(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】計量システム
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240126BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544448
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022051765
(87)【国際公開番号】W WO2022167289
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021102657.1
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514024918
【氏名又は名称】フェルメス マイクロディスペンシング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリース、マリオ
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA02
4F041BA12
4F041BA32
4F041BA34
4F041BA46
4F042AB00
4F042BA12
4F042CB07
4F042CB26
(57)【要約】
本発明は、計量媒体を計量するための計量システム(1)であって、フレーム筐体ユニット(2)と、レバーマウント(4)を備えるレバー取り付けユニット(3)であって、フレーム筐体ユニット(2)上において支持されるレバー取り付けユニット(3)と、を備える計量システム(1)に関する。本発明は、傾斜軸(R)の周りに回転可能にレバーマウント(4)によって支持されるレバー(30)、好ましくは、非対称なレバー(30)をさらに備え、レバー(30)は、レバー(30)の略長手方向(30L)に延在する2サイドレバーアーム(31)を備え、一方のレバーアームサイド(35)、好ましくは、より長いレバーアームサイド(35)が、傾斜軸に近い第1のアクチュエータ係合点(36)を有し、一方のレバーアームサイド(35)が、端部部分(33)において傾斜軸から離れて吐出要素(13)、好ましくは、ラム(13)に接触し、他方のレバーアームサイド(32)、好ましくは、より短いレバーアームサイド(32)が、傾斜軸に近い第2のアクチュエータ係合点(37)を有する。本発明は、動作中に第1のアクチュエータ係合点および第2のアクチュエータ係合点(36、37)においてレバー(30)に反対方向の傾斜モーメントを働かせる2つのアクチュエータ(50a、50b)、をさらに備え、アクチュエータ(50a、50b)は、互いに対して傾けて配置される。レバー取り付けユニット(3)、レバー(30)、および2つのアクチュエータ(50a、50b)は、ともに、運動機構(4、30、50a、50b)を形成し、運動機構(4、30、50a、50b)は、少なくとも1つのバネ要素(21)、好ましくは、ディスクスプリングのセット(21)によってフレーム筐体ユニット(2)上に支えられ、バネ要素(21)は、2つのアクチュエータ(50a、50b)を介し、並びに、レバー(30)を介してフレーム筐体ユニット(2)に対してレバー取り付けユニット(3)を支えるように好ましくは配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量媒体を計量するための計量システム(1)であって、
前記計量システム(1)は、
フレーム筐体ユニット(2)と、
レバーマウント(4)を備えるレバー取り付けユニット(3)であって、前記フレーム筐体ユニット(2)上において支持されるレバー取り付けユニット(3)と、
傾斜軸(R)の周りに回転可能に前記レバーマウント(4)によって支持されるレバー(30)であって、前記レバー(30)は、前記レバー(30)の略長手方向(30L)に延在する2サイドレバーアーム(31)を備え、一方のレバーアームサイド(35)、好ましくは、より長いレバーアームサイド(35)が、前記傾斜軸に近い第1のアクチュエータ係合点(36)を有し、前記一方のレバーアームサイド(35)が、端部部分(33)において前記傾斜軸から離れて吐出要素(13)、好ましくは、ラム(13)に接触し、他方のレバーアームサイド(32)、好ましくは、より短いレバーアームサイド(32)が、前記傾斜軸に近い第2のアクチュエータ係合点(37)を有する、レバー(30)、好ましくは、非対称なレバー(30)と、
動作中に前記第1のアクチュエータ係合点および第2のアクチュエータ係合点(36、37)において前記レバー(30)に反対方向の傾斜モーメントを働かせる2つのアクチュエータ(50a、50b)と、
を備え、
前記アクチュエータ(50a、50b)は、互いに対して傾けて配置され、前記レバー取り付けユニット(3)、前記レバー(30)、および前記2つのアクチュエータ(50a、50b)は、ともに、運動機構(3、4、5、30、50a、50b)を形成し、前記運動機構(3、4、5、30、50a、50b)は、少なくとも1つのバネ要素(21)、好ましくは、ディスクスプリングのセット(21)によってフレーム筐体ユニット(2)上に支えられ、
前記バネ要素(21)は、前記2つのアクチュエータ(50a、50b)を介して、並びに、前記レバー(30)を介して、前記フレーム筐体ユニット(2)に対して前記レバー取り付けユニット(3)を支えるように好ましくは配置される、
計量システム(1)。
【請求項2】
前記2つのアクチュエータ(50a、50b)は、前記レバー30の共通の長手方向サイドに位置する、請求項1記載の計量システム。
【請求項3】
前記アクチュエータ(50a、50b)は、互いに対して傾けて、V字状に、好ましくは最大150°の角度で、より好ましくは、最大120°の角度で、よりもっと好ましくは最大90°の角度で、特に好ましくは最大60°の角度で、最も好ましくは最大30°の角度で、配置される、
請求項1または2記載の計量システム。
【請求項4】
前記アクチュエータ(50a、50b)に対する前記レバー(30)上の前記アクチュエータ係合点(36、37)は、前記傾斜軸(R)の平面に位置しない、
請求項1~3のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項5】
前記アクチュエータ係合点(36、37)が、前記レバー(30)において、前記レバー(30)が回転可能に支持される前記傾斜軸(R)よりも、前記アクチュエータ(50a、50b)に面する前記レバー(30)の長手方向サイドからさらに離れて置かれるようにして、前記レバー(30)が形成されかつ配置される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項6】
前記レバー(30)の中央位置(P
0)において、前記アクチュエータ(50a、50b)の長手方向軸(52a、52b)が、各場合において、それぞれの前記アクチュエータ係合点(36、37)と前記傾斜軸(R)との間におけるそれぞれの連結線(Va、Vb)に略垂直であるようにして、前記アクチュエータ(50a、50b)が前記アクチュエータ係合点(36、37)に係合する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項7】
前記アクチュエータ(50a、50b)が、吐出および後退動作に応じて計量媒体を計量するための動作の間に、実質的に直線運動を行うように、アクチュエータ係合点(36、37)上の傾斜軸(R)の周りの円(K)上に接線方向に配置される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項8】
前記レバー(30)が、不均一な質量分布を有し、
前記レバー(30)の質量は、好ましくは、前記レバー(30)が全体として可能な限り最小の前記傾斜軸(R)に基づく(質量)慣性モーメントを有するようにして、前記レバー(30)に沿って前記傾斜軸(R)に関して分布される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項9】
前記レバー(30)が、重量を減らすための複数の凹み(38)、好ましくは、横方向に延びる貫通孔(38)を有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項10】
前記計量システム(1)の全質量が、前記フレーム筐体ユニット(2)および前記レバー取り付けユニット(3)に対して、略均一に分割される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項11】
前記レバー取り付けユニット(3)が、多部品構造のものであり、特に、前記レバーマウント(4)に加えて、前記計量システム(1)の流体ユニット(8)のための流体位置決め部(5)を備え、
前記レバーマウント(4)が、好ましくは、ロータリージョイント(6)を介して前記流体位置決め部(5)に回転可能な仕方で接続され、および/または、
前記レバーマウント(4)および前記流体位置決め部(5)が、互いに対して、機械的に調整可能な仕方で支持される、
請求項1~10のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項12】
前記レバー取り付けユニット(3)が、少なくとも1つの空隙を残すことによって、前記フレーム筐体ユニット(2)の一部分(2’)を環状に包囲するリング構造(4、5)を備え、
前記レバー取り付けユニット(3)は、好ましくは、前記レバー取り付けユニット(3)と前記フレーム筐体ユニット(2)の前記一部分(2’)との間の空隙の中に好ましくは配置される前記バネ要素(21)によって前記フレーム筐体ユニット(2)上において可動に支持され、および/または、
前記リング構造(4、5)は、好ましくはロータリージョイント(6)を備え、前記レバー取り付け部(3)の前記レバーマウント(4)が、調整要素(7)、特に、調整スクリュー(7)によって、前記ロータリージョイントから離れた前記流体位置決め部(5)の側においてラム-ノズル距離を調整するために、前記ラム(13)および前記レバー(30)を介して、機械的に調整可能な仕方で、前記流体位置決め部(5)に連結される、
請求項1~11のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項13】
前記アクチュエータ(50a、50b)が、各場合において、封入の方法で、形成され、および/または、
両方のアクチュエータ(50a、50b)は、各場合において、少なくとも1つの温度センサ(65)を備える、
請求項1~12のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項14】
気体、好ましくは、空気、または液体が流れる冷却装置(60)が、各場合において、前記アクチュエータ(50a、50b)を囲み、
前記冷却装置(60)が、好ましくは、
前記アクチュエータ(50a、50b)の間に位置する供給チャネル(61)であって、前記アクチュエータ(50a、50b)の中への引き入れ口(62)を備える供給チャネル(61)と、
排出チャネル(63a、63b)の中への排出口(64)を備える2つの偏心した排出チャネル(63a、63b)と、
を有する、
