(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】アフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
G01M11/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546499
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2022052276
(87)【国際公開番号】W WO2022167393
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021102354.8
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518193696
【氏名又は名称】トライオプティクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Trioptics GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】ヨセフ ハイニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン サッシニング
(72)【発明者】
【氏名】アイコ ループレヒト
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル リスケ
(57)【要約】
アフォーカル光学系(105)の変調伝達関数(MTF)を測定するための測定装置(100)は、受容デバイス(110)と、光提供デバイス(115)と、カメラ(120)と、少なくとも1つの更なる光提供デバイス(125)と、少なくとも1つの更なるカメラ(130)と、伝送インターフェース(135)と、を有する。動作状態において、光提供デバイス(115)、アフォーカル光学系(105)、及びカメラ(120)は、受容平面(140)に対して垂直に配向された測定軸(162)に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。更なる光提供デバイス(125)、アフォーカル光学系(105)、及び更なるカメラ(130)は、測定軸(162)に対して斜めに配向された斜め測定軸(175)に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。評価ユニット(180)は、少なくとも1つのカメラ画像(160)を使用して、アフォーカル光学系(105)の変調伝達関数(MTF)を識別するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アフォーカル光学系(105)の変調伝達関数(MTF)を測定するための測定装置(100)であって、前記測定装置(100)が、以下の特徴:
受容平面(140)に前記アフォーカル光学系(105)を受容するための受容デバイス(110)と、
前記受容デバイス(110)内の前記アフォーカル光学系(105)を第1の側(150)から照明するための光(145)を提供するための光提供デバイス(115)と、
カメラ画像(160)を生成するために、前記受容デバイス(110)内の前記アフォーカル光学系(105)を前記第1の側(150)の反対側の第2の側(155)から観察するためのカメラ(120)であって、前記測定装置(100)の動作状態において、前記光提供デバイス(115)、前記アフォーカル光学系(105)、及び前記カメラ(120)が、前記受容平面(140)に対して垂直に配向された測定軸(162)に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている、カメラ(120)と、
前記受容デバイス(110)内の前記アフォーカル光学系(105)を前記第1の側(150)から照明するための更なる光(165)を提供するための少なくとも1つの更なる光提供デバイス(125)と、
更なるカメラ画像(170)を生成するために、前記受容デバイス(110)内の前記アフォーカル光学系(105)を前記第2の側(155)から観察するための少なくとも1つの更なるカメラ(130)と、
(前記動作状態において、前記更なる光提供デバイス(125)、前記アフォーカル光学系(105)、及び前記更なるカメラ(130)が、前記測定軸(162)及び/又は前記受容平面(140)に対して斜めに配向された斜め測定軸(175)に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている)
少なくとも前記カメラ画像(160)及び/又は前記更なるカメラ画像(170)を使用することによって、前記アフォーカル光学系(105)の前記変調伝達関数(MTF)を識別するように構成されている、評価ユニット(180)に、前記カメラ画像(160)及び前記更なるカメラ画像(170)を伝送するための伝送インターフェース(135)と、を有する、測定装置(100)。
【請求項2】
前記光提供デバイス(115)が、前記光(145)を平行光として提供するように構成されている焦点調節可能な又は焦点調節可能ではないコリメータ(500)を有する、請求項1に記載の測定装置(100)。
【請求項3】
第3のカメラ画像を生成するために、前記受容デバイス(110)内の前記光学系(105)を前記第2の側(155)から観察するための少なくとも1つの第3のカメラ(200)と、前記受容デバイス(110)内の前記光学系(105)を前記第1の側(150)から照明するための第3の光を提供するための少なくとも1つの第3の光提供デバイス(205)と、を有し、前記測定装置(100)の前記動作状態において、前記第3の光提供デバイス(205)、前記光学系(105)、及び前記第3のカメラ(200)が、前記測定軸(162)及び/又は前記受容平面(140)及び/又は前記斜め測定軸(175)に対して斜めに配向された更なる斜め測定軸と平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている、請求項1又は2に記載の測定装置(100)。
【請求項4】
少なくとも1つの光学フィルタを有し、前記少なくとも1つの光学フィルタが、前記光学フィルタから出てくる変更された第2の波長範囲を有する、光(145)を提供するために、前記光学フィルタに当たる前記光(145)を第1の波長範囲に変更するように構成されており、及び/又は前記光学フィルタから出てくる変更された第2の偏光を有する前記光(145)を提供するために、前記光学フィルタに当たる光(145)を第1の偏光に変更するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項5】
前記カメラ(120、130、200)を受容するための受容ユニット(215)を有するカメラ保持デバイス(210)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項6】
前記光提供デバイス(115、125、205)を受容するための受容ユニット(225)を有する光提供保持デバイス(220)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項7】
