(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】軌道予測方法及び装置、及び地図
(51)【国際特許分類】
B60W 30/095 20120101AFI20240126BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20240126BHJP
【FI】
B60W30/095
B60W30/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544346
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2021128973
(87)【国際公開番号】W WO2022156309
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110100000.9
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディン、タオ
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA32
3D241BA33
3D241DC32Z
(57)【要約】
本願は、軌道予測方法及び装置、及び地図を開示しており、V2X、インテリジェントビークル、自動運転、インターネットオブビークル、及びネットワーク運転などの分野に関する。本方法において、少なくとも1つの目標ポイントがまず決定され、ここで、目標ポイント及び車両の間の距離は第1範囲に含まれており;目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道は、少なくとも1つの目標ポイント及び目標の地理的位置に基づいて取得されており;目標の予測軌道は、少なくとも1つの基準軌道から決定される。本方法を使用することによって実行される軌道予測中には、目標の履歴移動情報が使用されるだけでなく、目標ポイントについての情報も使用されており、より多様な情報が使用され得る。したがって、本方法は、次の比較的短い期間における目標の軌道を正確に予測できるだけでなく、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの目標ポイントを決定する段階、ここで前記目標ポイント及び車両の間の距離は、第1範囲に含まれる;
目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を、前記少なくとも1つの目標ポイント及び前記目標の地理的位置に基づいて取得する段階;及び
前記少なくとも1つの基準軌道から前記目標の予測軌道を決定する段階
を備える、軌道予測方法。
【請求項2】
少なくとも1つの目標ポイントを決定する前記段階は、
基準点がマーク付けされた地図を照会することによって又は前記基準点を示したテキストファイルを照会することによって第1基準点を決定する段階、ここで前記第1基準点及び前記車両の間の距離は前記第1範囲に含まれる;及び
第1基準点の数がnより大きくない場合、前記第1基準点を前記目標ポイントとして決定する段階、ここでnは予め設定された自然数である;又は
第1基準点の数がnより大きい場合、前記第1基準点から前記少なくとも1つの目標ポイントを選択する段階
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を取得する前記段階は、
前記目標から前記少なくとも1つの目標ポイントへの履歴軌道を前記少なくとも1つの基準軌道として決定する段階;又は
交通規則が満たされたとき、前記目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントのうちいずれか一つの間の最も短い軌道を基準軌道として決定する段階
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記目標から前記少なくとも1つの基準軌道への予測軌道を決定する前記段階は、
次のs秒における前記目標の短期軌道を前記目標の移動トレンドに基づいて決定する段階;
前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定する段階、ここで、前記基準軌道の前記信頼度は、前記基準軌道及び前記短期軌道の間のフィッティング度を示す;及び
最も高い信頼度を有する基準軌道を前記目標の前記予測軌道として決定する段階
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
次のs秒における前記目標の短期軌道を前記目標の移動トレンドに基づいて決定する前記段階は、
現在の移動トレンド下で前記目標がs秒間移動した後に取得された軌道を前記短期軌道として決定する段階;又は
前記目標の前記移動トレンドに基づいて前記目標の第2パラメータを決定する段階、ここで、前記目標の前記第2パラメータは、前記目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、前記目標の地理的位置、及び前記目標の環境情報を含む;及び
前記第2パラメータがニューラルネットワークモデルに入力された後、前記次のs秒における前記目標の、前記ニューラルネットワークモデルによって出力された前記短期軌道を取得する段階
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定する前記段階は、
前記少なくとも1つの基準軌道の前記短期軌道の投影値を次の式に従って決定する段階
を含み、ここで前記投影値は前記少なくとも1つの基準軌道の前記信頼度であり;
【数33】
であり、
【数34】
は、基準軌道
【数35】
上の前記短期軌道
【数36】
の投影値であり;
【数37】
は、前記短期軌道
【数38】
及び前記基準軌道
【数39】
の間の挟角であり、前記基準軌道
【数40】
は、前記少なくとも1つの基準軌道のうちいずれか一つである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記車両が前記目標と衝突しようとしていることが前記予測軌道に基づいて決定された後、前記車両の運転挙動を調整する段階
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサ及び送受信機インタフェース
を備え、ここで
前記送受信機インタフェースは、センサについての情報を受信するように構成されており;
前記プロセッサは、前記センサについての前記情報に基づいて少なくとも1つの目標ポイントを決定すること、ここで前記目標ポイント及び車両の間の距離は第1範囲に含まれる;目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を、前記少なくとも1つの目標ポイント及び前記目標の地理的位置に基づいて取得すること;及び、前記少なくとも1つの基準軌道から前記目標の予測軌道を決定することを行うように構成されている
軌道予測装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
基準点がマーク付けされた地図を照会することによって又は前記基準点を示したテキストファイルを照会することによって第1基準点を決定すること、ここで前記第1基準点及び前記車両の間の距離は前記第1範囲に含まれる;及び
第1基準点の数がnより大きくない場合、前記第1基準点を前記目標ポイントとして決定すること、ここでnは予め設定された自然数である;又は
第1基準点の数がnより大きい場合、前記第1基準点から前記少なくとも1つの目標ポイントを選択すること
を行うように具体的に構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記目標から前記少なくとも1つの目標ポイントへの履歴軌道を前記少なくとも1つの基準軌道として決定するように具体的に構成されているか、又は、前記プロセッサは、交通規則が満たされたとき、前記目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントのうちいずれか一つの間の最も短い軌道を基準軌道として決定するように具体的に構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
次のs秒における前記目標の短期軌道を前記目標の移動トレンドに基づいて決定すること;
前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定すること、ここで、前記基準軌道の前記信頼度は、前記基準軌道及び前記短期軌道の間のフィッティング度を示す;及び
最も高い信頼度を有する基準軌道を前記目標の前記予測軌道として決定すること
を行うように具体的に構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、現在の移動トレンド下で前記目標がs秒間移動した後に取得された軌道を前記短期軌道として決定するように具体的に構成されている;又は
前記プロセッサは、前記目標の前記移動トレンドに基づいて前記目標の第2パラメータを決定すること、ここで、前記目標の前記第2パラメータは、前記目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、前記目標の地理的位置、及び前記目標の環境情報を含む、;及び
前記第2パラメータがニューラルネットワークモデルに入力された後、前記次のs秒における前記目標の、前記ニューラルネットワークモデルによって出力された前記短期軌道を取得すること
を行うように具体的に構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記少なくとも1つの基準軌道の前記短期軌道の投影値を次の式に従って決定するように具体的に構成されており、ここで前記投影値は前記少なくとも1つの基準軌道の前記信頼度であり;
【数41】
であり、
【数42】
は、基準軌道
【数43】
上の前記短期軌道
【数44】
の投影値であり;
【数45】
は、前記短期軌道
【数46】
及び前記基準軌道
【数47】
の間の挟角であり、前記基準軌道
【数48】
は、前記少なくとも1つの基準軌道のうちいずれか一つである、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサはさらに、
前記車両が前記目標と衝突しようとしていることが前記予測軌道に基づいて決定された後、前記車両の運転挙動を調整することをように構成されている、請求項8から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
第1層を備え、ここで
前記第1層は少なくとも1つの基準点を含み、前記基準点は、ビジネス産業の場所、企業の場所、及びサービス産業の場所といった場所のうちの少なくとも1つを含む、地図。
【請求項16】
前記基準点は、第1期間における第2閾値より少なくない数の人が通過する場所である、請求項15に記載の地図。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサ及びメモリ
を備える端末装置であって、ここで
前記メモリは、プログラム命令を記憶するように構成されており;
前記プロセッサは、前記メモリに記憶された前記プログラム命令を呼び出して実行するように構成されており、その結果、前記端末装置は、請求項1から7のいずれか一項に記載の軌道予測方法を実行する
端末装置。
【請求項18】
コンピュータに、請求項1から7のいずれか一項に記載の軌道予測方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、インテリジェント輸送技術分野、具体的には、軌道予測方法及び装置、及び地図に関する。
【背景技術】
【0002】
走行プロセスにおいて、インテリジェントビークルは通常、道路上の目標の軌道を予測する必要がある。目標は、道路上の歩行者又は別の車両であり得る。したがって、インテリジェントビークルは、予測結果に基づいてインテリジェントビークルの運転挙動を計画し、インテリジェントビークル及び目標の間の衝突を回避する。
【0003】
現在、目標の軌道を予測するとき、インテリジェントビークルは通常、インテリジェントビークル内に構成されたセンサに基づいて目標の履歴移動情報を取得する。履歴移動情報は通常、目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、及び目標が位置付けられた道路の車線境界線情報を含む。次に、車両は、当該情報に基づいて目標の軌道を予測し、目標の予測軌道を取得する。
【0004】
換言すれば、従来技術では、目標の軌道予測中に、目標の履歴移動情報が使用される。したがって、従来技術では、次の比較的短い期間における目標の軌道は、比較的高い正確度で予測され得るが、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度は比較的低くなる。例えば、従来技術では、次の3秒から5秒における目標の軌道のみが正確に予測され得、より長い期間における軌道を予測することの正確度は比較的低くなることが複数のテストを介して発見されている。
【発明の概要】
【0005】
既存の軌道予測方法では次の比較的短い期間における目標の軌道のみが正確に予測できるという問題を解決するべく、本願の実施形態は、軌道予測方法及び装置、及び地図を提供する。
【0006】
第1態様によると、本願の実施形態は、
少なくとも1つの目標ポイントを決定する段階、ここで前記目標ポイント及び車両の間の距離は、第1範囲に含まれる;
目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を、前記少なくとも1つの目標ポイント及び前記目標の地理的位置に基づいて取得する段階;及び
前記少なくとも1つの基準軌道から前記目標の予測軌道を決定する段階
を備える、軌道予測方法を開示する。
【0007】
本解決手段によると、目標の軌道予測中は、目標の履歴移動情報が使用されるだけでなく、目標ポイントについての情報も使用される。したがって、本解決手段は、次の比較的短い期間における目標の軌道を正確に予測できるだけでなく、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させることもできる。
