(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】グリッド調査モジュール
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543135
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2022052764
(87)【国際公開番号】W WO2022167609
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315015988
【氏名又は名称】オートストアー テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジュヴェ ヘゲベ, イェルゲン
(72)【発明者】
【氏名】メーレ, オーレ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ログネ, ヴェムン
(72)【発明者】
【氏名】アイデ, ヨナタン
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE05
3F022FF00
3F022JJ11
3F022MM01
3F022MM08
3F022MM69
3F022NN33
3F022PP06
(57)【要約】
自動貯蔵回収システムにおけるレベル偏差を測定する方法であって、方法が、グリッド上の所定位置にコンテナハンドリング車両を配置するステップと、中央制御ユニットからコンテナハンドリング車両にデータ信号を送信して、グリッドに沿って1方向(X,Y)において所定距離移動するようにコンテナハンドリング車両に指示するステップと、配向センサを使用して、所定の間隔で少なくとも1つの配向パラメータを測定し、3次元直交座標基準系内でのコンテナハンドリング車両の配向を示す配向測定値を生成するステップと、配向測定値に関するデータを中央制御ユニットに送信するステップと、所定の値から逸脱しているレールシステムの部分を識別するために、中央制御ユニットを使用して配向測定値を処理するステップと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動貯蔵回収システムにおけるレベル偏差を測定する方法であって、前記システムは、
フレーム構造の上部を横切って第1の方向(X)におけるコンテナハンドリング車両の移動を案内するように配置された第1の組の平行レールと、前記第1の組のレールに垂直に配置され、前記第1の方向(X)に垂直な第2の方向(Y)における前記コンテナハンドリング車両の移動を案内する第2の組の平行レールとを備えるレールシステムであって、前記第1および第2の組の平行レールは、前記レールシステムを複数のグリッドセルに分割する、レールシステムと、
前記レールシステム上で動作するように構成された少なくとも1つのコンテナハンドリング車両であって、前記少なくとも1つのコンテナハンドリング車両は、3次元直交座標基準系におけるセンサの少なくとも1つの配向パラメータを測定するように構成された少なくとも1つの配向センサを提供される、少なくとも1つのコンテナハンドリング車両と、
前記コンテナハンドリング車両のデータ信号を受信、送信および処理し、前記センサのデータ信号を受信および処理するように構成された中央制御ユニットと
を備え、
前記方法は、
前記グリッド上の所定位置に前記コンテナハンドリング車両を配置するステップと、
前記中央制御ユニットから前記コンテナハンドリング車両にデータ信号を送信して、前記グリッドに沿って1方向(X,Y)において所定距離移動するように前記コンテナハンドリング車両に指示するステップと、
前記配向センサを使用して、所定の間隔で少なくとも1つの配向パラメータを測定し、3次元直交座標基準系内での前記コンテナハンドリング車両の配向を示す配向測定値を生成するステップと、
前記配向測定値に関するデータを前記中央制御ユニットに送信するステップと、
所定の値から逸脱している前記レールシステムの部分を識別するために、前記中央制御ユニットを使用して前記配向測定値を処理するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記配向パラメータを測定することは、前記X方向および前記Y方向のそれぞれにおける地球の重力に対するコンテナハンドリングロボットの傾斜を測定するための傾斜センサの形態の配向センサを使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリッドの各カラムにおける前記コンテナハンドリング車両のピッチ(φ)およびロール(Θ)を測定することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記コンテナハンドリング車両に固定された慣性計測ユニット(IMU)を使用して、前記グリッドの各カラムにおける前記コンテナハンドリング車両の前記ピッチ(φ)および前記ロール(Θ)を測定する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
個々のグリッドセルの各辺の平均高さの間の高さの差ΔHxおよびΔHyを計算するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
個々のグリッドセルの歪度の大きさは、以下の式
【数1】
を使用して前記配向測定値から計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
個々のグリッドセルの歪度の大きさは、以下の式
【数2】
を使用して前記配向測定値から計算される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
個々のグリッドセルの歪度の大きさを使用してマップを生成することを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記マップ内の各グリッドセルの偏差レベルをプロットすることと、前記マップを出力することとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
