IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華南理工大学の特許一覧

特表2024-504852二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法と応用
<>
  • 特表-二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法と応用 図1
  • 特表-二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法と応用 図2
  • 特表-二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法と応用 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法と応用
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H01L31/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546551
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2021143373
(87)【国際公開番号】W WO2023045171
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111132346.3
(32)【優先日】2021-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100162536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 豊
(72)【発明者】
【氏名】李 国強
(72)【発明者】
【氏名】孔 徳麒
(72)【発明者】
【氏名】王 文▲りょう▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 亮
【テーマコード(参考)】
5F149
【Fターム(参考)】
5F149AA06
5F149AB01
5F149AB07
5F149CB04
5F149FA05
5F149FA13
5F149GA04
5F149HA10
5F149XB21
5F149XB39
(57)【要約】
本発明は、光検出器の技術分野に属し、二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法と応用を開示する。前記光検出器は、下から上へ順に配置された基板と、緩衝層と、InGaN層と、InGaN層を部分的に覆うMoSe層とを含み、前記光検出器は、遮断層と電極層を更に含み、前記遮断層は、MoSe層に覆われないInGaN層及び一部のMoSe層上に設けられ、前記電極層は、遮断層上に設けられ、且つMoSe層上の露出部分の一部を覆う。本発明は、検出器の製造方法を更に開示する。本発明の検出器は、赤色光と青色光の同時検出を実現し、検出チップの表面に増感マイクロ・ナノ構造設計が施されており、青色光と赤色光帯域の量子効率を向上させ、青色光と赤色光の共鳴吸収を強化し、高感度・高帯域検出を実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器であって、下から上へ順に配置された基板と、緩衝層と、InGaN層と、InGaN層を部分的に覆うMoSe層とを含み、
前記光検出器は、遮断層と電極層を更に含み、前記遮断層は、MoSe層に覆われないInGaN層及び一部のMoSe層上に設けられ、前記電極層は、遮断層上に設けられ、且つMoSe層上の露出部分の一部を覆う、ことを特徴とする二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器。
【請求項2】
前記緩衝層は、下から上へ順に配置されたAlN層、AlGaN層及びGaN層であり、AlN層は基板上に設けられ、InGaN層はGaN層上に設けられ、
前記InGaN層の厚さは100~200nmであり、MoSe層の厚さは1~2nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器。
【請求項3】
前記AlN層、AlGaN層及びGaN層の厚さはそれぞれ350~450nm、650~700nm、4~5μmである、ことを特徴とする請求項2に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器。
【請求項4】
基板はSi基板であり、
前記遮断層はAl遮断層である、ことを特徴とする請求項1に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器。
【請求項5】
前記MoSe層がInGaN層を部分的に覆うことは、MoSe層がInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成し、前記MoSe層の両端が何れもInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成することを意味し、
前記電極層の形状はインターデジタル電極であり、前記電極層は金属電極層、具体的にはTi/Au金属層であり、Ti/Au金属層は下から上へ配置されたTi金属層及びAu金属層であり、Ti層は遮断層に近い、ことを特徴とする請求項1に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器。
【請求項6】
Ti金属層の厚さは20~30nmであり、Au金属層の厚さは100~110nmである、ことを特徴とする請求項5に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器。
【請求項7】
MOCVD方法を用いて基板上に緩衝層を成長させ、次にMOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を順に成長させるステップ(1)と、
MoSe層がInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成するように、MoSe層をエッチングし、また、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及びMoSe層上でフォトリソグラフィを行い、遮断層が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスにより遮断層を製造するステップ(2)と、
