(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】発泡裏当て付き成形品の製造方法、及び成形品
(51)【国際特許分類】
B29C 44/12 20060101AFI20240125BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240125BHJP
B29C 44/42 20060101ALI20240125BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20240125BHJP
B29C 39/42 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B29C44/12
B29C44/00 A
B29C44/42
B29C39/10
B29C39/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545928
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022050869
(87)【国際公開番号】W WO2022161804
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】102021101960.5
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523284147
【氏名又は名称】クラベル マティアス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラベル マティアス
【テーマコード(参考)】
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F204AA42
4F204AB02
4F204AC05
4F204AD08
4F204AD16
4F204AF03
4F204AG20
4F204AH26
4F204EA01
4F204EB01
4F204EB12
4F204EF27
4F204EF30
4F204EK09
4F204EK17
4F214AA42
4F214AB02
4F214AC05
4F214AD08
4F214AD16
4F214AG03
4F214AG20
4F214AH26
4F214UA01
4F214UB01
4F214UB12
4F214UD10
4F214UD17
4F214UF27
(57)【要約】
本発明は、発泡裏当て付き成形品を製造する方法に関し、この方法は、a)逆プロファイル面(310)を有する金型(100)内にカバー材を導入するステップと、b)金型(100)に面するカバー材の側面に真空及び/または負圧を発生させてそれを維持するステップと、c)金型(100)内に発泡材を注入するステップと、d)金型(100)を閉じるステップと、e)発泡材を成形するステップと、f)金型(100)を開き、プロファイル面を有する発泡裏当て付き成形品を取り出すステップと、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡裏当て付き成形品を製造する方法であって、
a)逆プロファイル面(310)を有する金型(100)内にカバー材を導入するステップと、
b)前記カバー材の前記金型(100)側の側面に真空及び/または負圧を発生させてそれを維持するステップと、
c)前記金型(100)内に発泡材を注入するステップと、
d)前記金型(100)を閉じるステップと、
e)前記発泡材を成形するステップと、
f)前記金型(100)を開き、プロファイル面を有する発泡裏当て付き成形品を取り出すステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記金型(100)の一部または全体が、耐熱性プラスチック、金属、合金及び/またはそれらの混合物で形成される方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記金型(100)が、少なくとも1つの第1モジュール(200)及び少なくとも1つの第2モジュール(300)を備え、少なくとも1つの第1モジュール(200)の一部または全体が第1材料で形成され、少なくとも1つの第2モジュール(300)の一部または全体が第2材料で形成され、前記第1材料と前記第2材料とが同一または異なる方法。
【請求項4】
請求項1から3に記載の方法において、
前記金型(100)が少なくとも1つの蓋を有する方法。
【請求項5】
請求項1から4に記載の方法において、
前記金型(100)の一部または全体が、積層造形法及び/またははつり法によって製造される方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法において、
前記カバー材が、本革、ボンデッドレザー、イミテーションレザー、織物、フィルム、フェルト、複合材料、及び/またはそれらの混合物である方法。
【請求項7】
カバー材と発泡裏当てを有する成形品であって、
前記カバー材は内側面と外側面とを有し、プロファイルを有するプロファイル面が前記カバー材の外側面に形成され、内側面に前記発泡裏当てが特に材料を貼り合わせて配置され、
前記発泡裏当てが実質的に均一な密度であることを特徴とする成形品。
【請求項8】
請求項7に記載の成形品において、
前記成形品は本質的に変形しないことを特徴とする成形品。
【請求項9】
請求項7または8に記載の成形品において、
前記カバー材は、拭き取り可能、防水性、水密性、耐摩耗性、耐引裂性、耐熱性、耐寒性、耐紫外線性、難燃性、通気性、吸音性及び/または消音性を有することを特徴とする成形品。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の成形品において、