前記カメラ保持デバイス(210)が、前記光提供保持デバイス(220)に対して傾斜可能又は傾斜するように配設されるか、又は前記光提供保持デバイス(220)が、前記カメラ保持デバイス(210)に対して傾斜可能又は傾斜するように配設されている、請求項5又は6に記載の測定装置(100)。
【請求項8】
前記カメラ保持デバイス(210)及び/又は前記光提供保持デバイス(220)が、横方向に移動可能であるように配設される、請求項5~7のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項9】
前記受容デバイス(110)を前記測定軸(162)に対して横方向に移動させるように構成されている移動デバイス(190)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項10】
前記光(145)及び/又は前記更なる光(165)のための少なくとも1つの開口(192)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項11】
前記カメラ画像(160)及び/又は前記更なるカメラ画像(170)を使用して前記変調伝達関数(MTF)の偏差を識別し、前記偏差を使用して前記光学系(105)の前記撮像品質を高めるために前記変調伝達関数(MTF)を補正するための補正値又は補正行列を判定する、ように構成されている前記評価ユニット(180)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項12】
前記カメラ(120)及び/又は前記更なるカメラ(130)が、固定されているか又は調整可能な焦点位置を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項13】
前記第2の側(155)に面するように配設されており、かつ前記受容平面(140)上又は前記受容平面(140)の周りの規定領域内の事前定義された構造を検出するように構成されている、構造検出カメラ(197)を有し、前記評価デバイスが、前記検出された事前定義された構造を使用することによって、前記光学系(105)の横方向位置を判定するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項14】
前記光学系(105)が、出射窓、ディスプレイ要素、導波路、光学フィルタ、カメラレンズ、又は双眼鏡として形成される、請求項1~13のいずれか一項に記載の測定装置(100)。
【請求項15】
アフォーカル光学系(105)の変調伝達関数(MTF)を測定するための測定方法(1000)であって、前記方法(1000)が、
光提供デバイス(115)を使用して、受容デバイス(110)内の受容平面(140)に収容された前記アフォーカル光学系(105)を第1の側(150)から照明するための光(145)を提供するステップ(1005)と、
更なる光提供デバイス(125)を使用して、前記受容デバイス(110)内の前記受容平面(140)に収容された前記アフォーカル光学系(105)を前記第1の側(150)から照明するための更なる光(165)を提供するステップ(1010)と、
カメラ(120)を使用することによって、前記第1の側(150)の反対側の第2の側(155)から前記受容デバイス(110)の前記アフォーカル光学系(105)を介して、レチクル(185)のカメラ画像(160)を生成するステップ(1015)であって、前記光提供デバイス(115)、前記アフォーカル光学系(105)、及び前記カメラ(120)が、前記受容平面(140)に対して垂直に配向された測定軸(162)に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている、生成するステップ(1015)と、
更なるカメラ(130)を使用することによって、前記受容デバイス(110)内の前記アフォーカル光学系(105)を介して、前記第2の側(155)から更なるレチクル(185)の更なるカメラ画像(170)を生成するステップ(1020)であって、前記更なる光提供デバイス(125)、前記アフォーカル光学系(105)、及び前記更なるカメラ(130)が、前記測定軸(162)及び/又は前記受容平面(140)に対して斜めに配向された斜め測定軸(175)に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている、生成するステップ(1020)と、
前記カメラ画像(160)及び/又は前記更なるカメラ画像(170)を使用して、前記アフォーカル光学系(105)の前記変調伝達関数(MTF)を識別(1025)又は計算するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本手法は、アフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための測定装置及び方法に関する。
【0002】
米国特許出願公開第2019/238830(A1)号は、試験用カメラのための光学試験デバイスを説明している。
【発明の概要】
【0003】
この背景に対して、主な請求項によるアフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための測定装置及びアフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための方法が、本手法によって導入される。有利な実施形態は、それぞれの従属請求項及び以下の説明からもたらされる。
【0004】
導入した手法で実現することができる利点は、例えば、その変調伝達関数に関して、アフォーカル光学系を試験することができるという点において構成される。結果として、アフォーカル光学系の撮像品質を試験することができる。
【0005】
アフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための測定装置は、受容デバイスと、光提供デバイスと、カメラと、少なくとも1つの更なる光提供デバイスと、少なくとも1つの更なるカメラと、伝送インターフェースと、を有する。受容デバイスは、受容平面にアフォーカル光学系を受容するように形成されている。光提供デバイスは、受容デバイス内のアフォーカル光学系を第1の側から照明するための光を提供するように構成されている。カメラは、カメラ画像を生成するために受容デバイス内のアフォーカル光学系を第1の側の反対側の第2の側から観察するように構成されており、測定装置の動作状態において、光提供デバイス、アフォーカル光学系、及びカメラは、受容平面に対して垂直に配向された測定軸に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。更なる光提供デバイスは、受容デバイス内のアフォーカル光学系を第1の側から照明するための更なる光を提供するように構成されている。更なるカメラは、更なるカメラ画像を生成するために、受容デバイス内のアフォーカル光学系を第2の側から観察するように構成されており、動作状態において、更なる光提供デバイス、アフォーカル光学系、及び更なるカメラは、測定軸及び/又は受容平面に対して斜めに配向された斜め測定軸に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。伝送インターフェースは、カメラ画像及び更なるカメラ画像を評価ユニットに伝送するように構成され、これは、少なくともカメラ画像及び/又は更なるカメラ画像を使用して、アフォーカル光学系の変調伝達関数を識別するように構成されている。
【0006】
