(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】マラリアを治療するための化合物および方法
(51)【国際特許分類】
C07D 409/14 20060101AFI20240126BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240126BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20240126BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20240126BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20240126BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240126BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240126BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
C07D409/14 CSP
C07D413/14
C07D417/14
A61K31/501
A61P33/06
A61K45/00
A61K31/496
A61K31/506
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544216
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022013223
(87)【国際公開番号】W WO2022159649
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512007155
【氏名又は名称】マイクロバイオティックス, インク.
【氏名又は名称原語表記】MICROBIOTIX, INC.
【住所又は居所原語表記】One Innovation Drive,Worcester, MA 01605 (US).
(71)【出願人】
【識別番号】508285606
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
【氏名又は名称原語表記】The United States of America,as represented by the Secretary,Department of Health and Human Services
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイジャラクチ,サマンシー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ソン,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ディン,シャオユエン
(72)【発明者】
【氏名】アディカリ,シャーミラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ジョン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ピート,ノートン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アーロン,ザッカリー,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,サンジェイ,エー.
(72)【発明者】
【氏名】バトラー,ミシェル,エム.
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB07
4C063CC92
4C063DD12
4C063DD28
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB382
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086BC69
4C086BC70
4C086BC80
4C086BC82
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB38
(57)【要約】
本発明は、マラリアを治療および/または予防するための新規化合物および方法の開発に関する。これらの化合物は、マラリア原虫による宿主細胞の表面上のプラスモジウム表面アニオンチャネル(PSAC)の形成を防ぐ。本明細書に記載の化合物および方法は、マラリアの原因物質として知られている多種多様なプラスモジウム株による感染に対して有効である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
式中、
Aは、単結合または二重結合のいずれかを介して結合したC、S、OまたはNから独立して選択され、1~4個の炭素原子、0~3個の窒素原子、0~1個の酸素原子および0~1個の硫黄原子の5員ヘテロ芳香族環を形成し、
R
3は、1から12個の炭素を有するアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルまたはチオールから独立して選択される一価の置換基であり、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールまたはチオカルボニルである場合、該置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルまたはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、
nは0~3の整数であり、
mは0~3の整数であり、
Yは、-COCH
2-、-SO
2-、-CO-、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-NHCO-、-NCH
3CO-、-CONH-、-CONCH
3-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH-、または-O-を含む基から選択されるAとR
1とを架橋する二価の基であり、
R
1は、0~2個の窒素原子、0~1個の酸素原子および3~6個の炭素原子を含有する5~7員の二価の非芳香族複素環であり、ただし、YおよびR
2は少なくとも3個の原子によって分離されており、この非芳香族複素環は、R
3について定義される0~3個の置換基を有していてもよく、ただし、R
1上の2つ以上のそのような置換基がR
1と縮合して1つ以上のシクロアルキル環、複素環、芳香族環もしくはヘテロ芳香族環を形成してもよく、または、R
1は、場合により0~2個の置換基を組み込んでR
2と縮合して、R
3について定義される0~2個の置換基で場合により置換されている3~7員の縮合複素環を形成してもよく、
R
2は、R
3について定義される置換基から独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であるか、またはR
2上の置換基は、場合によりR
2に縮合して、1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリール環もしくはヘテロアリール環を形成してもよく、または0~2個のR
2置換基は、R
1と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換ヘテロシクリル環を形成してもよい。
【請求項2】
式I(a)の構造を有する請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化2】
式中、
Gは、CまたはNから選択され、(R
6)
qで場合により置換されている複素環の一部であり、qは0~4の整数であり、
R
6は、R
3について定義される通りであり、ただし、Gを含有する複素環上のR
6置換基は、場合により互いにもしくはGを含有する環の炭素原子に縮合して1つ以上のシクロアルキル、複素環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてもよく、またはGを含有する複素環上の0~2個の置換基は、R
2と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換シクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成していてもよく、
R
2は、R
3について定義される置換基から独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であるか、またはR
2上の置換基は、場合によりR
2に縮合して、3~8員の1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール環を形成してもよい。
【請求項3】
式I(b)の構造を有する請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化3】
式中、
Aは、O、SまたはNから独立して選択され、
nは、AがOまたはSである場合、0~2の整数であり、
nは、AがNである場合、0~3の整数である。
【請求項4】
以下からなる基から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化4】
【請求項5】
哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防する方法であって、有効量の請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項6】
前記哺乳動物がヒトである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第2の抗マラリア薬を投与することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、投与するために薬学的に許容される担体または賦形剤中に製剤化される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防するための、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
前記哺乳動物対象がヒトである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
哺乳動物対象のマラリアを治療または予防するための医薬品の製造における請求項1~4に記載の化合物の使用。
【請求項12】
前記哺乳動物対象がヒトである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防するための医薬組成物:
Q-Y-R
1-R
2
(II)
式中、
Qは、6-ピリダジン-3-(2H)-オン、5-ピリジン-2(1H)-オン、置換カルボキサミド、または置換カルボキシレート部分に隣接していない部位で環に結合した基Yを有する5員のヘテロアリール環であり、Qは、場合により、ヘテロアリール環、6-ピリダジン-3-(2H)-オン部分のいずれか、または両方で、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、またはチオールから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、およびチオカルボニルである場合、各置換基は、場合により、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテル、およびチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、
Yは、-COCH
2-、-CH
2CO-、-SO
2-、-CO-、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-NHCO-、-NCH
3CO-、-CONH-、-CONCH
3-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH-、および-O-を含む基から選択されるQとR
1とを架橋する二価の基であり、
R
1は、0~2個の窒素原子、0~1個の酸素原子および3~6個の炭素原子を含有する5~7員の二価の非芳香族複素環であり、ただし、YとR
2とは少なくとも3個の原子によって分離されており、非芳香族複素環は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルもしくはチオールから選択される0~3個の置換基を有していてもよく、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールもしくはチオカルボニルである場合、各置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、ただし、R
1上の2つ以上のこのような置換基がR
1と縮合して1つ以上のシクロアルキルもしくは複素環を形成してもよく、またはあるいは、R
1は、R
2と縮合して、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個の置換基で場合により置換されている3~7員の縮合シクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成してもよく、
R
2は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルもしくはチオールから独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であり、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールもしくはチオカルボニルである場合、該置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、または
R
2上の置換基は、場合によりR
2に縮合して、1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリール環もしくはヘテロアリール環を形成してもよく、または0~2個のR
2置換基は、R
1と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換のシクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成してもよい)
【請求項14】
前記化合物が以下からなる基から選択される、請求項13に記載の組成物。
【化5】
【請求項15】
哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防する方法であって、有効量の請求項13または請求項14に記載の組成物を該対象に投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記哺乳動物対象がヒトである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第2の抗マラリア薬を投与することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、薬学的に許容される担体または賦形剤を使用して製剤化される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
哺乳動物対象におけるマラリア感染を治療または予防するための、請求項13または請求項14に記載の組成物の使用。
【請求項20】
前記哺乳動物対象がヒトである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
哺乳動物対象におけるマラリア感染を治療または予防するための医薬品の製造における、請求項13または請求項14に記載の組成物の使用。
【請求項22】
前記哺乳動物対象がヒトである、請求項21に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府の資金提供を受けた研究に関する記述
本発明は、NIHグラントR44 AI100339の下で政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、マラリアの治療および予防に有効な新規クラスのピリダジノン化合物の発見に関する。本発明の化合物は、マラリア原虫が宿主細胞と共にプラスモジウム表面アニオンチャネル(PSAC)を形成する能力を阻害するか、そうでなければ妨げることができる。したがって、本明細書に記載される化合物は、多数のプラスモジウム(Plasmodium)種によって引き起こされるマラリアを治療または予防することができる。
【背景技術】
【0003】
マラリアは依然として世界で最も深刻な健康上の課題の1つであり、毎年数億人の生命において死と感染が測定され続けている数少ない疾患の1つである(非特許文献1)。2016年には、2億1600万例のマラリア症例があり、445,000例が死亡した。これらのうち、おおよそ2/3(290,000人)が5歳未満の小児であり、これらの死亡の大部分はサハラ以南のアフリカで発生している(非特許文献2)。マラリアは、寄生原虫プラスモジウム属によって引き起こされ、2つの主要な種である熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)および三日熱マラリア原虫(P.vivax)は、事実上全世界のマラリア負荷を占めている。マラリアは、感染した雌のハマダラカ(Anopheles)の咬傷を介してヒトに伝播する。体内では、プラスモジウム属寄生虫は肝臓および血流で増殖した後、感染したヒトが噛まれたときに媒介蚊に再び伝播する(非特許文献3)。この疾患は熱性疾患として現れ、症状は最初の咬傷の10~15日後に始まる。症状としては、高熱、悪寒、腹痛、頭痛、悪心および嘔吐が挙げられる。急性期は4~6時間続き、1~3日毎にサイクルする(非特許文献3)。感染症の予防および治療は、罹患率および死亡率を低下させるための唯一の選択肢である。
【0004】
プラスモジウム種のライフサイクルは、いくつかの段階を繰り返す。最初に、媒介蚊は、スポロゾイト段階のプラスモジウム属寄生虫を、吸血の間に宿主(ヒト)に伝播する。その後すぐに(60分以内に)、スポロゾイトは肝細胞に侵入し、そこで複製してメロゾイトとして分裂する。感染した肝細胞が破裂し、メロゾイトを血流中に放出し、そこで赤血球に侵入し、疾患の症候段階である無性生殖段階を開始する。症状は、最初の赤血球侵入の4~8日後に発症し、36~72時間(赤血球侵入から溶血まで)続く。
【0005】
三日熱マラリア原虫および卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)はまた、肝臓における休眠状態、すなわちヒプノゾイトとなることができる。赤血球から放出されたメロゾイトは、他の赤血球に侵入し、複製し続けるか、または場合によっては、雄性または雌性の配偶子母細胞に分化することができる。配偶子母細胞は皮膚毛細血管中で濃縮され、次いで別の吸血中に媒介蚊によって取り込まれる。蚊の腸において、各雄性配偶子母細胞は、3回の有糸分裂後に8個の雄性生殖体を産生し、雌性配偶子母細胞は成熟して雌性生殖体になる。雄性生殖体は、鞭毛を有する運動性形態であり、雌性生殖体を求める。雄性および雌性の配偶子母細胞は融合し、2倍体接合体を形成し、これは伸長してオーキネートとなる。この運動性形態は、オーシストとして上皮を越えて腸の内腔から出る。オーシストは複製サイクルを経てスポロゾイトを形成し、スポロゾイトは蚊の腹部から唾液腺に移動する。したがって、蚊が配偶子母細胞を含有する血液を摂取してから7~10日後、蚊は「装備」され得、別のヒトに自分の咬傷でプラスモジウム種を感染させることができる。
【0006】
肝臓へのプラスモジウム種の侵入または増殖を予防する薬物は予防活性を有し、疾患の症候期の治療には赤血球段階を遮断する薬物が必要であり、蚊における配偶子母細胞の形成またはそれらの発生を阻害する化合物(血液を摂取する蚊を死滅させる薬物を含む)は伝播遮断薬である。
【0007】
マラリアの予防は、物理的手段と化学的手段の両方によって達成される。特にワクチン開発が成功していないことを考えると、影響を受けやすい集団におけるマラリアの予防も優先事項である(非特許文献4)。WHOによれば、2014年から2016年の間に、推定5億8200万枚の殺虫性ネット(ITN)が流行国に配達され、2011~2013年に配達された3億5000万枚のネットよりも大幅に増加した(非特許文献2)。2016年には、マラリアのリスクがある世界人口の2.9%が、世界中で屋内残留噴霧によって保護された。しかしながら、ITNにおいて現在使用されている唯一の殺虫剤クラスであるピレスロイドに対する耐性が広く蔓延しており、マラリア流行国の81%が2016年にピレスロイド耐性を報告している(非特許文献2)。
【0008】
マラリアを治療するための選択肢および方法は、薬剤耐性の発達のためにますます困難になってきている。利用可能な抗マラリア薬の数は、疾患の大きな負担およびマラリアによって生じる死亡率を考慮すると、驚くほど少ない(非特許文献5)。元のアミノアルコールマラリア薬キニーネの誘導体であるクロロキン(CQ)は、過去半世紀の大部分の間、マラリア化学療法の中心的存在であった(非特許文献6)。クロロキンは、限定された毒性、使いやすさ、低コスト、および効率的な合成を含むいくつかの利点を有する(非特許文献6)。残念なことに、熱帯熱マラリア原虫によって引き起こされるマラリアを治療するためのCQの使用は、薬物に対する寄生虫感受性の低下のために大きく妨げられてきた(非特許文献4)。現在、アルテミシニン系の併用療法(ACT)(特許文献1;非特許文献7;非特許文献8)は、熱帯熱マラリア原虫に対するWHOが推奨する標準治療法であり、ルメファントリン、アモジアキン、またはメフロキンなどのパートナー薬と組み合わせたアルテミシニン誘導体、例えばアルテメテル、アルテスナート、またはジヒドロアルテミシニンから構成される二重または三重の併用療法を伴う(マラリアの承認された治療法の概要については表1を参照)(非特許文献2)。ACTは、耐性の発生を回避する、または少なくとも遅延させることを目的としている(非特許文献9)。残念なことに、これまでに、東南アジアでACTに対する感受性の低下がいくつか報告されている(特許文献2;非特許文献10;非特許文献11)。
【0009】
【0010】
したがって、古典的な抗マラリア薬を含む薬剤耐性の広範な広がりは、好ましくは新しい化学的足場および新規な抗マラリア標的を有する有望な化合物の探索を必要とする(非特許文献12;非特許文献13)。しかしながら、抗マラリアパイプラインは不十分である。表1に列挙した化合物は、新しい抗マラリア薬が今日承認された場合の現在の競合である。しかしながら、クロロキンおよびその類似体ならびにアルテミシニンに対する耐性がより頻繁になりつつあるので、新しい抗マラリア化合物を発見する必要がある。表2は、現在の世界的な治験パイプラインにある薬物を、ライフサイクル標的の順に、次いで治験開発の段階ごとに列挙している。前臨床開発中のものは列挙されていないが、文献(非特許文献14;非特許文献15)に見出すことができる。パイプライン中の化合物の大部分は、感染の無性血液段階を標的とする。いくつかはまた、疾患伝播、化学的保護、および感染再発を標的とする。現在の選択肢と臨床パイプラインの組み合わせは堅牢であるように見えるが、薬物の多くは既存の薬物の類似体または組み合わせであるか、または有効性もしくは安全性が不十分であるために中止されている。さらに、薬物感受性マラリアまでも治療するための組み合わせの必要性を考慮すると、新しい抗マラリア薬のための現在のパイプラインは、疾患を根絶する必要性を満たすのに十分ではない。明らかに、全ての現在の薬剤に対する耐性の発現を克服するためには、耐性発現に抵抗性である新規な機構を有する新規な薬剤が必要である。
【0011】
【0012】
プラスモジウム表面アニオンチャネル
プラスモジウム表面アニオンチャネル(PSAC)は、プラスモジウムにおける新規で、保存された、必須の標的である。PSACは寄生虫の生存に不可欠であり、これまでに利用されていない抗マラリア薬標的である(非特許文献16;非特許文献17)。PSACの存在は、感染赤血球の多様な溶質に対する透過性の長期にわたる既知の増加についての機構的説明を提供する(非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20)。このチャネルは赤血球膜に局在し、宿主血漿に曝露される。栄養制限および特異的阻害剤を使用する試験は、PSACが必須アミノ酸、糖、プリン、およびいくつかのビタミンの寄生虫の栄養獲得において必須の役割を果たすことを示している(非特許文献16)。この共有イオンチャネルを通るイオン透過はまた、宿主赤血球カチオン濃度の劇的な変化をもたらす(非特許文献21)。近年、遺伝子マッピングおよび分子トランスフェクションは、寄生虫によってコードされる3つのタンパク質、CLAG3、RhopH2、およびRhopH3がPSACの構造成分を構成することを実証した(非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25)。寄生虫生物学における本質的な役割と一致して、PSAC活性およびこれらのサブユニットタンパク質のそれぞれは、3つ全ての風土性大陸由来の熱帯熱マラリア原虫株の間で各タンパク質の配列において92%以上の同一性で厳密に保存されている(非特許文献8;非特許文献25)。clag3は各プラスモジウム種において2~5個の密接に関連するパラログを有するが、rhoph2およびrhoph3は各種において単一コピー遺伝子であり、破壊することはできず、PSAC標的の分子検証をもたらす。
【0013】
3つのサブユニットは、既知の哺乳動物イオンチャネルと相同性がなく、PSACの異常な機能的特性を説明し、ヒトトランスポーターを遮断しない特異的な薬物を開発できることを示唆している。PSACは、利用可能な抗マラリア薬によってまだ利用されていない新規な抗マラリア標的である(非特許文献16)。Dr.Sanjay Desaiおよび彼のNIAIDチームは、強力なPSAC阻害剤を見つけるためにハイスループットスクリーニング(HTS)技術を開発し、使用した。そのスクリーニング方法は、イオンチャネルについて許容される標準であるシングルチャネルパッチクランプ(非特許文献17)で測定されたものと一致する推定阻害親和性(K0.5値)をもたらす。宿主膜上のチャネルの露出位置は、血漿中の可溶性阻害剤による直接的なアクセスを確実にし、獲得耐性の可能な機構としての細胞からの活性薬物の放出を排除する。感染細胞からの未修飾薬物の排出は、クロロキン、メフロキン、およびおそらくアルテミシニンなどの薬剤に対する耐性を説明し、多くの抗マラリア薬で懸念されてきた(特許文献1;非特許文献26)。PSACタンパク質の強く保存された一次配列、翻訳と協調した複合体形成に対するそれらの要件、および宿主膜への複雑な輸送は全て、高度に限定的な標的を暗示し、耐性変異が容易に生じ得ないことを示唆する。
【0014】
ハイスループットスクリーニング(HTS)キャンペーンから選択される新規抗マラリア薬。マラリア感染においてPSACが果たす重要な役割は、標的のHTSがDr.Sanjay Desai,NIAIDの研究室で行われるまで知られていなかった(非特許文献17)。そのスクリーニングアッセイは、熱帯熱マラリア原虫感染赤血球のソルビトール誘発性PSAC媒介浸透圧溶解を防ぐ化合物の能力を試験した。合成および天然産物ライブラリーからの約70,000個の化合物をスクリーニングして、複数の構造クラスからの阻害剤を明らかにした。単一チャネルパッチクランプ試験は、これらの化合物がPSACに直接作用することを示し、ソルビトール、他の糖、アニオンおよびアミノ酸などの溶質の輸送におけるPSACの提案された役割をさらに裏付けた(非特許文献17)。特に興味深いのは、以下の表3および4に示し、インビトロで有望な効力を示した、ISG-21(特許文献2;非特許文献27)によって表される1つの化学的足場(非特許文献16)である。
【0015】
ISG-21化合物は、ナノモル濃度のK0.5値で強力なPSAC阻害活性を示す(表3)。これはまた、単一の作用機序と一致して、チャネルを遮断するのに必要な濃度に近い濃度またはそれよりわずかに高い濃度で寄生虫を死滅させる。ISG-21は、3日間のHeLa細胞アッセイにおいて低い細胞傷害性を示し、37,000の非常に高い選択指数をもたらした(表3)。ISG-21はインビトロで良好な有効性および選択性を示すが、そのインビトロの吸収、分布、代謝および排泄(ADME)特性の分析により、有効な抗マラリア治療選択肢としての有効性に影響を及ぼし得るいくつかの顕著な制限が明らかになった。化合物がCaco-2細胞単層を通過する能力を試験するアッセイでは、ISG-21は透過性を示さず(Papp<<0.5×10-6cm/s)、経口剤として使用することができないことを示唆している(典型的には、Papp≧5×10-6cm/sが必要であると考えられる)。さらに、ISG-21は、血清タンパク質によって高度に結合されることが示されたが、これは、有効性のために利用可能な薬物を制限し、血清タンパク質組成が異なる患者の多様な集団の間で可変レベルの曝露のリスクを提供する薬物開発のための問題のある特徴である。このヒット化合物は良好な効力および選択性を示すが、そのインビトロのADME特性において上記で言及した重大な欠点は、抗マラリア薬としての開発性を著しく妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】Desai,S.およびA.Pillai著、「Inhibitors Of The Plasmodial Surface Anion Channel As Antimalarials」2009年7月15日出願、2013年12月31日発行、米国特許第8618090号明細書
