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特表2024-504896デュアルモード電磁干渉フィルタ及びデュアルモード電磁干渉フィルタを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】デュアルモード電磁干渉フィルタ及びデュアルモード電磁干渉フィルタを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20240126BHJP
   H01F 27/255 20060101ALI20240126BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H01F37/00 A
H01F37/00 N
H01F37/00 H
H01F27/255
H01F27/24 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521323
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2022029723
(87)【国際公開番号】W WO2023145109
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】22305082.4
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】モーランド、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】長澤 忍
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル、ギオム
(57)【要約】
本発明は、第1の磁気コアと第1の磁気コアに巻回される巻線とを備えるデュアルモード電磁干渉フィルタであって、巻線の近傍にモールドされた磁性複合材料と、巻線の各ターンを磁性複合材料から絶縁する絶縁層とを更に備える、デュアルモード電磁干渉フィルタに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁気コアと前記第1の磁気コアに巻回される巻線とを備えるデュアルモード電磁干渉フィルタであって、
前記巻線の近傍にモールドされた磁性複合材料と、
前記巻線の各ターンを前記磁性複合材料から絶縁する絶縁層と、
を更に備えることを特徴とする、
デュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項2】
前記磁性複合材料上に配置された導電性材料部分を更に備えることを特徴とする、
請求項1に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項3】
前記導電性材料部分はヒートシンクであることを特徴とする、
請求項2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項4】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの内部スペースにモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項5】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの外周にのみモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項6】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの上部にモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項7】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの全周及び前記第1の磁気コアの内部スペースにおいてモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項8】
デュアルモード電磁干渉フィルタを製造する方法であって、
コモンモードフィルタリングに関する要件に適合する第1の磁気コアを選択し、前記第1の磁気コアの周囲に巻線を巻回するステップと、
前記巻線の各ターンを絶縁するステップと、
前記第1の磁気コアを鋳型に入れるステップと、