前記カバー材は、本革、ボンデッドレザー、イミテーションレザー、織物、フィルム、複合材料及び/またはそれらの混合物であることを特徴とする成形品。
【請求項11】
請求項7から10のいずれか1項に記載の成形品において、
前記プロファイル面は少なくとも1つの段差を有し、段差の高さが少なくとも5mmであることを特徴とする成形品。
【請求項12】
請求項7から11のいずれか1項に記載の成形品において、
発泡材がポリウレタンフォームであることを特徴とする成形品。
【請求項13】
カバーとして使用するための、請求項7から12のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項14】
シートとして使用するための、またはシートの一部として使用するための、請求項7から12のいずれか1項に記載の成形品。
【請求項15】
衣料品、アクセサリ、スーツケース及び/またはバッグとして使用するための、または衣料品、アクセサリ、スーツケース及び/またはバッグの一部として使用するための、請求項7から12のいずれか1項に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立の請求項1の前段部に係る発泡裏当て付き成形品の製造方法及び独立の請求項7の前段部に係る発泡裏当て付き成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野において、発泡裏当て付き成形品は、柔軟さと滑らかでしっかりとした表面とを組み合わせることにより、多彩な用途がある。特に、成形品は車両及び空間の内装カバーに使用される。他の分野にはシートの製造がある。これに関し、発泡裏当て面は、発泡裏当てのプロファイル面を成形するための形状を有することが特に好ましい。このプロファイル面には、例えばロゴの表示、音の吸収、及び/または人間工学的配置の支持など、複数の機能を持たせることができる。
【0003】
現在のこの技術分野において、発泡裏当て付き成形品の製造方法は公知である。この目的のために、プロファイル面は種々の方法で発泡裏当て面に組み入れられる。しかしながら、これらの方法には種々の欠点がある。
【0004】
特許文献1には、均一な表面を有する発泡成形品を製造するための典型的な方法が開示されている。この方法の欠点は、一つは大きな作業費用であり、他の一つは縫い目の間に延びる曲面に制限があることである。さらに、縫製という行為は、生産中の作業費用の大幅な増加に繋がる。必要とされる適用分野によっては、継ぎ目を別途シールすることが必要になることもある。
【0005】
特許文献2に係る他の典型的な方法では、材料を加圧及び加熱することによって、フラットな成形品にプロファイル面が転写される。この方法においても、少なくとも2つの方法ステップが必要である。この方法のさらに別の欠点は、フラットな成形品にしか適しておらず、このことにより適用分野が大きく制限されることである。
【0006】
特許文献3に係る第3の典型的な態様では、カバー材を負圧によって予備成形することが示されている。予備成形されたカバー材は、その後、ノズルから発泡材を導入することで発泡裏当てされる。この構成の欠点は、発泡材がノズルの領域で圧縮され、次の発泡材がさらに送られることにより、先に導入された発泡材が金型内に圧力で分配されるので、ノズルから離れた領域では密度が低くなることである。そのため、射出ノズルに近いところで圧縮が生じる。発泡プロセスの開始前及び/または開始時には、発泡材は、より圧縮される部分とより圧縮されない部分とを既に有し、これらは発泡裏当て付き成形品の発泡体中に最終的に残る。この発泡材の密度の差は、製造される発泡裏当てに受け継がれ、最終的に、発泡裏当ての発泡体中により高密度の部分とより低密度の部分が生じることになる。このため、発泡体に残留応力が生じ、ついには成形品の経時的な変形に繋がることになる。また、成形品が不均一に軟化して、特にシートに適用した場合に使用者に不快な圧迫を感じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第4017173号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102015219162号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4310803号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術で用いられる金型は、金属、合金、例えば鋼、またはそれらの混合物などの材料で作られている。これらの材料が、例えば高い周囲温度及び/または低い周囲温度、温度変動、温度差、紫外線照射、及び/またはガスなどの周囲の影響に起因する摩擦、圧力、衝撃、及び/または打撃などの外力及び内力の影響または劣化に対して耐性があるからである。
【0009】
したがって、複雑且つ均一であり、さらに任意に成形されるプロファイル面を有する発泡裏当て付き成形品を確実且つ連続的に製造するための、簡単且つ迅速且つ安価に実行できる方法が強く求められている。また、発泡成形品は、安価に製造でき、必要に応じて個別に構成でき、順応性を有するとともに耐久性があり、長持ちし、さらに一様に柔軟である一方、特に圧力が長時間作用しても変形しないようにすることが必要である。したがって、本発明の目的は、前述の問題を解消するために発泡裏当て付き成形品の製造方法及び発泡裏当て付き成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項に係る発泡裏当て付き成形品の製造方法及び発泡裏当て付き成形品によって、非常に簡単に、しかも効果的に達成される。
