(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】テトラヒドロピロロ環化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 403/14 20060101AFI20240125BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240125BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240125BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240125BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61P25/20
A61P25/24
A61P43/00 111
A61K31/4184
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547113
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2022074381
(87)【国際公開番号】W WO2022166768
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110146135.9
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110617562.0
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110906535.5
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111625215.9
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516304780
【氏名又は名称】メッドシャイン ディスカバリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ポン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ナー
(72)【発明者】
【氏名】ホー、ハイイン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB06
4C063CC42
4C063DD08
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC60
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA05
4C086ZA12
4C086ZC42
(57)【要約】
式(I)で表されるテトラヒドロピロロ環化合物、その薬学的に許容される塩、及び不眠症、うつ病から選択される、選択的オレキシン-2(OX-2)受容体アンタゴニストに関連する疾患を治療するための医薬の製造における使用を開示する。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記から選択される、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(ただし、
各R
1は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシから選択され、前記C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのハロゲン原子により任意選択で置換され、
各R
2は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシから選択され、前記C
1-3アルキル及びC
1-3アルコキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのハロゲン原子により任意選択で置換され、
R
3は、H、C
1-3アルキル及びC
3-6シクロアルキルから選択され、
m及びnは、それぞれ独立して0、1、2及び3から選択され、
環Aは、
【化2】
から選択され、
環Bは、
【化3】
から選択される。)
【請求項2】
各R
1は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、メチル及びメトキシから選択され、前記メチル及びメトキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのFにより任意選択で置換される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
各R
1は、それぞれ独立してF、Cl、メチル及びメトキシから選択される、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
各R
2は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、メチル及びメトキシから選択され、前記メチル及びメトキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのFにより任意選択で置換される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
各R
2は、それぞれ独立してF、Cl、メチル及びメトキシから選択される、請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
3は、H、メチル及びシクロプロピルから選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
化合物は、式(I-1)、(I-2)及び(I-3)で表される構造から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化4】
(ただし、R
1、R
2、R
3、m及びnは、請求項1~6のいずれか一項で定義された通りである。)
【請求項8】
下記の式で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化5】
【請求項9】
化合物は下記の式から選択される、請求項8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化6】
【請求項10】
選択的オレキシン-2受容体アンタゴニストに関連する疾患を治療するための医薬の製造における請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
前記選択的オレキシン-2受容体アンタゴニストに関連する疾患は、不眠症及び/又はうつ病から選択される、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は下記の優先権を主張する:
CN2021101461359、出願日は2021年2月2日であり、
CN2021106175620、出願日は2021年6月2日であり、
CN2021109065355、出願日は2021年8月11日であり、
CN2021116252159、出願日は2021年12月27日である。
【0002】
本発明は、一類のテトラヒドロピロロ環化合物に関し、具体的には、式(I)で表される化合物及びその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0003】
オレキシン(Orexin、Hypocretin)シグナル伝達は、2つの受容体と2つのペプチドアゴニストによって媒介される。即ち、オレキシンAとオレキシンBは、オレキシン1受容体(OX-1受容体)とオレキシン2受容体(OX-2受容体)と呼ばれる2つの高親和性受容体に結合する。OX-1受容体はオレキシンAとの親和性が高いが、OX-2受容体は同じ親和性でオレキシンAとオレキシンBに結合する。オレキシンを分泌するニューロンは、主に前頭前核、視床下部背側及び視床下部外側に分布している(C. Peyron et al., J. Neurosci., 1998, 18(23), 9996- 10015)。分泌されたオレキシンは、脳の多くの領域に影響を及ぼし、飲食、繁殖、覚醒システム、ストレスシステム、報償システムなどを含む多くの行動的及び生理学的機能に関与する(T. Sakurai, Nature Reviews Neuroscience, 2007, 8(3), 171 -181)。その中で、オレキシンシステムは睡眠-覚醒プロセスに対して有意な調節効果を有し、オレキシンを腹腔内投与されたげっ歯類は覚醒状態が長引く(Piperら, J. Neurosci. 2000, 12, 726-730)。一方、突然変異又は機能不全のオレキシン-2受容体は、イヌにおいてナルコレプシンを引き起こし(Linら,Cell 1999,98,365-376)、ナルコレプシンを患うヒトの脳脊髄液におけるオレキシンシグナル伝達は不十分である(Nishino et al, Lancet 2000, 355, 39-40)。これらすべては、オレキシンシステムが人々の覚醒を促進し、オレキシンシステムを阻害することが睡眠の促進に有益であることを示している。従って、オレキシン受容体アンタゴニストは、不眠症、うつ病、不安、薬物中毒、精神病、認知症、統合失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病、インスリン抵抗性、II型糖尿病、高脂血症、胆石、狭心症、高血圧、呼吸困難、頻脈、不妊、睡眠時無呼吸、背中と関節の痛み、静脈瘤及び変形性関節症などの疾患の治療に使用できる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、下記の式から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0005】
【0006】
ただし、
各R1は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシから選択され、前記C1-3アルキル及びC1-3アルコキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのハロゲン原子により任意選択で置換され、
各R2は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、C1-3アルキル及びC1-3アルコキシから選択され、前記C1-3アルキル及びC1-3アルコキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのハロゲン原子により任意選択で置換され、
R3は、H、C1-3アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択され、
m及びnは、それぞれ独立して0、1、2及び3から選択され、
環Aは、
【0007】