単軸ダイプレス成形技法又は射出成形技法を使用して磁性複合材料を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記方法は、前記磁性複合材料上に導電性材料部分を配置するステップを更に含むことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、磁性複合材料を使用するデュアルモード電磁干渉フィルタ及びこのデュアルモード電磁干渉フィルタを作製するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換器は、電磁干渉源である。ほとんどのアプリケーションでは、伝導エミッションが、標準化委員会において或る特定のレベルに制限されている。これらの様々な標準規格に準拠するために、コモンモード(CM)電流及び差動モード(DM)電流の双方をフィルタリングする電磁干渉(EMI)フィルタが電力変換器の入力ポート及び出力ポートに追加されている。
【0003】
パワーエレクトロニクスの全体的な動向は、電力変換器の密度を増加させることである。この傾向は、アプリケーション固有の要件によって牽引されている。エレクトロモビリティのアプリケーションでは、例えば、ハイブリッド電気自動車(HEV)の場合には、電力密度を増加させることによって、客室により多くの空間を割り当てることができ、軽量化することによって、走行距離の延長又はCO放出の削減を促進することができる。
【0004】
家電のアプリケーションでは、スマートフォン又はラップトップの充電器に明確に見ることができるように、よりコンパクトな電力変換器が小型化への鍵である。スイッチング周波数の継続的な増加及びパワースイッチ技術の著しい進歩によって、電力変換器のサイズは大幅に削減されてきた。
【0005】
しかしながら、残念なことに、電磁両立性(EMC)フィルタのサイズは、逆の傾向を辿っている。実際、スイッチングセル内の受動部品が蓄積するエネルギーは、周波数の増加とともに少なくなっている。
【0006】
伝導エミッションレベル、特にコモンモードの伝導エミッションレベルは、ワイドバンドギャップ(WBG)デバイスによってもたらされる寄生容量を通じてコモンモード電流に変換される経時的な電圧変動dv/dtレベルの高まりに起因して、上昇している。加えて、スイッチング周波数がより高くなることによって、コモンモード外乱の周波数レンジは拡大している。
【0007】
したがって、所望の減衰レベルに到達するために、コモンモードインダクタンスの値を大きくすることが一般的であり、これによって、構成部品は大型化かつ重量化している。
【0008】
現在のEMIフィルタでは、コモンモードチョークの巻線は、その構成に特有の漏れ磁束を発生させる。電気的に言えば、この漏れ磁束は、フィルタにおいて差動雑音除去に寄与するコモンモードチョークと直列に付加されたチョークとしてモデル化することができる。しかしながら、これらの構成部品のインダクタンス値は、巻線の構造、コアの幾何形状及びコア材料の特性によって制限される。
【0009】
コモンモードチョーク内に差動モードを統合するためのデュアルモードインダクタの既存の解決策のほとんどは、エアギャップを有する高透磁率の磁気コアに依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、巻線の近傍にモールドされた磁性複合材料を使用して、漏れ経路の磁気抵抗を削減し、それによって、差動モードインダクタンスを増加させるデュアルモード電磁干渉フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、本発明は、第1の磁気コアと第1の磁気コアに巻回される巻線とを備えるデュアルモード電磁干渉フィルタであって、
巻線の近傍にモールドされた磁性複合材料と、
巻線の各ターンを磁性複合材料から絶縁する絶縁層と、
を更に備えることを特徴とする、デュアルモード電磁干渉フィルタに関する。
【0012】
このように、未硬化状態にある磁性複合材料の順応性によって、各ターンの周囲の容積を完全に満たすことができる。この材料のボイドフリーの特徴によって、各巻線の漏れ磁束を大幅に増加させることができ、その結果、差動モードインダクタンスを増加させることができる。絶縁層は、磁性複合材料が巻線の各ターンの間のスペースに挿入されることを防止するとともに、ターン間の静電容量を最小値に維持する。
【0013】
特定の特徴によれば、デュアルモード電磁干渉フィルタは、磁性複合材料上に配置された導電性材料部分を更に備える。
【0014】
したがって、部品を追加することなく、同じ占有面積を維持したままで、組み込み型コモンモードコンデンサを内蔵することができる。
【0015】
特定の特徴によれば、導電性材料部分はヒートシンクである。
【0016】
このように、コモンモードコンデンサの特徴を組み合わせるとともに、第1の磁気コアの損失及び銅損によって発生する熱を構成部品から容易に取り出すことができる。実際、ほとんどのヒートシンクは、銅、アルミニウム黄銅、銀又は炭素等の導電性材料からなる。ヒートシンクは、コモンモードコンデンサの1つの電極としても機能する。
【0017】
特定の特徴によれば、磁性複合材料は、第1の磁気コアの内部スペースにモールドされる。
【0018】
したがって、構成部品の全体の容積は、より高い差動モードインダクタンスを備えた上で、従来のコモンモードインダクタと同一である。
