(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ガスを自動車の燃焼室に又は吸気マニホルドに吹き込むインジェクター
(51)【国際特許分類】
F02M 61/04 20060101AFI20240125BHJP
F02M 61/06 20060101ALI20240125BHJP
F02M 61/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F02M61/04 G
F02M61/06
F02M61/06 B
F02M61/06 A
F02M61/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570331
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2022000012
(87)【国際公開番号】W WO2022167145
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021000617.8
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523293688
【氏名又は名称】ニートハンマー ベルント
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ニートハンマー ベルント
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AA01
3G066AB05
3G066BA36
3G066CC01
3G066CC05U
3G066CE22
3G066CE25
(57)【要約】
インジェクターはインジェクターニードル(2)を有し、それによりインジェクターハウジング(1)の出口開口(4)が閉鎖可能である。インジェクターニードル(2)は、圧力制御により閉鎖位置から開位置に調節可能である。インジェクターニードル(2)は、出口開口(4)を閉じるように一つの方向に閉鎖圧力を受ける1つのピストン(26)に軸方向に固定して接続されている。他の方向に、ピストン(26)、ひいてはインジェクターニードル(2)は、弁制御された制御圧力によって移動可能であり、インジェクターニードル(2)はその開位置に移行し、出口開口(4)を解放する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクターハウジング(1)の出口開口(4)を閉鎖可能であって、圧力制御により閉鎖位置から開位置に調節可能であるインジェクターニードル(2)を有する、ガスを自動車の燃焼室(190)に又は吸気マニホルドに吹き込むインジェクターにおいて、
前記インジェクターニードル(2)は、一つの方向に閉鎖圧力を受けていて他の方向に弁制御された制御圧力を受ける少なくとも1つのピストン(26)に軸方向に固定して接続されており、それにより前記ピストン(26)は前記インジェクターニードル(2)を前記開位置に調節するために作動可能である、インジェクター。
【請求項2】
第1弁(35,82,133)が前記制御圧力を生成するために設置されており、当該弁はアクチュエータ(42)により作動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のインジェクター。
【請求項3】
前記アクチュエータ(42)は、前記第1弁(35,82,133)と協働する弁作動ピストン(41)を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のインジェクター。
【請求項4】
前記第1弁(82,133)が開いているときに閉じられる弁(81)であって、前記第1弁(82,133)が閉じられているときに開いているさらなる弁(81)が、前記第1弁(82,133)に割り当てられている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のインジェクター。
【請求項5】
前記第1弁(35,82,133)が閉じられているときに、前記インジェクターニードル(2)はその閉鎖位置を占める、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項6】
前記さらなる弁(81)は、前記ピストン(26,101,102)によって境界付けられる圧力室(8,59)に流れ接続している、ことを特徴とする請求項4又は5に記載のインジェクター。
【請求項7】
吹き込まれるガスが前記制御圧力を実現するために使用される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項8】
付加的な圧力媒体が前記制御圧力を実現するために使用される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項9】
前記インジェクターハウジング(1)は、ガスの残留部分のための少なくとも1つの戻り配管(66)を有し、そこに当該戻り配管(66)の方向に閉じる少なくとも1つの逆止め弁(67)が着座している、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項10】
前記第1弁(35)が開いているとき、前記戻り配管(66)は前記圧力室(59)にライン接続されている、ことを特徴とする請求項9に記載のインジェクター。
【請求項11】
少なくとも1つのベローズ(25,106)又は少なくとも1つのピストン密封リング(151,152;154,155)が前記インジェクターニードル(2)を密封するために設置されている、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項12】
前記弁作動ピストン(41)は中空ピストンとして設計され、圧力媒体によって作用され得る、ことを特徴とする請求項3~11のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項13】
前記アクチュエータ(42)は磁気ドライブである、ことを特徴とする請求項2~12のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項14】
切替漏れが吸気マニホルド(150)に又は容器に供給される、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項15】
補償ピストン(25)が、前記ピストン(26)に割り当てられ、前記出口開口(4)に向かい合う前記ピストン(26)の側に設置される、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項16】
前記インジェクターニードル(2)は、吹き込まれるガスのための通路(91)を有する(
図12及び13並びに
図8及び9)、ことを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項17】
設定装置(157,160,161;56,166;2,99,166)がノズル開口ストロークを設定するために設置される、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項18】
前記設定装置が少なくとも1つの軸方向に変形可能な設定要素(160,161,166)を有する、ことを特徴とする請求項17に記載のインジェクター。
【請求項19】
前記設定要素(160,161,166)が弾性変形可能な又は塑性変形可能なディスクである、ことを特徴とする請求項18に記載のインジェクター。
【請求項20】
前記出口開口(4)又は前記インジェクターニードル(2)が、ガスの所望の吹き込み深さ及び/又は所望の吹き込みパターンを実現するために前記弁座(3,4)に接続する少なくとも1つのガスガイド領域(146,149,184,195,196,197,199,206)を有する、ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項21】
ガスインジェクターの特徴的な特性がバーコードなどに記憶されている、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項22】
前記インジェクターニードル(2)は、少なくとも前記弁座(3,4)の領域に及び/又は前記弁座(3,4)に摩耗保護としてのコーティング(178,179)を具備している、ことを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項23】
前記インジェクターニードル(2)は少なくとも1つの楔要素(223)によって締め付けられている、ことを特徴とする請求項1~22のいずれか一項に記載のインジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の総称に従う、ガスを自動車の燃焼室に又は吸気マニホルドに吹き込むインジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス噴射のために使用されるガソリンインジェクター(ガソリン噴射装置)が知られている。吸気マニホルドに吹き込むためのガスインジェクターもまた知られている。インジェクターは通常、電磁石の援助により直接制御される。必要量の燃料の導入がエンジンマップにより及び圧力と温度により特定される。
【0003】
このように直接作動されるガスインジェクターはノズルの密封シート(密封台座)において断面を定めており、それらは実現可能な電磁力及びシート直径に応じて設計される。電磁力は通常、インジェクターの必要な動力学と自動車において利用可能な電流及び電圧とによって画定される。非常に高速な切替運動のために低質量が必要とされる。必要量の水素を燃焼室に与えるために、大きい開口断面が必要とされる。特にガスの圧力が高めである場合、これは対応的に高い力を有する大きめの磁石によってのみ可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ガスが非常に急速な切替運動の間でさえノズルを通して十分に噴射され得るように一般的なインジェクターを設計するという目的を基礎とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴部分を有する本発明に従う一般的なインジェクターにより達成される。
【0006】
本発明に従うインジェクターによって、インジェクターニードルが間接的に作動される。それは、一方向において閉鎖圧力下にあるピストンに軸方向に固定して接続されており、それによりインジェクターニードルは出口開口を閉じる。他の方向には、ピストンと、したがってインジェクターニードルが、弁制御された制御圧力によって移動可能であり、インジェクターニードルはその開位置に移行し、出口開口を解放する。このようにして、インジェクターニードルを有するピストンはそれぞれの位置に非常に短い時間内に到達でき、それで非常に急速な切替運動が本発明に従うインジェクターによって実行され得る。切替時間は通常はマイクロ秒からミリ秒の範囲である。
【0007】
有利な設計によれば、アクチュエータにより作動可能である第1弁が、制御圧を生成するためにピストンの上流に接続されている。弁は非常に急速な切替時間を可能とする。
【0008】
アクチュエータは好ましくは、第1弁と協働する弁作動ピストンを具備している。吹き込みプロセスが行われる場合、弁作動ピストンはアクチュエータによって調節される。そのとき、制御圧がピストンに及びそれゆえインジェクターニードルに作用するように弁作動ピストンは第1弁を作動させ、それによってインジェクターニードルは開位置に移動される。
【0009】
特に有利な実施形態では、さらなる弁が第1弁に割り当てられる。2つの弁は反対方向に切り替えられる、すなわち、第1弁が開いているとき、さらなる弁は閉じられ、第1弁が閉じられているとき、さらなる弁は開いている。このようにして、ピストンに加えられる制御圧は2つの弁を対応的に調節することで短時間内に増大され得る。
【0010】
それによって、第1弁が弁作動ピストンによって作動されるときに、さらなる弁が他の位置に積極的に移動されると有利である。
【0011】
2つの弁はインジェクターハウジングの内部で非常に少ない設置スペースを占め、それで本発明に従うインジェクターは対応的にコンパクトに内蔵され得る。
【0012】
第1弁が閉じられているときにインジェクターニードルがその閉鎖位置を占めるように、インジェクターは設計され得る。
【0013】
それにより、第1弁がアクチュエータの弁作動ピストンによって閉じられ続けることが有利に可能である。
【0014】
有利には、さらなる弁が、ピストンによって軸方向に境界付けられる圧力室に流れ接続される(flow-connected)。ゆえに、さらなる弁がその対応する切替位置を占める場合、ピストンを移動させるために必要な圧力が圧力室で蓄積される。よって、ピストンに加えられるこのような制御圧はピストンに加えられる閉鎖圧力より高く、それは閉鎖圧力と反対方向に移動され、それによりインジェクターニードルはその開位置にもたらされ、ガスはしたがってノズル開口から流出できる。
【0015】
第1実施形態によって、吹き込まれるガスはそれ自体、制御圧を生成するために使用され得る。
【0016】
しかしながら、吹き込まれるガスに加えてシステムから低めのガス圧力を使用して制御圧を生成したり、又は付加的な制御媒体を使用したりすることも可能である。
【0017】