【0011】
本発明によれば、発泡裏当て付き成形品を製造する方法が提供され、この方法は、
a)逆プロファイル面を有する金型内にカバー材を導入するステップと、
b)カバー材の金型側の側面に真空及び/または負圧を発生させてそれを維持するステップと、
c)金型内に発泡材を注入するステップと、
d)金型を閉じるステップと、
e)発泡材を成形するステップと、
f)金型を開き、プロファイル面を有する発泡裏当て付き成形品を取り出すステップと、
を有する。
【0012】
本発明の基本的な考え方は、発泡裏当て付き成形品の発泡裏当てを、特にプロファイル面の領域において可能な限り均一に構成することにある。これに関連し、発泡体の気泡の大きさと分散は、基本的に発泡裏当ての全体にわたって、つまり全域において均一であることが本発明にとって不可欠であると考えられる。本発明の範囲では、結果として均一な密度が材料にわずかな応力差をもたらす。これらの応力差は最終的には材料の変形を引き起こす。さらに、カバー材を予備成形することによって、発泡裏当てのプロファイル面の寿命が大幅に改善される。
【0013】
第1のステップa)では、カバー材が金型内に導入される。この場合、金型は1つの部品で形成してもよいし、複数の部品で形成してもよい。金型は、逆プロファイルに従って構成された逆プロファイル面を有する。逆プロファイルは、発泡裏当て付き成形品のプロファイル面を有するように構成されたプロファイルに対応し、凸部は反転する。この場合、プロファイルの構成は任意である。プロファイルの形状を実用的な要求に適合させること及び/または美的な要求に適合させることができる。実用的な要求は人間工学、安全性及び/または快適性の要求に由来し、美的な要求は例えば魅力的な外観を表すこと及び/またはロゴを表すことに由来する。カバー材を導入する際には、そのカバー材にしわがないように注意しなければならない。一般に、カバー材の材質は、この方法に適している限り任意である。適する材料は当業者に知られている。
【0014】
「プロファイル」という用語は、少なくとも1つの凹部及び/または少なくとも1つの凸部によりできる高低差があることを表し、この高低差は連続した切れ目のない面で構成される。このために、その面は、これらの面の少なくとも1つの境界で2つ以上の面の組み合わせで形成でき、その結果、エッジ、段差及び/または曲部が形成される。エッジは、面の法線の方向が不規則に変化する部分であり、エッジは直線状または曲線状である。「段差」という用語はプロファイル面における直線状または曲線状の構造を表し、2つの面が高低差を乗り越えるために互いにオフセットして配置され、第1面の少なくとも1つの境界が第2面の少なくとも1つの境界に沿って延び、面の接線のベクトルが基本的にその境界に沿ってそれぞれ他の面の方向に平行であり、2つの面が基本的に平行な接線のベクトルと直交して突出する第3の面によって繋がることによって2つのエッジが形成される。特に、接線のベクトルは、10°未満、9°未満、8°未満、7°未満、6°未満、5°未満、4°未満、3°未満、2°未満または1°未満の交差角を含む場合に、基本的に平行であると見なされる。特に、接線のベクトルは、第3の面に対して、80°より大きい、81°より大きい、82°より大きい、83°より大きい、84°より大きい、85°より大きい、86°より大きい、87°より大きい、88°より大きい、または89°より大きい切断角度を有する場合に、第3の面に対して基本的に直交すると見なされる。当業者には、2つのベクトルの交差角度がある場合、またはベクトルと平面との交差角度がある場合に、最小の角度を示すことが知られている。「段差の高さ」は、2つの本質的に平行な面の、少なくとも第1エッジと少なくとも第2エッジの領域での距離を表す。これに関し、段差の高さは位置によって決まる。
【0015】
本発明の範囲では、1つまたは複数のエッジ及び/または段差の形態の1つまたは複数の切れ目によって、及び/または曲線の形態で流れること(続くこと)によって、高低差を乗り越えられると考えられる。したがって、プロファイルを異なる形状ににしたり、その繰り返し形状にしたりすることが考えられる。「プロファイル面」という用語は、プロファイルによってその形状が転写された本体の表面を表す。
【0016】
次のステップb)では、金型側のカバー材の側面に真空及び/または負圧を発生させてそれを維持する。真空及び/または負圧により、カバー材が逆プロファイルへ引き込まれる力が生じる。この力により、カバー材が変形して所望のプロファイルが転写される。同時に、真空及び/または負圧によりカバー材の位置ずれが防がれて、その工程中に予備変形が効果的に維持される。カバー材が予備変形していることが本発明にとって必要であり、その理由は、そうでないとカバー材が常に一定の応力の作用で時間の経過とともに変形するためである。逆プロファイル面が、少なくとも1つの、好ましくは複数のプロファイル形状の凹部に1つまたは複数の開口部を有し、真空及び/または負圧がその開口部によってカバー材に伝えられることが好ましい。逆プロファイル面は、各凹部に1つまたは複数の開口部を有し、真空及び/または負圧が開口部によってカバー材に伝えられることが特に好ましい。開口部をプロファイル形状の凹部に配置することにより、カバー材は全体が逆プロファイル面に適合する。
【0017】
「真空」という用語は、物質、特に気体、特に空気が存在しない空間を表す。
【0018】
「負圧」という用語は、空間の外側の気体が有する周囲気体圧力よりも相対的に低い空間の気体圧力を表す。原則として、この空間の外側の気体は空気であり、周囲の気体の圧力は大気圧である。大気圧は場所によって異なり、海面では約1バールである。
【0019】
