(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】指紋防止コーティング用化合物、それを含むディスプレイ保護層及び電子装置
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20240126BHJP
H10K 85/00 20230101ALI20240126BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240126BHJP
H10K 71/00 20230101ALI20240126BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20240126BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240126BHJP
C09D 201/04 20060101ALI20240126BHJP
C08G 65/336 20060101ALI20240126BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240126BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
C09D201/00
H10K85/00
H10K59/10
H10K71/00
H10K59/95
C09D7/65
C09D201/04
C08G65/336
B32B27/30 D
B32B27/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542930
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 KR2021014495
(87)【国際公開番号】W WO2022158682
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0007677
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】イ,カンウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンド
(72)【発明者】
【氏名】オ,イエリ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ジョンファン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソンシク
【テーマコード(参考)】
3K107
4F100
4J005
4J038
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107EE61
3K107FF08
3K107FF15
4F100AK17B
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4F100AK42A
4F100AK51B
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4F100AK52C
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA03
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4F100DD01B
4F100DE01B
4F100EH46
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4F100GB41
4F100JB14B
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4F100YY00C
4J005AA09
4J005AA12
4J005BD08
4J038DF012
4J038EA001
4J038FA052
4J038FA281
4J038GA12
4J038GA15
4J038JA27
4J038NA05
4J038NA11
4J038PA17
4J038PB08
4J038PC03
4J038PC08
(57)【要約】
上端部、連結部及び末端部を含む指紋防止(anti-finger)コーティング用化合物であって、上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル基を含み、連結部は、3価または4価の連結基であり、末端部は、シロキサン基を含む、指紋防止コーティング用化合物が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部、連結部及び末端部を含む指紋防止(anti-finger)コーティング用化合物であって、
前記上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル基を含み、
前記連結部は、3価または4価の連結基であり、
前記末端部は、シロキサン基を含む、指紋防止コーティング用化合物。
【請求項2】
前記パーフルオロポリエーテル基は、下記化学式1で表される、請求項1に記載の指紋防止コーティング用化合物。
【化1】
前記化学式1において、R
1は、Fで置換された分枝または直鎖のC
1-C
60アルキル基を示し、R
