(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】鋼材を加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/24 20060101AFI20240126BHJP
C22F 1/10 20060101ALI20240126BHJP
C22C 30/00 20060101ALI20240126BHJP
C22C 19/03 20060101ALI20240126BHJP
C22C 19/05 20060101ALI20240126BHJP
C22F 1/11 20060101ALI20240126BHJP
F27B 9/38 20060101ALI20240126BHJP
F27B 9/39 20060101ALI20240126BHJP
F27B 9/04 20060101ALI20240126BHJP
C22C 27/06 20060101ALI20240126BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20240126BHJP
【FI】
F27B9/24 W
C22F1/10 A
C22C30/00
C22C19/03 J
C22C19/05 D
C22F1/10 H
C22F1/11
F27B9/38
F27B9/39
F27B9/04
C22C27/06
C22F1/00 624
C22F1/00 650A
C22F1/00 631B
C22F1/00 630A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023541006
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 IT2021050436
(87)【国際公開番号】W WO2022149178
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】102021000000086
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512288949
【氏名又は名称】ダニエリ アンド チ.オフィチーネ メカーニク エッセピア
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
(71)【出願人】
【識別番号】523253523
【氏名又は名称】ダニエリ チェントロ コムバスチョン エッセピア
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ コラド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェナンジーニ アレサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】サラモーネ エリサ
【テーマコード(参考)】
4K050
【Fターム(参考)】
4K050AA01
4K050BA02
4K050CA04
4K050CC07
4K050CD02
4K050CF06
4K050CF16
4K050CG13
4K050CG17
(57)【要約】
加熱チャンバ(13)と、当該加熱チャンバ(13)内に画定された送り平面(P)と、鋼材の供給手段(18)及び取出手段(20)と、を備えた、鋼材(200)特にビレットを加熱するための装置(10)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材(200)、特にブルーム又はビレットを加熱するための装置(10)であって、
投入部(11)と排出部(12)との間に延在する加熱チャンバ(13)であって、当該加熱チャンバ(13)内に順に投入ゾーン(A)と、中間ゾーン(B)と、排出ゾーン(C)と、が画定された加熱チャンバ(13)と、
前記加熱チャンバ(13)内に、固定サポート要素(14)と可動サポート要素(15)とを交互に設けることにより画定された送り平面(P)と、
を備えており、
前記固定サポート要素(14)は固定支持要素(16)によって支持され、前記可動サポート要素(15)は可動支持要素(17)によって支持され、
前記装置(10)はさらに、
前記投入部(11)に対して設けられた供給ローラ(19)を備えた供給手段(18)と、
前記排出部(12)に対して設けられた取出ローラ(21)を備えた取出手段(20)と、
前記送り平面(P)の上下両方に配置された加熱及び/又は燃焼部材(43)と、
を備えており、
前記固定サポート要素(14)と、前記可動サポート要素(15)と、前記固定支持要素(16)と、前記可動支持要素(17)と、前記供給ローラ(19)と、前記取出ローラ(21)とは、ニッケル及びコバルトの組み合わせ約30%~約60%と、クロム約24%~約35%と、を少なくとも含む金属超合金により作製されており、
前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを5%~50%含み、
前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記供給ローラ(19)と前記取出ローラ(21)とが前記超合金により作製されることにより、前記加熱チャンバ(13)内に液体ベースの冷却手段を設けないことが可能である
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記金属超合金は、ニッケル約40%~約50%と、クロム約25%~約35%と、コバルトと1つ又は複数の他の元素との組み合わせを最大10%と、を含む、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記投入ゾーン(A)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記供給ローラ(19)は、第1の金属超合金(M1)により作製されており、前記中間ゾーン(B)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)は、第2の金属超合金(M2)により作製されており、前記排出ゾーン(C)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記取出ローラ(21)は、第3の金属超合金(M3)により作製されており、前記第1の金属超合金(M1)のニッケル及びクロムの総含有率は前記第2の金属超合金(M2)のニッケル及びクロムの総含有率より低く、前記第2の金属超合金(M2)のニッケル及びクロムの総含有率は前記第3の金属超合金(M3)のニッケル及びクロムの総含有率より低い、
請求項1又は2記載の装置(10)。
【請求項4】
前記第1の金属超合金(M1)は、Ni+Co30~40%と、Cr24~30%と、W+Nb+Ti1~5%と、C+Si+Mn1~4%と、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを21%~44%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項5】
前記第2の金属超合金(M2)は、Ni40~50%と、Cr25~35%と、最大10%のW+Coと、最大1%のCと、最大3%のSi+Alと、最大3%のMnと、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大35%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項6】
前記第3の金属超合金(M3)は、Ni+Co45~60%と、Cr25~35%と、W8~16%と、C+Si+Al1~4%と、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大21%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項7】
前記可動支持要素(17)は前記加熱チャンバ(13)の底壁(23)を貫通し、前記底壁(23)の下方に配された1つのサポートフレーム(29)に固定されており、
前記サポートフレーム(29)は移動手段(30)に関連付けられている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項8】
前記移動手段(30)は複数の移動ユニット(31)を備えており、