インジェクターハウジングが吹き込まれるガスの残留部分のための少なくとも1つの戻り配管を具備すると、特に有利な設計が得られる。少なくとも1つの逆止め弁がこの戻り配管に位置している。それは、ガスが吹き込まれるそれぞれの室に開口している。逆止め弁は、この室からのガスがインジェクターに逆流できないことを保証する。吹き込まれるガスの残留部分は逆止め弁を介して燃焼室又は吸気マニホルドに入ることができ、それでこの残留部分は高圧タンクにポンプで送り戻すために収集される必要も、複雑な態様で圧縮される必要も無い。
【0018】
有利には、吸気マニホルドにおける圧力変動がガスインジェクターに到達するのを防ぐために、逆止め弁がガスインジェクターと吸気マニホルドの間に挿入できる。
【0019】
逆止め弁は有利には開いた第1弁により圧力室にライン接続されており、それにより吹き込まれるガスの残留部分が対応する圧力下で逆止め弁を通って流れ得る。
【0020】
有利には、インジェクターニードルを密封するために少なくとも1つのベローズが使用される。ベローズは例えば、少なくとも実質的に漏出のない密封を実現できる金属ベローズである。
【0021】
有利な実施形態では、弁作動ピストンは中空ピストンとして設計され、中空ピストンには弁作動ピストンに作用するために圧力媒体が導入され得る。
【0022】
アクチュエータは有利には磁気ドライブ(ソレノイドアクチュエータ)であり、それにより弁作動ピストンが確実に移動され得る。
【0023】
磁気ドライブは有利には、弁作動ピストンに軸方向に固定して接続され着座した磁気アーマチャーを具備している。それにより、それは簡単に移動できる。
【0024】
本願のサブジェクトマターは個々の請求項のサブジェクトマターから生じるだけでなく、図面及び明細書に開示された全てのデータ及び特徴からも生じる。それらが請求項のサブジェクトマターでない場合でも、それらが従来技術に比べて個々に又は組み合わせて新規である程度にそれらは本発明に重要なものとしてクレームされる。
【0025】
本発明のさらなる特徴はさらなる請求項、明細書及び図面から明らかである。
【0026】
本発明を図面に示される幾つかの実施形態に関連してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に従うガスインジェクターの第1実施形態の軸方向断面図である。
【
図2】本発明に従うガスインジェクターの第2実施形態の軸方向断面図である。
【
図3】本発明に従うガスインジェクターの第3実施形態の軸方向断面図である。
【
図4】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第4実施形態の軸方向断面図である。
【
図5】開状態における
図4に従うガスインジェクターを示す図である。
【
図6】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第5実施形態の軸方向断面図である。
【
図7】開状態における
図6に従うガスインジェクターを示す図である。
【
図8】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第6実施形態の軸方向断面図である。
【
図9】開状態における
図8に従うガスインジェクターを示す図である。
【
図10】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第7実施形態の軸方向断面図である。
【
図11】開状態における
図10に従うガスインジェクターを示す図である。
【
図12】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第8実施形態の軸方向断面図である。
【
図13】開状態における
図12に従うガスインジェクターを示す図である。
【
図14】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第9実施形態の軸方向断面図である。
【
図15】開状態における
図14に従うガスインジェクターを示す図である。
【
図16】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第10実施形態の軸方向断面図である。
【
図18】開状態における
図16に従うガスインジェクターを示す図である。
【
図20】閉鎖状態における本発明に従うガスインジェクターの第11実施形態の軸方向断面図である。
【
図21】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図22】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図23】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図24】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図25】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図26】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図27】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図28】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図29】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図30】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図31】本発明に従うガスインジェクターのノズルの異なる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図32】模式図における、異なるノズル角度で燃焼室に吹き込まれるガスの異なる噴射経路の図である。
【
図33】模式図における、異なるノズル角度で燃焼室に吹き込まれるガスの異なる噴射経路の図である。
【
図34】模式図における、異なるノズル角度で燃焼室に吹き込まれるガスの異なる噴射経路の図である。
【
図35】模式図における、異なるノズル角度で燃焼室に吹き込まれるガスの異なる噴射経路の図である。
【
図36】ノズル隙間を設定する装置を有する
図6及び7に従うガスインジェクターの一部の拡大表現での軸方向断面図である。
【
図37】
図36に対応する描画におけるノズル隙間を設定するさらなる可能性を示す図である。
【
図38】
図36に対応する表現での、ノズル隙間を設定する装置を有するガスインジェクターのさらなる実施形態を示す図である。
【
図39】
図36に対応する表現での、ノズル隙間を設定する装置を有するガスインジェクターのさらなる実施形態を示す図である。
【
図40】ノズル隙間の設定の援助により実施されるインジェクター較正を図表で示す図である。
【
図41】インジェクターニードルのコーティングの実施形態を拡大表現で示す図である。
【
図42】インジェクターニードルにおける渦巻構造を拡大表現で示す図である。
【
図43】本発明に従うガスインジェクターのノズルのさらなる実施形態の拡大表現での断面図である。
【
図44】ガスが本発明に従うガスインジェクターにより吹き込まれる燃焼室を有する燃焼機関のシリンダーの一部の断面図である。
【
図46】本発明に従うガスインジェクターのインジェクターニードルの設置位置のさらなる実施形態を
図45に対応する表現で示す図である。
【
図47】本発明に従うガスインジェクターによりガスを燃焼室に送るためのさらなる実施形態を
図45に対応する表現で示す図である。
【
図48】本発明に従うガスインジェクターによりガスを燃焼室に送るためのさらなる実施形態を
図45に対応する表現で示す図である。
【
図51】本発明に従うガスインジェクターによりガスを燃焼室に送るためのさらなる実施形態を
図45に対応する表現で示す図である。
【
図52】本発明に従うガスインジェクターによりガスを燃焼室に送るためのさらなる実施形態を
図45に対応する表現で示す図である。
【
図53】ガスのインジェクターニードルからの出口領域を拡大表現で示す図である。
【
図55】インジェクターニードルの固定を単純化した表現で示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、ガスの内燃機関(好ましくは自動車用内燃機関)の燃焼室への再循環を有するパイロット操作ガスインジェクターを示す。明瞭性の理由のために、燃焼室を有する内燃機関は示されていない。
【0029】
ガスインジェクターはハウジング1を有し、そこではインジェクターニードル2が中央に移動可能である。自由端では、インジェクターニードル2は、
図1に示される閉鎖位置においてノズル5の開口4を閉じる弁板(弁頭)3を具備している。それは有利にはハウジング1と一体に設計され、ハウジング1の正面のベース6に設置される。
【0030】
インジェクターニードル2は、ハウジング1の中央軸方向穴7内で密封されてガイドされる。インジェクターニードル2は中央収容室8に突出し、中央収容室はハウジングの軸方向長さのほぼ半分にわたって延び、その壁に弁ハウジング9が当接する。弁ハウジング9はスリーブ10を収容し、スリーブ10は弁ハウジング9の内壁に当接し、ピストンばね11を距離を置いて取り囲む。ピストンばね11は例示実施形態では、密封ディスク12に当接する一方の端部を有する圧縮コイルばねである。それは、ハウジングベース6に向かい合う弁ハウジング9の端部にねじ込まれた締め付けナット13によって軸方向に支持されている。
【0031】
密封ディスク12は、その外周に環状溝14を具備しており、そこに密封リング15が位置しており、弁ハウジング9の内壁に密閉して当接している。
【0032】
密封ディスク12は、インジェクターニードル2をその長さの一部にわたってガイドする円筒接続ピース16に載っている。
【0033】
インジェクターニードル2はその内周面に環状溝17を具備しており、環状溝は密封リング18を収容し、その密封リングによって密封ディスク12は接続ピース16に密閉して着座している(据え付けられている)。
【0034】
密封ディスク12は接続ピース16に軸方向に固定して配置されている。締め付けナット19が密封ディスク12の一方の側に設置されており、その締め付けナットはハウジングベース6の方向に密封ディスク12を越えて突出するねじ端部20にねじ込まれている。
【0035】
他方の端面では、密封ディスク12はラジアルショルダー21に当接し、ラジアルショルダーは接続ピース16の外側に、ハウジングベース6の方向に開いた周囲凹部22を画定する。密封ディスク12は、締め付けナット19によりラジアルショルダー21に対して軸方向に押圧される。
【0036】
締め付けナット13は、接続ピース16と共に密封ディスク12をスリーブ10の一端に対して軸方向に押圧するために使用される。その他端は弁ハウジング9の内側でラジアルショルダー23に当接する。
【0037】
有利には、スリーブ10は、薄いスペーサーディスク24の介在により密封ディスク12に当接する。スペーサーディスク24は弁ハウジング9の内壁に当接し、例としてスリーブ10とほぼ同じ厚さを有する。これは、スペーサーディスク24がピストンばね11の運動を邪魔できないことを保証する。
【0038】
ピストン26によって他端で軸方向に支持されたベローズ25の一端は、ねじ端部20から離背する接続ピース16の端部に当接する。ベローズ25はインジェクターニードル2の一部を取り囲み、距離を置いてピストンばね11によって取り囲まれている。
【0039】
ピストン26は中央軸方向穴27を有し、その中でインジェクターニードル2がテーパー端部28と係合する。それは、ピストン26の軸方向穴27にねじ込まれるねじ端部として設計されている。ねじ端部28の援助により、インジェクターニードル2は正確にガスインジェクター内に軸方向に位置決めされ得る。
【0040】
ピストン26はラジアルフランジ29を有し、ラジアルフランジによってピストンが弁ハウジング9の内側に当接する。
【0041】
ベローズ25に向かい合うピストン26の一部は、外径に入り込むように設計される。ピストンばね11はラジアルフランジ29に支持される一方、ベローズ25はピストン26のラジアルショルダー30に軸方向に支持される。
【0042】
ラジアルフランジ29の軸方向反対側では、ピストン26は、ラジアルフランジ29より小さい外径を有するガイド部品31であって、弁ハウジング9の内壁セクション32を軸方向にガイドされるガイド部品31を具備している。
【0043】
内壁セクション32の高さで、弁ハウジング9はその外周面に少なくとも1つの環状溝33を有する。それは密封リング34を収容し、密封リングによって弁ハウジング9は収容室8を境界付けるインジェクターハウジング1の壁に対して密封される。例示の実施形態では、弁ハウジング9は有利には、互いに距離を置いて軸方向に位置する、密封リング34を有する2つの環状溝33を有する。
【0044】
閉鎖弁5、弁板37を
図1に示される閉鎖位置に付勢する(荷重を掛ける)弁ばね36が、ピストン26の軸方向穴27に着座される。弁ばね36はインジェクターニードル2の自由端にて軸方向に支持される。
【0045】
閉鎖位置では、弁板37はピストン26内の圧力室38を閉じ、そこにピストン26の端面から延びる供給ライン39が通じている(合流している)。
【0046】
圧力室38は、弁板37から突出していて弁作動ピストン41と協働するニードル40によって貫通されている。ニードル40は、後述するように、ガイド及び動力伝達のために使用される。弁作動ピストン41は、ハウジング1に収納されるアクチュエータとしての磁気ドライブ42の一部である。
