(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】セルロースブランク構造体から成形型システムにおいてセルロース製品を成形するための方法、成形型システム、およびセルロースブランク構造体
(51)【国際特許分類】
B31B 50/59 20170101AFI20240126BHJP
B29C 33/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B31B50/59
B29C33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542825
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2022050164
(87)【国際公開番号】W WO2022152609
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518330431
【氏名又は名称】パルパック アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】PulPac AB
【住所又は居所原語表記】Amalia Jonssons gata 16,421 31 Vastra Frolunda, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オーヴェ ラルソン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード グイドッティ
(72)【発明者】
【氏名】オレ ヘーグブロム
【テーマコード(参考)】
3E075
4F202
【Fターム(参考)】
3E075AA02
3E075BA32
3E075DA03
3E075DA14
3E075DB07
3E075DB16
3E075FA03
3E075FA04
3E075FA05
4F202AA01
4F202AC03
4F202CA09
4F202CA27
4F202CB01
4F202CC02
4F202CL02
4F202CL42
(57)【要約】
空気成形されたセルロースブランク構造体(2)から成形型システムにおいてセルロース製品を成形するための方法であって、この場合、成形型システムは、1つ以上の成形型(3)を有している。各成形型は、セルロース製品の成形中に互いに協働するように構成された第1の型部分(3a)と第2の型部分(3b)とを有している。当該方法は、以下のステップ、すなわち、セルロースブランク構造体を提供し、セルロースブランク構造体に、1つ以上の製品区分(2a)と、1つ以上の製品区分を取り囲むまたは1つ以上の製品区分に接続されて配置されている残余区分(2b)とを規定するステップ;残余区分の少なくとも一部を、1つ以上の製品区分の圧縮度よりも高い第1の圧縮度まで圧縮するステップ;セルロースブランク構造体を供給方向で成形型システム内の成形位置に供給するステップであって、成形位置では各製品区分が、対応する第1の型部分と第2の型部分との間に配置されているステップ;セルロースブランク構造体を100~300℃の範囲の成形温度に加熱することにより、かつセルロースブランク構造体を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることにより、第1の型部分と第2の型部分との間でセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するステップ;を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気成形されたセルロースブランク構造体(2)から成形型システム(S)においてセルロース製品(1)を成形するための方法であって、前記成形型システム(S)は1つ以上の成形型(3)を有しており、各成形型(3)は、前記セルロース製品(1)の成形中に互いに協働するように構成された第1の型部分(3a)と第2の型部分(3b)とを有しており、当該方法は、以下のステップ、すなわち、
前記セルロースブランク構造体(2)を提供し、前記セルロースブランク構造体(2)に、1つ以上の製品区分(2a)と、前記1つ以上の製品区分(2a)を取り囲むまたは前記1つ以上の製品区分(2a)に接続されて配置されている残余区分(2b)とを規定するステップ;
前記残余区分(2b)の少なくとも一部を、前記1つ以上の製品区分(2a)の圧縮度(D
C)よりも高い第1の圧縮度(D
C1)まで圧縮するステップ;
前記セルロースブランク構造体(2)を供給方向(D
F)で前記成形型システム(S)内の成形位置(F
POS)に供給するステップであって、前記成形位置(F
POS)では各製品区分(2a)が、対応する第1の型部分(3a)と第2の型部分(3b)との間に配置されているステップ;
前記セルロースブランク構造体(2)を100~300℃の範囲の成形温度(T
F)に加熱することにより、かつ前記セルロースブランク構造体(2)を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧(P
F)でプレスすることにより、前記第1の型部分(3a)と前記第2の型部分(3b)との間で前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するステップ;
を有する方法。
【請求項2】
前記セルロースブランク構造体(2)は、前記1つ以上の製品区分(2a)と前記残余区分(2b)との間に配置された1つ以上の移行区分(2c)をさらに有しており、前記1つ以上の移行区分(2c)では、圧縮度は、前記第1の圧縮度(D
C1)と、前記1つ以上の製品区分(2a)の前記圧縮度(D
C)との間で変化する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
当該方法は、前記セルロースブランク構造体(2)を前記成形位置(F
POS)に供給する前に、前記1つ以上の製品区分(2a)の少なくとも一部を、第2の圧縮度(D
C2)まで圧縮するステップであって、前記第1の圧縮度(D
C1)は、前記第2の圧縮度(D
C2)よりも高いステップをさらに有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
当該方法は、前記セルロース製品(1)を成形する前に、前記成形位置(F
POS)で、前記残余区分(2b)と、前記1つ以上の製品区分(2a)とを、前記成形型システム(S)のプレス方向(D
P)で互いに相対的に少なくとも部分的に変位させるステップをさらに有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、少なくとも部分的に各製品区分(2a)の周りで前記残余区分(2b)および/または前記移行区分(2c)に切断パターン(4)を配置するステップであって、各切断パターン(4)は、各製品区分(2a)を前記残余区分(2b)および/または前記移行区分(2c)に部分的に接続し続けるための少なくとも1つのブリッジ構造(4a)を、前記残余区分(2b)および/または前記移行区分(2c)に形成しているステップをさらに有する、請求項2から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
各切断パターン(4)は、対応する製品区分(2a)に接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部(5)を有しており、前記非連続的な第1の切断部(5)は、1つ以上の第1の切断線(5a)を有していて、前記第1の切断線は、前記1つ以上の第1の切断線(5a)の間に1つ以上の第1の中間区分(5b)を有しており、前記1つ以上の第1の中間区分(5b)は、前記少なくとも1つのブリッジ構造(4a)を形成している、請求項5記載の方法。
【請求項7】
各切断パターン(4)は、対応する製品区分(2a)に接続されてその周囲に配置された第1の切断部(5)を有していて、前記第1の切断部(5)は、前記少なくとも1つのブリッジ構造(4a)を形成する第1の中間区分(5b)を備えた第1の切断線(5a)を有している、請求項5記載の方法。
【請求項8】
各切断パターン(4)は、対応する製品区分(2a)に接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部(5)と、前記製品区分(2a)に対して相対的に、前記非連続的な第1の切断部(5)の外側でその周囲に配置された非連続的な第2の切断部(6)とを有している、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記非連続的な第1の切断部(5)は、1つ以上の第1の切断線(5a)を有していて、前記第1の切断線は、前記1つ以上の第1の切断線(5a)の間に1つ以上の第1の中間区分(5b)を有しており、前記非連続的な第2の切断部(6)は、1つ以上の第2の切断線(6a)を有していて、前記第2の切断線は、前記1つ以上の第2の切断線(6a)の間に1つ以上の第2の中間区分(6b)を有しており、前記1つ以上の第1の中間区分(5b)と前記1つ以上の第2の中間区分(6b)とは、前記少なくとも1つのブリッジ構造(4a)を形成している、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記非連続的な第1の切断部(5)と前記非連続的な第2の切断部(6)とは、互いに相対的にオーバーラップした関係で配置されており、この場合、前記1つ以上の第1の切断線(5a)は、前記1つ以上の第2の中間区分(6b)にオーバーラップしており、前記1つ以上の第2の切断線(6a)は、前記1つ以上の第1の中間区分(5b)にオーバーラップしている、請求項9記載の方法。
【請求項11】
各切断パターン(4)は、前記製品区分(2a)に対して相対的に、前記非連続的な第2の切断部(6)の外側でその周囲に配置された少なくとも1つの非連続的な付加的な切断部(7)をさらに有しており、前記少なくとも1つの非連続的な付加的な切断部(7)のそれぞれは、1つ以上の付加的な切断線(7a)を有していて、前記付加的な切断線は、前記1つ以上の付加的な切断線(7a)の間に1つ以上の付加的な中間区分(7b)を有している、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
各切断部(5,6,7)は、前記セルロースブランク構造体(2)を貫通して延在している、請求項6から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記中間区分(5b,6b,7b)の少なくとも1つが、前記セルロースブランク構造体(2)を部分的に貫通して延在する切断部を有している、請求項6から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、切断ユニット(9)によって、各製品区分(2a)の周囲の前記残余区分(2b)および/または前記移行区分(2c)に、前記1つ以上の切断パターン(4)を配置するステップをさらに有する、請求項5から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記切断ユニット(9)は、ロータリーダイカッタ(10)として配置されており、当該方法は、
