(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】誘電体セラミック組成物及び同誘電体セラミック組成物を使用したセラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
C04B 35/495 20060101AFI20240126BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240126BHJP
H01B 3/12 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
C04B35/495
H01G4/30 515
H01G4/30 517
H01G4/30 201L
H01G4/30 311Z
H01B3/12 313
H01B3/12 326
H01B3/12 333
H01B3/12 337
H01B3/12 331
H01B3/12 335
H01B3/12 338
H01B3/12 325
H01B3/12 320
H01B3/12 314
H01B3/12 322
H01B3/12 324
H01B3/12 323
H01B3/12 339
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023535499
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 US2022013984
(87)【国際公開番号】W WO2022164955
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ハンチェン
(72)【発明者】
【氏名】グラブ,アビジット
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5G303
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE04
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082BB02
5E082BB05
5E082BB07
5E082BC15
5E082EE04
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082PP03
5G303AA01
5G303AB20
5G303CB01
5G303CB06
5G303CB11
5G303CB13
5G303CB17
5G303CB18
5G303CB20
5G303CB21
5G303CB23
5G303CB31
5G303CB32
5G303CB37
5G303CB38
5G303CB39
(57)【要約】
本発明は、セラミック誘電体層と卑金属内部電極とを交互に積層し、多層セラミックコンデンサを得る誘電体セラミック調合物を開示する。これは、主要原料の[(Na1-xKx)sA1-s]m[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]O3であって、式中、Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の1つの元素、B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnより選択される1つの元素、B2は、遷移金属元素の群より選択される1つの元素、x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na1-xKx)sA1-s]及び[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]のモル比である主原料を含む。これらは、次の各範囲内である。0.93≦m≦1.07、0.7≦s≦1.0、0.00≦x≦0.05、0.00≦y≦0.65、0.7≦u≦1.0、0≦v≦0.3、0.001≦w≦0.100。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体セラミック組成物であって、
[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]
m[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]及び[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つ希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、を含む誘電体セラミック組成物。
【請求項2】
前記第1の副成分は、前記主成分に対して10mol%部以下である請求項1に記載に誘電体セラミック組成物。
【請求項3】
前記第2の副成分は、フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択される請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項4】
前記第2の成分は、前記主成分に対して0.01mol%部~15.00mol%部の範囲内である請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項5】
前記第2の成分は、Liフリーである請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項6】
前記誘電体セラミック組成物は、-55℃~200℃で±25の静電容量温度係数を有する請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項7】
前記誘電体セラミック組成物は、25℃で少なくとも100の誘電率を有する請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項8】
前記誘電体セラミック組成物は、25℃で少なくとも900の誘電率を有する請求項7に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項9】
多層セラミックコンデンサであって、
複数の誘電体セラミック層であって、前記層のうちの各層は、
[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]
m[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]及び[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を含む誘電体セラミック層と、
Ni、Cu、又はこれらの合金の卑金属を含む複数の内部電極と、
コンデンサ要素本体の各端部に形成された一対の外部電極と、を備える多層セラミックコンデンサ。
【請求項10】
前記第1の副成分は、前記主成分に対して10mol%部以下である請求項9に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項11】
前記2の副成分は、フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択される請求項9に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項12】
前記第2の成分は、前記主成分に対して0.01mol%部~15.00mol%部の範囲内である請求項9に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項13】
前記第2の成分は、Liフリーである請求項9に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項14】
前記誘電体組成物は、-55℃~200℃で±25の静電容量温度係数を有する請求項9に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項15】
