つ以上のサセプタとの間にあるように構成された温度分離層を更に含み、前記温度分離層は、前記誘導コイルによって発生される磁場に対して透過性であり、且つ前記1つ以上のサセプタから前記誘導コイルへの熱流を阻止するように配置される、請求項7に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項9】
前記温度分離層は、熱ダイオード又は熱反射体の少なくとも1つである、請求項8に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項10】
前記第1の螺旋ストランドの前記巻線は、前記第2の螺旋ストランドの前記巻線よりも前記1つ以上のサセプタに接近しているように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項11】
各螺旋ストランドは、前記螺旋ストランドの各々に選択的に電力供給するように構成されたコントローラに別々に接続可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項12】
各螺旋ストランドは、1つ以上のワイヤであって、前記1つ以上のワイヤをAC電流が通過するときに電磁場を発生させるように構成された1つ以上のワイヤから形成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項13】
各螺旋ストランドは、複数の隣接するワイヤから形成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の加熱構成要素と、エアロゾル生成物品を受け入れるように構成された加熱チャンバとを含むエアロゾル生成デバイス。
【請求項15】
前記加熱チャンバ内に配置された1つ以上のサセプタを更に含む、請求項14に記載のエアロゾル生成デバイス。
【請求項16】
前記電磁場発生器は、前記1つ以上のサセプタを誘導加熱して、前記加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル生成物品を燃焼させることなく加熱するように構成される、請求項15に記載のエアロゾル生成デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成デバイスに関し、より具体的には、エアロゾル生成デバイスのための誘導加熱に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及び他のエアロゾル吸入器又は気化デバイスなどのエアロゾル生成デバイスは、一層人気のある消費者向け製品になっている。
【0003】
気化又はエアロゾル化のための加熱デバイスが当技術分野で知られている。このようなデバイスは、典型的には、加熱チャンバ及びヒータを含む。動作時、操作者は、エアロゾル化又は気化させるための製品を加熱チャンバ内に挿入する。製品は、次いで、電子ヒータによって加熱されて、操作者が吸入するように製品の成分を気化させる。いくつかの例では、製品は、従来の紙巻きタバコに似たタバコ製品である。このようなデバイスは、製品が、燃焼されることなく、エアロゾル化する点まで加熱される点で「加熱非燃焼式」デバイスと呼ばれることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知のエアロゾル生成デバイスが直面する課題として、加熱の制御及びエネルギーの有効使用が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、エアロゾル生成デバイス加熱構成要素が提供され、加熱構成要素は、加熱チャンバを少なくとも部分的に取り囲むように構成された電磁場発生器を含み、加熱チャンバは、電磁場発生器によって加熱可能な1つ以上のサセプタを収容するように構成され、及び電磁場発生器は、複数の一緒に巻かれた螺旋ストランドを含み、複数の螺旋ストランドの各螺旋ストランドは、複数の巻線を含むようにコイル状に巻かれ、及び複数の螺旋ストランドの第1の螺旋ストランドの巻線は、第1のサイズのものであり、及び複数の螺旋ストランドの第2の螺旋ストランドの巻線は、第2のサイズのものであり、第1のサイズ及び第2のサイズは、異なるサイズである。
【0006】
このように、第1の螺旋ストランドのより小さい巻線は、第2の螺旋ストランドのより大きい巻線よりも誘導コイルの軸中心に接近している。したがって、誘導コイルが加熱チャンバを取り囲み、加熱チャンバ内にサセプタがある場合、第1の螺旋ストランドの巻線は、第2の螺旋ストランドの巻線よりもサセプタに接近している。第1の螺旋ストランドは、サセプタに接近しているため、螺旋ストランドに供給される所与の電力量に対して、第2の螺旋ストランドよりも大きい程度にサセプタを加熱することが可能である。
【0007】
好ましくは、螺旋ストランドは、第1の螺旋ストランドの巻線が少なくとも部分的に電磁場発生器の軸方向長さに沿って第2の螺旋ストランドの巻線と交互になるように交互配置される。
【0008】
このように、異なるサイズを有する巻線の均一な分布が誘導コイルの長さ沿って提供され、したがって第1の螺旋ストランド及び第2の螺旋ストランドがそれぞれサセプタの同じ領域に誘導加熱を提供して、全体的に均一な加熱を提供することが可能になる。
【0009】
好ましくは、複数の螺旋ストランドは、第3の螺旋ストランドを更に含み、及び螺旋ストランドは、第1、第2及び第3の螺旋ストランドの巻線が少なくとも部分的に電磁場発生器の軸方向長さに沿って互いに交互になるように交互配置され、第3の螺旋ストランドの巻線は、第1の螺旋スタンド及び第2の螺旋ストランドの一方の巻線と同じサイズであるか、又はその巻線と異なるサイズである。
【0010】
好ましくは、複数の螺旋ストランドは、各螺旋ストランドの巻線が少なくとも部分的に電磁場発生器の軸方向長さに沿って互いに交互になるように交互配置される。
【0011】
好ましくは、第1の螺旋ストランドの巻線は、第2の螺旋ストランドの巻線よりも小さい直径を有する。
【0012】
好ましくは、各螺旋ストランドの複数の巻線は、実質的に円形である。
【0013】
好ましくは、各螺旋ストランドの複数の巻線は、実質的に三角形である。
【0014】
