(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】障害物回避方法
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20240125BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20240125BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20240125BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
B62D6/00 ZYW
B60W30/09
B62D101:00
B62D113:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545820
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022051219
(87)【国際公開番号】W WO2022161845
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ド, アン-ラン
【テーマコード(参考)】
3D232
3D241
【Fターム(参考)】
3D232CC04
3D232CC14
3D232CC20
3D232DA03
3D232DA04
3D232DA24
3D232DA27
3D232DA29
3D232DA32
3D232DA33
3D232DA39
3D232DA76
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3D232DB11
3D232DD02
3D232DD06
3D232DD07
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3D232DD13
3D232DD17
3D232DE06
3D232EA01
3D232EB04
3D232EC23
3D232EC34
3D232GG01
3D241BA33
3D241BB27
3D241BC04
3D241CD01
3D241CE05
3D241CE09
3D241DA54Z
3D241DB09Z
3D241DB13Z
3D241DC43Z
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つの操舵輪を含む車輪を備える自動車(10)を自動的に制御するための方法に関し、この方法は、障害物回避軌道に関連するパラメータ(β、r、Ψ
L、y
L、δ、δ
sat)を自動車が取得するステップと、前記パラメータに基づいて、かつ閉ループコントローラを用いて、操舵輪にブレーキをかけるためのアクチュエータ(31)のための仮制御命令(δ
Fbck)をコンピュータが計算するステップとを含む。本発明によれば、方法はまた、自動車が対象である横加速度(a
y)又は回転角度(Φ)を取得するステップと、取得された横加速度又は回転角度に基づいて、前記仮制御命令の補正項(δ
Ffwd)を、開ループモードで、計算するステップとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの車輪(11)が操舵輪である車輪(11、12)を備える自動車(10)の自動操舵のための制御方法であって、
前記自動車(10)が障害物(20)を回避するための、回避経路に関連するパラメータ(β、r、Ψ
L、y
L、δ、δ
ref)を取得するステップと、
前記パラメータ(β、r、Ψ
L、y
L、δ、δ
ref)の関数として、かつ閉ループコントローラ(K
Fbck)を用いて、前記操舵輪(11)を操舵する操舵アクチュエータ(31)のための一時的制御命令(δ
Fbck)を、コンピュータ(13)を使用して計算するステップと
を含み、
前記自動車(10)が経験する横加速度(a
y)又は回転角度(Ф)を取得するステップと、
取得された前記横加速度(a
y)又は前記回転角度(Ф)の関数として、前記一時的制御命令(δ
Fbck)の補正項(δ
Ffwd)を、開ループ計算を使用して計算するステップと
をさらに含むことを特徴とする、制御方法。
【請求項2】
前記補正項(δ
Ffwd)が、前記自動車(10)の前輪(11)に関する前記自動車(10)の回転によって誘発された操舵の係数(ε
1)及び/又は前記自動車(10)の後輪(12)に関する前記自動車(10)の回転によって誘発された操舵の係数(ε
2)の関数として計算される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記補正項(δ
Ffwd)が、前記自動車(10)によって取られた道路の曲率(ρ
ref)の関数として計算される、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記補正項(δ
Ffwd)が、
前記横加速度(a
y)又は前記回転角度(Ф)を第1の変数に乗じた積と、
前記道路の前記曲率(ρ
ref)を第2の変数に乗じた積と
の和に等しい、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記補正項(δ
Ffwd)が、前記閉ループコントローラ(K
Fbck)のゲインのうちの少なくとも1つのゲインの関数として計算される、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記補正項(δ
Ffwd)が、アンダーステア勾配(K
