(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】コネクタ及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6461 20110101AFI20240126BHJP
【FI】
H01R13/6461
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544119
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2021132497
(87)【国際公開番号】W WO2022166321
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202120356789.X
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、ベイジュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シュエコン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジュワン
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB02
5E021FB14
5E021FC20
5E021FC23
(57)【要約】
本願は、複数の伝送線及び少なくとも1つの遮蔽シートを含むコネクタに関する。複数の伝送線は、第1の方向において間隔を空けて配置されている。各伝送線の延伸方向は第1の方向と交差する。複数の伝送線は少なくとも1つの接地ピンを含む。遮蔽シートは、導電性であり、本体部、少なくとも1つの第1の支持脚、及び少なくとも1つの第2の支持脚を含む。本体部は、第1の方向に沿って延伸し、複数の伝送線の一方の側から複数の伝送線の他方の側まで複数の伝送線に広がる。第1の支持脚及び第2の支持脚はそれぞれ、本体部の両側に配設されている。第1の支持脚及び第2の支持脚は別々に、接地ピンに固定的に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝送線及び少なくとも1つの遮蔽シートを備えるコネクタであって、前記複数の伝送線が、第1の方向において間隔を空けて配置されており、各伝送線の延伸方向は前記第1の方向と交差し、前記複数の伝送線が少なくとも1つの接地ピンを有し;
前記遮蔽シートが導電性であり、前記遮蔽シートが、本体部、少なくとも1つの第1の支持脚、及び少なくとも1つの第2の支持脚を有し、前記本体部が、前記第1の方向に沿って延伸し、前記複数の伝送線の一方の側から前記複数の伝送線の他方の側まで前記複数の伝送線に広がり、前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚がそれぞれ、前記本体部の両側に配設されており、前記第1の支持脚が前記接地ピンに固定されており、前記第2の支持脚も前記接地ピンに固定されており、前記本体部が、前記複数の伝送線から離隔されている
コネクタ。
【請求項2】
第1の支持脚の数、第2の支持脚の数、及び接地ピンの数が同じであり、各接地ピンが、1つの第1の支持脚及び1つの第2の支持脚に電気的に接続されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚のそれぞれが、前記伝送線の前記延伸方向に対して平行に配設されている、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数の伝送線が全て、第2の方向に沿って延伸し、前記第2の方向が前記第1の方向に対して垂直である、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記複数の伝送線が、複数の信号ピンをさらに有し、前記少なくとも1つの接地ピンが2つの側部接地ピンを有し、前記2つの側部接地ピンが間隔を空けて配置されており、前記複数の信号ピンの全てが、前記2つの側部接地ピンの間に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接地ピンが、複数の中間接地ピンをさらに有し、前記複数の中間接地ピンが、前記複数の信号ピンにおいて間隔を空けて配置されており、任意の2つの隣接する接地ピンの間に少なくとも1つの信号ピンが配設されている、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
任意の2つの隣接する接地ピンの間の信号ピンの数は同じである、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
任意の2つの隣接する接地ピンの間に1つ又は2つの信号ピンが存在する、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1の支持脚及び前記接地ピンの間に複数の第1の通電点が形成されており、前記複数の第1の通電点が、前記接地ピンの延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている;及び/又は
前記第2の支持脚及び前記接地ピンの間に複数の第2の通電点が形成されており、前記複数の第2の通電点が、前記接地ピンの前記延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている
請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
複数の遮蔽シートが存在し、前記複数の遮蔽シートが、前記伝送線の前記延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記複数の遮蔽シートの本体部が互いに電気的に接続されている、請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記遮蔽シートが、第3の支持脚をさらに有し、前記第3の支持脚が、前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚の間に位置づけられ、前記本体部にも接続されており、前記第3の支持脚も前記接地ピンに電気的に接続されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記コネクタが絶縁基体を有しており、前記複数の伝送線、及び前記遮蔽シートの前記本体部が別々に前記絶縁基体に固定的に接続されており、そのため、前記本体部及び前記複数の伝送線が間隔を空けて固定されている、請求項1から12のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項14】
2つの機能コンポーネント、及び前記2つの機能コンポーネントの間に接続されたコネクタを備える電子デバイスであって、前記コネクタが、複数の伝送線及び少なくとも1つの遮蔽シートを有し、前記複数の伝送線が、第1の方向において間隔を空けて配置されており、各伝送線の延伸方向は前記第1の方向と交差し、前記複数の伝送線が少なくとも1つの接地ピンを有し;