前記ロータリーダイカッタ(10)によって、単一の動作ステップで、前記1つ以上の切断パターン(4)を形成し、かつ前記残余区分(2b)の少なくとも一部を圧縮するステップ;または前記ロータリーダイカッタ(10)によって、単一の動作ステップで、前記1つ以上の切断パターン(4)を形成し、かつ前記残余区分(2b)の少なくとも一部を圧縮し、かつ前記1つ以上の製品区分(2a)の少なくとも一部を圧縮するステップをさらに有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
当該方法は、前記セルロース製品(1)の成形中、前記成形型システム(S)において前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を切り取るステップをさらに有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の製品区分(2a)は、前記成形型システム(S)における前記1つ以上の成形型(3)の配置に対応するパターンで、前記セルロースブランク構造体(2)に配置される、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
空気成形されたセルロースブランク構造体(2)からセルロース製品(1)を成形するための成形型システム(S)であって、前記セルロースブランク構造体は、規定された1つ以上の製品区分(2a)と、前記1つ以上の製品区分(2a)を取り囲む、または前記1つ以上の製品区分(2a)に接続されて配置された規定された残余区分(2b)とを有しており、前記成形型システム(S)は1つ以上の成形型(3)を有しており、各成形型(3)は、前記セルロース製品(1)の成形中に互いに協働するように構成された第1の型部分(3a)と第2の型部分(3b)とを有しており、
前記成形型システム(S)は、前記残余区分(2b)の少なくとも一部を、前記1つ以上の製品区分(2a)の圧縮度(D
C)よりも高い第1の圧縮度(D
C1)まで圧縮するように構成されたコンパクトユニット(11);および前記セルロースブランク構造体(2)を供給方向(D
F)で前記成形型システム(S)内の成形位置(F
POS)に供給するように構成された供給ユニット(8)であって、前記成形位置(F
POS)では各製品区分(2a)が、対応する第1の型部分(3a)と第2の型部分(3b)との間に配置されている供給ユニット(8)をさらに有し、
前記1つ以上の成形型(3)は、前記セルロースブランク構造体(2)を100~300℃の範囲の成形温度(T
F)に加熱することにより、かつ前記セルロースブランク構造体(2)を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧(P
F)でプレスすることにより、前記第1の型部分(3a)と前記第2の型部分(3b)との間で前記セルロースブランク構造体(2)から前記セルロース製品(1)を成形するように構成されている、
成形型システム(S)。
【請求項19】
成形型システム(S)でセルロース製品(1)を成形するためのセルロースブランク構造体(2)であって、前記セルロースブランク構造体(2)は空気成形されており、規定された1つ以上の製品区分(2a)と、前記1つ以上の製品区分(2a)を取り囲む、または前記1つ以上の製品区分(2a)に接続されて配置された規定された残余区分(2b)とを有しており、前記残余区分(2b)の少なくとも一部は、前記1つ以上の製品区分(2a)の圧縮度(D
C)よりも高い第1の圧縮度(D
C1)を有しており、前記セルロースブランク構造体(2)は、
前記1つ以上の製品区分(2a)と前記残余区分(2b)との間に配置された1つ以上の移行区分(2c)であって、前記移行区分(2c)では、圧縮度は、前記第1の圧縮度(D
C1)と、前記1つ以上の製品区分(2a)の前記圧縮度(D
C)との間で変化する1つ以上の移行区分(2c)と、
少なくとも部分的に各製品区分(2a)の周りにある前記残余区分(2b)および/または前記移行区分(2c)における切断パターン(4)であって、各切断パターン(4)は、前記残余区分(2b)および/または前記移行区分(2c)に少なくとも1つのブリッジ構造(4a)を形成している切断パターン(4)と
をさらに有する、セルロースブランク構造体(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気成形されたセルロースブランク構造体から成形型システムにおいてセルロース製品を成形するための方法に関する。この成形型システムは、1つ以上の成形型を有しており、各成形型は、セルロース製品の成形中に互いに協働するように構成された第1の型部分と第2の型部分とを有している。本開示はさらに、成形型システムおよびセルロースブランク構造体に関する。
【0002】
背景技術
セルロース繊維は、製品を製造するための、または製品を製作するための原料として使用されることが多い。セルロース繊維から成形される製品は、持続可能な製品を有する必要性がある多くの様々な状況で使用することができる。幅広い範囲の製品をセルロース繊維から製造することができ、いくつかの例は、使い捨て可能な皿およびカップ、カトラリー、蓋、ボトルキャップ、コーヒーポッド、および包装材料である。
【0003】
成形型は、セルロース繊維を含む原料からセルロース製品を製作する際に一般的に使用されており、従来、セルロース製品は、湿式成形技術によって製造されてきた。セルロース繊維製品の湿式成形に一般的に使用される材料は、湿式成形パルプである。湿式成形パルプはバイオマテリアルから製造されており、使用後にはリサイクル可能であるので、湿式成形パルプには、持続可能な包装材料として見なされるという利点がある。その結果、湿式成形パルプは、様々な用途に対して人気が急速に高まっている。湿式成形パルプ物品は、一般に、吸引成形型を、セルロース繊維を含む液体または半液体のパルプ懸濁液またはスラリーに浸漬することによって成形され、吸引が適用されると、パルプの塊は、成形型への繊維堆積によって所望の製品の形状で形成される。湿式成形技術にはいずれも、湿った成形製品を乾燥させる必要があり、このような乾燥は生産において時間とエネルギとを極めて消費する部分である。セルロース製品の審美性、化学的および機械的特性への要求は高まっており、そして湿式成形されるセルロース製品の特性により、機械的強度、柔軟性、材料厚さの自由度、および化学的特性には制限がある。また、湿式成形プロセスでは、製品の機械的特性を高精度で制御することも困難である。
【0004】
セルロース製品の製造分野における1つの開発は、湿式成形技術を使用することのないセルロース繊維の成形である。液体または半液体のパルプ懸濁液またはスラリーからセルロース製品を成形する代わりに、空気成形されたセルロースブランク構造体が使用される。空気成形されたセルロースブランク構造体が成形型内に挿入され、セルロース製品の成形中に、セルロースブランクには、高い成形圧および高い成形温度がかけられる。セルロースブランク構造体を成形型に挿入する際に、セルロースブランク構造体が望ましくない形式で破壊され、セルロース製品の不適切な成形をまねく危険性がある。これは、特に深絞り製品のための、従来のセルロース高圧成形法に伴う一般的な問題であり、低品質の製品をもたらす。標準的なセルロースブランク構造体を使用する従来の成形方法、特に深絞り製品を成形する場合の他の問題は、セルロースブランク構造体の亀裂、繊維分離、材料破壊、または他の望ましくない構造弱化が、セルロースブランク構造体を成形型に挿入する間および成形型での成形プロセス中に生じるということである。
【0005】
したがって、空気成形されたセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するための改善された方法、成形型システム、およびセルロースブランク構造体が必要とされている。
【0006】
概要
本開示の課題は、上述した問題点を回避するようなセルロースブランク構造体から成形型システムにおいてセルロース製品を成形するための方法、成形型システム、およびセルロースブランク構造体を提供することである。この課題は、独立請求項の特徴により少なくとも部分的に解決される。従属請求項は、セルロースブランク構造体から成形型システムにおいてセルロース製品を成形するための方法のさらなる改良を含んでいる。
【0007】
本開示は、空気成形されたセルロースブランク構造体から成形型システムにおいてセルロース製品を成形するための方法に関する。この成形型システムは、1つ以上の成形型を有しており、各成形型は、セルロース製品の成形中に互いに協働するように構成された第1の型部分と第2の型部分とを有している。当該方法は、以下のステップ、すなわち、セルロースブランク構造体を提供し、セルロースブランク構造体に、1つ以上の製品区分と、1つ以上の製品区分を取り囲むまたは1つ以上の製品区分に接続されて配置されている残余区分とを規定するステップ;残余区分の少なくとも一部を、1つ以上の製品区分の圧縮度よりも高い第1の圧縮度まで圧縮するステップ;セルロースブランク構造体を供給方向で成形型システム内の成形位置に供給するステップであって、成形位置では各製品区分が、対応する第1の型部分と第2の型部分との間に配置されているステップ;セルロースブランク構造体を100~300℃の範囲の成形温度に加熱することにより、かつセルロースブランク構造体を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることにより、第1の型部分と第2の型部分との間でセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するステップ;を有している。
【0008】
これらの特徴を含む利点は、セルロースブランク構造体を搬送し、成形型内に挿入する際に、セルロースブランク構造体が望ましくない形式で破壊される危険が阻止されることである。この解決手段は、特に深絞り製品のための、改善された製品品質を備えたセルロース製品の良好な成形をもたらす。セルロースブランク構造体を成形型に挿入する際の、かつ成形型における成形プロセス中の、セルロースブランク構造体の亀裂、繊維分離、材料破壊、または他の望ましくない構造弱化は、本方法によって、製品区分と残余区分との成形により最小限にされる。1つ以上の製品区分の圧縮度よりも高い第1の圧縮度まで圧縮された残余区分によって、セルロースブランク構造体の搬送は、容易になり、残余区分は、相対的に高い圧縮度により、構造体を破壊することなく相対的に高い供給速度でセルロースブランク構造体の搬送を可能にする。圧縮度が相対的に低い製品区分により、成形型内への柔軟な繊維搬送が可能である。相対的に高い供給速度は、製品成形サイクル時間を減じている。
【0009】