【0019】
特定の特徴によれば、磁性複合材料は、第1の磁気コアの外周にのみモールドされる。
【0020】
したがって、同等の差動モードインダクタンスを得るために必要とされる磁性材料の厚さは、の内部スペースに充填する場合と比較して減少する。
【0021】
特定の特徴によれば、磁性複合材料は、第1の磁気コアの上部にモールドされる。
【0022】
したがって、デュアルモード電磁干渉フィルタの占有面積は、より高い差動モードインダクタンスを備えた上で、コモンモードインダクタと同一である。
【0023】
特定の特徴によれば、磁性複合材料は、第1の磁気コアの全周及び第1の磁気コアの内部スペースにおいてモールドされる。
【0024】
本発明はまた、デュアルモード電磁干渉フィルタを製造する方法であって、
コモンモードフィルタリングに関する要件に適合する第1の磁気コアを選択し、第1の磁気コアの周囲に巻線を巻回するステップと、
巻線の各ターンを絶縁するステップと、
第1の磁気コアを鋳型に入れるステップと、
単軸ダイプレス成形技法又は射出成形技法を使用して磁性複合材料を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0025】
特定の特徴によれば、本方法は、磁性複合材料上に導電性材料部分を配置するステップを更に含む。
【0026】
本発明の特徴は、例示の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの電気モデルの一例を表す図である。
図2】本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの第1の実現例を表す図である。
図3】本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの第2の実現例を表す図である。
図4】本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの第3の実現例を表す図である。
図5】本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの第4の実現例を表す図である。
図6】本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの第5の実現例を表す図である。
図7】磁性複合材料を使用してデュアルモード電磁両立性フィルタを作製するシステムのアーキテクチャを表す図である。
図8】磁性複合材料を使用してデュアルモード電磁両立性フィルタを作製するアルゴリズムを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に、本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの電気モデルの一例を表す。
【0029】
図1の例は、三相電磁両立性フィルタの電気モデルである。この三相電磁両立性フィルタは、コモンモード及び差動モードをフィルタリングするデュアルモードフィルタである。
【0030】
本発明は、単相にも適用可能であり、また例えばセンサ巻線やインジェクタ巻線が付与された多相にも適用可能である。
【0031】
デュアルモード電磁両立性フィルタは、コモンモードインダクタンスを生成する2000~30000の範囲にある高い比透磁率を有する第1の磁気コアに巻回される3つの巻線から構成されている。
【0032】
コモンモードインダクタンスLCMの巻線は、その構成に特有の漏れ磁束を発生させる。この漏れ磁束は、フィルタにおいて差動雑音除去に寄与するコモンモードインダクタと直列に付加されたインダクタLDMとしてモデル化することができる。
【0033】
本発明によれば、巻線の近傍に配置された磁性複合材料によって、差動モードフィルタリングが可能となる。巻線WD1、WD2及びWD3は、絶縁層と接触しており、絶縁層は、磁性複合材料SMC1と接触している。
【0034】
より正確には、磁性複合材料は、存在する巻線、絶縁層及び第1の磁気コアの周囲にオーバーモールドされている。
【0035】
巻線の各ターンは、例えば、巻回したテープ、エナメルコーティング、ビニルシース又はPVCシースを使用した絶縁層によって、磁性複合材料と電気的に絶縁されている。別の実施態様では、絶縁層は、各ターンの間のスペースを満たし、磁性複合材料の挿入を防ぐために、各ターンの間に配置される垂直フェンスからなる部品によって形成することができる。
【0036】
任意選択で、導電性部分は、グランドに接続することができ、磁性複合材料と接触している。巻線、絶縁層、磁性複合材料及び導電性部分は、コモンモードコンデンサCCMを形成する。
【0037】
導電性部分は、例えば、アルミニウム、銅、黄銅、銀又は炭素からなる。
【0038】
