(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ホイール発電機
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B60C23/04 120B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570332
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022051023
(87)【国際公開番号】W WO2022167214
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523293563
【氏名又は名称】ケーイーエス・テック・グループ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・フォン・シュテンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マイク・クラウス
(57)【要約】
本発明は、ホイール発電機、具体的には、道路との接触によるホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを生成するための変換器、当該変換器を含む、電気エネルギーを生成するためのシステム、および当該システムを含む車両またはホイールに関する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面との接触に起因するホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを獲得するための変換器であって、
a)少なくとも1つのレバー要素(1)であって、その第1の端において、回転可能に収納され、その第2の端において、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形がレバー要素の回転運動を引き起こすように、少なくとも1つの接触要素(2)を介してホイールタイヤの内側と接触するように構成される、少なくとも1つのレバー要素と、
b)該レバー要素(1)の回転運動に起因して発生する力を伝達するのに好適である機械結合要素(4)と、
c)伝達された力を電気エネルギーへ変換するように構成される少なくとも1つの発電機(5)と、を含み、
ここで、レバー要素(1)の第2の端において、接触要素(2)は、該接触要素(2)がレバー要素とホイールタイヤとの接触を確立するように回転軸周りにレバー要素において回転可能に収納され、接触要素(2)の回転軸は、ホイールの回転軸に実質的に平行に延び、ホイール中心Mからのレバー要素(1)の支点Nの距離Aと、ホイールタイヤの内側との接触要素の接点K、ただしレバー要素あたりに複数の接触要素がある場合には支点Nから最大距離を有する接点からの支点Nの距離Bとの合計(A+B)は、ホイールタイヤの内側の半径Rに対して((A+B)/R))、102%~110%の範囲内にあることを特徴とする、前記変換器。
【請求項2】
発電機(5)は、機械結合要素(4)によって伝達される力を電気エネルギーへ変換するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
接触要素(2)は、その支点周りの回転に関して実質的に回転対称の形状を有し、特に、ローラに相当することを特徴とする、請求項1または2に記載の変換器。
【請求項4】
接触要素(2)は、回転に関して、その支点の周りを自由に回転されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項5】
接触要素(2)は、回転に関して、その支点の周りを360°自由に回転されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項6】
レバー要素(1)の支点Nは、ホイールの回転軸に実質的に平行に延びることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項7】
ホイールの回転軸周りに回転対称に配置される少なくとも2つのレバー要素(1)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項8】
ホイールの回転軸周りに回転対称に配置される少なくとも2つの発電機(5)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項9】
レバー要素(1)は、フリーホイールクラッチ(3)を介して力を機械結合要素(4)に伝達することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項10】
すべてのレバー要素(1)は、力を共通の機械結合要素(4)に伝達することを特徴とする、請求項7~9のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項11】
機械結合要素(4)は、レバー要素(1)が経験する力をすべての発電機(5)に伝達することができるように構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項12】
機械結合要素(4)は、外面もしくは内面歯を伴うリング、チェーン、またはベルト、特に歯付きベルトを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項13】
路面との接触に起因するホイールタイヤの変形によって引き起こされるレバー要素の回転運動における力を用いて、第1の端周りのレバー要素(1)の回転を付勢する、レバー要素(1)のための付勢手段をさらに有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の変換器。