このように、1つ以上のサセプタを実質的に三角形巻線の角に配置することができ、より高い磁束をサセプタに付与することができる。
【0015】
好ましくは、電磁場発生器は、加熱チャンバ内に配置された1つ以上のサセプタを加熱するように構成された誘導コイルである。
【0016】
好ましくは、エアロゾル生成デバイス加熱構成要素は、誘導コイルの内側にあり、且つ誘導コイルと1つ以上のサセプタとの間にあるように構成された温度分離層を更に含み、温度分離層は、誘導コイルによって発生される磁場に対して透過性であり、且つ1つ以上のサセプタから誘導コイルへの熱流を阻止するように配置される。
【0017】
温度分離層は、1つ以上のサセプタから誘導コイルへの熱流を阻止する。サセプタが誘導コイルにより接近して配置されるほど、誘導コイルからサセプタへのエネルギー伝達量が改善されるため、サセプタの加熱は、より大きくなる。しかしながら、サセプタと誘導コイルとが互いに近すぎると、サセプタも誘導コイルを加熱することになり、誘導コイルの温度の上昇がその効率を低下させる可能性がある。これは、サセプタがコイルにより接近していると、サセプタを加熱するためにより効率的であるが、サセプタが近すぎると、コイルの効率が低下する点でコイル/サセプタのパラドックスを提示する。温度分離層は、誘導コイルによって発生される磁場がコイルからサセプタに伝達されてサセプタを誘導により加熱する一方、サセプタからの熱が再びコイルに伝達されることを阻止することを可能にすることにより、この問題に対処する。これは、誘導コイルの効率を改善し、それによりエアロゾル生成デバイスの効率が改善される。温度分離層は、発生した熱を加熱チャンバに閉じ込めることにより、エアロゾル生成デバイスを介した熱伝達も阻止する。これにより、エアロゾル生成物品の加熱の効率が改善され、デバイスがユーザの手の中で不必要に加熱されることが阻止される。
【0018】
好ましくは、温度分離層は、熱ダイオード又は熱反射体の少なくとも1つである。
【0019】
好ましくは、第1の螺旋ストランドの巻線は、第2の螺旋ストランドの巻線よりも1つ以上のサセプタに接近しているように構成される。
【0020】
好ましくは、各螺旋ストランドは、螺旋ストランドのそれぞれに選択的に電力供給するように構成されたコントローラに別々に接続可能である。
【0021】
このように、誘導コイルが起動されると、第1の螺旋ストランド及び第2の螺旋ストランドの一方又は両方が電力供給され得る。第1の螺旋ストランドの巻線が第2の螺旋スタンドの巻線よりも小さい場合、第1の螺旋ストランドの巻線は、サセプタにより接近しており、螺旋ストランドに供給される所与の電力量に対して、第1の螺旋ストランドは、第2の螺旋ストランドよりも大きい程度にサセプタを加熱する。したがって、螺旋ストランドの選択的な起動により、可変加熱の適用が可能になる。すなわち、第1の螺旋ストランドのみに電力供給すると、サセプタは、誘導によって第1の温度まで加熱される。第2の螺旋ストランドのみに電力供給すると、サセプタは、誘導により、第1の温度よりも低い第2の温度まで加熱される。第1の螺旋ストランド及び第2の螺旋ストランドの両方に同時に電力供給することにより、サセプタを、第1の温度を上回る第3の温度まで加熱することもできる。このように、固定出力レベルで誘導コイルのストランドに電力供給することにより、可変加熱を適用することができる。
【0022】
好ましくは、各螺旋ストランドは、1つ以上のワイヤであって、1つ以上のワイヤをAC電流が通過するときに電磁場を発生させるように構成された1つ以上のワイヤから形成される。
【0023】
好ましくは、各螺旋ストランドは、複数の隣接するワイヤから形成される。
【0024】
各螺旋ストランドにおける隣接するワイヤの数を増加させることにより、ストランドの表面積が増加し、それにより螺旋ストランドの周囲で発生する磁場が増加する。このように、各螺旋ストランドを複数の隣接するワイヤから形成することにより、誘導のための磁気を最大化することができ、それによりサセプタの加熱が改善される。
【0025】
第2の態様によれば、第1の態様の加熱構成要素と、エアロゾル生成物品を受け入れるように構成された加熱チャンバとを含むエアロゾル生成デバイスが提供される。
【0026】
好ましくは、エアロゾル生成デバイスは、加熱チャンバ内に配置された1つ以上のサセプタを更に含む。
【0027】
好ましくは、電磁場発生器は、1つ以上のサセプタを誘導加熱して、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル生成物品を燃焼させることなく加熱するように構成される。
【0028】
第3の態様によれば、エアロゾル生成デバイス加熱構成要素が提供され、加熱構成要素は、加熱チャンバを少なくとも部分的に取り囲むように構成された電磁場発生器を含み、加熱チャンバは、電磁場発生器によって加熱可能な1つ以上のサセプタを収容するように構成され、及び電磁場発生器は、複数の一緒に巻かれた螺旋ストランドを含み、複数の螺旋ストランドの各螺旋ストランドは、複数の巻線を含むようにコイル状に巻かれる。
【0029】
好ましくは、複数の螺旋ストランドは、各螺旋ストランドの巻線が少なくとも部分的に電磁場発生器の軸方向長さに沿って互いに交互になるように交互配置される。
【0030】
好ましくは、複数の螺旋ストランドの第1の螺旋ストランドの巻線は、第1のサイズのものであり、及び複数の螺旋ストランドの第2の螺旋ストランドの巻線は、第2のサイズのものであり、第1のサイズ及び第2のサイズは、異なるサイズである。
【0031】
好ましくは、第3の態様のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素は、第1の態様のエアロゾル生成デバイス加熱構成要素の好ましい特徴の1つ以上を含む。
【0032】
第4の態様によれば、第3の態様の加熱構成要素と、エアロゾル生成物品を受け入れるように構成された加熱チャンバとを含むエアロゾル生成デバイスが提供される。
【0033】
好ましくは、エアロゾル生成デバイスは、加熱チャンバ内に配置された1つ以上のサセプタを更に含む。
【0034】
好ましくは、電磁場発生器は、1つ以上のサセプタを誘導加熱して、加熱チャンバ内に受け入れられたエアロゾル生成物品を燃焼させることなく加熱するように構成される。