前記遮蔽シートが導電性であり、前記遮蔽シートが、本体部、少なくとも1つの第1の支持脚、及び少なくとも1つの第2の支持脚を有し、前記本体部が、前記第1の方向に沿って延伸し、前記複数の伝送線の一方の側から前記複数の伝送線の他方の側まで前記複数の伝送線に広がり、前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚がそれぞれ、前記本体部の両側に配設されており、前記第1の支持脚が前記接地ピンに固定されており、前記第2の支持脚も前記接地ピンに固定されており、前記本体部が、前記複数の伝送線から離隔されている
電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子デバイスの分野に、特に、コネクタ、及びコネクタが設けられた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、電気端子を接続して回路を形成する装置である。コネクタを用いることで、ワイヤ、ケーブル、プリント回路基板、及び電気素子の間の接続を実装することができ、データ、電力、及び信号を伝送することができる。通常、コネクタにおいて、信号電流の基準帰還(signal current reference return)を防止し、信号クロストークを絶縁するために、金属遮蔽シート又は導電性プラスチックが使用される。しかしながら、導電性プラスチックの導電性は比較的低く、高速コネクタに対するその信号クロストーク回避効果は低い。金属遮蔽シートは、吊り下げ接地方式で信号電流基準帰還を実装する。しかしながら、吊り下げ接地構造は、通常、開回路形式であり、これは、低域信号によるクロストーク共振の形成を引き起こし、伝送速度が28Gb/s以上である場合にはクロストークも引き起こされる。
【発明の概要】
【0003】
本願の目的は、吊り下げ接地構造を改善することによってコネクタのクロストーク防止能力を改善するために、コネクタを提供することである。加えて、本願はさらに、コネクタが設けられた電子デバイスに関する。
【0004】
第1の態様によれば、本願は、複数の伝送線及び少なくとも1つの遮蔽シートを含むコネクタであって、各伝送線の延伸方向が第1の方向と交差し、前記複数の伝送線が少なくとも1つの接地ピンを含み;前記遮蔽シートが導電性であり、前記遮蔽シートが、本体部、少なくとも1つの第1の支持脚、及び少なくとも1つの第2の支持脚を含み、前記本体部が、前記第1の方向に沿って延伸し、前記複数の伝送線の一方の側から前記複数の伝送線の他方の側まで前記複数の伝送線に広がり、前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚がそれぞれ、前記本体部の両側に配設されており、前記第1の支持脚が前記接地ピンに固定されており、前記第2の支持脚も前記接地ピンに固定されており、前記本体部が、前記複数の伝送線から離隔されている、コネクタに関する。
【0005】
本願において、コネクタは、間隔を空けて配置された複数の平行な伝送線を使用することによって信号伝送を実装し、少なくとも1つの接地ピンは、伝送された信号の基底電位を提供するために複数の伝送線内に配設される。本願において、コネクタはさらに、配設された遮蔽シートを使用することによって信号クロストークを防止する。遮蔽シートは、遮蔽シートが、本体部の両側にそれぞれ配設された第1の支持脚及び第2の支持脚を介して接地ピンに電気的に接続されており、そのため、接地ピンに対して、本体部を通過する電気経路を形成することができる。複数の伝送線を介した信号伝送のプロセスにおいて、本体部を通過する電気経路は、信号電流の基準帰還現象を有効に防止することができ、それにより、コネクタの信号伝送の整合性を改善するように、低域信号のクロストーク共振の影響を回避することができる。
【0006】
可能な実装形態において、前記第1の支持脚の数、前記第2の支持脚の数、及び前記接地ピンの数が同じであり、各接地ピンが、1つの第1の支持脚及び1つの第2の支持脚に電気的に接続されている。
【0007】
この実装形態において、本体部の両側にそれぞれ配設された第1の支持脚及び第2の支持脚は、同じ接地ピンに電気的に接続されており、そのため、遮蔽シートにおける電流帰還を実装するための各接地ピンの電気的長さを短くすることができ、それにより、各接地ピンのための遮蔽シートによって形成されるインダクタンス効果が低減される。
【0008】
可能な実装形態において、第1の支持脚及び第2の支持脚のそれぞれは、伝送線の延伸方向に対して平行に配設されている。
【0009】
本実装形態において、第1の支持脚は、伝送線の延伸方向に対して平行に配設されており、すなわち、第1の支持脚は、第1の支持脚に電気的に接続された接地ピンに対して平行に配設されており、そのため、第1の支持脚の長さが低減され、これは、接地ピンに対して遮蔽シートにより形成されるインダクタンス効果を低減するのに役立ち、第2の支持脚も、伝送線の延伸方向に対して平行に配設されており、そのため、第2の支持脚の長さも低減され、それにより、接地ピンに対して遮蔽シートによって形成されるインダクタンス効果が低減される。
【0010】
可能な実装形態において、複数の伝送線は全て、第2の方向に沿って延伸し、第2の方向は、第1の方向に対して垂直である。
【0011】
本実装形態において、本体部が複数の伝送線に広がるため、本体部の長さ方向が複数の伝送線の延伸方向に対して垂直である場合、本体部の長さが最小となり、各伝送線に対して形成されるインダクタンス効果もこれに応じて低減される。
【0012】
可能な実装形態において、複数の伝送線は複数の信号ピンをさらに含み、少なくとも1つの接地ピンは2つの側部接地ピンを含み、2つの側部接地ピンは間隔を空けて配置されており、複数の信号ピンの全てが2つの側部接地ピンの間に配置されている。
【0013】
本実装形態において、2つの側部接地ピンの構造が配設され、2つの側部接地ピンはそれぞれ、平行に配置された複数の伝送線の最も外側の縁部に配設されており、そのため、複数の伝送線の両側における信号クロストークを有効に遮蔽することができ、それにより、2つの側部接地ピンの間に位置づけられた信号ピンを介して伝送された信号の整合性が確保される。
【0014】
可能な実装形態において、少なくとも1つの接地ピンは複数の中間接地ピンをさらに含み、複数の中間接地ピンは、複数の信号ピンにおいて間隔を空けて配置されており、少なくとも1つの信号ピンは、任意の2つの隣接する接地ピンの間に配設されている。
【0015】
本実装形態において、複数の中間接地ピンが配設されていることで、隣接する信号ピンの間の信号クロストーク現象を防止することができ、それにより、各信号ピンを介して伝送される信号の整合性がさらに確保される。
【0016】
可能な実装形態において、任意の2つの隣接する接地ピン間の信号ピンの数は同じである。
【0017】
本実装形態において、2つの隣接する接地ピンごとの間の信号ピンの数は同じになるように設定されており、すなわち、接地ピンは、複数の伝送線において間隔を空けて均等に配設されている。このようにして、各接地ピンが対応して信号クロストークを遮蔽する信号ピンの数も同じになり、それにより、各信号ピンを介して伝送される信号の品質が同じであることが確保される。
【0018】
可能な実装形態において、任意の2つの隣接する接地ピンの間には1つ又は2つの信号ピンが存在する。
【0019】
本実装形態において、2つの隣接する接地ピンの間には1つの信号ピンが存在し、信号ピンの両側の2つの接地ピンを使用することによって各信号ピンに対して遮蔽を実装することができ、その信号伝送品質は比較的高くなり、2つの隣接する接地ピンの間に2つの信号ピンが存在する場合、2つの信号ピンは協働して、差動信号伝送を形成して良く、その干渉防止能力がより強くなる。