請求項1~13のいずれか1項に記載の計量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量媒体を計量するための計量システムであって、当該計量システムは、フレーム筐体ユニットと、レバーマウントを備えるレバー取り付けユニットであって、上記のフレーム筐体ユニット上において支持されるレバー取り付けユニットと、傾斜軸の周りに回転可能に上記のレバーマウントによって支持されるレバーであって、略長手方向に延在する2サイドレバーアームを備えるレバーと、を備え、一方のレバーアームサイドが、上記の傾斜軸に近い第1のアクチュエータ係合点を有し、かつ端部部分において上記の傾斜軸から離れて吐出要素に接触し、他方のレバーアームサイドが、上記の傾斜軸に近い第2のアクチュエータ係合点を有する、計量システムに関する。上記の計量システムは、動作中に第1のアクチュエータ係合点および第2のアクチュエータ係合点においてレバーに反対方向の傾斜モーメントを働かせる2つのアクチュエータを、さらに備える。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプの計量システムは、計量すべき媒体(一般的には、液体から粘性のある計量すべき物質)をシステマティックに計量するために通常使用される。いわゆる「マイクロメータリング技術」という文脈では、非常に少ない量の計量媒体または計量物質がそれぞれ、極めて正確な精度で、即ち、接触することなく、つまり、計測システムと標的表面とが直接接触することなく、標的表面に塗布されることが、しばしば必要である。そのような接触のないプロセスは、「ジェットプロセス」とも、しばしば呼ばれる。プリント回路基板または他の電子的要素を取り付けるときの接着剤ドット、ソルダーペーストなどの計量、またはLEDのための変換器材料の塗布が、これに対する一般的な例である。
【0003】
高い精度で、即ち、正確な時点で、正確な位置に、かつ正確に計量された量で、計量媒体を標的表面に運ぶことが、重要な要求である。これは、例えば、計量システムのノズルを介する計量媒質の液滴状放出によって行われ得る。類似する形態、例えば、インクジェットプリンタにも使用されるような「インクジェットプロセス」というタイプのプロセスにおける個々の液滴の放出は、好ましいプロセスである。液滴の大きさ、または1つの液滴あたりの媒体の量は、設定や制御によってはもちろんのこと、達成されるノズルの効果によって、可能な限り正確に予め決定できる。
【0004】
計量システムから媒体を放出するために、可動の吐出要素(一般的には、ラム)が、計量システムのノズルの中に配置できる。ノズルの内部において、ノズル開口の方向に、したがって、前方の計量方向に比較的高い速度で、ラムを押圧するかまたは移動させることが可能であり、それによって、媒体の液滴は、吐出され、その後に再度、後退することができる。
【0005】
ラムがノズルにおいてノズル開口のシーリングシートにしっかりと接続して一時的にそこに留まるという点で、通常、ラムを、閉じた位置に至らせることができる。より粘性のある計量媒体の場合には、ラムが、媒質の液滴がノズル開口から漏れ出ることなく、後退位置に、即ち、シーリングシートから離れて単に留まることも、十分であり得る。
【0006】
本発明は、上述した全ての代替方法の場合において、具体的な吐出原理とは無関係に、即ち、ジェットプロセス、オープンインクジェットプロセスの場合において、あるいは、簡素な閉鎖要素とともにも使用することができる。
【0007】
より高い機械生産性またはより高い動作速度を連続的に達成するという望みから、計量媒体を標的表面にこれまで以上に速く塗布する、したがって、例えば、高い吐出周波数で、したがって、急速に時間的に連続して液滴を標的表面に塗布する、というさらなる要求が、現在において存在する。
【0008】
このことは、計量システムにおいて動的に励振された構成要素から計量システム全体に伝搬し得る振動をもたらす。計量システムは振動を生じるシステムであるという事実により、このシステムの構造における励振が任意に増強される。特に、当該システムの固有振動数が、それによって励起させられ得る。固有振動数と励起振動数とが一致すると、共振が生成され、望ましくない相対的な動きを引き起こし、計量の挙動、特に、計量精度および計量の質に悪い影響を与え得る。
【0009】
従来、知られている計量システムは、そのような望ましい吐出周波数を理論的にのみ駆動することができる。現在知られている計量システムでは、要求される品質基準の面で、所望の吐出周波数で安定的かつスムーズに、もはや動作することができないことを、試験は示している。したがって、計量の質は、計量精度と同様に、与えられた計量周波数で満足のいく計量結果を達成することが不可能な仕方で低減する。
【0010】
この問題に取り組むために、プリロードスプリング、したがって、アクチュエータに直接的にプリロードをかけるスプリングが、実用においてしばしば使用される。高い動的応力の場合において、構成要素(特に、アクチュエータ、およびフレーム構成要素部品)が、不均一にはもちろんのこと、様々な程度で熱くなる。この結果として、ノズルに対して閉鎖要素の位置がずれ、したがって、計量結果がずれる。高い励起振動数の場合において、動的に振動するプリロードスプリングの自然共鳴が、さらに結果として生じ得るが、この自然共鳴は、このとき、計量プロセスに同様に悪い影響を与える。所望の周波数範囲では、短期的には計量結果に悪い影響を与えかつ長期的にはそれぞれの構成要素の摩擦の増加または摩耗の増加をもたらす干渉効果および/または共鳴効果という結果となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、既知の計量システムを改善すること、特に、特別な迅速計量システムを明示することであり、それによって、ワークピース上の計量媒体の高い計測精度と高い計測の質とともに、より高い計測周波数が達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1に係る計量システムによって解決される。
【0013】
上述したように、ワークピース上のまたは基板上の計量媒体を計量するための本発明に係る計量システムは、フレーム筐体ユニットを備える。フレーム筐体ユニットは、「フレーム状に」取り囲む計量システムの筐体を意味し、したがって、計量システムの大部分の構成要素、例えば、後で記載する計量システムの運動機構などを裏面で囲む筐体を意味する。機能的な理由から、フレーム筐体ユニットは、比較的に大きくかつ自動力がないように具体化される。なぜなら、以下でさらに記載されるように、計量システムの運動機構などの、特に動的構成要素を、それに対して弾性的に支持することができるように、それは、計量システムの安定的なカウンターベアリングとして、または自動力のないフレームとして、機能するからである。
【0014】
フレーム筐体ユニットは、運動機構の高い振動または高い運動振動数に対して、ほとんど応答しない、または、全く応答しないように、したがって、動的な運動機構に対して静的に振る舞うように設計され、即ち、相応して自動力がなく大きい。したがってそれが全体の計量システムを静めるという点で、それは、一貫して良い計量の性質を保証する。
【0015】
それは、計量システムの運動機構の動的に高い振動数で動くより軽量の個々の構成要素の振動数の範囲に対して可能な限り無反応である、低い固有振動数を有する計量システムの第1の主要な質量、即ち、可能であれば、上述の振動数の範囲に対して振動するようには励起されない第1の主要な質量を好ましくは形成することが可能であり、その結果、計量オペレーションにおける全体の計量システムの共鳴振動または残響の干渉に関連する進展が、異なる振動周波数に基づいて実質的に除外される。
【0016】
既に同様に上述したように、本発明に係る計量システムは、計量システムのレバーのための少なくとも1つのレバーマウントを備えるフレーム筐体ユニット上に支持されるレバー取り付けユニットを、さらに備える。レバー取り付けユニットは、有利には、それが傾斜や回転に対して構造的に保護されているが、フレームに対して深さ方向または計量方向の軸に沿ってシフトできる限りにおいて、フレーム筐体ユニットから分離される。このシフトは、フレーム筐体ユニットとレバー取り付けユニットとの間においてレバー取り付けユニットを介してバネで支えられる圧電アクチュエータによって防ぐことができる。以下で記載されるように、2つの圧電アクチュエータの熱的に同一な変化、および/またはフレーム筐体ユニットの熱的変化が、ノズルと吐出要素との間の距離の適切な変化をもたらすことが、それによって達成される。
【0017】
レバー取り付けユニットは、好ましくは、フレーム筐体ユニットの内側に部分的に、フレーム筐体ユニットの外側に部分的に配置され、したがって、フレーム筐体ユニットに支持される。
【0018】
レバー取り付けユニットのレバーマウントは、運動機構の一部である、回転マウントの第1の回転取り付け部である。回転マウントまたは傾斜マウントは、レバーマウントおよびレバーから形成され、2つのアクチュエータの計量オペレーションのために交互に生成される力を、駆動すべき吐出要素に間接的へ伝達する。吐出要素は、本発明の本構成の場合においては好ましくはラムであることも可能であり、上述した計量方法または計量のタイプのうちの1つに係るノズルから計量媒体を少なくとも複数の部分に分けて搬送する。
【0019】
文字通りの意味によれば、レバーマウントは、傾斜マウントの傾斜軸の周りに回転可能にまたは傾斜可能に支持されるレバーを支えるという目的に適い、その結果、レバーは、初期の静止位置(即ち、水平中央位置)から、計量システムの与えられた計量方向に傾斜軸に対して動かせるか、または、ストローク長さを定める少なくとも特定の角度で傾斜させることが可能である。その上でレバーが傾斜可能に支持される傾斜軸または回転軸は同様に水平に延在するが、レバーに垂直にまたはレバーの長手方向に垂直に、延在する。
【0020】
計量システムは、動作中において、主に
図1に示される向きで、使用または利用されるが、「頂部」、「底部」、「頂部側に」、「底部側に」、「側方に」、「左」、「右」、「長手方向に」などの相対的な方向の表示は、本明細書では、以下でさらに記載される図面における説明を随意参照する。これは、計量される液滴が、自由落下または飛行において、重力によってワークピースに本質的にわずかに当たるように、したがって、計量が計量方向または下方の深さ方向に行われるように、計量がジェットプロセスの間にワークピース上で大抵は行われることを意味する。
【0021】
最も広い意味においては、レバーは、剛体から成りかつ通常では回転の中心(即ち、傾斜軸)の周りに回転可能に支持される機械的力変換器のことを単に指す。本発明に係る計量システムのレバーは、略長手方向に延在する2サイドレバーアームまたは2腕レバーアームを、備える。「略長手方向に」とは、レバーが計量システムを通る少なくとも主要な延び方向に(即ち、吐出要素とアクチュエータとの間の長手方向に延びる偏位方向に)延在することを意味する。しかし、レバーは、一般的に、他の2つの直交する空間方向にも少なくとも釣り合って延在する3次元的な構成要素である。例えば、それは、少なくとも、それがこれら方向におけるその主要な長手方向の延び方向の少なくとも一部を測定する程度までレバーマウントの方向に、2つの側面の間における(傾斜軸に平行な)横方向、または、(傾斜軸および長手方向軸に垂直な)深さ方向に、延在し得る。
【0022】
一般的に通常のように、用語「レバーアーム」は、本明細書においては、レバーの傾斜軸または回転軸から関与点に到達するレバーの一部(または、長さ)のことも指し、関与点においてはレバーと力が作用するかまたは関わる。2サイドレバーアームまたは2腕レバーアームは、したがって、その上で力がレバーと関わる関与点を各々が備える2つのそのような部分または2つのレバーアームを有する。以後、レバーアームは、レバーのレバーアームのレバーアームサイドとも呼ばれ得る。共通する回転軸からの関与点の距離は、レバーアーム長さとも呼ばれる。従って、原理的には、より短くなるレバーアームの長さとともにそれに応じてより大きくなる力を補償するために、傾斜軸からの関与点の距離が長くなればなるほど、レバーアームの長さはより長くなり、力はより小さくなり得る。
【0023】
本発明に係る計量システムの場合において、2サイドレバーアームのレバーアームサイドのうちの一方は、力が関わる傾斜軸に近い第1のアクチュエータ係合点、即ち、第1の点をさらに有する。傾斜軸から離れて、端部部分上で、それぞれのレバーアームサイドが、既に上述した吐出要素によって計量システムのノズルと接触する。意図したとおり、計量システムの計量方向のレバーの動きは、吐出要素に伝わる。用語「傾斜軸に近い」および「傾斜軸から離れて」は、互いに対して関連付けられることになる。したがって、傾斜軸に近い配置は、それぞれの構成要素が、傾斜軸から離れて配置された構成要素よりも傾斜軸のより近くに配置されるということだけを意味する。