2は、Fで置換された分枝または直鎖のC
1-C
60アルキレン基を示し、
mは、1ないし20の整数を示し、
mが2以上である場合、それぞれのR2は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、
*は、連結部との結合を示す。
【請求項3】
前記連結部は、下記化学式2で表される、請求項1に記載の指紋防止コーティング用化合物。
【化2】
前記化学式2において、
R
11は、C
1-C
60アルキレン基を示し、R
12は、C
2-C
60ヘテロアルキレン基を示し、
n1及びn2は、互いに独立して、0または1の整数を示し、n1とn2との和は1であり、
n3及びn4は、互いに独立して、1ないし10の整数を示し、
n3が2以上である場合、それぞれのR11は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、それぞれのR12は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、
*は、前記上端部との結合を示し、
*’は、前記末端部との結合を示す。
【請求項4】
前記R
12は、S、O、P、Nまたはそれらの任意の組み合わせを含むC
2-C
60ヘテロアルキレン基である、請求項3に記載の指紋防止コーティング用化合物。
【請求項5】
前記末端部は、1個ないし40個のSiを含む、請求項1に記載の指紋防止コーティング用化合物。
【請求項6】
前記末端部は、下記化学式3で表される、請求項1に記載の指紋防止コーティング用化合物。
【化3】
前記化学式3において、R
21ないしR
23は、互いに独立して、水素及びC
1-C
5アルキル基のうち選択され、*’は、前記連結部との結合を示す。
【請求項7】
前記末端部は、下記化学式4で表される、請求項1に記載の指紋防止コーティング用化合物。
【化4】
前記化学式4において、Aは、下記化学式4-1を示し、
*’は、前記連結部との結合を示し、
【化4-1】
前記化学式4-1において、R
31ないしR
33は、互いに独立して、水素及びC
1-C
5アルキル基のうち選択され、*”は、Oとの結合を示す。
【請求項8】
前記末端部は、下記化学式5で表される、請求項1に記載の指紋防止コーティング用化合物。
【化5】
前記化学式5において、Aは、下記化学式4-1を示し、
*’は、前記連結部との結合を示し、
【化4-1】
前記化学式4-1において、R
31ないしR
33は、互いに独立して、水素及びC
1-C
5アルキル基のうち選択され、*”は、Oとの結合を示す。
【請求項9】
基材と、
前記基材上に位置するハードコーティング層と、
前記ハードコーティング層上に位置する指紋防止コーティング層と、を含むディスプレイ保護層であって、
前記指紋防止コーティング層は、上端部、連結部及び末端部を含む指紋防止(anti-finger)コーティング用化合物でコーティングされた層であり、
前記上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル基を含み、前記連結部は、3価または4価の連結基であり、前記末端部は、シロキサン基を含む、ディスプレイ保護層。
【請求項10】
前記指紋防止コーティング層の表面は、上下方向に1nmないし30nmの凹凸構造を有する、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項11】
前記ハードコーティング層及び指紋防止コーティング層が接し、
前記指紋防止コーティング層に接するハードコーティング層の表面が平坦な構造を有し、
前記指紋防止コーティング用化合物の連結部が異なる長さを有し、連結部の長さの差が1nmないし30nmである、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項12】
前記ハードコーティング層及び指紋防止コーティング層が接し、
前記指紋防止コーティング層に接するハードコーティング層の表面が凹凸構造を有し、
前記指紋防止コーティング用化合物の連結部が一定の長さを有する、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項13】
前記ハードコーティング層の表面の凹凸構造は、ナノ粒子を利用して形成された凹凸構造である、請求項12に記載のディスプレイ保護層。
【請求項14】
前記ナノ粒子の直径は、1nmないし30nmである、請求項13に記載のディスプレイ保護層。
【請求項15】
前記ハードコーティング層の厚みは、2μmないし8μmである、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項16】
前記指紋防止コーティング層の厚みは、5ないし100nmである、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項17】
前記ハードコーティング層は、フッ素基またはシリコン基を含むポリマーを含む、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項18】
前記ハードコーティング層は、パーフルオロポリエーテル基、ポリテトラフルオロエチレン基、フッ素化エチレンプロピレン基、パーフルオロアルキルビニルエーテル基、またはそれらの任意の組み合わせを含むポリマーを含む、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項19】