【0008】
任意の設計において、少なくとも1つの目標ポイントを決定する前記段階は、
基準点がマーク付けされた地図を照会することによって又は前記基準点を示したテキストファイルを照会することによって第1基準点を決定する段階、ここで前記第1基準点及び前記車両の間の距離は前記第1範囲に含まれる;及び
第1基準点の数がnより大きくない場合、前記第1基準点を前記目標ポイントとして決定する段階、ここでnは予め設定された自然数である;又は
第1基準点の数がnより大きい場合、前記第1基準点から前記少なくとも1つの目標ポイントを選択する段階
を含む。
【0009】
前述の設計によると、少なくとも1つの目標ポイントは、基準場がマーク付けされた地図及び/又は基準場を示したテキストファイルに基づいて決定され得る。
【0010】
任意の設計において、目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を取得する前記段階は、
前記目標から前記少なくとも1つの目標ポイントへの履歴軌道を前記少なくとも1つの基準軌道として決定する段階;又は
交通規則が満たされたとき、前記目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントのうちいずれか一つの間の最も短い軌道を基準軌道として決定する段階
を含む。
【0011】
任意の設計において、前記目標から前記少なくとも1つの基準軌道への予測軌道を決定する前記段階は、
次のs秒における前記目標の短期軌道を前記目標の移動トレンドに基づいて決定する段階;
前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定する段階、ここで、前記基準軌道の前記信頼度は、前記基準軌道及び前記短期軌道の間のフィッティング度を示す;及び
最も高い信頼度を有する基準軌道を前記目標の前記予測軌道として決定する段階
を含む。
【0012】
前述の設計によると、予測軌道は、基準軌道の信頼度に基づいて基準軌道から決定され得る。基準軌道のより高い信頼度は、基準軌道が短期軌道によりフィッティングすることを示す。したがって、前述の設計において決定された予測軌道は、基準軌道における、目標の移動トレンドに最もフィッティングした基準軌道である。
【0013】
任意の設計において、次のs秒における前記目標の短期軌道を前記目標の移動トレンドに基づいて決定する前記段階は、
現在の移動トレンド下で前記目標がs秒間移動した後に取得された軌道を前記短期軌道として決定する段階;又は
前記目標の前記移動トレンドに基づいて前記目標の第2パラメータを決定する段階、ここで、前記目標の前記第2パラメータは、前記目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、前記目標の地理的位置、及び前記目標の環境情報を含む;及び
前記第2パラメータがニューラルネットワークモデルに入力された後、前記次のs秒における前記目標の、前記ニューラルネットワークモデルによって出力された前記短期軌道を取得する段階
を含む。
【0014】
任意の設計において、前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定する前記段階は、
前記少なくとも1つの基準軌道の前記短期軌道の投影値を次の式に従って決定する段階
を含み、ここで前記投影値は前記少なくとも1つの基準軌道の前記信頼度であり;
【数1】
であり、ここで
【数2】
は、基準軌道
【数3】
上の前記短期軌道
【数4】
の投影値であり;
【数5】
は、前記短期軌道
【数6】
及び前記基準軌道
【数7】
の間の挟角であり、前記基準軌道
【数8】
は、前記少なくとも1つの基準軌道のうちいずれか一つである。
【0015】
任意の設計において、前記方法はさらに、
前記車両が前記目標と衝突しようとしていることが前記予測軌道に基づいて決定された後、前記車両の運転挙動を調整する段階を含む。
【0016】
この設計によると、車両の運転挙動は予測軌道に基づいて計画され、車両の運転計画能力を向上させ、車両の安全さ及び快適さを保証し得る。
【0017】
第2態様によると、本願の実施形態は、
プロセッサ及び送受信機インタフェース
を備え、ここで
前記送受信機インタフェースは、センサについての情報を受信するように構成されており;
前記プロセッサは、前記センサについての前記情報に基づいて少なくとも1つの目標ポイントを決定すること、ここで前記目標ポイント及び車両の間の距離は第1範囲に含まれる;目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を、前記少なくとも1つの目標ポイント及び前記目標の地理的位置に基づいて取得すること;及び、前記少なくとも1つの基準軌道から前記目標の予測軌道を決定することを行うように構成されている
軌道予測装置を開示する。
【0018】
任意の設計において、前記プロセッサは、
基準点がマーク付けされた地図を照会することによって又は前記基準点を示したテキストファイルを照会することによって第1基準点を決定すること、ここで前記第1基準点及び前記車両の間の距離は前記第1範囲に含まれる;及び
第1基準点の数がnより大きくない場合、前記第1基準点を前記目標ポイントとして決定すること、ここでnは予め設定された自然数である;又は
第1基準点の数がnより大きい場合、前記第1基準点から前記少なくとも1つの目標ポイントを選択すること
を行うように具体的に構成されている。
【0019】
任意の設計において、前記プロセッサは、前記目標から前記少なくとも1つの目標ポイントへの履歴軌道を前記少なくとも1つの基準軌道として決定するように具体的に構成されているか、又は、前記プロセッサは、交通規則が満たされたとき、前記目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントのうちいずれか一つの間の最も短い軌道を基準軌道として決定するように具体的に構成されている。
【0020】
任意の設計において、前記プロセッサは、
次のs秒における前記目標の短期軌道を前記目標の移動トレンドに基づいて決定すること;
前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定すること、ここで、前記基準軌道の前記信頼度は、前記基準軌道及び前記短期軌道の間のフィッティング度を示す;及び
最も高い信頼度を有する基準軌道を前記目標の前記予測軌道として決定すること
を行うように具体的に構成されている。
【0021】
任意の設計において、前記プロセッサは、現在の移動トレンド下で前記目標がs秒間移動した後に取得された軌道を前記短期軌道として決定するように具体的に構成されている;又は
前記プロセッサは、前記目標の前記移動トレンドに基づいて前記目標の第2パラメータを決定すること、ここで、前記目標の前記第2パラメータは、前記目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、前記目標の地理的位置、及び前記目標の環境情報を含む、;及び
前記第2パラメータがニューラルネットワークモデルに入力された後、前記次のs秒における前記目標の、前記ニューラルネットワークモデルによって出力された前記短期軌道を取得すること
を行うように具体的に構成されている。
【0022】
任意の設計において、前記プロセッサは、
前記少なくとも1つの基準軌道の前記短期軌道の投影値を次の式に従って決定するように具体的に構成されており、ここで前記投影値は前記少なくとも1つの基準軌道の前記信頼度であり;
【数9】
であり、ここで
【数10】
は、基準軌道
【数11】
上の前記短期軌道
【数12】
の投影値であり;
【数13】
は、前記短期軌道
【数14】
及び前記基準軌道
【数15】
の間の挟角であり、前記基準軌道
【数16】
は、前記少なくとも1つの基準軌道のうちいずれか一つである。
【0023】
任意の設計において、前記プロセッサはさらに、
前記車両が前記目標と衝突しようとしていることが前記予測軌道に基づいて決定された後、前記車両の運転挙動を調整することをように構成されている。
【0024】
第3態様によると、本願の実施形態は、第1層を含む地図を提供しており、ここで
前記第1層は少なくとも1つの基準点を含み、前記基準点は、ビジネス産業の場所、企業の場所、及びサービス産業の場所といった場所のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
本願の本実施形態に提供された地図は、目標の軌道を予測するプロセスにおいて、目標がそれに向かって走行し得る基準点を発見することに役立ち、発見された基準点及び目標の調査情報に基づいて目標ポイントを決定することに使用され得る。したがって、本願の本実施形態に提供された地図を使用することによる目標の軌道予測中には、目標の履歴移動情報が使用されるだけでなく、目標ポイントについての情報も使用される。これは、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させることに役立つ。
【0026】
任意の設計において、前記基準点は、第1期間における第2閾値より少なくない数の人が通過する場所である。
【0027】
第4態様によると、本願の実施形態は、
少なくとも1つのプロセッサ及びメモリ
を備え、ここで
前記メモリは、プログラム命令を記憶するように構成されており;
前記プロセッサは、前記メモリに記憶された前記プログラム命令を呼び出して実行するように構成されており、その結果、前記端末装置は前記第1態様に係る前記軌道予測方法を実行する
端末装置を提供する。
【0028】
第5態様によると、本願の実施形態はコンピュータ可読記憶媒体を提供しており、ここで当該コンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶する。命令がコンピュータ上で実行されるとき、コンピュータは、第1態様に係る方法を実行することが可能になる。
【0029】
第6の態様によると、本願の実施形態は、命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品が電子デバイス上で実行されるとき、電子デバイスは、第1態様に係る方法を実行することが可能になる。
【0030】
本願の実施形態は、軌道予測方法を提供する。本方法において、少なくとも1つの目標ポイントがまず決定され、車両の目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道が決定され、目標の予測軌道が少なくとも1つの基準軌道から決定される。
【0031】
換言すれば、本願の実施形態において提供された解決手段では、目標の軌道予測中に目標ポイントが決定される必要がある。目標ポイントは通常、目標が走行する可能性がより高い場所である。この場合、本願の実施形態に提供された解決手段を使用することによる目標の軌道予測中には、目標の履歴移動情報が使用されるだけでなく、目標ポイントについての情報も使用される。
【0032】
目標の軌道を予測するための既存の方法と比較すると、本願の実施形態に提供された解決手段では、目標の軌道予測中により多様な情報が使用され得る。したがって、本願の実施形態において提供された解決手段は、次の比較的短い期間における目標の軌道を正確に予測できるだけでなく、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させることもできる。
【0033】
従来技術においては、通常、次の3秒から5秒における目標の軌道のみが正確に予測され得る。しかしながら、本願の実施形態に提供された解決手段は、次の5秒から20秒における目標の軌道を正確に予測することができる。従来技術と比較すると、本願の実施形態において提供された解決手段は、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【0035】
【
図2】車両におけるコンピュータシステムの構造の概略図である。
【0036】
【
図3】車両及びクラウド側の間の接続関係の概略図である。
【0037】
【
図4】従来技術における軌道予測方法の適用シナリオの概略図である。
【0038】
【
図5】従来技術における別の軌道予測方法の適用シナリオの概略図である。
【0039】
【
図6】本願の実施形態に係る軌道予測方法の動作プロシージャの概略図である。
【0040】
【
図7(a)】従来技術に係る地図の例示的な図である。
【0041】
【
図7(b)】本願の実施形態に係る軌道予測方法における地図の例示的な図である。
【0042】
【
図8】本願の実施形態に係る軌道予測方法の地図の例示的な図である。
【0043】
【
図9】本願の実施形態に係る軌道予測方法の適用シナリオの例示的な図である。
【0044】
【
図10】本願の実施形態に係る軌道予測装置の構造の概略図である。
【0045】
【
図11】本願の実施形態に係る端末装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下では、本願の実施形態における添付図面を参照して本願の実施形態における技術的解決手段を説明する。
【0047】
以下の実施形態で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図したものに過ぎず、本願を限定することを意図したものではない。本明細書及び本願の添付の特許請求の範囲において使用されているように、単数表現「1つの(one)」、「1つの(a)」、「当該(the)」、「前述の(the foregoing)」、「この(this)」、及び「当該1つの(the one)」も、逆がその文脈において明確に示されていない限り、「1又は複数の(one or more)」などの表現を含むことを意図している。本願の以下の実施形態では、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1又は複数の(one or more)」は、1つ、2つ、又はそれより多くを意味することをさらに理解されたい。「又は(or)」という用語は、関連付けられたオブジェクト間の関連関係を説明するために使用されており、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、A又はBは:Aのみが存在する、A及びBの両方が存在する、及びBのみが存在するといったケースを表し得、ここで、A及びBは各々が単数形でも複数形でもよい。「/」という文字は概して、関連付けられたオブジェクトが「又は」関係にあることを示す。