前記各移動ユニット(31)はそれぞれ、前記サポートフレーム(29)の適正な移動を可能にするように形成された接続ロッド(32)と、前記接続ロッド(32)を直接的又は間接的に動かすように構成された電気機械的デバイスと、を備えている、
請求項7記載の装置(10)。
【請求項9】
側方投入部開口(33)と側方排出部開口(34)とを備えており、
前記側方投入部開口(33)及び前記側方排出部開口(34)の両方が、ドア(36)と、当該ドア(36)を動かすためのパンタグラフ型機構(37)と、を備えた閉止ユニット(35)にそれぞれ関連付けられている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項10】
前記閉止ユニット(35)は、前記投入部開口(34)及び前記排出部開口(35)に関連付けられた複数の不活性ガス送気装置(42)を備えており、
前記不活性ガス送気装置(42)は、前記加熱チャンバ(13)の雰囲気が外気によって汚染されるのを阻止すると共に前記加熱チャンバ(13)自体から有害ガスが逃げるのを阻止するガスバリアを生成するように構成されている、
請求項9記載の装置(10)。
【請求項11】
前記供給ローラ(19)及び前記取出ローラ(21)は前記加熱チャンバ(13)内に配され、前記加熱チャンバ(13)の前端壁(24)と後端壁(25)とにそれぞれ貫通して当該前端壁(24)と後端壁(25)から片持ち梁状に支持され、
前記供給手段(18)及び前記取出手段(20)は、前記供給ローラ(19)及び前記取出ローラ(21)に対して空気シールを形成するように構成された複数の他の不活性ガス送気装置(44)を備えている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項12】
前記チャンバ(13)内において前記投入部(11)に対応してローディング装置を備えると共に、前記排出部(12)に対応してアンローディング装置を備えており、前記ローディング装置は前記鋼材(200)を前記供給ローラ(19)から前記送り平面(P)上に載せるためのものであり、前記アンローディング装置は前記鋼材(200)を前記送り平面(P)から前記取出ローラ(21)に載せるためのものである、
請求項1から11までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項13】
前記他の化学元素は、アルミニウム、鉄、シリコン、マンガン、チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、炭素、ホウ素、リン、モリブデン、タングステンを含む群から選択することができる、
請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項14】
前記加熱チャンバ(13)内において、前記製品(200)の送り方向において前記送り平面(P)の下流に他の送り平面(P’)が配置されており、
前記他の送り平面(P’)は、それぞれ耐火性プレートから成る他の固定サポート要素(45)と他の可動サポート要素(46)とを交互に設けることにより画定されたものである、
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に記載されている実施形態は、例えば合金製の金属製品又は非金属製品等の鋼材を加熱するための装置に関するものである。
【0002】
本発明は、圧延のために送られるビレット又はブルーム等の鋼片に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ブルーム又はビレット等の鋼材を加熱するために炉が公知となっており、これは、金属の鋼片の温度を圧延に適した値まで昇温するために用いられる。
【0004】
伝統的な加熱炉は、大きな加熱応力を受ける構造的要素のために水ベースの冷却システムを備えており、一般に加熱チャンバを備えており、この加熱チャンバ内では投入部と排出部との間で鋼材が連続的又は断続的に移動し、投入部に対応して、場合によってはローディング機と共に鋼材を投入するためのローラ路が設けられ、排出部に対応して、場合によってはアンローディング機と共に鋼材を取り出すためのローラ路が設けられている。
【0005】
加熱チャンバは送り平面を有し、この送り平面は、事例に応じて種々の態様で形成することができる。ウォーキングビーム炉との呼称の方が良く知られている、可動の長手方向部材を備えた炉では、上記の送り平面は、当該送り平面の長さ方向に対して平行に配置される固定ビームと可動ビームとを交互に設けることにより画定される。
【0006】
また、水ベースの冷却システムを用いない炉も存在するが、かかる炉では処理対象の材料は鋼管から成るので、当該材料はブルーム又はビレットより格段に軽量の鋼材であり、加熱及び熱処理は格段に低温で行われる。
【0007】
上記の鋼管用の炉では、上記の低温加熱の条件下で、バーナーはいわゆる「パスライン(通過路)」の上方にのみ設けられる。というのも、中空の円形断面を有する軽量な鋼管は送られる際に、加熱があまり高温にならないように、かつその表面全部にわたって均一に行われるように回転させられるからである。
【0008】
鋼管とは対照的に、ビレット又はブルームはより高重量の鋼材であり、正方形/方形/多角形/完全一周の断面を有するので、移動しながら回転させることは不可能であり、加熱温度や熱処理温度を格段に高温にしなければならない。
【0009】
主に鋼管用の上述のような炉の例として、英国特許出願公開第1473645号明細書、独国特許発明3339585号明細書、及び国際公開2012/052960号に記載がある。
【0010】
具体的には、英国特許出願公開第1473645号明細書には鋼管を調温するための炉が記載されており、当該炉は鋼管を入れる形状の可動の長手方向部材を備えており、上記のように、鋼管を送る際に回転させる。バーナーは炉の1つの上壁にのみ設けられる。
【0011】
独国特許発明3339585号明細書は、特殊なプロファイル等の鋼管を加熱するための炉に関するものであり、当該炉ではバーナーは、鋼管が入れられる加熱チャンバ内にのみ、炉の上壁に設けられていると共に、加熱チャンバとは異なる別体の側方のチャンバ内に更なるバーナーが設けられている。
【0012】
国際公開2012/052960号には、可動の長手方向部材を備えたコンベアと、当該コンベアを備えた冶金製品の熱処理用の炉とが記載されている。同文献では、上記の製品の加熱に係る問題を検討したり対処してはおらず、当該製品の移動に係る問題を検討及び対処しているのみである。
【0013】
鋼管の処理では、加熱は結晶構造の変化を引き起こすために供され、この結晶構造の変化が鋼管の機械的特性を決定するので、加熱処理は制御下で行われる。
【0014】
それとは対照的に、ビレットやブルームの加熱では、その目的は結晶構造を変化させることではなく、金属製品を加熱して後続の加工のために適した温度にすることである。
【0015】
公知の炉では、金属製品はビームに、当該ビームの長手方向の推移に対して横方向に載せられる。
【0016】
鋼材の適正な供給を実現するため、固定ビームは固定サポートフレームに関連付けられると共に、可動ビームは1つ又は複数の可動サポートフレームに関連付けられる。
【0017】
サポートフレーム、特にビームとこれを支える要素と、加熱チャンバ内のローラ路のうち上記部材が存在する区間は、ビレットやブルームの処理で必要とされる加熱パラメータのため、深刻な熱的及び機械的応力にさらされる。
【0018】
一般に、ブルームやビレットのための伝統的な加熱炉では、炉内温度は高温で約600~1250℃の間で変動し得るものであり、また処理対象の金属製品は高重量であるため、チャンバ内の部材が適切な機械的特性を維持し、変形したり劣化しないことを保証する水ベースの冷却システムが必要である。
【0019】
このような変形や劣化は、サポート要素が耐えなければならない高い機械的負荷と、ブルームやビレットが例えば鋼管より格段に高重量であることを考慮する上で、特に危険で有害となる。
【0020】
一方、部材の冷却によりチャンバ内部からの放熱が増加し、必要な温度に到達するためにバーナーから流入しなければならない熱エネルギーが増加する。熱エネルギーの増加は燃料消費量の増加と、稼働コストの増加と、大気中への例えばCO2、NOx等のガスのエミッションの増加とに直接相関する。
【0021】
