(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】熱管理システム、熱管理方法及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240126BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240126BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240126BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240126BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20240126BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/615
F25B1/00 321H
F25B1/00 101D
F25B1/00 101G
F25B43/00 B
B60K11/04 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535188
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021139758
(87)【国際公開番号】W WO2023115274
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲傳▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】李 宝
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲凱▼
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD23
3D235FF25
3D235FF38
3D235FF43
3D235HH02
5H031KK08
(57)【要約】
本願の実施例は電池の技術分野に関し、特に熱管理システム、方法及び機器に関する。熱管理システムにおいて、コンプレッサとコンデンサが電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、コンプレッサとエバポレータが熱交換パイプラインと加熱回路を形成し、これによって、該熱管理システムは電池に冷却機能及び加熱機能を付与し、直接冷却システムや加熱フィルムに比べて、該熱管理システムは、構造が簡単で、信頼性が高い。また、必要に応じてコンデンサ及びエバポレータの位置を合理的に設定して、熱気と冷気の二次利用を実現することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理システムであって、
コンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとを含み、
前記コンプレッサと前記コンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、
前記コンプレッサと前記エバポレータは、前記熱交換パイプラインと加熱回路を形成することを特徴とする熱管理システム。
【請求項2】
第1逆止め弁と、第2逆止め弁と、それぞれ前記第1逆止め弁及び前記第2逆止め弁と通信可能に接続されている制御装置と、をさらに含み、
前記コンプレッサの吹出口は前記コンデンサの第1端と連通し、前記コンデンサの第2端は前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記コンプレッサの吸込口は前記第1逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第2端と連通することにより、前記冷却回路を形成し、
前記コンプレッサの吹出口は前記第2逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記エバポレータの第1端は前記熱交換パイプラインの第2端と連通し、前記エバポレータの第2端は前記コンプレッサの吸込口と連通することにより、前記加熱回路を形成し、
前記制御装置は、前記冷却回路を導通するように、前記第1逆止め弁を開き且つ前記第2逆止め弁を閉じるように制御すること、又は、前記加熱回路を導通するように、前記第1逆止め弁を閉じ且つ前記第2逆止め弁を開くように制御すること、に用いられることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
冷媒を貯蔵するためのアキュムレータをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記アキュムレータの吸気口は、前記エバポレータの第2端と連通し、かつ前記第1逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第2端と連通し、前記アキュムレータの排気口は、前記コンプレッサの吸込口と連通することを特徴とする請求項3に記載の熱管理システム。
【請求項5】
第1端が前記コンデンサの第2端と連通し、第2端が前記熱交換パイプラインの第1端と連通する第1膨張弁をさらに含み、
前記第1膨張弁は前記制御装置と通信可能に接続され、前記制御装置はさらに前記冷却回路を導通するときに前記第1膨張弁がオンになるように制御することに用いられることを特徴とする請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項6】
第1端が前記エバポレータの第1端と連通し、前記第2端が前記熱交換パイプラインの第2端と連通する第2膨張弁をさらに含み、
前記第2膨張弁は、さらに前記加熱回路を導通するとき、前記第2膨張弁がオンになるように制御するための前記制御装置と通信可能に接続されることを特徴とする請求項5に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記コンプレッサの吹出口と前記コンデンサの第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁をさらに含み、
前記第3逆止め弁は、さらに前記冷却回路を導通するとき、前記第3逆止め弁を開くように制御すること、又は、前記加熱回路を導通するとき、前記第3逆止め弁を閉じるように制御すること、に用いられる前記制御装置と通信可能に接続されることを特徴とする請求項6に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記コンデンサを放熱するためのラジエータをさらに含み、
前記ラジエータは、前記冷却回路を導通するとき、前記ラジエータが起動して動作するように制御すること、又は、前記加熱回路を導通するとき、制御前記ラジエータが動作を停止するように制御すること、に用いられる前記制御装置と通信可能に接続されることを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の熱管理システム。
【請求項9】
熱管理システムの制御方法であって、前記熱管理システムはコンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとを含み、前記コンプレッサと前記コンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、前記コンプレッサと前記エバポレータは、前記熱交換パイプラインと加熱回路を形成し、
前記電池の現在の温度を取得するステップと、
前記現在の温度が第1温度閾値以上である場合、前記コンプレッサ及び前記コンデンサが起動して動作するように制御するとともに、前記冷却回路が導通するように制御するステップと、
前記現在の温度が第2温度閾値以下である場合、前記コンプレッサ及び前記エバポレータが起動して動作するように制御するとともに、前記加熱回路が導通するように制御するステップと、を含み、
前記第1温度閾値は前記第2温度閾値より大きいことを特徴とする熱管理システムの制御方法。
【請求項10】
前記熱管理システムは第1逆止め弁及び第2逆止め弁をさらに含み、前記コンプレッサの吹出口は前記コンデンサの第1端と連通し、前記コンデンサの第2端は前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記コンプレッサの吸込口は前記第1逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第2端と連通することにより、前記冷却回路を形成し、前記コンプレッサの吹出口は前記第2逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記エバポレータの第1端は前記熱交換パイプラインの第2端と連通し、前記エバポレータの第2端は前記コンプレッサの吸込口と連通することにより、前記加熱回路を形成し、
前記冷却回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記冷却回路を導通するように、前記第1逆止め弁を開き且つ前記第2逆止め弁を閉じるように制御するステップを含み、
前記加熱回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記加熱回路を導通するように、前記第1逆止め弁を閉じ且つ前記第2逆止め弁を開くように制御するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記熱管理システムは、第1端が前記コンデンサの第2端と連通し、第2端が前記熱交換パイプラインの第1端と連通する第1膨張弁をさらに含み、
前記冷却回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記第1膨張弁がオンになるように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱管理システムは、第1端が前記エバポレータの第1端と連通し、第2端が前記熱交換パイプラインの第2端と連通する第2膨張弁をさらに含み、
前記加熱回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記第2膨張弁がオンになるように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱管理システムは、前記コンプレッサの吹出口と前記コンデンサの第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁をさらに含み、
前記冷却回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記第3逆止め弁を開くように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱管理システムは、前記コンデンサを放熱するためのラジエータをさらに含み、