次のステップc)では発泡材が金型に注入される。本発明の範囲では、従来の技術における射出成形とは違って、発泡ステップ前に、厳密には発泡ステップ開始時に注入することが、発泡材の均一な分配を実現して確実にするのに必要であると考えられる。注入時に発泡材は機械的な動きで分配されるため、発泡ステップ前に、厳密には発泡ステップ開始時に密度がさらに均一になり、それが確実になる。当業者には発泡材がノズル及び/または注入装置から出るとすぐに発泡ステップが始まることが知られている。一般に、どの発泡材を使用するかは、その方法に適している限り任意である。当業者には、ポリウレタンフォームなどの適切な材料が知られている。
【0020】
次のステップd)では金型が閉じられる。金型を閉じることにより、成形品の背面を所望の形状にし、発泡裏当ての範囲を制限する機能が実行される。同時に、型閉め及び発泡プロセスによって金型内に圧力が蓄えられ、この圧力が、発泡裏当てを、特に発泡裏当てのプロファイル面の範囲を均一な密度にすることに寄与する。当業者には、金型を閉じるための適切な手段が知られている。金型は好ましくは蓋を用いて閉じられる。
【0021】
次のステップe)では発泡材が成形される。当業者には、適切な発泡材を選択することで生じる化学反応による発泡がよく知られている。これに関連し、化学反応の持続時間は立ち上がり時間と呼ばれる。立ち上がり時間は、時間制御及び/またはセンサで制御される対応の装置によって測定され、センサが、金型内及び/または金型外の温度、金型内の圧力、化学反応残留物及び/または主生成物及び/または副生成物の濃度、分布及び/または比率を記録する。あるいは、立ち上がり時間の推定は経験に基づいて行われる。
【0022】
本発明の範囲において、一方では真空及び/または負圧の相互作用があり、他方では発泡プロセスにより生じる圧力があるため、プロファイル面の明確な予備変形が生じる。これに関連し、真空及び/または負圧が発泡プロセスの全体にわたって維持されることが本発明の本質である。このようにして、プロファイル面と発泡裏当てとの間に材料を接合した接続部が生じ、発泡裏当ての均一な密度との相互作用により、発泡プロセスの完了後に成形品に応力差が生じなくなる。その結果、変形が効果的に防止される。
【0023】
特に、カバー材と発泡裏当てとの間に応力が生じない。発泡裏当ての内部、特にプロファイル面の領域に応力が発生しないため、プロファイル面の領域でであっても形状が維持され、変形が生じない。
【0024】
最後のステップf)では、金型が開かれ、発泡裏当て付き成形品が取り出される。このことには、この方法で製造された発泡裏当てのプロファイル面が含まれる。このプロファイル面は、金型が逆プロファイル面を有し、カバー材が真空及び/または負圧によって吸引され、発泡プロセス中に生じる圧力により予備成形されているために得られるものである。さらに、発泡裏当てが均一な密度であることによりそのプロファイルが受け入れられる。また、発泡裏当てとカバー材との間の材料の接合により、発泡裏当てからのカバー材の分離が防止される。真空及び/または負圧によってカバー材を予備変形させるとともに発泡材を注入することによって、他で詳細に説明した効果を有する発泡体を製造でき、その発泡体には、発泡体の気泡の実質的に均一なサイズと分布に起因する実質的に均一な密度により内部応力が生じない。
【0025】
「実質的に」という用語は、対応する条件からのごく小さな、特に取るに足りない変更、修正及び/または逸脱のみが起こることを意味する。
【0026】
発泡プロセスの完了後且つ取り出し前に真空及び/または負圧を弱めると、成形品の取り出しが著しく容易になることは当業者には明らかである。真空及び/または負圧が、金型を開く前、開いている間、または開いた後のいずれで弱められるかはこの方法では重要ではない。同様に、真空及び/または負圧が、発泡裏当て付き成形品の取り出し前、取り出し中、または取り出し後のいずれで弱められるかは重要でないが、真空及び/または負圧は、取り出し前に弱めることが好ましい。その理由は、前述したように、発泡裏当て付き成形品の取り出しがこのように著しく容易になるからである。
【0027】
したがって、本発明に係る方法によれば、耐久性があって本質的に安定した発泡裏打ち付き成形品を、少ない製造ステップ数で確実に製造することが可能であり、成形品は、必要に応じ、耐久性があって同じ状態を保つプロファイル面を有し、且つ個別に調整可能なプロファイル面を有する。この方法は、特に、方法のステップ数の削減により、費用効率が高く、迅速かつ容易に実施可能である。この成形品は、均一に柔軟であり、一時的または継続的な圧力による連続する変形に対して耐性を有する。
【0028】
従属請求項に記載されている本発明の有利な実施形態は、個別に、または互いに組み合わせて実施することができる。
【0029】
他の実施形態では、金型の一部または全体を耐熱性プラスチック、金属、合金及び/またはそれらの混合物で形成することが考えられる。金型の一部または全体は耐熱性プラスチックで形成することが特に好ましい。従来の技術では、アルミニウムまたは鉄などの金属、鋼などの合金、及び/またはそれらの混合物で金型を製造することが一般的であり、それはこれらが他の箇所で述べるような利点を有するからである。しかしながら、本発明の範囲では、これらの材料は熱伝導性を有する。例えば、鋼の熱伝導率は80.2W/(m・K)であり、種々のアルミニウム合金の熱伝導率は75W/(m・K)から235W/(m・K)の範囲である。また、発泡プロセス中に熱が発生し、これが発泡プロセスの全体的及び/または均一な反応を引き起こす。しかしながら、この熱は、その熱伝導性のために、金型が形成される材料から放出され、温度バランスの設定が、反応が確実に、均一に、及び/または全体的に起こるには小さくなりすぎる。従来技術では、そのために金型を人為的にさらに加熱することが知られている。さらに、プラスチックの熱伝導率は先に述べた材料よりも小さいことが知られている。金型の一部または全部がこの種のプラスチックで形成されると、発泡プロセス中に発生する熱の放出が少なくなるので、金型内がより高温になり、内部の温度差が大きくなる。このようにして、熱を外部からさらに供給することは、それほど必要でなくなるか、あるいは完全に省くことも可能になる。プラスチックは10W/(m・K)未満の熱伝導率を有することが好ましい。さらには、プラスチックは5W/(m・K)未満の熱伝導率を有することが好ましい。これに関連し、使用されるプラスチックは、生じる反応熱に対して耐熱性を有していなければならない。当業者には、それに適したプラスチックが知られている。