【0035】
ここで、図面を参照して例として本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】エアロゾル生成デバイスと、エアロゾル生成デバイスの加熱チャンバ内に配置される準備ができているエアロゾル生成物品とを含むエアロゾル生成システムの断面図である。
図2】エアロゾル生成物品がエアロゾル生成デバイスの加熱チャンバ内に配置された状態を示す、図1のエアロゾル生成システムの概略断面図である。
図3】加熱チャンバの内面に取り付けられた複数の誘導加熱可能サセプタの1つと、コイル支持構造とを示す、図1及び図2のエアロゾル生成デバイスの加熱チャンバの詳細な概略斜視図である。
図4図3に示す加熱チャンバの端部からの概略断面図であり、加熱チャンバの周辺の周囲に間隔を空けて配置された複数の誘導加熱可能サセプタが示される。
図5図3及び図4の誘導加熱可能サセプタの詳細を示す概略図である。
図6図5と類似の概略図であり、代替的な幾何学的形状を有する誘導加熱可能サセプタを示す。
図7】誘導コイルの斜視図である。
図8】誘導コイルの斜視図である。
図9A】誘導コイルの断面図である。
図9B】誘導コイルの斜視図である。
図10A】開いた第1の端部から基部に向かって加熱チャンバ内に向かう方向に見た図を示す。
図10B図10Aの加熱チャンバの変形形態である、開いた第1の端部から基部に向かって加熱チャンバ内に向かう方向に見た図を示す。
図11図10Aの加熱チャンバ及び誘導コイル支持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
最初に図1及び図2を参照すると、エアロゾル生成システム1の例が概略的に示される。エアロゾル生成システム1は、(エアロゾル発生デバイス10とも称される)エアロゾル生成デバイス10と、そのデバイス10と共に使用するエアロゾル生成物品100とを含む。
【0038】
エアロゾル生成物品100は、エアロゾル生成基材102(例えば、タバコ)を含む。エアロゾル生成デバイス10は、エアロゾル生成物品102を燃焼させることなく加熱して、デバイスのユーザによる吸入のためのエアロゾルをエアロゾル生成物品100から形成するように構成される。
【0039】
エアロゾル生成デバイス10は、エアロゾル生成基材102を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することによりエアロゾル又は蒸気を生成するように構成できる。エアロゾル生成基材102を燃焼させるか又は燃やすことなく、エアロゾル生成基材102をこの範囲内の温度に加熱すると、蒸気が生成され、蒸気は典型的には冷却されて凝縮し、デバイス10のユーザによる吸入のためのエアロゾルが形成される。本開示の目的のため、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために生成される吸入可能媒体の形態に関して交換可能に使用できる。
【0040】
エアロゾル生成デバイス10は、エアロゾル生成デバイス10の様々な構成要素を収容する本体12を含む。本体12は、本明細書で述べられる様々な実施形態に記載される構成要素に嵌合し、ユーザによって補助なしに片手で快適に保持されるようにサイズ設定された任意の形状を有することができる。
【0041】
図1図2の底部側に示すエアロゾル生成デバイス10の第1の端部14は、便宜上、エアロゾル生成デバイス10の遠位側、底部、基部又は下端部として説明される。図1図2の頂部側に示すエアロゾル生成デバイス10の第2の端部16は、エアロゾル生成デバイス10の近位側、頂部又は上端部として説明される。使用中、ユーザは、典型的には、エアロゾル生成デバイス10を、第1の端部14を下向きに及び/又はユーザの口に対して遠位位置にし、且つ第2の端部16を上向きに及び/又はユーザの口に対して近接位置にして方向付ける。
【0042】
エアロゾル生成デバイス10は、本体12内に配置された加熱チャンバ18を含む。加熱チャンバ18は、エアロゾル生成物品100を受け入れるための実質的に円筒形の断面を有する、空洞20の形の内部容積を画定する。加熱チャンバ18は、長手方向を画定する長手方向軸を有し、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの耐熱プラスチック材料で形成される。エアロゾル生成デバイス10は、電源22、例えば充電式であり得る1つ以上のバッテリと、コントローラ24とを更に含む。
【0043】
加熱チャンバ18は、エアロゾル生成デバイス10の第2の端部16に向かって開いている。換言すれば、加熱チャンバ18は、エアロゾル生成デバイス10の第2の端部16の方に、開いた第1の端部26を有する。加熱チャンバ18は、典型的には、本体12への熱伝達を最小限に抑えるために、本体12の内面から間隔を空けて保持される。
【0044】
エアロゾル生成デバイス10は、任意選択で、加熱チャンバ18の開いた第1の端部26を覆って加熱チャンバ18へのアクセスを防止する閉位置(図1を参照)と、加熱チャンバ18の開いた第1の端部26を露出させて加熱チャンバ18へのアクセスを提供する開位置(図2を参照)との間で横方向に移動可能なスライドカバー28を含むことができる。いくつかの実施形態では、スライドカバー28を閉位置に付勢することができる。
【0045】
加熱チャンバ18、具体的には空洞20は、対応する形状の略円筒状又は棒状のエアロゾル生成物品100を受け入れるように配置される。典型的には、エアロゾル生成物品100は、典型的には、予め包装されたエアロゾル生成基材102を含む。エアロゾル生成物品100は、例えばエアロゾル生成基材102としてタバコを含有し得る、使い捨て且つ交換可能な物品(「消耗品」としても知られる)である。このような消耗品は、タバコロッドと呼ばれ得る。エアロゾル生成物品100は、近位端部104(又は口側端部)及び遠位端部106を有する。エアロゾル生成物品100は、エアロゾル生成基材102の下流に配置されたマウスピースセグメント108を更に含む。エアロゾル生成基材102及びマウスピースセグメント108は、ラッパー110(例えば、紙ラッパー)内に同軸に整列して配置されて、構成要素を適所に保持し、従来の紙巻きタバコに類似した棒状のエアロゾル生成物品100を形成する。