アフォーカル光学系は、全体として、光学系から放出される光の収集又は分散効果がないことを特徴としている。アフォーカル光学系は、レーザの出射窓、スマートフォンディスプレイ用の触覚に敏感な透明な表示窓、光学フィルタなどの単一の要素、又は両面テレセントリックカメラレンズ若しくは双眼鏡などのいくつかの光学要素で構成される光学系のいずれかであり得る。変調伝達関数又は略して「MTF(modulation transfer function)」、これは変調伝送関数とも呼ばれ得る、を測定することで、光学系の撮像品質についての結論を導き出すことができる。MTFを使用したレンズなどの屈折光学系の撮像品質の測定は、先行技術から十分に知られている。本明細書で導入する測定装置は、光学系の撮像品質を複数の視野位置で同時に測定する手法を使用しており、特に光学系としてアフォーカル光学系は、測定装置を使用して測定可能である。測定装置の受容デバイスは、受容平面内の事前定義された位置で光学系を受容するように構成することができるか、又は受容平面内の光学系を事前定義された位置に移動するように構成することができる。光提供デバイスは、広帯域光として光を提供するように構成することができ、又は、更なる光提供デバイスは、広帯域の更なる光として更なる光を提供するように構成することができる。光提供デバイス及び/又は更なる光提供デバイスは、少なくとも1つのLED、例えば、少なくとも1つの白色LEDを備えることができる。測定軸は、光学系を通してカメラへの光提供デバイスの光学経路として理解することができる。したがって、斜め測定軸は、光学系を通して更なるカメラへの更なる光提供デバイスの光学経路として理解することができる。1つの実施形態によれば、評価ユニットは、測定装置の一部とすることができる。
【0007】
測定装置はまた、第3のカメラ画像を生成するように構成されている、第2の側から受容デバイス光学系を観察するための少なくとも1つの第3のカメラを有することができ、受容デバイス内の光学系を第1の側から照明するための第3の光を提供するための少なくとも1つの第3の光提供デバイスを有し、測定装置の動作状態において、第3の光提供デバイス、光学系及び第3のカメラは、測定軸及び/又は受容平面及び/又は斜め測定軸に対して斜めに配向された更なる斜め測定軸と平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。したがって、アフォーカル光学系のMTFは、MTFのより詳細な結果を得るために、複数の照射野角度で測定することができる。測定装置は、任意の数の追加のカメラ及び関連する光提供デバイスを有し得、これらは各々、異なる追加の斜め測定軸上に光学系を備えて配設され得る。例えば、測定装置には、合計9個のカメラとカメラに関連付けられた9個の光提供デバイスを有することができる。測定軸及び8個の斜め測定軸を使用して、光学系のMTFを測定することができる。全ての斜め測定軸は、例えばアフォーカル光学系の上又は中に配設することができる共通の交点で測定軸と交差することができる。
【0008】
1つの実施形態によれば、光提供デバイスは、光を平行光として提供するように構成されている焦点調節可能な又は焦点調節可能ではないコリメータを有することができる。したがって、光の出力は、例えば光学系に対して標的化した方法で向けることができる。したがって、更なる光提供デバイスは、更なる光を提供するように構成されている、焦点調節可能な又は焦点調節可能ではないコリメータを有し得る。コリメータは、例えば、レチクルの形態など、撮像対象の構造を有し得る。レチクルは、例えば十字線を形成することができる。構造/レチクルは、光提供デバイスと光学系の間に配設することができる。構造/レチクルの位置は、測定軸に沿って固定されるか又は変更可能であり得る。各コリメータは、このタイプの個別の構造又はレチクルを有し得る。
【0009】
1つの実施形態による測定装置が、光学フィルタから出てくる変更された第2の波長範囲を有する光を提供するために、光学フィルタに当たる光を第1の波長範囲で変更するように構成され、及び/又は光学フィルタから出てくる変更された第2の偏光を光に提供するために、光学フィルタに当たる光を第1の偏光で変更するように構成されている、少なくとも1つの光学フィルタを有すると更に有利である。このような光学フィルタは、光の波長範囲又は偏光を適用領域に適応させることを可能にする。例えば、光学フィルタとして、光学系が携帯電話ディスプレイ用の窓、又は「拡張現実」システム又は「仮想現実」システム、略して「ARシステム」又は「VRシステム」の導波路である場合、いわゆるV-Lambdaフィルタを使用することができる。したがって、光は人間の目に日光の下での感度分布に適応させることができる。対応する又は他の光学フィルタも斜め測定軸上に配設することができる。光学フィルタは、旋回可能及び/若しくは回転可能に、又は固定的に配設することもできる。光学フィルタは、受容平面と平行に、例えば、カメラと受容デバイスとの間、又は光提供デバイスと受容デバイスの間に配設することができる。付加的に又は代替的に、測定装置は、光の波長範囲を変更又は制限するため、又は光の偏光を変更又は制限するために、コリメータのビーム経路に配設された旋回可能及び/若しくは回転可能又は固定の光学フィルタを有することができる。
【0010】
測定装置は、カメラを受容するための受容ユニットを有するカメラ保持デバイスを有することができる。このようなカメラ保持デバイスは、例えば、互いに相対的に固定された位置にある全てのカメラの共通の収容を可能にする。カメラ保持デバイスは、カメラボールカップとして球形のシェルの形状に形成することができる。カメラボールカップは、X-軸及び/又はY-軸の周りで直線的に移動可能及び/又は傾斜可能であるように、測定軸に垂直に延びるX-軸上及び/又は測定軸に垂直かつX-軸に対して垂直に延びるY-軸上に配設することができる。このようなカメラボールカップの移動性のために、例えば導波路として形成された光学系では、アイボックスを測定することができる。
【0011】
測定装置は、光提供デバイスを受容するための受容ユニットを有する光提供保持デバイスを有することができる。このような光提供保持デバイスは、例えば、互いに相対的に固定された位置にある全ての光提供保持デバイスの共通の収容を可能にする。光提供保持デバイスは、光提供ボールカップとして球形のシェルの形状に形成することができる。光提供ボールカップは、X-軸及び/又はY-軸の周りで直線的に移動可能及び/又は傾斜可能であるように、測定軸に垂直に延びる軸上及び/又は測定軸に垂直かつX-軸に対して垂直に延びるY-軸上に配設することができる。このような光提供ボールカップの移動性のために、例えば導波路として形成された光学系では、アイボックスを測定することができる。1つの有利な実施形態によれば、カメラボールカップ及び受容デバイスは、固定され、光提供ボールカップは、直線的に移動可能及び/又は傾斜可能である。1つの代替的な実施形態によれば、光提供ボールカップ及び受容デバイスは、固定され、カメラボールカップは、直線的に移動可能及び/又は傾斜可能である。換言すれば、カメラ保持デバイスは、光提供保持デバイスに対して傾斜可能又は傾斜するように配設されるか、又は光提供保持デバイスが、カメラ保持デバイスに対して傾斜可能又は傾斜するように配設することができる。1つの実施形態によれば、光提供ボールカップとカメラボールカップとの間のオフセットが実現され得又は実現される。
【0012】