遮断層及び遮断層に覆われないMoSe層上でフォトリソグラフィを行い、金属電極が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスにより金属電極を遮断層上に蒸着するステップ(3)と、を含む、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器の製造方法。
【請求項8】
前記緩衝層とは、MOCVD方法を用いて基板上に、AlN層、AlGaN層及びGaN層をそれぞれ1100~1200℃、1100~1200℃及び1000~1150℃の温度で下から上へ順にエピタキシャル成長させるものであり、
MOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を成長させる温度は600~750℃である、ことを特徴とする請求項7に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器の製造方法。
【請求項9】
遮断層と金属層電極の蒸着速度はそれぞれ0.23~0.28nm/minである、ことを特徴とする請求項1に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器の製造方法。
【請求項10】
前記二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器は、青色光及び/又は赤色光のマルチスペクトラム光検出に使用される、ことを特徴とする請求項1?6の何れか一項に記載の二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光検出器の分野に関し、具体的には二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法と応用に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物半導体材料は、優れた光学的、電気工学的、熱学的、化学的、機械的性能を備えているため、III族窒化物光電デバイス及びパワーデバイスは、研究者から広範な注目と重要な研究を受けている。
【0003】
第3世代半導体材料研究のホットスポットの1つであるInGaN材料は、優れた物理的及び化学的特性を備えている。それは高い電子移動度、良好な熱安定性、良好な化学的安定性を備えている。合金中のInの成分を調整することにより、禁制帯幅を3.4eVから0.7eVまで連続調整できるため、InGaN検出器は可視光帯域全体をカバーする連続検出を実現でき、光電子増倍管と比較して、InGaN検出器は、小さい体積、簡単な持ち運び、簡単な統合、高破壊電界(>1MV/cm)、低い動作電圧、省エネと環境保護、フィルターシステムの必要がないなどの利点がある。
【0004】
InGaNベースの検出器材料の成長研究はある程度の進歩が見られたが、商業化は今まで実現されていない。InGaN検出器の発展と応用を制限する根本的な問題は、材料の品質である。一方では、InGaNとSi基板との間の大きな格子不整合(>16.9%)により、InGaNエピタキシャル層内にも高密度の転位が生成されやすくなる。他方では、InGaN材料は分相しやすいため、特にIn成分が高くなるほど分相しやすくなる。同時に、GaN材料上にInGaNを成長させると、InGaNとGaNとの間の格子不整合により、厚さが増加するにつれて緩和が起こり、欠陥が生成され、これらはトラップされたキャリアとして利用される可能性がある。その結果、キャリアの輸送特性が低下し、InGaN検出器の量子効率が低下し、応答速度と感度に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
前記問題を解決するため、本発明の目的は、二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器及びその製造方法を提供することである。本発明のMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器は、以下の利点を有する。第一は、AlN/AlGaN/GaN緩衝層を通じて、転位が減少し、応力が解放され、欠陥密度が10から10に減少し、成長されたInGaN材料の品質がより良好になることである。第二は、InGaN上に高品質の二次元MoSe材料を成長させ、成長されたMoSeは厚さが1nmまでの単層構造であり、MoSe/InGaN機能層構造を使用することにより、検出器が青色光と赤色光のマルチスペクトラム光検出を実現できることである。同時に、二次元MoSeは良好な導電性と光透過性を備え、従来のInGaN光検出器と比較して、MoSe/InGaN構造は青色光帯域でのキャリア注入効率がより高く、InGaN青色光検出器の応答性が増強し、応答時間がより速い。
【0006】
本発明の別の目的は、前記二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器の応用を提供することである。前記二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器は、青色光及び/又は赤色光のマルチスペクトラム光検出に使用される。
【0007】
本発明の目的は、以下の技術案によって達成される。
【0008】
二セレン化モリブデン/InGaNマルチスペクトル光検出器(即ち、MoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器)であって、下から上へ順に配置された基板と、緩衝層と、InGaN層と、InGaN層を部分的に覆うMoSe層とを含み、
前記光検出器は、遮断層と電極層を更に含み、前記遮断層は、MoSe層に覆われないInGaN層及び一部のMoSe層上に設けられ、前記電極層は、遮断層上に設けられ、且つMoSe層上の露出部分の一部を覆う。
【0009】
前記InGaN層及びMoSe層はMoSe/InGaN機能層を形成する。
【0010】
前記MoSe層がInGaN層を部分的に覆うことは、MoSe層がInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成することを意味する。前記遮断層がMoSe層に覆われないInGaN層及び一部のMoSe層上に設けられることは、遮断層がInGaN層上に形成される階段状の水平プラットフォーム上及び一部のMoSe層上に設けられることを意味する。