【0048】
本明細書において説明される「実施形態」又は「いくつかの実施形態」等についての言及は、本願の1又は複数の実施形態が、当該実施形態を参照して説明される特定の機能、構造又は特徴を含むことを示す。したがって、本明細書において異なる場所に現れている「実施形態において(in an embodiment)」、「いくつかの実施形態において(in some embodiments)」、「いくつかの他の実施形態において(in some other embodiments)」、及び「他の実施形態において(in other embodiments)」などの記述は、必ずしも同じ実施形態への言及を意味するものではなく、代わりに、それらは、別様に具体的に強調されていない限り、「実施形態のうち1又は複数であるが全てではない(one or more but not all of embodiments)」を意味する。「含む(include)」、「備える(comprise)」、「有する(have)」という用語及びそれらの変形例は全てが、別様に具体的に強調されていない限り、「含むが、それらに限定されない(include but are not limited to)」を意味する。
【0049】
既存の軌道予測方法は、次の比較的短い期間における目標の軌道のみを正確に予測することが可能であり、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度は比較的低い。この技術的問題を解決するべく、本願の実施形態は、軌道予測方法及び装置を提供する。軌道予測方法及び装置は、ビークルツーエブリシング(vehicle to everything,V2X)、インテリジェントビークル、自動運転、インターネットオブビークル、及びネットワーク化運転などの分野に適用され得る。
【0050】
本方法は車両に適用され得る。車両は通常、インテリジェントビークルである。可能な実装において、車両は、完全な又は部分的な自動運転モードにあるように構成され得る。例えば、車両が自動運転モードにあるとき、車両はさらに、手動操作を使用することで、車両の現在のステータス及び車両の周辺環境を決定し、周辺環境における別の車両又は歩行者などの少なくとも1つの目標の可能な挙動を決定し;決定された情報に基づいて車両を制御し得る。加えて、車両が自動運転モードにあるとき、車両は、人とインタラクトすることなく操作を実行するように構成され得る。
【0051】
図1は、本発明の実施形態に係る車両100の機能ブロック図である。
図1に示されたように、車両100は、様々なサブシステム、例えば、走行システム102、センサシステム104、計画制御システム106、1又は複数の周辺デバイス108、電源110、コンピュータシステム101、及びユーザインタフェース116を含み得る。
【0052】
任意選択的に、車両100は、より多い、又はより少ないサブシステムを含み得、各サブシステムは複数のコンポーネントを含み得る。加えて、車両100における全てのサブシステム及びコンポーネントは、有線方式又は無線方式で互いに接続され得る。
【0053】
走行システム102は、車両100に動力を提供するコンポーネントを含み得る。実施形態において、走行システム102は、エンジン118、エネルギー源119、変速装置120及びホイール121を含み得る。エンジン118は、内燃エンジン、モータ、空気圧縮エンジン、別のタイプのエンジン、又は複数のエンジンの組み合わせであり得る。本明細書における複数のエンジンの組み合わせは、例えば、ガソリンエンジン及びモータによって形成されたハイブリッドエンジン、内燃エンジン及び空気圧縮エンジンによって形成されたハイブリッドエンジンを含み得る。エンジン118は、エネルギー源119を機械的エネルギーに変換する。
【0054】
エネルギー源119の例は、ガソリン、ディーゼル、別の石油ベースの燃料、プロパン、別の圧縮ガスベースの燃料、エタノール、太陽電池パネル、バッテリ、又は別の動力源を含む。エネルギー源119はまた、車両100における別のシステムのためのエネルギーを提供し得る。
【0055】
変速装置120は、エンジン118からホイール121へ機械的動力を伝達し得る。変速装置120は、ギアボックス、差動装置及び駆動シャフトを含み得る。実施形態において、変速装置120は、別のコンポーネント、例えば、クラッチをさらに含み得る。駆動シャフトは、1又は複数のホイール121に結合され得る1又は複数のシャフトを含み得る。
【0056】
センサシステム104は、車両100、及び車両100の周辺環境についての情報を検知するいくつかのセンサを含み得る。例えば、センサシステム104は、測位システム122(測位システムは、GPSシステムであってもよく、北斗システム又は別の測位システムであってもよい)、慣性測定ユニット(inertial measurement unit、IMU)124、レーダ126、レーザ距離計128、カメラ130、コンピュータビジョンシステム138、及びセンサフュージョンアルゴリズム140を含み得る。センサシステム104はさらに、車両100の内部システム内に、センサ(例えば、車載空気質モニタ、燃料計、又はエンジンオイル温度計)を含み得る。これらのセンサのうちの1又は複数からのデータは、検出対象のオブジェクト、及びオブジェクトの対応する特徴(位置、形状、方向、速度等)を検出するために使用され得る。そのような検出及び認識は、車両100の、安全な操作を実装するために使用される主要な機能である。
【0057】
全地球測位システム122は、車両100の地理的位置を推定するように構成され得る。IMU124は、慣性加速度に基づいて、車両100の位置変更及び向き変更を検知するように構成されている。ある実施形態において、IMU124は加速度計とジャイロスコープとの組み合わせであってよい。
【0058】
レーダ126は、無線信号を使用することによって、車両100の周辺環境におけるオブジェクトを検知し得る。いくつかの実施形態において、オブジェクトに加えて、レーダ126は、オブジェクトの速度又は走行方向を検知するように構成され得る。
【0059】
レーザ距離計128は、レーザを用いることにより、車両100が位置する環境内のオブジェクトを検知し得る。いくつかの実施形態において、レーザ距離計128は、1又は複数のレーザ源、レーザスキャナ、1又は複数の検出器、及び別のシステムコンポーネントを含んでよい。
【0060】
カメラ130は、車両100の周辺環境の複数の画像を撮像するように構成され得る。カメラ130は、静止カメラ又はビデオカメラであり得る。
【0061】
コンピュータビジョンシステム138は、カメラ130によって撮像された画像をプロセス及び分析する操作を実行して、車両100の周辺環境におけるオブジェクト又は特徴を認識し得る。オブジェクト又は特徴は、交通信号、道路境界、及び目標を含み得る。コンピュータビジョンシステム138は、オブジェクト認識アルゴリズム、ストラクチャフロムモーション(Structure from Motion、SFM)アルゴリズム、ビデオトラッキング、及び別のコンピュータビジョン技術を使用し得る。いくつかの実施形態において、コンピュータビジョンシステム138は、環境の地図を描画すること、オブジェクトを追跡すること、及びオブジェクトの速度を推定すること等を実行するように構成され得る。
【0062】
計画制御システム106は、車両100、及び車両100のコンポーネントの操作を制御するように構成されている。計画制御システム106は、ステアリングシステム132、アクセル134、制動ユニット136、ルート制御システム142、及び目標回避システム144を含む様々なコンポーネントを含み得る。
【0063】
車両100の前進方向は、ステアリングシステム132を操作することによって調整され得る。例えば、実施形態において、ステアリングシステム132はステアリングホイールシステムであり得る。
【0064】
アクセル134は、エンジン118の動作速度を制御することで、車両100の速度をさらに制御するように構成されている。
【0065】
制動ユニット136は、車両100を制御して減速するように構成される。制動ユニット136は、ホイール121を減速させるべく摩擦力を使用し得る。別の実施形態において、制動ユニット136は、ホイール121の運動エネルギーを電流に変換し得る。制動ユニット136は、車両100の速度を制御するべく、ホイール121の回転速度を低減させる別の形態を代替的に使用し得る。
【0066】
ルート計画システム142は、車両100の走行ルートを決定するように構成される。いくつかの実施形態において、ルート計画システム142は、センサ138、GPS122、及び1又は複数の予め定められた地図からのデータに基づいて、環境内の潜在的な目標を回避し得る走行ルートを、車両100のために計画し得る。本願の実施形態において提供された軌道計画方法は、車両100の目標走行軌道を出力するべく、ルート計画システム142によって実行され得る。目標走行軌道は、複数の目標ウェイポイントを含む。複数の目標ウェイポイントの各々は、ウェイポイントの座標、及び、ウェイポイントの許容可能な横方向誤差及び許容可能な速度誤差を含む。本明細書に説明された許容可能な横方向誤差は、許容可能な横方向誤差の値範囲を含み、いくつかの場合、許容可能な横方向誤差の値範囲と略して理解され得る。本明細書における「横方向」は、車両の走行方向に対して垂直又は略垂直の方向を指す。許容可能な横方向誤差は、許容可能な横方向変位誤差、すなわち、車両の走行方向に対して垂直又は略垂直の方向における車両100の許容可能な変位誤差の値範囲を本質的に意味する。詳細について、再度後述することはしない。
【0067】
制御システム144は、アクセル、ブレーキ及びステアリング角の制御量をルート計画システムによって出力された走行ルート/走行軌道に基づいて生成して、ステアリングシステム132、アクセル134及び制動ユニット136を制御するように構成されている。
【0068】
確かに、ある例において、計画制御システム106には、表示及び説明されたもの以外のコンポーネントが追加されるか又は代替的に含まれる場合がある。代替的に、上記に示されたコンポーネントのうちいくつかは、計画制御システム106から削除され得る。
【0069】
車両100は、周辺デバイス108を用いて、外部センサ、別の車両、別のコンピュータシステム、又はユーザとインタラクトする。周辺デバイス108は、無線通信システム146、車載コンピュータ148、マイク150又はスピーカ152を含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、周辺デバイス108は、車両100のユーザ及びユーザインタフェース116の間のインタラクションのための手段を提供する。例えば、車載コンピュータ148は車両100のユーザに情報を提供してよい。ユーザインタフェース116はさらに、ユーザ入力を受信するよう車載コンピュータ148を操作し得る。ある実装において、車載コンピュータ148は、タッチスクリーンを使用することによって操作され得る。別のケースにおいて、周辺デバイス108は、車両100及び車両内に位置付けられた別のデバイスの間の通信のための手段を提供し得る。例えば、マイク150は、車両100のユーザから音声(例えば、音声命令又は別の音声入力)を受信してよい。同様に、スピーカ152は、車両100のユーザに音声を出力してよい。
【0071】
無線通信システム146は、1又は複数のデバイスと直接又は通信ネットワークを通じて無線通信し得る。例えば、無線通信システム146は、CDMA、EVD0もしくはGSM(登録商標)/GPRSなどの3Gセルラ通信、LTEなどの4Gセルラ通信、又は5Gセルラネットワーク通信を用い得る。無線通信システム146は、Wi-Fi(登録商標)を通じて無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)と通信し得る。いくつかの実施形態において、無線通信システム146は、赤外線リンク、Bluetooth(登録商標)又はZigBee(登録商標)を通じてデバイスと直接通信し得る。例えば無線通信システム146などの様々な車両通信システムのような他の無線プロトコルは、1又は複数の専用狭域通信(dedicated short range communication,DSRC)デバイスを含み得、これらのデバイスは、車両又は路側ステーションとのパブリック及び/又はプライベートデータ通信を実行するデバイスを含み得る。
【0072】
電源110は、車両100の様々なコンポーネントのための動力を提供し得る。ある実施形態において、電源110は、充電可能なリチウムイオンバッテリであっても、鉛酸バッテリであってもよい。そのようなバッテリの1又は複数のバッテリパックは、車両100の様々なコンポーネントに動力を提供するための電源として構成され得る。いくつかの実施形態において、電源110及びエネルギー源119は、共に実装され得、例えば、全電気式車両において実装され得る。
【0073】
車両100の機能のいくつか又は全ては、コンピュータシステム101によって制御される。コンピュータシステム101は少なくとも1つのプロセッサ113を含み得、プロセッサ113は、メモリ114などの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令115を実行する。コンピュータシステム101は代替的に、車両100の個々のコンポーネント又はサブシステムを分散方式で制御する複数のコンピューティングデバイスであってよい。
【0074】
プロセッサ113は、例えば、市販のCPUなどの任意の従来型プロセッサであり得る。あるいは、プロセッサは、ASIC又は別のハードウェアベースのプロセッサなどの専用デバイスであってもよい。