【特許文献2】Desai,S.著、「Plasmodial Surface Anion Channel Inhibitors For The Treatment Or Prevention Of Malaria」2012年4月11日出願、2016年4月26日発行、米国特許第9320786号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Mira-Martinezら著、「Cell Microbiol.」15:1913-1923(2013年)
【非特許文献2】Pillaiら著、「Mol.Pharmacol.」82:1104-1114(2012年)
【非特許文献3】Pillaiら著、「Mol.Pharmacol.」77:724-733(2010年)
【非特許文献4】Anthonyら著、「Malar.J.」11:316(2012年)
【非特許文献5】Phillipsら著、「Nat.Rev.Dis.Primers」3:17050(2017年)
【非特許文献6】Kutnerら著、「Biochim.Biophys.Acta」687:113-117(1982年)
【非特許文献7】Dondorpら著、「N.Engl.J.Med.」361:455-467(2009年)
【非特許文献8】Duraisingh,M.T.およびA.F.Cowman著、「Acta Trop.」94:181-190(2005年)
【非特許文献9】Kirkら著、「FEBS Lett.」323:123-128(1993年)
【非特許文献10】Marshallら著、「Growth Regul.」5:69-84(1995年)
【非特許文献11】Nguitragoolら著、「Cell」145:665-677(2011年)
【非特許文献12】Alkhalilら著、「Blood」104:4279-4286(2004年)
【非特許文献13】Pillaiら著、「Mol.Microbiol.」88:20-34(2013年)
【非特許文献14】Dondorpら著、「N.Engl.J.Med.」361:455-467(2009年)
【非特許文献15】Muregi,F.W.およびA.Ishis著、「Drug Devel.Res.」71:20-32(2010年)
【非特許文献16】Overman,R.著、「Am.J.Physiol.」152:113-121(1948年)
【非特許文献17】PATH著、「Stayin the Course? Malaria Research and Development in a Time of Economic Uncertainty」Program for Appropriate Technology in Health、Seattle(2011年)
【非特許文献18】Hooft van Huijsduijnen,R.およびT.N.Wells著、「Curr.Opin.Pharmacol.」42:1-6(2018年)
【非特許文献19】Itoら著、「eLIFE」6:e23485(2017年)
【非特許文献20】Maudeら著、「Drug Devel.Res.」71:12019(2010年)
【非特許文献21】Noedlら著、「N.Engl.J.Med.」359:2619-2620(2008年)
【非特許文献22】Duraisingh,M.T.およびA.F.Cowman著、「Acta Trop.」94:181-190(2005年)
【非特許文献23】Krogstadら著、「Science」238:1283-1285(1987年)
【非特許文献24】Lisk,G.およびS.A.Desai著、「Eukaryot.Cell」4:2153-2159(2005年)
【非特許文献25】Phyoら著、「Lancet」379:1960-1966(2012年)
【非特許文献26】Houston,J.B.著、「Biochem.Pharmacol.」47:1469-1479(1994年)
【非特許文献27】Bevanら著、「Anal.Chem.」72:1781-1787(2000年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、現在、安全かつ効果的な抗マラリア薬の発見および開発が緊急に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
有利には、本明細書では、ISG-21の末端アリール環の代わりに適切に置換されている6員複素環を含有するISG-21の類似体が、Caco-2透過性を実質的に改善し、他の有望な特徴を犠牲にすることなく血清結合を低下させ、感染の動物モデルにおける有効性の確立を可能にすることによって、上記の負の効果を克服するという発見を記載する。したがって、本明細書に記載される新規化合物は、哺乳動物におけるマラリアを治療/予防するための安全かつ有効な治療薬を開発するための理想的な候補である。
【0020】
【0021】
【0022】
したがって、本発明は、式Iにより表される新規なクラスの抗マラリアピリダジノン化合物またはその薬学的に許容される塩の発見に関する:
【化1】
式中、
Aは、単結合または二重結合のいずれかを介して結合したC、S、OまたはNから独立して選択され、1~4個の炭素原子、0~3個の窒素原子、0~1個の酸素原子および0~1個の硫黄原子の5員ヘテロ芳香族環を形成し、
R
3は、1から12個の炭素を有するアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルまたはチオールから独立して選択される一価の置換基であり、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールまたはチオカルボニルである場合、該置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルまたはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、
nは0~3の整数であり、
mは0~3の整数であり、
Yは-COCH
2-、-SO
2-、-CO-、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-NHCO-、-NCH
3CO-、-CONH-、-CONCH
3-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH-、または-O-を含む基から選択されるAとR
1とを架橋する二価の基であり、
R
1は、0~2個の窒素原子、0~1個の酸素原子および3~6個の炭素原子を含有する5~7員の二価の非芳香族複素環であり、ただし、YおよびR
2は少なくとも3個の原子によって分離されており、この非芳香族複素環は、R
3について定義される0~3個の置換基を有していてもよく、ただし、R
1上の2つ以上のそのような置換基がR
1と縮合して1つ以上のシクロアルキル環、複素環、芳香族環もしくはヘテロ芳香族環を形成してもよく、または、R
1は、場合により0~2個の置換基を組み込んでR
2と縮合して、R
3について定義される0~2個の置換基で場合により置換されている3~7員の縮合複素環を形成してもよく、
R
2は、R
3について定義される置換基から独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であるか、またはR
2上の置換基は、場合によりR
2に縮合して、1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリール環もしくはヘテロアリール環を形成してもよく、または0~2個のR
2置換基は、R
1と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換ヘテロシクリル環を形成してもよい。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、式I(a)により表される新規なクラスの抗マラリアピリダジノン化合物またはその薬学的に許容される塩の発見に関する:
【化2】
式中、
Gは、CまたはNから選択され、場合により(R
6)
qで置換されている複素環の一部であり、qは0~4の整数であり、
R
6は、R
3について定義される通りであり、ただし、Gを含有する複素環上のR
6置換基は、場合により互いにもしくはGを含有する環の炭素原子に縮合して1つ以上のシクロアルキル、複素環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてもよく、またはGを含有する複素環上の0~2個の置換基は、R
2と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換シクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成していてもよく、
R
2は、R
3について定義される置換基から独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であるか、またはR
2上の置換基は、場合によりR
2に縮合して、3~8員の1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール環を形成してもよい)
【0024】
さらに別の実施形態では、本発明は、式I(b)により表される新規なクラスの抗マラリアピリダジノン化合物またはその薬学的に許容される塩の発見に関する:
【化3】
式中、
Aは、O、SまたはNから独立して選択され、
nは、AがOまたはSである場合、0~2の整数であり、
nは、AがNである場合、0~3の整数である)
【0025】
別の実施形態では、本発明の化合物は、以下から選択される。
【化4】
【0026】
式I(a)およびI(b)を含む式Iの代表的な化合物は、インビトロおよびインビボの両方で強力な抗マラリア活性を示す。したがって、一実施形態では、本発明は、式I、式I(a)および/または式I(b)の抗マラリア化合物を含む医薬組成物に関する。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象のマラリアを治療または予防する方法であって、有効量の式I、式I(a)、および/または式I(b)の新規化合物を含む医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、方法に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるマラリア感染を治療または予防するための医薬品の製造における式I、式I(a)および/または式I(b)の化合物の使用に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0029】
別の実施形態では、式I、I(a)および/またはI(b)によって表される本発明の抗マラリア化合物は、第2の抗マラリア化合物と組み合わせて投与することができる。
【0030】
好ましい実施形態では、本発明は、プラスモジウム属に属するウイルスによって引き起こされるマラリアを治療または予防する方法であって、有効量の式I、式I(a)、および/または式I(b)の新規化合物を含む医薬組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、方法に関する。本発明により治療可能なマラリアを引き起こすことが知られているプラスモジウムの特定の種には、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫およびマラリア原虫(P.malariae)が挙げられる。好ましい実施形態では、本発明は、熱帯熱マラリア原虫によって引き起こされるマラリアを治療または予防する方法に関する。
【0031】
式I、式I(a)および/または式I(b)を含む組成物については、複数の投与経路が考えられ、非常に費用効果の高い生産戦略を容易に達成することができる。
【0032】
別の実施形態では、本発明の抗マラリア化合物は、薬学的に許容される担体または賦形剤に製剤化され、皮内、経皮、筋肉内、腹腔内および静脈内を含むがこれらに限定されない注射によって投与され得る。本発明の別の実施形態によれば、抗マラリア化合物の投与は、経口投与によるものであってもよく、例えば、錠剤の形態で提供されてもよく、またはゼラチンカプセルもしくはマイクロカプセルに入れられてもよく、これにより経口適用が簡単になる。これらの投与形態の製造は、技術的専門家の一般知識の範囲内である。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防するための医薬組成物に関する:
Q-Y-R1-R2
(II)
式中、
Qは、6-ピリダジン-3-(2H)-オン、5-ピリジン-2(1H)-オン、置換カルボキサミド、または置換カルボキシレート部分に隣接していない部位で環に結合した基Yを有する5員のヘテロアリール環であり、Qは、場合により、ヘテロアリール環、6-ピリダジン-3-(2H)-オン部分のいずれか、または両方で、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、またはチオールから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、およびチオカルボニルである場合、各置換基は、場合により、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテル、およびチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、
Yは、-COCH2-、-CH2CO-、-SO2-、-CO-、-CH2-、-CH(CH3)-、-NHCO-、-NCH3CO-、-CONH-、-CONCH3-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH-、および-O-を含む基から選択されるQとR1とを架橋する二価の基であり、