グリッドセルにおけるレベル偏差の重大度を示すために異なる色を使用することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コンテナハンドリング車両を使用して所定の間隔で測定することを含み、前記所定の間隔は、前記レールシステムの1つずつの各グリッドセルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記レールシステム上で動作する複数の前記コンテナハンドリング車両が存在し、前記複数のコンテナハンドリング車両のそれぞれは、前記少なくとも1つの配向センサを提供され、前記複数のコンテナハンドリング車両は、それぞれが前記中央制御ユニットに配向測定値を送信して、前記コンテナハンドリング車両が前記自動貯蔵回収システムのコンテナをハンドリングしている間に、前記レールシステムの異なる領域におけるグリッドセルのレベル偏差が同時に決定されることを可能にする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コンテナハンドリング車両を使用して、通常の動作を行っている間に前記レールシステムの偏差を測定することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
自動貯蔵回収システム内のレベルレールシステムを維持する方法であって、前記方法は、先行する請求項のいずれかに記載の自動貯蔵回収システム内のレベル偏差を測定する方法を使用することを含み、前記維持する方法は、前記測定値を使用して前記カラムの前記直立部材を調整することを含む、方法。
【請求項15】
自動貯蔵回収システムにおけるレベル偏差を測定するシステムであって、前記システムは、フレーム構造の上部を横切る第1の方向(X)におけるコンテナハンドリング車両の移動を案内するように配置された第1の組の平行レールと、前記第1の方向(X)に垂直な第2の方向(Y)における前記コンテナハンドリング車両の移動を案内するように前記第1の組のレールに垂直に配置された第2の組の平行レールとを備えるレールシステムであって、前記第1および第2の組の平行レールは、前記レールシステムを複数のグリッドセルに分割する、レールシステムと、前記レールシステム上で動作するように構成された少なくとも1つのコンテナハンドリング車両であって、前記少なくとも1つのコンテナハンドリング車両は、3次元直交座標基準系内のセンサの少なくとも1つの配向パラメータを測定するように構成された少なくとも1つの配向センサを提供される、少なくとも1つのコンテナハンドリング車両と、前記コンテナハンドリング車両のデータ信号を受信、送信および処理し、前記センサのデータ信号を受信および処理するように構成された中央制御ユニットとを備え、前記コンテナハンドリング車両は、前記グリッド上の所定の位置に配置され、中央制御ユニットが、データ信号を前記コンテナハンドリング車両に送信し、前記コンテナハンドリング車両に前記グリッドに沿って移動するように指示し、配向センサが、所定の間隔で少なくとも1つの配向パラメータを測定し、配向測定値に関するデータを前記中央制御ユニットに送信し、所定の値から逸脱している前記レールシステムの部分を識別するために、前記中央制御ユニットを使用して前記配向測定値を処理することを特徴とする、システム。
【請求項16】
請求項1~14に記載の方法および請求項15に記載のシステムによって生成された自動貯蔵回収システムにおける各グリッドセルの逸脱レベルを表示するマップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コンテナの貯蔵および回収のための自動貯蔵回収システムに関し、特に、グリッドのカラムにおけるレベル偏差を測定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景および従来技術
図1は、フレームワーク構造100を有する典型的な従来技術の自動貯蔵回収システム1を開示しており、
図2および
図3は、そのようなシステム1上で動作するのに適した2つの異なる従来技術のコンテナハンドリング車両201、301を開示している。
【0003】
フレームワーク構造100は、複数の直立部材102と、直立部材102によって支持される複数の水平部材103とを備える。部材102、103は、典型的には、金属、例えば押出アルミニウムプロファイルから作製され得る。
【0004】
フレームワーク構造100は、列に配置された貯蔵カラム105を含む貯蔵グリッド104を画定し、貯蔵カラム105は、ビンとしても知られ、スタック107を形成するために互いに積み重ねられている貯蔵コンテナ106を含む。貯蔵グリッド104は、貯蔵コンテナ106のスタック107の水平移動を防ぎ、コンテナ106の垂直移動を案内するが、通常は、積み重ねられたときに貯蔵コンテナ106を支持しない。
【0005】
自動貯蔵回収システム1は、貯蔵部104の上部にわたってグリッドパターンで配置されたレールシステム108を備え、そのレールシステム108上では、貯蔵コンテナ106を貯蔵カラム105から上昇させ、貯蔵コンテナ106を貯蔵カラムの中に下降させ、貯蔵コンテナ106を貯蔵カラム105の上に輸送するために、複数のコンテナハンドリング車両201、301が操作される。レールシステム108は、フレーム構造100の上部を横切る第1の方向Xへのコンテナハンドリング車両201、301の移動を案内するように配置された第1の組の平行レール110と、第1の方向Xに垂直な第2の方向Yへのコンテナハンドリング車両201、301の移動を案内するために第1の組のレール110に垂直に配置された第2の組の平行レール111とを備える。このようにして、レールシステム108は、その上方でコンテナハンドリング車両201、301が貯蔵カラム105の上方に、すなわち水平なX-Y平面に平行な平面内で横方向に移動することができるグリッドカラム112を画定する。
【0006】
自動貯蔵回収システム1の制御システム500は、車両200、300と通信して示されている。
【0007】
