(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】新規なブチレート化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 311/72 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
C07D311/72 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541053
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2022052003
(87)【国際公開番号】W WO2022162121
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】メドロック, ジョナサン, アラン
(72)【発明者】
【氏名】ペース, フランチェスコ
(57)【要約】
本発明は、ブチレート化合物並びにその合成及び使用に関する。このような化合物は、そのままで、又は有機合成の中間体として、非常に有用な化合物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物を製造するための方法であって、第1の段階(ステップ(i))において、式(II)
【化2】
の化合物を、
式(III)
【化3】
の化合物(又はその誘導体)によってエステル化し、次に第2の段階(ステップ(ii))では、ステップ(i)の反応生成物を水素化して式(I)の化合物とする、方法。
【請求項2】
前記ステップ(i)の方法は少なくとも1種の不活性溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の溶媒は脂肪族又は芳香族である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(i)の方法は不活性溶媒を用いずに行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(i)の方法は昇温で行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は30℃~150℃で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(i)の方法は少なくとも1種の追加の酸の存在下で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の追加の酸は有機酸又は無機酸である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の追加の酸は(式(II)の化合物に対して)1~20mol%の量で添加される、請求項7又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式(II)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:1~1:10である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(ii)の方法では、水素化のためにH
2ガスが使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(ii)の方法における印加圧力は1.5barより高い、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(ii)の水素化は触媒の存在下で行われる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
式(I)
【化4】
の化合物。
【請求項15】
式(IV)
【化5】
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規なブチレート化合物並びにその合成及び使用に関する。このような化合物は、そのままで、又は有機合成の中間体として、非常に有用な化合物である。
【0002】
ブチレートは、非常に有用で健康に良い化合物とみなされている。
【0003】
ブチレートは結腸細胞のエネルギー源となり、これらの細胞は、有益な腸内微生物が繁殖する無酸素環境を提供するのを助けることが知られている。これにより、炎症を抑制し、腸細胞が健康になり、腸内細菌が良い状態に保たれる。
【0004】
ブチレートレベルが高ければ高いほど、体内細胞で産生される、腸内のフリーラジカルを中和する抗酸化物質であるグルタチオンレベルが上昇することが示されている。フリーラジカルは炎症及び多くの疾患に関係しているため、これは良いことである。
【0005】
ブチレートは、人体の一部の炎症性物質の働きを止める。ブチレートの抗炎症作用は酸化ストレスを軽減し、フリーラジカルによって引き起こされる損傷を抑制する。
【0006】
さらに、ブチレートはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びペプチドYY(PYY)などの腸内ホルモンの分泌を高めることが研究により示されている。GLP-1は膵臓でのインスリン産生を増加させ、グルカゴンの産生を減少させる。PYYは筋肉及び脂肪組織の両方におけるグルコースの取り込みを増加させる。
【0007】
結腸におけるブチレートを含む短鎖脂肪酸の産生増加は、これらの腸内ホルモンの放出を増加させ、血糖値の管理及び体重増加の予防に有益である可能性を示す。
【0008】
さらに、ブチレートは有機合成の中間体として使用することができ、すなわち、有用なカロテノイド化合物を生成することができる。
【0009】
ブチレートの主な問題は、強い(生臭い)臭いである。このような臭いは、ほとんどの人がこのような化合物をごく低濃度であっても飲み込むことができないような臭いである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、すべての利点を有しているが強い不快な臭いを有していないブチレート化合物を提供することであった。