R1は、0~2個の窒素原子、0~1個の酸素原子および3~6個の炭素原子を含有する5~7員の二価の非芳香族複素環であり、ただし、YとR2とは少なくとも3個の原子によって分離されており、非芳香族複素環は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルもしくはチオールから選択される0~3個の置換基を有していてもよく、置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールもしくはチオカルボニルである場合、各置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、ただし、R1上の2つ以上のこのような置換基がR1と縮合して1つ以上のシクロアルキルもしくは複素環を形成してもよく、またはあるいは、R1は、R2と縮合して、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個の置換基で場合により置換されている3~7員の縮合シクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成してもよく、
R2は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルもしくはチオールから独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であり、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールもしくはチオカルボニルである場合、該置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、または
R2上の置換基は、場合によりR2に縮合して、1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリール環もしくはヘテロアリール環を形成してもよく、または0~2個のR2置換基は、R1と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換のシクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成してもよい。
【0034】
【0035】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防する方法であって、有効量の式IIの化合物を含む医薬組成物を該対象に投与することを含む方法に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0036】
別の実施形態では、式IIの化合物を含む医薬組成物は、第2の抗マラリア薬と組み合わせて投与され得る。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象におけるマラリア感染を治療または予防するための式IIを含む医薬組成物の使用に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象におけるマラリア感染を治療または予防するための医薬品の製造における式IIを含む医薬組成物の使用に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】ピリダジノン化合物MBX-3318、MBX-3976、およびMBX-4055の、CD-1マウスへの化合物のIVおよびPO投与後のクリアランス速度(PK)を示す。結果は、3つ全ての化合物について好ましい半減期を示す。
【
図2】熱帯熱マラリア原虫による感染後のヒト化マウスモデルにおけるMBX-3318の投与の結果を示す。
図2Aは、MBX-3318が、対照マウスと比較して感染マウスにおいて寄生虫の増殖を70%以上減少させたことを示す。
図2Bは、感染マウスにおける経時的なMBX-3318のクリアランス速度を示す。IC
50レベルは、化合物が寄生虫の増殖に対して有効であるのに十分な時間にわたって系内に留まることを実証している(M1=マウス1;M2=マウス2;ED90=90%有効用量;3D7=熱帯熱マラリア原虫3D7(NF54株由来;全ての抗マラリア薬に感受性);LQ=定量限界)。
【
図3】熱帯熱マラリア原虫による感染後のヒト化マウスモデルにおけるピリダジノン化合物MBX-4055の投与の結果を示す。
図3Aは、1日1回投与された50mg/kgのMBX-4055が、対照マウスと比較して、感染マウスにおいて寄生虫の増殖を90%超減少させたことを示す。
図3Bは、感染マウスにおける経時的なMBX-4055のクリアランス速度を示す。IC
50レベルは、化合物が寄生虫の増殖に対して有効であるのに十分な時間にわたって系内に留まることを実証している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
(定義)
「アルキル」という用語は、合計1から12個の炭素の直鎖または分岐の飽和炭化水素基を指す。アルキルには、置換および非置換アルキル基が含まれる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルが挙げられる。
【0041】
「アルケニル」という用語は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する2個以上12個以下の炭素原子の不飽和炭化水素基を指す。アルケニルには、置換および非置換アルケニル基が含まれる。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、2-ブテニル、2-ペンテニルおよび2-ヘキセニルが挙げられる。
【0042】
「アルケノキシ」という用語は、二価の酸素原子を介して親分子基に結合した上記に定義されるアルケニル基を指す。
【0043】
「アルコキシ」という用語は、エーテル性酸素原子を介して親分子基に結合した、1個以上12個以下の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、またはアルキニル基を指す。アルコキシには、置換および非置換アルコキシ基が含まれる。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、ビニルオキシ、アリルオキシ、ブテノキシが挙げられる。
【0044】
「アルキルアミノ」という用語は、1つ以上のアミノまたはアミノアルキル置換基を有する上記に定義されるアルキル基を指す。
【0045】
「アルキニル」という用語は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する合計2から12個の炭素原子の不飽和炭化水素基を指す。アルキニルには、置換および非置換アルキニル基が含まれる。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルが挙げられる。
【0046】
「アルキノキシ」という用語は、二価の酸素原子を介して親分子基に結合した上記に定義されるアルキニル基を指す。
【0047】
「アミド」という用語は、三価の炭素からの1つの単結合および基の窒素への2つの単結合を介して1~3個の炭素含有基に結合している、式-C(O)N-を有する基を指す。アミド基は、基の三価の炭素または窒素のいずれかを介して親分子基に結合し得る。アミドという用語は、非置換窒素原子または第一級アミド、一置換窒素または第二級アミド、および二置換窒素または第三級アミドを有する基を含む。アミドには、置換および非置換アミド基が含まれる。
【0048】
「アミジノ」または「アミド」という用語は、2個の窒素原子および1個の炭素原子に結合した三価の炭素原子を指す。アミジノの炭素原子は、親分子基の成分またはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールもしくはヘテロアリールから選択される置換基の成分のいずれかである。基の窒素原子は、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択される0~3個の基で置換されている。アミジノは、場合により、2つの窒素原子のうちの1つへの単結合を介して親分子基に結合している。アミジノには、置換および非置換アミジノが含まれる。
【0049】
「アミノ」という用語は、基-NH2を指す。
【0050】
「アミノアルキル」という用語は、親分子基に結合し、さらにアルキル、シクロアルキル(cyclcoalkyl)、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択される1~3個の基を有する窒素原子を指す。アミノアルキルには、置換および非置換アミノアルキル基が含まれる。アミノアルキルには、アンモニウム塩およびテトラアルキルアンモニウム塩などのイオン性基が含まれる。アミノアルキル基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミン、ジメチルアミノが挙げられる。
【0051】
「アミノアリール」という用語は、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択される1~2個の基に結合した窒素原子を指す。ヘテロアリールには、置換および非置換ヘテロアリール基が含まれる。例としては、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ナフチルアミノ、2-ピリジルアミノが挙げられる。
【0052】
「アリール」または「芳香族」という用語は、π共役炭素原子の連続系を有する平面、単環または多環部分を指す。アリールには、5員および6員の炭化水素および複素環式芳香族基、ならびに置換および非置換アリール基を含む、5から14個の炭素原子の範囲の単環式部分および縮合多環式部分の両方が含まれる。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレンが挙げられる。
【0053】
「アリールアルキル」という用語は、少なくとも1つのアルキル置換基を有する上記に定義されるアリール基を指す。
【0054】
「アリールオキシ」という用語は、エーテル性酸素原子を介して親分子基に結合した芳香族またはヘテロ芳香族基を指す。アリールオキシには、置換および非置換アリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ、ナフチルオキシ、4-ピリジルオキシおよび2-フラニルオキシが挙げられる。
【0055】
「アジド」という用語は、基-N3を指す。
【0056】
「アゾ」という用語は、アゾ基が親分子基およびアルキル、アルケニル、アルキナール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから選択される基に結合している基-N=N-を指す。
【0057】
「カルバメート」という用語は、酸素原子に1つの二重結合、酸素原子に1つの単結合および窒素原子に1つの単結合を有する三価の炭素原子を指す。カルバメートは、窒素または二価の酸素のいずれかへの単結合を介して親分子基に結合する。親分子基に加えて、カルバメートは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択される1~2個の基で直接置換されている。カルバメートには、置換および非置換カルバメート基が含まれる。
【0058】
「カルバミド」または「尿素」という用語は、酸素への1つの二重結合および窒素への2つの単結合を有する三価の炭素原子を指す。カルバミドは、窒素への単結合を介して親分子基に結合する。親分子基に加えて、カルバミドは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択される1~3個の基で直接置換されている。カルバミドには、置換および非置換カルバミド基が含まれる。
【0059】
「カルボニル」という用語は、酸素への二重結合および他の元素への2つの単結合を有し、1つの元素はカルボニルが置換基である親分子基の成分であり、他の元素は炭素、酸素、窒素、硫黄または水素から選択される、三価の炭素原子を指す。カルボニル基には、置換および非置換カルボニル基が含まれる。カルボニル基の例としては、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、チオエステル、カルバメートおよびカルボン酸が挙げられる。
【0060】
「カルボキサミド」という用語は、アミドが三価の炭素からの単結合を介した置換基である親分子基に結合している、式-C(O)N-を有する基を指す。カルボキサミドという用語は、非置換窒素原子または第一級アミド、一置換窒素または第二級アミド、および二置換窒素または第三級アミドを有する基を含む。
【0061】
「カルボキシレート」という用語は、基が三価の炭素からの単結合を介して親分子基に結合している式-C(O)O-を有する基を指す。「カルボキシレート」という用語は、非置換アニオン性化合物、水素置換カルボン酸、および炭素置換基の両方を含む。
【0062】
「シアノ」という用語は、基-CNを指す。
【0063】
「シクロアルキル」という用語は、炭素および水素で構成される環状部分を指す。この用語は、3から14個の炭素原子の範囲の単環式部分および縮合多環式部分の両方を含む。シクロアルキルには、置換または非置換シクロアルキル基が含まれる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノナン、シクロデカン、デカリンが挙げられる。
【0064】
「エステル」という用語は、基がその三価の炭素および二価の酸素からの単結合を介して2つの炭素基に結合している、式-C(O)O-を有する基を指す。エステル基は、基の三価の炭素または二価の酸素のいずれかを介して親分子基に結合し得る。
【0065】
「エーテル」という用語は、-C-O-C-結合を介して別のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニルまたはアルキニル基に結合したアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニルまたはアルキニル基を指す。エーテルには、置換および非置換エーテル基が含まれる。
【0066】
「縮合」という用語は、1つの環が1つ以上の他の環と共通して1つ以上の原子、好ましくは1~3個の原子を含有する多環式環系を指す。
【0067】
「グアニジン」という用語は、3個の窒素原子に結合した三価の炭素原子を指す。グアニジンは、窒素への単結合を介して親分子基に結合する。親分子基に加えて、グアニジンは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択される0~4個の基で直接置換されている。グアニジンには、置換および非置換グアニジン基が含まれる。
【0068】
「ハロアルコキシ」という用語は、少なくともハロゲン基上に有するアルコキシ基を指す。
【0069】
「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1つのハロゲン置換基を有する上記に定義されるアルキル基を指す。
【0070】