【0030】
さらに、金型が少なくとも1つの第1モジュール及び少なくとも1つの第2モジュールを備え、少なくとも1つの第1モジュールの一部または全体が第1材料で形成され、少なくとも1つの第2モジュールの一部または全体が第2材料で形成され、第1材料と第2材料を同じまたは異ならせるようにしてもよい。ここで、第1モジュールは、好ましくは、金型に必要な安定性を持たせ、発泡裏当て付き成形品の外寸及び正面外側金型構造を決定するベース本体である。金型を、2,3,4,5,6,7,8,9,10個またはそれより多い異なる構成の第1モジュールを有するものにしてもよい。第1モジュールは、第2モジュール及び/または他のモジュールに連結するのに適した構造を有することが好ましい。しかしながら、それに加えて、またはそれに代えて、第2モジュールを第1モジュールに接続するのに適した構造にしてもよい。第2モジュールは、好ましくは逆プロファイル面を有する。第2モジュールを用いることにより発泡裏当て付き成形品のプロファイル面が構成される。2,3,4,5,6,7,8,9,10個またはそれより多い異なる構成の第2モジュールを有する金型も考えられる。本発明の範囲において、発泡裏当て付き成形品は、異なる発泡裏当て付き成形品と同じ外寸及び同じ正面外側金型構造を有するが、プロファイルの構成に関しては、それとは異なることが望ましい場合がある。このような場合、逆プロファイル面の変更が可能であることが望ましい。金型が第1の逆プロファイル面を有する少なくとも1つの第1の第2モジュールと、第1の逆プロファイル面とは異なる第2の逆プロファイル面を有する第2の第2モジュールとを有する場合、第1の第2モジュールまたは第2の第2モジュールを必要に応じて一体化して、逆プロファイル面を変更し、同一の金型を用いて一つの構成のプロファイル面及び他の構成のプロファイル面を有する発泡裏当て付き成形品を製造することが可能になる。これに関し、限られた範囲だけを適合させるために、第2の第2モジュールを第1の第2モジュールと一体にしてもよい。この適合は、例えば、チャージ番号及び/または商標のシンボルマークを入れるようにしてもよく、他の用途も考えられる。さらに、発泡裏当て付き成形品は、他の発泡裏当て付き成形品と外寸及び/または正面外側金型構造が異なる一方で、他の発泡裏当て付き成形品と同じプロファイルのプロファイル面を有することが望ましい場合もある。このような場合、ベース本体が変更可能であることが望ましい。金型が、第1外寸及び第1正面外側金型構造を決定する少なくとも1つの第1の第1モジュールと、第1外寸とは異なる第2寸法及び/または第1正面外側金型構造とは異なる第2正面外側金型構造を決定する第2の第1モジュールとを有する場合、必要に応じて第1の第1モジュールまたは第2の第1モジュールを金型と一体にして、外寸及び/または正面外側金型構造を決定し、同一の金型を用いて、第1外寸及び第1正面外側金型構造を有する発泡裏当て付き成形品と、第2外寸及び第2正面外側金型構造を有する発泡裏当て付き成形品の両方を製造することが可能になる。変更可能な金型によって実現されるコストと材料の節約は効果的である。また、既存の金型を用いて別の金型を製造することも可能であるため、プロファイル面、外寸及び/または正面外側金型構造を、必要な任意の方法で適合させることもできる。同様に、損傷したモジュールだけを交換して残りのモジュールは使用を継続できるため、損傷の修理を安価で行える。好ましくは、第1モジュールを一般的な材料で形成し、第2モジュールをプラスチックで形成することができる。プラスチックの低熱伝導率という効果を一般的な材料の効果とともに利用するために、金型に安定性を持たせる第1モジュールは、他の箇所で述べた特性を有する一般的な材料で形成され、第2モジュールはプラスチックで形成される。本発明の範囲において、第1モジュールは外力及び内力の作用、及び/または環境の影響を第2モジュールよりも大きく受ける。同時に、第2モジュールの全面は、発泡裏当て付き成形品と直接に接触するため、他の箇所で述べたプラスチックの効果が十分に発揮される。用途に応じた他の分け方も考えられる。さらに、モジュールを複数の部品で形成したり、及び複数部分のモジュールの部品を異なる材料で形成したりすることも可能である。
【0031】
本発明のさらに他の実施形態では、金型が少なくとも1つの蓋を有するようにしてもよい。本発明の範囲では、発泡裏当て付き成形品が、異なる発泡裏当て付き成形品と同じプロファイル面、同じ外寸及び/または同じ正面外側金型構造を有するが、その後部の幾何学構造が他の成形品の幾何学構造と異なるのが望ましい場合もある。この場合、金型を閉じることで後部の幾何学構造を決定する蓋を変更できることが望ましい。このことは、金型が、第1構造を有する第1蓋と、第1蓋の第1構造とは異なる第2構造を有する第2蓋とを有する場合に実現される。さらに、金型が3,4,5,6,7,8,9,10個、またはそれより多い異なる構造の蓋を有するようにしてもよい。また、金型が、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個またはそれより多い第1モジュール、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個またはそれより多い第2モジュール、及び/または1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個またはそれより多い蓋を有し、それらの構造とプロファイル面の任意の組み合わせで発泡裏当て付き成形品を製造するようにしてもよい。さらには、モジュールと蓋を標準化して製造すること、すなわち第1金型のモジュールと蓋を第2金型でも使用できるようにしてもよい。
