(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】未変換油を使用する基油製造
(51)【国際特許分類】
C10G 67/02 20060101AFI20240126BHJP
C10G 45/08 20060101ALI20240126BHJP
C10G 47/12 20060101ALI20240126BHJP
C10G 31/06 20060101ALI20240126BHJP
C10M 101/02 20060101ALI20240126BHJP
C10N 30/10 20060101ALN20240126BHJP
C10N 30/08 20060101ALN20240126BHJP
【FI】
C10G67/02
C10G45/08 Z
C10G47/12
C10G31/06
C10M101/02
C10N30:10
C10N30:08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542987
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 IB2022050360
(87)【国際公開番号】W WO2022153271
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーマ、ヴィオレル
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリア、スバシス
(72)【発明者】
【氏名】レイ、グワン - ダオ
【テーマコード(参考)】
4H104
4H129
【Fターム(参考)】
4H104DA02A
4H104LA04
4H104LA05
4H129CA08
4H129DA09
4H129DA15
4H129DA21
4H129KA12
4H129KB03
4H129KC03Y
4H129KC14Y
4H129KD15Y
4H129KD24Y
4H129MA01
4H129MA12
4H129MB08B
4H129MB13A
4H129NA17
4H129NA35
(57)【要約】
水素化分解装置からの未変換油を未変換油アップグレードリアクタで水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造し、アップグレードされた未変換油を脱ろうして基油製品を製造することによって、基油製品を製造する、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油製品を製造する方法であって、
別個の未変換油アップグレードリアクタで水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することと、
前記アップグレードされた未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造することと、を含む前記方法。
【請求項2】
前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工する前に、
前記水素化分解装置で炭化水素系原料を水素化分解して、前記未変換油を含む水素化分解された流出物を製造することと、
前記未変換油を前記水素化分解された流出物から分離することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させることを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、水素化加工条件下、水素の存在下で、前記未変換油を水素化加工触媒と接触させることを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間
-1~約15時間
-1、例えば、約0.2時間
-1~約10時間
-1、もしくは約0.2時間
-1~約2.5時間
-1、もしくは約0.1時間
-1~約10時間
-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m
3H
2/m
3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m
3H
2/m
3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m
3H
2/m
3供給)の水素消費量を含む、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工することが、前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化分解することを含み、前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが、前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベル未満である、請求項2に従属する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水素化分解装置からの前記未変換油の水素化分解が、約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が、約30%~約70%の水素化分解変換で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を有する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記未変換油を水素化加工して、前記基油製品を製造することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させることを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記基油製品が、100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記基油製品が、グループIIIの基油製品である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
製造された基油の粘度指数(VI)を増加させるために既存の基油製品製造プロセスを変更する方法であって、前記既存の基油製品製造プロセスが、
水素化分解装置で炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造することと、
前記未変換油を前記水素化分解された流出物から分離することと、
前記水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造することと、を含み、
前記既存の基油製品製造プロセスを変更する前記方法が、
前記未変換油を脱ろうして前記基油製品を製造する前に、別個の未変換油アップグレードリアクタで、前記水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を水素化加工することを含む、前記方法。
【請求項18】
前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させることを含む、請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記未変換油を水素化加工することが、水素化加工条件下で、水素の存在下で、前記未変換油を水素化加工触媒と接触させることを含む、請求項17~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間
-1~約15時間
-1、例えば、約0.2時間
-1~約10時間
-1、もしくは約0.2時間
-1~約2.5時間
-1、もしくは約0.1時間
-1~約10時間
-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m
3H
2/m
3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m
3H
2/m
3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m
3H
2/m
3供給)の水素消費量を含む、請求項20~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、請求項17~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化分解することを含み、前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが、前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベル未満である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記未変換油の水素化分解が、約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が、約30%~約70%の水素化分解変換で行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む、請求項17~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を有する、請求項17~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させることを含む、請求項17~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記基油製品が、100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する、請求項17~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記基油製品が、グループIIIの基油製品である、請求項17~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
基油製品を製造するためのシステムであって、
炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造するための水素化分解装置と、
前記水素化分解された流出物から分離された未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造するための別個の未変換油アップグレードリアクタと、を備える前記システム。
【請求項33】
前記未変換油アップグレードリアクタによって製造された未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造するための脱ろうユニットを更に備える、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項32または請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させるように構成されている、請求項32~34のいずれかに記載のシステム。
【請求項36】
前記未変換油アップグレードリアクタが、水素化加工触媒を含有する1つ以上の床を含む水素化加工ゾーンを有し、前記水素化加工ゾーンが、水素化加工条件で維持されている、請求項32~35のいずれかに記載のシステム。
【請求項37】
前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項36または請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間
-1~約15時間
-1、例えば、約0.2時間
-1~約10時間
-1、もしくは約0.2時間
-1~約2.5時間
-1、もしくは約0.1時間
-1~約10時間
-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m
3H
2/m
3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m
3H
2/m
3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m
3H
2/m
3供給)の水素消費量を含む、請求項36~38のいずれかに記載のシステム。
【請求項40】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、請求項36~39のいずれかに記載のシステム。
【請求項41】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化分解することを含み、前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記水素化加工ゾーンにおいて前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルよりも低くなるように構成されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記未変換油の水素化分解が約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、かつ前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が約30%~約70%の水素化分解変換で行われるように構成されている、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように構成された、請求項32~42のいずれかに記載のシステム。
【請求項44】
前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を有する前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように構成された、請求項32~43のいずれかに記載のシステム。
【請求項45】
前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させるように構成されている、請求項32~44のいずれかに記載のシステム。
【請求項46】
100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する基油製品を製造するように構成された、請求項32~45のいずれかに記載のシステム。
【請求項47】
グループIIIの基油製品を製造するように構成された、請求項32~46のいずれかに記載のシステム。
【請求項48】
前記システムが、基油製造プラントである、請求項32~47のいずれかに記載のシステム。
【請求項49】
基油製品の粘度指数(VI)を増加させるために前記基油製品を製造するための既存のシステムを変更する方法であって、前記基油製品を製造するための前記既存のシステムが、
炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造するための水素化分解装置と、
前記水素化分解された流出物から分離された未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造するための脱ろうユニットと、を含み、
前記既存のシステムを変更する前記方法が、
前記既存のシステムに、前記未変換油を脱ろうして前記基油製品を製造する前に、前記水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を水素化加工するための別個の未変換油アップグレードリアクタを設置することを含む、前記方法。
【請求項50】
前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させるように構成されている、請求項49または請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記未変換油アップグレードリアクタが、水素化加工触媒を含有する1つ以上の床を含む水素化加工ゾーンを有し、前記水素化加工ゾーンが、水素化加工条件で維持されている、請求項49~51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項52または請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間
-1~約15時間
-1、例えば、約0.2時間
-1~約10時間
-1、もしくは約0.2時間
-1~約2.5時間
-1、もしくは約0.1時間
-1~約10時間
-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m
3H
2/m
3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m
3H
2/m
3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m
3H
2/m