【0046】
マウスピースセグメント108は、下流方向に、換言すれば、エアロゾル生成物品100の遠位端部106から近位(口)端部104まで、順次且つ同軸に整列して配置された以下の構成要素(詳細には図示せず)、すなわち冷却セグメント、中心孔セグメント及びフィルタセグメントの1つ以上を含み得る。冷却セグメントは、典型的には、ラッパー110の厚さよりも大きい厚さを有する中空紙管を含む。中心孔セグメントは、セルロースアセテート繊維と可塑剤とを含有する硬化された混合物を含み得、マウスピースセグメント108の強度を高めるように機能する。フィルタセグメントは、典型的には、セルロースアセテート繊維を含み、マウスピースフィルタとして機能する。加熱された蒸気がエアロゾル生成基材102からエアロゾル生成物品100の近位(口)端部104に向かって流れるにつれて、蒸気は、冷却セグメント及び中心孔セグメントを通過するにつれて冷却され凝縮されて、ユーザがフィルタセグメントを通して吸入するのに好適な特性を有するエアロゾルが形成される。
【0047】
加熱チャンバ18は、加熱チャンバ18の第2の端部34に位置する基部32と、開いた第1の端部26との間に延びる側壁(又はチャンバ壁)30を有する。側壁30と基部32とは、互いに接続され、単一部品として一体形成することができる。図示する実施形態では、側壁30は、管状、より具体的には円筒状である。他の実施形態では、側壁30は、楕円形又は多角形の断面を有する管など、他の好適な形状を有することができる。なお更なる実施形態では、側壁30は、テーパ状であり得る。
【0048】
図示する実施形態では、加熱チャンバ18の基部32は、閉じており、例えば密閉されているか又は気密である。すなわち、加熱チャンバ18は、カップ状である。これにより、開いた第1の端部26から引き込まれた空気が基部32によって第2の端部34から流出することが防止され、代わりにエアロゾル生成基材102を通して導かれることを確実にし得る。これにより、ユーザがエアロゾル生成物品100を加熱チャンバ18内に意図した距離まで挿入し、それ以上挿入しないことを確実にすることもできる。
【0049】
加熱チャンバ18の側壁30は、内面36及び外面38を有する。複数のサセプタマウント40が内面36に形成され、内面36の周囲で円周方向に間隔を空けて配置される。エアロゾル生成デバイス10は、サセプタマウント40に取り付けられた複数の誘導加熱可能サセプタ42を含み、したがって、誘導加熱可能サセプタ42は、加熱チャンバ18の周辺44の周囲に円周方向に間隔を空けて配置される。
【0050】
誘導加熱可能サセプタ42は、加熱チャンバ18の長手方向に細長い。各誘導加熱可能サセプタ42は、長さ及び幅を有し、典型的には、長さは幅の少なくとも5倍である。各誘導加熱可能サセプタ42は、側壁30から半径方向に加熱チャンバ18内に延びる内向き延在部分42aを有する。内向き延在部分42aは、図3図5に示すような細長い隆起を含み得るか、又は図6に示すような内向き偏向部分を含み得る。両方の場合において、内向き延在部分42aは、誘導加熱可能サセプタ42の作製中に容易に形成される。内向き延在部分42aは、図3図5及び図6に示す幾何学的形状に限定されず、他の幾何学的形状が完全に本開示の範囲内にあることが当業者により理解されるであろう。
【0051】
内向き延在部分42aは、図4に示すようにエアロゾル生成基材102に向かって延び、それに接触する。内向き延在部分42aは、加熱チャンバ18の有効断面積を減らすのに十分な程度に加熱チャンバ18内に半径方向内向きに延びる。したがって、内向き延在部分42aは、エアロゾル生成基材102との、より具体的にはエアロゾル生成物品100のラッパー110との摩擦嵌めを形成し、エアロゾル生成基材102の圧縮を引き起こす場合がある。エアロゾル生成基材102の圧縮は、例えば、エアギャップを排除することにより、エアロゾル生成基材102を介した熱伝導を改善し、各内向き延在部分42aは、加熱チャンバ18にわたる距離の3%~7%、例えば約5%の距離だけ加熱チャンバ18にわたって内向きに延び得る。
【0052】
エアロゾル生成デバイス10は、電磁場を発生させるための電磁場発生器46を含む。電磁場発生器46は、実質的に螺旋状の誘導コイル48を含む。誘導コイル48は、円形断面を有し、実質的に円筒状の加熱チャンバ18の周囲に螺旋状に延びる。誘導コイル48は、電源22及びコントローラ24により励磁され得る。コントローラ24は、電子部品の中でもとりわけ、電源22からの直流電流を誘導コイル48用の交流高周波電流に変換するように配置されるインバータを含む。誘導コイル48及びサセプタ42は、エアロゾル生成デバイス10の加熱構成要素の全体を形成する加熱構成要素である。
【0053】
図7図8図9A及び図9Bは、例示的な誘導コイル48(48-1、48-2、48-3)の斜視図を示す。誘導コイル48は、複数の螺旋ストランドを含む。各螺旋ストランドは、コイル状に巻かれて複数のループ(巻線とも称される)を構成する。これらループ又は巻線は、コイルを巻いたものである。複数の螺旋ストランドは、各螺旋ストランドのループ又は巻線が他の螺旋ストランドのループに挟まれるように一緒に巻かれて誘導コイル48が形成される。すなわち、各ストランドのループ又は巻線は、少なくとも部分的に誘導コイル48の軸方向長さに沿って互いに交互になる。
【0054】
図7の実施例では、誘導コイル48-1は、2つの螺旋ストランド、すなわち第1の螺旋ストランド62及び第2の螺旋ストランド64から形成される。2つの螺旋ストランドは、第1の螺旋ストランド62のループ62Aが誘導コイル48-1の軸方向長さに沿って第2の螺旋ストランド64のループ64Bと交互になるように一緒に巻かれる。すなわち、ループは、A-B-A-B-A-Bの方式で交互になり、Aは、第1の螺旋ストランド62のループ62Aに対応し、Bは、第2の螺旋ストランド64のループ64Bに対応する。
【0055】