磁性複合材料は、例えば、軟磁性複合材(SMC)である。これは、鉄系粉末、ニッケル系粉末又は亜鉛系粉末等の磁気粉末と、以下の2つの要件を満たしている結合剤との混合物である。その2つの要件とは、各磁気粒子を互いに絶縁して、渦電流の循環を制限するとともにこの現象に付随する損失を制限することと、粒子を機械的に結合して、利用の際に操作及び統合するのに十分な強度をコアに与えることとである。
【0039】
加えて、磁性複合材料粒子の手法は、コアの容積全体内にエアギャップを分散させる。この分散によって、フリンジング効果に起因した損失の低下が促進され、より一様な損失分布を得ることができる。活物質に対する結合剤の比率に応じて、混合物の等価的な比透磁率を10~数百に調整することができる。
【0040】
巻線は、ノーマルモード電流が互いに相殺されるように電力変換器に接続することができる。3つ以上の巻線(多相)の場合には、ノーマルモード電流の合計は0に等しくなることになる。必要とされる差動モードインダクタンス値及び電磁両立性フィルタの冷却構成に応じて、内部スペース、上部、底部及び側部を含む外部スペースは、磁性複合材料で満たされる。フェライト系磁気粉末(NiMn、ZnMn)を含むとき、磁性複合材料の比誘電率は、空気よりも数倍高い(少なくとも20)。したがって、磁性複合材料が存在する場合には、巻線のターン間の静電容量は増加し、その結果、共振周波数を低下させることによってコモンモードインダクタの使用可能帯域幅を減少させる。
【0041】
他方、相の間の容量結合(相間静電容量)はより高くなり、これによって、差動モード除去は改善される。相間静電容量の増加は、巻線の周囲に絶縁された材料の層を追加することによって、又は、磁性材料に代わりに低誘電率を有する誘電材料からなるセパレータを配置することによって緩和することができる。組み込み型コモンモードコンデンサCCMを作製するために、通常はグランドに接続された銅若しくはアルミニウム黄銅、銀又は炭素のプレートである導電性部分が各巻線の近傍に配置され、これらの導電性部分及び巻線はコンデンサの2つの電極となり、SMC材料が誘電材料となる。その後、コモンモード静電容量の利得と差動モードインダクタンスの利得との間の最良のトレードオフを提供する磁性複合材料の厚さが選択される。
【0042】
第1の磁気コア形状のタイプは、好ましくはトロイド(リングコア)であるが、C字形コア、U字形コア又はE字形コアに適用することもできる。
【0043】
第1の磁気コアは、MnZnフェライトコア、NiZnフェライトコア、ナノ結晶コア、アモルファスコア又はダストコアとすることができる。
【0044】
図2に、本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの第1の実現例を表す。
【0045】
電磁両立性フィルタは、例えば、コモンモードインダクタンスLCMを生み出す高い比透磁率を有する第1の磁気コアMCの周囲に巻回される3つの巻線WD1、WD2及びWD3から構成されている。
【0046】
第1の磁気コアMCは、図2の例ではトロイドである。
【0047】
本発明の第1の実現例によれば、巻線の近傍に配置された磁性複合材料SMC1によって、差動モードフィルタリングが可能となる。より正確には、磁性複合材料SMC1は、第1の磁気コアMCの内部スペースに配置されている。
【0048】
巻線は、図2に図示されていない絶縁層によって、磁性複合材料SMC1と電気的に絶縁されている。
【0049】
絶縁体は、例えば、巻回したテープ、エナメルコーティング、ビニルシース又はPVCシースである。別の実施態様では、絶縁層は、各ターンの間のスペースを満たし、磁性複合材料の挿入を防ぐために、各ターンの間に配置される垂直フェンスからなる部品によって形成することができる。
【0050】
磁性複合材料SMC1は巻線の近傍に位置しており、巻線WD1、WD2及びWD3は絶縁層と接触し、絶縁層は磁性複合材料SMC1と接触してい。
【0051】
任意選択で、グランドに接続される導電性部分GCは、磁性複合材料SMC1と接触する。巻線、絶縁層、磁性複合材料SMC1及び導電性部分は、コモンモードコンデンサCCMを形成する。導電性部分GCは円柱形を有する。導電性部分は、例えば、アルミニウム、銅、黄銅、銀又は炭素からなる。
【0052】
磁性複合材料は、例えば、軟磁性複合材である。
【0053】
図3に、本発明によるデュアルモード電磁両立性フィルタの第2の実現例を表す。
【0054】
電磁両立性フィルタは、コモンモードインダクタンスLCMを生み出す高い比透磁率を有する第1の磁気コアMCの周囲に巻回される3つの巻線WD1、WD2及びWD3から構成されている。
【0055】
第1の磁気コアは、図3の例ではトロイドである。
【0056】
本発明の第2の実現例によれば、巻線の近傍に配置された磁性複合材料SMC2によって、差動モードフィルタリングが可能となる。より正確には、磁性複合材料SMC2は、第1の磁気コアMCの外部スペース、より正確には、第1の磁気コアMCの外周にのみ配置されている。
