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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】マイクロベンチOCTの設計
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546067
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2022052220
(87)【国際公開番号】W WO2022162224
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/144,376
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/230,970
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503317201
【氏名又は名称】カール ツァイス メディテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Meditec Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エベレット、マット
(72)【発明者】
【氏名】シュモル、ティルマン
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AB03
4C316AB04
4C316AB11
4C316FY01
(57)【要約】
OCTシステムは、マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ上に構築される。本OCTシステムは、自由空間光学部品を使用し、かつ光ファイバの使用を回避し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル(例えば、眼)を撮像するための医療用の光断層撮影システムであって、
気密封止されたマイクロパッケージであって、
i)光源およびビーム分割器を支持するベースであって、前記光源が光のビームを生成し、前記ビーム分割器が、光の第1の部分を参照アームに指向させ、光の第2の部分をサンプルアームに指向させる、前記ベースと、
ii)前記マイクロパッケージの内側と外側との間の界面を提供する透過性要素であって、前記サンプルアームに沿っており、かつ光の前記第2の部分に対して少なくとも部分的に透過性である、前記透過性要素と、を収容する、前記マイクロパッケージと、
前記サンプルアーム及び前記参照アームから戻る光を受光し、受光した光に応答して信号を生成する検出器と、
前記信号を画像データに変換するプロセッサと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記光断層撮影システムは、掃引光源の光干渉断層撮影(以下、OCTとする)システムであり、かつサンプルが常に前記システムの深度撮像ウィンドウ内にあるような十分に大きい撮像深度を生成し、
前記検出器は、前記マイクロパッケージ内に収容され、
前記ベースは半導体基板であり、かつ前記ベース上に組み込まれるとともに、前記検出器からの信号をデジタル化するように構成されたデジタル化回路を含み、
前記画像データは、前記深度撮像ウィンドウ内の所望の深度範囲を電子ディスプレイ上に表示するために切り取られ、前記所望の深度範囲は、データ取得スキャン中に動的に変化する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記深度範囲は、サンプルの曲率に従うように変更される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記深度範囲は、Bスキャン内のAスキャン中に変更される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、サンプルが常に前記システムの深度撮像ウィンドウ内にあるような十分に大きい撮像深度を生成し、
前記参照アームは、前記マイクロパッケージ内に完全に封入され、かつ前記サンプルアームの光学経路長と不整合の光学経路長を有し、
前記システムは、前記ベースによって支持された光変調器であって、光の前記第1の部分または光の前記第2の部分のうちの1つの光の周波数をシフトさせて、前記参照アームの前記光学経路長が前記撮像深度により厳密に一致した場合に得られるスペクトル成分に対応するスペクトル成分を有する変調されたOCT信号を形成するように構成された前記光変調器をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、サンプルが常に深度撮像ウィンドウ内にあるような十分に大きい撮像深度を生成し、
前記参照アームは、前記マイクロパッケージ内に完全に封入され、かつ前記サンプルアームの光学経路長と不整合の光学経路長を有し、
前記システムは、前記ベースによって支持された周波数混合器であって、前記検出器からの前記信号を前記深度撮像ウィンドウのエッジに対応する周波数と周波数ミキシングして、前記参照アームの前記光学経路長が前記撮像深度により厳密に一致した場合に得られるスペクトル成分に対応するスペクトル成分を有するダウンミックスされたOCT信号を生成するように構成された前記周波数混合器をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記深度撮像ウィンドウのエッジに対応する前記周波数は、遅いAスキャン速度での予備スキャン掃引の使用によって決定され、前記予備スキャン掃引から前記深度撮像ウィンドウのエッジに対応する前記周波数を決定した後に、より速いAスキャン速度でのより速いスキャン掃引が続く、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
気密封止された前記マイクロパッケージは、真空を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
気密封止された前記マイクロパッケージは、活性半導体光学材料の劣化を軽減するガスを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ビーム分割器は、第1の偏光ビームスプリッタであり、
前記サンプルアームおよび前記参照アームから戻る光を受光する前記検出器は、第1の検出器であり、
前記ベースは、さらに、
前記光源を前記第1の偏光ビームスプリッタに光学的に結合する第1の波長板と、
前記サンプルアーム内の第2の波長板および前記参照アーム内の第3の波長板と、
第4の波長板および第2の偏光ビームスプリッタであって、前記サンプルアームおよび前記参照アームから戻る光が、前記第1の偏光ビームスプリッタにおいて結合され、かつ前記第4の波長板を通って、干渉生成器として機能する前記第2の偏光ビームスプリッタに送られる、前記第4の波長板および前記第2の偏光ビームスプリッタと、
第2の検出器であって、前記第1の検出器および前記第2の検出器は、前記第2の偏光ビームスプリッタに結合されて、それに応答して信号を生成する、前記第2の検出器と、を支持する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ベースは、前記第1の偏光ビームスプリッタと前記第2の偏光ビームスプリッタとの間の光路内にあるピンホールをさらに支持する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の波長板は、前記透過性要素である、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1、第2、第3、および第4の波長板は、全て同じ位相遅延を有する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の波長板および前記第4の波長板は、半波長板であり、
前記第2の波長板及び前記第3の波長板は、四分の一波長板である、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
全てのサンプルアームの光学部品は、前記マイクロパッケージの一部である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ビーム分割器は、第1の偏光ビームスプリッタであり、
前記サンプルアームおよび前記参照アームから戻る光を受光する前記検出器は、前記ベースによって支持され、かつ第1の検出器であり、
前記ベースは、さらに、
前記光源を前記第1の偏光ビームスプリッタに光学的に結合する第1の波長板と、
前記サンプルアーム内の第2の波長板および前記参照アーム内の第3の波長板と、
第4の波長板および第2の偏光ビームスプリッタであって、前記サンプルアームおよび前記参照アームから戻る光が、前記第1の偏光ビームスプリッタにおいて結合され、かつ前記第4の波長板を通って、干渉生成器として機能する前記第2の偏光ビームスプリッタに送られる、前記第4の波長板および前記第2の偏光ビームスプリッタと、
第2の検出器であって、前記第1の検出器および前記第2の検出器は、前記第2の偏光ビームスプリッタに結合され、前記第2の偏光ビームスプリッタに応答して信号を生成する、前記第2の検出器と、
ファラデー回転子、第5の波長板、第6の波長板、第3の偏光ビームスプリッタ、第4の偏光ビームスプリッタ、第3の検出器、および第4の検出器と、を支持し、
前記ファラデー回転子および前記第2の波長板は、前記第1の偏光ビームスプリッタと前記第3の偏光ビームスプリッタとの間の光路内にあり、
前記第3の偏光ビームスプリッタは、前記第1の偏光ビームスプリッタから受け取る光の第1の部分を、前記第5の波長板を通って第2の参照アームに指向させ、前記第1の偏光ビームスプリッタから受け取る光の第2の部分を、第2のサンプルアームに指向させ、
前記第6の波長板は、前記第3の偏光ビームスプリッタを前記第4の偏光ビームスプリッタに光学的に結合させ、
前記第3の検出器および前記第4の検出器は、前記第4の偏光ビームスプリッタから、前記第2の参照アームおよび前記第2のサンプルアームから戻る光を受光し、それに応答して信号を生成する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記ビーム分割器は、第1の偏光ビームスプリッタであり、
前記サンプルアームおよび前記参照アームから戻る光を受光する前記検出器は、前記ベースによって支持され、かつ第1の検出器であり、
前記ベースは、さらに、
前記光源を前記第1の偏光ビームスプリッタに光学的に結合する第1の波長板と、
前記サンプルアーム内の第2の波長板および前記参照アーム内の第3の波長板と、
第4の波長板および非偏光ビームスプリッタであって、前記サンプルアームおよび前記参照アームから戻る光が、前記第1の偏光ビームスプリッタにおいて結合され、かつ前記第4の波長板を通って前記非偏光ビームスプリッタに送られる、前記第4の波長板および前記非偏光ビームスプリッタと、
第2の偏光ビームスプリッタおよび第2の検出器であって、前記第2の偏光ビームスプリッタは、前記非偏光ビームスプリッタによって受光された光の一部を受光し、前記第1の検出器および前記第2の検出器は、前記第2の偏光ビームスプリッタに結合されて、それに応答して信号を生成する、前記第2の偏光ビームスプリッタおよび前記第2の検出器と、
第3の偏光ビームスプリッタ、第5の波長板、第3の検出器、および第4の検出器と、を支持し、前記第3の偏光ビームスプリッタは、前記非偏光ビームスプリッタによって受光された光の一部を前記第5の波長板を介して受光し、前記第3の検出器および前記第4の検出器は、前記第3の偏光ビームスプリッタに結合されて、それに応答して信号を生成する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記ベースは、前記ビーム分割器を前記検出器に接続するためのファイバカプラをさらに支持する、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記ビーム分割器、前記参照アーム、および前記サンプルアームは、第1の干渉計の一部であり、
前記ベースは、第2のビームスプリッタ、第1のミラー、および第2のミラーを含む第2の干渉計をさらに支持し、前記光源からの光の一部は、OCTシステムのスキャン掃引を線形化するためのクロックを生成するために前記第2の干渉計に指向される、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の干渉計は、部分透過ミラーによって前記第1の干渉計の前記参照アームに光学的に結合される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記光源は、中心周波数が異なり、かつ波長範囲が制限された複数のレーザを含み、
前記ベースは、前記複数のレーザからの光を結合して、各レーザの個別の波長範囲よりも大きい結合掃引帯域幅を形成するための少なくとも1つのダイクロイックミラーをさらに支持する、請求項1乃至20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記光源は、中心周波数が異なり、かつ波長範囲が制限された複数のレーザを含み、前記複数のレーザは、前記サンプル上の同じ領域を順次スキャンするように順次動作し、
前記検出器は、前記複数のレーザが順次動作することにより前記サンプルアーム及び前記参照アームから順次戻る光を順次検出する、請求項1乃至20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記マイクロパッケージは撮像モジュールの一部であり、前記システムは、
球面運動を形成する移送システムと、
前記撮像モジュールは、前記移送システムに結合され、かつ前記移送システムによってほぼ前記球面運動で移動可能であり、
前記撮像モジュールを前記サンプル上の目標点にアライメントするために、前記撮像モジュールに傾斜機能を提供するジンバルと、をさらに備える、請求項1乃至22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記サンプルは眼であり、前記目標点は眼の瞳孔であり、前記システムは、
前記眼の瞳孔の中心を追跡し、かつフィードバック信号を前記ジンバルに提供して、前記撮像モジュールのアライメントを維持する瞳孔カメラと、をさらに備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記移送システムは、回転可能な支柱を含み、前記支柱の回転は、前記球面運動を少なくとも部分的に形成する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記移送システムは、回転可能な球面を含み、前記球面は、前記撮像モジュールを前記球面の内部で半径方向に移動させるための半径方向ガイドを有する、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記ベースは、マイクロ光学ベンチおよび半導体光学ベンチのうちの1つである、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記システムは、光干渉断層撮影(以下、OCTとする)システム、OCT血管造影システム、および光相関領域反射測定(OCDR)システムのうちの1つである、請求項1乃至27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記ベースは、マイクロ光学デバイスのための所定のアライメントを実現するために、前記マイクロ光学デバイスを所定の位置、高さ、および配向で受容するように構成される表面上の凹部開口を有する、請求項1乃至28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記マイクロパッケージは、前記ベースに結合されたリッドを含み、前記リッドは、前記ベースの表面に対向する表面上に対応する開口を有し、前記リッド上の前記開口は、前記マイクロ光学デバイスの前記所定のアライメントを維持するために、前記マイクロ光学デバイスを受容するように構成される、請求項29に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、光干渉断層撮影(OCT:optical coherence tomography)および光相関領域反射測定(OCDR:Optical Coherence Domain Reflectometry)システムの分野に関する。より具体的には、本発明は、低コストおよび/または小型のOCTおよびOCDRシステムの設計/構築におけるマイクロ光学部品(micro-optics)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
小型で低コストの光干渉断層撮影(OCT)システムおよび光相関領域反射測定(OCDR)システムの必要性が高くなっている。OCDRシステムは、光サンプリングビームに沿って軸方向にサンプル内の光散乱/反射率を測定し、一方、OCTシステムは、軸方向照明に直交する方向に沿った複数のそのような測定を組み合わせて、サンプルの断面画像または断層画像を生成する。典型的には、サンプルは生体組織であるが、他の種類の材料であり得る。
【0003】
これまで、より低コストのシステムを達成するための2つの主要な手法、即ち、サイズおよびコストを低減するための古典的な「巨視的な」OCDR/OCTシステム(例えば、個別バルク光学部品および/または光ファイバを使用したバルク光学系)の再設計、およびOCDR/OCTシステムの半導体チップへの実装、所謂「OCTオン・チップ」の研究があった。巨視的なOCDR/OCTシステムの再設計は、概して、光ファイバによって接続される一組の部品(例えば、光源、スプリッタ等)からなるが、個々の部品のコストおよびシステムの全体的な製造コストのため、これまで、所望のコスト削減目標を達成することが不可能であった。「OCTオン・チップ」システムは、小型化およびコスト削減目標を達成する可能性を有するが、例えば、フォトニック集積回路(PIC:photonic integrated circuit)の設計および製造への研究開発などの高い初期投資コスト、ならびに大規模半導体チップ(例えば、PIC)の製造施設の開発および建設への投資などの法外に高価な経常外経費(NRE:non-recurring expenses)を伴う。
【0004】
フォトニック集積回路に代わるものは、所謂マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチの使用である。レンズ、光源、および他の光学部品を取り付けることができる直線状の剛性バーまたはベース(典型的には目盛りが付けられている)であり得る典型的な光学ベンチ(または光学テーブルまたは光学ブレッドボード)と同様に、マイクロ光学ベンチは、マイクロ光学部品を受容または取り付けるための場所(例えば、キャビティまたはピット)が構築された基板ベース(セラミックベンチまたは他のベース材料など)である。
【0005】
光学システムの構築におけるマイクロ光学ベンチの可能性が認識されている。例えば、光源(例えば、掃引光源の光源)は、マイクロ光学ベンチ上に実装されており、これらの光源は、巨視的な(例えば、バルク光学ベースの)掃引光源OCTシステムの構築において使用されている。掃引光源照明光を提供することに加えて、マイクロ光学ベンチは、わずかな光学遅延で掃引光源光をそれ自身と干渉させて、OCT検出システムをトリガするか、または掃引光源の掃引速度における非線形性を補正するためのいずれかに使用することができる変調信号を生成するkクロック干渉計を実装するためにも使用されてきた。この実装の例は、非特許文献1に記載されている.