【0020】
可能な実装形態において、前記第1の支持脚及び前記接地ピンの間に複数の第1の通電点が形成されており、前記複数の第1の通電点が、前記接地ピンの延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている;及び/又は前記第2の支持脚及び前記接地ピンの間に複数の第2の通電点が形成されており、前記複数の第2の通電点が、前記接地ピンの前記延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている。
【0021】
本実装形態において、第1の支持脚及び接地ピンの間の電気伝導の信頼性を改善し、接地ピンのためのシャント機能を形成する複数の第1の通電点が配設されている。これに応じて、複数の第2の通電点の配設も、第2の支持脚及び接地ピンの間の電気伝導の信頼性を改善し、また、接地ピンのためのシャント機能を形成する。
【0022】
可能な実装形態において、複数の遮蔽シートが存在し、前記複数の遮蔽シートが、前記伝送線の前記延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている。
【0023】
本実装形態において、複数の遮蔽シートが伝送線の延伸方向に沿って間隔を空けて配置されており、そのため、伝送線の延伸方向においてより大きいエリアの遮蔽保護効果を形成することができ、単一の遮蔽シートの長さ要件が低減され、それにより、単一の遮蔽シートにより伝送線に対して引き起こされ得るインダクタンス効果の低減に役立つ。
【0024】
可能な実装形態において、前記複数の遮蔽シートの本体部が互いに電気的に接続されている。
【0025】
本実装形態において、複数の遮蔽シートの本体部は互いに電気的に接続されており、そのため、複数の遮蔽シートは互いに接続されて、複数の電気経路を形成し、それにより、信号電流の基準帰還現象の発生がさらに防止され、低域信号のクロストーク共振が回避される。
【0026】
可能な実装形態において、前記遮蔽シートが、第3の支持脚をさらに含み、前記第3の支持脚が、前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚の間に位置づけられ、前記本体部にも接続されており、前記第3の支持脚も前記接地ピンに電気的に接続されている。
【0027】
本実装形態において、第3の支持脚は、第1の支持脚及び第2の支持脚の間に位置づけられており、そのため、第1の通電点及び第2の通電点の間の電気経路の長さが低減され、それにより、遮蔽シートによって引き起こされ得るインダクタンス効果がさらに低減される。
【0028】
可能な実装形態において、前記コネクタが絶縁基体を含み、前記複数の伝送線、及び前記遮蔽シートの前記本体部が別々に前記絶縁基体に固定的に接続されており、そのため、前記本体部及び前記複数の伝送線が間隔を空けて固定されている。
【0029】
本実装形態において、コネクタ電気的機能の実装に影響を及ぼすことなく複数の伝送線及び遮蔽シートの間の位置関係を確保するために、複数の伝送線及び遮蔽シートは絶縁基体により支えられている。
【0030】
可能な実装形態において、絶縁基体は絶縁基板を含み、複数の伝送線は、絶縁基板上にプリントされており、遮蔽シートは、複数の伝送線の、絶縁基板から離れた方に面する側に位置づけられている。
【0031】
本実装形態において、絶縁基板に複数の伝送線をプリントする方法により製造が容易になり、遮蔽シートを絶縁基板の外側に配設することにより、遮蔽シートの製造及び組み立てが容易になる。
【0032】
可能な実装形態において、絶縁基体は絶縁基板を含み、複数の伝送線は絶縁基板上にプリントされており、遮蔽シートは絶縁基板の内側に位置づけられている。
【0033】
本実装形態において、遮蔽シートは絶縁基板に組み込まれており、そのため、遮蔽シート及び複数の伝送線の相対位置を確保することができる。
【0034】
第2の態様によれば、本願は、2つの機能コンポーネント、及び2つの機能コンポーネントの間に接続された前述のコネクタを含む電子デバイスに関する。
【0035】
本願の電子デバイスには前述のコネクタが設けられているため、本願の電子デバイスにおける2つの機能コンポーネント間の信号伝送速度はより高く、信号の整合性及び信頼性も確保されることが理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本願による電子デバイスの内部構造の概略図である。
【0037】
【
図2】本願による、電子デバイスにおける第2の機能コンポーネント及びコネクタの間の接続部の構造の概略図である。
【0038】
【
図3】
図2による、第2の機能コンポーネント及びコネクタの間の接続部の部分構造の概略図である。
【0039】
【0040】
【0041】
【
図6】
図2によるコネクタにおける遮蔽シートの構造の概略図である。
【0042】
【
図7】
図2によるコネクタにおける遮蔽シート及び接地ピンの間に形成された電気経路の概略図である。
【0043】
【
図8】従来技術におけるコネクタの構造の概略図である。
【0044】
【
図9】
図8による従来技術におけるコネクタのクロストーク共振シミュレーション結果の概略図である。
【0045】
【
図10】本願のコネクタ及び従来技術におけるコネクタのクロストーク共振シミュレーション結果間の比較の概略図である。
【0046】
【
図11】
図2によるコネクタにおける複数の伝送線の配置の概略図である。
【0047】
【
図12】別の実施形態における、
図2によるコネクタにおける複数の伝送線の配置の概略図である。
【0048】
【
図13】本願の別の実施形態によるコネクタの部分的断面概略図である。
【0049】
【
図14】別の実施形態における、
図13によるコネクタの部分的断面概略図である。
【0050】
【
図15】さらに別の実施形態における、
図13によるコネクタの部分的断面概略図である。
【0051】
【
図16】なお別の実施形態における、
図13によるコネクタの部分的断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、本願の実施形態における添付図面を参照して、本願の実施形態における技術的解決手段を説明する。明らかに、説明される実施形態は、本願の全てではなくいくつかの実施形態に過ぎない。本願の実施形態に基づいて当業者が創造的努力をせずに取得する他のあらゆる実施形態は、本願の保護範囲に含まれることになる。
【0053】
本明細書において、コンポーネントの「第1」及び「第2」などのシーケンス番号は、説明される物体を区別することを意図しているに過ぎず、いかなる連続的又は技術的な意味も有しない。別途指定のない限り、本願における「接続」は、直接接続及び間接接続を含む。本願の説明において、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「上部」、「底部」、「内側」、及び「外側」などにより示される配向又は位置関係は、添付図面に示される配向又は位置関係に基づいており、本願の説明を容易にして説明を簡潔にすることを意図しているに過ぎず、説明される装置又は要素が特定の配向を有する、又は特定の配向において構築及び動作される必要があることを示す又は暗示するものではない。したがって、そのような用語は、本願を制限するものとして理解されるべきではない。
