IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローメッド カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-使い捨て採血器 図1
  • 特表-使い捨て採血器 図2
  • 特表-使い捨て採血器 図3
  • 特表-使い捨て採血器 図4
  • 特表-使い捨て採血器 図5
  • 特表-使い捨て採血器 図6
  • 特表-使い捨て採血器 図7
  • 特表-使い捨て採血器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】使い捨て採血器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/151 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
A61B5/151 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541704
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 KR2022000306
(87)【国際公開番号】W WO2022149909
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002008
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0036866
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523259824
【氏名又は名称】ローメッド カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ROAHMED CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#208, 2F., MECA dong, 50, Wanam-ro, Seongsan-gu, Changwon-si, Gyeongsangnam-do, 51573 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェ,イムチョル
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA02
4C038UE02
(57)【要約】
本発明に係る使い捨て採血器は、管状のバレル本体を有するバレルと、前記バレル内に挿入されて軸線方向に移動可能であり、先端の一部領域が前記バレルの端部から露出された管状の先端スライダーと、ニードルを先端方向に突出するように支持して前記先端スライダー内に収容されるキャリア本体と、前記キャリア本体から後方に延長されて半径方向内側に弾性変形可能な複数の弾性変形部と、前記弾性変形部に軸線方向の横方向に突出して前記先端スライダーの基端に引っ掛かり、前記先端スライダーの後退移動時に共に移動する連動掛止突段を有するニードルキャリアと、前記ニードルキャリアを前進方向に弾性的に押す駆動スプリングと、前記ニードルキャリアの後方移動時に前記弾性変形部に接触作用して半径方向内側に弾性変形させ、前記連動掛止突段が前記先端スライダーの基端から内側に離脱して前記ニードルキャリアの前進方向推進を可能にするトリガー部を有することを特徴とし、直線運動によるニードルキャリアの止め及び止め解除作用を用いてニードルキャリアに結合しているバンパースプリングの打撃によって触覚神経が撹乱し、ニードルキャリアが発射された慣性力でバンパースプリングが圧縮されながら表皮を圧搾して痛覚神経を遮断し、圧縮されていたバンパースプリングの弾性回復によってニードルが速やかに抜ける作用によって使用者の疼痛と後疼痛を最小化させることができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て採血器であって、
先端開口を有する管状のバレルと、
前記バレル内で軸線方向に沿ってスライディング可能な管状の先端スライダーと、
前記バレルの先端開口に向かって突出しているニードルを有し、前記先端スライダー内で軸線方向に沿ってスライディング移動可能なキャリア本体、前記キャリア本体から後方に延長しており、後方移動時に半径方向内側に弾性変形可能な少なくとも一つの弾性変形部、及び前記弾性変形部に設けられて前記先端スライダーに対して前記キャリア本体の前方移動を阻止し、前記弾性変形部の半径方向内側への変形時に前記キャリア本体の前方移動を許容する連動掛止突段、を有するニードルキャリアと、
前記バレル内に収容され、前記ニードルキャリアを先端方向に弾性的に押す駆動スプリングと、を含むことを特徴とする使い捨て採血器。
【請求項2】
前記連動掛止突段は、前記先端スライダーに設けられた止め突段に掛かり止められて保持されることを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て採血器。
【請求項3】
前記止め突段は、前記先端スライダーの半径方向内側に突出し、
前記ニードルキャリアに設けられ、前記止め突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段をさらに有することを特徴とする、請求項2に記載の使い捨て採血器。
【請求項4】
前記バレルの内部に設けられ、前記弾性変形部の後方移動時に前記弾性変形部と接触して前記弾性変形部を半径方向内側に弾性変形させるトリガー部を有することを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て採血器。
【請求項5】
前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうちいずれか一方に設けられた掛止突起と、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうち他方に設けられ、前記掛止突起とかみ合って前記先端スライダーを待機位置に止めて保持させる待機掛止部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て採血器。
【請求項6】
前記待機掛止部から前方又は後方に離隔した位置に設けられ、前記掛止突起と掛止されて前記先端スライダーを離脱阻止位置に止めて保持させる離脱阻止部をさらに有する、請求項5に記載の使い捨て採血器。
【請求項7】
前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有することを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て採血器。