各従来技術のコンテナハンドリング車両201、301は、車体201a、301aと、それぞれX方向およびY方向へのコンテナハンドリング車両201、301の横方向移動を可能にする第1および第2の組の車輪201b、301b、201c、301cとを備える。
図2および
図3では、各組の2つの車輪が完全に見える。第1の組の車輪201b、301bは、第1の組のレール110の隣り合う2つのレールと係合するように配置され、第2の組の車輪201c、301cは、第2の組のレール111の隣り合う2つのレールと係合するように配置される。各組の車輪201b、301b、201c、301cは、昇降されることができ、その結果、第1の組の車輪201b、301bおよび/または第2の組の車輪201c、301cは、任意の時点でそれぞれのレール110、111の組と係合されることができる。
【0008】
各従来技術のコンテナハンドリング車両201、301はまた、貯蔵コンテナ106を垂直方向に輸送するための、例えば貯蔵コンテナ106を貯蔵カラムから上昇させ、貯蔵コンテナ106を貯蔵カラム105内に下降させるためのリフトデバイス(図示せず)を備える。リフトデバイスは、貯蔵コンテナ106と係合するように適合された1つ以上の把持/係合デバイス(図示せず)を備え、把持/係合デバイスは、車両201、301に対する把持/係合デバイスの位置が、第1の方向Xおよび第2の方向Yと直交する第3の方向Zに調整されることができるように、車両201、301から下降されることができる。
【0009】
従来、また本出願の目的のために、Z=1は、グリッド104の最上層、すなわちレールシステム108の直下の層を識別し、Z=2は、レールシステム108の下方の第2の層を識別し、Z=3は、第3の層を識別する。
図1に開示された例示的な従来技術のグリッドでは、Z=8は、グリッド104の最下層を識別する。同様に、X=1...nおよびY=1...nは、水平面内における各グリッドカラム112の位置を識別する。したがって、例として、
図1に示す直交座標系X、Y、Zを用いると、
図1において106’として識別される貯蔵コンテナは、グリッド位置またはセルX=10、Y=2、Z=3を占有していると言うことができる。コンテナハンドリング車両201、301は、層Z=0において走行していると言うことができ、各グリッドカラム112は、そのXおよびY座標によって識別されることができる。
【0010】
各従来技術のコンテナハンドリング車両201、301は、貯蔵コンテナ106をレールシステム108を横切って輸送するときに貯蔵コンテナ106を受け入れて収容するための貯蔵区画または空間を備える。貯蔵空間は、
図2に示され、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/193278A1号に記載されているように、車体201a内の中央に配置されたキャビティを含み得る。
【0011】
図3は、片持ち梁構造を有するコンテナハンドリング車両301の代替的な構成を示している。そのような車両は、例えばNO317366に詳細に記載されており、その内容も参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
図2に示す中央キャビティコンテナハンドリング車両201は、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/193278A1号に記載されているように、グリッドカラム112の横方向範囲、すなわちXおよびY方向のグリッドカラム112の範囲にほぼ等しいXおよびY方向の寸法を有する領域を覆うフットプリントを有し得る。本明細書で使用される「横方向」という用語は、「水平」を意味し得る。
【0013】
あるいは、中央キャビティコンテナハンドリング車両101は、例えば国際公開第2014/090684A1号に開示されているように、グリッドカラム112によって画定される横方向領域よりも大きいフットプリントを有し得る。
【0014】
レールシステム108は、
図4に示すように、単一軌道レールシステムであってもよい。あるいは、レールシステム108は、
図5に示すように、二重軌道レールシステムであってもよく、したがって、別のコンテナハンドリング車両201がその列に隣接するグリッドカラムの上方に配置されていても、グリッドカラム112によって画定される横方向領域にほぼ対応するフットプリントを有するコンテナハンドリング車両201がグリッドカラムの行に沿って移動することを可能にする。単一および二重軌道レールシステムの双方、またはレールシステム108内の単一および二重軌道レール構成を含む組み合わせは、複数の長方形および均一なグリッド位置またはグリッドセル122を含む水平面P内にグリッドパターンを形成し、各グリッドセル122は、第1の軌道110の一対の軌道110a、110bおよび第2の組の軌道111の一対の軌道111a、111bによって区切られたグリッド開口部115を含む。
図5では、グリッドセル122は、破線のボックスによって示されている。
【0015】
その結果、軌道110aおよび110bは、X方向に延びるグリッドセルの平行な行を画定する軌道の対を形成し、軌道111aおよび111bは、Y方向に延びるグリッドセルの平行な行を画定する軌道の対を形成する。
【0016】
図6に示すように、各グリッドセル122は、典型的には30から150cmの間隔内にある幅Wcと、典型的には50から200cmの間隔内にある長さLcとを有する。各グリッド開口部115は、グリッドセル122の幅Wcおよび長さLcよりも通常2から10cm小さい幅Woおよび長さLoを有する。
【0017】
X方向およびY方向において、隣接するグリッドセルは、互いに間隔を空けずに接するように配置されている。
【0018】