【0057】
巻線は、図3に図示されていない絶縁層によって磁性複合材料と電気的に絶縁されている。
【0058】
絶縁体は、例えば、巻回したテープ、エナメルコーティング、ビニルシース又はPVCシースである。別の実施態様では、絶縁層は、各ターンの間のスペースを満たし、磁性複合材料の挿入を防ぐために、各ターンの間に配置される垂直フェンスからなる部品によって形成することができる。
【0059】
磁性複合材料SMC2は巻線の近傍に位置しており、巻線WD1、WD2及びWD3は絶縁層と接触し、絶縁層は磁性複合材料SMC2と接触している。
【0060】
任意選択で、グランドに接続される導電性部分GCは、磁性複合材料SMC2と接触する。巻線、絶縁層、磁性複合材料SMC2及び導電性部分GCは、コモンモードコンデンサCCMを形成する。
【0061】
導電性部分は、例えば、アルミニウム、銅、黄銅、銀又は炭素からなる。
【0062】
磁性複合材料は、例えば、軟磁性複合材である。
【0063】
図4に、本発明による電磁両立性フィルタの第3の実現例を表す。
【0064】
電磁両立性フィルタは、コモンモードインダクタンスLCMを生み出す高い比透磁率を有する第1の磁気コアMCの周囲に巻回される3つの巻線WD1、WD2及びWD3から構成されている。
【0065】
第1の磁気コアは、図4の例ではトロイドである。
【0066】
本発明の第3の実現例によれば、巻線の近傍に配置された磁性複合材料SMC3によって、差動モードフィルタリングが可能となる。より正確には、磁性複合材料SMC3は、第1の磁気コアMCの外部スペース、より正確には、第1の磁気コアMCの上部に配置されている。
【0067】
巻線は、図4に図示されていない絶縁層によって、磁性複合材料と電気的に絶縁されている。絶縁体は、例えば、巻回したテープ、エナメルコーティング、ビニルシース又はPVCシースである。別の実施態様では、絶縁層は、各ターンの間のスペースを満たし、磁性複合材料の挿入を防ぐために、各ターンの間に配置される垂直フェンスからなる部品によって形成することができる。
【0068】
磁性複合材料SMC3は巻線の近傍に位置しており、巻線WD1、WD2及びWD3は絶縁層と接触し、絶縁層は磁性複合材料SMC3と接触している。
【0069】
任意選択で、グランドに接続される導電性部分GCは、磁性複合材料SMC3と接触している。巻線、絶縁層、磁性複合材料SMC3及び導電性部分GCは、コモンモードコンデンサCCMを形成する。
【0070】
導電性部分は、例えば、アルミニウム、銅、黄銅、銀又は炭素からなる。
【0071】
磁性複合材料は、例えば、軟磁性複合材である。
【0072】
図5に、本発明による電磁両立性フィルタの第4の実現例を表す。
【0073】
電磁両立性フィルタは、コモンモードインダクタンスLCMを生み出す高い比透磁率を有する第1の磁気コアMCの周囲に巻回される3つの巻線WD1、WD2及びWD3から構成されている。
【0074】
第1の磁気コアは、図5の例ではトロイドである。
【0075】
本発明の第4の実現例によれば、巻線の近傍に配置された磁性複合材料SMC4によって、差動モードフィルタリングが可能となる。より正確には、磁性複合材料SMC4は、第1の磁気コアMCの外部スペース、より正確には、第1の磁気コアMCの周囲と、第1の磁気コアMCの内部スペースとに配置されている。
【0076】
巻線は、図5に図示されていない絶縁層によって磁性複合材料と電気的に絶縁されている。
【0077】
絶縁体は、例えば、巻回したテープ、エナメルコーティング、ビニルシース又はPVCシースである。別の実施態様では、絶縁層は、各ターンの間のスペースを満たし、磁性複合材料の挿入を防ぐために、各ターンの間に配置される垂直フェンスからなる部品によって形成することができる。
【0078】
磁性複合材料SMC4は巻線の近傍に位置しているおり、巻線WD1、WD2及びWD3は絶縁層と接触し、絶縁層は磁性複合材料SMC4と接触している。
【0079】
任意選択で、グランドに接続される導電性部分GCは、磁性複合材料SMC4と接触している。巻線、絶縁層、磁性複合材料SMC4及び導電性部分GCは、コモンモードコンデンサCCMを形成する。
【0080】
導電性部分は、例えば、アルミニウム、銅、黄銅、銀又は炭素からなる。
【0081】
磁性複合材料は、例えば、軟磁性複合材である。
【0082】
図6に、本発明による電磁両立性フィルタの第5の実現例を表す。
【0083】
電磁両立性フィルタは、コモンモードインダクタンスLCMを生み出す高い比透磁率を有する第1の磁気コアMCの周囲に巻回される3つの巻線WD1、WD2及びWD3から構成されている。
【0084】
第1の磁気コアMCは、図6の例ではトロイドである。
【0085】