【請求項8】
前記ニードルキャリアは、前記ニードルを取り囲むように前記キャリア本体と一体に成形され、前記キャリア本体の長さ方向に沿って延長された棒状の保護延長部を有することを特徴とする、請求項1に記載の使い捨て採血器。
【請求項9】
使い捨て採血器であって、
先端開口を有する管状のバレルと、
前記バレル内に収容される管状の先端スライダーと、
前記先端スライダー内に収容され、前記バレルの先端開口に向かって突出しているニードルを有するニードルキャリアと、
前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうちいずれか一方に設けられた掛止突起、及び前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうち他方に設けられ、前記掛止突起とかみ合って前記先端スライダーを待機位置に止めて保持させる待機掛止部と、を含むことを特徴とする使い捨て採血器。
【請求項10】
前記待機掛止部から前方又は後方に離隔した位置に設けられ、前記掛止突起と掛止されて前記先端スライダーを離脱阻止位置に止めて保持させる離脱阻止部をさらに有する、請求項9に記載の使い捨て採血器。
【請求項11】
前記ニードルキャリアは、キャリア本体から後方に延長されて半径方向内側に弾性変形可能な複数の弾性変形部と、前記弾性変形部に軸線方向の横方向に突出して前記先端スライダーの基端に引っ掛かり、前記先端スライダーの後方移動時に共に移動し、前記弾性変形部の半径方向内側への変形時に前記先端スライダーの基端から内側に離脱する連動掛止突段を有することを特徴とする、請求項9に記載の使い捨て採血器。
【請求項12】
前記先端スライダーの基端に形成された止め突段と、
前記ニードルキャリアには前記止め突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段をさらに有することを特徴とする、請求項11に記載の使い捨て採血器。
【請求項13】
前記バレルの内部に設けられ、前記弾性変形部の後方移動時に前記弾性変形部と接触して前記弾性変形部を半径方向内側に弾性変形させるトリガー部を有することを特徴とする、請求項11に記載の使い捨て採血器。
【請求項14】
前記バレル内に収容され、前記ニードルキャリアを先端方向に弾性的に押す駆動スプリングをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の使い捨て採血器。
【請求項15】
前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有することを特徴とする、請求項9に記載の使い捨て採血器。
【請求項16】
前記ニードルキャリアは、前記ニードルを取り囲むようにキャリア本体と一体に成形され、前記キャリア本体の長さ方向に沿って延長された棒状の保護延長部を有することを特徴とする、請求項9に記載の使い捨て採血器。
【請求項17】
バレル本体は、開放された基端開口を有し、
前記基端開口を遮断する基端ギャップと、前記基端ギャップから前記バレルの内部に沿って延長された少なくとも一つの延長脚部を有することを特徴とする、請求項9又は13に記載の使い捨て採血器。
【請求項18】
トリガー部は、弾性変形部の基端と前記延長脚部のいずれか一方に設けられた傾斜面が、前記ニードルキャリアの後進時に前記弾性変形部を内側に変形させることを特徴とする、請求項17に記載の使い捨て採血器。
【請求項19】
使い捨て採血器であって、
先端開口を有する管状のバレルと、
前記バレル内に収容される管状の先端スライダーと、
前記先端スライダー内に収容され、前記バレルの先端開口に向かって突出しているニードルを有するニードルキャリアと、
前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されて装着されたバンパースプリングと、
前記ニードルキャリアの後方に延長形成されて前記先端スライダーに対して弾性変形可能な弾性変形部と、を有することを特徴とする使い捨て採血器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面から採血するために用いられる使い捨て採血器に関する。
【背景技術】
【0002】
血液型の検査、血糖の測定など、微量の血液を使って検査を行うために皮膚表面をニードルで刺す採血器が用いられている。一度使用された採血器は使用者間の感染を防ぐために廃棄し、使い捨てとして使用している。
【0003】
広く使用されている患者用皮膚穿刺器(特許第10-1177189号)は、管状のハウジング内にニードル付きランセット本体が収容されており、このランセット本体が駆動スプリングによって弾性的に発射されてニードルが皮膚を刺す。
【0004】
一方、さらに他の患者用皮膚穿刺器(特許第10-1201034号)は、ボディーの先端を採血部位に当ててその方向にプッシュボタンを加圧すると、移動部材が上昇しながら内部に固定されているニードルが露出されて皮膚を刺す構造を開示している。
【0005】
ところが、特許第10-1177189号は、ハウジングの先端を採血部位に位置させた後、基端に設けられているプッシュボタンを加圧してニードルを発射しなければならず、一連の連続した2つの動作を必要とする。そして、特許第10-1201034号は、使用者が皮膚穿刺器を意図的に除去するまでニードルが皮膚を刺している状態が維持されるため、疼痛が比較的長時間持続することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、一度の単純な動作だけで採血が可能な使い捨て採血器を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、最小限の部品と簡単な構造によって低コストで製造可能な使い捨て採血器を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、ニードルによる疼痛を最小化すると同時にニードルの撤回が迅速になされ得る使い捨て採血器を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、ニードルが使用前まで衛生的に維持され得る使い捨て採血器を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、再使用を効果的に防止できる使い捨て採血器を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、使用済みニードルによる事故を防止できる使い捨て採血器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、本発明に係る使い捨て採血器であって、先端開口を有する管状のバレルと、前記バレル内で軸線方向に沿ってスライディング可能な管状の先端スライダーと、前記バレルの先端開口に向かって突出しているニードルを有し、前記先端スライダー内で軸線方向に沿ってスライディング移動可能なキャリア本体、前記キャリア本体から後方に延長しており、後方移動時に半径方向内側に弾性変形可能な少なくとも一つの弾性変形部、及び前記弾性変形部に設けられて前記先端スライダーに対して前記キャリア本体の前方移動を阻止し、前記弾性変形部の半径方向内側への変形時に前記キャリア本体の前方移動を許容する連動掛止突段、を有するニードルキャリアと、前記バレル内に収容され、前記ニードルキャリアを先端方向に弾性的に押す駆動スプリングと、を含むことを特徴とする使い捨て採血器によって達成される。