「ハロゲン」という用語は、-X基を指し、Xは周期表のVIIA族の元素である。ハロゲンの例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0071】
「ヘテロ芳香族」および「ヘテロアリール」という用語は、炭素およびN、SまたはOから独立して選択される1つ以上の元素で構成されるπ共役原子の連続系を有する平面、単環または多環部分を指す。ヘテロアリールには、5から14個の原子の範囲の単環および縮合多環部分の両方が含まれる。ヘテロ芳香族には、置換および非置換のヘテロ芳香族基が含まれる。好ましくは、ヘテロアリールは、5~6個の原子から構成され、N、SまたはOから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する単環式部分である。より好ましくは、ヘテロ芳香族は、6個の原子から構成され、1~2個の窒素原子を含有する単環式部分である。ヘテロアリール基の例としては、チオフェニル、ピロロ、フラニル イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、テトラゾロ、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピリドノ、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、ジオキシニルおよびチアジニルが挙げられる。
【0072】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の原子を意味する。ヘテロ原子の例としては、N、O、S、Si、F、ClおよびPが挙げられる。
【0073】
「複素環式」および「ヘテロシクリル」という用語は、炭素、水素、およびN、S、またはOから独立して選択される1つ以上の元素で構成される環式部分を指す。この用語は、3から14個の原子の範囲の単環式および縮合多環式部分の両方を含む。好ましくは、複素環式は、5~7個の原子から構成され、N、SまたはOから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する単環式部分である。複素環式には、置換および非置換複素環基が含まれる。複素環基の例としては、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリジニル(pyrolidinyl)、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニルおよびモルホリニルが挙げられる。
【0074】
「ヒドロキシル」という用語は、基-OHを指す。
【0075】
「イミノ」という用語は、窒素への二重結合および他の元素への2つの単結合を有し、1つの元素はイミノ基が置換基である親分子基の成分であり、他は炭素、酸素、窒素、硫黄または水素から選択される、三価の炭素原子を指す。イミノには、置換および非置換イミノ基が含まれる。イミノ基の例としては、ケチミン、アルジミン、イミデート、チオイミデート、アミジン、オキシムおよびヒドラゾンが挙げられる。
【0076】
「ニトロ」という用語は、基-NO2を指す。
【0077】
「ホスフェート」という用語は、基-OP(O)(OR)2またはそのアニオンを指し、各Rは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから選択される。ホスフェートには、置換および非置換リン酸基が含まれる。
【0078】
「スルフィニル」という用語は、スルフィニルが親分子基およびアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから選択される基に結合している式-S(O)-を有する基を指す。スルフィニルには、置換および非置換スルホニル基が含まれる。
【0079】
「置換」という用語は、本明細書では、その化合物または化学的部分の少なくとも1つの水素原子が第2の化学的部分で置き換えられている化合物または化学的部分を説明するために使用される。置換基の非限定的な例としては、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテル、チオールおよびそれらの組み合わせが挙げられる。これらの置換基は、場合により、このような基から選択される置換基でさらに置換されていてもよい。置換基としては、例えば、炭素原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換されている部分が挙げられる。
【0080】
「スルホンアミジル」という用語は、スルホンアミジル基が硫黄または窒素のいずれかを介して親分子基に結合している式-S(O2)N-を有する基を指す。親分子基が硫黄原子に結合している場合、基の窒素は、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから独立して選択される0~2個の基で置換されている。親分子基が窒素原子に結合している場合、基の硫黄は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから選択される基で置換されており、窒素は、場合により、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから選択されるさらなる基で置換されている。
【0081】
「スルホニル」という用語は、スルホニルが親分子基およびアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールから選択される基に結合している式-S(O2)-を有する基を指す。スルホニルには、置換および非置換スルホニル基が含まれる。
【0082】
「チオアルキル」という用語は、二価の硫黄原子を介して親分子基に結合したアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、またはアルキニル基を指す。チオアルキルには、置換および非置換チオアルキル基が含まれる。
【0083】
「チオアリール」という用語は、二価の硫黄原子を介して親分子基に結合した芳香族またはヘテロ芳香族基を指す。チオアリールには、置換および非置換のチオアリール基が含まれる。
【0084】
「チオカルボニル」という用語は、硫黄に対する二重結合および他の元素に対する2つの単結合を有し、1つの元素はチオカルボニル基が置換基である親分子基の成分であり、他は炭素、酸素、窒素または硫黄から選択される、三価の炭素原子を指す。チオカルボニルには、置換および非置換のチオカルボニル基が含まれる。チオカルボニル基の例としては、チオケトン、チオイミデート、チオアミドおよびジチオエステルが挙げられる。
【0085】
「チオエーテル」という用語は、-C-S-C-結合を介して別のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニルまたはアルキニル基に結合したアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニルまたはアルキニル基を指す。エーテルには、置換および非置換エーテル基が含まれる。
【0086】
「チオール」という用語は、基-SHを指す。
【0087】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語およびその変形、例えば「治療すること」、「治療」は、症状の重症度および/もしくは頻度の減少をもたらし、症状および/もしくはそれらの根本原因を排除し、並びに/または損傷の改善または修復を促進するために、有害な状態、障害、または疾患に罹患している臨床的に症候性の個体に薬剤または製剤を投与することを指す。
【0088】
本明細書で使用される場合、状態または障害に関する「予防すること」という用語は、例えば、状態を有するリスクのある対象において、本明細書に記載のそのような障害または状態の発症を遅延または予防することを指す。いくつかの実施形態では、状態を「予防すること」はまた、例えば、状態と診断されている対象における状態の進行または重症度を阻害すること、減少させること、または遅らせることを包含し得る。そのような障害または状態の発症、進行、または重症度は、その状態に関連する少なくとも1つの症状の増加、またはその状態によって影響を受ける器官(単数または複数)の機能の減少を検出することによって決定することができる。
【0089】
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という語句は、任意の医学的治療に適用可能な合理的な利益/リスク比で、対象の細胞の少なくとも亜集団において何らかの所望の治療効果をもたらすのに有効な、本明細書に記載の化合物または化合物を含む組成物の量を指す。例えば、治療有効量の化合物または化合物を含む組成物は、本明細書に記載のマラリアの少なくとも1つの症状の統計的に有意な測定可能な変化をもたらすのに十分な量であり得る。
【0090】
1つ以上の指定された要素またはステップ「を含む」本明細書に記載される組成物または方法はオープンエンドであり、指定された要素またはステップは必須であるが、組成物または方法の範囲内で他の要素またはステップを追加することができることを意味する。冗長さを回避するために、1つ以上の指定された要素またはステップを「を含む(comprising)」(または「を含む(comprise)」)と記載された任意の組成物または方法は、同じ指定された要素またはステップの「本質的にそれからなる(consisting essentially of)」(または「本質的にそれからなる(consists essentially of)」)対応するより限定された組成物または方法も記載しており、組成物または方法が指定された必須の要素またはステップを含み、組成物または方法の基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないさらなる要素またはステップも含み得ることを意味することも理解される。1つ以上の指定された要素またはステップを「を含む」または「本質的にそれからなる」として本明細書に記載される任意の組成物または方法はまた、任意の他の指定されていない要素またはステップを除外する指定された要素またはステップ「からなる(consisting of)」(または「からなる(consist of)」)、対応する、より限定された、クローズドエンドの組成物または方法を記載することも理解される。本明細書に開示される任意の組成物または方法では、任意の指定された必須要素またはステップの既知のまたは開示された等価物が、その要素またはステップの代わりに使用され得る。「からなる群から選択される」要素またはステップは、以下のリストの要素またはステップのうちの1つ以上を指し、列挙された要素またはステップのうちの任意の2つ以上の組み合わせを含むことも理解される。
【0091】
他の用語の意味は、有機化学、薬理学、および微生物学の分野を含む、当業者によって理解される文脈によって理解されるであろう。
【0092】
マラリアは、アピコンプレクサ門のプラスモジウム属の真核原生生物によって引き起こされる赤血球の寄生虫感染症である。ヒトマラリアは、以下の5つの異なるプラスモジウム種によって引き起こされることが知られている:熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、マラリア原虫およびサルマラリア原虫。マラリア原虫は、雌のハマダラカによって伝播する。肝臓における複製の最初のサイクルの後、寄生虫は赤血球内で増殖し、貧血(軽い頭痛、息切れ、頻脈)を含む症状、ならびに脾臓の腫大、疲労、発熱、悪寒、吐き気、インフルエンザ様疾患などの他の一般的な症状、および重篤な場合には昏睡および死を引き起こす。世界保健機関(WHO)によれば、2017年には、世界中で435,000人のマラリアによる死亡が発生したと推定され、そのうち403,000人の死亡(約93%)がWHOのアフリカ地域におけるものであった。2017年の全死亡者のほぼ80%がWHOのアフリカ地域およびインドの17か国で発生した。したがって、現在、マラリアを治療または予防するための安全かつ効果的な方法が緊急に必要とされている。
【0093】
有利には、式I、式I(a)、および式I(b)によって表される新規化合物、ならびに本明細書に記載されるそれらの使用方法は、上記プラスモジウム種によって引き起こされるヒトマラリアを治療するのに有効である。特に、本発明は、熱帯熱マラリア原虫によって引き起こされるヒト対象におけるマラリアを治療するための組成物および方法に関する。
【0094】
いかなる特定の理論または作用様式にも限定されるものではないが、本発明の新規化合物は、マラリア原虫が宿主細胞とプラスモジウム表面アニオンチャネル(PSAC)を形成する能力を阻害するかまたは妨げると考えられる。PSACは、感染したRBCにおける生存および増殖のための必須栄養素を獲得するマラリア原虫の能力において中心的な役割を果たす。糖、アミノ酸、プリン、ビタミン、およびリン脂質生合成のための前駆体は、PSACを介した感染RBCへの取り込みが著しく増加している。これらの溶質の多くは、非感染RBCにおいて無視できる透過性を有し、インビボでの寄生虫の増殖を持続させるために外因的に提供されなければならない。PSACは、多様なプラスモジウム種で保存されている。チャネルの開閉、電圧依存性、選択性および薬理学は全て保存されており、PSACが高度に拘束された内在性膜タンパク質であることを示唆している。したがって、プラスモジウム種にわたるPSACの保存された性質のために、PSAC形成の阻害は、マラリアを治療または予防するための魅力的な標的であり、本発明の化合物は、ほとんどまたは全てのプラスモジウム種による感染を治療または予防するのに有効であるはずである。
【0095】
したがって、本発明は、式Iの構造を有する新規ピリダジノン化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物に関する:
【化6】
式中、
Aは、単結合または二重結合のいずれかを介して結合したC、S、OまたはNから独立して選択され、1~4個の炭素原子、0~3個の窒素原子、0~1個の酸素原子および0~1個の硫黄原子の5員ヘテロ芳香族環を形成し、
R
3は、1から12個の炭素を有するアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルまたはチオールから独立して選択される一価の置換基であり、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールまたはチオカルボニルである場合、該置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルまたはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、