【請求項14】
路面との接触に起因するホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを獲得するためのシステムであって、請求項1~13のいずれか1項に記載の変換器、ならびに支持構造体としてホイールリムを含む、前記システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムを含む車両またはホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイール発電機、具体的には、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを獲得するための変換器に関する。特に、本発明は、請求項1のプリアンブルの構成を有する変換器に関する。本発明はまた、電気エネルギーを獲得するためのシステム、ならびに当該システムを含む車両またはホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
車両タイヤ、特に、空気タイヤは、転動過程の間、接触面の領域内に負荷がかかると変形される。この過程において、タイヤは、屈曲され、加熱に起因して動力伝達中にエネルギーの損失がある。この効果は、屈曲と称される。
【0003】
タイヤを屈曲させるために要する力は、転がり抵抗の主要成分であり、車両の駆動力に反して作用する。一方で、増大した屈曲は、こうして、車両の燃料消費の増加を直接的に引き起こし、さらにはタイヤの耐用年数も低減し得る。他方で、タイヤの特定の変形、したがって地面上のタイヤの接触面積の増加は、車両のトラクション係数を増加させる目的のため、および運転快適性を高める目的のためにも、非常に望ましい。したがって、典型的には、空気タイヤ内の空気圧は、屈曲と車両のトラクションとの間を取って設定される。
【0004】
タイヤの屈曲に起因するエネルギー損失は、空気抵抗と共に、車両内の総エネルギー損失の主要成分の1つである。したがって、特に電気自動車の分野において、車両タイヤの屈曲を利用することに基づいた回復(特に車両バッテリに電力供給するための、エネルギー回収)のためのシステムの開発が、ここ数年関心を集めている。
【0005】
車両タイヤ上または内でエネルギーを獲得するための様々な方法およびシステムは、主に、タイヤ内に配置される多様なタイヤ監視センサ、例えば、タイヤ圧センサに電気エネルギーを供給するために、先行技術において知られている。
【0006】
特許文献1は、したがって、タイヤ内の発電機を開示しており、ここでは、地面と接触状態にあるとき、ホイールとタイヤとの間のタイヤの内側部で発生するわずかな変形および空間の低減を使用して、往復運動が生成され、デバイスが、発電機を回転させるために活性化される。
【0007】
さらには、特許文献2は、ホイールの駆動面と中心軸との間のホイールの弾性変形を利用することによって車両の転動するホイール内で電気エネルギーを生成するエネルギー変換器を開示する。このエネルギー変換器は、回転軸周りに回転可能に装着される突出アームを伴うレバー要素を有し、レバー要素は、ホイールの中心軸に向かうトレッドの変形が突出アームの接触面に作用する力を発生させ、接触面に作用する力が回転軸の周りでポンプ回転方向に突出アームの回転運動を引き起こすように、車両のホイールに配置されるように構成される。
【0008】
しかしながら、先行技術において知られる変換器では、ホイールタイヤとの直接接触が、リムに固く接続されるレバーまたは突出アームとの間で起こる。おそらくは、およそ50km/h以下の典型的な自動車タイヤでの、より高い速度では、レバーとホイールタイヤとの間の直接接触が、接点におけるタイヤ材料のかなりの加熱、タイヤ材料の軟化、および粘着性の増加、ホイールへの損傷、したがって最終的には発電機の故障を結果としてもたらすことが示されている。
【0009】
特許文献3は、タイヤ内に機械式および好ましくは油圧ポンプを有する車両を開示する。タイヤが回転する際に、車両の重量が貯蔵タンクを揚水する。貯蔵タンク内の圧力は、車両を直接的または間接的に駆動するために使用される。ポンプは、ローラを保持するブラケットによって駆動される。これらは、タイヤの内側で、特別に設計されたビーズと接触する。
【0010】
先行技術において知られるすべての変換器において、レバー要素は、タイヤの内側の表面に対して45°をはるかに下回る角度でさらに配置される。一方で、これは、接点においてレバーとタイヤの内側の表面との間の直接接触の結果として発生する力を低減する。しかしながら、他方で、これは、レバー要素の効果的な変位、すなわち、それらが運動の間に通り過ぎる角度範囲を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際特許第WO2015/054763 A1号
【特許文献2】欧州特許第EP3540 921 A1号