【0013】
そして、前記連動掛止突段は、前記先端スライダーに設けられた止め突段に掛かり止められて保持されるなる場合に、ニードルキャリアが先端スライダー基端に引っ掛かって前進しない状態を維持できる。
【0014】
また、前記止め突段は、前記先端スライダーの半径方向内側に突出し、
【0015】
前記ニードルキャリアに設けられ、前記止め突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段をさらに有し得るので、先端スライダーの内部に流入したニードルキャリアが離脱防止突段によって後退できなくなるので、ニードルキャリアの再使用を防止することができる。
【0016】
そして、前記バレルの内部に設けられ、前記弾性変形部の後方移動時に前記弾性変形部と接触して前記弾性変形部を半径方向内側に弾性変形させるトリガー部を有する場合に、ニードルキャリア又はバレルの移動によってニードルキャリアが先端スライダーの内部に入るようにすることができる。
【0017】
そして、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうちいずれか一方に設けられた掛止突起と、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうち他方に設けられ、前記掛止突起とかみ合って前記先端スライダーを待機位置に止めて保持させる待機掛止部を含む場合に、先端スライダーがバレルの先端方向に離脱することを防止する。
【0018】
また、前記待機掛止部から前方又は後方に離隔した位置に設けられ、前記掛止突起と掛止されて前記先端スライダーを離脱阻止位置に止めて保持させる離脱阻止部をさらに有する場合に、先端スライダーがバレルの基端方向に一定範囲以上に後退することを防止する。
【0019】
そして、前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有する場合に、バンパースプリングがニードルよりも先に表皮を打撃して疼痛を軽減させ、且つ、採血後にニードルの露出を防止して使用済みニードルによる事故を予防することができる。
【0020】
そして、前記ニードルキャリアは、前記ニードルを取り囲むように前記キャリア本体と一体に成形され、前記キャリア本体の長さ方向に沿って延長された棒状の保護延長部を有する場合に、保護延長部を除去するまではニードル使用前にニードルの損傷及び汚染を防止することができる。
【0021】
一方、上記の目的は、使い捨て採血器であって、先端開口を有する管状のバレルと、前記バレル内に収容される管状の先端スライダーと、前記先端スライダー内に収容され、前記バレルの先端開口に向かって突出しているニードルを有するニードルキャリアと、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうちいずれか一方に設けられた掛止突起と、前記バレルの内壁面と前記先端スライダーの外壁面のうち他方に設けられ、前記掛止突起とかみ合って前記先端スライダーを待機位置に止めて保持させる待機掛止部と、を含むことを特徴とする使い捨て採血器によっても達成される。
【0022】
また、前記待機掛止部から前方又は後方に離隔した位置に設けられ、前記掛止突起と掛止されて前記先端スライダーを離脱阻止位置に止めて保持させる離脱阻止部をさらに有する場合に、先端スライダーがバレルの基端方向に一定範囲以上後退することを防止する。
【0023】
そして、前記ニードルキャリアは、前記キャリア本体から後方に延長されており、半径方向内側に弾性変形可能な複数の弾性変形部と、前記弾性変形部に軸線方向の横方向に突出して前記先端スライダーの基端に引っ掛かり、前記先端スライダーの後方移動時に共に移動し、前記弾性変形部の半径方向内側への変形時に前記先端スライダーの基端から内側に離脱する連動掛止突段を有する場合に、ニードルキャリアは連動掛止突段によって先端スライダーの基端に引っ掛かって共に移動する状態になるが、弾性変形部の内側変形時には先端スライダーの内部に入ることができる。
【0024】
また、前記先端スライダーは、基端に形成された止め突段と、前記ニードルキャリアが内部に流入した場合に前記連動掛止突段に引っ掛かって前記ニードルキャリアの後方移動方向への分離を阻止する離脱防止突段を有する場合に、先端スライダーに設けられた止め突段と連動掛止突段を用いてニードルキャリアの移動を制限することができる。
【0025】
そして、前記バレルの内部に設けられ、前記弾性変形部の後方移動時に前記弾性変形部と接触して前記弾性変形部を半径方向内側に弾性変形させるトリガー部を有する場合に、ニードルキャリア又はバレルの移動によってニードルキャリアが先端スライダーの内部に入るようにすることができる。
【0026】
そして、前記バレル内に収容され、前記ニードルキャリアを先端方向に弾性的に押す駆動スプリングをさらに含む場合に、スプリングの弾性力によってニードルキャリアが前方推進されるので、迅速で正確な採血が可能である。
【0027】
そして、前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されるように装着されたバンパースプリングを有する場合に、バンパースプリングがニードルよりも先に表皮を打撃して疼痛を軽減させ、且つ採血後にニードルの露出を防止して使用済みニードルによる事故を予防することができる。
【0028】
そして、前記ニードルキャリアは、前記ニードルを取り囲むように前記キャリア本体と一体に成形され、前記キャリア本体の長さ方向に沿って延長された棒状の保護延長部を有し得るので、保護延長部を除去するまでニードルの使用前にニードルの損傷及び汚染を防止することができる。
【0029】