前記現在の温度が前記第1温度閾値以上である場合、前記ラジエータが起動して動作するように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の熱管理システムと、前記電池と、を含むことを特徴とする電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は電池の技術分野に関し、特に熱管理システム、方法及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池の性能は気候環境に大きく影響され、環境温度が高すぎたり低すぎたりすると、電池の性能に影響を与えるため、電池の温度を一定の範囲内に維持するように調整する必要がある。気候環境が暑い地域では、電池の温度が高すぎるときその温度を下げるために、電池冷却システムを追加する必要がある。気候環境が寒い地域では、電池の温度が低すぎるときその温度を上げるために、電池加熱システムを追加する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池を環境に適合させ、電池の最適な性能及び耐用年数を最大化するために、熱管理を行い、電池が動作するときの温度環境を制御する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題に鑑み、本願は、電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、構造が簡単で、信頼性が高い熱管理システム、方法及び機器を提供する。
【0005】
第1態様では、本願は、コンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとを含む熱管理システムを提供している。コンプレッサとコンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、コンプレッサとエバポレータは、熱交換パイプラインと加熱回路を形成する。
【0006】
本願の上記実施形態では、コンプレッサとコンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、コンプレッサとエバポレータは、熱交換パイプラインと加熱回路を形成することによって、該熱管理システムに電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、直接冷却システムや加熱フィルムに比べて、該熱管理システムは、構造が簡単で、信頼性が高い。また、必要に応じてコンデンサ及びエバポレータの位置を合理的に設定して、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。
【0007】
第1態様の可能な実現形態では、熱管理システムは第1逆止め弁と、第2逆止め弁と、それぞれ第1逆止め弁及び第2逆止め弁と通信可能に接続される制御装置とをさらに含む。コンプレッサの吹出口はコンデンサの第1端と連通し、コンデンサの第2端は熱交換パイプラインの第1端と連通し、コンプレッサの吸込口は第1逆止め弁を介して熱交換パイプラインの第2端と連通することにより、冷却回路を形成する。コンプレッサの吹出口は第2逆止め弁を介して熱交換パイプラインの第1端と連通し、エバポレータの第1端は熱交換パイプラインの第2端と連通し、エバポレータの第2端はコンプレッサの吸込口と連通することにより、加熱回路を形成する。制御装置は、冷却回路を導通するように、第1逆止め弁を開き且つ第2逆止め弁を閉じるように制御すること、又は、加熱回路を導通するように、第1逆止め弁を閉じ且つ第2逆止め弁を開くように制御すること、に用いられる。
【0008】
本願の上記実施形態では、上記冷却回路及び加熱回路の構造によれば、制御装置は第1逆止め弁又は第2逆止め弁を開くように選択的に制御することにより、冷却回路又は加熱回路を選択的に導通することができる。冷却回路が導通するとき、コンプレッサ及びコンデンサが動作し、電池に冷却機能を付与することができる。加熱回路が導通するとき、コンプレッサ及びエバポレータが動作し、電池に加熱機能を付与することができる。すなわち、1つの熱管理システムによって、冷却機能及び加熱機能の両方を付与することができ、且つ、熱管理システムは、システム構造が簡単で、制御されやすく、信頼性を向上させることができる。
【0009】
第1態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、冷媒を貯蔵するためのアキュムレータをさらに含む。
【0010】
本願の上記実施形態では、アキュムレータを設置することにより、一方では、十分な量の冷媒を貯蔵することができ、他方では、過剰な圧力による熱管理システムのパイプラインの破損を防ぐための圧力緩衝の役割を果たすことができる。
【0011】
第1態様の可能な実現形態では、アキュムレータの吸気口はエバポレータの第2端と連通し、アキュムレータの吸気口は第1逆止め弁を介して熱交換パイプラインの第2端と連通し、アキュムレータの排気口はコンプレッサの吸込口と連通する。
【0012】
本願の上記実施形態では、上記のようにアキュムレータを設置することによって、アキュムレータが冷却回路に配置されてもよく、加熱回路に配置されてもよく、すなわち、熱管理システムが冷却モード及び加熱モードのどちらで動作するかに関係なく、アキュムレータは冷媒を提供することができ、また、圧力緩衝の役割を果たすことができ、また、上記構成は、構造が簡単である。
【0013】
第1態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、第1端がコンデンサの第2端と連通し、第2端が熱交換パイプラインの第1端と連通する第1膨張弁をさらに含む。第1膨張弁は制御装置と通信可能に接続され、制御装置はさらに冷却回路を導通するとき、第1膨張弁がオンになるように制御することに用いられる。
【0014】
本願の上記実施形態では、コンデンサと熱交換パイプラインとの間に第1膨張弁を設置することにより、熱交換パイプラインに入った冷媒は蒸気状態になり、熱交換パイプラインにて熱を吸収した後に十分に蒸発し、熱交換効率が高く、また、熱交換パイプラインに入った冷媒の流量をさらに制御することができ、それにより、冷媒の流量が多すぎたり少なすぎたりすることによる悪影響がない。
【0015】
第1態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、第1端がエバポレータの第1端と連通し、第2端が熱交換パイプラインの第2端と連通する第2膨張弁をさらに含む。第2膨張弁は制御装置と通信可能に接続され、制御装置はさらに加熱回路を導通するとき、第2膨張弁がオンになるように制御することに用いられる。
【0016】
本願の上記実施形態では、エバポレータと熱交換パイプラインとの間に第2膨張弁を設置することにより、エバポレータに入った冷媒は蒸気状態になり、エバポレータにて熱を吸収した後に十分に蒸発し、蒸発効率が高く、また、エバポレータに入った冷媒の流量を制御することができ、冷媒の流量が多すぎて蒸発が不十分になることはない。
【0017】
第1態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、コンプレッサの吹出口とコンデンサの第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁をさらに含む。第3逆止め弁は制御装置と通信可能に接続され、制御装置はさらに冷却回路を導通するとき、第3逆止め弁を開くように制御すること、又は、加熱回路を導通するとき、第3逆止め弁を閉じるように制御すること、に用いられる。
【0018】
本願の上記実施形態では、コンプレッサの吹出口とコンデンサの第1端との間のパイプラインに第3逆止め弁を設置することにより、加熱回路を導通する必要がある場合、制御装置は第3逆止め弁を閉じるように制御し、加熱モードで冷媒がコンデンサに入り、すなわち気体冷媒の全てが第3逆止め弁の遮断の場合に第2逆止め弁を介して熱交換パイプラインに入ることを回避し、加熱効率が高い。
【0019】
第1態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、コンデンサを放熱するためのラジエータをさらに含む。ラジエータは制御装置と通信可能に接続され、制御装置はさらに冷却回路を導通するとき、ラジエータが起動して動作するように制御すること、又は、加熱回路を導通するとき、制御ラジエータが動作を停止するように制御すること、に用いられる。
【0020】
本願の上記実施形態では、コンデンサを放熱するためのラジエータを設置することにより、コンデンサ周囲での熱の蓄積を効果的に回避することができ、それにより、コンデンサの凝縮効果が高くなり、熱管理システムの冷却効果が向上する。
【0021】
第2態様では、本願は熱管理システムの制御方法を提供しており、熱管理システムはコンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとを含み、コンプレッサとコンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、コンプレッサとエバポレータは、熱交換パイプラインと加熱回路を形成する。
【0022】
上記方法は、電池の現在の温度を取得するステップと、現在の温度が第1温度閾値以上である場合、コンプレッサ及びコンデンサが起動して動作するように制御するとともに、冷却回路が導通するように制御するステップと、現在の温度が第2温度閾値以下である場合、コンプレッサ及びエバポレータが起動して動作するように制御するとともに、加熱回路が導通するように制御するステップと、を含む。第1温度閾値は第2温度閾値より大きい。
【0023】
本願の上記実施形態では、電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができる。また、必要に応じてコンデンサ及びエバポレータの対応する吹き出し口を合理的に制御して、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。
【0024】
第2態様の可能な実現形態では、熱管理システムは第1逆止め弁及び第2逆止め弁をさらに含み、コンプレッサの吹出口はコンデンサの第1端と連通し、コンデンサの第2端は熱交換パイプラインの第1端と連通し、コンプレッサの吸込口は第1逆止め弁を介して熱交換パイプラインの第2端と連通することにより、冷却回路を形成する。コンプレッサの吹出口は第2逆止め弁を介して熱交換パイプラインの第1端と連通し、エバポレータの第1端は熱交換パイプラインの第2端と連通し、エバポレータの第2端はコンプレッサの吸込口と連通することにより、加熱回路を形成する。
【0025】
「冷却回路が導通するように制御する」上記ステップは、冷却回路を導通するように、第1逆止め弁を開き且つ第2逆止め弁を閉じるように制御するステップを含む。
【0026】
「加熱回路が導通するように制御する」上記ステップは、加熱回路を導通するように、第1逆止め弁を閉じ且つ第2逆止め弁を開くように制御するステップを含む。
【0027】
本願の上記実施形態では、第1逆止め弁を開き且つ第2逆止め弁を閉じるように制御することにより冷却回路を導通することができ、第1逆止め弁を閉じ且つ第2逆止め弁を開くように制御することにより加熱回路を導通することができ、このため、制御しやすく、信頼性を向上させることができる。
【0028】
第2態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、第1端がコンデンサの第2端と連通し、第2端が熱交換パイプラインの第1端と連通する第1膨張弁をさらに含む。
【0029】
「冷却回路が導通するように制御する」上記ステップは、第1膨張弁がオンになるように制御するステップをさらに含む。
【0030】
本願の上記実施形態では、冷却するとき、第1膨張弁を開くように制御することにより、熱交換パイプラインに入った冷媒は蒸気状態になり、熱交換パイプラインにて熱を吸収した後に十分に蒸発し、熱交換効率が高く、また、熱交換パイプラインに入った冷媒の流量を制御することができ、冷媒の流量が多すぎたり少なすぎたりすることによる悪影響がない。