欧州特許出願公開第2678458号明細書に、炉の建設、特に鋼材が実際に移動せず加熱処理が不連続的に行われる炉における使用に特に適した合金が記載されている。かかる炉では、鋼材の重量及び移動と高温との組み合わせに起因して構造にかかる機械的応力は存在しない。よって、この材料は、炉内で移動するブルーム又はビレット等の鋼材を加熱するためのウォーキングビーム炉に適したものではない。
【0022】
上記の部材の水ベースの冷却に関連する他の問題として、水が、冷却されるビームに対応してビレットやブルームの下の方の外表面において、「スキッドマーク」として知られている黒い線を生じさせる原因となるという問題がある。伝統的なウォーキングビーム炉では、上記の現象を減少するために「ライダー」として知られている装置を使用する。この装置は上記の問題を軽減するが無くすことができず、特に後続の圧延作業において非常にクリティカルとなる。
【0023】
伝統的なウォーキングビーム炉の一利点は、炉内の温度が格段に高い温度に到達可能であることにより炉の長さが抑えられ、これにより炉内におけるビレットの滞在時間が短縮されることである。しかし、上記の高い温度はビレット自体の表面にスケールが大きく形成される原因となる。この形成されたスケールを除去すると鋼材の廃棄となって材料の損失となり、このことは鋼片の重量の削減を伴い、パフォーマンスすなわち鋼材の変形又は処理のための稼働歩留まりにとって不利となる。
【0024】
よって、従来技術の欠点のうち少なくとも1つを解消できる鋼材加熱用装置を完成させる必要がある。
【0025】
具体的には、本発明の1つの目的は、液体ベースの冷却システムを使用することによる欠点を生じない加熱装置を提供することである。
【0026】
本発明の他の1つの目的は、環境への影響、特に大気中へのガスのエミッションに関連する影響が低減される加熱装置を提供することである。
【0027】
本発明の他の1つの目的は、伝統的な装置よりも管理コストや保守コストが削減される加熱装置を提供することである。
【0028】
本発明の他の1つの目的は、特に上下方向の寸法を小型化して初期設置時の民間工事を簡素化する装置を提供することである。
【0029】
本発明の他の1つの目的は、加熱された鋼材が、低温のゾーンやポイントが無い均一な熱勾配を有するようにすることである。
【0030】
本願出願人は、従来技術の欠点を解消して上記及び他の目的及び利点を達成すべく、本発明を着想、試験及び具現化した。
【発明の概要】
【0031】
本発明は独立請求項に記載され、またその特徴が記載されている。従属請求項に本発明の他の特徴又は本発明の主な思想の変形形態が記載されている。
【0032】
上記の目的に鑑みて、従来技術の制約を克服して従来技術に存する欠点を無くす、ブルーム又はビレット等の鋼材を加熱するための装置は、以下のものを備えている。
-投入部と排出部との間に延在する加熱チャンバであって、当該加熱チャンバ内に順に少なくとも1つの投入ゾーンと、中間ゾーンと、排出ゾーンと、が画定された加熱チャンバ。
-前記加熱チャンバ内に、固定サポート要素と可動サポート要素とを交互に設けることにより画定された送り平面。前記固定サポート要素及び前記可動サポート要素は前記装置の長さ方向における推移に対して平行に配され、前記固定サポート要素は複数の固定支持要素によって支持され、前記可動サポート要素は複数の可動支持要素によって支持される。
-前記鋼材を供給するための手段と、前記鋼材を取り出すための手段。前記供給するための手段は、前記投入部側端部に対して設けられた供給ローラを備えており、前記取り出すための手段は、前記排出部側端部に対して設けられた取出ローラを備えている。
-前記送り平面の上下両方に配置されたバーナー等の加熱及び/又は燃焼部材。
【0033】
第1の側面では、前記固定サポート要素と、前記可動サポート要素と、前記固定支持要素と、前記可動支持要素と、前記供給ローラと、前記取出ローラとは、ニッケル及びコバルトの組み合わせ約30%~約60%と、クロム約24%~約35%と、を少なくとも含む金属超合金により作製されている。
【0034】
上記の具体的な金属超合金を用いて前記固定サポート要素と前記可動サポート要素と前記固定支持要素と前記可動支持要素と前記供給ローラと前記取出ローラとが作製されることにより、ブルームやビレットを加熱するための伝統的な炉において常に必要とされていたものである上記の部品の液体ベースの冷却手段が不要となる。
【0035】
よって、本発明の装置は加熱チャンバ内に液体ベースの冷却システム、特に水ベースの冷却システムを用いない。
【0036】
他の好適な一解決手段は、前記金属超合金が、ニッケル約40%~約50%と、クロム約25%~約35%と、コバルトと1つ又は複数の他の元素との組み合わせを最大10%と、を含み、当該超合金はさらに、他の成分の組み合わせを5%~50%含む、というものである。
【0037】
他の一側面では、固定サポート要素と可動サポート要素と固定支持要素と可動支持要素と供給ローラと取出ローラは、これらが配されている加熱チャンバのゾーンに応じて、かつ当該ゾーン内に生じる異なる動作温度に応じて、それぞれ異なる金属超合金により作製されている。かかる場合、上記の使用される各異なる金属超合金は少なくとも、ニッケル及びクロムの含有率が投入ゾーンから排出ゾーンに向かって増加していく。
【0038】
他の一側面では、少なくとも前記投入ゾーンに設けられた前記固定サポート要素と前記可動サポート要素と前記固定支持要素と前記可動支持要素と前記供給ローラは、第1の金属超合金により作製されている。
【0039】
前記中間ゾーンに設けられた前記固定サポート要素と前記可動サポート要素と前記固定支持要素と前記可動支持要素は、第1の金属超合金とは異なる第2の金属超合金により作製される。
【0040】
前記排出ゾーンに設けられた前記固定サポート要素と前記可動サポート要素と前記固定支持要素と前記可動支持要素と前記取出ローラは、第1及び第2の金属超合金とは異なる第3の金属超合金により作製される。
【0041】
第1、第2及び第3の3つの金属超合金は全て、その組成の最低50%、最大90%について、ニッケル及びクロムの量を含むことにより特徴付けられる。
【0042】
第1の金属超合金のニッケル及びクロムの総含有率は第2の金属超合金のニッケル及びクロムの総含有率より低く、第2の金属超合金のニッケル及びクロムの総含有率は第3の金属超合金のニッケル及びクロムの総含有率より低い。
【0043】
既に述べた通りこの解決手段は、上記の使用される金属超合金によって、液体ベースの冷却システムを要することなく加熱チャンバ内の構造的要素が温度に耐えることができ、それと同時に、必要な構造的耐性を保証することができるので、伝統的な水ベースの冷却を完全に無くすことができる。
【0044】
上記のようにして装置全体の効率が向上し、これに応じて大気中へのエミッションも削減する。また、加熱される鋼材が支持要素と接触しても、互いの表面間の温度差に起因して跡や残渣が残ることが無いので、加熱される鋼材の品質及び均一性も向上する。
【0045】
加熱チャンバの異なるゾーンに応じて材料を変えることにより、投資コストと必要な耐熱性との間に妥協線を見出して、負荷下での部品のパフォーマンスを最適化することができる。実際、ゾーンが異なるとその動作温度も異なり、これにより、金属製品の重量との兼ね合いにおいて、全ての支持要素及び移動要素が規定の熱的-機械的密閉特性を有することが必要となる。
【0046】
他の一側面では、前記可動支持要素は前記加熱チャンバの底壁を貫通し、前記底壁の下方に配された1つのサポートフレームに固定されており、前記サポートフレームは移動手段に関連付けられている。存在するサポートフレームが1つであることにより、その移動のために必要なスペースが削減され、これにより装置をよりコンパクトにすることができる。
【0047】
他の一側面では、前記装置は側方投入部開口と側方排出部開口とを備えており、前記側方投入部開口及び前記側方排出部開口の両方が、ドアと、これに対応する移動機構、特にパンタグラフ型の移動機構と、を備えた閉止ユニットにそれぞれ関連付けられている、
【0048】
他の一側面では、前記加熱チャンバの雰囲気が外気によって汚染されるのを阻止するガスバリアを生成するため、上記の閉止ユニットは、前記投入部開口及び前記排出部開口に関連付けられた複数の不活性ガス送気装置を備えており、これにより外部からの酸素の流入を抑えて白点の生成を抑え、また、炉からCOやNOx等の有害ガスが逃げることも阻止する。
【0049】