【0024】
下記に記載されるように、他方のレバーアームサイドは、力が第1の点と交互に関わる第2のアクチュエータ係合点、したがって、第2の点を、傾斜軸の近くに同様に有する。それぞれのレバーアームサイドは、他方のレバーアームサイドとは対称的に形成されることが可能であり、例えば、単に、(吐出要素から離れた)第2のアクチュエータ係合点を備えるレバーアームサイド上の傾斜軸から離れたどの場所にも延びていない。レバーの好ましい設計、またはさらなる展開は、後で記載される。
【0025】
本発明に係る計量システムは、動作中に第1のおよび第2のアクチュエータ係合点においてレバーに反対方向の傾斜モーメントを働かせる2つのアクチュエータを、さらに備える。
【0026】
本発明の文脈において、傾斜モーメントは、レバーが特定の角度で傾きかつ接触状態の吐出要素がしたがって計量の目的ために規定されるように動かされることを確実にするトルクとして、単に理解される。しかし、本明細書において使用される用語「傾斜モーメント」は、それが適用される本体がこの特定の傾斜モーメントから始まって傾斜するかまたは転がる場合においての、標準的な傾斜モーメントのことを指してはいない。寧ろ、当該傾斜は、レバーが少なくとも始動の前に最初に位置するかまたはアクチュエータの電源が今のところ切られている時点においてレバーが位置する水平位置または中央位置に対する特定の角度のレバーの傾斜のことを文字通り指す。
【0027】
上記アクチュエータ係合点は、アクチュエータがレバーに係合するかまたはレバーと接触しているレバー上のアクチュエータの接触点または係合点の観点から、少なくとも、接触の、個々の点またはアクチュエータ点のことを指す。しかし、アクチュエータ係合点は、複数の点、線、または面から成ることも可能である。例えば、アクチュエータ係合点は、レバーに対して横方向に延びると同時にアクチュエータの作用の方向に垂直に延びる2つの長手方向係合線またはアクチュエータ接触点として、形成可能である。これは、所望の計量方向に吐出要素を動かすために傾斜軸の周りの与えられた傾斜モーメントのみに対するレバーマウントに対してのレバーの回転動作または傾斜動作を制限するために、適している。したがって、実質的には、システムにおいて例えばさらなる摩擦または摩耗を生じさせ得る回転構成要素が、さらに与えられることはあり得ない。アクチュエータの好ましい設計は、以下にも記載される。
【0028】
本発明によれば、上述した計量システムのアクチュエータは、互いに対して傾けて配置される。「互いに対して傾けて配置される」とは、正面側において、アクチュエータは、共通の面上において互いに向かって傾斜して延在するか、あるいは他方の側においてまたは傾斜軸の後ろにおいて、傾けて共通の点に向けられることを意味する。以下に記載されるさらなる例示的な実施形態において、それらは、例えば、レバーマウントおよびレバーの傾斜ベアリングの傾斜軸の水平平面の下方の点に向けられる。
【0029】
しかし、いずれの場合においても、「互いに対して傾けて配置される」とは、アクチュエータまたはその作用方向が、互いに対して180°未満の角度であるが0°以上の角度で、配置または並べられるということを特に意味する。したがって、以下に詳細に記載されるように、本発明は、アクチュエータが互いに対して完全に対向して、あるいは互いに対して平行にまたは逆平行に並べられるという事実から離れる。
【0030】
(レバーマウントを備える)レバー取り付けユニット、レバー、および2つのアクチュエータは、ともに、さらに運動機構を形成し、本発明にしたがって、運動機構は、少なくとも1つのバネ要素によってフレーム筐体ユニット上に支えられる。
【0031】
運動機構は、望ましくは特に高い周波数で、計量システムの吐出要素を、計量方向または計量方向とは反対方向、即ち、通常の配置の場合における底部へまたは頂部へ、長手方向での吐出および後退動作を行うように設計される。この目的のために、吐出要素は、作動点おいて(例えば、ラムまたはラムヘッドにおいて)運動機構に構造的に接続または連結されるか、あるいは、例えばトーションスプリングなどのスプリングによって、それに逆らってプリロードがかけられることが可能であり、したがって、例えば、単に圧接状態にあることが可能である。いずれにしても、ノズルから計量媒体を放出するために、アクチュエータによって生成される傾斜モーメント、典型的には、単純な線形偏位または直線運動が、(吐出または後退動作のときに)レバーからレバーの接触面を経由して、吐出要素(好ましくは、ラムのラムヘッド)へと、次々にまたは交互で伝達されるような仕方で、連結が行われる。
【0032】
バネ要素は、例えば、少なくとも1つの圧力バネであり得る。それは、略3~4kNで、プリロードがかけられる、即ち、運動機構をフレーム筐体ユニットに対して弾性的に支えられる。2つのアクチュエータは各々、例えば、1.5~2kN、好ましくは、1.8kNで、プリロードがかけられるかまたは付勢される。バネ要素の好適な設計は、後で記載される。
【0033】
本発明の主題の本発明に係る構造によって、計量システムのより高い吐出周波数が、一貫して良い計量精度および計量の質で駆動されることが可能であることが達成される。さらに、本発明に係る構造によって、2つのアクチュエータにおいて、力学的にストレスが加えられた戻りバネなしで済ませることが可能である。なぜなら、この戻りバネは、実際には本発明の場合において望まれるような特に迅速かまたは高い周波数の計量の場合には、システムのぐらつき動作または望ましくない振動をもたらし得るので、全ての周波数において安定した仕方で動作しないからである。
【0034】
運動機構の、フレーム筐体ユニットに対する全体として弾性的であるプリローディングにより、力学的な振動が力学的システム内に留まることが達成され、全体として弾性的なプリローディングは、力学系の成分ではない。さらに、計量システムの個々の構成要素(圧電アクチュエータ、フレーム筐体ユニット、レバー、など)の異なる局所的な加熱によって生じ得る個々の熱的影響は、先行技術におけるこれまでの場合のような吐出要素とノズルとの間の距離への個々の影響を有していないが、ほとんどについては補償される。したがって、全体の計量システムの計量精度および計量の質は、少なくともこのタイプの影響によっては、もはや有意には影響され得ない。
【0035】
本発明の主題の本発明に係る構造、特に、共通の平面においてアクチュエータを傾けて配置することは、計量目的のためにそのレバーアームを介して吐出要素を次々に誘発するレバーの回転中心の周りでの、両側のアクチュエータの係合点のより密接したあるいはより近い位置を、さらにもたらす。したがって、レバーが、より小さくかつより軽量に設計されることが可能であり、したがってより小さな慣性モーメントを有するという点で、より大きな加速、および、したがって、より速い計量を、本発明に係る計量システムによって行うことができる。
【0036】
さらなる利点として、特に、液滴の大きさ、または液滴ごとの媒体の量を、さらにもっと減らすこともできる。したがって、同じ時間間隔において、表面が大きいほど、計量媒体によりさらに濡らされ得る。本発明に係る構造は、特に、標的表面上における少量の計量される媒質または計量される物質の無接触計量(したがって、微量投与の仕方)で、極めて正確な精度で、接触なしの、即ち、計量システムと標的表面との間の直接の接触がない計量において、即ち、ジェットプロセスの間またはジェットプロセスによる計量の間において、安定している。
【0037】
さらに、特定の有利な設計、および本発明のさらなる展開が、以下の記載および従属請求項に従い、異なる例示的な実施形態または代替物の個々の特徴が組み合わされて新しい例示的な実施形態または代替物とされ得る。
【0038】
計量システムの吐出周波数を高めるための様々なオプションが存在する。例えば、運動機構、特に、レバーは、改善された方法で最適化または設計することができる。
【0039】
互いに対して傾けて配置される2つのアクチュエータは、一般的に、レバーの長手方向両サイド(side)に、例えばレバーのレバーアームの端部部分に、係合させることができる。この目的のために、アクチュエータ係合点を、レバーの2つの対向する長手方向のサイドに形成することができる。
【0040】
2つのアクチュエータは、好ましくは、レバーの共通の長手方向のサイドに位置させることが可能であり、その結果、これらは、略共通の方向からレバーと係合することができる。したがって、第1のアクチュエータ係合点、および第2のアクチュエータ係合点は、同じ長手方向のサイドに形成および配置させることができる。
【0041】
(下方に向けられた計量開口を有する)計量システムの通常の配置の場合において、上述した長手方向サイドは、例えば、後で詳細に記載される例示的な実施形態の場合において、レバーの長手方向に延在する頂部側である。したがって、それらは、レバーのひとつの長手方向サイドのみにまたは交互に、反対方向の傾斜モーメントをレバーに働かせ、したがって、一方のサイドにおいてレバーにストレスを加えるだけである。したがって、レバーの反対の(一般的に下方の)長手方向サイドにおいて、十分な空間が、レバーマウントのためにさらに利用可能であり、全体としての計量システムの特に省スペースでコンパクトな構成を確保する。既に上述したように、レバーのひとつの長手方向サイドのアクチュエータの配置は、レバーマウントおよびレバーが、バネ要素によってアクチュエータに対して同時に支えられることができることをさらに可能にし、その結果、したがって、振動を静めるように、「静的」ユニットとしてのフレーム筐体ユニットに対して「動的」ユニットとしての運動機構にプリロードがかけられる。
【0042】
レバーに対するアクチュエータの位置のための好ましい選択肢がある。例えば、一方のアクチュエータが、したがって、レバーに垂直に係合させられることが可能であり、他方のアクチュエータが、傾斜してレバーに当接し、その結果、2つのアクチュエータは、いずれにしても、互い対して傾斜して配置される。
【0043】
しかし、アクチュエータは、好ましくは、(アクチュエータの仮想的な「V字」の)共通の角の二等分線または対称軸に対して、同じ角度で配置されることが可能であり、角の二等分線または対称軸は、レバーの頂部側に垂直である。長手方向サイドから見ると、アクチュエータは、したがって、対称軸に関するまたは角の二等分線に関する仮想的な鏡映によって配列させることができるようにV字状に配置できる。空間的に見ると、例示的な実施形態に基づいて後で記載されるように、アクチュエータは、上述の対称軸からの対称面と同様に、それらに垂直にかつ水平にアクチュエータを通って延びる対称軸からの対称面に関する仮想的な鏡映によって配列させることができるようにV字状に配置できる。
【0044】
アクチュエータは、特に好ましくは、レバーまたはレバー長手方向軸の長手方向が、作用の方向またはアクチュエータの長手方向軸によって張られる仮想面の中に位置するようにして、あるいは、レバーの傾斜軸がこの仮想面に垂直であるようにして、互いに対して傾けて配列されるようにして配置できる。実用的な目的のために、したがって、計量システムは、互いに対して傾けて配置されるアクチュエータがあるにもかかわらず、(レバーの長手方向に垂直な横方向に)極めて平坦に、即ち、1つのみのアクチュエータまたは2つの平行なアクチュエータが設置される-慣習的な-構成の場合に類似した平坦状に、設計できる。
【0045】
アクチュエータは、2つの極端な位置-即ち、一方では互いに隣り合って延在する平行な位置、および、対向する正面の位置(即ち、アクチュエータが異なる側からレバーに向かってかつ互いに向かって真っすぐにまたは共通の配列で延在するときの位置)の間の角度範囲に、(これら極端な位置を除く)共通の角の二等分線に軸対称にレバーの長手方向サイドに互いに対して傾けて配置できる。
【0046】