【0008】
から選択され、
環Bは、
【0009】
【0010】
から選択される。
【0011】
本発明の一部の実施形態において、上記各R1は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、メチル及びメトキシから選択され、前記メチル及びメトキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのFにより任意選択で置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0012】
本発明の一部の実施形態において、上記各R1は、それぞれ独立してF、Cl、メチル及びメトキシから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0013】
本発明の一部の実施形態において、上記各R2は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、メチル及びメトキシから選択され、前記メチル及びメトキシは、それぞれ独立して1、2又は3つのFにより任意選択で置換され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0014】
本発明の一部の実施形態において、上記各R2は、それぞれ独立してF、Cl、メチル及びメトキシから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0015】
本発明の一部の実施形態において、上記R3は、H、メチル及びシクロプロピルから選択され、他の変量は本発明で定義された通りである。
【0016】
本発明の一部の実施形態において、上記化合物は、式(I-1)、(I-2)及び(I-3)で表される構造から選択される。
【0017】
【0018】
ただし、R1、R2、R3、m及びnは、本発明で定義された通りである。
本発明一部の実施形態は、更に上記の各変量の任意の組み合わせにより形成される。
本発明は、更に下記の式から選択される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0019】
【0020】
【0021】
本発明の一部の実施形態において、上記化合物又はその薬学的に許容される塩において、化合物は下記の式から選択される。
【0022】
【0023】
【0024】
本発明は、更に選択的オレキシン-2受容体アンタゴニストに関連する疾患を治療するための医薬の製造における上記化合物又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0025】
本発明の一部の実施形態において、前記選択的オレキシン-2受容体アンタゴニストに関連する疾患は、不眠症及び/又はうつ病から選択される。
【0026】
本発明は、更に下記の試験方法を提供する。
【0027】
1.ラット血漿薬物動態パラメータの測定
6~9週齢の健康なSDラット4匹を選択し、各群に2匹ずつ、無作為に2つの群に分けた。1つの群には静脈内注射により2mg/kgの試験化合物を投与し、もう1つの群には胃内投与により10mg/kgの試験化合物を投与した。静脈内投与群及び胃内投与群の動物はいずれも投与した後の0.083、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0及び24時間目に、血漿試料を採取された。LC-MS/MS方法を使用してすべての生体試料の定量分析を実行し、WinNonli(商標) Version 6.3(Pharsight、Mountain View、CA)薬物動態ソフトウェアを使用して、非コンパートメントモデル線形対数ラダー法を使用して、関連薬物動態パラメーターを計算した。AUC0-lastは、0時点から最後の検出可能な濃度時点までの血漿濃度-時間曲線下面積を表し;p.o.は経口投与を表し;i.v.は静脈注射を表し、T1/2は半減期を表し、CLはクリアランスを表し、Vdは見かけの分布容積を表し、Cmaxはピーク濃度を表し、Tmaxはピーク時間を表し、F%は経口バイオアベイラビリティを表す。
【0028】
2.ラット脳組織における薬物濃度の測定
6~9週齢の健康なSDラット4匹を選択し、もう1つの群には胃内投与により10mg/kgの試験化合物を投与した。投与後の0.5時間及び2時間でそれぞれ2匹の動物を無作為に選択し、血漿及び脳組織試料を収集し、LC-MS/MS方法を使用して、すべての生体試料を定量分析した。
(発明の効果)
【0029】
OX-2受容体アンタゴニストとして、本発明の化合物はOX-2受容体に対する選択的拮抗作用を有し、in vitro試験において優れた活性を示し、不眠症、うつ病などのオレキシンシグナル経路に関連する精神疾患を治療するための薬物の開発に使用でき、本発明の化合物は、ラット体内で優れた薬物動態特性を示し、ラット体内で液脳関門を透過して脳組織に浸透することができ、より高い薬物濃度に達することができる。
【0030】
(定義及び説明)
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。1つの特定の用語又は連語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0031】
本明細書で用いられる「薬学的許容される」は、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対するもので、これらは信頼できる医学判断の範囲内にあり、ヒト及び動物の組織との接触に適し、毒性、刺激性、アレルギー反応又はほかの問題又は合併症があまりなく、合理的な利益/リスク比に合う。
【0032】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の塩で、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と比較的に無毒の酸又は塩基とで製造される。本発明の化合物に比較的に酸性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基でこれらの化合物と接触することで塩基付加塩を得ることができる。薬学的許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウム塩あるいは類似の塩を含む。本発明で化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、単独の溶液又は、適切な不活性溶媒において十分な量の酸でこれらの化合物と接触することで酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、無機酸塩及び有機酸塩、更にアミノ酸(例えばアルギニンなど)の塩、及びグルクロン酸のような有機酸の塩を含み、上記無機酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含み、上記有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸やメタンスルホン酸などの類似の酸を含む。本発明の一部の特定的の化合物は、塩基性及び酸性の官能基を含有するため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転換することができる。
【0033】
本発明の薬学的許容される塩は、酸基又は塩基性基を含む母体化合物から通常の方法で合成することができる。通常の場合、このような塩の製造方法は、水又は有機溶媒あるいは両者の混合物において、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させて製造する。
【0034】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルキル」は直鎖又は分枝鎖の1~3個の炭素原子で構成された飽和炭化水素基を表す。前記C1-3アルキルにはC1-2とC2-3アルキルなどが含まれ、それは1価(例えばメチル)、2価(例えばメチレン)及び多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0035】
別途に定義しない限り、用語「C1-3アルコキシ」は酸素原子を介して分子の残り部分に連結した1~3個の炭素原子を含むアルキルを表す。前記C1-3アルコキシは、C1-2、C2-3、C3及びC2アルコキシなどが含まれる。C1-3アルコキシの実例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ(n―プロポキシ又はイソプロポキシを含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0036】
別途に定義しない限り、「C3-6シクロアルキル」は3~6個の炭素原子から構成された飽和炭化水素基であり、それは単環式及び二環式環系を表し、上記C3-6シクロアルキルはC3-5、C4-5及びC5-6シクロアルキルなどが含まれ;それは一価、二価又は多価であってもよい。C3-6シクロアルキルの実例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0037】
別途に定義しない限り、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、それ自体又は別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。
【0038】
別途に説明しない限り、用語「異性体」とは、幾何異性体、シス-トランス異性体、立体異性体、エナンチオマー、光学異性体、エナンチオマー及び互変異性体を含むことを指す。
【0039】
本発明の化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明は、全てのこのような化合物を想定し、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物並びに他の混合物、例えばエナンチオマー又は非エナンチオマーを多く含有する混合物を含み、全てのこれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。アルキル等の置換基に他の不斉炭素原子が存在してもよい。全てのこれらの異性体及びこれらの混合物はいずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
別途に説明しない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは互いに鏡像の関係にある立体異性体である。
【0041】
別途に説明しない限り、用語「シス-トランス異性体」又は「幾何異性体」とは二重結合又は環構成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによるものである。
【0042】