図1がプロセッサ、コンピュータシステム101のメモリ及び他のコンポーネントを技術的に例示しているが、当業者であれば、プロセッサ及びメモリが、同じ物理的ハウジング内に位置付けられていない複数の他のプロセッサ又はメモリを実際に含み得ることを理解するべきである。例えば、メモリは、コンピュータシステム101のそれとは異なるハウジング内に位置付けられたハードディスクドライブ又は別の記憶媒体であり得る。したがって、プロセッサへの言及は、操作を並列に実行してもしなくてもよいプロセッサ又はメモリのセットへの言及を含むものとして理解される。本明細書に説明された段階を実行するためにシングルプロセッサを使用する場合とは異なり、例えば、ステアリングコンポーネント及び減速コンポーネントなどのいくつかのコンポーネントの各々はそれ自身のプロセッサを含み得、上記プロセッサは、上記コンポーネント固有の機能に関する計算のみを実行する;又は、走行システムなどのサブシステム、センサシステム、及び計画制御システムも、対応する機能を実装するべく、対応するサブシステムの関連タスクの計算を実装するための、それら自体のプロセッサを含み得る。
【0075】
本明細書において説明される様々な態様において、プロセッサは、車両から遠く離れて位置してよく、車両と無線通信してよい。別の態様において、本明細書に説明されたプロセスのうちいくつかは、車両の内部に配置されたプロセッサ上で実行され、その一方、他はリモートプロセッサによって実行され、単一の操作を実行するために必要な段階を実行することを含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、メモリ114は、命令115(例えば、プログラムロジック)を含んでよく、命令115は、上述の機能を含む車両100の様々な機能を実行するために、プロセッサ113により実行されてよい。メモリ114はまた、追加の命令を含み得、当該命令は、走行システム102、センサシステム104、計画制御システム106及び周辺デバイス108のうちの1又は複数にデータを送信すること、それらからデータを受信すること、それらとインタラクトすること、又はそれらを制御することを行うために使用される命令を含む。
【0077】
命令115に加えて、メモリ114は、例えば、道路の地図、ルート情報、及び車両の位置、方向、速度及び他の関連情報などの他の関連データを記憶し得る。そのような情報は、車両100の操作が自律モード、半自律モード、又は手動モードである間、車両100によって使用されてもよく、又はコンピュータシステム101によって具体的に使用されてもよい。
【0078】
ユーザインタフェース116は、車両100のユーザに情報を提供する、又は車両100のユーザから情報を受け取るように構成される。任意選択的に、ユーザインタフェース116は、例えば無線通信システム146、車載コンピュータ148、マイク150及びスピーカ152のような1又は複数の入力/出力デバイスを周辺デバイス108のセット内に含み得る。
【0079】
コンピュータシステム101は、様々なサブシステム(例えば、走行システム102、センサシステム104、及び計画制御システム106)及びユーザインタフェース116から受信した入力に基づいて、車両100の機能を制御し得る。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム101は、車両100及び当該車両100のサブシステムの多くの態様に対して制御を提供するように操作を実行し得る。
【0080】
任意選択的に、前述の複数のコンポーネントのうちの1又は複数が、車両100とは別個に設置されてもよく、車両100と関連付けられてもよい。例えば、メモリ114は、車両100から部分的に又は完全に分離され得る。前述のコンポーネントは、有線方式又は無線方式で共に通信可能に結合され得る。
【0081】
任意選択的に、前述の複数のコンポーネントは単なる例に過ぎない。実際の適用では、コンポーネントは、実際の要件に基づいて前述のモジュール内のコンポーネントから追加又は削除され得る。
図1は、本発明の実施形態に限定されるものと理解されるべきではない。
【0082】
例えば上記の車両100のような道路を走行する自動運転車両は、車両100の周辺環境におけるオブジェクトを認識することで、車両の速度に対する調整を含む車両の走行軌道に対する調整を実行することを決定し得る。このオブジェクトは、別の車両、交通制御デバイス、又は別のタイプのオブジェクトであってもよい。いくつかの例において、各認識されたオブジェクトは独立して考慮され得、例えばオブジェクトの現在の速度のような各オブジェクトの特徴に基づいて、オブジェクトの加速、オブジェクト及び車両の間の間隔、調整対象の速度を含む自動運転車両の軌道計画が決定され得る。
【0083】
任意選択的に、自動運転車両100に関連付けられたコンピューティングデバイス(例えば、
図1におけるコンピュータシステム101及びコンピュータビジョンシステム138)は、認識されたオブジェクトの特徴及び認識されたオブジェクトの周辺環境のステータス(道路上の交通量、雨、氷など)に基づいて、認識されたオブジェクトの挙動を予測し得る。任意選択的に、全ての認識されたオブジェクトは互いの挙動に依存しており、したがって、全ての認識されたオブジェクトは、単一の認識されたオブジェクトの挙動を予測するべく、共に考慮され得る。車両100は、認識されたオブジェクトの予測された挙動に基づいて、車両100の走行軌道(速度を含む)を計画し得る。加えて、自動運転車両がそのように調整される必要がある具体的なステータス(例えば、車両の速度が増加される、車両の速度が低減される、又は車両が停止するなどの速度調整のために)は、計画結果に基づいて車両に対して決定される。このプロセスにおいて、車両100の走行軌道は、例えば、車両が走行する道路上の車両100の水平位置、道路の曲率、静的オブジェクト及び車両の間の近接度、動的オブジェクト及び車両の間の近接度のような別の要因を考慮することによっても決定され得る。
【0084】
自動運転車両に対して速度調整を実行することに加えて、計画結果に基づいて、コンピューティングデバイスは、車両100のステアリング角を修正するための命令を提供し得、その結果、自動運転車両は、所与の軌道に従うか、又は、自動運転車両に近いオブジェクト(例えば、道路上の隣接レーンにおける自動車)から安全な水平距離及び安全な鉛直距離を維持することができる。
【0085】
車両100は、自動車、トラック、オートバイ、バス、ボート、飛行機、ヘリコプタ、芝刈機、レジャー用車両、遊園地の車両、建設デバイス、電動トロリー、ゴルフカート、列車、手押し車等であり得る。これは、本発明の実施形態において具体的に限定されるものではない。
【0086】
図2に示されたように、コンピュータシステム101は、プロセッサ103システムバス105、ディスプレイアダプタ(ビデオアダプタ)107、ディスプレイ109、バスブリッジ111、入力/出力バス(in/outバス、I/Oバス)113、入力/出力(in/out、I/O)インタフェース115、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus,USB)ポート125、ネットワークインタフェース129、ハードディスクドライブインタフェース131、ハードディスクドライブ133及びシステムメモリ135を含み得る。
【0087】
プロセッサ103は、システムバス105に結合されている。プロセッサ103は1又は複数のプロセッサであってよく、各プロセッサは1又は複数のプロセッサコアを含んでよい。ディスプレイアダプタはディスプレイ109を駆動し得、ディスプレイ109はシステムバス105に結合されている。システムバス105は、バスブリッジ111を使用することによって入力/出力バス(I/Oバス)113に結合されている。I/Oインタフェース115は、I/Oバス113に結合されている。I/Oインタフェース115は、複数のI/Oデバイスと通信している。複数のI/Oデバイスは、例えば、入力デバイス117(キーボード、マウス及びタッチスクリーンなどの例を含む)、媒体ディスク(メディアトレイ)121(例えば、CD-ROM及びマルチメディアインタフェース)、送受信機123(無線通信信号を送信又は受信し得る)、カメラ155(静的及び動的なデジタルビデオ画像を撮像し得る)、及びUSBポート125である。任意選択的に、I/Oインタフェース115に接続されたインタフェースは、USBポート125であり得る。
【0088】
プロセッサ103は、縮小命令セットコンピューティング(「RISC」)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(「CISC」)プロセッサ、又はこれらの組み合わせを含む任意の従来型プロセッサであってよい。任意選択的に、プロセッサは特定用途向け集積回路(「ASIC」)などの専用装置であってよい。任意選択的に、プロセッサ103は、ニューラルネットワークプロセッサ、又は、ニューラルネットワークプロセッサ及び前述の従来型プロセッサの組み合わせであり得る。
【0089】
任意選択的に、本明細書に説明された様々な実施形態では、コンピュータシステム101は、自動運転車両から離れて位置付けられ得、自動運転車両100と無線通信し得る。いくつかの実装において、本明細書に説明されたプロセスのうちいくつかは、自動運転車両の内部に配置されたプロセッサによっても実行され得、その一方、他は、リモートプロセッサによって実行されており、これは単一の操作を実行するために必要なアクションを実行することを含む。
【0090】
コンピュータシステム101は、ネットワークインタフェース129を通じてソフトウェアデプロイメントサーバ149と通信し得る。ネットワークインタフェース129は、例えば、ネットワークインタフェースカードのようなハードウェアネットワークインタフェースを含む。ネットワーク127は、インターネットなどの外部ネットワークであり得、又は、Ethernet(登録商標)又は仮想プライベートネットワーク(VPN)などの内部ネットワークであり得る。任意選択的に、ネットワーク127は代替的に、無線ネットワーク、例えば、Wi-Fiネットワーク又はセルラネットワークであり得る。
【0091】
ハードディスクドライブインタフェース131は、システムバス105に結合されている。ハードディスクドライブインタフェース131は、ハードディスクドライブ133に接続されている。システムメモリ135は、システムバス105に結合されている。システムメモリ135において実行されるデータは、コンピュータシステム101のオペレーティングシステム137及びアプリケーションプログラム143を含み得る。
【0092】
オペレーティングシステムOS137は、コンピュータシェル(Shell)139及びカーネル(kernel)141を含む。シェル139は、ユーザ及びオペレーティングシステムの間のインタフェースである。シェル139は、オペレーティングシステムの最も外側の層である。シェル139は、ユーザ及びオペレーティングシステムの間のインタラクションを管理するように構成され得る:シェルはユーザの入力を待機し、ユーザの入力をオペレーティングシステムに説明し、オペレーティングシステムの様々な出力結果を処理する。
【0093】
カーネル141は、オペレーティングシステム内にあり且つメモリ、ファイル、周辺機器及びシステムリソースを管理するように構成された部品を含む。ハードウェアと直接インタラクトするとき、オペレーティングシステムのカーネルは通常、プロセスを実行し、プロセス間通信を提供し、CPUタイムスライス管理、割り込み、メモリ管理、及びIO管理等を提供する。
【0094】
アプリケーションプログラム143は、車両の自動運転の制御に関するプログラム、例えば、自動運転車両及び道路上の目標の間のインタラクションを管理するためのプログラム、計画された軌道に沿って走行する自動運転車両を制御(速度を含む)するためのプログラム、又は、自動運転車両及び道路上の別の自動運転車両の間のインタラクションを制御するためのプログラムを含む。アプリケーションプログラム143は、ソフトウェアデプロイメントサーバ149のシステム内にも存在する。実施形態において、アプリケーションプログラム143が実行される必要があるとき、コンピュータシステム101は、ソフトウェアデプロイメントサーバ149からアプリケーションプログラム143をダウンロードし得る。
【0095】
センサ153がコンピュータシステム101に関連付けられている。センサ153は、コンピュータシステム101の周辺環境を検出するように構成されている。例えば、センサ153は、動物、車両、目標、及び横断歩道を検出し得る。さらに、センサは、動物、車両、目標、及び横断歩道などのオブジェクトの周辺環境、例えば、動物の周囲にある別のオブジェクト、気象条件、及び周辺環境における明るさなどの、動物の周辺環境を検出し得る。任意選択的に、コンピュータシステム101が自動運転車両内に位置付けられている場合、センサは、カメラ、赤外線センサ、化学検出器、又はマイク等であり得る。
【0096】
コンピュータシステム101は、別のコンピュータシステムから情報を受信してもよく、又は、別のコンピュータシステムに情報を転送してもよい。代替的に、車両100のセンサシステム104によって収集されたセンサデータは、データ処理のために別のコンピュータに転送され得る。
図3に示されたように、コンピュータシステム101からのデータは、さらなる処理のためにネットワークを通じてクラウド側のコンピュータ320に転送され得る。ネットワーク及び中間ノードは、様々な構造及びプロトコルを含み得、それらは、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、1又は複数の会社の独自の通信プロトコルを使用するプライベートネットワーク、Ethernet、無線ネットワーク、ハイパーテキストトランスポートプロトコル(hypertext transport protocol,HTTP)ネットワーク、及びそれらの様々な組み合わせを含む。そのような通信は、別のコンピュータにデータを転送し別のコンピュータからデータを転送し得る任意のデバイス、例えば、モデム及び無線インタフェースによって実行され得る。
【0097】