そして、前記バレル本体は、開放された基端開口を有し、前記基端開口を遮断する基端ギャップと、前記基端ギャップから前記バレルの内部に沿って延長された少なくとも一つの延長脚部を有し得るので、先端スライダー及びニードルキャリアの組立をバレルの基端開口からも行うことができ、採血器の組立が容易である。
【0030】
そして、前記トリガー部は、前記弾性変形部の基端と前記延長脚部のいずれか一方に設けられた傾斜面が、前記ニードルキャリアの後進時に前記弾性変形部を内側に変形させる場合に、トリガー部をバレル又は基端ギャップに選択的に備え得るので、バレルの構造をより単純に改善させることができる。
【0031】
一方、上記の目的は、使い捨て採血器であって、先端開口を有する管状のバレルと、前記バレル内に収容される管状の先端スライダーと、前記先端スライダー内に収容され、前記バレルの先端開口に向かって突出しているニードルを有するニードルキャリアと、前記ニードルキャリアの前方に前記ニードルの突出長さよりも長く延長されて装着されたバンパースプリングと、前記ニードルキャリアの後方に延長形成されて前記先端スライダーに対して弾性変形可能な弾性変形部と、を有することを特徴とする使い捨て採血器によっても達成される。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る採血器は、一度の単純な動作だけで採血を行うことができる。
【0033】
また、本発明の実施例によれば、疼痛の最小化、衛生的な保持、再使用の防止などの効果が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る使い捨て採血器の斜視図である。
【0035】
図2】本発明に係る使い捨て採血器の縦断面図である。
【0036】
図3】本発明に係る使い捨て採血器の分解斜視図である。
【0037】
図4図4の(a)~(f)は、本発明に係る使い捨て採血器の使用過程を順次に示す縦断面図である。
【0038】
図5】本発明の他の実施例に係る使い捨て採血器の斜視図である。
【0039】
図6】本発明の他の実施例に係る使い捨て採血器の縦断面図である。
【0040】
図7】本発明の他の実施例に係る使い捨て採血器の分解斜視図である。
【0041】
図8図8の(a)~(f)は、本発明の他の実施例に係る使い捨て採血器の使用過程を順次に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1図3は、本発明の実施例に係る使い捨て採血器の斜視図、縦断面図及び分解斜視図である。図1図3を参照して本発明の実施例に係る使い捨て採血器の詳細な構成を説明する。
【0043】
本発明に係る使い捨て採血器10は、表皮1に小さな針穴2を速かに形成して少量の血液を収集する装置である。採血器10は、管状のバレル100と、バレル100の内部に挿入される先端スライダー200と、先端スライダー200に挿入されるニードルキャリア300で構成されている。
【0044】
バレル100は、先端部が開放された先端開口110を有し、基端部は閉鎖している管状の部材である。バレル100内には先端スライダー200の移動を制限する待機掛止部120と離脱阻止部130が位置し、バレルの基端にはトリガー部140が形成されている。
【0045】
待機掛止部120は、先端スライダー200がバレル100の内部に挿入された時に、先端開口110の方向に離脱しないように阻止する。待機掛止部120により、バレル100内に挿入された先端スライダー200は自由端部のみが露出され、残り部分はバレル100の内部から露出されない。
【0046】
離脱阻止部130は、バレル100の内部に挿入された先端スライダー200が待機掛止部120の位置からバレル100の基端に移動して離脱阻止部130の位置で押し込まれたり先端方向に離脱したりしないように先端スライダー200の移動範囲を制限する。
【0047】
トリガー部140はバレル100の内壁から突出形成された部分であり、ニードルキャリア300の後方移動を制限する。
【0048】
先端スライダー200はバレル100内に収容される管状の部材であり、先端の一部分は先端開口110から外部に露出されている。先端スライダー200は先端から基端に行くほど外径が次第に大きくなる形状を取ることが好ましい。本実施例において、先端スライダー200はバレル100の先端開口110から挿入され、装着状態では、バレル100内に設けられた待機掛止部120によってバレル100の先端方向に離脱しなく、バレル100の基端方向にのみスライディング移動が許容される。先端スライダー200には、外側に延長形成された掛止突起210、先端スライダー200の基端に形成される止め突段220又はその基端開口領域の内側に延長される止め突段(221;図6参照)、先端スライダー200の先端部の一部を切開して形成された案内取出し切開部230を有する。
【0049】
掛止突起210は先端スライダー200の外側表面から突出形成される部分であり、バレル100の待機掛止部120及び離脱阻止部130に掛かり止められ、バレル100内に挿入された先端スライダー200が離脱することを防止する。
【0050】
ここで、掛止突起は先端スライダーの外面に設けられ、待機掛止部と離脱阻止部はバレルの内面に設けられているが、その他にも、掛止突起がバレルの内面に設けられ、待機掛止部と離脱阻止部が先端スライダーの外面に設けられてもよい。また、離脱阻止部は、待機掛止部の後方に離隔した位置の他に、前方に離隔した位置に設けられてもよく、掛止突起を溝状の掛止部として具現したり、待機掛止部及び離脱阻止部を突起形状の待機掛止突起及び離脱阻止突起として具現してもよい。
【0051】
止め突段(220;221)は、先端スライダー200の基端開口領域の末端に形成されたり、それより先端スライダー200の中心軸方向に突出形成される。止め突段(220;221)は、ニードルキャリア300が先端スライダー200の基端開口領域を通過して外部領域に位置する時にはニードルキャリア300の前方運動に連動し、ニードルキャリア300の基端一部が先端スライダー200の内部領域に入らないように阻止する。また、止め突段(220;221)は、先端スライダー200の内部領域にニードルキャリア300が位置した場合に、ニードルキャリア300の後方移動に連動してニードルキャリア300が先端スライダー200の外部に離脱しないように掛け止める。
【0052】