前記誘電体組成物は、25℃で少なくとも100の誘電率を有する請求項9に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項16】
前記誘電体組成物は、25℃で少なくとも900の誘電率を有する請求項15に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項17】
多層セラミックコンデンサの形成方法であって、
誘電体セラミック前駆体を形成することと、
金属層と前記誘電体セラミック前駆体の層を交互配置することにより、積層を形成することと、
前記積層を圧縮し、前記誘電体前駆体を焼結して、
[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]
m[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]及び[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を有する誘電体セラミック層を形成することと、を含む多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項18】
前記誘電体セラミック前駆体の前記層は、無機材料と有機添加物の混合物を含むセラミックグリーンペーストとして調製され、前記有機固形物は、前駆体とドーパントとの少なくとも1つの組み合わせを含む請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項19】
前記ドーパントは、
V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群より選択される遷移金属元素、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される希土類元素、及び
フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択されるフリット群、
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される請求項18に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項20】
前記セラミックグリーンペーストを焼結することを備える請求項18に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項21】
前記焼結することは、750℃~1300℃の温度で行う請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項22】
前記焼結することは、10
-16atm~10
-4atmの酸素分圧の雰囲気において実施される請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項23】
前記第1の副成分は、前記主成分に対して10mol%部以下である請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項24】
前記第2の副成分は、フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択される請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項25】
前記第2の成分は、前記主成分に対して0.01mol%部~15.00mol%部の範囲内である請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項26】
前記第2の成分は、Liフリーである請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項27】
前記金属の層は、Ni、Cu、又はこれらの合金の卑金属を含む請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項28】
前記コンデンサ要素の各端部に一対の外部電極を形成することをさらに含む請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項29】
前記セラミック組成物は、-55℃~200℃の温度で±25の静電容量温度係数を有する請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項30】
前記セラミック組成物は、25℃で少なくとも100の誘電率を有する請求項17に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項31】
前記セラミック組成物は、25℃で少なくとも900の誘電率を有する請求項30に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年1月28日出願の係属中米国仮出願第63/142,752号の優先権を主張するものであり、その内容を参照として本明細書に援用する。
【0002】
本願は、誘電体セラミック調合物と、同誘電体セラミック調合物を使用した多層セラミックコンデンサに関する。誘電体セラミック調合物は、低酸素分圧で卑金属を含む内部電極との同時焼成を可能にし、これを使用して製造された多層セラミックコンデンサは、高温での用途に使用される。
【背景技術】
【0003】
過去20年における情報及び電子産業の急成長に伴い、多層セラミックコンデンサ製造は、携帯用電子機器、パーソナルコンピュータ、携帯電話、テレビ等、多数の用途における電気エネルギー貯蔵部品の需要増で大いに繁栄している。これらの場合、BaTiO3が、その誘電率の高さ、誘電性損失、及び-55℃~125℃の温度範囲に亘る安定的な容量変動がゆえに、必須のセラミック誘電材料として圧倒的に採用されてきた。しかしながら、BaTiO3は、約125℃で強誘電・常誘電相転移を生じ、静電容量温度係数の急低下とともに誘電率の著しい低下を生じる強誘電材料として周知である。昨今では、エンジン制御ユニット、ダウンホール掘削探査、パルスパワー電子機器等、極限環境における新たな電子技術応用の出現では、175℃~200℃又はそれよりも高い温度の最高動作温度窓における安定的静電容量の維持を要求する。広範囲のドーピング修正パッケージを介して、BaTiO3系コンデンサの温度-静電容量特性を安定化させるために、大規模な研究活動が行われてきたが、拡張された動作温度は、依然として150℃に限定される。しかしながら、175℃~200℃又はそれよりも高い温度の厳しい環境での適用を可能にする新たな誘電材料を開発することに、かなりの注目を集めてきた。直近では、NaNbO3等のアルカリ性ニオブ酸塩系セラミックが、適正なドーピング選択による高温コンデンサを開発する、実現可能な候補として見出された。CaZrO3及びSrZrO3等のアルカリ土類ジルコン酸塩又はCaHfO3及びSrHfO2等のアルカリ土類のドーピングも考慮されている。
【0004】
文献で報告された詳細な焼成研究と欠陥化学調査では、アルカリ性ニオブ酸塩セラミックが、アルカリ性要素の揮発性を低下させるようによく調整された化学的熱力学により低酸素分圧でCu及びNi等の卑金属との同時焼成を行うことができることを提案している。参照として援用する米国特許第9,564,271号及びWO2018/062084A1において、(K、Na)NbO3系及びNaNbO3系セラミックが還元雰囲気でNi内部電極との同時焼成に匹敵することが各々実証されている。しかしながら、両方で開示されている誘電体セラミック組成物はLiを含む。光要素として、Liは、エレクトロセラミック材料における移動が簡単であり、特に、高電圧及び/又は高温度下、又は高湿環境中などの厳しい環境において、高いリーク電流を導入し得ることが知られている。明らかに、このリーク電流は、絶縁の安定性と寿命の信頼性の点で、誘電コンデンサに有害である。
【0005】
