(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】酸化還元フローセルのための電極モジュール、その組立方法及び酸化還元フローセル
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20240125BHJP
H01M 8/0276 20160101ALI20240125BHJP
H01M 8/0273 20160101ALI20240125BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20240125BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/0276
H01M8/0273
H01M8/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546502
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 DE2022100045
(87)【国際公開番号】W WO2022188908
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】102021105597.0
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス フランク
(72)【発明者】
【氏名】ユアン ヤオ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126AA13
5H126AA15
5H126BB10
5H126JJ03
(57)【要約】
本発明は、酸化還元フローセルのための電極モジュール(10)に関する。電極モジュール(10)は、フレーム(01)の内周面に配置され、少なくとも2つの内向きに向けられた弾性封止リップ部(04、06)を有する周囲封止部(03)を有するフレーム(01)を備える。封止リップ部(04、06)のうちの2つの間には、周囲溝部(07)が形成されている。電極モジュール(10)はまた、電極(02)が封止部(03)の溝部(07)内に着座する外周面を有する電極(02)を備える。本発明はまた、酸化還元フローセル、及び酸化還元フローセルのための電極モジュール(10)を組み立てる方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元フローセルのための電極モジュール(10)であって、
・フレーム(01)であって、前記フレーム(01)の内周面に配置され、かつ少なくとも2つの内向きに向けられた弾性封止リップ部(04、06)を有する、周囲封止部(03)を有し、前記封止リップ部(04、06)のうちの2つの間に周囲溝部(07)が形成されている、フレーム(01)と、
・外周面を有する電極(02)であって、前記外周面によって、前記電極(02)が前記封止部(03)の前記溝部(07)内に着座される、電極(02)と、
を備える、電極モジュール(10)。
【請求項2】
前記2つの封止リップ部(04)のうちの一方は、前記電極(02)の上部側部に押し付けられ、前記2つの封止リップ部(06)のうちの他方は、前記電極(02)の下部側部に押し付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電極モジュール(10)。
【請求項3】
前記電極(02)の前記外周面は、前記溝部(07)の床部(12)に対して周囲クリアランスを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電極モジュール(10)。
【請求項4】
前記クリアランスは、前記電極(02)の厚さの少なくとも半分の大きさであることを特徴とする、請求項3に記載の電極モジュール(10)。
【請求項5】
前記2つの封止リップ部(04)のうちの一方は、スナップインラグとして設計され、前記スナップインラグを介して、前記電極(02)を前記溝部(07)にスナップインし得ることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の電極モジュール(10)。
【請求項6】
前記封止部(03)は、前記フレーム(01)の前記内周面に形状嵌合の様式でかつ/又は材料嵌合の様式で固定されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電極モジュール(10)。
【請求項7】
前記封止部(03)は、射出成形部品として前記フレーム(01)の前記内周面に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の電極モジュール(10)。
【請求項8】
前記フレーム(01)は、前記フレーム(01)の前記内周面に、前記内周面を横方向に画定する止め具(11)を有し、前記内周面と前記止め具(11)との間に、前記封止部(03)が着座される周方向凹状縁部が形成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電極モジュール(10)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の2つの電極モジュール(10)を有し、前記2つの電極モジュールの間に膜が配置されている、酸化還元フローセル。