案内取出し切開部230は、先端スライダー200の先端領域に長さ方向に沿って相互対向した切開面を有するように形成され、これによって先端領域の開口領域が備えられる。案内取出し切開部230によって先端スライダー200の先端部分は弾性的に変形し得る。したがって、先端スライダー200の先端部からも開口領域を通してニードルキャリア300を挿入して組み立てることができ、先端スライダー200が移動する過程でバレル100及びニードルキャリア300の干渉によって誤作動する問題を予防し、先端スライダー200のスライディング移動を容易にさせる。案内取出し切開部230の形成は、先端スライダー200の全体形状と止め突段(220;221)の形成に関連した成形技術的な問題を解決することにも有利に作用する。
【0053】
ニードルキャリア300は、先端スライダー200の軸線方向に沿って移動可能に先端スライダー200の基端に収容される。ニードルキャリア300には、ニードル320を収容するキャリア本体310が形成されており、キャリア本体310の基端には軸線方向の後方に延長された延長部に少なくとも一つの弾性変形部330が設けられている。ここで、弾性変形部330は軸線を基準に対称な一対又は複数個で設けられてもよい。
【0054】
弾性変形部330は、その形状によってニードルキャリア300の半径方向に弾性変形が可能である。弾性変形部330の基端には外向き突起340が設けられており、この突起の先端側の突段は、先端スライダー200の基端又は止め突段(220;221)に引っ掛かる連動掛止突段341として機能する。連動掛止突段341と止め突段(220;221)の連動作用により、先端スライダー200が後方移動する時にニードルキャリア300も共に後方に移動する。外向き突起340に形成された連動掛止突段341の反対方であるこの突起の基端側には離脱防止突段342が形成される。離脱防止突段342は、ニードルキャリア300が先端スライダー200の内部に流入している場合に、ニードルキャリア300が後退して先端スライダー200の基端に離脱しないように止め突段(220;221)に掛かり止められ、ニードルキャリア300の基端離脱を防止する。ここで、連動掛止突段と離脱防止突段は、互いに分離された弾性変形部にそれぞれ形成されてよい。
【0055】
ニードルキャリア300の先端部には保護延長部350が長く延長されている。保護延長部350は、ニードル320を取り囲む状態でキャリア本体310の成形時に一体に形成されることが好ましい。保護延長部350は、ニードル320を使用前まで衛生的に保護し、ニードル320の変形を予防する役割を担う。保護延長部350とキャリア本体310間の連結部には、その外観をカバーする操作チューブ(図示せず)が配置されてよい。操作チューブ(図示せず)は、保護延長部350の半径方向から作用する外力に抵抗するようにし、操作チューブ(図示せず)の除去前まで保護延長部350が容易に脱去しないように保護する。
【0056】
図1及び図2のような待機状態の採血器10を使用する過程は、図4の(a)~(f)を参照して説明する。
【0057】
図4の(a)は、組み立てられた採血器10の待機状態を示す断面図である。バレル100の先端部に保護延長部350が露出されており、掛止突起210の先端部は、待機掛止部120によって前方移動が阻止されているため、先端スライダー200の前方移動が不可能な状態である。このような待機掛止状態によって保護延長部350を前方に取り出して容易に除去することができる。
【0058】
図4の(b)は、保護延長部350が除去された状態の採血器10を示す図である。分離された保護延長部350を廃棄すると、保護延長部350の除去によってニードルキャリア300の前方に採血用ニードル320が先端スライダー200の内部に露出されている。この状態で採血器10の先端、すなわち先端スライダー200の先端を採血対象者の表皮1に位置させてバレル100を加圧すると、先端スライダー200がバレル100の基端方向に移動する。
【0059】
図4の(c)は、先端スライダー200がバレル100の内部で基端方向に移動した状態を示すものである。ここでは、ニードルキャリア300が先端方向に発射されるばっかりの状況にある。先端スライダー200が基端方向に移動する時には、掛止突起210がその形状によって弾性変形を起こしつつ無理無く基端に移動できる。先端スライダー200の後方移動によって掛止突起210は待機掛止部120から離脱して離脱阻止部130に移動して先端スライダー200を止め維持させる。
【0060】
一方、先端スライダー200の基端と外向き突起340間の作用によってニードルキャリア300も一緒に基端方向に移動する。ニードルキャリア300がバレル100の基端方向に移動すると、ニードルキャリア300と一体に形成された弾性変形部330が、バレル100の内壁に設けられたトリガー部140に接するようになり、弾性変形部330はトリガー部140に設けられた傾斜面141によってバレル100の内側に誘導されて弾性変形される。弾性変形部330が一定量以上弾性変形されると、両側の外向き突起340間の幅が、先端スライダー200の基端開口領域の内側幅よりも狭くなることにより、外向き突起340に形成された連動掛止突段341と止め突段(220;221)による阻止作用が解除され、ニードルキャリア300が先端スライダー200の内部に流入して先端方向に移動可能になる。
【0061】
一方、ニードルキャリア300が先端スライダー200と一緒に基端方向に移動することにより、バレル100の基端部に支持された駆動スプリング500が圧縮され、圧縮された駆動スプリング500の弾性力によってニードルキャリア300が下降して表皮1に達し得るような強い推進力が発生する。
【0062】
図4の(d)は、圧縮された駆動スプリング500によってニードルキャリア300が前方に発射されて表皮1に当たる瞬間の様子である。ニードルキャリア300は、駆動スプリング500の弾性力によって表皮1まで直線運動し、キャリア本体310の前方に介在しているバンパースプリング700が表皮1を打撃する。バンパースプリング700が表皮1を打撃した後、続くニードルキャリア300の慣性運動によってバンパースプリング700には圧縮が起き、ニードルキャリア300の後退のための復原力を蓄える。
【0063】
図4の(e)は、表皮1に採血用ニードル320が浸透して針穴2を形成する様子を示すものである。このとき、挿入される採血用ニードル320はニードルキャリア300の駆動スプリング500の弾性力によって直線運動する。ニードルキャリア300が直線運動する場合に、中心軸から横方向の揺動が最小化して発射されるので、揺れることなく所望の地点に正確に針穴2を形成することができる。
【0064】
ニードルキャリア300が加える慣性力によってバンパースプリング700が一定量以上圧縮されると、採血用ニードル320はバンパースプリング700の復元弾性力によって後方に推進されつつ表皮1から抜け出てバレル100の内部、すなわち先端スライダー200の内部に復帰する。
【0065】