貯蔵グリッド104において、グリッドカラム112の大部分は、貯蔵カラム105、すなわち貯蔵コンテナ106がスタック107内に貯蔵されるグリッドカラム105である。しかしながら、グリッド104は、通常、貯蔵コンテナ106を貯蔵することに使用されるためではなく、コンテナハンドリング車両201、301が貯蔵コンテナ106をドロップオフおよび/またはピックアップすることができる場所を含む少なくとも1つのグリッドカラム112を有し、その結果、それらは、貯蔵コンテナ106がグリッド104の外側からアクセスされるか、またはグリッド104の外もしくは中に移送されることができるアクセスステーション(図示せず)に輸送されることができる。当該技術分野では、そのような位置は、通常「ポート」と呼ばれ、ポートが位置するグリッドカラム112は、「ポートカラム」119、120と呼ばれることがある。アクセスステーションへの輸送は、任意の方向、すなわち水平、傾斜および/または垂直であってもよい。例えば、貯蔵コンテナ106は、貯蔵グリッド104内のランダムまたは専用のグリッドカラム112に配置され、その後、任意のコンテナハンドリング車両によってピックアップされ、アクセスステーションへのさらなる輸送のためにポート119、120に輸送されてもよい。「傾斜した」という用語は、水平と垂直との間のどこかに一般的な輸送配向を有する貯蔵コンテナ106の輸送を意味することに留意されたい。
【0019】
図1のグリッド104は、2つのポートカラム119および120を備える。第1のポートカラム119は、例えば、コンテナハンドリング車両201、301がアクセスまたは移送ステーションに輸送される貯蔵コンテナ106をドロップオフすることができる専用のドロップオフポートカラムであってもよく、第2のポートカラム120は、コンテナハンドリング車両201、301がアクセスまたは移送ステーションからグリッド104に輸送された貯蔵コンテナ106をピックアップすることができる専用のピックアップポートカラムであってもよい。
【0020】
アクセスステーションは、典型的には、製品物品が貯蔵コンテナ106から取り出されるかまたはその中に配置されるピッキングまたはストックステーションであり得る。ピッキングまたはストックステーションでは、貯蔵コンテナ106は、通常、自動貯蔵回収システム1から取り外されることはないが、一旦アクセスされるとグリッド104に戻される。ポートはまた、貯蔵コンテナをグリッド104の内外に移送するために、例えば、貯蔵コンテナ106を別の貯蔵施設(例えば、別のグリッドに、または別の自動貯蔵回収システムに)、輸送車両(例えば、列車またはトラック)、または生産施設に移送するために使用されることもできる。
【0021】
コンベヤを備えるコンベヤシステムは、通常、ポート119、120とアクセスステーションとの間で貯蔵コンテナを輸送するために使用される。
【0022】
ポート119、120およびアクセスステーションが異なるレベルに配置されている場合、コンベヤシステムは、ポート119、120とアクセスステーションとの間で貯蔵コンテナ106を垂直に輸送するための垂直構成要素を有するリフトデバイスを備え得る。
【0023】
コンベヤシステムは、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2014/075937A1号に記載されているように、異なるグリッドの間で貯蔵コンテナ106を移送するように構成されてもよい。
【0024】
図1に開示されているグリッド104に貯蔵されている貯蔵コンテナ106がアクセスされるべきであるとき、コンテナハンドリング車両201、301のうちの1つは、グリッド104内のその位置から目標貯蔵コンテナ106を回収し、それをドロップオフポート119に輸送するように指示される。この動作は、目標貯蔵コンテナ106が配置されている貯蔵カラム105の上方のグリッド位置にコンテナハンドリング車両201、301を移動させ、コンテナハンドリング車両201、301のリフトデバイス(図示せず)を使用して貯蔵カラム105から貯蔵コンテナ106を回収し、貯蔵コンテナ106をドロップオフポート119に輸送することを含む。目標貯蔵コンテナ106がスタック107内の奥深くに配置されている場合、すなわち、目標貯蔵コンテナ106の上方に1つまたは複数の他の貯蔵コンテナ106が配置されている場合、動作はまた、目標貯蔵コンテナ106を貯蔵カラム105から持ち上げる前に、上方に配置された貯蔵コンテナを一時的に移動させることを含む。当該技術分野において「採掘」と呼ばれることもあるこのステップは、目標貯蔵コンテナをドロップオフポート119に輸送するためにその後使用されるのと同じコンテナハンドリング車両、または1もしくは複数の他の協働するコンテナハンドリング車両によって実行され得る。代替的に、または追加的に、自動貯蔵回収システム1は、貯蔵カラム105から貯蔵コンテナを一時的に取り外すタスク専用のコンテナハンドリング車両を有してもよい。目標貯蔵コンテナ106が貯蔵カラム105から取り外されると、一時的に取り外された貯蔵コンテナは、元の貯蔵カラム105に再配置され得る。しかしながら、取り外された貯蔵コンテナは、代替的に他の貯蔵カラムに再配置されてもよい。
【0025】
貯蔵コンテナ106がグリッド104内に貯蔵される場合、コンテナハンドリング車両201、301のうちの一方は、貯蔵コンテナ106をピックアップポート120からピックアップし、貯蔵コンテナを貯蔵すべき貯蔵カラム105の上方のグリッド位置に輸送するように指示される。貯蔵カラムスタック107内の目標位置またはその上方に配置された任意の貯蔵コンテナが取り外された後、コンテナハンドリング車両201、301は、貯蔵コンテナ106を所望の位置に配置する。次いで、取り外された貯蔵コンテナは、貯蔵カラム105内に戻されてもよく、または他の貯蔵カラムに再配置されてもよい。
【0026】
自動貯蔵回収システム1を監視および制御するために、例えば、コンテナハンドリング車両201、301が互いに衝突することなく所望の貯蔵コンテナ106が所望の時間に所望の位置に配送されることができるように、グリッド104内のそれぞれの貯蔵コンテナ106の位置、各貯蔵コンテナ106の内容物、およびコンテナハンドリング車両201、301の移動を監視および制御するために、自動貯蔵回収システム1は、典型的にはコンピュータ化され、典型的には貯蔵コンテナ106を追跡するためのデータベースを備える制御システムを備える。
【0027】
コンテナハンドリング車両が動作しているグリッドが水平であり、システムが適切に機能するための良好な条件であることが重要である。したがって、グリッドを構築するときには、コンテナハンドリング車両が安全に走行し、グリッド上で適切に動作することができることを確実にするために、床が重量を保持するのに十分に強く、床が水平であることが重要である。