【特許文献3】米国特許第2004/0130157 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、先行技術の問題を有さない、および特に、高効率で、より高い速度でさえも信頼性の高い動作を保証する、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを獲得するための変換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを獲得するための変換器を用いて本発明に従って達成され、本変換器は、少なくとも1つのレバー要素であって、その第1の端において、回転可能に収納され、その第2の端において、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形がレバー要素の回転運動を引き起こすように、少なくとも1つの接触要素を介してホイールタイヤの内側と接触するように構成される、少なくとも1つのレバー要素と、レバー要素の回転運動に起因して発生する力を伝達するのに好適である機械結合要素と、機械結合要素によって好ましくは伝達される力を電気エネルギーへ変換するように構成される少なくとも1つの発電機と、を含み、レバー要素の第2の端において、接触要素は、接触要素がレバー要素とホイールタイヤとの接触を確立するように回転軸周りにレバー要素内に/レバー要素において回転可能に収納され、接触要素の回転軸は、ホイールの回転軸に実質的に平行に延び、ホイール中心Mからのレバー要素(1)の支点Nの距離Aと、ホイールタイヤの内側との接触要素の接点K、ただしレバー要素あたりに複数の接触要素がある場合には支点Nから最大距離を有する接点からの支点Nの距離Bとの合計(A+B)は、ホイールタイヤの内側の半径Rに対して((A+B)/R))、102%~110%の範囲内にある。有利な実施形態は、従属クレームの主題である。
【0014】
本発明は、既知の発電機の場合、リムに固く接続される発電機のレバーまたは突出アームが、それらがホイールタイヤを直接接触するときに摩擦を引き起こし、結果として強い局所加熱を発生させるという認識に基づく。ホイールタイヤは、その屈曲運動の間、リムに対して非線形運動を実施し、すなわち、準拠系としてのリムから開始して、路面に接触するホイールタイヤの規定の部分の動きは、ホイール回転の間は直線上にないが、表面に外接する。単に回転可能に装着されるレバーまたは突出アームの場合、ホイールタイヤの対応する接触面および接触するレバーまたは突出アームの相対運動は、したがって、ホイールが回転するときに発生し、それらの間に摩擦をもたらす。後者は、特により高い速度で、典型的な自動車タイヤではおよそ50km/h超ほどの低さで、既知の発電機の故障につながるようである。さらには、レバー要素は、タイヤの内側の表面に対して45°をはるかに下回る角度で配置される。一方で、これは、接点においてレバーとホイールタイヤとの直接接触の結果として発生する力および摩擦を低減する。しかしながら、他方で、これは、レバー要素の効果的な変位、すなわち、それらが運動の間に通り過ぎる角度範囲を低減する。
【0015】
本発明によると、ここで驚くべきことには、この問題は、具体的には、一方で、少なくとも1つの接触要素、典型的には、ローラまたはローラの部材(ローラセグメント)は、接触要素がレバー要素とホイールタイヤとの接触を確立し、接触要素の回転軸がホイールの回転軸に対して実質的に平行に延びるように、レバー要素の第2の端において回転可能に収納されることが理由で、手段の組み合わせにより解決することができる。接触要素は、回転軸の周りでレバー要素の第2の端において回転可能に収納され、レバー要素とホイールタイヤとの接触を確立する。その回転可能な装着のおかげで、それ自体の転動運動を介してホイールタイヤとレバー要素との相対運動を補償すること、したがってホイールタイヤとレバー要素との摩擦を最小限にするか、または防ぐことができる。他方で、レバー要素の変位、すなわち、それらが運動の間に通り過ぎる角度範囲は、ホイール中心Mからのレバー要素の支点Nの距離Aと、ホイールタイヤの内側との接触要素の接点K、ただしレバー要素あたりに複数の接触要素がある場合には支点Nから最大距離を有する接点からの支点Nの距離Bとの合計(A+B)が、ホイールタイヤの内側の半径Rに対して((A+B)/R))、102%~110%の範囲内にある場合、かなり増加される。(A+B)/Rのためのこの値範囲は、レバー要素がタイヤの内側とほぼ垂直に反対に配置されるように、先行技術と比較してレバー要素のかなりより「伸展した」配置を意味する。これは、ホイールタイヤとレバー要素との間の力および相対運動を増加させるが、それは、レバー要素が発電機の効果的な駆動を確実にすることができるそれらの動きの間に通り過ぎる角度範囲を増加させることだけで、現状で高効率を可能にする。
【0016】
本発明は、これより好ましい実施形態に基づいてさらに詳細に説明される。
【0017】
路面との接触に起因するホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを獲得するための本発明による変換器であって、ホイールが典型的には圧縮空気で充填されるホイールタイヤを含む、変換器は、少なくとも1つのレバー要素を含み、少なくとも1つのレバー要素は、その第1の端において回転可能に収納され、その第2の端において、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形がレバー要素の回転運動を引き起こすように、少なくとも1つの接触要素を介してホイールタイヤの内側と接触するように構成される。
【0018】
レバー要素の回転運動は、典型的には、第1の端における回転軸N周りのレバー要素の部分回転(枢動運動)として理解される。したがって、レバー要素は、実質的に水平な駆動平面の上で転動する負荷ホイールの転動過程の間、接触要素により接触面の領域において発生するホイールタイヤの変形を検出し、それらをレバー要素の第1の端における回転軸N周りの回転運動へと変換するように特別に設計される。したがって、レバー要素は、それ自体がタイヤの内側と直接接触するのではなく、むしろ、少なくとも1つの接触要素を介してそれと接触状態にあるだけである。変換器の1つの実施形態によると、接触要素またはレバー要素は、したがって、レバー要素の接触要素の接触面がホイールのタイヤの内面との接触を確立するように設計されるように構成される。
【0019】
