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特表2024-504946経皮ドレナージのためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】経皮ドレナージのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
A61M27/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542869
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 US2022012188
(87)【国際公開番号】W WO2022155252
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/137,092
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523266084
【氏名又は名称】ノヴィラド、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バレシュ、エリ、ラシード
(72)【発明者】
【氏名】ペーニャ、マシュー アイザック
(72)【発明者】
【氏名】ヴ、リン クォック
(72)【発明者】
【氏名】バウティスタ、ロイ ジェリク ガルシア
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA03
4C267CC04
4C267GG01
(57)【要約】
【解決手段】ドレナージ部位の経皮的ドレナージのためのシステムは、カテーテルと、ドレインチューブと、第1のポンプと、フラッシュチューブと、第2のポンプと、コントローラとを含む。カテーテルは、カテーテル壁の第1の部分および隔壁によって画定されるドレインルーメンと、カテーテル壁の第2の部分および隔壁によって画定され、隔壁によってドレインルーメンから分離されるフラッシュルーメンとを含む。隔壁は、ドレインルーメンおよびフラッシュルーメンが少なくとも1つの隔壁孔を介して連通するように、その中に配置された少なくとも1つの隔壁孔を有する。カテーテル壁は、カテーテルの遠位端部分がドレナージ部位内に配置されたときにドレインルーメンがドレナージ部位と連通するように、その中に配置された少なくとも1つの壁孔を有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレナージ部位の経皮的ドレナージのためのシステムであって、
前記システムが、
カテーテルの近位端部分から、前記ドレナージ部位内に配置される前記カテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、
前記カテーテル壁内に配置され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在する隔壁と、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第1の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第2の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在し、前記隔壁によって前記ドレインルーメンから分離されているフラッシュルーメンと、を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記近位端部分で前記ドレインルーメンに結合された第1の端部と、排泄物収集容器に結合された第2の端部とを有するドレインチューブと、
前記ドレインチューブの前記第1の端部と前記ドレインチューブの前記第2の端部との間でドレインチューブに結合された第1のポンプと、
前記カテーテルの前記近位端部分において前記フラッシュルーメンに結合された前記第1の端部と、フラッシュ材料が配置されたフラッシュ材料容器に結合された第2の端部とを有するフラッシュチューブと、
前記フラッシュチューブの前記第1の端部と前記フラッシュチューブの前記第2の端部との間でフラッシュチューブに結合された第2のポンプと、
前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを制御するための、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプに結合されたコントローラと、
を備え、
前記隔壁に前記カテーテルの前記遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの隔壁孔を設けることによって、前記ドレインルーメンおよび前記フラッシュルーメンは前記少なくとも1つの隔壁孔を介して連通し、
前記カテーテル壁は前記カテーテルの前記遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を設けることによって、前記ドレインルーメンは、前記カテーテルの前記遠位端部分がドレナージ部位内に配置されることによって前記ドレナージ部位と連通するシステム。
【請求項2】
前記ドレインルーメンの容積は前記フラッシュルーメンの容積に等しい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ドレインルーメンの容積は前記フラッシュルーメンの容積よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの隔壁孔は、複数の隔壁孔を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの隔壁孔が、第1の直径を有する遠位孔と、第2の直径を有する近位孔とを備え、前記第2の直径が前記第1の直径とは異なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの隔壁孔および前記少なくとも1つの壁孔がオフセットされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ドレインチューブおよび前記コントローラに結合された圧力センサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のポンプ、前記第2のポンプ、および前記コントローラが内部に配置されたハウジングをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記フラッシュチューブに結合された注入ポートをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
第3のチューブによって前記注入ポートに連結されたシリンジをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
第3のチューブによって前記注入ポートに結合された第3のポンプをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
ドレナージ部位の経皮的ドレナージのためのカテーテルであって、
前記カテーテルが、
カテーテルの近位端部分から、前記ドレナージ部位内に配置される前記カテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、
前記カテーテル壁内に配置され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在する隔壁と、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第1の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第2の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在し、前記隔壁によって前記ドレインルーメンから分離されているフラッシュルーメンと、
を備え、
前記隔壁は、前記ドレインルーメンおよび前記フラッシュルーメンが少なくとも1つの隔壁孔を介して連通するように、前記カテーテルの遠位端部分に近接して配置された前記少なくとも1つの隔壁孔を有し、
前記カテーテル壁は、前記遠位端部分が前記ドレナージ部位内に配置されたときに、前記ドレインルーメンが前記ドレナージ部位と連通するように、前記カテーテルの前記遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を有するカテーテル。
【請求項14】
前記ドレインルーメンの容積は前記フラッシュルーメンの容積と等しい、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記ドレインルーメンの容積は前記フラッシュルーメンの容積よりも大きい、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記少なくとも1つの隔壁孔は、複数の隔壁孔を含む、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記少なくとも1つの隔壁孔は、第1の直径を有する遠位孔と、第2の直径を有する近位孔とを備え、前記第2の直径は前記第1の直径とは異なる、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記少なくとも1つの隔壁孔および前記少なくとも1つの壁孔がオフセットされている、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項20】
ドレナージ部位の経皮的ドレナージのための方法であって、
カテーテルの近位端部分から、前記ドレナージ部位内に配置される前記カテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、
前記カテーテル壁内に配置され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在する隔壁と、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第1の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第2の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在し、前記隔壁によって前記ドレインルーメンから分離されているフラッシュルーメンと、
を備えたカテーテルであって、
前記隔壁は、前記ドレインルーメンおよび前記フラッシュルーメンが少なくとも1つの隔壁孔を介して連通するように、前記カテーテルの遠位端部分に近接して配置された前記少なくとも1つの隔壁孔を有し、
前記カテーテル壁は、前記遠位端部分が前記ドレナージ部位内に配置されたときに、前記ドレインルーメンが前記ドレナージ部位と連通するように、前記カテーテルの前記遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を有するカテーテルであり、
前記カテーテルをドレナージ部位に挿入するステップと、
前記ドレインルーメンを介して前記ドレナージ部位から流体を引き出すステップと、
前記ドレインルーメン内の閉塞を特定するステップと、
前記少なくとも1つの前記隔壁孔を介して、前記フラッシュルーメンを通して前記ドレインルーメン内に洗浄液を流して閉塞を除去するステップとを備えた方法。
【請求項21】
前記ドレインルーメンを介して前記ドレナージ部位から前記流体を引き出すことを一時停止するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記一時停止するステップが、前記ドレインルーメン内の前記流体の流れの方向を反転させるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ドレインルーメンを介して、前記ドレナージ部位から前記流体を引き出すことを再開するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
記ドレナージ部位からの流体の引き出し速度を監視するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ドレナージ部位からの前記流体の引き出し速度の変化率を監視するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ドレインルーメン内の閉塞を特定するステップが、前記ドレナージ部位からの前記流体の引き出し率、および前記ドレナージ部位からの前記流体の前記引き出し率の変化率のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に基づいて特定する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記排泄ルーメン内の圧力を監視するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記排泄ルーメン内の前記圧力の変化率を監視するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ドレインルーメン内の閉塞を特定するステップは、前記ドレインルーメン内の前記圧力、および前記ドレインルーメン内の前記圧力の変化率のうちの1つまたは複数の少なくとも一部分に基づいて特定する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ドレナージ部位の経皮的ドレナージのためのシステムであって、