nは0~3の整数であり、
mは0~3の整数であり、
Yは、-COCH
2-、-SO
2-、-CO-、-CH
2-、-CH(CH
3)-、-NHCO-、-NCH
3CO-、-CONH-、-CONCH
3-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH-、または-O-を含む基から選択されるAとR
1とを架橋する二価の基であり、
R
1は、0~2個の窒素原子、0~1個の酸素原子および3~6個の炭素原子を含有する5~7員の二価の非芳香族複素環であり、ただし、YおよびR
2は少なくとも3個の原子によって分離されており、この非芳香族複素環は、R
3について定義される0~3個の置換基を有していてもよく、ただし、R
1上の2つ以上のそのような置換基がR
1と縮合して1つ以上のシクロアルキル環、複素環、芳香族環もしくはヘテロ芳香族環を形成してもよく、または、R
1は、場合により0~2個の置換基を組み込んでR
2と縮合して、R
3について定義される0~2個の置換基で場合により置換されている3~7員の縮合複素環を形成してもよく、
R
2は、R
3について定義される置換基から独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であるか、またはR
2上の置換基は、場合によりR
2に縮合して、1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリール環もしくはヘテロアリール環を形成してもよく、または0~2個のR
2置換基は、R
1と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換ヘテロシクリル環を形成してもよい。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、式I(a)の構造を有する新規化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物に関する:
【化7】
式中、
Gは、CまたはNから選択され、場合により(R
6)
qで置換されている複素環の一部であり、qは0~4の整数であり、
R
6は、R
3について定義される通りであり、ただし、Gを含有する複素環上のR
6置換基は、場合により互いにもしくはGを含有する環の炭素原子に縮合して1つ以上のシクロアルキル、複素環、芳香族環または複素芳香族環を形成していてもよく、またはGを含有する複素環上の0~2個の置換基は、R
2と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換シクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成していてもよく、
R
2は、R
3について定義される置換基から独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であるか、またはR
2上の置換基は、場合によりR
2に縮合して、3~8員の1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール環を形成してもよい。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、式I(b)により表される新規なクラスの抗マラリアピリダジノン化合物またはその薬学的に許容される塩の発見に関する:
【化8】
式中、
Aは、O、SまたはNから独立して選択され、
nは、AがOまたはSである場合、0~2の整数であり、
nは、AがNである場合、0~3の整数である。
【0098】
別の実施形態では、本発明の化合物は、以下から選択される。
【化9】
【0099】
本明細書に記載されるように、式I、式I(a)および式I(b)の新規化合物は、この疾患を治療または予防するのに有効な安全で強力かつ有効な抗マラリア化合物を表すことが実証される。
【0100】
したがって、別の実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるマラリア感染を治療または予防する方法であって、薬学的に許容される担体、薬学的に許容される塩または賦形剤中の治療有効量の少なくとも1つの式I、式I(a)および/または式I(b)の化合物を含む組成物を投与するステップを含む、方法に関する。
【0101】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物におけるマラリア感染を治療する方法であって、薬学的に許容される担体または賦形剤中の式I、式I(a)および/または式I(b)の任意の治療的組み合わせを含む組成物を投与するステップを含む、方法に関する。例えば、該組成物は、式Iおよび式I(a);式Iおよび式I(b);式I、I(a)およびI(b);式I(a)およびI(b)などの化合物の組み合わせを含み得る。組み合わせ形態で投与される場合、化合物は、同時または任意の順序で連続的に、次々にすぐにまたは時限間隔で投与され得る。
【0102】
別の実施形態では、本発明は、式I、式I(a)および/または式I(b)の1つまたは複数の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。ビヒクル、アジュバント、賦形剤、または希釈剤などの薬学的に許容される担体は、当業者に周知である。好ましくは、薬学的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用または毒性を有しない。本発明の医薬製剤は、経口、エアロゾル、非経口、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、直腸、および膣を含む様々な経路を介して、それを必要とする個体に投与するのに適している。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物のマラリアを治療または予防する方法であって、有効量の式I、式I(a)、および/または式I(b)の化合物と、少なくとも1つの他の抗マラリア化合物または薬剤とを投与するステップを含む方法を提供する。本発明の新規化合物と組み合わせて投与するのに適した他の抗マラリア薬には、キニーネ、アトバコン、クロロキン、シクログアニル、ヒドロキシクロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、スルファドキシン、プロクアニル、メフロキン、ハロファントリン、パマキン、プリマキン、アルテミシニン、アルテメテル、アルテスナート、アルテニモール、ルメファントリン、ジヒドロアルテミシニン、ピペラキン、アルテテル、ドキシサイクリンおよびクリンダマイシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、マラリア原虫プラスモジウム表面アニオンチャネル(PSAC)の形成を阻害する方法であって、式I、式I(a)、および/または式I(b)の化合物を、場合により1つ以上のさらなる抗マラリア化合物または薬物と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
【0105】
本発明によれば、薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される酸付加塩を含むことができる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸、亜リン酸、ならびに非毒性有機酸、例えば脂肪族モノ-およびジ-カルボキシレート、フェニル置換アルカノエート、ヒドロキシルアルカノエート、およびアルカンジオエート、芳香族酸、ならびに脂肪族および芳香族硫酸から得ることができる。
【0106】
本発明の治療用組成物を固体形態または液体形態のいずれかでの経口投与は、パンデミックの場合には、大規模な曝露集団に薬物を投与する簡便かつ迅速な方法に相当するので有利である。経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される担体または賦形剤を用いて従来の手段によって調製された錠剤またはカプセルの形態をとることができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングされてもよく、徐放または制御放出で製剤化されてもよい。
【0107】
経口投与用の液体製剤は、例えば溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとることができ、または使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供することができる。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステルまたはエチルアルコール)および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される添加剤を用いて従来の手段によって調製され得る。
【0108】
自然発生的なアウトブレイクの場合、感染患者がIV投与を必要とし得ることが想定されるので、本明細書に記載の阻害剤はIV投与にも適している。したがって、本明細書中に記載される阻害剤は、任意の新たに出現したパンデミック株(複数可)のための効果的で安全かつ容易な治療選択肢を提供するであろう。
【0109】
本発明の化合物は、吸入によって投与されるエアロゾル製剤にすることができる。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容可能な噴射剤中に配置することができる。それらはまた、ネブライザーまたはアトマイザーなどの非加圧調製のための薬品として製剤化され得る。
【0110】
非経口投与に適した製剤は、注射可能な単位剤形で製剤化されてもよく、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有することができる水性および非水性の等張性滅菌注射液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含むことができる水性および非水性の滅菌懸濁液を含むことができる。これらの特定の製剤は、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与に特に適している。
【0111】
本発明の新規化合物は、薬学的な担体、例えば滅菌液体または水、生理食塩水、デキストロース水溶液および関連する糖溶液を含む液体の混合物、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノールもしくはヘキサデシルアルコール、リコール、例えばプロピレングリコールもしくはポリエチレン化グリコール、グリセロールケタール、例えば2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール、エーテル、例えばポリ(エチレングリコール)400、油、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはグリセリド、またはアシル化脂肪酸グリセリド中の生理的に許容される希釈剤中で、薬学的に許容される界面活性剤、例えば石鹸または洗剤懸濁剤、例えばペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロース、または乳化剤および他の薬学的アジュバントを添加してまたは添加せずに、投与することができる。
【0112】
本発明の化合物は、当技術分野で公知の乳化基剤または水溶性基剤などの様々な基剤と混合することによって、直腸または膣投与用の坐剤にすることができる。
【0113】
一態様では、本発明は、
a)式I、I(a)および/もしくはI(b)による少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは多形;ならびに以下の1つ以上:
b)場合により、抗マラリア活性を有することが知られている少なくとも1つのさらなる薬剤;
c)マラリア関連疾患を治療または予防するための説明書;
d)マラリア感染の治療または予防に関連して化合物を投与するための説明書;または
e)マラリア関連疾患を治療または予防することが知られている少なくとも1つの薬剤と共に化合物を投与するための説明書
を含む、キットに関する。
【0114】
キットはまた、他の成分と一緒に包装され、一緒に製剤化され、および/または一緒に送達される、化合物および/または製品を含むことができる。例えば、薬物製造業者、薬物再販売業者、医師、調剤店、または薬剤師は、開示された本発明の化合物および/または製品と、患者に送達するための別の構成要素とを含むキットを提供することができる。
【0115】
さらなる態様では、キットは複数の剤形をさらに含み、複数の剤形は1つ以上の用量を含み、各用量は、抗マラリア活性を有することが知られている化合物および薬剤の量を含む。
【0116】
さらなる態様では、有効量は治療有効量である。なおさらなる態様では、有効量は予防有効量である。適切な用量は、いくつかの要因に依存する。例えば、用量はまた、特定の化合物または塩の投与に伴い得る有害な副作用の存在、性質および程度によって決定される。最終的に、主治医が、年齢、体重、全身の健康状態、食事、性別、投与経路、および疾患状態の重症度などの様々な要因を考慮して、各個々の患者を治療するための本発明の化合物の投与量を決定する。
【0117】
別の実施形態では、本発明は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防するための医薬組成物に関する:
Q-Y-R1-R2
(II)
式中、
Qは、6-ピリダジン-3-(2H)-オン、5-ピリジン-2(1H)-オン、置換カルボキサミド、または置換カルボキシレート部分に隣接していない部位で環に結合した基Yを有する5員のヘテロアリール環であり、Qは、場合により、ヘテロアリール環、6-ピリダジン-3-(2H)-オン部分のいずれか、または両方で、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、またはチオールから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、およびチオカルボニルである場合、各置換基は、場合により、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテル、およびチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、
Yは、-COCH2-、-CH2CO-、-SO2-、-CO-、-CH2-、-CH(CH3)-、-NHCO-、-NCH3CO-、-CONH-、-CONCH3-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH-、および-O-を含む基から選択されるQとR1とを架橋する二価の基であり、