多大な努力にも関わらず、近年の電子機器の需要に合う新たな調合物が依然として求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、セラミックがより優れた熱的安定性を示す改良セラミックに関する。本発明はまた、この改良セラミックを含む改良コンデンサにも関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
認識されるとおり、これらの実施形態及び他の実施形態は、誘電体セラミック組成物であって、
[(Na1-xKx)sA1-s]m[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]O3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na1-xKx)sA1-s]及び[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つ希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、を含む誘電体セラミック組成物において提供される。
【0008】
さらに他の実施形態は、多層セラミックコンデンサであって、
複数の誘電体セラミック層であって、層のうちの各層は、
[(Na1-xKx)sA1-s]m[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]O3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na1-xKx)sA1-s]及び[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を含む誘電体セラミック層と、
Ni、Cu、又はこれらの合金の卑金属を含む複数の内部電極と、
コンデンサ要素本体の各端部に形成された一対の外部電極と、を備える多層セラミックコンデンサにおいて提供される。
【0009】
さらに他の実施形態は、多層セラミックコンデンサの形成方法であって、
誘電体セラミック前駆体を形成することと、
金属層と誘電体セラミック前駆体の層を交互配置することにより、積層を形成することと、
積層を圧縮し、誘電体前駆体を焼結して、
[(Na1-xKx)sA1-s]m[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]O3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na1-xKx)sA1-s]及び[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を有する誘電体セラミック層を形成することと、を含む多層セラミックコンデンサの形成方法において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明に係る誘電体セラミック組成物を使用した多層セラミックコンデンサの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、低温から高温までの良好な温度-静電容量特性を可能にする誘電体セラミック組成物を提供する。具体的には、開示の誘電体セラミック組成物で作成したコンデンサは、25℃における静電容量に対して、-55℃~200℃の温度範囲に亘って±25%以内の静電容量温度係数を有し得る。進歩的な誘電体セラミックは、25℃で少なくとも100、好ましくは少なくとも900~2000以下の誘電率を有する。
【0012】
本発明はまた、還元雰囲気中でNi等の安価な卑金属を使用する同時焼成内部電極に匹敵する誘電体セラミック組成物も提供する。
【0013】
したがって、本発明は、セラミック層と内部電極層とが交互に積層されたパターンにおける、複数の積層セラミック層と複数の内部電極層とによって形成された多層セラミックコンデンサ装置を提供する。セラミック層は、本誘電性組成物によって作成され、内部電極層は、Ni等の非金属を主に含有する導電性ペーストによって作成される。得られた多層セラミックコンデンサは、低酸素分圧での同時焼成後、-55℃~200℃の温度範囲に亘って±25%以内の静電容量温度係数を有することができる。
【0014】
以上の目的は、誘電体セラミック組成物による多層セラミックコンデンサにおいて達成可能であり、当該誘電体セラミック組成物は、
[(Na1-xKx)sA1-s]m[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]O3
であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、遷移金属元素より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na1-xKx)sA1-s]及び[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]のモル比である。これらは、以下の各範囲内である。
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100
【0015】
この主成分とともに、副成分も含まれる。
【0016】
第1の副成分は、希土類化合物より選択される少なくとも1つの元素からなり、これは、主成分に対して10%mol部以下であり、第2の副成分は、フリットとも称される、セラミック焼結プロセスを支援する溶解温度の低い化合物を含み、これは、Liフリーであり、フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物より選択される少なくとも1つの化合物であることが好ましい。フリットの含有量は、主成分に対して0.01mol%部~15.00mol%部の範囲内である。
【0017】
開示の誘電体セラミック組成物を得るために、(1)前駆体は、まず、か焼(calcination)で調製される。ここで前駆体は、特定の原料セラミックパウダーから作成された中間化合物又は化合物の群として規定され、前駆体は、最終組成物の全体的又は部分的な構成要素を含んでもよいが、前駆体が他の反応物とさらに混合され、所望の化学反応を達成するように特定の熱的条件下で処理されるまで、材料の最終形態は得られない。(2)その後、得られた前駆体と、遷移金属化合物、希土類化合物、及びフリット等の他のドーパントとの混合物が、焼結に先立って種々の有機物配合の補助により、ペーストの形態でさらに調製される。(3)最後に、得られたペースト混合物を含む組成物は、焼結工程に際し、本発明に開示の誘電体セラミック材料を形成する。一例が表1に一覧表示されている。前駆体は、主として、NaNbO3-SrZrO3セラミックを含有し、これは、事前反応させた酸化物と、Na2CO3、SrCO3、Nb2O5、及びZrO2等の炭酸物とにより、か焼で調製される。焼結に先立ってペーストを形成するのに使用される無機ドーパントは、MnCO3、CeO2、及びSiO2である。
【0018】
【0019】
誘電体セラミック材料はまた、表1と同一の開始原材料を使用して、表2に例示のとおり、1つを超える数の前駆体で開始する他のルートによって得られてもよい。この場合、2つの前駆体は、前駆体1にはNaNbO3を主に含有し、前駆体2にはSrZrO3を主に含有し、か焼によって別々に作成される。その後、ペーストは、有機混合物とともに、NaNbO3、SrZrO3、MnCO3、CeO2、及びSiO2の配合物によって形成される。焼結後、表2の調合により、結果として、表1の調合によって作成したのと略同一の誘電体材料組成物を生じる。
【0020】
【0021】
以下の説明は、本発明の前述の特徴及び他の特徴を非限定的に示す、より完全な実施例において述べる。しかしながら、これらの例は、本発明の原則が適用されてもよい種々のやり方のうちの一部のみを示しており、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
【0022】
本発明の誘電体セラミック組成物は、副成分とともに主成分を含み、上記主成分は、