レバー要素は、その第1の端において、好ましくはホイールの支持構造体またはリムに、回転可能に装着される。原則として、レバー要素の第1の端における回転Nの方向は、ホイールタイヤの内側の屈曲運動、すなわち、リムに向かう動きが、レバー要素の部分回転を引き起こし得るため、ホイールタイヤの内側のその対応する接触面と実質的に平行に延びる任意の方向を有し得る。1つの好ましい実施形態において、レバー要素の支点は、ホイールの回転軸に実質的に平行に延びる。
【0020】
本発明の範囲内で、実質的に平行とは、好ましくは、10°未満、よび好ましくは5°未満の平行からの逸脱を意味する。
【0021】
1つの好ましい実施形態において、レバー要素は、一片で設計される。この実施形態において、それは、好ましくは、そこに回転可能に装着される、1つの、特に1つだけの接触要素を支持する。代替の同様の好ましい実施形態において、レバー要素は、少なくとも2つの部材で形成され、すなわち、機械的に接続される、好ましくは互いに対して部分的に回転可能な、少なくとも2つの、好ましくは2つだけの部材からなる。例として、レバー要素の第1の部材は、レバー要素が回転可能に装着される第1の端を形成し、第2の部材は、接触要素を支持する第2の端を構成する。第1の部材が第2の部材に対して部分的に回転可能であることは、レバー要素の回転運動(ロッキング運動)が屈曲タイヤの内側との接触要素の接触の間に補償されること、および同時に、タイヤの内側との接触要素の接触が維持されることを可能にする。この代替の実施形態において、レバー要素は、好ましくは、これに、特に第2の部材に、回転可能に装着される、少なくとも2つ、特に2つだけの接触要素を支持する。特に好ましくは、代替の実施形態において、したがって、レバー要素は、第1の端を有する第1の部材、および少なくとも2つ、好ましくは2つの接触要素のための保持要素を構成する、したがって好ましくは転動スライドを構成する第2の部材からなる。後者は、両方の接触要素が同時にホイールタイヤの内側(タイヤの内側の表面)と接触することができるように構成される。このようにして、ホイールタイヤの内側における接触面は増加され、したがって、ホイールタイヤの点力、したがって点負荷は減少される。第2の部材(以後、「スライド」とも称される)は、レバー要素が、例えば静止位置から、「引き出される」とき、スライドにより保持されるすべての接触要素とホイールタイヤとの接触が可能にされるようなやり方で、レバー要素上で部分的に回転可能であるように装着される。1つの好ましい実施形態において、(各)スライドにより保持される接触要素の回転軸の間の距離は、接触要素がホイールタイヤの内側と接触状態にあるときの第2の(直接)隣接するレバー要素の2つの隣接する接触要素の回転軸の間の距離にほぼ等しい(±10%、好ましくは±5%)。例として、好ましくは8または12個のレバー要素のスライドの各々によって保持される第2の接触要素の回転軸の間の距離は、好ましくは、第1のスライドの接触要素の回転軸と、(直接)隣接するスライドの最も近い接触要素の回転軸との間の距離にほぼ等しい(±10%、好ましくは±5%)。言い換えると、スライドの接触要素の2つの回転軸がホイールの回転軸に対して広がる角度βは、好ましくは、およそ360°/2*nであり、nは、レバー要素またはスライドの数である。スライドの接触要素の2つの回転軸がホイールの回転軸に対して広がる角度βは、したがって、2つのレバー要素の間の角度αのおよそ(±10%、好ましくは±5%)半分である。角度αは、2つの隣接するレバー要素の回転軸(または
図14に示されるように、レバー要素が同じ位置にある場合、スライドの回転軸も)がホイールの回転軸に対して広がる角度である。角度αは、したがって、360°/nに対応し、nは、レバー要素の数である。この実施形態において、力分布は、接触要素がほぼ同じ距離でホイールタイヤに接触するため、ホイールタイヤ(タイヤの内側の表面)にわたって均等に分布される。12個のレバー要素およびスライドあたり2つのローラでは、24個のほぼ均等に(±10%、好ましくは±5%)離間した接触要素が、タイヤの内側と接触状態にある(それぞれ隣接する接触要素、1つのスライドの2つの接触要素の両方、および2つの隣接するスライドのそれぞれ隣接する接触要素の間の角度βは、このとき、およそ15°(±10%、好ましくは±5%)である)。タイヤの内側にわたって多かれ少なかれ均等に離間される接触要素はまた、これが、例えば自動車またはトラックタイヤの典型的な屈曲変形においては、少なくとも2つのレバー要素がそれらのスライドを介して常に同時に変位されることを意味するため、レバー要素へのエネルギーのより均一な伝達をもたらす。
【0022】
1つの実施形態において、スライドの好ましくは2つの接触要素は、好ましくはそれらがローラとして設計されるとき、ベルトによって取り囲まれる、または包まれる。ベルトは、例えば、両方のローラ周りに直接、または追加的に、スライド上に同様に配置される偏向ローラ周りに延びる。取り囲まれた接触要素、好ましくは、ローラは、ベルトを介してタイヤの内側と接触する。これは、タイヤの内側との接触要素の効果的な接触面を増加させ、したがってタイヤに対する点負荷、したがって負荷を低減する。ベルトは、例えば、ローラが外れることを防ぐためにVベルトまたはマルチVベルトとして設計される。
【0023】
1つの好ましい実施形態において、変換器は、ホイールの回転軸周りに回転対称に配置される、少なくとも2つの、特に、少なくとも6~16個、最も好ましくは8~12個のレバー要素を有する。
【0024】
本発明による変換器のレバー要素は、少なくとも1つの接触要素を含む。レバー要素は、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形がレバー要素の(部分)回転運動を引き起こすように、上記接触要素を介してタイヤの内側と接触する。これは、レバー要素が、接触要素がレバー要素とホイールタイヤとの接触を確立するように第2の端においてレバー要素内または上に回転可能に装着される少なくとも1つの接触要素を有することを意味する。