v)の関数として計算される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記アンダーステア勾配(K
v)が、前記閉ループコントローラ(K
Fbck)のゲインのうちの少なくとも1つのゲインの関数として計算される、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記アンダーステア勾配(K
v)が、以下の方程式
を用いて計算され、
m、C
f、C
r、l
f、l
rが、前記自動車のアーキテクチャのみと関係のあるパラメータであり、
k
δ、k
δref、k
ΨL及びk
βが、前記閉ループコントローラのゲインである、
請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記補正項(δ
Ffwd)が、以下の方程式
を用いて計算され、
l
f、l
rが、前記自動車のアーキテクチャのみと関係のあるパラメータであり、
Vが、前記自動車の縦ベロシティであり、
l
sが、所定の確認距離であり、
ρ
refが、前記自動車における道路の曲率半径であり、
ε
1が、前輪セットに関する回転によって誘発される操舵の係数であり、
ε
2が、後輪セットに関する回転によって誘発される操舵の係数であり、
Фが、回転角度であり、
Kvが、アンダーステア勾配であり、
k
δ、k
δref、k
ΨL、k
r、及びk
βが、前記閉ループコントローラのゲインである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項10】
前記操舵輪(11)を操舵するための操舵アクチュエータ(31)及び前記アクチュエータ(31)を制御するためのコンピュータ(13)を備える自動車(10)であって、前記コンピュータ(13)が請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実装するようにプログラムされていることを特徴とする、自動車(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、自動車における経路追従の自動化に関する。
【0002】
本発明は、自動車運転補助との関連で特に有利な適用例を有する。
【0003】
本発明は、より詳細には、特にカーブにおいて、この車両が障害物回避経路を辿ることを可能にするための自動車の自動操舵のための制御方法に関する。
【0004】
本発明はまた、本方法を実装するのに適したコンピュータを備えた自動車に関する。
【背景技術】
【0005】
自動車をより安全にする目的で、自動車は、現在、運転補助システム又は自律運転システムを備えている。
【0006】
そのようなシステムの中で、車両が辿るレーン内にある障害物とのいかなる衝突も回避するように設計された、自動非常ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)システムは、よく知られている。これらのシステムは、レーン内の障害物を検出するように及び自動車の従来のブレーキシステムに、そのような状況において、作用するように設計されている。
【0007】
しかしながら、これらの非常ブレーキシステムが衝突を回避することができない又は使用され得ない状況(たとえば、別の車両が、自動車のすぐ後ろにつけている場合)がある。
【0008】
これらの状況について、自動回避システム(自動回避操舵(Automatic Evasive Steering)又は自動非常操舵(Automatic Emergency Steering)を表す略語AESでよりよく知られている)が、開発されており、車両操舵に作用することによって、車両をその経路から逸脱させることによって障害物が回避されることを可能にする。
【0009】
しかしながら、障害物を回避するために辿るべき経路を計算した、このAES操舵が、所望の精度で車両を導くことができないということが時として起こり、これは、非常に危険であると分かることがある。
【0010】
したがって、文献米国特許第9731755号は、経路追従が向上するように。道路の曲率、横傾斜及び縦勾配という特定の道路効果を計算において考慮することを提案する。
【0011】
より具体的には、その文献は、車両の経路と所望の経路との間の逸脱を最小限に抑える制御命令を計算することを提案する。これを目的として使用される命令は、閉ループフィードバック部分と、予測的に決定される道路によって誘発される外乱要因を考慮する開ループ部分とを含む。
【0012】
しかしながら、この技術的解決法を使用しても、経路追従は、要望どおりに正確ではない。
【発明の概要】
【0013】
先行技術の前述の不利点を克服するために、本発明は、車両が経験する回転及び/又は横加速度、これらは車両が取る経路への有意な影響を有する、を考慮することによって回避経路追従の問題を解決することを提案する。
【0014】
より具体的には、本発明は、以下のステップを含む、自動車の自動操舵のための制御方法を提案する:
- 自動車が障害物を回避するための、回避経路に関連するパラメータを取得するステップと、
- 自動車が経験する横加速度又は回転角度を取得するステップと、
- 前記パラメータの関数として、かつ閉ループコントローラを用いて、操舵輪を操舵する操舵アクチュエータの一時的制御命令を、コンピュータを使用して計算するステップと、
- 取得された横加速度の又は回転角度の関数として前記一時的制御命令の補正項を、開ループ計算を使用して、計算するステップ。
【0015】