別途に説明しない限り、用語「ジアステレオマー」とは分子が二つ又は複数のキラル中心を有し、かつ分子同士は非鏡像の関係にある立体異性体である。
【0043】
別途に説明しない限り、「(+)」は右旋性を意味し、「(-)」は左旋性を意味し、「(±)」はラセミ体を意味する。
【0044】
【0045】
別途に説明しない限り、用語「1つの異性体に富む」、「異性体豊富な」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマー豊富な」とは、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、且つこの異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であることを意味する。
【0046】
別途に説明しない限り、用語「異性体過剰率」又は「エナンチオマー過剰率」とは、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対百分率の間の差を意味する。例えば、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が90%であり、もう1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマー過剰率(ee値)は80%である。
【0047】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体ならびにD及びL異性体は、不斉合成又はキラル試薬又はほかの通常の技術を用いて調製することができる。本発明のある化合物の1つの鏡像異性体を得るには、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導作用によって調製することができるが、ここで、得られたジアステレオマー混合物を分離し、かつ補助基を分解させて単離された所要の鏡像異体性を提供する。あるいは、分子に塩基性官能基(例えばアミノ)又は酸性官能基(例えばカルボキシル)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成させ、更に本分野で公知の通常方式の方法によってジアステレオマーの分割を行った後、回収して単離された鏡像異体を得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、クロマトグラフィー法によって行われ、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を使用し、かつ任意の化学誘導法(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成させる)併用する。
【0048】
本発明の化合物は、化合物を構成する一つまた複数の原子には、非天然の原子同位元素が含まれてもよい。例えば三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又はC-14(14C)のような放射性同位元素で化合物を標識することができる。又、例えば重水素を水素に置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素で形成された結合は、通常の水素と炭素で形成された結合よりも強く、重水素化されていない薬物と比較して、重水素化された薬物には、毒性の副作用が軽減され、薬物の安定性が増し、治療効果が向上され、薬物の生物学的半減期が延ばされるという利点がある。本発明の化合物の同位体組成の変換は、放射性であるかいやかに関わらず、本発明の範囲に含まれる。
【0049】
用語「任意」また「任意に」は後記の事項又は状況によって可能であるが必ずしも現れるわけではなく、かつ当該記述はそれに記載される事項又は状況が生じる場合によってその事項又は状況が生じない場合を含むことを意味する。
【0050】
用語「置換された」は特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、置換基は重水素及び水素の変形体を含んでもよい。置換基が酸素(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されたことを意味する。ケト基置換は、芳香族基で生じない。
【0051】
用語「任意に置換される」は、置換されてもよく、置換されなくてもよく、別途に定義しない限り、置換基の種類と数は化学的に安定して実現できれば任意である。
【0052】
変量(例えばR)のいずれかが化合物の組成又は構造に1回以上現れた場合、その定義はいずれの場合においても独立である。そのため、例えば、1つの基が0~2個のRにより置換された場合、上記基は任意に2個以下のRで置換され、かついずれの場合においてもRは独立して選択肢を有する。また、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0053】
連結基の数が0の場合、例えば、-(CRR)0-は、当該連結基が単結合であることを意味する。
【0054】
置換基の数が0の場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、-A-(R)0は当該構造が実際に-Aとなることを表す。
【0055】
置換基がない場合、当該置換基が存在しないことを表し、例えば、A-XのXがない場合、当該構造が実際にAとなることを表す。
【0056】
そのうち1つの変量が単結合の場合、それで連結する2つの基が直接連結し、例えばA-L-ZにおけるLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zになる。
【0057】
置換基の結合が環上の2つ以上の原子に交差結合できる場合、置換基は環上の任意の原子を通して結合することができ、例えば、構造単位
【0058】
【0059】
は、置換基Rがシクロヘキシルまたはシクロヘキサジエンの任意の位置で置換できることを示す。挙げられた置換基に対してどの原子を通して置換された置換基が明示しない場合、このような置換基はその任意の原子を通して結合することができ、例えば、置換基としてのピリジニルは、ピリジン環の任意の炭素原子を通して置換基に結合してもよい。
【0060】
挙げられた連結基がほかの連結方向を明示しない場合、その連結方向は任意であり、例えば、
【0061】
【0062】
における連結基Lは-M-W-であり、この時-M-W-は左から右への読み取る順序と同じ方向に環Aと環B
【0063】
【0064】
を構成することができ、また、左から右への読み取る順序と逆方向に環Aと環B
【0065】
【0066】
を構成することもできる。上記連結基、置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせであれば安定した化合物になる場合のみ許容される。
【0067】
特に明記しない限り、ある基が一つ以上の結合可能な部位を有する場合、該基の任意の一つ以上の部位は、化学結合によって他の基に結合することができる。該化学結合の結合方式が非局在であり、且つ結合可能な部位にH原子が存在する場合、化学結合を結合すると、該部位のH原子の個数は、結合された化学結合の個数に応じて相応の価数の基に減少する。前記部位が他の基と結合する化学結合は、
【0068】
【0069】
例えば、-OCH3の直線実線結合は、該基の酸素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0070】
【0071】
中の直線の破線結合は、該基内の窒素原子の両端が他の基に結合されていることを意味する。
【0072】
【0073】
中の波線は、当該フェニル基の部位1と2の炭素原子を介して他の基に結合されていることを意味する。
【0074】
【0075】
は、当該ピペリジニルの任意の結合可能な部位が1つの化学結合によって他の基に結合できることを意味し、少なくとも
【0076】
【0077】
の四つの結合形態を含み、H原子が-N-に描かれていても、
【0078】
【0079】
この結合形態の基が含まれるが、1つの化学結合が接続されると、その部位のHは1つ減少して対応する一価ピペリジンになる。
【0080】
別途に説明しない限り、環内の原子数は一般に環員の数として定義され、例えば、「5~7員環」とは、その周囲に配置された5~7個の原子の「環」を指す。
【0081】
本発明の化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0082】
本発明の化合物の構造は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関する場合、絶対配置は、当業者の従来の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)、培養された単結晶はBruker D8 venture回折計によって収集され、光源はCuKα放射線、走査方法:φ/ω走査、関連データを収集した後、更に直接法は(Shelxs97)結晶構造解析により、絶対配置を確認できる。
【0083】
本発明は下記の略語を使用する。H2Oは水を表し;eqは当量、等量を表し;PEは石油エーテルを表し;EtOAcは酢酸エチルを表し;EtOHはエタノールを表し;MeOHはメタノールを表し;HOAcは酢酸を表し;HClは塩酸を表し;HPLCは高速液体クロマトグラフィーを表し;H2SO4は硫酸を表し;HCl/EtOAcは塩酸の酢酸エチル溶液を表し;HATUはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを表し;TFAはトリフルオロ酢酸を表し;TEAはトリエチルアミンを表し;DIEA又はDIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンを表し;mpは融点を表し;℃は摂氏度を表し;hは時間を表し;mLはミリリットルを表し;mMはリットル当たりミリモルを表し;mmolはミリモルを表し;μmolはマイクロモルを表し;HNMRは水素核磁気共鳴スペクトルを表し;MSは質量スペクトルを表し;minは分を表し;pHは水素イオンモル濃度の負の対数を表し;SFCは超臨界液体クロマトグラフィーを表す。
【0084】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品から得ることができる。
化合物は手動又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアによって名付けられ、市販化合物はメーカーのカタログの名称がされた。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の不利な制限を意味するものではない。本発明は本明細書で詳細に説明されており、その特定の実施形態も開示されており、当業者にとって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の特定の実施形態において様々な変更及び修正を行うことができることは明らかである。
【0086】
実施例1