この過程の後、圧縮されたバンパースプリング700の復元弾性力を受けた採血用ニードル320は表皮1から速やかに離脱して図4の(d)位置に復帰し、バレル100の外部に露出されることが防止される。このとき、バレル100の基端方向には、ニードルキャリア300の外向き突起340が、先端スライダー200の基端部に形成された止め突段(220;221)に引っ掛かって基端から抜けることがなく、先端スライダー200は、その外側に形成された掛止突起210がバレル100の離脱阻止部130に阻止される位置まで押し込まれてバレル100の先端方向には移動が遮断されるため、ニードルキャリア300は先端スライダー200の内部に保持された状態で先端スライダー200から抜けず、外部に露出されなくなる。また、弾性変形部330の弾性力によってニードルキャリア300は先端スライダー200の内壁面に支持された状態で保持されてもよい。
【0066】
図4の(f)は、使い捨て採血器10を1回使用した後、ニードルキャリア300の再使用が不可能な状態を示している。一度使用した使い捨て採血器10の先端スライダー200は止め突段(220;221)と離脱阻止部130によって止め位置で掛止維持される状態であるので、一度離脱阻止部130に挿入された先端スライダー200は先端開口110方向に移動不可な状態となる。
【0067】
また、ニードルキャリア300は、外向き突起340が先端スライダー200の基端の突段、すなわち止め突段(220;221)の内部に引っ掛かって外部に抜けないので、基端の突段に再び引っ掛からず、再装填が不可能な状態になるので、採血器10の再使用は不可能である。
【0068】
以上の構成を有する採血器10は、採血に必要な最小限の部品で構成され、保護延長部350を脱去した後に採血器10を採血地点に位置させてバレル100を押すと、先端スライダー200がバレル100の後方に後退しながらニードルキャリア300と一緒に移動する。このような移動によってニードルキャリア300がトリガー部140によって先端スライダー200から分離されてバレル100の先端開口110へと前方移動し、採血作業を行うことができる。このような採血器の作動は、後述する駆動スプリング500とバンパースプリング700によって補完できる。バレル100の内側基端には駆動スプリング500が挿入されている。駆動スプリング500は、一側がバレル100に支持され、他側はニードルキャリア300の基端に存在する駆動スプリング収容部360と結合する。このように連結された駆動スプリング500はニードルキャリア300を常時弾性加圧する。駆動スプリング500の弾性力を用いてニードルキャリア300は速かにバレル100の先端部に推進移動し得る。しかし、先端スライダー200と最初結合した位置でのニードルキャリア300は、連動掛止突段341が先端スライダー200の止め突段(220;221)に引っ掛かって前方移動が制限されているので、ニードルキャリア300は駆動スプリング500の加圧力に抵抗しながら装着位置を維持する。駆動スプリング500は板スプリング、シリコンなどの弾性材料によって構成されてよいが、圧縮コイルスプリングの形態を有することが好ましい。
【0069】
一方、ニードルキャリア300の先端には、ニードル320と保護延長部350を取り囲むバンパースプリング700が装着されている。バンパースプリング700は、ニードル320よりも先端方向にさらに長く延長されており、ニードルキャリア300が採血のためにバレル100の前方に駆動される時に、ニードル320よりも先に使用者の皮膚を打撃し加圧する。バンパースプリング700が使用者の表皮に当たると採血地点周辺の触覚神経を打撃して撹乱させ、バンパースプリング700が圧縮されながらニードル320が刺す表皮の周囲を圧搾して表皮周囲痛覚神経を遮断する。このように触覚神経撹乱と痛覚神経遮断がされる際にニードル320が表皮を刺すので、比較的に疼痛を感じすに済む。圧縮されたバンパースプリング700は復元弾性力が発生して原状態に復帰する。これによってニードル320は表皮から迅速に離脱し、離脱過程で発生する疼痛を減少させることができる。バンパースプリング700は、図示のような圧縮コイルスプリングの形態を有することが好ましいが、場合によっては板スプリング、シリコンなどの弾性材料の形態を有してもよい。
【0070】
図5図7は、本発明の他の実施例に係る採血器の構成を示すものである。本実施例で採血器11は、管状のバレル101と、前記バレル101内に挿入される先端スライダー201と、先端スライダー201内に挿入され、ニードル320を備えているニードルキャリア300を有する。
【0071】
バレル101は、先端部が開放された先端開口111と、基端部が開放された基端開口150を有し、両端が開いている管状の部材である。バレル101には先端スライダー201の移動を制限する待機掛止部121が形成されている。待機掛止部121は先端開口111に近接形成されて先端スライダー201の先端方向分離を遮断する。そして、バレル101の基端内側には、後述する基端ギャップ400が収容される基端ギャップ掛止溝160が形成される。
【0072】
基端開口150は、バレル101の基端からも部品を挿入して組み立てることができ、部品の組立をより容易にさせる。開放された基端開口150は、後述する基端ギャップ400によって仕上げられる。場合によって、バレル101は、先端開口111と基端開口150との中間点を基準にして対称に形成され、先端開口111と基端開口150の区分による組立誤りの問題を解決することもできる。
【0073】
バレル101の内部に先端スライダー201が収容される。先端スライダー201の先端の一部分は、先端開口111から外部に露出されている。先端スライダー201は、バレル101の軸線方向に沿う管状体の形状を有し、先端から基端に行くほど外径が次第に大きくなる形状を取っている。したがって、先端スライダー201は、組立時に基端開口150からも挿入されることが好ましい。
【0074】
先端スライダー201は、図1図4の実施例と同様に、その外側に掛止突起211がさらに形成されてよい。これにより、掛止突起211は、先端スライダー201の一部が外側に突出し、バレル101に形成された待機掛止部121に引っ掛かってバレル101の先端方向に先端スライダー201が離脱することを防止する。また、図1図4の実施例と同様に、バレル101の内側に離脱阻止部130がさらに形成されてよい。
【0075】