図8の実施例では、誘導コイル48-2は、3つの螺旋ストランド、すなわち第1の螺旋ストランド82、第2の螺旋ストランド84及び第3の螺旋ストランド86から形成される。3つの螺旋ストランドは、第1の螺旋ストランド82のループ82A、第2の螺旋ストランド84のループ84B及び第3の螺旋ストランド86のループ86Cが誘導コイル48-2の軸方向長さに沿って互いに交互になるように一緒に巻かれる。すなわち、ループは、A-B-C-A-B-C-A-B-Cの方式で交互になり、Aは、第1の螺旋ストランド82のループ82Aに対応し、Bは、第2の螺旋ストランド84のループ84Bに対応し、Cは、第3の螺旋ストランド86のループ86Cに対応する。
【0056】
図7及び図8は、2つの螺旋ストランド及び3つの螺旋ストランドを参照して記載されているが、他の実施例では、誘導コイルは、交互になった巻線を有する任意の好適な数の螺旋ストランドである複数の一緒に巻かれたストランドを含み得ることが理解されるであろう。
【0057】
螺旋ストランドがコントローラ24により選択的に電力供給され得るように、螺旋ストランドの各々がコントローラ24に別々に接続され得る。図7の実施例では、第1の螺旋ストランド62及び第2の螺旋ストランド64は別々に電力供給され得る。このように、誘導コイル48が起動されると、螺旋ストランド62、64の一方又は両方が選択的に電力供給され得る。螺旋ストランドの一方のみに電力供給されると、第1の電流がサセプタ42内で誘起されてサセプタを第1の温度に加熱し、螺旋ストランドの両方に電力供給されると、第2の(より大きい)電流がサセプタ42内で誘起されて、螺旋ストランドの各々に供給される所与の電力レベルに対する第2の(より高い)温度までサセプタ42を加熱し得る。
【0058】
すなわち、より一般的に言うと、複数の螺旋ストランドのそれぞれに別々に電力供給することにより、誘導コイル48が起動されるときに電力供給される螺旋ストランドの数を変化させることにより、サセプタ42を加熱することにより加熱チャンバ18に適用される温度を変化させることができる。これは、加熱チャンバ18の温度を、第1の温度と、異なる第2の温度との間で制御するために有益であり得る。いくつかの実施例では、第2の温度は、より高い温度であり得、そのとき、エアロゾル化セッションの事前加熱フェーズのために、より多くの数の螺旋ストランドが給電され得、第1の温度は、より低い温度であり得、そのとき、エアロゾル化セッションにおける事前加熱フェーズ後のエアロゾル化フェーズにおいて、第2の温度のときよりも少ない螺旋ストランドが給電され得、そのフェーズでは、エアロゾル生成物品は、実質的に安定な温度に加熱されてエアロゾルを発生させる。
【0059】
図7及び図8の実施例では、第1の螺旋ストランド62、82、第2の螺旋ストランド64、84(及び図8の実施例の第3の螺旋ストランド86)の各々の巻線は、実質的に同じサイズである。サイズは、ループの面積、ループの円周、誘導コイル48の軸方向長さに沿った方向に直角をなす断面におけるループの直径又はループの半径の少なくとも1つに対応し得る。
【0060】
図9A及び図9Bは、図7の実施例に対する変化形態を提示する。図9A及び図9Bの実施例では、誘導コイル48-3は、図7におけるように一緒に巻かれた2つの螺旋ストランド72、74から形成される。
【0061】
図9Aは、コイル48-3の軸方向に沿った誘導コイル48-3の断面図を示す。図9Bは、誘導コイル48-3の斜視図を示す。図9A及び図9Bの実施例では、第1の螺旋ストランド72における巻線又はループ72Aは、第1の直径d1(又は第1のサイズ)を有し、第2の螺旋ストランド74における巻線又はループ74Bは、第2の直径d2(又は第2のサイズ)を有する。第1の直径(又は第1のサイズ)及び第2の直径(又は第2のサイズ)は異なる。例えば、第2の直径d2は、第1の直径d1よりも大きい場合がある。他の実施例では、第2の直径(又は第2のサイズ)は、第1の直径(又は第1のサイズ)よりも小さい場合がある。
【0062】
第1の螺旋ストランド72のより小さい巻線72Aは、第2の螺旋ストランド74のより大きい巻線74Bよりも誘導コイル48-3の軸中心に接近している。したがって、加熱チャンバ18内にサセプタ42があり、誘導コイル48-3が加熱チャンバ18を取り囲む場合、第1の螺旋ストランド72の巻線72Aは、第2の螺旋ストランド74の巻線74Bよりもサセプタ42に接近している。第1の螺旋ストランド72は、サセプタ42により接近しているため、螺旋ストランド72、74に供給される所与の電力量に対して、第2の螺旋ストランド74よりも大きい程度にサセプタ42を加熱することが可能である。
【0063】
第1の螺旋ストランド72及び第2の螺旋ストランド72が一緒に巻かれることにより、巻線は、少なくとも部分的に誘導コイル48-3の長さに沿って、第1の螺旋ストランド72のより小さいループ72Aと第2の螺旋ストランド74のより大きいループ74Bとの間で交互になる。これは、より小さい巻線72A及びより大きい巻線74Bの、誘導コイル48-3の長さに沿った均一な分布を可能にし、したがって、第1の螺旋ストランド72及び第2の螺旋ストランド78がそれぞれサセプタ42の同じ領域に誘導加熱を提供して、全体的に均一な加熱を提供することが可能になる。
【0064】
第1の螺旋ストランド72及び第2の螺旋ストランド74は、別々にコントローラ24に接続することができ、したがって、コントローラ24により選択的に電力供給される。このように、誘導コイル48-3が起動されると、螺旋ストランド72、74の一方又は両方が電力供給され得る。第1の螺旋ストランド72のより小さい巻線72Aがサセプタ42により接近しており、螺旋ストランドに供給される所与の電力量に対して、第1の螺旋ストランド72が第2の螺旋ストランド74よりも大きい程度にサセプタ72を加熱するため、螺旋ストランドを選択的に起動させることで可変加熱の適用が可能になる。すなわち、第1の螺旋ストランド72のみに電力供給すると、サセプタ42は、誘導により第1の温度まで加熱される。第2の螺旋ストランド74のみに電力供給すると、サセプタ42は、誘導により、第1の温度よりも低い第2の温度まで加熱される。このように、固定出力レベルで誘導コイルのストランドに電力供給することにより、可変加熱を適用することができる。いくつかの実施例では、第1の温度は、エアロゾル生成デバイスにより実施される、エアロゾル化セッションの事前加熱フェーズのために使用でき、第2の温度は、エアロゾル生成デバイスにより実施される、エアロゾル化セッションのエアロゾル化フェーズのために使用できる。