本発明の第5の実現例によれば、巻線の近傍に配置された磁性複合材料SMC5によって、差動モードフィルタリングが可能となる。より正確には、磁性複合材料SMC5は、第1の磁気コアMCの外部スペース、より正確には、第1の磁気コアMCの周囲と、第1の磁気コアMCの内部スペースとに配置されている。
【0086】
一変形形態では、磁性複合材料SMC5は、第1の磁気コアMCの外周及び第1の磁気コアMCの内部スペースにのみ配置されている。
【0087】
他の変形形態では、磁性複合材料SMC5は、第1の磁気コアMCの外周にのみ、第1の磁気コアMCの内部スペースにのみ、並びに第1の磁気コアMCの上部及び/又は底部にのみ配置されている。
【0088】
巻線は、図6に図示されていない絶縁層によって磁性複合材料SMC5と電気的に絶縁されている。
【0089】
絶縁体は、例えば、巻回したテープ、エナメルコーティング、ビニルシース又はPVCシースである。別の実施態様では、絶縁層は、各ターンの間のスペースを満たし、磁性複合材料の挿入を防ぐために、各ターンの間に配置される垂直フェンスからなる部品によって形成することができる。
【0090】
磁性複合材料SMC5は巻線の近傍に位置しており、巻線WD1、WD2及びWD3は絶縁層と接触し、絶縁層は磁性複合材料SMC5と接触している。
【0091】
グランドに接続される導電性部分HSは、磁性複合材料SMC5と電気的に接触している。この導電性部分はヒートシンクである。巻線、絶縁層、磁性複合材料SMC5及び導電性部分HSは、コモンモードコンデンサCCMを形成する。
【0092】
磁性複合材料は、例えば、軟磁性複合材である。
【0093】
図7に、磁性複合材料を使用してデュアルモード電磁両立性フィルタを作製するシステムのアーキテクチャを表す。
【0094】
システム70は、例えば、バス701によって接続された構成要素と、図8に開示されているようなプログラムによって制御されるプロセッサ700とに基づくアーキテクチャを有する。
【0095】
バス701は、プロセッサ700を、リードオンリーメモリROM702、ランダムアクセスメモリRAM703、及び入出力I/O IFインターフェース705にリンクする。
【0096】
入出力I/O IFインターフェース705は、デュアルモード電磁両立性フィルタを生成するのに使用される別の装置の制御を可能にする。
【0097】
メモリ703は、変数と、図8に開示されているアルゴリズムに関係したプログラムの命令とを収容することを目的としたレジスタを含む。
【0098】
リードオンリーメモリ、又は場合によってフラッシュメモリ702は、図8に開示されているようなアルゴリズムに関係したプログラムの命令を含む。このプログラムは、システム70に電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ703にロードされる。或いは、このプログラムは、ROM702から直接実行することもできる。
【0099】
システム70は、PC(パーソナルコンピュータ)、DSP(デジタル信号プロセッサ)又はマイクロコントローラ等のプログラマブルコンピューティングマシンによる命令又はプログラムのセットの実行によってソフトウェアにおいて実装することもできるし、マシン、又は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)等の専用構成要素によってハードウェアにおいて実装することもできる。
【0100】
換言すれば、システム70は、システム70に、図8に開示されるようなアルゴリズムに関連したプログラムを実行させる回路部、又は回路部を備えるデバイスを備える。
【0101】
図8に、磁性複合材料を使用してデュアルモード電磁両立性フィルタを作製するアルゴリズムを表す。
【0102】
ステップS80において、コモンモードフィルタリングに関する要件に適合する第1の磁気コアが選択される。相の数に対応する巻線は、従来の方法でコアに巻回される。
【0103】
ステップS81において、絶縁層は、各巻線の各ターンの周囲に堆積される。
【0104】
絶縁体は、例えば、巻回したテープ、エナメルコーティング、ビニルシース又はPVCシースである。別の実施態様では、絶縁層は、各ターンの間のスペースを満たし、磁性複合材料の挿入を防ぐために、各ターンの間に配置される垂直フェンスからなる部品によって形成することができる。
【0105】
ステップS82において、得られた部品は、その後、例えば軟磁性複合材料のような磁性複合材料の部分を巻線の全面にわたって確保する鋳型に入れられる。1つの可能な鋳型構成は、コアの内部容積のみが磁気複合物によって満たされる。他の1つの可能な構成は、コアの外部容積のみが磁気複合物によって満たされる。他の1つの可能な構成は、コアの内部および容積が磁気複合物によって満たされる。他の1つの可能な解決策は、コア及び巻線が磁性材料内に完全にポッティングされる。任意選択で、導電性材料からなる部分を各巻線の近傍に配置することで、混合物の高い誘電率によって分散されたCMコンデンサを実現することができる。コンデンサの値は、巻線の各ターンと他の電極(プレート)との間の距離に依存する。