[(Na1-xKx)sA1-s]m[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]O3…(1)
の式で表され、式中、Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つであり、Aは、Ba、Sr、及び/又は、Caであることが好ましい。B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnより選択される少なくとも1つであり、B1は、Zr及び/又はHfであることが好ましい。B2は、遷移金属元素であり、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、及びその混合物より選択される1つであることが好ましく、B2は、V、W、Mo、Cr、及びMnのうちの少なくとも1つである。
【0023】
式1において、x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na1-xKx)sA1-s]及び[(Nb1-yTay)uB1vB2w)]のモル比である。これらは、以下の各範囲内である。
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100
【0024】
第1の副成分は、Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択されることが好ましい少なくとも1つの希土類元素を含む。添加される希土類元素の量は、主成分に対して10mol%部以下である。モル分率の値は、YO3/2、ScO3/2、LaO3/2、CeO2、PrO11/6、NdO3/2、SmO3/2、EuO3/2、GdO3/2、TbO7/4、DyO3/2、HoO3/2、ErO3/2、TmO3/2、YbO3/2及びLuO3/2を基準に計算される。
【0025】
第2の副成分は、セラミック焼結工程を支援するため、フリットと称される低溶解温度を有する化合物を含む。フリットの組成物は、いずれの形態にも限定されるものでなく、NaF、KF、MgF2等のフッ化物、Si、SiO2、(BaxSryCa1-x-y)SiO3(0≦x、y≦1)等のケイ酸塩、B2O3等のホウ化物、Na2O、MoO3、V2O5等の酸化物より選択される少なくとも1つであり得ることが好ましい。フリットの含有量は、主成分に対して0.01mol%部から15.00mol%部の範囲内である。フリットは、実際には取り除くことのできないLiの不純物を考慮に入れて、0.10mol%未満のリチウム、好ましくは0.05mol%未満のリチウム、さらに好ましくは0.01mol%未満のリチウム、さらに好ましくは検出限界を下回る量のリチウムと規定されるように、Liを主成分として含有しない。
【0026】
図1に示される多層セラミックコンデンサ1におけるセラミック層2において本開示の誘電体セラミック組成物を得るため、K
2CO
3、Na
2CO
3、BaCO
3、SrCO
3、CaCO
3、Ta
2O
5、Nb
2O
5、TiO
2、ZrO
2、HfO
2、遷移金属化合物、希土類化合物、及びフリットが開始セラミック原材料として準備される。原材料中のこれらの化合物の割合は、焼結後に、本発明において開示の誘電体セラミック組成物が得られ得るように事前決定される。さらに、本開示の誘電体調合物において各構成要素を含有する原材料化合物は、酸化物及び炭酸塩のみならず、水酸化物も使用され得る。具体的には、原材料は、いずれの形態にも限定されるものでない。例えば、Mnは、MnO、MnO
2、MnCO
3等の形態で添加可能であるが、これは他のすべての原材料にも適用される。主要構成成分としての原材料は、本開示の組成物調合を満たすように秤量された後、イットリウム安定化ジルコニウム媒体によるボールミリングを介して、水、エタノール、イソプロパノール、トルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ミネラルスピリット、又はその他好適な炭化水素液体、又はこれらのレンド等、好適な溶媒でともに湿式混合される。このようにして、乾燥及びか焼後、焼結前のセラミック材料が得られる。
【0027】
本明細書中に開示のか焼粉末は、水、及び/又は、結合剤、分散剤、溶媒、可塑剤等、他の好適な有機添加物を添加して、さらに湿式ミリングされることで、セラミックスリップを形成する。ここで使用される有機添加物又は有機内容物の選択は、特別に限定されるものでない。
【0028】
この後本明細書に開示のセラミックスリップと本開示のセラミック組成物を得るために、調製ステップは、上述の工程に限定されるものでなく、前駆体材料が最初にか焼された後、前駆体と混合されるか、ドーパントが所望の組成物の他の構成要素を含有することで、焼結に先立って好適な有機添加物でセラミックスリップを形成するようにやり方であり得る。
【0029】
実施例1~4は、本発明を例示するものであるが、本発明の範囲を限定するものでない。本発明の範囲内において、当業者にとって明らかな変更が包含される。
【0030】
実施例1
K2CO3、Na2CO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、TiO2、及びZrO2を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
K2CO3からの0.1mol%~2.0mol%のK、
Na2CO3からの90.0mol%~95.5mol%のNa、
BaCO3からの0.1mol%~2.7mol%のBa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの90.0mol%~95.5mol%のNb、
TiO2からの0.05mol%~1.20mol%のTi、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
を含み、遷移金属酸化物、希土類酸化物、及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
Pr6O11からの0.2mol%~4.8mol%のPr、
SiO2からの0.01mol%~3.30mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとして添加され、セラミックスリップを形成する。
【0031】
実施例2
K2CO3、Na2CO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、HfO2並びにMnO2及びMoO3等の遷移金属酸化物を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
K2CO3からの0.1mol%~2.0mol%のK、
Na2CO3からの90.0mol%~95.5mol%のNa、
BaCO3からの0.1mol%~1.7mol%のBa、
SrCO3からの0.1mol%~3.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの90.0mol%~95.5mol%のNb、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
HfO2からの0.05mol%~1.20mol%のHf、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
MoO3からの0.01mol%~0.80mol%のMo
を含み、希土類酸化物及びフリットの混合物は、
Y2O3からの0.6mol%~5mol%のY、
CaSiO3からの0.01mol%~3.30mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとして添加され、セラミックスリップを形成する。
【0032】
実施例3