本開示の1つの態様によれば、セルロースブランク構造体は、1つ以上の製品区分と残余区分との間に配置された1つ以上の移行区分をさらに有している。1つ以上の移行区分では、圧縮度は、第1の圧縮度と、1つ以上の製品区分の圧縮度との間で変化する。移行区分は、成形型内への繊維の搬送を支持する構造体を形成している。移行区分はさらに、製品区分と残余区分との間のセルロースブランク構造体における繊維の破壊を阻止している。
【0010】
本開示の別の態様によれば、当該方法は、セルロースブランク構造体を成形位置に供給する前に、1つ以上の製品区分の少なくとも一部を、第2の圧縮度まで圧縮するステップであって、この場合、第1の圧縮度は、第2の圧縮度よりも高いステップをさらに有する。第2の圧縮度は、成形される製品の様々な種類のために様々であってよく、より深く絞られる製品のためには、相対的に低い圧縮度が必要な場合が多い。
【0011】
本開示の1つの態様によれば、当該方法は、セルロース製品を成形する前に、成形位置で、残余区分と、1つ以上の製品区分とを、成形型システムのプレス方向で互いに相対的に少なくとも部分的に変位させるステップをさらに有する。この変位により、特に深絞り製品のための、セルロース製品の成形が容易になり、この場合、セルロースブランク構造体内の繊維は、互いに対して移動することが可能とされる。
【0012】
本開示の別の態様によれば、当該方法は、少なくとも部分的に各製品区分の周囲の残余区分および/または移行区分に、切断パターンを配置するステップをさらに有する。各切断パターンは、各製品区分を残余区分および/または移行区分に部分的に接続し続けるための少なくとも1つのブリッジ構造を、残余区分および/または移行区分に形成している。切断パターンは、セルロース製品の成形を支持しており、この場合、製品区分は、セルロースブランク構造体の残余部に対して相対的に動くことができる。ブリッジ構造は、製品の成形動作中に、成形型に対して製品区分の位置を効果的に維持している。
【0013】
本開示のさらなる態様によれば、各切断パターンは、対応する製品区分に接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部を有している。非連続的な第1の切断部は、1つ以上の第1の切断線を有していて、この第1の切断線は、1つ以上の第1の切断線の間に1つ以上の第1の中間区分を有している。1つ以上の第1の中間区分は、少なくとも1つのブリッジ構造を形成している。このような構成を有した切断パターンは、設計が簡単である。
【0014】
本開示の1つの態様によれば、各切断パターンは、対応する製品区分に接続されてその周囲に配置された第1の切断部を有している。第1の切断部は、少なくとも1つのブリッジ構造を形成している第1の中間区分を備えた第1の切断線を有している。
【0015】
本開示の別の態様によれば、各切断パターンは、対応する製品区分に接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部と、製品区分に対して相対的に、非連続的な第1の切断部の外側でその周囲に配置された非連続的な第2の切断部とを有している。第1の切断部と第2の切断部とは、少なくとも1つのブリッジ構造を形成するために効果的に協働している。
【0016】
本開示のさらなる態様によれば、非連続的な第1の切断部は、1つ以上の第1の切断線を有していて、この第1の切断線は、1つ以上の第1の切断線の間に1つ以上の第1の中間区分を有している。非連続的な第2の切断部は、1つ以上の第2の切断線を有していて、この第2の切断線は、1つ以上の第2の切断線の間に1つ以上の第2の中間区分を有している。1つ以上の第1の中間区分と1つ以上の第2の中間区分とは、少なくとも1つのブリッジ構造を形成している。このようなタイプの切断パターンは、製品の成形動作中にセルロースブランク構造体の残余部に対して製品区分の変位を効果的に可能にし、深絞り製品のために適している。
【0017】
本開示の1つの態様によれば、非連続的な第1の切断部と非連続的な第2の切断部とは、互いに相対的にオーバーラップした関係で配置されている。1つ以上の第1の切断線は、1つ以上の第2の中間区分にオーバーラップしており、1つ以上の第2の切断線は、1つ以上の第1の中間区分にオーバーラップしている。
【0018】
本開示の別の態様によれば、各切断パターンは、製品区分に対して相対的に、非連続的な第2の切断部の外側でその周囲に配置された少なくとも1つの非連続的な付加的な切断部をさらに有している。少なくとも1つの非連続的な付加的な切断部のそれぞれは、1つ以上の付加的な切断線を有していて、付加的な切断線は、1つ以上の付加的な切断線の間に1つ以上の付加的な中間区分を有している。このようなタイプの切断パターンは、製品の成形動作中にセルロースブランク構造体の残余部に対して製品区分の変位を効果的に可能にし、深絞り製品のために適している。
【0019】
本開示のさらなる態様によれば、各切断部は、セルロースブランク構造体を貫通して延在している。このようにして、各切断部は、製品区分の効果的な変位のためにセルロースブランク構造体に開口を形成している。
【0020】
本開示の1つの態様によれば、中間区分の少なくとも1つが、セルロースブランク構造体を部分的に貫通して延在する切断部を有している。部分的に延在する切断部は、セルロースブランク構造体の搬送中に、成形型に対して相対的に、製品区分の位置決めを支持することができる。
【0021】
本開示の別の態様によれば、当該方法は、切断ユニットによって、各製品区分の周囲の残余区分および/または移行区分に、1つ以上の切断パターンを配置するステップをさらに有する。切断ユニットは、切断パターンを形成するために使用され、ロータリーダイカッタまたはプレス切断装置のような異なる構造を有していてもよい。
【0022】
本開示のさらなる態様によれば、切断ユニットは、ロータリーダイカッタとして配置されている。当該方法は、ロータリーダイカッタによって、単一の動作ステップで、1つ以上の切断パターンを形成し、かつ残余区分の少なくとも一部を圧縮するステップ;またはロータリーダイカッタによって、単一の動作ステップで、1つ以上の切断パターンを形成し、かつ残余区分の少なくとも一部を圧縮し、かつ1つ以上の製品区分の少なくとも一部を圧縮するステップをさらに有する。
【0023】
本開示の態様によれば、当該方法は、セルロース製品の成形中、成形型システムにおいてセルロースブランク構造体からセルロース製品を切り取るステップをさらに有する。この方法によって、セルロースブランク構造体が成形位置に配置されているときに、成形型に直接に接続しているセルロースブランク構造体からセルロース製品を切り取ることができる。
【0024】
本開示の別の態様によれば、製品区分は、成形型システムにおける1つ以上の成形型の配置に対応するパターンで、セルロースブランク構造体に配置される。
【0025】
セルロースブランク構造体は、1つ以上の供給ベルトによって供給方向で搬送されてよい。供給ベルトは、セルロースブランク構造体の効率的かつ単純な搬送手段を提供している。
【0026】
本開示はさらに、空気成形されたセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するための成形型システムに関する。セルロースブランク構造体は、規定された1つ以上の製品区分と、1つ以上の製品区分を取り囲む、または1つ以上の製品区分に接続されて配置されている規定された残余区分とを有している。この成形型システムは、1つ以上の成形型を有しており、各成形型は、セルロース製品の成形中に互いに協働するように構成された第1の型部分と第2の型部分とを有している。成形型システムは、残余区分の少なくとも一部を、1つ以上の製品区分の圧縮度よりも高い第1の圧縮度まで圧縮するように構成されたコンパクトユニット;およびセルロースブランク構造体を供給方向で成形型システム内の成形位置に供給するように構成された供給ユニットをさらに有している。成形位置では、各製品区分は、対応する第1の型部分と第2の型部分との間に配置されている。1つ以上の成形型は、セルロースブランク構造体を100~300℃の範囲の成形温度に加熱することにより、かつセルロースブランク構造体を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧でプレスすることにより、第1の型部分と第2の型部分との間でセルロースブランク構造体からセルロース製品を成形するように構成されている。これらのシステム特徴を含む利点は、セルロースブランク構造体を成形型内に挿入する際に、セルロースブランク構造体が望ましくない形式で破壊される危険が阻止されることである。この解決手段は、特に深絞り製品のための、セルロース製品の良好な成形をもたらす。
【0027】
本開示はさらに、成形型システムにおいてセルロース製品を成形するためのセルロースブランク構造体に関する。セルロースブランク構造体は、空気成形されており、規定された1つ以上の製品区分と、1つ以上の製品区分を取り囲む、または1つ以上の製品区分に接続されて配置されている規定された残余区分とを有している。残余区分の少なくとも一部は、1つ以上の製品区分の圧縮度よりも高い第1の圧縮度を有している。セルロースブランク構造体は、1つ以上の製品区分と残余区分との間に配置された1つ以上の移行区分をさらに有している。移行区分では、圧縮度は、第1の圧縮度と、1つ以上の製品区分の圧縮度との間で変化する。セルロースブランク構造体は、少なくとも部分的に各製品区分の周りで、残余区分および/または移行区分において切断パターンをさらに有している。各切断パターンは、残余区分および/または移行区分において少なくとも1つのブリッジ構造を形成している。セルロースブランク構造体を成形型に挿入する際の、かつ成形型における成形プロセス中の、セルロースブランク構造体の亀裂、繊維分離、材料破壊、または他の望ましくない構造弱化は、本システムにより、製品区分と残余区分との成形により最小限にされる。1つ以上の製品区分の圧縮度よりも高い第1の圧縮度まで圧縮された残余区分によって、セルロースブランク構造体の搬送は、簡単になる。
【0028】
本開示を、添付の図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1a】本開示による、セルロースブランク構造体を概略的に示す斜視図である。
【
図1b】本開示による、コンパクトユニットを備えた成形型システムを概略的に示す斜視図である。
【
図2a】本開示による、切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す斜視図である。
【
図2b】本開示による、切断ユニットを備えた成形型システムを概略的に示す斜視図である。
【
図2c】本開示による、切断ユニットを備えた成形型システムを概略的に示す斜視図である。
【
図3a】本開示による、マルチキャビティ構造における切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す平面図である。
【
図3b】本開示による、マルチキャビティ構造における切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す正面図である。
【