3供給)の水素消費量を含む、請求項52~54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、請求項49~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化分解することを含み、前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記水素化加工ゾーンにおいて前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルよりも低くなるように構成されている、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記未変換油の水素化分解が約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、かつ前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が約30%~約70%の水素化分解変換で行われるように構成されている、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記方法が、前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように、前記既存のシステムを構成することを含む、請求項49~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記方法が、前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を含む前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように、前記既存のシステムを構成することを含む、請求項49~59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させるように構成されている、請求項49~60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記既存のシステムを変更した後、製造された前記基油製品が、100℃(212°F)で4cSt(4mm
2s
-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する、請求項49~61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記既存のシステムを変更した後、製造された前記基油製品が、グループIIIの基油製品である、請求項49~62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記既存のシステムが、基油製造プラントである、請求項49~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
未変換油を脱ろうして基油製品を製造する前に、水素化分解装置の水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を水素化加工するための未変換油アップグレードリアクタであって、
(a)水素化加工触媒を含有する1つ以上の床を含む水素化加工ゾーンであって、前記水素化加工ゾーンが、水素化加工条件で維持されている、前記水素化加工ゾーンを有し、かつ
(b)前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させるように構成されている前記未変換油アップグレードリアクタ。
【請求項66】
(a)前記水素化加工触媒が、
(i)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(ii)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、もしくはそれらの組み合わせと、場合により、
(iii)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含み、及び/または
(b)前記水素化加工条件が、
(i)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(ii)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(iii)約0.1時間
-1~約15時間
-1、例えば、約0.2時間
-1~約10時間
-1、もしくは約0.2時間
-1~約2.5時間
-1、もしくは約0.1時間
-1~約10時間
-1のLHSV、及び/または
(iv)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m
3H
2/m
3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m
3H
2/m
3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m
3H
2/m
3供給)の水素消費量を含む、請求項65に記載の未変換油アップグレードリアクタ。
【請求項67】
(a)請求項1~16のいずれかに記載の方法によって、(b)請求項32~48のいずれかに記載のシステムを使用して、または(c)請求項49~64のいずれかに記載の方法によって変更されたシステムを使用して、製造された、基油製品。
【請求項68】
請求項67に記載の基油製品を含む、潤滑剤。
【請求項69】
製造された基油製品の粘度指数(VI)を増加させるために、前記基油製品の製造におけるアップグレードされた未変換油の使用。
【請求項70】
前記基油製品の前記製造が、脱ろうユニットで前記アップグレードされた未変換油を脱ろうすることを含む、請求項69に記載の使用。
【請求項71】
前記アップグレードされた未変換油が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、炭化水素系原料の水素化分解から得られた未変換油を水素化加工することによって得られる、請求項69または請求項70に記載の使用。
【請求項72】
潤滑油の粘度指数(VI)を増加させるための、前記潤滑油中の基油製品としての脱ろうされ、アップグレードされた未変換油の使用。
【請求項73】
前記脱ろうされ、アップグレードされた未変換油が、(a)約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、炭化水素系原料の水素化分解から得られた未変換油を水素化加工することと、(b)前記水素化加工された未変換油を脱ろうすることと、によって得られる、請求項72に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月19日に出願された米国仮出願第63/138,940号、及び2021年1月18日に出願された米国仮出願第63/138,779号に対する優先権の利益を主張し、これらの開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、基油製品を製造するための方法及びシステム、基油製品の製造プロセス及びシステムを変更する方法、基油製品、潤滑剤、ならびに関連する使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
基油は、潤滑剤の製造のための基剤材料として適用される。American Petroleum Institute (API)は、基油を5つのグレードI~Vに分類している。APIグレードI~IIIは、原油から精製された基油に関するものであり、硫黄含有量、飽和レベル、及び粘度指数(VI)によって区別されるが、一方、グレードIV及びVは、合成基油または他の供給源(例えば、シリコーン)から得られた基油に関連する。グレードI及びグレードIIの基油は、80~120のVIが必要であるが、石油から精製された基油は、グレードIIIの基油として認定されるには120超のVIを達成する必要がある。
【0004】
グレードI~IIIの基油は、原油を精製することによって製造される。グレードIの基油は、最も精製が低い種類であり、原油蒸留物を溶媒精製または水素化処理することによって製造され得る。グレードIIの基油は、典型的には、蒸留物を水素化分解することによって製造され、したがって、グレードIの基油よりもより精製されている。最も精製されたグレードIIIの基油は、典型的には、実質的な水素化分解、水素異性化、及び/または水素処理プロセスを受けている。物理的または化学的プロセスのいずれかによる脱ろうは、典型的には、グレードI~IIIの全てのろう含有量を低減するために必要である。
【0005】
必要なVIの値が高いため、典型的には、高品質の原料(軽質または中質原油から得られるストレートラン減圧軽油など)が、グループIIIの基油の製造に使用される。より低品質でより重質な原料(例えば、アップグレードされた底部画分(重質コーカー軽油など)またはより重質な原油から得られたものを含む)からのグループIIIの基油の製造が望ましい。しかしながら、そのような低品質でより重質な原料から始める場合、グレードIIIの基油としての認定のために必要なVIを達成することは困難である可能性がある。概して、任意の種類の原料から製造される基油のVIを増加させるための変更された方法及びシステムが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
概要
第1の態様によれば、基油製品を製造する方法が提供される。本方法は、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することと、アップグレードされた未変換油を脱ろうして、基油製品を製造することと、を含む。
【0007】
水素化分解は、概して、水素の存在下で炭化水素系原料を水素化分解触媒と接触させ、より長い炭化水素分子の分解及び水素化、ならびにより小さな炭化水素分子の製造をもたらすことを含むことが理解されるであろう。軽油(例えば、減圧軽油(VGO)、常圧軽油、重質コーカー軽油(HCGO)などのコーカー軽油、ビスブレーカー軽油)、脱金属油、減圧残留物、常圧残留物、脱アスファルト油、フィッシャー-トロプシュ流及び/またはFCC流などの炭化水素系原料の水素化分解は、典型的には、例えば、不純物製品(例えば、硫化水素(H2S)及びアンモニア(NH3))、ライトエンド(精製ガス、プロパン、ブタン、及びナフサなど)、中間蒸留物製品(例えば、ジェット、ケロセン、及びディーゼル)及び未変換油(UCO)を含む水素化分解流出物を製造する。したがって、未変換油は、不純物製品、ライトエンド、及び中間蒸留物が除去された場合に残っている水素化分解装置流出物の部分である。未変換油は、典型的には、約662°F~約1112°F(すなわち、約350℃~約600℃)の範囲の沸点を有する。未変換油は、分画蒸留によって水素化分解装置流出物の他の成分から分離され得る。
【0008】
本方法は、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することを含む。したがって、本方法への入力は、水素化分解装置からの未変換油であり得る。すなわち、第1の態様の方法は、水素化分解装置からの未変換油を提供または取得することと、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することと、を含み得る。したがって、本方法は、例えば、水素化分解装置が配置されている場所とは異なる場所で(例えば、異なるプラントで)、水素化分解とは独立して実施され得る。
【0009】
代替的に、第1の態様の方法は、水素化分解ステップを含み得る。例えば、本方法は、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工する前に、水素化分解装置で炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造することと、(例えば、分画蒸留によって)未変換油を水素化分解された流出物から分離することと、を含み得る。したがって、水素化分解及び水素化加工は、同じ場所で(例えば、同じプラントで)行われ得る。炭化水素系原料は、約572°F~約1112°F(すなわち、約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し得る。炭化水素系原料は、軽油(例えば、減圧軽油(VGO)、常圧軽油、重質コーカー軽油(HCGO)などのコーカー軽油、ビスブレーカー軽油)、脱金属油、減圧残留物、常圧残留物、脱アスファルト油、フィッシャー-トロプシュ流及び/またはFCC流を含み得る。いくつかの例では、炭化水素系原料は、減圧軽油(VGO)または重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む。
【0010】
水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することは、未変換油の粘度指数(VI)を増加させることを含み得る。流体の粘度指数は、温度の関数として変化する流体の粘度の傾向の尺度であることが理解されるであろう。流体の粘度指数は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、ASTM規格D-2270に定められた方法によって測定され得る。ASTM D-2270によれば、粘度指数は、40℃(すなわち、104°F)及び100℃(すなわち、212°F)で測定された流体の動粘度に基づいて計算される。この方法によって得られる粘度指数は、単位なしの値である。粘度指数が高いほど、温度の上昇に伴う動粘度の減少が小さいことを示す。したがって、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することは、典型的には、温度の上昇に応じてアップグレードされた油の動粘度が減少する傾向を、低減させる。本発明者らは、脱ろう前に未変換油のVIを増加させることにより、本方法が、グレードIIまたはグレードIIIの基油としての分類の要件を満たす基油製品を、アップグレードされた底部画分(例えば、HCGO)などの低品質でより重質な原料から製造すること、またはより重質の原油から取得することを可能にすることを見出した。
【0011】
水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することは、水素化加工条件下、水素の存在下で、未変換油を水素化加工触媒と接触させることを含み得る。水素化加工触媒及び/または水素化加工条件は、水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択され得る。VI増加分子転換は、未変換油の粘度指数を増加させる傾向がある分子転換であることが理解されるであろう。VI増加分子転換の例としては、水素異性化及び水素化が挙げられる。水素異性化転換は、炭化水素分岐、例えば、通常のパラフィン(すなわち、通常のアルカン)をイソパラフィン(すなわち、分岐アルカン)に変換することを増加させ得る。追加的に、または代替的に、水素異性化転換は、開環分子転換、例えば、ナフテン(すなわち、シクロアルカン)をパラフィン(すなわち、直鎖アルカン)に変換することを含み得る。水素化転換は、芳香族及び/またはオレフィン(すなわち、アルケン)炭化水素を飽和状態にすることを含み得る。
【0012】
典型的には、水素化加工触媒は、(a)元素周期表のVI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物(例えば、1つ以上の酸化物または硫化物)と、(b)触媒担体(例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせなどの多孔質耐熱性担体)と、を含む。水素化加工触媒は、場合により、(c)1つ以上のモレキュラーシーブ(例えば、1つ以上のゼオライト)を更に含み得る。
【0013】
誤解を避けるために、元素周期表のVI族には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、及びシーボーギウム(Sg)が含まれる。元素周期表のVII族には、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、及びボーリウム(Bh)が含まれる。元素周期表のVIII族には、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びハッシウム(Hs)が含まれる。元素周期表のIX族には、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びマイトネリウム(Mt)が含まれる。元素周期表のX族には、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びダームスタチウム(Ds)が含まれる。
【0014】
水素化加工触媒は、触媒押出成形物及び/または形成された粒子の形態で提供され得る。触媒押出成形物及び/または形成された粒子は、約0.5mm~約5mm、例えば、約1mm~約3mm、または約1mm~約2mmの直径を有し得る。触媒押出成形物及び/または形成された粒子は、約1~約5、例えば、約1~約4、または約2~約5、または約2~約4、または約2~約3の長さ/直径比を有し得る。触媒押出成形物及び/または形成された粒子は、層間充填材料、例えば、ガラスビーズと組み合わされ得る。