【0028】
グリッドは、コンテナハンドリングロボットの動作に影響を及ぼすほど深刻な障害を発生させる可能性がある。通常、障害は、時間とともにゆっくりと発生するため、グリッドの状態を定期的に監視する必要がある。チェックされていない場合、そのような障害は、修理のためにグリッドの閉鎖をもたらすコンテナハンドリング車両を停止させるか、または損傷させる可能性さえあるような性質のものであり得る。
【0029】
グリッドのセル間、さらにはグリッドの異なる垂直部材間の高さの差の形態の欠陥を有するグリッドに関する別の問題は、貯蔵システムの異なる部分の摩耗および断裂につながる可能性があることである。コンテナは、カラムの側面をこすることによって破壊されることができ、カラムは、コンテナのこすり取りによって破壊されることができる。さらに、コンテナハンドリング車両のリフトプラットフォームは、グリッドへのコンテナの昇降中にカラムの垂直部材に当たると破壊される可能性がある。また、コンテナハンドリング車両は、不均一なグリッドに起因して損傷を受ける可能性がある。例えば、輸送中に車輪がグリッドと接触していない場合、車輪および車輪に電力を供給するモータが損傷する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
発明の概要
本発明は、独立請求項に記載され特徴付けられ、従属請求項は、本発明の他の特徴を記載する。
【0032】
一態様では、本発明は、自動貯蔵回収システムにおけるレベル偏差を測定する方法であって、システムが、
フレーム構造の上部を横切って第1の方向(X)におけるコンテナハンドリング車両の移動を案内するように配置された第1の組の平行レールと、第1の組のレールに垂直に配置され、第1の方向(X)に垂直な第2の方向(Y)におけるコンテナハンドリング車両の移動を案内する第2の組の平行レールと、を備えるレールシステムであって、第1および第2の組の平行レールが、レールシステムを複数のグリッドセルに分割する、レールシステムと、レールシステム上で動作するように構成された少なくとも1つのコンテナハンドリング車両であって、少なくとも1つのコンテナハンドリング車両が、3次元直交座標基準系におけるセンサの少なくとも1つの配向パラメータを測定するように構成された少なくとも1つの配向センサを提供された少なくとも1つのコンテナハンドリング車両と、コンテナハンドリング車両のデータ信号を受信、送信および処理し、センサのデータ信号を受信および処理するように構成された中央制御ユニットと、を備え、方法が、グリッド上の所定位置にコンテナハンドリング車両を配置するステップと、中央制御ユニットからコンテナハンドリング車両にデータ信号を送信して、グリッドに沿って1方向(X,Y)において所定距離移動するようにコンテナハンドリング車両に指示するステップと、配向センサを使用して、所定の間隔で少なくとも1つの配向パラメータを測定し、3次元直交座標基準系内でのコンテナハンドリング車両の配向を示す配向測定値を生成するステップと、配向測定値に関するデータを中央制御ユニットに送信するステップと、所定の値から逸脱しているレールシステムの部分を識別するために、中央制御ユニットを使用して配向測定値を処理するステップと、を含む、方法に関する。
【0033】
配向パラメータのさらなる測定は、X方向およびY方向のそれぞれにおける地球の重力に対するコンテナハンドリングロボットの傾斜を測定するための傾斜センサの形態の配向センサを使用して実行される。
【0034】
グリッドの各カラムにおけるコンテナハンドリング車両のピッチ(φ)およびロール(Θ)を測定する。
【0035】
コンテナハンドリング車両に固定された慣性計測ユニット(IMU)を使用して、グリッドの各カラムにおけるコンテナハンドリング車両のピッチ(φ)およびロール(Θ)を測定する。
【0036】
個々のグリッドセルの各側面の平均高さ間の高さの差ΔHxおよびΔHyを計算するステップを含む。
【0037】
式
【化1】
を使用して配向測定値から個々のグリッドセルの歪度の大きさを計算する。
【0038】
式
【化2】
を使用して配向測定値から個々のグリッドセルの歪度の大きさを計算する。
【0039】
個々のグリッドセルの歪度の大きさを使用してマップを生成する。
【0040】
各グリッドセルの偏差のレベルをマップにプロットし、マップを出力する。
【0041】
グリッドセルにおけるレベル偏差の重大度を示すために異なる色を使用する。
【0042】
コンテナハンドリング車両を使用して所定の間隔で測定し、所定の間隔がレールシステムの1つずつの各グリッドセルである。
【0043】
レールシステム上で動作する複数のコンテナハンドリング車両であって、それぞれが少なくとも1つの配向センサを提供され、複数のコンテナハンドリング車両が、それぞれ、配向測定値を中央制御ユニットに送信して、コンテナハンドリング車両が自動貯蔵回収システムのコンテナをハンドリングする間に、レールシステムの異なる領域におけるグリッドセルのレベル偏差が同時に決定されることを可能にする、複数コンテナハンドリング車両。
【0044】
コンテナハンドリング車両を使用して、通常の動作を行っている間にレールシステムの偏差を測定する。
【0045】
任意の先行する請求項のいずれかに記載の自動貯蔵回収システムにおいてレベル偏差を測定する方法を使用することを含む自動貯蔵回収システムにおいてレベルレールシステムを維持することであって、維持する方法は、測定値を使用してカラムの直立部材を調整することを含む。
【0046】