また、先端スライダー201の基端開口領域には止め突段221が形成される。止め突段221は先端スライダー201の中心軸方向に突出形成された部分である。止め突段221は、後述するニードルキャリア300の連動掛止突段341及び離脱防止突段342にそれぞれ連動する。ニードルキャリア300が先端スライダー201の基端に位置した場合に、止め突段221はニードルキャリア300の前方運動に連動して、ニードルキャリア300の基端の一部が先端スライダー201の内部領域に入らないように阻止する。ニードルキャリア300が先端スライダー201の内部領域に全部入っている時は、止め突段221がニードルキャリア300の後方運動に連動して、ニードルキャリア300が先端スライダー201の外部に離脱しないようにする。
【0076】
先端スライダー201の先端領域には、長さ方向に沿って対向するように切開された案内取出し切開部240が形成されている。案内取出し切開部240は、ニードルキャリア300が先端スライダー201の内部で駆動される時に、前後方駆動を容易にさせる。そして、案内取出し切開部240は、先端スライダー201のテーパー形状と止め突段221の形成に関連した成形技術的な問題を解決することにも有利である。
【0077】
先端スライダー201の内部にはニードルキャリア300が軸線方向に沿って移動可能に収容される。ニードルキャリア300は、先端スライダー201の内部に存在するキャリア本体310を有する。
【0078】
キャリア本体310の先端には採血用ニードル320が装着されており、キャリア本体310の基端には軸線対称に後方に延長された一対の弾性変形部330が設けられている。
【0079】
これらの弾性変形部330は、半径方向に弾性変形が可能である。弾性変形部330の基端には外向き突起340が設けられており、この突起の先端側の突段は、先端スライダー201の基端に引っ掛かる連動掛止突段341として働く。連動掛止突段341の連動作用により、先端スライダー201が後方移動する時にニードルキャリア300も先端スライダー201と一緒に後方に移動する。外向き突起340に形成された連動掛止突段341の反対方には離脱防止突段342が形成される。離脱防止突段342は、ニードルキャリア300が先端スライダー201の内部に流入している場合に、ニードルキャリア300が後退して先端スライダー201の基端に離脱しないように止め突段221に掛かり止められ、ニードルキャリア300の基端離脱を防止する。
【0080】
ニードルキャリア300の先端には保護延長部350が先端方向に長く延長されている。この保護延長部は、採血用ニードル320を取り囲む状態でキャリア本体310の成形時に一体に形成される。保護延長部350は採血用ニードル320を衛生的に保護する一方、不所望の誤作動発生時の危険を予防する役割を担う。保護延長部350は、保護延長部350の外観をカバーする操作チューブ(図示せず)によって外部から保護されてもよい。
【0081】
基端ギャップ400はバレル101の基端開口150をカバーし、バレル101の内部に挿入されている先端スライダー201とニードルキャリア300が基端開口150から離脱することを防止する。基端ギャップ400は、バレル101の内部に延長された延長脚部410を有する。延長脚部410の側部には固定突起411が設けられており、この固定突起411は、バレル101の壁面に形成された基端ギャップ掛止溝160に掛かり止められて基端ギャップ400が離脱することを防止する。固定突起411と基端ギャップ掛止溝160がかみ合うと、基端ギャップ400とバレル101とが強く結合し、内部に存在する先端スライダー201及びニードルキャリア300の後方離脱を防止することが可能になる。
【0082】
基端ギャップ400の中心部には、後述する駆動スプリング500を収容する駆動スプリング固定部420が形成されている。駆動スプリング固定部420には、後述する駆動スプリング500の一端が結合しており、駆動スプリング500の他端は、ニードルキャリア300の基端に存在する駆動スプリング収容部360と結合している。
【0083】
一方、延長脚部410の末端領域は、先端から次第に内側に向かって傾斜するように変化する傾斜面、すなわちトリガー部450が設けられてもよい。このとき、形成されるトリガー部450は、表面に沿って傾斜するように形成された傾斜面451を有する。トリガー部450の傾斜面451は、ニードルキャリア300が基端方向に移動する時に弾性変形部330の基端と接触し、弾性変形部330が半径方向内側に弾性変形するように誘導する。これによって弾性変形部330が内側に弾性変形されると、連動掛止突段341は止め突段221よりも狭い幅を形成し、内部に流入可能になる。すると、連動掛止突段341と止め突段221間の連動状態が解除され、駆動スプリング500の弾性力によってニードルキャリア300が先端方向に発射される。一方、トリガー部450は、先の図1図4の実施例と同様に、バレル101の内部に形成されてもよい。トリガー部450がバレル101の内部に形成される場合には、バレルの重さ増加と共にその形状が比較的複雑になるが、基端ギャップ400の形状が単純化し得る。一方、基端ギャップ400にトリガー部450が形成される場合に、バレル101の内部形状を簡潔にしてバレル101の構造を改善し、生産性を高めることに役立ち得る。
【0084】
ニードルキャリア300と基端ギャップ400との間には駆動スプリング500が介在しており、駆動スプリング500はニードルキャリア300を常時弾性加圧する。このとき、ニードルキャリア300の連動掛止突段341は先端スライダー201の止め突段221に引っ掛かって前方移動が制限されているので、ニードルキャリア300は駆動スプリング500の加圧力に抵抗しつつ装着位置を維持する。
【0085】
ニードルキャリア300の先端には、ニードル320と保護延長部350を取り囲むバンパースプリング700が装着されている。バンパースプリング700はニードル320よりも先端方向にさらに長く延長されており、ニードルキャリア300が採血のためにバレル101の前方に駆動される時に、ニードル320よりも先に使用者の皮膚を打撃し加圧する。バンパースプリング700が使用者の表皮に当たると採血地点周辺の触覚神経を打撃して撹乱させ、バンパースプリング700が圧縮されながらニードル320が刺す表皮の周囲を圧搾して表皮周囲痛覚神経を遮断する。このように触覚神経撹乱と痛覚神経遮断がされる際にニードル320が表皮を刺すことにより、比較的疼痛を感じずに済む。圧縮されたバンパースプリング700は復元弾性力が発生して原状態に復帰する。これにより、ニードル320は表皮から迅速に離脱し、離脱過程で発生する疼痛を減少させることができる。バンパースプリング700は、図示のような圧縮コイルスプリングの形態を有することが好ましいが、場合によっては板スプリング、シリコンなどの弾性材料の形態を有してもよい。
【0086】
図8の(a)~(f)は、本発明に係る使い捨て採血器11の使用過程を順次に示す縦断面図である。
【0087】