【0032】
さらに他の実施形態では、金型を積層造形プロセス及び/またははつり法によって製造してもよい。積層造形プロセス及びはつり法は、複雑な金型を迅速かつ容易に製造する選択肢となるものである。好ましくは、積層造形プロセスは、3Dプリンティング法であり、装置がコンピュータ制御で1つ以上の液体または固体材料の層を次々に形成するプロセスである。当業者には、このような製造方法では、製造された金型を研磨するなどの仕上げステップが必要になる場合があることが知られている。この方法は、任意の構造の複雑な金型を迅速、正確、自動且つ簡単に製造できることが利点である。
【0033】
本方法のさらに他の実施形態では、カバー材は、本革、ボンデッドレザー、イミテーションレザー、織物、フィルム、複合材料及び/またはそれらの混合物である。カバー材が柔軟で薄く、この方法において生じる温度に対して耐熱性を有することは、本発明にとって必要であると考えられる。この目的のため、材料を処理した後に、材料が、その方法に望ましい及び/または必要な、及び/または意図する用途に必要な、1つもしくはそれ以上またはすべての特性を示すようにすることもできる。処理には、特に、含浸、コーティング、特にフィルムによるコーティング、ホットプレス、収縮、パディング、カレンダリング、ナッピング及び/または縮充があるが、これらには限定されない。
【0034】
「織物」という用語は、適した繊維、特に綿、亜麻、羊毛、絹、ビスコース、リヨセル、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及び/またはポリウレタンで作られた繊維のウェブを指す。織物は、1つまたは複数の異なる素材の繊維を含んでいてもよい。
【0035】
前述した用語の定義及び詳細は、特に断らない限り、以下の説明で記載されるすべての態様に適用される。
【0036】
本発明によれば、カバー材と発泡裏当てを有する成形品であって、カバー材が内側面と外側面とを有し、プロファイルを有するプロファイル面がカバー材の外側面に形成され、内側面に発泡裏当てが配置される成形品が提供される。この成形品は、発泡裏当てが実質的に均一な密度であることを特徴とする。本発明の範囲では、発泡裏当てを有する未縫製の成形品の変形は、特に、より高密度の領域とより低密度の領域が生じる結果である。
【0037】
「実質的に均一な密度」という用語は、発泡裏当て内で発泡した気泡のサイズ及び分布が均一であることを表し、統計的な分散に起因するサイズと分布に関して、わずかで特に取るに足らない修正、変化及び/または逸脱が生じる。
【0038】
本発明に係る成形品によれば、耐久性と弾力性のある発泡裏当て成形品が実現可能となる。この成形品は、必要に応じて個別の構成することと個別に適合させることが可能であり、耐久性があり長持ちするプロファイル面を有する。この成形品は、均一に柔軟な状態を維持し、一時的または連続的な圧力による永久変形に対する耐性を有している。
【0039】
他の実施形態では、成形品が本質的に変形しない(安定する)ようにすることができる。本発明の範囲では、発泡裏当て付き成形品の耐久性は、一時的または永続的な圧力の作用の後に元の形状に戻る能力によって決まる。
【0040】
さらに他の実施形態では、カバー材が、拭き取り可能、耐水性、水密性、耐摩耗性、耐引裂性、耐熱性、耐寒性、耐紫外線性、難燃性、通気性、吸音性及び/または消音性を有するようにしてもよい。本発明の範囲では、カバー材が拭き取り可能であると、汚れた後でも容易に洗浄可能であり、したがって綺麗な外観を保持できるので有利である。耐水性材料は、さらに汚れを防止する。本発明の範囲では、発泡体内へ水が浸入すると、発泡体の目的の使用を損なったり制限したりする可能性がある。このことは、特に、発泡体がその後に乾燥できないか、または多大な労力を費やしてしか乾燥できない場合に起こり、その理由は永続的な水分がカビの形成につながる可能性があるからである。このため、カバー材が水密性を有し、水分の浸入が防止されていると有利である。カバー材が耐摩耗性及び/または耐引裂性であると長期間の使用が可能になる。発泡成形品は自動車に使用すると温度変化にさらされる。日射を受けることは、発泡成形品が紫外線に直接さらされることでもある。さらに、自動車内は周囲温度よりもかなり高い温度になる。したがって、カバー材は、耐熱性、耐寒性、及び/または耐紫外線性を有することが好ましい。特に、限定されるわけではないが、自動車、居住空間及び/または作業空間では、火災の発生時にこれらの空間にいる人が負傷するおそれが高い。このため、火災の防止と封じ込めは重要な関心事である。これが難燃性の材料により実現される。通気性のある材料を使用すると、水分にさらされた場合でも発泡体の乾燥が容易になる。また、圧力によって移動した空気が発泡体から抜け出し、圧力が低下したときに発泡体に再び吸収されることも可能である。このようにして、発泡裏打ち成形品の柔軟さを必要に応じて高めることができる。さらに、成形品は吸音及び/または消音性である。吸音性は、表面での音の反射を減少させるか、または防止する。消音性は、カバー材及び/または発泡材に適したプロファイル及び/または材料を選択することによって得ることができる。吸音性は、特に、適した発泡材料を選択することによって実現される。しかしながら、発泡裏打ち成形品の幾何学的な膨張も吸音の度合いには重要である。当業者には、成形品に吸音性及び/または消音性を持たせるのに適した材料及び/または幾何学的形状が知られている。