例において、コンピュータ320は、複数のコンピュータを有するサーバ、例えば、ロードバランシングサーバクラスタを含み、コンピュータシステム101からデータを受信するべくネットワークの異なるノードと情報を交換し、データを処理し、処理されたデータを転送し得る。サーバには、コンピュータシステム101のそれと同様の構造が含まれ得、プロセッサ321、メモリ322、命令323及びデータ324が提供されている。
【0098】
既存の軌道予測方法は、次の比較的短い期間における目標の軌道のみを正確に予測することが可能であり、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度は比較的低い。従来技術に存在する問題を明確にするべく、以下では、現在使用されている軌道予測方法について説明する。
【0099】
現在一般に使用されている軌道予測方法では、目標の軌道を予測するとき、車両は、車両内に構成されたセンサを使用することによって目標の履歴移動情報を取得する。履歴移動情報は通常、目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、及び目標が位置付けられた道路の車線境界線情報を含む。例えば、車両は、車両内に構成されたカメラを使用することによって目標の画像を継続的に撮影し、撮影された画像を使用することによって目標の履歴移動情報を決定し得る。
【0100】
次に、車両は、ニューラルネットワークモデルに目標の履歴移動情報を入力し、ニューラルネットワークモデルによって出力された情報を取得し得る。ニューラルネットワークモデルによって出力された情報は、目標の予測軌道である。
【0101】
例えば、
図4に示されたシナリオの例示的な図を参照されたい。
図4において、直線状の破線は、車線境界線を表しており、第1車両10は図面内で走行しており、第1車両10は第2車両20の目標であり得、第2車両20は従来技術に従って第1車両10の軌道を予測し得る。
【0102】
この場合、第2車両20は、第2車両20内に構成されたカメラを使用することによって第1車両を撮影し得る。
図4において、第1車両10の車体の後側における番号が付けられた4つの円の地理的位置はそれぞれ、4つの異なる時点においてカメラが第1車両10を撮影したときの第1車両10の位置である。加えて、このシナリオにおいて、円に付けられた番号が大きいほど、撮影の時点が遅かったことを示す。
【0103】
この例において、第2車両20内のカメラが目標の画像を撮影した後、第2車両20は、画像を処理することによって、第1車両10の履歴移動速度及び履歴移動方向、及び第1車両10が位置付けられた道路の車線境界線情報を決定し、ニューラルネットワークモデルに当該情報を送信する。
【0104】
第2車両20によって入力された情報を取得した後、ニューラルネットワークモデルは、第1車両の予測軌道を出力し得る。この場合、第2車両20は、ニューラルネットワークの出力に基づいて第1車両10の予測軌道を取得し得る。
図4に示されたように、曲線状の破線は、第1車両の予測軌道である。
【0105】
しかしながら、本解決手段において、目標の軌道は、目標の履歴移動情報を使用することによってのみ予測される。したがって、本解決手段において実現可能な予測時間は比較的短い。換言すれば、本解決手段は、次の比較的短い期間における目標の軌道のみを正確に予測することが可能であり、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度は比較的低い。
【0106】
加えて、現在、別の軌道予測方法も使用され得る。この予測方法において、目標の軌道を予測するとき、車両は、車両内に構成されたセンサを使用することによって目標の履歴移動情報を取得し得、目標は第1目標として参照され得る。それに応じて、第1目標の履歴移動情報は通常、第1目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、及び第1目標が位置付けられた道路の車線境界線情報を含む。
【0107】
走行プロセスにおいて、第1目標は、車両の別の目標と衝突することを回避する必要がある。車両の別の目標は、第2目標として参照され得る。したがって、第1目標は、第2目標に基づいて第1目標の軌道を調整し、換言すれば、第2目標の移動ステータスは、第1目標の軌道に影響を与え得る。したがって、この方法において、車両はさらに、第2目標の履歴移動情報を取得し得る。それに応じて、第2目標の履歴移動情報は通常、第2目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、及び第2目標が位置付けられた道路の車線境界線情報を含む。
【0108】
次に、車両は、第1目標の履歴移動情報及び第2目標の履歴移動情報をニューラルネットワークモデルに入力し得る。次に、車両は、第1目標の予測軌道として、ニューラルネットワークモデルの出力を使用する。
【0109】
例えば、
図5に示された概略図を参照されたい。
図5は、1つの第1目標30及び3つの第2目標40を含んでおり、各目標の後方にある円は、目標の履歴軌道を表している。この場合、車両は、車両内に構成されたカメラを使用することによって第1目標30及び第2目標40を撮影し、撮影された画像に基づいて第1目標30及び第2目標40の履歴移動情報を決定し、次に、第1目標30及び第2目標40の履歴移動情報をニューラルネットワークモデルに入力し得る。加えて、車両は、ニューラルネットワークモデルの出力を取得し、ニューラルネットワークモデルの出力を第1目標30の予測軌道として使用し得る。
【0110】
この方法において、第1目標の軌道上の別の目標の影響は、さらに考慮される。したがって、以前の方法と比較して、この方法を使用することによって軌道を予測することの正確度は向上される。しかしながら、この方法において、目標の軌道予測中には、目標の履歴移動情報のみが依然として使用されている。
したがって、以前の方法と同じく、この方法も、次の比較的短い期間における目標の軌道のみを正確に予測することが可能であり、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの予測正確度は比較的低い。
【0111】
複数のテストには、目標の軌道予測に前述の2つの従来技術が使用されているとき、次の3秒から5秒における軌道のみが正確に予測され得、より長い期間における軌道は正確に予測できないことが示されている。
【0112】
さらに、走行プロセスにおいて、車両は通常、目標の予測軌道に基づいて、車両の運転挙動を計画する。例えば、車両が目標と衝突し得ることを、目標の予測軌道に基づいて決定するとき、車両は、走行速度を低減させる、ブレーキをかける、又は停止する等のことを行い得る。
【0113】
しかしながら、現在使用されている軌道予測方法によると、次の比較的短い期間における目標の軌道のみが正確に予測され得る。この場合、現在の軌道予測方法を使用することによって運転挙動を計画するとき、車両は、比較的短期間における予測軌道に基づいて一時的な決定を行うことしかできない。したがって、走行プロセスにおいて、車両は、比較的短期間における予測軌道に基づいて車両の運転挙動を頻繁に調整する必要があり、その結果、車両は、車両の運転挙動に対する保存的計画を実行することしかできない。結果的に、車両の走行プロセスにおいて、緊急ブレーキ、緊急事態回避、頻繁な加速及び減速、頻繁な停止及び走行、及び車両の低速走行などの現象が比較的発生しやすく、車両の走行及び車両上の人の乗車経験に影響を与える。
【0114】
現在の軌道予測方法は、次の比較的短い期間における目標の軌道のみを正確に予測することが可能であり、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度は比較的低いという問題を解決するべく、本願の実施形態は、軌道予測方法及び装置を提供することで、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させる。
【0115】
本願において提供された解決手段を明確にすべく、以下では、本願において提供された解決手段について、様々な実施形態を使用することによって添付図面を参照して説明する。
【0116】
本願の実施形態は、軌道予測方法を提供する。
図6に示された動作プロシージャの概略図に示されたように、本願の本実施形態に提供された軌道予測方法は、以下の段階を含む。
【0117】
段階S11:少なくとも1つの目標ポイントを決定し、ここで、目標ポイント及び車両の間の距離は第1範囲に含まれる。
【0118】
本願の本実施形態において、目標ポイントは通常、様々な場所にあり且つ目標が走行する可能性がより高い場所である。目標は、道路上の歩行者又は別の車両であり得、上記場所は、住宅、職場、ガレージ、又は消費地(例えば、スーパーマーケット又は薬局)等であり得る。
【0119】
この段階において、車両からの距離が第1範囲に含まれる目標ポイントは、車両の地理的位置に基づいて決定され得る。
【0120】
第1範囲は、具体的な距離の範囲であり得る。例えば、第1範囲は、0メートルから200メートルであり得る。この場合、第1範囲は、車両の出荷時に設定され得る。加えて、車両が出荷された後、車両の所有者はさらに、第1範囲を調整し得る。
【0121】
代替的に、別の可能な実装において、車両は、車両の走行速度及び時間閾値に基づいて第1範囲を決定し得る。この場合、走行速度及び時間閾値の積が第2距離として設定される。第1範囲は通常、第1距離から第2距離であり、第1距離は10メートルであり得る。例えば、車両の走行速度が60km/hであり、時間閾値が12秒である場合、第2距離は200メートルである。それに応じて、第1範囲は10メートルから200メートルである。
【0122】
段階S12:目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を、少なくとも1つの目標ポイント及び目標の地理的位置に基づいて取得する。
【0123】
本願の本実施形態において、目標ポイントは、目標が走行し得る場所である。この場合、目標及び目標ポイントの間の基準軌道は、目標の実行可能な軌道である。
【0124】
段階S13:少なくとも1つの基準軌道から、目標の予測軌道を決定する。
【0125】
本願の本実施形態において、目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道は、1又は複数の基準軌道であり得る。目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道が1つの基準軌道である場合、この段階では、基準軌道は目標の予測軌道として決定される。
【0126】
加えて、目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道が複数の基準軌道である場合、この段階によると、1つの基準軌道は複数の基準軌道から選択され、基準軌道は目標の予測軌道として使用される。
【0127】
複数の基準軌道から予測軌道を決定している間、複数の基準軌道の各々及び目標の移動トレンドの間のフィッティング度が決定され得、基準軌道内にあり且つ目標の移動トレンドに最もフィッティングする基準軌道は、目標の予測軌道として使用される。
【0128】
本願の本実施形態は、軌道予測方法を提供する。本方法において、少なくとも1つの目標ポイントがまず決定され、車両の目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道が決定され、目標の予測軌道が少なくとも1つの基準軌道から決定される。
【0129】
換言すれば、本願の本実施形態に提供された解決手段では、目標の軌道予測中に目標ポイントが決定される必要がある。目標ポイントは通常、目標が走行する可能性がより高い場所である。この場合、本願の本実施形態に提供された解決手段を使用することによる目標の軌道予測中には、目標の履歴移動情報が使用されるだけでなく、目標ポイントについての情報も使用される。
【0130】
目標の軌道を予測するための既存の方法と比較して、本願の本実施形態に提供された解決手段では、目標の軌道予測中により多様な情報が使用され得る。したがって、本願の本実施形態に提供された解決手段は、次の比較的短い期間における目標の軌道を正確に予測できるだけでなく、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度も向上させ得る。
【0131】
従来技術においては、通常、次の3秒から5秒における目標の軌道のみが正確に予測され得る。しかしながら、本願の本実施形態に提供された解決手段は、次の5秒から20秒における目標の軌道を正確に予測し得る。従来技術と比較して、本願の本実施形態に提供された解決手段は、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させる。
【0132】
さらに、本願の本実施形態に提供された解決手段は次の比較的長い期間における目標の軌道を正確に予測し得、車両は、目標の予測軌道を使用することによって車両の運転挙動を計画するので、従来技術と比較して、車両が本願の本実施形態において決定された予測軌道を使用することによって車両の運転挙動を計画するとき、車両は、次の比較的長い期間における運転挙動を予め計画し得る。このやり方で、車両は、より適切な計画を予め行い、それによって、不適切な計画という現在の問題を緩和し得る。
【0133】
加えて、車両は次の比較的長い期間における運転挙動を計画し得るので、緊急ブレーキ、緊急事態回避、及び車両の頻繁な停止及び走行などの現象が低減し得る。したがって、本願の本実施形態に提供された解決手段はさらに、車両の安全さ及び快適さを保証しながら、自動運転のために、車両の計画能力を向上させ得る。
【0134】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、少なくとも1つの目標ポイントは、目標ポイントに基づく基準軌道を取得するように決定される必要がある。少なくとも1つの目標ポイントを決定する操作は、以下の段階を含み得る。
【0135】
まず、第1基準点は、基準点がマーク付けされた地図を照会すること又は基準点を示すテキストファイルを照会することによって決定される。第1基準点及び車両の間の距離は、第1範囲に含まれる。