他の一側面では、前記供給ローラ及び前記取出ローラは前記加熱チャンバ内に配され、前記加熱チャンバの前端壁と後端壁とにそれぞれ貫通して当該前端壁と後端壁から片持ち梁状に支持される。前記供給手段及び前記取出手段は、前記供給ローラ及び前記取出ローラに対して空気シールを形成するように構成された複数の他の不活性ガス送気装置を備えている。かかる措置により、炉内への酸素の流入が抑えられて白点の生成が低減し、炉から有害ガスが逃げることが少なくなる。
【0050】
他の一側面では、前記装置は前記チャンバ内において、前記投入部に対応してローディング装置を備えると共に、前記排出部に対応してアンローディング装置を備えており、前記ローディング装置は前記鋼材を前記供給ローラから前記送り平面上に載せるためのものであり、前記アンローディング装置は前記鋼材を前記送り平面から前記取出ローラに載せるためのものである。
【0051】
本発明の上記及び他の側面、特徴及び利点は、添付の図面を参照した非限定例としての一部の実施形態の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本願に記載されている一部の実施形態の鋼材を加熱するための装置の概略的な側面図である。
【
図2】
図1の線 II-II に沿った断面図である。
【
図3】
図1の線 III-III に沿った断面図である。
【
図7】
図1~6の加熱装置を備えた鋼材製造用のプラントの概略的な側面図である。
【
図8】
図1~6の加熱装置を備えた鋼材製造用のプラントの概略的な側面図である。
【
図9】
図1~6の加熱装置を備えた鋼材製造用のプラントの概略的な側面図である。
【
図10】本願に記載されている一部の実施形態の鋼材を加熱するための装置の一変形形態である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
理解しやすくするため、可能な場合には、図面中同一の共通要素に対して同一の符号を付している。1つの実施形態の要素や特徴は、詳細な説明を要することなく他の実施形態に簡単に組み合わせ又は取り入れることが可能であると解される。
【0054】
ここで、本発明の可能な実施形態について詳細に言及する。添付の図面には例示として非限定的に、これら実施形態のうち1つ又は複数の例が示されている。また、本願にて使用されている文言及び用語用法は、非限定的な例を提示することを目的としている。
【0055】
図1は鋼材200を加熱するための装置10を示しており、この鋼材200は鋼片とすることができ、典型的にはブルーム又はビレット鋼片とすることができる。
【0056】
対象の鋼材200は、正方形、方形、多角形、円形の中実断面を有する。さらに、各鋼材200の重量は約0.5トン~約5トン、好適には約0.5~約2.5トンとすることができる。
【0057】
以下では、簡単化のため一例としてビレット200について説明する。
【0058】
装置10は、固定のバーあるいは長手方向部材と可動のバーあるいは長手方向部材とを備えた炉であり、これはウォーキングビーム炉としても知られている。
【0059】
炉10は、当該炉10の投入部11と排出部12との間に延在する加熱チャンバ13を備えている。加熱チャンバ13内には、投入あるいは回収ゾーンAと、中間あるいは予熱ゾーンBと、排出あるいは加熱均等化ゾーンCと、がこの順で画定されており、これらはそれぞれ異なる動作温度によって特徴付けられる。
【0060】
投入ゾーンAの最大温度は約1000℃とすることができ、中間ゾーンBの最大温度は約1100℃とすることができ、排出ゾーンCの最大温度は約1150℃とすることができる。
【0061】
図2~3を詳細に参照すると、加熱チャンバ13内には、固定サポート要素14と可動サポート要素15とを交互に設けることにより画定された送り平面Pが設けられており、これらのサポート要素14,15は全て、炉10の長手方向における推移に対して平行に配置されている。
【0062】
サポート要素14,15はビレット200を支持すると同時に、投入部11と排出部12との間でビレット200を階段状に送る。
【0063】
固定サポート要素14は固定支持要素16によって支持され、可動サポート要素15は可動支持要素17によって支持される。
【0064】
単なる一例として、固定サポート要素14及び可動サポート要素15は「I」形のビーム又は長手方向部材から成ることができ、それに対して固定支持要素16及び可動支持要素17は円形の断面のパイプから成ることができる。
【0065】
固定サポート要素14及び可動サポート要素15はそれぞれ、ビレット200を載せるための実質的に平坦な載置面、すなわちビレット200の横断面の形状と噛み合う形状のいかなる成形部も有しない載置面を有する。
【0066】
しかし、鋼材が例えば円形の横断面を有する場合、上記の載置面が凹部を有し得る解決手段は除外されない。
【0067】
炉10は、ビレット200を加熱チャンバ13内に移動させるための供給手段18と、ビレット200を加熱チャンバ13から外に移動させるための取出手段20と、を備えており、供給手段18は投入部11に対して設けられると共に、供給ローラ19を備えており、取出手段20は排出部12に対して設けられると共に、取出ローラ21を備えている。
【0068】
一側面では、固定サポート要素14と、可動サポート要素15と、固定支持要素16と、可動支持要素17と、供給ローラ19と、取出ローラ21とは、ニッケル及びコバルトの組み合わせ約30%~約60%と、クロム約24%~約35%と、を少なくとも含む金属超合金により作製されている。
【0069】
超合金はさらに、他の化学成分又は元素の組み合わせを約5%~約50%含む。
【0070】
上記の他の化学成分の組み合わせは好適には、炉10内における固定サポート要素14、可動サポート要素15、固定支持要素16、可動支持要素17、供給ローラ19、取出ローラ17の配置位置に依存することができる。他の好適な一解決手段は、前記金属超合金が、ニッケル約40%~約50%と、クロム約25%~約35%と、コバルトと1つ又は複数の他の元素との組み合わせを最大10%と、を含む、というものである。本事例では、超合金は他の成分の組み合わせを5%~35%含む。
【0071】
本発明の他の一発展形態では、固定サポート要素14と可動サポート要素15と固定支持要素16と可動支持要素17と供給ローラ19と取出ローラ21は、装置10におけるこれらの部材が配置されているゾーンに応じて、それぞれ異なる金属超合金により作製されている。かかる場合、金属超合金の少なくともニッケル及びクロムの含有率は、投入ゾーンAから排出ゾーンCに向かって増加していく。
【0072】
一実施形態では、投入ゾーンAに設けられた固定サポート要素14と可動サポート要素15と固定支持要素16と可動支持要素17と供給ローラ19は、第1の金属超合金M1により作製されている。
【0073】
中間ゾーンBに設けられた固定サポート要素14と可動サポート要素15と固定支持要素16と可動支持要素17は、第2の金属超合金M2により作製されている。
【0074】
排出ゾーンCに設けられた固定サポート要素14と可動サポート要素15と固定支持要素16と可動支持要素17と取出ローラ21は、第3の金属超合金M3により作製されている。
【0075】
超合金M1,M2,M3は主成分として、その組成の最低70%、最高90%について、ニッケル及びクロムを含む。本事例では、超合金は他の成分の組み合わせを10%~30%含む。
【0076】
超合金の化学組成を構成する上記の他の化学成分は、アルミニウム、鉄、タンタル、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、炭素、ホウ素、リン、モリブデン、タングステンの中に含まれ得る。他にチタン、シリコン、ニオブ、マンガン、コバルトの成分が可能であるが、これらに限定されない。
【0077】
第1の金属超合金M1のニッケル及びクロムの総含有率は第2の金属超合金M2のニッケル及びクロムの総含有率より低く、第2の金属超合金M2のニッケル及びクロムの含有率は第3の金属超合金M3のニッケル及びクロムの総含有率より低い。
【0078】
加熱チャンバ内に設けられる部品を金属超合金M1,M2,M3によって作製することにより、当該部品を冷却するための液体ベースの冷却システムが不要となるので、炉10の構成を大幅に簡素化することが可能になる。また、冷却が無いことによりチャンバの温度をより均一に維持することが可能になり、これは、加熱対象の鋼材の品質と、燃料消費量と、大気中へのガスのエミッションのいずれに対しても直接的に影響する。
【0079】