半導体光学ベンチは、PIC型基板(例えば、単結晶シリコンまたは他の半導体ウェハ)上に構築/成長される。半導体光学ベンチは、個別部品を受容するための開口(例えば、キャビティ又はピット)を表面上に有することに加えて、集積回路も含み得る。半導体光学ベンチは、電気通信用途において(例えば、光トランシーバとして)用いられてきた。半導体光学ベンチを使用することで、潜在的に、自律車両用のサイズが低減されかつ費用効率の高いLIDARモジュールを実現できる可能性があると考えられている。それにもかかわらず、発明者の知る限りでは、半導体光学ベンチは、医療用撮像またはOCTの分野で使用されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】バート・ジョンソン(Bart Johnson)、ワリード・アティア(Walid Atia)、スンボム・ウ(Seungbum Woo)、カルロス・メレンデス(Carlos Melendez)、マーク・クズネツォフ(Mark Kuznetsov)、ティム・フォード(Tim Ford)、ネイト・ケンプ(Nate Kemp)、ジョーイ・ジャブール(Joey Jabbour)、エド・マロン(Ed Mallon)、ピーター・ホイットニー(Peter Whitney)著、「OCTおよびLiDAR用にポンプおよびSOAをコパッケージした波長可変1060nmのVCSEL(Tunable 1060 nm VCSEL co-packaged with pump and SOA for OCT and LiDAR)」、SPIEの議事録(Proc.SPIE10867)、生物医学XXIIIにおける光干渉断層撮影および相関領域光学法(Optical Coherence Tomography and Coherence Domain Optical Methods in Biomedicine XXIII)、1086706(2019年2月22日)、doi:10.1117/12.2510395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、OCT/OCDRシステムのコストおよびサイズを低減することである。
本発明の別の目的は、OCT/OCDRシステムの設計および構築を簡略化して、例えば、光ファイバの使用を最小限に抑え、マイクロ光学部品の使用を最大限にすることである。
【0008】
本発明の別の目的は、OCTの並列化と、スキャンの小型設計への統合とを提供することである。
本発明のさらなる目的は、OCT/OCDRシステムの較正を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ上にOCT/OCDRシステムを構築する利点を特定し、それらの利点を最大化するOCT/OCDRシステムにおいて達成される。本発明は、マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチを使用して、小型で低コストの光干渉断層撮影(OCT)システムおよび光相関領域反射測定(OCDR)システムを実現する。マイクロ光学ベンチ及び半導体光学ベンチの両方は、(例えば、別個の)マイクロ光学部品を支持及び位置合わせする(典型的には剛性の)ベースとして説明され得るが、半導体光学ベンチは、一般にマイクロ光学ベンチよりも小さく、かつ構成材料及び製造プロセスが異なり得る。マイクロ光学ベンチは、典型的には、いくつかのマイクロ光学要素を収容する剛性キャリア(セラミックベンチまたは他のベース材料等)であり、それらは、ロボットによって配置され、かつ多くの場合、アクティブにアライメントされる。典型的なレンズ直径は、0.5mm~2.5mmの範囲内である。マイクロ光学ベンチを収容するための一般的なパッケージは、標準(例えば、14ピン)バタフライパッケージ(butterfly package)または表面実装デバイス(SMD:surface mount device)パッケージ(または他のマイクロパッケージ/集積回路パッケージ)である。半導体光学ベンチは、典型的には、マイクロ光学ベンチよりも小さく、かつ表面上に凹部開口(例えば、レセプタクル、キャビティ、またはピット)を有する(例えば、成長)基板(例えば、シリコンウェーハ)からなり、凹部開口は、マイクロ光学部品または他の(例えば、個別の)部品を所定の(X、Y、Z)位置および配向で受容および保持するように設計される。これは、受容した部品のアクティブアライメントの必要性を排除(または低減)し得る。任意選択的に、本発明によれば、半導体光学ベンチはまた、半導体光学ベンチ内/上に構成/成長/構築された集積回路(IC)および/またはフォトニック集積光学部品、PIC(例えば、集積光回路)を有し得る。本出願は、半導体光学ベンチと区別するために、上述したように、わずかに大きい、典型的には剛性ベースの変形形態および/または緩和アライメントの変形形態に対してマイクロ光学ベンチ(またはマイクロベンチ)という用語を使用するが、半導体光学ベンチは、従来技術においてマイクロ光学ベンチと呼ばれることもあることが認識されている。
【0010】
マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチのいずれか上のOCT/OCDRの実装は、従来のバルク光学(例えば、巨視的な)システムのバルク光学部品およびファイバ光学部品をマイクロ光学部品で置換することで、大幅にコストを削減することができる。また、半導体光学ベンチ手法は、上述した「OCTオン・チップ」手法と同様に、アクティブアライメントの必要性を排除するため、「OCTオン・チップ」で期待されるコストと同様のコストを実現し得る。半導体光学ベンチ概念は、マイクロ光学ベンチ手法よりも多くの経常外経費(NRE)を必要とし得るが、両方の手法は、現在の技術状態から「OCTオン・チップ」概念よりもより低い開発努力で実現することができ、同時に「巨視的な」OCDR/OCTシステムの再設計と比較して、より大きなコスト削減および信頼性の向上を依然として実現する。マイクロ光学ベンチ手法はまた、部品がチップ材料から構築される必要がないため、部品の統合においてより大きな柔軟性を提供する。
【0011】
本発明のいくつかの特徴/新たな手法は、マイクロ部品(例えば、マイクロ光学部品)を有し、かつ/または光ファイバが排除されたマイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ上のOCDR/OCTシステムの実装を含む。バルク光学部品(「巨視的な」OCDR/OCTシステムまたは「バルク光学」OCDR/OCTシステムに使用されるもの等)は、高価であり、かつ部品間のアライメントの問題に対処することに関連する追加的な有意のコストが発生する。光ファイバは、バルク光学系におけるアライメント課題の多くに対処する一方で、温度依存性および動き感受性偏光効果(motion sensitive polarization effects)を追加することによってシステムの安定性を低下させ、ファイバ長の変動性により、設計および製造プロセスが複雑になる。本手法(特に、半導体光学ベンチを使用する)は、アライメント/較正問題を最小限に抑えた、信頼性の高い自由空間光学部品(free space optics)のOCT/OCDRシステムの作成を可能にする。
【0012】
本発明のその他の目的及び達成事項は、本発明のより十分な理解と共に、添付の図面と併せて解釈される以下の説明と特許請求の範囲を参照することにより明らかとなり、理解されるであろう。
【0013】
本発明の理解を容易にするために、本明細書においていくつかの刊行物を引用または参照している。本明細書で引用または参照される全ての刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
本明細書で開示される実施形態は例にすぎず、本開示の範囲はそれらに限定されない。1つの請求カテゴリ、例えばシステムにおいて記載される何れの実施形態の特徴も、他の請求カテゴリ、例えば方法においても特許請求できる。付属の請求項中の従属性又は後方参照は、形式的な理由のためにのみ選択されている。しかしながら、それ以前の請求項への慎重な後方参照から得られる何れの主題もまた特許請求でき、それによって請求項及びその特徴のあらゆる組合せが開示され、付属の特許請求の範囲の中で選択された従属性に関係なく、特許請求できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面では、同様の参照記号/文字が同様の構成要素を指す。
図1A】概略的な周波数領域光干渉断層撮影(FD-OCT)システムを示す図である。
図1B】一例のen face血管系画像を示す図である。
図1C】血管系(OCTA)画像の例示的なBスキャンを示す図である。
図1D】参照アームおよびサンプルアームから戻る光の間の干渉を生成するために偏光子を使用する直交偏光状態を有するOCTを示す図である。
図1E】例示的なコンピュータシステム(またはコンピューティングデバイスまたはコンピュータ)を示す図である。
図2A-2B】図2Aは、半導体光学ベンチ13上(又は代替的にマイクロ光学ベンチ上)の例示的なOCTシステム11を示す図であり、図2Bは、ウィンドウW(または他の透過性要素)が、光ファイバを使用すること以外に、気密封止ベンチ13と外界との間のインタフェースとして使用される、図2AのOCTシステムの代替実施形態を示す図である。
図2C-2D】図2Cは、参照アームRefArmが光学ベンチ13上に完全に組み込まれ/集積されており、光学ベンチ13と外界との間の参照アームのインタフェースの必要性を排除する、別の代替実施形態を示す図であり、図2Dは、2つの検出経路PthAおよびPthBを有し、かつマイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ13上に実装されたPS-OCTの一例を示す図である。
図2E-2F】図2Eは、検出アーム内(ピンホールPの下)の光が、2つの個々の偏光ビームスプリッタPBS2およびPBS3に移動する前に、最初に非偏光ビームスプリッタ非PBSによって分割される、直交検出器手法を示す図であり、図2Fは、ウィンドウWを使用してベンチとサンプルアームおよび参照アームとの間を接続し、ファイバカップリング(31および33)を使用して検出器38,40と接続する、OCTシステムの代替実施形態を示す図である。
図2G-2H】掃引光源OCTシステムにおいて見出され得る、光源の周波数掃引における非線形性の問題に対処する2つの実施形態を示す図である。
図3】検出アーム内で光を受光し、それをシリコンウェハ表面に、それによって集積検出器D1,D2にリダイレクトするのに適した偏光ビームスプリッタPBSの例を示す図である。
図4A-4B】図4Aは、ダイクロイックミラー45を使用して複数のVCSEL(41/43)を組み合わせる1つの方法を示す図であり、図4Bは、図4AのVCSEL41/43が同時に動作された場合などに、OCTの検出端における光を異なる検出器(47/49)に分割するための別のダイクロイックミラー51の使用を示す図である。
図5】異なる波長帯域をカバーする複数のVCSELを用いてサンプル組織内の所与の位置をスキャンする代替の方法を示す図である。
図6】(本発明による)OCT撮像モジュールを瞳孔中心に向けるための例示的な誘導システムを示す図である。
図7A-7B】図7Aは、撮像モジュールをスキャンするための枢動システムであり、1つまたは複数の枢動点を使用して球の表面に沿って撮像モジュールを移動させるための構造を示す図であり、図7Bは、構造体が回転または枢動されるときの図7Aの撮像プラットフォームの変位を示す図である。
図7C-7D】図7Cは、撮像モジュールをスキャンするための別の枢動システムであり、図7Aの有効枢動点を機械的にシフトさせるための機構を示す図であり、図7Dは、構造が回転または枢動されるときの図7Cの撮像プラットフォームの変位を示す図である。
図8】本発明が、「瞳孔ボックス」として知られる非常に制限されたエリア、及び任意選択的に眼科用レンズの必要性を排除又は低減し得ることを示す図である。
図9A】スキャンシステム(または「OCTアセンブリ」OA1)を物理的に移動させて、極座標ベースのシステムの使用を通して眼を横断してスキャンする別の手法を示す図である。
図9B-9C】図9Bは、患者の眼に対する半径方向スライドRS1の拡大正面図を提供する図であり、図9Cは、球面スキャンアセンブリ、特にOCTAスキャンに適した例示的なスキャンパターンを示す図である。
図10】本撮像システムが横断する球面の背後の固視ターゲット(fixation target)の配置を示す図である。
図11】本発明のスキャンモジュールを平行移動させることによる、制限された視野の連続的な取得を示す図である。
図12】スキャンミラーに入射するビームが、全て同じ位置でスキャンミラーに当たるが、ラインに沿って異なる角度から入射するラインのビームである構成を示す図である。
図13A】アレイをわずかに回転させることによって、2Dアレイを垂直方向に沿って等しい間隔を有する一組の点に変換する別の方法を示す図である。
図13B】VCSELのアレイが平行四辺形の形態であり、各行または各列がスキャン方向に対してわずかに垂直にシフトされている、図13Aと同様の効果を達成する別の方法を示す図である。
図13C】垂直方向及び水平方向におけるVCSELの数が著しく異なり得ることを示す図である。
図14A-14B】ビームアレイをレンズレットアレイ(またはレンズアレイ)を通過させて、開口数とピッチの積の量を調整して、網膜上の結像を最適化することを示す図である。
図15】例示的に、様々な標準的な網膜層および境界を識別する、人間の眼の正常な網膜の例示的なOCT Bスキャン画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
OCDRシステムは、光サンプリングビームに沿って軸方向にサンプル内の光散乱/反射率を測定し、一方、OCTシステムは、軸方向照明に直交する方向に沿った複数のそのような測定を組み合わせて、サンプルの断面画像または断層画像を生成する。OCT血管造影(OCTA:OCT angiography)は、OCTの拡張であり、組織層における血流を識別する(例えば、画像フォーマットでレンダリングする)。OCTAは、同じ網膜領域の複数のOCT画像における経時的な差(例えば、コントラスト差)を識別し、所定の基準を満たす差を血流として指定することによって、血流を識別し得る。OCDR、OCT、およびOCTAは、構造が類似しており、多くの部品を共有するため、本説明は、当業者が本説明をOCDRおよびOCTAに適用することができるであろうという理解の下で、OCTに焦点を合わせる。本発明は、特に明記しない限り、OCDRおよびOCTAにも同様に適用されることを理解されたい。
【0017】
一般に、光干渉断層撮影(OCT)は、低コヒーレンス光を使用して、生体組織または他のサンプルの2次元(2D)および3次元(3D)の内部ビューを生成する。OCTシステムの例は、米国特許第6,741,359号明細書および同第9,706,915号明細書に提供されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
図1Aは、本発明との使用に適した眼Eの3D画像データを収集するために使用される一般型周波数領域光干渉断層撮影(FD-OCT)システムOCT-1を示す。FD-OCTシステムOCT-1は、光源LtSrc1を含む。典型的な光源には、時間的コヒーレンス長が短い広帯域光源または掃引レーザ光源が含まれるが、これらに限定されない。光源LtSrc1からのサンプル光(SLt)は、典型的に光ファイバ(Fbr1)によってサンプルアームを下って、サンプル、例えば、眼Eを照明するように誘導され、典型的なサンプルは人間の眼内組織である。光源LtSrc1は、例えば、スペクトルドメインOCT(SD-OCT)の場合に時間コヒーレント長が短い広帯域光源であり、掃引光源OCT(SS-OCT)の場合には波長可変レーザ光源であり得る。サンプル光は、典型的には、光ファイバFbr1の出力とサンプルEとの間のスキャナScnr1を用いてスキャンされ得、その結果、光のビーム(破線Bm)は、撮像されるべきサンプルの領域にわたって横方向にスキャンされる。スキャナScnr1からの光ビームは、スキャンレンズSLおよび眼科用レンズOLを通過し、撮像されるサンプルE上に合焦され得る。スキャンレンズSLは、複数の入射角でスキャナScnr1からサンプル光SLtのビームを受け取り、実質的にコリメートされた光を生成することができ、眼科用レンズOLは、次いで、コリメートされた光をサンプル上に合焦させることができる。本例は、所望の視野(FOV)をスキャンするために2つの横方向(例えば、デカルト平面上のX方向及びY方向)にスキャンされる必要があるスキャンビームBmを示す。この例は、サンプルを横切ってスキャンするためにポイントフィールドビーム(点に合焦された光のビーム)を使用するポイントフィールドOCTである。従って、スキャナScnr1は、2つのサブスキャナ、即ち、第1の方向(例えば、水平X方向)にサンプルにわたってポイントフィールドビームをスキャンするための第1のサブスキャナXscnと、交差する第2の方向(例えば、垂直Y方向)にサンプル上でポイントフィールドビームをスキャンするための第2のサブスキャナYscnとを含むように例示的に示されている。スキャンビームがラインフィールドビーム(ラインに合焦される光のビーム)であり、例えば、一度にサンプルのライン部分全体をサンプリングし得るラインフィールドOCTである場合、所望のFOVに及ぶようにサンプルにわたってラインフィールドビームをスキャンするために、1つのスキャナのみが必要とされ得る。スキャンビームが全視野ビーム(例えば、全視野OCT)である場合、スキャナは必要とされなくてもよく、全視野光ビームは、一度に所望のFOV全体にわたって照射され得る。