第2の態様では、本発明は、自動貯蔵回収システムにおけるレベル偏差を測定するシステムであって、システムが、フレーム構造の上部を横切る第1の方向(X)におけるコンテナハンドリング車両の移動を案内するように配置された第1の組の平行レールと、第1の方向(X)に垂直な第2の方向(Y)におけるコンテナハンドリング車両の移動を案内するように第1の組のレールに垂直に配置された第2の組の平行レールとを備えるレールシステムであって、第1および第2の組の平行レールが、レールシステムを複数のグリッドセルに分割する、レールシステムと、レールシステム上で動作するように構成された少なくとも1つのコンテナハンドリング車両であって、少なくとも1つのコンテナハンドリング車両が、3次元直交座標基準系内のセンサの少なくとも1つの配向パラメータを測定するように構成された少なくとも1つの配向センサを提供される、少なくとも1つのコンテナハンドリング車両と、コンテナハンドリング車両のデータ信号を受信、送信および処理し、センサのデータ信号を受信および処理するように構成された中央制御ユニットと、を備え、コンテナハンドリング車両が、グリッド上の所定の位置に配置され、中央制御ユニットが、データ信号をコンテナハンドリング車両に送信し、コンテナハンドリング車両にグリッドに沿って移動するように指示し、配向センサが、所定の間隔で少なくとも1つの配向パラメータを測定し、配向測定値に関するデータを中央制御ユニットに送信し、所定の値から逸脱しているレールシステムの部分を識別するために、中央制御ユニットを使用して配向測定値を処理する、システムに関する。
【0047】
第3の態様では、本発明は、自動貯蔵回収システムにおける各グリッドセルの逸脱レベルを表示するマップに関する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
以下の図面は、本発明の理解を容易にするために添付される。図面は本発明の実施形態を示しており、ここでは例としてのみ説明する。
【0049】
【
図1】
図1は、従来技術の自動貯蔵回収システムのフレームワーク構造の斜視図である。
【
図2】
図2は、貯蔵コンテナを内部に運ぶための中央に配置されたキャビティを有する従来技術のコンテナハンドリング車両の斜視図である。
【
図3】
図3は、貯蔵コンテナを下方に運ぶための片持ち梁を有する従来技術のコンテナハンドリング車両の斜視図である。
【
図4】
図4は、単一軌道レールシステムを示すレールシステムのグリッドセルのX方向およびY方向の平面図である。
【
図5】
図5は、X方向に2つの軌道を有するレールと、Y方向に2つの軌道を有するレールとを示すレールシステムのグリッドセルの平面図である。
【
図6】
図6は、グリッドセルのより詳細な平面図である。
【
図7】
図7は、配向測定値をログするシステムの実施形態の概略図である。
【
図8】
図8は、振り子なしのコンテナハンドリング車両によって実行されるグリッドセル上に配置されたコンテナハンドリング車両の傾斜を表す配向測定値の斜視図である。
【
図9】
図9は、振り子を有するコンテナハンドリング車両によって実行されるグリッドセル上に配置されたコンテナハンドリング車両の傾斜を表す配向測定値の斜視図である。
【
図10】
図10は、異なるグリッドセルにおけるレベル偏差(例えば、歪度)がヒートマップの形態で表示されるレールシステムの図である。
【
図11】
図11は、異なるグリッドセルの高さの差が地形図の形態で表示されるレールシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
発明の詳細な説明
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。しかしながら、図面は、本発明を図面に示された主題に限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0051】
本明細書では車輪の使用について説明するが、他のタイプの駆動手段も使用されることができることを理解されたい。この例は、例えば、無限軌道または任意の形態の連続軌道である。
【0052】
自動貯蔵回収システム1のフレームワーク構造100は、
図1~
図3に関連して上述した従来技術のフレームワーク構造100、すなわち、いくつかの直立部材102、および直立部材102によって支持されたいくつかの水平部材103にしたがって構築され、さらに、フレームワーク構造100は、X方向およびY方向に第1の上部レールシステム108を備える。
【0053】
フレームワーク構造100は、部材102、103の間に提供された貯蔵カラム105の形態の貯蔵区画をさらに備え、貯蔵コンテナ106は、貯蔵カラム105内のスタック107に積み重ね可能である。
【0054】
フレームワーク構造100は、任意のサイズとすることができる。特に、フレームワーク構造は、
図1に開示されているよりもかなり広くおよび/または長くおよび/または深くすることができることが理解される。例えば、フレームワーク構造100は、700×700カラムを超える水平範囲および12個を超えるコンテナの貯蔵深さを有し得る。
【0055】
本発明にかかる自動貯蔵回収システムにおけるレベル偏差を測定する方法の一実施形態が、
図7から
図10を参照してより詳細に説明される。
【0056】
前述の説明では、例示的な実施形態を参照して、本発明にかかるコンテナハンドリング車両および自動貯蔵回収システムの様々な態様について説明した。説明の目的で、システムおよびその動作の完全な理解を提供するために、具体的な数、システムおよび構成を記載した。しかしながら、この説明は、限定的な意味で解釈されることを意図していない。例示的な実施形態の様々な変更および変形、ならびに開示された主題が関係する当業者にとって明らかなシステムの他の実施形態は、本発明の範囲内にあるとみなされる。
【0057】
図7は、配向測定値をログするシステムの概略図である。この図は、1つ以上のセンサ701と、センサからロギング設備へのデータの流れを示している。ロガー702は、データを読み出してタイムスタンプを付与した後、それをログ703に記録する。ロガー702およびログ703は、リモートコンピュータ704上に存在することができる。
【0058】
ロガー702は、測定走行中にコンテナハンドリング車両が実行する停止ごとに動作を行う。本発明の好ましい実施形態では、コンテナハンドリング車両は、グリッド上でカラムごとに移動し、測定を実行する。各カラムについて、センサは、必要な測定を実行する。ロガーは、コンテナハンドリング車両に位置決めされることができる。あるいは、ロガーは、中央コンピュータシステム上に位置することができる。
【0059】