前記ハードコーティング層は、ポリシロキサンポリマーを含む、請求項9に記載のディスプレイ保護層。
【請求項20】
基材と、前記基材上に位置するハードコーティング層と、前記ハードコーティング層上に位置する指紋防止コーティング層と、を含むディスプレイ保護層を含む、電子装置であって、
前記指紋防止コーティング層は、上端部、連結部及び末端部を含む指紋防止(anti-finger)コーティング用化合物でコーティングされた層であり、
前記上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル基を含み、前記連結部は、3価または4価の連結基であり、前記末端部は、シロキサン基を含む、電子装置。
【請求項21】
有機発光素子をさらに含む、請求項20に記載の電子装置。
【請求項22】
前記指紋防止コーティング用化合物の連結部が異なる長さを有するか、あるいは前記指紋防止コーティング層に接触する前記ハードコーティング層の表面がナノ粒子を使用して形成された凹凸構造を有する、請求項20に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋防止コーティング用化合物、それを含むディスプレイ保護層及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(organic light emitting device)は、自発光型素子であって、従来の素子に比べて、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答時間が速く、輝度、駆動電圧及び応答速度の特性に優れている。
【0003】
前記有機発光素子は、基板の上部に第1電極が配置されており、前記第1電極の上部に正孔輸送領域(hole transport region)、発光層、電子輸送領域(electron transport region)及び第2電極が順次形成されている構造を有する。前記第1電極から注入された正孔は、正孔輸送領域を経由して発光層に移動し、第2電極から注入された電子は、電子輸送領域を経由して発光層に移動する。前記正孔及び電子のようなキャリアは、発光層領域で再結合し、励起子(exciton)を生成する。当該励起子が励起状態から基底状態に変わりつつ光が生成される。
【0004】
有機発光素子を適用した電子装置は、フォルダブル(foldable)特性を発揮することができ、フォルディング(folding)特性の確保のために、ウィンドウ及び保護層(protective layer)にハードコーティング(hard coating)が適用されたポリマーフィルムを使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、新規の指紋防止コーティング用化合物、それを含むディスプレイ保護層及び電子装置などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面によれば、
本発明の一実施形態による指紋防止コーティング用化合物は、
上端部、連結部及び末端部を含み、
前記上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル基を含み、
前記連結部は、3価または4価の連結基であり、
前記末端部は、シロキサン基を含む。
【0008】
他の側面によれば、
基材と、
前記基材上に位置するハードコーティング層と、
前記ハードコーティング層上に位置する指紋防止コーティング層と、を含むディスプレイ保護層であって、
前記指紋防止コーティング層は、上端部、連結部及び末端部を含む指紋防止(anti-finger)コーティング用化合物でコーティングされた層であり、
前記上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル基を含み、前記連結部は、3価または4価の連結基であり、前記末端部は、シロキサン基を含む、ディスプレイ保護層が提供される。
【0009】
さらに他の側面によれば、
前記ディスプレイ保護層を含む電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態による指紋防止コーティング用化合物を使用したディスプレイ保護層は、耐摩耗性及び防汚性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による指紋防止コーティング用化合物を概略的に示す図面である。
【
図2】平坦なハードコーティング層の表面を一実施形態による指紋防止コーティング用化合物でコーティングし、指紋防止コーティング層の表面に凹凸を持たせることを模式的に示す図面である。
【
図3】凹凸があるハードコーティング層の表面を一実施形態による指紋防止コーティング用化合物でコーティングし、指紋防止コーティング層の表面に凹凸を持たせることを模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
フォルダブル製品は、フォルディング特性の確保のために、ウィンドウ及び保護層にハードコーティングが適用されたフィルムを使用しているが、フォルディング特性の確保のために、フィルムの厚みの増加に制限があり、外部衝撃による打痕、引っかきなどに対して脆弱である。ハードコーティングの耐スクラッチ性は、表面硬度だけでなく、スクラッチ物質の種類、摩擦係数、表面粗さ、モジュラス及び弾性、環境などによって影響を受ける。耐スクラッチ性を高めることは、摩擦を減らすことによって達成され、摩擦を減らすことは、ハードコーティングに疎水性を付与することによって達成される。