図4a】本開示による、シングルキャビティ構造における、またはマルチキャビティ構造の一区分における切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す平面図である。
【
図4b】本開示による、シングルキャビティ構造における、またはマルチキャビティ構造の一区分における切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す正面図である。
【
図5a】本開示による、成形型システムを概略的に示す正面図である。
【
図5b】本開示による、成形型システムを概略的に示す正面図である。
【
図5c】本開示による、成形型システムを概略的に示す正面図である。
【
図5d】本開示による、成形型システムを概略的に示す正面図である。
【
図5e】本開示による、成形型システムを概略的に示す正面図である。
【
図6a】本開示による、第1の型部分なしで示す成形型システムと、供給ベルトを備えた供給ユニットとを概略的に示す斜視図である。
【
図6b】本開示による、第1の型部分なしで示す成形型システムと、供給ベルトを備えた供給ユニットとを概略的に示す斜視図である。
【
図6c】本開示による、第1の型部分なしで示す成形型システムと、供給ベルトを備えた供給ユニットとを概略的に示す斜視図である。
【
図7a】本開示による、切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す平面図である。
【
図7b】本開示による、異なる切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す平面図である。
【
図7c】本開示による、異なる切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す平面図である。
【
図7d】本開示による、異なる切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す平面図である。
【
図7e】本開示による、異なる切断パターンを備えたセルロースブランク構造体を概略的に示す平面図である。
【
図8a】本開示の代替的な実施形態による、セルロースブランク構造体を概略的に示す斜視図である。
【
図8b】本開示の代替的な実施形態による、成形型システムを概略的に示す斜視図である。
【
図8c】本開示の代替的な実施形態による、成形型システムを概略的に示す正面図である。
【
図9a】本開示の代替的な実施形態による、切断ユニットを備えた成形型システムを概略的に示す正面図である。
【
図9b】本開示の代替的な実施形態による、切断ユニットを備えた成形型システムを概略的に示す正面図である。
【0030】
例示的な実施形態の説明
本開示の様々な態様を、添付の図面につき以下に説明するが、この態様は、説明するためのものであって本開示を限定するものではなく、その際、同様の名称は同様の要素を指し、説明された態様の変化態様は、具体的に示された実施形態に限定されず、本開示の他の変化態様に適用可能である。
【0031】
当業者であれば、本明細書で説明するステップおよび機能は、個々のハードウェア回路を使用することによって、プログラミングされたマイクロプロセッサまたは汎用コンピュータと共に機能するソフトウェアを使用することによって、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)を使用することによって、かつ/または1つ以上のディジタルシグナルプロセッサ(DSP)を使用することによって実行され得ることを理解するだろう。また、本開示が方法に関して説明される場合、本開示は、1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリにおいて実施されてもよく、この場合、1つ以上のメモリは、1つ以上のプロセッサによって実行される際に、本明細書に開示されたステップ、サービスおよび機能を実行する1つ以上のプログラムを格納することを理解されたい。
【0032】
図1b、
図2b、
図5a~
図5eおよび
図9a~
図9bは、空気成形された1つのセルロースブランク構造体2からセルロース製品1を成形するための成形型システムSを概略的に示している。この成形型システムSは、1つ以上の成形型3を有しており、各成形型3は、セルロース製品1の成形中に互いに協働するように構成された第1の型部分3aと第2の型部分3bとを有している。成形型システムSに接続された制御ユニットは、様々な成形ステップを制御するために適切に使用される。
【0033】
図1a、
図2a、
図3a~
図3bおよび
図4a~
図4bは、空気成形されたセルロースブランク構造体2を概略的に示している。本開示による空気成形されたセルロースブランク構造体2とは、セルロース繊維から製造された実質的に空気成形された繊維ウェブ構造体を意味する。セルロースブランク構造体2の空気成形とは、セルロース繊維を空気成形してセルロースブランク構造体2を製造する乾式成形プロセスにおけるセルロースブランク構造体の成形を意味する。空気成形プロセスでセルロースブランク構造体2を成形する場合、搬送媒体としての空気によってセルロース繊維を搬送して繊維ブランク構造体2となるように成形する。これは、紙または繊維構造体を成形する際にセルロース繊維の搬送媒体として水が使用される通常の製紙プロセスまたは従来の湿式成形プロセスとは異なる。空気成形プロセスでは、セルロース製品の特性を変化させるために、少量の水または他の物質が、必要に応じてセルロース繊維に添加されてよいが、成形プロセスではなお、空気が搬送媒体として使用される。セルロースブランク構造体2は、適切であるならば、空気成形されたセルロースブランク構造体2を取り囲む雰囲気中の周囲湿度に主に対応する乾燥度を有していてよい。代替的に、セルロースブランク構造体2の乾燥度は、セルロース製品1を成形する際に適切な乾燥度レベルを有するように制御することができる。
【0034】
空気成形されたセルロースブランク構造体2は、従来の空気成形プロセスでセルロース繊維から成形されてよく、様々な方法で構成され得る。例えば、セルロースブランク構造体2は、セルロース製品1の所望の特性に応じて、繊維が同じ起源であるかまたは代替的に2種以上のセルロース繊維の混合物を含む組成を有していてよい。セルロースブランク構造体2に使用されるセルロース繊維は、セルロース製品1の成形プロセス中に水素結合によって互いに強く結合される。さらに後述するように、セルロース繊維は、他の物質または化合物と一定量まで混合されてよい。セルロース繊維とは、天然セルロース繊維または製造されたセルロース繊維などの、あらゆるタイプのセルロース繊維を意味する。セルロースブランク構造体2は、具体的には少なくとも95%のセルロース繊維を、またはより具体的には少なくとも99%のセルロース繊維を含んでいてよい。
【0035】
空気成形されたセルロースブランク構造体2は、単層構造または複層構造を有していてよい。単層構造を有するセルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む1つの層から形成された構造体を意味している。複層構造を有するセルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む2層以上から形成された構造体を意味しており、この場合、これらの層は、同じまたは異なる組成または構造を有していてよい。
【0036】
セルロースブランク構造体2は、セルロース繊維を含む強化層を有していてよく、この強化層は、セルロースブランク構造体2の他の層のための支持層として配置されていてよい。強化層は、セルロースブランク構造体2の他の層よりも高い引張強度を有していてよい。これは、セルロースブランク構造体2の1つ以上の空気成形された層が、低い引張強度の組成を有する場合に、セルロース製品1の成形中にセルロースブランク構造体2が破壊されることを避けるために有効である。より高い引張強度を有する強化層は、このようにして、セルロースブランク構造体2の他の層のための支持構造体として機能する。強化層は、セルロースブランク構造体のその他の層とは異なる組成物、例えば、セルロース繊維を含む組織層、セルロース繊維を有するエアレイド構造体、またはその他の適切な層構造体であってよい。したがって、強化層は空気成形された層である必要はない。セルロースブランク構造体2は、適切であるならば、2つ以上の強化層を有していてよい。
【0037】
セルロースブランク構造体2の1つ以上の空気成形された層は、ふわふわとした空気のような構造体であり、この構造体を形成するセルロース繊維は、互いに対して比較的ルーズに配置されている。ふわふわとしたセルロースブランク構造体2は、セルロース製品1の効率的な成形のために使用され、成形プロセス中に、セルロース繊維がセルロース製品1を効率的に成形することを可能にする。
【0038】
例えば
図1a、
図2a、
図3a~
図3b、
図4a~
図4b、
図7a~
図7e、
図8aおよび
図9a~
図9bに示されているように、セルロースブランク構造体2は、1つ以上の規定された製品区分2aと規定された残余区分2bとを有する。1つ以上の製品区分2aは、セルロース製品1を成形する際に1つ以上の成形型3の位置に対応するセルロースブランク構造体2の領域または部分として規定される。残余区分2bは、1つ以上の製品区分2aを取り囲んでおり、または1つ以上の製品区分2aに接続されて配置されている。成形型システムにおける成形動作の前に、残余区分2bの少なくとも一部は、図から理解されるように、1つ以上の製品区分2aの圧縮度D
Cよりも高い第1の圧縮度D
C1まで圧縮される。1つ以上の製品区分2aは、圧縮されなくてよい、または代替的に、1つ以上の製品区分2aの少なくとも一部は、第2の圧縮度D
C2まで圧縮される。
【0039】
特定の実施形態では、セルロースブランク構造体2は、1つ以上の規定された残余区分2bを有していてよく、この場合、各残余区分2bは、1つ以上の製品区分2aを取り囲んでおり、または1つ以上の製品区分2aに接続されて配置されている。成形型システムにおける成形動作の前に、残余区分2bの少なくとも一部は、1つ以上の製品区分2aの圧縮度DCよりも高い第1の圧縮度DC1まで圧縮される。
【0040】
図示された実施形態に示されているように、残余区分2bは、第1の圧縮度DC1まで適切に圧縮される。残余区分2bは、40~1300kg/m3の範囲の密度を有する第1の圧縮度DC1まで圧縮されてよい。残余区分2bの密度は、セルロースブランク構造体2が、例えばコンパクトローラ間で圧縮された直後に、材料の試料片を切り取ることによって測定されてよい。残余区分2bの試料片の厚さは、圧縮から1分以内にカリパで測定され、その後、試料片は計量される。試料片は適切には、400~2000mm2の範囲の面積を有する四角形または円形の形状を有している。試料片の厚さをカリパで測定する際には、試料片の全表面に対して0.5kPaの圧力が加えられる。試料片の重量[m]は、厚さ[t]および面積[A]と共に、式
ρ=m/At
に従って密度[ρ]を計算するために使用される。
【0041】
図1aには、残余区分2bの第1の試料片P1が図示の目的で点線により示されており、図示の実施形態では、第1の試料片P1は四角形の形状を有している。