カテーテルの近位端部分から、前記ドレナージ部位内に配置される前記カテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、
前記カテーテル壁内に配置され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在する隔壁と、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第1の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、
前記カテーテル壁および前記隔壁の第2の部分によって画定され、前記カテーテルの前記近位端部分から前記カテーテルの前記遠位端部分まで延在し、前記隔壁によって前記ドレインルーメンから分離されているフラッシュルーメンと、を有するカテーテルと、
前記カテーテルの前記近位端部分で前記ドレインルーメンに結合された第1の端部と、排泄物収集容器に結合された第2の端部とを有するドレインチューブと、
前記ドレインチューブの前記第1の端部と前記ドレインチューブの前記第2の端部との間でドレインチューブに結合された第1のポンプと、
前記カテーテルの前記近位端部分において前記フラッシュルーメンに結合された前記第1の端部と、フラッシュ材料が配置されたフラッシュ材料容器に結合された第2の端部とを有するフラッシュチューブと、
前記フラッシュチューブの前記第1の端部と前記フラッシュチューブの前記第2の端部との間でフラッシュチューブに結合された第2のポンプと、
前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを制御するための、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプに結合されたコントローラと、
を備え、
前記カテーテル壁の前記第1の部分は、前記カテーテルの前記遠位端部分が前記ドレナージ部位内に配置されたときに、前記ドレインルーメンが前記ドレナージ部位と連通するように、前記カテーテルの前記遠位端部分に近接して配置された少なくとも第1の壁孔を有し、
前記カテーテル壁の前記第2の部分は、前記カテーテルの前記遠位端部分が前記ドレナージ部位内に配置されたときに、前記フラッシュルーメンが前記ドレナージ部位と連通するように、前記カテーテルの前記遠位端部分に近接して配置された少なくとも第2の壁孔を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)本出願は2021年1月13日に出願された米国仮出願第63/137,092号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先権が主張される。
【0002】
(開示対象分野)
開示される主題は、例えば、身体からの異常な、おそらく感染した流体収集物を排出するための経皮的ドレナージのためのシステムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
感染/炎症(すなわち、膿瘍)、内臓閉塞/穿孔(すなわち、尿路または胆管の閉塞)、および/または出血(すなわち、血腫)に起因して、体内に病理学的流体が蓄積することがある。流体は、画像誘導経皮ドレナージシステムを使用して排出することができる。例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波(US)、および/または蛍光透視(XR)ガイダンスを使用して、医師(例えば、インターベンショナル・ラジオロジスト(画像下治療の放射線科医))は異常な流体収集物を非侵襲的に視覚化し、続いて、低侵襲技術を使用して、皮膚を通してドレナージカテーテルを収集物内に挿入することができる。ドレナージカテーテルは、長さと管腔直径が可変の中空のプラスチックチューブであり、その遠位端が形成するループ形状にちなんで「ピグテール(pigtail)」カテーテルとして知られる最も一般的に使用されるタイプであり得る。ドレナージカテーテルは、その遠位端に1つまたは複数の側孔が存在することによって機能し、異常な流体はそれを通してカテーテルのルーメンに入り、その近位端に取り付けられたバッグ内に収集され得る。重力または断続的に印加されるバブル吸引力の下で、排水が起こり得る。ドレナージカテーテルの平均滞留時間は約28日間であり得、粘性流体および/または粒子状物質によるルーメン閉塞/閉塞による二次的なデバイス故障は、チューブ直径にかかわらず、その時間の約25~30%発生し得る。排液不良は、患者の病気の再発を引き起こす可能性があり、敗血症に関連する死亡を防ぐために、侵襲的処置を繰り返し行う必要があり、追加のリスクとコストがかかる可能性がある。研究によれば、ドレナージカテーテルの最大85%は除去前に少なくとも1回は交換する必要があり、直径が大きくてもルーメンの開通性または必要な滞留時間において有意な利点がもたらさないことが示されているにもかかわらず、50%はサイズアップされることがあることを示している。
【0004】
ルーメンの開通性を維持するのを助けるために、医療提供者、ならびに患者および/または介護者は、規定された体積の無菌生理食塩水を、スケジュールされた頻度でカテーテルに手動で注入するように指示され得る。これは、ルーメンの潤滑性を増加させ、カテーテル壁および側壁孔から付着した破片を除去し、ドレイン流体の粘度を低下させることができる。しかし、この治療介入は必ずしも効果的ではなく、指示が遵守されないことが一般的に問題となる。カテーテルの洗い流し忘れ、注入液の少なすぎまたは多すぎ、滅菌生理食塩水の代わりに滅菌されていない水道水の使用は、カテーテルの閉塞、治癒の遅れ、カテーテル関連の表在性感染症または深部組織感染症などのさらなる合併症の一般的な原因である。
【0005】
さらに、患者は一般に長期間にわたり1つ以上のドレナージカテーテルとともに生きることに、負の心理社会的影響があることが報告されている。チューブおよび排泄物収集バッグは物理的に扱いにくく、不快であり、見苦しく、社会的に汚名を着せられる可能性がある。
【0006】
したがって、経皮的ドレナージのための改善されたシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
開示された主題の目的および利点は以下の説明に記載され、以下の説明から明らかになるとともに、開示される主題を実践することによって学習されるであろう。開示された主題のさらなる利点は、特に、本明細書および本明細書の特許請求の範囲、ならびに添付の図面において指摘される方法およびシステムによって実現および達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらおよび他の利点を達成するために、および開示される主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、開示される主題は、経皮的ドレナージのためのシステムおよび方法を対象とする。例えば、ドレナージ部位の経皮的ドレナージのためのシステムは、カテーテル、ドレインチューブ、第1のポンプ、フラッシュチューブ、第2のポンプ、およびコントローラを含む。カテーテルは、カテーテルの近位端部分からドレナージ部位内に配置されるカテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、カテーテル壁内に配置されるカテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在する隔壁と、カテーテル壁および隔壁の第1の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、カテーテル壁および隔壁の第2の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在し、隔壁によってドレインルーメンから分離されているフラッシュルーメンとを備える。ドレインチューブは、カテーテルの近位端部分でドレインルーメンに結合された第1の端部と、排泄物収集容器に結合された第2の端部とを有する。第1のポンプは、ドレインチューブの第1の端部とドレインチューブの第2の端部との間でドレインチューブに結合される。フラッシュチューブは、カテーテルの近位端部分においてフラッシュルーメンに結合された第1の端部と、その中に配置されたフラッシュ材料を有するフラッシュ材料容器に結合された第2の端部とを含む。第2のポンプは、フラッシュチューブの第1の端部とフラッシュチューブの第2の端部との間でフラッシュチューブに結合される。コントローラは第1のポンプおよび第2のポンプを制御するために、第1のポンプおよび第2のポンプに結合される。隔壁は、その中にカテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの隔壁孔を有し、その結果、ドレインルーメンおよびフラッシュルーメンは、少なくとも1つの隔壁孔を介して連通する。カテーテル壁は、カテーテルの遠位端部分がドレイン部位内に配置されたときに、ドレインルーメンがドレイン部位と連通するように、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を有する。
【0009】
ドレインルーメンの容積は、フラッシュルーメンの容積に等しくすることができる。ドレインルーメンの容積は、フラッシュルーメンの容積よりも大きくしてもよい。少なくとも1つの隔壁孔は、複数の隔壁孔を含むことができる。少なくとも1つの隔壁孔は、第1の直径を有する遠位孔と、第2の直径を有する近位孔とを含むことができ、第2の直径は、第1の直径とは異なる。第2の直径は、第1の直径よりも小さくすることができる。少なくとも1つの隔壁孔および少なくとも1つの壁孔は、オフセットさせることができる。
【0010】
システムは、ドレインチューブおよびコントローラに結合された圧力センサまたは流量監視センサを備えることができる。システムは、第1のポンプ、第2のポンプ、およびコントローラが内部に配置されたハウジングを備えることができる。システムは、フラッシュチューブに結合された注入ポートを備えることができる。システムは、第3のチューブによって注入ポートに連結されたシリンジを備えることができ、および/または、システムは、第3のチューブによって注入ポートに結合された第3のポンプを備えることができる。
【0011】
開示される主題によれば、ドレナージ部位の経皮的ドレナージのためのカテーテルが提供される。カテーテルは、カテーテルの近位端部分からドレナージ部位内に配置されるカテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、カテーテル壁内に配置され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在する隔壁と、カテーテル壁および隔壁の第1の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、カテーテル壁および隔壁の第2の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在し、隔壁によってドレインルーメンから分離されるフラッシュルーメンとを含むことができる。隔壁は、その中にカテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの隔壁孔を有することができ、その結果、ドレインルーメンおよびフラッシュルーメンは、少なくとも1つの隔壁孔を介して連通する。カテーテル壁は、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を有し、その結果、遠位端部分がドレナージ部位内に配置されたときに、ドレインルーメンがドレナージ部位と連通する。
【0012】