測定は、重力に対するグリッドセル、したがって下方にある貯蔵カラムの傾斜を測定するためのセンサを使用して行われる。グリッドセルの傾斜は、グリッドセルのコーナーの位置を画定する直立部材の動きによって影響を受ける可能性がある。直立部材は、シフトする可能性があり、熱サイクルおよび負荷サイクルに起因して歪む可能性があり、地面がシフトする可能性があり、または安定化の問題を有する可能性がある。これらは、全て、自動貯蔵回収システム内のグリッドセルの上部が時間とともに不均一になる可能性がある理由である。コンテナハンドリング車両上の少なくとも1つのセンサは、貯蔵カラムの上部のレールが水平レベルから逸脱しているかどうか、およびどれだけ逸脱しているかを測定するために使用されることができる。測定は、1つの貯蔵カラムから次の貯蔵カラムへとグリッド空間をレールに沿って移動している間に、自動貯蔵回収システムにおける貯蔵のために回収されて戻されるコンテナをハンドリングする少なくとも1つのコンテナハンドリング車両によって行われることができる。あるいは、測定は、通常のコンテナハンドリング任務ではなく、調査作業を実行する少なくとも1つのコンテナハンドリング車両によって生成されることができる。測定は、レールシステムのグリッド全体が、最初にコンテナハンドリング車両のうちの1つ以上のものによってグリッドセルごとに走査され、その後、データは、コンテナハンドリング車両がそれらの通常の業務を実行しながら経路を繰り返すことによって更新されるように行われることができる。このようにして、レールシステムのグリッドスペースの状態に関する情報を継続的に更新することが可能である。
【0060】
レールシステムの一部で問題が特定され、グリッドセルのうちの1つ以上のものの傾斜が非常に深刻であるため、コンテナハンドリング車両がグリッドのその部分を走行して、脱線などの事故を起こす危険性があり、または貯蔵カラム内の貯蔵コンテナを昇降させる問題を経験する可能性がある場合、問題は、グリッドのその部分の直立部材の高さを調整するか、またはグリッドの上部のレールによって生成される平面が可能な限り水平に近くなるように他の何らかの修正を行うことによって改善されることができる。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、センサ701は、慣性計測ユニット(以下、IMUと呼ぶ)とすることができる。慣性計測ユニット(IMU)は、加速度計、ジャイロスコープ、および場合によっては磁力計の組み合わせを使用して、身体の特定の力、角速度、および場合によっては身体の配向を測定して報告する電子デバイスである。IMUを使用する利点は、IMUユニットを全てのコンテナハンドリング車両に組み込むことを可能にして安価であることである。これは、コンテナハンドリング車両は、グリッドセルおよびレールシステムの状態を継続的に監視することを可能にする。
【0062】
本発明のさらなる実施形態では、センサのうちの1つ以上のものは、精密傾斜センサとすることができる。正確な傾斜センサは、コンテナハンドリング車両がその特定のグリッドセルの上を通過するかまたはその中に立つときのコンテナハンドリング車両のピッチおよびロールを測定することによって、各グリッドセルの傾斜を測定する。正確な傾斜センサは、非常に正確であるが、高価でもあるため、全てのコンテナハンドリング車両にセンサが設置される可能性は低い。したがって、このセンサは、コンテナハンドリング車両がその日常タスクを実行している間にグリッドの状態を継続的に測定するには実用的ではないかもしれないが、周期的な間隔で使用されてもよい。
【0063】
センサが1つ以上のコンテナハンドリング車両に恒久的に取り付けられる代わりに、少なくとも1つのセンサおよび通信ユニットが測定値をグリッド調査ユニットに通信し、データおよび計算のロギングが実行され、コンテナハンドリング車両のグリッパユニットによってハンドリングされることができるボックスまたはユニット内に配置される可能性がある。
【0064】
図8は、振り子なしのコンテナハンドリング車両によって実行されるグリッド空間上に配置されたコンテナハンドリング車両の傾斜の測定値の斜視図である。
【0065】
コンテナハンドリング車両は、コンテナハンドリング車両の4つの側面のそれぞれに2つの車輪を有する。したがって、コンテナハンドリング車両をX方向に輸送するための4つの車輪と、コンテナハンドリング車両をY方向に輸送するための4つの車輪とがある。
【0066】
振り子なしのコンテナハンドリング車両では、コンテナハンドリング車両をX方向またはY方向に搬送するための車輪の組は、常に互いに対して固定されている。すなわち、同じ方向の全ての車輪は、コンテナハンドリング車両の本体に固定されるか、または全て同じ距離だけ昇降される。
【0067】
この解決策では、1方向の全ての車輪が同時にレールに接触しているとは確信することができない。カラム内の直立部材間の高さの差が深刻である場合、貯蔵システムに沿って移動するコンテナハンドリング車両が不安定になる可能性があり、例えば、潜在的に逸脱する可能性があり、問題を解決するためのシステムの長いシャットダウンにつながる可能性がある。
【0068】
グリッドセルの偏差、したがってカラムの直立部材の高さの偏差を計算するとき、最初にX方向およびY方向の双方のレールの長さ(式IIIおよびIVにおけるlengde Xおよびlengde Y)が考慮され、各グリッドセル方向のレールの長さは、システムに事前に知られている。その後、コンテナハンドリング車両の傾斜の測定が実行される。これらの2つの組のパラメータから、各直立部材の特定の高さにおける異なる直立部材間の高さの偏差を計算することが可能である。
【0069】
この方法は、振り子なしのロボット、すなわちコンテナハンドリング車両をシミュレートし、セルの平均角度を計算する。各セルについて、式IおよびIIに示すように、セルの各辺の平均高さの間の高さの差ΔHxおよびΔHyが最初に計算される。
【化3】
次いで、ピッチおよびロールは、それぞれ式IIIおよびIVを用いて計算される。
【化4】
【0070】
変数の概要が
図8に示されており、ピッチおよびロールは、それぞれ、φおよびΘとして示されている。
【0071】
図9は、振り子を有するコンテナハンドリング車両によって実行される、カラム上に位置決めされたコンテナハンドリング車両の傾斜の測定の斜視図である。