図1aには、第1の試料片P1の第1の領域A1と第1の厚さ方向T1とが示されている。
【0042】
残余区分2bは、セルロースブランク構造体2の剛性および強度を高めるために、片側または両側にエンボス加工パターン、例えば、ワッフル表面状の構造を有していてよい。
【0043】
セルロースブランク構造体2は、1つ以上の製品区分2aと残余区分2bとの間に配置された1つ以上の移行区分2cをさらに有している。移行区分2cでは、圧縮度は、第1の圧縮度DC1と、1つ以上の製品区分2aの圧縮度DCとの間で変化してよい。移行区分2cは、適切であるならば、他の圧縮度を有していてもよい。
【0044】
特定の実施形態では、1つ以上の製品区分2aは、セルロースブランク構造体2を成形位置FPOSに供給する前に、第2の圧縮度DC2まで圧縮される。第1の圧縮度DC1は、第2の圧縮度DC2よりも高い。1つ以上の製品区分2aは、適切に、15~400kg/m3の範囲の密度を有する第2の圧縮度DC2まで圧縮されてよい。1つ以上の製品区分2aの密度は、セルロースブランク構造体2が、例えばコンパクトローラ間で圧縮された直後に、材料の試料片を切り取ることによって測定されてよい。1つ以上の製品区分2aの試料片の厚さは、圧縮から1分以内にカリパで測定され、その後、試料片は計量される。試料片は適切には、400~2000mm2の範囲の面積を有する四角形または円形の形状を有している。試料片の厚さをカリパで測定する際には、試料片の全表面に対して0.5kPaの圧力が加えられる。試料片の重量[m]は、厚さ[t]および面積[A]と共に、式
ρ=m/At
に従って密度[ρ]を計算するために使用される。
【0045】
図1aには、1つ以上の製品区分2aの第2の試料片P2が図示の目的で点線により示されており、図示の実施形態では、第2の試料片P2は四角形の形状を有している。
図1aには、第2の試料片P2の第2の領域A2と第2の厚さ方向T2とが示されている。
【0046】
図1bに示されているように、成形型システムSはさらに、1つ以上の製品区分2aの圧縮度D
Cよりも高い第1の圧縮度D
C1まで残余区分2bを緻密にするまたは圧縮するように形成されたコンパクトユニット11を有していてよい。コンパクトユニット11は、第1のコンパクトローラ11aを有しており、この第1のコンパクトローラは、第2のコンパクトローラ11bと協働する。両コンパクトローラは、セルロースブランク構造体2の対向する側に配置されていて、セルロースブランク構造体2が、第1のコンパクトローラ11aと第2のコンパクトローラ11bとの間に供給されると、セルロースブランク構造体2の圧縮が行われる。
図1bに示されているように、第1のコンパクトローラ11aは、製品区分2aを成形する複数の凹部12を有しており、凹部12の間の第1のコンパクトローラ11aの領域は、相対的に高い圧縮度を有する、セルロースブランク構造体2の残余区分2bを成形している。各凹部12は、製品区分2aに対応する形状と構造とを有している。凹部12は、製品区分2aを第2の圧縮度D
C2まで圧縮するために使用することができ、この場合、第2の圧縮度D
C2は、第1の圧縮度D
C1よりも低い。図示されていない代替的な実施形態では、第2のコンパクトローラ11bに、製品区分2aを成形するための第1のコンパクトローラ11aの凹部12に対応する凹部が配置されていてよい。
【0047】
成形型システムSはさらに、セルロースブランク構造体2に1つ以上の切断パターン4を形成するために構成されている切断ユニット9を有していてよい。セルロースブランク構造体2には、
図2a~
図2b、
図3a~
図3b、
図4a~
図4b、
図5a~
図5e、
図6a~
図6cおよび
図7a~
図7eに示したように、少なくとも部分的に各製品区分2aの周りで残余区分2bおよび/または移行区分2cにおいて切断パターン4が配置されてよい。各切断パターン4は、図示された実施形態では、製品区分2aに接続されているセルロースブランク構造体2の部分を、セルロースブランク構造体2の残余部から部分的に切り離している。各切断パターン4は、残余区分2bおよび/または移行区分2cにおいて少なくとも1つのブリッジ構造4aを形成している。ブリッジ構造4aは、例えば
図5b~
図5cおよび
図6bに示されているように、製品区分2aに接続されたセルロースブランク構造体2の部分と、セルロースブランク構造体2の残余部とを接続し、製品区分2aに接続されたセルロースブランク構造体2の部分の変位を可能にする。セルロース製品1が深絞り構造を有している場合は特に、変位により、1つ以上の成形型3内でのセルロース製品1の成形が容易になる。切断パターン4は、ブリッジ構造4aを形成するための任意の適切な構造を有していてよい。
【0048】
切断ユニット9は、
図2bに示されているように、1つ以上の成形型3の上流に分離ユニットとして配置されていてよく、または
図9a~
図9bに示されているように、1つ以上の成形型3に接続された1つ以上のアセンブリとして配置されていてよい。後述する切断ユニットは、成形型システムSの別の実施形態と共に使用されてよい。
【0049】
図2b~
図2cに示された実施形態では、切断ユニット9は、ロータリーダイカッタ10として構成されている。図示されたロータリーダイカッタ10は、ダイカッタ10aおよびアンビルロール10bを有している。ダイカッタ10aは、ダイカッタ10aとアンビルロール10bとの間にセルロースブランク構造体2が供給される際に、セルロースブランク構造体2に切断パターン4を形成する複数の切断エレメント10cを有している。したがって、切断エレメント10cは、切断パターン4の形状に対応する構造を有している。ロータリーダイカッタ10は、
図1bとの関連で上述したのと類似の方法でコンパクトローラとしての機能も有していてもよい。
図2bに示されているように、ダイカッタ10aは、製品区分2aを成形する複数の凹部12を有しており、凹部12の間のダイカッタ10aの領域は、相対的に高い圧縮度を有する、セルロースブランク構造体2の残余区分2bを成形している。各凹部12は、製品区分2aに対応する形状と構造とを有している。凹部12は、製品区分2aを第2の圧縮度D
C2まで圧縮するために使用することができ、この場合、第2の圧縮度D
C2は、第1の圧縮度D
C1よりも低い。図示されていない代替的な実施形態では、アンビルロール10bに、製品区分2aを成形するためのダイカッタ10aの凹部12に対応する凹部が配置されていてよい。このような構造によって、1つ以上の切断パターン4の形成と、セルロースブランク構造体2の圧縮とは、ロータリーダイカッタ10による単一の動作ステップで行われる。
【0050】
切断ユニット9は、別の適切な構造を有していてもよい。
図9a~
図9bに示された実施形態では、切断ユニット9は、成形型システムSの成形型3に接続されて配置されているプレス切断装置20として構成されている。プレス切断装置20は、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間にセルロースブランク構造体2が配置される場合に、セルロースブランク構造体2に切断パターン4を形成する切断エッジを備えた複数の切断エレメント20bを有している可動に配置された1つの共通のプレート構造体20aを有している。上述したものと同様に、切断パターン4は、少なくとも部分的に各製品区分2aの周りで残余区分2bおよび/または移行区分2cに形成され、したがって、切断エレメント20bは、切断パターン4の形状に対応する構造を有している。切断エレメント20bを備えたプレート構造体20aは、
図9aに示された非切断位置では、第2の型部分3bに接続されて配置されている。
図9aでは、製品区分2aと残余区分2bとを有する予備成形されたセルロースブランク構造体2が、第1の型部分3aに接続されて配置されている。プレス切断装置20はさらに、切断エレメント20bを備えたプレート構造体20aを、非切断位置から、
図9bに示された切断位置へと変位させるために配置された圧力シリンダ20cを有している。
図9bでは、切断エレメント20bは、セルロース構造体に切断パターン4を形成するために第1の型部分3aに接続されて配置されたアンビル構造体20dに当接している。アンビル構造体20dは、適切な材料、例えば、ポリウレタンから成るフレキシブルなプレート構造体から形成されていてよい。切断パターン4が、セルロースブランク構造体2に形成されると、切断エレメント20bを備えたプレート構造体20aは、
図9aに示された位置へと戻り、製品成形動作の実施を可能にする。
【0051】
特定の実施形態では、各切断パターン4は、対応する製品区分2aに接続されてその周囲に配置された第1の切断部5を有していて、この場合、第1の切断部5は、少なくとも1つのブリッジ構造4aを形成する第1の中間区分5bを備えた第1の切断線5aを有している。
【0052】
図7aには、例示的な螺旋形状の切断パターン4が概略的に示されており、この場合、第1の切断部5は、製品区分2aに接続されてその周囲に配置されている。第1の切断部5は、第1の切断線5aを有していて、この第1の切断線は、図示されているように、第1の切断線5aのオーバーラップする区分の間に第1の中間区分5bを有している。中間区分5bは、少なくとも1つのブリッジ構造4aを形成している。
【0053】
代替的な実施形態では、各切断パターン4は、対応する製品区分2aに接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部5と、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第1の切断部5の外側でその周囲に配置された非連続的な第2の切断部6とを有している。非連続的な第1の切断部5は、1つ以上の第1の切断線5aを有していて、この第1の切断線は、1つ以上の第1の切断線5aの間に1つ以上の第1の中間区分5bを有している。非連続的な第2の切断部6は、1つ以上の第2の切断線6aを有していて、この第2の切断線は、1つ以上の第2の切断線6aの間に1つ以上の第2の中間区分6bを有している。1つ以上の第1の中間区分5bと1つ以上の第2の中間区分6bとは、少なくとも1つのブリッジ構造4aを形成している。
【0054】
図2c、
図3a~
図3b、
図4a~
図4b、
図6bおよび
図7bには、例示的な切断パターン4が示されており、この切断パターン4は、対応する製品区分2aに接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部5と、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第1の切断部5の外側でその周囲に配置された非連続的な第2の切断部6とを有している。非連続的な第1の切断部5は、複数の第1の切断線5aを有していて、この第1の切断線は、第1の切断線5aの間に第1の中間区分5bを有している。非連続的な第2の切断部6は、複数の第2の切断線6aを有していて、この第2の切断線は、第2の切断線6aの間に第2の中間区分6bを有している。第1の中間区分5bと第2の中間区分6bとは、ブリッジ構造4aを形成している。非連続的な第1の切断部5と非連続的な第2の切断部6とは、図示されているように、互いに相対的にオーバーラップした関係で配置されていてよく、この場合、1つ以上の第1の切断線5aは、1つ以上の第2の中間区分6bにオーバーラップしていて、1つ以上の第2の切断線6aは、1つ以上の第1の中間区分5bにオーバーラップしている。