したがって、閉ループコントローラは、誤差の原因になり得る任意の予測を行う必要なしに、瞬間tにおける車両の及び道路の状態変数から計算された静的状態フィードバックを含む。
【0016】
開ループ補正項は、次いで、経路上の回転の効果を考慮するために、車両の回転の又は横加速度の関数として計算される。この回転又はこの横加速度は、測定又は計算され得る。
【0017】
補正項はまた、道路の曲率の及び閉ループコントローラのゲインの関数として計算され得る。
【0018】
したがって、個々に又は任意の技術的に可能な組合せで考慮される、本発明による方法の他の有利な及び制限されない特徴は、次のとおりである:
- 補正項は、自動車の前輪に関する自動車の回転によって誘発される操舵の係数及び/又は自動車の後輪に関する自動車の回転によって誘発される操舵の係数の関数として計算される、
- 補正項は、自動車が取る道路の曲率の関数として計算される、
- 補正項は、横加速度を又は回転角度を第1の変数に乗じた積、及び道路の曲率を第2の変数に乗じた積の和に等しい、
- 補正項は、閉ループコントローラのゲインのうちの少なくとも1つのゲインの関数として計算される、
- 補正項は、アンダーステア勾配の関数として計算される、
- アンダーステア勾配は、閉ループコントローラのゲインのうちの少なくとも1つのゲインの関数として計算される、
- アンダーステア勾配は、以下の方程式を用いて計算される:
そこで、m、C
f、C
r、l
f、l
rは、自動車のアーキテクチャのみと関係のあるパラメータであり、
そこで、k
δ、k
δref、k
ΨL及びk
βは、閉ループコントローラのゲインであり、
- 補正項は、以下の方程式を用いて計算される:
そこで:
l
f、l
rは、自動車のアーキテクチャのみに関係のあるパラメータであり、
Vは、自動車の縦ベロシティであり、
lsは、所定の確認距離であり、
ρ
refは、自動車における道路の曲率の半径であり、
ε
1は、前輪セットに関する回転によって誘発される操舵の係数であり、
ε
2は、後輪セットに関する回転によって誘発される操舵の係数であり、
Фは、回転角度であり、
Kvは、アンダーステア勾配であり、
k
δ、k
δref、k
ΨL、k
r、及びk
βは、閉ループコントローラのゲインである。
【0019】
発明はまた、操舵輪を操舵するための操舵アクチュエータ及び前述のような方法を実装するようにプログラムされた前記アクチュエータを制御するためのコンピュータを備える自動車を提案する。
【0020】
もちろん、本発明の実施形態の様々な特徴、変形及び形は、それらが相互に互換性がないのではない又は相互に排他的でないことを条件として、様々な組合せで互いに結合され得る。
【0021】
制限されない例として与えられた、添付の図面を参照して続くことになる説明は、本発明が何で構成されているか及び本発明がどのように実装され得るかを理解することを容易にすることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この車両が取るべき経路が指示される、道路に沿った自動車運転の上からの概略図である。
【
図2】障害物回避経路に沿って位置する4つの連続する位置において描かれた、
図1の自動車の上からの概略図である。
【
図3】回転が車両の経路に及ぼす影響を示す、
図1の自動車の上からの概略図である。
【
図4】本発明による方法との関連で使用される閉ループ伝達関数を安定させるために使用することができるパラメータを示すグラフである。
【
図5】本発明による方法を実装する際に含まれる様々なアルゴリズムを示すブロック図である。
【
図6】本発明による方法を実装するために使用される伝達関数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、キャビンの境界を定めるシャシー、2つの操舵された前輪11、及び2つの非操舵後輪12を従来の方法で備える自動車10を示す。代替として、これらの2つの後輪もまた、操舵され得るが、そのとき、これは、後述の制御法則への修正を必要とすることになろう。
【0024】
この自動車10は、車両を転回させるために前輪11の向きに影響を及ぼすことを可能にする少なくとも1つの従来の操舵システムを備える。この従来の操舵システムは、特に、前輪11を旋回させるために操舵リンクに接続されたハンドルを備える。考慮される例では、自動車10はまた、ハンドルの向きの関数として及び/又はコンピュータ13から受信した要求の関数として前輪の向きに影響を及ぼすことができるアクチュエータ31(
図5に示す)を備える。
【0025】
加えて、この自動車はまた、自動車を減速しそれにより車両を転回させるように2つの前輪11に(又は2つの後輪12にも)異なって作用することができる差動ブレーキシステムを備え得る。そのような差動ブレーキシステムは、たとえば、互いに独立して制御される車両の車輪或いは他のブレーキキャリパに配置された制御された差動又は電気モータを備える。したがって、自動車10は、コンピュータ13から受信した要求の関数として車輪の回転速度に異なって作用するように設計された少なくとも1つのアクチュエータを備える。
【0026】
説明を明確にするために、車両はそのような差動ブレーキシステムを有さない、とここでは考えられることになる。車両が、そのような差動ブレーキシステムを備えた場合、それは、後述の制御法則への修正を必要とすることになる。
【0027】