【0031】
第2態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、第1端がエバポレータの第1端と連通し、第2端が熱交換パイプラインの第2端と連通する第2膨張弁をさらに含む。
【0032】
「加熱回路が導通するように制御する」上記ステップは、第2膨張弁がオンになるように制御するステップをさらに含む。
【0033】
本願の上記実施形態では、加熱するとき、第2膨張弁を開くように制御することにより、エバポレータに入った冷媒は蒸気状態になり、エバポレータにて熱を吸収した後に十分に蒸発し、蒸発効率が高く、また、エバポレータに入った冷媒の流量を制御することができ、冷媒の流量が多すぎて蒸発が不十分になることはない。
【0034】
第2態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、コンプレッサの吹出口とコンデンサの第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁をさらに含む。
【0035】
「冷却回路が導通するように制御する」上記ステップは、第3逆止め弁を開くように制御するステップをさらに含む。
【0036】
本願の上記実施形態では、冷却回路を導通する必要があるとき、第3逆止め弁を開くように制御することにより、気体冷媒はコンデンサに入る。加熱回路を導通する必要がある場合、第3逆止め弁を閉じるように制御し、加熱モードで冷媒がコンデンサに入り、加熱効果に影響を与えることを回避し、また、気体冷媒の全てが第3逆止め弁の遮断の場合に第2逆止め弁を介して熱交換パイプラインに入り、これにより、加熱効率が高い。
【0037】
第2態様の可能な実現形態では、熱管理システムは、コンデンサを放熱するためのラジエータをさらに含む。
【0038】
上記方法は、現在の温度が第1温度閾値以上である場合、制御ラジエータが起動して動作するように制御するステップをさらに含む。
【0039】
本願の上記実施形態では、ラジエータが起動して動作して、コンデンサを放熱するように制御することにより、コンデンサの周囲での熱の蓄積を効果的に回避することができ、それにより、コンデンサの凝縮効果が高くなり、熱管理システムの冷却効果が向上する。
【0040】
第3態様では、本願は、第1態様の熱管理システムと電池とを含む電力消費機器を提供している。
【0041】
本願の上記実施形態では、熱管理システムは電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、構造が簡単で、信頼性が高く、電力消費機器が高温又は低温の環境で正常に運転することに有利である。
【0042】
上記説明は本願の技術案の概要に過ぎず、本願の技術的手段をより明確に把握するために、明細書の内容に従って実施することができ、且つ本願の上記目的及び他の目的、特徴、メリットをより明確で理解させやすくために、以下、本願の特定の実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を閲覧することにより、さまざまな他のメリット及び利点は当業者にとって明確で明らかになる。図面は好ましい実施形態を示すことにのみ用いられ、本願を制限するものとして考えられない。また、すべての図面において、同一の符号で同一の部材を示す。
【0044】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係る電気自動車の構造模式図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る熱交換パイプラインの構造模式図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る熱管理システムの構造模式図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係る熱管理システムの構造模式図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例に係る熱管理システムの構造模式図である。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係る熱管理システムの制御方法の模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照しながら本願技術案の実施例を詳細説明する。以下の実施例は本願の技術案をより明確に説明するためにのみ使用され、従って、例としてのみ使用され、本願の保護範囲を制限するものではない。
【0046】
特に定義されていない限り、本願で使用されるあらゆる技術用語又は科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本願で使用される用語は具体的な実施例を説明するためにのみ使用され、本願を制限するものではなく、本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明における用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。
【0047】
本願の実施例の説明において、技術用語「第1」、「第2」等は、相対的な重要性を指示したり暗示したり、示された技術的特徴の数、特定の順序又は主副関係を暗示したりするものとして理解できず、異なる対象を区別するためにのみ使用される。本願の実施例の説明において、特に明確で具体的に限定されない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0048】
本願に言及される「実施例」は、実施例を参照しながら説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書のさまざまな位置に該句が出現しているが、必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と相互に排他的な独立した又は代替の実施例でもない。当業者は、本願において説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的又は暗黙的に理解できる。
【0049】
本願の実施例の説明において、本願の「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3種の関係が存在することを示し、たとえば、A及び/又はBの場合、Aが単独で存在し、AとBとが同時に存在し、Bが単独で存在するという3種の状況を指す。また、本願の「/」という文字は、一般的に前後の関連対象が「又は」という関係であることを示す。
【0050】
本願の実施例の説明において、「複数」という用語は2つ以上(2つを含む)を意味し、同様に、「複数のグループ」は2つのグループ以上(2つのグループを含む)を意味し、「複数枚」は2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0051】
グリーンエネルギーの発展に伴って、電池はますます幅広く応用され、特に近年出現した新エネルギー自動車分野、情報家電分野又は太陽光発電分野にわたって、電池は重要なエネルギー貯蔵又は給電機器として使用され、たとえば、新エネルギー自動車又は端末機器等に給電したり、ソーラーパネルにエネルギーを貯蔵したりする。電池の応用分野の継続的な拡大に伴い、その市場需要も絶えず拡大する。
【0052】
本願の発明者は、電池の充放電効率が、その作動温度と関係があり、作動温度が高すぎたり低すぎたりすると、その性能及び航続能力に大きく影響を与えることを見出した。具体的には、周囲温度が低いと、電池の内部抵抗が大きくなり、容量が小さくなり、極端な場合、電解液が凍結して電池が放電できなくなり、それにより、航続能力が低下する。適切に処理しないと、瞬間的な電圧過充電につながり、内部短絡や爆発の危険がある。周囲温度が高いと、電池の充放電効率が低く、電池の電力に影響を与え、ひどい場合には熱暴走を引き起こし、その安全性及び耐用年数に影響を与える。理解できるように、電池は高温環境に影響されるだけでなく、その自体は放電過程において大量の熱を発生させ、時間の経過とともに比較的狭い空間内で蓄積するため、放熱しにくくなり、これによっても、放電効率が低下し、熱暴走リスクも存在する。
【0053】
従って、環境温度による影響も、電池自体の放熱による影響も受けずに安全な温度範囲内で動作することを可能とする電池の温度を管理するための熱管理システムが必要である。
【0054】
現在、ほとんどの熱管理システムには冷却システムのみが含まれ、冷却システムは主に空冷システム、液冷システム及び直接冷却システムの3つの種類に分けられる。空冷システムは自然空気又は冷却空気が電池の表面を流れることで熱交換による冷却効果を実現することである。空気によって運ばれる熱が制限され、熱交換効率が比較的低く、電池内部の温度の均一性が悪く、電池温度をより正確に制御することは困難である。液冷システムでは、不凍液(エチレングリコールなど)は熱交換媒体として使用され、熱交換回路において流れて、電池に対して温度低減及び熱吸収を行う。直接冷却システムは冷媒(すなわち冷媒、相変化材料)を熱交換媒体として使用し、液冷システムに比べて、冷媒が気液相変化中に大量の熱を吸収することができ、さらに電池内部の熱を迅速に放熱することができ、熱交換効率が高い。
【0055】
しかしながら、直接冷却システムは冷却モードのみがあり、加熱モードがなく、電池を加熱するには加熱フィルムが必要である。ここで、加熱フィルムは定抵抗加熱素子であり、一般的に抵抗線、絶縁コーティング及びリード線で構成され、抵抗線は一般的にニッケルクロム合金又は鉄クロム合金であり、絶縁コーティングは一般的にポリイミド(PIフィルム)、シリカゲル又はエポキシ樹脂等である。加熱フィルムはセルモジュールのケーシングに貼り付けられ、複数の加熱フィルムは直列接続又は並列接続した後に電池によって給電され、加熱フィルムに通電すると、抵抗が発熱して、電池に熱を供給し、このようにして、一方では、回路が多くて複雑であり、信頼性が低く、加熱効率が低く、他方では、電池の内部空間を多く占用し、電池のエネルギー密度に影響を与える。
【0056】
上記の考慮によれば、本願の発明者は研究を通じて、熱管理システムを設計し、パイプラインを合理的に設計して、冷媒の相変化(たとえば液体から気体又は気体から液体等)と組み合わせると、電池に冷却機能又は加熱機能を付与することができることを発見した。すなわち、電池温度が高すぎる場合、冷却モードで、熱管理システムは電池内部の熱を吸収して、電池を冷却し、電池温度が低すぎる場合、加熱モードで、熱管理システムは電池内部に熱を供給して、温度を上げる。
【0057】
具体的には、熱管理システムはコンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとを含み、コンプレッサとコンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、コンプレッサとエバポレータは、電池の熱交換パイプラインと加熱回路を形成する。つまり、電池内には、熱交換パイプラインは1つだけ設置すると十分であり、たとえば、電池のケーシング底部の内側又は側壁の内側にS字型又はZ字型のキャピラリーパイプラインを配置することで、熱交換パイプラインが形成される。熱管理システムは電池の使用環境に設置されてもよく、たとえば、電池が電気自動車に給電するとき、熱管理システムは電気自動車に設置され、すなわち、コンプレッサ、コンデンサ及びエバポレータは電気自動車に設置される。