【0087】
【0088】
合成スキーム:
【0089】
【0090】
ステップ1:化合物1-2の合成
予め乾燥させたフラスコに化合物1-1(233mg)、4-メトキシ-o-フェニレンジアミン(169.99mg)、HATU(584.76mg)、DIPEA(267.88μL)及び溶媒DMF(3mL)を加え、25℃で、窒素ガスの保護下で、15h撹拌した。反応完了後、水(40mL)を加えてクエンチングさせ、酢酸エチル(20mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=60:40)により精製して化合物1-2を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 6.93 - 7.20 (m, 1 H), 6.31 (br d, J=12.30 Hz, 2 H), 4.43 (s, 1 H), 3.80 - 4.01 (m, 2 H), 3.75 (s, 3 H), 3.37 - 3.72 (m, 2 H), 1.92 (br s, 1 H), 1.62 (br s, 1 H), 1.46 (s, 9 H), 0.82 (br d, J=6.02 Hz, 1 H), 0.23 (q, J=4.27 Hz, 1 H)。
【0091】
ステップ2:化合物1-3の合成
予め乾燥させたフラスコに化合物1-2(100mg)及び氷酢酸(5mL)を加え、100℃で、5h撹拌した。反応完了後、水(20mL)を加えてクエンチングさせ、酢酸エチル(20mL)及び飽和NaHCO3(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物化合物1-3を得、精製せずに次のステップで直接に使用した。LCMS m/z = 330.0[M+H]+
【0092】
ステップ3:化合物1-4のトリフルオロ酢酸塩の合成
予め乾燥させたフラスコに化合物1-3(90mg)及び溶媒DCM(2mL)を加え、次に、TFA(2mL)を加え、25℃で、窒素ガスの保護下で、1h撹拌した。反応完了後、反応溶液を濃縮して乾燥させ、化合物1-4のトリフルオロ酢酸塩粗生成物を得、精製せずに次のステップで直接に使用した。LCMS m/z = 230.0[M+H]+
【0093】
ステップ4:化合物1の合成
予め乾燥させたフラスコに化合物1-4のトリフルオロ酢酸塩(60mg)、2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(64.36mg)、HATU(149.25mg)、DIPEA(68.37μL)及び溶媒DMF(3mL)を加え、25℃で、15h撹拌し、反応完了後、酢酸エチル(10mL)を加えて希釈し、水(20mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、Pre-HPLC(カラムタイプ:Phenomenex Gemini-NX 80×30mm×3μm;移動相:[H2O(10mMのNH4HCO3)-ACN];ACN%:30%~60%、9min)により分離して化合物1を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.08 (br s, 1 H), 8.24 - 8.00 (m, 1 H), 7.99 - 7.70 (m, 2 H), 7.68 - 7.25 (m, 4 H), 7.21 - 6.99 (m, 1 H), 6.94 - 6.72 (m, 1 H), 5.35 (s, 0.63H), 4.65 (s, 0.37H), 3.97 - 3.60 (m, 5H), 1.95 - 1.52 (m, 2 H), 0.91 - 0.43 (m, 2 H)。LCMS m/z = 401.2[M+H]+
【0094】
実施例2
【0095】
【0096】
合成スキーム:
【0097】
【0098】
ステップ1:化合物2-2の合成
予め乾燥させたフラスコに化合物2-1(500mg)、HATU(1.25g)及びDMF(10mL)を加え、更に4-メトキシ-o-フェニレンジアミン(364.79mg)及びDIPEA(1.15mL)を加え、15℃で、15h撹拌した。反応完了後、酢酸エチル(80mL)を加えて希釈し、水(100mL)及び食塩水(100mL×2)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得、粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=30:70)により精製して化合物2-2を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.03 (br s, 1H), 6.73-7.06 (m, 1H), 6.04-6.34 (m, 2H), 4.68-5.01 (m, 2H), 3.96 (br s, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.37 (br s, 1H), 2.22-2.39 (m, 1H), 2.06-2.20 (m, 1H), 1.59 (br s, 1H), 1.29-1.47 (m, 9H), 0.72 (td, J=5.55, 8.47 Hz, 1H), 0.42 (br s, 1H)。
【0099】
ステップ2:化合物2-3の合成
予め乾燥させたフラスコに化合物2-2(500mg)及び氷酢酸(10mL)を加え、100℃で、1.5h撹拌した。反応完了後、反応溶液を直接に減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物に飽和炭酸水素ナトリウム(80mL)を加え、DCM/MeOH(80mL×2、10/1)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=50:50)により精製して化合物2-3を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.41 (br s, 1H), 6.85-7.74 (m, 3H), 4.99 (br s, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.24 (br s, 2H), 2.40 (br t, J=10.92 Hz, 1H), 1.81 (br s, 1H), 1.50 (br s, 9H), 0.91 (td, J=5.62, 8.60 Hz, 1H), 0.50 (br s, 1H)。
【0100】
ステップ3:化合物2-4の塩酸塩の合成
予め乾燥させたフラスコに化合物2-3(300mg)及び溶媒酢酸エチル(8mL)を加え、次に、HCl/EtOAc(4M、8mL)を加え、15℃で、15h撹拌した。反応完了後、直接に濃縮してスピン乾燥させ、化合物2-4の塩酸塩を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.71 (br s, 1H), 7.64 (d, J=9.03 Hz, 1H), 7.19 (d, J=2.26 Hz, 1H), 7.03 (dd, J=2.38, 8.91 Hz, 1H), 4.79-4.93 (m, 1H), 3.83 (s, 3H), 3.37-3.49 (m, 1H), 2.53-2.67 (m, 2H), 1.95 (br dd, J=4.27, 8.53 Hz, 1H), 1.09-1.20 (m, 1H), 0.80-0.92 (m, 1H)。
【0101】
ステップ4:化合物2の合成
予め乾燥させたフラスコに2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(128.14mg)、HATU(372.02mg)及びジクロロメタン(10mL)を加え、更に化合物2-4の塩酸塩(200mg)及びDIEA(393.27μL)を加え、15℃で、15h撹拌した。反応完了後、ジクロロメタン(80mL)を加えて希釈し、水(80mL)及び食塩水(80mL×2)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=30:70)により精製して化合物2を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.06 (d, J=8.28 Hz, 1H), 7.53-7.64 (m, 4H), 7.44-7.51 (m, 2H), 7.05 (d, J=2.01 Hz, 1H), 6.94 (dd, J=2.26, 9.03 Hz, 1H), 5.58 (br d, J=5.77 Hz, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.97-3.09 (m, 2H), 2.44 (dd, J=9.66, 13.18 Hz, 1H), 1.89-2.00 (m, 1H), 0.73 (br s, 1H), 0.53 (br s, 1H)。 LCMS m/z = 401.1[M+H]+
【0102】
実施例3
【0103】
【0104】
合成スキーム:
【0105】
【0106】
ステップ1:化合物3-2の合成
1つの乾燥させたバイアルにH2SO4(50.00mL)を加え、次に、0℃で、HNO3(2.84mL、65%の濃度)をゆっくりと滴下し、次に、化合物3-1(5g)をゆっくりと加え、反応系を15℃で16h撹拌した。反応溶液を100mLの氷水にゆっくりと注ぎ、次に、水相をメチルtert-ブチルエーテル(20mL×2)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物に50mLの石油エーテルを加え、1h均質化させた後濾過し、ケーキを収集して濃縮し、乾燥させて化合物3-2を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 8.06 (d, J=8.8Hz, 1 H), 7.70 (d, J=8.8Hz, 1 H), 2.43 (s, 3 H)。MS m/z : 239[M+23]+。
【0107】
ステップ2:化合物3-3の合成
1つの一口フラスコの中で化合物3-2(4.6g)をEtOH(100mL)及びH2O(50mL)に溶解させ、Fe粉末(11.86g)及びNH4Cl(22.72g)を加え、反応系を75℃で16h撹拌した。反応溶液に200mLのエタノールを加えて希釈した後、濾過し、ケーキをエタノール(200mL×2)で洗浄し、濾液を濃縮した後、500mLの酢酸エチルを加えて溶解させ、30分間均質化させた後、濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)により分離・精製して化合物3-3を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ: 6.74 (d, J=8.4Hz, 1 H), 6.55 (d, J=8.4Hz, 1 H), 3.41 (br s, 4H), 2.26 (s, 3 H)。MS m/z : 157[M+H]+。