コンピュータ13は、遭遇する交通条件の関数として補助された操舵アクチュエータ31を制御することを意図されている。この目的で、コンピュータ13は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリと、車両のデータネットワーク(通常はCANタイプのネットワーク)に接続された入力/出力インターフェースとを備える。
【0028】
それのインターフェースのおかげで、コンピュータ13は、様々なセンサから届く入力信号を受信することができる。
【0029】
これらのセンサの中で、たとえば、以下が提供される:
- それの交通レーンに対する車両の位置を識別することができる、フロントカメラなどのデバイス、
- 自動車10の経路内の障害物20(
図2)を検出することができる、RADAR又はLIDARリモートセンサなどのデバイス、
- 少なくとも1つの横検出デバイス、たとえば、車両の側面に対する周辺をモニタすることができるRADAR又はLIDARリモート検出器、
- 自動車10のヨーベロシティ(垂直軸に関する回転)を決定することができる、レートジャイロなどのデバイス、
- ハンドル位置及び角ベロシティセンサ、及び
- ハンドルに運転者によって適用されるトルクを感知するトルクセンサ。
【0030】
それのインターフェースを使用して、コンピュータ13は、補助された操舵アクチュエータ31に命令を送信することができる。
【0031】
したがって、コンピュータ13は、障害物20(
図2を参照)を回避するために障害物回避経路T0を辿ることを車両に強制することができる。
【0032】
それのメモリを使用して、コンピュータ13は、後述の方法との関連で使用されるデータを記憶する。
【0033】
特に、コンピュータ13は、プロセッサによって実行されるときにコンピュータが後述の方法を実装することを可能にする命令を含むコンピュータプログラムから成る、コンピュータアプリケーションを記憶する。
【0034】
本方法が説明される前に、そのうちのいくつかが
図1に示された、使用されることになる様々な変数及びデータが、導入され得る。
【0035】
車両が、水平である道路上にあるとき、原点が車両の重心に位置しており、軸Xが車両の縦軸A1(後方から前に伸びた)と一致し、軸Yが横軸であり(この事例で、右から左に伸びる)、軸Zは垂直な軸である、車両に添付された基準系(CG、X、Y、Z)をまず第一に考える。
【0036】
自動車の全質量は、「M」で示されることになり、kgで表されることになる。
【0037】
軸Zに関する自動車の慣性モーメントは、「J」又は「Iz」で示されることになり、N.mで表されることになる。
【0038】
軸Xに関する自動車の慣性モーメントは、Ixで示され、N.mで表されることになる。
【0039】
重心CG及び車両の前車軸との距離は、「lf」で示されることになり、メートルで表されることになる。
【0040】
重心CGと後車軸との距離は、「Lr」で示されることになり、メートルで表されることになる。
【0041】
前輪のコーナリングスティフネスは、「Cf」で示されることになり、N/radで表されることになる。
【0042】
後輪のコーナリングスティフネスは、「Cr」で示されることになり、N/radで表されることになる。
【0043】
車輪のこれらのコーナリングスティフネスは、当業者によく知られた観念である。したがって、例として、前輪のコーナリングスティフネスは、方程式Ff=2.Cf.αfを書くことを可能にするスティフネスであり、そこで、Ffは、前輪の横滑り力であり、αfは、前輪のスリップ角度である。
【0044】
操舵された前輪が自動車10の縦軸A1と作る操舵角度は、「δ」で示されることになり、radで表されることになる。
【0045】
radで表された、変数δrefは、補助された操舵アクチュエータに送信されることになるものとしての飽和操舵角度命令を示すことになる。
【0046】
radで表された、変数δKは、不飽和操舵角度命令を示すことになる。この段階で、飽和の概念は、値に関する又は値の変化に関する制限と関連することになる、ということが単純に強調され得る。
【0047】
車両のヨーベロシティ(それの重心CGを通過する垂直軸に関する)は、「r」で示されることになり、rad/sで表されることになる。
【0048】
車両の縦軸A1と回避経路T0(車両の所望の経路)の接線との間の相対向首角は、「ΨL」で示されることになり、radで表されることになる。
【0049】
自動車10の縦軸A1(重心CGを通過する)と回避経路T0、車両の前に位置する確認距離「ls」における、との間の側方逸脱は、「yL」で示されることになり、メートルで表されることになる。
【0050】
自動車10の縦軸A1(重心CGを通過する)と回避経路T0、車両の前に位置する確認距離「ls」における、との間の指示された側方逸脱は、「yL-ref」で示されることになり、メートルで表されることになる。
【0051】
経路追従誤差は、「eyL」で示されることになり、メートルで表されることになる。経路追従誤差は、指示された側方逸脱YL-refと側方逸脱yLとの差に等しくなる。
【0052】
前述の確認距離「ls」は、重心CGから測定されることになり、メートルで表されることになる。
【0053】
自動車10のスリップ角度(自動車のベロシティベクトル及び前記車両の縦軸A1によって作られた角度)は、「β」で示されることになり、radで表されることになる。
【0054】
縦軸A1に沿った自動車のベロシティは、「V」で示されることになり、m/sで表されることになる。
【0055】
定数「g」は、m.s-2で表され、重力に起因する加速になる。
【0056】
ラジアンで表された、垂直に関して車両によって採用された回転角度は、Фで示されることになる。