【0015】
水素化加工触媒は、水素化処理触媒、水素化分解触媒、及び/または水素異性化触媒であり得る。
【0016】
例えば、水素化加工触媒は、(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物(例えば、1つ以上の酸化物または硫化物)と、(b)触媒担体(例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせなどの多孔質耐熱性担体)と、を含む、水素化処理触媒であり得る。水素化処理触媒の例としては、アルミナ担持コバルトモリブデン、硫化ニッケル、ニッケルタングステン、コバルトタングステン、及びニッケルモリブデンが挙げられる。水素化処理触媒は、事前硫化されていてもよい。
【0017】
代替的には、水素化加工触媒は、(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物(例えば、1つ以上の酸化物または硫化物)と、(b)触媒担体(例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせなどの多孔質耐熱性担体)と、(c)1つ以上のモレキュラーシーブ(例えば、1つ以上のゼオライト)と、を含む、水素化分解触媒であり得る。水素化分解触媒は、典型的には、二官能性触媒である。VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物は、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、白金、及びパラジウム、ならびにそれらの硫化物または酸化物からなる群から選択され得る。1つ以上のモレキュラーシーブは、Y型(例えば、SY、USY、及びVUSY)、REX、REY、ベータ及び/またはZSM-5ゼオライトから選択される1つ以上のゼオライトであり得る。水素化分解触媒は、例えば、リン、ホウ素、フッ素、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、マンガン、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の促進剤を含み得る。水素化分解触媒の分解機能と水素化機能との間のバランスを調整して、活性及び選択性を最適化することができる。
【0018】
更に代替的には、水素化加工触媒は、(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物(例えば、1つ以上の酸化物または硫化物)と、(b)触媒担体(例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせなどの多孔質耐熱性担体)と、(c)1つ以上のモレキュラーシーブ(例えば、1つ以上のゼオライト)と、を含む、水素異性化触媒であり得る。水素異性化触媒は、典型的には、二官能性触媒である。VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物は、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル、白金、及びパラジウム、ならびにそれらの硫化物または酸化物からなる群から選択され得る。1つ以上のモレキュラーシーブは、MFI、MEL、TON、MTT、*MRE、FER、AEL、EUO型、SSZ-32、小結晶SSZ-32、ZSM-23、ZSM-48、MCM-22、ZSM-5、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-35、及びMCM-68型のゼオライト、及び/または*MRE及び/またはMTTフレームワークのトポロジーを有するゼオライトから選択される1つ以上のゼオライトであり得る。水素異性化触媒は、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、カリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、クロム、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の促進剤を含み得る。
【0019】
水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することは、水素化加工条件下、水素の存在下で、未変換油を2つ以上の(すなわち、異なる)水素化加工触媒と接触させることを含み得る。2つ以上の水素化加工触媒は、同じ一般的な種類のもの(例えば、2つ以上の水素化処理触媒、2つ以上の水素化分解触媒、または2つ以上の水素異性化触媒)であり得る。代替的には、2つ以上の水素化加工触媒は、異なる一般的な種類のもの(例えば、(i)1つ以上の水素化処理触媒及び1つ以上の水素化分解触媒、(ii)1つ以上の水素化分解触媒及び1つ以上の水素異性化触媒、(iii)1つ以上の水素異性化触媒及び1つ以上の水素化処理触媒、または(iv)1つ以上の水素化処理触媒、1つ以上の水素化分解触媒、及び1つ以上の水素異性化触媒の組み合わせ)であり得る。
【0020】
上で論じたように、水素化加工触媒(複数可)は、VI増加分子転換(水素異性化及び水素化など)が水素化加工において優勢になるように選択され得る。例えば、本方法は、水素化及び/または水素異性化分子転換が水素化分解に対して優勢になるように、1つ以上の水素化処理及び/または水素異性化触媒を選択することを含み得る。追加的、または代替的に、本方法は、1つ以上の穏やかな水素化分解触媒を選択することを含み得る。穏やかな水素化分解触媒は、水素化分解装置で伝統的に使用される水素化分解触媒と比較して、より少ない活性のモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)及び/またはより少ない量(例えば、ゼロ量)のモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)を含有する水素化分解触媒であることが理解されるであろう。したがって、穏やかな水素化分解触媒に曝露された炭化水素系原料は、典型的には、同じ反応条件下でより強い水素化分解触媒に曝露された場合よりも、より少ない水素化分解(及び典型的にはより多くの水素異性化)を受ける。
【0021】
いくつかの例では、水素化加工触媒は、(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属の硫化物と、(b)アルミナ及び/または非晶質シリカアルミナ材料を含む触媒担体と、(c)1つ以上のゼオライトと、を含む。例えば、水素化加工触媒は、(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属の硫化物と、(b)アルミナ及び/または非晶質シリカアルミナ材料を含む触媒担体と、(c)1つ以上のY型ゼオライトと、を含み得る。いくつかの例では、水素化加工触媒は、(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属の硫化物と、(b)アルミナ及び/または非晶質シリカアルミナ材料を含む触媒担体と、(c)1つ以上の低活性Y型ゼオライトと、を含む穏やかな水素化分解触媒である。
【0022】
水素化加工条件は、約400°F以上、例えば、約450°F以上、約500°F以上、約550°F以上、約600°F以上、約650°F以上、700°F以上、または約750°F以上、または約800°F以上の反応温度を含み得る。水素化加工条件は、約950°F以下、例えば、約900°F以下、または約850°F以下、または約800°F以下、または約750°F以下、または約700°F以下の反応温度を含み得る。水素化加工条件は、約400°F~約950°F、例えば、約400°F~約900°F、または約400°F~約850°F、または約400°F~約800°F、または約400°F~約750°F、または約400°F~約700°F、または約450°F~約950°F、または約450°F~約900°F、または約450°F~約850°F、または約450°F~約800°F、または約450°F~約750°F、または約450°F~約700°F、または約500°F~約950°F、または約500°F~約900°F、または約500°F~約850°F、または約500°F~約800°F、または約500°F~約750°F、または約500°F~約700°F、または約550°F~約950°F、または約550°F~約900°F、または約550°F~約850°F、または約550°F~約800°F、または約550°F~約750°F、または約550°F~約700°F、または約600°F~約950°F、または約600°F~約900°F、または約600°F~約850°F、または約600°F~約800°F、または約600°F~約750°F、または約600°F~約700°F、または約650°F~約950°F、または約650°F~約900°F、または約650°F~約850°F、または約650°F~約800°F、または約650°F~約750°F、または約650°F~約700°F、または約700°F~約950°F、または約700°F~約900°F、または約700°F~約850°F、または約700°F~約800°F、または約700°F~約750°F、または約750°F~約950°F、または約750°F~約900°F、または約750°F~約850°F、または約750°F~約800°F、または約800°F~約950°F、または約800°F~約900°F、または約800°F~約850°Fの反応温度を含み得る。
【0023】
水素化加工条件は、約500psi以上、例えば、約750psi以上、または約1000psi以上、または約1200psi以上、または約1500psi以上、または約2000psi以上の反応ゲージ圧力を含み得る。水素化加工条件は、約5000psi以下、例えば、約4000psi以下、または約3000psi以下、または約2500psi以下、または約2000psi以下の反応ゲージ圧力を含み得る。水素化加工条件は、約500psi~約5000psi、例えば、約500psi~約4000psi、または約500psi~約3000psi、または約500psi~約2500psi、または約500psi~約2000psi、または約750psi~約5000psi、または約750psi~約4000psi、または約750psi~約3000psi、または約750psi~約2500psi、または約750psi~約2000psi、または約1000psi~約5000psi、または約1000psi~約4000psi、または約1000psi~約3000psi、または約1000psi~約2500psi、または約1000psi~約2000psi、または約1200psi~約5000psi、または約1200psi~約4000psi、または約1200psi~約3000psi、または約1200psi~約2500psi、または約1200psi~約2000psi、または約1500psi~約5000psi、または約1500psi~約4000psi、または約1500psi~約3000psi、または約1500psi~約2500psi、または約1500psi~約2000psi、または約2000psi~約5000psi、または約2000psi~約4000psi、または約2000psi~約3000psi、または約2000psi~約2500psiの反応ゲージ圧力を含み得る。
【0024】
水素化加工条件は、約0.1時間-1以上、例えば、約0.2時間-1以上、または約0.5時間-1以上、または約1時間-1以上の液空間速度(LHSV)を含み得る。水素化加工条件は、約15時間-1以下、例えば、約10時間-1以下、または約5時間-1以下、または約2.5時間-1以下のLHSVを含み得る。水素化加工条件は、約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.1時間-1~約10時間-1、または約0.1時間-1~約5時間-1、または約0.1時間-1~約2.5時間-1、または約0.2時間-1~約15時間-1、または約0.2時間-1~約10時間-1、または約0.2時間-1~約5時間-1、または約0.2時間-1~約2.5時間-1、または約0.5時間-1~約15時間-1、または約0.5時間-1~約10時間-1、または約0.5時間-1~約5時間-1、または約0.5時間-1~約2.5時間-1、または約1時間-1~約15時間-1、または約1時間-1~約10時間-1、または約1時間-1~約5時間-1、または約1時間-1~約2.5時間-1のLHSVを含み得る。
【0025】
水素化加工条件は、液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf以上、例えば、液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf以上、または液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf以上、または液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf以上、または液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf以上の水素消費量を含み得る。水素化加工条件は、液体炭化水素供給のバレル当たり約2500scf以下、例えば、液体炭化水素供給のバレル当たり約2000scf以下、または液体炭化水素供給のバレル当たり約1500scf以下、または液体炭化水素供給のバレル当たり約1000scf以下の水素消費量を含み得る。水素化加工条件は、液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf、例えば、液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約2500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約2000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約1500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約1000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約2500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約2000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約1500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約1000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約2500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約2000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約1500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約1000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約2500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約2000scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約1500scf、または液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約1000scfの水素消費量を含み得る。
【0026】