【0108】
ステップ3:化合物3-4の合成
1つの乾燥させたバイアルの中で化合物3-3(227.42mg)及び化合物1-1(300mg)をDMF(10mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、0℃でDIEA(511.83mg)及びトリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酸酢酸エチル溶液(785.10μL、50%の含有量)を加え、次に、反応系を15℃で16h撹拌した。反応溶液を50mLの水に注ぎ、水相を酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて水(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)により分離・精製して化合物3-4を得た。MS m/z : 310[M+H-56]+。
【0109】
ステップ4:化合物3-5の合成
1つの乾燥させたバイアルの中で化合物3-4(450mg)をDMF(8mL)に溶解させ、AcOH(703.44μL)を加え、反応系を130℃で2h撹拌した。反応溶液を50mL水に注ぎ、水相を酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて水(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=10:1~1:1)により分離・精製して化合物3-5を得た。MS m/z : 348[M+H]+。
【0110】
ステップ5:化合物3-6の塩酸塩の合成
1つの乾燥させたバイアルの中で化合物3-5(310mg)をEtOAc(5mL)に溶解させ、HCl/EtOAc(4M、4.46mL)を加え、反応系を15℃で16h撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して粗生成物化合物3-6の塩酸塩を得、更に精製せず、次のステップで直接に使用した。MS m/z:248[M+H]+。
【0111】
ステップ6:化合物3の合成
1つの乾燥させたバイアルの中で化合物3-6の塩酸塩(100mg)及び2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(66.57mg)をTHF(5mL)に溶解させ、TEA(146.93μL)及びトリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(418.55μL、50%の純度)を加え、反応系を窒素ガスの保護下で、50℃で16h撹拌を続けた。反応完了後、反応溶液を20mLの水に注ぎ、水相を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Phenomenex Gemini-NX 80×40mm×3μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3を含む)-アセトニトリル];アセトニトリル%:35%~65%、8min)により分離・精製して化合物3を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 8.30-7.89 (m, 3 H), 7.66-7.63 (m, 1 H), 7.58-7.31 (m, 3 H), 7.24-7.20 (m, 1 H), 5.39 (s, 1 H), 4.15-3.86 (m, 1 H), 2.67-2.59 (m, 3 H), 2.43-2.32 (m, 1 H), 1.82-1.58 (m, 3 H), 0.80-0.52 (m, 3H)。MS m/z : 419[M+H]+。
【0112】
実施例4
【0113】
【0114】
合成スキーム:
【0115】
【0116】
ステップ1:化合物4の合成
1つの乾燥させたバイアルの中で化合物1-4のトリフルオロ酢酸塩(100mg)及び5-メトキシ-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(82.49mg)をTHF(5mL)に溶解させ、TEA(157.13μL)及びトリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(447.61μL、50%の含有量)を加え、反応系を窒素ガスの保護下で、50℃で16h撹拌した。反応溶液を20mLの水に注ぎ、水相を酢酸エチル(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Phenomenex Gemini-NX 80×40mm×3μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-アセトニトリル];アセトニトリル%:25%~55%、8min)により分離・精製して化合物4を得た。1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ:12.17-12.10 (m, 1 H), 8.09-8.08 (m, 2 H), 7.77-7.70 (m, 1 H), 7.49-7.47 (m, 1 H), 7.41-7.32 (m, 1 H), 7.20-7.00 (m, 2 H), 6.93-6.79 (m, 1 H), 5.31-4.74 (m, 1 H), 3.99-3.76 (m, 6 H), 3.07 (m, 1H), 2.51-2.49 (m, 1H), 1.66-1.63 (m, 2H), 0.77-0.54 (m, 2H)。MS m/z : 431[M+H]+。
【0117】
実施例5
【0118】
【0119】
合成スキーム:
【0120】
【0121】
反応フラスコに化合物1-4のトリフルオロ酢酸塩(50mg)、5-メチル-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(44.31mg)及びTHF(1mL)を加え、撹拌下で、TEA(151.77μL)及びトリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(194.54μL、50%の含有量)を加え、50℃で16h反応させた。反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得、分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Phenomenex Gemini-NX C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-アセトニトリル];アセトニトリル%:25%~45%、8min)により精製して化合物5を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 10.97 - 12.91 (m, 1 H), 7.81 - 8.39 (m, 1 H), 7.67 - 7.80 (m, 1 H), 7.22 - 7.65 (m, 3 H), 6.87 - 7.21 (m, 1 H), 6.72 - 6.86 (m, 1 H), 6.15 - 6.58 (m, 1 H), 4.61 - 5.38 (m, 1 H), 3.82 - 4.02 (m, 1 H), 3.75 - 3.81 (m, 3 H), 2.56 (br s, 1 H), 2.38 - 2.44 (m, 2 H), 1.57 - 1.86 (m, 3 H), 0.72 - 0.80 (m, 1 H), 0.51 - 0.61 (m, 1 H)。MS m/z : 415 [M+H]+。
【0122】
実施例6
【0123】
【0124】
合成スキーム:
【0125】
【0126】
反応フラスコに化合物1-4のトリフルオロ酢酸塩(100mg)、2-フルオロ-6-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(99.39mg)及びTHF(2mL)を加え、撹拌し、TEA(303.54μL)、トリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(389.09μL、50%の含有量)を加え、50℃で16h反応させた。反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得、分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Phenomenex Gemini-NX C18 75×30mm×3μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-アセトニトリル];アセトニトリル%:25%~45%、8min)により分離・精製して化合物6を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 11.53 - 12.33 (m, 1 H), 8.15 - 8.26 (m, 1 H), 7.74 - 7.90 (m, 1 H), 7.60 - 7.73 (m, 1 H), 7.11 - 7.60 (m, 3 H), 6.52 - 7.10 (m, 2 H), 4.52 - 5.50 (m, 1 H), 3.90 - 4.22 (m, 1 H), 3.79 (d, J=13.13 Hz, 3 H), 3.21 - 3.50 (m, 1 H), 1.53 - 1.94 (m, 2 H), 0.33 - 0.88 (m, 2 H)。MS m/z : 419 [M+H]+。
【0127】
実施例7
【0128】
【0129】
合成スキーム:
【0130】
【0131】
反応フラスコに化合物2-4の塩酸塩(100mg)、5-メチル-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(97.49mg)、THF(2mL)を加え、撹拌し、TEA(607.08μL)、トリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(778.18μL、50%の含有量)を加え、15℃で16h反応させた。反応完了後、水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-アセトニトリル];アセトニトリル%:20%~50%、8min)により精製して化合物7を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 11.75 - 12.09 (m, 1 H), 7.87 - 8.16 (m, 2 H), 7.63 - 7.85 (m, 1 H), 7.41 - 7.53 (m, 2 H), 6.38 - 7.40 (m, 3 H), 4.60 - 5.20 (m, 1 H) , 3.73 - 3.79 (m, 3 H), 3.11 (br d, J=6.02 Hz, 1 H), 2.30 - 2.45 (m, 4 H), 1.52 - 1.81 (m, 2 H), 0.46 - 0.98 (m, 2 H)。MS m/z : 415 [M+H]+。