【0065】
第1の螺旋ストランド72及び第2の螺旋ストランド74の両方に同時に電力供給することにより、サセプタ42を、第1の温度を上回る第3の温度まで加熱することもできる。
【0066】
図9A及び図9Bの誘導コイル48-3に対する修正形態では、誘導コイルを複数の一緒に巻かれた螺旋ストランドから形成され得、各螺旋ストランドは、他の螺旋ストランドと異なるサイズの巻線を有し、その結果、異なるサイズを有する巻線は、実質的に誘導コイルの軸方向長さに沿って交互になる。別の修正形態では、第1の螺旋ストランドは、第1のサイズの巻線を有することができ、第2の螺旋ストランドは、第1のサイズと異なる第2のサイズの巻線を有することができる。
【0067】
図7図8図9A及び図9Bの実施例では、巻線又はループは、実質的に円形である。すなわち、ループは、誘導コイルの軸方向に対して直角をなす断面において実質的に円形である。したがって、誘導コイルの形状は、誘導コイルがコイル支持溝52内に嵌まって加熱チャンバ18を実質的に取り囲むように、図1図4に示すコイル支持構造50及びその中のコイル支持溝52の形状に対応する。
【0068】
図1図4に戻ると、加熱チャンバ18の側壁30は、外面38に形成されたコイル支持構造50を含むことが分かる。図示した実施例では、コイル支持構造50は、外面38の周囲で螺旋状に延びるコイル支持溝52を含む。誘導コイル48は、コイル支持溝52内に配置され、したがって誘導加熱可能サセプタ42に対して確実に且つ最適に配置される。コイル支持溝52は、加熱チャンバ18を円形に取り囲むことができる。すなわち、コイル支持溝52の螺旋形巻線は、加熱チャンバ18の軸方向に対して直角をなす断面内で円形である。このように、実質的に円形の巻線を有する誘導コイル48は、コイル支持溝52に収容される。
【0069】
図9A及び図9Bを参照して記載される誘導コイル48-3を収容するために、コイル支持構造50におけるコイル支持溝52は、より大きい巻線74Bを収容する溝よりも小さい巻線72Aを収容する溝が深くなるように、第1の螺旋ストランド72及び第2の螺旋ストランド74の異なるサイズを有する巻線72A、74Bが収容されるように寸法設定され得る。
【0070】
図7図8図9A及び図9Bを参照して記載される巻線又はループは、実質的に円形である代わりに、異なる形状であり得る。図10A及び図10Bは、巻線の形状が実質的に三角形である誘導コイルのために構成された加熱チャンバの実施例を示す。すなわち、誘導コイルのストランドの螺旋形巻線は、誘導コイルの軸方向に対して直角をなす断面内で三角形である。図7図8図9A及び図9Bを参照して記載される誘導コイルの他の特徴(例えば、同じ又は異なるサイズのループを有する、複数の一緒に巻かれたストランド)を、そのような実施例に組み込むことができることが理解されるであろう。好都合にも、三角形巻線は、1つ以上のサセプタが実質的に三角形巻線の角に配置されることを可能にすることができ、より高い磁束をサセプタに付与することができる。
【0071】
図10Aでは、誘導コイルが実質的に三角形の巻線又はループを有する螺旋ストランドを有する実施例について、開いた第1の端部26から基部32に向かって加熱チャンバ18内に入る方向の図が提示される。実施例では、誘導コイル48と共に使用するサセプタ42は、加熱チャンバ18内に嵌合し、実施例では、サセプタは、3つのサセプタプレート42がサセプタ42の全体を形成したものと考えることができる。サセプタプレート42は、基部32によって互いに連結され、基部は、加熱チャンバ18の実質的な半径方向中心から外向きに延びてサセプタプレート42を接続する3スポーク形状で形成される。加熱チャンバ18は、エアロゾル生成物品が受け入れられる円形開口部を有する。
【0072】
コイル支持構造50は、形状が三角形であり、(図11に提示するような)対応する三角形のコイル支持溝52を有する。このように、誘導コイルの実質的に三角形のループ又は巻線を実質的に三角形の支持溝内に収容できる。支持溝及びコイル巻線の両方の三角形の角は、尖っている場合があるか、又は図10A及び図11におけるように湾曲している場合がある。三角形の湾曲した角により、サセプタが三角形の巻線の角により密接して嵌合することが可能になる。
【0073】
図11は、図10Aの加熱チャンバ18及び誘導コイル支持体50の斜視図を示す。明確にするため、誘導コイル自体は示されないが、誘導コイルがコイル支持溝52内に収容されることが理解されるであろう。
【0074】
図10Bは、図10Aの加熱チャンバ18の変形形態を示す。図10Bの加熱チャンバは、図10Aの加熱チャンバに対応するが、円形開口部の代わりに三角形開口部のみを有する。このように、開口部の形状は、螺旋状インダクタコイルのループの三角形に対応する。
【0075】
図10A図10B及び図11の実施例では、加熱チャンバ18は、3つのサセプタプレート42が実質的に三角形巻線の角に配置されるように構成され得る。
【0076】
三角形巻線を有する誘導コイル48は、円形巻線を三角形巻線に置き換えるのみで、図7図8及び図9を参照して説明した特徴の全てを含むことができる。三角形コイルが複数のストランドを含む実施例では、各ストランドの三角形巻線は、他のストランドの三角形巻線と同じサイズであるか又は異なるサイズであるかのいずれかであり得る。例えば、誘導コイルは、第2の螺旋ストランドと一緒に巻かれた第1の螺旋ストランドを含み得、これらは、それぞれ三角形巻線を有する。第1の螺旋ストランドの三角形巻線は、第1のサイズのものであり得、及び第2のストランドの三角形巻線は、第1のサイズと異なる第2のサイズのものであり得る。このように、誘導コイルは、図9A及び図9Bを参照して説明した誘導コイルと同様に、その軸方向長さに沿って交互にサイズ設定された三角形巻線を含み得る。三角形のサイズは、その周辺長、その面積又はその高さ(三角形の辺から始まり対頂角に交差する垂直ライン部分の長さ)によって定義され得る。
【0077】