【0047】
ディスク型磁気アーマチャー43が弁作動ピストン41に軸方向に固定的に着座されており、それに対して圧縮ばね44の一端が当接し、圧縮ばねは距離を置いて弁作動ピストン41を取り囲み、収容室45に収納されている。
【0048】
収容室45は、弁作動ピストン41がその端部領域によって軸方向にガイドされるガイド部品46内に位置している。
【0049】
その厚さが圧縮ばね44のプレテンション力を決定する設定ディスク48が、収容室45のベース47に当接している。設定ディスク48は圧縮ばね44の力によってベース47に当接する。
【0050】
磁気ドライブ42の設計はそれ自体公知であるので、簡単にのみ記載する。それは、ガイド部品46を取り囲むコイル50と共に磁石49を有する。
【0051】
磁気ドライブ42は、ハウジング1の自由端にねじ込まれたクランプナット51の援助によりストッパ52に対して軸方向に押し付けられる。ストッパ52は、ハウジングの内側の環状ショルダーによって形成される。磁気ドライブ42は少なくとも1つのシール53によってハウジング1から密封される。それは有利にはハウジング1の内壁において環状溝に配置されたシールリングによって形成される。
【0052】
磁石アーマチャー43は媒体室54を軸方向に画定し、媒体室にハウジング1の壁の少なくとも1つの穴55が通じている。媒体室54はまた、ハウジング1の一部と、ハウジング1の自由端にねじ込まれた弁クランプナット56によって画定され、弁クランプナット56は設定ディスク57の介入によりハウジング1を弁ハウジング9のベース58に押し付ける。設定ディスク57の厚さは閉鎖弁35の前進を決定する。弁クランプナット56はハウジング1の内壁に対して密封される。
【0053】
設定ディスク57は、弁ハウジング9の一部の対向する端面とピストン26の端面と弁クランプナット56の端面により軸方向に境界付けられる中間室59を半径方向に境界付ける。ピストン26の供給ライン39は弁クランプナット56における供給ライン60と共に中間室に通じている。
【0054】
供給ライン60は、供給ライン39のように、媒体が前述したように貫流し得る細い穴である。供給ライン60は中間室59を、媒体室54に通じていて、弁クランプナット56が配置された環状室61に接続する。弁作動ピストン41は環状室61を通って突出している。
【0055】
接続ピース63に設けられた穴62が、穴55に鈍角で合流している。それは鈍角でハウジング1の外側に隣接しており、有利にはそれと一体に設計される。
【0056】
穴55はハウジング1のベース58に軸方向に延びており、そこではそれは軸方向穴55をノズル室65に接続する半径方向穴64に隣接しており、ノズル室を通してインジェクターニードル2が突出し、ノズル室は内燃機関の燃焼室の方向に弁板3によって閉じられている。
【0057】
少なくとも1つの逆止め弁67が着座されていて、その上流にフィルタ68が接続している軸方向バリアライン66が、ハウジング1のベース6の燃焼室側の端面に開口している。例示の実施形態では、2つの逆止め弁67が連続して設置されており、そのうちの第2逆止め弁は、第1逆止め弁が漏れる場合に安全性のために設置されている。逆止め弁67は、燃焼室を閉めるために使用される。
【0058】
バリアライン(封鎖ライン)66は、弁ハウジング9における環状流路9aに通じるラジアル穴69に通じている。ピストン26はまた、環状流路9aに通じていて閉鎖弁35に延びるラジアル穴26aを有する。
【0059】
閉鎖弁35は、閉鎖弁ばね36の圧力下にある弁ディスク37を有し、弁ディスクによって、
図1に示される閉鎖位置に付勢される。閉鎖弁ばね36はインジェクターニードル2の端部28に支持されている。
【0060】
圧力下にあるガス状水素が接続ピース63を介して供給される。ガスは、有利には10~20barより大きい圧力下にある。例として、それは30~40barの範囲にあるが、顕著により高くてもよい。ガスが燃焼室内の圧縮圧力に抗して吹き込まれるときに、このような高い圧力は必要とされ得る。吹き込みプロセスが吸気フェーズで行われる場合、流れ抵抗が十分小さければ、ガスの圧力は0に近づき得る。このような場合、圧力は例として0~10barの間である。穴55,64を介して、ガスは、弁板37によって燃焼室から密封されたノズル室65に入る。
【0061】
燃焼室における圧縮及び吸気フェーズは、クランクシャフトの回転角度を検知するセンサであって、センサ信号を制御装置に送信するセンサによって容易に決定され得る。燃焼室におけるそれぞれの圧力フェーズは、回転角度から得られる。制御装置は、ガスが回転角度に依存する高い圧力又は低い圧力で供給されることを保証する。
【0062】
穴55は媒体室54に流れ接続しており、それによりガスは媒体室54にもある。磁気ドライブ42を作動させることで、磁気アーマチャー43が圧縮ばね44の力に抗して引き込まれる。これが弁クランプナット56における環状室61を解放し、ガスが環状室61及び供給ライン60を通って中間室59に通ることができる。
【0063】
弁作動ピストン41が引き込まれると、ばね36の力が閉鎖弁35を閉じる。ばね圧力がガスの受ける圧力より高くなるように、弁ばね36は設定される。例えば、弁ばね36の圧力は、ガスの受ける圧力より20~30%高く設定され得る。
【0064】
閉鎖弁35が閉じられているとき、インジェクターニードル2を有するピストン26は、中間室59内に位置するガスの圧力下でピストンばね11の力に抗して軸方向に移動され、それによって弁板37がその開位置に移動される。さて、ガスは、穴55、ラジアル穴64及びノズル室56を介して燃焼室に入ることができる。このようにして、吹き込みプロセスが開始する。
【0065】
吹き込みプロセスを終了するために、磁気ドライブ42はスイッチオフされる。これにより、弁作動ピストン41が圧縮ばね44によって弁クランプナット56の方向に再び移動され、それで弁作動ピストン41はそれが環状室61を閉じる閉鎖位置に移行される。そのプロセスでは、ニードル40が弁ディスク37を、弁ばね36の力に抗してその開放位置に押し戻し、それでガスは供給ライン39、ラジアル穴69及びバリアライン66を介して逆止め弁67を通って燃焼室に漏れ出ることができる。
【0066】
フィルタ68は、不純物が燃焼室に入らず、燃焼残渣及び不純物がガスインジェクターに入らないことを保証する。
【0067】
前述した解放プロセスは燃焼室内に位置する燃焼ピストンの圧縮の前に行われ、それで燃焼室内の圧力は前述した解放プロセスを妨げない。磁気ドライブ42のばね44は、閉鎖弁35の弁ばね36の力と弁クランプナット56における弁座での密接を加えるように設定される。
【0068】
ピストン26の端面に作用するガスは、ピストンばね11によって生成される反力(counterforce)より大きい、このピストン端面に加わる力を生成する。
【0069】
ピストンばね11は、ガス圧によって弁板3のピストンシートを開け得る力より大きい力を有する。これは、弁板3が、ノズル室65を介して弁板3に作用するガスの高い圧力に抗して弁座を確実に密封することを保証する。その設計は、インジェクターニードル2の密封直径とピストン26の間の力の比に依存する。
【0070】
前述した例示の実施形態は、パイロット操作ガスインジェクターを示す。吹き込みプロセスの最後に、ガスは上述したようにバリアライン66を介して燃焼室に排出され、よって残留ガスが高圧ガスタンクにポンプで送り戻されなければならない場合に必要となる残留ガスの複雑な収集と圧縮が回避される。ベローズ25は、ガスインジェクターの漏出の無い操作を保証する。ベローズ25は有利には金属ベローズであり、それにより損失のない又は多くても非常に少量の妨げにならない漏出を実現できる。
【0071】
図2に従う実施形態は、最初に加圧ガスの燃焼室への再循環が行われない点で
図1に従う実施形態と異なる。したがって、この実施形態により、燃焼室に向かう逆止め弁を有するバリアラインが存在しない。ラジアル穴69はハウジング1を通って外側に半径方向に導かれる。ガスはラジアル穴69を介してタンクに戻される。
【0072】
ガスインジェクターはさらに、加圧ガスを供給するための接続ピース63に加えて、接続ピース63の穴62と同様にガスインジェクターの長手軸に対して鈍角に延びる穴72を有するさらなる接続ピース71を有する。穴72は、弁クランプナット56と磁気ドライブ42の磁気アーマチャー43の間の中間室54に通じている。
【0073】
先の実施形態とは対照的に、穴56は中間室54に対して閉じられている。
【0074】
先の実施形態によれば、吹き込まれるガスは、インジェクターニードル2を移動させる制御媒体としても機能する。
図2に従う例示の実施形態により、追加的な制御媒体がインジェクターニードル2を移動させるために使用される。それは接続ピース71を介して供給される。制御媒体の圧力は、上述した態様で接続ピース63を介して燃焼室に供給されるガスの圧力に相当(匹敵)し得る。制御媒体圧力はまたガス圧より高くても又は低くてもよい。例として、インジェクターニードル2を制御するのに不適切な高めのシステム圧力が生じるとき、小さめの制御媒体圧力が有利である。
【0075】
吹き込みプロセスを開始するために、磁気ドライブ42はスイッチオンされ、それにより磁気アーマチャー3としたがって弁作動ピストン41が圧縮ばね44の力に抗して押し戻される。それにより、弁作動ピストン41が閉鎖弁35の弁板37のニードル40から上昇する(外れる)ので、弁ばね36は弁板37をその密封シートに押し付ける。
【0076】
弁作動ピストン41が押し戻されると、圧力室38が解放され、それで制御媒体が媒体室54から供給ライン60を介して中間室59に到達できる。制御媒体によってピストン26に加えられる圧力はピストンばね11によって加えられる反力より大きく、それでピストン26としたがってインジェクターニードル2が移動される。これが弁板3をその開位置に移動させ、それで接続ピース63を介して供給されるガスは穴55及び64を介してノズル室65に到達できる。
【0077】
ピストン26は別個の制御媒体によって作用されるので、ピストン26は必要に応じて先の実施形態より小さくなるように設計され得る。
【0078】
媒体室54に入る制御媒体の圧力は外部ポンプ(不図示)によって生成される。これはガスの漏出を防止する、というのもそれがガスインジェクターを制御するために使用されないからである。例えば、ペントシンやシリコーン油などのオイルが、しかし冷却水も、媒体として使用できる。このような媒体はインジェクターを冷却するために付加的に使用され得る。
【0079】
吹き込みプロセスを終了するために、磁気ドライブ42はスイッチオフされ、それにより磁気アーマチャー43とよって弁作動ピストン41がばね44によって
図2に示される閉鎖位置に移動され、戻される。弁板37のニードル40が押し戻される。これがピストン26内の供給ライン39を解放し、それで制御媒体が中間室59から圧力室38を介してラジアル穴69に達し、またそこからタンクに又は吸気マニホルド150(
図2)に又は内燃機関の吸気系統に達し得る。吸気マニホルドからインジェクターへの圧力ピークを防止するために、吸気マニホルド150へのラインは逆止め弁177を具備し得る。このような解放プロセスは燃焼室における圧縮とは無関係であり、それによりガスの吹き込みはいつでも行われ得る。
【0080】
図2に従う例示の実施形態はまた、制御媒体を再循環させるパイロット操作ガスインジェクターを表す。制御媒体がガスである場合、再循環は吸気マニホルド又は内燃機関の吸気系統で行われる。ガスよりもむしろ液体が制御媒体として使用される場合、それは、液体が供給された元のタンクに戻される。
【0081】
図2はさらに、弁作動ピストン41の自由端における解放穴73を示す。解放穴73は、弁作動ピストン41とガイド部品46のベース74の間に位置する室75を圧縮ばね44のための収容室45に接続する。同一の解放穴73がやはり先の実施形態にも備えられている。解放穴73は主にスロットル効果による減衰の機能を有する。
【0082】
図3は、原則として
図1に従う例示の実施形態と同じ設計を有するパイロット操作ガスインジェクターを示す。唯一の違いは、有利にはフィルタ68の後に位置する単一の逆止め弁67だけがバリアライン66にあることである。
図1に関連して説明したように、磁気ドライブ42が切られて、弁作動ピストン41が
図3に示すようにその閉鎖位置に戻された場合、ガスの残りがバリアライン66及び逆止め弁67を介して燃焼室に案内され得る。
【0083】
図4及び5は、圧力がインジェクターの中央に穿孔された孔によって解放されるガスインジェクターを示す。これは設置スペースを節約し、ガスインジェクターの外径を非常に小さく維持する。
【0084】
ガスインジェクターは、
図2に従う実施形態と同様に、ガスを供給するための接続ピース63とさらなる接続ピース71を有する。接続ピース63の穴62は鈍角で軸方向穴55に接続し、その軸方向穴は他端でラジアル穴64に流れ接続しており、そのラジアル穴を通ってガスがノズル室65に入る。先の例示の実施形態とは異なり、ノズル室65はハウジング1の内側にハウジング端面78から距離を置いて位置している。インジェクターニードル2は
図4に示される閉鎖位置でノズル開口4を閉じる。ノズル開口4を開けるために、インジェクターニードル2は先の例示の実施形態とは異なり内側に移動される。
【0085】
ノズル開口4は、吹き込みプロセスを改善する、吹き込まれるガス用のジェットガイド(噴射ガイド)として設けられている。
【0086】