【0054】
本願において、別途指定及び限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上方」又は「下方」にある場合、第1の特徴は、第2の特徴と直接接触していてもよいし、第1の特徴は、中間媒体を介して第2の特徴と間接的に接触していてもよい。加えて、第1の特徴が第2の特徴の「上方」又は「上」にあるとは、第2の特徴が、第1の特徴の真上又は斜め上にあることであってよく、又は、第1の特徴の水平高さが第2の特徴のそれより大きいことを意味するに過ぎない。第1の特徴が第2の特徴の「下方」又は「下」にあるとは、第2の特徴が、第1の特徴の真下又は斜め下にあることであってよく、又は、第1の特徴の水平高さが第2の特徴のそれより小さいことを意味するに過ぎない。
【0055】
本願の一実施形態による電子デバイス200の内部構造を示す
図1における一例を参照されたい。本願における電子デバイス200は、第1の機能コンポーネント201及び第2の機能コンポーネント202を含む。第1のチップ201Aは第1の機能コンポーネント201に配設されており、第2のチップ202Bは第2の機能コンポーネント202に配設されている。
図1の例において、第1の機能コンポーネント201及び第2の機能コンポーネント202は両方とも回路基板であり、第1のチップ201A及び第2のチップ202Bはそれぞれ、回路基板に接続されている。加えて、本願におけるコネクタ100はさらに、第1の機能コンポーネント201及び第2の機能コンポーネント202の間に配設されている。本願におけるコネクタ100は第1の機能コンポーネント201及び第2の機能コンポーネント202の間に接続されており、第1のチップ201A及び第2のチップ202Bの間の信号伝送を実装するように構成されている。
【0056】
いくつかの他の実施形態において、本願で提供される電子デバイス200は、より多くの機能コンポーネントをさらに含んでよく、本願におけるコネクタ100はまた、複数の機能コンポーネントの間に配設されて、コネクタ100を使用することによって任意の2つの機能コンポーネントの間の信号伝送を実装してよい。加えて、いくつかの実施形態において、より多くのチップが第1の機能コンポーネント201にさらに配設されてよく、より多くのチップはまた、コネクタ100を使用することによって第2の機能コンポーネント202上の第2のチップ202Bとの信号伝送を実装する;又は、複数のチップが第2の機能コンポーネント202に配設され、複数のチップはまた、コネクタ100を使用することによって第1の機能コンポーネント201上の第1のチップ201Aとの信号伝送の機能を実装する。
【0057】
本願の電子デバイス200に搭載される場合、本願のコネクタ100は、電子デバイス200の様々な機能を実装するように構成されている。本願における電子デバイス200は、通信、コンピューティング、又は格納機能を有する任意のデバイス、例えば、タブレットコンピュータ、携帯電話、電子書籍リーダー、リモコン、パーソナルコンピュータ(personal computer、PC)、ノートブックコンピュータ、車載デバイス、ネットワークテレビ、スマート機器、又はウェアラブルデバイスなどのインテリジェントデバイスであり得る。
【0058】
図1の例において、コネクタ100は、第1の接続端部101、第2の接続端部102、及び、第1の接続端部101及び第2の接続端部102の間に接続されるデータ伝送セグメント103を含む。第1の接続端部101及び第1の機能コンポーネント201は固定的に接続されており、信号を伝送するために電気的に接続されている。第2の接続端部102及び第2の機能コンポーネント202は固定的に接続されており、信号を伝送するために電気的に接続されている。第1の接続端部101及び第1の機能コンポーネント201は、溶接、ばね押圧、ピンのプラグイン、又は背面コネクタ圧着などの方法で互いに固定的かつ電気的に接続されてよい。第2の接続端部102及び第2の機能コンポーネント202も、前述の方法で互いに固定的かつ電気的に接続されてよい。
図1に示される例において、データ伝送セグメント103は、フレキシブルフラットケーブル構造を使用することによって第1の接続端部101及び第2の接続端部102の間に接続される。フレキシブルフラットケーブルは、屈曲性があるという特徴を有し、第1の機能コンポーネント201及び第2の機能コンポーネント202の相対位置と一体となって適応的に屈曲してよく、それにより、本願の電子デバイス200における第1の機能コンポーネント201及び第2の機能コンポーネント202の配置が容易になる。
【0059】
本願のコネクタ100の第2の接続端部102及び第2の機能コンポーネント202の間の接続を示す
図2における一例を参照されたい。コネクタ100は、ハウジング30、複数の伝送線10、及び、第2の接続端部102における遮蔽シート20を含む。ハウジング30は絶縁材料でできており、コネクタ100における絶縁基材としても理解される。
図2の例において、ハウジング30は立方体構造であり、ハウジング30は、第2の接続端部102及び第2の機能コンポーネント202の間の固定接続を実装するために、第2の機能コンポーネント202に固定的に接続されている。いくつかの他の実施形態において、絶縁基材は、代替的に、絶縁基板33(
図13を参照されたい)などの平板構造を使用することによって実装されてよい。
【0060】
複数の伝送線10がハウジング30に固定的に接続されており、すなわち、ハウジング30は、複数の伝送線10を保持するように構成されている。複数の伝送線10は、互いに対して平行に配置されており、任意の2つの伝送線10の間には間隔が空けられている。複数の伝送線10は、同じ方向(これは図において示される第2の方向002である)に延伸する。
図3において一例として示される部分構造を参照されたい。本願の本実施形態において、単一の伝送線10の延伸経路は実際には2度屈曲する。換言すれば、各伝送線10の延伸経路上に屈曲部分13が形成される。複数の伝送線10の平行延伸プロセスにおいて、複数の伝送線10の屈曲部分13の距離、屈曲半径、及び屈曲角度などは同じであり、屈曲の後、伝送線10は依然として互いに平行であり、同じ方向で横並びに延伸する。したがって、伝送線10が屈曲するかどうか、すなわち、伝送線10が屈曲部分13を有するかどうかは、本願で定義される、複数の伝送線10が同じ方向に延伸するという制限に影響を及ぼさない。換言すれば、伝送線10の延伸経路上の任意の位置で、複数の伝送線10は、同じ方向に延伸する姿勢にある。
【0061】
なおも
図3を参照すると、伝送線10は、本願のコネクタ100における信号伝送を実装するための構造として使用される。第2の機能コンポーネント202に接続されている場合、伝送線10はそれぞれ、第2の機能コンポーネント202の接触点2021に電気的に接続されている。
図3の例において、各接触点2021は、ランド構造として構築され、伝送線10はそれぞれ、溶接により接触点2021に接続されている。別の実施形態において、接触点2021及び伝送線10は、別の方法で互いに電気的に接続されてよいことが理解され得る。伝送線10の他方の端部は、コネクタ100のデータ伝送セグメント103に電気的に接続されている。第2の接続端部102は、複数の伝送線10を介して、データ伝送セグメント103における電気信号を第2の機能コンポーネント202に転送する。
【0062】