【0025】
レバー要素は、好ましくは、その第1の端におけるその回転軸N周りの回転の任意の位置において(通常動作下で)ホイールタイヤの内側と直接接触しない、すなわち、レバー要素は、ホイールタイヤの内側に触れない。むしろ、接触要素のみが、ホイールタイヤの内側と接触する、すなわち、接触要素は、レバー要素がタイヤ表面に向かって(リムから離れる方へ)第1の端において回転軸の周りを適宜に回転された場合、ホイールタイヤの内側に触れる。接触要素の回転軸は、ホイールの回転軸に実質的に平行である。2つ以上の接触要素がレバー要素上に存在する場合、それらの回転軸は平行である。接触要素が、一方で、レバー要素上に回転可能に装着され、他方で、ホイールの回転軸に実質的に平行に位置する軸の周りを回転することができる可能性は、ホイールタイヤとレバー要素との相対運動が補償されること、したがってホイールタイヤとレバー要素との摩擦が最小限にされることを可能にする。接触要素は、好ましくは、その寸法に関して、少なくともホイールタイヤの内側と接触する領域において、その回転軸に対して実質的に回転対称である。特に、接触要素は、したがって、ローラまたは部分ローラ(ローラセグメント)である。ローラは、おそらくは円形の外向きに湾曲した円筒外面を伴う(バレル形状のローラ)実質的に円筒の形状を有する(接触要素の回転軸が円筒軸に対応する)。接触要素の典型的な好ましい半径、すなわち、好ましくはローラ半径は、ホイールタイヤの内側の半径R(ホイールの中心の周り)に対する接触要素の半径の比が、0.04~0.08、好ましくは0.05~0.07の範囲内にあるようなものである。特に自動車タイヤのための、典型的な好適なローラ半径は、18mm~30mmの範囲内にある。接触要素は、好ましくは、その支点に対して自由に回転され、特に、360°自由に回転される。これは、接触要素が、好ましくは、回転軸の周りを自由に回転できることを意味し、この回転軸の周りで、接触要素は、レバー要素またはスライドに/内に、特にそれ自体の軸周りに完全に、回転可能に装着または固定される。これは、より高い速度でさえも動作中のホイールタイヤの内側との接触要素の均一な接触を確実にする。
【0026】
1つの好ましい実施形態によると、ホイールタイヤの内側の半径Rに対するホイール中心Mからのレバー要素の支点Nの距離Aの比(A/R)は、0.55~0.60、好ましくは0.56~0.59の範囲内にある。
【0027】
1つの好ましい実施形態によると、ホイールタイヤの内側の半径Rに対する、ホイールタイヤの内側との接触要素の接点Kからのレバー要素の支点Nの距離B(レバー要素あたり複数の接触要素の場合、支点Nから最大距離を有するもの)の比(B/R)は、0.44~0.55、好ましくは0.45~0.53、特に0.46~0.50の範囲内にある。
【0028】
本発明による変換器において、第1の端において回転可能に収納されるレバー要素は、少なくとも1つの接触要素を介してホイールタイヤの内側と接触することができる。これは、ホイール中心Mからのレバー要素の支点Nの距離Aおよびホイールタイヤの内側との接触要素の接点Kからの支点Nの距離B(レバー要素あたり複数の接触要素の場合、支点Nからの最大距離を有する接点)の合計(A+B)が、ホイールタイヤの内側の半径Rよりも大きいことを意味する。ホイールタイヤの内側の半径Rに対するA+Bの比((A+B)/R))は、本発明によると、102%~110%、特に103%~107%の範囲内にある。
【0029】
半径Rは、本明細書では常に、ホイールの中心からホイールタイヤの内側(タイヤの内側の表面)までの無負荷のタイヤの半径を指す。レバー要素の支点Nは、その第1の端におけるレバー要素の支点を指す。
【0030】
本発明による変換器は、機械結合要素をさらに含む。これは、レバー要素の回転運動に起因して発生する力を、好ましくは、発電機に伝達するために構成される、およびこれに好適である。典型的な好適な機械結合要素は、ギアおよび車軸、ベルト、チェーン、ならびに同様のものである。機械結合要素は、好ましくは、内面もしくは外面歯を伴う少なくとも1つのリング、チェーン、またはベルト、特に歯付きベルトおよび/もしくはマルチVベルトを含む。変換器のすべてのレバー要素の力は、好ましくは、共通の機械結合要素、例えば、内面もしくは外面歯を伴う少なくとも1つのリング、チェーン、またはベルト、特に歯付きベルトおよび/もしくはマルチVベルトに伝達される。後者の機械結合要素は、したがって、変換器のすべてのレバー要素と摩擦接続状態にある。これは、発電機がより切れ目なく駆動されることを可能にする。機械結合要素はまた、好ましくは、すべての発電機と摩擦接続状態にある。レバー要素によって生成される総エネルギーをいくつかの発電機へ分散させることによって、それらは、切れ目なく動作され、最小の材料入力で効率的なエネルギー回収を可能にする。
【0031】
1つの好ましい実施形態において、変換器は、ベルト、特にVベルト、歯付きベルト、またはマルチVベルトとして設計される、およびすべての発電機、好ましくは3つの発電機と、変換器のすべてのレバー要素、好ましくは8個、または特に12個のレバー要素との摩擦接続を確立する、機械結合要素を含む。ベルトは、レバー要素に接続されるローラの周りでそれぞれ、およびフリーホイールローラ(偏向ローラ)または発電機に接続されるローラ(発電機駆動ローラ)の周りでそれぞれ交互に、誘導されることが好ましい。代替的に、特に好ましくは、ベルトは、各々が(直接)隣接するレバー要素に接続される2つのローラ、続いてフリーホイールローラ、または交互に、発電機に接続されるローラにわたって、それぞれ誘導される。最後の実施形態において、ベルトはしたがって、最も好ましくは、各々がレバー要素に接続される12個のローラ、3つのフリーホイールローラ、および発電機に接続される3つのローラにわたって延びる。