【0019】
使用されるビームの種類に関係なく、サンプルから散乱された光(SCTl)が収集される。図1Aの本実施例では、サンプルから戻る散乱光SCTlは、照明SLt用の光をルーティングするために使用される同じ光ファイバFbr1に収集される。
【0020】
同じ光源LtSrc1から導出される参照光RefLは、本明細書ではファイバカプラCplr1として実装される光スプリッタLSpltr1によって別個の参照経路(例えば、参照アーム)に分割されるまで、サンプル光SLtとともに進行する。異なる種類の光スプリッタが既知であることを理解されたい。参照経路は、光ファイバ(Fbr2)と、調整可能な光学遅延を有する再帰反射器(RR1)とを含む。当業者であれば、透過性参照経路も使用することができ、調整可能な遅延を干渉計のサンプルアームまたは参照アーム内に配置することができることを理解するであろう。サンプルから散乱した集光光(例えば、サンプルアームから戻る散乱光SCTl)は、本明細書ではファイバカプラCplr1によって具現化される光合成器LCmbnr1によって、参照アームから戻る参照光RefLと結合される。この場合も、異なる種類の光結合機構が当技術分野で既知であることを理解されたい。参照光RefLおよび散乱光SCTlは、次いで、共にOCT光検出器Dtctr1(例えば、光検出器アレイ、デジタルカメラ等)に進行し、参照光RefLと散乱光SCTlとの間の干渉によって、OCT信号OSが生成され、OCT信号OSは、観察された干渉をサンプルの深度情報に変換する電子プロセッサCmp1(または、コンピュータシステム)に提供され得る。深度情報は、プロセッサCmp1に関連付けられたメモリ内に保存され得、かつ/またはディスプレイ(例えば、コンピュータ/電子ディスプレイ/スクリーン)Scrn1上に(例えば、図1Bおよび図1Cに示されるようなスキャン画像として)表示され得る。処理および保存機能は、OCT機器内に局在化されてもよく、または選択機能は、収集されたデータが(例えば、有線で、または、無線で、例えば、ピアツーピア接続によって、またはローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、インターネット等のコンピュータネットワークを介して)転送され得る外部プロセッサ(例えば、ローカルサイトまたは遠隔サイトにおける外部コンピューティングデバイス)上にオフロードされ得る(例えば、外部プロセッサ上で実行され得る)。
【0021】
本例では、参照光RefLと散乱光SCTlとの間の干渉は、(ファイバカプラCplr1として実施される)光合成器LCmbnr1において生じるが、光合成器LCmbnr1と検出器Dtctr1との間の光学部品においても生じ得る。例えば、参照光RefLおよび散乱光SCTlが、光合成器LCmbnr1によって合成されるときに直交偏光状態を有する場合、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,126,693(B2)号明細書に記載されているように、偏光子(図示せず)によってRefLおよびSCTlの偏光状態に対して45度で干渉を生成することができる。例示の目的で、米国特許第7,126,693(B2)号明細書のシステム700bは、本明細書では図1Dとして再現され、偏光子は構成要素752bとして特定されている。説明のために、干渉を生成する部品は、以下では干渉生成器IGと呼ばれる。
【0022】
図1Aに戻ると、検出器Dtctr1に向かう単一のファイバポートが示されているが、当業者は、干渉信号の平衡検出(balanced detection)または不平衡検出(unbalanced detection)のために様々な設計の干渉計を使用できることを認識するであろう。任意選択的に、検出器Dtctr1からの出力アナログOCT信号AOSは、アナログデジタルコンバータ(ADC)AD1によってデジタルOCT信号DOSに変換され、次いでプロセッサ(例えば、内部コンピューティングデバイスまたは外部コンピューティングデバイス)Cmp1に供給され得る。
【0023】
図1Eに、コンピューティングデバイス(またはコンピュータシステム)の一例を示す。このユニットは、データ処理専用とすることも、または、ごく一般的で、かつOCTデバイス専用ではない他のタスクを実行することもできる。プロセッサ(コンピューティングデバイス)Cmp1は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、システムオンチップ(SoC)、中央処理ユニット(CPU)、汎用グラフィックス処理ユニット(GPGPU)、またはそれらの組合せを含むことができ、これらは、1つまたは複数のホストプロセッサおよび/または1つまたは複数の外部コンピューティングデバイスとシリアル方式および/または並列化方式で処理ステップの一部または全部を実行し得る。例示的なコンピューティングデバイスのより詳細な説明が以下に提供される。
【0024】
干渉計内のサンプルアームおよび参照アームは、バルク光学部品、ファイバ光学部品、またはハイブリッドバルク光学系で構成することができ、当業者によって理解されるように、マイケルソン、マッハ・ツェンダー、または共通経路ベースの設計などの異なるアーキテクチャを有することができる。本明細書で使用される光ビームは、光路に全てにわたって注意深く指向され得る。ビームを機械的にスキャンする代わりに、光の場が、網膜の1次元エリアまたは2次元エリアを照射して、OCTデータを生成することができる(例えば、米国特許第9332902号明細書;ディー・ヒルマン(D.Hillmann)他著、「ホロスコピ-ホログラフィック光干渉断層撮影(Holoscopy-Holographic Optical Coherence Tomography)」、オプティクスレターズ(Optics Letters)、第36巻(13)、2390頁、2011年;ワイ・ナカムラ(Y.Nakamura)他著、「ラインフィールドスペクトルドメイン光干渉断層撮影法による高速3次元ヒト網膜撮像(High-Speed Three Dimensional Human Retinal Imaging by Line Field Spectral Domain Optical Coherence Tomography)」、オプティクスエクスプレス(Optics Express)、第15巻(12)、7103頁、2007年;ブラスコヴィッチ(Blazkiewicz)他著、「全視野フーリエドメイン光干渉断層撮影法の信号対ノイズ比の研究(Signal-To-Noise Ratio Study of Full-Field Fourier-Domain Optical Coherence Tomography)」、アプライド・オプティクス(Applied Optics)、第44巻(36)、7722頁、(2005)を参照されたい。)。時間領域システムでは、参照アームは、干渉を生じさせるために調整可能な光遅延を有する必要がある。典型的には、平衡検出システムは、TD-OCTおよびSS-OCTシステムにおいて使用され、分光計は、SD-OCTシステムのための検出ポートにおいて使用される。
【0025】
本発明は、上述したような任意のタイプのOCT/OCTA/OCDRシステムに適用し得るが、本明細書では、マイクロベンチおよび/または半導体光学ベンチ、または特別に構成/成形された凹部を有する同様のデバイス上に完全にまたは部分的に構築され、各凹部は、特定のマイクロ光学デバイス(または他の(例えば、個別の)部品)を予め指定された位置で、好ましくは予め指定された高さおよび向きで受容および保持するように設計されている。説明を容易にするために、本発明の1つまたは複数の特徴は、半導体光学ベンチに適用されるものとして説明されるが、特に明記しない限り、同じ特徴(単数または複数)がマイクロ光学ベンチに適用され得ることを理解されたい。リソグラフィプロセスにおいて一般的な他の指標も、特定のマイクロ光学デバイスを予め指定された位置に配置するために使用することができる。本発明の様々な態様は、任意のタイプのOCT/OCTA/OCDRシステムまたは、限定されないが眼底撮像システム、視野検査装置、およびスキャン型レーザ偏光計を含む他のタイプの眼科診断システム及び/又は複数の眼科診断システムに適用することができる。
【0026】
長い瞬間コヒーレンス長を有する光源を使用するSS-OCTシステム構成では、(システムの)深度撮像ウィンドウ内にサンプルを位置付けるために、可変遅延(例えば、本明細書の他の箇所で説明されるように、撮像されるサンプル領域の深度/軸方向位置に応じた参照アームの光学経路長の調節)が必要ではない場合がある。代わりに、参照光とサンプル光との間の大きな光学経路長の不整合が許容され得る。例えば、典型的な撮像シナリオにおいて、サンプルが常に深度撮像ウィンドウ内にあるように、十分な大きさの大きい撮像深度が生成され得る。次いで、取得された画像は、関心領域(例えば、所望の深度範囲)のみを表示するように切り取られ(cropped)得る。この関心領域は、例えばサンプルの動きを補償するために、取得中に動的に変化し得る。しかしながら、この切り取り手法は、最大撮像深度に対応する高周波干渉信号を分解するのに十分に高速なデジタル化電子機器(例えば、アナログ・デジタル変換器)を必要とし、これは、スタンドアロンビデオカード、ビデオキャプチャカード、ドーターボード、および他の個別部品を使用して、特に費用効率の良い方法で、実現することが困難であり得る。しかしながら、高速検出および/またはデジタル化電子機器(回路)は、本OCTシステムが構築される半導体光学ベンチ(または、例えば、システムオンチップ、SOP、もしくは集積回路基板手法と同様の様式で、マイクロ光学ベンチと同じ基板/ベース上のIC)と同じ基板/ベース上に直接、検出機器および/またはデジタル化電子機器(回路)を統合することによって、実現可能であり得る。長いトレース/リード線/ワイヤと大きな容量性負荷との間の高周波干渉問題、大きな信号伝搬遅延、および外部の個別部品と相互接続するためのルーティングトレース/リード線/ワイヤに関連する一般的なタイミング問題を回避/緩和する、一般的な集積回路に関連するより小さいトレース(および任意選択的により低いレール間電圧スイング)に少なくとも部分的に起因して、より高い動作速度が達成され得る。
【0027】
代替的に、アナログOCT信号を、所望の撮像ウィンドウ(最小経路長不整合または最大経路長不整合のいずれか)の1つのエッジに対応する周波数でダウンミックス(または変調もしくはダウンコンバートもしくは周波数ミックスもしくは周波数シフト)して、参照アーム経路長をこの撮像深度に調整した場合に得られたものに対応するスペクトル成分を有するダウンミックスされたOCT信号を作成することができる。このダウンミキシングは、典型的には、OCT信号をダウンミキシング周波数と周波数ミキシングして、OCT信号にダウンミキシング周波数をプラスまたはマイナスした周波数を生成し、次いで、フィルタリングして、合計された(または変調された、ミックスされた、またはシフトされた)周波数を除去(または選択または分離)することによって達成される。ゼロ周波数付近のノイズを回避するために、および/または信号がゼロ周波数付近のこの帯域に現れる場合にダウンミキシング周波数を調整し得るバッファを提供するために、ゼロ周波数が対象のスキャン範囲のわずかに外側になるようにダウンミキシング周波数を選択することができ、標準的なSS-OCTシステムでは、参照アーム長を対象のサンプルの深度範囲のわずかに外側にすることによって同様の効果を達成し得る。このようにOCT信号をダウンミックスすることは、複数の利点を提供することができる。本光学ベンチ(半導体光学ベンチまたはマイクロ光学ベンチ)の設計に最も関連して、ダウンミキシングは、参照アームとサンプルアームとの間の(光学)経路長の著しい不整合を可能にし、マイクロパッケージから離脱しないマイクロベンチ(または半導体光学ベンチ)上に短い参照アーム(例えば、サンプル(例えば、網膜)位置までの距離よりも短い)を統合することを可能にし、ダウンミキシング周波数を調整可能にすることは、参照アーム経路長またはサンプルアーム経路長の機械的または光学的調整の必要性を排除することができる。
【0028】
適切なダウンミキシング周波数を迅速に見つけるために、最初に光源を低速で掃引して、比較的遅いAスキャン速度で大きなスキャン範囲を生成し、次いで、所望のスキャン深度が識別されると、より速い掃引速度および対応するAスキャン速度に切り替え、適切なダウンミキシング周波数を用いて、結果として生じるより制限されたスキャン範囲に対してスキャン深度を正確に設定することができる。
【0029】
ダウンミキシング周波数の電子的調整により、撮像ウィンドウの深度(軸方向位置)の迅速な調整を提供し、取得中に、サンプル(例えば、網膜)(の曲率)に追従するようにスキャン深度を調整すること、さらにBスキャン内のAスキャン間またはAスキャン中にサンプルに追従するようにスキャン深度をシフトすること(例えば、全体的なサンプル位置、サンプル表面、またはサンプル内の特定の層に追従するように取得中に経路長を調整すること)が可能となる。表面または層を追跡するために様々な方法を使用することができ、例としては、OCT信号のスペクトルに基づいて、またはOCTの信号処理を通して発見されたOCT画像内の特定の層または境界の識別に基づいて、ダウンミキシング周波数を調整することが挙げられる。網膜の撮像の場合、追従する可能性のある表面はRPEであるか、または網膜全体を追跡することができる。網膜全体を追跡するために、OCTデジタル化によって取得されたスペクトルを、デジタル化によってサポートされる帯域幅範囲の中間点付近に維持することができ、一方、RPEを追跡するために、RPEに対応する可能性が高いピークスペクトル信号を固定周波数に維持することができる。
【0030】
スキャン深度をシフトさせるダウンミキシング手法は、スキャン深度を調整するための参照ミラーの移動によって生成されるようなドップラーシフトをOCT信号に追加しないという利点を有する。このドップラーシフトは、画像に影響を及ぼし、SD-OCTシステムにおいて位相ウォッシュアウト(phase wash-out)を引き起こし、掃引光源システムにおいて軸方向の位置の変位または軸方向の点広がり関数(PSF:point spread function)の拡大を引き起こすため、望ましくない。ダウンミキシング周波数の電子的調整は、電圧制御発振器の使用を通じて実現され得る。
【0031】
ダウンミキシングを電子的に実施する代わりに、サンプル光または参照光のいずれかの光周波数をシフトすることによって同じ効果を達成することもできる。個別の周波数シフトを生成するために、音響光学変調器または電気光学変調器などの光変調器を使用することができる。ハイブリッドマイクロベンチ/PICシステムにおいて、この変調は、PICにおいて備えることができる。
【0032】
取得中にダウンミキシング周波数を変更する1つの可能な複雑さは、わずかに異なる時間に取得された2つのOCTスキャンが比較され、スキャン間の差が通常は血流に起因する動きを示す血管造影撮像中に生じる可能性がある。ダウンミキシング周波数が2つのそのようなスキャンの間で調整される場合、アーチファクトを生成しないように、スキャン間の差を計算する前に、このダウンミキシング周波数変化を補正する必要があり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、サンプルアームと参照アームとの間の大きな光学経路長の不整合を可能にするために、上述したダウンミキシング概念を使用することを選択し得るが、軸方向におけるサンプルのアライメントのために、何らかの光学経路長調整を光学的に実施することを選択することもできる。これは依然としてマイクロパッケージ内で、可動部品を必要とせずに行うことができる。例えば、回折格子およびミラーを組み合わせて電気光学偏向器を使用してスキャン遅延線を実装することができる。
【0034】