さらに、液体ベースの冷却が無いことにより、ビレット200が滞留する各ゾーンがビレット200と等しい温度になるので、スキッドマークの問題が解消される。
【0080】
金属超合金M1,M2,M3は、高温時に受ける負荷に対して特に高い耐性を有する。このことは、ビレット200の加熱の分野において特に必要とされ、ビレット200は特に高重量であり、その構造のため、高い加熱温度及び/又は加熱チャンバ13内における長い滞在時間を要する。
【0081】
一部の実施形態では、第1の金属超合金M1は、Ni+Coを30~40%、Crを24~30%、W+Nb+Tiを1~5%、及びC+Si+Mnを1~4%含む。本事例では、超合金は他の成分の組み合わせを21%~44%含む。
【0082】
第2の金属超合金M2は、Niを40~50%、Crを25~35%、W+Coを最大10%、Cを最大1%、Si+Alを最大3%、及びMnを最大3%を含む。超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大35%含む。
【0083】
第3の金属超合金M3は、Ni+Coを45~60%、Crを25~35%、Wを8~16%、及びC+Si+Alを1~4%含む。本事例では超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大21%含む。
【0084】
上記のような超合金の成分の差別化により、加熱チャンバ13の異なるゾーンの温度に応じて材料の熱的-機械的特性を調整することができ、それと同時に経済面を考慮することもできる。実際、本発明の解決手段は、超合金の熱抵抗特性が上昇するにつれて超合金のコストが増加するという状況下で、使用される材料の熱抵抗と効率との間の妥協線をツーリングコスト及び保守コストの観点から最適化することができる。上記の定義の材料はビレット200の高重量も支えることができ、このことは、上記の高重量が高温下で支持部品にかかる場合に一層有意義となる。
【0085】
一部の実施形態では、チャンバ13内にビレット200の供給路が画定されており、この供給路は送り平面P上において、ビレット200が炉10内に入るときに通る投入部11と、ビレット200が炉10から出るときに通る排出部12との間に直線状に推移する。
【0086】
加熱チャンバ13は上壁22と、その反対側の底壁23と、第1の端壁24と、第2の端壁25と、実質的に互いに平行な2つの側壁26,27と、によって画定されている。
【0087】
上記の各壁は、外部への熱損失を抑えるために耐火材のプレート28によって覆われることができる(
図1)。
【0088】
送り平面Pは水平であり、上壁22と底壁23との間の中間の高さに配されている。送り平面Pは底壁23に対して実質的に平行であり、底壁23の寸法より僅かに小さい寸法を有する。
【0089】
一部の実施形態では、ゾーンA,B及びCは、上壁22と底壁23との間の幾何学的形態によって画定することができる。具体的には、上壁22は底壁23から多かれ少なかれ離隔した部分を有し、これにより、空気を通すための大きい又は小さい部分を有するゾーンが画定される。
【0090】
複数の固定支持要素16が底壁23に直交して固定されると共に長手方向に整列しており、群を成して、それぞれ対応する固定サポート要素14を支持する。
【0091】
複数の可動支持要素17が底壁23に貫通すると共に長手方向に整列しており、群を成して、それぞれ対応する可動サポート要素15を支持している。可動サポート要素15は、底壁23の下方に配された1つのサポートフレーム29に固定されており、サポートフレーム29は移動手段30に関連付けられている。存在するサポートフレーム29が1つであることにより、炉10の下方の技術的な区画の容積を抑えることができ、これにより、炉10を建設/設置するために必要な工事作業のコストを簡素化して抑えることができる。
【0092】
しかし、サポートフレーム29を2以上の独立した構造物に分けることが可能であることを除外するものではない。
【0093】
底壁23は各可動支持要素17ごとに開口38を有し、これらの開口38の長手方向の推移は、行われる前進-後退ステップと一致する。各開口38は貫通密閉要素39によって密閉することができ、この貫通密閉要素39は底壁23の内表面及びその反対側の外表面と協働する。
【0094】
移動手段30は、サポートフレーム29の前進-上昇と下降-後退の複合的な移動を可能にするように構成されている。
【0095】
特に
図1~3を参照すると移動手段30は、それぞれ4つの移動ユニット31を整列したものから成る2つの群又は2列を含み、これらの移動ユニット31は炉10の設置平面に載置されると共にサポートフレーム29の下方に配され、サポートフレーム29は当該移動ユニット31上に載置される。
【0096】
各移動ユニット31はそれぞれ接続ロッド32を備えることができ、これらの接続ロッド32は選択的に駆動されてサポートフレーム29を動かすことができる。
【0097】
上記の複数の移動ユニット31は独立して駆動されることができ、又は、ここで記載されている事例のように、各群の1つの移動ユニット31が他の全ての移動ユニット31の移動を駆動して、同期案内することができる。
【0098】
よって、一部の移動ユニット31は、接続ロッド32を移動させるための各自の電気機械的デバイスに関連付けられており、この電気機械的デバイスは流体シリンダ又は電動シリンダによって駆動される。
【0099】
炉10は、投入部側端部11に対応して配置された投入部開口33と、排出部側端部12に対応して配置された排出部開口34と、を備えており、投入部開口33はより好適には、側壁26又は27に対応して配置され、排出部開口34もまた、側壁26又は27に対応して配置されるのがより好適である。
【0100】
投入部開口33及び排出部開口34に対して、それぞれ対応する閉止ユニット35が関連付けられている。
【0101】
各閉止ユニット35は、ドア36と、ドア36を動かすためのパンタグラフ型機構37と、を備えている。
【0102】
閉止ユニット35は、例えば窒素等の不活性ガスを送気するための複数の装置42を備えることができ、これらの装置42は開口34,35の周まわりに配置され、炉10の外部に向かって高温の空気がCO等のガスと共に逃げるのを阻止するガスバリアであって、外部からの空気の流入を阻止するガスバリアを形成するように構成されている。このように、オペレータに係る汚染のリスク及び環境汚染のリスクの両方が抑えられ、スケールの形成も低減する。
【0103】
一部の実施形態では、加熱チャンバ13内に供給ローラ19及び取出ローラ21が配置されており、供給ローラ19は前端壁24に貫通してここから片持ち梁状に支持され、取出ローラ21は後端壁25に貫通してここから片持ち梁状に支持されており、各回転軸は、炉10内におけるビレット200の送り方向に対して平行である。
【0104】
ローラ19、20は、炉10のアパーチャ33、34に横切って配置されたそれぞれのローラウェイを画定している。
【0105】
ローラ19,20は回転軸部41によって支持され、これらの回転軸部41は、1つ又は複数の駆動装置40によって個別に又はグループで駆動される。
【0106】
各回転軸部41のうち加熱チャンバ13の外部に位置する部分は、炉10の壁24,25に接続するためのフランジまで延在する金属ボックス42によって保護される。
【0107】
供給手段18及び取出手段20は、例えば窒素等の不活性ガスを送気するための複数の更なる装置44を備えており、これらの更なる装置44は、金属ボックス42内にガスを送気することによって、炉10の外部に向かって高温の空気が逃げるのを阻止すると共に外部からの空気の流入を阻止するバリアを形成するように構成されている。外部からの空気の流入は、加熱チャンバ13の雰囲気を汚染し、また、ビレットの表面に形成されるスケールの量を増大させ得るものである。
【0108】
炉内部品を作製するために選択された上記の具体的な材料と、上記の窒素シールとの組み合わせにより、炉10の消費量、CO2及びNOx等の汚染ガスのエミッション、及び稼働コストを大幅に削減することができ、また効率向上を決定づけることもできる。
【0109】
可能な実施形態では、炉10はチャンバ13内において投入部11に対応してローディング装置を備えると共に、排出部12に対応してアンローディング装置を備えることができ、ローディング装置はビレット200を供給ローラ19から送り平面P上に載せるためのものであり、アンローディング装置はビレット200を送り平面Pから取出ローラ21に載せるためのものである。