【0041】
さらに、カバー材は、先に詳細に説明したように、本革、ボンデッドレザー、イミテーションレザー、織物、フィルム、複合材料及び/またはそれらの混合物にしてもよい。
【0042】
さらに他の実施形態では、プロファイル面が少なくとも1つの段差を有し、段差の高さが少なくとも5mmであるようにしてもよい。本発明の範囲では、少なくとも5mmの高さを有する段差により、成形品に転写されたプロファイル面の視認性が著しく高められる。従来技術に係る方法では、少なくとも5mmの段差をプロファイル面に転写することはできない。発泡裏当てが実質的に均一な密度を有することと、真空及び/または負圧によるカバー材の変形との組み合わせによってのみ、少なくとも5mmのこの段差を正確に、恒久的に、且つ安定して作ることが可能になる。段差の高さは、少なくとも6mm、少なくとも6.5mm、少なくとも7mm、少なくとも7.5mm、少なくとも8mm、少なくとも8.5mm、少なくとも9mm、少なくとも9.5mmまたは少なくとも10mmであることが好ましい。
【0043】
他の実施形態では、発泡材は好ましくはポリウレタンフォームである。ポリウレタン及びその合成、組み合わせ及び/または発泡形成は当業者にはよく知られている。
【0044】
本発明によれば、カバーとして使用するための成形品が提供される。特に、成形品は、車両、壁、内部空間及び/または箱のような輸送設備のためのカバーに用いることが好ましい。一般に、発泡成形品の使用態様は任意であるが、発泡成形品の特性は、発泡成形品がカバーとして使用される場合には特に重要である。車両、壁及び/または内部空間のカバーは、人及び/または物による一時的または永続的な圧力の作用を頻繁に受ける。
【0045】
自動車産業において、発泡成形品は、滑らかなカバー材と柔らかい発泡成形品の組み合わせにより心地よい触感を有するため、室内空間で一般的なものである。さらに、発泡成形品の吸音性及び/または消音性はモータ音のために高く評価されている。さらに、発泡成形品は、車両の動作のために車室内で動く物及び/または人に対して、ある程度の保護となる。しかしながら、この保護は、保護されるべき物及び/または人が内装カバーに衝突したり、それら自体が傾いたり、内装に継続的に寄りかかったりするため、一時的または恒久的な圧力の作用の原因となる。
【0046】
発泡成形品を壁面や室内空間に使用する場合、静かな環境を創り出すために吸音性や消音性も重視される。表面を自由に構成できることは、美的観点から発泡成形品の使用に有利である。
【0047】
箱などの輸送設備は、輸送中には、しばしば路面の凹凸などの外的な影響を受ける。これらは輸送による移動が原因で発生する。この影響による輸送品の損傷は既知の問題である。輸送設備に1つまたは複数の発泡成形品を適合させることにより、輸送される物品への影響を抑えることが可能になる。また、輸送設備に対する輸送品の相対的な移動を禁止するために、発泡成形品を輸送品に適合させるようにしてもよい。
【0048】
本発明によれば、さらに、シートまたはシートの一部として使用するための成形品が提供される。本発明の範囲において、特にシートは、特に目的通りに使用される場合、一時的または恒久的な圧力を受ける。この点に関し、シートは、使用者がシートに座ったときに均一に柔軟であることが望ましい。均一な密度を有する成形品は、上述のように均一に屈する(変形する)。これにより、不快感のある局所的な圧力の現れが防止される。
【0049】
本発明によれば、さらに、衣料品、アクセサリ、スーツケース及び/またはバッグとして使用するための、または衣料品、アクセサリ、スーツケース及び/またはバッグの一部として使用するための成形品が提案される。「アクセサリ」という用語は、衣料用の流行のアクセサリ、例えば、リボン及び/またはブレスレットのような宝飾品の部品またはその一部、生活用の流行のアクセサリ、例えば、マット、ブランケット、コースター、クッション、カーテン及び/またはカバーまたはその一部、及び/または車両用の流行のアクセサリ、例えば、マット、ブランケット、クッション、スクリーン及び/またはカバーまたはその一部を表す。
【0050】
本発明の範囲では、発泡裏当ての範囲が制限されて発泡裏当て付き成形品をフラットにする場合、さらに曲げ可能にすることもできる。このためには、任意の種類の用途、例えば織物に適した用途が考えられる。プロファイルを任意に形成できるため、流行の分野、例えば衣料品、アクセサリ、スーツケース及び/またはバッグに使用する材料が特に適している。衣料品、アクセサリ、スーツケース及び/またはバッグは、1つ以上の発泡成形品を1つまたは連結して構成することができ、または1つもしくは複数の発泡成形品と他の材料、特に織物及び/または金属で構成することができる。
【0051】
従属請求項に関連する好ましい例示的な実施形態について、本発明のさらなる詳細、特徴及び利点を以下に説明する。この点に関し、対応する特徴は、それぞれを単独で、または複数を互いに組み合わせて実施することができる。本発明は、この例示的な実施形態には限定されない。この例示的な実施形態を図に模式的に示す。各図における同一の参照符号は、同一の要素、または同一の機能を有する要素及び/またはその機能について互いに対応する要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、金型の第1モジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、金型の第1モジュールと第2モジュールの上面図である。