R1は、0~2個の窒素原子、0~1個の酸素原子および3~6個の炭素原子を含有する5~7員の二価の非芳香族複素環であり、ただし、YとR2とは少なくとも3個の原子によって分離されており、非芳香族複素環は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルもしくはチオールから選択される0~3個の置換基を有していてもよく、置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールもしくはチオカルボニルである場合、各置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、ただし、R1上の2つ以上のこのような置換基がR1と縮合して1つ以上のシクロアルキルもしくは複素環を形成してもよく、またはあるいは、R1は、R2と縮合して、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個の置換基で場合により置換されている3~7員の縮合シクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成してもよく、
R2は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニルもしくはチオールから独立して選択される0~4個の置換基を有する5もしくは6員ヘテロアリール環であり、該置換基がアルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキナール、アミド、アミジノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールオキシ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シクロアルキル、エステル、グアニジノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、イミノ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリールもしくはチオカルボニルである場合、該置換基は、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジノ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから独立して選択される0~3個の基でさらに置換されていてもよく、または
R2上の置換基は、場合によりR2に縮合して、1つ以上のシクロアルキル、複素環、アリール環もしくはヘテロアリール環を形成してもよく、または0~2個のR2置換基は、R1と共に、アルケノキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキルアミノ、アルキナール、アルキノキシ、アミド、アミジノ、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アジド、アゾ、カルバメート、カルバミド、カルボニル、カルボキサミド、カルボキシレート、シアノ、シクロアルキル、エステル、エーテル、グアニジン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、ホスフェート、スルフィニル、スルホンアミジル、スルホニル、チオアルキル、チオアリール、チオカルボニル、チオエーテルもしくはチオールから選択される0~2個のさらなる置換基を有する縮合置換もしくは非置換のシクロアルキルもしくはヘテロシクリル環を形成してもよい。
【0118】
【0119】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象におけるマラリアを治療または予防する方法であって、有効量の式IIの化合物を含む医薬組成物を該対象に投与することを含む方法に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0120】
別の実施形態では、式IIの化合物を含む医薬組成物は、第2の抗マラリア薬と組み合わせて投与され得る。
【0121】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象におけるマラリア感染を治療または予防するための式IIを含む医薬組成物の使用に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0122】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物対象におけるマラリア感染を治療または予防するための医薬品の製造における式IIを含む医薬組成物の使用に関する。好ましい実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【実施例】
【0123】
以下の実施例は、本開示の主題の態様を例示するために含まれている。本開示および当業者の一般的なレベルに照らして、当業者は、以下の実施例が本発明の例示を意図しており、本出願に記載される本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解するであろう。
【0124】
実施例1 マラリア阻害剤化合物の合成
本明細書に記載のピラジニル化合物は、以下の一般的スキームによって合成することができる。
【化11】
【0125】
式Iの化合物は、以下のように合成することができる。
【0126】
塩化ピラジニルチオスルホニルの形成の一般的手順:
【0127】
5-(4-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)チオフェン-2-スルホニルクロリドの合成
【0128】
ステップ1:水(20mL)中にグリオキシル酸一水和物(4.17g、45.3mmol)および1-(チオフェン-2-イル)プロパン-1-オン(19.0g、135mmol)を含有するフラスコを130°Cで16時間加熱した。混合物を室温に冷却し、水(20mL)およびNH4OH(3mL、28~30%水溶液)の混合物を添加することによって中和した。次いで、過剰の残りの1-(チオフェン-2-イル)エテノンをCH2Cl2(10mL×2)で抽出することによって除去した。ヒドラジン水和物(2.2mL)を得られた水層に添加し、混合物を16時間加熱還流した。室温に冷却した後、液体をデカントし、メタノール(3mL)を残りのワックス状固体に添加した。得られた懸濁液を濾過した後、固体をメタノールですすぎ、真空中で乾燥させて、5-メチル-6-(チオフェン-2-イル)ピリダジン-3(2H)-オンを黄色固体として得た(2.55g、29%)。1H NMR(DMSO-d6):δ13.14(br s,1H),7.64(d,1H),7.48(d,1H),7.50(dd,1H),6.83(s,1H),2.37(s,3H);MS:193.0(M+1)。
【0129】
ステップ2:氷浴で冷却したCHCl3(10mL)を含有するフラスコに、ClSO3H(1mL)をゆっくり添加した。10分後、5-メチル-6-(チオフェン-2-イル)ピリダジン-3(2H)-オン(0.69g、3.6mmol)を30分かけて少しずつ添加した。反応混合物を室温に加温した。8時間後、反応混合物を氷に注いだ。得られた黄色固体を濾過によって収集し、水ですすぎ、真空中で乾燥させて、5-(4-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)チオフェン-2-スルホニルクロリドを黄色固体として得た(0.7g、67%、純度>98%)。1H NMR(DMSO-d6):δ13.09(br s,NH),7.26(d,1H),7.09(d,1H),6.83(s,1H),2.36(s,3H);MS:291.1(M+1)。他のスルホニルクロリドは、このようにして調製したか、または商業的供給源から得た。
【0130】
スルホンアミド形成の一般手順:
【0131】
2-(4-((5-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)チオフェン-2-イル)スルホニル)ピペラジン-1-イル)ニコチノニトリル
MBX 2997
【化12】
【0132】
ジクロロメタン(8mL)中に5-(6-オキソ-1,6-ジヒドロピリダジン-3-イル)チオフェン-2-スルホニルクロリド(150mg、0.54mmol)および2-(ピペラジン-1-イル)ニコチノニトリル(131mg、0.54mmol)を含有するフラスコに、ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.81mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。得られた不均一な混合物を濾過し、ジクロロメタンで数回洗浄し、真空中(12時間)で乾燥させて、白色固体(170mg、65%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6):δ13.30(s,1H),8.42(dd,1H),8.13-8.08(m,2H),7.85(d,1H),7.72(d,1H),7.08-6.96(m,2H),3.70-3.60(m,4H),3.20-3.05(m,4H);LCMS(429.3(M+1)。
【0133】
他のスルホンアミドを、適切な出発物質から同様の方法で調製した。このステップで使用されるピペラジンは、商業的供給源から入手するか、または文献からの標準的な化学的手順を用いて生成した。
【0134】
式IIの化合物は、以下のように合成することができる。
【0135】
本明細書に記載のカルボキサミド化合物は、以下の一般的スキームによって合成することができる。
【化13】
【0136】
スルホニルチオフェンカルボキサミド形成の一般的手順:
【0137】
5-((4-(2,5-ジメチルフェニル)ピペラジン-1-イル)スルホニル)-N,N-ジメチルチオフェン-2-カルボキサミド(MBX-3248)
【化14】
【0138】
ステップ1:トリエチルアミン(0.120mL、1.3当量)を、ジクロロメタン(4.0mL)中にメチル5-(クロロスルホニル)チオフェン-2-カルボキシレート(150mg、0.67mmol、1.0当量)および1-(2,5-ジメチルフェニル)ピペラジン(153mg、0.80mmol、1.2当量)を含有するフラスコに添加し、この反応物を室温で18時間撹拌した。次いで、混合物を水(10mL)で希釈した後、水層をCH2Cl2(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、真空下で乾燥させて、所望の生成物を黄色固体として定量的に得た。得られた化合物(295mg、0.67mmol、1.0当量)をTHF/H2O(1:1、0.04M)に溶解し、これに1N LiOH(水溶液)21.0mLを添加し、室温で18時間攪拌した。揮発性物質を除去し、得られた水層を2N HClを用いてpH約2に酸性化した。形成された沈殿物を濾過し、ヘキサン(3×5mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、生成物0.306gを得て、これをさらに精製することなく次の反応に使用した、MS:381(M+1)。1H NMR(DMSO-d6):δ 7.84(d,1H),7.70(d,1H),7.00(d,1H),6.89(s,1H),6.78(d,1H),3.34(s,4H),2.93(s,4H),2.23(s,3H),2.10(s,3H)。
【0139】
ステップ2:CH2Cl2(0.15M)中の5-((4-(2,5-ジメチルフェニル)ピペラジン-1-イル)スルホニル)チオフェン-2-カルボン酸(306mg、0.80mmol、1.0当量)の溶液に、DMF(0.50mL、3.0当量)を添加し、続いて氷水浴中で冷却した。次いで、塩化オキサリル(0.3mL、2.0当量)を添加した。室温に加温し、1時間撹拌した後、反応混合物をMe2NHガスで数分間バブリングし、室温で1~5時間撹拌した。反応をTLCで監視した。反応が完了した後、水(10mL)を添加し、有機物を分離した。水層をCH2Cl2(2×10mL)で抽出した。全ての有機物を合わせ、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得、これをEtOAc/DCM 0~40%勾配を有するシリカゲルカラムを用いて精製した。所望の画分を合わせ、減圧下で濃縮し、真空中で乾燥させて、純粋な所望の生成物を白色固体として得た(225mg、69%)。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.49(d,1H),7.36(d,1H),7.06(d,1H),6.84-6.81(m,2H),3.30-3.20(m,4H),3.20-3.15(m,6H),3.02-2.99(m,4H),2.30(s,3H),2.18(s,3H);MS408.0(M+1);Rf:0.50(3%MeOH/CH2Cl2)。
【0140】
他のカルボキサミドは、適切な出発材料から同様の方法で調製した。このステップで使用されるピペラジンは、商業的供給源から入手するか、または文献からの標準的な化学的手順を用いて生成した。
【0141】
実施例2 選択マラリア阻害剤の特徴づけデータ。
【0142】
新規マラリア阻害剤化合物を、エレクトロスプレーイオン化戦略を使用して、300MHzでの
1H NMRスペクトルおよびm/z(典型的にはM+1)を用いたLCMSによって特徴付けた。表5および表6(以下)は、選択例の代表的なデータを示す。
【表5】
【0143】
実施例3 阻害剤化合物の効力
【0144】
i.輸送阻害アッセイ。
輸送実験を行って、PSACに対する阻害剤化合物の親和性を調べた。PSACを遮断するための阻害剤親和性を、ソルビトールによる感染細胞の浸透圧溶解に基づく定量的透過率アッセイ(Desai,S.およびA.Pillai著、米国特許第8618090号明細書、前出(2013年);Dondorpら著、前出(2009年);Hooft van Huijsduijnen,R.およびT.N.Wells著、前出(2018年))を使用して決定した。マラリア原虫培養物を栄養体段階でPercoll-ソルビトール法(Pillaiら著、「Mol.Pharmacol.」82:1104-1114(2012年);Pillaiら著、「Mol.Pharmacol.」 77:724-733(2010年);Wagnerら著、「Biophys.J.」 84:116-123(2003年))によって濃縮し、洗浄し、示された濃度の阻害剤化合物と共に、37°Cおよび0.15%ヘマトクリットで、280mMソルビトール、20mM Na-HEPES、0.1mg/mlウシ血清アルブミン中、pH7.4に再懸濁した。PSAC媒介ソルビトール取り込みから生じる浸透圧溶解を、細胞懸濁液(700nm波長、ペルチェ温度制御付きDU 640分光光度計;Beckman Coulter、Fullerton、CA)を通して透過率測定で連続的に追跡した。