【0110】
具体的には、ローディング装置は内部の供給ローラ19からビレット200を取り出して第1のサポート要素14,15に載せるように構成されており、アンローディング装置は炉10内の最後の位置からビレットを取り出して内部の取出ローラ21に載せるように構成されている。
【0111】
上記のローディング装置及びアンローディング装置により、これらにそれぞれ対応する不活性ガス送気装置を設けることができ、これらの不活性ガス送気装置は、ローディング装置及びアンローディング装置の把持及び移動要素を入れるために炉10の壁に設けられたスリットに対応して空気シールを形成するものである。
【0112】
炉10は加熱チャンバ13の内部に複数の加熱及び/又は燃焼部材あるいはバーナー43を備えており、これらは複数の異なるゾーンの間で分散している。バーナー43は、適切な燃料供給手段を用いて例えばメタン等の燃料の供給源に接続されると共に、適切な燃焼持続要素供給手段を用いて燃焼持続要素の供給源に接続されており、上記燃料供給手段及び燃焼持続要素供給手段は例えばパイプ等であり、燃焼持続要素は好適には酸素を含む。
【0113】
一部の実施形態では、チャンバ13内への燃焼持続要素及び燃料の供給の制御及び調整は、同一出願人のイタリア国特許出願公開第102020000013285号明細書に記載されているように、燃料に対する燃焼持続要素の比率が理論空燃比未満又は理論空燃比となるように行うことができる。
【0114】
バーナー43は複数の群を構成するように組織化されており、各群は、炉10の長手方向の推移に対して横方向に整列した複数のバーナー43を含む。
【0115】
バーナ43は、上壁22と、後端壁25と、場合によっては底壁23とに関連付けられている。
【0116】
バーナー43は、送り平面Pの上下両方に配置されている。バーナー43をこのように配置することにより、炉10の長さを抑えることができると共に、上記の通り重量のため移動しながら自己の軸まわりに回転しないビレット200の加熱を均一にすることができる。
【0117】
しかし、他の配置も可能である。
【0118】
図1~3を詳細に参照すると、中間ゾーンBにおいて底壁23にバーナー43の第1群が関連付けられると共に、上壁22にバーナー43の第2群が関連付けられており、排出ゾーンCにおいて後端壁25に2つの更なる群が、送り平面Pに対して平行かつ送り平面Pを跨ぐように配置されている。
【0119】
よって、本発明の炉10は、バーナー43が設けられていない自由な側壁26,27を有する。
【0120】
図7~9に示される一部の実施形態では、炉10は、鋼材を生産するためのプラント100内部に入れられる。
【0121】
プラント100は、要求と利用可能なエネルギーの種類(ガス、電気)とに応じて、及び/又はより簡単には設置される国に応じて異なる構成とすることができる。
【0122】
図7に示されている第1の構成ではプラント100は、鋳造ライン110と、炉10と、圧延ライン111と、をこの順で備えている。本事例では、炉10は上記の連続鋳造ラインからビレット200を約850℃で受け取ってこれを約1050℃の温度まで加熱する。これにより、ビレット200を約950℃~1000℃の開始圧延温度にすることができる。これにより、入口温度が既に高温であることを条件に、炉10の長さ寸法を抑えることができ、またバーナー43の数を削減することができ、本事例では、バーナー43は中間ゾーンB及び排出ゾーンCの上壁22にのみ設けられている。
【0123】
上記の用途は、誘導炉の使用に代わる代替用途であり、例えば炭素鋼製ビレット等のビレット200のスラスト均等化を必要とする場合に用いられ、表面とコアとの温度差が低減する。さらに、上記の炉10は、アクシデント又はシリンダの交換に起因して下流の圧延処理が中断される場合のバッファを備えることを可能にする。
【0124】
図8に示されている第2の構成では、プラント100は鋼片112の備蓄を備えており、ここではビレット200は約20℃の大気温度となっている。その下流に配された炉10の後には、誘導炉113と圧延ライン111とが続く。本事例では炉10の寸法は、ビレット200を約20℃の入口温度から約850℃~950℃の出口温度まで昇温するように設定されている。このようにして、750℃付近から形成され始めるスケールの形成が大幅に減少し、ガス消費量、ひいてはエミッションが大幅に減少する。
【0125】
誘導炉113はビレット200を約1150℃~1250℃の開始圧延温度まで加熱する。プラント100の第2の構成の炉10は、
図1~3を参照して既に説明したものである。
【0126】
図9に示されている第3の構成では、プラント100は鋼片112の備蓄を備えており、ここではビレット200は約20℃の大気温度となっている。本事例では、下流に配された炉10の寸法は、ビレット200を約20℃の入口温度から約1050℃の出口温度まで昇温するように設定されており、これにより、ビレット200が圧延ライン111に入る際に約950℃~1000℃の圧延開始温度となることが可能にされる。プラント100の第3の構成の炉10の長さは、上記の解決手段の炉100よりも長く、加熱ゾーンBがより延長されており、加熱ゾーンBにより多数のバーナー43が、底壁23及び上壁22の両方に設けられている。
【0127】
図10~11に示されている一変形形態では、炉10は加熱チャンバ13内に、ビレット200の送り方向において送り平面Pの下流に配された他の送り平面P’を有する。
【0128】
投入ゾーンAと中間ゾーンBと排出ゾーンCとを含む第1のセクタでは(これは本事例では中間排出ゾーンとなる)炉10はウォーキングビーム型となり、最後の排出ゾーンDが画定される第2のセクタでは炉10はウォーキングハース型となるように、上記の他の送り平面P’は移動床型(mobile sole type)となっている。この第2のセクタでは、第1のセクタの温度で規定される加熱温度と比較して高い加熱温度が許容される。
【0129】
両セクタとも、送り平面P,P’をそれぞれ形成する要素を冷却するためのシステムが存在しないことを特徴とする。
【0130】
上記の他の送り平面P’も送り平面Pと同様、他の固定サポート要素45と他の可動サポート要素46とを交互に設けると共に、これらを炉10の長さ方向の推移に対して平行に配することにより画定される(
図11)。
【0131】
他の固定サポート要素45及び他の可動サポート要素46はそれぞれ耐火性プレートから成ることができ、これらの耐火性プレートは全体として実質的に連続した平面を成す。
【0132】
可動サポート要素46は、既に上記で説明したものと実質的に同様である公知の態様で同一のサポートフレーム29に固定され、第1のセクタと第2のセクタとの間でビレット200の移動が均質かつ協調的に行われるようにされている。
【0133】
図10~11の実施形態ではサポートフレーム29は、可動サポート要素15,46の持上げ移動を行える下部フレームあるいは持上げフレーム29aと、可動サポート要素15,46の直進移動を行える上部フレームあるいは直進フレーム29bと、を備えている。
【0134】
上部フレーム29bは下部フレーム29aに摺動するように載置されている。
【0135】
下部フレーム29aは移動手段30によって昇降移動し、この移動手段30は1つ又は複数の傾斜平面47と、下部フレームに枢動可能に取り付けられて傾斜平面を摺動する1つ又は複数の転動要素48と、下部フレーム29aに固定されると共に固定アンカー点に固定された1つ又は複数のピストン49と、を備えている。
【0136】
転動要素48は対を成すように配置され、当該対の一方の転動要素48が傾斜平面を摺動し、他方の転動要素48が上部フレーム29bを支持するために摺動するようにされている。
【0137】
上部フレーム29bは移動手段30によって下部フレーム29a上を水平方向の直進で摺動し、この移動手段30は、上部フレーム29bに固定されると共に固定のアンカー点に固定された1つ又は複数の他のピストン51を備えている。
【0138】
上記にて説明した鋼材を加熱するための装置については、特許請求の範囲に特定された本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、各部分の改良及び/又は追加を行うことが可能であることが明らかである。
【0139】