Na2CO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、HfO2及びY2O3等の希土類酸化物を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの87.0mol%~92.5mol%のNa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの90.0mol%~95.5mol%のNb、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
HfO2からの0.05mol%~1.20mol%のHf、
Pr6O11からの0.2mol%~3.7mol%のPrを含み、
を含み、希土類酸化物及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.7mol%のMn、
NaFからの0.01mol%~3.30mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとして添加され、セラミックスリップを形成する。
【0033】
実施例4
Na2CO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、並びにLa2O3等の希土類酸化物、MnO2等の遷移金属酸化物、及びLa2O3等の希土類酸化物を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの87.0mol%~92.5mol%のNa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの87.0mol%~92.5mol%のNb、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
La2O3からの0.2mol%~4.8mol%のLa、
を含み、フリットは、
0.01mol%~5.90mol%のNaF
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとして添加され、セラミックスリップを形成する。
【0034】
さらに、本発明に開示の所望の誘電性組成物を得るために、遷移金属化合物、希土類化合物、及びフリットのようなドーパントも、2つの別個のステップで添加可能である。これは、遷移金属化合物、希土類化合物、及び/又はフリットの一部分量が原材料中に最初に添加され、750℃~1300℃での焼成後に前駆体を調製し、これをステップ1と規定し、その後、残りの量の遷移金属化合物、希土類化合物、及び/又はフリットを、好適な有機添加物ととみに前駆体にさらに添加して、セラミックスリップを形成するが、これをステップ2と規定することを意味する。ステップ1及びステップ2において添加される遷移金属化合物は、同一の標的遷移金属元素を含有する同一の化合物であり得るか、又は異なる標的遷移金属元素を含有する異なる化合物であり得る。これは、希土類化合物及びフリットがステップ1及びステップ2で別々に添加される場合に、これらにも適用される。ステップ1及びステップ2において添加される遷移金属元素、希土類元素、及びフリットの総量は、本発明において特定される値範囲を満たす。
【0035】
実施例5~9は、本発明を例示するものであるが、本発明の範囲を限定するものでない。本発明の範囲内において、当業者にとって明らかな変更が包含される。
【0036】
実施例5
Na2CO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、HfO2及びMoO3等の遷移金属酸化物を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの87.0mol%~92.5mol%のNa、
BaCO3からの0.1mol%~2.7mol%のBa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの87.0mol%~92.5mol%のNb、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
HfO2からの0.05mol%~1.20mol%のHf、
MoO3からの0.01mol%~0.80mol%のMo、
を含み、遷移金属酸化物、希土類酸化物、及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
Y2O3からの0.6mol%~5.0mol%のY、
NaFからの0.01mol%~5.90mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとしてさらに添加され、セラミックスリップを形成する。
【0037】
実施例6
Na2CO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、TiO2、ZrO2、HfO2、及びY2O3等の遷移金属酸化物を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの90.0mol%~95.5mol%のNa、
BaCO3からの0.1mol%~1.7mol%のBa、
SrCO3からの0.1mol%~3.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの90.0mol%~95.5mol%のNb、
TiO2からの0.05mol%~1.20mol%のTi、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
HfO2からの0.05mol%~1.20mol%のHf、
Y2O3からの0.1mol%~2.2mol%のY
を含み、遷移金属酸化物、希土類酸化物、及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
Dy2O3からの0.1mol%~3.8mol%のDy
CaSiO3からの0.01mol%~3.3mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとしてさらに添加され、セラミックスリップを形成する。
【0038】
実施例7
Na2CO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、及びMnO2等の遷移金属酸化物を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの90.0mol%~95.5mol%のNa、
BaCO3からの0.1mol%~2.7mol%のBa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの90.0mol%~95.5mol%のNb、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
MnO2~の0.1mol%~2.2mol%のMn
を含み、希土類酸化物、遷移金属酸化物、及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
Y2O3からの0.6mol%~5.0mol%のY、
KFからの0.01mol%~3.30mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとしてさらに添加され、セラミックスリップを形成する。
【0039】
実施例8
K2CO3、Na2CO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、ZrO2、HfO2、及びWO3等の遷移金属酸化物、及びSiO2等のフリットを、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
K2CO3からの0.1mol%~2.0mol%のK、
Na2CO3からの87.0mol%~92.5mol%のNa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの87.0mol%~92.5mol%のNb、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