【0011】
驚くべきことに、特定の新規なブチレート化合物が上記の要件を満たし、強い不快な臭いを持たないことが判明した。
【0012】
したがって、本発明は、式(I)
【化1】
の化合物に関する。
【0013】
式(I)の新規化合物は、以下に概説されるように得ることができる。
【0014】
式(I)の化合物を得るための出発物質は、式(II)
【化2】
の化合物であるα-トコフェロールである。
【0015】
ビタミンEの一種であるα-トコフェロールは、簡単に入手できる。α-トコフェロールは幅広い供給源及び供給業者から入手可能である。α-トコフェロールは化学的に合成しても、又は天然源から抽出してもよい。
【0016】
式(I)の化合物は、2段階の方法により製造される。
【0017】
第一の段階(ステップ(i))では、式(II)の化合物を、式(III)の酸又はその誘導体を用いることによりエステル化する。
【化3】
【0018】
この反応の利点は、関連化合物である酪酸とは異なり、式(III)の酸には強い不快な臭いがないことである。
【0019】
ステップ(i)のこの反応生成物は、式(IV)
【化4】
の化合物である。
【0020】
式(IV)の化合物は、新規な化合物である。
【0021】
したがって、本発明はまた、式(IV)
【化5】
の化合物にも関する。
【0022】
第2の段階(ステップ(ii))では、式(IV)の化合物を水素化して式(I)の化合物にする。
【0023】
したがって、本発明は、式(I)
【化6】
の化合物を製造する方法(P)であって、第1の段階(ステップ(i))において、式(II)
【化7】
の化合物を、式(III)
【化8】
の化合物(又はその誘導体)によりエステル化し、次に第2の段階(ステップ(ii))では、ステップ(i)の反応生成物を水素化して式(I)の化合物とする、方法(P)に関する。
【0024】
この方法の利点のいくつかは、良好な収率が得られること、不快な臭いの出発原料を使用しないこと、及び不快な臭いの生成物は得られないことである。
【0025】
以下では、方法のステップについて、より詳細に議論する。
【0026】
[ステップ(i)]
上記のように、式(II)
【化9】
の化合物は、式(III)
【化10】
の化合物を用いることによってエステル化される。
【0027】
ステップ(i)の反応は、通常、不活性溶媒(又は不活性溶媒の混合物)中で行われる。このような不活性溶媒は脂肪族又は芳香族であり得る。適切な溶媒としては、炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、アミド、及びアミンが挙げられる。好ましいのは、炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、及びアミドである。
【0028】
不活性溶媒を用いずにステップ(i)の方法を行うことも可能である。したがって、本発明は、ステップ(i)の方法が少なくとも1種の非活性溶媒中で行われる、方法(P)に関連する方法(P1)に関する。したがって、本発明は、少なくとも1種の溶媒が脂肪族又は芳香族である、方法(P1)に関連する方法(P1’)に関する。
【0029】
したがって、本発明は、少なくとも1種の不活性溶媒が、炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、アミド及びアミンからなる群から選択される(好ましいのは炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル及びアミドである)、方法(P)に関連する方法(P1’’)に関する。
【0030】
したがって、本発明は、ステップ(i)の方法が溶媒を用いずに行われる、方法(P)に関連する方法(P1’’’)に関する。
【0031】
ステップ(i)の方法は、通常、好ましくは昇温で行われる。ステップ(i)の反応温度は、通常30℃~150℃である。好ましくは40℃~140℃、より好ましくは50℃~130℃である。
【0032】
したがって、本発明は、ステップ(i)の方法が昇温で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)又は(P1’’’)に関連する方法(P2)に関する。
【0033】
したがって、本発明は、ステップ(i)の方法が30℃~150℃の温度で行われる、方法(P2)に関連する方法(P2’)に関する。
【0034】
したがって、本発明は、ステップ(i)の方法が40℃~140℃の温度で行われる、方法(P2)に関連する方法(P2’’)に関する。
【0035】
したがって、本発明は、ステップ(i)の方法が50℃~130℃の温度で行われる、方法(P2)に関連する方法(P2’’’)に関する。
【0036】
ステップ(i)の方法は、好ましくは、(式(III)の化合物に加えて)少なくとも1種の追加の酸の存在下で行われる。この追加の酸は、有機酸でも無機酸でもよく、また固体でもヘテロポリ酸でもよい。
【0037】
さらに、追加の酸は、酸イオン交換樹脂(例えばAMBERLYSTタイプ)のような固体酸、及びヘテロポリ酸(例えばH3PW12O40)とすることができる。
【0038】
適切な無機酸は、例えばH2SO4、HCl、好ましくはH2SO4である。適切な有機酸は、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸である。
【0039】
したがって、本発明は、ステップ(i)の方法が少なくとも1種の追加の酸の存在下で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、又は(P2’’’)に関連する方法(P3)に関する。
【0040】
したがって、本発明は、少なくとも1種の追加の酸が有機酸である、方法(P3)に関連する方法(P3’)に関する。
【0041】
したがって、本発明は、追加の酸がメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸及びトリフルオロ酢酸からなる群から選択される、方法(P3’)に関連する方法(P3’’)に関する。