【請求項10】
酸化還元フローセルのための電極モジュール(10)を組み立てる方法であって、
・電極(02)を供給するステップと、
・前記電極(02)のためのフレーム(01)を供給するステップであって、前記フレーム(01)は、前記フレーム(01)の内周面に配置され、かつ周囲に形成された封止部(03)を有し、前記封止部(03)は、少なくとも2つの内向きに向けられた弾性封止リップ部(04、06)を有し、前記封止リップ部(04、06)のうちの2つの間に周囲溝部(07)が形成されている、供給するステップと、
・前記電極(02)を前記封止リップ部(04)のうちの1つを越えて前記溝部(07)内に押し込むステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化還元フローセルのための電極モジュールに関する。電極モジュールは、電極が配置されるフレームを備える。本発明は更に、酸化還元フローセル、及び酸化還元フローセルのための電極モジュールを組み立てるための方法に関し、組み立ては同時に電極モジュール内の電極の封止をもたらす。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、酸化還元フローセルと称され、酸化還元フロー電池を形成することができる電気セルが知られている。「Redox(酸化還元)」という名称において、「Red」は、電子の取り込みが見られることがある還元を表す。「Ox」は、酸化を表し、電子放出が見られる。酸化還元フローセルは、反応相手が溶媒中に溶解している化合物中に電気エネルギーを貯蔵する。2つのエネルギー貯蔵電解液は、2つの別個の回路内を循環し、それらの間で、膜を介してセル内でイオン交換が行われる。エネルギー貯蔵電解液は、好ましくは、セルの外側で別個のタンクに貯蔵される。
【0003】
酸化還元フローセルは、好ましくは、セルの金属電極を枠にはめるフレームを有する。フレームは、電極のためのキャリアフレームを表し、封止のためにも使用される。フレームと電極との間に周囲封止部が必要である。封止されるべき電解液は化学的に攻撃的であるので、封止部のための材料の選択は制限される。フレーム及び電極の通常の薄い壁厚も、封止のための好適なシステムの選択を制限する。封止の解決策は、先行技術から知られており、従来の成形部品封止が使用される。これらの成形部品封止は、通常、フレーム内の溝部によって固定される。圧入嵌合接続のためにフレーム内にアンダーカット溝部が必要とされ、これは、周囲の閉じた溝部に起因して、製造コストの増加をもたらす。フレームは典型的には3mm未満の壁厚を有するので、フレームのフィリグリー特性に起因して、形状嵌合溝接続はほとんど不可能である。加えて、先行技術から、いわゆる現場成形封止(FIP)が使用される封止のための解決策が知られており、これは、ディスペンス法によって適用され、比較的長いサイクル時間に起因して、しばしば経済的に採算が合わないことが判明している。加えて、封止プロファイルの幾何学的形状は、限られた程度にしか影響を受けることができない。成形部品及びFIP封止を有する封止システムは、封止部予荷重を発生させるために追加の要素を必要とする。加えて、弾性接着剤を有する封止化合物が使用される。電解液の化学的攻撃性に起因して、接着剤は洗い流され得る。加えて、熱可塑性材料から形成されたフレームと金属電極との大きく異なる熱膨張は、特に大きな判型の場合に、接着ビードに厳しい剪断応力をもたらす。両方の影響は、このような封止システムの耐用年数を著しく減少させる。
【0004】
EP2693087A1は、酸化還元フロー電池のセルなどにおける薄板素子のための封止材を示している。環状封止材は、薄板部材の一方の側部に配設された側部封止体を備える。薄板素子の前部及び後部は、側方封止体から分岐する2つの封止脚部上に配置される。
【0005】
WO2014/198364A1は、酸化還元フロー電池のための電極モジュールを示している。電極モジュールは、電極及び封止フレームを備える。電極は、結果として得られる電極モジュールが酸化還元フローセルにおいて問題なく使用され得るように、封止フレームに接続されるべきである。この目的のために、電極は、封止フレームに機械的に接続される。多重リップ封止部は、好ましくは、封止フレーム上に配置され、かつ膜に戴置される。封止フレームは、好ましくは、外側に向かって円錐状に先細りするように構成された周囲溝部を有する。チャネルは、好ましくは、アンダーカットを有する。
【0006】
WO2013/016919A1は、フローフレームと、フローフレームの内側に配置された集電板とを有するフロー電池スタックを示している。イオン交換膜は、集電板の間に挟まれ、電解液が集電板とともに収容されるキャビティを形成する。電極が、キャビティ内に位置決めされる。2組のフロー開口部が、フローフレームの側部に形成される。
【0007】
