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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】高電圧円柱変流器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/42 20060101AFI20240125BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01F27/42 170
H01F27/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551230
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2022056654
(87)【国際公開番号】W WO2022194844
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】21163269.0
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソロビエフ,ユーリー
(72)【発明者】
【氏名】イョルトスタム,オロフ
(72)【発明者】
【氏名】ギルランダ,オーランド
(72)【発明者】
【氏名】アレバロ,リリアナ
【テーマコード(参考)】
5E044
5E081
【Fターム(参考)】
5E044CA02
5E044CB06
5E081AA05
5E081BB01
5E081CC05
5E081DD03
5E081DD17
(57)【要約】
この発明は、円柱絶縁体(3)と、その上に配置されたヘッド(2)とを含む、高電圧円柱変流器(1)であって、ヘッド(2)は体積(6)を規定し、その中に配置された、一次巻線導体(7)と、二次巻線リード線(4)を有する二次巻線コアアセンブリ(5)と、側面(12)が間にある状態でベース(10)から頂端(11)へとテーパが付けられた円錐絶縁体スペーサ(9)とを含み、円錐絶縁体スペーサ(9)は、ヘッド(2)の底にあるそのベース(10)が円柱絶縁体(3)に面し、その頂端(11)が二次巻線コアアセンブリ(5)をヘッド(2)の壁から離して保持する状態で配置され、円錐絶縁体スペーサ(9)は、ベース(10)に埋め込まれ、ベース(10)を包囲する、少なくとも1つのリング状の電極(13)と、頂端(11)に埋め込まれ、頂端(11)によって包囲される、別の平らな円形の電極(13)とを含み、円錐絶縁体スペーサ(9)は、側面(12)に少なくとも1つの開口部(15)を含む、高電圧円柱変流器(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱絶縁体(3)と、その上に配置されたヘッド(2)とを含む、高電圧円柱変流器(1)であって、
前記ヘッド(2)は体積(6)を規定し、その中に配置された、一次巻線導体(7)と、二次巻線リード線(4)を有する二次巻線コアアセンブリ(5)と、側面(12)が間にある状態でベース(10)から頂端(11)へとテーパが付けられた円錐絶縁体スペーサ(9)とを含み、
前記円錐絶縁体スペーサ(9)は、前記ヘッド(2)の底にあるそのベース(10)が前記円柱絶縁体(3)に面し、その頂端(11)が前記二次巻線コアアセンブリ(5)を前記ヘッド(2)の壁から離して保持する状態で配置され、
前記円錐絶縁体スペーサ(9)は、前記ベース(10)に埋め込まれ、前記ベース(10)を包囲する、少なくとも1つのリング状の電極(13)と、前記頂端(11)に埋め込まれ、前記頂端(11)によって包囲される、別の平らな円形の電極(13)とを含み、
前記円錐絶縁体スペーサ(9)は、前記側面(12)に少なくとも1つの開口部(15)を含む、高電圧円柱変流器(1)。
【請求項2】
前記電極(13)は、前記円錐絶縁体スペーサ(9)に一体化された、成形された金属フランジとして提供される、前述の請求項に記載の高電圧円柱変流器(1)。
【請求項3】
前記円錐絶縁体スペーサ(9)はエポキシを含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の高電圧円柱変流器(1)。
【請求項4】
前記ベース(10)と前記ヘッド(2)の前記底との間、および/または、前記頂端(11)と前記二次巻線コアアセンブリ(5)との間に提供されるOリング封止材(17)を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の高電圧円柱変流器(1)。
【請求項5】