【0013】
フォルディング屈曲性の確保のために、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような軟質の保護層を使用しているが、反復的なタッチ(touch)に対する耐摩耗性が不足であり、爪押し及びペン・ドロップ(Pen-Drop)による表面打痕からの回復力が不足な面がある。
【0014】
一側面による指紋防止コーティング用化合物は、
上端部、連結部及び末端部を含む指紋防止(anti-finger)コーティング用化合物であって、
前記上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル(PFPE)基を含み、
前記連結部は、3価または4価の連結基であり、
前記末端部は、シロキサン基を含む。
【0015】
パーフルオロポリエーテルとは、Oに全てのHがFで置換されたアルキル基が結合している単位が反復された構造をいう。
【0016】
一実施形態によれば、前記パーフルオロポリエーテル基が下記化学式1で表される。
【化1】
【0017】
前記化学式1において、R1は、Fで置換された分枝または直鎖のC1-C60アルキル基を示し、R2は、Fで置換された分枝または直鎖のC1-C60アルキレン基を示し、
mは、1ないし20の整数を示し、
mが2以上である場合、それぞれのR2は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、
*は、連結部との結合を示す。
【0018】
例えば、mは、1ないし10の整数であってもよいであってもよい。例えば、mは、1ないし7の整数であってもよいであってもよい。例えば、mは、1ないし5の整数であってもよいであってもよい。
【0019】
例えば、前記パーフルオロポリエーテル基は、CF3O-(C2F4O)m1-(CF2O)m2-*、C2F5O-(C2F4O)m1-(CF2O)m2-*、C3F7O-(C2F4O)m1-(CF2O)m2-*、C4F9O-(C2F4O)m1-(CF2O)m2-*、CF3O-(C3F6O)m1-(CF2O)m2-*、C2F5O-(C3F6O)m1-(CF2O)m2-*、C3F7O-(C3F6O)m1-(CF2O)m2-*、C4F9O-(C3F6O)m1-(CF2O)m2-*、CF3O-(C2F4O)m1-(C2F4O)m2-*、C2F5O-(C2F4O)m1-(C2F4O)m2-*、C3F7O-(C2F4O)m1-(C2F4O)m2-*、C4F9O-(C2F4O)m1-(C2F4O)m2-*であってもよいであってもよい。m1及びm2は、それぞれ0ないし10の整数であり、m1とm2との和は1~10である。
【0020】
炭素数2以上の前記フルオロアルキル基(例えば、C2F4、C2F5、C3F6、C3F7、C4F9)は、直鎖または分枝構造であってもよいであってもよい。
【0021】
一実施形態によれば、前記連結部は、下記化学式2で表される。
【化2】
【0022】
前記化学式2において、
R11は、C1-C60アルキレン基を示し、R12は、C2-C60ヘテロアルキレン基を示し、
n1及びn2は、互いに独立して、0または1の整数を示し、n1とn2との和は1であり、
n3及びn4は、互いに独立して、1ないし10の整数を示し、
n3が2以上である場合、それぞれのR11は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、それぞれのR12は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、
*は、前記上端部との結合を示し、
*’は、前記末端部との結合を示す。
【0023】
前記C1-C60アルキレン基及びC2-C60ヘテロアルキレン基は、非置換の構造であってもよいであってもよい。
【0024】
例えば、n3及びn4は、互いに独立して、1ないし8の整数であってもよいであってもよい。例えば、n3及びn4は、互いに独立して、1ないし5の整数であってもよいであってもよい。
【0025】
ヘテロアルキレン基は、炭素以外のヘテロ元素を主鎖に含むアルキレン基を意味する。ヘテロ元素は、例えば、S、O、P、Nまたはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0026】
一実施形態によれば、化学式2の前記R12は、Nを含むヘテロアルキレン基であってもよい。
【0027】
例えば、前記連結基は、以下のような基(moiety)であってもよい。
【0028】
前記基1~14において、*は、前記上端部との結合を示し、*’は、前記末端部との結合を示す。
【0029】
炭素数2以上の前記アルキル基(例えば、C2H4、C3H6)は、直鎖または分枝構造であってもよい。
【0030】
基1ないし7は、3価連結基であり、基8ないし14は、4価連結基である。例えば、上端部を末端部に連結する前記連結部は、基1、2、3、4、5、6または7のような3価連結基であってもよい。例えば、上端部の2つのパーフルオロポリエーテル基が3価である連結基に連結されるか、あるいは上端部の3つのパーフルオロポリエーテル基が4価である連結基に連結される。