【0072】
振り子を有するコンテナハンドリング車両は、2つの平行な車輪セクションの間にボールベアリングがある車両である。振り子は、カラムの軌道が同じ傾斜を有していなくても、コンテナハンドリング車両が軌道と接触する1方向に全ての車輪を有することを保証する。
【0073】
図9は、振り子を有するコンテナハンドリング車両を使用して各カラムの高さの差を計算する方法を開示している。振り子を有するロボットは、レール上で直接角度を計算する。最初に、式VおよびVIに示すように、x方向およびy方向における直立部材間の高さの差が計算される。
【化5】
【0074】
その後、式IIIおよびIVを使用することによってピッチおよびロールが計算される。
【0075】
変数の概要が
図9に示されており、ここで、ピッチおよびロールは、それぞれ、φおよびΘとして示される。
【0076】
振り子なしのコンテナハンドリング車両(
図8)および振り子を有するコンテナハンドリング車両(
図9)の双方について、ヒートマップ(すなわち、歪度のマップ)はセル当たり1つの値しか有さず、合計で2つの角度および2つのデルタ高さが存在するため、各グリッドセルにおける歪度のレベルを強調する方法を有する必要がある。これらの2つの値をヒートマップの単一の値に変換する方法はいくつかある。
【0077】
セル内の高さの差の絶対値は、式VIIおよび式VIIIによって計算される。
【化6】
【0078】
本発明の好ましい実施形態では、単一セルの歪度の大きさは、式IXを使用して計算される。
【化7】
【0079】
本発明の代替の実施形態では、式Xが使用されて、単一のグリッドセルの歪度の大きさを計算することができる。
【化8】
【0080】
図10は、異なるカラムの高さの差が表示されるグリッドベースのレールシステムの図である。ここで、カラムの高さの差がヒートマップに表示されていることが分かる。ヒートマップは、コンテナハンドリング車両によって検出されたレールシステム内の異常がどこにあるか、および異常がどの程度深刻であるかの表示を与える。異常の重大度は、色によって示される。あるいは、それは、灰色の濃淡または線の強度によって表示されることができる。グリッドセルに示される色、灰色の濃淡、または線の強度(または他の形式のグラフィカル表現)は、異常を修正するための動作が必要であるか否かを表すことができる。それはまた、即時のアクションが必要かどうか、またはグリッドの動作が例えば減速して維持されることができるかどうかを示すことができる。
【0081】
図11は、異なるグリッドセルの高さの差が地形図の形態で表示されるレールシステムの図である。地形図は、グリッドの高さの差の3D表示である。マップは、グリッドの各垂直部材の高さの差を表示することができ、高さの差は、理論的なフラットグリッドに対するものである。
【0082】
この解決策により、経時的な異常の発生を追跡することも可能である。グリッドの領域が経時的に増加する異常を発生させる場合、それは沈下損傷の指標とすることができる。異常の突然の出現がある場合、それは、カラム内の直立部材のうちの1つ以上のものによる問題を示す可能性がある。これは、直立部材のうちの1つ以上のものを曲げた衝撃損傷を示すことができ、または例えば疲労または熱もしくは負荷サイクルによる動きによる損傷の指標とすることができる。マップおよび測定履歴を研究することにより、損傷の種類、およびどのような種類の処置を行う必要があるか、およびどの程度の速さで行う必要があるかを示すことができる。
【0083】
測定は、センサが取り付けられ、グリッドが動作していない間に定期的に測定を実行する1つ以上のコンテナハンドリング車両によって定期的に行われることができる。あるいは、グリッド上で正常に動作するコンテナハンドリング車両のうちの1つ以上のものにセンサが取り付けられることができ、グリッドベースのレールシステム上で通常のタスクを実行しながら測定を実行することができる。
【0084】
収集されたデータは、自動貯蔵回収システムの所有者によって内部で使用されることができ、またはグローバルデータベースに共有されることができ、収集されたデータが使用されて、発生することがある問題の種類およびそれらを最良に修復する方法を示すことができる。レールシステムに沈降問題がある場合、これからこのタイプの損傷を将来どのように回避するかについての知識が取得されることができ、問題をどのように解決するかについての情報がデータベースに記憶されることができる。機器に疲労損傷または破壊の問題がある場合、問題を解決するのに誰が最も適しているか、機器の製造業者、または貯蔵グリッドの異なる部分の設計に問題があるかを示すために収集することが有用な情報である。
【0085】
貯蔵システム内のセルの角度を測定する別の方法は、例えば振り子式解決策のような車輪上にサスペンションシステムを有するコンテナハンドリング車両を使用することである。この解決策は、車輪間の高さの差を測定し、差が水平線に対してなす角度を計算することができる。
【0086】
コンテナハンドリング車両に関する振り子式解決策の言及は、サスペンションシステムと交換されることができる。任意のタイプのサスペンションシステムが使用されることができる。
【0087】
異常を有するグリッドの領域が検出された場合、この領域は、その領域内のコンテナからの重量、およびその領域内のグリッド上のコンテナハンドリング車両からの重量の量と比較されることができる。その領域内のコンテナおよびコンテナハンドリング車両の重量が不均一なグリッドと一致している場合、グリッドのその部分は、例えば、グリッドの別の部分に貯蔵されているコンテナから影響を受ける領域内のコンテナに貯蔵されているものと同様のものを得るようにコンテナハンドリング車両に指示することによって、限られた使用の下で設定されることができる。グリッドの影響を受ける部分で動作するコンテナハンドリング車両の量を制限することがさらに可能である。また、その領域におけるコンテナハンドリング車両の移動を制限することが可能である。コンテナハンドリング車両に、影響領域内で方向を変えず、例えば、減速してより遅い加速および減速で運転するように指示することが可能である。
(参照番号の一覧)
【0088】
【国際調査報告】