インジェクターニードル2は、圧力室65からハウジング1の端面78まで延びる穴77に位置する中央延伸部76を有する。弁が開いているときにガスが穴77を通って燃焼室に流れ得るように、延伸部76及び穴77は設計されている。例示の実施形態では、穴77は、距離を置いて円筒状に設計された延伸部76を取り囲む円筒壁を有する。これは、穴壁と延伸部76の周囲の間にガスのための狭い環状室を創出する。
【0087】
インジェクターニードル2は、燃焼室(不図示)をガスインジェクターに対して密封する逆止め弁67が配置された中央貫通穴91を備えている。
【0088】
延伸部76から離背する端部は、ピストンばね11の力を受けているピストン26に密封して着座されており、その力によりピストン26はインジェクターニードル2の閉鎖位置の方向に付勢されている。先の実施形態に従い、ピストン26はハウジング1に密封して配置されている。密封は、軸方向距離を置いて次々に位置し好ましくは金属で作られる2つのピストンリング151,152により実現される。先の例示の実施形態とは異なり、ピストン26はハウジング1の収容室8の内壁に直接当接する。ピストンばね11は、軸方向に距離を隔てて位置する反対側弁ブロック79と共に中間室59を境界付ける弁クランプナット56によって支持されている。
【0089】
弁ブロック79は中央軸方向穴80によって貫通されており、その2つの端部はそれぞれ弁81,82によって閉鎖され得る。弁クランプナット56に向かい合う弁81は、弁クランプナット56の端面における止まり穴85のベースに支持された弁ばね84によって付勢される弁ヘッド83を有する。
【0090】
弁82は、磁気ドライブ42の一部である弁作動ピストン41と協働する。弁82は、環状室61を閉じるために使用され得る弁要素86を有する。
【0091】
弁作動ピストン41は、弁ブロック79から離背するその端部から弁端部の近くまで延びる軸方向穴87であって、弁ハウジング1内に磁気ドライブ42と弁ブロック79の間の媒体室54に設けられた横穴88に接続した軸方向穴87を有する。
【0092】
弁ブロック79から離背する磁気ドライブ42の側で、ばね44によって付勢された磁気アーマチャー43が弁作動ピストン41に軸方向に固定して着座されている。ばねはハウジング状のアタッチメント90のベース89に軸方向に支持されており、そのアタッチメント内に弁作動ピストン41が突き出ている。
【0093】
弁ブロック79における環状室61は、少なくとも1つの供給ライン60を介して中間室59にライン接続している。
【0094】
接続ピース71の穴72は、弁板83によって閉鎖され得る圧力室38に通じている。
【0095】
図4に示される閉鎖位置では、弁板83は、弁ばね84の圧力を受けて圧力室38を閉じる。弁板83は、弁ブロック79の穴80内をガイドされる、穴80内部で弁板86のバルブタペット86aの自由端に当接するバルブタペット97を有する。バルブタペット86aは穴80内で弁板86をガイドする。
【0096】
インジェクターニードル2は軸方向穴91によって中央を貫通され、そこに逆止め弁67が着座している。軸方向穴91は、ピストン26における中央軸方向穴92に流れ接続している。それは、ピストンばね11が収納されたばね室94に流れ接続した横穴93に通じている。ばね室94は、ライン95を介して中間室54に流れ接続している。
【0097】
図4に従う閉鎖位置では、インジェクターニードル2が開口4を閉じているので、接続ピース63を介して圧力により供給されるガスは燃焼室に流出できない。インジェクターニードル2は、ピストンばね11の圧力を受けて弁座に接触しており、よってガスインジェクターの開口4を閉じる。
【0098】
ピストン26の前の収容室8は、少なくとも1つのライン96を介して中間室59に恒常的に接続している。
【0099】
弁板83は弁ばね84の力を受けて圧力室38を閉じ、それにより制御媒体は接続ピース71を介して中間室59に入れない。
【0100】
弁板86はその開位置を占め、それで環状室61は中間室54に接続している。磁気ドライブ42がスイッチオフされると、弁作動ピストン41は引き込まれる。
【0101】
インジェクタープロセスを開始するために、磁気ドライブ42がスイッチオンされ、それにより弁作動ピストン41が、弁要素86をその閉鎖位置(
図5)に調節する程度に磁気アーマチャー43によって移動される。
【0102】
直径がより小さいバルブタペット97,86aの端部セクションを取り囲む圧縮ばね98であって、バルブタペット97,86aの環状ショルダーにその端部で支持されている圧縮ばね98が、弁ブロック79の穴80に位置する弁板86のバルブタペット86aと、穴80に位置する弁板83のバルブタペット97の間に位置している。切替プロセスの間、圧縮ばね98は、2つのバルブタペット97,86aが互いに絶え間なく接触することを保証する。
【0103】
弁板83がその開位置(
図5)を占めるとき、接続ピース71を介して圧力を受けて供給される制御媒体は、穴72を介して中間室59に流入でき、そこからライン96を介して収容室8に流入できる。これにより、ピストン26はピストンばね11の力に抗して制御媒体によって移動され、よってインジェクターニードル2が押し戻され、開口4が解放され、それで接続ピース63を介して供給されるガスが燃焼室に入り得る。
【0104】
磁気ドライブ42がスイッチオフされると、機能部品の移動が逆方向に行われる。磁気アーマチャー43が引き込まれ、それで弁板86がその開位置に移行する。これは、弁板86のバルブタペット86aが押し戻される程度に弁板86をその閉位置に移動させる弁ばね84によって達成される。ゆえに、制御媒体は中間室59から供給ライン60を介して媒体室54に入ることができる。圧力媒体はライン95を介してばね室94に入り、そこから横穴93を介して軸方向穴92及び91に入ることができる。
【0105】
ガスの設定圧力のために、圧縮フェーズ又は吸気フェーズの間のみ残留ガスを燃焼室に供給することが可能である。逆止め弁67は、軸方向穴91,92を貫流する残留ガスによって開けられるように設定される。
【0106】
逆止め弁67は、エンジンの燃焼室における圧縮圧力に依存して設定され、例えば0~20barの圧力に設定され得る。
【0107】
前述した実施形態は、そのコンパクト設計により特徴付けられる。ここでその要因は、インジェクターニードル2が
図4に従うその閉位置から
図5に従うその開位置に移動されることによって、ガスインジェクターが内側に開くことである。
【0108】
ガスインジェクターはもちろん高めの圧縮圧力でも使用され得る。
【0109】
低めの圧力では又は燃焼室の吸気フェーズの間、解放が燃焼室の圧縮フェーズの前に行われ得る。そのとき、非常に小さい圧力が逆止め弁67で設定され得る。
【0110】
先の実施形態と同様に、
図6及び7に従うガスインジェクターは、小さい直径のみを有するコンパクト設計により特徴付けられる。
【0111】
より良い理解のために、
図4及び5のように
図6及び7では、燃焼室に吹き込まれるガスの流路は、対応する矢印によって示される。
【0112】
ガスインジェクターはハウジング1を有し、その1つの端面78を越えてノズル99が軸方向に突出している。それは、インジェクターニードル2の一端に設置された弁板3によって閉じられ得るノズル開口4を有する。
【0113】
ノズル99は、ハウジング1のベース6に設けられたレセプタクル100に密封して保持されている。
【0114】
インジェクターニードル2は、補償ピストン101及びピストン26に軸方向に固定的に接続されている。ピストン26は、ハウジング1の内壁に密封して保持された弁ハウジング9の内壁に軸方向に移動可能にガイドされている。
【0115】
補償ピストン101は、弁ハウジング9によって受容されその内面に密封して保持されたスリーブ10の内側に位置している。
【0116】
スリーブ10は、ピストンばね11が位置している環状溝様凹部104を外側に具備している。それはピストン26を軸方向に付勢する。
【0117】
スリーブ10は、その2つの端部で補償ピストン101に及びスリーブ103の内側サイドに固定されたベローズ25を取り囲む。ベローズ25は、ピストン26のスリーブ形アタッチメント107を取り囲む。アタッチメント107はピストン26のラジアルフランジ29から軸方向に中央に突出しており、補償ピストン101のスリーブ形アタッチメント109に対してその端面で当接する。
【0118】
その他方の端面に、ピストン26はさらに中央に配置された軸方向ガイド部品31を有し、それは例としてアタッチメント107と同じ外径を有し得る。
【0119】
ガイド部品31の自由端は、ハウジング部品102の軸方向スリーブ形アタッチメント111に突き出ており、ハウジング部品は弁ハウジング9に突き出ており、その内側に当接している。
【0120】
ピストン26から離背するその端部には、ハウジング部品102は、ハウジング1の内側に及び弁ハウジング9の自由端に当接する、外側に突出する環状フランジ112を有する。
【0121】
他端では、ハウジング部品102は、ピストン26のガイド部品31の自由端に当接するスリーブ形アタッチメント111を具備している。アタッチメント111は、ピストン26の環状ショルダー114から距離を置いて軸方向に向かい合っている。ベローズ115が、ピストン26のガイド部品31を取り囲み、ハウジング部品102のアタッチメント111に及びピストン26のガイド部品31に固定されている。
【0122】
弁ハウジング9によって半径方向外側を及び非加圧の環状室116への漏出を防ぐベローズ115によって半径方向内側を境界付けられる環状室116が、ピストン26の半径方向フランジ29とハウジング部品102の間に位置している。環状室116は、少なくとも1つの穴117を介して環状室118に接続しており、環状室118は、弁ハウジング9によって半径方向外側を及びスリーブ10のスリーブセクション119によって半径方向内側を境界付けられる。軸方向に、環状室118は、スリーブ10及びピストン26の半径方向フランジ29によって境界付けられる。環状室118は、スリーブ10に及びピストン26の半径方向フランジ29に軸方向に支持されたピストンばね11を収容する。
【0123】
スリーブセクション119は、ピストン26の、従ってインジェクターニードル2のストローク(行程)を境界付ける。
【0124】
環状室116はまた、ピストン26の半径方向フランジ29における少なくとも1つの穴121を介して、ベローズ25と、ピストン26のスリーブ形アタッチメント107の間に存在する狭い環状室122に接続している。
【0125】
インジェクターのハウジング1は圧力ポート123を有し、そこを通って燃焼室に吹き込まれるガスが供給される。圧力ポート123は、インジェクターニードル2が軸方向に突出している収容室8に通じる環状室の形態の穴55に接続している。
【0126】
ノズル99の内壁とインジェクターニードル2の間に設けられた、インジェクターニードル2を取り囲む環状ライン124が、リング型収容室8に開口している。インジェクターニードル2における横穴125を介して、環状ライン124はインジェクターニードル2の中央軸方向穴126に接続している。軸方向穴126は、軸方向に外側に閉じられており、横穴127を介して、ノズル99の内壁とインジェクターニードル2の間に配置されたノズル室65に接続しており、ノズル室65は弁板3によって閉じられ得る。
【0127】
ピストン26のガイド部品31は弁81を収容する。その弁板83は、先の実施形態に関連して説明したように、弁ブロック79内の軸方向穴80を閉鎖し得る。穴80の他端は弁82によって閉鎖され得る。
【0128】
先の実施形態に従い、穴80は供給ライン60を介して中間室59に接続されている。
【0129】
環状室118は、前述した方法で少なくとも1つの軸方向穴117を介して環状室116に流れ接続している。一方、環状室116側は、ハウジング部品102における少なくとも1つの軸方向穴128及びそれに隣接する弁ブロック79における横穴129を介して、弁ハウジング9に設けられた環状流路130に接続している。環状流路130は、ハウジング1のタンクポート131に接続されている。
【0130】
弁82の弁板86は磁気ドライブ42の弁作動ピストン41と協働する。媒体室54内に配置された磁気アーマチャー43は、弁作動ピストン41に軸方向に固定して着座されている。
【0131】
先の実施形態に従い、弁作動ピストン41は中空ピストンとして設計され、その軸方向穴87は、ガイド部品46の一部である制御ポート132に接続されている。
【0132】
図6は、弁板3がノズル開口4を閉じる閉鎖状態におけるインジェクターを示す。磁気ドライブ42はスイッチオフされており、弁作動ピストン41は弁82の弁板86をその閉鎖位置まで押す。
【0133】
吹き込まれるガスは圧力ポート123を介して加圧される。それは穴55を介して収容室8に入り、そこではそれは補償ピストン101を軸方向に付勢する。ガスの一部が、収容室8から環状ライン124に到達し、そこから横穴125、軸方向穴126及び横穴127を介して、弁板3により閉じられたノズル室65に到達する。
【0134】
ベローズ25は、補償ピストン101とスリーブ10のスリーブセクション119に、例えば溶接法によって固く接続されている。これは、弁板3に加わる力によってインジェクターニードル2が開けたい力を補償し、釣り合う。この補償力は技術的ニーズに適合され得る。例えば、密封機能をノズル開口4の領域で増大したい場合、閉鎖力は対応的により高く設定され得る。このような場合、補償ピストン101は対応的により大きく設計され得る。
【0135】
他方で、ノズル開口4の開口がインジェクターニードル2によって支援されるべき場合、補償ピストン101は対応的により小さく設計され得る。