【0032】
最後に、本発明による変換器は、レバー要素の回転運動によって獲得される、および好ましくは機械結合要素によって伝達される力を、電気エネルギーへと変換するように構成される発電機を含む。1つの好ましい実施形態において、変換器は、ホイールの回転軸周りに回転対称に配置される、少なくとも2つの、特に、少なくとも2~12個、最も好ましくは3~8個、例えば3つまたは4つの発電機を有する。レバー要素の数は、好ましくは、発電機の数の倍数である。
【0033】
発電機の回転子は、典型的には、機械結合要素を介して動かされ、固定子は、ホイールの支持要素/リムに接続される。すべての発電機は、好ましくは、機械結合要素により同時に駆動される。
【0034】
代替的に、発電機の回転子は、レバー要素との直接結合により、例えば、フリーホイールクラッチ、またはそれに取り付けられるもしくは結合される接続要素、例えば接続ホイールにより動かされ、固定子は、ホイールの支持要素/リムに接続される。この実施形態において、レバー要素の力は、機械結合要素を通じてレバー要素のすべてのフリーホイールクラッチへ、およびこれらを介して発電機、好ましくはすべての発電機へ同時に伝達され、以てこれらが駆動される。
【0035】
発電機が、例えば、レバー要素の比較的小さい変位、したがって機械結合要素の小さい動きによってでさえ、それでも好適な速度で駆動されるために、変換器は、レバー要素の(部分)回転運動と発電機の回転子の回転運動との間に規定の伝送をもたらすように構成される、好ましくは機械結合要素を介した、好ましくは発電機あたりの、さらに好ましい実施形態によるギアボックスまたはトランスミッションを有する。例えば、ギアボックスおよび/またはトランスミッションは、回転子のより高い速度へ向けてレバー要素の回転運動と回転子の回転運動との間に伝送、特に、1対2から1対10の比の伝送をもたらすように構成される。加えて、または代替的に、対応する伝送は、レバー要素と機械結合要素との間および/または機械結合要素と発電機との間の摩擦接続によって保証される。発電機の対応する好適な速度は、好ましくは、レバー要素と機械結合要素との間および/または機械結合要素と発電機との間の伝送によってのみ保証される。
【0036】
切れ目ない動き、したがって機械結合要素の動力伝達を保証するために、レバー要素が、フリーホイールクラッチ、すなわち、回転方向に依存するクラッチを介して、力を機械結合要素へ伝達することが好ましい。変換器は、したがって、好ましくは、レバー要素あたり1つのフリーホイールクラッチを有し、これは、回転方向に応じて結合するため、すなわち、動作結合をもたらすための結合方向およびフリーホイーリング方向を有するために構成される。典型的には、フリーホイールクラッチは、レバー要素がホイールの回転軸へ向かって動くときに摩擦接続が発生し、また相応して、レバー要素がホイールの回転軸から離れる方へ動くときフリーホイーリングが発生するように構成される。レバー要素、フリーホイールクラッチ、機械結合要素、および発電機は、好ましくは、レバー要素の回転運動が、機械結合要素を介して結合方向にフリーホイールクラッチを介して発電機の回転子に伝達され、発電機によって電気エネルギーへと変換されるように配置および構成される。
【0037】
さらなる好ましい実施形態によると、本発明による変換器は、レバー要素のための付勢手段、特にばねを有し、これは、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形によって引き起こされるレバー要素の回転運動における、すなわち、ホイールの回転軸へ向かうレバー要素の回転の方向における力を用いて、レバー要素の第1の端周りのレバー要素の回転を付勢する。付勢要素は、ホイールが静止しているとき、またはホイールが単に低速で動いているとき、レバー要素がホイールタイヤと接触状態にないこと、すなわち、レバー要素が「引き込まれた」状態に留まることを確実にする。後者は、ホイールを修理すること、およびホイール上のタイヤを交換することをより容易にする。そのため、付勢手段は、ホイールの好適な回転速度から、ホイールの回転軸から離れる方へのレバー要素の動きが可能にされ(したがって、遠心力が付勢力を超える)、レバー要素の接触要素がホイールタイヤと接触することができるように適切に構成される。付勢手段は、好ましくは、少なくとも100rpm、より好ましくは少なくとも120rpmのホイールの回転速度から、ホイールの回転軸から離れる方へのレバー要素の動きが可能にされるように構成される。典型的な回転速度は、およそ125rpmであり、これは、およそ15km/h(自動車における)の速度に対応する。
【0038】
レバー要素に作用する力が、過剰な衝撃および/またはホイールトレッドの過剰な変形に起因して変換器またはその構成要素に損傷を及ぼすことを防ぐため、対応する保護機構、特に、過負荷保護デバイスが、好ましくは提供される。好ましくは、フリーホイールクラッチ、機械結合要素内のもしくは機械結合要素に対するクラッチ、および/または発電機に対するクラッチは、過負荷保護を伴う安全クラッチであり、これにより、規定の最大力を超えた場合に効果的な結合なしに回転を可能にする。
【0039】
本発明は、さらに、上に説明されるような変換器ならびに支持構造体として支持要素/ホイールリムを含む、路面との接触に起因するホイールタイヤの変形から車両の転動するホイール内で電気エネルギーを獲得するためのシステムに関する。1つの好ましい実施形態において、接触要素を含むレバー要素は、リムフランジの上に、すなわち、リムフランジによって画定されるシリンダの外表面の上に突出しない。