したがって、水素化加工条件は、以下を含み得る:(a)約400°F~約950°F、例えば、約400°F~約900°F、もしくは約400°F~約850°F、もしくは約400°F~約800°F、もしくは約400°F~約750°F、もしくは約400°F~約700°F、もしくは約450°F~約950°F、もしくは約450°F~約900°F、もしくは約450°F~約850°F、もしくは約450°F~約800°F、もしくは約450°F~約750°F、もしくは約450°F~約700°F、もしくは約500°F~約950°F、もしくは約500°F~約900°F、もしくは約500°F~約850°F、もしくは約500°F~約800°F、もしくは約500°F~約750°F、もしくは約500°F~約700°F、もしくは約550°F~約950°F、もしくは約550°F~約900°F、もしくは約550°F~約850°F、もしくは約550°F~約800°F、もしくは約550°F~約750°F、もしくは約550°F~約700°F、もしくは約600°F~約950°F、もしくは約600°F~約900°F、もしくは約600°F~約850°F、もしくは約600°F~約800°F、もしくは約600°F~約750°F、もしくは約600°F~約700°F、もしくは約650°F~約950°F、もしくは約650°F~約900°F、もしくは約650°F~約850°F、もしくは約650°F~約800°F、もしくは約650°F~約750°F、もしくは約650°F~約700°F、もしくは約700°F~約950°F、もしくは約700°F~約900°F、もしくは約700°F~約850°F、もしくは約700°F~約800°F、もしくは約700°F~約750°F、もしくは約750°F~約950°F、もしくは約750°F~約900°F、もしくは約750°F~約850°F、もしくは約750°F~約800°F、もしくは約800°F~約950°F、もしくは約800°F~約900°F、もしくは約800°F~約850°Fの反応温度、(b)約500psi~約5000psi、例えば、約500psi~約4000psi、もしくは約500psi~約3000psi、もしくは約500psi~約2500psi、もしくは約500psi~約2000psi、もしくは約750psi~約5000psi、もしくは約750psi~約4000psi、もしくは約750psi~約3000psi、もしくは約750psi~約2500psi、もしくは約750psi~約2000psi、もしくは約1000psi~約5000psi、もしくは約1000psi~約4000psi、もしくは約1000psi~約3000psi、もしくは約1000psi~約2500psi、もしくは約1000psi~約2000psi、もしくは約1200psi~約5000psi、もしくは約1200psi~約4000psi、もしくは約1200psi~約3000psi、もしくは約1200psi~約2500psi、もしくは約1200psi~約2000psi、もしくは約1500psi~約5000psi、もしくは約1500psi~約4000psi、もしくは約1500psi~約3000psi、もしくは約1500psi~約2500psi、もしくは約1500psi~約2000psi、もしくは約2000psi~約5000psi、もしくは約2000psi~約4000psi、もしくは約2000psi~約3000psi、もしくは約2000psi~約2500psiの反応ゲージ圧力、(c)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.1時間-1~約10時間-1、もしくは約0.1時間-1~約5時間-1、もしくは約0.1時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.2時間-1~約15時間-1、もしくは約0.2時間-1~約10時間-1、もしくは約0.2時間-1~約5時間-1、もしくは約0.2時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.5時間-1~約15時間-1、もしくは約0.5時間-1~約10時間-1、もしくは約0.5時間-1~約5時間-1、もしくは約0.5時間-1~約2.5時間-1、もしくは約1時間-1~約15時間-1、もしくは約1時間-1~約10時間-1、もしくは約1時間-1~約5時間-1、もしくは約1時間-1~約2.5時間-1のLHSV、及び/または(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf、例えば、液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約2500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約2000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約1500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約1000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約2500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約2000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約1500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約300scf~約1000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約2500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約2000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約1500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約400scf~約1000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約2500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約2000scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約1500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約1000scfの水素消費量。
【0027】
いくつかの例では、水素化加工条件は、(a)約400°F~約950°F、例えば、約650°F~約850°Fの反応温度、(b)約500psi~約5000psi、例えば、約1500psi~約2500psi、もしくは約1200psi~約2500psiの反応ゲージ圧力、(c)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.2時間-1~約10時間-1、もしくは約0.2時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf、例えば、液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約2500scf、もしくは液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1500scfの水素消費量を含む。
【0028】
上で論じたように、水素化加工条件は、VI増加分子転換(水素異性化及び水素化など)が水素化加工において優勢になるように選択され得る。したがって、水素化加工条件は、選択された水素化加工触媒(複数可)に応じて選択され得る。
【0029】
例えば、本方法は、以下を含む水素化処理条件下、水素の存在下で、未変換油を1つ以上の水素化処理触媒と接触させることを含むことがあり得る:(a)約400°F~約950°F、例えば、約650°F~約850°Fの反応温度、(b)約500psi~約5000psi、例えば、約1200psi~約2500psiの反応ゲージ圧力、(c)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.2時間-1~約2.5時間-1のLHSV、及び/または(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約200scf~約2500scfの水素消費量。代替的には、本方法は、以下を含む水素化分解条件下、水素の存在下で、未変換油を1つ以上の水素化分解触媒と接触させることを含むことがあり得る:(a)約400°F~約950°F、例えば、約650°F~約850°Fの反応温度、(b)約500psi~約5000psi、例えば、約1500psi~約2500psiの反応ゲージ圧力、(c)約0.5時間-1~約15時間-1、例えば、約1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1500scfの水素消費量。更に代替的に、本方法は、以下を含む水素異性化条件下、水素の存在下で、未変換油を1つ以上の水素異性化触媒と接触させることを含むことがあり得る:(a)約400°F~約950°F、例えば、約650°F~約850°Fの反応温度、(b)約500psi~約5000psi、例えば、約1500psi~約2500psiの反応ゲージ圧力、(c)約0.5時間-1~約15時間-1、例えば、約1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1500scfの水素消費量。
【0030】
水素化加工触媒の触媒活性は、水素化加工条件によって影響され得ることが理解されるであろう。例えば、水素化加工触媒の選択性は、水素化加工条件に依存し得る。したがって、いくつかの例では、本方法は、VI増加分子転換(例えば、水素化及び/または水素異性化転換)を優勢にする(例えば、水素化分解転換よりも)水素化加工条件下、水素の存在下で、未変換油を水素化分解触媒と接触させることを含む。例えば、本方法は、水素異性化反応が水素化分解反応よりも優勢になるように、穏やかな水素化分解条件下(例えば、比較的低い温度で)、水素の存在下で、未変換油を水素化分解触媒と接触させることを含み得る。
【0031】
したがって、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することは、水素化分解装置からの未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含み得る。しかしながら、水素化加工において、水素化処理及び/または水素異性化反応は、典型的には、水素化分解反応に勝る。例えば、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工することは、水素化分解装置からの未変換油を水素化分解することを含むが、水素化分解装置からの未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換(例えば、水素化加工された未変換油の質量の割合(例えば、パーセンテージ)として表される得られる水素化分解製品(すなわち、ライトエンド及び中間蒸留物)の質量である、見かけの変換)のレベルは、水素化分解装置での炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換(例えば、見かけの変換)のレベルよりも低いことがあり得る。いくつかの例では、水素化分解装置からの未変換油の水素化分解は、約5%~約30%(例えば、約5%~約20%、または約10%~約30%、または約10%~約20%)の水素化分解変換(すなわち、見かけの変換)で行われ、一方、水素化分解装置での炭化水素系原料の水素化分解は、約30%~約70%(例えば、約40%~約70%、または約50%~約70%、または約30%~約60%、または約40%~約60%、または約50%~約60%、または約30%~約50%、または約40%~約50%)の水素化分解変換(すなわち、見かけの変換)で行われる。
【0032】
本方法は、未変換油を清浄な条件下で水素化加工することを含み得る。例えば、未変換油を水素化加工する前に、未変換油の硫黄、窒素、及び/または金属含有量が低いことがあり得る。いくつかの例では、未変換油は、水素化加工の前に、実質的に硫黄、窒素、及び/または金属を含まない。例えば、水素化分解装置からの未変換油を水素化加工する前に、未変換油は、以下を含み得る:(a)約100ppm以下、例えば、約75ppm以下、もしくは約50ppm以下の硫黄、(b)約20ppm以下、例えば、約15ppm以下、もしくは約10ppm以下の窒素、及び/または(c)約1ppm以下、例えば、約0.5ppm以下のニッケル、バナジウム及び/または銅。
【0033】
追加的または代替的に、水素化分解装置から未変換油を水素化加工する前に、未変換油は、以下を含み得る:(a)約25~約45、例えば約30~約45、もしくは約25~約40、もしくは約30~約40、もしくは約25~約35、もしくは約30~約35のAPI度、(b)約800°F~約1100°F、例えば、約900°F~約1100°F、もしくは約800°F~約1000°F、もしくは約900°F~約1000°Fの真の沸点(TBP)95%点(すなわち、未変換油の95%が蒸発する温度)、及び/または(c)100℃(すなわち、212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された、約100~約150、例えば、約110~約150、もしくは約120~約150、もしくは約100~約140、もしくは約110~約140、もしくは約120~約140、もしくは約100~約130、もしくは約110~約130、もしくは約120~約130、もしくは約100~約120、もしくは約110~約120の粘度指数(VI)。
【0034】
未変換油を水素化加工して基油製品を製造することは、未変換油のVIを約5以上、例えば、約10以上、または約15以上増加させることを含み得る。未変換油を水素化加工して基油製品を製造することは、未変換油のVIを約30以下、例えば、約25以下、または約20以下増加させることを含み得る。非変換油を水素化加工して基油製品を製造することは、非変換油のVIを約5~約30、例えば、約10~約30、または約15~約30、または約5~約25、または約10~約25、または約15~約25、または約5~約20、または約10~約20、または約15~約20増加させることを含み得る。
【0035】
アップグレードされた未変換油を脱ろうすることは、アップグレードされた未変換油のろう含有量を低減させることが理解されるであろう。アップグレードされた未変換油を脱ろうすることは、1つ以上の物理プロセスによって、例えば、アップグレードされた未変換油を冷却してろう成分を固化させること及び濾過して固化されたろう成分を除去することによって、アップグレードされた未変換油からろうを除去することを含み得る。例えば、アップグレードされた未変換油を脱ろうすることは、溶媒脱ろうすることを含み得、溶媒脱ろうは、アップグレードされた未変換油を溶媒で希釈すること、希釈されたアップグレードされた未変換油を冷却してろう成分を固化すること、濾過して固化されたろう成分及び濾液を分離すること、ならびに固化されたろう成分及び/または濾液から溶媒を回収することを含む。追加的または代替的に、アップグレードされた未変換油を脱ろうすることは、1つ以上の化学プロセスによって、例えば、ろう分子を触媒的に分解及び/または異性化することによって、アップグレードされた未変換油のろう含有量を低減することを含み得る。例えば、アップグレードされた未変換油を脱ろうすることは、ろう成分を水素化分解することによってアップグレードされた未変換油を触媒的に脱ろうすること、及び/またはろう成分を水素異性化することによってアップグレードされた未変換油をイソ脱ろうすることを含み得る。水素化分解及び/または水素異性化ろう成分は、イソ脱ろう触媒などの水素化分解及び/または水素異性化触媒を利用し得る。
【0036】
本方法によって製造された基油製品は、100℃(すなわち、212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約120以上、例えば、約130以上、または約140以上のVIを有し得る。本方法によって製造された基油製品は、100℃(すなわち、212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約200以下、例えば、約175以下、または約150以下のVIを有し得る。本方法によって製造された基油製品は、ASTM D-2270に従って測定された約120~約200、例えば、ASTM D-2270に従って測定された約120~約175、または約120~約150、または約130~約200、または約130~約175、または約130~約150、または約140~約200、または約140~約175、または約140~約150のVIを有し得る。
【0037】
本方法によって製造された基油製品は、American Petroleum Institute(API)によって定義されたグループIIIの基油製品であり得る。
【0038】
基油製品は、潤滑油、モータ油、及び/または金属加工流体(例えば、切削油剤)の製造における使用のための基油であり得る。基油製品は、2つ以上の(すなわち、異なる)基油のブレンドであり得る。
【0039】
本方法は、基油生産プラントで実施され得る。水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することは、例えば、以下に記載の第3の態様に従って、未変換油アップグレードリアクタで行われる。
【0040】
本方法は、必要に応じて、濾過、蒸留、剥離、及び/または水素化仕上げのステップを含む、基油製品を製造するための当該技術分野で既知の任意の他のステップを含み得る。
【0041】