記載される実施例では、誘導コイル48により発生する磁場に対して透過性を有する温度分離層、例えば熱ダイオード又は熱反射体は、誘導コイル48の内側で誘導コイル48と1つ以上のサセプタ42との間に配置され得る。温度分離層は、1つ以上のサセプタ42から誘導コイル48への熱流を阻止する。サセプタ42が誘導コイル48により接近して配置されるほど、誘導コイル48からサセプタ42へのエネルギー伝達量が改善されるため、サセプタの加熱は、より大きくなる。しかしながら、サセプタ42と誘導コイル48とが互いに近すぎると、サセプタ42も誘導コイル48を加熱することになり、コイルの温度の上昇がその効率を低下させることになる。これは、サセプタ42が誘導コイル48により接近していると、サセプタ42を加熱するためにより効率的であるが、サセプタ42が近すぎると、自己加熱されるため、誘導コイル48の効率が低下する点でコイル/サセプタのパラドックスを提示する。温度分離層は、誘導コイル48により発生する磁場が誘導コイル48からサセプタ42に伝達されてサセプタ42を誘導により加熱する一方、サセプタ42からの熱が再び誘導コイル48に伝達されることを阻止することを可能にすることにより、この問題に対処する。これは、誘導コイル48の効率を改善し、それによりエアロゾル生成デバイス10の効率が改善される。温度分離層は、発生した熱を加熱チャンバ18に閉じ込めることにより、エアロゾル生成デバイス10を介した熱伝達も阻止する。これにより、エアロゾル生成物品102の加熱の効率が改善され、デバイス10がユーザの手の中で不必要に加熱されることが阻止される。
【0078】
いくつかの実施例では、温度分離層は、加熱チャンバ18の側壁30内で誘導コイル48と1つ以上のサセプタ42との間に配置され得る。他の実施例では、温度分離層は、誘導コイル48と1つ以上のサセプタ42との間に存在するように、加熱チャンバ18の側壁30の内面36に配置され得る。
【0079】
先行する実施例では、誘導コイル48の各螺旋ストランドは、1つ以上のワイヤから形成され得る。例えば、図7及び図8では、螺旋ストランド62、64、82、84、86の各々は、6つの隣接するワイヤから形成される一方、図9A及び図9Bでは、螺旋ストランド72、74は、それぞれ1つのワイヤから形成される。しかしながら、図7図8図9A及び図9Bの誘導コイルの各螺旋ストランドは、単一のワイヤ又は複数の隣接するワイヤから形成され得ることに注意されたい。当業者であれば、ストランド当たりのワイヤの数が純粋に例示であって、任意の好適な数のワイヤを組み合わせて各実施例におけるストランドを形成できることを理解するであろう。
【0080】
先行する実施例のそれぞれにおける誘導コイル48は、サセプタ42の加熱を好適な温度に誘導するように任意の数のループ又は巻線を含み得る。誘導コイル48は、加熱チャンバ18内において、サセプタ42をその軸方向長さに沿って部分的に又は完全に取り囲むことができる。
【0081】
図7図11を参照して説明した特徴のいずれか、例えば誘導コイル48の螺旋ストランドの数、巻線の形状及び巻線のサイズを必要に応じて組み合わせ得ることが容易に理解されるであろう。
【0082】
エアロゾル生成デバイス10を使用するために、ユーザは、図1に示す閉位置から図2に示す開位置にスライドカバー28(存在する場合)を変位させる。次いで、ユーザは、開いた第1の端部26を通してエアロゾル生成物品100を加熱チャンバ18内に挿入し、その結果、エアロゾル生成基材102は、空洞20内に受け入れられ、マウスピースセグメント108の少なくとも一部が、開いた第1の端部36から突出してユーザの唇による係合を可能にする状態で、エアロゾル生成物品100の近位端部104が加熱チャンバ18の開いた第1の端部26に位置決めされる。
【0083】
ユーザがエアロゾル生成デバイス10を起動させると、誘導コイル48は、誘導コイル48に交流電流を供給する電源22及びコントローラ24によって通電され、それにより、誘導コイル48により交流の時間変化する電磁場が発生される。この電磁場は、誘導加熱可能サセプタ42と結合し、サセプタ42内に渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失を発生させ、サセプタ42を発熱させる。次いで、熱は、例えば、伝導、放射及び対流により、誘導加熱可能サセプタ42からエアロゾル生成基材102に伝達される。この結果、エアロゾル生成基材102は燃えること又は燃焼することなく加熱され、それにより蒸気が発生する。生成された蒸気は、冷却され凝縮して、マウスピースセグメント108を通して、より具体的にはフィルタセグメントを通して、エアロゾル生成デバイス10のユーザにより吸入され得るエアロゾルが形成される。エアロゾル生成基材102の気化は、例えば加熱チャンバ18の開いた第1の端部26を通して、周囲環境から空気を追加することにより促進され、空気は、エアロゾル生成物品100のラッパー110と側壁30の内面36との間を流れるにつれて加熱される。より具体的には、ユーザがフィルタセグメントを吸引すると、図2の矢Aで示すように、空気は、開いた第1の端部26を通して加熱チャンバ18内に引き込まれる。加熱チャンバ18に入った空気は、開いた第1の端部26から閉じた第2の端部34に向かってラッパー110と側壁30の内面36との間を流れる。上述したように、内向き延在部分42aは、少なくともエアロゾル生成物品100の外面に接触し、且つ典型的にはエアロゾル生成物品100の少なくともある程度の圧縮を引き起こすのに十分な距離だけ加熱チャンバ18内に延びる。その結果、加熱チャンバ18の円周方向の周囲全体にわたってエアギャップは存在しない。代わりに、加熱チャンバ18の開いた第1の端部26から閉じた第2の端部34に向かって空気が流れる内向き延在部分42a間の円周領域(4つの等間隔に配置されたギャップ領域)に空気流経路が存在する。いくつかの実施例では、4つより多くの又は少ない内向き延在部分42a、したがってギャップ領域により形成された対応する数の空気流経路が内向き延在部分42a間に存在し得る。空気が加熱チャンバ18の閉じた第2の端部34に到達すると、空気は、約180°向きを変え、エアロゾル生成物品100の遠位端部106に入る。次いで、空気は、図2の矢Bで示すように、生成された蒸気と共に、遠位端部106から近位(口)端部104に向かってエアロゾル生成物品100を通して引き込まれる。