【0136】
ピストン26のガイド部品31を取り囲むベローズ25は、インジェクターの漏れの無い設計を改良する。ベローズ25は、例えば溶接によって、ピストン26及びハウジング部品102にきつく接続されている。
【0137】
外側に発散されなければならない制御媒体の唯一の量は切替漏れである。それは、ポート131を介して、例えばエンジンの吸気マニホルド(不図示)に送られ得る。しかしながら、切替漏れはまた、燃焼機関のインジェクターニードル2におけるライン(不図示)を介して燃焼室に導かれてもよい。
【0138】
このようにして、切替漏れは燃焼される。切替漏れは非常に少量のみ生じるので、エンジンの稼働挙動へのその影響は無視できる。
【0139】
インジェクタープロセスを開始するために、磁気ドライブ42がスイッチオンされ、それにより弁作動ピストン41が、磁気アーマチャー43によって圧縮ばね44の力に抗して引き込まれる。弁82の弁板86は弁ブロック79における穴80内に広がる圧力を受けて開かれ、それによりそこに位置する媒体は開いた弁82を通って媒体室54に到達できる。
【0140】
穴80内の圧力は、弁81の弁板83を弁ばね84の力を受けてその閉鎖位置に移動させることで生成される。
【0141】
弁板83が閉鎖位置に調節されると、制御媒体は穴80、供給ライン60及び中間室59内で加圧される。結局、ピストン26は制御媒体によって軸方向に加圧される。ピストン26に軸方向に固定的に接続されたインジェクターニードル2は移動され、それにより弁板3がノズル開口4から持ち上がり、それで存在するガスが燃焼室に入り得る。
【0142】
インジェクターニードル2のストロークは、スリーブ10へのピストン26のストッパにより境界付けられる。インジェクターニードル2のストロークは通常、約0.1~約0.3mmである。
【0143】
噴射弁3,4を閉じるために、磁気ドライブ42はスイッチオフされる。これにより、磁気アーマチャー43が圧縮ばね44の力を受けて押し戻され、よって弁板86がその閉鎖位置(
図6)に戻される結果となる。
【0144】
これは弁81を開け、中間室59を解放し、それでインジェクターニードル2は
図6に従うその閉鎖位置に戻ることができる。
【0145】
媒体室59での圧力解放のため、補償ピストン101はピストン26を介してピストンばね11によって押し戻され、それでインジェクターニードル2は対応的にその閉鎖位置に移動される。
【0146】
図8及び9に従うガスインジェクターは、切替弁を用いずに直接制御されるバージョンである。インジェクターは、弁板3によりハウジング1を越えて軸方向に突出するノズル99を有し、弁板3によりノズル開口4が閉鎖され得、ノズル99はインジェクターニードル2の自由端に設置されている。それは補償ピストン101及びピストン26に軸方向に固定的に接続されている。補償ピストン101は前述した態様でスリーブ10に収納されており、その自由端はその軸方向移動中ピストン26のためのストッパを形成する。一端をスリーブ形アタッチメント109に、他端をスリーブ10のスリーブセクション119の内側に固定されたベローズ25は、ピストン26及び補償ピストン101のスリーブセクション119とスリーブセクション107,109の間に位置している。
【0147】
ピストン26のスリーブ形ガイド部品31は逆止め弁133を収容し、その弁要素は弁ばね135の力を受ける弁球134である。逆止め弁133は、燃焼室圧力が或る圧力弁の上のピストン室に入ることを防止する。逆止め弁133は、磁気アーマチャー43が軸方向に固定して着座している弁作動ピストン41と協働する。磁気ドライブ42は、
図4及び5に従う例示の実施形態と実質的に同じであるように設計されている。
【0148】
ベローズ115は、ピストン26のガイド部品31上に配置され、その2つの端部はピストン26とハウジング部品102にしっかり接続されている。
【0149】
媒体室54は、磁気ドライブ42とハウジング部品102の間に配置されている。制御媒体は、先の例示の実施形態に関連して説明したように、インジェクターニードル2のその開位置への移動を開始させるために使用される。
【0150】
インジェクターニードル2は中空針として設計され、軸方向穴91を有し、それに、ピストン26のスリーブ形アタッチメント107の軸方向穴92が隣接・接続している。軸方向穴92は逆止め弁133まで延びる。
【0151】
インジェクターニードル2は、断面が先細りしていて正方形断面を有する、ノズル99内のセクション2aを有する。環状ライン124の壁は円筒状であるので、ガス用の通路は、セクション2aの正方形サイドと円筒壁の間に形成される。セクション2aは、移動運動の間インジェクターニードル2をガイドする機能を有し、セクション2aの縁は環状ライン124の円筒壁に当接する。残りの領域では、インジェクターニードル2は円形輪郭を有する。
【0152】
軸方向穴91はエンジンの燃焼室に通じているので、閉鎖位置での弁球134は、燃焼室圧力が逆止め弁133を越えてインジェクターに到達するのを防止する。
【0153】
逆止め弁133は、弁球134の後ろに、弁作動ピストン41の隣接する端部を取り囲む環状室137を介して媒体室54に連通する穴136を有する。
【0154】
先の実施形態と同様に、ピストン26内に存在する穴117,121は、環状室116,118の間の圧力並びに環状室122,116の間の圧力を等しくする機能を有する。
【0155】
図8は、ノズル開口4がインジェクターニードル2の弁板3によって閉じられた閉鎖状態におけるガスインジェクターを示す。弁作動ピストン41は、逆止め弁133の弁ハウジング138と軸方向に当接する。
【0156】
ガスは、圧力接続部123を介して環状室55、収容室8及び、ノズル9とインジェクターニードル2の間の環状ライン124を通って弁座3,4に供給される。収容室8の内部では、補償ピストン101はガスによって軸方向圧力を受ける。
【0157】
ガスが燃焼室に噴射されるべき場合、磁気ドライブ42がスイッチオンされ、それにより弁作動ピストン41が前述した方法で逆止め弁133に反して軸方向に移動される。弁ハウジング138はピストン26内に移動不能に配置されているので、これがピストン26を、よって補償ピストン101をも軸方向に移動させる。したがって、前述したように、インジェクターニードル2は
図9に示されるその開位置に移動され、それで環状ライン124からのガスが開いたノズル開口4を介して燃焼室に入ることができる。
【0158】
流れ矢印によって示されるように、燃焼室圧力は軸方向穴91,92を介して弁球134に到達し、穴136を介して媒体室54に入ることができる。結局、弁作動ピストン41を移動させる磁気力は比較的小さくなり得る。したがって、ガスインジェクターはより小さくなり、それでそれはエンジンのシリンダーヘッドにより上手く設置され得る。
【0159】
噴射プロセスを終了するために、磁気ドライブ42が前述した方法でスイッチオフされ、それにより弁作動ピストン41はその初期位置に戻される。収容室8内のガスの圧力下で、補償ピストン101と、よってピストン26も押し戻され、それによりインジェクターニードル2は
図8に従うその閉鎖位置に移動される。
【0160】
図10及び11に従うインジェクターは、
図6及び7に従う実施形態に似た設計を有する。この実施形態と異なり、補償ピストン101はスリーブ形アタッチメントを有さず、ピストン26に直接当接し、その外径部においてピストン26にしっかり接続される、好ましくは溶接される。それはスリーブ形ガイド部品31のみ有する一方、そのラジアルフランジ29は補償ピストン101の端面に当接する。
【0161】
ベローズ25はインジェクターニードル2を取り囲み、スリーブ10とインジェクターニードル2の間に配置されている。ベローズ25は、補償ピストン101に密封して固定された一端と、スリーブ10の内側に密封して固定された他端を有する。
【0162】
圧力ポート123を介して供給されるガスは環状ライン55を介して収容室8に入る。環状ライン55には、ノズル99とインジェクターニードル2の間の環状ライン124が開口している。環状ライン124はインジェクターニードル2の軸方向穴126に流れ接続している。横穴127は軸方向穴126を、燃焼室の方向に閉じられたノズル室65に接続する。
【0163】
ピストン26内の穴121は環状室122をピストン26とハウジング部品102の間の環状室116に接続する。
【0164】
インジェクターの動作モードは
図6及び7に従う実施形態の動作モードに一致する。磁気ドライブ42の弁作動ピストン41は、弁82の弁板86を閉鎖位置(
図10)に保持する。弁81は開いている。インジェクターニードル2をその開位置に移動させるために、先の実施形態に関連して記載したように、制御媒体が弁作動ピストン41を介して供給される。
【0165】
噴射プロセスを開始するために、磁気ドライブ42がスイッチオンされ、それで弁作動ピストン41が磁気アーマチャー43を介して圧縮ばね44の力に抗して押し戻される。これにより、弁81が上述した態様で閉じる(
図11)。よって、ピストン26のガイド部品31に作用する圧力が供給ライン60を介して中間室59に蓄積する。この圧力はピストンばね11の反力より大きく、よってピストン26が軸方向に移動される。これはまた、ピストン26に軸方向に固定的に接続されたインジェクターニードル2を、
図11に示される開位置まで軸方向に移動させる。そこでは弁板3がノズル開口4を解放する。
【0166】
吹き込みプロセスを終了するために、磁気ドライブ42がスイッチオフされ、それで弁作動ピストン41が磁気アーマチャー43を介してその閉鎖位置まで軸方向に戻される。そこでは、それが弁82の弁板86を
図10に従うその閉鎖位置に移動させる。それにより、弁81が上述した方法で同時に開かれ、それで中間室59内の制御媒体の圧力が解放され得る。
【0167】
弁81,82の2つのバルブタペット97,86aはスペーサーピン153によって弁ブロック79の穴80の内部で互いに接続されており、スペーサーピンを介して一方の移動が他方のバルブタペットに伝達される。
【0168】
次に、弁板3がノズル開口4を閉じるまで、ピストンばね11がインジェクターニードル2を有するピストン26を押し戻す(
図10)。
【0169】
図12及び13は、直接制御されるガスインジェクターを示す。インジェクターニードル2は中空針として設計され、磁気アーマチャー43が軸方向に固定的に配置された作動ピストン41の軸方向穴87と整列した(一直線になった)軸方向穴91を有する。
【0170】
作動ピストン41の軸方向穴87は圧力ポート123に接続されており、圧力ポート123を通してガスが供給される。それは軸方向穴87,91を通って
図12及び13に描かれた矢印の方向にノズル室65に流れる。ノズル室はインジェクターニードル2の弁板3によって閉じられている。
【0171】
作動ピストン41及びインジェクターニードル2は、それらの端部をピストン26のガイド部品31に又はピストン26にねじ込まれている。ピストン26の内部で、インジェクターニードル2及び作動ピストン41が対応するシールによって密封されている。
【0172】
作動ピストン41は、密封スリーブ140の介入によりクランプナット142によって磁気ドライブ42のハウジング部品141内に固定されている。
【0173】
インジェクターニードル2は、補償ピストン101と収容室8のベース58の間の領域において、スリーブ10の内側に配置されたベローズ25で取り囲まれている。収容室8は、少なくとも1つの横穴2’によってインジェクターニードル2の軸方向穴91に流れ接続している。
【0174】
図10及び11に関連して記載したように、補償ピストン101はピストン26に直接当接する。環状室122は穴121を介して環状室116に接続している。穴121は、2つの環状室116,122の間の圧力平衡を可能にする。
【0175】
環状室116はタンクポート131に又は大気に接続しており、そのため圧力がガスインジェクター内の温度変化によって作られない。
【0176】
ピストン26は、弁ハウジング9とスリーブ10のスリーブセクション119の間の環状室に位置するピストンばね11の力を受ける。ピストンばね11はスリーブ10を介してハウジング1のベース58に軸方向に支持されている。
【0177】
ベローズ115が、ハウジング部品141の内側に配置されており、ベローズ25と共にインジェクターの外側に対する適切な密封をもたらす。ベローズ115は弁作動ピストン41にきつく接続しており、そのストローク運動に追従する。
【0178】
吹き込みプロセスを実行するために、磁気ドライブ42がスイッチオンされ、それで弁作動ピストン41が磁気アーマチャー43によって軸方向に移動される。これがピストン26をピストンばね11の力に抗して軸方向に移動させ、それにより補償ピストン101を共に連れていく。インジェクターニードル2もピストン26に軸方向に固定的に接続しているので、インジェクターニードル2は
図13に示される位置まで移動される。そこでは、弁板3がノズル開口4を解放する。穴121は、ピストン26が確実に移動され得ることを保証する。スリーブ10のスリーブセクション119は対応する複数の開口143を具備し、それにより2つの環状室118及び116は穴121を介して互いに接続されている。
【0179】
吹き込みプロセスを終了するために、磁気ドライブ42がスイッチオフされる。その時、ピストンばね11はピストン26を再び押し戻し得る。これはまた、ピストン26に軸方向に固定的に接続されたインジェクターニードル2を
図12に従うその閉鎖位置に押し戻す。
図12では弁板3がノズル開口4を閉じる。