開示される主題によれば、ドレナージ部位の経皮的ドレナージの方法が提供される。本方法は、カテーテルをドレナージ部位に挿入するステップを含むことができ、カテーテルはカテーテルの近位端部分からドレナージ部位内に配置されるカテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、カテーテル壁内に配置され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在する隔壁と、カテーテル壁および隔壁の第1の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、カテーテル壁および隔壁の第2の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在し、隔壁によってドレインルーメンから分離されるフラッシュルーメンとを含み、隔壁は、カテーテルの遠位端部分に近接して配置される少なくとも1つの隔壁孔を有し、その結果、ドレインルーメンおよびフラッシュルーメンが少なくとも1つの隔壁孔を介して連通し、カテーテル壁は、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を有し、その結果、遠位端部分がドレナージ部位内に配置されたときに、ドレインルーメンがドレナージ部位と連通する。方法は、ドレインルーメンを介してドレナージ部位から流体を引き出すステップと、ドレインルーメン内の閉塞を特定するステップと、フラッシュルーメンを通って、少なくとも1つの隔壁孔を介してドレインルーメン内に洗浄液を流し、それによって閉塞を除去するステップと、ドレインルーメンを介してドレナージ部位から流体を引き出すことを再開するステップとをさらに含むことができる。
【0013】
本方法は、ドレインルーメンを介してドレナージ部位から流体を引き出すことを一時停止するステップを含むことができる。一時停止するステップは、ドレインルーメン内の流体の流れの方向を反転させるステップを含むことができる。本方法は、ドレナージ部位からの流体の引き出し速度を監視するステップを含むことができる。本方法は、ドレインルーメンを介してドレナージ部位から流体を引き出すことを再開するステップを含むことができる。本方法は、ドレナージ部位からの流体引き出し率の変化率を監視するステップを含むことができる。ドレイン内の閉塞を特定するステップは、ドレイン部位からの流体の引き出し率およびドレイン部位からの流体の引き出し率の変化率のうちの1つまたは複数の少なくとも一部に基づくことができる。方法は、排泄ルーメン内の圧力を監視するステップを含むことができる。方法は、排泄ルーメン内の圧力の変化率を監視するステップを含むことができる。ドレインルーメン内の閉塞を特定するステップは、ドレインルーメン内の圧力およびドレインルーメン内の圧力の変化率のうちの1つまたは複数の少なくとも一部に基づくことができる。
【0014】
開示される主題によれば、ドレナージ部位の経皮ドレナージのためのシステムは、カテーテル、ドレインチューブ、第1のポンプ、フラッシュチューブ、第2のポンプ、およびコントローラを含むことができる。カテーテルは、カテーテルの近位端部分からドレナージ部位内に配置されるカテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、カテーテル壁内に配置され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在する隔壁と、カテーテル壁および隔壁の第1の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、カテーテル壁および隔壁の第2の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在し、隔壁によってドレインルーメンから分離されるフラッシュルーメンとを含む。ドレインチューブは、カテーテルの近位端部分でドレインルーメンに結合された第1の端部と、排泄物収集容器に結合された第2の端部とを有するドレインチューブを有する。第1のポンプは、ドレインチューブの第1の端部とドレインチューブの第2の端部との間でドレインチューブに結合される。フラッシュチューブは、カテーテルの近位端部分においてフラッシュルーメンに結合された第1の端部と、その中に配置されたフラッシュ材料を有するフラッシュ材料容器に結合された第2の端部とを含む。第2のポンプは、フラッシュチューブの第1の端部とフラッシュチューブの第2の端部との間でフラッシュチューブに結合される。コントローラは、第1のポンプおよび第2のポンプを制御するために、第1のポンプおよび第2のポンプに結合される。カテーテル壁の第1の部分は、カテーテルの遠位端部分がドレナージ部位内に配置されたときに、ドレインルーメンがドレナージ部位と連通するように、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも第1の壁孔を有する。カテーテル壁の第2の部分は、カテーテルの遠位端部分がドレナージ部位内に配置されたときに、フラッシュルーメンがドレナージ部位と連通するように、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも第2の壁孔を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
この特許または出願書類は、色彩を付して作成された少なくとも1つの図面を含んでいる。色彩図面があるこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な手数料の納付によって、特許商標庁によって提供される。
図1A】開示された主題による経皮ドレナージのための例示的なシステムの概略図である(その1)。
図1B】開示された主題による経皮ドレナージのための例示的なシステムの概略図である(その2)。
図2】開示される主題による、図1Aのシステムとともに使用するための例示的カテーテルの断面図である。
図3A】開示される主題による、図1Aのシステムとともに使用するための例示的なカテーテルの断面図を提供する(その1)。
図3B】開示される主題による、図1Aのシステムとともに使用するための例示的なカテーテルの断面図を提供する(その2)。
図3C】開示される主題による、図1Aのシステムとともに使用するための例示的なカテーテルの断面図を提供する(その3)。
図4】開示された主題による、図1Aのシステムとともに使用するための例示的なハウジングの斜視図である。
図5A】開示される主題による、図1Aのシステムとともに使用するための特定の要素とともに、例示的な基部およびカバーのそれぞれの斜視図である(その1)。
図5B】開示される主題による、図1Aのシステムとともに使用するための特定の要素とともに、例示的な基部およびカバーのそれぞれの斜視図である(その2)。
図6】開示された主題による、図1Aのシステムとともに使用するための特定の要素とともに、例示的なハウジングの上面切欠図である。
図7】開示された主題による、図1Aのシステムとともに使用するための特定の要素のブロック図である。
図8】開示される主題による、図1Aのシステムとともに使用するためのウェアラブル構成要素の複数の図を提供する。
図9A図1Aのシステムとともに使用するためのグラフィカルユーザインターフェースの図を提供する(その1)。
図9B図1Aのシステムとともに使用するためのグラフィカルユーザインターフェースの図を提供する(その2)。
図9C図1Aのシステムとともに使用するためのグラフィカルユーザインターフェースの図を提供する(その3)。
図10】開示される主題による、複数のドレナージカテーテルを含む経皮ドレナージのための例示的なシステムの一部の概略図である。
図11】開示される主題による、1つまたは複数のモジュール式ポンプに結合された制御ユニットを図示する。
図12】3つの異なる吸引条件を用いた、開示された主題に従った、ドレナージカテーテルを通る20分間にわたる吸引の結果のプロットである。
図13】数値流体力学解析に使用される、開示された主題による例示的なカテーテルの概略図である。
図14】開示された主題による、カテーテルの数値流体力学解析の例示的な結果を示す。
図15】開示される主題による、様々なフラッシュ方法を使用する数値流体力学解析カテーテルの例示的な結果を示す。
図16】開示された主題による、可変の隔壁孔位置を有するカテーテルの数値流体力学解析の例示的な結果を示す。
図17】開示された主題による、可変の隔壁孔直径を有するカテーテルの数値流体力学解析の例示的な結果を示す。
図18】開示される主題による、可変の内腔体積比を有するカテーテルの数値流体力学解析の例示的な結果を示す。
図19】開示された主題による、外側のフラッシュ孔を有するまたは有さないカテーテルの数値流体力学解析の例示的な結果を示す。
図20】開示される主題による、遠位端孔を有するまたは有さないカテーテルの数値流体力学解析の例示的な結果を示す。
図21】ドレナージ部位の経皮的ドレナージのための方法のフローチャートである。
図22】開示された主題による経腸栄養のための例示的なシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[詳細な説明]
ここで、開示された主題の様々な例示的な実施形態を詳細に参照し、その例示的な実施形態を添付の図面に示す。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「前記(the)」、および単数名詞などの単数形は文脈から明らかに沿わないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。
【0017】
一般に、そして以下により詳細に説明されるように、本明細書に提供される開示される主題は、経皮的ドレナージのためのシステムおよび方法が含まれる。例えば、ドレナージ部位の経皮的ドレナージのためのシステムは、カテーテル、ドレインチューブ、第1のポンプ、フラッシュチューブ、第2のポンプ、およびコントローラを含む。カテーテルは、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、ドレナージ部位内に配置されるように構成されたカテーテルの遠位端部分と、カテーテル壁内に配置されるカテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在する隔壁と、カテーテル壁および隔壁の第1の部分によって画定されるカテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、カテーテル壁および隔壁の第2の部分によって画定されるカテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するフラッシュルーメンとを含み、フラッシュルーメンは隔壁によってドレインルーメンから分離される。ドレインチューブは、カテーテルの近位端部分でドレインルーメンに結合された第1の端部と、排泄物収集容器に結合された第2の端部とを有する。第1のポンプは、ドレインチューブの第1の端部とドレインチューブの第2の端部との間でドレインチューブに結合される。フラッシュチューブは、カテーテルの近位端部分においてフラッシュルーメンに結合された第1の端部と、その中に配置されたフラッシュ材料を有するフラッシュ材料容器に結合された第2の端部とを含む。第2のポンプは、フラッシュチューブの第1の端部とフラッシュチューブの第2の端部との間でフラッシュチューブに結合される。コントローラは第1のポンプおよび第2のポンプを制御するために、第1のポンプおよび第2のポンプに結合される。隔壁はその中にカテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの隔壁孔を有し、その結果、ドレインルーメンおよびフラッシュルーメンは、少なくとも1つの隔壁孔を介して連通する。カテーテル壁はカテーテルの遠位端部分がドレナージ部位内に配置されたときにドレインルーメンがドレナージ部位と連通するように、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を有する。
【0018】
システムおよび方法は、膿瘍ドレナージなどの特定の経皮ドレナージに関して本明細書に記載されているが、システムおよび方法はインターベンショナル・ラジオロジーおよび/または手術の分野に共通する多種多様な臨床用途に使用することができる。例えば、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、経皮的胸腔瘻造設術(すなわち、液体および/または気体の胸腔ドレナージおよび/または胸膜癒着術);経皮的心膜瘻造設術(すなわち、心膜ドレナージ);経皮的腎瘻造設術、腎尿管吻合術、および/または膀胱瘻造設術(すなわち、尿路内のドレナージおよび/または洗浄);経皮的胆嚢瘻造設術および胆管(内外)ドレナージ;嚢胞性病変、再発性の体液貯留(リンパ節やその他のリンパ系障害など)、および/または中空内臓(胆嚢摘出術に不適当と考えられる候補の胆嚢など)の経皮的化学的切除および/または硬化;経皮的食道瘻造設術、胃瘻造設術、胃空腸瘻造設術、空腸瘻造設術、および/または盲腸切開術(すなわち、消化管/消化管);水頭症/CSF高血圧に対する経皮的脳室瘻造設術および髄膜嚢ドレナージ;ならびに、動脈および/または静脈血管系の血栓塞栓症に対する経皮的血栓溶解術/血栓除去術/塞栓除去術に対して用いることができる。
【0019】