第2の態様では、既存の基油製品製造プロセスを変更して、製造された基油の粘度指数(VI)を増加させる方法が提供される。既存の基油製品製造プロセスは、水素化分解装置で炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造することと、未変換油を水素化分解された流出物から分離することと、水素化分解された流出物から分離された未変換油を脱ろうして、基油製品を製造することと、を含む。既存の基油製品製造プロセスを変更する方法は、未変換油を脱ろうして基油製品を製造する前に、水素化分解された流出物から分離された未変換油を水素化加工することを含む。
【0042】
炭化水素系原料は、第1の態様に関連して上記の任意の炭化水素系原料であり得る。
【0043】
本方法のステップ(水素化分解、分離、水素化加工、及び脱ろうステップを含む)は、第1の態様による方法の対応するステップの特徴(入力供給、出力、分子転換、触媒、及び反応条件を含む)のうちのいずれかを準用し得る。
【0044】
第3の態様では、基油製品を製造するためのシステムが提供される。本システムは、炭化水素系原料を水素化分解して未変換油を含む水素化分解された流出物を製造するための水素化分解装置と、水素化分解流出物から分離された未変換油を水素化加工してアップグレードされた未変換油を製造するための未変換油アップグレードリアクタと、を備える。
【0045】
未変換油アップグレードリアクタは、上記の第1の態様による方法によって、水素化分解された流出物から分離された未変換油を水素化加工するように構成され得る。したがって、未変換油アップグレードリアクタへの入力供給、未変換油アップグレードリアクタからの出力、ならびに未変換油アップグレードリアクタ内の触媒及び反応条件は、第1の態様に関連して上記のとおりであり得る。
【0046】
非変換油アップグレードリアクタは、第1の態様に関して上記の1つ以上の水素化加工触媒を含有する1つ以上の床を含む水素化加工ゾーンを有し得る。1つ以上の床は、固定床、スラリー床、及び/または流動(例えば、沸騰)床であり得る。1つ以上の床が2つ以上の(すなわち、異なる)水素化加工触媒を含有する例では、当該2つ以上の水素化加工触媒は、層状であり得る。1つ以上の床は、層間充填材料、例えば、ガラスビーズを更に含有し得る。水素化加工ゾーンは、第1の態様に関して上記の水素化加工条件で維持され得る。
【0047】
本システムは、未変換油アップグレードリアクタによって製造された未変換油を脱ろうして、基油製品を製造するための脱ろうユニットを更に備え得る。脱ろうユニットは、第1の態様に関連して記載した脱ろう方法(例えば、溶媒脱ろう、触媒脱ろう、及び/またはイソ脱ろう)のうちのいずれかによって、未変換油を脱ろうするように構成され得る。
【0048】
システムは、基油生産プラントであり得る。
【0049】
第4の態様では、基油製品を製造するための既存のシステムを変更して、基油製品の粘度指数(VI)を増加させる方法が提供される。基油製品を製造するための既存のシステムは、炭化水素系原料を水素化分解して未変換油を含む水素化分解された流出物を製造するための水素化分解装置と、水素化分解された流出物から分離された未変換油を脱ろうして基油製品を製造するための脱ろうユニットと、を備える。既存のシステムを変更する方法は、既存のシステムに、未変換油を脱ろうして基油製品を製造する前に、水素化分解された流出物から分離された未変換油を水素化加工するための未変換油アップグレードリアクタを設置することを含む。
【0050】
炭化水素系原料は、第1の態様に関連して上記の任意の炭化水素系原料であり得る。
【0051】
未変換油アップグレードリアクタは、第3の態様に関して上記の未変換油アップグレードリアクタの特徴(入力供給、出力、構造、機能、分子転換、触媒及び反応条件を含む)のうちのいずれかを準用し得る。更に、未変換油アップグレードリアクタを既存のシステムに設置することによって既存のシステムを変更することは、第3の態様に関連して記載のシステムの特徴のうちのいずれかを有するシステムをもたらし得る。
【0052】
第5の態様では、未変換油を脱ろうして基油製品を製造する前に、水素化分解装置の水素化分解された流出物から分離された未変換油を水素化加工するための未変換油アップグレードリアクタが提供される。未変換油アップグレードリアクタは、第3の態様に関連して上に記載の未変換油アップグレードリアクタの特徴(入力供給、出力、構造、機能、分子転換、触媒及び反応条件を含む)のうちのいずれかを準用し得る。
【0053】
第6の態様では、(a)第1の態様による方法によって、(b)第2の態様の方法によって変更された方法によって、(c)第3の態様によるシステムを使用して、または(d)第4の態様による方法によって変更されたシステムを使用して、製造された基油製品が提供される。基油製品は、グループIIの基油製品またはグループIIIの基油製品、好ましくは、グループIIIの基油製品であり得る。
【0054】
基油製品は、潤滑油、モータ油、及び/または金属加工流体(例えば、切削油剤)の製造における使用のための基油であり得る。基油製品は、2つ以上の(すなわち、異なる)基油のブレンドであり得る。
【0055】
第7の態様では、第6の態様による基油製品を含む潤滑剤が提供される。潤滑剤は、2つ以上の(すなわち、異なる)基油製品(例えば、基油)を含み得る。潤滑剤は、抗摩耗添加剤、腐食防止剤、洗剤、分散剤、摩擦調整剤、流動点低下剤、及び/または粘度指数改善剤などの1つ以上の添加剤を更に含み得る。潤滑剤は、潤滑油(モータ油など)、金属加工流体(切削油剤など)、または潤滑グリース(基油製品で乳化された石鹸など)であり得る。
【0056】
第8の態様では、製造された基油製品の粘度指数(VI)を増加させるために、基油製品の製造におけるアップグレードされた未変換油の使用が提供される。
【0057】
アップグレードされた未変換油は、第1の態様による方法によって、または第3の態様によるシステムを使用して、水素化分解装置から得られた未変換油をアップグレード(例えば、水素化加工)することによって製造され得る。例えば、アップグレードされた未変換油は、約572°F~約1112°F(すなわち、約300℃~約600℃)の範囲内の沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む炭化水素系原料の水素化分解から得られた未変換油を水素化加工することによって得られ得る。基油製品の製造は、脱ろうユニットでアップグレードされた未変換油を脱ろうすることを含み得る。
【0058】
第9の態様では、潤滑剤の粘度指数(VI)を増加させるための、潤滑剤中の基油製品としての脱ろうされ、アップグレードされた未変換油の使用が提供される。
【0059】
脱ろうされ、アップグレードされた未変換油は、第1の態様による方法によって、または第3の態様によるシステムもしくは第5の態様の未変換油アップグレードリアクタを使用して、水素化分解装置から得られた未変換油をアップグレードする(例えば、水素化加工する)こと、及びアップグレードされた未変換油を脱ろうすることによって得られ得る。例えば、脱ろうされ、アップグレードされた未変換油は、(a)約572°F~約1112°F(すなわち、約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、炭化水素系原料の水素化分解から得られた未変換油を水素化加工することと、(b)水素化加工された未変換油を脱ろうすることと、によって得られ得る。
【0060】
当業者は、相互に排他的な場合を除き、上記の態様のうちのいずれか1つに関連して記載された特徴が、任意の他の態様に準用され得ることを理解するであろう。更に、相互に排他的である場合を除き、本明細書に記載の任意の特徴は、任意の態様に適用され得、及び/または本明細書に記載の任意の他の特徴と組み合わされ得る。
【0061】
図面の簡単な記述
次に、実施形態を、図面を参照して、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、基油を製造するためのプロセスを示す概略プロセスフロー図である。
【0063】
【
図2】
図2は、(a)ストレートラン減圧軽油ならびに(b)ストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油の水素化分解変換パーセンテージ(X)の関数としての粘度指数(VI)のプロットである。
【0064】
【
図3】
図3は、(a)ストレートラン減圧軽油ならびに(b)ストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油の100℃での粘度の関数としてのVIのプロットである。
【0065】
【
図4】
図4は、(a)ストレートラン減圧軽油ならびに(b)ストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油を脱ろうすることによって得られた脱ろう油のXの関数としてのVIのプロットである。
【0066】
【
図5】
図5は、(a)ストレートラン減圧軽油ならびに(b)ストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油を脱ろうすることによって得られた脱ろう油の100℃での粘度の関数としてのVIのプロットである。
【0067】
【
図6】
図6は、各々3つの異なる水素化分解変換パーセンテージ(X)で(a)ストレートラン減圧軽油ならびに(b)ストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油の100℃での粘度の関数としてのVIのプロットである。
【0068】
【
図7】
図7は、各々3つの異なるXの値で(a)ストレートラン減圧軽油ならびに(b)ストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油を脱ろうすることによって得られた脱ろう油の100℃での粘度の関数としてのVIのプロットである。
【0069】
【
図8】
図8は、(a)63.5%の水素化分解変換でのストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油、(b)74%の水素化分解変換でのストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油、ならびに(c)63.5%の水素化分解変換でのストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油をアップグレードして、合計74%の水素化分解変換パーセンテージにすることによって得られたアップグレードされた未変換油を脱ろうすることによって得られた脱ろう油の100℃での粘度の関数としてのVIのプロットである。
【0070】
【
図9】
図9は、(a)77%の水素化分解変換でのストレートラン減圧軽油の水素化分解から直接得られた未変換油、ならびに(b)63.5%の水素化分解変換でのストレートラン減圧軽油及び重質コーカー軽油のブレンドの水素化分解から直接得られた未変換油をアップグレードして、合計74%の水素化分解変換パーセンテージにすることによって得られたアップグレードされた未変換油を脱ろうして得られた脱ろう油の100℃での粘度の関数としてのVIのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
詳細な記述
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、パーセンテージ、または割合、及び他の数値を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されているものとして理解される必要がある。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似である。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、明示的かつ明解に1つの指示対象に限定されない限り、複数の参照を含むことに留意されたい。本明細書で使用される場合、「含む」という用語及びその文法的変形は、リスト内の項目の列挙が、リストされた項目に置き換えまたは追加することができる他の同様の項目を除外するものではないように、非限定的であることが意図されている。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、その用語の後に識別される要素またはステップを含むことを意味するが、任意のかかる要素またはステップは網羅的ではなく、実施形態は、他の要素またはステップを含むことができる。
【0072】
別段に指定されない限り、個々の成分または成分の混合物が選択され得る要素、材料、または他の成分の属の記載は、列挙された成分及びそれらの混合物の全ての可能な下位属の組み合わせを含むことが意図される。加えて、本明細書に提示される全ての数の範囲は、それらの上限値及び下限値を含む。
【0073】
標準的な試験が本明細書に記載される場合、別段明記されない限り、参照される試験のバージョンは、本特許出願の時点で最新である。
【0074】
特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起させる他の例を含み得る。かかる他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語とは異ならない構造的要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語と実質的ではない違いを有する等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書と矛盾しない範囲で、本明細書で参照される全ての引用は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0075】
プロセスフロー
図1は、潤滑剤の製造における使用のための基油を製造するための例示的なプロセスフローを示す。初期の炭化水素系原料1は、炭化水素系原料1が水素化分解を受ける水素化分解装置2に供給され、それによって未変換油3及び他の製品(
図1には示されていない)が製造される。未変換油3は、水素化分解装置2から、アップグレードリアクタ4、脱ろうリアクタ6、及び水素化仕上げリアクタ8を含む脱ろうブロック10に供給される。未変換油は、脱ろうブロック10内で最初にアップグレードリアクタ4に供給され、そこでは、未変換油3は、未変換油3の粘度指数(VI)を増加させるようにアップグレードされ、それによってアップグレードされた未変換油5が製造される。アップグレードされた未変換油5は、アップグレードリアクタ4から脱ろうリアクタ6に供給され、そこでは、アップグレードされた未変換油5は脱ろうされて脱ろう油(DWO)7が製造される。脱ろう油7は、脱ろうリアクタ6から水素化仕上げリアクタ8に供給され、そこでは、脱ろう油7が水素化仕上げされて、潤滑剤の製造における基剤材料としての使用に好適な基油9が製造される。
【0076】
図1に示される例示的なプロセスフローは、当技術分野で既知の多くの種々の種類の炭化水素系原料(例えば、軽油(例えば、減圧軽油(VGO)、常圧軽油、重質コーカー軽油(HCGO)などのコーカー軽油、ビスブレーカー軽油)、脱金属油、減圧残留物、常圧残留物、脱アスファルト油、フィッシャー-トロプシュ流及び/またはFCC流を含む)を加工するのに好適である。いくつかの例では、典型的な入力供給は、約572°F~約1112°F(すなわち、約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有する炭化水素を含み、したがって、原油の分画蒸留から直接得られる(すなわち、「ストレートラン」)軽油(例えば、VGO)、ならびに底部画分アップグレードプロセス(例えば、減圧残留物のコーキング)から得られる軽油(例えば、コーカー軽油)を含み得る。
図1に示されるプロセスフローは、中質または重質原油(すなわち、比較的低いAPI度、例えば、約31.1°未満、または約22.3°未満を有する原油製品)から得られる重質コーカー軽油(例えば、HCGO)または軽油(例えば、VGO)など、典型的には低品質または概して処理がより困難であると考えられる炭化水素系原料からの基油の製造に特に好適である。
【0077】
炭化水素系原料1のVIは、その組成及び起源に依存する。典型的な軽油供給は、約60~約100のVI値を有し得る。ストレートラン軽油のVI値は、概して、底部画分をアップグレードして得られた軽油のVI値よりも高い。例えば、ストレートランVGOは、典型的には、約70~約100のVI値を有するが、コーカー軽油は、典型的には、約60未満のVI値を有する。
【0078】
水素化分解装置2は、VGO及び/またはコーカー軽油(例えば、HCGO)などの炭化水素系供給を水素化分解するために当技術分野で既知の任意の形態をとり得る。水素化分解装置2は、典型的には、1つ以上の水素化分解触媒を含有する1つ以上の床(例えば、固定床、スラリー床、流動(例えば、沸騰)床)を備える。
【0079】