【0058】
理解できるように、コンプレッサと、コンデンサ及び熱交換パイプラインとの間には、さらに冷媒(たとえばフルオロカーボン)を輸送、貯蔵するための「冷却チャンネル」が設置され、すなわち、冷却回路において、コンプレッサは低温低圧気体冷媒を高温高圧気体冷媒に圧縮して、次に、コンデンサは冷媒を冷却して放熱させ、液体冷媒にし、液体冷媒が電池の熱交換パイプラインに流れ込み、電池内部の熱を吸収し、蒸発して気体冷媒になり、気体冷媒はコンプレッサによって再び圧縮されてもよい。それにより、冷媒は冷却回路において気液相変化を通じて循環して使用され、熱交換パイプラインを通過するとき、電池内部の熱を吸収して、電池を冷却するという効果を実現し、この場合、熱交換パイプラインはエバポレータに相当する。
【0059】
コンプレッサと、エバポレータ及び熱交換パイプラインとの間には、さらに冷媒を輸送、貯蔵するための「加熱チャンネル」が設置され、すなわち、加熱回路において、コンプレッサは低温低圧気体冷媒を高温高圧気体冷媒に圧縮して、高温高圧気体冷媒は熱交換パイプラインに入り、熱を放散し、液体冷媒になる。液体冷媒はエバポレータに入って蒸発すると気体冷媒になり、コンプレッサに再び圧縮される。それにより、冷媒は冷却回路において気液相変化を通じて循環して使用され、熱交換パイプラインを通過するとき、熱を放散して、電池の温度を上げるという効果を実現し、この場合、熱交換パイプラインはコンデンサに相当する。
【0060】
理解できるように、加熱回路と冷却回路の両方はコンプレッサ及び熱交換パイプラインを共有し、加熱回路と冷却回路も同じ冷媒を共有する。冷却回路又は加熱回路の導通を制御することにより、冷媒が熱交換パイプラインを通過するとき、さまざまな相変化が発生し、冷却又は加熱機能を付与する。
【0061】
すなわち、該熱管理システムは電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、上記直接冷却システムや加熱フィルムに比べて、該熱管理システムは、構造が簡単で、信頼性が高い。
【0062】
本願の実施例に開示されている熱管理システム及び電池は車両、船舶又は航空機等の電力消費機器に用いられるが、それらに制限されない。このように、熱管理システムは電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、構造が簡単で、信頼性が高く、高温又は低温環境での電力消費機器の通常の動作に有利である。
【0063】
本願の実施例は電力消費機器を提供し、電力消費機器は車両、汽船又は航空機等であってもよいがそれらに制限されない。以下の実施例では、説明を容易にするために、本願の一実施例における電力消費機器が電気自動車であることを例として説明する。
図1に示すように、電気自動車1000の内部には電池100及び熱管理システム200が設置され、熱管理システム200は電池100の熱交換パイプラインと連通する。
【0064】
電池100は電気自動車1000の底部又は車頭又は車尾に設置されてもよい。電池100は電気自動車1000の駆動電源として、燃料又は天然ガスを代替する又は部分的に代替して電気自動車1000に駆動動力を供給することができる。
【0065】
図2を参照し、
図2は本願のいくつかの実施例に係る電池100の爆発図である。電池100はケース10及び電池セル20を含み、電池セル20はケース10に収容される。ケース10は電池セル20に収納空間を提供することに用いられ、ケース10は複数種の構造としてもよい。いくつかの実施例では、ケース10は第1部分11及び第2部分12を含んでもよく、第1部分11と第2部分12とは互いに結合され、第1部分11と第2部分12は共同で電池セル20を収容するための収納空間を画定する。第2部分12は一端が開口した中空構造であってもよく、第1部分11は板状構造であってもよく、第1部分11は第2部分12の開口側に結合され、それにより、第1部分11と第2部分12は共同で収納空間を画定し、第1部分11及び第2部分12はいずれも一側が開口した中空構造であってもよく、第1部分11の開口側は第2部分12の開口側に結合される。もちろん、第1部分11及び第2部分12により形成されたケース10は円柱体、直方体等、さまざまな形状であってもよい。
【0066】
電池100において、電池セル20は複数であってもよく、複数の電池セル20は互いに直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続とは複数の電池セル20が直列接続及び並列接続の両方によって接続されることを意味する。複数の電池セル20は、直列接続又は並列接続するか又は直並列接続されて一体になってから、全体としてケース10に収容されてもよく、もちろん、電池100は、複数の電池セル20が直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールの形態になってから、複数の電池モジュールが直列接続又は並列接続又は直並列接続されて一体になり、ケース10に収容されたものであってもよい。電池100は、さらにその他の構造を含んでもよく、たとえば、該電池100は、さらに、複数の電池セル20の間の電気的接続を実現するためのバスバーを含んでもよく、該電池100は、さらに、電池セルの直並列接続、サンプリングラインの取り付けや固定等を実現するためのハーネスセパレータユニットを含んでもよい。
【0067】
各電池セル20は二次電池又は一次電池であってもよく、リチウム硫黄電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であってもよいが、これに制限されない。電池セル20は円柱体、偏平体、直方体又は他の形状等であってもよい。
【0068】
電池100は熱交換パイプライン30をさらに含み、熱交換パイプライン30はケース10の内部に設置され、たとえば、第1部分11の最上部又は第2部分12の底部に設置されてもよく、又は、第1部分11及び/又は第2部分12の側面に設置されてもよい。
図2において、熱交換パイプライン30は第2部分12の底部に設置されることを例示的に説明する。ここで、熱交換パイプラインの電池内部での位置について制限しない。
【0069】
図3に示すように、熱交換パイプラインはネットワーク状のキャピラリーパイプラインを含み、ここで、熱交換パイプラインの形状について制限しない。理解できるように、該熱交換パイプラインは1つの入口及び1つの出口を有し、気体又は液体の冷媒は入口から入り、出口から排出され、このように、熱交換パイプライン内を流れる。該入口と該出口との間には、並列接続されている複数のキャピラリーパイプラインが設置されてもよく、それにより、入口から入った冷媒が並列接続されている複数のキャピラリーパイプラインに分散して流れ込むことができ、熱交換効率を向上させる。
【0070】
熱管理システムは電気自動車に設置され、熱管理システムは電池の熱交換パイプラインと連通し、パイプラインを合理的に設計し、冷媒の相変化(たとえば液体から気体又は気体から液体等)と組み合わせることにより、電池に冷却機能又は加熱機能を付与することができる。すなわち、電池温度が高すぎる場合、冷却モードで、熱管理システムは電池内部の熱を吸収して、電池を冷却し、電池温度が低すぎる場合、加熱モードで、熱管理システムは電池内部に熱を供給して、温度を上げる。
【0071】
本願のいくつかの実施例によれば、
図4を参照し、熱管理システム200はコンプレッサ201と、コンデンサ202と、エバポレータ203とを含み、コンプレッサ201とコンデンサ202は、電池の熱交換パイプライン30と冷却回路を形成し、コンプレッサ201とエバポレータ203は、電池の熱交換パイプライン30と加熱回路を形成する。
【0072】
コンプレッサ201は低圧ガスを高圧ガスにするための従動流体機械である。コンプレッサ201の吸込口から低温低圧の冷媒ガス(たとえばフルオロカーボン)が吸い込まれ、モーターの運転によりピストンが駆動されて低温低圧の冷媒ガスを圧縮した後、高温高圧の冷媒ガスがその吹出口に排出され、これにより、冷媒の相変化サイクルのための動力が提供される。コンプレッサ201はピストンコンプレッサ、スクリュコンプレッサ、遠心コンプレッサ及び直線コンプレッサ等に分けられてもよい。この実施例では、コンプレッサ201のタイプ又は型番について制限せず、当業者は、実際の状況に応じて適切なコンプレッサを選択することができる。
【0073】
コンデンサ202は熱交換器であり、ガス又は蒸気を液体に変換することができ、すなわち、気体を液体に変換し、かつ気体から液体に変換する過程において放熱した熱を、付近の空気媒体に迅速に伝達する。コンデンサ202は空冷式コンデンサ、水冷式コンデンサ又は噴霧式コンデンサ等に分けられてもよい。この実施例では、コンデンサ202のタイプ又は型番について制限せず、当業者は実際の状況に応じて適切なコンデンサを選択することができる。
【0074】
エバポレータ203は液体物質を気体に変換することができるデバイスであり、低温液体冷媒がエバポレータ203を通過し、外界の空気と熱交換を行い、気体冷媒になる。冷媒のガス化過程において、周囲空気の熱が吸収される。当業者は実際の状況に応じて適切なエバポレータを選択することができる。
【0075】
理解できるように、コンプレッサ201と、コンデンサ202及び熱交換パイプライン30との間には、さらに冷媒(たとえばフルオロカーボン)を輸送、貯蔵するための「冷却チャンネル」が設置され、電池の熱交換パイプライン30とともに冷却回路を構成する。すなわち、冷却回路において、コンプレッサ201は低温低圧気体冷媒を高温高圧気体冷媒に圧縮し、次に、コンデンサ202はこの冷媒を冷却して放熱して液体冷媒にし、液体冷媒は電池の熱交換パイプライン30に流れ込み、電池内部の熱を吸収して、蒸発して気体冷媒になり、気体冷媒はコンプレッサ201によって再び圧縮されてもよい。それにより、冷媒は冷却回路において気液相変化を通じて循環して使用され、熱交換パイプライン30を通過するとき、電池内部の熱を吸収して、電池を冷却するという効果を実現し、この場合、熱交換パイプライン30はエバポレータに相当する。
【0076】
コンプレッサ201と、エバポレータ203及び熱交換パイプライン30との間には、さらに冷媒を輸送、貯蔵するための「加熱チャンネル」が設置され、電池の熱交換パイプライン30とともに加熱回路を構成する。すなわち、加熱回路において、コンプレッサ201は低温低圧気体冷媒を高温高圧気体冷媒に圧縮し、高温高圧気体冷媒は熱交換パイプライン30に入り、熱を放散して、液体冷媒になる。液体冷媒はエバポレータ203に入って蒸発すると気体冷媒になり、気体冷媒はコンプレッサ201に再び圧縮される。それにより、冷媒は冷却回路において気液相変化を通じて循環して使用され、熱交換パイプライン30を通過するとき、熱を放散して、電池の温度を上げるという効果を実現し、この場合、熱交換パイプライン30はコンデンサに相当する。
【0077】
理解できるように、加熱回路と冷却回路の両方はコンプレッサ及び熱交換パイプラインを共有し、加熱回路と冷却回路も同じ冷媒を共有する。冷却回路又は加熱回路の導通を制御することにより、冷媒が熱交換パイプラインを通過するとき、さまざまな相変化が発生し、冷却又は加熱機能を付与する。
【0078】