好ましい実施形態では、上述したOCTシステムは、半導体光学ベンチ上に実装され、これは、マイクロ光学部品用のスロット(凹部)がエッチングされ、アクティブアライメントプロセスを必要とすることなく、マイクロ光学部品が配置される半導体である。このようなシステムは、半導体製造プロセスのスケーラビリティから利益が得られるため、大量生産に特に適している。マイクロ光学部品用のスロットは、リソグラフィを使用して半導体ウェハ全体をパターニングすることによって、数百または数千のデバイスを並列にエッチングすることができる。次いで、マイクロ光学部品は、ウェハ全体に対してロボットによって一度に組み立てられ得、その後、ウェハレベルのパッケージングステップが続き、ここで、リッドウェハ(lid wafer)が、ベース層の上に接着され、気密封止が形成される。代替的に、リッドウェハの代わりに別の半導体光学ベンチが使用され得る。この「リッド」半導体光学ベンチは、対向する「ベース」半導体光学ベンチの表面上に延在するマイクロ光学部品の部分を受容するように構成された対応する/相補的なスロット(またはパターン)を備えて構築され得る。この構成では、マイクロ光学部品は、2つの半導体光学ベンチの間に挟まれ、2つの対向する半導体光学ベンチによってアライメントされて保持される。リッドウェハは、必ずしも半導体材料から製造される必要はなく、例えば、半導体特性を有していないガラスまたはセラミックから製造されてもよい。これは、例えば、シリコンなどの典型的な半導体材料が透明でないようなところで動作波長を使用するケースにおいて有益であり得る。透明なベンチウェハまたは透明なリッドウェハのうちの少なくとも1つを有することが望ましい。その理由は、ベンチまたはリッドは、典型的には、光がマイクロパッケージの外および/または中に結合され得るウィンドウとして機能するからである。気密封止されたパッケージは、パッケージ内の素子、例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting lasers)のMEMS素子またはMEMSベースのビームステアリングミラーのより速い運動を可能にするために真空を含み得る。代替的に、例えば、利得チップのファセットにおける酸化による損傷など、活性半導体光学材料の劣化を防止または低減する特定のガスを含有し得る。
【0035】
半導体ウェハのリソグラフィパターニングは、ナノメートル精度でスロットおよび/または他のアライメント指標を作成するため、半導体光学ベンチは、光学経路長の正確な制御が必要とされる用途に特に有益である。これらは、例えば、サンプルが複数のビームで平行にスキャンされ、個別の撮像チャネル間の撮像深度の不整合が望ましくないマルチビームOCTシステム、または例えば、複素信号を再構成するために、検出されるべき干渉信号が分割され、90度の相対位相シフトで取得される直交検出器を含む。
【0036】
図2Aは、ベース、例えば、半導体光学ベンチ13上(または代替的に、マイクロ光学ベンチ上)の例示的なOCTシステム11を示す。本実施例では、光源LtSrc1からの光は、半波長板(またはリターダ(retarder))15(ここで、記号ラムダλは、波長板を表し、これは、波長板を通って進行する光波の偏光状態を変更する光学デバイスである)を通過して、第1の偏光ビームスプリッタ(またはビーム分割器)PBS0に至る。次に、分割された光は、第1の四分の一波長板17を通過してベンチ外のサンプルへと(サンプルアームに沿って)進み、第2の四分の一波長板19を通過してベンチ13外の参照アームへと進む。サンプルアーム(SCTl)および参照アーム(RefL)からの戻り光は、第1の偏光ビームスプリッタPBS0で結合され、第2の半波長板21、第1のレンズ23(ここで、記号Lはレンズを表す)、(任意選択の)ピンホールP、および第2のレンズ25を通過して、好ましくは戻り光SCTlおよびRefLの偏光状態に対して45度であり、かつ干渉生成器IGとして機能する(例えば、干渉を生成する)第2の偏光ビームスプリッタPBS1に到達する。干渉信号は、検出器27、29に送信される(ここで、符号Dは検出器を表す)。この説明における種々の半波長板の目的は、光の一部が偏光ビームスプリッタを通過し、光の一部が偏光ビームスプリッタによって反射されるように、偏光状態を変化させることである。この同じ機能は、異なる量の位相遅延を有する波長板(単数または複数)によって実行することができる。例えば、22.5度の半波長板を使用して、偏光状態を45度回転させて偏光ビームスプリッタによって光の半分が反射され、半分が透過されるようにすることができるが、円偏光を得るように45度回転させた4分の1波長板を使用して、同じ50/50分割を達成することができる。そのような手法の1つの利点は、全ての波長板が四分の一波長板にすることで、必要とされる異なる部品の数を低減することができることであり得る。システムにおいて使用されるマイクロレンズの可能性は、ボールレンズ、GRINレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、または自由形状レンズを含むが、これらに限定されない。
【0037】
図2Bは、図2AのOCTシステムの代替実施形態を示す。図2Aの構成要素と同様の構成要素は、同様の参照符号を有し、かつ上述されている。図2Bでは、ウィンドウ18A/18b(ここで、記号Wはウィンドウを表す)、または他の透過性要素が、光ファイバを使用するのではなく、気密封止ベンチ13と外界との間のインタフェースとして使用される。
【0038】
図2Cは、本発明によるOCTシステムの別の実施形態を示す。図2Aおよび図2Bの構成要素と同様の構成要素は、同様の参照符号を有し、かつ上述されている。図2Cでは、参照アームRefArmは、光学ベンチ13(半導体光学ベンチまたはマイクロ光学ベンチ)上に完全に組み込まれ/集積されているため、光学ベンチ13と外界との間の参照アームのインタフェース(例えば、図2Bの18B)の必要性が排除される。本例では、再帰反射器(例えば、図1のRR1と同様)は、ミラー20として実装される(ここで、記号Mはミラーを表す)。参照経路長がサンプル経路長と光のコヒーレンス長以内で一致するときに干渉が得られるため、これを実施し得るいくつかの方法が本明細書で企図される。光学ベンチ13上に、サンプルアーム経路長とほぼ(または実質的に)等しい長さの参照アーム経路長を作成することができる。代替的に、掃引光源システムにおいて長いコヒーレンス長を有する光源を使用し、次いで、完全なスキャン深度を表示しないことによって、または上記で説明されるように、デジタル化の前にOCT信号をダウンミックス/復調することによって、制限されたスキャン深度のみを利用することができる。
【0039】
別の実施形態は、外部サンプルアーム光学部品を必要とし得ない。その代わりに、サンプルをマイクロパッケージに接触させるか、またはマイクロ光学パッケージに近接して配置することができる。そのような実施形態では、全てのサンプルアーム光学部品はマイクロパッケージの一部である。集束光学部品は、例えば、サンプルビームのための出口/入口ウィンドウとして同時に機能するように使用され得る。
【0040】
マイクロ光学ベンチ及び/又は半導体光学ベンチの解決策におけるコストの多くは、NREおよびパッケージングにあるため、全体のコストを大幅に増加させることなく、OCTソリューションの複雑さを増加させることができて、偏光感応型(PSpolarization sensitive)OCTなどのより複雑な設計が実行可能となる。図2Dは、2つの検出経路PthAおよびPthBを有し、かつマイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ13上に実装されたPS-OCTの一例を示す図である。上述したものと同様の構成要素は同様の参照符号を有し、同様の構成要素の重複する例は、末尾に文字「b」が付加された同様の参照符号を有する。本実施例では、PBS0およびPBS0bは、光をそれらの対応する参照アームRefArmおよびRefArmbに偏向させ、各々は、2回通過するときに光の偏光状態を90度回転させる4分の1波長板19/19bを含むため、全ての参照光がPBS0およびPBS0bを通って対応する検出器経路PthAおよびPthBに戻される。サンプルから戻る2つの偏光状態(例えば、ウィンドウ18Aを通る散乱光SCTl)は、PBS0bによって分離され、第1の偏光状態は、偏光子PBS0を通って検出器経路PthAに進み、第2の偏光状態は、PBS0bによって検出器経路PthBに反射される。サンプルから検出器経路PthAに戻る光は、その偏光状態が半波長板15bとファラデー回転子22(ここで、記号FRは偏光回転子の一種であるファラデー回転子を表す)の組合せによって90度回転されるため、PBS0によって反射される。また、この半波長板とファラデー回転子の組合せは、サンプルアームに向かって進行する光の偏光をわずかに回転させて、いくらかの光源光を参照アームRefArmbに偏向させる。前述のように、対応する検出器27/29および27b/29bの前にある偏光ビームスプリッタPBS1/PBS1bに入射する前に偏光状態を45度回転させることによって、各検出経路において平衡検出が実現される。
【0041】
図2Eは、直交検波を含む別の手法を示す。この手法では、検出アーム(ピンホールPの下)内の光は、半波長板21を通過し、最初に非偏光ビームスプリッタ(非PBS)24によって分割された後、2つの個々の偏光ビームスプリッタPBS2およびPBS3に進み、これらの偏光ビームスプリッタは、それらの信号を対応する検出器30/32および34/36に反射する。非PBS24とPBS3との間の経路の1つにおいて、四分の一波長板(λ/4)26が、四分の一波長のリターダンス(retardance)を導入するために追加される。直交検出は、システムが参照アームとサンプルとの間の経路長の負と正の差を区別することを可能にして、FD-OCTの複素共役鏡像を抑制することによって、参照アーム経路がサンプルアーム経路に等しい距離にわたって実行可能なスキャン範囲を拡張する。
【0042】
臨床OCTシステムの他の態様をマイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチに統合して、システムをさらに小型化し、コストを削減することも望ましい場合がある。可能な例には以下の1)~3)が含まれる。
【0043】
1)網膜の撮像または追跡、またはその両方のためのスキャンレーザ検眼鏡などの第2の撮像モダリティを統合すること。
2)場合によっては微小電気機械システム(MEMS:micro-electromechanical system)ミラーを使用して、眼のための固視ターゲットを提供して、固視ターゲットを眼の後部の異なる位置に向けて、患者の固視位置を変更すること。
【0044】
3)異なる眼の光学特性における差異を考慮したOCTサンプルの焦点合わせ補正および/または収差補正すること。そのような補正は、例えば、パッケージ内の移動レンズ、(例えば、パッケージ内の)調整可能ミラー、アルバレス(Alvarez)マイクロレンズ、または電気的に調整可能なレンズを用いて行うことができる。
【0045】
半導体光学ベンチ(またはマイクロ光学ベンチ)上にOCTを実装する別の利点は、OCTが、例えば、デュアルインラインパッケージ(DIP:dual in-line package)または表面実装デバイス(SMD:surface mount device)(または他のマイクロパッケージもしくは集積回路パッケージ)内にパッケージ化され、OCT信号のための処理電子機器等の他のチップとともにプリント回路基板上にはんだ付けされ得ることである。
【0046】
上記実施形態のうちの1つまたは複数において、偏光ビームスプリッタPBSは、その個別の2つのビームを、光学ベンチ13内(上)に一体化され得る対応する検出器に出力する。図3は、検出アームにおいて光を受光し、その光をシリコンウェハ表面にリダイレクトするのに適した偏光ビームスプリッタPBSの一例を示す。本例では、検出器D1およびD2は半導体光学ベンチに組み込まれている(integrated into)。
【0047】
図2Fは、本発明によるOCTシステムの代替実施形態を示す。上述したものと同様の全ての構成要素は、同様の参照符号を有する。図2Bの場合と同様に、ウィンドウ(W)18A/18Bは、ベンチ13からサンプルアームおよび参照アームへのインタフェースを提供する。本例において、ファイバカップリング(31および33)は、検出器38および40とインタフェースするために使用される。しかしながら、前述したように、安定性および製造可能性の両方を向上させるためには、OCTシステム内の光ファイバを排除することが非常に望ましい。典型的なOCTシステムにおける光ファイバは、2つの主な利点、即ち、アライメントの簡略化と、参照アームからの光とサンプルアームからの光との間の単一モード干渉を確実にするための空間モードフィルタリングとを提供する。現在のマイクロ光学ベンチ及び半導体光学ベンチ技術は、アライメントの必要性に対処するが、戻り信号の単一モード干渉を実現する必要性に直接対処していない。検出器に到達する光を単一モードに制限するために、またはOCTから良好な性能を達成するために単一モードに少なくとも十分に近くするために、サンプルアームおよび参照アームからの戻り光は、図2A図2Eに示すように、検出前に1つまたは複数のピンホールP(図2Fには図示せず)を通過し得る。また、アライメントを簡単にするため、および参照光とサンプル光の両方が同じ単一モードに制限されることを確実にするために、サンプル光と参照光が結合された後に同じピンホールを一緒に通過することが望ましい。古典的なシステムで行われるように、ビームスプリッタで干渉させるのではなく、偏光ビームスプリッタの使用を通して同一光学経路上で2つのビームを結合することで、図2Aから2Eに示されるように、そのようなピンホールを配置することができる、光源および参照光の共有経路を提供する。
【0048】
光源の周波数掃引における非線形性は、掃引光源OCTシステムにおいて問題となり得る。図2Gおよび図2Hは、この非線形性問題に対処する2つの実施形態を示す。図2Cの構成要素と同様の全ての構成要素は、同様の参照符号を有し、かつ上述されている。図2Gおよび図2Hの実施形態は、ビームスプリッタ14(ここで、記号「BS」はビームスプリッタを表す)、2つのミラー20Aおよび20B、および検出器16を含むように例示的に示される第2の(オンボード)干渉計12を組み込んでいる。光源LtSrc1からの光の一部を干渉計12(例えば、エタロンまたはマイケルソン干渉計)に指向させることによって、SS-OCT取得をトリガするためのkクロックを生成するか、または基準信号を取得することができる。これらの構成のいずれも、(例えば、掃引信号によって)掃引を線形化するために使用することができ、kクロックトリガは、取得を直接線形化し、基準信号は、非線形性を決定し、従って、非線形性を補正するために使用することができる。kクロックまたは基準信号を生成するための光は、PBSおよび半波長板を用いて光源の直後に取り出すことができる。例えば、図2Gにおいて、光源LtScr1からの光の一部は、半波長板15Aおよび偏光ビームスプリッタPBS4によって干渉計12に指向される。代替的に、図2Hに示すように、光源LtScr1からの光の一部を、参照アームRefArm内の部分透過ミラー20C(および任意選択的に、別の四分の一波長板19A)によって干渉計12に指向させることができ、その後に、マイケルソン干渉計12が続き、これにより、図2Gに示す設計と比較して、いくつかの部品が除去される。
【0049】
空間フィルタリングのための追加の部品を回避するために、フォトダイオードの活性エリアは、それらのサイズが適宜選択される場合、空間フィルタとして機能することができる。この場合、収集光を検出器上に集束させ、典型的には合焦されたビームのサイズの数倍未満の小型検出器を使用する。
【0050】
マイクロ光学部品パッケージからのビームは、用途に応じて追加の光学部品(例えば、ミラースキャナ、ビームエキスパンダ、サンプルへのリレー光学部品)に結合され得る。これらの光学表面からの反射が干渉計における検出器に戻るのを回避するために、サンプル経路内の4分の1波長板(図2Aの17)は、マイクロベンチの外側に配置されてもよく、1つの選択肢は、最後の光学部品とサンプルとの間に配置することである。この構成では、四分の一波長板の前のサンプル経路内の任意の部品からの反射は、その偏光状態に起因して検出器から離れるように方向付けられる。
【0051】
システム内の種々の光学部品からの反射は、検出器飽和、VCSELもしくは光増幅器の損傷、および/またはOCT信号内のアーチファクトもしくはゴースト画像をもたらし得る。これらの望ましくない反射は、ピンホールおよび開口の使用、検出器の活性エリアの制限、屈折率不整合を低減するための部品の接着、反射防止コーティング、傾斜部品、および偏光分離を含むがこれらに限定されない様々な方法で軽減または除去することができる。
【0052】
図2A図2E(並びに図2G及び図2H)に記載されたOCTシステムは、ファイバ及び/又は半導体導波路の使用を回避することができる。ファイバが存在しないことにより、ファイバが移動したときまたは温度が変化したときに生じる複屈折の変化による信号変動が回避され、典型的にはサブマイクロメートルの直径を有する半導体導波路が存在しないことにより、集光および伝搬効率、ならびに例えば、プローブが落下した場合または振動した場合のアライメントの安定性が向上する。
【0053】
従来のOCTシステムでは、参照経路内の光は、コーナー再帰反射器を使用して干渉計に戻るように反射される。コーナー再帰反射器は、広範囲の入射角にわたって入射光を導き、システム公差およびミスアライメントの存在下で、参照光を確実にリダイレクトするのに理想的である。しかしながら、コーナー再帰反射器は高価であり、かつ1mm未満のスケールで製造することが困難である。また、コーナー再帰反射器は、ビームが部品の中心に向けられる場合、波面上で偏光を変化させることができる。説明されたマイクロ光学系の主要な利点は、光学部品の取付けにおける厳しい公差であり、これは、再帰反射器(図2Cおよび図2Dの20)の代わりに平面ミラーの使用を可能にし得る。システムが、この構成での検出においてサンプルと参照との十分な相互アライメント(co-alignment)を確保することができない場合、システムは、代わりに、参照経路内においてその後焦点面に配置されたミラーを有するレンズ(即ち、キャッツアイ再帰反射器)を含むことができる。