前記頂端(11)と前記二次巻線コアアセンブリ(5)との間にボルト接続部(16)を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の高電圧円柱変流器(1)。
【請求項6】
前記円錐絶縁体スペーサ(9)は、前記側面(12)に2つ、3つ、または4つの開口部(15)を含む、前述の請求項のいずれか1項に記載の高電圧円柱変流器(1)。
【請求項7】
前記開口部(15)は、互いに対して等距離に配置されている、前述の請求項に記載の高電圧円柱変流器(1)。
【請求項8】
前記一次巻線導体(7)は前記二次巻線コアアセンブリ(5)を通って嵌合され、前記二次巻線コアアセンブリ(5)の前記二次巻線リード線(4)は、前記円柱絶縁体(3)を通って渡される、前述の請求項のいずれか1項に記載の高電圧円柱変流器(1)。
【請求項9】
高電圧円柱変流器(1)を動作させるための方法であって、
前述の請求項のいずれか1項に記載の高電圧円柱変流器(1)を含み、
535kVまでのDC電圧で前記高電圧円柱変流器(1)を動作させるステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、円柱絶縁体と、その上に配置されたヘッドとを含む、高電圧円柱変流器であって、ヘッドは体積を規定し、その中に配置された、一次巻線導体と、二次巻線リード線を有する二次巻線コアアセンブリとを含む、高電圧円柱変流器に関する。この発明はまた、高電圧円柱変流器を含み、高電圧電位で高電圧円柱変流器を動作させるために絶縁システムを提供するステップを含む、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧円柱変流器は先行技術から公知であり、典型的には円柱絶縁体とその上に配置されたヘッドとを含む。そのようなガス絶縁型の計器用変成器は、典型的には4,000Aまでの電流に耐えることができ、800kVまでのAC電圧のために設計されている。一次および二次巻線が、変成器の上部ヘッド部の内部に位置する。しかしながら、多くの商業的に入手可能な変流器は現在、535kVまでの連続DC動作電圧下で誘電応力に耐えることができず、さらに高い電圧に耐えることが今後必要とされるかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の概要
したがって、この発明の目的は、535kVまでの連続DC動作電圧またはさらに高い電圧下で誘電応力に耐えることができる高電圧円柱変流器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の目的は、独立請求項の特徴によって解決される。変更された実現化例が、従属請求項で詳述される。
【0005】
このため、目的は、円柱絶縁体と、その上に配置されたヘッドとを含む、高電圧円柱変流器であって、
ヘッドは体積を規定し、その中に配置された、一次巻線導体と、二次巻線リード線を有する二次巻線コアアセンブリと、側面が間にある状態でベースから頂端へとテーパが付けられた円錐絶縁体スペーサとを含み、
円錐絶縁体スペーサは、ヘッドの底にあるそのベースが円柱絶縁体に面し、その頂端が二次巻線コアアセンブリをヘッドの壁から離して保持する状態で配置され、
円錐絶縁体スペーサは、ベースに埋め込まれ、ベースを包囲する、少なくとも1つのリング状の電極と、頂端に埋め込まれ、頂端によって包囲される、別の平らな円形の電極とを含み、
円錐絶縁体スペーサは、側面に少なくとも1つの開口部を含む、高電圧円柱変流器によって解決される。
【0006】
提案される高電圧円柱変流器は、たとえば535kV以上のDC印加などの連続動作DC電圧下で誘電応力に耐えることを可能にする。この発明の重要な点は、少なくとも1つの電極および/または少なくとも1つの開口部を有する、スペーサとも呼ばれる円錐絶縁体スペーサという、絶縁システムの構成要素を提供することである。円錐絶縁体スペーサはヘッドの底部に設置され、それは、たとえば先行技術のファイバープラスチックチューブを提案される円錐絶縁体スペーサと交換することによって、高電圧円柱変流器の絶縁を簡略化することを可能にする。
【0007】
好ましくは底にある少なくとも1つの電極は、円錐絶縁体スペーサをヘッドの底と機械的に接続することによって、機械的および電気的な機能を担うことができる。それにより、円錐絶縁体スペーサのベースまたは底での電気的機能は、円錐絶縁体の内部および周囲で、特にその三重点で有利な電界分布を提供するために、ヘッドと同じ高電圧電位下で電極を提供することである。円錐絶縁体スペーサの頂端または頂部にある電極は、二次巻線コアアセンブリによって生じた機械的負荷を伝達することができる。電極は、円錐絶縁体スペーサの内部および周囲で、特に三重点で有利な電界分布を提供するために、二次巻線コアと同じ接地電位を有するべきである。