【0011】
前記遮断層はAl遮断層である。
【0012】
前記緩衝層は、下から上へ順に配置されたAlN層、AlGaN層及びGaN層であり、AlN層は基板上に設けられ、InGaN層はGaN層上に設けられる。
【0013】
前記InGaN層の厚さは100~200nmであり、MoSe層の厚さは1~2nmである。
【0014】
基板はSi基板である。
【0015】
前記AlN層、AlGaN層及びGaN層の厚さはそれぞれ350~450nm、650~700nm、4~5μmである。
【0016】
前記MoSe層はInGaN層の上面の中央に位置し、即ち、MoSe層の両端は、何れもInGaN層上に階段状の水平プラットフォームが形成される。
【0017】
2つの階段状の水平プラットフォーム及び隣接する一部のMoSe層上にそれぞれ遮断層が設けられる。2つの遮断層及び一部のMoSe層上に電極層が設けられる。
【0018】
前記電極層の形状はインターデジタル電極であり、前記電極層は金属電極層、具体的にはTi/Au金属層であり、Ti/Au金属層は下から上へ配置されたTi金属層及びAu金属層である。Ti層は遮断層に近く、Ti金属層の厚さは20~30nmであり、Au金属層の厚さは100~110nmである。
【0019】
前記MoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の製造方法は、
MOCVD方法を用いて基板上に緩衝層を成長させ、次にMOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を順に成長させるステップ(1)と、
MoSe層がInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成するように、MoSe層をエッチングし、また、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及びMoSe層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、遮断層が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスによりAl遮断層を製造するステップ(2)と、
Al遮断層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、Al遮断層に表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、金属電極が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスにより金属電極をAl遮断層上に蒸着されるステップ(3)と、を含む。
【0020】
MOCVD方法を用いて基板上に、下から上へ順にAlN層、AlGaN層及びGaN層をエピタキシャル成長させる温度は、それぞれ1100~1200℃、1100~1200℃及び1000~1150℃である。N気流量は30~40sccmである。
【0021】
MOCVD方法を用いて緩衝層上にMoSe/InGaN層を成長させる温度は600~750℃である。
【0022】
フォトリソグラフィの条件は、乾燥時間が40~50s、露出時間が5~10s、現像時間が40~50s、酸素イオン処理時間が2~3minである。
【0023】
Al遮断層と金属層電極の蒸着速度は、それぞれ0.23~0.28nm/minである。
【0024】
前記MoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器は、青色光及び/又は赤色光のマルチスペクトラム光検出に使用される。
【0025】
従来技術と比較して、本発明は以下の有利な効果及び利点を有する。
【0026】
(1)本発明は、まずMOCVD高温エピタキシャル法を用いて、基板上にAlN/AlGaN/GaN緩衝層を成長させ、またMOCVD低温エピタキシャル法を組み合わせて、緩衝層上にMoSe/InGaN機能層を成長させ、その後、フォトリソグラフィ蒸着プロセスにより、MoSe/InGaN機能層上に下から上へAl遮断層及びTi/Au電極を製造し、MoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器を実現する。本発明の製造方法は、簡単なプロセス、時間の節約、高効率及び低エネルギーという特徴を有し、大規模生産に有益である。
【0027】
(2)本発明のMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器は、MoSe/InGaN機能層により、青色光及び赤色光のマルチスペクトル光検出を実現し、これに基づいて検出器及びアレイ構造を最適に設計し、応答速度を効果的に向上させる。
【0028】
(3)本発明のMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器は、二次元MoSe層を導入することにより、青色光帯域において、MoSe/InGaN構造のキャリア注入効率がより高くなり、青色光帯域における量子効率が向上し、高感度及び高帯域の検出を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明により提供されるMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の構造断面模式図である。ここで、1-基板、2-緩衝層、3-InGaN層、4-MoSe層、5-Al遮断層、6-金属層電極。
図2】本発明により提供されるMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の電極構造の上面模式図である。
図3】実施例1により製造されたMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器のI-V曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施例に合わせて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0031】
本発明のMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の断面構造模式図は、図1に示す通りであり、下から上へ順に配置された基板1と、緩衝層2と、InGaN層3と、InGaN層上に階段状の水平プラットフォームが形成されたMoSe層4と、を含む。
【0032】