【0057】
この回転角度の計算との関連で、以下のパラメータが、考慮され得る:
- brは、N.rad-1.s-1で表される、回転減衰係数であり、
- krは、N.rad-1で表される、回転スティフネスであり、
- hは、車両の回転の中心と地面との間の距離である。
【0058】
軸Yに沿って車両が経験する横加速度は、ayで示されることになり、m.s-2で表されることになる。
【0059】
自動車における道路の平均曲率は、ρrefで示されることになり、m-1で表されることになる。この曲率は、自動車の重心の正確な場所において道路によって形成される円の弧の曲率の半径の逆数に等しい。
【0060】
定数「ξ」及び「ω」は、車両の前輪の操舵角度の動的特性を表すことになり、より具体的には、ξは、減衰を表し、ωは、電動アシスト操舵(EPAS:electric power assisted steering)の自然周波数である。
【0061】
定数「ωf」は、それ自体、車両に適用された値を制限された任意の外乱「w」の動的特性を表す。
【0062】
操舵レートは、操舵された前輪に適用される操舵角度の角ベロシティを示すことになる。
【0063】
仮定として、説明を明確にするために、自動車が進んでいる道路は、平坦で水平であると仮定される。
【0064】
本発明を実装するためにコンピュータ13によって実行されることになる方法の説明をする前に、これらのアルゴリズムがどこに由来するか及びこれらのアルゴリズムを確証するものは何かの明確な理解を与えるために、本発明を実装するために使用されるアルゴリズムの確立につながった計算について説明する。
【0065】
第一に、説明を簡単にするために、補助された操舵のみが、車両をそれの初期経路から逸脱させるために使用されることになる、ということに留意されたい。差動ブレーキは、インストール又はアクティブにされないことになる。
【0066】
図5は、補助された操舵アクチュエータ31に送信されることになっている飽和操舵角度命令δ
refを計算するプロセスをモデル化する。
【0067】
要約すると、プロビジョニングが、辿るべき経路を決定するために、この経路及び車両のダイナミクスと関係があるパラメータを考慮して第1の操舵角度命令(以下、不飽和操舵角度命令δKと称される)を決定するために、並びに、次いで、アクチュエータ31に送信されることになっている飽和操舵角度命令δrefを得るためにこの命令を飽和させるために、コントローラについて行われる。
【0068】
図5において、ブロックZ1は、障害物20を回避するために辿られるべき経路を決定するためのブロックに対応する。
【0069】
障害物20は、それが車両の速度と比較して短い距離における車両の初期経路上にあるという条件で、自動車10と同じレーン内に又は隣接するレーン内にあり得る。
【0070】
この回避経路T0が決定されるやり方は、本発明の主題の一部を形成せず、本明細書では説明されない。このブロックZ1は、AES機能がアクティブにされるとき、側方逸脱命令yL-ref及びその時間微分を決定することを可能にする、ということを単に覚えておかねばならない。この回避経路T0は、静的であるとここでは考えられることになるが、代替において、動的経路(検出された新しい障害物の関数として又は車両が辿る実際の経路の関数として再計算される)が使用され得る、ということに留意されたい。
【0071】
ブロックZ6は、自動車10が直線に運転していた場合には有用で信頼できることになるコントローラKFbckを示す。このコントローラは、車両が回避経路T0を辿るようなやり方で車両の車輪が操舵されることを可能にする一時的操舵角度命令(以下、不飽和操舵角度命令δKの第1の構成要素δFbckと称される)を計算することができる数学演算子に対応する。
【0072】
ブロックZ2、Z3及びZ4は、車両の経路への車両の回転の影響を考慮するために第1の構成要素δFbckに適用されることになっている補正項を計算することを可能にするアルゴリズムを示す。この補正項は、不飽和操舵角度命令δKの第2の構成要素δFfwdと以下で称されることになる。
【0073】
不飽和操舵角度命令δKは、第1の構成要素δFbck及び第2の構成要素δFfwdを合計することによって、計算することができる。
【0074】
ブロックZ5は、不飽和操舵角度命令δKに適用されることが望ましい定数を示す。
【0075】
ここで、この制約は、ハンドルが回転させられるレートの制限である。事実上、運転者が障害物回避フェーズ中の車両の操舵の制御を取り戻すことを必要とした場合に、車両を制御可能にするために、ハンドルが回転させられる角ベロシティは、υで示される閾値を超えるべきでない、ということが望ましい。
【0076】
他の制約が、想定され得る。例として、操舵角度の振幅飽和に関する制約が、使用され得る。しかしながら、ここでは、説明を明確にするために、この第2の制約は、想定されないことになる。さらなる代替として、無制約を予期することもまた可能になる。
【0077】
したがって、ブロックZ5は、ここで、以下でδsatと称される飽和操舵角度命令を提供することを可能にする。この飽和命令はまた、補助された操舵アクチュエータ31を制御するための参考の役割を果たすので、それは、δrefとも称されることになる。
【0078】
本発明につながった計算が、ここに説明され得る。
【0079】
車両の前輪11の操舵は、以下の数式を使用して、単純に、モデル化され得る。
[数式1]
【0080】
まず第一に、取られている道路の曲率がゼロである、仮定を考える。したがって、回転及び道路の曲率が考慮されない場合、車両の動的挙動は、以下の方程式を使用して、モデル化され得る。