【0040】
1つの実施形態において、本システムは、上に説明されるような変換器ならびに支持構造体を有し、支持構造体は、典型的には、ホイールの中心軸周りにエネルギー変換器を固定配置で保持するように構成される。特に、支持構造体は、それ自体がホイールのリムとして設計されるか、もしくはその中に統合されるか、または、本システムは、支持構造体を固定様式で受けるように構成されるリム(支持構造体と組み合わされるように特別に提供される)を有する。リムは、好ましくは、1つの部材に設計される。
【0041】
さらなる実施形態によると、本システムは、ホイール内への変換器または支持構造体の設置を簡略化することができる多部材リムを有する。例えば、多部材リムは、リムウェルおよびリムスリーブを伴う2部材リムとして、またはリムウェル、リムスリーブ、およびリムスターを伴う3部材リムとして設計される。この場合、変換器または支持構造体および多部材リムは、例えば、変換器または支持構造体が多部材リムのリムウェルの上に装着されるように構成される。
【0042】
最後に、本発明は、上に説明されるようなシステムを含む、陸上車、好ましくは自動車もしくはローリ、またはホイールに関する。
【0043】
本発明はこれより図面に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図7】タイヤを伴うリムを伴う接触要素を伴うレバー要素を有する、本発明による変換器の等角図である。
【
図8】タイヤを伴うリムを伴う接触要素を伴うレバー要素を有する、本発明による変換器の等角図である。
【
図9】各々2つの接触要素を伴うレバー要素を有する、本発明による変換器の等角図である。
【
図10】各々2つの接触要素を伴うレバー要素を有する、本発明による変換器の等角図である。
【
図11】ホイール中心Mおよび接点Kからのレバー要素の回転軸Nの距離の比を例証する図である。
【
図12】レバー要素の3つの実施形態を例証する図である。
【
図13】各々2つの接触要素を伴うレバー要素を有する、本発明による変換器の概略側面図である。
【
図14】各々2つの接触要素を伴うレバー要素を有する、本発明による変換器の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
接触要素2、この場合はローラを含むレバー要素1を含む、本発明による変換器が、
図1に示される。路面との接触に起因するタイヤ8の変形は、
図1の下部に示されるように、接触要素を介した路面との接触の領域内のタイヤ8の内側に対して位置するレバー要素が、その第1の端において回転軸の周りを部分的に回転することを引き起こす。発生する力は、ここでは内面歯を伴う自由浮動中央リングとして設計されるフリーホイールクラッチ3および機械結合要素4を介して、発電機5へ伝達される。生成される電気エネルギーは、電気出力のための接続9を介して制御器6により車両内へ供給される。本発明による典型的な接続は、線、摺動接点(ブラシ)、または電磁式伝動である。レバー要素1は、リム7周りに回転対称に配置される。
【0046】
接触要素2、この場合はローラを含むレバー要素1を含む、本発明による代替の変換器が、
図2に示される。路面との接触に起因するタイヤ8の変形は、
図2の下部に示されるように、接触要素を介した路面との接触の領域内のタイヤ8の内側に対して位置するレバー要素が、その第1の端において回転軸の周りを部分的に回転することを引き起こす。発生する力は、一方ではフリーホイールクラッチ3を介して発電機5へ、ならびに機械結合要素4を介して他のフリーホイールクラッチおよび発電機へ、直接伝達される。生成される電気エネルギーは、電気出力のための接続9を介して制御器6により車両内へ供給される。レバー要素1は、リム7周りに回転対称に配置される。
【0047】
接触要素2、この場合はローラを含むレバー要素1を含む、本発明による代替の変換器が、
図3に示される。路面との接触に起因するタイヤ8の変形は、
図3の下部に示されるように、接触要素を介した路面との接触の領域内のタイヤ8の内側に対して位置するレバー要素が、その第1の端において回転軸の周りを部分的に回転することを引き起こす。発生する力は、一方ではフリーホイールクラッチ3および外面歯を伴う接続ホイール10を介して発電機5へ、ならびに機械結合要素4を介して他のフリーホイールクラッチおよび発電機へ、伝達される。生成される電気エネルギーは、電気出力のための接続9を介して制御器6により車両内へ供給される。レバー要素1は、リム7周りに回転対称に配置される。
【0048】
接触要素2、この場合はローラを含むレバー要素1を含む、本発明による代替の変換器が、
図4に示される。路面との接触に起因するタイヤ8の変形は、
図4の下部に示されるように、接触要素を介した路面との接触の領域内のタイヤ8の内側に対して位置するレバー要素が、その第1の端において回転軸の周りを部分的に回転することを引き起こす。発生する力は、一方ではフリーホイールクラッチ3および内面歯を伴う接続ホイール11を介して発電機5へ、ならびに機械結合要素4を介して他のフリーホイールクラッチおよび発電機へ、伝達される。生成される電気エネルギーは、電気出力のための接続9を介して制御器6により車両内へ供給される。レバー要素1は、リム7周りに回転対称に配置される。
【0049】
図5は、この場合はローラとして設計される接触要素2を伴うレバー要素1の実施形態の詳細図を示す。力は、レバー要素の第1の端において車軸を介してギアへ伝送される。ギアは、力を機械結合要素へ、およびおそらくは直接的に発電機(図示されない)へ伝送する。フリーホイールクラッチ3は、レバー要素の動きを一方向にのみ伝達し、過負荷保護デバイス12は、過剰な力が伝送されないことを確実にする。