【0008】
円錐絶縁体スペーサの側面の少なくとも1つの開口部は、高電圧円柱変流器内での(特にSF6、窒素、または任意の代替ガスを含む)内部流体絶縁ガス体積間の接続、金属粒子および汚染粒子の捕獲を提供してもよく、および/または、組立て中に目視検査のために使用され得る。それにより、提案される解決策は、ヘッドの寸法を決め直すことなく、先行技術の高電圧円柱変流器の既存のヘッドへと直接実現され得る。
【0009】
円柱絶縁体および/またはヘッド(タンクとも呼ばれる)は、先行技術から公知であるような任意の材料、寸法、および/または形状で提供され得る。一次巻線導体は好ましくは、ネットワークに接続され、および/または、ネットワークの一部である。また、二次巻線コアアセンブリは、先行技術から公知であるように、たとえば、それぞれの二次巻線リード線を有する環状体の形状を含んで提供され得る。少なくともヘッド内の内部絶縁は好ましくは、絶縁ガスを含む。変流器およびその部分は好ましくは、4,000Aまでの電流、および、72.5~800kV、さらにはより高いAC電圧のために設計されている。
【0010】
円錐絶縁体スペーサは好ましくは帽子状の形状を含み、および/または、一体として提供される3つの部分を含み得る。前記部分は側面を含んでいてもよく、それは特に、他の2つの部分に対して傾斜して提供される。特に径方向にのみ延在する別の底部が、ベースの電極によって包囲され得る。さらに別の頂部が、特に径方向にのみ延在し、それにより、頂端の電極を包囲し得る。ベースで、底部は、側面から遠ざかるように径方向外側にリング状に延在可能であり、および/または、ベースの電極を軸方向に包囲し得る。リング状の電極の径方向内面は、ベースによって埋め込まれ、および/または包囲され得る。
【0011】
ベースはしたがって、たとえば半円として提供される、凹形状の径方向外面を含み得る。リング状の電極は、たとえば半円として提供される、対応する凸形状の径方向内面を含み得る。円形の電極の径方向外面は、頂端によって埋め込まれ、および/または包囲され得る。頂端はしたがって、たとえば半円として提供される、凹形状の径方向内面を含み得る。円形の電極は、たとえば半円として提供される、対応する凸形状の径方向外面を含み得る。「埋め込まれる」という用語は好ましくは、それぞれの電極が少なくとも部分的に覆われること、たとえば、ベースまたは頂端によって半分覆われることを意味し、たとえば、断面図で、リング状の電極の周縁の半分が頂端によって特に接触して覆われることを意味する。また、ベースは、円形の電極を特に接触して覆う、径方向に延在するU字型の開口部を含み得る。
【0012】
断面図では、底部は、その径方向外側の端で、丸みを帯びた凹形状を含んでいてもよく、それは軸方向においてベースの電極によって包囲され得る。前記電極もしたがって、ぴったり嵌合する、丸みを帯びた凸形状を含む。同様に、頂端で、頂部は、側面から径方向内側にリング状に延在してもよく、および/または、頂端の電極を軸方向に包囲してもよい。断面図では、頂部は、その径方向内側の端で、丸みを帯びた凹形状を含んでいてもよく、それは軸方向において頂端の電極によって包囲され得る。電極はしたがって、ぴったり嵌合する、丸みを帯びた凸形状を含んでいてもよい。そのようなやり方で、双方の電極は、円錐絶縁体スペーサによって軸方向に封入され得る。
【0013】
この点で、頂端またはベースの電極は、一体として円錐絶縁体スペーサと一体化されてもよく、もしくは、たとえばエポキシ樹脂に嵌合する態様で埋め込まれてもよい。したがって、「埋め込まれる」ことは必ずしも「一体化される」ことを意味しないが、「一体化される」ことであり得る。頂端の電極は平らで丸みを帯びた部品であってもよく、一方、ベースの電極はリング状であってもよい。少なくとも1つの開口部は好ましくは、円錐絶縁体スペーサの側面のみに存在し、すなわち、底部および/または頂部には存在しない。好ましくは、円錐絶縁体スペーサはそのベースで、ヘッドの底と機械的に固定される。ヘッドから離れているということは、接触する接続がないことを特に意味する。電極は好ましくは、接触面同士が互いに平行に離れた状態で配置される。
【0014】
別の好ましい実現化例では、電極は、円錐絶縁体スペーサに一体化された、成形された金属フランジとして提供される。前記金属フランジは好ましくは、円錐絶縁体スペーサに一体化され、および/または、円錐絶縁体スペーサと一体で提供され得る。連続DC電圧のレベルに依存して、円錐絶縁体スペーサは、側面では65mmまで、底部では80mmまで、および/または、頂部では90mmまでの幅を含み得る。円錐絶縁体スペーサは好ましくは、上面図において、頂端では365mmまで、ベースでは1000mmまでの直径を有する、丸みを帯びた形状を含む。他の寸法も可能である。