【0055】
代替的な実施形態では、各切断パターン4は、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第2の切断部6の外側でその周囲に配置された少なくとも1つの非連続的な付加的な切断部7をさらに有していてよく、この場合、少なくとも1つの非連続的な付加的な切断部7のそれぞれは、1つ以上の付加的な切断線7aを有していて、この付加的な切断線は、1つ以上の付加的な切断線7aの間に1つ以上の付加的な中間区分7bを有している。
【0056】
図7cには、例示的な切断パターン4が示されており、この切断パターン4は、対応する製品区分2aに接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部5と、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第1の切断部5の外側でその周囲に配置された非連続的な第2の切断部6と、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第2の切断部6の外側でその周囲に配置された非連続的な付加的な切断部7とを有している。非連続的な付加的な切断部7は、複数の付加的な切断線7aを有していて、この付加的な切断線は、付加的な切断線7aの間に付加的な中間区分7bを有している。
図7dには、例示的な切断パターン4が示されており、この切断パターン4は、対応する製品区分2aに接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部5と、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第1の切断部5の外側でその周囲に配置された非連続的な第2の切断部6と、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第2の切断部6の外側でその周囲に配置された非連続的な2つの付加的な切断部7とを有している。非連続的な第1の付加的な切断部7:1は、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第2の切断部6の外側でその周囲に配置されていて、非連続的な第2の付加的な切断部7:2は、製品区分2aに対して相対的に、非連続的な第1の付加的な切断部7:1の外側でその周囲に配置されている。非連続的な付加的な切断部7のそれぞれは、複数の付加的な切断線7aを有していて、これらの付加的な切断線は、付加的な切断線7aの間に付加的な中間区分7bを有している。
【0057】
代替的な実施形態では、上記構成に代わって、各切断パターン4は、対応する製品区分2aに接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部5のみを有していてよい。非連続的な第1の切断部5は、1つ以上の第1の切断線5aを有していて、この第1の切断線は、1つ以上の第1の切断線5aの間に1つ以上の第1の中間区分5bを有しており、1つ以上の第1の中間区分5bは、少なくとも1つのブリッジ構造4aを形成している。
【0058】
図7eには、対応する製品区分2aに接続されてその周囲に配置された非連続的な第1の切断部5のみを有している例示的な切断パターン4が示されている。非連続的な第1の切断部5は、複数の第1の切断線5aを有していて、この第1の切断線は、第1の切断線5aの間に第1の中間区分5bを有している。第1の中間区分5bは、ブリッジ構造4aを形成している。
【0059】
各切断部5,6,7は、セルロースブランク構造体2を貫通して適切に延在している。代替的な図示されていない実施形態では、中間区分5b,6b,7bの少なくとも1つが、セルロースブランク構造体2を部分的に貫通して延在する切断部を有している。
【0060】
代替的な図示されていない実施形態では、中間区分5b,6b,7bのいくつかは、細く形成されていてよく、セルロース製品1の成形中に破断するように構成されていてよい。中間区分5b,6b,7bの細い構造により、1つ以上の成形型3に対するセルロースブランク構造体2の確実な位置決めのために、破損または分離されることなくセルロースブランク構造体2を搬送することが可能となっている。
【0061】
上述したように、成形型システムSは、1つ以上の成形型3を有しており、各成形型3は、セルロース製品1の成形中に互いに協働する第1の型部分3aと第2の型部分3bとを有している。第1の型部分3aと第2の型部分3bとは、互いに対して可動に配置されていて、第1の型部分3aと第2の型部分3bとは、プレス方向D
Pで互いに対して動くように構成されている。
図5a~
図5eに示した実施形態では、第2の型部分3bは不動であり、第1の型部分3aは、プレス方向D
Pで第2の型部分3bに対して可動に配置されている。
図5aに両方向矢印で示されているように、第1の型部分3aは、プレス方向D
Pで延在する軸線に沿った線形運動で、第2の型部分3bに向かってかつ第2の型部分3bから離れるように両方向で動くように構成されている。
【0062】
代替的な実施形態では、第1の型部分3aが定置であって、第2の型部分3bが第1の型部分3aに対して可動に配置されていてよく、または両型部分ともが、互いに対して可動に配置されていてもよい。
【0063】
成形型システムSは、シングルキャビティ構造または代替的にマルチキャビティ構造であってよい。シングルキャビティ成形型システムは、第1および第2の型部分を備えた1つだけの成形型3を有している。マルチキャビティ成形型システムは、それぞれ第1および第2の型部分を備えた2つ以上の成形型3を有している。
図1bおよび
図2bでは、成形型システムSは、第1および第2の型部分を備えた複数の成形型3を有するマルチキャビティ成形型システムとして配置されており、型部分の動きは、同時の成形動作のために適切に同期されている。
図5a~
図5eおよび
図6a~
図6cに示された成形型システムSの部分は、シングルキャビティ構造を、または代替的にマルチキャビティ構造の一区分を示していると言える。以下では、成形型システムSを、マルチキャビティ成形型システムに関して説明するが、本開示は、シングルキャビティ成形型システムにも同様に適用可能である。
【0064】
本開示によるすべての実施形態について、プレス方向DPでの動きという表現は、プレス方向DPで延在する軸線に沿った動きを含み、この動きは、この軸線に沿って逆方向で行われてもよいことを理解されたい。この表現はさらに、すべての実施形態について、型部分の線形の動きおよび非線形の動きの両方を含んでおり、この場合、成形中の動きの結果として、プレス方向DPで型部分が再配置される。
【0065】
空気成形された1つのセルロースブランク構造体2からセルロース製品1を成形型システムSで成形するために、まずは、空気成形されたセルロースブランク構造体2が、適切な供給源から提供される。セルロースブランク構造体2は、セルロース繊維から空気成形されて、ロールされてまたは積層されて配置されてよい。ロールまたは積層体を、その後、成形型システムSに接続して配置することができる。代替として、セルロースブランク構造体2は、成形型システムSに接続された状態でセルロース繊維から空気成形されて、型部分に直接供給されてもよい。
【0066】
成形型システムSは、セルロースブランク構造体2を供給方向D
Fで成形型システムS内の成形位置F
POSに供給するように構成された供給ユニット8をさらに有している。例えば、
図1b、
図2b、
図5a~
図5e、および
図6a~
図6cに示されているように、供給ユニット8は、セルロースブランク構造体2を供給方向D
Fで、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間の成形位置F
POSに搬送するために使用される1つ以上の供給ベルト8aを有している。供給ベルト8aはさらに、成形プロセス中に、セルロースブランク構造体を位置保持するために使用される。供給ベルト8aは、セルロースブランク構造体2を搬送するための任意の適切な構造を有していてよい。
図6a~
図6bには、供給ベルト8aが概略的に斜視図で示されている。供給ベルト8aは、
図6a~
図6cに示されているように、搬送中、セルロースブランク構造体2を保持するための吸引通路8bを備えた真空式であってよい。
【0067】
図5a~
図5eおよび
図6a~
図6cに示された実施形態では、供給ベルト8aは、第1の型部分3aの各側に配置されている。これらの供給ベルト8aは、セルロースブランク構造体2を、
図5aに示された成形位置F
POSへと搬送するため協働している。成形位置F
POSでは、セルロースブランク構造体2は、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に配置される。供給ユニット8は、供給ローラのような別の適切な構造を有していてもよい。
【0068】
供給ユニット8は、セルロースブランク構造体2を供給方向D
Fで成形型システムS内の成形位置F
POSに供給している。成形位置F
POSでは、
図1bおよび
図2bから理解されるように、各製品区分2aは、対応する第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に配置されている。したがって、製品区分2aは、
図1bおよび
図2bに示されているように、成形型システムSにおける1つ以上の成形型3の配置に対応するパターンで、セルロースブランク構造体2に配置される。
【0069】
第1の型部分3aは、対応する第2の型部分3bとの相互作用により、セルロース製品1を成形するように配置されている。セルロース製品1の成形中、セルロースブランク構造体2は、各成形型3内で、少なくとも1MPaの、好ましくは4~20MPaの範囲の製品成形圧PF、および100℃~300℃の範囲の製品成形温度TFにさらされる。したがって、セルロースブランク構造体2を100~300℃の範囲の成形温度TFに加熱することにより、かつセルロースブランク構造体2を1~100MPa、好ましくは4~20MPaの範囲の成形圧PFでプレスすることにより、各第1の型部分3aと対応する第2の型部分3bとの間でセルロースブランク構造体2からセルロース製品1が成形される。セルロース製品1を成形する場合、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に配置されたセルロースブランク構造体2内のセルロース繊維間に強力な水素結合が形成される。温度レベルおよび圧力レベルは、例えば、成形プロセス中に、セルロースブランク構造体2内のセルロース繊維内に、またはセルロース繊維に接続されて配置された適切なセンサによってセルロースブランク構造体2において測定される。