【
図3】
図3は、金型の第1モジュールと第2モジュールの横断面図である。
【
図4】
図4は、金型の第1モジュールと第2モジュールの他の横断面図である。
【
図5】
図5は、金型の第1モジュールと第2モジュールの断面の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、金型100の第1モジュール200の斜視図である。第1モジュール200は凹部210を有する。凹部210は、第2モジュール(図示せず)を受け入れるためのものである。さらに、第1モジュール200は負圧溝220を有する。負圧溝220は、第1モジュール200の側面から凹部210の中心まで延びている。負圧溝220は、凹部210の中央の第1端に出口221を有する。負圧溝220の他端は、第1モジュール200の側面に接続部222を有する。接続部222は、負圧及び/または真空を生成及び維持するのに適した装置(図示せず)への接続を可能にするものである。負圧溝220を通じて、空気が負圧及び/または真空によって凹部210から吸引される。このようにして、凹部210が気密にシールされていれば凹部210内も負圧及び/または真空になる。この種の気密シールは、例えばカバー材(図示せず)を挿入することによって実現される。その上、第1モジュール200は、モジュールの取り扱いを容易にする2つの出口230を有する。この例示的な実施形態では、第1モジュール200は綱製である。
【0054】
図2は、金型100の第1モジュール200と第2モジュール300の上面図である。第1モジュール200の凹部210には第2モジュール300が挿入されている。第1モジュール200の横方向に負圧溝220の接続部222が確認できる。第2モジュール300は、逆プロファイル311により形成される逆プロファイル面310を有する。逆プロファイル311は、発泡裏当て付き成形品のプロファイル面に形成すべきプロファイルに対応し、凸部と凹部が逆になっている。この実施形態では、逆プロファイル311は繰り返す波のパターンである。逆プロファイル311を形成するために、逆プロファイル面310はエッジ314と面315を有する。明瞭にするために、
図2には3つのエッジ314と3つの面315のみを例示的に示している。この点に関し、エッジ314は、面315の突き合わせによって形成される。面315の一部は湾曲しており、他の面315はフラットである。この例示的な実施形態では、すべてのエッジ314が湾曲している。しかしながら、まっすぐなエッジを有する異なる逆プロファイル(図示せず)にするために、異なる逆プロファイル(図示せず)を形成してもよい。この例示的な実施形態では、第2モジュール300はプラスチック製である。
【0055】
図3は、金型100の第1モジュール200及び第2モジュール300を通る横断面図を示す。この断面図の切断部は、
図2のA-A線に沿っている。連続する負圧溝220を容易に認識できる。出口222は第2モジュール300の下で終わっている。さらに、接続部222を容易に視認できる。第2モジュール300の逆プロファイル面310はエッジ314と面315を有する。さらに、逆プロファイル面310は凸部312と凹部313を有する。明瞭にするために、
図3では、2つのエッジ314,2つの面315,2つの凸部312及び2つの凹部313を例示している。最初に示された面315aは湾曲している。
【0056】
図4は、金型100の第1モジュール200及び第2モジュール300の他の横断面図を示す。この断面図の切断面は
図2のC-C線に沿っている。第2モジュールは逆プロファイル面310を有する。同様に、面315の一つが例示されている。例示した面315はフラットである。
【0057】
図5は、
図4においてBで特定された部分についての
図4の断図の詳細を示す。
図5は、B部を拡大した詳細である。金型100の第1モジュール200と第2モジュール300が明確に示されている。拡大したことにより、逆プロファイル面310の凹部313に配置された開口320を容易に認識できる。開口320は、モジュール300の上面とモジュール300の下面とに繋がるように連続している。
図5では、開口320が閉じているように見えるが、これは工学図面の性質によるものである。開口320の両端の線は、開口320の縁を示す。開口320は、点状でもよいし長円状でもよい。さらに、第2モジュール300は足330を有する。足330により第2モジュール300が第1モジュール100から間隔をあけて配置され、それによって第2モジュール300と第1モジュール200の間にキャビティ340が形成される。本発明のこの実施形態では、足330は円形であるが、他の機能的な形態も可能である。さらに、この実施形態では、キャビティ340は1つだけ形成されており、個々のキャビティ340は他の位置(図示せず)で繋がる。明瞭にするために、2つの凹部313,2つの開口320及び2つの足330と、2箇所のキャビティ340のみを例示している。凹部210内の第2モジュール300の下方には、前述したように負圧及び/または真空を発生させることができる。キャビティ340により、第2モジュール300の下方の全域を負圧及び/または真空にすることが可能になる。連続する開口320により、第2モジュール300の上面が負圧及び/または真空になる。ここで、カバー材(図示せず)が第1モジュール200と第2モジュール300の上に置かれて負圧及び/または真空が発生すると、カバー材(図示せず)は第2モジュール300に向かう力を受け、その力によりカバー材が逆プロファイル面310に引き込まれる。このように作用する力により、カバー材(図示せず)は予備変形する。カバー材(図示せず)がこのプロセス中に周囲に対して凹部210内の空間をシールするので、負圧及び/または真空を維持できる。
【国際調査報告】