本発明の好ましい例示的な実施形態によれば、アクチュエータ、より正確には、その長手方向軸または作用方向は、互いに対して最大または大きくて150°でV字状に設置または配置できる。より好ましくは、それらは、最大120°の角度で、またはさらにもっと好ましくは最大90°の角度で、互いに対して配列されることが可能である。特に好ましくは、それらは、最大60°の角度で、および最も好ましくは最大30°の角度で、互いに対して設置されることが可能である。
【0047】
20°よりも小さい、特に、10°よりも小さい角度は、このとき、アクチュエータのそれに応じたより小さい断面によって、またはアクチュエータのトランスデューサをそれに応じて伸長して薄くすることによって、なお達成できる。20°の角度において、「それに応じたより小さい」は、例えば、各アクチュエータの断面の半分が、10°未満であってもよい、ということを意味する。その一方で、上述した伸長は、必然的に、筐体または計量システムの著しい拡張という結果となり、上述の構造をより大きくし、かつ、曲げ力に関してより影響を受けやすくさせる。
【0048】
もし上述の不利益に関連性がなければ、それにもかかわらず、アクチュエータは、好ましくは、最大20°の角度で、特に好ましくは最大10°の角度で、互いに対して傾けて配置されることも望まれ得る。
【0049】
よく知られているように、以下が適用される:互いに対してより急勾配にアクチュエータが配置されればされるほど、即ち、それらの間の共通の角度が小さければ小さいほど、ますますより大きな力がレバーに伝達されるが、なぜなら、レバーに「より垂直に」略隣接するか、あるいは横方向の力の部分が減少するからである。しかし、より急勾配の配置は、アクチュエータが頂部において互いからさらに離れるように動かされるかあるいは間隔があけられるように配置されなければならないことも同時に確実にするが、なぜなら、それらの寸法のために、特に、それらの横方向の拡張またはそれらの長手方向軸に垂直なそれらの直径のために、それらは、自身の妨げとなるかあるいは互いに妨げるからである。したがって、これが先行技術における不利益な仕方における場合であるように、平行な位置の場合において、それらの中央の長手方向軸に基づき、少なくともそれらの直径の距離にそれらが互いから離れるまで、アクチュエータ係合点は、ますますより傾斜する位置の場合において、互いから、またはそれらの間に位置する傾斜軸から、ますます離れていく。2つのアクチュエータの平行な配置の場合におけるアクチュエータの力アームは、アクチュエータの直径の半分に相当する。
【0050】
圧電アクチュエータの場合において達成可能な力学的エネルギはアクチュエータの体積、即ち、アクチュエータの断面または直径、ならびに、アクチュエータの長さ、の関数であるという事実のために、より薄いアクチュエータは、同じ長さを有するより厚いアクチュエータよりもより弱い力を有する。さらに、アクチュエータがより薄く設計されればされるほど、それらはますます不安定になり、それらの挙動がますます予測不可能になる(「棒の座屈問題」または「曲げ強度」も参照)。したがって、上述した理由により、力アームを減らし、レバーの偏位を大きくするために、より薄くかつそれに応じてより長いアクチュエータを使用することは、有用でもない。
【0051】
これは、アクチュエータがレバーと係合するときに傾斜軸からさらに離されるかまたはさらに間隔を空けられていればいるほど、アクチュエータのそれらの長さに関連する決まったストローク長さによってレバーに移されるかまたは伝達されることが可能なストロークまたはレバーの偏位が、ますます小さくなるからである。これは、アクチュエータのストローク長さ-圧電素子が積み重ねられている設計である「積層型圧電アクチュエータ」の場合-は、その特定の長さの関数である(したがって、所定の長さの場合において限定される)からである。位置の最適な選択のため、したがって、アクチュエータがレバーに係合するアクチュエータ係合点の最適な選択のために、レバーの可能な偏位は、アクチュエータの実際のストローク長さよりもより大きなストローク運動を達成するために、アクチュエータそれ自身の制限されたストローク長さの代わりにレバーによって有利な仕方で増加されることが可能である。傾斜軸との係合が近ければ近いほど、レバーの偏位はますます大きくなるが、より短い力アームのために必要とされる力もますます多くなるということが当てはまる。
【0052】
アクチュエータが、レバーのより大きな偏位が達成できるように、-アクチュエータの同じ実施形態で-2つのアクチュエータを平行に配置することに比べて、傾けて配置することによって、傾斜軸のより近くに配置できる。
【0053】
計量システムのアクチュエータは、様々な方法で実現可能であり、圧電アクチュエータが、特に極めて精巧な計量の解決を必要とする応用の場合に好ましくは使用される。他のタイプのアクチュエータ、例えば、液体圧、空気圧作動アクチュエータおよび/または電磁気作動アクチュエータと比べて、圧電作動アクチュエータとも呼ばれる圧電アクチュエータは、高い精度、および、特に迅速な制御可能性という利点を有する。圧電アクチュエータは、反応または応答時間が極めて短いことによって有利に特徴づけられ、他のアクチュエータの原理の対応する値を通常著しく下回る。さらなる利点は、他のタイプのアクチュエータと比べて、圧電アクチュエータは、計量システム内の比較的小さな設置スペースしか必要としないということである。圧電アクチュエータは、したがって、特に、極めて微細な計量が要求される場合に、計量システムの動作のための効率の良い解決策を提供する。
【0054】
圧電積載型アクチュエータの場合には、それらは、かなり小さなストロークのみを生成できるが、比較的大きな力を生成することができるということが、一般的な事実である。例えば、長さ36mmの圧電の積載が、50μmのストローク長さを達成することができる。したがって、著しくより大きくなるように小さなストロークを変換することが、一般的に必要であり、それによって、力が明らかにそれに応じて低減する。
【0055】
あるいは、アクチュエータは、磁気抵抗アクチュエータとすることもできる。それらは、外部磁場を印加するときに強磁性体材料の双極子が同一に、即ち、共通の向きに並ぶという原理を利用する。双極子をもとの姿勢へと回転させることによって、上述の材料の長さが、略、数μm/m~mm/mの範囲で、材料の関数として変化する。
【0056】
したがって、計量システムは、好ましくは、レバーの最大の可能な偏位をもたらすためにアクチュエータが傾斜軸と可能な限り近くで関わるように形成されることが可能である。アクチュエータの力が結果として減少し、駆動の時点で力アームに1つのパワーが入る-したがって、動的な応用に対して、例えば、計量システムが、計量の目的のために計量プラントにおいてワークピースに対して動的に動かされるときに、ここに不利益をもたらす-という事実により、迅速な計量システムを得るために可能な限り小さくなるようにレバーの大きさまたはレバーの一般的な寸法を、設計することは、有利である。これは、角運動量の保存により、より小さな質量慣性モーメントを有するレバーが、回転軸または傾斜軸の周りに、より大きな質量慣性モーメントを有するレバーよりも速く、「回転」または前後に移動させることできるからである。
【0057】
2つのパワーによる質量慣性モーメントは、回転中心まで、または、傾斜軸までの(レバーの)質点の距離の関数であるという事実から、それはレバーの長さと(したがって、回転中心からの質点の距離と)不均衡に増加する。
【0058】
本発明によれば、アクチュエータは、互いに対して傾けて配置されという点で、所定の変換率(力アームに対する力)によって、レバーの質量慣性モーメントは、より小さくもなり得るが、なぜなら、回転中心までの力アームの距離または力アームの長さが、このようにしてより小さくなり、今度はより小さなレバーの形成をもたらすからである。より小さいレバー、したがって、より小さい質量慣性モーメントは、したがって、同じ設計の平行なアクチュエータを有するシステムの場合よりも、互いに対して傾けて配置されるアクチュエータで、計量システムのより高い共鳴振動数を、結局もたらす。
【0059】
レバーのより迅速な動きのために、傾斜軸のより近くに、質量をより多く中心に配置することは、したがって有利である。
【0060】
レバーは、したがって、好ましくは、不均一な質量分布を有することが可能である。「不均一」とは、レバーの質量が、長手方向のその長さにわたって対称的にも均一にも分布していないが、レバーは少なくともその質量において非対称に構成される、ということを意味する。
【0061】
レバーの質量は、特に好ましくは、レバー全体が、傾斜軸に基づいて、可能な限り最小の(質量)慣性モーメントを有するように、レバーに沿って傾斜軸に関して分布させることもできる。構成の間、好ましくは、可能な限り多くの質量が回転中心の近くに位置し、かつ可能なかぎり少ない質量が回転中心から離れて位置し、したがって、吐出要素に向かって細長いアームとなることも確実にされる。
【0062】
しかし、レバーの重量は、好ましくは、依然として十分に高い安定性を有するほどの量で、減らされるかまたは回転中心に対して分布させることが可能であり、例えば、レバーを特に迅速に振動させることができる。上面図において、即ち、上から見ると、レバーは、例えば、略「スプーン形状の」輪郭を有して形成されることが可能であり、回転中心に近い質量の主要な部分は、「楕円形」または「丸い」部分を成して回転中心の周りに置かれる。
【0063】
レバーは、重量を減らすために、好ましくは、複数の凹み、特に好ましくは、横断してまたはレバーの横方向に延びる貫通孔、を有する。
【0064】
アクチュエータのレバーとのアクチュエータ係合点は、好ましくは、傾斜軸の水平面に位置もしていなければ配置もされないようにできる。これは、したがって、それらが、傾斜軸が実際に位置する傾斜軸と同一の平面に位置していないということを意味する。
【0065】
特に、動的な場合においては(例えば、計量プラントにおける計量システムが、計量の目的のためにワークピースに対して動的に動かされるときに)、レバーがアクチュエータの傾斜モーメントにより傾斜軸の周りを数度の角度だけ傾斜させられるときに、アクチュエータが、傾斜モーメントが(長手方向の偏位の形態で)レバーに加えられたときに、アクチュエータの作用の方向とは垂直で可能な限り小さい横方向運動またはせん断運動だけを行うことが、レバー上のアクチュエータ係合点を平面の外側に配置することによって有利な方法で達成される。
【0066】
これは、より大きな横方向の運動の場合に、したがって、作用の方向に対して横断的な方向成分または横方向成分、レバー上のアクチュエータの2つのアクチュエータ係合点を通じた旋回円または傾斜軸のまわりの円に沿ったアクチュエータの著しいアーチ型の振り子運動が、作用の方向の実際の直線的な偏位への応答という結果になるからである。振り子運動は、横方向成分の低減によってより直線的になる。作用の方向の長手方向のそれらの偏位への応答の際に、実際には非常に大きな質量を有するアクチュエータが、作用の方向にそれらが長手方向に撓んでいる間に、それらに対して垂直にスイングし、したがって、望ましくない振動効果および/または構成要素のより大きな摩耗を生じることが、可能であれば、避けられる。
【0067】
アクチュエータ係合点は、一般的に、レバーの傾斜軸の上方に、例えば、レバーの頂部側の面上に直接、形成されることが可能であり、その結果、アクチュエータは、そこで、レバーと係合する。
【0068】
アクチュエータが互いに対して傾けて配置される配置を有するときに傾斜軸のさらにより近くにアクチュエータ係合点を配置することが可能であるためには、好ましくは、2つのアクチュエータ係合点が、上述したようにレバーが回転可能にまたは傾斜可能にレバーマウント上において支持される傾斜軸よりも、アクチュエータに面するレバーの頂部側または長手方向サイドからさらにもっと離して、レバーにおいて置かれるかまたは沈み込ませるようにして、レバーは形成および配置されることが可能である。「アクチュエータに面するレバーの頂部側または長手方向サイドからさらにもっと離して」とは、レバーマウント上に意図したようにレバーが配置される場合において、アクチュエータ係合点が、傾斜軸よりも、アクチュエータの圧電要素からさらにもっと離れて位置するかまたはレバーの中のより深くに位置するということを意味する。アクチュエータは、したがって、それらが、その正面またはその先端で最初に傾斜軸を通過して延在し、したがって、傾斜軸の水平面を通過するかまたは傾斜軸の水平面を通って延在し、かつ凹ませる仕方で実際の傾斜軸の下方に形成されるアクチュエータ係合点のみにおいてレバーと係合するか、あるいはそこでのみレバーと接触するようにして、配置される。
