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特表2024-504996軟化されたエッジを有する冷却/加熱医療用パッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】軟化されたエッジを有する冷却/加熱医療用パッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
A61F7/00 310F
A61F7/00 331H
A61F7/00 320Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544577
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022013672
(87)【国際公開番号】W WO2022159879
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/141,294
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】スティッチ、マデリン
(72)【発明者】
【氏名】ガネサン、カルティク
(72)【発明者】
【氏名】ブーン-ワースマン、タイグ イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ショーン イー.
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA04
4C099CA02
4C099EA05
4C099GA02
4C099HA01
4C099LA01
4C099LA07
4C099LA08
4C099LA13
4C099LA21
4C099NA02
4C099PA03
4C099PA04
(57)【要約】
本明細書中に開示されるのは、目標温度管理(TTM)を受ける間に患者の快適性を提供することを対象とする装置およびシステムである。装置およびシステムは、患者と熱エネルギーを交換するための医療用パッドに関する。医療用パッドは、可撓性上部シートと、可撓性ベース部材と、エッジガードと、接着面とを含む。可撓性ベース部材は、可撓性上部シートに相互接続されて、可撓性ベース部材と可撓性上部シートとの間に流体収容層を画定する。エッジガードは、可撓性上部シートのエッジに沿って位置し、可撓性上部シートのエッジから外側に向かって延びる。接着面は、可撓性上部シート及びエッジガードの皮膚接触側に配置されており、患者の皮膚と剥離可能に接着接触するように適合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者と熱エネルギーを交換するための医療用パッドであって、
可撓性上部シートと、
可撓性ベース部材であって、前記可撓性上部シートに相互接続されて、前記可撓性ベース部材と前記可撓性上部シートとの間に流体収容層を画定する、可撓性ベース部材と、
前記可撓性上部シートのエッジに沿って位置するエッジガードであって、前記可撓性上部シートの前記エッジから外側に向かって延びる、エッジガードと、
前記可撓性上部シート及び前記エッジガードの皮膚接触側に配置されている接着面であって、前記患者の皮膚と剥離可能に接着接触するように適合されている接着面と、を含む、医療用パッド。
【請求項2】
前記エッジガードは、
上部カバー部と底部カバー部とを含む柔軟なカバーであって、前記接着面は、前記上部カバー部に沿って配置されている、柔軟なカバーと、
前記柔軟なカバー内に収容されており、前記可撓性上部シートの前記エッジからの前記患者の前記皮膚に対する圧力を低減するように構成されている、緩衝充填物と、を含む、請求項1に記載の医療用パッド。
【請求項3】
前記エッジガードの前記緩衝充填物は、前記流体収容層と前記患者との間で熱エネルギーを伝導するように構成された熱伝導性材料を含む、請求項2に記載の医療用パッド。
【請求項4】
前記エッジガードは、前記エッジガードが前記熱エネルギーを伝導するための直接径路を提供するように、前記患者の前記皮膚の輪郭に適合するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項5】
前記緩衝充填物は、ガーゼ充填物、発泡体充填物、又はメッシュ充填物のうちの1つ以上を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項6】
前記柔軟なカバーは、織布、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリウレタン、別のプラスチック、及びラテックスのうちの1つ以上を含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項7】
前記エッジガードは、前記エッジに沿って位置し、
前記エッジは、前記可撓性上部シートの外周を実質的に取り囲み、
前記エッジガードは、前記可撓性上部シートの前記外周を実質的に取り囲む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項8】
ヒドロゲル材料の適合性の熱伝導性層を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項9】
前記可撓性ベース部材は、複数の蛇行流体流路を画定する複数の凹みを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項10】
前記複数の凹みは、円錐台構成、円筒状構成、及び長尺状の角錐台構成のうちの1つ以上を含む所定の構成である、請求項9に記載の医療用パッド。
【請求項11】
前記複数の凹みは、前記可撓性ベース部材の上面に所定の千鳥状パターンで配置されており、
前記可撓性上部シートの下側平滑面は、前記複数の凹みとの複数の接触点で支持されており、
前記複数の凹みは、前記可撓性ベース部材の前記上面に少なくとも2つの横断方向に千鳥状に配置されている、請求項9又は10に記載の医療用パッド。
【請求項12】
前記所定の千鳥状パターンは、オフセットした行及び列を含む、請求項11に記載の医療用パッド。