【0132】
キラル純度はキラルSFC(クロマトグラフィーカラム:Chiralcel OD-3、50×4.6mm I.D., 3μm;移動相:[超臨界CO2-メタノール(0.1%のイソプロピルアミンを含む)];メタノール(0.1%のイソプロピルアミンを含む)%:5%~50%、3min)により検出し、保持時間=1.161min、ee=100%であった。
【0133】
実施例8
【0134】
【0135】
合成スキーム:
【0136】
【0137】
反応フラスコに化合物2-4の塩酸塩(100mg)、5-メトキシ-2-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)安息香酸(105.16mg)、THF(2mL)を加え、撹拌し、TEA(607.08μL)、トリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(778.18μL、50%の含有量)を加え、15℃で16h反応させた。反応完了後、水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-アセトニトリル];アセトニトリル%:20%~95%、8min)により精製して化合物8を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ : 11.71 (s, 1 H), 7.99 - 8.15 (m, 1 H), 7.81 - 7.91 (m, 2 H), 7.38 - 7.72 (m, 1 H), 7.07 - 7.36 (m, 2 H), 6.44 - 7.03 (m, 2 H), 4.76 - 5.18 (m, 1 H), 3.63 - 3.91 (m, 6 H), 3.17 - 3.20 (m, 1 H), 2.34 - 2.38 (m, 1 H), 1.70 - 1.85 (m, 1 H), 1.11 (s, 1 H), 0.55 - 0.89 (m, 2 H)。MS m/z : 431 [M+H]+。旋光度値:(+)60.99°±0.13°(10.38mg/mLのクロロホルム溶液、長さ=50mm、温度=20℃、n=2)。キラル純度はキラルSFC(クロマトグラフィーカラム:Chiralpak AS-3、50×4.6mm I.D.,3μm;移動相:[超臨界CO2-メタノール(0.1%のイソプロピルアミンを含む)];メタノール(0.1%のイソプロピルアミンを含む)%:5%~50%、3min)により検出し、保持時間=0.980min、ee=100%であった。
【0138】
実施例9
【0139】
【0140】
合成スキーム:
【0141】
【0142】
ステップ1:化合物9-2の合成
反応フラスコに化合物9-1(4.5g)、1H-1,2,3-トリアゾール(1.29g)、1,10-フェナントロリン(152.43mg)、炭酸セシウム(8.27g)及び1,4-ジオキサン(45mL)を加え、ヨウ化第一銅(322.18mg)を加え、窒素ガスで3回置換し、100℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、HClでpH=1~2に調節し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はDCM:MeOH=100:1~50:1である)により分離・精製して化合物9-2を得た。1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ:13.1 (s, 1 H), 7.85 (s, 2 H), 7.81-7.83 (m, 1 H), 7.65-7.68 (m, 1 H), 7.46-7.65(m, 1 H)。MS m/z : 208 [M+H]+。
【0143】
ステップ2:化合物9の合成
反応フラスコに化合物9-2(100.00mg)、トルエン(1mL)を加え、撹拌し、塩化チオニル(38.52μL)を加え、50℃で1h反応させ、反応溶液を減圧濃縮して、0.5mLのジクロロメタンに溶解させて準備した。反応フラスコに化合物2-4の塩酸塩(100mg)、ジクロロメタン(1mL)、トリエチルアミン(261.89μL)を加え、撹拌し、0℃に冷却させ、上記ジクロロメタン溶液を滴下し、15℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3)-アセトニトリル];アセトニトリル%:25%~55%、8min)により精製して化合物9を得た。1H NMR (400 MHz,CDCl3) δ: 9.59 - 11.75 (m, 1 H), 7.82 (d, J=2.4, 1 H), 7.35 - 7.69 (m, 4 H), 7.04 - 7.23 (m, 2 H), 6.95 (d, J=4, 1 H), 5.63 (m, 1 H), 3.88(s, 3 H), 3.53 (m , 1 H), 2.72 - 2.83 (m, 1 H), 2.30 (m, 1 H), 1.92 - 2.08 (m, 1 H), 0.74 - 0.91 (m, 1 H), 0.36 - 0.62 (m, 1 H)。MS m/z : 419 [M+H]+。
【0144】
実施例10
【0145】
【0146】
合成スキーム:
【0147】
【0148】
ステップ1:化合物10-2の合成
反応フラスコに化合物10-1(2.8g)、1H-1,2,3-トリアゾール(811.78mg)、炭酸セシウム(5.22g)、1,10-フェナントロリン(96.28mg)及び1,4-ジオキサン(28mL)を加え、ヨウ化第一銅(203.50mg)を加え、100℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、HClでpH=1~2に調節し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はDCM:MeOH=100:1~50:1である)により分離・精製して化合物10-2を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 12.9 (s, 1 H),8.06 (s, 2 H), 7.67 (d, J=8, 1 H), 7.55 (s, 1 H), 7.39 (d, J=6.8, 1 H), 2.43 (s, 3 H)。MS m/z : 204 [M+H]+。
【0149】
ステップ2:化合物10の合成
反応フラスコに化合物2-4の塩酸塩(100mg)、化合物10-2(97.49mg)、テトラヒドロフラン(2mL)を加え、撹拌し、トリエチルアミン(607.08μL)、トリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(778.18μL、50%の含有量)を加え、15℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3を含む)-アセトニトリル];アセトニトリル%:25%~45%、8min)-アセトニトリル];アセトニトリル%:45%~75%、10min)により精製して化合物10を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 11.72 - 12.20 (m, 1 H), 7.87 - 8.19 (m, 2 H), 7.76 (s, 1 H), 7.56 - 7.66 (m, 1 H), 6.71 - 7.47 (m, 4 H), 4.53 - 5.32 (m, 1 H), 3.62 - 3.81 (m, 3 H), 3.30 (s, 1 H), 3.02 - 3.14 (m, 1 H), 2.44 (s, 3 H), 2.21 - 2.31 (m, 1 H), 1.66 - 1.80 (m, 1 H), 0.49 - 1.04 (m, 2 H)。MS m/z : 415 [M+H]+。
【0150】
実施例11
【0151】
【0152】
合成スキーム:
【0153】
【0154】
ステップ1:化合物11-2の合成
反応フラスコに化合物11-1(3g)、1H-1,2,3-トリアゾール(856.80mg)、炭酸セシウム(5.51g)、1,10-フェナントロリン(101.62mg)及び1,4-ジオキサン(30mL)を加え、ヨウ化第一銅(214.79mg)を加え、100℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、HClでpH=1~2に調節し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はDCM:MeOH=100:1~50:1である)により分離・精製して得られた生成物を更に分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Phenomenex luna C18(250×70mm、15μm);移動相:[水(HClを含む)-アセトニトリル];アセトニトリル%:8%~38%、20min)により精製して化合物11-2を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ : 13.3 (s, 1 H), 8.08 (s, 2 H), 7.79-7.82 (m, 1 H), 7.57-7.63 (m, 2 H)。MS m/z : 208 [M+H]+。
【0155】
ステップ2:化合物11の合成
反応フラスコに化合物2-4の塩酸塩(50mg)、化合物11-2(49.69mg)、N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)を加え、撹拌し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(113.95μL)、HATU(165.84mg)を加え、15℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3を含む)-アセトニトリル];アセトニトリル%:20%~50%、8min)により精製して化合物11を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ : 11.75 - 12.21 (m, 1 H), 7.80 - 8.24 (m, 3 H), 7.69 (dd, J=8.13, 3.25 Hz, 1 H), 7.19 - 7.56 (m, 2 H), 6.60 - 7.14 (m, 2 H), 4.66 - 5.21 (m, 1 H), 3.69 - 3.81 (m, 3 H), 3.31 (s, 1 H), 3.19 (s, 1 H), 2.34 - 2.42 (m, 1 H), 1.72 - 1.84 (m, 1 H), 0.55 - 1.03 (m, 2 H)。MS m/z : 419 [M+H]+。
【0156】
実施例12
【0157】
【0158】
合成スキーム:
【0159】
【0160】
ステップ1:化合物12-2の合成
反応フラスコに化合物12-1(1g)、1H-1,2,3-トリアゾール(285.60mg)、炭酸セシウム(1.84g)、1,10-フェナントロリン(33.87mg)及び1,4-ジオキサン(10mL)を加え、ヨウ化第一銅(71.60mg)を加え、100℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、HClでpH=1~2に調節し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はDCM:MeOH=100:1~50:1である)により分離・精製して化合物12-2を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 13.67 (s, 1 H), 8.16 (s, 2 H), 7.71-7.80 (m, 1 H), 7.68-7.70 (m, 1 H), 7.44-7.47 (m, 1 H)。
【0161】
ステップ2:化合物12の合成
予め乾燥させた一口フラスコに化合物2-4の塩酸塩(50mg)、化合物12-2(35.08mg)及びアセトニトリル(1mL)を加え、撹拌し、次に、試薬N,N-ジイソプロピルエチルアミン(65.55μL)、N-メチルイミダゾール(52.49μL)、N,N,N,N-テトラメチルクロロホルムアミジンヘキサフルオロホスフェート(63.35mg)を加え、反応系を15℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3を含む)-アセトニトリル];アセトニトリル%:20%~50%、8min)により精製して化合物12を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 11.34 - 12.19 (m, 1 H), 8.10 - 8.29 (m, 1 H), 7.63 - 7.92 (m, 2 H), 7.39 - 7.54 (m, 2 H), 6.59 - 7.37 (m, 3 H), 4.52 - 5.52 (m, 1 H), 3.70 - 3.87 (m, 3 H), 3.12 - 3.31 (m, 1 H), 2.77 - 2.99 (m, 1 H), 2.34 - 2.63 (m, 1 H), 1.74 - 1.97 (m, 1 H), 0.72 - 1.18 (m, 1.5 H), 0.24 - 0.50 (m, 0.5 H)。MS m/z : 419 [M+H]+。
【0162】
実施例13
【0163】
【0164】
合成スキーム:
【0165】
【0166】
ステップ1:化合物13の合成
反応フラスコに化合物2-4の塩酸塩(30mg)、5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)安息香酸(25.23mg)、テトラヒドロフラン(1mL)を加え、撹拌し、トリエチルアミン(91.06μL)、トリ-n-プロピルシクロリン酸無水物(tri-n-propylcyclophosphoric anhydride)の酢酸エチル溶液(233.45μL、50%の濃度)を加え、15℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は石油エーテル:酢酸エチル=1:1~0:1である)により分離・精製して得られた生成物を更に分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3を含む)-アセトニトリル];アセトニトリル%:25%~55%、8min)により精製して化合物13を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ : 8.18 - 8.33 (m, 3 H), 7.33 - 7.62 (m, 2 H), 7.28 (s, 1 H), 7.04 - 7.19 (m, 1 H), 6.89 - 7.00 (m, 2 H), 5.64 (dd, J=8.82, 2.69 Hz, 1 H), 3.88 (s, 3 H), 3.57 (m, 1 H), 2.81 - 2.93 (m, 1 H), 2.47 (s, 3 H), 2.29 - 2.41 (m, 1 H), 1.94 - 2.04 (m, 1 H), 0.69 - 0.84 (m, 1 H), 0.48 - 0.61 (m, 1 H)。MS m/z : 426 [M+H]+。
【0167】
実施例14
【0168】
【0169】
合成スキーム:
【0170】
【0171】
ステップ1:化合物14-2の合成
反応フラスコに化合物14-1(9g)、1H-1,2,3-トリアゾール(2.42g)、1,4-ジオキサン(90mL)を加え、撹拌し、炭酸セシウム(15.57g)、1,10-フェナントロリン(287.10mg)、ヨウ化第一銅(606.82mg)を加え、窒素ガスで3回置換し、100℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、HClでpH=1~2に調節し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液はDCM:MeOH=100:1~50:1である)により分離・精製して化合物14-2を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ : 13.46 (s, 1 H), 8.1 (s, 2 H), 7.77 - 7.82 (m, 3 H)。MS m/z : 224 [M+H]+。
【0172】
ステップ2:化合物14の合成
反応フラスコにアセトニトリル(1mL)を加え、15℃で撹拌下で化合物2-4の塩酸塩(50mg)、化合物14-2(43.89mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(75.97μL)、N-メチルイミダゾール(60.84μL)及びN,N,N,N-テトラメチルクロロホルムアミジンヘキサフルオロホスフェート(73.43mg)を加え、15℃で16h反応させた。反応完了後、反応溶液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を分取HPLC(クロマトグラフィーカラム:Waters Xbridge BEH C18 100×30mm×10μm;移動相:[水(10mMのNH4HCO3を含む)-アセトニトリル];アセトニトリル%:30%~60%、8min)により精製して化合物14を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ : 8.03 (d, J=8.63 Hz, 1 H), 7.38 - 7.62 (m, 5 H), 7.06 - 7.18 (m, 1 H), 6.96 (dd, J=8.82, 2.31 Hz, 1 H), 5.63 (dd, J=8.57, 2.19 Hz, 1 H), 3.89 (s, 3 H), 3.53 (m, 1 H), 2.83 (t, 1 H), 2.33 (m, 1 H), 1.98 - 2.10 (m, 1 H), 0.78 - 0.91 (m, 1 H), 0.54 (br s, 1 H). MS m/z : 435 [M+H]+。
【0173】
生物学的試験
実験例1:OX1及びOX2受容体のin vitro活性試験
実験目的:
FLIPRで細胞内カルシウムシグナルの変化を検出し、化合物のIC50値を指標としてOX1R及びOX2R受容体に対する化合物の拮抗作用を評価するためである。
【0174】
実験材料:
1.細胞株:HEK293-OX1R及びHEK293-OX2Rを安定にトランスフェクトする細胞株
HEK293-OX1R細胞培養培地(DMEM、Invitrogen#11960-044;10%の血清、Gibco#10099141;L-Glutamine1×、Gibco#25030;ピルビン酸ナトリウム1×、Gibco#11360;Geneticin 300μg/mL、Gibco#10131)
HEK293-OX2R細胞培養培地(DMEM、Invitrogen#11960-044;10%の血清、Gibco#10099141;L-Glutamine1×、Gibco#25030;ピルビン酸ナトリウム1×、Gibco#11360;Geneticin 300μg/mL、Gibco#10131;Blasticin 2μg/mL、Invitrogen#R21001)
【0175】
【0176】
実験ステップと方法:
a)細胞の接種(HEK293-OX1R及びHEK293-OX2R細胞)
1)培地、トリプシン、DPBSを37℃のウォーターバスで予熱した。細胞培養培地を吸引し、10mLのDPBSで洗浄した;
2)予熱したトリプシンを培養フラスコに加え、トリプシンが培養フラスコを均等に覆うように培養フラスコを回転させ、37℃、5%CO2のインキュベーターに入れて1~2分間消化させた;
3)各T150は、10~15mLの培地で細胞を懸濁し、800rpmで5分間遠心分離し、10mLの培地で細胞を再懸濁し、1mLの細胞懸濁液を吸引してVi-cellで計数した;
4)培養培地でOX1R細胞を5×105/mLに希釈し、OX2R細胞を4×105/mLに希釈し、ピペットで希釈した細胞を384プレート(Greiner.781946)(50μL/ウェル、OX1R細胞:25000cells/ウェル、OX2R細胞:20000cells/ウェル)に加えた。細胞プレートを37℃、5%CO2のインキュベーターで一晩放置した。
【0177】
b)化合物のローディング:
1)DMSOで化合物を20mMに希釈し、8つの勾配に3倍希釈し、2つの複製ウェルであり、Echoリキッドハンドラー(Echo liquid handler)を使用して化合物プレートに加えた。次に、20μLの緩衝液を追加し、DMSOの最終濃度を0.1%に維持させた;
【0178】
c)FLIPR実験:
1)真空ポンプで384プレートの細胞培養培地を吸引して除去し、30μLのFluo-4 Direct蛍光色素を加え、37℃、5%CO2のインキュベーターで1時間培養し、室温で再び10分間平衡化させた。
2)EC50試験:氷上でOrexin Aを手動で希釈し、8つの勾配に3倍希釈し、2つの複製ウェルであった。DMSOの濃度が0.5%になるようにDMSOプレートを再び準備した。細胞プレート、OrexinAプレート、及びDMSOプレートをそれぞれFLIPRに入れ、蛍光値を読み取った。
3)Orexin AのEC50値でEC70値を計算し、5×EC70溶液を準備し、ピペットで384化合物プレートに加え、氷上に保存した。
4)FLIPRの中に化合物プレート、5×EC70プレート、細胞プレート、FLIPRチップを順次加え、プログラムを実行して蛍光値を読み取った。
【0179】
d)データ分析:Prism5.0を使用してデータを分析し、化合物のIC50値を計算した。
【0180】
実験結果は表2に示された通りである。
【0181】
【0182】