【0069】
2つのアクチュエータのそれぞれのアクチュエータ係合点は、したがって、同じ仕方で、または同様にしてずらすようにして、共通の傾斜軸に平行に配置できる。代替的な好適な例示的実施形態の場合において、アクチュエータは、横方向にまたは長手方向に平行にずれたレバーのアクチュエータ係合点に作用することもできる。
【0070】
レバーの水平中央位置において、アクチュエータの長手方向軸が、それぞれのアクチュエータ係合点と共通の傾斜軸との間のそれぞれの連結線に対して略垂直であるようにして、V字状にレバー上に配置されるかまたは当接するアクチュエータは、好ましくは、アクチュエータ係合点と並べられるかまたは係合させることができる。
【0071】
つまり、アクチュエータは、したがって、傾斜軸に対して直角の連結線でずれたアクチュエータ係合点と係合する。レバーの中央位置は、レバーが水平であり、かつ、両方のアクチュエータに電力が供給されていないかまたは通電されていないときのレバーの位置また構成に対応する。
【0072】
アクチュエータが前後に動くとき、即ち、圧電要素が伸長または収縮するとき、それに沿ってアクチュエータ係合点が動かされるかずらされる、円または円の円弧の長さに沿う、アクチュエータの横方向の運動または振り子運動の横方向部分を、可能な限り小さいままに維持するために、アクチュエータは、傾斜軸を通り過ぎて延在する作用の方向であって、それらが傾けて配置または配列される作用の方向に、その作用の方向がレバー上のアクチュエータの2つのアクチュエータ係合点を通るレバーの中央の傾斜軸のまわりの円に接する(または、それぞれのアクチュエータ係合点から傾斜軸までの、特に、例示的実施形態において後で記載されるように、傾斜軸を形成するシリンダーピンの表面までの結合線に垂直となる)ようにして、レバーのアクチュエータ係合点とV字状に係合することができる。
【0073】
この点において、微視的に見ると、シリンダーピンの中央軸は、傾斜軸を完全に表現していないが、レバーのわずかにより大きく円筒状に凹んだ外面であって、互いに対して接線方向に押圧され、その結果、傾斜したときにシリンダーピンの外面上において最小の回転運動を行うレバーの外面と、(下側でレバーマウントにしっかりと取り付けられる)シリンダーピンの外面との接続部が表現しているということに注意すべきである。完全な傾斜軸は、したがって、この意味で存在しないが、動きはより複雑である。しかし、シリンダーピンの中央軸は、少なくとも微視的な視点の場合において、ここでは、傾斜軸と略、概略的に同一視できる。
【0074】
つまり、アクチュエータは、好ましくは、吐出および後退動作に応じて、計量媒体を計量するための動作の間に、実質的に直線運動を行うように、アクチュエータ係合点上の傾斜軸の周りの円上の接線方向に配置できる。「実質的に」とは、アクチュエータが、吐出および後退動作の間に、振り子運動による円上の顕著な横方向の運動がなく、直線運動を行う、ということを意味する。上述の、接線方向に配置とは、既に上述したように、アクチュエータの長手方向軸または作用の方向が、傾斜軸のまわりの円上のアクチュエータ係合点に対して接線方向に接している、ということを意味する。
【0075】
計量システムのさらなる設計の好ましい選択的事項が存在する。
【0076】
レバー取り付けユニットが、好ましくは、多部品構造のものとすることができる。
【0077】
既に記載したレバーマウントに加えて、特に好ましくは、計量システムの流体ユニットのための流体位置決め部を備えることができる。計量システムのこの流体ユニットは、レバー取り付けユニットに連結できる。
【0078】
レバーマウントは、特に好ましくは、フレーム筐体ユニットの外側に位置するロータリージョイントを介して、流体位置決め部に、回転可能に、関節接続式に、または傾斜可能に接続できる。
【0079】
代替的にまたは追加的に、レバーマウントおよび流体位置決め部は、互いに対して機械的に調整可能な仕方で、したがって、回転可能な仕方または傾斜可能な仕方、あるいはシフト可能な仕方で、例えば、ロータリージョイントに対する角度の調整要素によって、支持されることが可能である。
【0080】
レバー取り付けユニットは、好ましくは、少なくとも1つの空隙を残すことによって、フレーム筐体ユニットの一部分を環状に包囲するリング構造を備えることができる。通常のように、「空隙」は、本明細書においては、中間のスペースを形成する狭くて細長い開口として理解される。「リング構造」または「環状」は、環状に、形成または設定された、即ち、構造的に設計された2つの構成要素の構造を意味する。リング構造は、したがって、2つの構成要素が閉じたリングを形成するために輪状に組み合わされることが可能である場合に、リング形状の構造またはリング形状の配置を特定する。フレーム筐体ユニットの一部分は、例えば、フレーム筐体ユニットの筐体底部とすることができる。
【0081】
レバー取り付けユニットは、特に好ましくは、レバー取り付けユニットとフレーム筐体ユニットの上述の一部分との間の空隙の中に好ましくは配置されるバネ要素によってフレーム筐体ユニット上において可動に支持されることが可能である。
【0082】
代替的にまたは追加的に、リング構造は、ロータリージョイントを備えることができる。計量システムが、上述のように設定される時に、ロータリージョイントは、上述のロータリージョイントとすることができる。
【0083】
レバー取り付けユニットのレバーマウントは、調整要素(特に調整スクリュー)によってロータリージョイントから離れた流体位置決め部の側においてラム-ノズル距離を調整するために(レバー取り付けユニットのリング構造においてバネ要素を環状に包囲するようにフレーム筐体ユニットに対して少なくとも1つの空隙を残すことによって)それ自身に対して機械的に調整可能な方法で、レバーまたはラムを介して、流体位置決め部に連結させることができる。調整スクリューは、例えば、ノズルにおけるラムの位置、即ち、ラム-ノズル距離がさらにより完全に微調整または調節できる、細かくネジ山が切られたスクリューとすることも可能である。
【0084】
「ロータリージョイントから離れた側」は、本明細書においては、(ロータリージョイントからラムまでの)流体位置決め部に沿っての、流体位置決め部の中心をへだててラム側半分部分上に位置する、したがって、ラムに可能な限り近い部分を意味する。
【0085】
圧電アクチュエータに関連する上述した利点にかかわらず、圧電アクチュエータは、大きなパワーロスが変換されて圧電材料の強い加熱を引き起こし得る構成要素であり、この場合、圧電材料それ自身はその特定のキュリー温度による熱的限界を有し、電極のそれぞれの接触部も同様に熱的限界を有する。
【0086】
運動機構の加熱、特に、圧電アクチュエータの加熱をさらに妨げることが可能であるために、圧縮空気は、計量システムプラントの大部分において既に利用可能であるので、両方の圧電アクチュエータが、圧縮外気または圧縮空気がそれらの周り全てに流れるようにして設計できる。
【0087】
例えば、計量システムの適用されているエリアにおけるより高い外気温度のためにこの圧縮空気または加圧空気によって十分な熱が圧電アクチュエータから放散できなければ、計量システムの他の温度に感受性のある領域と同様に圧電アクチュエータが、計量システムの正確な動作に対して臨界的な温度を下回った状態を常に維持するために、気体、好ましくは、空気、または液体が流れる冷却装置が、好ましくは、アクチュエータを取り囲むことができる。
【0088】
冷却装置は、好ましくは、アクチュエータの中への複数の注入口を備えるアクチュエータの間の供給チャネルと、2つの偏心した排出チャネルであって、これら排出チャネルの中への複数の排出口を備える2つの排出チャネルと、を有することができる。冷却装置は、大部分が閉じた回路として形成されることが可能であり、即ち、運動機構の温度を低減させながら熱を吸収しかつ計量システムから再び実質的に排出される冷たい冷却流れが、計量システムの中に導入される。
【0089】
冷却装置における背圧が、2つの排出チャネルと供給チャネルとを有する冷却装置の本実施形態によって低減されることが可能である。供給チャネルは、例えば、中心に、アクチュエータと実質的に平行に延在することができる。しかし、それは、好ましくは、アクチュエータを囲むフレーム筐体ユニットへと一体化されることが可能である。2つの排出チャネルは、互いから離れて面するアクチュエータの外側に、供給チャネルの反対側に、形成かつ配置されることが可能であり、その結果、冷却フローは、熱を吸収するために、動作の間に、アクチュエータを通り過ぎて、非常に容易に連続的にガイドされる。
【0090】
運動機構のレバーおよびレバーマウントは、それに関して、別々に流れないが、例えば、圧電アクチュエータの排熱が周りに流れ得るのみである。
【0091】
本発明の好適な設計によれば、アクチュエータが、封入の方法で、さらに形成されることが可能である。例えば、アクチュエータは、実質的に円筒状の封入部において、十分な遊びを有して動作可能に封入されることが可能である。
【0092】
封入部の周りにそれらの長手方向の延長に沿って平行に流れる冷却流れは、したがって、アクチュエータに適用できる。例えば、冷却流れの冷却媒体は、例えば、空気、窒素、などの気体、とすることが可能であるが、封入されたアクチュエータの熱を排出するほど十分に高い流速を持てば、液体ないし粘性液体、例えば、冷却液体とすることも可能である。
【0093】
封入されたアクチュエータと筐体との空隙または中間スペースに、好ましくは、柔らかいが熱を伝える集合体が充填されることが、同様に考えられ、その結果、アクチュエータの排熱が、フレーム筐体ユニットに直接放出され、外面を介して環境へと、または、例えば、換気装置による強制対流によって高められた形態で環境へと排出できる。
【0094】
代替的にまたは追加的に、アクチュエータは、アクチュエータの加熱の測定または監視を行うために、かつ、構成要素の動作時の加熱を低減するためにそれに応じて動作速度を選択的に調節するために、少なくとも1つの温度センサを備えることができる。もし封入部が存在すれば、温度センサは、封入部の内側または外側に配置できる。バルブチャンバまたはノズルチャンバのノズルにおけるラムの位置は、必要があれば微調整可能であり、好ましくは、温度センサの測定された温度データによって自動的に制御可能であり、その結果、上述した方法のうち使用される1つに応じて、変化した温度への応答において、レバーの中央位置において常に、ラムが、バルブのノズルを完全に閉じるか(密閉位置におけるラムの先端)、または、ノズルが現時点で開放する(ノズルから離れたラムの先端)かのいずれかとなる。
【0095】
運動機構とラムとの間の連結は、好ましくは、ロック可能な連結とすることができる。これは、特に好ましくは、既に連続的に構成要素に接触しているプリロードに加えて、2つの構成要素が、好ましくは、動作のために、ポジティブロックの仕方で互いに対して接続される(例えば、スクリュー接続される、ともにクリックされる、ラッチされる)などを意味する。
【0096】
それに固定して接続された構成要素によって、フレーム筐体ユニットは、好ましくは、上述したように、計量システムの「第1の主要な質量」を形成する。アクチュエータ、レバー、およびレバー取り付け部によって、運動機構は、好ましくは、計量システムの全体の質量の一部分として第2の主要な質量を組み合わせる、即ち、(例えば、流体ユニットなどのさらなる構成要素と選択的に組み合わせて)計量システムの「第2の主要な質量」を形成する。
【0097】