カメラ保持デバイス及び、付加的に又は代替的に、光提供保持デバイスは、横方向に移動可能であるように配設することができる。したがって、X-軸及び/又はY-軸に沿った横方向のオフセットを達成することができる。この場合、カメラ若しくはコリメータ、又は関連するドームの横方向のオフセットと、受容デバイス(試験対象ホルダ、トレイ)の横方向のオフセットと、を区別することが可能である。例えば、入口瞳孔が出口瞳孔よりも非常に小さい試験対象がある。例えば、これらは、AR/VRシステム用の導波路である。したがって、試験対象は、入口瞳孔を打つことができるように、固定位置になければならない。FOV又はアイボックスをスキャンするために、カメラホルダは横方向に移動する。加えて、コリメータの横方向オフセットを実行することができる。
【0013】
例えば、測定装置は、受容デバイスを測定軸に対して横方向に移動させるように構成されている移動デバイスを更に有することができる。例えば、移動デバイスを使用することにより、受容デバイスは、測定軸に対して垂直に延びるX-軸に沿って、及び/若しくは測定軸に垂直でX-軸に垂直なY-軸に沿って移動可能であり得、並びに/又はX-軸及び/若しくはY-軸の周りに傾斜可能であり得る。移動デバイスによって、アフォーカル光学系は、カメラと光提供デバイスとの間の測定軸上、及び/又は斜め測定軸の交点に移動することができる。傾斜可能な受容デバイスは、導波路として形成された光学系において、FOV測定、すなわち「視野」測定を可能にする。
【0014】
更に、1つの実施形態による測定装置が、光及び/又は更なる光のための少なくとも1つの開口を有する場合には有利である。開口は、効果的な瞳孔を生成するために使用することができる。この目的のために、開口は、受容デバイス、カメラ、又は光提供デバイス上に配設することができる。
【0015】
測定装置は、カメラ画像及び/又は更なるカメラ画像を使用して変調伝達関数の偏差を識別し、偏差を使用して光学系の撮像品質を高めるために変調伝達関数を補正するための補正値又は補正行列を判定する、ように構成されている評価ユニットを更に有することができる。
【0016】
例えば、評価ユニットは、事前定義されたた所望の変調伝達関数からの変調伝達関数の偏差を認識するように構成することができる。変調伝達関数のこのような偏差は、例えば、携帯電話ディスプレイの一部として形成された光学系における、タッチ感知式携帯電話ディスプレイを生成するための容量性センサなどの内部構造化によって影響を受ける可能性がある。したがって、構造化は携帯電話ディスプレイによって伝送される画像情報に悪影響を及ぼし得、これは撮像品質の低下をもたらす。補正値又は補正行列を使用することにより、偏差変調伝達関数を有利に補正することができ、撮像品質を向上させることができる。
【0017】
カメラ及び/又は更なるカメラは、固定又は調整可能な焦点位置を有することができる。焦点位置の調整は、カメラセンサをカメラの集光光学系に対して光学軸に沿って軸方向に移動させることができるという点で実現することができる。代替的又は付加的に、カメラの集光光学系は、変更可能な焦点距離を有することができる。
【0018】
1つの更なる実施形態によれば、測定装置は、第2の側に面するように配設され、受容平面上又は受容平面の周りの規定の領域内の事前定義された構造を検出するように構成されている構造検出カメラを有することができ、評価デバイスは、検出された事前定義された構造を使用して、光学系の横方向の位置を判定するように構成されている。これにより、例えば、移動デバイスを使用して、測定軸上及び/又は斜め測定軸の交点上での光学系の移動を行うために、受容平面内の光学系の位置を検出することが可能になる。
【0019】
アフォーカル光学系は、例えば、レーザなどの出口窓、例えば、携帯電話などのディスプレイ窓、例えば、ARシステムなどの導波路、又は光学フィルタなどの単一要素として形成することができる。しかしながら、代替的に、アフォーカル光学系は、例えば、カメラレンズ又は双眼鏡のように、いくつかの光学要素で構成される光学系として形成することもできる。
【0020】
アフォーカル光学系の変調伝達関数を測定する方法には、光を提供するステップと、更なる光を提供するステップと、カメラ画像を生成するステップと、更なるカメラ画像を生成するステップと、識別するステップと、を含む。光を提供するステップでは、受容デバイスの受容平面に収容された光学系を照明する光は、光提供デバイスを使用することによって第1の側から提供される。更なる光を提供するステップで、受容デバイスの受容平面に収容された光学系を照明するための更なる光は、更なる光提供デバイスの使用により第1の側から提供される。カメラ画像を生成するステップでは、レチクルのカメラ画像は、カメラを使用して、受容デバイス内のアフォーカル光学系を介して第1の側の反対側の第2の側から生成され、測定装置の光提供デバイス、光学系、及びカメラは、受容平面に対して垂直に配向された測定軸に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。更なるカメラ画像を生成するステップでは、更なるレチクルの更なるカメラ画像が、更なるカメラを使用して受容デバイス内のアフォーカル光学系によって第2の側から生成され、更なる光提供デバイス、光学系、及び更なるカメラは、測定軸及び/又は受容平面に対して斜めに配向された斜め測定軸に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。識別のステップでは、カメラ画像及び/又は更なるカメラ画像を使用して、光学系の変調伝達関数を識別する。
【0021】
カメラ画像を生成するステップでは、カメラ画像は、コリメータ、アフォーカル系、及びカメラのカメラ光学系によって撮像されるレチクルによって生成され得る。更なるカメラ画像を生成するステップでは、コリメータ、アフォーカル系、及び更なるカメラのカメラ光学系によって撮像される更なるレチクルによって、更なるカメラ画像を生成することもできる。
【0022】
カメラ画像を生成するステップ及び/又は更なるカメラ画像を生成するステップでは、カメラ画像のシーケンス及び/又は更なるカメラ画像を各々の場合に生成することができる。例えば、レチクルの第1の中間画像はコリメータによって生成され、当該第1の中間画像はアフォーカル光学系(試験対象)によって変更され、その後カメラ/更なるカメラの集光光学系を介してセンサ上に撮像される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
この手法については、添付の図面を参照して、例として以下でより詳細に解説する。以下が示される:
【
図1】1つの例示的な実施形態によるアフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための測定装置の概略表現である。
【
図2】1つの例示的な実施形態による測定装置の遠近感表現である。
【
図3】1つの例示的な実施形態による測定装置の概略表現である。
【
図4】1つの例示的な実施形態による測定装置のカメラ画像の概略表現である。
【
図5】1つの例示的な実施形態による測定装置のコリメータの概略、横方向断面図である。
【
図6】1つの例示的な実施形態による測定装置のカメラ保持デバイスの遠近感表現である。
【
図7】1つの例示的な実施形態による測定装置のカメラ保持デバイスの横方向断面図である。
【
図8】1つの例示的な実施形態による測定装置の光提供保持デバイスの遠近感上面図である。