前記光検出器は、遮断層5と電極層6を更に含み、前記遮断層5は、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及び一部のMoSe層上に設けられ、前記電極層6は、遮断層5上に設けられ、且つMoSe層4上の露出部分の一部を覆う。
【0033】
前記InGaN層及びMoSe層はMoSe/InGaN機能層を形成する。
【0034】
前記遮断層5はAl遮断層である。
【0035】
前記緩衝層2は、下から上へ順に配置されたAlN層、AlGaN層及びGaN層であり、AlN層は基板1上に設けられ、InGaN層3はGaN層上に設けられる。
【0036】
前記InGaN層の厚さは100~200nmであり、MoSe層の厚さは1~2nmである。
【0037】
基板はSi基板である。
【0038】
前記AlN層、AlGaN層及びGaN層の厚さはそれぞれ350~450nm、650~700nm、4~5μmである。
【0039】
MoSe層4の両端は、何れもInGaN層3上に階段状の水平プラットフォームが形成される(即ち、MoSe層4はInGaN層3上の中央に設けられる)。
実施例1
【0040】
本実施例はMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器を提供し、下から上へ順に配置された基板と、緩衝層と、InGaN層と、InGaN層上に階段状の水平プラットフォームが形成されたMoSe層と、を含み、前記光検出器は、遮断層と電極層を更に含み、前記遮断層は、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及び一部のMoSe層上に設けられ、前記電極層は、遮断層上に設けられ、且つMoSe層の露出部分の一部を覆う。MoSe層の両端は、何れもInGaN層上に階段状の水平プラットフォームが形成される(即ち、MoSe層はInGaN層の中央に設けられる)。2つの階段状の水平プラットフォーム及び隣接する一部のMoSe層上にそれぞれ遮断層が設けられる。2つの遮断層及び一部のMoSe層上に電極層が設けられる。
【0041】
基板はSi基板であり、前記InGaN層の厚さは150nmであり、MoSe層の厚さは1.5nmである。AlN層、AlGaN層及びGaN層の厚さはそれぞれ350nm、675nm、4.5μmである。
【0042】
図2に示す通り、電極の形状はインターデジタル電極であり、前記電極層は金属電極層、具体的にはTi/Au金属層であり、Ti/Au金属層は下から上へ配置されたTi金属層及びAu金属層である。Ti層は遮断層に近く、Ti金属層の厚さは25nmで、Au金属層の厚さは105nmである。
【0043】
前記MoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の製造方法は、
MOCVD方法を用いて基板上に緩衝層を成長させ、次にMOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を順に成長させるステップ(1)と、
MoSe層がInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成するように、MoSe層をエッチングし、また、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及びMoSe層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、遮断層が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスによりAl遮断層を製造するステップ(2)と、
Al遮断層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、Al遮断層に表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、金属電極が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスにより金属電極をAl遮断層上に蒸着されるステップ(3)と、を含む。
【0044】
前記緩衝層とは、MOCVD方法を用いて基板上にAlN層、AlGaN層及びGaN層をそれぞれ1150℃、1150℃及び1100℃の温度で下から上へ順にエピタキシャル成長させるものである。N気流量は35sccmである。
【0045】
MOCVD方法を用いて緩衝層上にMoSe/InGaN層を成長させる温度は700℃である。
【0046】
ステップ(2)及び(3)において、それぞれの乾燥時間は45s、露出時間は8s、現像時間は45s、酸素イオン処理時間は2.5minである。
【0047】
Al遮断層と金属層電極の蒸着速度は、それぞれ0.25nm/minである。
【0048】
図3は、本実施例で得られたMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器のI-V曲線であり、図から分かるように、電極をショットキー接触になるように製造し、バイアス電圧5V、650nmの赤色光照射下で、光電流が21μAに達し、450nmの青色光照射下で、光電流が50μAである。当該検出器は青色光帯域及び赤色光帯域において高速な応答を有する。
実施例2
【0049】
本実施例はMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器を提供し、下から上へ順に配置された基板と、緩衝層と、InGaN層と、InGaN層上に階段状の水平プラットフォームが形成されたMoSe層と、を含み、前記光検出器は、遮断層と電極層を更に含み、前記遮断層は、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及び一部のMoSe層上に設けられ、前記電極層は、遮断層上に設けられ、且つMoSe層の露出部分の一部を覆う。
【0050】
基板はSi基板であり、前記InGaN層の厚さは100nmであり、MoSe層の厚さは1.0nmである。AlN層、AlGaN層及びGaN層の厚さはそれぞれ350nm、650nm、4.0μmである。
【0051】
図2に示す通り、電極の形状はインターデジタル電極であり、前記電極層は金属電極層、具体的にはTi/Au金属層であり、Ti/Au金属層は下から上へ配置されたTi金属層及びAu金属層である。Ti層は遮断層に近く、Ti金属層の厚さは20nmで、Au金属層の厚さは100nmである。
【0052】