理解できるように、コンプレッサ201、コンデンサ202及びエバポレータ203はいずれも電力消費機器(たとえば電気自動車)に設置されてもよい。コンデンサ202が動作するときに、周囲の空気に熱が放熱され、周囲の空気が加熱され、熱気が生じ、エバポレータ203が動作するときに、周囲空気の熱が吸収されて、周囲の空気を冷却し、冷気が生じ、このように、必要に応じてコンデンサ202及びエバポレータ203の位置を合理的に設定することで、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。たとえば、電気自動車を例として例示的に説明し、熱管理システムにおけるコンデンサ202の動作による熱気は、電気自動車のキャビンに排出され、運転者又は乗客に暖房効果を提供することができ、エバポレータ203の動作による冷気は、電気自動車のキャビンに排出され、運転手又は乗客に冷房効果を提供することができる。すなわち、この実施例では、エバポレータ203及びコンデンサ202は電気自動車空気のコンシステムのエバポレータ及びコンデンサを使用することもでき、すなわち、電気自動車の空調システム及び熱管理システムはエバポレータ及びコンデンサを共有して、電気自動車に熱管理システムを取り付けるときに、他のコンデンサ及びエバポレータを追加する必要がなく、これによって、総コストを低減させ、且つ構造が簡単で、信頼性を向上させることができる。
【0079】
理解できるように、他の実施例では、コンデンサ202の動作による熱気又はエバポレータ203の動作による冷気は排気ガスとしてキャビンの外部へ排出されてもよい。当業者は実際の必要に応じて柔軟的に設計することができる。
【0080】
本願の実施例の技術案では、コンプレッサとコンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、コンプレッサとエバポレータは、熱交換パイプラインと加熱回路を形成し、該熱管理システムに電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、直接冷却システムや加熱フィルムに比べて、該熱管理システムは、構造が簡単で、信頼性が高い。また、必要に応じてコンデンサ及びエバポレータの位置を合理的に設定して、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。
【0081】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、
図5を参照し、上記熱管理システム200は第1逆止め弁204と、第2逆止め弁205と、それぞれ第1逆止め弁204及び第2逆止め弁205と通信可能に接続される制御装置(図示せず)とをさらに含む。コンプレッサ201の吹出口はコンデンサ202の第1端と連通し、コンデンサ202の第2端は熱交換パイプライン30の第1端と連通し、コンプレッサ201の吸込口は第1逆止め弁204を介して熱交換パイプライン30の第2端と連通することにより、冷却回路を形成する。コンプレッサ201の吹出口は第2逆止め弁205を介して熱交換パイプライン30の第1端と連通し、エバポレータ203の第1端は熱交換パイプライン30の第2端と連通し、エバポレータ203の第2端はコンプレッサ201の吸込口と連通することにより、加熱回路を形成する。
【0082】
理解できるように、上記コンプレッサ201、コンデンサ202、熱交換パイプライン30、エバポレータ203、第1逆止め弁204及び第2逆止め弁205のうちのいずれか2つは導管を介して連通してもよい。それにより、導管は気体又は液体冷媒の輸送チャンネルとして使用される。
【0083】
上記「コンプレッサ201の吸込口は第1逆止め弁204を介して熱交換パイプライン30の第2端と連通する」とは、コンプレッサ201の吸込口と熱交換パイプライン30の第2端との間に導管1#が接続され、且つ、該導管1#に第1逆止め弁204が設置されるようにしてもよい。上記「コンプレッサ201の吹出口は第2逆止め弁205を介して熱交換パイプライン30の第1端と連通する」とは、コンプレッサ201の吹出口と熱交換パイプライン30の第1端との間に導管2#が接続され、且つ、該導管2#に第2逆止め弁205が設置されるようにしてもよい。理解できるように、冷媒の流れ方向によれば、熱交換パイプライン30の第1端はその入口に相当し、第2端はその出口に相当する。
【0084】
上記「コンプレッサ201の吹出口はコンデンサ202の第1端と連通する」とは、コンプレッサ201の吹出口とコンデンサ202の第1端との間に導管3#が接続されるようにしてもよい。上記「コンデンサ202の第2端は熱交換パイプライン30の第1端と連通する」とは、コンデンサ202の第2端と熱交換パイプライン30の第1端との間に導管4#が接続されるようにしてもよい。上記「エバポレータ203の第1端は熱交換パイプライン30の第2端と連通する」とは、エバポレータ203の第1端と熱交換パイプライン30の第2端との間に導管5#が接続されるようにしてもよい。上記「エバポレータ203の第2端はコンプレッサ201の吸込口と連通する」とは、エバポレータ203の第2端とコンプレッサ201の吸込口との間に導管6#が接続されるようにしてもよい。
【0085】
理解できるように、導管1#~導管6#の符号は導管を区別するためにのみ使用され、記号1#~6#は導管に対していずれの限定も行わない。導管1#~導管6#は同じ種類の導管であってもよく、たとえば、全て硬質導管であるか、又は軟質導管等である。
【0086】
第1逆止め弁204及び第2逆止め弁205は、電磁弁又は電気弁等の流体を制御するための電子スイッチである。第1逆止め弁204が開いているとき、該第1逆止め弁204が配置された導管1#は導通し、第1逆止め弁204が閉じているとき、該第1逆止め弁204が配置された導管1#は導通していない。同様に、第2逆止め弁205が開いているとき、該第2逆止め弁205が配置された導管2#は導通しており、第2逆止め弁205が閉じているとき、該第2逆止め弁205が配置された導管2#は導通していない。
【0087】
制御装置としては、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、シングルチップマイクロコンピュータ、ARM(Acorn RISC Machine)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアユニット又はそれらの部材の任意の組み合わせなどが挙げられる。
【0088】
制御装置がそれぞれ第1逆止め弁204及び第2逆止め弁205と通信可能に接続されるため、冷却回路を導通する必要があるとき、制御装置は第1逆止め弁204を開き且つ第2逆止め弁205を閉じるように制御することができる。加熱回路を導通する必要があるとき、制御装置は第2逆止め弁205を開き且つ第1逆止め弁204を閉じるように制御することができる。
【0089】
本願の実施例では、上記冷却回路及び加熱回路の構造によれば、制御装置により第1逆止め弁204又は第2逆止め弁205を開くように選択的に制御することにより、冷却回路又は加熱回路を選択的に導通することができる。冷却回路が導通するとき、コンプレッサ201及びコンデンサ202が動作し、電池に冷却機能を付与することができる。加熱回路が導通するとき、コンプレッサ201及びエバポレータ203が動作し、電池に加熱機能を付与することができる。すなわち、1つの熱管理システムによって、冷却機能及び加熱機能の両方を付与することができ、且つ、熱管理システムは、システム構造が簡単で、制御しやすく、信頼性が高い。
【0090】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、熱管理システムは、冷媒が貯蔵されているアキュムレータをさらに含む。
【0091】
アキュムレータは吸気口及び排気口が設置されている容器であってもよい。アキュムレータの吸気口及び排気口はそれぞれ加熱回路及び冷却回路に接続されている。熱管理システムが動作しない場合、アキュムレータには冷媒が貯蔵されている。熱管理システムが動作している場合、アキュムレータ内の冷媒はコンプレッサにより吸収され、この場合、アキュムレータは、過剰な圧力による熱管理システムのパイプラインの破損を防ぐための圧力緩衝の役割を果たすことができる。
【0092】
本願の実施例では、アキュムレータを設置することにより、一方では、十分な量の冷媒を貯蔵することができ、他方では、過剰な圧力による熱管理システムのパイプラインの破損を防ぐための圧力緩衝の役割を果たすことができる。
【0093】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、
図6を参照し、アキュムレータ206の吸気口はエバポレータ203の第2端と連通し、アキュムレータ206の吸気口は第1逆止め弁204を介して熱交換パイプライン30の第2端と連通し、アキュムレータ206の排気口はコンプレッサ201の吸込口と連通する。
【0094】
該アキュムレータ206が導管6#に設置されるのに相当するので、アキュムレータ206の排気口は導管6#を介してコンプレッサ201の吸込口と連通し、アキュムレータ206の吸気口は導管6#を介してエバポレータ203の第2端と連通し、且つ、導管1#の一端はアキュムレータ206の吸気口と連通する。すなわち、導管1#の一端及び導管6#の一端はアキュムレータ206の吸気口に集まる。
【0095】
本願の実施例では、上記のようにアキュムレータを設置することによって、アキュムレータが冷却回路に配置されてもよく、加熱回路に配置されてもよく、すなわち、熱管理システムが冷却モード及び加熱モードのどちらで動作するかに関係なく、アキュムレータは冷媒を提供することができ、また圧力緩衝の役割を果たすことができ、また、上記構成は、構造が簡単である。
【0096】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200は、第1端がコンデンサ202の第2端と連通し、第2端が熱交換パイプライン30の第1端と連通する第1膨張弁207をさらに含む。
【0097】
第1膨張弁207はスロットルの役割を果たし、すなわち液体冷媒が第1膨張弁207を通過した後に低温低圧の液体冷媒ミストになり、液体冷媒が熱交換パイプラインにおいて熱を吸収して蒸発することのための条件を提供する。一方、第1膨張弁207はまた、液体冷媒の流量を制御することができ、熱交換パイプライン30の第2端(出口)に輸送された冷媒が完全に気体になることを確保することができる。第1膨張弁207は電子膨張弁であってもよい。電子膨張弁は当業者に知られているものであるため、ここで、電子膨張弁の構造及び作動原理について詳細に紹介しない。
【0098】
第1膨張弁207が導管4#に設置されるのに相当するので、コンデンサ202が出力した液体冷媒は第1膨張弁207で絞られて、制御された後、熱交換パイプライン30に流れ込み、熱交換を行う。第1膨張弁207は制御装置と通信可能に接続され、それにより、冷却回路を導通する必要があるとき、制御装置は、第1膨張弁207がオンになり、第1逆止め弁204を開くように制御する。
【0099】
本願の実施例では、コンデンサ202と熱交換パイプライン30との間に第1膨張弁207を設置することにより、熱交換パイプライン30に入った冷媒は蒸気状態になり、熱交換パイプライン30にて熱を吸収した後に十分に蒸発し、熱交換効率が高く、また、熱交換パイプライン30に入った冷媒の流量をさらに制御することができ、それにより、冷媒の流量が多すぎたり少なすぎたりすることによる悪影響がない。
【0100】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200は、第1端がエバポレータ203の第1端と連通し、第2端が熱交換パイプライン30の第2端と連通する第2膨張弁208をさらに含む。
【0101】