【請求項13】
隣接する行及び隣接する列内の前記複数の凹みは、互いに60度だけオフセットしている、請求項12に記載の医療用パッド。
【請求項14】
前記複数の凹みは、ヘリンボーンパターンで配置されている、請求項9から13のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項15】
前記ベース部材は、前記複数の凹みを一体的に画定するように形成されている、請求項9から14のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項16】
前記医療用パッドに流体を提供する流体流路に沿って配置されているフィルタを更に含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項17】
前記フィルタは、前記流体流路に沿って前記流体の流れ方向に平行に配置された多孔質壁を含む、請求項16に記載の医療用パッド。
【請求項18】
前記フィルタは、前記医療用パッドに取り付けられている、請求項16又は17に記載の医療用パッド。
【請求項19】
前記フィルタは、前記医療用パッドの前記流体収容層内に配置されている、請求項16から18のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項20】
患者と熱エネルギーを交換するための医療用パッドであって、
発泡構造であり、複数の一体的に画定された凹みを有する、可撓性ベース部材と、
前記可撓性ベース部材に相互接続され、前記可撓性ベース部材との間に流体収容層を画定する可撓性フィルムであって、前記複数の凹みは、前記流体収容層内の蛇行流体流路を画定する、可撓性フィルムと、
前記可撓性フィルムの片面に積層されている熱伝導性層と、
前記熱伝導性層のエッジに沿って位置するエッジガードであって、前記熱伝導性層の前記エッジから外側に向かって延びる、エッジガードと、
前記熱伝導性層及び前記エッジガード上に配置されている接着面であって、患者の皮膚と剥離可能に接着接触するように適合されている、接着面と、を含む、医療用パッド。
【請求項21】
前記エッジガードは、
上部カバー部と底部カバー部とを含む柔軟なカバーであって、前記接着面は、前記上部カバー部に沿って配置されている、柔軟なカバーと、
前記柔軟なカバー内に収容されており、前記可撓性上部シートの前記エッジからの前記患者の前記皮膚に対する圧力を低減するように構成されている、緩衝充填物と、を含む、請求項20に記載の医療用パッド。
【請求項22】
前記エッジガードの前記緩衝充填物は、前記流体収容層と前記患者との間で熱エネルギーを伝導するように構成された熱伝導性材料を含む、請求項21に記載の医療用パッド。
【請求項23】
前記エッジガードは、前記エッジガードが前記熱エネルギーを伝導するための直接径路を提供するように、前記患者の前記皮膚の輪郭に適合するように構成されている、請求項20から22のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項24】
前記緩衝充填物は、ガーゼ充填物、発泡体充填物、又はメッシュ充填物のうちの1つ以上を含む、請求項21から23のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項25】
前記柔軟なカバーは、織布、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリウレタン、別のプラスチック、及びラテックスのうちの1つ以上を含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項26】
前記エッジガードは、前記熱伝導性層の外周を実質的に取り囲む、請求項20から25のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項27】
前記熱伝導性層は、適合性のヒドロゲル材料を含む、請求項20から26のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項28】
前記複数の蛇行流体流路を画定する前記複数の凹みは、円錐台構成、円筒状構成、及び長尺状の角錐台構成のうちの1つ以上を含む所定の構成である、請求項20から27のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項29】
前記医療用パッドに流体を提供する流体流路に沿って配置されているフィルタを更に含む、請求項20から28のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項30】
前記フィルタは、前記流体流路に沿って前記流体の流れ方向に平行に配置された多孔質壁を含む、請求項29に記載の医療用パッド。
【請求項31】
前記フィルタは、前記医療用パッドに取り付けられている、請求項29又は30に記載の医療用パッド。
【請求項32】
前記フィルタは、前記医療用パッドの前記流体収容層内に配置されている、請求項29から31のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項33】
患者と接触し、熱エネルギーを交換するための医療用パッドであって、
前記患者と前記熱エネルギーを交換するように構成された熱交換流体を収容するための流体収容層と、
流体入口及び流体出口であって、前記熱交換流体は、前記流体入口から前記流体出口まで前記流体収容層内を循環しながら前記患者に熱エネルギーを伝達する、流体入口及び流体出口と、
前記流体収容層の皮膚接触側に配置された接着面であって、熱エネルギーは、前記接着面にわたって交換可能である、接着面と、
前記接着面と前記患者との間の前記接着面のエッジに沿って配置されるエッジガードと、を含む、医療用パッド。
【請求項34】
前記エッジガードは、
上部カバー部と底部カバー部とを含む柔軟なカバーと、
前記柔軟なカバー内に収容されており、前記可撓性上部シートの前記エッジからの前記患者の前記皮膚に対する圧力を低減するように構成されている、緩衝充填物と、