【0180】
このガスインジェクターのパイロット操作設計は、ガスが燃焼室に吹き込まれるべき低めの圧力に非常に適している。このような場合、磁気アーマチャー43を引き付け、それにより弁作動ピストン41を移動させるために、磁気力は十分である。
【0181】
図14及び15に従うガスインジェクターは、
図6及び7に従うガスインジェクターに似た設計を有する。この例示の実施形態によれば、
図6及び7のベローズは設置されていない。補償ピストン101はスリーブ10の内側に密封して当接する。ピストンばね11を収容する環状室118は、ピストン26の穴121を介して環状室116に接続している。
【0182】
ハウジング部品102のアタッチメント113は、
図6及び7に従う例示の実施形態より実質的に長く設計されている。結局、ピストン26のガイド部品31はその長さの大部分にわたってアタッチメント111によってガイドされる。
【0183】
有利には金属で作られるピストンリング154,155は、ハウジング部品102に関してピストン26を、スリーブ10に関して補償ピストン101を密封するために使用される。このようなピストンリングによってベローズの場合より高めの圧力が実現され得る。
【0184】
吹き込みプロセスを開始するために、磁気ドライブ42がスイッチオンされ、それで弁作動ピストン41が磁気アーマチャー43を介して押し戻される。結局、弁82が上述したように開かれる一方、軸方向反対側の弁81は閉じられる。これにより、制御媒体の圧力が中間室59において増大し、ピストン26に軸方向に荷重を掛け、それでそれは補償ピストン101及びインジェクターニードル2と共に移動される。インジェクターニードル2の弁板3はノズル開口4を解放し、それで圧力ポート123を介して供給されるガスは、環状ライン55、収容室8及び環状ライン124を介してノズル室65に流入できる。
【0185】
吹き込みプロセスを終了するために、磁気ドライブ42がスイッチオフされ、それで磁気アーマチャー43とそれと共に弁作動ピストン41が押し戻される。これは上述した方法で弁82を閉じ、反対側の弁81を開ける。これにより、ピストンばね11がピストン26を押し戻すことができ、中間室59内にある制御媒体が上述した方法で弁ブロック79の横穴129を介してタンクポート131に移動される。
【0186】
ピストン26を、よって補償ピストン101をも押し戻すことで、インジェクターニードル2は
図14に示されるその閉鎖位置に移動される。
【0187】
図16~19に従うガスインジェクターは、
図6及び7に従う実施形態と実質的に同じ設計を有する。違いは、弁81及び82が各々、板状の弁要素83,86に代えて弁球83,86を有する点である。
【0188】
図16及び17は、その弁板3がノズル開口4を閉じる閉鎖位置のインジェクターニードル2を示す。弁作動ピストン41が圧縮ばね44の力により弁球86をその閉鎖位置に押圧するように、磁気ドライブ42がスイッチオフされる。弁タペット97は弁81の弁球83を弁ばね84の力に抗して開位置に調節する。
【0189】
ガスは圧力を受けて圧力ポート123を介して穴55,64、収容室8及びライン124を通ってノズル99のノズル室65に運ばれる。
【0190】
ガスの燃焼室への吹き込みを開始するために、磁気ドライブ42がスイッチオンされ、それにより磁気アーマチャー43が圧縮ばね44の力に抗して押し戻される。これにより弁ばね84が弁球83をその解放位置に調節でき、弁球86はバルブタペット97によって開位置に調節される。よって、
図6及び7に従う例示の実施形態に関連して記載したように、中間室59内で高まった圧力のために、ピストン26が、したがってインジェクターニードル2も
図18及び19に従う解放位置に移動される。
【0191】
図20は、原則として
図16~19に従う実施形態と同じ設計のガスインジェクターを示す。違いは、実質的に、吹き込まれるガスがインジェクターニードル2を作動させるために使用される点である。これは、ハウジング1における付加的な圧力ポートの必要性を取り除く。吹き込まれるガスは、弁作動ピストン41の穴87を通して軸方向に供給される制御ポート132を通して供給される。それは、ガスが媒体室54に入るときに通る横穴175を有する。ここから、ガスの一部がハウジング1における穴55に入ることができ、そこを通ってガスは収容室8に流入できる。ここから、
図6及び7に関連して説明したように、ガスは、閉位置における弁板3によって閉じられたノズル室65に入る。
【0192】
ピストンばね11は収容室8内に位置し、一端でハウジング1に支持されており、その他端で補償ピストン101の端面に支持されている。ピストンばね11は、補償ピストン101の上に軸方向に突出するインジェクターニードル2の一部を取り囲む。
【0193】
ピストンばね11は収容室8に収納され、小さい距離を置いてインジェクターニードル2を取り囲むので、ハウジング1の外径を小さく維持できる。
【0194】
ハウジング1は、ピストンばね11の軸方向支持のための半径方向内側に突出するラジアルフランジ176を有する。
【0195】
媒体室54内のガスは、描かれた流れ矢印によって示されるように、弁ブロック79の端面177に流れる。
【0196】
図示の閉鎖位置では、弁作動ピストン41は弁球86をその閉鎖位置に押す。
【0197】
ピストンばね11は、インジェクターニードル2と共に補償ピストン101及びよってピストン26をも磁気ドライブ42の方向に付勢し、それにより弁板3はノズル開口4を閉じる。
【0198】
制御ポート132を介して供給される加圧ガスを燃焼室に吹き込むために、磁気ドライブ42はスイッチオンされ、それにより弁作動ピストン41は磁気アーマチャー43によって押し戻され、弁球86は弁ブロック79の穴80内に広がる圧力を受けてその開放位置に調節される。これにより、ガスは上述した方法で開いた弁82を通って中間室59に入ることができ、それにより、ピストン26は加圧され、ピストン11の力に抗して移動される。弁板3は、補償ピストン101及びインジェクターニードル2を介してその開位置に移動される。ゆえに、圧力下にあるノズル室65からのガスはエンジンの燃焼室に入る。
【0199】
吹き込みプロセスを終了するために、磁気ドライブ42はスイッチオフされ、それにより磁気アーマチャー43は圧縮ばね44及びしたがって弁作動ピストン41によって移動される。弁82はしたがって閉じられる一方、反対側の弁81は開かれる。よって、中間室59は解放され、それによりピストンばね11は、ピストン26及びインジェクターニードル2と共に補償ピストン101を押し戻すことができ、よって弁板3をその閉鎖位置に調節することができる。
【0200】
最適な吹き込み効果を実現するために、ノズル開口は異なって設計されてもよい。ガスと空気の混合の所望の効果に依存して、ノズル設計は異なって設計される。1つのパラメータは、ガスジェットの燃焼室への侵入深さである。この目的のために、最も高い可能性のある流速が有利である。流速は音速と等しいか、それより大きい。それにより、ガスは燃焼室の軸方向に垂直に吹き込まれるべきである。
【0201】
図21は、略60°の開口角度αを有するノズル開口4を示す。それによって、ノズル開口4は、それが吹き込み方向に連続的に広がるように設計される。図示の閉鎖位置では、弁板3はノズル開口4の内側に位置し、ノズル開口4を開けるためにインジェクターニードル2によって外側に燃焼室まで調節される。
【0202】
ノズル開口4の円錐壁はハウジング1の端面78まで延びる。
【0203】
このようなノズルの設計は、ガスの燃焼室への大きな吹き込み深さをもたらす。
【0204】
図34は、
図21に従うノズル設計により燃焼室144で生じる吹き込みガスの分布パターンを示す。非常に大きな吹き込み深さが実現され、それにより燃焼室144がガスを最適に充填されることが分かる。
【0205】
図22に従う実施形態では、ノズル開口4は120°の開口角度を有する。先の実施形態と同様に、開口壁はハウジング1の端面78に延びる。
【0206】
弁を開けるために、弁板3はやはり燃焼室に移動される。
【0207】
関連する流れパターンは
図32に示されている。ガスは主に燃焼室144の上側領域に広がる。
【0208】
図21及び22に従う設計では、閉鎖位置における弁板3はその端面によってハウジング1の端面78と面一に位置しているが、これは以下に記載する例示の実施形態のケースではない。
【0209】
図23に従うノズル設計は、ノズル開口4がテーパーセクション145に接続する円筒セクション146を有する。当該円筒セクションはハウジング1の端面78に延びる。同様に、テーパーセクション145は60°の開口角度αを有する。
【0210】
閉鎖位置では、弁板3はテーパーセクション145に密封して当接し、従ってハウジング1の端面78から離れている。
【0211】
円筒セクション146は、吹き込まれるガスのためのジェットガイドを形成する円筒ノズル隙間を形成する。円筒セクション146は、燃焼室144への侵入深さと燃焼室144内部のガスの分散の両方に影響を与えるために使用され得る。
【0212】
図24は、テーパーセクション145が、ハウジング1の端面78に延びる円筒セクション146に隣接するノズル設計を示す。テーパーセクション145は120°の開口角度αを有する。円筒セクション146は、ガスの燃焼室144への吹き込み深さを増加するために使用でき、それにより
図22に従う実施形態とは異なり、燃焼室144の下側領域もまたガスを充填され得る。
【0213】
閉鎖位置では、弁板3は同様に端面78から離れている。
【0214】
図25は、ノズル開口4を開くために弁板3が下方に燃焼室144内に調節される例示の実施形態を示す。
図21及び22に従う実施形態と同様に、閉鎖位置では、弁板3の端面は端面78と面一である。他の全ての点で、ノズル開口4は
図24に従う例示の実施形態と同じ設計を有する。
【0215】
弁板3は、円錐セクション148に隣接する円筒端部セクション149を有する。
【0216】
図24及び25に対応するノズル設計によって、
図33に従う噴射パターンが得られる。
図32との比較が、円筒セクション146の結果として、ガスが燃焼室144により深く吹き込まれ得ることを示す。
【0217】
図26に従う例示の実施形態によれば、ノズル開口4は
図24及び25に従う例示の実施形態と同じ設計を有する。
【0218】
弁板3は、
図25に従う例示の実施形態と同様の設計を有する。
図25に従う実施形態により、弁板3の端部セクション149は円筒形であるのに対し、
図26に従うばね板3の端部セクション149は僅かに円錐形設計を有し、その自由端の方向に広がっている。結局、ガスの燃焼室144への侵入深さに好ましい影響を有するベンチュリ効果が吹き込みプロセスの間に実現され得る。
【0219】
図27に従う実施形態によれば、インジェクターニードル2は、弁要素3を形成する円錐形テーパー端部を有する。ノズル開口4は、ハウジング1の端面78の方向に円錐状に先細りしている。ノズル開口4を解放するために、インジェクターニードル2は内側に引き込まれ、よって燃焼室144に入らない。
【0220】
ノズル開口4の開口角度は略90°になる。
【0221】
図28に従うノズル設計は、ノズル開口4の開口角度が60°であることにより特徴付けられ、ノズル開口4は、先の実施形態に従いハウジング1の端面78の方向に先細りしている。
【0222】
インジェクターニードル2はノズル開口4を開くために引き込まれる。
図35は吹き込みプロセスの間に作られる噴射パターンを示す。
【0223】
図29及び30に従う実施形態によれば、開口4の壁のテーパーセクション145は、ハウジング1の端面78に延びる円筒セクション146と隣接している。テーパーセクション145と円筒セクション146がインジェクターニードル2の軸方向において略同じ長さである
図24~26に従う実施形態と異なり、円筒セクション146はテーパーセクション145より軸方向に長い。
【0224】
テーパーセクション145は端面78の方向に先細り、60°(
図29)又は120°(
図30)の開口角度を有する。
【0225】
インジェクターニードル2は、閉鎖位置においてノズル開口4の円筒セクション146の内側に位置する円筒端部領域149を具備している。シールは、インジェクターニードル2の円錐セクション148を有するテーパーセクション145の領域で達成される。インジェクターニードル2が内側に引き込まれる場合、円筒端部領域149は、開口壁の円筒セクション146によって吹き込まれるガスのためのリング型ノズル隙間を形成する。
【0226】
図30に従う例示の実施形態によれば、テーパーセクション145の開口角度は120°である。テーパーセクション145の軸方向長さは、先の実施形態のものより相当小さく、同様にハウジングの端面78に延びる円筒セクション146の軸方向長さより相当小さい。他の全ての点で、ノズル設計は、
図29に従う実施形態と同じである。インジェクターニードル2はノズル開口4を開けるために引き込まれる。
【0227】
図31に従う例示の実施形態によれば、ノズル開口4は、60°の開口角度を有するテーパーセクション145であって、ハウジング1の端面78の方向に先細りするテーパーセクション145のみを有する。円筒端部領域149は、閉鎖位置において殆どその全長にわたり端面78を越えて突出しており、ガスの燃焼室144への噴き出しの際噴射をガイドするために使用される。
【0228】
図36~39は、燃焼室144へ吹き込まれるガスの量がノズル隙間を設定することで設定され得る様々な可能性を示す。
【0229】
図36及び37に従うガスインジェクターは、
図6及び7に従うガスインジェクターに一致する。