HfO2からの0.05mol%~1.20mol%のHf、
WO3からの0.01mol%~0.80mol%のW、
SiO2からの0.01mol%~0.85mol%のフリット
を含み、希土類酸化物、遷移金属酸化物、及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
Y2O3からの0.6mol%~4.0mol%のY、
BaSiO3からの0.01mol%~3.30mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとしてさらに添加され、セラミックスリップを形成する。
【0040】
実施例9
Na2CO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、Nb2O5、TiO2、ZrO2、及びMoO3等の遷移金属酸化物、Y2O3等の希土類酸化物、及びSiO2等のフリットを、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの87.0mol%~92.5mol%のNa、
BaCO3からの0.1mol%~2.7mol%のBa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの87.0mol%~92.5mol%のNb、
TiO2からの0.05mol%~1.20mol%のTi、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
MoO3からの0.01mol%~1.80mol%のMo、
Y2O3からの0.1mol%~2.0mol%のY、
SiO2からの0.01mol%~1.40mol%のフリット
を含み、希土類酸化物、遷移金属酸化物、及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
Y2O3からの0.6mol%~4.0mol%のY、
CaSiO3からの0.01mol%~3.30mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとしてさらに添加され、セラミックスリップを形成する。
【0041】
実施例10
Na2CO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3、Ta2O5、Nb2O5、Nb2O5、TiO2、ZrO2、HfO2、及びSiO2等のフリットを、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの90.0mol%~95.5mol%のNa、
BaCO3からの0.1mol%~2.7mol%のBa、
SrCO3からの0.1mol%~5.3mol%のSr、
CaCO3からの0.1mol%~6.6mol%のCa、
Ta2O5からの0.1mol%~5.5mol%のTa、
Nb2O5からの90.0mol%~95.5mol%のNb、
TiO2からの0.05mol%~1.20mol%のTi、
ZrO2からの0.1mol%~6.6mol%のZr、
HfO2からの0.05mol%~1.20mol%のHf、
SiO2からの0.01mol%~1.40mol%のフリット
を含み、希土類酸化物、遷移金属酸化物、及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~2.4mol%のMn、
WO3からの0.01mol%~2.60mol%のW、
Yb2O3からの0.6mol%~5.0mol%のYb、
B2O3からの0.01mol%~3.30mol%のフリット
を含むものが、好適な有機添加物とともにドーパントとしてさらに添加され、セラミックスリップを形成する。
【0042】
実施例11
Na2CO3、CaCO3、Nb2O5、Gd2O3、ZrO2を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの84.0mol%~95.2mol%のNa、
CaCO3からの0.1mol%~15.3mol%のCa、
Nb2O5からの84.0mol%~95.2mol%のNb、
ZrO2からの0.1mol%~15.3mol%のZr、
Gd2O3からの0.1mol%~7.2mol%のGd、
を含み、遷移金属酸化物及びフリットの混合物は、
MnO2からの0.1mol%~3.8mol%のMn、
SiO2からの0.1mol%~4.2mol%のフリット
を含むものを、ドーパントとして主成分に添加する。
【0043】
実施例12
Na2CO3、CaCO3、Nb2O5、Gd2O3、Ta2O5、ZrO2を、750℃~1300℃でのか焼後に前駆体を調製するために、開始セラミック原材料として混合する。開始セラミック材料は、
Na2CO3からの84.0mol%~95.2mol%のNa、
CaCO3からの0.1mol%~15.3mol%のCa、
Nb2O5からの61.0mol%~75.6mol%のNb、
Ta2O5からの0.5mol%~23.4mol%のTa、
ZrO2からの0.1mol%~15.1mol%のZr、
Gd2O3からの0.1mol%~6.6mol%のGd、
を含み、遷移金属酸化物及びフリットの混合物は、
MnCO3からの0.1mol%~2.9mol%のMn、
SiO2からの0.1mol%~3.3mol%のフリット
を含むものを、ドーパントとして主成分に添加する。
【0044】
セラミックディスクサンプルの調製
主成分のセラミックパウダーと副成分とを実施例に記載の比率で秤量し、ボールミルで12~30時間湿式配合を行った。その後、この配合物を150℃で1~8時間乾燥させた。結合剤溶液を乳鉢中で混合物に添加した後、粒状に形成した。その後、得られた粒状物を13mm直径のスチール型に入れ、200MPaの圧力でプレス成型し、ディスク成形体を作製した。得られた成形体を、375℃で10~100時間、空気中で焼きつけ、有機結合剤を燃え尽きさせた。次に、還元雰囲気中で燃焼を施し、焼結ディスクを得た。この燃焼は、750~1300℃のピーク温度で1~6時間の保持時間、実施した。その後、銀電極を焼結体の2つの面に塗布し、実施例11及び実施例12に対応するディスクセラミックコンデンサを得た。
【0045】
MLCCサンプルの調製
750~1300℃の温度範囲で焼結することにより、3.2mm×1.6mmの標準サイズとニッケル内部電極を備えた焼結MLCCチップを得た。焼結MLCCチップは、19のアクティブ誘電体セラミック層と、20のニッケル電極を含んだ。上記誘電体セラミック層の平均厚さは、約12μmと判定された。
【0046】
電気測定値
静電容量及び誘電損失は、各組成物について-55℃~200℃の温度範囲において1kHz及びAC1Vの条件下で測定された。静電容量温度係数(TCC)は、以下の式に基づいて計算され、
TCC(%)=[(CT-C25)/C25]×100
式中、Tは、測定が実施された温度であり、CT及びC25は、各々、温度T及び25℃における静電容量である。
【0047】
降伏電圧(BDV)は、25℃にて、毎秒5Vの電圧上昇率で測定した。
【0048】
絶縁抵抗(IR)は、25℃にて50VのDC電圧下で60秒充電した後に測定した。
【0049】
1250℃で燃焼させた実施例11及び実施例12において作成したディスクの誘電特性を表3に示す。
【0050】
【0051】
表3に示された結果は、25℃にて静電容量の±20%以内、より好ましくは25℃で静電容量の±5%以内の静電容量温度係数(TCC)で、広範に亘る誘電率が得られることを実証している。
【0052】
1250℃で燃焼させた実施例11及び実施例12において作成したMLCCの誘電特性を表4に示す。
【0053】
【0054】
表4の結果は、多層セラミックコンデンサ中に本発明のセラミックを利用したときの効果を実証している。
【0055】
ドクターブレード法を使用してスリップをキャリアフィルム上に広げることにより、テープキャスティングプロセスを使用して、セラミックグリーンシートをさらに形成する。好適な乾燥工程後、