水素化分解触媒は、当該技術分野で周知であり、VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、水素化分解触媒担体(例えば、非晶質シリカ-アルミナ材料)と、場合により、1つ以上のモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)と、を含有し得る。水素化分解触媒は、典型的には、二官能性であり、水素化/脱水素化反応は存在する金属によって促進されるが、分解反応は固体酸(例えば、ゼオライト及び/または非晶質シリカ-アルミナ材料)によって促進される。使用される典型的な金属としては、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、コバルトもしくはニッケル、またはそれらの硫化物もしくは酸化物、及び/または白金もしくはパラジウムが挙げられる。使用される典型的なゼオライトとしては、Y型(例えば、SY、USY、及びVUSY)、REX、REY、ベータ及びZSM-5が挙げられる。水素化分解触媒はまた、リン、ホウ素、フッ素、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、マンガン、またはそれらの混合物などの1つ以上の促進剤を含み得る。
【0080】
水素化分解中、炭化水素系供給は、炭化水素系供給を水素化分解触媒及び水素と接触させる水素化分解装置2の1つ以上の床を通過する。水素化分解プロセスは、典型的には、約400°F~約950°F(すなわち、約204℃~約510℃)の温度及び約500psi~約5000psi(すなわち、約3447kPa~約34474kPa)のゲージ圧力で、約0.1時間-1~約15時間-1の液空間速度(LHSV)及び液体炭化水素供給のバレル当たり約500scf~約2500scf(すなわち、約89~約445m3H2/m3供給)の水素消費量で実施される。
【0081】
水素化分解は、より長い炭化水素鎖中の炭素-炭素結合の切断をもたらし、それによって異性化及び脱水素化を受けてオレフィン系中間製品を形成するカルボカチオンを形成する。次いで、オレフィンを水素化して、軽質及び重質のナフサ、ジェット、灯油、ならびにディーゼルなどの低沸点の中間蒸留物製品を形成する。このようにして、より重質な炭化水素はより軽質な炭化水素に変換され、芳香族及びナフテンは非環状パラフィンに変換される。
【0082】
水素化処理はまた、水素化分解装置2で行われてもよい。水素化処理は、窒素、硫黄、酸素及び金属などの不純物を炭化水素系供給から除去するプロセスである。したがって、水素化分解装置2はまた、1つ以上の水素化処理触媒を含有する1つ以上の床(例えば、固定床、スラリー床、または流動化(例えば、沸騰床)を備え得る。水素化処理触媒は、当該技術分野において周知であり、VI族及びVIII~X群から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、多孔質耐熱性担体(例えば、アルミナ)などの水素化処理触媒担体と、を含有し得る。水素化処理触媒の例としては、アルミナ担持コバルトモリブデン、硫化ニッケル、ニッケルタングステン、コバルトタングステン、及びニッケルモリブデンである。水素化処理触媒は、典型的には、事前硫化される。
【0083】
いくつかの例では、水素化分解装置2は、2つ以上の異なる触媒を含む。例えば、水素化分解装置2は、水素化分解触媒及び水素化処理触媒の両方を含み得る。異なる触媒は、水素化分解装置2内に、例えば、同じ床内に層化され得る。
【0084】
水素化分解装置2からの出力は、典型的には、不純物製品(例えば、H2S及びNH3)、ライトエンド(精製ガス、プロパン、ブタン、及びナフサなど)、中間蒸留物製品(例えば、ジェット、灯油、及びディーゼル)、及び未変換油(UCO)を含む。したがって、UCOは、不純物、ライトエンド、及び中間蒸留物が除去された場合に残っている水素化分解装置2からの流出物の一部であり、典型的には、約662°F~約1112°F(すなわち、約350℃~約600℃)の範囲の沸点を有する。UCOは、分画蒸留によって流出物の他の成分から分離され得る。
【0085】
水素化分解装置2から出るUCOのVIは、入力炭化水素系供給1の性質、水素化分解装置2で使用される触媒(複数可)、水素化分解装置2内の反応条件、したがって、水素化分解変換のレベルに依存する。しかしながら、水素化分解装置2から出るUCOは、典型的には、約110~約160のVIを有する。ストレートラン軽油を水素化分解することによって製造されたUCOのVIは、概して、底部画分をアップグレードすることによって得られた軽油を水素化分解することによって製造されたUCOのVIよりも高い。例えば、約50%~約80%の見かけの変換レベル(すなわち、水素化分解装置への入力炭化水素系原料の総質量の割合として表される、水素化分解装置によって製造されるライトエンド及び中間蒸留物の質量)でのストレートランVGOの水素化分解は、典型的には、約120~約160のVIを有するUCOを製造するが、一方、約50%~約80%の変換レベルでのHCGOとストレートランVGOとのブレンド(例えば、約85体積%のストレートランVGO及び約15体積%のHCGOを含む)の水素化分解は、典型的には、約100~約140のVIを有するUCOを製造する。
【0086】
アップグレードリアクタ4は、水素化分解装置2からUCO3を受け取る。アップグレードリアクタ4は、UCOを水素化加工するための1つ以上の水素化加工触媒を含有する1つ以上の床(例えば、固定床、スラリー床、流動(例えば、沸騰)床)を備える。アップグレード中、UCOの低VI成分は、典型的には、より高いVI成分に変換される。したがって、アップグレードリアクタ4は、概して、UCOを水素化加工することによりUCOのVIの増加がもたらされるように構成される。すなわち、1つ以上の水素化加工触媒及び/またはアップグレードリアクタ4内の反応条件は、VI増加分子転換が優勢になるように選択される。VI増加分子転換は、典型的には、水素化処理、水素化、及び/または異性化(例えば、水素異性化)転換を含む。例えば、UCOのアップグレード中、芳香族及びオレフィン系炭化水素は、飽和され得、環式炭化水素(ナフテンなど)は、開環転換を受け得、それによってUCOのパラフィン含有量を増加させ得る。したがって、1つ以上の水素化加工触媒及び/または反応条件は、(例えば、水素化分解転換に対して)水素化処理、水素化、及び/または異性化(例えば、水素異性化)転換が優勢になるように選択され得る。
【0087】
1つ以上の水素化加工触媒は、水素化処理触媒、水素異性化触媒、及び/または水素化分解触媒であり得る。水素化処理及び水素化分解触媒は、上に記載されている。水素異性化触媒は、当該技術分野で周知であり、VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、水素異性化触媒担体(例えば、非晶質シリカ-アルミナ材料)と、場合により、1つ以上のモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)と、を含有し得る。水素異性化触媒は、典型的には、二官能性であり、水素化/脱水素化反応は存在する金属によって促進されるが、異性化反応は固体酸(例えば、ゼオライト及び/または非晶質シリカ-アルミナ材料)によって促進される。使用される典型的な金属としては、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、コバルトもしくはニッケル、またはそれらの硫化物もしくは酸化物、及び/または白金もしくはパラジウムが挙げられる。使用される典型的なモレキュラーシーブとしては、MFI、MEL、TON、MTT、*MRE、FER、AEL、及びEUO型、SSZ-32、小結晶SSZ-32、ZSM-23、ZSM-48、MCM-22、ZSM-5、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-35、及びMCM-68型、ならびに*MRE及び/またはMTTフレームワークのトポロジーを有するモレキュラーシーブが挙げられる。水素異性化触媒はまた、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、カリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、クロム、またはそれらの混合物などの1つ以上の促進剤を含み得る。
【0088】
例えば、いくつかの実装形態では、アップグレードリアクタ4は、上記の水素化処理触媒を含む。他の例では、アップグレードリアクタ4は、上記の水素化分解触媒を含む。更なる例では、アップグレードリアクタ4は、上記の水素異性化触媒を含む。更なる例では、アップグレードリアクタ4は、水素化処理触媒及び水素化分解触媒の両方、水素化分解触媒及び水素異性化触媒の両方、または水素化処理触媒及び水素異性化触媒の両方を含有する。いくつかの例では、アップグレードリアクタは、水素化処理触媒、水素化分解触媒、及び水素異性化触媒を含む。
【0089】
上で論じたように、1つ以上の水素化加工触媒及び/またはアップグレードリアクタ4内の反応条件は、VI増加分子転換(水素異性化転換など)が優勢となるように選択される。
【0090】
いくつかの実装形態では、1つ以上の水素化加工触媒は、VI増加分子転換(水素異性化転換など)が優勢になるように選択される。例えば、1つ以上の水素化処理触媒及び/または水素異性化触媒は、VI増加分子転換(水素異性化転換など)が水素化分解転換に対して優勢であるように選択され得る。追加的または代替的に、1つ以上の穏やかな水素化分解触媒が選択され得、穏やかな水素化分解触媒は、水素化分解装置で伝統的に使用される水素化分解触媒と比較して、より少ない活性のモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)及び/またはより少ない量のモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)を含有する水素化分解触媒であると理解される。いくつかの例では、穏やかな水素化分解触媒は、実質的にモレキュラーシーブ材料(例えば、ゼオライト)を含有しない。
【0091】
他の実装形態では、アップグレードリアクタ4内の反応条件は、VI増加分子転換(水素異性化転換など)が優勢になるように選択される。例えば、1つ以上の水素化分解触媒が選択され得、低レベルの水素化分解のみが行われるように反応条件が選択される。例えば、1つ以上の水素化分解触媒は、水素異性化が水素化分解に対して優勢であるように、(水素化分解装置で伝統的に使用される温度に対して)低温で操作され得る。
【0092】
なお更なる実装形態では、1つ以上の水素化加工触媒及び反応条件の両方が、VI増加分子転換(水素異性化転換など)が優勢になるように選択される。
【0093】
アップグレード中、UCO3は、油を1つ以上の水素化加工触媒及び水素と接触させるアップグレードリアクタ内の1つ以上の床を通過する。アップグレードプロセスは、典型的には、約400°F~約800°F(すなわち、約204℃~約427℃)の温度及び約500psi~約5000psiのゲージ圧力で、約1時間-1~約15時間-1の液空間速度及び液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約1500scfの水素消費量で実施される。アップグレードリアクタ4で水素異性化反応が優勢であり、生じる任意の水素化分解が典型的には選択的で軽度である場合、アップグレードプロセスは、より高い液空間速度及び(水素化分解装置2の操作と比較して)低減された水素消費量で実施され得る。
【0094】
アップグレードリアクタ4はまた、概して、清浄の条件下で作動する。これは、アップグレードリアクタ4によって受け取られたUCO3が、典型的には、低レベルの窒素または硫黄のみを含有することを意味する。特に、元々炭化水素系原料に存在する窒素及び硫黄の大部分は、UCO3がアップグレードリアクタ4に到達する前に、水素化分解装置2からの流出物が分画されときに、アンモニア及び硫化水素の形態で除去される。例えば、アップグレードリアクタ4によって受け取られたUCO3は、約20ppm未満の窒素及び約100ppm未満の硫黄を含有し得る。更に、アップグレードリアクタ4は、脱ろう器6及び水素化仕上げ装置8とともに脱ろうブロック水素供給を共有し得る。脱ろうブロック水素供給は、典型的には、アップグレード、脱ろう、及び水素化仕上げ中に生成される汚染物質のレベルがより低く、水素が脱ろうブロック10内で再循環されるため、水素化分解ブロックの水素供給システムよりも高い純度の水素を提供する。
【0095】
アップグレードリアクタ4は、清浄な条件下で作動し、したがって、アップグレードリアクタ4で使用される水素化加工触媒は、水素化分解を阻害することが知られている低レベルの汚染物質(窒素など)に曝されるため、アップグレードリアクタ4での反応条件は、典型的には、アップグレードリアクタ4では過剰な水素化分解が行われず、更に、VI増加分子転換が優勢になるように、水素化分解装置2よりも厳しくない(例えば、反応温度及び圧力が低くてもよい)ように選択される。
【0096】
したがって、アップグレードリアクタ4によって製造されたアップグレードされたUCO5は、概して、アップグレード前のUCOと比較して高いVIを示す。例えば、UCOをアップグレードすることは、VIの値を約5~約30増加させ得る。
【0097】
脱ろうリアクタ6は、アップグレードリアクタ4からアップグレードされたUCO5を受け取り、脱ろう油(DWO)7を製造する。脱ろうリアクタ6は、油を脱ろうするために当技術分野で既知の任意の形態をとり得る。例えば、脱ろうリアクタ6は、当技術分野で周知である、溶媒脱ろう、触媒脱ろう、及び/またはイソ脱ろうプロセスによって油を脱ろうするように構成され得る。
【0098】
溶媒脱ろうは、UCOを溶媒で希釈し、冷却してろう成分を固化させ、濾過して固化したろうを除去する物理的なろう除去プロセスである。次いで、溶媒をろうから回収し、濾液をリサイクルする。触媒脱ろうは、水素化分解触媒及び条件を使用して、UCO中のろう状の通常のパラフィンを分解及び異性化し、短鎖イソパラフィンを製造する化学的なろう除去プロセスである。イソ脱ろうは、異性化反応が分解よりも優勢であるように触媒及び条件が選択され、それにより、パラフィン性を維持しながら、ろう状の通常のパラフィンがイソパラフィン及び環状種に変換されることを可能にする化学的ろう除去プロセスである。イソ脱ろうは、典型的には、より高い脱ろう油収率及びより高い粘度指数をもたらすため、代替の溶媒脱ろうまたは触媒脱ろう技術より好ましい場合がある。
【0099】
脱ろうは、油の流動点及び曇点を低減するために実施される。脱ろうプロセスはまた、粘度を増加させ、油のVIを低減させる傾向がある。例えば、UCOを脱ろうすることは、粘度を約1%~約10%増加させ、粘度指数を約5%~約25%低減させることができる。
【0100】
水素化仕上げリアクタ8は、脱ろうリアクタ6から脱ろう油7を受け取り、基油9を製造する。水素化仕上げリアクタ8は、基油を水素化仕上げするために当技術分野で既知の任意の形態をとり得る。当技術分野で周知であるように、水素化仕上げは、比較的低い温度及び圧力で水素化処理を行い、芳香族及び複素環式化合物を除去し、及び/または油を粘土またはボーキサイトなどの材料に曝露することによって、脱ろう油の色、ならびに酸化及び熱安定性を改善することを伴う。したがって、水素化仕上げリアクタ8は、典型的には、上記の水素化処理触媒を使用する。
【0101】
図1に示す例示的なプロセスフローでは、アップグレードリアクタ4、脱ろうリアクタ6、及び水素化仕上げリアクタ8は全て、同じ脱ろうブロック10の一部を形成する。これは、アップグレード、脱ろう、及び水素化仕上げプロセスが全て、上で論じられた清浄な条件下で行われることを意味する。
【0102】
以下の例(実施例)は、本発明を限定するものではなく、図示するのに役立つ。
【0103】
例
基油は、2つの異なる炭化水素系供給A及びBから開始して製造された。供給Aは、ストレートラン中東VGOであった。供給Bは、85体積%の供給Aのストレートラン中東VGO及び15体積%のHCGOからなるブレンドであった。供給A及びBの詳細は、表1に提供される。
【表1】
【0104】
水素化処理触媒及び水素化分解触媒を含む層状触媒システムを使用して、Single Stage Once-Throughモードで操作された水素化分解装置で供給A及びBの両方を別々に分解した。水素化処理触媒は、アルミナ担持体上の硫化NiMoからなっていた。水素化分解触媒は、硫化卑金属、Y型ゼオライト、及びアルミナ担体からなっていた。2つの触媒を、「水素化処理触媒:水素化分解触媒:水素化処理触媒」=45:50:5の体積パーセンテージで、リアクタ内に上から下に層化した。触媒押出成形物は、約1.5mmの直径を有し、使用前に2~3の長さ/直径比に短縮された。60/80メッシュサイズのガラスビーズを、リアクタの触媒層の層間充填として使用した。
【0105】
触媒システムを、供給AまたはBを導入する前に、標準手順に従って硫化した。水素化分解中のプロセス条件は、以下のとおりであった:LHSVが、0.8時間-1であり、水素/油比が、5000scf/bblであり、総ゲージ圧が、2300psiであった。未変換の水素をリアクタ入口に再循環させた。3つの液体製品流を分離し、分離セクションで収集した:ナフサ、ディーゼル、及びUCO。
【0106】