【
図9】1つの例示的な実施形態による測定装置の光提供保持デバイスの横方向断面図である。
【
図10】1つの例示的な実施形態によるアフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための方法のフロー図である。
【0024】
本手法の有利な例示的な実施形態の以下の説明では、様々な図に示され同様に機能する要素には同一又は類似の参照符号が使用され、これらの要素の繰り返しの説明は省略する。
【0025】
図1は、1つの例示的な実施形態によるアフォーカル光学系105の変調伝達関数MTFを測定するための測定装置100の概略表現を示す。
【0026】
測定装置100は、受容デバイス110と、光提供デバイス115と、カメラ120と、少なくとも1つの更なる光提供デバイス125と、少なくとも1つの更なるカメラ130と、伝送インターフェース135と、を有する。受容デバイス115は、受容平面140にアフォーカル光学系105を受容するように形成されている。光提供デバイス115は、受容デバイス110内のアフォーカル光学系105を第1の側150から照明するための更なる光145を提供するように構成されている。カメラ120は、受容デバイス110のアフォーカル光学系105を第1の側150の反対側の第2の側155から観察し、カメラ画像160を生成するように構成されており、本明細書に示される測定装置100の動作状態において、光提供デバイス115、アフォーカル光学系105、及びカメラ120は、受容平面140に対して垂直に配向された測定軸162に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。更なる光提供デバイス125は、受容デバイス110内のアフォーカル光学系105を第1の側150から照明するための更なる光165を提供するように構成されている。更なるカメラ130は、受容デバイス110内のアフォーカル光学系105を第2の側155から観察し、更なるカメラ画像170を生成するように構成されており、動作状態において、更なる光提供デバイス125、アフォーカル光学系105、及び更なるカメラ130は、測定軸162に対して斜めに、及び/又は受容平面140に対して斜めに配向された斜め測定軸175に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。伝送インターフェース135は、カメラ画像160及び更なるカメラ画像170を、少なくともカメラ画像160及び/又は更なるカメラ画像170を使用することによってアフォーカル光学系105の変調伝達関数MTFを識別するように構成されている、評価ユニット180に伝送するように構成されている。
【0027】
例として、この例示的な実施形態によるアフォーカル光学系105は、測定装置100の受容デバイス110内に収容され、したがって受容平面140内に配設されている。
【0028】
この例示的な実施形態によれば、アフォーカル光学系105は、例えば、単一の光学要素-この場合、例えば携帯電話のディスプレイウィンドウの形態である。1つの代替的な例示的な実施形態によれば、アフォーカル光学系105は、レーザの出射窓、AR/VRシステムなどの導波路、光学フィルタなど、又は両面テレセントリックカメラレンズ若しくは双眼鏡などのいくつかの光学要素で構成されている光学系のような、別個の光学要素として形成されている。1つの例示的な実施形態によれば、本明細書で導入される測定装置100は、いくつかの視野位置でアフォーカル光学系105の変調伝達関数MTF/撮像品質を同時に測定するように構成されている。測定軸162は、光学系105を通してカメラ120への光提供デバイス115の光学経路として理解することができる。したがって、斜め測定軸175は、光学系105を通して更なるカメラ130への更なる光提供デバイス125の光学経路として理解することができる。1つの例示的な実施形態によれば、評価ユニット180は、測定装置100の一部とすることができる。
【0029】
この例示的な実施形態によれば、光提供デバイス115は、光145を平行光として提供するように構成されている焦点調節可能な又は焦点調節ではないコリメータを有する。したがって、この例示的な実施形態による更なる光提供デバイス125は、更なる光165を平行にされた更なる光として提供するように構成されている、焦点調節可能な又は焦点調節可能ではないコリメータを有し得る。コリメータは、
図5に示され、より詳細に説明される。この例示的な実施形態によれば、コリメータは、撮像対象の構造、この場合は、例えば、レチクル185の形態を有し、これは、この場合、単に例として十字線を形成する。1つの例示的な実施形態によれば、レチクル185は、光提供デバイス115と光学系105の間に配設されている。構造/レチクル185の位置は、測定軸162/斜め測定軸175に沿って固定又は変更可能である。1つの例示的な実施形態によれば、更なる光提供デバイス125は、別の更なるレチクル185を有する。
【0030】
1つの例示的な実施形態によれば、測定装置100は、光学フィルタから出てくる変更された第2の波長範囲を有する光145を提供するために、光学フィルタに当たる光145を第1の波長範囲に変更するように構成されており、及び/又は光学フィルタから出てくる変更された第2の偏光を有する光145を提供するために、光学フィルタに当たる光145を第1の偏光に変更するように構成されている、少なくとも1つの光学フィルタを有する。このような光学フィルタは、光の波長範囲又は偏光を適用領域に適応させることを可能にする。1つの例示的な実施形態によると、対応する又は他の光学フィルタも、斜め測定軸175上に配設されている。1つの例示的な実施形態によれば、光学フィルタは、旋回可能及び/若しくは回転可能であるか、又はそうでなければ、固定的に配設されている。1つの例示的な実施形態によれば、光学フィルタは、例えば、カメラ120と受容デバイス110との間、又はそうでなければ、別の例示的な実施形態によれば、光提供デバイス115と受容デバイス装置110との間に、受容平面140と平行に配設される。付加的に又は代替的に、1つの例示的な実施形態による測定装置100は、光145の波長を変更若しくは制限するために、又は光145の偏光を変更若しくは制限するために、光提供デバイス115のコリメータのビーム経路に配設された旋回可能及び/若しくは回転可能又は固定光学フィルタを有する。付加的に又は代替的に、1つの例示的な実施形態による測定装置100は、更なる光165の波長を変更若しくは制限するために、又は更なる光165の偏光を変更若しくは制限するために、更なる光提供デバイス125のコリメータのビーム経路に配設された旋回可能及び/又は回転可能又は固定光学フィルタを有する。
【0031】
1つの例示的な実施形態によれば、測定装置100はまた、受容デバイス110を測定軸162に対して横方向に移動させるように構成されている移動デバイス190を有する。移動デバイス190を使用することにより、一例として、受容デバイス110は測定軸162に対して垂直に延びるX-軸に沿って、並びに/又は測定軸162に垂直でX-軸に垂直なY-軸に沿って、並びに/又はX-軸及び/若しくはY-軸の周りに傾斜可能であるように移動可能である。移動デバイス190によって、1つの例示的な実施形態による光学系105は、カメラ120と光提供デバイス115との間の測定軸162上及び/又は測定軸162と斜め測定軸175との交点の上で受容平面140内で移動可能である。