図1の内部電極3a及び3bは、Ni、Cu、又はこれらの合金等、卑金属を主に含有する導電性インクを使用して、セラミックグリーンシート上にスクリーンプリントする。Ni又は主にNiからなる合金を使用することが好ましい。
【0056】
得られたものを、積層工程を介してさらにグリーンチップに加工する。プリント電極を伴わない複数のセラミックグリーンシートを底部カバー層4bとして積層した後、プリント電極を備えた複数のセラミックグリーンシートを交互の方向に積層し、両端で終端する交流電極3a及び3bを形成するようにし、最終的に、プリント電極を備えない特定数のセラミックグリーンシートを上部被覆層4aとして積層する。その後、この積層体を20℃~120℃の間でプレスしてすべての積層の接着を改善し、さらに個々のグリーンチップに切断する。本明細書中、層の数は特別に限定されるものでなく、10層~数百層が本発明の実証には好適である。
【0057】
グリーンチップは、0.1~100時間、周囲空気又は僅かに還元した雰囲気中で200℃~700℃に加熱して結合剤を燃え尽きさせた後、10-16atm~10-4atmの間の酸素分圧の還元雰囲気中、750℃~1300℃の間の温度で焼結される。焼結後、10-14atm~10-3atmの間の酸素分圧で1100℃以下の温度に加熱することにより、チップに再酸化ステップをさらに適用してもよい。このようにして、焼結チップを達成する。
【0058】
焼結チップは、セラミック焼結体の両端に形成された内部電極を露出するために、バレル又はサンドブラストによる角丸め工程が施される。次いで、外部電極5a及び5bを以下のようにして両端に形成する。(1)焼結チップの両端に好適な銅ペーストを付与し、窒素又は僅かに還元した雰囲気中で1~60分間、600℃~1000℃の温度で焼きつけを行うことにより、銅末端を形成する。(2)バレルめっき法により、ニッケルめっき層及び錫めっき層又は他の好適なはんだ組成物をさらに銅末端上に載置して、はんだ付け性を向上し、銅外部電極の酸化を防止する。このようにして、卑金属電極3a及び3bと本発明に開示の誘電性組成物を含んだ誘電体セラミック層2とで形成された多層セラミックコンデンサ1が得られる。
【0059】
本発明は、高温適用可能な誘電体セラミック組成物を開示する。このようなセラミック調合物は、還元雰囲気中で卑金属電極とともに同時焼成を実現することができる。このため、Ni等の非金属内部電極とともに本開示の誘電体セラミック組成物を使用することで、多層セラミックコンデンサを作成することができる。
【0060】
本記載全体を通じて、表示した範囲には、同一数の有効数を有するすべての中間値が含まれる。非限定的な例として、表示した0.01~0.05の範囲には、0.01、0.02、0.03、0.04、及び0.05が含まれる。異なる有効数の2つの数を有する表示として、ある範囲が表示される場合、最小のインクリメント有効数を有するものが双方にとっての有効数を判定する。非限定的な例として、或る範囲が1.0~5として表示される場合、これは1.0~5.0のすべての数を指すものであることが意図される。
【0061】
以下を参照として本明細書中に援用する。
Bannoらの米国特許第9,564,271号
BannoのWO2018-062084A1号
Bannoらの米国特許第10,710,934号
リードフリー反強誘電:xCaZrO3-(1 x)NaNbO3システム(0≦x≦0.10),Shimizuら,Dalton Transactions,44巻,10763~10772ページ,2015年
リードフリー(1-x)NaNbO3-xSrZrO3固溶体におけるダブルループヒステリシスを構築するための準安定強誘電フェーズ(P21ma)を超える反強誘電相(Pbma)の安定化のためのストラテジー,Guoら,Journal of Applied Physics,117巻,14103ページ,2015年
室温でダブルヒステリシスループの導入されたペロブスカイトリードフリー反強誘電xCaHfO3-(1-x)NaNbO3,Gaoら,Journal of Applied Physics,120巻,204102ページ,2016年
ニオブ酸アルカリNaNbO3の酸素処理の低分圧の効果,Shimizuら,Journal of the American Ceramic Society,97巻,第6発行,1791~1796ページ,2014年
卑金属同時焼成多層圧電物質,Gaoら,Actuators,5巻,第1発行,8ページ,2016年
【0062】
本発明は、本発明の正確さのために提供された明細書の一体的且つ非限定的な部分である図面を参照して説明する。種々の図面を通じて、同様の要素にはそれに応じた番号が付される。本発明は、好適な実施形態を参照し、これに限定することなく説明を行ってきた。当業者は、添付の図面に説明及び記載のさらなる実施形態を認識するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体セラミック組成物であって、
[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]
m[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]及び[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つ希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、を含み、
前記誘電性セラミック組成物は、-55℃~200℃の温度で+25の静電容量温度係数を有する誘電体セラミック組成物。
【請求項2】
前記第1の副成分は、前記主成分に対して10mol%部以下である請求項1に記載に誘電体セラミック組成物。
【請求項3】
前記第2の副成分は、フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択される請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項4】
前記第2の成分は、前記主成分に対して0.01mol%部~15.00mol%部の範囲内である請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項5】
前記第2の成分は、Liフリーである請求項1に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項6】
誘電体セラミック組成物であって、
[(Na
1-x
K
x
)
s
A
1-s
]
m
[(Nb
1-y
Ta
y
)
u
B1
v
B2
w
)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-x
K
x
)
s
A
1-s
]及び[(Nb
1-y
Ta
y
)
u
B1
v
B2
w
)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つ希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、を含み、前記誘電体セラミック組成物は、25℃で少なくとも100の誘電率を有す
る誘電体セラミック組成物。
【請求項7】
前記誘電体セラミック組成物は、25℃で少なくとも900の誘電率を有する請求項
6に記載の誘電体セラミック組成物。
【請求項8】
多層セラミックコンデンサであって、
複数の誘電体セラミック層であって、前記層のうちの各層は、
[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]
m[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]及び[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を含む誘電体セラミック層で、
前記誘電体組成物は、-55℃~200℃の温度で+25の静電容量温度係数を有する誘電体セラミック層と、