【0054】
前述したように、記載されたシステムは非常に低コストである。しかしながら、SS-OCTシステムのコストは、典型的には、波長可変光源のコストによって決定される。従って、システムを全体的に低コストにすることを可能にするために、特に安価な光源を使用することが望ましい。垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)は、データセンタ、光学式コンピュータマウス、距離および近接センサ、生体認証顔認識などの多くの大量生産用途において普及しており、従って、一般的に非常に安価である。レーザ駆動電流を調整することによって、中心波長を調整することが可能であることが以前に示されている。従って、そのような光源または複数のそのような光源の組合せは、本明細書で説明するシステムで使用するのによく適している。VCSEL、特に熱的に駆動されるVCSELに関する1つの問題は、掃引可能な波長範囲が限られていることである。OCTシステムの軸方向分解能は、光の掃引帯域幅によって決定されるため、中心波長が異なる複数のVCSELを組み合わせて、組み合わせ帯域幅の拡大、および場合によっては総光出力パワーの増加を実現することが望ましい。
【0055】
図4Aは、ダイクロイックミラー45を使用して複数のVCSEL(例えば、掃引光源)41/43を組み合わせる1つの方法を示す。この手法では、掃引光源41からの光はダイクロイックミラー45を通過し、掃引光源43からの光はダイクロイックミラー45によって反射される。このようにして、両方のVCSEL41/43が組み合わされて、組み合わせ光ビーム46が形成される。
【0056】
図4Bを参照すると、図4AのVCSEL41/43が同時に動作した場合(これは光出力パワーの観点から望ましい)、別のダイクロイックミラー51の使用を介して、OCTの検出端でそれらの光を異なる検出器(47/49)に分割することが望ましい。
【0057】
代替的に、複数のVCSELを順次動作させ、次いで、同じ検出器上で各VCSEL(例えば、2つ以上のVCSEL)からの光を検出することができる。VCSELを順次動作させることは、例えば、VCSELのデューティサイクルが制限されている場合に有効であり得る。デューティサイクルが制限されるのは、熱的に駆動される掃引の間にVCSELを冷却する必要があること、またはMEMS VCSELの場合には、MEMSが次の掃引を開始するために初期位置に戻る必要があることの結果であり得る。
【0058】
図5は、異なる波長帯域をカバーする複数のVCSELを用いてサンプル組織内の所与の位置をスキャンする別の方法を示す。この例では、複数の異なるVCSEL(例えば、VCSEL-1、VCSEL-2、VCSEL-3、およびVCSEL-4)が、ラインに沿って異なるVCSELを合焦させ、合焦したVCSEL間の距離だけスキャンをシフトさせることによって、(組織)サンプル上の同じ場所を順次照射する。図5は、組織サンプル上の時間対(照射)位置のプロットを示す。このようにして、サンプル上の同じ所定の位置(例えば、位置Loc1)が複数(例えば、4つ)のVCSELによって順次スキャンされる。任意選択的に、複数の電流調整型VCSELの組み合わせが使用され得る。例えば、スペクトル的に、2つ以上のVCSELを使用して、スペクトル分離が大きいペア/グループを並行して掃引し、次いで、第2のセットを順次掃引し得る。複数のVCSELは線形化され得、VCSELのアレイはマイクロ光学ベンチ(または半導体光学ベンチ)のスロットに挿入され得る。代替的に、1つまたは複数のVCSELを、電子機器または検出器と同様に、光学ベンチ基板/ベースの構築に使用される半導体の半導体ウェハに組み込むことができる。VCSELの使用は、ベンチから直接垂直に射出するため、これに特に適しており、従って、簡単なミラーまたは回転プリズムを使用して、VCSEL光を半導体ベースのベンチの平面に沿ってリダイレクトすることができる。
【0059】
VCSELに関する別の問題は、光出力パワーが制限されることである。従って、生体サンプルの高品質OCT撮像のために、VCSELは半導体光増幅器と組み合わされ得る。しかしながら、本明細書に記載されるOCTシステムに特有の3つの態様は、光増幅器なしでの生体サンプルの高品質OCT撮像に対するVCSELの使用を可能にし、これは、これまで実証されていない。
【0060】
1.高光学効率の自由空間マイクロ光学部品干渉計。同様の光学効率は、ファイバベースの設計では実現不可能である少なくとも800nmおよび1060nmの波長範囲内である。その理由は、これらの波長域では効率的なサーキュレータが存在しないため、サンプルまでの経路上で常に多くのパワーを失うからである。
【0061】
2.p-i-nおよびトランスインピーダンス増幅器ベースの平衡検出器の代わりの低ノイズ検出器の使用。本明細書で説明するシステムの性能は、検出器ノイズを克服するために必要とされる参照光の量によって著しく制限され得るため、一般的に光源パワー不足ではない最先端のOCTシステムとは対照的に、非常に低ノイズの検出器を使用することが望ましい。これにより、低い基準パワーを用いてショットノイズを制限した感度を得ることが可能となる。従って、第1の偏光ビームスプリッタの前の波長板を適宜調整することによって、利用可能な光パワーの大部分をサンプルに送ることができる。本明細書で説明されるシステムにおける用途に適した低ノイズ検出器は、電子注入検出器(E-I検出器)である。電子注入検出器は低ノイズを示すが、これはRF信号帯域幅にあまり依存しない固有の増幅によるものである。
【0062】
支配的なノイズ源としての検出器ノイズを克服するためにわずかな基準パワーしか必要とされない場合、光源の相対強度ノイズ(RIN:relative intensity noise)も通常は問題ではない。従って、そのようなシステムにおいて平衡検出を省略して、依然としてショットノイズを制限することが可能である。しかしながら、平衡検出は、RINを抑制するだけでなく、自己相関信号などのコモンモード信号も抑制するため、通常は、平衡検出構成を依然として使用することが望ましい。
【0063】
3.VCSELアレイ、即ち複数の平行ビームの使用。これにより、総サンプル光パワーにアレイ内のVCSELの数が乗算される。従って、例えば、MEMS波長可変VCSEL(MEMS tunable VCSEL)および光増幅器を使用して、最先端のOCTシステムと等しいかまたはそれより高いサンプルパワーを達成することができる。VCSELおよび検出器アレイの使用による多重化の概念は、本明細書の後のセクションでより詳細に説明される。
【0064】
別の実施形態は、参照光と干渉する反射を生成する部分透過性要素をサンプルアームに追加し得る。上記の実施形態は、サンプルアーム内に多数の光学表面をすでに有しているため、追加の要素を導入する代わりに、これらの光学表面のうちの1つを反射に使用し得る。この反射は、いずれの場合もサンプルよりも近いため、その干渉信号は、OCT信号よりも低い周波数を有することになる。従って、例えば、信号を分割し、2つのコピーを適宜ハイパスフィルタリング/ローパスフィルタリングすることによって、OCT信号から分離され得る。例えば、低周波数が基準干渉信号に使用され得、高周波数がOCT信号に使用され得る。基準干渉信号は、次いで、並行してデジタル化され、掃引の波数非線形性を補正し、OCTデータを位相安定化するために使用されることになる。代替的に、基準信号およびOCT信号は、共にデジタル化され、デジタル空間において分離することができる。これにより、第2のデータ取得チャネルの必要性が回避される。
【0065】
本発明はまた、マイクロ光学ベンチもしくは半導体光学ベンチ上に実装されるか、または実際に半導体光学ベンチに組み込まれる、OCTシステムの他の態様も想定している。例えば、OCTビームをスキャンするMEMSミラーは、ベンチ上に実装され得るか、またはフォトリソグラフィにより半導体ベースのベンチに組み込まれ得る。このMEMSミラーは、OCTシステムのための完全な横断スキャン(transverse scanning)機能を提供することができるか、またはシステムの1つの部品とすることができる。特に、このMEMSミラーは、制限された視野にわたって高速スキャンを提供することができ、より拡張された視野が二次スキャンシステムによって提供される。マイクロ光学ベンチ及び/又は半導体光学ベンチ上に集積されたMEMSスキャンシステムの視野を制限することは(例えば、システム(例えば、広視野スキャンシステム)の所望の/所定の/目標の完全な(又は、より拡張された)スキャンFOV未満に制限することは)、いくつかの利点を有する。第1に、MEMSミラーの角度範囲は、典型的には+/-6度のオーダーであり、典型的なOCTシステムに望まれる全視野(full field of view)に対処することを困難にする。古典的な(例えば、バルク光学)OCTシステムでは、比較的大きなMEMSミラーを使用して、MEMSを縮小スポットに結像して、視野を拡大させることができるが、これは、ミラーおよびOCTシステムの両方に関してDIP(または他の典型的な半導体パッケージ)内の限定された空間ではより困難である。加えて、MEMSミラーのサイズを制限することによって、スキャンの速度を増加させることができるが、その代償として、視野を拡大するためにビームをさらに縮小することができない。また、MEMSミラーのスキャン速度は、1つのスキャン軸を中心とした共振スキャンを通してさらに増加され得ることに留意されたい。最後に、結果として得られるスキャン動作は、網膜上を比較的低速で移動する小領域の高速スキャンにより、有益である。関心領域が網膜上を相対的に(又は比較的に)低速で移動しているという事実は、所与の位置における網膜の特性に一致させるために軸方向スキャン深度、焦点、及び/又は非点収差などの他の収差を調整するOCTシステムの最適な性能を維持することを可能にする。
【0066】
この構成における1つの課題は、OCTモジュールの大きな作動距離および小型の設計を維持しながら、ビームをスキャナから患者の瞳孔にリレーすることである。収束ビームをMEMSスキャナ上に導入することは、レンズの焦点距離よりもわずかに大きい距離に配置された単一のレンズを用いてスキャナをリレーする可能性を含んで、設計における柔軟性を提供する。また、ビームの輻輳は、スキャナの前でレンズを平行移動させることによって調整することができるため、設計に集束要素が設けられる。この構成は、瞳リレーおよび合焦のための最小限の部品を備える小型の設計を提供する。
【0067】
マイクロ光学ベンチ/半導体光学ベンチ上に集積されたミラーを使用した高速スキャンの必要性に対処することは、広視野スキャンシステムがより遅い速度でスキャンすることができ、その設計においてより大きな柔軟性を提供することを意味する。低減されたスキャン速度要件によって可能になる選択肢の例は、検流計または電気モータのいずれかによって駆動されるミラー、または視野を横断するMEMSミラーを含むOCTシステムを実際に移動させることを含む。マイクロ光学ベンチおよび半導体光学ベンチの解決策によって可能となる超小型OCT干渉計の設計は、OCT干渉計全体の移動をより実現可能にしているが、OCTサンプルアームのファイバ先端、MEMSスキャナ、および小視野光学部品が全視野にわたってグループとして移動される、より古典的な光ファイバベースのOCTシステムにおいて、(マイクロベンチ上の)小視野高速スキャンと広視野低速スキャンとのこの組み合わせを使用することもできる。
【0068】
広視野撮像が、OCTシステムまたはファイバ先端を移動させることによって提供される場合、システムが、瞳孔に対して固定された作動距離を維持するように、瞳孔を中心とする球(例えば、球面/面)に沿って移動することが望ましい。作動距離を維持する利点に加えて、球上で運動を生成する機構を、要素が球に沿って移動するときに、要素が球表面に対して平行を維持するように、設計することができる。その結果、OCT/光学撮像システムを、球に平行なこの要素に垂直な光軸を有するように搭載することができるため、システムが視野を横断してスキャンされるとき、撮像システムが、瞳孔が存在している球の中心に向けられた状態を維持することが保証される。
【0069】
いくつかの理由で、スキャン中に、球の中心を瞳孔から多少変位させることが望ましい場合がある。考えられる理由としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
1)スキャンの中心に対する瞳孔位置の柔軟性を可能にすることによって、アライメントを簡略化するため。
【0070】
2)球の中心を眼の背後に変位させて、球上のOCTシステムの位置を移動させるための機構を顔および眼から離れるように移動させるため。
3)球の中心を眼に向かって変位させて、視野を横断してスキャンする際に網膜までの距離変動を最小限に抑えるため。
【0071】
球の中心が瞳孔位置に対して変位される場合、球に対して平行を維持する表面と、スキャン中に瞳孔に向ける必要があるOCT撮像システムの軸との間の付加的な角度アライメント機能を有することが重要になり得る。瞳孔に対するこのアライメントを維持するために、瞳孔に対するOCTシステムのアライメントの軸を監視し、角度アライメントシステムを調整してOCTシステムの瞳孔への指向を維持する、OCT撮像システムに取り付けられた瞳孔追跡部品を有することも望ましい。
【0072】
図6は、カメラがOCTシステムに対して軸または平行軸に沿って指向されるそのようなシステムの例を示す。即ち、図6は、OCT撮像モジュールを眼67の瞳孔中心に向けるための誘導システムの一例を提供する。本図では、瞳孔カメラおよびスキャンモジュール(例えば、OCTシステム)は、要素61によって共同で具現化されて示されている。このカメラからのフィードバックを使用して、アライメントシステムを調整してカメラを瞳孔にアライメントして、OCTシステムも瞳孔にアライメントする。即ち、瞳孔カメラは、眼の瞳孔の中心を追跡し、カメラおよびOCT撮像モジュール61のアライメントを維持するためのチルト機能性を提供する、例えば、2軸ジンバル63を駆動し得る(例えば、フィードバック信号を提供し得る)。本実施例では、ジンバル63は、好ましくは球面運動(例えば、球の表面と一致する運動)を提供する可動スキャンモジュールプラットフォーム(または撮像モジュールプレート)65に取り付けられる。要約すると、瞳孔カメラは、瞳孔中心を追跡し、2軸ジンバルを駆動して、カメラおよびOCT撮像モジュール61のアライメントを維持する。従って、瞳孔追跡は、広域FOV旋回システムに起因する眼球運動およびミスアライメントの両方に対処し得る。本システムは、それによって、事前定義された領域(例えば、2×2×2インチ(5.08×5.08×5.08センチメートル)の領域)にわたってアライメントを維持することができ、この領域は、効果的な撮像を達成するために患者の眼が配置される必要がある領域(例えば、瞳孔ボックス)内で、従来必要とされていたものよりもはるかに大きい領域である。
【0073】
アライメントシステムが十分に較正されている場合、カメラを平行面に直接取り付けて、フィードバックを使用して、カメラシステムに影響を及ぼすことなく、OCTシステムをアライメントすることもできる。白内障、または瞳孔の部分における他の混濁の場合、そのようなシステムはまた、画像品質を最適化するために、瞳孔上の特定の場所へのアライメントを維持することができる。そのような混濁がない場合、システムは、瞳孔の中心へのOCTシステムのアライメントを維持する可能性が最も高い。
【0074】
図7Aは、撮像モジュール(例えば、瞳孔カメラおよび/またはスキャンモジュールおよび/または他の医療撮像デバイス)のための球面運動を形成する移送システムを示す。本実施形態の移送システムは、本発明による撮像モジュールをスキャンするための枢動システムを含み、取得角度は、回転により球(または球状)面/表面70が形成される(例えば、球面運動が形成される)1つまたは複数の回転支柱(またはロッド)72/73によって駆動/規定される。図7Aは、例えば、眼の軸に対して90度変位した球上の枢動点71Aを使用することによって、球(または部分球)の表面に沿って(例えば、撮像モジュールプレート65に取り付けられた)撮像システムを移動させる特に簡単な方法を示し、湾曲支柱72は、球の表面に沿ってこの枢動点71Aから球の反対側の第2の枢動点71Bまで延在する。次いで、支柱72を2つの枢動点71A/71Bに対して回転させることにより、支柱72が球の表面を横断して掃引する。図示されるように、第2の支柱73が第1の支柱72に対して球上で90度回転して取り付けられ、かつ同様に回転される場合、2つの支柱72/73の交点は、球上の任意の点に配置され得る。従って、撮像モジュールプレート(またはスキャンモジュールプラットフォーム)65を2つの支柱72/73の交点(例えば、間)に搭載することによって、プラットフォーム65の所望の動作を形成することができ、このプラットフォーム65上の表面は、常に球表面に平行であり、従って、瞳孔が存在するであろう球の中心に垂直な点を有する状態で、球の区分上の全ての点に平行移動され得る。2つの支柱72/73が球上で互いに対して90度回転された場合に最良の機械的性能が期待されるが、回転点の位置は90度離間している必要はないことに留意されたい。支柱が90度離間していない場合、球上の全ての点に依然として到達することができるが、一方の支柱を回転させることによって生成される力は、他方の支柱の軸に直接沿っていないため、いくらかの追加の摩擦が生じる。