【0015】
さらに好ましい一実現化例によれば、円錐絶縁体スペーサはエポキシを含む。この点で、エポキシは好ましくは、エポキシ基を含む反応性プレポリマーおよびポリマーのクラスとしての、たとえばポリエポキシドとしても公知のエポキシ樹脂を意味する。
【0016】
別の好ましい実現化例では、高電圧円柱変流器は、ベースとヘッドの底との間、および/または、頂端と二次巻線コアアセンブリとの間に提供されるOリング封止材を含む。Oリング封止材は好ましくは、丸い断面を有するエラストマーを含む。Oリングを封止するために、ベースおよび/または頂端に溝が提供され得る。好ましくは、溝は、電極またはフランジに提供される。
【0017】
さらに好ましい一実現化例によれば、高電圧円柱変流器は、頂端と二次巻線コアアセンブリとの間にボルト接続部を含む。ボルト接続部はねじ山を含んでいてもよく、それにより、頂端および二次巻線コアアセンブリは、それぞれのねじおよびナットとして提供され得る。それにより、頂部電極とボルト接続を行なうことができる。そのようなやり方で、頂端と二次巻線コアアセンブリとの簡単で永続的な接続が達成され得る。
【0018】
別の好ましい実現化例では、円錐絶縁体スペーサは、側面に2つ、3つ、または4つの開口部を含む。さらに好ましい一実現化例によれば、開口部は、互いに対して等距離に配置されている。それに加えて、より多数の開口部が可能であり得る。
【0019】
さらに好ましい一実現化例によれば、一次巻線導体は二次巻線コアアセンブリを通って嵌合され、および/または、二次巻線コアアセンブリの二次巻線リード線は円柱体を通って渡される。二次巻線コアアセンブリは好ましくは環状体として提供され、それを通って、一次巻線導体は、接触しない態様で嵌合され得る。二次巻線コアアセンブリの二次巻線リード線は、円柱体の他端に配置された端子と接続するために、円柱体を通って渡され得る。
【0020】
目的はさらに、高電圧円柱変流器を動作させるための方法であって、前述の高電圧円柱変流器を含み、535kVまでのDC電圧で高電圧円柱変流器を動作させるステップを含む、方法によって解決される。
【0021】
そのようなやり方で、高電圧円柱変流器は、高電圧円柱変流器がHVAC(高電圧AC)印加だけではなく、HVDC(高電圧DC)印加にとっても好適になるように、535kVまでのDC連続動作電圧下で誘電応力に耐えることができる。
【0022】
方法のさらに別の実現化例および利点は、前述されたような高電圧円柱変流器から、当業者によって直接および明らかに導き出される。
【0023】
図面の簡単な説明
この発明のこれらのおよび他の局面は、以下に説明される実現化例から明らかとなり、当該実現化例を参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】例示的な一実現化例に従った高電圧円柱変流器の断面図である。
図2図1に従った高電圧円柱変流器の円錐絶縁体スペーサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
例示的な実現化例の詳細な説明
図1は、例示的な一実現化例に従った高電圧円柱変流器1の断面図を示す。高電圧円柱変流器1は、タンクとも呼ばれる金属ヘッド2を含む。ヘッド2は、変成器1の円柱絶縁体3によって支持される。丸みを帯びたヘッド2は、1535mmの高さと1205mmの直径とを含む。
【0026】
円柱3は、図面に示されていない地面または台の上に置かれた細長い中空コア絶縁管を表わす。二次巻線リード線4のための端子が、変成器1のヘッド2の体積6の内部に位置する少なくとも1つの二次巻線コアアセンブリ5から伸びる。二次巻線コアアセンブリ5の巻線は、環状鉄心のまわりに公知の態様で配置可能であり、または、磁心のないロゴスキー(Rogowski)コイルとして作成可能である。概略的に線としてのみ示される、一次巻線導体7から構成される一次巻線は、ヘッド2を通って延在する中空円筒の形をしたヘッド開口部8を通って伸びる。
【0027】
ヘッド2内にさらに配置されているのは、エポキシ製の円錐絶縁体スペーサ9であり、それは、図2からより詳細に分かるように、ベース10と、その反対側の頂端11とを含み、それらは、間にある側面12によって相互接続されている。円錐絶縁体スペーサ9のベース10は、円柱絶縁体3に面するヘッド2の底に配置され、一方、頂端11は、体積6内で二次巻線コアアセンブリ7をヘッド2から離して保持する。リング状のベース10は1000mmの直径を含み、一方、頂端11は365mmの直径を含む。頂端11はさらに90mmの幅を含み、一方、ベース10は80mmの幅を含む。