【0031】
一実施形態によれば、前記末端部は、1個ないし40個のSiを含んでもよい。
【0032】
一実施形態によれば、前記末端部が下記化学式3で表される。
【化3】
【0033】
前記化学式3において、
R31ないしR33は、互いに独立して、水素及びC1-C5アルキル基のうち選択され、
*’は、前記連結部との結合を示す。
【0034】
図1は、一実施形態による指紋防止コーティング用化合物を概略的に示す図面である。
図1は、上端部が2つのパーフルオロポリエーテル基を含み、連結部は3価であり、末端部が前記化学式3である場合を模式的に示すものである。例えば、
図1の連結部は、前述の基1~7から選択される3価連結基であってもよい。例えば、
図1の末端部は、R
21、R
22及びR
23それぞれが水素である化学式3で表される。
【0035】
一実施形態によれば、前記末端部が下記化学式4で表される。
【化4】
【0036】
前記化学式4において、Aは、下記化学式4-1を示し、
*’は、前記連結部との結合を示し、
【化4-1】
【0037】
前記化学式4-1において、
R31ないしR33は、互いに独立して、水素及びC1-C5アルキル基のうち選択され、
*”は、Oとの結合を示す。
【0038】
一実施形態によれば、前記末端部が下記化学式5で表される。
【化5】
【0039】
前記化学式5において、Aは、前記化学式4-1を示し、*’は、前記連結部との結合を示す。
【0040】
本発明の一実施形態による指紋防止コーティング用化合物の末端部は、ハードコーティング層の表面の作用基(例えば、OH)と反応し、副産物として水またはアルコールが除去されつつ、ハードコーティング層に結合される。指紋防止コーティング用化合物の末端部とハードコーティング層の表面との多数のSi-O結合により、指紋防止コーティング用化合物とハードコーティング層との結合力は増加し、前記ディスプレイ保護層の耐摩耗性は向上しうる。
【0041】
他の側面によるディスプレイ保護層は、基材と、前記基材上に位置するハードコーティング層と、前記ハードコーティング層上に位置する指紋防止コーティング層とを含み、
前記指紋防止コーティング層は、上端部、連結部及び末端部を含む指紋防止コーティング用化合物でコーティングされた層であり、
前記上端部は、2つまたは3つのパーフルオロポリエーテル基を含み、前記連結部は、3価または4価の連結基であり、前記末端部は、シロキサン基を含む。
【0042】
例えば、前記ディスプレイ保護層は、フレキシブルディスプレイに使用可能である。
【0043】
一実施形態によれば、ディスプレイ保護層の前記指紋防止コーティング層は、本発明の一実施形態による指紋防止コーティング用化合物がコーティングされた層である。
【0044】
一実施形態によれば、前記指紋防止コーティング層の表面は、上下方向に1nmないし30nmの凹凸を有する構造であってもよい。
【0045】
本発明の一実施形態によるディスプレイ保護層の指紋防止コーティング層は、そのような凹凸構造を有することにより、ロータス効果(Lotus effect)を有する。
【0046】
本発明の一実施形態による指紋防止コーティング用化合物の上端部は、パーフルオロポリエーテル基を2つまたは3つ含むことにより、空間内のフルオロアルキル基の密度を高めた。これにより、防汚性が増加する。
【0047】
一実施形態によれば、ディスプレイ保護層の前記ハードコーティング層と指紋防止コーティング層とは接し、前記指紋防止コーティング層に接するハードコーティング層の表面は、平坦な構造を有し、前記指紋防止コーティング用化合物の連結部が異なる長さを有し、連結部の長さの差が1nmないし30nmであってもよい。例えば、連結部の長さの差は、5nmないし10nmであってもよい。例えば、連結部の長さの差は、8nmないし12nmであってもよい。例えば、連結部の長さの差は、10nmないし20nmであってもよい。例えば、連結部の長さの差は、15nmないし25nmであってもよい。例えば、連結部の長さの差は、20nmないし30nmであってもよい。
【0048】
図2は、平坦なハードコーティング層の表面を一実施形態による指紋防止コーティング用化合物でコーティングし、指紋防止コーティング層の表面に凹凸を持たせることを模式的に示す図面である(末端部は省略した)。
これは、異なる長さを有する本発明の一実施形態によるコーティング用化合物2種を2ソース(two-source)として、電子ビーム(e-beam)を利用して平坦なハードコーティング層上に蒸着することを模式的に示すものである。
【0049】
異なる長さを有する本発明の一実施形態によるコーティング用化合物は、上端部、連結部または末端部の長さを変化させることによっても製造される。
【0050】
しかし、上端部は正確な垂直方向ではないので、上端部の長さを変化させることにより、指紋防止コーティング層の表面に凹凸を持たせるのには効果的ではない。
【0051】
一方、末端部のシロキサン基のSi数を増やす方式も考えられるが、同様に、Siが増える方向が正確な垂直方向ではないので、指紋防止コーティング層の表面に凹凸を持たせるために、末端部の長さを変化させることは効果的ではない。末端部のシロキサン基のSi数を増やすことによって発揮される効果は、ハードコーティング層との接着力向上であるといえる。
【0052】