結論:本発明の化合物は、ヒトOrexin受容体に対して所定のアンタゴニスト活性を有し、OX2受容体に対してより高い活性を示した。
【0183】
実験例2:SDラット血漿中の試験物質の薬物動態パラメータの測定
6~9週齢の健康なSDラット4匹を選択し、各群に2匹ずつ、無作為に2つの群に分けた。1つの群には静脈内注射により2mg/kgの試験化合物を投与し、もう1つの群には胃内投与により10mg/kgの試験化合物を投与した。静脈内投与群及び胃内投与群の動物はいずれも投与した後の0.083、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0及び24時間目に、血漿試料を採取された。LC-MS/MS方法を使用してすべての生物学的試料の定量分析を実行し、WinNonli(商標) Version 6.3(Pharsight、Mountain View、CA)薬物動態ソフトウェアを使用して、非コンパートメントモデル線形対数ラダー法を使用して、薬物動態パラメーターを計算した。AUC0-lastは、0時点から最後の検出可能な濃度時点までの血漿濃度-時間曲線下面積を表し;p.o.は経口投与を表し;i.v.は静脈注射を表し、T1/2は半減期を表し、CLはクリアランスを表し、Vdは見かけの分布容積を表し、Cmaxはピーク濃度を表し、Tmaxはピーク時間を表し、F%は経口バイオアベイラビリティを表す。実験結果は表3に示された通りである。
【0184】
【0185】
結論:本発明の化合物はSDラットの体内において、良好な薬物動態特性を示した。
【0186】
実験例3:SDラットの脳組織における試験物質の薬物濃度の測定
6~9週齢の健康なオスSDラット4匹を選択し、試験化合物を胃内投与した。投与後の0.5時間、2時間でそれぞれ2匹の動物を無作為に選択して安楽死させ、血漿及び脳組織試料を収集し、LC-MS/MS方法を使用して、すべての生体試料を定量分析した。実験結果は表4に示された通りである。
【0187】
【0188】
結論:本発明の化合物は、ラットの体内で血液脳関門を透過して脳組織に浸透することができることを示した。
【0189】
実験例4:SDラットの脳組織における試験物質の遊離薬物比率の測定
SDラットの脳組織ホモジネート(即ち、マトリックス、BioIVTから購入した)を採取し、試験化合物のDMSO作業溶液又は対照群(プロプラノロール)のDMSO作業溶液を加え、血漿試料中の試験化合物及びプロプラノロールの最終濃度がいずれも2μMになり、試料を完全に混合した。DMSOの最終濃度を0.5%に制御し、50μLを試料受容プレートにピペッティングし、各試料ウェルの最終体積が100μLであり、マトリックス:透析緩衝液の体積比が1:1になるように直ちに対応するブランクマトリックス/緩衝液を対応する体積で加えた後、これらの試料に停止溶液を加え、この試料はT0試料として回収率及び安定性測定に使用された。試験化合物及びプロプラノロール試料を各透析ウェルの投与末端に加え、透析ウェルの対応する受容端にブランク透析緩衝液を加えた。次に、加湿した5%CO2インキュベーターに入れ、37℃、100rpmで4時間振とうしながら培養した。透析完了後、50μLの透析緩衝液試料及び透析後の脳組織ホモジネート試料を新しい試料受容プレートにピペッティングした。各試料ウェルの最終体積が100μLであり、血漿:透析緩衝液の体積比が1:1になるように試料に対応するブランクマトリックス/緩衝液を対応する体積で加えた。全ての試料は、タンパク質を沈殿させた後、LC/MS/MSで分析し、下記の式により化合物の遊離率(%Unbound)、結合率(%Bound)及び回収率(%Recovery)を計算した。
【0190】
%Unbound=100*FC/TC、
%Bound=100-%Unbound、
%Recovery=100*(FC+TC)/T0。
【0191】
ここで、FCは、透析プレートの緩衝液末端における化合物の濃度を表し、TCは、透析プレートのマトリックス末端における化合物の濃度を表し、T0は、ゼロ時点での血漿試料における化合物の濃度を表す。実験結果は表5に示された通りである。
【0192】
【0193】
結論:本発明の化合物は、SDラットの脳組織における非結合状態の薬物比率が比較的高いことを示した。
【0194】
実験例5:ビーグル血漿中の試験物質の薬物動態パラメータの測定
健康なオスビーグル4匹を選択し、各群に2匹ずつ、無作為に2つの群に分けた。1つの群には静脈内注射により1mg/kgの試験化合物を投与し、もう1つの群には胃内投与により5mg/kgの試験化合物を投与した。静脈内投与群及び胃内投与群の動物はいずれも投与した後の0.033、0.083、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0及び24時間目に、血漿試料を採取された。LC-MS/MS方法を使用してすべての生体試料の定量分析を実行し、WinNonlin(商標)Version 6.3(Pharsight、Mountain View、CA)薬物動態ソフトウェアを使用して、非コンパートメントモデル線形対数ラダー法を使用して、薬物動態パラメーターを計算した。AUC0-lastは、0時点から最後の検出可能な濃度時点までの血漿濃度-時間曲線下面積を表し;p.o.は経口投与を表し;i.v.は静脈注射を表し、T1/2は半減期を表し、CLはクリアランスを表し、Vdは見かけの分布容積を表し、Cmaxはピーク濃度を表し、Tmaxはピーク時間を表し、F%は経口バイオアベイラビリティを表す。実験結果は表6に示された通りである。
【0195】
【0196】
結論:本発明の化合物はビーグルの体内において、良好な薬物動態特性を示した。
【0197】
実験例6:ビーグルの脳脊髄液における試験物質の薬物濃度の測定
健康なオスビーグル2匹を選択し、5mg/kgの試験化合物を胃内投与した後、投与後それぞれ0.5時間目、2時間目及び6時間目に脳脊髄液試料を採取した。LC-MS/MS方法を使用してすべての生体試料の定量分析を実行し、WinNonli(商標) Version 6.3(Pharsight、Mountain View、CA)薬物動態ソフトウェアを使用して、非コンパートメントモデル線形対数ラダー法を使用し、薬物動態パラメーターを計算した。AUC0-lastは、0時点から最後の検出可能な濃度時点までの血漿濃度-時間曲線下面積を表し;p.o.は経口投与を表し;i.v.は静脈注射を表し、T1/2は半減期を表し、CLはクリアランスを表し、Vdは見かけの分布容積を表し、Cmaxはピーク濃度を表し、Tmaxはピーク時間を表し、F%は経口バイオアベイラビリティを表す。実験結果は表7に示された通りである。
【0198】
【0199】
結論:本発明の化合物はイヌのCSFで検出することができ、これは化合物が血脳障壁を透過して脳に到達することができることを示した。
【0200】
実験例7:SDラットの自発的活動に対する試験物質の影響
試験目的:一定期間のラットの自発的な活動距離を測定する方法で、ラットの活動性に対する試験化合物の影響を判断するためである。
【0201】
試験スキーム:7週齢のオスSDラット12匹を試験を開始する1日前に実験室で環境に適応させた。実験当日、体重に応じて群当たり6匹ずつ無作為に2つの群に分け、それぞれブランク溶媒及び30mg/kgの化合物8を投与した。投与30分後、動物を試験ボックスに入れ、Any-mazeソフトウェアで5分間隔で動物の活動距離データを記録し、60分間記録を続けた。記録時間内の動物の総移動距離を比較して、薬物が動物の自発的な活動に有意な影響を及ぼすか否かを判断した。実験データは平均値±標準偏差(Mean±SEM)で表され、統計的方法は一元分散分析とダネット(Dunnett’s)の多重比較を用いて、p<0.05に達すると*で表し、p<0.01に達すると**で表し、p<0.001に達すると***で表した。実験結果は表8に示された通りである。
【0202】
【0203】
結論:本発明の化合物は、SDラットの自発的活動距離を有意に減少させることができることが示された。
【0204】
実験例8:脳波/筋電図テレメトリー技術によるSDラットの睡眠に対する試験物質の影響の評価
【0205】
試験目的:脳波/筋電図テレメトリー技術(EEG)によりSDラットの睡眠に対する試験物質の影響を評価するためである。
【0206】
試験スキーム:5~6週齢のオスSDラット36匹は施設に到着してから5~15日間の適応期間が必要であり、この期間中に実験動物を12時間の明暗交互環境(点灯:19:00、消灯:07:00)に配置してリズムタイムを調節し、動物の健康状態を毎日モニタリングした。その後の遠隔測定データの収集を実行するために、手術を通して動物に脳波電極及び筋電図電極を移植した。手術実験当日にゾレチル(Zoletil)(i.p.、20mg/kg)をキシラジン(Xylazine)(i.p.、8mg/kg)と併用して動物を麻酔し、麻酔後脳定位固定装置で固定し、頭部の毛を刈って消毒した後、頭の皮膚を切開し、頭蓋骨が完全に露出するように止血鉗子で四隅を固定し、骨膜を剥がし、表面が乾いてきれいになるまで乾いた脱脂綿で拭いた。インプラントモデルに従って穴を開け、電極を移植して硬膜と接触させ、歯科用セメントを使用して電極を頭蓋骨に固定し、同時に組織、皮膚に落ちるセメントをきれいに除去した。2つの筋電図電極をそれぞれ首の筋肉に平行に挿入し、両端が互いに接触しないように縫合糸で固定した。その後、インプラントを皮下に入れ、手術創傷を縫合して消毒した。手術後、ラットをきれいな回復ケージに慎重に入れ、気道がふさがらないように横にさせた。単一ケージで飼育し、遮蔽された回復室に配置し、自動的に12時間明暗交代(点灯時間:19:00、消灯時間:07:00)し、温度は20℃~26℃で、相対湿度は40%~70%であった。手術後、動物を3日間看護し、手術切開部位に局所的にセプラジン粉末を投与して処理し、4~8mg/kgのゲンタマイシンを皮下投与し、0.1mL/匹のメロキシカムを3日間連続的に皮下注射し、7~10日間回復した後、実験を実行し、実験の1日前に動物を体重に応じて無作為に群を分けた。
【0207】
実験当日にまず基本的な脳波、筋電図を記録し、完了後に投与を開始し、投与期間及び投与後24時間までに脳波及び筋電図を連続的に記録した。ローデータをDSIシステムPonemahソフトウェアで収集し、NeuroScoreソフトウェアで分析した。実験データは平均値±標準誤差(Mean±SEM)で表し、単一分散法を使用して統計分析を実行し、ブランク溶媒群と比較して、P<0.05は有意な差があることを示し、*で表し;P<0.01は非常に有意な差があることを示し、**で表さし;P<0.001は非常に大きな有意差があることを示し、***で表した。実験結果は表9に示された通りである。
【0208】
【0209】
結論:10mg/kg及び30mg/kgの本発明の化合物は、SDラットの睡眠潜時を有意に短縮することができ、30mg/kgの本発明の化合物は、投与後7時間以内に覚醒時間を有意に減少させ、睡眠時間を増やすことができることを示した。従って、本発明の化合物は優れた睡眠促進効果を有している。
【国際調査報告】