第2膨張弁208はスロットルの役割を果たし、すなわち、液体冷媒が第2膨張弁208を通過した後に低温低圧の液体冷媒ミストになり、液体冷媒がエバポレータ203において熱を吸収して蒸発することのための条件を提供する。一方、第2膨張弁208はまた、液体冷媒の流量を制御することができ、エバポレータ203に輸送された冷媒が完全に蒸発して気体になることを確保することができる。第2膨張弁208は電子膨張弁であってもよい。電子膨張弁は当業者に知られているものであるため、ここで、電子膨張弁の構造及び作動原理について詳細に紹介しない。
【0102】
第2膨張弁208が導管5#に設置されるのに相当するので、熱交換パイプライン30が出力した液体冷媒は第2膨張弁208で絞られて、制御された後、エバポレータ203に流れ込み、蒸発する。第2膨張弁208は制御装置と通信可能に接続され、それにより、加熱回路を導通する必要がある場合、制御装置は、第2膨張弁208がオンになり、第2逆止め弁205を開くように制御する。
【0103】
本願の実施例では、エバポレータ203と熱交換パイプライン30との間に第2膨張弁208を設置することにより、エバポレータ203に入った冷媒は蒸気状態になり、エバポレータ203にて熱を吸収した後に十分に蒸発し、蒸発効率が高く、また、エバポレータ203に入った冷媒の流量を制御することができ、冷媒の流量が多すぎて蒸発が不十分になることはない。
【0104】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200は、コンプレッサ201の吹出口とコンデンサ202の第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁209をさらに含む。
【0105】
第3逆止め弁209は、電磁弁又は電気弁等の流体を制御するための電子スイッチである。第3逆止め弁209は制御装置と通信可能に接続され、それにより、制御装置は、第3逆止め弁209の開閉を制御することができる。
【0106】
「第3逆止め弁209はコンプレッサ201の吹出口とコンデンサ202の第1端との間のパイプラインに設置される」とは、第3逆止め弁209が導管3#に設置されるようにしてもよく、それにより、コンプレッサ201の吹出口から排出された気体冷媒は第3逆止め弁209を通過した後にコンデンサ202に入る。
【0107】
冷却回路を導通する必要があるとき、制御装置は第3逆止め弁209を開くように制御し、気体冷媒はコンデンサ202に入る。加熱回路を導通する必要がある場合、制御装置は第3逆止め弁209を閉じるように制御し、加熱モードで、冷媒がコンデンサ202に入り、加熱効果に影響を与えることを回避し、また、すべての気体冷媒が第3逆止め弁209の遮断の場合に第2逆止め弁205を通過して熱交換パイプラインに入り、これにより、加熱効率が高い。
【0108】
本願の実施例では、コンプレッサ201の吹出口とコンデンサ202の第1端との間のパイプラインに第3逆止め弁209を設置することにより、加熱回路を導通する必要がある場合、制御装置は第3逆止め弁209を閉じるように制御し、加熱モードで、冷媒がコンデンサ202に入ることを回避し、すなわち、すべての気体冷媒が第3逆止め弁209の遮断の場合に第2逆止め弁を通過して熱交換パイプラインに入り、これにより、加熱効率が高い。
【0109】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200はラジエータ210をさらに含む。ラジエータ210は、熱を伝導したり放出したりするための装置であり、たとえばラジエータ210はファンであってもよい。それにより、ラジエータ210はコンデンサ202を放熱するために使用されてもよい。すなわち、コンデンサ202の動作によりその周囲空気に放散された熱は、さらに外界環境に伝達される。
【0110】
いくつかの実施例では、電力消費機器が電気自動車である場合、ラジエータ210を設置してコンデンサ202による熱をキャビン内に放散し、ユーザに暖房効果を提供することができる。又は、ラジエータ210を設置してコンデンサ202による熱を自動車の外部へ放散してもよい。
【0111】
ラジエータ210が制御装置と通信可能に接続されることによって、制御装置は必要に応じてラジエータ210の起動又は動作停止を制御することができる。具体的には、冷却回路を導通する必要があるとき、ラジエータ210が起動して動作するように制御して、コンデンサ202を放熱し、加熱回路を導通する必要がある場合、ラジエータ210が動作を停止するように制御する。
【0112】
本願の実施例では、ラジエータ210を設置してコンデンサ202を放熱することにより、コンデンサ202の周囲への熱の蓄積を効果的に回避することができ、それにより、コンデンサ202の凝縮効果が高くなり、熱管理システム200の冷却効果が向上する。
【0113】
本願のいくつかの実施例によれば、
図6を参照し、本願は、コンプレッサ201、コンデンサ202、エバポレータ203、ラジエータ210及び制御装置(図示せず)を含む熱管理システム200を提供している。コンプレッサ201の吸込口と熱交換パイプライン30の第2端との間には、第1逆止め弁204が設置されている導管1#が接続されている。コンプレッサ201の吹出口と熱交換パイプライン30の第1端との間には、第2逆止め弁205が設置されている導管2#が接続されている。コンプレッサ201の吹出口とコンデンサ202の第1端との間には、第3逆止め弁209が設置されている導管3#が接続されている。コンデンサ202の第2端と熱交換パイプライン30の第1端との間には、第1膨張弁207が設置されている導管4#が接続されている。エバポレータ201の第1端と熱交換パイプライン30の第2端との間には、第2膨張弁208が設置されている導管5#が接続されている。エバポレータ201の第2端とコンプレッサ201の吸込口との間には、アキュムレータ206が設置されている導管6#が接続されており、且つ導管1#の一端と導管6#の一端と、アキュムレータ206の吸気口に集まる。ラジエータ210はコンデンサ202の周囲に設置され、コンデンサ202を放熱することに用いられる。
【0114】
制御装置は、コンプレッサ201、コンデンサ202、エバポレータ203、ラジエータ210、第1逆止め弁204、第2逆止め弁205、第3逆止め弁209及び第1膨張弁207、第2膨張弁208とそれぞれ通信可能に接続される。熱管理システム200では、電池に冷却機能を付与する必要がある場合(すなわち冷却モードの場合)、制御装置は、第1逆止め弁204を開き、第2逆止め弁205を閉じ、第3逆止め弁209を開き、第1膨張弁207がオンになり、第2膨張弁208を閉じるように制御するとともに、コンプレッサ201、コンデンサ202、ラジエータ210が動作するように制御し、それにより、気体冷媒はアキュムレータ206からコンプレッサ201に吸入され、圧縮された後、第3逆止め弁209からコンデンサ202に入って液体冷媒に凝縮し、また、ラジエータ210はコンデンサ202による凝縮過程において放熱した熱を奪って、液体冷媒は第1膨張弁207を通過した後、熱交換パイプライン30に入り、電池内部の熱を吸収して蒸発し、このように、電池が冷却される。最終的に、蒸発した後の気体冷媒は第1逆止め弁204を通じてアキュムレータ206に入り、それにより、改めてコンプレッサ201に入り、次の冷却サイクルを行う。
【0115】
熱管理システム200では、電池に加熱機能を付与する必要がある場合(すなわち加熱モードの場合)、制御装置は、第2逆止め弁205を開き、第1逆止め弁204を閉じ、第3逆止め弁209を閉じ、第2膨張弁207がオンになるように制御するとともに、コンプレッサ201及びエバポレータ203が動作するように制御し、それにより、気体冷媒はアキュムレータ206からコンプレッサ201に吸入され、圧縮された後に高温高圧気体冷媒になり、次に第2逆止め弁205から熱交換パイプライン30に入り、高温高圧気体冷媒は熱を放出して、電池を加熱し、熱が吸収された気体冷媒は液体冷媒になり、次に第2膨張弁208を通過してエバポレータ203に入って蒸発し、蒸発した後の気体冷媒はアキュムレータ206に入り、それにより、改めてコンプレッサ201に入り、次の加熱サイクルを行う。
【0116】
また、コンプレッサ、コンデンサ及びエバポレータはいずれも電力消費機器(たとえば電気自動車)に設置されてもよく、熱管理システムにおけるコンデンサの動作による熱気は電気自動車のキャビンに排出され、運転者又は乗客に暖房効果を提供することができ、エバポレータの動作による冷気は電気自動車のキャビンに排出され、運転手又は乗客に冷房効果を提供することができる。すなわち、この実施例では、エバポレータ及びコンデンサは電気自動車空調システムのエバポレータ及びコンデンサを使用することができ、すなわち電気自動車の空調システム及び熱管理システムはエバポレータ及びコンデンサを共有することができ、電気自動車に熱管理システムを取り付けるとき、他のセットのコンデンサ及びエバポレータを追加する必要がなく、これによって、総コストを低減させ、且つ構造が簡単で、信頼性を向上させることができ、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。
【0117】
本願の実施例の技術案では、コンプレッサとコンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、コンプレッサとエバポレータは、熱交換パイプラインと加熱回路を形成し、該熱管理システムに電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、且つ構造が簡単で、信頼性が高い。また、必要に応じてコンデンサ及びエバポレータの位置を合理的に設定して、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。
【0118】
本願のいくつかの実施例によれば、
図4を参照し、熱管理システム200はコンプレッサ201と、コンデンサ202と、エバポレータ203とを含み、コンプレッサ201とコンデンサ202は、電池の熱交換パイプライン30と冷却回路を形成し、コンプレッサ201とエバポレータ203は、熱交換パイプライン30と加熱回路を形成する。
【0119】
理解できるように、熱管理システム200は、通信可能に接続されているプロセッサ及びメモリ(図示せず)をさらに含み、プロセッサはさらに、コンプレッサ201、コンデンサ202及びエバポレータ203とそれぞれ通信可能に接続される。メモリには、プロセッサに実行可能な命令が格納されており、該命令は、プロセッサに実行されて、以下の熱管理システムの制御方法をプロセッサに実行させる。
【0120】
ここで、メモリは読み出し専用メモリ及びランダムアクセスメモリを含んでもよく、かつプロセッサに命令及びデータを提供する。メモリの一部は不揮発性ランダムアクセスメモリ(non-volatile random accedd memory、NVRAM)を含んでもよい。メモリには操作命令、実行可能モジュール又はデータ構造、又はそれらのサブセット、又はそれらの拡張セットが格納されている。
【0121】
プロセッサは、集積回路チップであってもよく、信号処理能力を有する。実現に際して、以下の熱管理システムの制御方法の各ステップはプロセッサのハードウェアの集積論理回路又はソフトウェア形式の命令で完了させてもよい。上記プロセッサは汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(diginal signal processing、DSP)、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラであってもよく、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアユニットを含んでもよい。該プロセッサは、以下の熱管理システムの制御方法を、実現又は実行することができる。