図8の(a)によれば、本発明に係る使い捨て採血器11のバレル101の内部には先端スライダー201とニードルキャリア300が挿入されており、先端スライダー201の先端開口領域から保護延長部350が使い捨て採血器11の外部に露出されている。これにより、使用者は保護延長部350をニードルキャリア300から容易に分離させることができる
【0088】
図8の(b)を参照すると、このように分離された保護延長部350を除去すると、ニードルキャリア300の前方にニードル320の一端が先端スライダー201の内部に露出されて採血するための状態となる。発射以前状態でニードルキャリア300は、連動掛止突段341と止め突段221の作用によって先端スライダー201の後方移動によって動くように連動されている。
【0089】
図8の(c)状態は、ニードルキャリア300が装填されて採血対象に発射される直前の様子であり、使い捨て採血器11を採血対象の表皮に位置させた後にバレル101を加圧すると、先端スライダー201がバレル101の内部に沿って基端方向に移動し、止め突段221と連動掛止突段341間の作用によってニードルキャリア300も一緒に基端方向に移動する。このとき、上昇するニードルキャリア300によって、ニードルキャリア300と一体である弾性変形部330は先端スライダー201の上昇と共に上昇しつつトリガー部450の傾斜面451の内側に誘導されて弾性変形され、弾性変形部330が一定量以上弾性変形すると、連動掛止突段341の末端幅が止め突段221の内径よりも狭くなり、ニードルキャリア300が先端スライダー201の内部に挿入可能になる。ニードルキャリア300の上昇によって駆動スプリング500が圧縮され、圧縮された駆動スプリング500の弾性力によってニードルキャリア300が下降して表皮1に達し得るような強い推進力が発生する。
【0090】
図8の(d)は、圧縮された駆動スプリング500によってニードルキャリア300が前方に発射されている過程の様子であり、ニードルキャリア300の弾性変形部330が先端スライダー201の内部に入る瞬間に下方に発射されると、ニードルキャリア300が表皮に当たるまで直線運動するが、キャリア本体310の前方に挿入されているバンパースプリング700が先に表皮1を打撃する。バンパースプリング700が表皮1を打撃した後、続くニードルキャリア300の慣性運動によってバンパースプリング700には圧縮が起きる。
【0091】
図8の(e)は、ニードルキャリア300がバンパースプリング700を圧縮しながらニードル320が表皮1に挿入されて針穴2を形成し、採血可能にする様子である。このとき、挿入されるニードル320はニードルキャリア300の直線運動によって駆動されて挿入されるので、揺れることなく所望の地点に正確に針穴2を形成でき、ニードルキャリア300の中心軸から横方向の揺動が最小化する。ニードルキャリア300が加える慣性力によってバンパースプリング700が一定量以上圧縮されると、ニードルキャリア300のニードル320はバンパースプリング700の復元弾性力によって後方へと離脱し、表皮1から抜け出て先端スライダー201の内部に復帰する。
【0092】
この過程の後、圧縮されたバンパースプリング700の復元弾性力を受けたニードルキャリア300のニードル320は表皮1から速やかに離脱して図7の(d)位置に復帰し、ニードルキャリア300が先端スライダー201の内部から抜け出ず、外部に露出されなくなる。
【0093】
図8の(f)は、本発明に係る使い捨て採血器11の止め突段221と離脱防止突段342の作用を詳細に示しており、使い捨て採血器11を一度使用すると、ニードルキャリア300の再使用が不可能な様子を示している。
【0094】
一度使用した使い捨て採血器11の先端スライダー201はバレル101の内部に入ってしまい、無理にバレル101の先端開口110側の前方に離脱させようとしてもバレル101の待機掛止部121に引っ掛かって離脱が不可能であり、ニードルキャリア300の弾性変形部330と連動掛止突段341、離脱防止突段342が先端スライダー201の内部に発射された後に、ニードルキャリア300は先端スライダー201の動きにも連動されないため、先端スライダー201がニードルキャリア300を上方に移動させて駆動スプリング500を加圧できず、ニードルキャリア300を強制に移動させても、止め突段221と離脱防止突段342との掛止作用によってニードルキャリア300が先端スライダー201の内部から離脱しなくなる。したがって、ニードル320が先端スライダー201の外部に露出されず、再使用できなくなる。
【0095】
以上の内容による使い捨て採血器11は、先端スライダー201とニードルキャリア300との連動によって駆動スプリング500を圧縮し、ニードルキャリア300が直線方向に発射されながら側方揺動を最小化し、採血対象者の疼痛を最小化させることができる。
【0096】
また、採血地点周辺を打撃するバンパースプリング700によって打撃地点の触覚神経を撹乱し、ニードル320が刺す周囲痛覚神経を遮断して使用者の疼痛をさらに軽減させることができ、圧縮されたバンパースプリング700の復元弾性力によってニードル320が表皮1から速やかに抜けるようにし、疼痛をさらに軽減させることができる。
【0097】
そして、保護延長部350によってニードルが使用前まで衛生的に保持され得る。
【0098】
そして、ニードルキャリア300が使用された後に先端スライダー201の内部に流入したとき、離脱防止突段342と止め突段221との作用によって使い捨て採血器11の再使用を効果的に防止でき、ニードル320よりも長く延長されたバンパースプリング700によって、使用されたニードル320が外部に露出されることが防止され、使用済みニードルによる負傷や感染を予防することができる。
【符号の説明】
【0099】
1:表皮 2:針穴
10,11:採血器 100,101:バレル
110,111:先端開口 120,121:待機掛止部
130:離脱阻止部 140:トリガー部
141:傾斜面 150:基端開口
160:基端ギャップ掛止溝 200,201:先端スライダー
210,211:掛止突起 220,221:止め突段
230,240:案内取出し切開部 300:ニードルキャリア
310:キャリア本体 320:ニードル
330:弾性変形部 340:外向き突起
341:連動掛止突段 342:離脱防止突段
350:保護延長部 360:駆動スプリング収容部
400:基端ギャップ 410:延長脚部
411:固定突起 420:駆動スプリング固定部
450:トリガー部 451:傾斜面
500:駆動スプリング 700:バンパースプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】