本願のコネクタ100における第2の接続端部102の構造を示す
図4における一例、及び第2の接続端部102の構造の分解図を示す
図5における一例を参照されたい。本願の複数の伝送線10は、少なくとも1つの接地ピン11及び複数の信号ピン12をさらに含む。信号ピン12は、データ信号を伝送するように構成されており、接地ピン11は、信号ピン12においてデータ信号を伝送するために必要とされる基底電位を提供する。接地ピン11を介して伝送されたデータ及び信号ピン12を介して伝送されたデータを別々に受信した後、第2の機能コンポーネント202は、信号ピン12における電気信号を、接地ピン11における基底電位と比較して、第1の機能コンポーネント201によって伝送された電気信号データを取得してよい。代替的には、第1の機能コンポーネント201にデータを伝送するとき、第2の機能コンポーネント202は、基底電位を接地ピン11に、及びデータ信号を信号ピン12に同時に印加する。接地ピン11におけるデータ及び信号ピン12におけるデータを同時に受信した後、第1の機能コンポーネント201は、同様の方法で、第2の機能コンポーネント202により伝送された電気信号データを取得してよい。接地ピン11を配設することで、周辺信号により引き起こされるクロストーク問題を遮蔽することができ、そのため、コネクタ100において伝送された信号は、より高い質及びより高い整合性を有する。
【0063】
本願の遮蔽シート20は、主に、伝送線10の周辺環境における信号により形成され得る信号クロストークを遮蔽するように構成されている。具体的には、
図6を参照すると、遮蔽シート20は、本体部23、第1の支持脚21、及び第2の支持脚22を含む。本体部23は、おおよそ長いストリップの形状であり、対向する第1の側縁部231及び第2の側縁部232を有する。第1の支持脚21及び第2の支持脚22はそれぞれ、本体部23の両側に配設されている。第1の支持脚21は、第1の側縁部231により近い側に位置づけられており、第1の支持脚21は、第1の側縁部231から、本体部23を離れる方向に延伸する。この場合、第1の支持脚21は本体部23に接続されている。第2の支持脚22は、第2の側縁部232により近い側に位置づけられており、第2の支持脚22は、第2の側縁部232から、本体部23を離れる方向に延伸する。この場合、第2の支持脚22も本体部23に接続されている。
【0064】
本体部23は、伝送線10から離隔しており、また、ハウジング30に固定されている。本体部23はさらに、第1の方向001に沿って複数の伝送線10に広がる。具体的には、本体部23は、第1の端部233及び第2の端部234をさらに含む。第1の端部233及び第2の端部234はそれぞれ、本体部23の長さ方向(すなわち、第1の方向001)に沿って本体部23の対向する両側に位置づけられている。複数の伝送線10が横並びに配設されている方向において、第1の端部233は、複数の伝送線10の一方の側に位置づけられており、第2の端部234は、複数の伝送線10の他方の側に位置づけられている。このようにして、本体部10は、伝送線10にまたがって配設され得る。
【0065】
図4及び
図5を参照すると、ハウジング30には、第1のクランプスロット31及び第2のクランプスロット32が設けられており、第1の端部233及び第2の端部234にはそれぞれ、第1のクランプ脚2331及び第2のクランプ脚2341が設けられている。第1のクランプスロット31は、第1のクランプ脚2331に対応して配設されており、第1のクランプ脚2331を収容及び固定するように構成されている。第2のクランプスロット32は、第2のクランプ脚2341に対応して配設されており、第2のクランプ脚2341を収容及び固定するように構成されている。このようにして、遮蔽シート20は、ハウジング30に固定され、伝送線10に広がる。第1のクランプ脚2331及び第2のクランプ脚2341の構造は、一例として提供されているに過ぎないことに留意されたい。本体部23及びハウジング30の間の具体的な接続方法は、本願のコネクタ100において限定されない。いくつかの他の実施形態において、代替的に、本体部23は、ボルト締結又は一体射出成形などの任意の方法でハウジング30に固定的に接続されてよい。
【0066】
図5の例を参照すると、図に示される一実施形態において、本体部23は、複数の伝送線10の屈曲部分13に対応して固定されている。したがって、本体部23の形状も、伝送線10の角度変化と共に屈曲する。したがって、第1の側縁部231及び第2の側縁部232はそれぞれ、本体部23の側壁上で異なる方向に形成される。この場合、第1の側縁部231及び第2の側縁部232が互いに対向して配設されることは、2つの側縁部が本体部23と共に屈曲及び変形することと理解されてもよいし、第1の側縁部231及び第2の側縁部232が、伝送線10の屈曲経路に沿って互いに対向して配設されることと理解されてもよい。いくつかの他の実施形態において、伝送線10が平面構造である場合(
図13を参照のこと)、本体部23は屈曲又は変形する必要がないことが理解され得る。この場合、第1の側縁部231及び第2の側縁部232は、同じ方向で互いに対向して配設される。
【0067】
第1の側縁部231から、第1の支持脚21は本体部23から離れる方に延伸する。第1の支持脚21上で、本体部23から離れる方に面する位置に第1の伝導端部211が存在する。第1の支持脚21は、複数の伝送線10における1つの接地ピン11に向かって延伸し、接地ピン11に電気的に接続されている。第1の支持脚21は、溶接又は押圧などの方法で接地ピン11に電気的に接続されてよい。詳細については、
図7における一例を参照されたい。第1の支持脚21及び接地ピン11は、少なくとも1つの第1の通電点111を形成する。第1の通電点111は、第1の側縁部231の、第2の側縁部232から離れる方に面する側にさらに位置づけられている。
【0068】
第2の側縁部232から、第2の支持脚22は本体部23から離れる方に延伸する。また、第2の支持脚22上で、本体部23から離れる方に面する位置に第2の伝導端部221が存在する。第2の支持脚22も、1つの接地ピン11に向かって延伸し、接地ピン11に電気的に接続されている。第2の支持脚22も、溶接又は押圧などの方法で接地ピン11に電気的に接続されてよい。具体的には、第2の支持脚22及び接地ピン11は、少なくとも1つの第2の通電点112を形成する。第2の通電点112は、第1の側縁部231の、第2の側縁部232から離れる方に面する側にさらに位置づけられている。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1の支持脚21の数は、第2の支持脚22の数と同じである。加えて、各第2の支持脚12は、1つの第1の支持脚11の位置に対応して配設されており、すなわち、位置が互いに対応する第1の支持脚21及び第2の支持脚22は、本体部23に対して対称的に配設されている。加えて、第1の支持脚21の数も、複数の伝送線10における接地ピン11の数と同じである。位置が互いに対応する第1の支持脚21及び第2の支持脚22は、同じ接地ピン11に電気的に接続されている。いくつか他の実施形態において、第1の支持脚21、第2の支持脚22、及び接地ピン11の数は代替的には異なり得ることが理解され得る。複数の接地ピン11のそれぞれが、第1の支持脚21及び第2の支持脚22を使用することによって接続されており、本体部の対向する両側に接続された電気経路が形成されているとすると、本願のコネクタ100の解決手段の効果も実装することができる。