連結部は垂直に配列されるので、連結部の長さを変化させることが指紋防止コーティング層の平坦な表面を凹凸表面に変えるのに効果的である。
【0053】
連結部の長さを変化させることにより、本発明の一実施形態によるコーティング用化合物が異なる長さを有するように製造し、それを利用して、指紋防止コーティング層の表面に凹凸を持たせるのが最も効果的である。
【0054】
一実施形態によれば、前記ハードコーティング層と指紋防止コーティング層とが接し、前記指紋防止コーティング層に接するハードコーティング層の表面は、凹凸構造を有し、前記指紋防止コーティング用化合物の連結部は、一定の長さの3価または4価の連結基であってもよい。前記一定の長さとは、同一の任意の長さを意味する。すなわち、ハードコーティング層の凹凸表面により、指紋防止コーティング用化合物が同一長さを有するにもかかわらず、指紋防止コーティング層は、凹凸表面を有することができる。
【0055】
一実施形態によれば、任意の凹凸形成方法を適用し、ハードコーティング層の表面が凹凸構造を有するようにすることができる。例えば、任意の凹凸形成方法として、ナノインプリントによる方法、ナノ粒子を利用する方法などがある。
【0056】
図3は、凹凸があるハードコーティング層の表面を一実施形態による指紋防止コーティング用化合物でコーティングし、指紋防止コーティング層の表面に凹凸を持たせることを模式的に示す図面である(末端部は省略した)。
【0057】
一実施形態によれば、ハードコーティング層にナノ粒子を導入し、ハードコーティング層の表面が凹凸構造を有するようにすることができる。前記ナノ粒子の直径は、1nmないし30nmであってもよい。例えば、前記ナノ粒子の直径は、5nmないし10nmであってもよい。例えば、前記ナノ粒子の直径は、8nmないし12nmであってもよい。例えば、前記ナノ粒子の直径は、10nmないし20nmであってもよい。例えば、前記ナノ粒子の直径は、15nmないし25nmであってもよい。例えば、前記ナノ粒子の直径は、20nmないし30nmであってもよい。
【0058】
前記ハードコーティング層を形成するとき、所望の凹凸の程度に符合するナノ粒子を使用し、指紋防止コーティング用化合物が同一長さを有するコーティング用化合物でコーティングする場合、指紋防止コーティング層の表面が凹凸を有することになる。
【0059】
前記ナノ粒子の材質は、特に制限されないが、サイズは、指紋防止コーティング層の表面の凹凸に符合する直径を有することが好ましい。
【0060】
一実施形態によれば、前記基材としては、ポリマーフィルムだけでなく、ガラスも使用可能である。
【0061】
前記ポリマーフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)などであってもよい。
【0062】
前記ガラスは、例えば、リジッドガラス(Rigid Glass)、薄膜ガラス(Thin-Glass)、超薄膜ガラス(Ultra thin Glass)などであってもよい。
【0063】
一実施形態によれば、前記基材の厚みは、10μmないし70μmであってもよい。
【0064】
例えば、前記基材の厚みは、20μmないし60μmであってもよい。
【0065】
一実施形態によれば、前記ハードコーティング層の厚みは、2μmないし8μmであってもよい。例えば、前記ハードコーティング層の厚みは、3μmないし7μmであってもよい。
【0066】
一実施形態によれば、前記指紋防止コーティング層の厚みは、5ないし100nmであってもよい。例えば、前記指紋防止コーティング層の厚みは、10ないし70nmであってもよい。
【0067】
ディスプレイ保護層の目的であるディスプレイ装置、例えば、発光素子の保護を考慮するとき、ディスプレイ保護層において、前記基材、ハードコーティング層及び指紋防止コーティング層の厚みが前記範囲であることが好ましい。また、ディスプレイ保護層において、前記基材、ハードコーティング層及び指紋防止コーティング層の厚みが前記範囲である場合、フレキシブルディスプレイに使用可能である。
【0068】
一実施形態によれば、前記ハードコーティング層は、アクリレート系化合物を含み、例えば、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレート系のポリマーを含んでもよい。
【0069】
一実施形態によれば、前記ハードコーティング層は、フッ素基またはシリコン基を含むポリマーを含む。例えば、前記ハードコーティング層は、フッ素基を含むポリマーを含んでもよい。例えば、前記ハードコーティング層は、シリコン基を含むポリマーを含んでもよい。例えば、前記ハードコーティング層は、フッ素基及びシリコン基を含むポリマーを含んでもよい。
【0070】
一実施形態によれば、前記ハードコーティング層は、パーフルオロポリエーテル基、ポリテトラフルオロエチレン基、フッ素化エチレンプロピレン基、パーフルオロアルキルビニルエーテル基、またはそれらの任意の組み合わせを含むポリマーを含んでもよい。
【0071】
一実施形態によれば、前記ハードコーティング層は、ポリシロキサンポリマーを含んでもよい。例えば、前記ポリシロキサンポリマーは、一般的なオルガノポリシロキサンポリマーであってもよい。オルガノポリシロキサンポリマーは、酸素と結合しないシリコン部分に有機基が結合したものを意味する。例えば、前記オルガノポリシロキサンポリマーは、ジメチルポリシロキサン(ビニル基1~1.5%を含む)、ポリメチルフェニルシロキサン(ビニル基1~1.2%を含む)、ポリビニルメチルジメチルシロキサン共重合体、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0072】