リアクタ温度は、50秒台半ば、60秒台半ば、及び70秒台半ばの3つの異なる変換レベルが、供給A及びBの両方で達成されるように水素化分解中に調整された。概して、触媒システムは、温度変化の1°F当たり約1%の変換変化で応答した。ブレンド供給Bの加工は、供給Aと比較して同様の変換レベルを達成するために約10°F高い温度を必要とした。供給Aを748°F~768°Fの範囲の温度で水素化加工し、供給Bを758°F~775°Fの範囲の温度で水素化加工した。6つの収率期間全てからのUCO製品試料を調製して分析し、各収率期間から等体積の3つのカットも分離した。
【0107】
表2は、供給Aで得られた種々の変換レベルを有する4つの12時間の収率期間を示す。
【表2】
【0108】
表3は、供給Bで得られた種々の変換レベルを有する4つの12時間の収率期間を示す。
【表3】
【0109】
表4は、ブレンド供給Bで得られた60秒台及び70秒台の変換レベルを有する2つの延長された収率期間を示す。
【表4】
【0110】
表5は、6つの延長された収率期間(各々3つの変換レベル、Xでの供給A及びBの両方)からのUCO製品試料の特性を示す。
【表5】
【0111】
図2は、供給A(黒丸を使用して示される)及び供給B(黒正方形を使用して示される)の水素化分解から直接得られたUCOの水素化分解変換パーセンテージ、Xの関数としてのVIのプロットを示す。両方の供給の変換レベルの関数としてVIが連続的に増加するが、ブレンド供給Bから得られたUCOのVIは、同じ変換レベルで供給Aから得られたUCOのVIよりも一貫して低い。
【0112】
図3は、供給A(黒丸を使用して示される)及び供給B(黒正方形を使用して示される)の水素化分解から直接得られたUCOの100℃(すなわち212°F)での粘度の関数としてのVIのプロットを示す。VIは、供給A及びBの両方から得られるUCOの粘度の関数として連続的に減少する。ブレンド供給Bから得られたUCOのVIは、より低い粘度でストレートラン供給Aから得られたUCOのVIよりも低い。
【0113】
表5に示される6つのUCOの試料を、試料を5°F(すなわち、-15℃)に冷却し、固化したろうを濾過することによって脱ろうして、6つの脱ろう油(DWO)試料を製造した。6つの脱ろう油試料の特性を表6に示す。
【表6】
【0114】
このデータは、
図4及び
図5にもプロットされる。特に、
図4は、供給A(黒丸)及び供給B(黒正方形)の水素化分解から直接得られたUCOを脱ろうすることによって得られた脱ろう油の水素化分解変換パーセンテージの関数としてのVIのプロットを示す。
図5は、供給A(黒丸)及び供給B(黒正方形)の水素化分解から直接得られたUCOを脱ろうすることによって得られた脱ろう油の100℃(すなわち212°F)での粘度の関数としてのVIのプロットを示す。
【0115】
表6ならびに
図4及び
図5に見ることができるように、供給A及びBの両方から作製されたUCOは、80~120のVI値を必要とするAPIグループIIの基油の作製に好適である。また、120超のVI値を必要とするAPIグループIIIの基油を、ストレートラン供給Aから得られるUCOから製造することも可能である。しかしながら、特に100℃(すなわち212°F)で4cStの粘度を標的とする場合、ブレンド供給Bの水素化分解から直接得られるUCOからAPIグループIIIの基油を製造することはより困難である。特に、供給Bを加工する場合、120超の脱ろう油VIを達成するためには、約70%以上の変換レベルが必要であったが、そのような脱ろう油の100℃(すなわち、212°F)での粘度は、5cStに近いだろう。
【0116】
表6で特定した6つのUCO試料を、蒸留によって、異なる粘度を有する等しい体積の3つの部分にカットした。カット1が最も軽質で、カット3が最も重質な3つのカットの特性は、表7及び8に示されている。
【表7】
【表8】
【0117】
図6は、3つの異なる水素化分解変換パーセンテージ、Xで、供給A及びBから得られた異なるカット1、2及び3の100℃(すなわち212°F)での粘度の関数としてのVIのプロットを示す。VIは、全ての条件下で加工された供給A及びBの両方の粘度に応じて増加する。
【0118】
UCO試料の蒸留カットを、5°F(すなわち、-15℃)に冷却し、固化したろうを濾過することによって、更に脱ろうした。得られた脱ろう油の特性を表9に示す。
【表9】
【0119】
図7は、表9に示される脱ろう油の異なるカットについて、100℃(すなわち、212°F)での粘度の関数としてのVIのプロットを示す。表9及び
図7に見られるように、高い水素化分解変換レベルで供給Aから作製されたUCOのより軽質な画分は、APIグループIIIの基油の製造における使用に好適な特性を有する(すなわち、100℃で約4cStの粘度で120を超えるVI)。対照的に、高い水素化分解変換レベルでさえ、供給ブレンドBから開始する場合、グループIIIの基油の製造に好適なUCOを製造することができない。
【0120】
次いで、63.5%変換で供給Bの水素化分解から得られたUCOの3つの蒸留カットの試料を、アップグレードリアクタでアップグレードに供した。アップグレードリアクタでは、試料を、硫化卑金属、少量の低活性Yゼオライト、非晶質シリカ-アルミナ、及びアルミナからなる穏やかな水素化分解触媒の存在下で水素と接触させた。触媒押出成形物は、約1.5mmの直径を有し、使用前に約2~3の長さ/直径比に短縮された。60/80メッシュサイズのガラスビーズを、リアクタの触媒層の層間充填として使用した。アップグレードプロセスは、680°F~710°F(すなわち、360℃~377℃)の温度及び2300psiのゲージ圧力で、4000scf/bblの水素対油比で、2.5時間-1~5時間-1の液空間速度で実施した。水素消費量は、条件に依存し、液体炭化水素供給のバレルの当たり20~600scfであった。アップグレードリアクタで達成された変換レベルは、20%~50%の範囲にあった。水素化分解装置での供給Bの初期変換レベルとアップグレードリアクタでのUCOの追加変換を組み合わせると、元の供給Bに対する全体的な変換レベルは、72%~81%であった。アップグレードプロセスから得られたアップグレードされた油試料を、5°F(すなわち、-15℃)に冷却し、固化したろうを濾過することによって更に脱ろうした。
【0121】
図8は、63.5%及び74%の変換レベルでの供給Bの水素化分解から得られた非アップグレード脱ろう油と比較して、3つの蒸留カットから得られた脱ろうされ、アップグレードされたUCOについての100℃(すなわち、212°F)での粘度の関数としてのVIのプロットを示す。
図8から分かるように、アップグレードプロセスは、同じ初期レベル(63.5%)に水素化分解された供給Bから得られた脱ろう油と比較しても、同じ最終レベル(74%)に水素化分解された供給Bから得られた脱ろう油と比較してもいずれにせよ、全ての粘度で脱ろう油のVIを大幅に増加させる。脱ろうされアップグレードされた油のVIは、特に、100℃で4cStの粘度で120超であり、したがって、APIグレードIIIの基油の製造に好適である。
【0122】
図9は、
図8に示される脱ろうされ、アップグレードされたUCOの100℃(すなわち、212°F)での粘度の関数としてのVIを、ストレートラン供給Aを水素化分解することによって得られた脱ろう油と比較したプロットを示す。
図9から、アップグレードプロセスは、アップグレードせずに加工された供給Aと比較して、ブレンド供給Bから同じ、またはより良い特性を得ることを可能にすることが分かる。
【0123】
誤解を避けるために、本出願は、以下の番号付きのパラグラフに記載されている主題に関する。
1.基油製品を製造する方法であって、
水素化分解装置からの未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することと、
前記アップグレードされた未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造することと、を含む前記方法。
2.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工する前に、
前記水素化分解装置で炭化水素系原料を水素化分解して、前記未変換油を含む水素化分解された流出物を製造することと、
前記未変換油を前記水素化分解された流出物から分離することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
3.前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項2に記載の方法。
4.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させることを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
5.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、水素化加工条件下、水素の存在下で、前記未変換油を水素化加工触媒と接触させることを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
6.前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項5に記載の方法。
7.前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項5または請求項6に記載の方法。
8.前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.2時間-1~約10時間-1、もしくは約0.2時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m3H2/m3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m3H2/m3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m3H2/m3供給)の水素消費量を含む、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
9.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
10.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工することが、前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化分解することを含み、前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが、前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベル未満である、請求項2に従属する、請求項9に記載の方法。
11.前記水素化分解装置からの前記未変換油の水素化分解が、約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が、約30%~約70%の水素化分解変換で行われる、請求項10に記載の方法。
12.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
13.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を有する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
14.前記未変換油を水素化加工して、前記基油製品を製造することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させることを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
15.前記基油製品が、100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
16.前記基油製品が、グループIIIの基油製品である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
17.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、未変換油アップグレードリアクタで行われる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
18.製造された基油の粘度指数(VI)を増加させるために既存の基油製品製造プロセスを変更する方法であって、前記既存の基油製品製造プロセスが、
水素化分解装置で炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造することと、
前記未変換油を前記水素化分解された流出物から分離することと、
前記水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造することと、を含み、
前記既存の基油製品製造プロセスを変更する前記方法が、
前記未変換油を脱ろうして前記基油製品を製造する前に、前記水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を水素化加工することを含む、前記方法。
19.前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項18に記載の方法。
20.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させることを含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
21.前記未変換油を水素化加工することが、水素化加工条件下で、水素の存在下で、前記未変換油を水素化加工触媒と接触させることを含む、請求項18~20のいずれかに記載の方法。
22.前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項21に記載の方法。
23.前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項21または請求項22に記載の方法。
24.前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.2時間-1~約10時間-1、もしくは約0.2時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m3H2/m3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m3H2/m3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m3H2/m3供給)の水素消費量を含む、請求項21~23のいずれかに記載の方法。
25.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、請求項18~24のいずれかに記載の方法。
26.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化分解することを含み、前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが、前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベル未満である、請求項25に記載の方法。
27.前記未変換油の水素化分解が、約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が、約30%~約70%の水素化分解変換で行われる、請求項26に記載の方法。
28.前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む、請求項18~27のいずれかに記載の方法。
29.前記未変換油を水素化加工する前に、前記未変換油が、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を有する、請求項18~28のいずれかに記載の方法。
30.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させることを含む、請求項18~29のいずれかに記載の方法。
31.前記基油製品が、100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する、請求項18~30のいずれかに記載の方法。
32.前記基油製品が、グループIIIの基油製品である、請求項18~31のいずれかに記載の方法。
33.前記水素化分解装置からの前記未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造することが、未変換油アップグレードリアクタで行われる、請求項18~32のいずれかに記載の方法。
34.基油製品を製造するためのシステムであって、
炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造するための水素化分解装置と、
前記水素化分解された流出物から分離された未変換油を水素化加工して、アップグレードされた未変換油を製造するための未変換油アップグレードリアクタと、を備える前記システム。
35.