EP2432043A1から、開口部を取り囲む基体を有する、電池に使用するための封止フレームが公知である。トリガ領域が、開口部の縁部に形成される。連続的な排出開口部が、トリガ領域に隣接して基体に形成される。セルハウジングを有するセルは、封止継ぎ目によって取り囲まれている。セルは、封止された継ぎ目が封止部と接触し、封止された継ぎ目がトリガ領域内の封止部によって作用されないように、セルハウジングが開口部内に延在するように、封止フレーム上に位置付けられる。少なくとも1つの周囲弾性圧縮可能封止部が供給され、開口部を取り囲む。
【0008】
EP3113272A1は、酸化還元フロー電池のセルのためのフレーム体を教示している。フレーム体は、フレーム体内に形成された開口部と、電解液が通過することができる多岐管とを備える。多岐管と開口部とを接続するスリットは、電解液が流れる方向に直交する断面において、互いに対向する一対の側壁を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術に基づくならば、本発明の目的は、酸化還元フローセルのための電極をフレーム内に簡単かつ密な様式で固定できるようにすることである。更に、熱膨張は、電極の耐用年数を損ない得る機械的応力をもたらすべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、添付の請求項1に記載の電極モジュール、添付の従属請求項9に記載の酸化還元フローセル、及び添付の従属請求項10に記載の方法によって達成される。
【0011】
本発明による電極モジュールは、酸化還元フローセルのために意図されている。酸化還元フローセルは、湿式セルであり、したがって蓄電池である。酸化還元フローセルは、電気エネルギーを化合物に貯蔵し、反応相手は、2つのエネルギー貯蔵電解液中の溶媒に溶解されている。2つのエネルギー貯蔵電解液は、2つの別個の回路内を循環し、それらの間で、セル内の膜を通してイオン交換が行われる。酸化還元フローセルは、好ましくは、非毒性成分から作製された有機フローセルによって形成される。酸化還元フローセルは、2つの電極によって画定されている。電極は、モジュールの形態で構成されている。このようなモジュールは、本発明による電極モジュールによって形成される。
【0012】
電極モジュールは、支持フレーム及び封止フレームを形成するフレームを備える。この目的のために、フレームは、フレームの内周面に配置された封止部を備える。封止部は、フレームのこの内周面の周囲に形成される。封止部は、少なくとも2つの内向きに向けられた弾性封止リップ部を有する。封止リップ部は、フレームの内側に向かって、すなわち、フレームによって囲まれた空間内にあるフレームの中心点に向かって方向付けられている。2つの封止リップ部の間には、周囲溝部が形成されている。周囲溝部は、好ましくは、2つの隣接する封止リップ部の間に形成される。溝部の開口部は、フレームの内側に向かって、すなわち、フレームの中心に向かって配向されている。溝部は、フレームの内周面を一周している。封止部は、酸化還元フローセル内の化学的に攻撃的な電解液に対して耐性がある。
【0013】
電極モジュールはまた、金属電極を備える。電極は、電極が封止部の溝部内に着座する外周面を有する。電極が、2つの封止リップ部の間に着座し、2つの封止リップ部によって挟持されるように、電極は、封止部の溝部内に突出している。これは、電極を保持し、固定し、封止する。電極は、溝部の全長にわたって溝部の周囲方向に沿って溝部内に突出している。電極は、溝部内に着座しているので、フレーム及び封止部と同じ平面内に位置している。このレベルは、フレーム、封止部及び電極の主延在面を表す。封止部は、電極を囲んでいる。フレームは、電極がその中に着座した状態で封止部を取り囲んでいる。
【0014】
電極モジュールの特定の利点は、封止部が電極の封止及びその保管の両方を可能にすることである。電極は、フレーム内に迅速かつ容易に装着され得、予張力は、封止部自体によって既に生成されている。必要に応じて、電極は、フレームから取り外され得る。
【0015】
好ましい実施形態では、2つの封止リップ部のうちの一方は電極の上部側部に押し付けられ、2つの封止リップ部のうちの他方は電極の下側に押し付けられる。これにより、電極は、2つの封止リップ部の間に圧入嵌合される。これは、電極がその主延在面に対して垂直な方向に固定され、確実に封止されるという利点をもたらす。
【0016】
好ましい実施形態では、電極の外周面は、溝部の床部に対して周囲クリアランスを有する。溝部の床部は、溝部と同様に、周囲になるように構成されている。床部に対する垂線は、好ましくは、フレームの主延在平面にある。この垂線は、好ましくは、フレームの中心点を指す。床部は、クリアランスを有して電極の外周面を包囲し、間隔、すなわち、該クリアランスは、電極の外周面に与えられる。クリアランスにより、電極は、その主延在平面内でいくらか膨張及び移動することができる。フレームは、好ましくは、熱可塑性材料から作製され、金属電極とは異なる熱膨張係数を有している。クリアランスは、温度が変化するときに機械的応力をもたらす異なる熱膨張係数を大幅に防止する。クリアランスにより、電極はフレーム内で浮動する様式で支持される。好ましくは、クリアランスは、少なくとも電極の厚さと同じ大きさである。より好ましくは、クリアランスは、電極の厚さの少なくとも5倍である。
【0017】