Ni、Cu、又はこれらの合金の卑金属を含む複数の内部電極と、
コンデンサ要素本体の各端部に形成された一対の外部電極と、を備える多層セラミックコンデンサ。
【請求項9】
前記第1の副成分は、前記主成分に対して10mol%部以下である請求項
8に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項10】
前記2の副成分は、フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択される請求項
8に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項11】
前記第2の成分は、前記主成分に対して0.01mol%部~15.00mol%部の範囲内である請求項
8に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項12】
前記第2の成分は、Liフリーである請求項
8に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項13】
多層セラミックコンデンサであって、
複数の誘電体セラミック層であって、前記層のうちの各層は、
[(Na
1-x
K
x
)
s
A
1-s
]
m
[(Nb
1-y
Ta
y
)
u
B1
v
B2
w
)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-x
K
x
)
s
A
1-s
]及び[(Nb
1-y
Ta
y
)
u
B1
v
B2
w
)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を含む誘電体セラミック層で、前記誘電体組成物は、25℃で少なくとも100の静電容量温度係数を有する誘電体セラミック層と、
Ni、Cu、又はこれらの合金の卑金属を含む複数の内部電極と、
コンデンサ要素本体の各端部に形成された一対の外部電極と、を備える多層セラミックコンデンサ。
【請求項14】
前記誘電体組成物は、25℃で少なくとも900の誘電率を有する請求項
13に記載の多層セラミックコンデンサ。
【請求項15】
多層セラミックコンデンサの形成方法であって、
誘電体セラミック前駆体を形成することと、
金属層と前記誘電体セラミック前駆体の層を交互配置することにより、積層を形成することと、
前記積層を圧縮し、前記誘電体前駆体を焼結して、
[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]
m[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-xK
x)
sA
1-s]及び[(Nb
1-yTa
y)
uB1
vB2
w)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を有する誘電体セラミック層を形成することと、を含み、
前記セラミック組成物は、-55℃~200℃の温度で+25の静電容量温度係数を有する多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項16】
前記誘電体セラミック前駆体の前記層は、無機材料と有機添加物の混合物を含むセラミックグリーンペーストとして調製され、前記有機固形物は、前駆体とドーパントとの少なくとも1つの組み合わせを含む請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項17】
前記ドーパントは、
V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群より選択される遷移金属元素、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される希土類元素、及び
フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択されるフリット群、
からなる群のうちの少なくとも1つから選択される請求項
16に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項18】
前記セラミックグリーンペーストを焼結することを備える請求項
16に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項19】
前記焼結することは、750℃~1300℃の温度で行う請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項20】
前記焼結することは、10
-16atm~10
-4atmの酸素部分圧力の雰囲気において実施される請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項21】
前記第1の副成分は、前記主成分に対して10mol%部以下である請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項22】
前記第2の副成分は、フッ化物、ケイ酸塩、ホウ化物、及び酸化物からなる群より選択される請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項23】
前記第2の成分は、前記主成分に対して0.01mol%部~15.00mol%部の範囲内である請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項24】
前記第2の成分は、Liフリーである請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項25】
前記金属の層は、Ni、Cu、又はこれらの合金の卑金属を含む請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項26】
前記コンデンサ要素の各端部に一対の外部電極を形成することをさらに含む請求項
15に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項27】
多層セラミックコンデンサの形成方法であって、
誘電体セラミック前駆体を形成することと、
金属層と前記誘電体セラミック前駆体の層を交互配置することにより、積層を形成することと、
前記積層を圧縮し、前記誘電体前駆体を焼結して、
[(Na
1-x
K
x
)
s
A
1-s
]
m
[(Nb
1-y
Ta
y
)
u
B1
v
B2
w
)]O
3
で規定される主成分であって、式中、
Aは、Mg、Ca、Sr、及びBaのアルカリ土類元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B1は、Ti、Zr、Hf、及びSnの群より選択される少なくとも1つの元素であり、
B2は、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びZnの遷移金属元素の群より選択される少なくとも1つの元素であり、
x、y、s、u、v、及びwは、各元素のモル分率であり、mは、[(Na
1-x
K
x
)
s
A
1-s
]及び[(Nb
1-y
Ta
y
)
u
B1
v
B2
w
)]のモル比であり、
0.93≦m≦1.07、
0.7≦s≦1.0、
0≦x≦0.05、
0≦y≦0.65、
0.7≦u≦1.0、
0≦v≦0.3、
0.001≦w≦0.100である主成分と、
Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びYuからなる群より選択される少なくとも1つの希土類を含む第1の副成分と、
フリットを含む第2の副成分と、によって規定される誘電体組成物を有する誘電体セラミック層を形成することと、を含み、前記セラミック組成物は、25℃で少なくとも100の誘電率を有する多層セラミックコンデンサの形成方法。
【請求項28】
前記セラミック組成物は、25℃で少なくとも900の誘電率を有する請求項
27に記載の多層セラミックコンデンサの形成方法。
【国際調査報告】