前記MoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の製造方法は、
MOCVD方法を用いて基板上に緩衝層を成長させ、次にMOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を順に成長させるステップ(1)と、
MoSe層がInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成するように、MoSe層をエッチングし、また、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及びMoSe層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、遮断層が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスによりAl遮断層を製造するステップ(2)と、
Al遮断層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、Al遮断層に表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、金属電極が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスにより金属電極をAl遮断層上に蒸着されるステップ(3)と、を含む。
【0053】
前記緩衝層とは、MOCVD方法を用いて基板上にAlN層、AlGaN層及びGaN層をそれぞれ1100℃、1100℃及び1050℃の温度で下から上へ順にエピタキシャル成長させるものである。N気流量が30sccmである。
【0054】
MOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を成長させる温度は650℃である。
【0055】
ステップ(2)及び(3)において、それぞれの乾燥時間は40s、露出時間は5s、現像時間は40s、酸素イオン処理時間は2.0minである。
【0056】
Al遮断層と金属層電極の蒸着速度は、それぞれ0.23nm/minである。
【0057】
本実施例により製造されたMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器をテストする。
【0058】
本実施例により製造されたMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の関連性能は実施例1と類似であり、関連性能のパラメータは実施例1に対応する図面を参照することができる。
実施例3
【0059】
本実施例はMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器を提供し、下から上へ順に配置された基板と、緩衝層と、InGaN層と、InGaN層上に階段状の水平プラットフォームが形成されたMoSe層と、を含み、前記光検出器は、遮断層と電極層を更に含み、前記遮断層は、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及び一部のMoSe層上に設けられ、前記電極層は、遮断層上に設けられ、且つMoSe層の露出部分の一部を覆う。
【0060】
基板はSi基板であり、前記InGaN層の厚さは200nmであり、MoSe層の厚さは2.0nmである。AlN層、AlGaN層及びGaN層の厚さはそれぞれ450nm、750nm、5.0μmである。
【0061】
図2に示す通り、電極の形状はインターデジタル電極であり、前記電極層は金属電極層、具体的にはTi/Au金属層であり、Ti/Au金属層は下から上へ配置されたTi金属層及びAu金属層である。Ti層は遮断層に近く、Ti金属層の厚さは20nmで、Au金属層の厚さは100nmである。
【0062】
前記MoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の製造方法は、
MOCVD方法を用いて基板上に緩衝層を成長させ、次にMOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を順に成長させるステップ(1)と、
MoSe層がInGaN層上に階段状の水平プラットフォームを形成するように、MoSe層をエッチングし、また、InGaN層上に形成された階段状の水平プラットフォーム及びMoSe層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、遮断層が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスによりAl遮断層を製造するステップ(2)と、
Al遮断層上でフォトリソグラフィを行い(即ち、Al遮断層に表面のスピンコート、乾燥、露出、現像及び酸素イオン処理を行う)、金属電極が蒸着される領域を得て、蒸着プロセスにより金属電極をAl遮断層上に蒸着されるステップ(3)と、を含む。
【0063】
前記緩衝層とは、MOCVD方法を用いて基板上にAlN層、AlGaN層及びGaN層をそれぞれ1200℃、1200℃及び1150℃の温度で下から上へ順にエピタキシャル成長させるものである。N気流量が40sccmである。
【0064】
MOCVD方法を用いて緩衝層上にInGaN層、MoSe層を成長させる温度はそれぞれ750℃である。
【0065】
ステップ(2)及び(3)において、それぞれの乾燥時間は50s、露出時間は10s、現像時間は50s、酸素イオン処理時間は3.0minである。
【0066】
Al遮断層と金属層電極の蒸着速度は、それぞれ0.28nm/minである。
【0067】
本実施例により製造されたMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器をテストする。
【0068】
本実施例により製造されたMoSe/InGaNマルチスペクトル光検出器の関連性能は実施例1と類似であり、関連性能のパラメータは実施例1に対応する図面を参照することができる。
【0069】
前記実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態は、前記実施例によって限定されるものではなく、本発明の精神的実体及び原理を逸脱することなく行われるその他の任意の変更、修飾、置き換え、組み合わせ、及び簡略化は、何れも等価置換方法であり、全て本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】