以下により詳細に記載されるように、本明細書に記載されるシステムおよび方法は、典型的には重力または手動の吸引バルブに依存する標準的なドレナージカテーテルと比較した場合、電動ポンプのシステムを使用して、より速い速度で体から不要な流体を迅速に排出することができる。システムおよび方法は、切迫したルーメン閉塞、ドレナージが良好に完了したこと、および/または、出血、気胸、もしくは瘻形成などの合併症など、様々なシステム状態を示すプログラム可能なセンサを介して、カテーテルの圧力動態および流体体積移動の変化を検出することができる。システムおよび方法は、滅菌生理食塩水および/または補助的な化学的/生物学的薬剤を使用する自己洗浄、デュアルルーメン設計を介して、カテーテルの閉塞を防止および/または軽減することができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、流体収集物の組成物(例えば、体積、粘度)に合わせて調整されたプログラム可能な吸引/フラッシュプロファイルを含むことができ、ワイヤレス技術を介してドレーンカテーテルシステムの性能を遠隔で監視および制御することができる。これにより、医療提供者および/または患者が、吸引および/または洗浄(フラッシュ)率、容量、および/または頻度などのポンプ設定を調整することを可能にすることができる。さらに、システムおよび方法はバイオメトリックデータ(例えば、敗血症を示すことができる患者の体温)を収集および分析することができる。収集されたデータは、治療方針の決定を導くために使用することができる。本明細書に記載されるシステムは、電子機器(例えば、ポンプ、回路基板、電源)、滅菌フラッシュ、および排泄物収集のための別個の筐体を備え、再利用を可能にする使い捨てコンポーネントを備えた内蔵型の動力付きのウェアラブルアセンブリに収容することができる。
【0020】
図1A図3を参照するが、これに限定するのではなく例示することを目的として開示するものであり、システム100は経皮的ドレナージのための構成を示すことができる。システム100は、カテーテル10、ドレイン(排出、吸引、および/または排泄)チューブ50、フラッシュ(流入)チューブ51、コネクタ52、ドレイン(排出、吸引、および/または排泄)ポンプ30、フラッシュ(流入)ポンプ40、コントローラ60、排泄物収集容器70、およびフラッシュ材料容器71を含むことができる。フラッシュ材料容器71は、フラッシュ材料72を含むことができる。フラッシュ材料72は、生理食塩水、または他の適切なフラッシュ材料であり得る。例えば、抗菌剤(例えば、抗生物質および抗真菌薬)または治療用酵素(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子[tPA]、ドルナーゼ、コラゲナーゼ、およびその他)の1つまたは複数が含まれている場合と、含まれていない場合があるが、通常は無菌の(0.9%)生理食塩水を使用することができる。システム100は、コントローラ60と通信するリモートデバイス67を含むことができる。排泄物収集容器70は、事前に規定されたベースライン真空/負の内部圧力を有することができる。
【0021】
以下でより詳細に説明するように、カテーテル10は、患者のドレナージ部位2に配置することができる。システム100は第1のルーメン(例えば、以下で説明されるドレインルーメン15)を使用して、ドレナージ部位2から流体を排出することができる。システム100は、(1)局所希釈剤を定期的に送達するために第2のルーメン(例えば、以下に記載されるフラッシュルーメン16)を使用すること、および/または、(2)閉塞した破片を除去するために第1のルーメン内の流れを反転させること、またはその両方(同時にまたは非同時に)によって、第1のルーメンの開通性を維持することができる。
【0022】
カテーテル10は、カテーテル10の近位端部分12からカテーテル10の遠位端部分13まで延びるカテーテル壁11を含むことができる。カテーテル10の遠位端部分13は、ドレナージ部位2に配置されるように構成することができる。カテーテル10は、デュアルルーメンカテーテル10とすることができる。例えば、カテーテル10は、カテーテル壁11内に配置され、カテーテル10の近位端部分12からカテーテル10の遠位端部分13まで延在する隔壁14を含むことができる。カテーテル壁11Aおよび隔壁14の第1の部分はドレインルーメン15(流出、吸引、および/または排泄ルーメンとも呼ばれる)を画定することができ、カテーテル壁11Bおよび隔壁の第2の部分は、フラッシュルーメン16(流入ルーメンとも呼ばれる)を画定することができる。ドレインルーメン15およびフラッシュルーメン16の各々は、カテーテル10の近位端部分12からカテーテル10の遠位端部分13まで延在することができる。ドレインルーメン15とフラッシュルーメン16との間の体積比は等しくても(すなわち、50-50;図3A)、または等しくなくてもよく、例えば、80-20、70-30(図3B)、60-40(図3B)、または所望の流動力学を達成するための任意の他の適切な比であってもよい。特定のデュアルルーメンカテーテル(すなわち、隔壁によって分離された2つのルーメン)について記載されているが、任意の適切なデュアルルーメンカテーテルを使用することができる。例えば、同軸ルーメンを有するカテーテル、または、隔壁がカテーテルの長手方向軸の長さに沿って直線状、曲線状、もしくは、らせん状、ねじれている隔壁を有するカテーテル、または、2つの平行な円筒形もしくは半円筒形(または平坦な縁部を有する他の形状)のカテーテルが長さ方向に沿って融合され、直線状にもしくはカテーテルの長軸に沿ってルーメンがねじれた(絡み合っている)カテーテルが含まれる。別の例として、ドレインルーメン15またはフラッシュルーメン16を、カテーテル壁11に組み込むことができる。さらに、ドレインルーメン15、フラッシュルーメン16、カテーテル壁11、および隔壁14は、所望の流動力学を達成するために任意の適切な形状を有することができる。カテーテル10の構成材料は、生体適合性があり、マルチルーメンカテーテル構成のための一般的な方法である熱可塑性押出成形に適した任意の適切な材料することができる。例えば、カテーテル10は、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、または熱応答性ポリマーとすることができる。カテーテル壁は、薄いフィラメント材料で編まれていなくても、および/または編まれていてもよい。
【0023】
隔壁14は、その長さに沿って少なくとも1つの隔壁孔17(例えば、17A~17F;開窓(fenestrations)とも称される)を含むことができ、その結果、ドレインルーメン15およびフラッシュルーメン16は、隔壁孔17を介して連通する。例えば、これに限定するものではなく例示を目的とするものであるが、図2に示されるように、隔壁14は、6つの隔壁孔17を含むことができる。隔壁孔17は、カテーテル10の遠位端部分13に近接して配置することができる。カテーテル壁11は、その長さに沿って少なくとも1つの壁孔18(例えば、18A~18D)を含むことができ、その結果、カテーテル10の遠位端部分13がドレナージ部位2内に配置されたときに、ドレインルーメン15がドレナージ部位2と連通する。例えば、これに限定するものではなく例示するものであるが、図2に示されるように、カテーテル壁11は、4つの壁孔18を含むことができる。壁孔18は、カテーテル10の遠位端部分13に近接して配置することができる。加えて、または代替として、ドレインルーメンはドレナージ部位とのさらなる連通を提供するために、またはカテーテル10がガイドワイヤを介して送達されることを可能にするために、開いた遠位端孔を有することができる。
【0024】
例示的な実施形態では、カテーテル10がカテーテル10の遠位端部分13がドレナージ部位2内に配置されるとき、フラッシュルーメン16がドレナージ部位2と連通するように、その長さに沿ってカテーテル壁11Bの第2の部分に少なくとも1つの壁孔18を含むことができる。そのような実施形態では、隔壁14が隔壁孔17がないか、または1つの隔壁孔17を備えることができる。このようなカテーテル10は、浄化剤(detergent)などの酵素剤および/または腐食剤(caustic agents)をフラッシュルーメン16を介して注入部位に送達するために使用することができ、これは体液収集の複雑な成分を溶解するかおよび/または別の態様では分解することができ、同様に腔内で炎症反応を医原性に誘発して瘢痕化および治癒を促進することができる。ドレインルーメン15は、フラッシュ材料、ならびにその下にある病的な状態の流体を収集し、除去するために使用され得る。
【0025】
壁孔18は、任意の適切な手段、例えば、パンチ、ドリル、またはレーザによって形成することができる。隔壁孔17も、同様に、任意の適切な手段によって形成することができる。必要に応じて(例えば、孔が意図されていない場合)、カテーテル壁11または隔壁14の内部への損傷を防止するために、隔壁孔17および/または壁孔18を形成するときに、不活性(inert)で耐久性のあるインサートを使用することができる。隔壁孔17は、例えば、壁孔18を通して隔壁14にある角度で穿刺器具を送達することによって、壁孔18からオフセットさせることができる。例えば、壁孔18に適合する穿刺器具を使用して、隔壁孔17を形成することができる。これは、(例えば、隔壁孔17A、17Bと壁孔18Aとの間の関係により)洗浄液を壁孔18に向けて戻すことができる隔壁孔17を作り出すことができる。さらに、隔壁孔17はある角度で開けることができ、したがって、隔壁孔17は、隔壁孔17のすぐ近位の位置にある対応する壁孔18に向けて洗浄液を戻すように方向付けることができる。隔壁孔17および壁孔18はそれぞれ、隔壁14およびカテーテル壁11に沿った任意の適切な位置に配置することができ、以下でより詳細に説明するように、所望の流動力学を提供するための任意の適切なサイズまたは形状とすることができる。壁孔18および隔壁孔17のサイズは、カテーテル10の長さに沿って変化することができる。例えば、より遠位にある隔壁孔17(例えば、17A、17B)はより近位にある隔壁孔17(例えば、17E、17F)よりも大きくてもよい。これは、カテーテルの長さに沿って隔壁孔17を通るほぼ同等の流れを維持することができる。あるいは、より高い率で特定の隔壁孔を通る流体流を提供することが望ましい場合がある。特定の隔壁孔を通過する流量が多くなると、対応する壁孔または隣接する壁孔の開通性に影響を与える可能性がある。例えば、隔壁孔17は、流体がカテーテル10の近位端部分12からカテーテルの遠位端部分13までフラッシュルーメン16内を流れるにつれて、直径が次第に大きくなるようにしてもよい。あるいは、遠位にある隔壁孔17(例えば、17A、17B)は近位にある隔壁孔17(例えば、17E、17F)よりも直径が小さくてもよい。特定の例について記載されているが、フラッシュルーメン16とドレインルーメン15との間の連通を作り出すために、任意の適切な隔壁孔17を使用することができ、ドレインルーメン15とドレナージ部位2との間の連通を作り出すために任意の適切な壁孔18を使用することができる。さらに、カテーテル10の遠位端部分13に向かう壁孔18Aおよび18Bにおいて、遠位端部分13に向かう壁孔は、使用中により詰まりやすい傾向があるので、より大きい流速を達成することが望ましい場合がある。特定の隔壁孔17および壁孔18について記載されているが、任意の適切な隔壁孔17および壁孔18を使用して、所望の流動力学を達成することができる。例えば、様々なサイズの孔、長さに沿ったサイズの勾配、様々な形状(例えば、楕円形、スリット、多角形、円形)を使用することができる。孔の壁は、真っ直ぐ、先細り、丸みを帯び、または湾曲することができる。孔は、カテーテルの任意の態様(例えば、らせん状)に沿って、交互に並べるか、または整列されてもよい。隔壁孔17および壁孔18の例示的な配置は、以下でより詳細に提供される。
【0026】
フラッシュルーメン16の遠位端部分は、閉じるようにしてもよい。例えば、フラッシュルーメン16の遠位端部を閉じるための遠位プラグ19または他の好適な手段を設けることができる。遠位プラグ19は洗浄溶液(例えば、滅菌溶液)がカテーテル10の遠位先端部から出るのを防止することができ、代わりに、隔壁孔17を通して、洗浄溶液をドレインルーメン15に流し込むことができる。これは、ドレインルーメン15内の圧力を増加させることができ、ドレインルーメン15または壁孔18を塞ぐ物質を取り除くことができる。また、洗浄溶液はドレナージ部位2の排液を容易にするために、より粘性のある体液を希釈することができる。遠位プラグ19および/またはカテーテル10の遠位端は、組織を通ってドレナージ部位2への挿入を容易にするために丸くすることができる。フラッシュルーメン16の遠位端部分を閉じるための特定のシステムが記載されているが、フラッシュルーメン16の遠位端部分を閉じるための任意の好適な手段を使用することができる。ドレインルーメン15の遠位端部分は開くことができ、これによりドレナージ部位2とのさらなる連通を可能にすることができ、かつ/または、ドレインルーメン15の遠位端部分はガイドワイヤを使用して送るために使用することができ、例えば、Seldinger法によるオーバーザワイヤカテーテル挿入に使用する。
【0027】