【0075】
枢動点が、瞳孔が存在すべき球の中心と同じ平面にあることは望ましくない場合がある。患者の顔及び身体もこの平面内にあるため、人体に影響を与えることなく、これらの位置に枢動点を置くことは困難であり得る。前に述べたように、1つの解決策は、球を体から離して移動させ、枢動点と球中心の両方を眼および身体の前に移動させることである。これが行われる場合、OCT軸アライメントシステムは、瞳孔に対するアライメントを維持しながら、このオフセットを補正する必要があり得る。この補正は、システムの光軸を瞳孔にアライメントされた状態に維持する追跡システムを介して、またはこの変位を補償する角度依存オフセットをアライメントシステム上で加えることによって、またはその両方によって行うことができる。スキャンモジュールを傾斜させて指向させるこの機能は、図7Bに示されている。即ち、図7Bは、支柱のうちの1つが回転されるときのプラットフォームの変位を示す。
【0076】
代替的に、有効枢動点を機械的にシフトさせることができる。枢動点に対する機械的シフトの1つのそのような例が、図7Cに示されている。このようにして、面74からのクリアランスは、枢動点をシフトすることによって向上させることができる。この図では、有効枢動点(例えば、枢動点75)は、位置76に対して所与の距離77だけシフトされる。この方法または同様の方法で枢動点を移動させることにより、球のより小さい部分を使用することが可能になり、同時に回転機構を面74から離れるように移動させることも可能となる。図7Dは、支柱のうちの1つが回転されるときのプラットフォームの変位を示す。
【0077】
瞳孔へのアライメントを維持しながら、小型FOVシステムが瞳孔の周りで円弧状に移動されるこの手法は、システムの光学部品によって形成される「瞳孔ボックス」として知られる非常に制限されたエリア内に瞳孔を配置する必要性を大幅に低減するという点で、追加の利点を有する。図8は、本システム80が、従来の光学系83の広視野眼科用レンズ81および対応する瞳孔ボックス82の要件が除去されていることを示す。瞳孔ボックス81は、従来、効果的な撮像を達成するために、患者の瞳孔が存在すべき3次元領域の空間(眼科用デバイスに対する)を形成し得る。理論的には、従来の広視野システム83において光学部品を移動させる瞳孔追跡を追加することができるが、広域FOV撮像をサポートするために必要な光学部品のサイズおよび重量によって、これが非実用的なものとなる。対照的に、本システムは、眼の近傍に光学部品を設けることなく(矢印84によって示される)、光学部品の柔軟性のあるポインティングによって、瞳孔ボックスが除去される(矢印85によって示されるように)。上述した手法は、非常に軽量に重量が制限された光学FOVを用いて、光学系を移動させることによって瞳孔の追跡を可能にする。本発明は、瞳孔追跡のために重量のある光学ヘッドを移動させることが現実的でない広視野(>50度)撮像システムに特に適用可能である。
【0078】
図9Aは、撮像モジュールの球面運動を形成するための本発明による別の移送システムを示す。上述したように、本移送システムは、スキャンシステム/撮像モジュール(または、「OCTアセンブリ」OA1)をほぼ(about)球面/球面運動で物理的に移動させて、眼全体をスキャンするが、本実施形態は、極座標ベースのシステムを含む。本例では、OCTアセンブリOA1の上述した球面運動は、ハウジングH1内の球面(又は部分的ドーム形状)表面又はフレーム(Sphr)によって提供される。任意選択的に、表面Sphrは、最小限、患者の眼を受容するのに十分なサイズであり得、従って、典型的な巨視的なOCTシステムと比較して比較的小さいものであり得る。本例では、ハウジングH1は、5インチ(12.7センチメートル)の高さであるように例示的に示されている。図9Aは、ハウジングH1の内部側面図(または切欠図)v1と、ハウジングH1の正面図v2と、表面Sphrの内部湾曲面に沿って配置され得る半径方向湾曲スライド(またはガイド)(RS1)に沿って表面Sphrの外部からその内部に延在するOCTアセンブリOA1の一部を示す分解図v3とを提供する。回転子Rtrまたは他の回転電機子/回転機構は、矢印r1によって示されるように、表面Sphrを(例えば、患者の瞳孔の軸中心の周りで)回転させ得る。このようにして、OCTアセンブリOA1は、表面Sphrの中心から所与の半径方向距離で円形経路(例えば、方位角方向)に沿って一方向または双方向に回転するように作製され得る。加えて、OCTアセンブリOA1は、矢印rd1によって示されるように、半径方向スライドRS1(または他の半径方向に移動可能なキャリッジ/保持アセンブリもしくはレールシステム)に沿って、表面Sphrの中心から半径方向に(外向きまたは内向きに)移動するように作製され得る。回転子Rtr(回転表面Sphr)と半径方向スライドRS1との組み合わせによって、OCTアセンブリOA1は、表面Sphrの内部によって形成される球面に沿った任意の位置に配置され得る。
【0079】
図9Bは、患者の眼に対する半径方向スライドRS1の拡大正面図および側面図を提供する。本例では、OCTアセンブリOA1は、長方形の正面外形を有するように示されているが、図9Aの例では、OCTアセンブリOA1は、円形の正面外形を有するように示されている。OCTアセンブリOA1は、いずれか1つの構成に限定されないことを理解されたい。図示されるように、半径方向スライドRS1は、OCTアセンブリOA1が表面Sphrによって形成される球面内の任意の位置に移動され得るように、(点線Cntrによって示されるように)患者の瞳孔の中心の周りを(例えば、矢印r1によって示されるように、回転子Rtrまたは他の回転シャフトによって)方位角的に回転し得る。このようにして、OCTアセンブリOA1は、患者の瞳孔から固定距離(例えば、2インチまたは5.08センチメートル)に維持され得る。本例では、固視ターゲットFx1(例えば、ミラー、発光ダイオード、小型電子ディスプレイなど)が、患者の瞳孔にアライメントされた球面の中心に固定される。任意選択的に、固視ターゲットFx1は、表面Sphrに沿った任意の他の所望の位置に移動するようにされ得る(または固定され得る)。
【0080】
図9Aに戻ると、ミラーであり得る固視ターゲットFx1が表面Sphrの中心に示されており、固視ターゲットFx1は、固視ターゲットFx1の焦点調節の必要性がない固視用レーザ(fixation laser)FL1によって提供され得る。固視用レーザFL1は、固視ターゲットFx1上に静止画像又は動画像(例えば、動画)を投影し得る。任意選択的に、固視ターゲットFx1は、表面Sphrに取り付けられ、表面Sphrと共に回転するか、または眼に対して固定回転(fixed rotation)で維持され得る。さらに、固視用レーザFL1は、表面Sphrとは独立し得、かつ、表面Sphrの内部が反射性である場合(例えば、鏡面を有する場合)、表面Sphr上の任意の内部位置に固視ターゲットFx1を投影し得る。このようにして、固視用レーザFL1は、表面Sphrが回転している間、患者の瞳孔に対して複数の固定位置に固視ターゲットFx1を投影し得るか、またはOCTアセンブリOA1の半径方向経路rd1とは反対側の半径方向経路などの固定経路Pth1を形成し得る。瞳孔アライメントカメラP1、P2、およびP3などの他の構成要素は、球面Sphrに取り付けられ、かつ球面Sphrとともに回転し得る。
【0081】
図9Cは、特にOCTAスキャン用途であるがこれに限定されない球面スキャンアセンブリに適した例示的なスキャンパターンを示す。複数のスキャン領域またはパッチ(Ptch1/Ptch2)は、複合円形スキャン領域を形成するように、半径方向ステップおよび方位角ステップにおいて作成され得る。例えば、OCTアセンブリが、例えば、±6度の制限されたスキャン視野を有する場合、各スキャンパッチは、12度の制限されたスキャン幅(LS1)を有し得る。図示されるように、スキャンパッチは、(例えば、モンタージュ等による合成により)例えば、100度の有効なより大きい視野を形成するように、半径方向に方向付けられ、かつ互いに重複するより短いスキャンパッチPtch1およびより長いスキャンブロックPtch2から構成され得る。内向きおよび外向きの矢印A1によって示されるように、いくつかのスキャンパッチ(例えば、より短いスキャンパッチPtch1)は、OCTアセンブリが球面の中心に向かって半径方向内向きに移動されるときにスキャンされ得、他のスキャンパッチ(例えば、より長いスキャンパッチPtch2)は、OCTアセンブリが球面の中心から半径方向外向きに移動されるときにスキャンされ得る。このようにして、1つまたは複数のスキャンビームによる連続的な方位角スキャンおよび半径方向スキャンが実現され得る。任意選択的に、パッチPtch1/Ptch2によって形成されるスキャンエリア/領域全体が、(例えば、静止した)OCTアセンブリのスキャン視野によって形成される場合、OCTアセンブリが次のスキャン位置に移動して次のスキャンパッチを捕捉する前に、OCTアセンブリが対応する静止位置にある間にスキャンパッチPtch1/Ptch2がスキャンされ得る。上述したように、OCTアセンブリは、1つまたは複数の単一点スキャナ、ラインスキャナ、または全視野スキャナから構成され得る。上述したように、OCTアセンブリが並行して動作する複数のスキャンビームを含む場合、システムの有効スキャン速度が増加し得る。
【0082】
眼をスキャンするために半径方向運動および方位角運動の任意の組み合わせを行うことができるが、眼に入射する複数のOCTスキャンビームが存在するようにOCTシステムが並列化され、OCT血管造影に関心がある場合、各半径方向スキャン中にアレイの回転を固定した状態に保持するように、図9Cに示されるように、それらの間で方位角回転を伴う一連の半径方向スキャンを行うことが望ましい場合がある。特に、これは、反復血管造影スキャンの間に回転がないことを保証することになる。なぜなら、そのような回転は、並列化されたビーム間の水平間隔および垂直間隔を変化させて、血管造影のために(同じ位置で)Aスキャンパターンを繰り返すことを困難にするからである。
【0083】
いくつかの点で、上述した手法はモンタージュと同様であり、モンタージュでは、制限された視野の機器を用いて一組の画像を手動で撮影し、次いで、それらを組み合わせて広視野画像を生成する。そのような手動手法では、典型的には、患者に固視ターゲットを見るように求め、次いで、異なる位置で固視ターゲットを用いて一連の画像を撮影する。次いで、眼は、各画像に対して異なる方向を見ているため、複数の画像は、モンタージュすることができる眼の異なる部分を示す。本明細書で説明する手法は、固視ターゲットがサブフィールドの収集の間に移動しない点と、サブフィールドの取得の間にアライメントステップを必要とせずにサブフィールドの全てが順次取得される点の両方で異なる。
【0084】
モンタージュされる画像の1つの課題は、固視ターゲットが中心画像に対する撮像視野内にあるが、周辺画像に対する撮像視野内にはないことである。これは、1つは光学部品の視野内にあり、1つは光学部品の外部にある2つの固視ターゲットシステムの必要性につながり得る。本システムでは、この問題を回避することができ、中心サブフィールドと周辺サブフィールドの両方をカバーするために1つの固視ターゲットシステムを必要とするだけである。これは、図10に示されるように、撮像システム(例えば、スキャンモジュールまたはスキャンヘッド)87が横断する球面70の背後に固視ターゲット86を配置することによって実現することができる。小型スキャンモジュール87は、スキャンモジュール87が固視ターゲット86の前を通過するときに固視ターゲット86を一時的にブロックし得る。即ち、固視ターゲット86は、撮像システム87がその前を通過するときにブロックされることがあるが、固視ターゲットは頻繁に点滅するように設計されているため、撮像システム87が固視ターゲットを一時的にブロックするときに固視がオフになるように点滅パターンを設定することができる。また、この手法は、固視ターゲットと撮像システムとを組み合わせるための光学部品の必要性を排除することによって、システムを簡略化する。より古典的なモンタージュ画像を生成するために、スキャン光学部品の背後の異なる位置に複数の固視ターゲット(図示せず)を配置することができ、この場合、複数の画像が異なる固視で取得され、次いで合成される。これは、各画像に対する別個の完全な取得を用いるか、または取得中に1つのターゲットが照明された後に、次のターゲットが照明されるかのいずれかで行うことができる。単一の画像の取得中に異なる固視位置を有することになる場合、好ましい手法は、システムによって得られる視野を拡大するために、取得中に移動する単一の固視ターゲットを有することであり得る。撮像光学部品の視野内およびこの視野外の両方のための単一の固視ターゲットが、これを可能にする。
【0085】
図11は、スキャンモジュールのスキャン(または取得)視野が関心領域92を画定するスキャンパターン90を示し、矢印91は、最適化されたOCT撮像を可能にする、関心領域スキャンを形成するためのスキャンモジュールの平行移動を示す。これは、古典的なスキャンシステムと比較した本システムの別の利点を示し、スキャンモジュールを平行移動させることによって、制限された視野を連続的に取得(スキャン)することによって、システムは、網膜上を比較的低速で移動して、視野上の網膜の光学特性の変動を考慮して、取得中にシステムの撮像パラメータを調節することが可能となる。取得の間に調整され得るパラメータは、スキャン深度、焦点、非点収差、偏光、収差、およびスキャン範囲を含むが、それらに限定されない。
【0086】
OCTは、典型的には、撮像のために近赤外光を使用し、これは、患者に大きな負担をかけないようにするためであり、最大30秒以上の長い期間にわたってデータを取得することが可能である。しかしながら、取得中の網膜の動きが課題となる可能性があり、画像の歪みおよび/またはOCTデータが欠落した眼の領域が生じる可能性がある。これに対処するために、ハイデルベルグ・スペクトラリス(Heidelberg Spectralis(商標)OCT機器およびツァイス・シラス(Zeiss Cirrus(商標))OCT機器で行われているように、第2の撮像システムを多くの場合使用して網膜を追跡する。また、OCT血管造影として知られるOCTも比較的最近開発されており、これにより、反復スキャンを通じて血液の動きを検出することによって、眼内の微小血管系が画像化される。本明細書では、反復スキャンを使用して眼内の血流を検出することと、網膜の全体的な動きを測定することの両方を行うことによって、これらの2つの機能を、本新規なスキャン手法と組み合わせることができることを提案する。これまで、OCT血管造影は、単一のBスキャンを繰り返すことによって行われており、各Bスキャンは、網膜を横断する長い(10~60度)ラインスキャンで構成され、この場合、各Bスキャンは、取得するのに約5ミリ秒を要する。網膜が移動すると、これらの取得は重複せず、次いで、二次追跡システムからの情報を使用して、OCTスキャンの位置を補正してデータを再取得する。この場合、1D(1次元)ラインではなく、これらの5ミリ秒周期にわたって眼の制限された2D(2次元)領域を取得することによって、本システムは、反復スキャンに一致する2D領域内のAスキャンを識別することによって、2D内の動きを検出することができる。簡単な例として、反復スキャン間に5ミリ秒の遅延がある500kのAスキャン/秒システムがある場合、約50×20um=1mm×1mmの領域に相当する50×50のAスキャン領域をスキャンすることができ、従って、5ミリ秒当たり最大1mmの動きを追跡することができる。従って、本スキャン手法は、OCT血管造影および網膜追跡の両方のために同じ反復スキャンを使用することを可能にし、二次追跡システムを用いることなく網膜追跡を可能にする。
【0087】
ある場合には、横断スキャン機能を備えていないマイクロ光学部品ベースのOCTシステムを有することも望ましく、この場合、横断スキャンは、マイクロ光学部品OCTを移動または回転させることによって提供されることになる。例えば、オンボードのビームスキャナなしでマイクロ光学部品OCTモジュールを構成することができ、その代わり、マイクロ光学部品OCTモジュール(およびその非スキャンOCT光ビーム(単数または複数))を皮膚の表面上でドラッグ/移動させて皮膚組織のBスキャンを生成することもできる。そのようなシステムは、光をサンプルに結合するためのマイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチの外部の光学部品を含むことができるか、または追加の光学部品なしで、サンプルを直接照射することができる。同様に、光相関領域反射測定モードでスキャンすることなくマイクロ光学部品システムを使用することができる用途がある。そのような用途の一例は、顕微鏡の焦点を最適化するための、顕微鏡内のサンプルまでの距離の測定であり得る。
【0088】