【0070】
セルロースブランク構造体2が、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間の成形位置F
POSに配置されている場合、第1の型部分3aは、
図5bにおいて矢印で示されているように、プレス方向D
Pで第2の型部分3bに向かって動かされる。
図6bでは、
図5bにおけるセルロースブランク構造体2の位置が、説明目的で第1の型部分3aを省いて、斜視図で概略的に示されている。成形位置F
POSでは、セルロース製品1を成形する前に、
図6bに概略的に示されているように、残余区分2bと、1つ以上の製品区分2aとを、成形型システムSのプレス方向D
Pで互いに相対的に少なくとも部分的に変位させることができる。第1の型部分3aが第2の型部分3bに向かって動かされると、セルロースブランク構造体2は、型部分の間で圧縮される。
図5dに示された位置では、第1の型部分3aは、第2の型部分3bに向かってさらに動かされ、製品成形位置に達し、製品成形位置では、セルロースブランク構造体2に成形圧P
Fおよび成形温度T
Fがかけられる。各第1の型部分3aが、対応する第2の型部分3bに向かって押され、これらの型部分間にセルロースブランク構造体2が配置されている状態で、セルロース製品1の成形中、セルロース製品1を成形するための成形キャビティCが、第1の型部分3aと第2の型部分3bとの間に形成される。成形圧P
Fおよび成形温度T
Fが、各成形キャビティC内でセルロースブランク構造体2に加えられる。セルロース製品1の成形はさらに、切断動作を含んでいてよく、この場合、セルロース製品1は、セルロース製品1の成形中に成形型システムS内でセルロースブランク構造体2から切り出される。型部分には、このような動作のために、例えば切断装置が配置されていてよい。セルロース製品1が成形型システムS内で成形されると、第1の型部分3aは、
図5eにおいて矢印で示されているように、第2の型部分3bから離れる方向に動かされ、セルロース製品1を、例えば、エジェクタ棒または類似の装置を使用して、
図6cに示されているように成形型システムSから取り出すことができる。
【0071】
図5c~
図5dには、セルロース製品1の縁部構造1aを成形するための縁部成形動作が行われている、例示的な成形型システムSの位置が示されている。縁部成形動作は、セルロースブランク構造体2からセルロース製品1を分離すると同時に縁部構造1aを成形するための切断動作の代わりに使用されてよい。各第1の型部分3aは、セルロースブランク構造体2の繊維を圧縮および分離するために構成された突出エレメント14aを有する縁部成形装置14を含む。突出エレメント14aには、第2の型部分3bに面した縁部区分14bが配置されている。突出エレメント14aは、適切には、縁部成形装置14の周囲に延びる連続したエレメントとして配置されており、突出エレメント14aは、成形型システムSにおいて製造されるセルロース製品1の縁部形状または外輪郭に対応する延在を有する。しかしながら、突出エレメント14aは、成形されるセルロース製品1の形状に応じて、例えば、非連続的な、任意の適切な延在を有していてもよいことを理解されたい。突出エレメント14aはさらに、
図5dに示されているように、縁部区分14bを有する尖った断面構造を有していてよい。縁部区分14bを有する突出エレメント14aは、図示されていない別の実施形態において、丸み付けされた縁部区分または平坦な縁部区分のような、別の適切な断面構造を有していてよい。
【0072】
縁部成形装置14は、
図5a~
図5eに示されているように、第1の型部分3aの基部構造体に対して可動に配置されていてよく、縁部成形装置14は、基部構造体に配置された圧力部材と相互作用するように適合されている。縁部成形装置14は、セルロース製品1の形状および構造に応じて、任意の適切な形状および構造を有していてよい。縁部成形装置14は、例えば、プレス方向D
Pで基部構造体に対して相対的にスライド可能に配置されていてよい。圧力部材は、基部構造体と縁部成形装置14との間に配置された1つ以上のばね14cを有していてよい。圧力部材は、代替的に、液圧装置または空気圧装置として配置されていてよい。代替的な図示されていない実施形態では、縁部成形装置14は、第1の型部分3aに配置された突出エレメント14aを備えた不動の構造体として構成されていてもよい。この構成に代えて、縁部成形装置は、第2の型部分3bに、または第1の型部分3aと第2の型部分3bとの両方に配置されてもよい。
【0073】
第1の型部分3aが第2の型部分3bに向かって移動する間に、各縁部成形装置14の突出エレメント14aは、突出エレメント14aによってセルロースブランク構造体2に加えられる力によって、セルロースブランク構造体2の繊維の一部を分離する。
図5c~
図5dに示したように、第1の型部分3aが第2の型部分3bに到達すると、各縁部成形装置14に配置されたストッパ部材14dは、
図5dに示されているように、圧縮された縁部構造1aの成形中に、突出エレメント14aと第2の型部分3bとの間の直接の接触を防止している。
図5a~
図5eに示された実施形態では、ストッパ部材14dは、突出エレメント14aの延在よりも大きい、プレス方向D
Pにおける延在を有する、縁部成形装置14における突出部として配置されている。第1の型部分3aが第2の型部分3bに到達すると、各ストッパ部材14dは、
図5c~
図5dに示したように、対応する第2の型部分3bに当接し、プレス方向D
Pでの延在がより大きいことによって、突出エレメント14aと第2の型部分3bとの間の直接の接触が阻止される。セルロースブランク構造体2における切断パターン4は、セルロースブランク構造体2における開口を形成しており、
図5dから理解されるように、各ストッパ部材14dと、対応する第2の型部分3bとの間の直接の接触を可能にしている。ストッパ部材14dは、各縁部成形装置14の周囲に延びる連続的なエレメントとして、または代替的に、各縁部成形装置14から延びる1つ以上の突出部として配置されていてもよい。このような構成に代えて、ストッパ部材14dは、第2の型部分3bに、または第1の型部分3aと第2の型部分3bとの両方に配置されていてもよい。
【0074】
各ストッパ部材14dは、圧縮された縁部構造1aの成形中に、突出エレメント14aと、対応する第2の型部分3bとの接触を阻止し、この配置により、突出エレメント14aは第2の型部分3bから僅かな距離を置いて配置される。突出エレメント14aと第2の型部分3bとの間には小さな隙間が形成される。第1の型部分3aが第2の型部分3bに向かってさらに移動すると、縁部成形装置14は、第1の型部分3a内に押し込まれ、
図5dに示された縁部成形位置に到る。縁部成形装置14が、第1の型部分3a内に押し込まれると、セルロース製品1の縁部構造1aが成形される。縁部構造1aが成形される際に、セルロースブランク構造体2の繊維は、各突出エレメント14aと対応する第2の型部分3bとの間の領域に集まる。同時に、縁部成形圧P
EFと縁部成形温度T
EFとが、セルロースブランク構造体2に加えられる。縁部成形圧P
EFと縁部成形温度T
EFとが、セルロースブランク構造体2に加えられると、高度に圧縮された縁部構造1aが成形される。縁部構造1aは、適切には、セルロース製品1の周囲を取り囲んで延在する薄い縁部として成形されていて、高度に圧縮された成形された縁部構造1aは、セルロース製品1の層間剥離およびセルロース製品1への吸湿を効率的に防止する。各縁部区分14bと対応する第2の型部分3bとの間の小さな距離で、高い縁部成形圧P
EFがセルロースブランク構造体2に加えられることにより、非常に薄い圧縮されたセルロース構造体が成形され、このようなセルロース構造体は、セルロース製品1とセルロースブランク構造体2とを成形型部分の外側で容易に分離するために利用することができる。高度に圧縮された薄いセルロース構造体は、縁部成形動作の間に高い圧縮応力にさらされ、縁部成形プロセスの間に、セルロース構造体に蓄積されたエネルギ、高い張力、および/または引張応力により、高い圧力レベルが、縁部成形圧P
EFでセルロース繊維に加えられると、セルロース繊維は破壊される。セルロース製品1の成形後に残るセルロースブランク構造体2中の残留繊維は、再利用されてよい。縁部成形動作は、製品成形動作と共に、縁部成形装置14によって実施されている。
【0075】
縁部構造1aの成形時に、セルロースブランク構造体2に加えられる適切な縁部成形圧PEFは、少なくとも10MPa、好ましくは10~4000MPaの範囲、またはより好ましくは100~4000MPaの範囲にある。縁部構造1aの成形時に、セルロースブランク構造体2に加えられる適切な縁部成形温度TEFは、50~300℃の範囲、好ましくは100~300℃の範囲にある。
【0076】
製品成形圧を確立するための変形エレメントEは、各第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに接続されて配置されていてもよい。
図5a~
図5eに示されている実施形態では、変形エレメントEは、第1の型部分3aに取り付けられている。変形エレメントEを使用することにより、成形圧P
Fは、等方成形圧であり得る。
【0077】
すべての実施形態に関して、第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bが変形エレメントEを有していてよく、変形エレメントEは、セルロース製品1の成形中に、成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2に成形圧PFをかけるために構成されている。変形エレメントEは、適切な取付け手段、例えば、接着剤または機械的な固定手段によって、第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに取り付けられてよい。セルロース製品1の成形中、変形エレメントEは、成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2に成形圧PFをかけるために変形されて、変形エレメントEの変形により、セルロース製品1が複雑な3次元形状を有していたとしても、またはセルロースブランク構造体2が可変の厚さを有していたとしても、均等な圧力分布が達成される。セルロースブランク構造体2に必要な成形圧PFをかけるために、変形エレメントEは、力または圧力が加えられると変形することができる材料から形成されていて、変形エレメントEは、変形後にサイズと形状とを回復することができる弾性材料から適切に形成されている。変形エレメントEはさらに、セルロース製品1の成形時に使用される高い成形圧PFおよび成形温度TFレベルに耐える適切な特性を有した材料から形成されていてよい。
【0078】