【0136】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、第1基準点を決定している間に、地図が適用され得る。既存の地図と比較して、少なくとも1つの基準点がマーク付けされた層が、本願の本実施形態に適用された地図に追加される。基準点は通常、目標がそれに向かって走行し得る場所、例えば、団地の入口、ガレージ、病院、政府機関、会社、バス停、ショッピングモール、スーパーマーケット、上下斜路、交差道路、又は横断歩道である。
【0137】
本願の本実施形態に適用された地図及び既存の地図の間の相違点を明確にすべく、以下で例を開示する。例は、
図7(a)及び
図7(b)を提供する。
図7(a)は、従来技術における地図の概略図であり、地図は大学の構内を表す。
図7(b)は、基準点がマーク付けされ且つ本願の本実施形態に適用された地図である。地図は、
図7(a)に示された大学の構内を含むだけでなく、複数の基準点がマーク付けされた層も含む。基準点は、オフィスビル第22から第25及び大学の構内の入口を含む。
【0138】
基準点がマーク付けされた地図はクラウドサーバに記憶され得、軌道予測を実行する車両は地図を照会するべくクラウドサーバとインタラクトする。加えて、基準点がマーク付けされた地図は代替的に、車両に記憶され得る。加えて、車両は、位置決めを通じて地図上の車両の地理的位置を決定し、次に、車両からの距離が第1範囲に含まれる第1基準点を、地図を照会することによって決定し得る。
【0139】
加えて、地図は、予め描画され得る。加えて、適用プロセスにおいて、クラウドサーバ又は車両はさらに、受信された操作に基づいて地図を更新し、地図に基準点を追加する又は地図上にマーク付けされた基準点を削除することができる。
【0140】
別の実装の解決手段において、車両は、テキストファイルを照会することによって第1基準点を決定し得る。テキストファイルは、基準点を示す。例えば、テキストファイルは、基準点の経度及び緯度の位置を記録したテーブルファイルであり得る。この場合、第1基準点は代替的に、テキストファイル及び車両の地理的位置を照会することによって決定され得る。
【0141】
この実装の解決手段において、テキストファイルは、クラウドサーバに記憶される又は車両に記憶されることもできる。加えて、適用プロセスにおいて、クラウドサーバ又は車両はさらに、基準点を追加又は削除すべく、受信された操作に基づいてテキストファイルを更新し得る。
【0142】
次に、第1基準点の数がnより大きくない場合、第1基準点は目標ポイントとして決定され、ここで、nは予め設定された自然数である;又は、第1基準点の数がnより大きい場合、少なくとも1つの目標ポイントが第1基準点から選択される。
【0143】
第1基準点は、基準点がマーク付けされた地図を照会すること又は基準点を示すテキストファイルを照会することによって決定され得る。1又は複数の第1基準点が存在し得る。この場合、第1基準点の数がnより大きくない場合、それは、第1基準点の数が比較的少ないことを示しており、全ての第1基準点が目標ポイントであることが決定される;又は、第1基準点の数がnより大きい場合、それは、第1基準点の数が比較的多いことを示しており、第1基準点はさらに、第1基準点から目標ポイントを決定すべくスクリーニングされ得る。
【0144】
本明細書において、nは予め設定された自然数である。可能な実装において、nは3であり得る。
【0145】
可能なスクリーニング方式において、複数の第1基準点のうちの、ある期間内において最も多い人の流れに対応するn個の第1基準点は、目標ポイントとして決定され得る。期間は、現時点より24時間前であり得、又は、期間は、現時点に比較的近い期間であり得る。例えば、現時点が午前11:00の場合、期間は昨日の10:00から11:00であり得る。
【0146】
代替的に、別の可能なスクリーニング方式では、車両は、目標の調査情報に基づいて、第1基準点から目標ポイントを決定し得る、目標が所与の許可を有していると確認されたとき、目標の調査情報は、第1基準点における目標の出現頻度、出現時間、又は消費記録等であり得る。消費記録は通常、各消費地における目標の出現時間、及び出現回数を記録する。消費地における目標の出現頻度及び出現時間は、消費記録に基づいて決定されてもよい。
【0147】
この場合、第1基準点から目標ポイントを選択している間、目標がそれに向かって走行した第1基準点内の且つ最も高い頻度に対応するa個の第1基準点が、目標の調査情報に基づいて目標ポイントとして決定され得る;又は、目標が第1閾値より大きい履歴頻度においてそれに向かって走行した第1基準点は、目標ポイントとして決定される;又は、現時点に最も近い時間に目標がそれに向かって走行した最初のb個の第1基準点が目標ポイントとして決定され、a及びbの両方は予め設定された自然数である。
【0148】
例えば、車両が工業団地内を走行しているとき、各第1基準点は、工業団地における場所、例えば、オフィスビル、スーパーマーケット、又は工業団地内の大食堂であり、工業団地内を移動する各々の人は、工業団地のスタッフメンバである。工業団地内での車両の走行の安全性を向上させるべく、工業団地のスタッフメンバは、車両がスタッフメンバの調査情報を取得し得ることを承諾する。調査情報は、各第1基準点におけるスタッフメンバの出現頻度又は消費記録等を含む。
【0149】
この場合、工業団地のスタッフメンバが工業団地内を歩いているとき、スタッフメンバは目標であり、車両はスタッフメンバの調査情報を使用することによって第1基準点から目標ポイントを選択し得る。
【0150】
目標ポイントが決定された後、目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道が決定され得る。目標ポイントは目標がそれに向かって走行し得る場所であるので、少なくとも1つの基準軌道は通常、目標がそれに沿って走ろうとしている軌道を含む。本願の本実施形態に提供された解決手段において、基準軌道は、複数の方式で決定され得る。
【0151】
可能な実装において、目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を取得する段階は、以下の段階を含む:
目標から少なくとも1つの目標ポイントへの履歴軌道を、少なくとも1つの基準軌道として決定する段階。
【0152】
本願の本実施形態において、目標ポイントは通常、目標がそれに向かって走行した場所である。この場合、目標から目標ポイントへの履歴軌道は、基準軌道として使用され得る。
【0153】
代替的に、別の可能な実装において、目標及び少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を決定する段階は、以下の段階を含む:
交通規則が満たされたときに、目標及び少なくとも1つの目標ポイントのうちいずれか一つの間の最も短い軌道を、基準軌道として決定する段階。
【0154】
この実装において、交通規則が満たされたとき、目標ポイントの地理的位置及び目標の地理的位置に対してフィッティングが実行され得、目標ポイント及び目標の間の可能な軌道がフィッティングにより決定され、目標ポイント及び目標の間の最も短い軌道が基準軌道として決定される。
【0155】
本願では、目標の履歴軌道に基づいて基準軌道を決定する方法、及び、目標及び目標ポイントの間の最も短い軌道に基づいて基準軌道を決定する方法が提供されている。加えて、基準軌道は代替的に、両方の方式に基づいて決定され得る。この場合、目標から目標ポイントへの履歴軌道が基準軌道であると決定されており、交通規則が満たされたときには目標及び目標ポイントの間の最も短い軌道が基準軌道であることも決定されている。
【0156】
少なくとも1つの基準軌道が決定された後、目標の予測軌道は、少なくとも1つの基準軌道から決定される必要がある。基準軌道が1つのみである場合、目標の予測軌道は少なくとも1つの基準軌道から決定され、操作は、以下の段階に従って実装され得る。
【0157】
段階1:目標の移動トレンドに基づいて、次のs秒における目標の短期軌道を決定する。
【0158】
本願の本実施形態では、目標の移動トレンドは、現時点での目標の移動方向及び移動速度などの情報を含み得る。この場合、次のs秒における目標の軌道は、目標の移動トレンドに基づいて予測されて、目標の短期軌道を決定し得る。
【0159】
sの値は、短期軌道を決定する方法の正確度に基づいて決定され得る。概して、sの値は1から3の範囲であり得る。
【0160】
段階2:短期軌道に基づいて、少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定する。
【0161】
基準軌道の信頼度は、基準軌道及び短期軌道の間のフィッティング度を示す。加えて、基準軌道のより高い信頼度は、基準軌道が短期軌道によりフィッティングすることを示す。
【0162】
段階3:最も高い信頼度の基準軌道を、目標の予測軌道として決定する。
【0163】
本願の本実施形態において、次の短期間における目標の短期軌道は目標の移動トレンドに基づいて予測され、少なくとも1つの基準軌道及び短期軌道の各々の信頼度が決定される。信頼度は、少なくとも1つの基準軌道及び短期軌道の各々間のフィッティング度を反映し得、最も高い信頼度を有する基準軌道は、短期軌道と最もフィッティングする基準軌道である。この場合、最も高い信頼度を有する基準軌道が目標の予測軌道として決定された場合、予測軌道は、少なくとも1つの基準軌道内の、目標の移動トレンドと最もフィッティングする基準軌道である。したがって、前述の段階によると、目標の移動トレンドと最もフィッティングする基準軌道は、少なくとも1つの基準軌道から、目標の予測軌道として決定され得る。
【0164】
本願の本実施形態において、短期軌道は、複数の方式で決定され得る。可能な実装において、目標の移動トレンドに基づいて次のs秒における目標の短期軌道を決定する段階は、以下を含む:
現在の移動トレンド下で目標がs秒間移動した後に取得された軌道を短期軌道として決定する段階。
【0165】
目標の現在の移動トレンドは、目標の現在の移動速度及び現在の移動方向を含む。この場合、現在の移動トレンド下でs秒間目標が移動した後にn取得された軌道は、短期軌道として決定され得る。
【0166】
別の可能な実装において、目標の移動トレンドに基づいて次のs秒における目標の短期軌道を決定する段階は、以下を含む。
【0167】
段階1:目標の移動トレンドに基づいて目標の第2パラメータを決定する段階、ここで、目標の第2パラメータは、目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、目標の地理的位置、及び目標の環境情報を含む。
【0168】
目標の環境情報は通常、目標の地理的位置における車線境界線情報、信号機情報、及び交差道路情報等を含む。
【0169】
可能な実装において、目標は継続的に撮影され、次に、目標を含む画像に対して画像処理が実行され、目標の第2パラメータが、画像処理結果に基づいて決定され得る。
【0170】
さらに、目標は走行プロセスにおいて別の目標を回避する必要があるので、目標の第2パラメータはさらに、目標の周囲の別の目標の関連情報を含み得る。別の目標の関連情報は通常、別の目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、及び別の目標の地理的位置等を含む。
【0171】
段階2:第2パラメータがニューラルネットワークモデルに入力された後、次のs秒における目標の短期軌道であり且つニューラルネットワークモデルによって出力された短期軌道を取得する。
【0172】
ニューラルネットワークモデルは通常、運動学的モデルである。例えば、ニューラルネットワークモデルは、長・短期記憶(long-short term memory,LSTM)人工ニューラルネットワークモデルであり得る。本願の本実施形態に適用されたLSTMモデルが略3秒における目標の軌道を正確に予測し得る場合、sは通常、3に設定され得る。
【0173】
ニューラルネットワークモデルは、目標の第2パラメータを受信し、目標の第2パラメータに基づいて目標の軌道を予測し、次のs秒における目標の短期軌道を出力し得る。この場合、次のs秒における目標の短期軌道は、ニューラルネットワークモデルの出力に基づいて決定され得る。
【0174】
前述の実施形態において、次のs秒における目標の短期軌道を決定する2つの解決手段が提供される。実際の適用において、上記2つの解決手段は同時に代替的に適用され得、その結果、予測軌道は、上記2つの解決手段を使用することによって決定された短期軌道に基づいて共同で決定される。
【0175】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、基準推定における予測軌道は基準軌道の信頼度に基づいて決定される必要がある。実現可能な実装の解決手段において、前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定する前記段階は、以下の段階を含む:
前記少なくとも1つの基準軌道の前記短期軌道の投影値を次の式に従って決定する段階
を含み、ここで前記投影値は前記少なくとも1つの基準軌道の前記信頼度であり;
【数17】
であり、ここで
【数18】
は、基準軌道
【数19】
上の前記短期軌道
【数20】
の投影値であり;
【数21】
は、前記短期軌道
【数22】
及び前記基準軌道
【数23】
の間の挟角であり、前記基準軌道
【数24】
は、前記少なくとも1つの基準軌道のうちいずれか一つである。
【0176】
この実装の解決手段において、少なくとも1つの基準軌道の信頼度は、投影方法を使用することによって決定される。1つの基準軌道に対する短期軌道の投影値は、基準軌道が位置付けられた投影面に対して短期軌道が投影された後に取得された、投影の長さを指す。基準軌道の投影値が大きいほど、基準軌道は短期軌道によりフィッティングすることを示し、それに応じて基準軌道の信頼度がより高くなる。
【0177】
本願における基準軌道の信頼度を決定する解決手段を明確にすべく、以下の例が開示される。
【0178】
この例において、