【0122】
図7を参照し、
図7は本願の実施例に係る熱管理システムの制御方法の模式的なフローチャートである。該方法S100は、具体的には、ステップS10、ステップS20、ステップS30を含んでもよい。
【0123】
S10:電池の現在の温度を取得する。
S20:現在の温度が第1温度閾値以上である場合、コンプレッサ及びコンデンサが起動して動作するように制御するとともに、冷却回路が導通するように制御する。
S30:現在の温度が第2温度閾値以下である場合、コンプレッサ及びエバポレータが起動して動作するように制御するとともに、加熱回路が導通するように制御する。
【0124】
第1温度閾値は第2温度閾値より大きい。理解できるように、第1温度閾値は高温閾値であり、すなわち電池の作動温度は第1温度閾値を上回ってはならない。第2温度閾値は低温閾値であり、すなわち電池の作動温度は第2温度閾値を下回ってはならない。
【0125】
現在の温度はリアルタイムに収集した電池内部の温度である。たとえば、電池内部の電池管理システム(BMS)は少なくとも1つの位置の温度をリアルタイムに監視して、監視した各温度の平均値を現在の温度とすることができる。電池は、熱管理システムと通信可能に接続されることによって、現在の温度を熱管理システムのプロセッサに送信することができる。
【0126】
現在の温度を取得した後、現在の温度を第1温度閾値、第2温度閾値のそれぞれと比較し、現在の温度が第1温度閾値以上であることを監視した場合、電池内部の温度が高すぎることが示され、この場合、コンプレッサ及びコンデンサが起動して動作するように制御するとともに、冷却回路が導通するように制御し、これによって、気体冷媒はコンプレッサ、コンデンサを通過した後に熱交換パイプラインに入って電池内部の熱を吸収して、電池を冷却し、次に、気体冷媒になり、コンプレッサに戻り、サイクル冷却を行う。
【0127】
現在の温度が第2温度閾値以下であることを監視した場合、電池内部の温度が低すぎることが示され、コンプレッサ及びエバポレータが起動して動作するように制御するとともに、加熱回路が導通するように制御し、これによって、気体冷媒はコンプレッサを通過して高温高圧気体冷媒になり、次に、熱交換パイプラインに入って電池内部に熱を供給して、電池を加熱し、放熱した後の冷媒は液体冷媒になり、次に、エバポレータに入って蒸発して気体冷媒になり、コンプレッサに戻り、サイクル加熱を行う。
【0128】
理解できるように、コンプレッサ、コンデンサ及びエバポレータはいずれも電力消費機器(たとえば電気自動車)に設置されてもよい。コンデンサが動作するときに周囲空気に熱を放熱して、周囲空気を加熱し、熱気を発生させ、エバポレータが動作するときに周囲空気の熱を吸収して、周囲空気を冷却して、冷気を発生させることによって、必要に応じてコンデンサ及びエバポレータの位置を合理的に設定し、対応する制御を行うことができ、それにより、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。たとえば、電気自動車を例として例示的に説明すると、電気自動車には凝縮室が設置されており、凝縮室は第1吹き込み口、第1吹き出し口及び第2吹き出し口を有し、第1吹き込み口はキャビンの外部に連通し、第1吹き出し口はキャビンの内部に連通し、第2吹き出し口はキャビンの外部に連通し、第1吹き出し口には第1エアドアが設置され、第2吹き出し口には第2エアドアが設置され、コンデンサは凝縮室内に設置され、それにより、コンデンサが動作するときに、凝縮室内の空気が冷却され、第1エアドアを開き、第2エアドアを閉じるように制御することにより、冷気はキャビン内に吹き込んで、ユーザに冷房効果を提供し、第1エアドアを閉じ、第2エアドアを開くように制御することにより、冷気は外界環境に吹き出される。同様に、電気自動車には蒸発室がさらに設置され、蒸発室は第2吹き込み口、第3吹き出し口及び第4吹き出し口を有し、第2吹き込み口はキャビンの外部に連通し、第3吹き出し口はキャビンの内部に連通し、第4吹き出し口はキャビンの外部に連通し、第3吹き出し口には第3エアドアが設置され、第4吹き出し口には第4エアドアが設置され、エバポレータは蒸発室内に設置され、それにより、エバポレータが動作するとき、蒸発室内の空気が加熱され、第3エアドアを開き、第4エアドアを閉じるように制御することにより、熱風はキャビン内に吹き込んで、ユーザに冷房効果を提供し、第3エアドアを閉じ、第4エアドアを開くように制御することにより、熱風は外界環境に吹き出される。
【0129】
本願の実施例の技術案では、電池の現在の温度をリアルタイムに取得し、現在の温度が第1温度閾値以上である場合、コンプレッサ及びコンデンサが起動して動作するように制御するとともに、冷却回路が導通するように制御し、現在の温度が第2温度閾値以下である場合、コンプレッサ及びエバポレータが起動して動作するように制御するとともに、加熱回路が導通するように制御する。それにより、電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができる。また、必要に応じてコンデンサ及びエバポレータの対応する吹き出し口を合理的に制御して、熱気及び冷気の二次利用を実現することができる。
【0130】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、
図5を参照し、熱管理システム200は第1逆止め弁204及び第2逆止め弁205をさらに含み、コンプレッサ201の吹出口はコンデンサ202の第1端と連通し、コンデンサ202の第2端は熱交換パイプライン30の第1端と連通し、コンプレッサ201の吸込口は第1逆止め弁204を介して熱交換パイプライン30の第2端と連通することにより、冷却回路を形成し、コンプレッサ201の吹出口は第2逆止め弁205を介して熱交換パイプライン30の第1端と連通し、エバポレータ30の第1端は熱交換パイプライン30の第2端と連通し、エバポレータ30の第2端はコンプレッサ201の吸込口と連通することにより、加熱回路を形成する。
【0131】
すなわち、コンプレッサ201の吸込口と熱交換パイプライン30の第2端との間には導管1#が接続されており、且つ、該導管1#には第1逆止め弁204が設置されている。コンプレッサ201の吹出口と熱交換パイプライン30の第1端との間には導管2#が接続されており、且つ、該導管2#には第2逆止め弁205が設置されている。コンプレッサ201の吹出口とコンデンサ202の第1端との間には導管3#が接続されており、コンデンサ202の第2端と熱交換パイプライン30の第1端との間には導管4#が接続されている。エバポレータ30の第1端と熱交換パイプライン30の第2端との間には導管5#が接続されている。エバポレータ30の第2端とコンプレッサ201の吸込口との間には導管6#が接続されている。
【0132】
「冷却回路が導通するように制御する」上記ステップは、ステップS21を含む。
S21:冷却回路を導通するように、第1逆止め弁を開き且つ第2逆止め弁を閉じるように制御する。
【0133】
この実施例では、冷却回路は、順にコンプレッサ、コンデンサ、熱交換パイプライン、第1逆止め弁を含み、従って、冷却回路が導通するように制御するとき、第1逆止め弁を開くように制御する必要がある。導管3#及び導管4#で構成されたブランチは導管2#に並列接続されているため、冷却する際に冷媒が加熱回路に入ることを防止するために、第2逆止め弁を閉じる必要がある。
【0134】
「加熱回路が導通するように制御する」上記ステップは、ステップS31を含む。
S31:加熱回路を導通するように、第1逆止め弁を閉じ且つ第2逆止め弁を開くように制御する。
【0135】
この実施例では、加熱回路は、順にコンプレッサ、第2逆止め弁、熱交換パイプライン及びエバポレータを含み、従って、加熱回路が導通するように制御するとき、第2逆止め弁を開くように制御する必要がある。導管4#及び導管6#で構成されたブランチは導管1#に並列接続されているため、加熱ときに冷媒が冷却回路に入ることを防止するために、第1逆止め弁を閉じる必要がある。
【0136】
第1逆止め弁を開き且つ第2逆止め弁を閉じるように制御することによって冷却回路を導通することができ、第1逆止め弁を閉じ且つ第2逆止め弁を開くように制御することによって加熱回路を導通することができ、このため、制御しやすく、信頼性を向上させることができる。
【0137】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200は、第1端がコンデンサ202の第2端と連通し、第2端が熱交換パイプライン30の第1端と連通する第1膨張弁207をさらに含む。
【0138】
第1膨張弁207は導管4#に設置されるのに相当する。第1膨張弁207は電子膨張弁であってもよい。
【0139】
「前記冷却回路が導通するように制御する」上記ステップは、ステップS22をさらに含む。
S22:第1膨張弁がオンになるように制御する。
【0140】
この実施例では、冷却回路は、順にコンプレッサ、コンデンサ、第1膨張弁、熱交換パイプライン、第1逆止め弁を含み、従って、冷却回路が導通するように制御するとき、第1逆止め弁を開き、第2逆止め弁を閉じるように制御するだけでなく、第1膨張弁がオンになるように制御する必要がある。
【0141】
冷却の場合、第1膨張弁を開くように制御することにより、熱交換パイプラインに入った冷媒は蒸気状態になり、熱交換パイプラインにて熱を吸収した後に十分に蒸発し、熱交換効率が高く、また、熱交換パイプラインに入った冷媒の流量を制御することができ、冷媒の流量が多すぎたり少なすぎたりすることによる悪影響がない。
【0142】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200は、第1端がエバポレータ203の第1端と連通し、第2端が熱交換パイプライン30の第2端と連通する第2膨張弁208をさらに含む。
【0143】
第2膨張弁208は導管5#に設置されるのに相当する。第2膨張弁208は電子膨張弁であってもよい。
【0144】
「加熱回路が導通するように制御する」上記ステップは、ステップS32をさらに含む。
S32:第2膨張弁がオンになるように制御する。
【0145】
この実施例では、加熱回路は、順にコンプレッサ、第2逆止め弁、熱交換パイプライン、第2膨張弁及びエバポレータを含み、従って、加熱回路が導通するように制御するとき、第2逆止め弁を開き、第1逆止め弁を閉じるように制御するだけでなく、第2膨張弁がオンになるように制御する必要がある。
【0146】
加熱の場合、第2膨張弁を開くように制御することにより、エバポレータに入った冷媒は蒸気状態になり、エバポレータにて熱を吸収した後に十分に蒸発し、蒸発効率が高く、また、エバポレータに入った冷媒の流量を制御することができ、冷媒の流量が多すぎて蒸発が不十分になることはない。
【0147】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200は、コンプレッサ201の吹出口とコンデンサ202の第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁209をさらに含む。
【0148】
第3逆止め弁209は、電磁弁又は電気弁等の流体を制御するための電子スイッチである。第3逆止め弁209は導管3#に設置され、それにより、コンプレッサ201の吹出口から排出された気体冷媒は第3逆止め弁209を通過してコンデンサ202に入る。