【0050】
図6は、この場合はローラとして設計される接触要素2を伴うレバー要素1の実施形態の詳細図を示す。力は、レバー要素の第1の端において車軸を介してギアへ伝送される。ギアは、力を機械結合要素へ、およびおそらくは直接的に発電機(図示されない)へ伝送する。フリーホイールクラッチ3は、レバー要素の動きを一方向にのみ伝達し、過負荷保護デバイス12は、過剰な力が伝送されないことを確実にする。ばねが付勢要素13として使用される。
【0051】
図7は、タイヤ8を伴うホイール内へ統合される本発明による変換器を示す。変換器は、引き込まれた状態の、すなわち、リム7の基部と緊密な接触状態の接触要素2を各々が有するレバー要素1のセットを含む。機械結合要素4は、歯付きベルトとして設計され、レバー要素1のすべての駆動軸ならびに発電機(図示されない)のための駆動軸を接続する。
【0052】
図8は、タイヤ8を伴うホイール内へ統合される本発明による変換器を示す。変換器は、
図7にあるような、しかしながら、例えば、ホイールの十分に高い回転族度における遠心力の影響に起因して、伸長した状態の、すなわち、リム7から離れる方へ折り畳まれた接触要素2を各々が有するレバー要素1のセットを含む。この状態では、接触要素2は、タイヤ8の内側と接触状態にある。路面との接触に起因するタイヤの屈曲運動が、レバー要素の対応する回転運動を引き起こす。機械結合要素4は、歯付きベルトとして設計され、レバー要素1のすべての駆動軸ならびに発電機(図示されない)のための駆動軸を接続する。
【0053】
図9は、ホイール内へ統合される本発明による変換器を示す。変換器は、
図7による引き込まれた状態の、すなわち、リム7の基部と緊密な接触状態の2つの接触要素2を各々が有するレバー要素1のセットを含む。
【0054】
図10は、ホイール内へ統合される本発明による変換器を示す。変換器は、
図9にあるような、しかしながら、例えば、ホイールの十分に高い回転族度における遠心力の影響に起因して、伸長した状態の(
図8による)、すなわち、リムから離れる方へ折り畳まれた2つの接触要素2を各々が有するレバー要素1のセットを含む。この状態では、接触要素2は、タイヤの内側と接触状態にある。路面との接触に起因するタイヤの屈曲運動が、レバー要素の対応する回転運動を引き起こす。
【0055】
図11は、ホイール中心Mからのレバー要素の支点Nの距離としての長さA、および接点Kからのレバー要素の支点Nの距離としての長さBを例証する。後者は、ホイールタイヤの内側と接触する、または接触することができるレバー要素の支点Nからの接触要素の最大距離である。
【0056】
図12は、ここではローラとして設計される接触要素2を伴うレバー要素1の3つの実施形態の詳細を示す。実施形態Aにおいて、レバー要素1は、接触要素2としてのローラを支持する。実施形態Bにおいて、レバー要素1は、接触要素2としての2つのローラを支持するスライド14(第2の部材)を支持する。実施形態Cにおいて、レバー要素1は同じく、接触要素2としての2つのローラを支持するスライド14(第2の部材)を支持する。実施形態Cにおいて、接触要素2としての2つのローラは、ベルト15に取り囲まれ、このベルト15もまた、スライド上に装着される別のローラ(図示されない)の上を誘導される。
【0057】
図13は、タイヤを伴うホイール内へ統合される本発明による変換器を示す。変換器は、スライド14内に装着される2つの接触要素2を各々が有するレバー要素1のセットを含む。レバー要素は、引き込まれた状態で、すなわち、リム7の基部と緊密な接触状態で示される。機械結合要素4は、歯付きベルトとして設計され、レバー要素1のすべての駆動軸ならびに発電機5のための駆動軸を接続する。歯付きベルトは、レバー要素駆動ローラ18、ならびに偏向ローラ16または発電機駆動ローラ17のいずれかの上に交互に延びる。発電機5は、ここでもベルトを介して、発電機駆動ローラ17により駆動される。
【0058】
図14は、タイヤ8を伴うホイール内へ統合される本発明による変換器を示す。変換器は、スライド14内に装着される2つの接触要素2を各々が有するレバー要素1のセットを含む。角度αは、2つの隣接するレバー要素の回転軸(または図に示されるように、レバー要素が同じ位置にある場合、スライドの回転軸も)がホイールの回転軸に対して広がる角度である。角度αは、したがって、360°/nに対応し、nは、レバー要素の数である。角度βは、スライドの接触要素の2つの回転軸がホイールの回転軸に対して広がる角度である。しかしながら、レバー要素1は、
図7に示されるように、例えば、ホイールの十分に高い回転族度における遠心力の影響に起因して、伸長した状態にあり、すなわち、リム7から離れる方へ折り畳まれる。この状態では、接触要素2は、タイヤ8の内側と接触状態にある。路面との接触に起因するタイヤの屈曲運動が、レバー要素の対応する回転運動を引き起こす。機械結合要素4は、歯付きベルトとして設計され、レバー要素1のすべての駆動軸ならびに発電機5のための駆動軸を接続する。歯付きベルトは、レバー要素駆動ローラ18、ならびに偏向ローラ16または発電機駆動ローラ17のいずれかの上に交互に延びる。発電機5は、ここでもベルトを介して、発電機駆動ローラ17により駆動される。
【符号の説明】
【0059】
1 レバー要素
2 接触要素
3 フリーホイールクラッチ
4 機械結合要素
5 発電機
6 制御器
7 リム
8 タイヤ
9 電気出力のための接続
10 外面歯を伴う接続ギア
11 内面歯を伴う接続ギア
12 過負荷保護デバイス
13 付勢要素
14 スライド
15 接触要素上のベルト
16 偏向ローラ
17 発電機駆動ローラ
18 レバー要素駆動ローラ
【国際調査報告】