マイクロパッケージの一部として一体化することができるOCTシステムのさらなる態様は、焦点調節である。液体レンズと呼ばれることもある調整可能なレンズは、非常に迅速な焦点調節を提供することが実証されているが、典型的には、有効開口(clear aperture)には制限がある。従って、マイクロパッケージの内部またはマイクロパッケージに近接した小さなビーム直径は、そのような調整可能なレンズに非常に適合する。好ましい実施形態では、調整可能なレンズは、瞳共役面に配置される。
【0089】
より広いスペクトル調整帯域幅は、MEMS波長可変VCSELを使用して達成することができる。これらのデバイスは、MEMS素子を用いてそれらのキャビティ長を調整することによって調整される。それらは、光学的にポンピングされる種類および電気的にポンピングされる種類で存在する。光学的にポンピングされる波長可変MEMS VCSELは、通常、少なくとも光学的にポンピングするためのレーザダイオードとMEMS VCSELとを含む。電気的にポンピングされる波長可変MEMS VCSELは、通常、電気的に駆動される能動利得セクションを有する少なくとも1つのMEMS VCSELを含む。電気的にポンピングされるVCSELも光学的にポンピングされるVCSELも、多くの場合、光パワーを増大させるために光増幅器と組み合わされる。任意選択的に、MEMS波長可変VCSELは、アライメントされた光増幅器と共にパッケージ化され得る。シリコン(例えば、半導体)光学ベンチは、アライメントのために異なる手法を使用し得る。例えば、顕微鏡および画像認識が使用され得、かつ/またはレーザビームがシステムを介して送られ、その位置または強度が最適化され得る。これらの部品は、典型的には、別々にパッケージされて互いにファイバ結合されるか、またはバタフライパッケージ内のマイクロベンチ上に共パッケージされる。それらの製造プロセスは、いくつかのアクティブアライメントステップと、デバイスごとのファイバカップリングおよびパッケージングステップとを含む。これらのデバイスのサイズおよびコストをさらに低減し、これらのデバイスのより大量な製造を可能にするために、ウェハレベルの製造およびパッケージングプロセスのスケーラビリティから利益を得るために、受動的な配置およびアライメントステップに依存してシリコン(半導体)光学ベンチ上にそのようなデバイスを構築することが有益であろう。
【0090】
VCSEL、検出器、およびピンホールは全て、アレイの素子間にサブミリメートル/ミクロンの間隔を有するアレイとしてウェハレベルで製造することができる。従って、VCSEL、検出器、および/またはピンホールがアレイであり、VCSELからの光ビームのアレイがマイクロベンチ/シリコンベンチの個々の光学部品を通って並列に伝搬する並列マイクロ光学ベンチまたは並列半導体光学ベンチOCTシステムを構成し得る(複数のOCT光ビームが同じ光学部品を通過し、かつ各ビームがOCT信号を生成するための少なくとも1つの対応する検出器を有する)。一例として、VCSELの3×3アレイと、それに対応する検出器およびピンホールのアレイとを仮定すると、1つの取得チャネルから9つの取得チャネルに移行することができ、9つのチャネル全てが同じレンズおよびミラーを共有し、従って、OCT干渉計において追加の光学部品を必要としない。VCSELの1Dアレイを用いてこれを行うこともでき、これはスキャンのためのより自然なパターンであり得るが、典型的には光ビーム(単数または複数)が通過するための円形開口を有するレンズを充填するという点で効率が低くなる。可能な限り多くのビームを所与のサイズの光学部品にパックすることが望ましく、どのようなパターンであっても最大のパッキングを与える。例えば、2,3,2=7本のビーム、または3,4,5,4,3=19本のビームの列を有する六角形のパッキングが望まれる場合がある。上述したように、光学部品を通過するビームの最適な配置は、スキャンに望ましいビームの配置とは異なる場合がある。そのような場合、各ビームを適切に偏向させる1つまたは複数の光学部品を用いて、OCT干渉計とスキャンミラーとの間のビームの配置を変更することができる。
【0091】
図12は、2Dアレイ(例えば、3×3アレイ)の光ビーム101(黒い点103は、合焦ビームを表す)を1Dアレイの光ビーム(例えば、黒い点105によって表される)に変換するための構成を示す。スキャンミラー109に入射する(コリメートされた)ビーム107は、全てが同じ位置でスキャンミラー109に当たるが、ラインに沿って異なる角度から入射するラインのビームである。OCT干渉計において2Dアレイのビーム101があるとすると、図12に示されるように、2Dアレイのビーム101を1Dアレイに変換する、OCT干渉計とスキャンミラー107との間の光学部品が必要となるであろう。本実施例では、(ビーム偏向を備える)2Dアレイのレンズ111、(ビーム偏向を備える)1Dアレイのレンズ113、およびレンズ115が、この変換を提供する。収束/発散ビーム117は、2Dアレイのビーム101と2Dアレイのレンズ111との間で転送される。コリメートされたビーム115は、2Dアレイのレンズ111と1Dアレイのレンズ113のとの間で転送され、収束/発散ビーム105は、1Dアレイのレンズ113とレンズ115との間で転送される。
【0092】
図13Aを参照すると、2D矩形アレイの点121を垂直(スキャンを横断する)方向に沿って等しい間隔を有する一組の点に変換する別の方法は、図示されるように、スキャン方向に対してアレイを単にわずかに回転させることである。黒い点は、回転した4×4アレイの点121を表し、灰色の点123は、スキャンされた点(例えば、結果として生じるスキャンパターン)を表し、矢印125は、スキャン方向を示す。図13Bを参照すると、同様の効果を達成する別の方法は、各行または列がスキャン方向129に対してわずかに垂直にシフトされた平行四辺形の形態で配置されたVCSEL127のアレイを用いることである。ここでも、灰色のドット128はスキャンされた点を示す。図13Cを参照すると、異なる水平および垂直VCSEL間隔を有する平行四辺形アレイ131が示されている。前と同様に、灰色のドット132はスキャンされた点を示す。矢印133はスキャン方向を示す。レンズの円形有効開口の使用を最大化するために、2Dアレイをほぼ正方形(アレイの高さおよび幅がほぼ等しい)にすることが望ましい。VCSEL131間の間隔は、水平方向と垂直方向とで大幅に異なり得るため、これを達成するために、垂直方向と水平方向とでVCSELの数を大幅に異ならせ得る。
【0093】
VCSELアレイは、所与のピッチ(VCSEL間の間隔)およびビーム開口数(例えば、システムが光を受光または放出することができる角度範囲を特徴付ける無次元数)を有することになる。開口数とピッチの積は、VCSELを単一素子の光学部品で結像するときの保存量(conserved quantity)を維持する。図14Aは、VCSELアレイ141(例えば、サイズ200μm×300μm)の例を提供し、VCSELアレイ141とスキャナ145との間には単一のレンズ143がある。しかしながら、所望の「ピッチ」または「サンプリング間隔」と網膜上の「ビーム開口数」との積は、VCSELアレイからのこの保存量に一致しない場合がある。これに対処するために、図14Bに示すように、(例えば、500μm×600μmのVCSELアレイ147からの)ビームアレイ146をレンズレットアレイ(またはレンズアレイ)148に通過させ、従って、この保存量を調整して網膜上の結像を最適化する必要があり得る。図14Bの例では、レンズアレイ148は、ビームの発散を減少させて、レンズまでの距離を増加させる。レンズアレイにおけるビーム間の横方向間隔は変化しないが、レンズ焦点距離およびレンズからスキャナ(ミラー)145までの距離は増加する。
【0094】
VCSELアレイの使用によって、アレイ内のVCSELの数に従って、デバイスの総サンプル光パワーが増加する。これは、各個別のチャネルが、典型的な単一ビームOCTシステムよりも低いサンプルパワーを使用し、依然として同等またはより良好な画像品質および/または撮像速度を達成することを可能にする。特に、本発明は、そうでなければ実証されていない光増幅器なしで生物学的サンプルの高品質OCT撮像のためのVCSELの使用を可能にする。
【0095】
上記の実施形態のうちのいくつかにおいて、全ての光ファイバまたは他の導波光学部品を省略することが有利であるとして説明されたが、いくつかのマイクロ光学OCTシステムは、例えば、端面発光レーザ、半導体光増幅器、または光変調器の一部として、導波路を含み得る。マイクロ光学OCTシステムはさらに、マイクロ光学部品を使用してともに結合される複数の平面導波路および/またはフォトニック集積回路(PIC)のアセンブリであり得る。例えば、ウェハレベルのアセンブリおよびパッケージングステップを使用して組み立てられた半導体光学ベンチは、異なる材料から作製された複数の光学部品を小型気密封止パッケージに組み合わせてパッケージングするための費用効果の高い方法を表し得る。これは、例えば、GaAsで作られたレーザまたは増幅器を受動窒化ケイ素PICと組み合わせる場合など、材料が不適合であるために異なる部品を単一のPIC上に集積することができない場合に特に望ましい。マイクロ光学OCTシステムはさらに、同じパッケージ内に電子機器、個別のアナログ電子部品だけでなく、電子集積回路も含むのに適している。特に、シリコン光学ベンチ、即ちシリコンウェハ上に構築されたシステムは、同じシリコンウェハが電子集積回路を含むように処理され得るため、特定の大規模な電子および光学集積を可能にし得る。このようなシステムは、受動および能動光学部品のみならず、光源の駆動、信号調整、アナログ-デジタル変換、信号処理(例えば画像再構成)、データ転送、およびデータ保存のための電子集積回路も含むことができる。
【0096】
ハイブリッドPIC/マイクロ光学デバイスにおいて、マイクロ光学部品は、上述したような導波路および/またはフォトニック集積回路間の結合の役割を果たすだけではない。いくつかのシステムでは、マイクロ光学部品を使用してシステムのいくつかの機能を実行し、フォトニック集積回路を使用して他の機能を実行することが所望される場合があり、これらは共通基板上に存在し、かつ共にパッケージ化される。
【0097】
光ファイバが望ましいさらなる事例は、マイクロ光学部品のアセンブリにファイバ結合された外部光源、または検出アーム内の光を収集し、その光を外部光検出器に指向させるファイバを含む。これらの事例におけるファイバは、例えば、シングルモードファイバ、偏光保持ファイバ、偏光ファイバ、またはデュアルクラッドファイバであり得る。
【0098】
本明細書に記載されるマイクロ光学部品は、光が単一の平面内のみを伝搬するものとして示されているが、光ビームの少なくとも1つを、例えばこの平面に垂直な方向に指向させることが望ましい場合がある。例えば、サンプルアームまたはサンプルアームおよび参照アームがパッケージの側壁ではなくリッドを通過して出射するようにすることが望ましい場合がある。そのような場合、リッドは動作波長において透明であるか、またはリッドに一体化されたウィンドウまたはレンズを含む。
【0099】
要約すると、本出願において提供される新たな手法/特徴のいくつかは、以下を含む。
1)マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ上のOCT/OCDRシステムの様々な態様を実装すること。
【0100】
2)OCT/OCDRのいくつかの巨視的な態様(例えば、サンプルアームおよび参照アーム)が、マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチの外部にあり、かつOCT/OCDRシステムの残りが、マイクロベンチ上に組み込まれているハイブリッドシステムを具現化すること。
【0101】
3)OCT/OCDR干渉計だけでなく、例えば、ベンチ上に設置されるか、または半導体製造プロセスを通して半導体ベンチ内に組み込まれる微小電気機械システム(MEMS)ミラーの潜在的な使用によるスキャン機能を含む、マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ上の部品を含むこと。
【0102】
4)光学表面を最小化するためにマイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチの気密封止の一部としてOCT/OCDRシステムの光学部品を使用すること。例えば、マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチから外界への光の伝送が、光ファイバを通して行われない場合、光は、気密封止されたOCT/OCDRエンジンから外界への伝送において、透過性要素を通過する必要がある。図2BにWとして示されるように、この透過性要素のためのウィンドウを使用する代わりに、図2Aに示されるように、気密封止されたOCT/OCDRエンジンと外部サンプルアームおよび外部参照アームとの間の移行に四分の一波長板を配置することができる。次いで、四分の一波長板は、気密封止の一部となるため、図2Bに示されるウィンドウWの必要性を排除することができる。OCT/OCDRの異なる構成に対して、OCT/OCDRの動作に必要とされる他の光学部品もまた、気密封止のために、この移行点において使用され得る。
【0103】
5)アクティブアライメントを必要としない自由空間光学部品のOCT/OCDRシステム(場合によっては参照アームおよびサンプルアームなど、ベンチから離れて存在する任意の部品以外)の作成も示されていること。これは、部品の配置精度が非常に高い半導体光学ベンチで特に実現可能である。半導体光学ベンチのレセプタクル開口は、部品を所定のアライメント配向で高精度に保持するように設計されている。
【0104】
6)多数の半導体光学ベンチOCT/OCDRシステムのアセンブリが、ウェハレベルでパッケージ化され、かつ/または試験され得ること。
7)追加のIC電子機器(例えば、検出器電子機器およびアナログ・デジタル変換器)を(例えば、シリコン基板の)半導体光学ベンチパッケージに組み込むことにより、コストをさらに低減し、かつ超高速OCT/OCDRシステムに必要な高速電子機器を可能にするための超短電気経路を可能にし得ること。例えば、半導体光学ベンチ自体の基板上に構築された集積回路は、外部の個別部品を相互接続するための配線トレース/ワイヤに関連する信号伝搬遅延およびタイミング問題を回避し得るため、より高いクロック速度を実現し得る。
【0105】
8)検出器をウェハに組み込む場合、図3に示すように、検出経路ビームを水平から一体化された検出器に偏向するように偏光ビームスプリッタを構成することができる。同様に、半導体ベンチに組み込まれたVCSELは、ベンチから直接垂直に光を出射し、回転プリズムを介してベンチ上のOCT/OCDRシステムに戻るように結合される。
【0106】
9)アナログOCT/OCDR信号と調整可能な周波数(例えば、変調基準周波数)発振器とのミキシングにより、迅速な全電子経路長調整を可能にし得ること。例えば、検出器からのアナログ出力は、アナログ出力をターゲット周波数範囲に復調することによって所望の画像検出範囲を確立するために、自己調整発振器と混合され得る。自己調整発振器は、目標ミキシング周波数を達成することによって高速Z追跡を実現するために、デジタル的に設定され得る(および/またはフィードバック機構によって制御され得る)。この手法はまた、サンプリング深度を変更するときに、ドップラーシフトの生成を回避し得る。
【0107】
10)参照アームおよび/またはサンプルアームからの戻り光の伝送は、干渉しない不要な光(特に、サンプルからの多重散乱光)を適切に除去するために、1つまたは複数のピンホールを通過し得ること。
【0108】
11)参照アームおよびサンプルアームから戻る光の伝送は、共有ピンホールを通過し得ること。これにより、参照アーム光とサンプルアーム光との間のモードマッチングが生じて、アーム間の干渉が最大化される。これは、干渉が生じる前または後(例えば、図2AのPBS1の前または後)のいずれかに行われ得る。図2Aに示されるように、干渉の前にそれを行うことにより、2つの検出器の各々の前に1つではなく、1つのピンホールのみが必要とされる平衡検出システムに対して利点が得られる。必要とされるピンホールの数を減少させることに加えて、これはまた、両方の検出器に到達する光に対して同じピンホールを使用することが、2つの検出器に到達する光の空間フィルタリングにおける一貫性を生み出すため、平衡検出を向上させることができる。代替的に、フォトダイオード(単数または複数)自体がピンホール(単数または複数)として機能することができる。これを実現するために、例えば、フォトダイオード(単数または複数)の活性エリアの直径は、合焦されるスポットの直径に近くし得る。
【0109】
12)直角位相検出器は、アクティブアライメントを必要とすることなく、本マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチ上に実装され得ること。
13)マイクロ光学ベンチOCT/OCDRシステムまたは半導体光学ベンチOCT/OCDRシステムは、光ファイバまたは半導体導波路を備えることなく、ハンドヘルドOCT/OCDRシステムを形成し得ること。
【0110】