カテーテル10は、直線状、ピグテール状、ループ状、または他の湾曲した構成を有することができる。1つまたは複数の構成/曲率の組み合わせを連続して含めるようにしてもよいし、1つまたは複数の構成/曲率を順番に繰り返すようにしてもよい。カテーテル10は、第1の構成における配置を行い、次いで、第2の構成に移行するように変形可能であり得る。例えば、形状記憶材料を使用して、カテーテル10を第2の状態に移行させて、カテーテル10を所定の位置に保持することができる。
【0028】
開示される主題によれば、カテーテル10は、サイズが大きな近位部分12から小さい遠位部分13までサイズのテーパを含むことができ、その結果、カテーテルの本体は遠位部分13がドレナージ部位2から外れたときには、皮下トンネル路を完全に閉塞することができる。また、テーパ状の外径により、カテーテル周囲の漏れを防止することができる。追加的に、または代替的に、カテーテル10は、その近位中間セグメントに沿って外壁11上に短い長さのリブおよび/または溝付きねじ山を含むことができ、これは、カテーテルを固定デバイスで固定することを可能にすることができる。例えば、非吸収性縫合糸を使用して、カテーテルの長さに沿って滑ることなく、カテーテルを皮膚にしっかりと固定することができる。あるいは、膨張可能なバルーン、マッシュルーム形状のシリコーンドーム、鋸歯状リング、または展開可能なTタックはカテーテルの長さを皮膚開口部のレベルまで滑り落とすことができ、カテーテル10を皮下軟組織に固定することができる。
【0029】
これに限定するのではなく例示を目的とするものであるが、図1Bに示されるように、システム100Aはシステム100の特徴の各々を含み、フラッシュチューブ51および第3のチューブ54に結合されたシリンジ注入ポート53をさらに含むことができる。第3のチューブ54は、シリンジ55(または第3のポンプおよびリザーバ)に連結することができる。シリンジ55は、硬化剤、薬物、または他の追加の物質をフラッシュチューブ51内に送達するために使用することができる。
【0030】
これに限定するのではなく例示を目的とするものであるが、図4図6を参照すると、システム100は、ハウジング80を含むことができる。ハウジングは、例えば、システム100の一部または全ての電子コンポーネントを収容するための筐体であり得る。例えば、ハウジング80は、ドレインポンプ30、フラッシュポンプ40、およびコントローラ60を収容することができる。ハウジング80は、基部81およびカバー82を含むことができる。基部81および/またはカバー82は、様々な電子部品を支持するための取り付け機構83(例えば、83A、83B)を含むことができる。取り付け機構83は、例えば、M3×10mmソケットヘッドキャップねじ(SHCS)を受けるように構成され得るM3ヒートセットインサートであってもよい。特定の取り付け機構が説明されているが、任意の適切な取り付け機構83、例えば、ねじ、釘、または接着剤を使用することができる。カバー82は任意の適切な手段、例えば、M3×10mmのSHCSによって基部81に固定することができる。一緒に固定されると、基部81およびカバー82は、電子部品のための保護および絶縁ハウジング80を形成することができる。ハウジング80は、ハウジング80が、例えばウェアラブルパック(以下でより詳細に説明される)の内部に保持され得るサイズにして成形されてもよい。
【0031】
ドレインポンプ30およびフラッシュポンプ40は、任意の適切なポンプ、例えば、6V蠕動ポンプとすることができ、ハウジング80内に取り付けることができる。同様に、コントローラ60はマイクロコントローラ61(例えば、Arduino Unoマイクロコントローラ)、モータドライバ62(例えば、L298Nモータドライバ)、バッテリ63(例えば、200mAh 9.6V Ni-MHバッテリ)、および送信機64(例えば、adafruit Bluefruit LE Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)トランスミッタ)などの任意の必要なまたは適切な電子機器を含むことができる。ドレインポンプ30、フラッシュポンプ40、およびコントローラ60について、特定の要素について説明したが、任意の適切な要素を使用することができる。また、ハウジング80は、例えば、蓋82上に、ブレッドボード65を収容することができる。ブレッドボード65は、バッテリ電力をバッテリ63からマイクロコントローラ61およびモータドライバ62に送るために使用することができ、モジュール式の拡張可能なオフボード回路を必要に応じて追加することを可能にすることができる。また、ハウジング80は、T接合コネクタ84を介してドレインチューブ50に取り付けられた圧力センサ66を含むことができる。ハウジング80は流体体積および排出された流体の流れを測定するために、フラッシュ材料容器71および排泄物収集容器70に負荷トランスデューサまたは液体レベルセンサを含むことができる。圧力センサ66はダイヤフラムシールを含み、MEMSセンサを利用することができる。
【0032】
基部81およびカバー82はそれぞれ、ドレインポンプ30およびフラッシュポンプ40の位置に対応し得るスロット85、86(それぞれ)を有することができ、ドレインチューブ50およびフラッシュチューブ51がそれぞれのドレインポンプ30およびフラッシュポンプ40と接続できるように、基部81およびカバー82の両方を通るドレインチューブ50およびフラッシュチューブ51の通路とすることができる。例えば、ドレインチューブ50は、排泄物収集容器70からカバー82内のスロット86を通って延びて、ドレインポンプ30と接続するように経路が定められ、続いて、T接合コネクタ84を経由し、基部81内のスロット85を通って、次いで、コネクタ52を介してカテーテル10の近位端部分12においてドレインルーメン15に結合することができる。フラッシュチューブ51はフラッシュ材料容器71から、カバー82内のスロット85を通って延びて、フラッシュポンプ40と接続するように経路が定められ、基部81内のスロット85を通って、次いで、コネクタ52を介してカテーテル10の近位端部分12においてフラッシュルーメン16に結合することができる。
【0033】
これに限定するものではなく説明することを目的するものであるが、図7を参照すると、バッテリ63は、ハウジング80内に配置された1つまたは複数の要素に電力を供給することができる。バッテリ63は、例えば、再充電または交換のために、ハウジングから取り外し可能であり得る。バッテリ63は、ブレッドボード65に接続することができる。スイッチ69は、装置をオンおよびオフにするために、バッテリ63とブレッドボード65との間に設けることができる。電力は、ブレッドボード65において、送信機64、マイクロコントローラ61、およびモータドライバ62に分配することができる。
【0034】
マイクロコントローラ61は、送信機64、モータドライバ62、ドレインポンプ30、フラッシュポンプ40、および圧力センサ66のためのロジックを提供するために使用することができる。例えば、マイクロコントローラ61はArduino Unoボードとすることができ、Arduino Integrated Development Environment(IDE)においてC++でプログラムすることができる。マイクロコントローラ61はドレインチューブ50の圧力測定値を受け取るために、圧力センサ66に接続することができる。マイクロコントローラ61は、情報(例えば、動作命令を受信し、圧力測定値または他の測定値を送信する)を、コンピュータ(ラップトップまたはデスクトップコンピュータなど)、パーソナルデータまたはパーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、携帯電話またはポータブルメディアプレーヤなどの他のユーザ機器またはタブレットなどのリモートデバイス67と送受信するために、送信機64に接続することができる。送信機64とリモートデバイス67との間の通信は、有線で、またはネットワーク、無線周波数、またはBluetooth(登録商標)などのワイヤレス接続のうちの1つまたは複数を介して行うことができる。また、マイクロコントローラ61は、ドレインポンプ30およびフラッシュポンプ40の各々と接続可能なモータドライバ62に接続することができる。したがって、マイクロコントローラは、制御信号をモータドライバ62に(例えば、デジタル信号の形式で)送信することができ、モータドライバ62は信号、例えばパルス信号またはステップ信号と方向信号(例えば、ポンプ電圧の形式で)を、ドレインポンプ30およびフラッシュポンプ40に送信することができる。特定の配置について記載されているが、所望の排液および洗浄を達成するために、任意の適切な配置を電子部品に使用することができる。
【0035】
これに限定でするものはなく例示することを目的とするものであるが、図8を参照すると、ハウジング80は、ベルト装着式パウチ91などの装着可能な構成要素90内に適合するようにサイズを決めことができる。ベルト92は調節可能であり、患者がシステム100を比較的容易に運ぶことを可能にすることができる。パウチ91はハウジング80に適合するように設計することができ、フラッシュチューブ51および排泄チューブ50がパウチ91を通って延びるように、穴またはスロットを含めることができる。2つの外部容器93、94は、ホルスターを介して直接ベルトに、またはパウチ91内の内蔵ポケットに取り付けることができる様々なサイズで利用可能である。外部容器93、94は、フラッシュ材料容器71および排泄物収集容器70をそれぞれ保持することができる。特定のウェアラブル構成要素について説明したが、任意の適切なウェアラブル構成要素を使用することができる。
【0036】
通常動作において、カテーテル10は、ドレナージ部位2に送達され得る。命令がマイクロコントローラ61からモータドライバ62に提供され、ドレインポンプ30を動作させてドレインチューブ50と連動して、壁孔18、ドレインルーメン15、ドレインチューブ50を通って排泄物収集容器70(ドレインラインとも呼ばれる)内にドレナージ部位から流体を引き出すことができる。一方向(例えば、ダックビル)弁は排液の逆流および/または漏れを防止するために、ドレインラインの様々な要素内および/または接合部で使用することができる。排出中、圧力センサ66はドレインチューブ50内の圧力を連続的に(または断続的に)測定することができ、マイクロコントローラ61に連続して電圧を供給することができる。例えば、約1000Hzでの10個の圧力センサの測定値など、バッファ全体の平均値を取得できる。ドレイン経路内(すなわち、壁孔18、ドレインルーメン15、またはドレインチューブ50内)に詰まりが形成される場合、平均圧力値は、閾値を超えて上昇する可能性がある。閾値は、例えば、ユーザ定義の閾値とすることができる。システム100は、平均圧力が増加して目詰まりがあることを示していれば、フラッシュ動作が開始され得ることを認識することができる。例えば、マイクロコントローラ61は、モータドライバ62を介して、ドレインポンプ30を停止させる信号を送信することができる。マイクロコントローラ61はモータドライバ62を介して、フラッシュポンプ40を始動または増強させて、フラッシュ材料容器71から、フラッシュチューブ51を通り、フラッシュルーメン16を通り、隔壁孔17(フラッシュラインとも呼ばれる)を通るように、洗浄液をポンプで送るための信号を送信することができる。追加的にまたは代替的に、マイクロコントローラ61は、モータドライバ62を介して、ドレインポンプ30の逆方向に信号を送信することができる。これらの動作は、壁孔18、ドレインルーメン15、および/またはドレインチューブ50に形成され得る詰まりを洗い流すことができる。マイクロコントローラ61は、ドレインライン内の逆流の速度を制御することができ、例えば、洗浄体積がドレインルーメン15およびドレインチューブ50の長さに等しくなるようにプログラムすることができる。これにより、排泄物収集容器70内に存在していた既存の排泄物が、再び体内へ導入されるのを防止することができる。フラッシュ動作が実行された後、マイクロコントローラ61はモータドライバ62を介して、フラッシュポンプ40の動作を停止し、ドレインポンプ30の動作を再開してドレインプロセスを再開するための信号を送信する。圧力の読み取り値が安定している間は、短時間で複数回フラッシュすることを防止するために、別の測定バッファを使用することができる。図1Bのシステム100aでは、マイクロコントローラ61が溶液(例えば、硬化剤/薬物)をフラッシュチューブ51内に追加して、フラッシュライン内に送達するために、シリンジ55(または第3のポンプ)をさらに制御することができる。
【0037】