一般的な計量の結果を改善するために、または、計量システムの動的構成要素を静めるために、計量システムの主要な質量は、フレーム筐体ユニットおよびレバー取り付けユニットに対して、略均一に、即ち、略等しい部分に分割できる。略同じ大きさの2つの「主要な質量」に対する計量システムの全体の質量の目的に適った分布によって、振動性の仕方で連結される全体の系が、運動機構の高い振動数の振動には応答しないということが保証できる。
【0098】
フレーム筐体ユニットに対して全体として運動機構を弾性的な仕方で支持するために、バネ要素は、好ましくは、ディスクスプリングのセットとすることができる。ディスクスプリングのセットは、特に好ましくは、複数の単一バネ板および/または複数のバネセットを有する。異なる単一バネ板および/またはバネセットは、ディスクスプリングのセットを形成するために、組み合わせられるように実現されることも可能である。例えば、アクチュエータの温度に関連する変形などの熱的挙動を補償するために、運動機構には、したがって、ディスクスプリングのセットによって、プリロードがかけられることが可能である。
【0099】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて、添付の図面を参照して、以下に再度、より詳細に記載される。同じ構成要素には、さまざまな図において、同じ引用符号を与える。図は、スケール通りとしてではなく模式的な図示として一般的に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図1】本発明に係る計量システムの例示的実施形態の、計量システムの筐体の内部を覗き込んだときの、(
図2に基づくA-A切断線に沿う)部分的な長手方向断面を示す。
【
図2】より良く概観し理解するための、
図1からの例示的実施形態上の筐体なしの平面図を示す。
【
図3】
図1からの例示的実施形態のレバー上の拡大孤立平面図を示す。
【
図4】
図3のレバーを通るB-B切断線に沿う長手方向断面を示す。
【
図5】
図1のレバーに当接する2つのアクチュエータの拡大部分透視斜視部分図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1は、計量システム1を通り少なくとも主に長手方向に長手方向30Lに(
図1においては、水平にまたは左右に)延びるA-A切断線に沿う、計量システム1を通る部分的長手方向断面において、ワークピース上において計量媒体を計量するための本発明に係る計量システム1の第1の例示的な実施形態の全体図を示す。このA-A切断線は、計量システム1上において、平面図または上面図における
図2に示される。それは、計量システム1を通って(特に、計量システム1のレバー30を通って)中央に延びるが、(
図1において紙面の中へと延び、
図2において上方に延びる)レバー30の横断方向30Qのレバー30における2つのアクチュエータ50a、50bの2つのいわゆるアクチュエータ係合点36と37との間のレバーの領域における偏心した平行な断面平面の中へと跳び込む。計量システム1のレバー30の回転軸Rまたは傾斜軸Rを形成する2つの分散されたシリンダーピン42(
図5を参照)のうちの少なくとも1つが見える。
図1において垂直方向に延びる計量システム1の残りの方向も、以下において、レバー30の深さ方向30Tの同意として具体化される。この方向において、
図1に示される軸または対称軸S
Tは、この軸S
Tに対してまたは互いに対して傾けて配置された2つのアクチュエータ50aと50bとの間において中央に延び、対称軸S
Tには、上述の傾斜軸Rが垂直に差し込まれる。したがって、この対称軸S
Tは、
図2において、紙面の中へと延びる。水平軸または対称軸S
Qは、アクチュエータ50a、50bの上述した垂直方向の対称軸S
Tに垂直に、本明細書における
図2においては頂部から底部へと、またはその反対に、延びる。軸S
TおよびS
Qは共に対称平面S
Q、S
Tを形成し、当該対称平面に対して、アクチュエータ50a、50bが、共同して、対称的な「V字」を形成する。それから離れて、既に上述したA-A切断線は、対称平面S
Q、S
Tを垂直に通って計量システム1を通って延びる。
【0102】
計量システム1を主として四方を包囲する静的フレーム筐体ユニット2に加えて、動的運動機構3、4、5、30、50a、50b(即ち、レバーマウント4および流体位置決め部5を備えるレバー取り付けユニット3、既に上述したレバー30、および、2つのアクチュエータ50a、50b)、静的フレーム筐体ユニット2に対して動的運動機構3、4、5、30、50a、50bを支えるかまたはプリロードを加える、ディスクスプリング21として形成されるバネ要素21はもちろん、例えば、レバー30に接触するバルブユニット9であって、計量方向DR(ここでは下方)に計量媒体を計量するためのノズル12を備えるバルブユニット9を備える、レバー取り付けユニット3の流体位置決め部5(さらに以下に記述)に連結可能な流体ユニット8も、本発明の主な構成要素に属する。よりよく区別するまたは分けるために、
図1において、静的フレーム筐体ユニット2には、頂部左から底部右にかけて陰影が付けられる一方で、2つのアクチュエータ50a、50bを除く動的運動機構3、4、5、30、50a、50bには、底部左から頂部右にかけて陰影が付けられている。
【0103】
レバーマウント4は、計量システム1の少なくとも2部構成のレバー取り付けユニット3のフレーム筐体ユニット2の中に位置する部分である。流体位置決め部5は、レバー取り付けユニット3の、フレーム筐体ユニット2の外側に位置する部分である。上述の2つの部分4、5は、例えば、フレーム筐体ユニット2の外側のロータリージョイント6を介して、互いに対して回転可能に接続される。略細長の流体位置決め部5は、ロータリージョイント6(
図1において、右側、フレーム筐体ユニット2の下方)から、間隔を空けて、フレーム筐体ユニット2に沿って平行に、またはフレーム筐体ユニット2の好ましくは取り外し可能に連結可能な筐体底部2’に沿って平行に(したがって、フレーム筐体ユニット2の内側で弾性的に支持されるレバーマウント4に沿って平行に)延び、また、吐出要素13(ここではラム13)のプリロードを調整するために、調整要素7(ここでは調整スクリュー7)によって、レバーマウント4に対して引かれることが可能である。上述の2つの部分4、5は、共に、リング状に、(後で記載されるように)フレーム筐体ユニット2の上述の筐体底部2’およびバネ要素21のまわりで係合するか、または筐体底部2’およびバネ要素21を囲む一種のリング構造またはリングを形成する。
【0104】
既に上述したバルブユニット9は、レバー30の端部部分33と流体位置決め部5との間に挿入される。バルブユニット9は、中空の円筒状バルブ本体10であって、バルブ本体10の中でラム13が移動可能にガイドされる、バルブ本体10を備える。タペットスプリング15が、ラム13のラム先端部16の反対側の端部上においてバルブ本体10と端部側ラムヘッド14との間に配置され、その結果、ラム13は弾性的に支持される。したがって、ノズル12とレバー30の端部部分33との間の距離は、ノズル挿入部12’に基づくラム端部位置の完全な調整のために設けられ、したがって計量システム1の確実な閉鎖のために設けられる調整スクリュー7によって変えることが可能である。調整スクリュー7は、レバーマウント4と流体位置決め部5との間の距離の微調整を行うことができるように、圧縮コイルバネを備える細かくネジ山が切られたスクリューを有する。したがって、ノズル12とラム13の特性に対する計量システム1の完全な調整が、調整スクリュー7によって保証されることが可能であり、その結果、起こり得る製造公差または摩耗も補償できる。
【0105】
バルブユニット9の領域において、流体位置決め部5は、流体位置決め部5に一体化されかつバルブユニット9の電子装置によって供給および調節される加熱装置をさらに備える。加熱装置はそれ自身、必要であれば、計量のため計量媒体を加熱するまたは温めるために、加熱カートリッジおよびセンサを備える。
【0106】
上述したバルブユニット9に加えて、流体位置決め部5に取り外し可能に連結された流体ユニット8は、貯蔵容器17r、例えば、本実施形態においては計量物質カートリッジ17rから、バルブチャンバ11の中へと、計量システム1に計量媒体を十分にかつ連続的に供給または送る計量媒体供給接続部17を備える。媒体供給チャネルまたは媒体搬送チャネル(図示せず)は、計量媒体供給接続部17とバルブチャンバ11との間において内部に位置してそれらに対して延びる。
【0107】
図1からわかるように、流体ユニット8は、同様に加熱装置を含み、即ち、媒質搬送チャネルに沿う第2の加熱ゾーンと、ノズル領域においてまたはレバーユニット9のノズルチャンバ11上の加熱要素20と、を備える加熱ユニット18を含む。この目的のために、加熱ユニット18は、連結部19または加熱ケーブル19を介して供給される。しかし、それ自身加熱もされなければ調節もされない完全に受動的な流体ユニットの場合において、ノズル領域における温度制御が、可能である。特に、媒体搬送チャネルの温度制御を、これを用いてさらに行うことも可能であり、その結果、大きな容積の流れの場合において特に有利である、計量媒体の予熱を改善することができる。
【0108】
既に上述した流体ユニット8は、流体位置決め部5の境界面5s上において、ロータリージョイントから離れて、加熱要素20の近くに取り外し可能に取り付けられ、貯蔵容器17r、例えば、ここでは計量物質カートリッジ17rから、計量媒体供給接続部17および媒体供給チャネルを経由して、バルブチャンバ11の中へと計量媒体を連続的にガイドするために、流体ユニット8は、計量媒体供給接続部17からバルブユニット9のバルブチャンバ11まで媒質供給チャネルを有する。
【0109】
所望の計量媒体が、計量システム1によって、動作中に、バルブチャンバ11のノズル12の貯蔵容器17rからワークピースに部分的に適用される。この目的のために、所望の計量媒体または計量される物質の少なくとも液滴であって、その量が完全に計量できる液滴が、計量の間に、ノズル12の開口断面またはノズル12におけるノズル挿入部12’の開口断面を通じて、計量方向DRに放出される。これは、レバー30を介して、ラム13の迅速な運動またはラム運動30Bによって、間接的に制御され、かつ正反対の仕方で動作するアクチュエータ50a、50bによって駆動させることができる。バルブチャンバ11のノズル12における変更可能なノズル挿入部12’は、適用の異なる分野に対してさらもっと特に、計量される量および液滴の形状を調整することが可能な目的に役立つ。
【0110】
フレーム筐体ユニット2の中の残りの構成要素は、これから以下に記載される。
【0111】
フレーム筐体ユニット2の中の運動機構3、4、5、30、50a、50bを支える(既に上述された)バネ要素21は、フレーム筐体ユニット2の中の底部上においてフレーム筐体ユニット2の筐体底部2’に対して当接し、それによって、レバー30に対して傾斜軸R近くに当接する2つのアクチュエータ50a、50bを介してフレーム筐体ユニット2の上側部分またフレームに対して、レバーマウント4上において回転軸Rのまわりを回転可能に支持されるレバー30を支える。支えによって、動的動作の間に引張応力を避けることが必要とされる2つの圧電アクチュエータに、レバーマウントを介してプリロードが加えられる。それに対して比較的に自動力がないフレーム筐体ユニット2の質量のために、動的振動は、同時に大きく弱められ、動的に動作する運動機構3、4、5、30、50a、50bにより結果生じる温度差または温度勾配が、計量システム1のフレーム筐体ユニット2から切り離され、バルブユニット9に、結び付けられるかまたは等しくされる。したがって、これら効果は、バルブユニット9のノズル12からの計量媒体の計量プロセスに、実際上、影響を与えない。本発明に係る計量システム1の本明細書に記載される例示的な実施形態において、バネ要素21は、例えば、上下に垂直的に支持され、かつ、一方が他方の下方において弾性的に支持される4つの単一板バネであって、そのバネ力が合わさる4つの単一板バネを備えるディスクスプリングのセット21である。当該構造は、平坦に圧縮され、ディスクスプリングのセットの高い減衰をもたらし、したがって、レバー取り付けユニットに対するフレーム筐体ユニットの振動の傾向の低減も重ねてもたらす。