【0070】
遮蔽シート20は導電性である。第1の支持脚21、第2の支持脚22、及び本体部23は全て、電気を伝導することができる。第1の支持脚21が、第1の支持脚21に対応する接地ピン11に電気的に接続されており、第2の支持脚22も同じ接地ピン11に電気的に接続されているため、2つの平行な電流流路が第1の通電点111及び第2の通電点112の間に形成される。第1の電流流路L1は、接地ピン11の延伸方向に形成された流路である。第2の電流流路L2は、第1の通電点111から開始し、第1の支持脚21、本体部23、及び第2の支持脚22を連続して通過し、第2の通電点112に到達し、次いで、接地ピン11に戻る。
【0071】
遮蔽シート20は、伝送線10において伝送された信号に対して外部環境によって引き起こされ得るクロストークを絶縁するように構成されている。2つ以上の接地ピン11が存在する場合、2つ以上の第1の支持脚21及び2つ以上の第2の支持脚22も存在し、各接地ピン11は、1つの第1の支持脚21及び1つの第2の支持脚22に電気的に接続されることが理解され得る。本体部23も導電性であり、かつ、各第1の支持脚21及び各第2の支持脚22が本体部23にさらに接続されているため、伝送線10の全てに広がる本体部23は、各接地ピン11を電気的に接続し、そのため、各接地ピン11における基底電位も同じレベルにとどまり、伝送線10において伝送された信号に対して外部環境により引き起こされ得るクロストークが有効に絶縁される。
【0072】
図8は、従来技術のコネクタにおける遮蔽構造の一例を示す。従来技術のコネクタにおいて、平行に延伸する複数の既存の伝送線10a、及び、遮蔽機能を実装するように構成された既存の遮蔽シート20aも配設される。
図8において、2つの既存の遮蔽シート20aが存在する。既存の伝送線10aにおいて、複数の既存の接地ピン11aも存在する。既存の遮蔽シート20aは、既存の本体部23aの一方の側のみから複数の既存の支持脚21aを延伸させ、各既存の支持脚21aは、1つの既存の接地ピン11aに電気的に接続されている。従来技術の遮蔽シート20aは、開回路構造を形成する。既存の接地ピン11aにおける電気信号が既存の支持脚21aに伝導されると、既存の遮蔽シート20aの他方の側には既存の支持脚21aの構造がないため、電流は、既存の支持脚21aを介して既存の本体部23aに伝導され、既存の接地ピン11aの延伸経路に沿って伝送され続けるために、電流は、同じ既存の支持脚21aを介して既存の接地ピン11aに戻る必要がある。したがって、複数の既存の接地ピン11aの間の電位バランスを実装しながら、既存の遮蔽シート20aは、電気信号電流基準帰還を防止せず、その結果、従来技術のコネクタの低域信号がクロストーク共振を形成する。
【0073】
図9は、従来技術のコネクタのクロストーク共振シミュレーション図の一例を示す。
図9において、垂直座標はクロストーク共振の振幅であり、水平座標は電気信号の周波数である。
図9のシミュレーション結果から、従来技術では、クロストーク共振の振幅が比較的大きい周波数帯域は、およそ8.5Hzの周波数帯域であることが分かる。この周波数帯域は、電流高速信号伝送(28Gb/s)の範囲内である。従来技術のコネクタが信号を伝送するとき、コネクタの信号伝送速度が周波数帯域に近いため、比較的大きいクロストーク共振が形成され得る。その結果、従来技術のコネクタにおいて伝送された信号の整合性が損なわれ、高速信号伝送品質が低くなる。
【0074】
対照的に、本願のコネクタ100では、本体部23の両側にそれぞれ位置づけられた第1の支持脚21及び第2の支持脚22が配設されており、そのため、遮蔽シート20は、接地ピン11に対して、本体部23を通過する電気経路を形成することができ、第1の支持脚21を介して本体部23に伝送される電流は、第2の支持脚22を介して接地ピン11へと戻り、接地ピン11の延伸方向に沿って伝送され続けることができる。本願のコネクタ100のクロストーク共振シミュレーション図を示す
図10における一例を参照されたい。本願のコネクタ100が前述の解決手段に基づいて構成された後、本願のコネクタ100の、クロストーク共振の振幅が比較的大きい周波数帯域(実線の四角のエリア)がおよそ16Hzの周波数帯域である。この周波数帯域は、電流高速信号伝送(28Gb/s)の範囲外である。したがって、本願のコネクタ100の作業プロセスにおいて、コネクタ100は、過度に大きいクロストーク共振により影響を受けない。すなわち、本願のコネクタ100は、信号電流基準帰還現象を有効に防止することができ、それにより、コネクタ100の信号伝送の整合性が改善される。
【0075】
本願の電子デバイス200には本願のコネクタ100が設けられているため、比較的大きい低周波数クロストーク共振の影響が、本願の電子デバイス200における第1の機能コンポーネント201及び第2の機能コンポーネント202の間の高速信号伝送のプロセスにおいて形成されないことが理解され得る。本願の電子デバイス200のより高い信号伝送速度を確保することに加えて、本願の電子デバイス200における信号伝送の整合性及び信頼性も確保される。
【0076】
一実施形態において、第1の支持脚21及び第2の支持脚22は、伝送線10の延伸方向に対して平行に配設されている。具体的には、第1の支持脚21は、伝送線10の延伸方向に対して平行に配設されており、第1の支持脚21も、第1の支持脚21に電気的に接続された接地ピン11に対して平行である。このようにして、第1の支持脚21の第1の伝導端部211から本体部23までの延伸距離が短縮され、すなわち、第1の支持脚21の長さが低減される。第1の支持脚21が過度に長い場合、遮蔽シート20は、接地ピン11に対して比較的大きいインダクタンス効果を形成する。したがって、第1の支持脚21の長さを低減することにより、対応して、遮蔽シート20及び伝送線10の間のインダクタンス効果を低減することができる。
【0077】
これに応じて、第2の支持脚22も、伝送線10の延伸方向に対して平行に配設されており、そのため、第2の支持脚22の第2の伝導端部221から本体部23までの延伸距離も対応して短縮され、第2の支持脚22の長さも低減される。これによっても、伝送線10に対して遮蔽シート20により形成されるインダクタンス効果を低減することができる。
【0078】
一実施形態において、本体部23の長さ方向は、伝送線10の延伸方向に対して垂直に設定される。複数の伝送線が互いに平行であり、間隔を空けて配置されているため、本体部23が複数の伝送線に広がる場合、本体部23の長さ方向が伝送線10の延伸方向に対して垂直であることにより、本体部23の長さを最小化することができる。このようにして、本体部23の全体的な堆積及び抵抗値が低減される。これも、本願の複数の伝送線10に対して遮蔽シート20により形成されるインダクタンス効果に役立つ。
【0079】
複数の伝送線10の配置を示す
図11における一例を参照されたい。上述のように、伝送線10は、接地ピン11及び信号ピン12をさらに含む。接地ピン11は、伝送において信号ピン12と協働し、信号ピン12を介して伝送された電気信号の品質を確保するために基底電位を提供するように構成されている。