例えば、前記ハードコーティング層は、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレート系のポリマーをベースにし、パーフルオロポリエーテル基、ポリテトラフルオロエチレン基、フッ素化エチレンプロピレン基、パーフルオロアルキルビニルエーテル基、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含んで硬化されたコーティング層であってもよい。
【0073】
例えば、前記ハードコーティング層は、ウレタンアクリレートやポリエステルアクリレート系のポリマーをベースにし、ジメチルポリシロキサン(ビニル基1~1.5%を含む)、ポリメチルフェニルシロキサン(ビニル基1~1.2%を含む)、ポリビニルメチルジメチルシロキサン共重合体、またはそれらの任意の組み合わせを含むポリマーであってもよい。
【0074】
例えば、前記ハードコーティング層は、ポリマーの全体を基準として、パーフルオロポリエーテル基、ポリテトラフルオロエチレン基、フッ素化エチレンプロピレン基、パーフルオロアルキルビニルエーテル基、またはそれらの任意の組み合わせを50重量%以下含む。例えば、前記ハードコーティング層は、ポリマーの全体を基準として、パーフルオロポリエーテル基、ポリテトラフルオロエチレン基、フッ素化エチレンプロピレン基、パーフルオロアルキルビニルエーテル基、またはそれらの任意の組み合わせを5ないし30重量%含む。
【0075】
例えば、前記ハードコーティング層は、ポリマーの全体を基準として、オルガノポリシロキサンポリマーを50重量%以下含む。例えば、前記ハードコーティング層は、ポリマーの全体を基準として、オルガノポリシロキサンポリマーを5ないし30重量%含む。オルガノポリシロキサンポリマーは、特に制限されず、一般的に知られたものを使用することができる。前記ハードコーティング層がフッ素基またはシリコン基を含むポリマーを含むことにより、指紋防止コーティング層が摩耗したり、指紋防止コーティング層にクラックが発生したりした後にも、ハードコーティング層は防汚性能を有することになる。
【0076】
他の側面による電子装置は、本発明の一実施形態によるディスプレイ保護層を含む。
【0077】
[用語の定義]
本明細書において、C1-C60アルキル基は、炭素数1ないし60の線形または分枝型の脂肪族炭化水素1価(monovalent)基を意味し、その具体例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-へキシル基、イソへキシル基、sec-へキシル基、tert-へキシル基、n-へプチル基、イソへプチル基、sec-へプチル基、tert-へプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基などが含まれる。本明細書において、C1-C60アルキレン基は、前記C1-C60アルキル基と同一構造を有する2価(divalent)基を意味する。
【0078】
本明細書において、C2-C60ヘテロアルキル基は、前述のアルキル基がヘテロ元素を含むアルキル基を意味する。ヘテロ元素は、例えば、N、S、O、Pまたはそれらの任意の組み合わせであってもよい。本明細書において、C2-C60ヘテロアルキレン基は、前記C2-C60ヘテロアルキル基と同一構造を有する2価基を意味する。
【0079】
置換基の定義において、最大炭素数は、例示的なものである。例えば、C1-C60アルキル基において、最大炭素数60は、例示的なものであり、アルキル基に係わる定義は、C1-C20アルキル基にも同等に適用される。他の場合も同様である。
【0080】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「下方(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に示されているように、1つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使用される。空間的に相対的な用語は、図面に示されている方向に加えて、使用時または動作時の素子の互いに異なる方向を含む用語と理解されなければならない。例えば、図面に示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下」または「下方」と記述された素子は、他の素子の「上」に置かれる。したがって、例示的な用語である「下」は、下方向と上方向の両方を含む。素子は、他の方向にも配向され、これにより、空間的に相対的な用語は、配向によっても解釈される。
【0081】
本明細書において、*及び*’は、他の定義がない限り、当該化学式において隣接した原子との結合部位を意味する。
【0082】
以下、実施例を挙げて、本発明の一実施形態による発光素子についてより具体的に説明する。
【0083】
[実施例]
ディスプレイ保護層の作製
実施例1
【0084】
以下のようにディスプレイ保護層を作製した。
【0085】
まず、PETを40μmの層に形成させた後、続いて、ウレタンアクリレート及びフッ素化エチレンプロピレンをUV硬化し、5μmのハードコーティング層を形成させた(フッ素化エチレンプロピレン25wt%)。