好ましい実施形態では、2つの封止リップ部のうちの一方は、スナップインラグとして構成され、それを介して電極は溝部にスナップインされ得る。スナップインラグとして構成された封止リップ部は、溝部を画定する内側面と、内側面の反対側の外側面とを有する。外側面は、フレームの主延在平面に対して傾斜しており、その結果、電極がフレームの外側からフレームの封止部に挿入されると、電極は、摺動してスナップインラグとして構成された封止リップ部の周囲外側面内に入り得、この場合、この封止リップ部は、電極がこの封止リップ部を介して溝部に入るまで、ヒンジ状様式で溝部の方向に折り重なり、その後、この封止リップ部は、ヒンジのようにスナップバックし、電極の上部側部に戴置される。変形されていない状態では、外側面は、好ましくは、45°よりも大きい、フレームの主延在平面に対する角度を有する。2つの封止リップ部のうちの一方をスナップインラグとして構成することは、電極をフレーム内に非常に迅速かつ少ない労力で挿入し得るという利点を有する。
【0018】
スナップインラグとして構成された封止リップ部は、以下では第1の封止リップ部とも称され、2つの封止リップ部のうちの他方は第2の封止リップ部と称される。第2の封止リップ部は、溝部を画定する内側面と、内側面の反対側の外側面とを有する。好ましくは、第2の封止リップ部の外側面は、フレームの主延在面に対して傾斜しているが、好ましくは、第1の封止リップ部の外側面よりも傾斜していない。変形していない状態では、第2の封止リップ部の外側面は、好ましくは、10°~45°の、フレームの主延在平面に対する角度を有する。好ましくは、第2の封止リップ部は、第1の封止リップ部よりも更にフレームの内部に突出している。これにより、第2の封止リップ部は、第1の封止リップ部が電極と接触する領域よりもフレームの中心点に近い領域で電極と接触する。そのため、第2の封止リップ部は、フレームの主延在面において、第1の封止リップ部がフレームの主延在面において有する広がりよりも、好ましくは、少なくとも1.5倍大きい広がりを有する。この意味で、好ましくは、第2の封止リップ部は、第1の封止リップ部の少なくとも1.5倍の高さである。
【0019】
第1の封止リップ部の外側面の傾斜及び第2の封止リップ部の外側面の傾斜はまた、自己封止効果をもたらす。電極に作用する圧力は、それぞれの封止リップ部の外側面にも作用するので、電極に接触するこの封止リップ部の領域は、電極に対してより強く押し付けられる。
【0020】
好ましい実施形態では、封止部は、形状嵌合及び/又は材料嵌合の様式でフレームの内周面に取り付けられている。この取り付けは、封止部内に着座した電極がフレームに対して確実に固定され封止されることを確実にする。
【0021】
好ましい実施形態では、封止部は、射出成形部品としてフレームの内周面に付着される。その結果、封止部は、形状嵌合かつ材料嵌合の様式でフレームの内周面に固定される。
【0022】
好ましくは、フレームは、その内周面に、内周面を横方向に画定する止め部を有する。止め部は、好ましくは、内周面の周りに形成される。止め部は、封止部のための支持体を形成する。
【0023】
好ましくは、内周面と止め部との間に、周囲凹状縁部が形成される。好ましくは、内周面は、垂線がフレームの主延在平面内の外周面に位置するように構成される。好ましくは、止め部は、フレームの内周面に対して垂直になるように位置合わせされ、その結果、周囲凹状縁部は90°の角度を有する。好ましくは、封止部は、周囲凹状縁部に着座される。周囲凹状縁部は、封止部がフレーム内に確実かつ緊密に固定されることを確実にする。
【0024】
好ましい実施形態では、封止部は、射出成形部品としてフレームの周囲凹状縁部に組み込まれ、その結果、そこでフレームにしっかりと緊密に接続される。
【0025】
好ましくは、封止部は、弾性であり、好ましくは、ポリマーからなる。好ましくは、ポリマーは、熱可塑性エラストマー(TPE)によって、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)によって、又はフッ素ゴム(FKM)によって形成される。好ましくは、封止部又はポリマーは、耐酸性である。
【0026】
フレームは、プラスチックからなる。好ましくは、フレームは、熱可塑性材料で作製される。好ましくは、フレームは、耐酸性である。
【0027】
好ましくは、金属電極は、銅-亜鉛合金又はグラファイトからなる。ただし、電極はまた、別の金属からなり得る。好ましくは、電極は、多孔質であるように構成される。好ましくは、電極は、薄壁構造によって形成される。好ましくは、電極は、矩形平板の形態である。この点において、電極は、平坦な直方体の形状を有する。
【0028】
本発明による酸化還元フローセルは、本発明による電極モジュールのうちの2つを備えている。好ましくは、2つの電極モジュールは、互いに一直線上に配置される。好ましくは、2つの電極モジュールは、同じ構成である。膜は、2つの電極モジュールの間に配置される。電解液は、電極間を循環し得る。好ましくは、2つの電極モジュールは、上述した電極モジュールの実施形態のうちの1つに従って構成される。加えて、好ましくは、酸化還元フローセルはまた、本発明による電極モジュールに関連して示された特徴を有する。
【0029】