図8は、本願の実施形態において適用された地図の概略図である。基準点は地図にマーク付けされており、基準点は、病院、オフィスビル、大食堂、果物屋、学校及びスーパーマーケットを含む。車両、及び学校及びスーパーマーケットの各々の間の距離は第1範囲を超えており、車両、及び病院、オフィスビル、大食堂、及び果物屋の各々の間の距離は第1範囲に含まれている。したがって、この例において、病院、オフィスビル、大食堂、及び果物屋は、第1基準点として決定され得る。
【0179】
図9に示されたように、この例において、目標は歩行者である。加えて、歩行者は、時間シーケンスにおける時点t1、t2及びt3における3つの地理的位置を通過する。3つの地理的位置は各々が
図9におけるポートレートによってマーク付けされており、現時点は時点t3である。
【0180】
歩行者が病院に行く履歴頻度は1であり、歩行者がオフィスビルに行く履歴頻度は26であり、歩行者が大食堂に行く履歴頻度は50であり、歩行者が果物屋に行く履歴頻度は10であることが、歩行者のアイデンティティ情報に基づいて決定される。加えて、この例において、第1閾値は5であり、目標が第1閾値より大きい履歴頻度でそこに行く第1基準点は、目標ポイントとして決定される。この場合、3つの第1基準点、すなわち、オフィスビル、大食堂及び果物屋は、この例において目標ポイントとして決定され得る。加えて、
図9において、歩行者及び各目標ポイントの間の基準軌道が描画されており、基準軌道は、矢印を有した接続線によって表されており、各目標ポイントを指している。
【0181】
この例において、次のs秒における歩行者の短期軌道は、歩行者の移動トレンドに基づいて決定され得る。
図9において、短期軌道は、矢印を有した線分によって表されている。加えて、基準軌道から区分すべく、基準軌道を表す接続線と比較して、短期軌道は、比較的太い線分によって表されている。
【0182】
この場合において、基準軌道に対する短期軌道の投影値が決定される必要がある。
図9において、破線は基準軌道に対する垂直線を表しており、垂直線及び基準軌道の間には共通部分があり、共通部分及び時点t3における歩行者の地理的位置の間における接続線は基準軌道に対する短期軌道の投影であり、投影の長さは基準軌道に対する短期軌道の投影値である。
【0183】
図9によると、歩行者及び果物屋の間における基準軌道の投影値が最も大きいことが決定され得、投影値は、歩行者及び果物屋の間の基準軌道の信頼度として使用され得、その結果、歩行者及び果物屋の間の基準軌道の信頼度が最も大きくなる。この場合、歩行者及び果物屋の間の基準軌道が歩行者の予測軌道であることが決定され得る。
【0184】
前述の実施形態において、信頼度に基づいて予測軌道を決定する方法が説明されている。加えて、予測軌道は別の方式で決定され得る。本願の別の実現可能な実装の解決手段において、少なくとも1つの基準軌道から目標の予測軌道を決定する上記段階は、以下の段階を含む。
【0185】
まず、目標が少なくとも1つの基準軌道に走行する履歴頻度又は履歴時間が決定される。
【0186】
次に、目標が少なくとも1つの基準軌道に走行した履歴頻度又は履歴時間に基づいて、少なくとも1つの基準軌道から予測軌道を決定し、ここで、予測軌道は、目標がそれに沿って最も高い履歴頻度で走行する基準軌道であるか、又は、予測軌道は、目標がそれに沿って現時点に最も近い履歴時間で走行する基準軌道である。
【0187】
換言すれば、この実装において、目標がそれに沿って最も高い履歴頻度で走行する基準軌道が予測軌道として使用されるか、又は、目標がそれに沿って現時点に最も近い履歴時間で走行する基準軌道が予測軌道として使用される。
【0188】
前述の解決手段によると、目標の予測軌道が決定され得る。加えて、車両は、目標の予測軌道に基づいて車両の運転挙動を計画し得る。この場合、本願の本実施形態に提供された解決手段はさらに、以下の段階を含む:
前記車両が前記目標と衝突しようとしていることが前記予測軌道に基づいて決定された後、前記車両の運転挙動を調整する段階。
【0189】
車両が目標と衝突しようとしていることが予測軌道に基づいて決定された後、衝突を回避すべく、車両は、車両の運転挙動を調整する必要がある。例えば、車両は、加速及び迂回、低速走行、又は停止及び待機などの操作を実行することによって衝突を回避し得る。
【0190】
加えて、車両が目標と衝突しないことが予測軌道に基づいて決定された場合、車両は、車両の現在の運転挙動を維持し得る。
【0191】
既存の軌道予測技術は、次の比較的短い期間における目標の軌道のみを正確に予測できる。したがって、従来技術を使用することによって予測された軌道に基づいて車両の運転挙動を計画している間は、短期間における車両の運転挙動のみが計画され得る。この場合、車両は通常、車両の運転挙動を頻繁に調整する必要があり、場合によっては、車両が頻繁に停止及び走行するか又は車両の速度が不安定になるという現象さえある。
【0192】
しかしながら、本願における前述の段階によると、車両は、予測軌道に基づいて車両の運転挙動を計画し得る。さらに、本願の本実施形態における解決手段は次の比較的長い期間における軌道を正確に予測できるので、従来技術と比較して、従来技術と比較して、車両が本願の本実施形態において決定された予測軌道を使用することによって車両の運転挙動を計画するとき、車両は、次の比較的長い期間における運転挙動を予め計画し得る。これは、運転挙動の頻繁な調整を回避し、車両の緊急ブレーキ、緊急事態回避、及び頻繁な停止及び走行などの現象を低減し、車両の安全さ及び快適さを保証する。
【0193】
以下では、本願の装置の実施形態を提供しており、当該装置の実施形態は、本願の方法の実施形態を実行するために使用され得る。本願の装置の実施形態において開示されていない詳細については、本願の方法の実施形態を参照されたい。
【0194】
前述の実施形態の実装において、本願の実施形態は、軌道予測装置を開示する。
図10に示された構造の概略図に示されたように、本願の本実施形態に開示された運転挙動モニタリング装置は、プロセッサ1110及び送受信機インタフェース1120を含む。
【0195】
送受信機インタフェース1120は、センサについての情報を受信するように構成されている。
【0196】
可能な実装において、本願の本実施形態に開示された軌道予測装置は、車両に適用される。この場合、上記センサは、車両内に配置されたセンサであり得る。
【0197】
この場合、センサはカメラを含み得、カメラは目標を継続的に撮影し得、次に、目標を含む画像を分析することによって目標の関連情報を決定する。例えば、カメラを使用することによって目標を継続的に撮影することによって取得された画像に基づいて、目標の履歴移動情報が決定され得、目標の移動トレンドが決定され得る。
【0198】
加えて、センサはさらに、レーダを含み得る。この場合、車両は、レーダを使用することによって目標の移動速度を決定し得る。
【0199】
前記プロセッサ1110は、
前記センサについての前記情報に基づいて少なくとも1つの目標ポイントを決定すること、ここで、前記目標ポイント及び前記車両の間の距離は第1範囲に含まれる;前記目標及び前記少なくとも1つの目標ポイントの間の少なくとも1つの基準軌道を、前記少なくとも1つの目標ポイント及び前記目標の地理的位置に基づいて取得すること;及び、前記少なくとも1つの基準軌道から前記目標の予測軌道を決定することを行うように構成されている。
【0200】
本願の本実施形態に提供された解決手段を使用することによる目標の軌道予測中に、目標ポイントが決定される必要がある。したがって、本願の本実施形態に提供された解決手段を使用することによる目標の軌道予測中には、目標の履歴移動情報が使用されるだけでなく、目標ポイントについての情報も使用される。
【0201】
目標の軌道を予測するための既存の方法と比較して、本願の本実施形態に提供された解決手段では、目標の軌道予測中により多様な情報が使用され得る。したがって、本願の本実施形態に提供された解決手段は、次の比較的短い期間における目標の軌道を正確に予測できるだけでなく、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度も向上させ得る。
【0202】
従来技術においては、通常、次の3秒から5秒における目標の軌道のみが正確に予測され得る。しかしながら、本願の本実施形態に提供された解決手段は、次の5秒から20秒における目標の軌道を正確に予測し得る。従来技術と比較して、本願の本実施形態に提供された解決手段は、次の比較的長い期間における目標の軌道を予測することの正確度を向上させる。
【0203】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、前記プロセッサは、
基準点がマーク付けされた地図を照会することによって又は前記基準点を示したテキストファイルを照会することによって第1基準点を決定すること、ここで前記第1基準点及び前記車両の間の距離は前記第1範囲に含まれる;及び
第1基準点の数がnより大きくない場合、前記第1基準点を前記目標ポイントとして決定すること、ここでnは予め設定された自然数である;又は
第1基準点の数がnより大きい場合、前記第1基準点から前記少なくとも1つの目標ポイントを選択すること
を行うように具体的に構成されている。
【0204】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、第1基準点を決定している間に、地図が適用され得る。既存の地図と比較して、少なくとも1つの基準点がマーク付けされた層が、本願の本実施形態に適用された地図に追加される。基準点は通常、目標がそれに向かって走行し得る場所、例えば、団地の入口、ガレージ、病院、政府機関、会社、バス停、ショッピングモール、スーパーマーケット、上下斜路、交差道路、又は横断歩道である。この場合、プロセッサは、基準点がマーク付けされた地図を照会することによって、第1基準点を決定し得る。
【0205】
第1基準点は、基準点がマーク付けされた地図を照会すること又は基準点を示すテキストファイルを照会することによって決定され得る。1又は複数の第1基準点が存在し得る。この場合、第1基準点の数がnより大きくない場合、それは、第1基準点の数が比較的少ないことを示しており、全ての第1基準点が目標ポイントであることが決定される;又は、第1基準点の数がnより大きい場合、それは、第1基準点の数が比較的多いことを示しており、第1基準点はさらに、第1基準点のうちの目標ポイントを決定すべくスクリーニングされ得る。
【0206】
nは、予め設定された自然数である。可能な実装において、nは3であり得る。
【0207】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、プロセッサは、基準軌道を決定し得る。可能な実装の解決手段において、プロセッサは、目標から少なくとも1つの目標ポイントへの履歴軌道を、少なくとも1つの基準軌道として決定するように具体的に構成されている。
【0208】
代替的に、別の可能な実装の解決手段において、プロセッサは、交通規則が満たされたとき、目標及び少なくとも1つの目標ポイントのうちいずれか一つの間の最も短い軌道を基準軌道として決定するように具体的に構成されている。この場合、交通規則が満たされたとき、プロセッサは、目標ポイントの地理的位置及び目標の地理的位置に対してフィッティングを実行し得、目標ポイント及び目標の間の可能な軌道をフィッティングにより決定し、目標ポイント及び目標の間の最も短い軌道を基準軌道として決定する。
【0209】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、前記プロセッサは、
次のs秒における前記目標の短期軌道を前記目標の移動トレンドに基づいて決定すること、
前記短期軌道に基づいて前記少なくとも1つの基準軌道の信頼度を決定すること、ここで、前記基準軌道の前記信頼度は、前記基準軌道及び前記短期軌道の間のフィッティング度を示す;及び
最も高い信頼度を有する基準軌道を前記目標の前記予測軌道として決定すること
を行うように具体的に構成されている。
【0210】
プロセッサは、複数の方式で短期軌道を決定し得る。可能な実装の解決手段において、プロセッサは、現在の移動トレンド下で目標がs秒間移動した後に取得された軌道を、短期軌道として決定するように具体的に構成されている。
【0211】
代替的に、別の可能な実装の解決手段において、前記プロセッサは、前記目標の前記移動トレンドに基づいて前記目標の第2パラメータを決定すること、ここで、前記目標の前記第2パラメータは、前記目標の履歴移動速度及び履歴移動方向、前記目標の地理的位置、及び前記目標の環境情報を含む、;及び
前記第2パラメータがニューラルネットワークモデルに入力された後、前記次のs秒における前記目標の、前記ニューラルネットワークモデルによって出力された前記短期軌道を取得すること
を行うように具体的に構成されている。
【0212】
本願の本実施形態に提供された解決手段において、前記プロセッサは、
前記少なくとも1つの基準軌道の前記短期軌道の投影値を次の式に従って決定するように具体的に構成されており、ここで前記投影値は前記少なくとも1つの基準軌道の前記信頼度であり;
【数25】
であり、
【数26】
は、基準軌道
【数27】
上の前記短期軌道
【数28】
の投影値であり;
【数29】
は、前記短期軌道
【数30】
及び前記基準軌道
【数31】
の間の挟角であり、前記基準軌道
【数32】
は、前記少なくとも1つの基準軌道のうちいずれか一つである。
【0213】
加えて、プロセッサはさらに、目標が基準軌道に向かって走行する履歴頻度又は履歴時間に基づいて、基準軌道から予測軌道を決定し得る。この場合、プロセッサは、
目標が少なくとも1つの基準軌道に向かって走行する履歴頻度又は履歴時間を決定すること;及び
目標が少なくとも1つの基準軌道に向かって走行する履歴頻度又は履歴時間に基づいて、少なくとも1つの基準軌道から予測軌道を決定すること、予測軌道は、目標がそれに沿って最も高い履歴頻度で走行する基準軌道であるか、又は、予測軌道は、目標がそれに沿って現時点に最も近い履歴時間で走行する基準軌道である
を行うように具体的に構成されている。
【0214】
さらに、本願の本実施形態に提供された装置が適用された車両は、目標の予測軌道に基づいて車両の運転挙動を調整し得る。
【0215】
この場合、前記プロセッサはさらに、