ある種の弾性的なまたは変形可能な材料は、高い圧力レベルにさらされたときに流体のような特性を有する。変形エレメントEがそのような材料から形成されているならば、成形プロセスにおいて均等な圧力分布を達成することができ、この場合、変形エレメントEから成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2にかけられる圧力は、型部分間のすべての方向で等しいまたは実質的に等しい。圧力下で、各変形エレメントEが流体のような状態にある場合、均一な流体状の圧力分布が達成される。したがって成形圧PFは、このような材料によって、すべての方向からセルロースブランク構造体2へと加えられ、変形エレメントEは、このようにして、セルロース製品1の成形中に、等方成形圧をセルロースブランク構造体2にかける。各変形エレメントEは、弾性材料の適切な構造体から成っていてよく、一例として、変形エレメントEは、20~90ショアAの範囲の硬度を有する、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリクロロプレンまたはゴムから成る中実の構造体または実質的に中実の構造体から形成されていてもよい。変形エレメントEのためのその他の材料は、例えば、適切なゲル材料、液晶エラストマーおよびMR流体であってよい。
【0079】
成形型システムSは加熱ユニットをさらに有している。加熱ユニットは、各成形キャビティC内のセルロースブランク構造体2に成形温度TFが加えられるように構成されている。加熱ユニットはさらに適切に、縁部成形動作の間にセルロースブランク構造体2に縁部成形温度TEFが加えられるように構成されている。加熱ユニットは、任意の適切な構造を有していてよい。適切な加熱ユニット、例えば加熱された成形型部分は、成形温度TFおよび縁部成形温度TEFを生成するために使用することができる。加熱ユニットは、第1の型部分3aおよび/または第2の型部分3bに組み込まれていてよくまたは鋳込まれていてよく、適切な加熱機器は、例えば、抵抗器素子のような電気ヒータまたは流体ヒータである。別の適切な熱源を使用することもできる。
【0080】
図8aには、セルロースブランク構造体2の代替的な実施形態が、概略的に示されている。セルロースブランク構造体2は、1つ以上の規定された製品区分2aと残余区分2bとを有しており、この場合、残余区分2bは、1つ以上の製品区分2aに接続されて配置されている。成形型システムSにおける成形動作の前に、残余区分2bは、図から理解されるように、1つ以上の製品区分2aの圧縮度D
Cよりも高い第1の圧縮度D
C1まで圧縮される。セルロースブランク構造体2は、1つ以上の製品区分2aと残余区分2bとの間に配置された1つ以上の移行区分2cをさらに有している。移行区分2cでは、圧縮度は、第1の圧縮度D
C1と、1つ以上の製品区分2aの圧縮度D
Cとの間で変化する。この実施形態では、1つ以上の製品区分2aは、第2の圧縮度D
C2まで圧縮されてよく、この場合、第1の圧縮度D
C1は、第2の圧縮度D
C2よりも高い。各区分は、上述したような密度を有していてよい。
【0081】
図1a、
図2aおよび
図8aにおけるセルロースブランク構造体2の構造は、上述した供給ユニット8を用いて成形位置F
POSへと供給されてよい。
図8b~
図8cに示された代替的な実施形態では、上述した構成に代えて、供給ユニット8は、セルロースブランク構造体2を供給位置F
POSへと搬送するためにトラクターフィード構造を有している。供給ユニット8は、第1のローラ15aと、協働する第2のローラ15bとを有していて、セルロースブランク構造体2は、
図8bに示されているように、これらのローラ間に配置される。第1のローラ15aと第2のローラ15bとは、製品区分と残余区分2bとを成形するためにセルロースブランク構造体2を圧縮している。第1のローラ15aは、
図1bおよび
図2bに関して説明したのと同様の形式で、製品区分2aを成形するための凹設された部分16aを有する。第1のローラ15aの凹設されていない部分16bは、凹設された部分16aの各側に、残余区分2bを成形するために配置されている。第1のローラ15aは、凹設された部分16aに続いて、凹設されていない部分16bにおいて、セルロースブランク構造体2の列Rに配置されたトラクターフィード孔18を形成するための複数の穴あけカッタ17を有している。トラクターフィード孔18は、セルロースブランク構造体2を搬送するために使用される。
図8bに示された実施形態では、第1のローラ15aには、それぞれの凹設された部分16aの各側に配置された5列の穴あけカッタ17が配置されている。このようにして、穴あけカッタ17は、セルロースブランク構造体2に5つの列Rのトラクターフィード孔18を形成している。供給ユニット8は、セルロースブランク構造体2を供給位置F
POSへと供給するために使用されるスプロケットホイール19をさらに有していて、この場合、スプロケットは、トラクターフィード孔18に係合している。
図8cには、第1のローラ15aと第2のローラ15bとが、複数の穴あけカッタ17と共により詳細に示されている。穴あけカッタ17は、セルロースブランク構造体2にトラクターフィード孔18を切り抜く鋭利な突起として配置されている。トラクターフィード孔18は、残余材料の切取片18aがばらばらに分離されることを避けるために、
図8bのセルロースブランク構造体2の拡大部分図に示されているように、穴あけカッタによって一部を切ることができる。トラクターフィード孔18は、供給動作中、スプロケットホイール19に係合している。一部が切られたトラクターフィード孔18には、
図8bに示されているように、セルロースブランク構造体2に接続された繊維材料の切取片18aを保持するためにヒンジのような構造を有する接続部分18bが配置されていてよい。部分的に切られたトラクターフィード孔18に関する接続部分18bの回転配置は、トラクターフィード孔18とスプロケットホイール19との間の位置合わせを改善するために、
図8bにおいてセルロースブランク構造体2の拡大部分図に示されているように、切断パターンにおいて交互であってよい。
図8bでは、2つの隣接するトラクターフィード孔18の接続部分18bは、各トラクターフィード孔18に対して対向する側に配置されている。
【0082】
本開示を、特定の実施形態につき上記に提示した。しかしながら、上記に説明したものとは別の実施形態も可能であり、本開示の範囲内にある。ハードウェアまたはソフトウェアによって方法を実施する、上記で説明したものとは異なる方法ステップが、本開示の範囲内で提供されてもよい。したがって、例示的な実施形態によれば、成形型システムSの制御ユニットの1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供され、この1つ以上のプログラムは、上述した実施形態のいずれか1つによる方法を実行するための命令を含んでいる。代替的に、別の例示的な実施形態によれば、クラウドコンピューティングシステムを、本明細書で提示された方法の態様のいずれかを実行するように構成することができる。クラウドコンピューティングシステムは、1つ以上のコンピュータプログラム製品の制御下で本明細書に提示した方法の態様を共同で実行する分散クラウドコンピューティングリソースを含むことができる。さらに、プロセッサは、外部エンティティ、例えばセンサ、オフサイトサーバ、またはクラウドベースサーバとデータを受信および/または送信するための1つ以上の通信インタフェースおよび/またはセンサインタフェースに接続されていてよい。
【0083】
成形型システムSのプロセッサは、データ処理もしくは信号処理を行うために、またはメモリに格納されたコンピュータコードを実行するために、任意の数のハードウェアコンポーネントであってもよいし、それらを含んでいてもよい。システムは、関連するメモリを有していてよく、メモリは、本明細書に記載の様々な方法を完了するまたは容易にするためのデータおよび/またはコンピュータコードを格納するための1つ以上の装置であってよい。メモリは、揮発性メモリまたは不揮発性メモリを含むことができる。メモリは、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、または本明細書の様々なアクティビティをサポートするための任意の他の種類の情報構造を含むことができる。例示的な実施形態によれば、本明細書のシステムおよび方法と共に、任意の分散メモリまたはローカルメモリ装置が利用されてよい。例示的な実施形態によれば、メモリは、(例えば、回路または任意の他の有線接続、無線接続、またはネットワーク接続を介して)プロセッサに通信可能に接続されており、本明細書に記載された1つ以上のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含んでいる。
【0084】
上記の説明は本質的に単に例示的なものであり、本開示の用途または使用を限定するものではないことが理解されるだろう。特定の例が明細書に記載され、かつ図面に示されているが、当業者であれば、特許請求の範囲に規定された本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてよく、かつ等価物がその要素の代わりに用いられてもよいことを理解するだろう。さらに、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を、本開示の教示に適合させるために改変がなされてもよい。したがって、本開示は、図面によって示され、本開示の教示を実施するために現在考えられる最良の形態として明細書に記載された特定の例に限定されるものではなく、本開示の範囲は、前述の説明および添付の特許請求の範囲に含まれる任意の実施形態を含むことになる。請求項に記載された参照符号は、請求項によって保護されている事項の範囲を限定するものと見なすべきではなく、参照符号の唯一の機能は、請求項を理解しやすくすることである。
【符号の説明】
【0085】
1 セルロース製品
1a 縁部構造
2 セルロースブランク構造体
2a 製品区分
2b 残余区分
2c 移行区分
3 成形型
3a 第1の型部分
3b 第2の型部分
4 切断パターン
4a ブリッジ構造
5 第1の切断部
5a 第1の切断線
5b 第1の中間区分
6 第2の切断部
6a 第2の切断線
6b 第2の中間区分
7 付加的な切断部
7a 付加的な切断線
7b 付加的な中間区分
8 供給ユニット
8a 供給ベルト
8b 吸引通路
9 切断ユニット
10 ロータリーダイカッタ
10a ダイカッタ
10b アンビルロール
11 コンパクトユニット
11a 第1のコンパクトローラ
11b 第2のコンパクトローラ
12 凹部
14 縁部成形装置
14a 突出エレメント
14b 縁部区分
14c ばね
14d ストッパ部材
15a 第1のローラ
15b 第2のローラ
16a 凹設された部分
16b 凹設されていない部分
17 穴あけカッタ
18 トラクターフィード孔
18a 切取片
18b 接続部分
19 スプロケットホイール
20 プレス切断装置
20a プレート構造体
20b 切断エレメント
20c 圧力シリンダ
20d アンビル構造体
C 成形キャビティ
DC1 第1の圧縮度
DC2 第2の圧縮度
DF 供給方向
DP プレス方向
E 変形エレメント
FPOS 成形位置
PEF 縁部成形圧
PF 成形圧
R 列
TEF 縁部成形温度
TF 成形温度
S 成形型システム
【国際調査報告】