【0028】
一次巻線がヘッド2とほぼ同じ高電圧DC電位を有するようにするために、一次巻線導体7の一端とヘッド2とが電気的に接続される。二次巻線コアアセンブリ5は接地電位にあり、円錐絶縁体スペーサ9は、二次巻線コアアセンブリ5とヘッド2との間の主要絶縁システムとして提供される。例では、連続DC高電圧の印加によって生じる誘電応力が言及されているが、円錐絶縁体スペーサはAC高電圧またはAC-DC(ハイブリッド)高電圧印加での使用が可能であることが明らかにされている。
【0029】
特に図2も参照すると、帽子状の円錐絶縁体スペーサ9は、電極13としての成形された金属フランジを含み、それらは、ベース10および頂端11に埋め込まれている。ベース10の金属フランジは基本的にリング状であり、絶縁体スペーサ9の円錐エポキシ体14から径方向に遠ざかるように延在し、それにより、円錐エポキシ体14を径方向に包囲する。円錐エポキシ体14は、一体で提供される3つの部分、すなわち、ベース10の金属フランジによって包囲される、前記径方向に延在する底部と、側面12と、頂端11の電極13を包囲する、径方向に延在する頂部とを含む。
【0030】
ベース10で、底部は、側面12から遠ざかるように径方向外側にリング状に延在し、ベース10の金属フランジを軸方向に包囲する。すなわち、断面図では、底部は、その径方向外側の端で、丸みを帯びた凹形状を含み、それは軸方向においてベース10の金属フランジによって包囲され、金属フランジもしたがって、ぴったり嵌合する、丸みを帯びた凸形状を含む。同様に、頂端11で、頂部は、側面12から径方向内側にリング状に延在し、頂端11の金属フランジを軸方向に包囲する。すなわち、断面図では、頂部は、その径方向内側の端で、丸みを帯びた凹形状を含み、それは軸方向において頂端11の金属フランジによって包囲され、金属フランジもしたがって、ぴったり嵌合する、丸みを帯びた凸形状を含む。
【0031】
そのようなやり方で、双方の電極13は、円錐エポキシ体14によって軸方向に封入される。円錐エポキシ体14は、ベース10および頂端11の電極13を互いから絶縁させる。また、Oリング封止材17が各々、ベース10とヘッド2の底との間、および、頂端11と二次巻線コアアセンブリ5との間に提供される。
【0032】
側面12で、円錐絶縁体スペーサ9は4つの開口部15を含み、それらは互いから遠ざかるように一定の等距離に配置されている。また、頂端11と二次巻線コアアセンブリ5とをそれぞれ接続するために、ボルト接続部16が頂端11と二次巻線コアアセンブリ5との間に提供される。
【0033】
前記円錐エポキシ体14と電極13としての成形された金属フランジとを有する円錐絶縁体スペーサ9は、連続動作DC電圧下で誘電応力に耐えることを可能にする。先行技術の高電圧円柱変流器1内では、付着する金属シールドを有する既存のファイバープラスチックチューブを除去することができ、円錐絶縁体スペーサ9をヘッド2の底部に簡単に設置することができる。そのようなやり方で、説明された円錐絶縁体スペーサ9を有する高電圧円柱変流器1は、先行技術の高電圧円柱変流器1の寸法を決め直すことなく、535kVまでのDC電圧を有する一次巻線導体を用いて動作され得る。
【0034】
この発明を図面および前述の説明において詳細に例示および説明してきたが、そのような例示および説明は、限定的ではなく、例証または例示的であると考えられるべきである。この発明は、開示された高電圧定格を含む、開示された実現化例に限定されない。開示された実現化例への他の変更は、請求される発明を実践する際に、図面、開示、および添付された請求項の研究から、当業者によって理解され、実施され得る。請求項では、「含む」という単語は他の要素またはステップを除外せず、単数は複数を除外しない。ある措置が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組合せを有利に使用することができないということを示さない。請求項におけるどの参照符号も、範囲を限定するとして解釈されるべきでない。
【符号の説明】
【0035】
参照符号リスト
1 高電圧円柱変流器
2 ヘッド
3 円柱絶縁体
4 二次巻線リード線
5 二次巻線コアアセンブリ
6 体積
7 一次巻線導体
8 ヘッド開口部
9 円錐絶縁体スペーサ
10 ベース
11 頂端
12 側面
13 電極
14 円錐エポキシ体
15 開口部
16 ボルト接続部
17 Oリング封止材
図1
図2
【国際調査報告】