図11に示される接地ピン11は、2つの側部接地ピン113をさらに含む。伝送線10における信号ピン12は全て、2つの側部接地ピン113の間に配置されている。一方の側部接地ピン113が複数の信号ピン12の平行配置方向の一方の側の縁部に位置づけられ、他方の側部接地ピン113が、複数の信号ピン12の平行配置方向の他方の側の縁部に位置づけられる。複数の信号ピン12の両側の最も外側の縁部に位置づけられた2つの側部接地ピン113は、それぞれの側での信号クロストークを有効に遮蔽することができ、それにより、2つの側部接地ピン113の間に位置づけられた信号ピン12の電気信号伝送が確保される。
【0080】
一実施形態において、接地ピン11は、複数の中間接地ピン114をさらに含む。中間接地ピン114は、複数の信号ピン12の中に間隔を空けて配設され、任意の2つの隣接する接地ピン11の間に少なくとも1つの信号ピン12が配設される。中間接地ピン114は、信号ピン12のためにより信頼性の高い遮蔽効果を提供し、隣接する信号ピン12の間の信号クロストーク現象を防止することができる。
【0081】
加えて、接地ピン11は、側部接地ピン113及び中間接地ピン114を含み、したがって、少なくとも1つの信号ピン12が任意の2つの隣接する接地ピン11の間に配設されることは、任意の2つの隣接する中間接地ピン114の間、及び、側部接地ピン113及び側部接地ピン113に隣接する中間接地ピン114の間に、少なくとも1つの信号ピン12が配設されることを意味する。任意の2つの隣接する接地ピン11は、対向する両側から少なくとも1つの信号ピン12に対して遮蔽効果を形成することができ、それにより、伝送線10における各信号ピン12の信号伝送品質が確保される。
【0082】
一実施形態において、任意の2つの隣接する接地ピン11の間の信号ピン12の数は同じである。換言すれば、接地ピン11は、複数の伝送線10において間隔を空けて均等に配置されている。このようにして、各接地ピン11が対応して信号クロストークを遮蔽する信号ピン12の数も同じになり、それにより、各信号ピン12を介して伝送される信号の品質が同じであることが確保される。
【0083】
図11に示される伝送線10の配置方式では、2つの隣接する接地ピン11の間に1つの信号ピン12が存在する。この場合、信号ピン12に対する遮蔽保護を実行するために、一対の接地ピン11が各信号ピン12の両側に配設され、そのため、各信号ピン12の信号伝送品質を確保することができる。
図12に示される伝送線10の配置方式では、2つの隣接する接地ピン11の間に2つの信号ピン12が存在する。2つの信号ピン12は協働して、差動信号伝送方式を実装し得る。2つの信号ピン12の間の距離は比較的短いため、信号クロストークの影響下での2つの信号ピン12の信号オフセットは同じであることが多い。したがって、差動信号伝送方式を使用することにより、本願のコネクタ100の干渉防止能力をさらに改善することができる。
【0084】
上述のように、伝送線10は、代替的には、信号を伝送するために、平面上に、例えば、プリント回路基板の絶縁基板33上に置かれてもよい。
図13は、本願のコネクタ100における絶縁基板33上に置かれた伝送線10の断面図の一例である。この場合、伝送線10は接地ピン11であり、本体部23は、接地ピン11から離隔されており、接地ピン11の、絶縁基板33から離れた方に面する側に固定されている。複数の第1の結合部分212は、第1の支持脚21の第1の伝導端部211上に配設されている。複数の第1の結合部分212は、接地ピン11の延伸方向に沿って間隔を空けて配置されており、複数の第1の結合部分212が、互いに対して並列で接続している。第1の結合部分212は、本体部23の一方の側から接地ピン11に向かって屈曲し、接地ピン11に接触しており、それと接続されている。換言すれば、各第1の結合部分212及び接地ピン11の間に1つの第1の通電点111が形成される。複数の第1の通電点111が、接地ピン11の延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている。第1の結合部分212及び接地ピン11は、溶接によって、又は弾性押圧によって互いに接続されてよい。複数の第1の通電点111を配設することにより、第1の支持脚21及び接地ピン11の間の電気伝導の信頼性が改善され、接地ピン11における電気信号のためのシャント機能が形成される。1つ又は複数の第1の結合部分212と接地ピン11との接触が乏しい場合、接地ピン11における電気信号は依然として、残りの第1の結合部分212を介して第1の支持脚21と電気的に伝導することができる。
【0085】
これに応じて、複数の第2の結合部分222も、第2の支持脚22の第2の伝導端部221上に配設され、複数の第2の結合部分222も、接地ピン11の延伸方向に沿って間隔を空けて配置され、複数の第2の結合部分222も、互いに並列して接続されている。第2の結合部分222も、本体部23の一方の側から接地ピン11に向かって屈曲し、接地ピン11に接触しており、それと接続されている。換言すれば、各第2の結合部分222及び接地ピン11の間に1つの第2の通電点112が形成される。複数の第2の通電点112が、接地ピン11の延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている。第2の結合部分222及び接地ピン11も、溶接によって、又は弾性押圧によって互いに接続されてよい。複数の第2の通電点112を配設することにより、第2の支持脚22及び接地ピン11の間の電気伝導の信頼性も改善され、接地ピン11における電気信号のためのシャント機能が形成される。
【0086】
複数の第1の通電点111及び複数の第2の通電点112の実装形態も、前述の実施形態における遮蔽シート20及び接地ピン11の間の伝導の信頼性を改善するために、
図2から
図12に示されるコネクタ100の様々な実施形態に適用されてよいことに留意されたい。
図13は、複数の第1の通電点111及び複数の第2の通電点112の実装形態の一例として使用されているに過ぎない。加えて、第1の通電点111及び第2の通電点112の数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。これは、本願のコネクタ100において特に限定されない。
【0087】
図14の一例において、遮蔽シート20はさらに、絶縁基板33に埋め込まれており、すなわち、遮蔽シート20及び絶縁基板33は、接地ピン11の同じ側に位置づけられている。複数の第1の通電点111及び複数の第2の通電点112も、遮蔽シート20及び接地ピン11の間に形成される。
図14に示される構造において、遮蔽シート20及び接地ピン11が絶縁基板33に対して固定されているため、遮蔽シート20及び接地ピン11の相対位置をさらに確保することができる。
【0088】
図14の例において、コネクタ100にはさらに、遮蔽カバー40が設けられている。遮蔽カバー40は、伝送線10の、絶縁基板33から離れる方に面する側に位置づけられており、これも、伝送線10の遮蔽保護を実装するように構成されている。遮蔽カバー40は、金属製の遮蔽カバーであり、コネクタ100内に固定的に配設されており、本願の遮蔽シート20と協働して伝送線10の遮蔽保護を実行し、信号クロストークを防止するために、各伝送線10から離隔されている。すなわち、伝送線10に対する本願のコネクタ100の遮蔽手段は、遮蔽シート20に限定されるものではなく、遮蔽効果を実現し得る別の遮蔽手段も、伝送線10の遮蔽保護を向上させるために本願のコネクタ100に適用されてよい。
【0089】
一実施形態について、