添付の特許請求の範囲において括弧書きの符号の目的は読みやすくすることのみであり、個々の請求項に記載の保護範囲について限定するものとみなすべきものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材(200)、特にブルーム又はビレットを加熱するための装置(10)であって、
投入部(11)と排出部(12)との間に延在する加熱チャンバ(13)であって、当該加熱チャンバ(13)内に順に
、最大温度が約1000℃である投入ゾーン(A)と、
最大温度が約1100℃である中間ゾーン(B)と、
最大温度が約1150℃である排出ゾーン(C)と、が画定された加熱チャンバ(13)と、
前記加熱チャンバ(13)内に、固定サポート要素(14)と可動サポート要素(15)とを交互に設けることにより画定された送り平面(P)と、
を備えており、
前記固定サポート要素(14)は固定支持要素(16)によって支持され、前記可動サポート要素(15)は可動支持要素(17)によって支持され、
前記装置(10)はさらに、
前記投入部(11)に対して設けられた供給ローラ(19)を備えた供給手段(18)と、
前記排出部(12)に対して設けられた取出ローラ(21)を備えた取出手段(20)と、
前記送り平面(P)の上下両方に配置された加熱及び/又は燃焼部材(43)と、
を備えており、
前記固定サポート要素(14)と、前記可動サポート要素(15)と、前記固定支持要素(16)と、前記可動支持要素(17)と、前記供給ローラ(19)と、前記取出ローラ(21)とは、ニッケル及びコバルトの組み合わせ約30%~約60%と、クロム約24%~約35%と、を少なくとも含む金属超合金により作製されており、
前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを5%~50%含み、
前記他の成分は、W,Nb,Ti,C,Si,Al及びMnの中から選択され、
前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記供給ローラ(19)と前記取出ローラ(21)とが前記超合金により作製されることにより、前記加熱チャンバ(13)内に液体ベースの冷却手段を設けないことが可能である
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記金属超合金は、ニッケル約40%~約50%と、クロム約25%~約35%と、コバルトと1つ又は複数の他の元素との組み合わせを最大10%と、を含む、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記投入ゾーン(A)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記供給ローラ(19)は、第1の金属超合金(M1)により作製されており、前記中間ゾーン(B)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)は、第2の金属超合金(M2)により作製されており、前記排出ゾーン(C)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記取出ローラ(21)は、第3の金属超合金(M3)により作製されており、前記第1の金属超合金(M1)のニッケル及びクロムの総含有率は前記第2の金属超合金(M2)のニッケル及びクロムの総含有率より低く、前記第2の金属超合金(M2)のニッケル及びクロムの総含有率は前記第3の金属超合金(M3)のニッケル及びクロムの総含有率より低い、
請求項1又は2記載の装置(10)。
【請求項4】
前記第1の金属超合金(M1)は、Ni+Co30~40%と、Cr24~30%と、W+Nb+Ti1~5%と、C+Si+Mn1~4%と、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを21%~44%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項5】
前記第2の金属超合金(M2)は、Ni40~50%と、Cr25~35%と、最大10%のW+Coと、最大1%のCと、最大3%のSi+Alと、最大3%のMnと、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大35%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項6】
前記第3の金属超合金(M3)は、Ni+Co45~60%と、Cr25~35%と、W8~16%と、C+Si+Al1~4%と、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大21%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項7】
前記可動支持要素(17)は前記加熱チャンバ(13)の底壁(23)を貫通し、前記底壁(23)の下方に配された1つのサポートフレーム(29)に固定されており、
前記サポートフレーム(29)は移動手段(30)に関連付けられている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項8】
前記移動手段(30)は複数の移動ユニット(31)を備えており、
前記各移動ユニット(31)はそれぞれ、前記サポートフレーム(29)の適正な移動を可能にするように形成された接続ロッド(32)と、前記接続ロッド(32)を直接的又は間接的に動かすように構成された電気機械的デバイスと、を備えている、
請求項7記載の装置(10)。
【請求項9】
側方投入部開口(33)と側方排出部開口(34)とを備えており、
前記側方投入部開口(33)及び前記側方排出部開口(34)の両方が、ドア(36)と、当該ドア(36)を動かすためのパンタグラフ型機構(37)と、を備えた閉止ユニット(35)にそれぞれ関連付けられている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項10】
前記閉止ユニット(35)は、前記投入部開口(34)及び前記排出部開口(35)に関連付けられた複数の不活性ガス送気装置(42)を備えており、
前記不活性ガス送気装置(42)は、前記加熱チャンバ(13)の雰囲気が外気によって汚染されるのを阻止すると共に前記加熱チャンバ(13)自体から有害ガスが逃げるのを阻止するガスバリアを生成するように構成されている、
請求項9記載の装置(10)。
【請求項11】
前記供給ローラ(19)及び前記取出ローラ(21)は前記加熱チャンバ(13)内に配され、前記加熱チャンバ(13)の前端壁(24)と後端壁(25)とにそれぞれ貫通して当該前端壁(24)と後端壁(25)から片持ち梁状に支持され、
前記供給手段(18)及び前記取出手段(20)は、前記供給ローラ(19)及び前記取出ローラ(21)に対して空気シールを形成するように構成された複数の他の不活性ガス送気装置(44)を備えている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項12】
前記チャンバ(13)内において前記投入部(11)に対応してローディング装置を備えると共に、前記排出部(12)に対応してアンローディング装置を備えており、前記ローディング装置は前記鋼材(200)を前記供給ローラ(19)から前記送り平面(P)上に載せるためのものであり、前記アンローディング装置は前記鋼材(200)を前記送り平面(P)から前記取出ローラ(21)に載せるためのものである、
請求項1から11までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項13】
前記他の化学元素は、アルミニウム、鉄、シリコン、マンガン、チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、炭素、ホウ素、リン、モリブデン、タングステンを含む群から選択することができる、
請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項14】
前記加熱チャンバ(13)内において、前記製品(200)の送り方向において前記送り平面(P)の下流に他の送り平面(P’)が配置されており、
前記他の送り平面(P’)は、それぞれ耐火性プレートから成る他の固定サポート要素(45)と他の可動サポート要素(46)とを交互に設けることにより画定されたものである、