【0032】
この例示的な実施形態によれば、測定装置100は、光145及び/又は更なる光165のために少なくとも1つの開口192を有する。この例示的な実施形態によれば、開口192は、効果的な瞳孔を生成するように構成されている。この目的のために、この例示的な実施形態による開口192は、受容デバイス110の上、又は、代替的な例示的な実施形態によれば、カメラ120及び/若しくは更なるカメラ130若しくは光提供デバイス115及び/若しくは更なる光提供デバイス125の上若しくは中に配設される。
【0033】
この例示的な実施形態によれば、測定装置100は、カメラ画像160及び/又は更なるカメラ画像170を使用することによって、変調伝達関数MTFの偏差を識別し、この偏差を使用して、光学系105の撮像品質を高めるために変調伝達関数MTFを補正するための補正値又は補正行列を判定するように構成されている評価ユニット180を更に有する。変調伝達関数MTFのこのような偏差は、例えば、携帯電話ディスプレイ窓として形成されるアフォーカル光学系105における、タッチ感知式携帯電話ディスプレイを生成するための容量性センサなどの内部構造化195によって影響を受ける。したがって、構造化195は携帯電話ディスプレイによって伝送される画像情報に悪影響を及ぼし得、これは撮像品質の低下をもたらす。補正値又は補正行列を使用することにより、偏差変調伝達関数を有利に補正することができ、撮像品質を向上させることができる。例えば、評価ユニット180は、事前定義された所望の変調伝達関数からの変調伝達関数MTFの偏差を識別するように構成されている。
【0034】
様々な例示的な実施形態によれば、カメラ120及び/又は更なるカメラ130は、固定又は調整可能な焦点位置のいずれかを有する。この例示的な実施形態によれば、カメラ120及び/又は更なるカメラ130は、撮像センサが光軸に沿ってカメラの集光光学系に対して移動可能であるという点で、調整可能な焦点位置を有し、及び/又はこの場合、焦点距離が変更可能な望遠鏡カメラの形で形成される。
【0035】
この例示的な実施形態によれば、測定装置100は、第2の側155に面するように配設され、受容平面140上又は受容平面140の周りの規定領域内の事前定義された構造を検出するように構成されている構造検出カメラ(197)を更に有し、評価デバイス180は、検出された事前定義された構造を使用することにより光学系105の横方向位置を判定するように構成されている。1つの例示的な実施形態によれば、移動デバイス190は、光学系105の横方向位置を使用することによって、測定軸162上、及び/又は測定軸162と斜め測定軸175との交点上で光学系105の移動をもたらすように構成されている。
【0036】
図2は、1つの例示的な実施形態による、測定装置100の概略表現を示す。これは、
図1で説明した測定装置100とすることができるが、この例示的な実施形態による測定装置100は、少なくとも1つの第3のカメラ200、少なくとも1つの第3の光提供デバイス205、カメラ120、130、200、及び/又はカメラを受容するための受容ユニット215を備えたカメラ保持デバイス210、光提供デバイス115、125、205を受容するための受容ユニット225を備えた光提供保持デバイス220を有することが異なる。
【0037】
第3のカメラ200は、第2の側から受容デバイス110の光学系105を観察し、第3のカメラ画像を生成するように構成されている。第3の光提供デバイス205は、受容デバイス110内の光学系105を第1の側から照明するための第3の光を提供するように構成され、本明細書に示される測定装置100の動作状態では、第3の光提供デバイス205、光学系105、及び第3のカメラ200は、測定軸及び/又は受容平面及び/又は斜め測定軸に対して斜めに配向された更なる斜め測定軸と平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。1つの例示的な実施形態によれば、測定装置100は、任意の数の追加のカメラ及び関連する光提供デバイスを有し、これらは各々、異なる追加の斜め測定軸上に光学系105を備えて配設されている。本明細書に示されている例示的な実施形態によれば、測定装置100は、合計で、9つのカメラ120、130、200と、カメラ120、130、200に関連付けられる9つの光提供デバイス115、125、205と、を有する。測定軸及び8個の斜め測定軸を使用して、光学系105のMTFを測定する。この例示的な実施形態によれば、全ての斜め測定軸は、例えば、光学系105の上又は中に配設される共通の交点で測定軸と交差する。
【0038】
この例示的な実施形態によれば、カメラ保持デバイス210は、カメラボールカップとして球形のシェルの形状に形成される。1つの例示的な実施形態によれば、カメラボールカップは、X-軸及び/又はY-軸の周りで直線的に移動可能及び/又は傾斜可能であるように、測定軸に垂直に延びるX-軸上及び/又は測定軸に垂直かつX-軸に対して垂直に延びるY-軸上に配設されている。この例示的な実施形態によれば、光提供保持デバイス220は、光提供ボールカップとして球形のシェルの形状に形成される。1つの例示的な実施形態によれば、光提供ボールカップは、X-軸及び/又はY-軸の周りで直線的に移動可能及び/又は傾斜可能であるように、測定軸に垂直に延びるX-軸上及び/又は測定軸に垂直かつX-軸に対して垂直に延びるY-軸上に配設されている。1つの代替的な例示的な実施形態によれば、カメラボールカップ及び受容デバイス110は固定され、光提供ボールカップは直線的に移動可能及び/又は傾斜可能である。1つの代替的な実施形態によれば、光提供ボールカップ及び受容デバイス110は固定され、カメラボールカップは直線的に移動可能及び/又は傾斜可能であるように形成される。
【0039】
この例示的な実施形態によれば、カメラ保持デバイス210、光提供保持デバイス220、及び受容デバイス110は、作業台、この場合、一例として、トロリ230の形態に収容される。
【0040】
図1及び
図2は、アフォーカル光学系105の測定装置100の測定原理及び構造を、構造化ディスプレイの例を用いて示す。例解目的上、測定軸に対して軸外のビーム経路は、図示されていない。
図2は、完成した測定装置の技術的な実現を示す。測定装置100は、既知の測定システムの場合と同様に、光学部品-以下、「試験対象」ともいう-の撮像品質を異なる視野位置で同時に測定することを可能にし、測定される試験対象は、既知の測定システムとは対照的に、アフォーカル光学系105である。一応用例では、試験対象が下側からコリメート光で照明されている。これはコリメータによって生成され、これには撮像対象の構造、例えば、「レチクル」とも呼ばれる十字線が含まれる。
図2は、十字線が固定的に位置決めされたコリメータを示す。例えば、白色LEDは、光提供デバイス115、125、205の光源として使用される。用途に応じて、他の光源の使用が考えられる。1つの例示的な実施形態によれば、光学フィルタは、付加的に用途に波長範囲を適応させるために使用される。例えば、携帯電話のディスプレイ窓又はAR/VRシステムの導波路を測定する場合、光アイフィルタを使用して、光145の波長範囲を人間の目の昼光の感度分布に適合させる。1つの例示的な実施形態によれば、コリメータのビーム経路に固定又は回転可能な偏光フィルタが、追加的又は代替的に配設されている。フィルタの挿入は、例えば波長依存撮像品質(MTF)の測定にも関連している。