【0112】
既に述べたように、バネ要素21は、下側において、フレーム筐体ユニット2の筐体底部2’(例えば、メタルシート、板、等)に、接続(例えば、ここでは、スクリュー接合)される。したがって、それは、一方の側に(ここでは、下側に)しっかりと連結される。しかし、代替的に、バネ要素は、それらの間において単に留め具で固定されることも可能である。
【0113】
2つの部分4、5が、リングの形にまたは環状にディスクスプリングのセット21の周りを囲む、または、ディスクスプリングのセット21の周りに関わるようにして、筐体底部2’から間隔をあけて、または、筐体底部2’からのスペーサーギャップを有して、互いに対して支えられることが可能であるために、
図1における筐体底部2’は、ディスクスプリングのセット21の右と左に(側部へとまたは底部へと)切込みを有する。
【0114】
レバーマウント4は、頂部側においてバネ要素21に載り、上述したように、アクチュエータ50a、50bによってバネ要素21に対して押圧される。
【0115】
レバーマウント4は、半円の形状で頂部に向かって開放したくぼみを備える、2つの側方「脚部」(
図1において、紙面に向かって一方が他方の背後に位置)を有する。必要な運動の自由度を有するレバー30に適合させる内部が、レバー30を部分的に受けるための上記の脚部の間に形成される。レバーマウント4の2つの脚部のうちの一方のみが、
図1に基づく側面図において見えるが、なぜなら、この方向から見た2つの脚部は、一方が他方の背後に位置しているからである。回転軸Rを形成する2つのシリンダーピン42(
図5を参照)の一方を、見えている脚部(ここでは前方の脚部)の凹みにおいて見ることができる。計量システム1のこの部分の構成をより良く特定することを可能にするために、分離させて図示される
図3における、レバー30を通って長手方向に延在するB-B切断線(単一の方形パルスの様式)も、切断線のコースを、既に上述した
図2のA-A切断線によって当該切断線のコースが使用されるときに、使用する。
【0116】
図5からわかるように、シリンダーピン42の各々は、(シリンダーピン軸に沿う)外側半分部分42aに関しては、略横方向、レバーマウント4の脚部の一方に載り、他方の内側半分部分42bに関しては、レバーマウント40の内部において(それ自身の周りに回転可能であるように)レバー30を同時に保持する。この目的のために、シリンダーピン42は、レバー30の中に横方向に(横方向30Qに)形成されかつ底部に対してU字状に開放している(頂部に対して閉じている)レバー30の側方凹み41(さらに以下に記載)の中に突出し、側方凹み41は、
図3におけるレバー3の上面図において破線で示唆され、
図4において横から示される。
【0117】
レバー30の形状は、(釣り合い重りを有する)「バリアビーム」の様式で、2方向、3次元、非対称、の力トランスデューサとして、図を用いて記載できる。具体的には、レバー30のレバーアーム31は、その長手方向30Lの一方の略半分にはどっしりとした容積の大きな略立方体状の部分を備え、他方の半分には可能な限り軽量に構成された狭くて細長いハンドルまたは「アーム」を備える。上述の立方体状の部分の一方の半分(
図3における右側)は、2サイドレバーアーム31のより短いレバーアームサイド32に属する。上述の立方体状の部分の他方の半分(
図3における左側)は、それに接続する細長アームとともに、2サイドレバーアーム31のより長いレバーアームサイド35に属する。レバー30の回転軸Rはそれらの間に位置し、その隣で運動機構3、4、5、30、50a、50bの2つのアクチュエータ50a、50bはレバー30上のアクチュエータ係合点36、37と係合する。第1のアクチュエータ50a(左)は、2サイドレバーアーム31の第1のレバーアームサイド35の第1のアクチュエータ係合点36(左)であって、レバー30の内部の中にくぼんだまたは凹んだ第1のアクチュエータ係合点36と係合し、第2のアクチュエータ50b(右)は、2サイドレバーアーム31の第2のレバーアームサイド32の等しくくぼんだまたは凹んだ第2のアクチュエータ係合点37(右)と、係合する(アクチュエータ係合点36、37の位置に関しては
図3~5も参照)。
【0118】
計量システム1の通常の配置の場合において、
図1に示したように、2つのアクチュエータ50a、50bは、立方体状の部分における(レバー)頂部側40上において(
図1において深さ方向30Tに頂部上において、以下に記載される、アクチュエータ係合点36、37のシリンダーピン36z、37z上において)レバー30に直接当接する。
【0119】
回転軸Rまたは傾斜軸Rのまわりに数度の角度だけレバー40を目的通りに傾斜させるために、2つのアクチュエータ50a、50bまたはその前部54が、レバー40と、どのように正確に係合または当接するか、即ち、それらが、傾斜モーメントまたは長手方向の偏位をそれらの作用方向52a、52bにレバー30へとどのように伝達するかが、
図5の斜視図において部分的に透視的な方法で示されるレバー30に基づいて、および2つのアクチュエータ50a、50bの一部に基づいて、示される。
図5における拡大された部分から次のように、アクチュエータ50a、50bは、それらの作用方向52a、52bにおいて接線方向に上述の係合点(または、アクチュエータ係合点36、37)の円Kに当接し、その結果、作用方向52a、52bは、円Kの中心における共通の回転軸Rの半径方向の接続線Va、Vbに対して垂直である。作用方向52a、52bが、接線方向に円Kに係合するという事実のために、それらの前部54が回転軸Rの周りに(
図5に示される上述レバーの、接線方向位置または中央位置P
0の周りに)円Kに沿って数度の角度だけ円弧状に底部または頂部へとレバー30とともに最小限に動くアクチュエータ50a、50bの長手偏位、即ちアクチュエータ50a、50bの傾斜モーメントが、最小の横方向の動きだけを生成する。もしアクチュエータ50a、50bまたはそれらの作用方向52a、52bが各々、円Kに沿ってさらに頂部上または底部上において係合すれば、円Kに沿った数度の角度だけの同じ偏位が、アクチュエータ50a、50bの前部54の著しく大きな横方向の動きを引き起こす。円Kに沿う、または、円弧形状をした経路の運動または振り子運動を、回転軸Rのまわりの円K上における作用方向52a、52bの接線方向の配置によって、可能な限り真っ直ぐな長手方向において減らすことができる。
【0120】
(レバー)下側において(
図1における深さ方向30Tの底部において)、レバー30は、立方体状の部分における(シリンダーピン42の外側半分42aにより)アクチュエータ係合点36、37の間の回転軸Rにおいてレバーマウント4に対して間接的に当接し、細長のアームの端部部分33においてラム13のラムヘッド14と接触する。さらなる孔34が、レバー30において、レバー30のアームの端部部分33において形成される。それは、永久磁石の導入に、したがって、レバー取り付けユニット3に締結されたHALLセンサによるレバー30の位置決めに、役立つ。
【0121】
アクチュエータ50a、50bが、最初に、回転/回転軸の平面X
Rの下方においてレバー30の内部においてアクチュエータ係合点36、37に当接する(かつレバー30の頂部側40上における表面上においてはまだ当接していない)ように、レバー30は、くさび状に下方にテーパーが付けられたくさび状の凹み39であって、頂部側40上において始まりかつレバー30の内部においてアクチュエータ係合点36、37へと延在するくさび状の凹み39を有する。レバー30におけるくさび状の凹み39のそれぞれの最下点または位置は、第1のアクチュエータ50a(
図1における左側のアクチュエータ)に対する第1のアクチュエータ係合点36、および第2のアクチュエータ50b(
図1における右側のアクチュエータ)に対する第2のアクチュエータ係合点37を定める。互いに対して傾斜して配置されるアクチュエータ50a、50bの前部または先端部54であって、計量システム1が目的通りに組み立てられたときに同様にくさび状にテーパーがつけられた前部または先端部54が、他方の側にそこにおいて空間を有するか、または、遊びを有して受容されるようにして、くさび状の凹み39は形成される。
【0122】
特に
図5において分かるように、アクチュエータ係合点36、37は、構造的に、既に述べた2つのシリンダーピン36z、37zから成り、アクチュエータ50a、50bは、それらの前部54を通じて2つのシリンダーピン36z、37zに当接し、かつシリンダーピン36zおよび37z上を転動することができる。正面において、アクチュエータ50a、50bの前部54の当接正面側は、相対的に言ってわずかにより大きな半径で、シリンダーピン36z、37zに凹状に適合される。この目的のために、コア孔が、レバー30にわたって、レバー30の一方の長手方向サイドから他方の長手方向サイドへと横方向30Qに連続的であるように形成され、シリンダーピン36z、37zによって実質的に完全に埋められ(
図5を参照)、くさび状の凹み39の縁領域と交差し、その結果、コア孔は、断面においては、くさび状の凹み39に向かって頂部へと開放する。コア孔の半径は、シリンダーピン36z、37zに適合され、その結果、安定した保持が保証され、アクチュエータ50a、50bは、固定されたシリンダーピン36z、37z上のそれらの前部54に対する低摩擦の相対的な回転運動を保証する。
【0123】
既に上述した他のシリンダーピン42のための凹み41であって、凹み41によってレバー30が実際にレバーマウント4の2つの脚部の間の内部において回転軸Rの周りを傾斜可能に支持される凹み41は、既に上述しているが、上述のコア孔の間において斜め情報に、長手方向30Lにおける中心に位置する。凹み41の半径も、シリンダーピン42の半径よりもわずかに大きく、そのため、「固定した」標的位置が同様に存在し、低摩擦の相対的な回転運動が保証される。横方向30Qにおいては、凹み41は、互いに対向して位置し、かつ、互いから離されて、レバー30の縁領域において、くさび状の凹み39の外側で始まる(
図3を参照)。レバー30の深さ方向30Tにおいて、それらは、レバー30のいわゆる係合軸平面X
Aの下方から上方へと延在する(
図4を参照)。定義では、係合軸平面X
Aは、シリンダーピン36z、37zの表面上に位置するアクチュエータ係合点36、37によって、張られるかまたは形成される。レバー30の中央位置P
0において、係合軸平面X
Aが、水平に並べられる。シリンダーピン42は、(
図5において分かるように)、(上述したように、頂部側においてまたは頂部側に対して、それらが当接する)凹み41において、内側半分部分42bによって、それらの長さの略半分の長さで、受容され、かつ、半円の形状で頂部に開放するレバーマウント4のくぼみにおいて、脚部上におけるそれらの下側において、他方の外側半分部分42aと共にさらなる構成要素が取り付けられるかまたは据え付けられる前に、この動作状態に到達するために、組立ての間にレバー30を頂部からレバーマウント4の中へと非常に容易に挿入することが可能である。
【0124】
動作状態において、レバー30は、全体として、極めて場所を取らない仕方で、レバーマウント4上にまたは中に、配置されるが、なぜなら、それは、その深さ方向30Tに、その高さまたは深さの略半分まで、ちょうど十分な遊びを有して、レバーマウント4の脚部の間の内部の中へと突出するか、またはその中に受容されるからである。このタイプの支持によって、それは、レバーマウント4と直接接触することなく、少なくとも数度の角度(即ち好ましくは、+-0.1°~+-5°(度)の間の角度)だけ傾斜軸Rのまわりに、規定されるように、傾斜させることができる。それに関して、+-0.5°の傾斜角が特に好ましい。レバー30にわたって横方向に延在するその回転軸Rは、その重心から長手方向30Lに偏心して延在する。
【0125】
レバー30の(特に、その長手方向アーム)の重量を減らすために、可能であれば、レバー30は、(