図36及び37は対応するノズル端部をより詳細に示す。インジェクターニードル2は、ハウジング1を越えて軸方向に突出するノズル99に延びる。ノズル99は、閉鎖位置においてインジェクターニードル2の弁板3により閉じられ得るノズル開口4を有する。
【0230】
ノズル99は、設定ナット157が係合する外側に突出するラジアルフランジ156を有する。それはハウジング1の軸方向環状突起158にねじ込まれている。ノズル隙間を粗設定する設定ディスク160と微設定する設定ディスク161が、ラジアルフランジ156と、突起158の端面159の間に位置している。
【0231】
設定ディスク160,161の両方が、環状シール162によってハウジング1の突起158に対して密封されたノズル99に着座している。
【0232】
ノズル隙間の粗設定は、突起158の端面156に当接する設定ディスク160により行われる。このような設定ディスク160の厚さが、ノズル隙間のサイズを最初に粗く決定する。設定ナット157により、有利には板ばねである設定ディスク161は、ハウジング1の突起158にねじ込まれると軸方向に弾性変形され、設定ディスク160は環状フランジ156に及び設定ディスク160に支持される。
【0233】
図36に従う実施形態によれば、ガスインジェクターは、
図6及び7に基づき例として説明したように、燃焼室まで外側に開口している。設定ナット157は設定ディスク161の非常に敏感な弾性変形を許容し、それにより軸方向におけるノズル99とインジェクターニードル2の間の距離がガスインジェクターの設置の間に微設定され得る。ばね付勢された設定ディスク161はμmレンジの調節を可能とする。
【0234】
インジェクター流れの較正は試験台で行われる一方、ガスの流れがノズルにて生じる。それにより、設定ナット157を回すことで、所望の流れが実現されるようにノズル隙間は設定される。その際、ガスインジェクターは較正され、エンジンの燃焼室へ吹き込まれるガス量のために必要な精度を有する。
図40は、例としてガスインジェクターの較正曲線を示す。
【0235】
特性曲線163は例として正常特性曲線(nominal characteristic curve)である。他の2つの特性曲線164,165は、例として、正常特性曲線163から逸れる測定ガスインジェクターの特性曲線を示す。
【0236】
特性曲線165は正常特性曲線163と同じ勾配を有し、よって特性曲線165が正常特性曲線163に一致するようにノズル99は設定ナットによりインジェクターニードル2に対して設定され得る。
【0237】
他の例示の特性曲線164は、正常特性曲線163の傾斜とは異なる傾斜を有する。この傾斜の差異は、例えばガスインジェクターについてのバーコード情報として記憶され得る。ガスインジェクターが燃焼機関に取り付けられると、バーコードが読み取られ、エンジン制御系に伝えられる。よって、吹き込まれるガス量が制御装置を介して設定され、それが逸れた特性曲線164にもかかわらず必要なガス量に一致する。
【0238】
この設計に基づき、ガスインジェクターの製造は吸気量に関して所望の精度を損なわずに非常に簡単である。
【0239】
図37に従う実施形態によれば、設定ディスク161が塑性変形可能である。それは、ノズル99のラジアルフランジ156と、ハウジング1の軸方向突起158の端面159の間で設定ナット157により軸方向に変形される。
【0240】
図38は、ガスインジェクターを有するノズル噴射の設定を行う可能性を示し、そのインジェクターニードル2も内側に開口している。このガスインジェクターは
図4及び5に従う実施形態に一致する。所望のガス流れを設定するために、少なくとも1つの弾性のある又は可塑性のある設定要素166が使用され、当該設定要素はリングとして設計され、弁クランプナット56により軸方向に変形される。設定要素166は、ハウジング1の内側のリング型ショルダー167と弁クランプナット56の半径方外側環状ショルダー168の間に位置している。設定すべき流速に依存して、弁クランプナット56はハウジング1に様々な程度にねじ込まれ、設定要素166は対応的に軸方向に変形される。
【0241】
図39は、例として流速がノズル99及びインジェクターニードル2を対応的に調節することでも調節され得ることを示す。ガスインジェクターは
図6及び7に一致する態様で設計されている。ノズル99は、直径の減少したその端部セクション169によりハウジング1にねじ込まれている。ノズル99は、ハウジング1の端面159にある中央凹部170に位置するラジアルフランジ156を有する。軸方向に塑性変形又は弾性変形可能であるリング型設定要素166は、凹部170のベース171とラジアルフランジ156の間に位置している。ノズル99にねじ込むとき、ハウジング1に対するノズル99の軸方向位置は、設定要素166の対応する変形によって正確に設定され得る。
【0242】
さらなるリング型設定要素166が、インジェクターニードル2と補償ピストン101の間に設置されている。補償ピストン101は段階貫通孔172を有し、それを通ってインジェクターニードル2が突出する。それはその自由端でピストン26の軸方向穴92にねじ込まれる。
【0243】
インジェクターニードル2と貫通孔172は各々、ラジアルショルダー173,174を有し、その間にリング型設定要素166が位置している。インジェクターニードル2がピストン26に又はそのアタッチメント107にねじ込まれると、それは軸方向に変形される。このようにして、軸方向変形の程度に依存して、軸方向におけるインジェクターニードル2の位置が設定され得る。
【0244】
図41は、ノズル出口領域における表面のコーティングの可能性を例として示す。インジェクターニードル2は、ガスが前述した方法で内燃機関の燃焼室に出ることができるようにその開位置に位置する弁板3を有する。ハウジング1のノズル開口4は、自由端の方向に円錐状に広がっている。ノズル開口4の円錐壁228は、円錐壁228の上側全体を覆うコーティング178を有する。このようなコーティングは弁ブロック79(
図4及び5)とその弁座に対しても備えられ得る。
【0245】
有利には、弁板3もその上側にコーティング179を具備しており、当該コーティングは弁板3の円錐壁を完全に覆う。
【0246】
弁板3のコーティング179は、摩耗保護として機能し、例えば炭素(DLC)層によって又は炭化タングステン層によって形成され得る。ノズル開口壁228へのコーティング178は予行演習に関して特に有利である。コーティング178もまた付加的な摩耗保護を形成し、例えば炭化タングステン、DLC又は別な適切な材料で作られてもよい。
【0247】
図42は、ガスを内燃機関の燃焼室に狙い通りに供給する可能性を例として示す。この目的のために、インジェクターニードル2は弁板3の領域に渦巻構造180を具備している。原則として、渦巻構造180はまたノズル開口4の壁228に設けられてもよい。ガスが燃焼室に入るときに渦巻き、よって燃焼室で空気とより良く混合され得るように、渦巻構造180は設計される。これは、燃料-空気混合物のより良い均一化をもたらす。
【0248】
渦巻構造180は、弁板3又は壁228の周囲の周りに設けられており、弁板3の端面181から延びる互いに距離を置いた複数の溝によって形成されている。有利には、溝は、弁板3の軸方向高さ又はノズル開口4の壁228の軸方向高さの半分以上にわたって延びる。溝は長く延び、それらの中心線182が
図42に従い半径方向に見て、インジェクターニードル2の軸183と鋭角αを含むように溝は配置されている。
【0249】
ノズル開口4が弁板3によって解放される場合、ガスは、前述した方法で弁板3とノズル開口4の壁の間の環状隙間を通って燃焼室に流れる。ガスが燃焼室に入るときに渦巻くことを、渦巻構造180は保証する。渦巻き角度αは、所望の渦巻き効果及び入って来る新鮮な空気に依存する。したがって、所望な渦巻き効果は、渦巻構造180の対応する設計によって、例えば渦巻構造の溝の対応する成形によっても設定され得る。
【0250】
図43は、ハウジング1を対応的に成形することでガスインジェクターを出るガス噴射のガイドを設定する可能性を示す。ガスインジェクターのハウジング1は、ノズル開口4に隣接するスリーブ形延伸部184を具備している。それは円筒状に設計され、内壁185を有すると有利であり、その内法幅は弁板3の外径より大きい。そのため、ガスインジェクターが開けられると、それは内壁185によって画定される延伸部184の内部室186に容易に移動され得る。
【0251】
有利には、内壁185は、ラジアルリング型オフセット187を介して、ノズル開口4を境界付ける円錐壁188に融合する。
【0252】
延伸部184は、インジェクターニードル2が開いているときに出るガスであって、内燃機関の燃焼室に入る前に内壁185によって導かれるガスのためのジェットガイドを形成する。
【0253】
延伸部184の長さは燃焼室での所望の噴射形状に依存する。延伸部184はまた、ガスインジェクターの使用中に生成される熱が良く排出され得るという利点をも有する。
【0254】
延伸部184は有利にはハウジング1と一体に設計される。
【0255】
図44~54は、ガスインジェクターが内燃機関のシリンダー189aのシリンダーヘッド189に接続され得る様々な可能性を示す。簡単化のために、シリンダー189a及びシリンダーヘッド189は互いに一体に示されている。もちろん、シリンダーヘッド189はシリンダー189aに密封して接続されている。
【0256】
シリンダー189aは、複数の燃焼室190を有し、燃焼室は各々ピストン(不図示)を含む。
図44~54に従う例示の実施形態によれば、ガスは横に燃焼室に吹き込まれる。
図44~54に従う図示の例示の実施形態から逸れて、ガスインジェクターが燃焼室190の軸191と平行なシリンダーヘッド189に接続されてもよい。この場合、接続は燃焼室軸191に関して偏心して行われる。
【0257】
ガスインジェクターがガスを燃焼室190に供給するためにシリンダーヘッド189に取り付けられ得る限り、燃焼室軸191に関するガスインジェクターの角度位置は自由自在である。
【0258】
燃焼室190はテーパー型壁192によって上側を画定され、テーパー型壁にガスインジェクターのための設置開口193が開口している。設置開口193の軸は燃焼室軸191に対して鈍角で位置している。
【0259】
図45が示すように、弁板3が閉鎖位置において燃焼室190に突出しない程度に、ガスインジェクターのハウジング1は設置開口193に挿入されている。設置開口193の傾斜位置のために、設置開口193の壁194はその周囲の一部にわたって弁板3を越えて突出している。設置開口193のこの突出円筒セクションは、設置開口193から燃焼室190に入る前に、ガスインジェクターを出るガスのための円筒ジェットガイドを形成する。
【0260】
ハウジング1は設置開口193に気密に適切に取り付けられている。設置開口193はその全長に沿って一定の断面を有する。
【0261】
図46に従う実施形態によれば、弁座に隣接する設置開口193は、直径が小さい円筒セクション196に隣接する円錐領域195を有する。それは燃焼室190の壁192に開口している。テーパーセクション196はガスインジェクターの長手軸と同軸である。ガスが燃焼室190に導入される場合にガスインジェクターの弁板3がその開口位置に容易に調節され得るように、円錐領域195は設計されている。薄いセクション196は、薄いセクション196において加速されるガスのジェットガイドを形成する。これは、ガスと新鮮な空気のより良い混合を可能にする。
【0262】
図47は、燃焼室190に入る前に円筒ジェットガイド197を介してガスインジェクターを出るガスを転向する可能性を示す。ジェットガイド197は燃焼室190の壁192に開口している。
【0263】
ガスは、ジェットガイド197と隣接する円筒セクション198の長手軸に関して90°より大きい角度で転向される。この転向角度は設置条件に及び/又は吹き込まれるガスの種類に適合され得る。ジェットガイド197は、シリンダーヘッド189における設置開口193に挿入された対応的に設計された構成部品によって形成され得る。
【0264】
設置開口193の対応する設計によって、転向のために機能するジェットガイド197をシリンダーヘッド189に直接設置することも可能である。
【0265】
ばね板3がその開位置に移動される場合、それは円筒セクション198に入り込む。
【0266】
図48~50に従う実施形態によれば、ガスの燃焼室190への転向吹き込みが、円筒状ギャップ型(スリット型)ジェットガイド199(
図48~50における太線)を介して行われる。それは、シリンダーヘッド189の設置開口193に挿入される独立構成部品201によって形成され得る。しかしながら、ジェットガイド199はやはり設置開口193に直接組み込むこともできる。
【0267】
ガスインジェクターは、燃焼室190から見て、ジェットガイド199のすぐ後ろに位置している。ガスインジェクターが開くと、ガスは弁板3を過ぎて最初に小さい分配室200に流入し、そこに円筒状ギャップガイド199が通じている。
【0268】
図48が示すように、ジェットガイド199はインジェクター又はそのハウジング1の軸方向延伸部に最初に延び、次いで燃焼室190の壁192の方向に屈曲するよう設計されている。
【0269】
分配室200はなるべく小さく設計されるべきである。結局、構成部品201は一方でコンパクトな寸法を有し、他方でこれはガスを円筒状ジェットガイド199に確実にガイドする。それは構成部品201の長さに沿って延び、円筒外側部品202と内側部品203の間に形成される。
【0270】
ガスは円筒ジェットガイド199から燃焼室190に環状に流出する。