【0041】
試験対象を異なる視野位置で同時に測定できることを保証するために、コリメータはドーム形態で光提供保持デバイス220上に配設され、カメラ120、130、200はまた、ドーム形態でカメラ保持デバイス210上に配設される。これらのドームについては、
図6、
図7、
図8、及び
図9に詳細に示す。2つのドーム構造は,本明細書に示す測定装置100の動作状態で試験対象の上下に置かれる。組み立てられた測定装置100を本明細書の
図2に示す。各ドームはボールカップで構成され、その表面には保持デバイスが締結されている。これらの保持デバイスは、カメラ120、130、200、又はコリメータを固定するために使用される。カメラ120、130、200及びコリメータは、それらの光軸が一点で交差するように取り付けられる。この場合、カメラ120又は光提供デバイス115のコリメータはドームの中心に取り付けられる。この軸カメラ120又はこの軸コリメータは、その光軸が、以前に受容平面と称された試験対象面に対して垂直になるように配向される。カメラ120、130、200又はコリメータの全ての光軸の交点は、この場合、軸カメラ120又は軸コリメータの光軸上に位置する。完成した測定装置100では、ドーム構造が互いに対向して配設される。1つの例示的な実施形態によれば、曲率中心は、一致するか、又は別の例示的な実施形態によれば、互いにオフセットして配設される。これは、例えば、試験対象の光学要素/系105がビーム経路内に平行オフセットを生成する場合に必要となる可能性がある。例えば、平面導波路又はプリズム系を使用しても同様である。加えて、カメラ120、130、200のビーム経路に効果的な瞳孔が生成される。1つの例示的な実施形態によれば、これは、
図1又は
図3に示すように、試験対象の近傍の開口によって実現される。1つの代替的な例示的な実施形態によれば、個々の開口部は、各コリメータの前又は各カメラ120、130、200の前に配設されている。
【0042】
試験対象自体は、上部ドームと下部ドームとの間に位置する好適なホルダ、受容デバイス110に置かれている。ホルダは、x-方向とy-方向に移動することができるため、試験対象を様々な位置で測定することができる。1つの例示的な実施形態によれば、ホルダは、連続して測定されるいくつかの試験対象を受容するように設計されている。更に、1つの例示的な実施形態によれば、試験対象を通過する光ビームの波長及び/又は偏光を変化させる光学フィルタが、試験対象の上又は下に配設される。1つの例示的な実施形態によれば、フィルタのサイズは、必要に応じて適合させることができる。これは、対応するフィルタなしにコリメータを使用する場合の代替的な実施形態を表す。
【0043】
1つの例示的な実施形態によれば、上部ドームの支柱には、試験対象の横方向位置(x-、y-位置)を判定するために、
図1に説明される構造検出カメラの形態の更なるカメラが装備される。この目的のために、これらの構造検出カメラは、1つの例示的な実施形態によれば、試験対象面内の既知の構造を検出するように、又は試験対象から規定の距離を置いて配設され、例えば、試験対象ホルダ上に位置する追加の構造を検出するように構成されている。
【0044】
本明細書で導入した測定装置100の重要な応用分野は、携帯電話のディスプレイ窓の測定である。これらは、内部構造化を有するという特別な特徴を有し、例えば、ディスプレイがタッチ感知式であることを確実にする。このような構造化されたディスプレイの一部を、
図1及び
図3に概略的に示す。このような導入された構造は、ディスプレイによって伝送される画像情報に悪影響を及ぼす。1つの例示的な実施形態によれば、本明細書で導入する測定装置100は、評価ユニットを更に有し、構造化による撮像品質の低下を判定し、その値に基づいて補正係数又は補正行列を計算することができる。このように計算された補正係数又はこのように計算された補正行列は、カメラ120、130、200によってディスプレイを通して記録された画像を補正するために、画像処理の枠組み内で更に適用される。特定の用途は、スマートフォンのフロントカメラを介して記録される画像である。
【0045】
本明細書で導入する測定装置100の用途の更なる重要な分野は、導波路の測定、特にVR/ARヘッドセットで使用されるような導波路の測定である。VR/AR用途用の光学系の場合、いわゆる「アイボックス」の領域を測定することが重要である。この領域は、概して、画像認識に関して定義された特定の基準を満たすために、眼の瞳孔が位置しなければならない容積として定義され得る。このような基準は、例えば、ヘッドセットによって生成された画像がアイボックスの領域で完全に見えたままになることであり得る。本明細書で提案された測定装置100によって、アイボックス内の異なる位置で対応する導波路を測定するために、対応する変形例では、試験対象と下部又は上部ドームのいずれかとが固定され、他方のドームは、横方向の位置を変更することができるように構成されている。
【0046】
AR/VRシステムのための光学系の別の重要な測定パラメータは、それらの視野角又は視野(field of view、FOV)である。この場合、例えば、試験対象面と軸カメラ120/軸コリメータとの間の角度が90°とは異なるように、試験対象面とカメラ120、130、200又はコリメータの光軸との間の角度を変更できる必要がある。異なる例示的な実施形態によれば、これは、試験対象ホルダがx-軸若しくはy-軸の周りに傾斜可能であるか、又は代替的に上部若しくは下部ドームが傾斜可能であるかのいずれかで実現される。
【0047】
1つの例示的な実施形態によれば、以下の構成要素は、アフォーカル光学系105のMTFを測定するためにここで導入される測定装置100の主な特徴である:
-1つの例示的な実施形態による、試験対象のアフォーカル光学系105を固定的に規定の位置に移動させることができる、試験対象ホルダの形態である受容デバイス110、
-例えば、カメラ120、130の画像面がボールカップの表面上に分布するように、カメラ120、130の光軸が、少なくともほぼ一点で交差するように、カメラ120の1つが、1つのカメラ120の光軸が試験対象面に対して垂直になり得るように、更に、全てのカメラ120、130の光軸の交点が、1つのカメラ120の光軸上にあるように、及びボールカップの表面の中心に更に配設されるように、固定構造内に試験対象の上に配設されたいくつかのカメラ120、130、
-例えば、コリメータの物体面がボールカップの表面上に分布するように、及びコリメータの光軸が、少なくともほぼ一点で交差するように、一方のコリメータの光軸が試験対象面に対して垂直になり得るように更に一方のコリメータがボールカップの表面の中心に配設されるように、及び、全てのコリメータの光軸の交点が1つのコリメータの光軸上に更にあるように、固定構造内に例えば試験対象の下に配設されたコリメータを備えたいくつかの光提供デバイス115、125、及び
-カメラ120、130によって記録されたカメラ画像を評価するための制御ユニットの形態の評価ユニット。
【0048】
本明細書で導入される測定装置100の更なるオプションの構成要素又は特性は、任意の組み合わせで以下の通りである:
-カメラ120、130が、固定又は調整可能な焦点位置を有すること、
-各コリメータ/光提供デバイス115、125、205は、広帯域光源を有すること、及び/又は固定又は回転可能若しくは旋回可能な光学フィルタが、コリメータ/光提供デバイス115、125、205のビーム経路内に更に配設されること、及び/又は光学フィルタが、光源から発せられる光145の波長範囲及び/又は偏光を制限又は変更するために使用されること、