【0084】
ユーザは、エアロゾル生成基材102が蒸気を生成し続けることができる間は常に、例えば、好適な蒸気に気化させるための気化可能な成分がエアロゾル生成基材102に残っている間には常に、エアロゾルを吸入し続けることができる。誘導加熱可能サセプタ42の温度、したがってエアロゾル生成基材102の温度が閾値レベルを超えないことを確実にするために、コントローラ24は、誘導コイル48を通過する交流電流の大きさを調整することができる。具体的には、エアロゾル生成基材102の構成に依存する特定の温度において、エアロゾル生成基材102は燃焼し始めることになる。これは望ましい効果ではなく、この温度以上の温度は回避される。
【0085】
これを補助するために、いくつかの実施例では、エアロゾル生成デバイス10に温度センサ(図示せず)が設けられる。いくつかの実施例では、温度センサは、サセプタ42の1つ以上に直接接触するサーミスタであり得る。コントローラ24は、温度センサからエアロゾル生成基材102の温度指標を受信し、その温度指標を使用して、誘導コイル48に供給される交流電流の大きさを制御するように配置される。一実施例では、コントローラ24は、誘導コイル48に第1の大きさの電流を第1の期間にわたって供給して、誘導加熱可能サセプタ42を第1の温度まで加熱し得る。引き続き、コントローラ24は、誘導コイル48に第2の大きさの交流電流を第2の期間にわたって供給して、誘導加熱可能サセプタ42を第2の温度まで加熱し得る。第2の温度は、第1の温度より低くてもよい。引き続き、コントローラ24は、誘導コイル48に第3の大きさの交流電流を第3の期間にわたって供給して、誘導加熱可能サセプタ42を再び第1の温度まで加熱し得る。これは、エアロゾル生成基材102が使い尽くされるまで(すなわち加熱によって発生され得る全ての蒸気が既に発生しているときまで)又はユーザがエアロゾル生成デバイス10の使用を停止するまで続き得る。他のシナリオでは、第1の温度に到達すると、コントローラ24は、誘導コイル48に供給される交流電流の大きさを減らして、エアロゾル化セッションの全体にわたってエアロゾル生成基材102を第1の温度に維持することができる。これは、いくつかの実施例では、事前加熱フェーズと、それに続くエアロゾル化フェーズと考えることができる。
【0086】
ユーザによる1回の吸入は、一般に、「パフ」と呼ばれる。いくつかのシナリオでは、タバコの喫煙経験をエミュレートすることが望ましい。これは、エアロゾル生成デバイス10が、典型的には、10~15回のパフを提供するのに十分なエアロゾル生成基材102を保持することが可能であることを意味する。
【0087】
いくつかの実施形態では、コントローラ24は、パフを計数し、ユーザが10~15回のパフを行った後に誘導コイル48への供給電流を遮断するように構成される。パフの計数は、様々な異なる方法で実施することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ24は、パフ中に温度がいつ低下したかを決定する。これは、新鮮な冷気が温度センサ(図示せず)を通過して流れるにつれて冷却が引き起こされ、これが温度センサによって検出されることによる。他の実施形態では、空気流は、流れ検出器を使用して直接検出される。他の好適な方法が当業者に明らかとなるであろう。他の実施形態では、コントローラ24は、加えて又は代わりに、最初のパフから所定の時間が経過した後に、誘導コイル48への電流の供給を遮断する。これは、消費電力を低減させることと、所定の数のパフが行われたことをパフカウンタが正しく登録できなかった場合にエアロゾル生成デバイス10のスイッチを切るためのバックアップを提供することとの両方に役立つ。
【0088】
いくつかの実施例では、コントローラ24は、完了するのに所定の時間が掛かる所定の加熱サイクルに従うように、誘導コイル48に交流電流を供給するように構成される。サイクルが完了すると、コントローラ24は、誘導コイル48への電流の供給を中断する。場合により、このサイクルは、コントローラ24と温度センサ(図示せず)との間のフィードバックループを利用し得る。例えば、加熱サイクルは、誘導加熱可能サセプタ42(又はより具体的には温度センサ)が加熱又は冷却される一連の温度によってパラメータ化され得る。そのような加熱サイクルの温度及び持続時間は、エアロゾル生成基材102の温度を最適化するように経験的に決定することができる。例えば、基材の外層がコアと異なる温度である場合、エアロゾル生成基材102の温度の直接測定は、非現実的であるか又は誤解を招く可能性があるため、これは、必要であり得る。
【0089】
電源22は、少なくとも、単一のエアロゾル生成物品100中のエアロゾル生成基材102を第1の温度まで上昇させ、それを第1の温度に維持して、少なくとも10~15回のパフに十分な蒸気を供給するのに十分である。より一般的には、喫煙の経験をエミュレートすることに即して、電源22は通常、このサイクルを10回又は更には20回繰り返す(エアロゾル生成基材102を第1の温度まで上昇させ、第1の温度及び蒸気発生を10~15回のパフにわたって維持する)のに十分であり、これにより、電源22を交換又は再充電する必要が生じる前に、タバコのパケットを喫煙するユーザ経験がエミュレートされる。
【0090】
一般に、エアロゾル生成デバイス10の効率は、誘導加熱可能サセプタ42によって発生する熱の可能な限り多くがエアロゾル生成基材102の加熱につながる場合に改善される。この目的のため、エアロゾル生成デバイス10は、通常、エアロゾル生成デバイス10の他の部分への熱流を低減させながら、熱をエアロゾル生成基材102に制御された方法で供給するように構成される。具体的には、ユーザが取り扱うエアロゾル生成デバイス10の部品への熱流が最小限に保たれ、それにより、これらの部品は、冷たく、且つ把持することが快適であるように保たれる。
【0091】
先行する実施例を参照して説明される特徴を適宜互いに組み合わせ得ることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】