リモートデバイス67は、Bluetooth(登録商標)接続部などの無線送信を介して送信機64と通信することができる。例えば、Adafruit Bluefruitライブラリを使用することができる。android(登録商標) Studioを使用して、Java(登録商標)でコンパニオンアプリケーション(例えば、android(登録商標)オペレーティングシステムで使用する場合)を開発できる。アプリケーションはマイクロコントローラ65へのBluetooth(登録商標)接続を(送信機64を介して)可能にすることができ、それにより、患者の状態または病状の設定に対して最適化された異なるデバイスの設定がアプリケーション上でユーザ(例えば、臨床医)によって選択され、カスタマイズされることが可能になる。例えば、ポンプ速度、フラッシュ頻度、およびフラッシュ容積は、アプリケーションを使用して調整することができる。異なる病状、チューブ直径、およびカテーテルの寸法に合わせたプリセット用のデバイス構成および設定は、入力されるアプリケーションにおいて指定することで、使いやすさおよび特異性を改善することができる。加えて、スケジュールによって、詰まりが検出されなくてもカテーテル10を定期的にフラッシュすることが可能なフラッシュ頻度を制御するように、ユーザによってプログラムすることができる。また、アプリケーションは、詰まりが検出されることが必要なのではなく、アプリケーションで選択すると、システムをフラッシュしたり、またはフローを反転させたりするなど、手動ポンプ動作へのアクセスを提供する。アプリケーションは、グラフィカルユーザインターフェース68(図9A図9C)を介して、または、代替としてハードウェアと一体化された物理的制御(例えば、タッチスクリーン)を用いて制御することができる。
【0038】
統計および情報は収集され、コントローラ60内に記憶され得る。例えば、バイオメトリクスおよび流体排出の統計(例えば、排出された膿瘍容積、吸引中に生成された圧力)を収集し、保存することができる。流体排出の統計は、排泄物収集容器またはフラッシュ材料容器がそれぞれ満杯または空であり、交換が必要なときにアプリケーションを介してユーザに通知するために使用され得る。コントローラ60は、各使用前にリセットすることができる。アルゴリズムは、ポンプ速度および持続時間を使用してどれだけの膿瘍容積が排出されたかを計算するための回帰式など、マイクロコントローラ65上で実行され得る。情報は、(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、セルラーネットワーク、または無線周波数を介して)リモートデバイス67に転送され、ユーザによってアクセスすることができる。次いで、情報は、さらなる診断のために使用することができ、追加のおよび/または新しい命令がリモートデバイス67を介して提供され得る。例えば、圧力の変化がゆるやかで一貫して低下しているときは、膿瘍がつぶれたか、または治癒していることを示しているが、一方、圧力の変化の急激な増加は、閉塞(例えば、瘻孔)が形成されているか、またはカテーテルの機能不全を示しているかもしれない。したがって、警告を医療提供者に提供することができる。
【0039】
追加または代替として、追加のプログラム可能な特徴を提供することができる。例えば、リアルタイムで同時にポンプが機能する、交互に機能する、ポンプ機能の反転させる、高圧力/低圧力の設定の変更、センサの閾値は、ポンプ動作および設定をカスタマイズすることで可能になる。吸引/フラッシュの設定は、排液、閉塞したルーメンの破片、およびドレナージ部位2内の変換された圧力についての機械的特性を自動的に調整/適応するように構成することができる。例えば、システムは、空気(気胸)、薄い漿液(例えば、漿液腫、尿、腹水、胸水、嚢胞)、中間の粘性の流体(例えば、膿瘍/膿胸からの膿、非感染胆汁、感染尿)、および粘性が高い流体(例えば、感染胆汁、液状化血腫、重感染壊死組織、膵仮性嚢胞、腸内容物の破裂)を含む排液される流体に応じて、異なる動作することができる。例えば、加圧パルスが加えられた滅菌生理食塩水洗浄を使用して、複雑な収集物を洗浄し、その内容物を液化することができる。
【0040】
追加または代替として、統合された一組の患者バイオメトリックセンサ(例えば、体温、心拍数、血圧、グルコースレベル、水和状態、または他のバイオメトリック情報)を提供することができ、システムの機能にさらに影響を及ぼすかもしれない。リアルタイムデータは、(リモートデバイス67に加えて、またはその代わりに)HIPAAセキュアウェブサイトに送信することができ、医療提供者はそれを監視し、健康状態の重大な変化について変更通知を提供することができる。例えば、流体流量の変化率、全吸引流体体積/時間、カテーテル10および/または体腔内の圧力を監視し、伝達することができる。毎日の体液排出量がゆるやかに漸進的な減少していれば、患者の医学的転帰を示しており、例えば、膿瘍が消散している、空気漏れがさらになければ気胸が解消しているので胸腔造設チューブの除去が可能になる、胆嚢管の開通により胆嚢瘻チューブの除去が可能になる、尿管の開通によりPCN/PCNU除去が可能なるかもしれない。体腔内圧の急速な上昇および流れに対する抵抗は、出血を示しているかもしれない。体腔圧の急速な低下は、瘻形成を示しているかもしれない。バイオフィードバックデータは、人工知能および機械学習技法と併せて使用することで、特定のタイプの流体収集、予想される排液の解消、および患者の健康リスクレベルのための排液機能をより良好に予測および管理することができる。データの特定の例と、そのデータを保存、送信、および使用する方法について説明するが、任意の適切なデータを測定、保存、送信し、または依拠してもよい。
【0041】
開示される主題によれば、ルーメン内の破片および/または抗菌薬を溶解するためにフラッシュラインに注入することが可能な化学薬品/酵素剤が含まれた予め充填されたカートリッジを提供することができる。例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ドナーゼ、コラゲナーゼ、滅菌弱酸性溶液、または抗菌/抗真菌薬のうちの1つ以上を提供することができる。加えて、または代替として、カテーテル10に取り付けられた高周波発振器を介したカテーテル振動、超音波分解のための埋め込まれた圧電性結晶、および/または他の機構が、ルーメンの開通性を維持するために使用され得る。除去される廃液の特定の化学組成を決定するために、統合されたバイオエージェントアッセイを提供することができる。
【0042】
[1つまたは複数のカテーテルおよび/または1つまたは複数のポンプを有する多重システム]
【0043】
開示される主題によれば、複数のカテーテル10を一人の患者に提供することができ、1つまたは複数の制御システム(例えば、単一のCPU)が各カテーテル10を管理することができる。例えば、患者は複数のドレナージカテーテルを受けることができ、単一の中央レシーバは各ドレナージカテーテル10の変更が可能な機能を管理および/または調整することができる(例えば、閉塞の監視、フラッシュする時期の決定、患者の状態の監視)。さらに、システムはモジュール式に積み重ねられ、各流体収集に1つのシステムを割り当てることができ、これは、患者に対する人間工学的負担を最小限にすることができ、管理を容易にすることができる。
【0044】
図10を参照すると、複数の別の膿瘍200A、200Bまたは単一の多房性膿瘍を有する個々の患者は、適切な流体排出のために複数のドレナージカテーテル10A、10Bの挿入が必要となることがある。システムが、複数の別の膿瘍、または一つの多房性膿瘍を治療するために使用される場合、システムは、複数のカテーテルで同時に吸引および洗浄を行うのか、またはカテーテル間で切り替えて交互のドレナージを行うのかのいずれかができるように多重化することがある。この多重化された機能により、単一のシステムでそのコントローラロジックを介して、個々の患者における複数のドレナージおよび/またはフィーディングカテーテルを自動的に制御したり、またはモジュール方式でより多くのポンプをシステムに追加したりすることが可能になる。例えば、カテーテル10Aと10Bとの間の三方活栓として示される弁103は、複数の膿瘍または一つの複雑な膿瘍をドレナージする2つ以上のカテーテル間のドレナージを交互に行うことができる。弁103は、第1の状態と第2の状態とを切り替えることができる。図10に示す第1の状態では、流体が第1の膿瘍200Aから弁103を通って排泄物収集容器70に連通している。第1の状態では排泄物が第1の膿瘍200Aから除去され得るが、第2の膿瘍200Bからは除去され得ない。第2の状態(図示せず)では、流体が第2の膿瘍200Bから弁103を通って排泄物収集容器70に連通している。第2の状態では、排泄物を第2の膿瘍200Bから移動することができるが、第1の膿瘍200Aから移動することはできない。追加的にまたは代替的に、弁103は、コントローラ60によって自動的に操作される。
【0045】
開示される主題によれば、複数のポンプおよび/または弁は、中央制御ユニットによって調整され得る。例えば、複数のドレインポンプおよびフラッシュポンプは、複数のカテーテルの同時の吸引および洗浄、またはカテーテル間で切り替わる交互のドレナージのいずれかを可能にするように多重化され得る。代替または追加して、中央制御ユニットの制御下で複数の弁を切り替えることができる。中央制御ユニットは、複数のポンプおよび/または弁の動作を調整する。
【0046】
複数のポンプに関して、複数のポンプを中央制御ユニットに差し込むことができ、中央制御ユニットは、次いで、各モジュール式ポンプに電力を供給し、個別に制御することができる。図11を参照すると、中央制御ユニット101は電力を供給し、各個々のポンプ(102a、102b、102c、102d)の動作を調整するハブとして機能する。個々のポンプは、ユニークな数値を指定することで識別することができ、それに応じて正確に個々のポンプがプログラムされ、正確なライン(吸引またはフラッシュとして機能する)が特定の個々のポンプに固定されることを確実にする。各個々のポンプは、その役割に応じて、排泄物収集容器70またはフラッシュ材料容器71のいずれかに取り付けることができる。中央制御装置101は、個々のポンプが独立してプログラムされることを可能にする。個々のポンプ(例えば、102a、102b)を中央制御ユニット101に差し込んで、直接接続をすることで電力および通信を受け取ることができる。さらに、個々のポンプ(例えば、102c、102d)をポンプ102aまたは102bに差し込んで、別のポンプを通った電力および通信を受け取ることができる。開示された主題に従って、追加のポンプを追加することができる。例えば、2つの追加のドレナージカテーテルを追加する場合、最大4つの個々のポンプをシステムに追加することができる。
【0047】
複数の弁に関して、追加の弁をポンプとカテーテルとの間に配置することができる。これらの複数の弁は制御ユニット101によって調整することができ、複数の弁は2つ以上の別個のカテーテルをサービスするために、2つ以上の異なる状態の間で切り替えることができる。弁の位置に応じて、流体は弁を通って流れることを許可したりまたは留めたりすることができ、したがって、個々のカテーテルへの吸引またはフラッシュを切り替えて適用することを可能にする。これは限定するものではなく例示を目的とするものであるが、図10を再び参照すると、蠕動ポンプ102によって生成される吸引を使用して第1の膿瘍200Aを排出すると、弁103は、制御ユニット101によって指示される2つの状態の間で切り替えることができる。例えば、切換弁103は、それぞれ第1および第2の膿瘍200A、200B内にそれぞれ配置された第1のカテーテル10Aと第2のカテーテル10Bとの間で切り替えることができる。代替的にまたは追加的に、蠕動ポンプ102は、定期的なフラッシングとポンピングを交互に行うことができ、または、詰まった状態がライン内で検出された場合、オンデマンドでフラッシングすることができる。
【0048】
[実験結果:吸引性能に及ぼす周期的フラッシュの影響]
【0049】
開示された主題によれば、3つの異なる吸引条件を使用する本明細書に開示されるシステムの排液性能が比較された。フラッシュルーメン16、ドレインルーメン15、および隔壁14を横切って外部ドレナージ壁孔(例えば、18A~18D)を洗浄するための隔壁孔17を有するカテーテル10を使用した。隔壁14を横切るフラッシングは、少なくとも1つの外部ドレナージ壁孔18A~18Dを塞ぐ破片を取り除き、カテーテル10のルーメン開通性を維持するために、膿瘍物質を局所的に希釈することができる。本明細書で具現化されるカテーテルは3つの異なる吸引条件、すなわち、(1)ウレシルアコーディオン吸引バルブによって提供される吸引、(2)蠕動ポンプからの吸引のみ、および(3)蠕動ポンプからの周期的なフラッシングを伴う吸引を使用してテストが行われた。乳製品に配合した果実からなる膿瘍類似物を用いた。条件(3)において、吸引に加えて洗浄を行った場合、10mLの水を、2分ごとに18秒間にわたって、第2の蠕動ポンプによってカテーテルを通して洗浄した。さらに、開示されたカテーテルは、対象として3つの異なる吸引条件下で水を用いてテストされた。全ての3つの吸引条件は、5分以内に100mL(100g)の水を排出した(データは示さず)。
【0050】