-各コリメータ/光提供デバイス115、125、205のビーム経路内には、光源によって照明され、コリメータ/光提供デバイス115、125、205のビーム経路内の光軸に沿った位置が、固定又は変更可能であるレチクルが位置すること、
-試験対象に平行な平面内に、固定又は回転可能若しくは旋回可能な光学フィルタが配設され、波長及び/又は偏光に関して試験対象を通過する光線に影響を及ぼすために使用されること、
-有効瞳孔が、試験対象を通過する少なくとも1つのビーム内に生成され、少なくとも1つの物理的開口の形態で実現されること、
-試験対象ホルダが、試験対象ホルダの上に位置する固定カメラ構造の形態でカメラ保持デバイス210に固定的に接続されていること、及び試験対象ホルダの下に位置する固定コリメータ構造の形態の光提供保持デバイス220が、試験対象ホルダに対する横方向の位置を変更可能であること、
-試験対象ホルダが、試験対象ホルダの下に位置する固定コリメータ構造に固定的に接続されていること、及び試験対象ホルダの上に位置する固定カメラ構造が、試験対象ホルダに対する横方向の位置を変更可能であること、
-試験対象面と固定カメラ構造内のカメラ120、130及び/又は固定コリメータ構造内のコリメータの光軸との間の角度を変更することが可能であること、
-少なくとも1つの構造検出カメラが、試験対象の上に配設され、試験対象面内又は試験対象面に対して規定の距離内の既知の構造を検出するために使用されること、及び制御ユニットが更に、少なくとも1つの構造検出カメラによって検出された画像に基づいて、試験対象の横方向位置が判定されるように構成されていること、
-制御ユニットが更に、試験対象内の構造によって引き起こされる撮像品質の低下を判定し、更に、以前に判定された低下を画像処理の枠組み内で計算的に補正することができる補正係数又は補正行列を判定できるように構成されていること。
【0049】
図3は、1つの例示的な実施形態による、測定装置100の概略表現を示す。これは
図1又は
図2に示す測定装置100であり得る。
【0050】
図3に測定装置100の軸方向ビーム経路を示す。関連する軸カメラ画像を
図4に示す。1つの例示的な実施形態によれば、例えば、軸方向に変更可能なセンサ位置及び/又は調整可能な焦点距離を備えたカメラ120が撮像系として使用される。代替的に、可動レチクル及び固定式カメラ120を備えたコリメータ、又は焦点位置で調整可能な焦点調節可能コリメータ及びカメラ120を使用することもできる。
【0051】
図4は、1つの例示的な実施形態による測定装置100のカメラ画像160の概略表現を示す。この場合、これは
図3に説明される測定装置100のカメラ120のカメラ画像160であり得、軸カメラ画像とも称される。
【0052】
図5は、1つの例示的な実施形態による測定装置のコリメータ500の概略、横方向断面図である。この場合、これは
図1~
図4のうちの1つに示す測定装置100であり得る。焦点調節可能コリメータ500の機能原理は、概して、例解目的で示されている。
【0053】
図6は、1つの例示的な実施形態による測定装置の光提供保持デバイス220の遠近感上面図である。この場合、これは
図2に説明される光提供保持デバイス220であり得る。光提供保持デバイス220は、コリメータドームとも称され得る。断面線A-Aが指し示されている。
【0054】
図7は、1つの例示的な実施形態による測定装置の光提供保持デバイス220の横方向断面図である。断面線A-Aが示されている。したがって、それは、
図5に説明されるコリメータが収容される、
図6に説明される光提供保持デバイス220とすることができる。
【0055】
図8は、1つの例示的な実施形態による測定装置のカメラ保持デバイス210の遠近感上面図である。この場合、これは、
図2に説明されるカメラ保持デバイス210であり得る。カメラ保持デバイス210は、伸縮式ドームとも称され得る。更なる断面線A-Aが指し示されている。
【0056】
図9は、1つの例示的な実施形態による測定装置のカメラ保持デバイス210の横方向断面図である。断面線A-Aが示されている。したがって、それは、カメラが収容される、
図8に説明されるカメラ保持デバイス210とすることができる。
【0057】
図10は、1つの例示的な実施形態によるアフォーカル光学系の変調伝達関数を測定するための方法1000のフロー図を示す。これは、前の図のうちの1つに説明されているアフォーカル光学系であり得る。方法1000は、前の図のうちの1つに説明されている測定装置によって制御又は実行され得る。
【0058】
方法1000には、光を提供するステップ1005と、更なる光を提供するステップ1010と、カメラ画像を生成するステップ1015と、更なるカメラ画像を生成するステップ1020と、識別するステップ1025と、を含む。光を提供するステップ1005では、受容デバイスの受容平面に収容されたアフォーカル光学系を照明する光は、光提供デバイスを使用することによって第1の側から提供される。更なる光を提供するステップ1010で、受容デバイスの受容平面に収容されたアフォーカル光学系を照明するための更なる光は、更なる光提供デバイスを使用することによって第1の側から提供される。カメラ画像を生成するステップ1015では、レチクルのカメラ画像は、カメラを使用することによって、受容デバイス内のアフォーカル光学系を介して第1の側の反対側の第2の側から生成され、光提供デバイス、アフォーカル光学系、及びカメラは、測定軸上に同軸に配設されるか、又は受容平面に対して垂直に配向された平行な測定軸を有する。更なるカメラ画像を生成するステップ1020では、更なるレチクルの更なるカメラ画像が、更なるカメラを使用することによって受容デバイス内のアフォーカル光学系を介して第2の側から生成され、更なる光提供デバイス、アフォーカル光学系、及び更なるカメラは、測定軸及び/又は受容平面に対して斜めに配向された斜め測定軸に平行な測定軸に対して軸上又は同軸に配設されている。識別するステップ1025では、カメラ画像及び/又は更なるカメラ画像を使用して、アフォーカル光学系の変調伝達関数を識別又は計算する。任意選択で、このステップのコンテキストで、補正係数又は補正行列を付加的に計算することができる。
【0059】
1つの例示的な実施形態によれば、光を提供するステップ1005及び更なる光を提供するステップ1010が同時に実行される。1つの例示的な実施形態によれば、カメラ画像を生成するステップ1015及び更なるカメラ画像を生成するステップ1020は同時に実行される。
【0060】
生成するステップ1015では、カメラ画像は、コリメータ、アフォーカル系、及びカメラのカメラ光学系によって撮像されるレチクルによって生成され得る。生成するステップ1020では、コリメータ、アフォーカル系、及び更なるカメラのカメラ光学系によって撮像される更なるレチクルによって、更なるカメラ画像を同様に生成することもできる。
【0061】
生成するステップ1015及び/又は生成するステップ1020では、一連のカメラ画像及び/又は更なるカメラ画像を生成することができる。例えば、レチクルの第1の中間画像はコリメータによって生成され、当該第1の中間画像はアフォーカル光学系(試験対象)によって変更され、その後カメラ/更なるカメラの集光光学系を介してセンサ上に撮像される。
【国際調査報告】