【0145】
阻害剤用量-反応関係(K0.5値)を、溶解率閾値に達するのに必要な時間から計算した。浸透圧溶解アッセイで得られたK0.5推定値は、細胞付着パッチクランプアッセイおよび全細胞パッチクランプアッセイ(Alkhalilら著、「Blood」104:4279-4286(2004年);Dondorpら著、「N.Engl.J.Med.」361:455-467(2009年))を使用して得られたものと一致し、定量的に堅牢かつ有効なアッセイが確認される。結果を表6(PSAC K0.5)に示す。
【0146】
ii.インビトロの寄生虫増殖阻害試験。
熱帯熱マラリア原虫実験室系統を、25mM HEPES、31mM NaHCO3、0.37mMヒポキサンチン、10μg/mlゲンタマイシン、および10%プールヒト血清を補充したRPMI 1640培地で、標準的な方法を用いて無性生殖段階で増殖させた。栄養枯渇実験では、標準的なPSAC増殖阻害培地(PGIM)を使用したが、個々の成分の濃度は低下させた。ヒト血清を蒸留水に対して徹底的に透析した後、それらの培地に添加した。PGIMは、低濃度のイソロイシン(11.4μM)、グルタミン(102μM)およびヒポキサンチン(3.01μM)を含有し、透析したヒト血清を補充された。増殖阻害実験(Burrowsら著、「Parasitology」、141:128-139(2013年))を、以前に記載されているように(Dondorpら著、前出(2009年))、96ウェルマイクロプレート中での寄生虫核酸についてのSYBR Green Iに基づく蛍光アッセイを使用することによって定量化した。リングステージを同期させた培養物を、標準培地またはPGIM中に1%寄生虫血症および2%ヘマトクリットレベルで播種し、培地を変更することなく、窒素中5% O2/5% CO2中37°Cで72時間維持した。次いで、培養物を、5000倍希釈のSYBR Green I核酸ゲル染色剤(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて、20mM Tris、10mM EDTA、0.016%サポニン、1.6% Triton X-100中、pH7.5に溶解した。
【0147】
45分間のインキュベーション後、寄生虫DNA含有量を蛍光測定(励起、485nm;発光、528nm)によって定量した。結果を、熱帯熱マラリア原虫(Pf)DNA含有量を50%減少させる阻害剤の濃度(IC50 PGIM)として定義されるIC50値として示した。結果を表7に示す。
【0148】
実施例4 インビトロのADMET法
【0149】
i.哺乳動物細胞傷害性
阻害剤化合物の細胞毒性を、96ウェルプレートに4000細胞/ウェルで播種したヒトHeLa細胞(CLL-2;American Type Culture Collection、Manassas、VA)を使用して定量した。培養物を、10%ウシ胎児血清を補充した最小必須培地(Invitrogen)中、個々の阻害剤化合物と共に37°Cで72時間インキュベートした。細胞生存率を、生体染色3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメチルフェノール)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム、内塩(MTS)(5)を使用して定量した。
【0150】
哺乳動物細胞毒性(CC50)は、細胞生存率を50%低下させる阻害剤の濃度として定義される(HeLa CC50)。結果を表6に示す。
【0151】
ii.ミクロソームおよび血清安定性アッセイ
ミクロソームおよび血清安定性アッセイは、インビボで肝臓および血清に曝露した場合の阻害剤化合物の安定性を測定する。
【0152】
ミクロソーム安定性測定のために、阻害剤化合物を、NADPHを含む緩衝液中でマウスミクロソームタンパク質とインキュベートし(Bevan,C.およびR.Lloyd著、「Anal.Chem.」72:1781-1787(2000年))、得られた試料をLC/MSによって分析して残りの親を定量した。データを、残りの親のパーセントとして計算する。結果を表7(MLMS)に示す。
【0153】
血清安定性のために、阻害剤化合物を55%マウス血清に曝露し、得られた試料をLC/MSによって分析して残りの親を定量した。データを、残りの親のパーセントとして計算する。結果を表7(MSS)に示す。
【0154】
iii.シトクロムP450阻害
シトクロムP450阻害を測定するために、蛍光発生基質アッセイを使用して、インビボで薬物を代謝する酵素に対する阻害剤化合物の干渉を測定した(Houston,J.著、「Biochem.Pharmacol.,47:1469-1479(1994年))。阻害剤化合物の阻害パーセントを表7に示す(Cyp 3A4)。
【0155】
iv.Caco-2透過性
Caco-2アッセイは、阻害剤化合物の潜在的な経口バイオアベイラビリティの指標である。Caco-2細胞を、記載されるように(Duraisingh,M.およびA.Cowman著、「Acta Trop.」94:181-190(2005年))、コラーゲン被覆BioCoat Cell Environment(BD Biosciences)プレートのウェルに適用した。試験薬剤を頂端(A)側に添加し、透過量をLC/MS/MS分析によって側底(B)側で決定した。AおよびB側の材料の量を使用して、Papp値(Caco-2 Papp)を計算した。結果を表7に示す。
【0156】
v.溶解度。
阻害剤化合物の溶解度を比濁法(Bevan,C.およびR.Lloyd著、前出(2000年))によって決定した。マイクロタイタープレート中でのレーザー比濁法を用いた水性薬物溶解度の決定のためのハイスループットスクリーニング方法。
【0157】
化合物をDMSOで段階希釈し、次いで水に添加した。結果は、相対吸収/濃度曲線の勾配の急激な増加を引き起こさない化合物の最高濃度を示す。さらに、比濁法の結果を確認するために、化合物を試験ビヒクル(脱イオン水、PBS、またはD5W)と共に20℃で4時間撹拌した。完全な溶解が得られた場合、さらなる化合物を添加した。次いで、混合物を濾過し、濾液をHPLCによってアッセイして、溶液中の化合物の量(溶解度)を定量した。結果を表7に示す。
【0158】
実施例5 マウス試験
【0159】
忍容性。試験化合物を1~10mg/mLの濃度で種々の製剤(5% DMSO、5%クレモフォール、80% PEG-300または10% DMSO、80% PEG-400、1%ポリソルベート80)に溶解した。雄CD-1マウスに、静脈内(IV)、腹腔内(IP)または経口(PO)経路によって、4用量レベルの各試験化合物(ビヒクル対照+表8に記載の10~200mg/kgの範囲の3用量レベル)の試験化合物を投与した。表8に記載の臨床観察を、マウスを人道的に安楽死させた24時間後までの種々の時点で行った。
【0160】
薬物動態(PK)。試験化合物を上記のように製剤化し、雄CD-1マウスに、IVおよびPO経路によって10~40mg/kg(表9)の単回用量レベルの試験化合物を投与した。連続血液試料を経路あたり7つの時点(0.083、0.25、0.5、1、4、8、24時間)で収集した。試料を処理し、化合物含有量をLC/MSによって分析した。WinNonLinプログラムを使用してPKパラメータを計算した。
【0161】
有効性。化合物MBX 3318および4055を試験するためにヒト化マウスモデルを使用した。簡潔には、10日間ヒト赤血球(hEr)を移植したNOD-scid IL-2 Rγnull(NSG)マウスに、熱帯熱マラリア原虫Pf3D70087/N9を感染させた。次いで、マウスを、100mg/kgのMBX 3318(式IのR
2位にヘテロアリールを有するISG-21の類似体)で、経口経路により4日間1日2回治療した。結果を
図2に示す。
【0162】
第2の試験では、NSGマウスを、25mg/kgまたは50mg/kgのいずれかのMBX 4055で、経口経路により4日間1日1回または2回治療した。対照マウスをビヒクル単独(MBX 3318については10% DMSO、80% PEG400、1%ポリソルベート80、またはMBX 4055についてはH
2O中の6.25% DMSO、12.5%ポリソルベート80、43.75%ラブラゾール、1.25%ヒドロキシプロピルメチルセルロース)で処置した。寄生虫血症のパーセントを、MBX 3318および4055の血漿レベルと同様に5日間毎日測定した。結果を
図3に示す。
【0163】
【0164】
【0165】
実施例6 マウス試験
【0166】
i.マウス忍容性
ピリダジノン化合物MBX 3318、MBX 3976、および4055を、静脈内(IV)および経口(PO)経路(3318)によって、ならびにPOおよび腹腔内(IP)経路(3976および4055)によって、10~200mg/kgの単回用量としてCD-1マウスに投与した。動物を毒性の徴候について24時間監視した。MBX 3318のIV投与の場合、50mg/kgまでの用量で症状は観察されず(データは示さず)、80% PEG-300、10% DMSOを含む製剤は許容されると考えられた。
【0167】
PO投与(表8)については、全ての症状が軽度であると考えられ、試験の終わりまでに解消され、80% PEG-300、5% クレモフォール、5% DMSOを含む製剤が、これらの結果における因子と考えられた。MBX 3976および4055のPO投与の場合、用量に関連しないいくらかのわずかな嗜眠が観察された(表8)。全ての症状は軽度と考えられ、10% DMSO、80% PEG-400、1%ポリソルベート80を含む製剤に関連すると考えられた。この製剤は、IP経路によって投与した場合、マウスに対してより毒性であった(データは示さず)。
【0168】
【0169】
ii.マウス薬物動態
化合物MBX 3318、3976、および4055をIVおよびPO経路によってCD-1マウスに投与し、7つの時点(0.083、0.25、0.5、1、4、8、24時間)で連続血液試料を収集した。濃度時間曲線を
図1に示す。3つ全ての化合物について計算したパラメータを表9に示す。
【0170】
データの全体的な分析は、MBX 4055およびMBX 3976の両方について劇的に改善されたMBX 3318の許容可能なパラメータを示す。3つの化合物の半減期は0.4~2.9時間の範囲であり、MBX 3318が最も迅速に除去された。同様に、MBX 3976および4055のIV CmaxおよびAUC値は、同等の用量での忍容性試験においてより少ない有害作用を示したにもかかわらず、MBX 3318の場合よりもはるかに高かった。最後に、3つの化合物の経口投与は、それぞれ、MBX 3318と比較して、MBX 3976およびMBX 4055の正規化曝露の>10倍および>30倍の増加を明らかにした。実際、MBX 4055は、残りの2つの化合物よりもはるかに高い経口バイオアベイラビリティ(66%)を有していた。これらの結果は、MBX 3318が比較的低い曝露にもかかわらず極めて良好な有効性を示したため、有意である(下記参照)。
【0171】
【0172】
iii.マウス効力
MBX 3318をNSG(ヒト化)マウスモデルで試験した。ピリダジノン化合物はネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)PSACチャネルを阻害しないので、これはこの化合物の重要なアッセイであり、このマウス寄生虫を標準的なマウスマラリアモデルに使用する。
【0173】
熱帯熱マラリア原虫に感染したヒト化NSGマウスを、100mg/kgのMBX 3318で1日2回、PO経路によって4日間処置した。対照マウスをビヒクル単独(10% DMSO、80% PEG 400、1%ポリソルベート80)で処置した。結果を
図2Aに示す。
図2Aに示すように、MBX 3318は、投与の4日後に、ヒト化マウスにおいて、対照動物と比較して寄生虫の増殖を約73.3%減少させることができた。アッセイ中、MBX 3318で処置したマウスから血液試料を採取して化合物のレベルを測定した(
図2B)。レベルは、この化合物のインビトロでのIC
50をはるかに上回っており、これは、化合物が寄生虫に対して阻害効果を示すのに十分であるはずである。さらに、血中レベルは、標準RPMI培地で試験したMBX 3318のIC
50をわずかに上回っただけであり、PGIM IC
50値がマウス(およびおそらくヒト)血清状態により関連することを示唆した。この概念実証試験は非常に有望であり、マウスにおける熱帯熱マラリア原虫寄生虫の増殖がPSAC阻害剤によって阻害され得ることを実証している。
【0174】
マウスモデルをMBX 4055に対しても使用した。熱帯熱マラリア原虫に感染したヒト化NSGマウスを、25または50mg/kgのMBX 4055で1日2回または50mg/kgで1日1回、PO経路によって4日間処置した。対照マウスをビヒクル単独(H
2O中6.25% DMSO、12.5%ポリソルベート80、43.75%ラブラゾール、1.25%ヒドロキシプロピルメチルセルロース)で治療した。結果を
図3に示す。
図3Aに示すように、MBX 4055の50mg/kgの1日1回投与は、投与4日後に、ヒト化マウスにおいて、対照マウスと比較して寄生虫の増殖を90%以上減少させることができた。残念なことに、ビヒクルのみのマウスを含めて1日2回投与された残りのマウスは、ラブラゾール含有ビヒクルの明らかな毒性のために2~5日以内に死亡した。アッセイ中、MBX 4055で処置したマウスから血液試料を採取して化合物のレベルを測定した(
図3B)。レベルは、この化合物のインビトロでのIC
50をはるかに上回っており、これは、化合物が寄生虫に対して阻害効果を示すのに十分であるはずである。この概念実証試験は、MBX 3318よりもさらに有望であることを示し、マウスにおける熱帯熱マラリア原虫寄生虫の増殖がPSAC阻害剤によって阻害され得ることを実証している。
【0175】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の文献は、その全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0176】
開示された化合物に対する明白な変形および本発明の代替実施形態は、前述の開示を考慮すると当業者には明らかであろう。そのような明白な変形および代替は全て、本明細書に記載の本発明の範囲内にあると考えられる。
【国際調査報告】