図12を参照すると、3つの異なる吸引条件を使用して、本明細書に開示されるようなドレナージカテーテルを通る20分間にわたる吸引の結果が示されている。本明細書に開示されるようなカテーテルを使用して、膿瘍類似体を排出した20分後には、ウレシルアコーディオンバルブは4.0+/―2.1gの物質を除去し、フラッシングなしの蠕動ポンプは61.0+/―6.3gの物質を除去し、周期的にフラッシングを行なった蠕動ポンプは、81.4+/―3.8gの物質を除去した。蠕動ポンプは、アコーディオンバルブと比較して、最初の20分間で膿瘍物質を約15倍排出した。定期的なフラッシングにより、同じ吸引方式を使用した場合では、同じ時間枠で33%の改善が得られた。ウレシルアコーディオンバルブ吸引および蠕動吸引を単独(すなわち、フラッシングなし)で使用した場合、4つの排出孔の急速な閉塞がこの時間枠内に観察され、その後のアコーディオンバルブのプライミング(データは示さず)はほとんどまたは全く効果がなかった。吸引力が4つの直径2mmのドレナージ孔を通して物質を引っ張るのに不十分なままである場合、カテーテルは閉塞されたままとなり、フラッシングによって除去されない限り、ドレナージは、停止するかまたは著しく減少する。
【0051】
さらに、図12を参照すると、標準誤差が網掛け領域に示され、排出された平均質量が3つの吸引条件のそれぞれについて示されている。定期的な洗浄によって、粘性物質を局所的に希釈しながら、外部ドレナージ孔から障害物を除去することができる。現在の医療行為では、フラッシングがまれに(例えば、8時間に1回)手動で行われる。手動で定期的なフラッシングを増やすのは、臨床現場では実用的ではない。しかしながら、本明細書で実証されるように、隔壁孔を有するマルチルーメンカテーテルを使用して外部ドレナージ孔を自動で定期的に洗浄することで、同等の吸引圧力でドレナージを改善することができる。
【0052】
[計算流体力学(CFD)解析と結果:カテーテル構造評価]
【0053】
開示される主題によれば、開示されるカテーテルの計算流体力学(CFD)分析は、物理的プロトタイプの必要がなく、異なるカテーテル構造を評価するために使用された。CFDでは、外部ドレナージ壁孔の全体にわたってフラッシュフローのプロファイルを均等に分布させるパラメータを決定することができる。閉塞はカテーテルの外部排出孔または隔壁孔を横切って不規則に起こり得るので、カテーテルの破損につながる閉塞の可能性を最小限に抑えるために、カテーテルの全長にわたって均一に洗浄することが重要である。
【0054】
例えば、反復シミュレーションのプロトタイピングを通して、異なるカテーテルを迅速にモデル化し、カテーテルの外部ドレナージ孔および隔壁孔を通る流速によって測定されるフラッシング性能について評価した。デュアルルーメンカテーテルの全ての3Dモデルは、3Dパラメトリックモデリングソフトウェア、Fusion 360(Autodesk,San Rafael,CA,United States)を用いて作成した。幾何学的な変更因子を用いて、カテーテル構造コンセプトを生成するために、カテーテルの構造的特徴をパラメータで操作した。図13を参照すると、元の基準のカテーテル構造(コンセプトA)は、13mm間隔で配置された4つの外部ドレナージ壁孔18a~18d(直径2mm)と、壁孔18a~18dと等しい間隔で整列された4つの隔壁孔17a~17d(直径1mm)とを有するデュアルルーメンチャネルから構成された。カテーテル10の遠位先端部は、テーパ状とすることができ、多目的ドレナージカテーテルに一般的に見られるガイド孔を模倣する小さな開口部を有する。遠位開口部21は、排泄ルーメン15と直接的に連通し、フラッシュルーメン16とは間接的に連通することができる。CFD解析では、遠位開口部21を通る流体の流れはサイズおよび位置が流体力学にわずかに影響を与えただけであるため、無視された。
【0055】
再び図1Aを参照すると、カテーテル10はフラッシュルーメンと排泄ルーメンの両方に取り付けられた2つの可逆ポンプを有し、これらは独立して制御することができる。典型的なフラッシング動作は、同じ流体速度で吸引ポンプを短時間で反転させることと組み合わせて、より大きな正の流れ、したがって壁孔18a~18dで圧力を発生させて、破片を除去することができる。図15では、基準カテーテルコンセプトAの構造を使用して、様々なフラッシュポンピングおよび/または吸引ポンピング技術を比較した。CFDを用いて、生理食塩水のフラッシュのみの場合と、生理食塩水のフラッシュと吸引ポンプの反転動作を同時に行う場合について行い、CFDの差を定量化した。加えて、同時に洗浄と吸引ポンプの反転を、生理食塩水のフラッシュのみで洗浄速度が2倍の技術と比較して、洗浄液の流れが、(a)排泄ルーメン15およびフラッシュルーメン16の両方のルーメンにわたって分割されるか、または(b)フラッシュルーメン16のみであるか、の場合で比較して、壁孔18a~18dにおける平均流量を測定した。フラッシュポンプと吸引ポンプの両方を同時に運転する場合について、全ての構造的な変更を分析するために使用された。
【0056】
それに続いてカテーテルの幾何学的形状に対する構造的な変更を行うことで、フラッシング性能を改善した。これらの構造的な変更には、遠位孔への隔壁孔の位置合わせ、隔壁孔直径の変化、ならびに排泄ルーメンおよびフラッシュルーメンの断面積が含まれる。全てのコンセプトを基準のカテーテル構造(コンセプトA)と比較して、フラッシング中の壁孔の流速の増加/減少を評価した。表1は、テストした様々なカテーテル構造をまとめたものである。
【0057】
コンセプトBおよびCでは、隔壁孔17a~17dの位置は、カテーテルに沿って壁孔18a~18dに対して互い違いになっている。洗浄液と排泄ルーメンからの反転との間の接合部における流体干渉は、代わりに位置決めによって補償することができ、壁孔の流れを改善することが理論付けられた。コンセプトDおよびEでは、隔壁孔17a~17dの直径は、隔壁孔の直径が近位端部分12の近くの隔壁孔17dから遠位端部分13の近くの隔壁孔17aに向かって大きくなるように変化させた。さらに、コンセプトFおよびGでは、ベンチュリ効果が増すとフラッシングを改善することができるかどうかを調べるために、排泄ルーメン対するフラッシュルーメンの体積比を大きくした。カテーテルのコンセプトA~Gの構造を表1に示す。
【0058】
【表1】

表1-基準のカテーテル(コンセプトA)に対する構造変化の要約である。カテーテルコンセプトB~Gについて進められたCFD解析は、体積比、隔壁孔直径、および隔壁孔位置の変化をシミュレートした。
【0059】
[CFD方法および手順]
【0060】
CFD解析を実施するために、提案されたカテーテル設計の3D CADモデルをOpenFOAM CFDソフトウェア(The OpenFOAM Foundation, United Kingdom)にインポートした。OpenFOAMでは、カテーテルコンセプトA~Gについて、約5:1のスケールで有限要素モデルが生成された。スケーリングモデルは、シミュレーションの複雑さを低減し、CFDシミュレーションを完了する時間を短縮するための一般的なアプローチである。装置の洗浄段階での流体力学を可視化し、全てのカテーテル設計コンセプトにわたって定量化した。OpenFOAMでは、カテーテルコンセプトA~Gにわたって単純な定常状態の流体シミュレーションを行った。図14に関して、有限体積法を適用して、基本的なNavier-Stokes方程式を解いた流線を示す。これらのシミュレーションでは、熱伝達が仮定されていないので、質量保存および運動量保存の方程式のみが適用された。圧縮されていない液体の流れを想定して、水の均一な液体特性を両方の入口で使用した。フラッシュ流の入口速度は、フラッシュ流に対して1.5cm/sで定義した。フラッシュポンプおよび吸引ポンプの反転を調べるとき、1.5cm/sのフラッシュ流の入口速度が排泄ルーメン入口で再現された。設計コンセプト間のカテーテル性能を、フラッシング中の出口における定常状態の流体速度を測定することによって評価した。具体的には、外部排水壁孔18a~18dの表面積を横切る平均流体流速を算出した。
【0061】
[反復CFD比較分析:生理食塩水フラッシュシミュレーション]
【0062】
図15と対応する表2では、生理食塩水フラッシュシミュレーションでは、フラッシュのみと比較した場合、同時にフラッシュと吸引ポンプを反転する場合は全ての壁孔の速度(18a~18d)に実質的な増加があった。流体流は、壁孔18d、18c、18b、および18aについてそれぞれ147%、102%、79%、および82%増加した。フラッシュポンプおよび吸引ポンプの反転は、初期の流体速度の2倍での生理食塩水フラッシュ中に観察された流速に非常に近似していた。これらの2つの条件間で減少したのは、全ての壁孔にわたって16%未満であった。したがって、その後の全てのCFD設計評価は、生理食塩水フラッシュと排泄流除去の機構のみを使用する。表2は、図15の3つのテストに使用された基準カテーテル(コンセプトA)からの結果を示す。表2に関して、基準カテーテルを、生理食塩水フラッシュのみ、生理食塩水フラッシュおよびドレナージルーメンにおける同時吸引(すなわち、流体流反転)、ならびに生理食塩水フラッシュのみを速度の2倍で用いて分析した。
【0063】
表2-基準カテーテル(コンセプトA)の生理食塩水フラッシュおよび/または同時に行われるポンプのシミュレーションのCFD結果である。
【表2】
【0064】
[反復CFD比較分析:隔壁孔シフト(コンセプトBおよびC)]
【0065】
図16と対応する表3では、隔壁孔17a~17dが、近位端部分12に向かってシフトされて、カテーテル性能が評価された。カテーテルコンセプトBでは、近位端部分12に向かって隔壁孔17a~17dを1.0mmシフトさせた場合と、ベースラインカテーテルコンセプトAと比較して、全ての出口壁孔18a~18dにおける流体速度を増加させることができる。カテーテルコンセプトCにおける近位端部分12に向かって隔壁孔17a~17dを6.5mmシフトさせた場合は、最近位にある壁孔18dおよび18cにおける流体速度を増加させることができるが、最遠位にある壁孔18bおよび18aにおける流体速度を減少させる。表3では、出口壁孔18d、18c、18b、および18aにわたる流体速度の変化は、それぞれ、+43%、+17%、-2%、および-13%であった。コンセプトBにおける最大の流体速度の増加は、15%の増加で出口18dにおいて観察された。
【0066】
【表3】

表3-基準カテーテル(コンセプトA)と比較したコンセプトカテーテル構造BおよびCの壁孔の流速。:基準カテーテルコンセプトAと比較して、隔壁孔(例えば、17a~17d、図13)を近位端部分12に向かってシフトさせる関数として、壁孔18a~18dにおける流体速度の変化。
【0067】
[反復CFD比較分析:隔壁孔の径の変更(コンセプトDおよびE)]
【0068】
図17と対応する表4では、コンセプトDおよびEは、隔壁孔17a~17dのその直径を変更してCFDの結果が評価された。カテーテルコンセプトDでは、隔壁孔17d、17c、17b、および17aの隔壁孔直径は、基準カテーテルの全ての隔壁孔について1mmからそれぞれが1mm、1.5mm、2mm、および3mmに変更された。基準カテーテルコンセプトAと比較して、カテーテルコンセプトDの最近位の壁孔18dおよび18cにおける流体速度は増加したが、最遠位の壁孔18bおよび18aにおける流体速度は減少した。カテーテルコンセプトEでは、隔壁孔17d、17c、17b、17aの隔壁孔径をそれぞれ0.5mm、0.75mm、1mm、1.5mmに変更した。コンセプトEでは、流体速度の減少が最近位の壁孔18d(41%)および18c(16%)で観察されたが、流体速度の実質的な増加は壁孔18a(37%)で観察された。上述のように、ドレナージ中に、壁孔18が詰まる可能性がある。カテーテルの遠位端部分13に向かう壁孔は、カテーテルの近位端部分12に向かう壁孔18よりも目詰まりを起こしやすい。したがって、カテーテルの遠位端部分13に向かって流体速度を増大するために、隔壁孔直径を指定することができる。隔壁孔17および/または壁孔18において流体速度が増加することで、詰まった物質を取り除き、カテーテルの開通性を維持するのを助けることができる。
【0069】
【表4】

表4-隔壁孔径の変化に伴うコンセプトカテーテル構造DおよびE。コンセプトDおよびEにおける壁孔の流速と、同じサイズの隔壁孔を有する基準カテーテル(コンセプトA)との比較。
【0070】
[反復CFD比較分析:ドレインおよびフラッシュ液量特性の変更(コンセプトFおよびG)]
【0071】
図18と対応する表5では、カテーテルコンセプトFおよびGにおいて、排泄ルーメン15(すなわち、ドレインルーメン)とフラッシュルーメン16との間で、異なる体積比率にした構造のCFD比較分析を行った。ドレイン対フラッシュ比を60:40とした構造(コンセプトF)では、全ての壁孔にわたって流体速度の差は最小であった。壁孔18bのみが0.01cm/sだけ変動した。しかし、ドレイン対フラッシュ比を80:20とした構造(コンセプトG)は、壁孔流体速度により大きな効果を示した。基準カテーテルと比較して、コンセプトGにおける壁孔18dおよび18cはそれぞれ21%および7%減少したが、一方、壁孔18bおよび18aは、それぞれ2%および13%増加した。
【0072】
【表5】