図4における左側の)アームに対して、閉じたくさび状の凹み39に加えて、4つの孔38または凹み38を、有する。孔38は、円形の、異なる大きさのものであり、それらの直径が端部部分33に向かって減少するが、なぜなら、端部部分33に向かうにつれて全体としてより平坦になるレバー30の形状に適合されるからである。それらは各々、互いからわずかに間隔があけられ、横方向30Qにおいては、各々は、レバー30を通して連続的に延在する。孔38は、それらによってレバー30の安定性に悪い影響を及ぼすことなく、レバー30の最大の重量の低減を機能的に保証する。上述の用語「より平坦になる」とは、上述のアームに対して閉じたくさび状の凹み39から始まって、レバー30が、長手方向30Lに端部部分33に向かって、頂部側40に対して傾斜して延在する下側を有するということを意味し、したがって、レバー30が、深さ方向30Tで深さが減る、または、より平坦になる、ということを意味する。ラムヘッド14と接触し、かつレバー30の中央位置P
0において細長アームの端に位置する端部部分は、したがって、レバー30の容積の大きな部分における上述したシリンダーピン42のためのレバー30における凹み41の上側端部と全く同じ高さに位置する。つまり、レバー30の中央位置P
0における端部部分33は、したがって、回転または回転軸の平面X
Rにちょうど位置する。
【0126】
この目的のために、レバーマウント端(明瞭さのために図示せず)は、シリンダーピン42を頂部に対して少なくとも囲む、上側端部として、またはアクチュエータ50a、50bのための孔を有する部分的に開放したカバーとして、レバーマウント4に、頂部側において取り付けられることが可能である(必須ではない)。頂部から実質的に完全にレバー30を取り囲むまたは囲むために、そのようなレバーマウント端は、その下のレバーマウント4と略同じ大きさおよび略同じ形状を有することができる。レバー30上においてアクチュエータ係合点36、37と係合することが可能であるために頂部から底部へと傾斜して延在するアクチュエータ50a、50bのための貫通孔であって、当該貫通孔を通ってアクチュエータ50a、50bが(アクチュエータ50a、50bの前部54の背後において作用方向52a、52bに)それらの円筒形のトランスデューサ53とともに延在する、貫通孔を、それは有することができる。レバーマウント4およびその上方のレバーマウント端によって、レバー30が、残りの計量システム1に対して大きく遮蔽され、その中において動作可能に支持されることが達成される。
【0127】
互いに対して傾斜して配置され、軸STに関して対称に並べられ、かつ、記載したように、レバー30上におけるアクチュエータ係合点36、37のシリンダーピン36z、37zに、凹状に形成された先端部または前部54で当接する2つのアクチュエータ50a、50bは、レバー30の上方に配置される。
【0128】
同様に構成される2つのアクチュエータ50a、50b、または、圧電アクチュエータ50a、50bは、通常、積載されて圧電スタックを形成するいくつかの圧電要素51または「圧電板」であり、圧電要素51によって、機構の運動がが、アクチュエータ50a、50bの長手方向または作用方向52a、52bに、即ち、アクチュエータ50a、50bの長手方向軸52a、52bそれぞれに沿う圧電要素51の表面の法線方向にまたは垂直に、長手方向の変化が、いわゆる「逆圧電効果」によって電流を印加することにより、生成される。
【0129】
封入されたアクチュエータ50a、50bは、Oリング57によって圧電要素51の周りにおいて密閉されるフレーム筐体ユニット2の凹み56に埋め込まれ、かつフレーム筐体ユニット2に組み込まれた計量システム1の冷却装置60の助けをかりて、フレーム筐体ユニット2における凹み56内において動作中に冷却される。
【0130】
冷却装置60または冷却チャネルシステム60は、アクチュエータ50a、50bの間の中心に圧電要素51を冷却するための冷却媒体を導入するための供給チャネル61、並びに、圧電要素51またはアクチュエータ50a、50bの隣に、長手方向30Lへの横方向への冷却媒体の繰り返し行われる排出を並行して連続的に行うための2つの排出チャネル63a、63b(
図1における左側と右側)、を備える。フレーム筐体ユニット2の上側部分上またはフレーム上において計量システム1に連結した供給源から、冷却媒体が、(
図1において下方に向かって方向付けられた)冷却流れ方向60iで、アクチュエータ50a、50bと平行な供給チャネル61の中へと流れ、アクチュエータ50a、50bのトランスデューサ53へと向かう。凹み55と、密閉状態で封入されたアクチュエータ50a、50bの外表面と、の間の空隙を密閉するためのOリング57によって密閉されたトランスデューサ53の上方に、それは、アクチュエータ50a、50bの作用方向52a、52bとは反対の方向であって、アクチュエータ50a、50bの端部側接続部55に向かう反対の方向に(
図1においては斜め上向きに)そらされるかまたは迂回させられ、続けて、供給チャネル61の横側の引き入れ口62を経由して、互いに対して傾けて配置されるアクチュエータ50a、50bの圧電要素51の凹み56の中へ垂直に(斜め下向きに)流れ、その結果、冷たい冷却媒体が、アクチュエータ50a、50bの圧電要素51の周りを全て流れる。冷却媒体は、アクチュエータ50a、50bの間における中央の内側から(わずかに斜め下向きに)、密閉状態で収容される積載された圧電要素51の蛇行形状の外表面に沿って、または、圧電要素51の周りの外側へと、均等に伝播し、アクチュエータ50a、50bによって生成された熱を吸収し、続けて、横側の排出口64を経由して凹み56から流れ出て、アクチュエータ50a、50bの外側の(右側と左側の)2つの排出チャネル63a、63bの中へと流れる。そこでは、2つの横側の排出チャネル63a、63bにおいて、加熱された冷却媒体が、フレーム筐体ユニット2の上側部分上またはフレーム上において冷却チャネルシステム60の排出チャネル63a、63bの2つの排出口へと(上向きに)方向づけられ、冷却流れ方向60oに(上向きに)、吸い取られるかまたは排出される。冷却媒体の個々の中央での導入、および長手方向30Lに互いから離されたアクチュエータ50a、50bの2つの外側における冷却媒体の両側の平行した排出によって、冷却チャネルシステム60における冷却媒体の背圧を最小化することが可能であり、したがって、冷却チャネルシステム60の冷却能または冷却効率を、最大化することができる。
【0131】
電流または電力供給を制御するための、アクチュエータ50a、50bの端部側接続部55に加えて、アクチュエータ50a、50bは、温度データを供給する温度センサ65を備え、温度センサ65によって、例えば、冷却チャネルシステム60の冷却能を、調節または制御することができる。
【0132】
要約すれば、計量システム1は、以下のように、バネ要素21を介して互いに対して弾性的に支持される2つのユニット2、60、3、4、5、30、50a、50bに、実質的に構造的にはもちろん機能的にも、分けるまたは分解できる。「静的」ユニット2は、例えば、フレーム筐体ユニット2、およびフレーム筐体ユニット2の筐体底部2’備える。加えて、それは、少なくとも、組み込まれた冷却装置60と、計量システム1を制御するためのコントロールボードと、断熱ボードと、接続ボードと、特に冷却媒体の供給源および排出口のためにあり得る接続部と、計量システム1のための電源と、を備えることができる。
【0133】
「動的」ユニット3、4、5、30、50a、50bまたは運動機構3、4、5、30、50a、50bは、少なくとも、レバーマウント4および流体位置決め部5を備えるレバー取り付け部3と、レバー30と、2つのアクチュエータ50a、50bと、を含む。さらに、それは、バルブユニット9と流体ユニット8と共に流体位置決め部5に連結可能であり、かつ、レバー30の位置または設定を決定するために、レバー30上の永久磁石と、レバー取り付けユニット3上の対応するHALLセンサと、を選択的に備えることができる。計量物質カートリッジ17r、あるいは計量物質用タンクからの供給ラインまたはホース、のいずれかが、軽量媒体供給接続部17上において流体ユニット8に接続できる。
【0134】
有利には、上述した2つのユニットが略同じ質量を有するように、即ち、計量システム1の全質量が、実質的に等しい部分に、「動的」ユニット並びに「静的」ユニットに分けられるように、上述した2つのユニットは、寸法および重量が決められる。したがって、本発明により意図されるように、全体として特に高い計量速度または計量周波数を有する、さらにもっと安定した、さらにもっと高品質の計量結果が達成されるが、これは、2つのユニットの振動が互いを弱めるかまたは互いと釣り合うからである。
図1に示されるように、流体ユニット8が、その内容量が計量において変化する計量物質カートリッジ17rを備えて形成されれば、例えば、全質量の主要な質量が、少なくとも平均して互いと釣り合うようにして、これは、全体の質量の分配において考慮できる。
【0135】
最後に、上に詳細に記載した装置は、例示的な実施形態に過ぎず、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の仕方で改変することができるということが、もう一度指摘される。したがって、例えば、計量システムは、相応に形成されて配置されるテンションスプリングがバネ要素として使用できるようにして、構造的に再設計することも可能である。不定冠詞「ein」または「eine」の使用が、それぞれの特徴が複数回存在することもできるということをさらに除外しない。
【符号の説明】
【0136】
1 計量システム
2 フレーム筐体ユニット
2’ 筐体底部
3 レバー取り付けユニット
4 レバーマウント
5 流体位置決め部
5s 流体位置決め部と流体ユニットとの間の境界面
6 ロータリージョイント
7 調整要素/調整スクリュー
8 流体ユニット
9 バルブ/バルブユニット
10 バルブ本体
11 バルブチャンバ/ノズルチャンバ
12 ノズル
12’ ノズル挿入部
13 吐出要素/ラム
14 ラムヘッド
15 タペットスプリング
16 ラム先端部
17 計量媒質供給接続部
17r 貯蔵容器/計量物質カートリッジ
18 加熱ユニット
19 接続部/加熱ケーブル
20 加熱要素
21 バネ要素/ディスクスプリングのセット
30 レバー
30B ラム運動
30L レバーの長手方向
30Q レバーの横方向
30T レバーの深さ方向
31 レバーアーム、2サイド
32 より短いレバーアームサイド
33 端部部分
34 (永久磁石のための)孔
35 より長いレバーアームサイド
36 第1のアクチュエータ係合点
36z 第1のアクチュエータ係合点の第1のシリンダーピン
37 第2のアクチュエータ係合点
37z 第2のアクチュエータ係合点の第2のシリンダーピン
38 孔/貫通孔/凹み
39 くさび状の凹み
40 レバーの(レバー)頂部側
41 レバーマウントにおけるシリンダーピンのための凹み
42 シリンダーピン
42a シリンダーピンの外側半分部分
42b シリンダーピンの内側半分部分
50a、50b アクチュエータ/圧電アクチュエータ(本明細書では封入されたもの)
51 圧電要素
52a 第1のアクチュエータの第1の作用方向/長手方向軸
52b 第2のアクチュエータの第2の作用方向/長手方向軸
53 アクチュエータのトランスデューサ
54 アクチュエータの前部/先端部
55 アクチュエータの接続部
56 圧電アクチュエータの凹み
57 Oリング
60 冷却装置/冷却チャネルシステム
60i、60o 冷却流れ方向
61 供給チャネル
62 アクチュエータの中への供給チャネルの引き入れ口
63a、63b 排出チャネル、2つ
64 アクチュエータからの排出チャネルの排出口
65 温度センサ
A-A 計量システムを通る切断線
B-B レバーを通る切断線
DR 計量方向
K アクチュエータ係合点の円
P0 中央位置
R 回転軸/傾斜軸
ST アクチュエータの対称面の第1の対称軸
SQ アクチュエータの対称面の第2の対称軸
Va 第1の連結線
Vb 第2の連結線
XA 係合軸平面
XR 回転/回転軸の平面
【国際調査報告】