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置(10)。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼材(200)、特にブルーム又はビレットを加熱するための装置(10)であって、
投入部(11)と排出部(12)との間に延在する加熱チャンバ(13)であって、当該加熱チャンバ(13)内に順に、最大温度が約1000℃である投入ゾーン(A)と、最大温度が約1100℃である中間ゾーン(B)と、最大温度が約1150℃である排出ゾーン(C)と、が画定された加熱チャンバ(13)と、
前記加熱チャンバ(13)内に、固定サポート要素(14)と可動サポート要素(15)とを交互に設けることにより画定された送り平面(P)と、
を備えており、
前記固定サポート要素(14)は固定支持要素(16)によって支持され、前記可動サポート要素(15)は可動支持要素(17)によって支持され、
前記装置(10)はさらに、
前記投入部(11)に対して設けられた供給ローラ(19)を備えた供給手段(18)と、
前記排出部(12)に対して設けられた取出ローラ(21)を備えた取出手段(20)と、
前記送り平面(P)の上下両方に配置された加熱及び/又は燃焼部材(43)と、
を備えており、
前記固定サポート要素(14)と、前記可動サポート要素(15)と、前記固定支持要素(16)と、前記可動支持要素(17)と、前記供給ローラ(19)と、前記取出ローラ(21)とは、
主成分として組成の最低70%、最高90%についてニッケル及びクロムと、他の成分の組み合わせ10%~30%とを少なくとも含む金属超合金により作製されており、
前記超合金の化学組成を構成する前記他の化学成分は、アルミニウム、鉄、タンタル、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、炭素、ホウ素、リン、モリブデン、タングステン、チタン、シリコン、ニオブ、マンガン、コバルトの中に含まれ、
前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記供給ローラ(19)と前記取出ローラ(21)とが前記超合金により作製されることにより、前記加熱チャンバ(13)内に液体ベースの冷却手段を設けないことが可能である
ことを特徴とする装置(10)。
【請求項2】
前記金属超合金は、ニッケル約40%~約50%と、クロム約25%~約35%と、コバルトと1つ又は複数の他の元素との組み合わせを最大10%と、を含む、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記投入ゾーン(A)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記供給ローラ(19)は、第1の金属超合金(M1)により作製されており、前記中間ゾーン(B)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)は、第2の金属超合金(M2)により作製されており、前記排出ゾーン(C)に設けられた前記固定サポート要素(14)と前記可動サポート要素(15)と前記固定支持要素(16)と前記可動支持要素(17)と前記取出ローラ(21)は、第3の金属超合金(M3)により作製されており、前記第1の金属超合金(M1)のニッケル及びクロムの総含有率は前記第2の金属超合金(M2)のニッケル及びクロムの総含有率より低く、前記第2の金属超合金(M2)のニッケル及びクロムの総含有率は前記第3の金属超合金(M3)のニッケル及びクロムの総含有率より低い、
請求項1又は2記載の装置(10)。
【請求項4】
前記第1の金属超合金(M1)は、Ni+Co30~40%と、Cr24~30%と、W+Nb+Ti1~5%と、C+Si+Mn1~4%と、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを21%~44%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項5】
前記第2の金属超合金(M2)は、Ni40~50%と、Cr25~35%と、最大10%のW+Coと、最大1%のCと、最大3%のSi+Alと、最大3%のMnと、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大35%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項6】
前記第3の金属超合金(M3)は、Ni+Co45~60%と、Cr25~35%と、W8~16%と、C+Si+Al1~4%と、を含み、前記超合金はさらに、他の成分の組み合わせを最大21%含む、
請求項3記載の装置(10)。
【請求項7】
前記可動支持要素(17)は前記加熱チャンバ(13)の底壁(23)を貫通し、前記底壁(23)の下方に配された1つのサポートフレーム(29)に固定されており、
前記サポートフレーム(29)は移動手段(30)に関連付けられている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項8】
前記移動手段(30)は複数の移動ユニット(31)を備えており、
前記各移動ユニット(31)はそれぞれ、前記サポートフレーム(29)の適正な移動を可能にするように形成された接続ロッド(32)と、前記接続ロッド(32)を直接的又は間接的に動かすように構成された電気機械的デバイスと、を備えている、
請求項7記載の装置(10)。
【請求項9】
側方投入部開口(33)と側方排出部開口(34)とを備えており、
前記側方投入部開口(33)及び前記側方排出部開口(34)の両方が、ドア(36)と、当該ドア(36)を動かすためのパンタグラフ型機構(37)と、を備えた閉止ユニット(35)にそれぞれ関連付けられている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項10】
前記閉止ユニット(35)は、前記投入部開口(34)及び前記排出部開口(35)に関連付けられた複数の不活性ガス送気装置(42)を備えており、
前記不活性ガス送気装置(42)は、前記加熱チャンバ(13)の雰囲気が外気によって汚染されるのを阻止すると共に前記加熱チャンバ(13)自体から有害ガスが逃げるのを阻止するガスバリアを生成するように構成されている、
請求項9記載の装置(10)。
【請求項11】
前記供給ローラ(19)及び前記取出ローラ(21)は前記加熱チャンバ(13)内に配され、前記加熱チャンバ(13)の前端壁(24)と後端壁(25)とにそれぞれ貫通して当該前端壁(24)と後端壁(25)から片持ち梁状に支持され、
前記供給手段(18)及び前記取出手段(20)は、前記供給ローラ(19)及び前記取出ローラ(21)に対して空気シールを形成するように構成された複数の他の不活性ガス送気装置(44)を備えている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項12】
前記チャンバ(13)内において前記投入部(11)に対応してローディング装置を備えると共に、前記排出部(12)に対応してアンローディング装置を備えており、前記ローディング装置は前記鋼材(200)を前記供給ローラ(19)から前記送り平面(P)上に載せるためのものであり、前記アンローディング装置は前記鋼材(200)を前記送り平面(P)から前記取出ローラ(21)に載せるためのものである、
請求項1から11までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項13】
前記他の化学元素は、アルミニウム、鉄、シリコン、マンガン、チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、バナジウム、マグネシウム、カルシウム、炭素、ホウ素、リン、モリブデン、タングステンを含む群から選択することができる、
請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項14】
前記加熱チャンバ(13)内において、前記製品(200)の送り方向において前記送り平面(P)の下流に他の送り平面(P’)が配置されており、
前記他の送り平面(P’)は、それぞれ耐火性プレートから成る他の固定サポート要素(45)と他の可動サポート要素(46)とを交互に設けることにより画定されたものである、
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置(10)。
【国際調査報告】