[数式2]
【0081】
車両の挙動のこのモデル化は、車両の各車軸が1つではなく2つの車輪を備えるという事実を考慮しないので、「自転車モデル」として知られている。しかしながら、このモデル化は、車両が直線に進んでいるとき、それの操舵輪(この事例では、前輪)の操舵角度の関数として車両の経路の優れたモデルにつながる。
【0082】
しかしながら、
図3が示すように、カーブにおいて自動車10によって採用された回転は、車両の実際の経路に影響を及ぼす、すなわち、これを考慮することが望ましい。
【0083】
ここで、回転は、この車両の縦軸A1に関して道路によって引き起こされた車体の傾きの角度を測定する、以下で「回転角度「Ф」と称される、角度によって定義され得る。
【0084】
車両の前輪セットに関する回転によって誘発される操舵の係数は、ε
1で示されることになる。これに回転角度Фを乗じた後、それは、この回転が車両の前輪の操舵角度ひいては
図3に示す経路T1を修正する度合を評価することを可能にする。
【0085】
後輪セットに関する回転によって誘発された操舵の係数は、ε2で示されることになる。これに回転角度Фを乗じた後、それは、この回転が後輪の操舵角度を修正する度合を評価することを可能にすることになる。
【0086】
図3が示すように、回転は、有効に、車両をそれの経路から逸脱させる傾向を有する。
【0087】
この現象を考慮するために、前述の自転車モデルは、以下の方程式を用いて改良される。
[数式3]
【0088】
この段階で、回転角度Фは測定又は推定され得る、ということが特筆され得る。ここで、それは、以下の方程式によってモデル化されることになる。
[数式4]
【0089】
したがって、それは、カルマンフィルタを使用して、推定され得る。しかしながら、ここで、それは、以下の方程式を使用して、
図5のブロックZ4においてより簡単に推定される:
[数式5]
【0090】
この方程式を確立するために、回転の変化及び回転加速は実質的にゼロであると考えられた。事実上、ほとんどの時間について、車両は、確立されたカーブ内に多少なりあり、したがって、回転のダイナミクス(その導関数)は、実質的にゼロである。
【0091】
ここで、以下の方程式を用いて表され得る、ということが想起されよう、経路追従誤差eyLを最小化することによって正しい経路追従を確保することが求められる。
[数式6]
eyL=yL-yL_ref
【0092】
本発明の本実施形態では、参考経路のダイナミクスは以下の方程式によって表される、と仮定される:
[数式7]
【0093】
しかしながら、前述の自転車モデルは、車両の前輪11の操舵レートを制限することを可能にしない。現在、そのような制限は、特に、車両の運転者が任意の瞬間に車両の制御を取り戻すことができることになることを確実にする際に重要であると判明している。
【0094】
ブロックZ5によって
図5に示された操舵レートの飽和は、以下のような方程式として書くことができる:
[数式8]
【0095】
この方程式において、閾値υは、たとえば、操舵のギアリング比率が16に等しい場合にハンドルにおける0.785Rad/s(つまり、45°/s)に対応する、0.0491Rad/sに等しい。
【0096】
図6に示すように、ここで使用される操舵レートリミッタは、以下を備える閉ループ疑似コントローラをそれが形成する限りにおいて、明確である:
- 1/sにおける積分器の、及びΔ.αの双曲正接の形の関数である修正子の(前述の質問によって規定された条件に従うために)閾値υの積に等しい直接チェーン伝達関数、
- 1に等しい間接チェーン(又は、フィードバックチェーン)伝達関数。
【0097】
それは、入力として、不飽和操舵角度命令δKを受信し、出力として、飽和操舵角度命令δrefを送信する。
【0098】
この図では、係数Δは、変数δKとδrefとの間の逸脱に対応する。係数αは、0と無限大との間に含まれた定数であり、操舵レートリミッタの速い又は柔軟な特質に影響を及ぼすことができる唯一のパラメータである。
【0099】
したがって、この操舵レートリミッタは、必要とされるのは係数αの設定だけなので、最適化するのが簡単であるという利点を有する。それは、連続的でスムーズな(無限に弁別可能な)制御を実現する。
【0100】
したがって、この操舵レートリミッタの形を考慮して、以下の方程式が、書かれ得る:
[数式9]
【0101】
これは、次いで、疑似線形である、車両の可制御性のモードを生み出す。
【0102】
そのとき、実際には、次のパラメータθを導入することが可能である:
[数式10]
【0103】
次いで、線形形式で前述の方程式を書き直すことが可能である:
[数式11]
【0104】
この方程式は、状態表現の特性であり、命令変化リミッタモデルはパラメータθの関数として線形であるということを示す。
【0105】
次いで、回避経路T0の正しい追従を確保するが、車両によって採用された回転を考慮しない、ということが想起されることになる、コントローラKFbckを、これに基づいて、決定することが可能である。
【0106】
前述の方程式を考慮すると、自転車モデルは、新しい有用なモデルを得るために、さらに強化され得る。この新しい強化されたモデルは、次のように書くことができる:
[数式12]
【0107】
[数式13]
δk=δFbck+δFfwd
と書くことが可能であることが想起されよう。
【0108】
この方程式を通して、不飽和操舵命令δKが、第1のコントローラKFbck及び車両の経路への回転の影響を考慮する補正項を使用して、得られ得る、ということが確かに示されている。