【0042】
したがって、本発明は、少なくとも1種の追加の酸が無機酸である、方法(P3)に関連する方法(P3’’’)に関する。
【0043】
したがって、本発明は、追加の酸がHCl及びH2SO4からなる群から選択される、方法(P3’’’)に関連する方法(P3’’’’)に関する。
【0044】
したがって、本発明は、追加の酸が固体酸(イオン交換樹脂など)からなる群から選択される、方法(P3)に関連する方法(P3’’’’’)に関する。
【0045】
したがって、本発明は、追加の酸がヘテロポリ酸(例えば、H3PW12O40)からなる群から選択される、方法(P3)に関連する方法(P3’’’’’’)に関する。
【0046】
少なくとも1種の追加の酸は、通常、(式(II)の化合物に対して)1~20mol%の量で添加される。
【0047】
したがって、本発明は、少なくとも1種の追加の酸が(式(II)の化合物に対して)1~20mol%の量で添加される、方法(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)又は(P3’’’’’’)に関連する方法(P3’’’’’’’)に関する。
【0048】
式(III)の化合物は、好ましくは、式(II)の化合物を考慮して過剰に添加される。通常、式(II)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:1~1:10(好ましくは1:2~1:6)である。
【0049】
したがって、本発明は、式(II)の化合物対式(III)の化合物とのモル比は、1:1~1:10である、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)又は(P3’’’’’’’)に関連する方法(P4)に関する。
【0050】
したがって、本発明は、式(II)の化合物対式(III)の化合物とのモル比は、1:2~1:6である、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)又は(P3’’’’’’’)に関連する方法(P4’)に関する。
【0051】
通常、式(IV)の化合物であるステップ(i)の得られた反応生成物は単離され、任意に精製された後、第2の段階(ステップ(ii))で使用される。
【0052】
[ステップ(ii)]
本発明による方法のステップ(ii)で上記に開示したように、ステップ(i)の得られた反応生成物を水素化して、所望の式(I)の化合物を得る。
【0053】
通常、好ましくは、式(IV)の化合物を水素化するためにH2ガスが使用される。
【0054】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法において水素化するためにH2ガスが使用される、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)又は(P4’)に関連する方法(P5)に関する。
【0055】
ステップ(ii)の方法における印加圧力は、通常(及び好ましくは)1.5barより大きい。
ここで示す圧力は絶対圧である。通常(及び好ましくは)、印加圧力は1.5~11bar(より好ましくは2~10bar)の範囲である。
【0056】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法における印加圧力は1.5barより大きい、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)又は(P5)に関連する方法(P6)に関する。
【0057】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法における印加圧力は1.5~11barの範囲である、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)又は(P5)に関連する方法(P6’)に関する。
【0058】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法における印加圧力は2~10barの範囲である、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)又は(P5)に関連する方法(P6’’)に関する。
【0059】
水素化は通常、触媒の存在下で行われる。
【0060】
触媒は、水素化反応に一般的に使用される任意の触媒であり得る。通常、触媒は金属触媒(好ましくは遷移金属触媒)である。好ましくは、触媒は、ニッケル、パラジウム又は白金からなる群から選択される金属のうちの少なくとも1種を含む不均一系触媒である。
【0061】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の水素化が触媒の存在下で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)又は(P6’’)に関連する方法(P7)に関する。
【0062】
したがって、本発明は、触媒が金属触媒である、方法(P7)に関連する(P7’)に関する。
【0063】
したがって、本発明は、触媒が遷移金属触媒である、方法(P7)に関連する方法(P7’’)に関する。
【0064】
したがって、本発明は、触媒がニッケル、パラジウム又は白金からなる群から選択される金属のうちの少なくとも1種を含む不均一系触媒である、方法(P7)に関連する方法(P7’’’)に関する。
【0065】
ステップ(ii)の方法は、通常(及び好ましくは)昇温で行われる。
【0066】
通常(及び好ましくは)、ステップ(ii)の方法は、30℃~100℃の温度(好ましくは30℃~80℃、より好ましくは30℃~60℃)で行われる。
【0067】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法が昇温で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6’’)、(P7)、(P7’)、(P7’’)又は(P7’’’)に関連する方法(P8)に関する。