【0271】
図51に従う例示の実施形態によれば、構成部品204がシリンダーヘッド189の設置開口193に挿入されている。当該構成部品は円筒輪郭を有し、設置開口193に適切に固定されている。有利には、構成部品204は、燃焼室190から離背するその端部で環状ショルダー205に当接する。それは構成部品204を設置開口193に設置する際のストッパとして機能する。
【0272】
断面円形であって燃焼室190の壁193に開口した細いジェットガイド206が、構成部品204を通って延びる。ジェットガイド206は最初はガスインジェクターの軸と同軸であり、次に壁193に開口する端部セクションに屈曲して移行している。
【0273】
ガスインジェクターの弁板3が開位置において突出する分配室200は、ガスインジェクターと細いジェットガイド206の間に位置している。
【0274】
ガスは、ガスインジェクターを出た後、細いジェットガイド206内で加速され、これは燃焼室190での後続の燃焼プロセスにとって有利である。
【0275】
図52~54は、シリンダーヘッド189の設置開口193に設置された構成部品207を示す。先の実施形態に従い、構成部品207は、燃焼室側から設置開口193に挿入され、適切な方法で適所に保持される。穴208が構成部品207にあり、分配室200から構成部品207に延びる。
【0276】
穴208は構成部品207の端面209の前で距離を置いて終端している。
【0277】
ノズル開口210は端面209にある。例として、それらノズル開口は、特に
図44に示されるように、互いに距離を置いて円上に配置される。
【0278】
ノズル開口210は、細い穴211によって穴208に接続されている。
【0279】
ノズル開口210を有する穴211は、ガスインジェクターを出るガスが燃焼室190を扇形に出ることを保証する。これは、燃焼室190でのガスと新鮮な空気の良好な混合を可能にする。
【0280】
図55は、インジェクターニードル2の簡単な固定を例として示す。それは図式的にのみ示されている。
【0281】
固定装置は、中央貫通孔213を具備した締め付けねじ212を有する。貫通孔213の内壁はラジアルショルダー214を有し、そこにインジェクターニードル2が設置位置において対応するショルダー215により接触する。このようにして、インジェクターニードル2は、その長さに沿ってインジェクターニードル2の外側に当接する締め付けねじ212に軸方向に固定される。
【0282】
締め付けねじ212はストッパ表面216を具備し、それによりそれが設置位置においてインジェクターハウジング1の対応する噛み合い表面に接触する。ストッパ表面216は、締め付けねじ212の長さに沿って略中間に位置するラジアルフランジ217に設けられている。
【0283】
一端では、締め付けねじ212は、ナット220の雌ねじ219と協働する雄ねじ218を具備している。
【0284】
ナット220は、スリーブ形に設計され、一端に中央テーパー開口222を具備したベース221を有する。それは、ベース221の外側223から連続的に先細りしている。テーパー開口222は少なくとも2つのコレットチャック要素223を収容する。それらは両端によりテーパー開口222から突出し、テーパー面によってテーパー開口222の壁に当接する。
【0285】
インジェクターニードル2は、コレットチャック要素223を通って突出し、コレットチャック要素は、円柱クランプ面224でインジェクターニードル2の円柱外側に当接し、これを締め付ける。
【0286】
コレットチャック要素223はそれらのより広い端部で、保持リング226によって軸方向に固定された支持ディスク225に当接する。保持リング226は、ナット220の上に突出するインジェクターニードル2の一部の外側において環状溝227と係合する。
【0287】
コレットチャック要素223が設置位置及び締め付け位置において締め付けねじ212から十分な軸方向距離を有するように、雌ねじ219はナット220に設けられている。
【0288】
締め付けねじ212がナット220にねじ込まれる場合、インジェクターニードル2は、コレットチャック要素223及びテーパー開口222の互いに接触した円錐表面を介してコレットチャック要素223に確実に締め付けられる。ナット220の対応する回転がコレットチャック要素223をテーパー開口222に引っ張り、それによりそれらコレットチャック要素を半径方向内側に移動させ、インジェクターニードル2を締め付ける。
【符号の説明】
【0289】
1 インジェクターハウジング
2 インジェクターニードル
4 出口開口
26 ピストン
190 燃焼室
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、請求項1,2の総称に従う、ガスを自動車の燃焼室に又は吸気マニホルドに吹き込むインジェクターに関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
この目的は、請求項1,2の特徴部分を有する本発明に従う一般的なインジェクターにより達成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスのための入口(63,123)と、インジェクターハウジング(1)の出口開口(4)を閉鎖可能であって、圧力制御により閉鎖位置から開位置に調節可能であるインジェクターニードル(2)
とを有する、ガス
を燃焼室(190)に又は
燃焼機関の吸気マニホルド、好ましくは自動車用の内燃機関の吸気マニホルドに吹き込むインジェクター
であって、
前記インジェクターニードル(2)は、一つの方向に閉鎖圧力を受けていて他の方向に弁制御された制御圧力を受ける少なくとも1つのピストン(26)に軸方向に固定して接続されており、
前記制御圧力により前記ピストン(26)は前記インジェクターニードル(2)を前記開位置に調節するために作動可能であ
り、前記制御圧力が圧力室(59)に供給される、インジェクター
において、
前記入口(63,123)又は制御媒体用の接続部(71)が、第1弁(41,61;82,83)によって前記圧力室(59)から分離された媒体室(38;54)に接続しており又は接続され得、前記第1弁は、弁作動ピストン(41)を含むアクチュエータにより作動可能であり、前記弁作動ピストン(41)は、第1位置において前記媒体室(38;54)から前記圧力室(59)へのアクセスを閉鎖し、第2弁(35;82;81)と協働し、前記第2弁は、前記弁作動ピストン(41)の第1位置において開位置に保持され、前記弁作動ピストン(41)の第2位置において閉鎖され、それにより前記制御圧力が前記圧力室(59)に広がり、そのため前記第1弁(41,61;82,83)が開けられる、ことを特徴とするインジェクター。
【請求項2】
ガスのための入口(63,123)と、インジェクターハウジング(1)の出口開口(4)を閉鎖可能であって、圧力制御により閉鎖位置から開位置に調節可能であるインジェクターニードル(2)とを有する、ガスを燃焼室(190)に又は燃焼機関の吸気マニホルド、好ましくは自動車用の内燃機関の吸気マニホルドに吹き込むインジェクターであって、
前記インジェクターニードル(2)は、一つの方向に閉鎖圧力を受けるピストンであって、前記インジェクターニードル(2)を前記開位置に調節するために他の方向に移動可能である少なくとも1つのピストン(26)に軸方向に固定して接続されている、インジェクターにおいて、
前記インジェクターニードル(2)は、磁気アーマチャー(43)が軸方向に固定的に配置されている作動ピストン(41)の軸方向穴(87)と整列した軸方向穴(91)を有し、
前記作動ピストン(41)の前記軸方向穴(87)は、前記ガスのための入口(123)に接続されており、
前記インジェクターニードル(2)は、前記出口開口(4)に向かい合う前記ピストン(26)の側に設置された補償ピストン(101)に軸方向に固定的に接続されており、前記補償ピストン(101)は、前記作動ピストン(41)の前記軸方向穴(87)を閉じる逆止め弁(133)が配置されたスリーブ形ガイド部品(31)を有し、前記作動ピストン(41)は、前記磁気アーマチャー(43)を引き付けることで軸方向に移動され、それにより前記逆止め弁(133)は開かれ、前記インジェクターニードル(2)は前記ピストン(26)及び前記補償ピストン(101)を介して移動される、ことを特徴とするインジェクター。
【請求項3】
前記アクチュエータ(42)は、前記弁作動ピストン(41)の前記第1位置では作動されず、前記弁作動ピストン(41)の前記第2位置では作動される、ことを特徴とする請求項1に記載のインジェクター。
【請求項4】
前記第1弁(35,8
2)が閉じられているときに、前記インジェクターニードル(2)はその閉鎖位置を占める、ことを特徴とする請求項
1~
3のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項5】
前記さらなる弁(81)は、前記ピストン(26,101,102)によって境界付けられる圧力室(8,59)に流れ接続している、ことを特徴とする
請求項1~4のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項6】
吹き込まれるガスが前記制御圧力を実現するために使用される、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項7】
付加的な圧力媒体が前記制御圧力を実現するために使用される、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項8】
前記インジェクターハウジング(1)
又は前記インジェクターニードル(2)は、ガスの残留部分のための少なくとも1つの戻り配管(66
,69,91;92,95,60)を有し、そこに当該戻り配管(66)の方向に閉じる少なくとも1つの逆止め弁(67)が着座している、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項9】
前記第1弁(35
,81,82)が開いているとき、前記戻り配管(66
,69,91;92,95,60)は前記圧力室(59)にライン接続されている、ことを特徴とする請求項
8に記載のインジェクター。
【請求項10】
少なくとも1つのベローズ(25,106)又は少なくとも1つのピストン密封リング(151,152;154,155)が前記インジェクターニードル(2)を密封するために設置されている、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項11】
前記弁作動ピストン(41)は中空ピストンとして設計され、圧力媒体によって作用され得る、ことを特徴とする請求項
1~
10のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項12】
前記アクチュエータ(42)は磁気ドライブである、ことを特徴とする請求項
1~
11のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項13】
切替漏れが吸気マニホルド(150)に又は容器に
又は前記燃焼室に供給される、ことを特徴とする請求項1~
12のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項14】
前記インジェクターニードル(2)は、吹き込まれるガスのための通路(91)を有する(
図12及び1
3)、ことを特徴とする請求項1~
13のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項15】
設定装置(157,160,161;
156,166;2,99,166)がノズル開口ストロークを設定するために設置される、ことを特徴とする請求項1~
14のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項16】
前記設定装置が少なくとも1つの軸方向に変形可能な設定要素(160,161,166)を有する、ことを特徴とする請求項
15に記載のインジェクター。
【請求項17】
前記設定要素(160,161,166)が弾性変形可能な又は塑性変形可能なディスクである、ことを特徴とする請求項
16に記載のインジェクター。
【請求項18】
前記出口開口(4)又は前記インジェクターニードル(2)が
又は設置開口(193)がシリンダーヘッド(189)に直接、所望の吹き込み深さ及び/又は所望のガスの吹き込みパターンを実現するため
に少なくとも1つのガスガイド領域(146,149,184,195,196,197,199,206)を有する、ことを特徴とする請求項1~
17のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項19】
ガスインジェクターの特徴的な特性がバーコードなどに記憶されている、ことを特徴とする請求項1~
18のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項20】
前記インジェクターニードル(2)は、少なくとも前記弁座(3,4)の領域に
、及び/又は前記弁座(3,4)
は、摩耗保護としてのコーティング(178,179)を具備している、ことを特徴とする請求項1~
19のいずれか一項に記載のインジェクター。
【請求項21】
前記インジェクターニードル(2)は少なくとも1つの楔要素(223)によって締め付けられている、ことを特徴とする請求項1~
20のいずれか一項に記載のインジェクター。
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】