【0106】
ステップS83において、磁性複合材料は、混合物の粘性に応じて単軸ダイプレス成形技法又は射出成形技法を使用して形成される。高い混合比は、磁性複合材料のより高い比透磁率をもたらし、コモンモード磁気コアの局所的な磁気飽和をもたらす場合がある。故に、体積分率は、設計パラメータである。
【0107】
任意選択のステップS84において、導電性材料部分を磁性複合材料上に配置して、付加的なコモンモードコンデンサを作製することができる。
【0108】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
そのために、本発明は、第1の磁気コアと第1の磁気コアに巻回される巻線とを備えるデュアルモード電磁干渉フィルタであって、
磁性粉末と結合剤とを含み、巻線の近傍にモールドされた磁性複合材料と、
巻線の各ターンを磁性複合材料から絶縁する絶縁層と、
を更に備え
磁性複合材料は、巻線、絶縁層、および第1の磁気コアの周囲にオーバーモールドされていることを特徴とする、デュアルモード電磁干渉フィルタに関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
本発明はまた、デュアルモード電磁干渉フィルタを製造する方法であって、
コモンモードフィルタリングに関する要件に適合する第1の磁気コアを選択し、第1の磁気コアの周囲に巻線を巻回するステップと、
巻線の各ターンの周囲に絶縁層を形成するステップと、
第1の磁気コアを鋳型に入れるステップと、
単軸ダイプレス成形技法又は射出成形技法を使用して、磁性粉末と結合剤とを含む磁性複合材料を、巻線、絶縁層および第1の磁気コアの周囲にオーバーモールドするステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁気コアと前記第1の磁気コアに巻回される巻線とを備えるデュアルモード電磁干渉フィルタであって、
磁性粉末と結合剤とを含み、前記巻線の近傍にモールドされた磁性複合材料と、
前記巻線の各ターンを前記磁性複合材料から絶縁する絶縁層と、
を更に備え
前記磁性複合材料は、前記巻線、前記絶縁層、および前記第1の磁気コアの周囲にオーバーモールドされていることを特徴とする、
デュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項2】
前記磁性複合材料上に配置された導電性材料部分を更に備えることを特徴とする、
請求項1に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項3】
前記導電性材料部分はヒートシンクであることを特徴とする、
請求項2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項4】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの内部スペースにモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項5】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの外周にのみモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項6】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの上部にモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項7】
前記磁性複合材料は、前記第1の磁気コアの全周及び前記第1の磁気コアの内部スペースにおいてモールドされていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のデュアルモード電磁干渉フィルタ。
【請求項8】
デュアルモード電磁干渉フィルタを製造する方法であって、
コモンモードフィルタリングに関する要件に適合する第1の磁気コアを選択し、前記第1の磁気コアの周囲に巻線を巻回するステップと、
前記巻線の各ターンの周囲に絶縁層を形成するステップと、
前記第1の磁気コアを鋳型に入れるステップと、
単軸ダイプレス成形技法又は射出成形技法を使用して、磁性粉末と結合剤とを含む磁性複合材料を、前記巻線、前記絶縁層および前記第1の磁気コアの周囲にオーバーモールドするステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記方法は、前記磁性複合材料上に導電性材料部分を配置するステップを更に含むことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【国際調査報告】