【0068】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法は、30℃~100℃の温度で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6’’)、(P7)、(P7’)、(P7’’)又は(P7’’’)に関連する方法(P8’)に関する。
【0069】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法は、30℃~80℃の温度で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6’’)、(P7)、(P7’)、(P7’’)又は(P7’’’)に関連する方法(P8’’)に関する。
【0070】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法は、30℃~60℃の温度で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6’’)、(P7)、(P7’)、(P7’’)又は(P7’’’)に関連する方法(P8’’’)に関する。
【0071】
ステップ(ii)の反応は、通常、不活性溶媒(又は不活性溶媒の混合物中)で行われる。このような不活性溶媒は脂肪族又は芳香族であってよい。適切な溶媒としては、炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、エステル及びアルコール、アミド及びアミンが挙げられる。
【0072】
不活性溶媒を使用せずにステップ(i)の方法を行うことも可能である。
【0073】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法が少なくとも1種の不活性溶媒中で行われる、方法(P)、(P1)、(P1’)、(P1’’)、(P1’’’)、(P2)、(P2’)、(P2’’)、(P2’’’)、(P3)、(P3’)、(P3’’)、(P3’’’)、(P3’’’’)、(P3’’’’’)、(P3’’’’’’)、(P3’’’’’’’)、(P4)、(P4’)、(P5)、(P6)、(P6’)、(P6’’)、(P7)、(P7’)、(P7’’)、(P7’’’)、(P8)、(P8’)、(P8’’)又は(P8’’’)に関連する方法(P9)に関する。
【0074】
したがって、本発明は、少なくとも1種の溶媒が脂肪族又は芳香族である、方法(P9)に関連する方法(P9’)に関する。
【0075】
したがって、本発明は、少なくとも1種の不活性溶媒が炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、エステル及びアルコール、アミド及びアミンからなる群から選択される、方法(P9)に関連する方法(P9’’)に関する。
【0076】
したがって、本発明は、ステップ(ii)の方法が溶媒を用いずに行われる、方法(P9)に関連する方法(P9’’’)に関する。
【0077】
ステップ(ii)の反応生成物は最終生成物であり、これは式(I)の化合物である。
式(I)の化合物は、ステップ(ii)で得られたものをそのまま使用することも、又は標準的な技法により必要な品質まで精製することもできる。
【0078】
式(I)の化合物は、そのまま(又は配合物中でも)使用することができ、又は有機合成の中間体として使用することもできる。
【0079】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、さらに説明するものである。示されるすべてのパーセント及び部は、重量に関するものであり、特に記載がない場合、温度は℃で示され、圧力は絶対圧である。
【0080】
[実施例]
[実施例1:]
[ステップ(i)]
KPG撹拌機、温度計、水分離器、及びアルゴン注入口付き還流冷却器を備えた50mlの四つ口フラスコに、4.8g(11.15mmol)の(all-rac)-α-トコフェロール及び4.12g(47.8mmol)のクロトン酸を、94μl(15mol%、1.696mmol)のH2SO4(96.7%)の存在下で、40mlのトルエンに溶解した。混合物を400rpmで撹拌し、383K(内部温度)で18時間加熱した。混合物を40mlのトルエンに溶解し、20mlのH2Oで3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下(10mbar、313K)で蒸発させた。粗生成物をさらにバルブ-バルブ蒸留で2回精製した。初回は393K(0.03mbar)で過剰のクロトン酸を分離するためであり、2回目は533K(0.03mbar)で生成物を分離するためである。純粋な生成物は、純度93.8%(LC面積)の無色から淡黄色の油状物として単離した。収量は(all-rac)-α-トコフェリルクロトネート5.52g、(all-rac)-α-トコフェロールを基準として93%であった。
【0081】
[ステップ(ii)]
電磁撹拌機を備えた50mlのフラスコ中で、4.2g(8.19mmol)の(all-rac)-α-トコフェリルクロトネート、320mgの触媒5% Pd/Al2O3及び22gのn-ヘプタンを一緒に混合した。反応混合物を窒素で3回パージした(6barまで加圧し、解放した)。混合物を313Kに加熱した後、水素ガスで6barまで加圧した。混合物を313Kのジャケット温度で1000rpmで2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、圧力を解放した。触媒を濾過により除去し、濾液を減圧下(10mbar、313K)で蒸発させた。粗生成物を純度98.7%(GC面積)の無色から淡黄色の油状物として単離した。収量は(all-rac)-α-トコフェリルブチレート4.13g、(all-rac)-α-トコフェロールを基準として99%であった。
【国際調査報告】