【0109】
まず第一に、「フィードバック」(又は、閉ループ)タイプである、コントローラKFbckは、閉ループの安定性及び頑強性を確保するようなやり方で第1の構成要素δFbckを決定することを可能にする。第2のフェーズにおいて、補正項(開ループで計算された又は「フィードフォワード」を使用する)は、道路の曲率の効果及びコントローラKFbckの名目性能への回転の効果(道路の曲率によって誘発される)を補填するために、第2の構成要素δFfwdを決定することを可能にする。
【0110】
したがって、コントローラKFbckがどのように作り上げられたかが、まず第一に考慮され得る。
【0111】
次のように書くことが可能である:
[数式14]
そこで、
及び
は、コントローラK
Fbckの「ゲイン」である。このコントローラK
Fbckは、曲率及び回転は無視できるほどであると仮定して、計算される。その目的は、閉ループの安定性を保証することと、外乱w
yrefが参照回避経路追従に有する影響を最小化することである。特に、コントローラ全体は、2つの部分に分割される:一方では、名目事例(曲率効果を有さない)において安定性及び参照経路追従を保証する「フィードバック」部分と、他方で、(曲率を有さない道路の場合と)同じ性能を達成するために曲率の効果を補完する「フィードフォワード」部分。
【0112】
次いで、次の形式で書かれる、状態ベクトルxを考慮することが可能である:
[数式15]
【0113】
その目的は、次いで、コントローラK
Fbckの形式を決定することである。それを行うために、我々の挙動モデルは、次の一般形式で書くことができる:
[数式16]
【0114】
この方程式において、Cyは、恒等行列であり、Aは、動的行列であり、B
uは、制御行列であり、B
wは、外乱行列であり、以下の形で書くことができる:
[数式17]
【0115】
静的状態フィードバックであるものとして定義される、コントローラKFbckは、次の形でそれ自体を表すことができる:
[数式18]
δFbck=KFbck.x
【0116】
最適なコントローラKFbckを見つけるために、使用され得る様々な方法がある。
【0117】
ここで使用される方法は、線形行列不等式のそれである。したがって、その方法は、線形行列不等式制約を有する凸最適化基準を使用して、実行される。
【0118】
目的は、より具体的には、ポールの選択を変えることによって、コントローラKFbckで定義される閉ループのゲインを最適化することである。
【0119】
3つの行列不等式が存在し、これらは、次の不等式によって定義される。
[数式19]
A
iQ+B
iR+(A
iQ+B
iR)
T+2μQ<0
[数式20]
[数式21]
【0120】
これらの不等式において、添え字iは、1又は2に等しく、したがって、行列Ai及びBiは、次のように定義することができる:
[数式22]
A1=A(θmin),A2=A(θmax),B1=Bu(θmin),B2=Bu(θmax)
【0121】
【0122】
コントローラKFbckは、方程式によって定義される:
[数式23]
KFbck=R.Q-1
【0123】
車両速度は、定数であると仮定される(したがって、システムにおけるすべての行列は、定数であると考えられる)。
【0124】
3つの不等式は、閉ループのダイナミクスが制限されたままであることを確実にすることを可能にする。特に、これらの制約を理由として、閉ループのポールは、半径γ、虚軸に関する最小距離μ、及び開口角φによって定義されるゾーンに値を制限される(
図4を参照)。
【0125】
問題が、合理的な(及び平均的技能の運転者が習得することができる)やり方での並びにアクチュエータによって達成可能な方式での任意の時間におけるハンドル角度の決定の1つであるとき、本方法は、効果的であると判明している。これらの制約はまた、閉ループの安定性を確保する。
【0126】
ここでの目的は、半径γを最小化することである。コントローラK
Fbckのゲインが得られた後は、コントローラの結果は、次の公式を用いて得られ得る又は計算され得る:
[数式24]
【0127】
値θmin及びθmaxは、3つの行列不等式に導入された。
【0128】
δKとδrefとの間の逸脱と関係がある、θの値は、方程式[数式8]によって述べられた可制御性制限にコントローラKFbckが違反する度合を反映する。
【0129】
定義によって、θは、0(排他的)と1(包括的)との間に含まれる。θが、1に等しいとき、計算された不飽和ハンドル角度命令δKは、実際に、可制御性制限を順守する。それが、ゼロに近いとき、計算された不飽和ハンドル角度命令δKは、車両の不安定性のリスクを作り出して、あまりにも高すぎる操舵動力を課す値を有する。θが、0と1との中間値を採用するとき、可制御性制限は、順守されないが、車両の不安定性のリスクがなくなることが可能である。
【0130】
言い換えれば、値θmin及びθmaxの選択は、コントローラKFbckの性能に及び頑強性に直接影響を有する。範囲(θmin θmax)が広いほど、コントローラKFbckの性能は低くなるが、このコントローラは、より頑強である。対照的に、この範囲が狭いほど、コントローラKFbckの性能は良くなるが、コントローラは、頑強でなくなる。
【0131】
論理的に、値θmaxは、1に等しくなるように選択される(それによりコントローラKFbckが、可制御性制約の違反なしに、付随的に一般にあるように、線形モードで動作する場合)。
【0132】