図15を参照されたい。遮蔽シート20は、第3の支持脚24をさらに含む。第3の支持脚24は、第1の支持脚21及び第2の支持脚22の間に位置づけられており、これも本体部23に接続されている。第3の支持脚24も、本体部23から接地ピン11に向かって延伸し、接地ピン11と電気的に接続されている。第3の支持脚24が配設されていることで、本体部23及び接地ピン11の間に電流経路が追加される。第1の支持脚21から本体部23へと流れる電流はさらに、第3の支持脚24を介して接地ピン11へと戻るように流れてよい。代替的には、電流は、第3の支持脚24から本体部23へと流れ、第2の支持脚22を通じて接地ピン11へと戻るように流れてよい。前述の2つの場合では、接地ピン11及び遮蔽シート20の間の電気信号電流基準帰還距離がさらに短縮され、すなわち、第1の通電点111及び第2の通電点112の間の電気経路の長さが低減され、そのため、伝送線10に対して遮蔽シート20により引き起こされ得るインダクタンス効果をさらに低減することができる。
【0090】
一実施形態について、
図16を参照されたい。本願のコネクタ100には、代替的には、複数の遮蔽シート20が設けられてよい。複数の遮蔽シート20は、接地ピン11(すなわち、伝送線10)の延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている。各遮蔽シート20には、複数の第1の支持脚21及び第2の支持脚22が設けられ、第1の支持脚21及び第2の支持脚22も、接地ピン11に電気的に接続されている。本実施形態において、複数の遮蔽シート20が配設されることで、接地ピン11の延伸方向においてより大きいエリアの遮蔽保護効果を形成することができる。加えて、単一の遮蔽シート20の長さはより小さく設定されてよく、これは、伝送線10に対して単一の遮蔽シート20により引き起こされ得るインダクタンス効果の低減に役立つ。
【0091】
さらに、複数の遮蔽シート20の本体部23は、互いに電気的に接続されてよい。
図16の一例において、導線25を使用することによって2つの遮蔽シート20の本体部23が互いに接続されている。したがって、2つの遮蔽シート20のそれぞれの第1の支持脚21及び第2の支持脚22の間により多くの電気経路が形成され、そのため、信号電流基準帰還現象の発生をさらに防止することができ、それにより、低域信号のクロストーク共振が回避される。本実施形態において、導線25の数も、接地ピン11の数と同じであり、各導線25も、接地ピン11の延伸方向に対して平行に配設され、各導線25の位置は、対応する接地ピン11と、複数の伝送線10が横並びに配置されている方向において位置合わせされることが理解され得る。
【0092】
上述の説明は本願の特定の実施形態に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願において開示する技術的範囲内で当業者が容易に考え出す変形又は置換、例えば、機械部品の縮小又は追加、及び機械部品の形状の変更はいずれも、本願の保護範囲に含まれるものとする。矛盾が生じない場合、本願の実施形態及び実施形態における特徴は相互に組み合わされてよい。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
[他の可能な項目]
[項目1]
複数の伝送線及び少なくとも1つの遮蔽シートを備えるコネクタであって、前記複数の伝送線が、第1の方向において間隔を空けて配置されており、各伝送線の延伸方向は前記第1の方向と交差し、前記複数の伝送線が少なくとも1つの接地ケーブルを有し;
前記遮蔽シートが導電性であり、前記遮蔽シートが、本体部、少なくとも1つの第1の支持脚、及び少なくとも1つの第2の支持脚を有し、前記本体部が、前記第1の方向に沿って延伸し、前記複数の伝送線の一方の側から前記複数の伝送線の他方の側まで前記複数の伝送線に広がり、前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚がそれぞれ、前記本体部の両側に配設されており、前記第1の支持脚が前記接地ケーブルに固定されており、前記第2の支持脚も前記接地ケーブルに固定されており、前記本体部が、前記複数の伝送線から離隔されている
コネクタ。
[項目2]
前記第1の支持脚の数、前記第2の支持脚の数、及び前記接地ケーブルの数が同じであり、各接地ケーブルが、1つの第1の支持脚及び1つの第2の支持脚に電気的に接続されている、項目1に記載のコネクタ。
[項目3]
前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚のそれぞれが、前記伝送線の前記延伸方向に対して平行に配設されている、項目1に記載のコネクタ。
[項目4]
前記複数の伝送線が全て、第2の方向に沿って延伸し、前記第2の方向が前記第1の方向に対して垂直である、項目1から3のいずれか一項に記載のコネクタ。
[項目5]
前記複数の伝送線が、複数の信号ケーブルをさらに有し、前記少なくとも1つの接地ケーブルが2つの側部接地ケーブルを有し、前記2つの側部接地ケーブルが間隔を空けて配置されており、前記信号ケーブルの全てが、前記2つの側部接地ケーブルの間に配置されている、項目1に記載のコネクタ。
[項目6]
前記少なくとも1つの接地ケーブルが、複数の中間接地ケーブルをさらに有し、前記中間接地ケーブルが、前記複数の信号ケーブルにおいて間隔を空けて配置されており、任意の2つの隣接する接地ケーブルの間に少なくとも1つの信号ケーブルが配設されている、項目5に記載のコネクタ。
[項目7]
任意の2つの隣接する接地ケーブルの間の信号ケーブルの数は同じである、項目6に記載のコネクタ。
[項目8]
任意の2つの隣接する接地ケーブルの間に1つ又は2つの信号ケーブルが存在する、項目7に記載のコネクタ。
[項目9]
前記第1の支持脚及び前記接地ケーブルの間に複数の第1の通電点が形成されており、前記複数の第1の通電点が、前記接地ケーブルの延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている;及び/又は
前記第2の支持脚及び前記接地ケーブルの間に複数の第2の通電点が形成されており、前記複数の第2の通電点が、前記接地ケーブルの前記延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている
項目1に記載のコネクタ。
[項目10]
複数の遮蔽シートが存在し、前記複数の遮蔽シートが、前記伝送線の前記延伸方向に沿って間隔を空けて配置されている、項目1に記載のコネクタ。
[項目11]
前記複数の遮蔽シートの本体部が互いに電気的に接続されている、項目10に記載のコネクタ。
[項目12]
前記遮蔽シートが、第3の支持脚をさらに有し、前記第3の支持脚が、前記第1の支持脚及び前記第2の支持脚の間に位置づけられ、前記本体部にも接続されており、前記第3の支持脚も前記接地ケーブルに電気的に接続されている、項目1に記載のコネクタ。
[項目13]
前記コネクタが絶縁基体を有しており、前記複数の伝送線、及び前記遮蔽シートの前記本体部が別々に前記絶縁基体に固定的に接続されており、そのため、前記本体部及び前記複数の伝送線が間隔を空けて固定されている、項目1に記載のコネクタ。
[項目14]
2つの機能コンポーネント、及び前記2つの機能コンポーネントの間に接続される、項目1から13のいずれか一項に記載のコネクタを備える、電子デバイス。
【国際調査報告】