表5-ドレインルーメン対フラッシュルーメン比を50:50とした基準カテーテル(コンセプトA)と比較したコンセプトカテーテル構造FおよびGの壁孔の流速:同一サイズのドレインルーメンおよびフラッシュルーメンを有する基準カテーテルコンセプトAと比較したコンセプトF~Gにおける隔壁孔直径の変化。
【0073】
[反復CFD比較分析:外側フラッシュホールを追加する(コンセプトH)と、壁ホール流速が減少]
【0074】
図19および対応する表6に関して、隔壁孔17a~17dおよび外側フラッシュ孔22a~22dの両方を含むカテーテルコンセプトHのCFD比較分析を、フラッシュのみを使用して行った。外側のフラッシュ孔22a~22dを設けることは、膿瘍腔のより直接的な潅注を可能にするのではないかと仮定された。しかしながら、外向きのフラッシュ孔22a~22dを有するコンセプトHのCFD解析は、壁孔18a~18dを横切るフラッシュ流の流速が実質的には減少することを実証した。特に、隔壁のフラッシュ孔を有する(しかし、外側のフラッシュ孔22a~22dを有さない)コンセプトAと比較した場合、コンセプトHにおける壁孔18a~18dでの流体流速の40%を超える減少があった。したがって、内向きおよび外向きのフラッシュ孔を含むことにより、壁孔18a~18dを通る流体速度がより低くなり、ドレナージの壁孔18a~18dを破片が閉塞させる可能性が増大する。
【0075】
【表6】

表6-外側のフラッシュ孔を有するコンセプトカテーテル構造Hと基準カテーテル(コンセプトA)との比較:外側のフラッシュ孔22a~22dを追加することにより、ドレナージの壁孔18a~18dにおける流体の流れが低減された。
【0076】
図20と対応する表7では、遠位端の孔を含むカテーテルコンセプトIのCFD比較分析を行った。遠位端の孔からの流体の流れは無視できると仮定した。遠位端の孔を有するコンセプトIのCFD解析は、基準カテーテルコンセプトAと遠位端の孔を有するコンセプトIとの間の比較において、壁孔18a~18dにわたって流体速度は比例して減少するが、最小であることを見つけた。したがって、壁孔の流体速度の遠位端の孔の影響と対応するCFD解析は、無視できると考えることができる。
【0077】
【表7】

表7-遠位端の孔を有する概念カテーテル構造Iは、壁孔の流速に対して無視できる程度の影響しかない。
【0078】
[CFD結果の考察]
【0079】
パラメトリックCADモデリングおよびCFDソフトウェアの両方を使用して、カテーテル構造コンセプトを迅速に分析し、物理ベースのシミュレーションを使用して反復することができる。全ての壁孔18a~18dにわたって流体速度を均一に最大にすることを目的として、様々なコンセプトをテストすることができ、CFD結果比較を行うことができる。
【0080】
フラッシング動作中に短い吸引ポンプの反転を含めたこの構造的変化により、フラッシングのみの動作と比較して、全ての壁孔にわたってかなりの流体速度の増加をもたらすことができる。壁孔18dは最大の速度増加(147%)を示したが、他の壁孔流体速度はフラッシュのみの条件と比較して、ほぼ2倍になった。同時に吸引ポンプが反転した状態でフラッシュすると、ルーメン接合部での流体干渉による流体速度の損失(17%未満)が最小となり、初期速度の2倍での仮想生理食塩水フラッシュとほぼ同じくらい効果的になり得る。したがって、このコンセプトは、最終的な構造として採用され、全ての確実なCFDシミュレーションに適用されることができる。
【0081】
多くのカテーテル内部構造の変更は、全体的な流体の流れを改善することができることが観察されたが、パラメータが注意深く作成された場合にのみである。孔を6.5mm近位側にシフトさせる、または隔壁孔の直径を0.5~1.5mmに増加させるなどの準最適設計では、壁孔で生じる流体速度がいくつかの壁孔では減少するが、そのときに残りの壁孔では増加する。これらの構造的な変更は、流体の干渉を減らすことなく、実質的に壁孔を横切る流体の流れのみを迂回させることができる。対照的に、隔壁孔を1mmだけシフトすることは、全ての壁孔を横切る速度が向上した。これらの構造の変化は、流体の相互作用が最小限に抑えられるように、より最適な経路に沿って流体が流れる方向を変えた。隔壁に沿って隔壁孔を拡大することで、主に最遠位の孔における流体速度が増加し、一方、隔壁孔を近位にシフトすることで、主に最近位の壁孔における流体速度が向上した。さらに、80:20のドレイン対フラッシュルーメン比を有するカテーテルコンセプトGは、名目上の膿瘍排泄物除去手術中のドレナージに有利である。壁孔18dの流体速度が0.20m/s(21%)減少し、壁孔18aで流体速度が0.18m/s(13%)増加することが観察されたので、フラッシング強度はわずかに影響を受けるであろう。CFD解析は、内部カテーテルの構造の変化が、フラッシング中のデュアルルーメンカテーテルにおける顕著な流体力学的な変化をもたらし得ることを示している。
【0082】
CFD解析に対する注意点および制限には、流体が均質であるという仮定が含まれるが、一方で、臨床での使用事例では、排泄ルーメンにはより粘性である物質が含まれる可能性がある。さらに、この定常状態の解析には、起動時の一時的な流体の相互作用はほとんど無視されている。流体の流速が速ければ、カテーテルの比較的小さな体積内で定常状態の流れに迅速に達成されることが理論付けられた。定常状態のCFD解析の制限は、物理的ベンチトップテストで補われた。これらの制限は、CFD結果の忠実度には影響を及ぼすことがあるが、結果は、多数の高価なプロトタイプを構築する必要がなく、仮想のラピッドプロトタイピングの段階で合理的で実用的な知識を提供している。
【0083】
動作状態および構造パラメータを追加することで、フラッシングをさらに改善することができる。例えば、フラッシュポンプおよび/または吸引ポンプの強さを、流体速度プロファイルを操作することで調整することができる。CFD解析の間、カテーテルの洗浄段階のみを分析した。しかしながら、カテーテルはドレインルーメンを洗浄するために洗浄動作が同時に行われている間に、ドレーンルーメンドレナージを実行するなど、いくつかの異なる動作を実行することができる。
【0084】
[経皮的ドレナージのための方法]
【0085】
図21は、ドレナージ部位の経皮的ドレナージのための例示的な方法1000を示す。方法1000は、ステップ1100において開始することができ、これには、カテーテルをドレナージ部位に挿入することを含む。カテーテルは、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するカテーテル壁と、カテーテル壁内に配置され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在する隔壁と、カテーテル壁および隔壁の第1の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在するドレインルーメンと、カテーテル壁および隔壁の第2の部分によって画定され、カテーテルの近位端部分からカテーテルの遠位端部分まで延在し、隔壁によってドレインルーメンから分離されるフラッシュルーメンとを含む。隔壁は、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの隔壁孔を有し、その結果、ドレインルーメンおよびフラッシュルーメンは少なくとも1つの隔壁孔を介して連通し、カテーテル壁は、カテーテルの遠位端部分に近接して配置された少なくとも1つの壁孔を有し、遠位端部分がドレナージ部位内に配置されたとき、ドレインルーメンがドレナージ部位と連通する。ステップ1200において、方法は、ドレインルーメンを介してドレナージ部位から流体を引き出すことを含むことができる。ステップ1300において、方法は、ドレインルーメン内の閉塞を特定することを含むことができる。ステップ1400において、方法は、洗浄液がフラッシュルーメンを流れて、少なくとも1つの隔壁孔を介してドレインルーメン内を洗浄し、それによって閉塞を除去することを含むことができる。開示される主題によれば、方法は、必要に応じて、図21の方法の1つまたは複数のステップを繰り返すことができる。本開示は、図21の方法の特定のステップを特定の順序で行われるものとして説明し、図示するが、本開示は図21の方法の任意の適切なステップが任意の適切な順序で行われることを企図する。さらに、本開示は図21の方法の特定のステップを含む、ドレナージ部位の経皮的ドレナージを一例の方法を記載し、例示するが、本開示は適切に、図21の方法のステップの全て、一部を含むか、または全く含なくてもよく、任意の適切なステップを含めばよく、ドレナージ部位の経皮的ドレナージのための任意の適切な方法を企図する。さらに、本開示は、図21の方法の特定のステップを実行する特定の構成要素、装置、またはシステムを説明および図示するが、本開示は、図21の方法の任意の適切なステップを実行する任意の適切な構成要素、装置、またはシステムの任意の適切な組み合わせを企図する。
【0086】
システム100が、経皮的胸腔瘻術のために使用される場合、センサ/マイクロコントローラシステムは、気胸、空気漏れ、および/または気管支胸膜瘻の存在、持続性および/または解消を検出するようにさらにプログラムされ得る。システム100が、嚢胞性病変の経皮的化学的アブレーションおよび/または嚢胞性病変の硬化、再発性の体液貯留(リンパ嚢腫およびリンパ系の他の障害など)、および/または中空内臓(胆嚢摘出術に不適当と判断された候補の胆嚢など)のために使用される場合は、このシステムが、注入された硬化剤/ポリマー接着剤の体積、滞留時間、潅注、同時または遅延した吸引、繰り返しサイクルを監視することができる。そのような使用において、カテーテル10は、その外壁11の両方に沿って側孔を設けるようにして、隔壁孔17を設けなくてもよい。システムが、経皮的食道瘻胃瘻造設術、胃空腸瘻造設術、空腸瘻造設術、および/または盲腸切開術(すなわち、消化管/消化管)のために使用される場合、システムは、患者固有の栄養要求のためにプログラム可能なチューブ栄養の設定、およびルーメンの開通性を維持するためにチューブフラッシング設定を含むことができる。
【0087】
[経腸栄養法]
【0088】
図22に関して、システム100Cは、経腸(例えば、胃瘻造設術、胃空腸瘻造設術、空腸瘻造設術)栄養カテーテル(例えば、経腸チューブ72)とともに使用するように構成される。例えば、留置経皮胃瘻カテーテル71は、蠕動ポンプ102aの点滴注入を介して、容器73から液体栄養製剤を胃に供給することができる。容器73と留置経皮胃瘻カテーテル71との間の管に沿って設置された圧力センサ75は、供給物の凝集または他の粒子状物質によるルーメン閉塞の検出を可能にする。閉塞の場合、制御ユニット60は、滅菌水または生理食塩水で満たされた容器74に取り付けられた第2の蠕動ポンプ102bを作動させ、それによって、動力式フラッシングおよびチューブ開通性の回復を可能にする。フラッシングは、また、チューブメンテナンスのために予め設定された容積および圧力で定期的にスケジュールすることができる。任意のシリンジポンプ76は、経腸チューブ72ごとに処方された薬剤の投与を可能にする。
【0089】
開示された主題は限定ではなく例示を目的とするものであり、特定の好ましい実施形態に関して本明細書で説明するが、当業者はその範囲から逸脱することなく、開示された主題に対して様々な修正および改良を行うことができることを理解されるのであろう。さらに、開示される主題の1つの実施形態の個々の特徴は本明細書で論じられるか、または1つの実施形態の図面に示されることができ、他の実施形態では示されないが、1つの実施形態の個々の特徴は別の実施形態の1つまたは複数の特徴、または複数の実施形態からの特徴と組み合わせることができることは容易であり明らかである。
【0090】
以下に特許請求される特定の実施形態に加えて、開示される主題は、以下に特許請求される従属する特徴、および上記に開示される従属する特徴の任意の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態も対象とする。したがって、従属請求項に提示され、上で開示された特定の特徴は、他の可能な組み合わせで互いに組み合わせることができる。したがって、開示される主題の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的のために提示されている。それは、網羅的であること、または開示される主題を開示される実施形態に限定することを意図するものではない。
【0091】
開示された主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示された主題の方法およびシステムにおいて様々な修正および変形が行われ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、開示された主題は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正および変形を含むことが意図される。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】