【0149】
「冷却回路が導通するように制御する」上記ステップは、ステップS23をさらに含む。
S23:第3逆止め弁を開くように制御する。
【0150】
冷却回路を導通する必要があるとき、第3逆止め弁を開くように制御し、気体冷媒はコンデンサに入る。加熱回路を導通する必要がある場合、第3逆止め弁を閉じるように制御し、加熱モードで冷媒がコンデンサに入り、加熱効果に影響を与えることを回避し、また、気体冷媒の全てが第3逆止め弁の遮断の場合に第2逆止め弁を介して熱交換パイプラインに入り、これにより、加熱効率が高い。
【0151】
本願のいくつかの実施例によれば、選択可能に、さらに
図6を参照し、熱管理システム200はラジエータ210をさらに含む。ラジエータ210は、熱を伝導したり放出したりするための装置であり、たとえばラジエータはファンであってもよい。それにより、ラジエータ20はコンデンサ202を放熱するために使用されてもよい。すなわち、コンデンサ202の動作によりその周囲空気に放散した熱は、さらに外界環境に伝達される。
【0152】
前記方法S100はステップS40をさらに含む。
S40:現在の温度が第1温度閾値以上である場合、制御ラジエータが起動して動作する。
【0153】
現在の温度が第1温度閾値以上である場合、冷却回路を導通する必要があり、冷却回路を導通するとき、コンデンサを放熱するように、ラジエータが起動して動作するように制御する。
【0154】
ラジエータが起動して動作して、コンデンサを放熱するように制御することにより、コンデンサの周囲への熱の蓄積を効果的に回避することができ、それにより、コンデンサの凝縮効果が高くなり、熱管理システムの冷却効果が向上する。
【0155】
本願のいくつかの実施例によれば、本願はさらに、上記熱管理システム及び上記電池を含む電力消費機器を提供している。
【0156】
上記実施形態では、熱管理システムは電池に冷却機能及び加熱機能を付与することができ、構造が簡単で、信頼性が高く、高温又は低温環境での電力消費機器の通常の動作に有利である。
【0157】
なお、以上の各実施例は本願の技術案を説明するためにのみ使用され、それを制限するものではなく、上記各実施例を参照しながら本願を詳細に説明したが、当業者が理解できるように、上記各実施例に記載の技術案を修正するか、又は一部又はすべての技術的特徴に対して均等物への置換を行うことができ、それらの修正や置換は、対応する技術案の本質を本願の各実施例技術案の範囲から逸脱させず、本願の請求項及び明細書の範囲に属すべきである。特に、構造上の矛盾が存在しない限り、各実施例に記載の各技術的特徴は全て任意の方式で組み合わせることができる。本願は上記に開示されている特定の実施例に制限されず、請求項の範囲内のすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0158】
1#~6# 導管
10 ケース
11 第1部分
12 第2部分
20 電池セル
30 熱交換パイプライン
100 電池
200 熱管理システム
201 コンプレッサ
202 コンデンサ
203 エバポレータ
204 第1逆止め弁
205 第2逆止め弁
206 アキュムレータ
207 第1膨張弁
208 第2膨張弁
209 第3逆止め弁
210 ラジエータ
1000 電気自動車
【手続補正書】
【提出日】2022-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理システムであって、
コンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとを含み、
前記コンプレッサと前記コンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、
前記コンプレッサと前記エバポレータは、前記熱交換パイプラインと加熱回路を形成することを特徴とする熱管理システム。
【請求項2】
第1逆止め弁と、第2逆止め弁と、それぞれ前記第1逆止め弁及び前記第2逆止め弁と通信可能に接続されている制御装置と、をさらに含み、
前記コンプレッサの吹出口は前記コンデンサの第1端と連通し、前記コンデンサの第2端は前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記コンプレッサの吸込口は前記第1逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第2端と連通することにより、前記冷却回路を形成し、
前記コンプレッサの吹出口は前記第2逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記エバポレータの第1端は前記熱交換パイプラインの第2端と連通し、前記エバポレータの第2端は前記コンプレッサの吸込口と連通することにより、前記加熱回路を形成し、
前記制御装置は、前記冷却回路を導通するように、前記第1逆止め弁を開き且つ前記第2逆止め弁を閉じるように制御すること、又は、前記加熱回路を導通するように、前記第1逆止め弁を閉じ且つ前記第2逆止め弁を開くように制御すること、に用いられることを特徴とする請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
冷媒を貯蔵するためのアキュムレータをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記アキュムレータの吸気口は、前記エバポレータの第2端と連通し、かつ前記第1逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第2端と連通し、前記アキュムレータの排気口は、前記コンプレッサの吸込口と連通することを特徴とする請求項3に記載の熱管理システム。
【請求項5】
第1端が前記コンデンサの第2端と連通し、第2端が前記熱交換パイプラインの第1端と連通する第1膨張弁をさらに含み、
前記第1膨張弁は前記制御装置と通信可能に接続され、前記制御装置はさらに前記冷却回路を導通するときに前記第1膨張弁がオンになるように制御することに用いられることを特徴とする請求項
2~4のいずれか1項に記載の熱管理システム。
【請求項6】
第1端が前記エバポレータの第1端と連通し、前記第2端が前記熱交換パイプラインの第2端と連通する第2膨張弁をさらに含み、
前記第2膨張弁は、さらに前記加熱回路を導通するとき、前記第2膨張弁がオンになるように制御するための前記制御装置と通信可能に接続されることを特徴とする請求項5に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記コンプレッサの吹出口と前記コンデンサの第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁をさらに含み、
前記第3逆止め弁は、さらに前記冷却回路を導通するとき、前記第3逆止め弁を開くように制御すること、又は、前記加熱回路を導通するとき、前記第3逆止め弁を閉じるように制御すること、に用いられる前記制御装置と通信可能に接続されることを特徴とする請求項6に記載の熱管理システム。
【請求項8】
前記コンデンサを放熱するためのラジエータをさらに含み、
前記ラジエータは、前記冷却回路を導通するとき、前記ラジエータが起動して動作するように制御すること、又は、前記加熱回路を導通するとき、制御前記ラジエータが動作を停止するように制御すること、に用いられる前記制御装置と通信可能に接続されることを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の熱管理システム。
【請求項9】
熱管理システムの制御方法であって、前記熱管理システムはコンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとを含み、前記コンプレッサと前記コンデンサは、電池の熱交換パイプラインと冷却回路を形成し、前記コンプレッサと前記エバポレータは、前記熱交換パイプラインと加熱回路を形成し、
前記電池の現在の温度を取得するステップと、
前記現在の温度が第1温度閾値以上である場合、前記コンプレッサ及び前記コンデンサが起動して動作するように制御するとともに、前記冷却回路が導通するように制御するステップと、
前記現在の温度が第2温度閾値以下である場合、前記コンプレッサ及び前記エバポレータが起動して動作するように制御するとともに、前記加熱回路が導通するように制御するステップと、を含み、
前記第1温度閾値は前記第2温度閾値より大きいことを特徴とする熱管理システムの制御方法。
【請求項10】
前記熱管理システムは第1逆止め弁及び第2逆止め弁をさらに含み、前記コンプレッサの吹出口は前記コンデンサの第1端と連通し、前記コンデンサの第2端は前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記コンプレッサの吸込口は前記第1逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第2端と連通することにより、前記冷却回路を形成し、前記コンプレッサの吹出口は前記第2逆止め弁を介して前記熱交換パイプラインの第1端と連通し、前記エバポレータの第1端は前記熱交換パイプラインの第2端と連通し、前記エバポレータの第2端は前記コンプレッサの吸込口と連通することにより、前記加熱回路を形成し、
前記冷却回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記冷却回路を導通するように、前記第1逆止め弁を開き且つ前記第2逆止め弁を閉じるように制御するステップを含み、
前記加熱回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記加熱回路を導通するように、前記第1逆止め弁を閉じ且つ前記第2逆止め弁を開くように制御するステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記熱管理システムは、第1端が前記コンデンサの第2端と連通し、第2端が前記熱交換パイプラインの第1端と連通する第1膨張弁をさらに含み、
前記冷却回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記第1膨張弁がオンになるように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱管理システムは、第1端が前記エバポレータの第1端と連通し、第2端が前記熱交換パイプラインの第2端と連通する第2膨張弁をさらに含み、
前記加熱回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記第2膨張弁がオンになるように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記熱管理システムは、前記コンプレッサの吹出口と前記コンデンサの第1端との間のパイプラインに設置される第3逆止め弁をさらに含み、
前記冷却回路が導通するように制御する前記ステップは、
前記第3逆止め弁を開くように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱管理システムは、前記コンデンサを放熱するためのラジエータをさらに含み、
前記現在の温度が前記第1温度閾値以上である場合、前記ラジエータが起動して動作するように制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか1項に記載の熱管理システムと、前記電池と、を含むことを特徴とする電力消費機器。
【国際調査報告】