14)マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチは、サンプルアームの態様以外のOCTシステムの全ての光学部品を含むことができるため、サンプルビーム以外の光ビームをマイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチから伝送する必要性が排除されるとともに、任意選択的に、参照アームのアライメントのための部品配置公差に依存することが可能となること。
【0111】
図2A図2B図2Eおよび図2Fは、外部サンプルおよび参照アームを有するハイブリッド解決策を示す。さらに、図2Aは、マイクロ光学ベンチまたは半導体光学ベンチの縁部における気密封止の一部としての四分の一波長板の使用を示す。
【0112】
以下、本発明に適切な様々なハードウェアおよびアーキテクチャの説明を提供する。
光干渉断層撮影撮像システム
上述したように、図1Aは、本発明と共に使用するのに適した概略的な光干渉断層撮影システムを示す。断面画像(例えば、Bスキャン)を作成する様々な方法であって、限定はしないが、水平方向(またはX方向)に沿ったもの、垂直方向(またはY方向)に沿ったもの、XおよびYの対角線に沿ったもの、あるいは円形パターンまたは螺旋パターンのものを含む方法が当技術分野で知られている。Bスキャンは、X-Z次元内であってよいが、z次元を含む何れの断面画像であってもよい。人間の眼の正常な網膜の例示的なOCT Bスキャン画像が図15に示されている。網膜のOCT Bスキャンは、網膜組織の構造のビューを提供する。例示目的のために、図15は、種々の正規の網膜層および層の境界を識別する。識別された網膜境界層は、(上から下へ順に)内境界膜(ILM:inner limiting membrane)層1、網膜神経線維層(RNFL:retinal nerve fiber layerまたはNFL)層2、神経節細胞層(GCL:ganglion cell layer)層3、内網状層(IPL:inner plexiform layer)層4、内顆粒層(INL:inner nuclear layer)層5、外網状層(OPL:outer plexiform layer)層6、外顆粒層(ONL:outer nuclear layer)層7、視細胞の外節(OS:outer segments)と内節(IS:inner segments)との間の接合部(参照符号層8によって示される)、外限界膜又は外境界膜(ELM:external limiting membrane 又はOLM:outer limiting membrane)層9、網膜色素上皮(RPE:retinal pigment epithelium)層10、およびブルッフ膜(BM:Bruch’s membrane)層11を含む。
【0113】
OCT血管造影法又は関数型OCTにおいて、解析アルゴリズムは、動き又は流れを解析するために、サンプル上の同じ、又はほぼ同じサンプル位置において異なる時間に収集された(例えば、クラスタスキャン)OCTデータに適用されてよい(例えば、米国特許出願公開第2005/0171438号明細書、同第2012/0307014号明細書、同第2010/0027857号明細書、同第2012/0277579号明細書、及び米国特許第6549801号明細書を参照されたく、これらの全ての全体を参照によって本願に援用する)。OCTシステムでは、血流を識別するために多くのOCT血管造影法処理アルゴリズム(例えば、モーションコントラストアルゴリズム)のうちの何れの1つを使用してもよい。例えば、モーションコントラストアルゴリズムは、画像データから導出される強度情報(強度に基づくアルゴリズム)、画像データからの位相情報(位相に基づくアルゴリズム)、又は複素画像データ(複素に基づくアルゴリズム)に適用できる。en face画像は3D OCTデータの2D投射である(例えば、個々のAスキャンの各々の強度を平均することにより、これによって、各Aスキャンが2D投射内のピクセルを画定する)。同様に、en face脈管画像は、モーションコントラスト信号を表示する画像であり、その中で深さに対応するデータディメンション(例えば、Aスキャンに沿ったz方向)は、典型的にはデータの全部又は隔離部分を加算又は集積することによって、1つの代表値(例えば、2D投射画像内のピクセル)として表示される(例えば、米国特許第7301644号明細書を参照されたく、その全体を参照によって本願に援用する)。血管造影機能を提供するOCTシステムは、OCT血管造影(OCTA)システムと呼ばれてよい。
【0114】
図1Bは、en face脈管構造画像の例を示す。データを処理し、当業界で知られるモーションコントラスト法の何れかを用いてモーションコントラストをハイライトした後に、網膜の内境界膜(ILM:internal limiting membrane)の表面からのある組織深さに対応するピクセル範囲を加算して、その脈管構造のen face(例えば、正面図)画像が生成されてよい。図1Cは、脈管構造(OCTA)画像の例示的なBスキャンを示す。図示されるように、血流が複数の網膜層を横断することで、図15に示されるような構造的OCT Bスキャンにおけるよりも複数の網膜層を不明確にし得るため、構造的情報は明確ではない場合がある。それにもかかわらず、OCTAは、網膜および脈絡膜の微小血管系を撮像するための非侵襲的技法を提供し、これは、様々な病変を診断および/またはモニタリングするために重要であり得る。例えば、OCTAは、微小動脈瘤、血管新生複合体を識別し、中心窩無血管ゾーンおよび非灌流領域を定量化することによって、糖尿病性網膜症を識別するために使用され得る。さらに、OCTAは、網膜における血管の流れを観察するために色素の注入を必要とする、より伝統的であるがより侵襲的な技術である蛍光血管造影(FA:fluorescein angiography)と良好に一致することが示されている。さらに、萎縮型加齢黄斑変性において、OCTAは、脈絡膜毛細血管板フローの全般的な減少をモニタリングするために使用されている。同様に、滲出型加齢黄斑変性において、OCTAは、脈絡膜新生血管膜の定性的および定量的分析を提供することができる。OCTAはまた、血管閉塞を研究するために、例えば、非灌流領域の評価ならびに浅神経叢および深層神経叢の完全性の評価のために使用されている。
【0115】
コンピューティングデバイス/システム
図1Eは、本発明による例示的なコンピュータシステム(又はコンピューティングデバイス又はコンピュータデバイス)を図解する。幾つかの実施形態において、1つ又は複数のコンピュータシステムは本明細書において記載又は図解された機能を提供し、及び/又は本明細書において記載又は図解された1つ又は複数の方法の1つ又は複数のステップを実行してよい。コンピュータシステムは、上記した半導体光学ベンチの基板に組み込まれるか、または何れの適当な物理的形態をとってもよい。例えば、コンピュータシステムは、埋込みコンピュータシステム、システムオンチップ(SOC)、又はシングルボードコンピュータシステム(SBC)(例えば、コンピュータ・オン・モジュール(COM)又はシステム・オン・モジュール(SOM)等)、デスクトップコンピュータシステム、ラップトップ若しくはノートブックコンピュータシステム、コンピュータシステムのメッシュ、携帯電話、携帯型情報端末(PDA)、サーバ、タブレットコンピュータシステム、拡張/仮想現実装置、又はこれらのうちの2つ以上の組合せであってよい。適当であれば、コンピュータシステムはクラウド内にあってよく、これは1つ又は複数のクラウドコンポーネントを1つ又は複数のネットワーク内に含んでいてよい。
【0116】
幾つかの実施形態において、コンピュータシステムはプロセッサCpnt1、メモリCpnt2、ストレージCpnt3、入力/出力(I/O)インタフェースCpnt4、通信インタフェースCpnt5、及びバスCpnt6を含んでいてよい。コンピュータシステムは、任意選択により、ディスプレイCpnt7、例えばコンピュータモニタ又はスクリーンも含んでいてよい。
【0117】
プロセッサCpnt1は、コンピュータプログラムを構成するもの等、命令を実行するためのハードウェアを含む。例えば、プロセッサCpnt1は、中央処理ユニット(CPU)又は汎用コンピューティング・オン・グラフィクス処理ユニット(GPGPU)であってもよい。プロセッサCpnt1は、命令を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリCpnt2、又はストレージCpnt3から読み出し(又はフェッチし)、この命令を復号して実行し、1つ又は複数の結果を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリCpnt2、又はストレージCpnt3に書き込んでよい。特定の実施形態において、プロセッサCpnt1は、データ、命令、又はアドレスのための1つ又は複数の内部キャッシュを含んでいてよい。プロセッサCpnt1は、1つ又は複数の命令キャッシュ、1つ又は複数のデータキャッシュを、例えばデータテーブルを保持するために含んでいてよい。命令キャッシュ内の命令は、メモリCpnt2又はストレージCpnt3内の命令のコピーであってもよく、命令キャッシュはプロセッサCpnt1によるこれらの命令の読出しをスピードアップするかもしれない。プロセッサCpnt1は、何れの適当な数の内部レジスタを含んでいてもよく、1つ又は複数の算術論理演算ユニット(ALU:arithmetic logic units)を含んでいてよい。プロセッサCpnt1は、マルチコアプロセッサであるか、又は1つ若しくは複数のプロセッサCpnt1を含んでいてよい。本開示は特定のプロセッサを説明し、図解しているが、本開示は何れの適当なプロセッサも想定している。
【0118】
メモリCpnt2は、処理を実行し、又は処理中に中間データを保持するプロセッサCpnt1のための命令を保存するメインメモリを含んでいてよい。例えば、コンピュータシステムは、命令又はデータ(例えば、データテーブル)をストレージCpnt3から、又は他のソース(例えば、他のコンピュータシステム)からメモリCpnt2にロードしてもよい。プロセッサCpnt1は、メモリCpnt2からの命令とデータを1つ又は複数の内部レジスタ又は内部キャッシュにロードしてもよい。命令を実行するために、プロセッサCpnt1は内部レジスタ又は内部キャッシュから命令を読み出して復号してもよい。命令の実行中又はその後に、プロセッサCpnt1は1つ又は複数の結果(これは、中間結果でも最終結果でもよい)を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリCpnt2、又はストレージCpnt3に書き込んでよい。バスCpnt6は、1つ又は複数のメモリバス(これは各々、アズレスバスとデータバスを含んでいてよい)を含んでいてよく、プロセッサCpnt1をメモリCpnt2及び/又はストレージCpnt3に連結してよい。任意選択により、1つ又は複数のメモリ管理ユニット(MMU)は、プロセッサCpnt1とメモリCpnt2との間のデータ伝送を容易にする。メモリCpnt2(これは、高速揮発性メモリであってもよい)には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、例えばダイナミックRAM(DRAM)又はスタティックRAM(SRAM)が含まれていてよい。ストレージCpnt3には、データ又は命令のための長期又は大容量メストレージを含んでいてよい。ストレージCpnt3はコンピュータシステムに内蔵されても外付けでもよく、ディスクドライブ(例えば、ハードディスクドライブHDD、又はソリッドステートドライブSSD)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、光ディスク、磁気光ディスク、磁気テープ、ユニバーサルシリアルバス(USB)-アクセス可能ドライブ、又はその他の種類の不揮発性メモリのうちの1つ又は複数を含んでいてよい。
【0119】
I/OインタフェースCpnt4は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれら両方の組合せであってよく、I/Oデバイスと通信するための1つ又は複数のインタフェース(例えば、シリアル又はパラレル通信ポート)を含んでいてよく、これは人間(例えば、ユーザ)との通信を可能にしてもよい。例えば、I/Oデバイスとしては、キーボード、キーパッド、マイクロフォン、モニタ、マウス、プリンタ、スキャナ、スピーカ、スチールカメラ、スタイラス、テーブル、タッチスクリーン、トラックボール、ビデオカメラ、他の適当なI/Oデバイス、又はこれら2つ以上の組合せが含まれていてよい。
【0120】
通信インタフェースCpnt5は、他のシステム又はネットワークと通信するためのネットワークインタフェースを提供してもよい。通信インタフェースCpnt5は、Bluetooth(登録商標)インタフェース又はその他の種類のパケットベース通信を含んでいてよい。例えば、通信インタフェースCpnt5は、ネットワークインタフェースコントローラ(NIC)及び/又は、無線ネットワークとの通信のための無線NIC若しくは無線アダプタを含んでいてよい。通信インタフェースCpnt5は、WI-FIネットワーク、アドホックネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、無線PAN(例えば、Bluetooth WPAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、携帯電話ネットワーク(例えば、汎欧州デジタル移動電話方式(Global System for Mobile Communications)(GSM(登録商標))ネットワーク等)、インターネット、又はこれらの2つ以上の組合せとの通信を提供してよい。
【0121】
バスCpnt6は、コンピューティングシステムの上述のコンポーネント間の通信リンクを提供してよい。例えば、バスCpnt6は、アクセラレーテッド・グラフィックス・ポート(Accelerated Graphics Port)(AGP)若しくはその他のグラフィクスバス、拡張業界標準(Enhanced Industry Standard)アーキテクチャ(EISA)バス、フロントサイドバス(FSB)、ハイパートランスポート(HyperTransport)(HT)インタコネクト、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、インフィニバンド(InfiniBand)バス、low-pin-count(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(Peripheral Component Interconnect)(PCI)バス、PCI-Express(PCIe)バス、シリアル・アドバンスト・テクノロジ・アタッチメント(serial advanced technology attachment)(SATA)バス、ビデオ・エレクトロニクス・スタンダーズ・アソシエーション・ローカル(Video Electronics Standards Association local)(VLB)バス、若しくはその他の適当なバス、又はこれらの2つ以上の組合せを含んでいてよい。
【0122】
本開示は、特定の数の特定のコンポーネントを特定の配置で有する特定のコンピュータシステムを説明し、図解しているが、本開示は何れの適当な数の何れの適当なコンポーネントを何れの適当な配置で有する何れの適当なコンピュータシステムも想定している。
【0123】
本明細書において、コンピュータ可読非一時的記憶媒体は、1つ又は複数の半導体ベース又はその他の集積回路(IC)(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは特定用途IC(ASIC))、ハードディスクドライブ(HDD)、ハイブリッドハードドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、磁気光ディスク、磁気光ドライブ、フロッピディスケット、フロッピディスクドライブ(FDD)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ(SSD)、RAM-ドライブ、SECURE DIGITALカード若しくはドライブ、その他のあらゆる適当なコンピュータ可読非一時的記憶媒体、又は適当であればこれらの2つ以上あらゆる適当な組合せを含んでいてよい。コンピュータ可読非一時的記憶媒体は、揮発性、不揮発性、又は適当であれば揮発性と不揮発性の組合せであってよい。
【0124】
本発明は幾つかの具体的な実施形態と共に説明されているが、当業者にとっては明白であるように、上記の説明を参照すれば多くのその他の代替案、改良、及び変形型が明らかである。それゆえ、本明細書に記載の発明は、付属の特許請求の範囲の主旨と範囲に含まれるかもしれないあらゆるこのような代替案、改良、応用、及び変形型の全てを包含することが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A-2B】
図2C-2D】
図2E-2F】
図2G-2H】
図3
図4A-4B】
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B-9C】
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A-14B】
図15
【国際調査報告】