他方で値θminを決定することは、頑強性と性能との間の妥協を必要とする。この値を決定することは、δKとδrefとの間の、絶対値における、逸脱の最大閾値を課すことになる。
【0133】
カーブにおいて、曲率の及び回転の二重効果が、コントローラKFbckの性能により大きな影響を及ぼし始める。
【0134】
したがって、本発明は、回避経路T0の追従の優れたレベルを維持するように曲率の効果及び回転の効果を補填するために第2の構成要素δFfwdを計算することを提案する。
【0135】
この第2の構成要素δFfwdは、各回避フェーズにおいて又は曲線道路で(道路の曲率の半径が、所定の閾値未満であるときに)生じるフェーズについて1度だけ計算され得、道路の曲率は、たとえば、カメラによって把握されたデータから導出される。
【0136】
図5で明らかなように、この第2の構成要素δ
Ffwdを得るために、コントローラK
Fbckのゲインが、使用される。
【0137】
実際に、不飽和操舵角度命令δKは、閉ループシステムの以下の方程式を得ることを可能にする方程式[数式13]から導出されるそれの表現に方程式[数式12]において置き換えられる。
[数式25]
【0138】
外乱wyrefが構成要素δFbckの計算において既に補完されたということを知り、単に、回避経路追従静的誤差eyLへのその他の外乱(曲率及び回転)の影響を最小化することが、第2の構成要素δFfwdを計算する際に必要である。
【0139】
それを行うために、まず第一に、導関数がゼロである、方程式[数式25]によって定義された系の静的状態値が、計算され得、これは、次の方程式系を解くことになる:
[数式26]
【0140】
この前述の方程式系を解くことは、道路の曲率ρ
refの、自動車10の速度Vの、回転角度Фの、コントローラK
Fbckのゲインの、求められる第2の構成要素δ
Ffwdの、及び車両自体に関連する他のパラメータ(lf、lr、ε1、ε2など)の関数として、静的経路追従誤差e
yLを計算することを可能にする。したがって、次のように書くことが可能である:
[数式27]
【0141】
したがって、ゼロ静的経路追従誤差e
yLを得ることを可能にする第2の構成要素δ
Ffwdを見つけるために、次の方程式を書くことが可能である:
[数式28]
それは、次の方程式を得ることを可能にする:
【0142】
【0143】
この方程式において、項K
vは、「アンダーステア勾配」と称され、次のように表される:
[数式30]
【0144】
このアンダーステア勾配は、所与の速度でのカーブにおけるアンダーステアへの自動車の傾向を表現及び数値化することを可能にする係数である。
【0145】
要約すると、第2の構成要素δ
Ffwdを得るために、それによって必要とされるのは、方程式[数式30]を使用して項K
vを計算すること(
図5のブロックZ2)及び次いで方程式[数式29]を使用すること(ブロックZ3)だけである。
【0146】
この段階で、本発明を実装するために自動車10のコンピュータ13によって実行されることになる方法を記述することがここで可能である。
【0147】
ここで、コンピュータ13は、ループにおいて再帰的に、つまり段階的に、本方法を実装するようにプログラムされる。
【0148】
それを行うために、第1のステップの間に、コンピュータ13は、自律障害物回避機能(AES:autonomous obstacle avoidance function)がアクティブにされていることを検証する。
【0149】
AESがアクティブである場合、コンピュータ13は、自動車10の経路内に横たわる潜在的障害物の存在を検出しようとする。それを行うために、コンピュータ13は、それのRADAR又はLIDARリモートセンサを使用する。
【0150】
障害物がないとき、このステップは、ループすることによって、繰り返される。
【0151】
潜在的に危険な障害物20が検出されると直ぐに(
図2を参照)、コンピュータ13は、この障害物20が回避されることを可能にする回避経路T0を計画する。
【0152】
したがって、コンピュータ13は、補助された操舵アクチュエータ31のための制御命令、すなわち、この回避経路T0が可能な限り厳密に辿られることを可能にする飽和操舵角度命令δref、を定義しようとすることになる。
【0153】
それを行うために、コンピュータ13は、たとえば、以下のパラメータを計算又は取得することによって、開始する:
- 測定された操舵角度δ、
- 自動車10のスリップ角度β、
- 測定された操舵角度δの時間に関する導関数、
- 前の時間ステップにおいて取得された飽和操舵角度命令δref、
- ヨーベロシティr、
- 相対向首角ΨL、及び
- 側方逸脱命令yLref。
【0154】
図5に示すように、コンピュータ13は、次いで、コントローラK
Fbckのゲインを計算し、次いで、これらから不飽和操舵角度命令δ
Kの第1の構成要素δ
Fbckの値を演繹する。
【0155】
これから、コンピュータ13はまた、項Kvの及び不飽和操舵角度命令δKの第2の構成要素δFfwdの値を演繹する。
【0156】
これから、コンピュータ13は、次いで、この不飽和操舵角度命令δKの値を演繹し、次いで、飽和操舵角度命令δrefの値を演繹することができる。
【0157】
この後者の値は、次いで、車両をそれの初期経路からそらせるために、補助された操舵アクチュエータ31に送信される。
【0158】
本発明は、記述及び図示された実施形態にいかなる方法でも制限されず、そうではなくて、本発明に従った任意のやり方でそれを変更する方法を、当業者は知ることになる。
【国際調査報告】