本発明による方法は、酸化還元フローセルのための電極モジュールを組み立てるのに役立つ。方法の1つのステップにおいて、酸化還元フローセルのための金属電極が供給される。加えて、電極には、電極を挿入するためのフレームが供給される。フレームは、フレームの内周面に配置された封止部を有し、周囲に形成される。封止部は、少なくとも2つの内向きに向けられた弾性封止リップ部を有し、2つの封止リップ部の間に周囲溝部が形成される。更なるステップにおいて、電極は、封止リップ部のうちの1つを介して溝部に押し込まれる。この目的のために、電極はフレームの上方に配置され、主延在平面に対して垂直な方向の力が電極に印加される。電極が溝部に着座されるとすぐに、組み立てられた電極モジュールが利用可能になる。好ましくは、電極モジュールは、上述した本発明による電極モジュール、又は上述した本発明による電極モジュールの好ましい実施形態のうちの1つである。この点において、好ましくは、本方法のために供給される電極及び本方法のために供給されるフレームはまた、本発明による電極モジュールに関連して説明される特徴を有する。
【0030】
好ましくは、電極がスナップインラグとして構成された封止リップ部上に押し付けられると、この封止リップ部はヒンジの様式に折り曲げられ、その結果、電極は、この封止リップ部上を摺動し得る。次いで、この封止リップ部は、電極が溝部内に着座され、圧力嵌合で予め応力を与えられた封止リップ部によって所定の位置に保持されるように、ヒンジのようにスナップバックする。電極がスナップインラグとして構成された封止リップ部上を摺動して溝部内に入り得るように、好ましくは、2つの封止リップ部のうちの他方もヒンジ状様式に撓む。電極が溝部内に着座するとすぐに、この封止リップ部も折り返され、電極を溝部内に押し込む。
【0031】
本発明の更なる利点、詳細、及び更なる発展は、図面を参照して、好ましい実施形態の以下の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による電極モジュールを組み立てる方法の好ましい実施形態の図解を示す。
【
図2】
図1に示される方法の第1のステップを示す。
【
図3】
図1に示される方法の第2のステップを示す。
【
図4】
図1に示される方法の第3のステップを示す。
【
図5】
図1に示される方法に従って組み立てられた電極モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による電極モジュールを組み立てる方法の好ましい実施形態の図解を示す。まず、矩形のフレーム01及び矩形の電極02が供給される。フレーム01の内周面には、全周にわたって弾性封止部03(
図2に示す)が形成されている。封止部03(
図2に示す)は、内向きに向けられた第1の弾性封止リップ部04と、内向きに向けられた第2の弾性封止リップ部06(
図2に示す)とを備え、それらの間に周囲溝部07(
図2に示す)が形成されている。
【0034】
矢印08は、電極02がフレーム01に押し込まれ、その結果、酸化還元フローセル(図示せず)のための電極モジュール10が得られる方法の経過を表す。電極モジュール10は、本発明による電極モジュールの好ましい実施形態を表す。矢印08によってシンボル化される方法の過程は、断面AAについて
図2~
図4の個々のステップに示される。
【0035】
図2は、
図1に示される方法の第1のステップを示す。このステップでは、供給されたフレーム01及び供給された電極02が存在する。電極02は、フレーム01の上方中央に位置決めされている。内周面封止部03の断面は、フレーム01の断面図に見ることができる。封止部03は、止め部11によって一方の側部上で横方向に画定されたフレーム01の内周面に、フレーム01及び止め部11に材料接合された様式で射出成形することによって取り付けられている。
【0036】
図3は、
図1に示される方法の第2のステップを示す。電極02は既に部分的に封止部03内に押し込まれているので、第1の封止リップ部04は溝部07の方向に変形している。
【0037】
図4は、
図1に示した方法の第3のステップを示す。電極02は、封止部03の中に更に押し込まれており、その結果、第1の封止リップ部04は、スナップインラグのように電極02の上にスナップ嵌合されており、その結果、電極02は、2つの封止リップ部04、06の間の溝部07の中に位置している。
【0038】
図5は、
図1に示される方法に従って組み立てられた電極モジュール10を示す。電極02は、封止部03の溝部07内に位置し、それによって、電極02は、フレーム01内に固定され、それに対して封止されている。溝部07において、電極02は、溝部07の床部12に対していくらかのクリアランスを有し、その結果、電極02は、封止部03において浮遊する様式で支持されている。
【0039】
矢印13は、封止リップ部04、06を電極02に対して力Fで押し付けるシステム圧を表し、これによって、封止部03の封止効果が増大する。
【符号の説明】
【0040】
01 フレーム
02 電極
03 封止部
04 第1の封止リップ部
06 第2の封止リップ部
07 溝部
08 矢印
10 電極モジュール
11 止め部
12 床部
13 矢印
【国際調査報告】