前記車両が前記目標と衝突しようとしていることが前記予測軌道に基づいて決定された後、前記車両の運転挙動を調整することをように構成されている。
【0216】
車両が目標と衝突しようとしていることが予測軌道に基づいて決定された後、衝突を回避すべく、車両は、車両の運転挙動を調整する必要がある。例えば、車両は、加速及び迂回、低速走行、又は停止及び待機などの操作を実行することによって衝突を回避し得る。車両の安全は、車両の運転挙動を調整することによって向上され得る。
【0217】
加えて、車両が目標と衝突しないことが予測軌道に基づいて決定された場合、車両は、車両の現在の運転挙動を維持し得る。
【0218】
既存の軌道予測技術は、次の比較的短い期間における目標の軌道のみを正確に予測できる。したがって、従来技術を使用することによって予測された軌道に基づいて車両の運転挙動を計画している間は、短期間における車両の運転挙動のみが計画され得る。この場合、車両は通常、車両の運転挙動を頻繁に調整する必要があり、場合によっては、車両が頻繁に停止及び走行するか又は車両の速度が不安定になるという現象さえある。
【0219】
しかしながら、本願における前述の段階によると、車両は、予測軌道に基づいて車両の運転挙動を計画し得る。さらに、本願の本実施形態における解決手段は次の比較的長い期間における軌道を正確に予測できるので、従来技術と比較して、従来技術と比較して、車両が本願の本実施形態において決定された予測軌道を使用することによって車両の運転挙動を計画するとき、車両は、次の比較的長い期間における運転挙動を予め計画し得る。これは、運転挙動の頻繁な調整を回避し、車両の緊急ブレーキ、緊急事態回避、及び頻繁な停止及び走行などの現象を低減し、車両の安全さ及び快適さを保証する。
【0220】
本願の実施形態は、地図を提供する。地図は、第1層を含む。第1層は少なくとも1つの基準点を含み、基準点は、ビジネス産業の場所、企業の場所、サービス産業の場所といった場所のうちの少なくとも1つを含む。
【0221】
既存の地図と比較して、本願の本実施形態に提供された地図は、追加で基準点がマーク付けされており、当該基準点は地図の第1層に位置付けられている。基準点は、例えば、ショッピングモール及びスーパーマーケットのようなビジネス産業の場所を含み得る。加えて、基準点はさらに、例えばオフィスビルのような企業の場所を含み得る。代替的に、基準点はさらに、例えば病院のようなサービス産業の場所を含み得る。
【0222】
加えて、基準点はさらに、例えば、団地の入口、ガレージ、交差道路、及び横断歩道のような、目標が留まり得る別の場所を含み得る。
【0223】
本願の本実施形態に提供された地図については、
図7(b)及び
図8に示された概略図を参照されたい。
【0224】
第1基準点は、本願の本実施形態に提供された地図を照会することによって決定され得る。第1基準点は、車両からの距離が第1範囲に含まれる基準点である。この場合、少なくとも1つの目標ポイントは第1基準点を使用することによって決定され得、その結果、車両は、少なくとも1つの目標ポイントを使用することによって目標の軌道を予測する。
【0225】
本願の本実施形態に提供された地図は、目標の軌道を予測するプロセスにおいて、目標がそれに向かって走行し得る基準点を発見することに役立ち、車両は、発見された基準点及び目標の調査情報に基づいて目標ポイントを決定する。したがって、本願の本実施形態に提供された地図を使用することによって車両が目標の軌道を予測したとき、目標の履歴移動情報が使用されるだけでなく、目標ポイントについての情報も使用される。これは、次の比較的長い期間において車両によって目標の軌道を予測することの正確度を向上させることに役立つ。
【0226】
可能な実装において、本願の本実施形態に提供された地図は、既存の高解像度地図上に第1層がセットされた後に取得された地図である。高解像度地図の絶対座標の精度は比較的高い。絶対座標の精度は、地図上の目標及び実際の外部世界におけるオブジェクトの間の精度である。加えて、高解像度地図に含まれた道路交通情報要素は、より豊富且つ詳細である。この場合、本願の本実施形態に提供された地図上にマーク付けされた各基準点はより正確で、車両によって軌道予測を実行することの正確度を向上させるのに役立つ。
【0227】
さらに、本願の本実施形態に提供された地図において、前記基準点は、第1期間における第2閾値より少なくない数の人が通過する場所である。
【0228】
第1期間は、現時点より24時間前であり得、又は、第1期間は、現時点に比較的近い期間であり得る。例えば、現時点が午前11:00の場合、第1期間は昨日の10:00から11:00であり得る。
【0229】
基準点は、第1期間における第2閾値より少なくない数の人が通過する場所であるので、基準点は、人の流れが比較的多い場所であり、目標が基準点に走行する確率は比較的高い。この場合、地図を照会することによって車両によって決定された第1基準点は、目標がそれに向かって走行する可能性がより高い場所である。したがって、第1基準点を使用することによって車両が軌道予測を実行するとき、軌道予測を実行することの正確度は向上され得る。
【0230】
それに応じて、前述の方法に対応して、本願の実施形態はさらに、端末装置を開示する。
図11に示された構造の概略図に示されたように、端末装置は、
少なくとも1つの第1プロセッサ1101及びメモリを含む。
【0231】
メモリは、プログラム命令を記憶するように構成される。
【0232】
第1プロセッサは、メモリに記憶されているプログラム命令を呼び出して実行し、その結果、端末装置は、
図6に対応する実施形態における段階の全て又はいくつかを実行するように構成されている。
【0233】
さらに、端末装置はさらに送受信機1102及びバス1103を含み得、メモリは、ランダムアクセスメモリ1104及びリードオンリメモリ1105を含む。
【0234】
第1プロセッサは、送受信機、ランダムアクセスメモリ及びリードオンリメモリの各々に、バスを使用することによって結合されている。端末装置が実行される必要があるとき、リードオンリメモリに構築された基本入力/出力システム、埋め込みシステムにおける又はブートローダ・ブートシステムが、端末装置のブートを開始して、通常実行状態に入る。端末装置が通常実行状態に入った後、アプリケーションプログラム及びオペレーティングシステムがランダムアクセスメモリにおいて実行され、その結果、端末装置は、
図6に対応する実施形態における段階の全て又はいくつかを実行する。
【0235】
本発明の本実施形態における装置は、
図6に対応する実施形態における軌道予測装置に対応し得る。加えて、装置におけるプロセッサ等は、
図6に対応する実施形態における軌道予測装置の機能、又は、軌道予測装置によって実装される様々な段階及び方法を実装し得る。簡潔にするために、本明細書においては、詳細について改めて説明しない。
【0236】
具体的な実装中に、本願の実施形態はさらに、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。コンピュータ可読記憶媒体は、命令を含む。任意のデバイスに配置されたコンピュータ可読媒体がコンピュータ上で実行されたとき、
図6に対応する実施形態における段階の全て又はいくつかが実装され得る。コンピュータ可読媒体の記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、リードオンリメモリ(英語:read-only memory,略してROM)、又は、ランダムアクセスメモリ(英語:random access memory,略してRAM)等であり得る。
【0237】
加えて、本願の別の実施形態はさらに、命令を含むコンピュータプログラム製品を開示する。コンピュータプログラム製品が電子デバイス上で実行されたとき、電子デバイスは、
図6に対応する実施形態における段階の全て又はいくつかを実装することが可能になる。
【0238】
本願の実施形態に説明されている様々な例示的な論理ユニット及び回路は、汎用プロセッサ。デジタル情報プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は別のプログラマブル論理装置、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせの設計を使用することによって、説明された機能を実装又は操作し得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよい。任意選択的に、汎用プロセッサは、任意の従来型プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ又はステートマシンであり得る。プロセッサは代替的に、例えば、デジタル情報プロセッサ及びマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、1又は複数のマイクロプロセッサ及びデジタル情報プロセッサコアの組み合わせ、又は、任意の他の同様の構造といった計算装置の組み合わせによって実装され得る。
【0239】
本願の実施形態において説明される方法又はアルゴリズムの段階は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアユニット、又は、その組み合わせに直接組み込まれ得る。ソフトウェアユニットは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、CD-ROM、又は当技術分野におけるあらゆる他の形の記憶媒体に記憶されてよい。例えば、記憶媒体は、プロセッサに接続され得、その結果、プロセッサは、記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込み得る。代替的に、記憶媒体は、プロセッサと統合され得る。プロセッサ及び記憶媒体は、ASICの中に配置されてよく、ASICは、UEの中に配置されてよい。任意選択的に、プロセッサ及び記憶媒体は、UEの異なるコンポーネントに配置され得る。
【0240】
プロセスにおけるシーケンス番号は、本願の様々な実施形態における実行順序を意味するものではないことを理解されたい。プロセスの実行順序は、機能、及びプロセスの内部ロジックに基づいて決定されるべきであり、本願の実施形態の実装のプロセスに対するいかなる限定としても解釈されるべきでない。
【0241】
前述の実施形態の全て又はいくつかは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組み合わせによって実装されてもよい。ソフトウェアが実施形態を実装するために用いられる場合、実施形態の全部又は一部がコンピュータプログラム製品の形式で実装されてよい。コンピュータプログラム製品は1又は複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がロードされてコンピュータ上で実行されるとき、本願の実施形態に従っている手順又は機能の全部又は一部が生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は別のプログラマブル装置であってよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る、又は、コンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に伝送され得る。例えば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンタから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ又はデータセンタへ、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ又はデジタル加入者線(DSL))又は無線(例えば、赤外線、電波又はマイクロ波)方式で伝送されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによりアクセス可能である任意の使用可能な媒体であってもよく、サーバ又はデータセンタなど、1又は複数の使用可能な媒体を統合したデータ記憶デバイスであってもよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、又は磁気テープ)、光媒体(例えば、DVD)、又は半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスク Solid State Disk (SSD))等であり得る。
【0242】
本明細書における実施形態間の同じ部分及び類似した部分については、相互参照が成され得る。各実施形態は、他の実施形態との差に重点を置いている。特に、装置及びシステムの実施形態は、基本的に方法の実施形態と同様であり、したがって、簡潔に説明されている。関連する部分については、方法の実施形態における部分的記載を参照されたい。
【0243】
当業者であれば、本発明の実施形態における技術が、必要な一般的なハードウェアプラットフォームに加えて、ソフトウェアによって実装され得ることを明確に理解し得る。そのような理解に基づいて、本発明の実施形態の技術的解決手段は本質的に、又は、現在の技術に寄与する部分は、ソフトウェア製品の形態で実装され得る。コンピュータソフトウェア製品は、ROM/RAM、ハードディスク、又は光ディスクなどの記憶媒体に記憶されており、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイス等であり得る)に、実施形態に説明された方法又は本発明の実施形態のいくつかの部分を実行するように命令するいくつかの命令を含む。
【0244】
本明細書における実施形態間の同じ部分及び類似した部分については、相互参照が成され得る。特に、本願に開示された道路制約決定装置の実施形態は基本的に、方法の実施形態と同様であり、したがって、簡潔に説明される。関連する部分については、方法の実施形態における説明を参照されたい。
【0245】
本発明における前述の実装は、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。
【国際調査報告】