前記未変換油アップグレードリアクタによって製造された未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造するための脱ろうユニットを更に備える、請求項34に記載のシステム。
36.前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項34または請求項35に記載のシステム。
37.前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させるように構成されている、請求項34~36のいずれかに記載のシステム。
38.前記未変換油アップグレードリアクタが、水素化加工触媒を含有する1つ以上の床を含む水素化加工ゾーンを有し、前記水素化加工ゾーンが、水素化加工条件で維持されている、請求項34~37のいずれかに記載のシステム。
39.前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項38に記載のシステム。
40.前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項38または請求項39に記載のシステム。
41.前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.2時間-1~約10時間-1、もしくは約0.2時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m3H2/m3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m3H2/m3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m3H2/m3供給)の水素消費量を含む、請求項38~40のいずれかに記載のシステム。
42.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、請求項38~41のいずれかに記載のシステム。
43.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化分解することを含み、前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記水素化加工ゾーンにおいて前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルよりも低くなるように構成されている、請求項42に記載のシステム。
44.前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記未変換油の水素化分解が約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、かつ前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が約30%~約70%の水素化分解変換で行われるように構成されている、請求項43に記載のシステム。
45.前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように構成された、請求項34~44のいずれかに記載のシステム。
46.前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を有する前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように構成された、請求項34~45のいずれかに記載のシステム。
47.前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させるように構成されている、請求項34~46のいずれかに記載のシステム。
48.100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する基油製品を製造するように構成された、請求項34~47のいずれかに記載のシステム。
49.グループIIIの基油製品を製造するように構成された、請求項34~48のいずれかに記載のシステム。
50.前記システムが、基油製造プラントである、請求項34~49のいずれかに記載のシステム。
51.基油製品の粘度指数(VI)を増加させるために前記基油製品を製造するための既存のシステムを変更する方法であって、前記基油製品を製造するための前記既存のシステムが、
炭化水素系原料を水素化分解して、未変換油を含む水素化分解された流出物を製造するための水素化分解装置と、
前記水素化分解された流出物から分離された未変換油を脱ろうして、前記基油製品を製造するための脱ろうユニットと、を含み、
前記既存のシステムを変更する前記方法が、
前記既存のシステムに、前記未変換油を脱ろうして前記基油製品を製造する前に、前記水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を水素化加工するための未変換油アップグレードリアクタを設置することを含む、前記方法。
52.前記炭化水素系原料が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、請求項51に記載の方法。
53.前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させるように構成されている、請求項51または請求項52に記載の方法。
54.前記未変換油アップグレードリアクタが、水素化加工触媒を含有する1つ以上の床を含む水素化加工ゾーンを有し、前記水素化加工ゾーンが、水素化加工条件で維持されている、請求項51~53のいずれかに記載の方法。
55.前記水素化加工触媒及び/または前記水素化加工条件が、前記水素化加工においてVI増加分子転換が優勢になるように選択される、請求項54に記載の方法。
56.前記水素化加工触媒が、
(a)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(b)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、またはそれらの組み合わせと、場合により、
(c)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含む、請求項54または請求項55に記載の方法。
57.前記水素化加工条件が、
(a)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(b)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(c)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.2時間-1~約10時間-1、もしくは約0.2時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または
(d)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m3H2/m3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m3H2/m3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m3H2/m3供給)の水素消費量を含む、請求項54~56のいずれかに記載の方法。
58.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化処理すること、水素異性化すること、及び/または水素化分解することを含む、請求項51~57のいずれかに記載の方法。
59.前記未変換油を水素化加工することが、前記未変換油を水素化分解することを含み、前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記水素化加工ゾーンにおいて前記未変換油を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルが前記水素化分解装置で前記炭化水素系原料を水素化分解する間の水素化分解変換のレベルよりも低くなるように構成されている、請求項58に記載の方法。
60.前記水素化加工ゾーン及び前記水素化分解装置が、前記未変換油の水素化分解が約5%~約30%の水素化分解変換で行われ、かつ前記水素化分解装置での前記炭化水素系原料の水素化分解が約30%~約70%の水素化分解変換で行われるように構成されている、請求項59に記載の方法。
61.前記方法が、前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約100ppm以下の硫黄、
(b)約20ppm以下の窒素、及び/または
(c)約1ppm以下のニッケル、バナジウム、及び/または銅を含む前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように、前記既存のシステムを構成することを含む、請求項51~60のいずれかに記載の方法。
62.前記方法が、前記未変換油アップグレードリアクタに、
(a)約25~約45のAPI度、
(b)約800°F~約1100°F(約427℃~約593℃)のTBP95%ポイント、及び/または
(c)100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された約100~約150の粘度指数(VI)を有する前記水素化分解装置からの未変換油を供給するように、前記既存のシステムを構成することを含む、請求項51~61のいずれかに記載の方法。
63.前記未変換油アップグレードリアクタが、前記未変換油の粘度指数(VI)を約5~約30増加させるように構成されている、請求項51~62のいずれかに記載の方法。
64.前記既存のシステムを変更した後、製造された前記基油製品が、100℃(212°F)で4cSt(4mm2s-1)の動粘度で、ASTM D-2270に従って測定された120以上の粘度指数(VI)を有する、請求項51~63のいずれかに記載の方法。
65.前記既存のシステムを変更した後、製造された前記基油製品が、グループIIIの基油製品である、請求項51~64のいずれかに記載の方法。
66.前記既存のシステムが、基油製造プラントである、請求項51~65のいずれかに記載の方法。
67.未変換油を脱ろうして基油製品を製造する前に、水素化分解装置の水素化分解された流出物から分離された前記未変換油を水素化加工するための未変換油アップグレードリアクタであって、
(a)水素化加工触媒を含有する1つ以上の床を含む水素化加工ゾーンであって、前記水素化加工ゾーンが、水素化加工条件で維持されている、前記水素化加工ゾーンを有し、かつ
(b)前記未変換油の粘度指数(VI)を増加させるように構成されている前記未変換油アップグレードリアクタ。
68.(a)前記水素化加工触媒が、
(i)VI族及びVIII~X族から選択される1つ以上の金属、及び/またはそれらの1つ以上の化合物と、
(ii)触媒担体、例えば、多孔質耐熱性担体、例えば、アルミナ、シリカ、非晶質シリカ-アルミナ材料、もしくはそれらの組み合わせと、場合により、
(iii)1つ以上のモレキュラーシーブ、例えば、ゼオライトと、を含み、及び/または
(b)前記水素化加工条件が、
(i)約400°F~約950°F(約204℃~約510℃)、例えば、約650°F~約850°F(約343℃~約454℃)の反応温度、
(ii)約500psi~約5000psi(約3447kPa~約34474kPa)、例えば、約1500psi~約2500psi(約10342kPa~約17237kPa)、もしくは約1200psi~約2500psi(約8274kPa~約17237kPa)の反応ゲージ圧力、
(iii)約0.1時間-1~約15時間-1、例えば、約0.2時間-1~約10時間-1、もしくは約0.2時間-1~約2.5時間-1、もしくは約0.1時間-1~約10時間-1のLHSV、及び/または
(iv)液体炭化水素供給のバレル当たり約100scf~約2500scf(約17.8~約445m3H2/m3供給)、例えば、バレル当たり約200scf~約2500scf(約35.6~約445m3H2/m3供給)、もしくはバレル当たり約100scf~約1500scf(約17.8~約267m3H2/m3供給)の水素消費量を含む、請求項67に記載の未変換油アップグレードリアクタ。
69.(a)請求項1~17のいずれかに記載の方法によって、(b)請求項34~50のいずれかに記載のシステムを使用して、または(c)請求項51~66のいずれかに記載の方法によって変更されたシステムを使用して、製造された、基油製品。
70.請求項69に記載の基油製品を含む、潤滑剤。
71.製造された基油製品の粘度指数(VI)を増加させるために、基油製品の製造におけるアップグレードされた未変換油の、使用。
72.前記基油製品の前記製造が、脱ろうユニットで前記アップグレードされた未変換油を脱ろうすることを含む、請求項71に記載の使用。
73.前記アップグレードされた未変換油が、約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、炭化水素系原料の水素化分解から得られた未変換油を水素化加工することによって得られる、請求項71または請求項72に記載の使用。
74.潤滑油の粘度指数(VI)を増加させるための、前記潤滑油中の基油製品としての脱ろうされ、アップグレードされた未変換油の、使用。
75.前記脱ろうされ、アップグレードされた未変換油が、(a)約572°F~約1112°F(約300℃~約600℃)の範囲に沸点を有し、及び/または減圧軽油(VGO)もしくは重質コーカー軽油(HCGO)などの軽油を含む、炭化水素系原料の水素化分解から得られた未変換油を水素化加工することと、(b)前記水素化加工された未変換油を脱ろうすることと、によって得られる、請求項74に記載の使用。
【0124】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、本明細書に記載の概念から逸脱することなく、様々な変更及び改善を行うことができることを理解されよう。相互に排他的な場合を除き、特徴のうちのいずれかは、別々にまたは任意の他の特徴と組み合わせて用いられ得、本開示は、本明細書に記載の1つ以上の特徴の全ての組み合わせ及び部分的組み合わせに拡張され、かつそれらを含む。
【国際調査報告】