【0086】
前記ハードコーティング層上に、化合物A及びBを2ソースとして電子ビームを使用して30nmの指紋防止コーティング層を形成させた。
【0087】
[CF3O-(C2F4O)m1-(CF2O)m2]2CH(CH2O)n3-(CH2NHCH2)n4-Si(OH)3
化合物A:m1=3、m2=2、n3=1、n4=1
化合物B:m1=3、m2=2、n3=4、n4=4
【0088】
実施例2
以下のようにディスプレイ保護層を作製した。
【0089】
PETを40μmの層に形成させた後、直径7nmのナノビード粒子を前記層に位置させ、続いて、ウレタンアクリレート及びフッ素化エチレンプロピレンをUV硬化し、5μmのハードコーティング層を形成させた(フッ素化エチレンプロピレン25wt%)。
【0090】
前記ハードコーティング層上に、化合物Aを単一ソースとして電子ビームを使用して30nmの指紋防止コーティング層を形成させた。
【0091】
実施例3
以下のようにディスプレイ保護層を作製した。
【0092】
まず、PETを40μmの層に形成させた後、続いて、ウレタンアクリレート及びパーフルオロアルキルビニルエーテルをUV硬化し、5μmのハードコーティング層を形成させた(パーフルオロアルキルビニルエーテル25wt%)。
【0093】
前記ハードコーティング層上に、化合物C及びDを2ソースとして電子ビームを使用して30nmの指紋防止コーティング層を形成させた。
【0094】
[CF3O-(C2F4O)m1-(CF2O)m2]3C(CH2O)n3-(CH2NHCH2)n4-Si(OH)3
化合物C:m1=2、m2=1、n3=1、n4=1
化合物D:m1=2、m2=1、n3=4、n4=4
【0095】
実施例4
以下のようにディスプレイ保護層を作製した。
【0096】
PETを40μmの層に形成させた後、直径7nmのナノビード粒子を前記層に位置させ、続いて、ウレタンアクリレート及びパーフルオロアルキルビニルエーテルをUV硬化し、5μmのハードコーティング層を形成させた(パーフルオロアルキルビニルエーテル25wt%)。
【0097】
前記ハードコーティング層上に、化合物Cを単一ソースとして電子ビームを使用して30nmの指紋防止コーティング層を形成させた。
【0098】
実施例5
以下のようにディスプレイ保護層を作製した。
【0099】
まず、PETを40μmの層に形成させた後、続いて、ウレタンアクリレート及びジメチルポリシロキサン(ビニル基1~1.5%を含む)をUV硬化し、5μmのハードコーティング層を形成させた(ジメチルポリシロキサン25wt%)。
【0100】
前記ハードコーティング層上に、化合物A及びBを2ソースとして電子ビームを使用して30nmの指紋防止コーティング層を形成させた。
【0101】
比較例1
以下のようにディスプレイ保護層を作製した。
【0102】
まず、PETを40μmの層に形成させた後、続いて、ウレタンアクリレートをUV硬化し、5μmのハードコーティング層を形成させた。
【0103】
前記ハードコーティング層上に、化合物Aを単一ソースとして電子ビームを使用して30nmの指紋防止コーティング層を形成させた。
【0104】
評価例
耐摩耗性の測定
【0105】
前記実施例1ないし5で作製されたディスプレイ保護層に消しゴムを位置させ、1Kgf荷重状態で複数回往復させた後、ディスプレイ保護層の水接触角を測定して、下記表1に示した。
【表1】
【0106】
水接触角が95゜以上である場合、防汚性に優れているといえる。一般的に、水接触角が95゜以上である場合、固体表面は疎水性と見なされる。すなわち、95゜以上の接触角で大きい疎水性を有するディスプレイ保護層は、優れた防汚性を有するといえる。
【0107】
本発明の一実施形態によるディスプレイ保護層は、比較例1より優れた防汚性を示すということを確認することができる。そのような結果は、比較例1による指紋防止層が凹凸構造を有しないが、本発明の一実施形態によるディスプレイ保護層の指紋防止層は凹凸構造を有するためである。本発明の一実施形態によるディスプレイ保護層の指紋防止層の凹凸構造は、実施例1、3、5の2つの鎖長を有する指紋防止コーティング用化合物を同時蒸着して生成されるか、あるいは直径7nmのナノビード粒子をハードコーティング層に導入し、ハードコーティング層の表面が凹凸表面を有するようにした後、実施例2、3の1つの鎖長を有する指紋防止コーティング用化合物を蒸着して生成される。
【0108】
特に、実施例2、4及び5は、往復回数10,000で同一試験条件の比較例1よりはるかに大きい水接触角を示すことが分かる。これは、指紋防止コーティング層が一部摩耗したり、指紋防止コーティング層にクラックが一部発生したりした後にも、本発明の一実施形態によるディスプレイ保護層のハードコーティング層がフッ素基またはシリコン基を含むポリマーを含むことにより、ハードコーティング層が優れた防汚性能を有するためである。
【0109】
比較例1は、往復回数5,000及び10,000で水接触角がいずれも95゜以上の値を見せて防汚性が良好であるとはいえるが、往復回数が増加したとき、水接触角が相対的に小さいことが分かる。これは、指紋防止コーティング層が一部摩耗したり、指紋防止コーティング層にクラックが一部発生したりした後に露出されたハードコーティング層が相対的に弱い防汚性能を有するためである。
【国際調査報告】