前記接着面の延長部であって、前記弾性カバーの前記上部カバー部の皮膚接触側に配置され、前記患者の前記皮膚と剥離可能に接着接触するように適合されている、前記接着面の延長部と、を含む、請求項33に記載の医療用パッド。
【請求項35】
前記エッジガードの前記緩衝充填物は、前記流体収容層と前記患者との間で熱エネルギーを伝導するように構成された熱伝導性材料を含む、請求項34に記載の医療用パッド。
【請求項36】
前記エッジガードは、前記エッジガードが前記熱エネルギーを伝導するための直接径路を提供するように、前記患者の前記皮膚の輪郭に適合するように構成されている、請求項33から35のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項37】
前記緩衝充填物は、ガーゼ充填物、発泡体充填物、又はメッシュ充填物のうちの1つ以上を含む、請求項34から36のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項38】
前記柔軟なカバーは、織布、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリウレタン、別のプラスチック、及びラテックスのうちの1つ以上を含む、請求項34から37のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項39】
前記エッジガードは、前記エッジに沿って位置し、
前記エッジは、前記接着面の外周を実質的に取り囲み、
前記エッジガードは、前記接着面の前記外周を実質的に取り囲む、請求項33から38のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項40】
ヒドロゲル材料の適合性の熱伝導性層を更に含む、請求項33から39のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項41】
前記流体収容層は、複数の蛇行流体流路を画定する複数の凹みを含む、請求項33から40のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項42】
前記複数の凹みは、円錐台構成、円筒状構成、及び長尺状の角錐台構成のうちの1つ以上を含む所定の構成である、請求項41に記載の医療用パッド。
【請求項43】
前記複数の凹みは、前記流体収容層の第1の面に所定の千鳥状パターンで配置されており、
前記流体収容層の第2の平滑面は、前記凹みとの複数の接触点で支持されており、
前記凹みは、前記流体収容層の前記第1の面に少なくとも2つの横断方向に千鳥状に配置されている、請求項41又は42に記載の医療用パッド。
【請求項44】
前記所定の千鳥状パターンは、オフセットした行及び列を含む、請求項43に記載の医療用パッド。
【請求項45】
隣接する行及び隣接する列内の前記凹みは、互いに60度だけオフセットしている、請求項44に記載の医療用パッド。
【請求項46】
前記凹みは、ヘリンボーンパターンで配置されている、請求項41から45のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項47】
前記医療用パッドに流体を提供する流体流路に沿って配置されているフィルタを更に含む、請求項33から46のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【請求項48】
前記フィルタは、前記流体流路に沿って前記流体の流れ方向に平行に配置された多孔質壁を含む、請求項47に記載の医療用パッド。
【請求項49】
前記フィルタは、前記医療用パッドに取り付けられている、請求項47又は48に記載の医療用パッド。
【請求項50】
前記フィルタは、前記医療用パッドの前記流体収容層内に配置されている、請求項47から49のいずれか一項に記載の医療用パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
簡潔に概要を示すと、本明細書中に開示される実施形態は、目標体温管理(TTM:targeted temperature management)、すなわち、卒中又は手術後の神経保護などの医療的利益を提供するために患者を冷却又は加熱すること、を受ける間に患者の快適性を提供するためのシステム、方法、及び装置を対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
TTMシステムで生じることの多い課題の1つは、TTMシステムの冷却及び加熱医療用パッドのエッジからの圧力による患者の皮膚の刺激である。具体的には、医療用パッドは、例えば、パッドの湾曲部又は屈曲部に、一部の患者にとっては不快感及び刺激の原因となる可能性のある荒いエッジを有する場合がある。パッドは、患者の皮膚に適合し、良好な熱接触を提供することができるヒドロゲルなどの柔軟な材料を含むことができるが、一部の患者は、それでも、皮膚刺激を経験する可能性がある。いくつかの場合では、患者は、パッドを長期間にわたって使用し、繰り返しの接触後にそのような不快感及び刺激が悪化することがある。開示される装置及びシステムの実施形態は、この課題に対処することができる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書中に開示されるのは、患者と熱エネルギーを交換するための医療用パッドである。医療用パッドは、可撓性上部シートと、可撓性ベース部材と、エッジガードと、接着面とを含み得る。可撓性ベース部材は、可撓性上部シートに相互接続されて、可撓性ベース部材と可撓性上部シートとの間に流体収容層を画定する。エッジガードは、可撓性上部シートのエッジに沿って位置し、可撓性上部シートのエッジから外側に向かって延びる。接着面は、可撓性上部シート及びエッジガードの皮膚接触側に配置されている。接着面は、患者の皮膚と剥離可能に接着接触するように適合されている。
【0004】
いくつかの実施形態では、エッジガードは、上部カバー部と底部カバー部とを含む柔軟なカバーと、緩衝充填物とを含む。接着面は、上部カバー部に沿って配置されている。緩衝充填物は、柔軟なカバー内に収容されており、可撓性上部シートのエッジからの患者の皮膚に対する圧力を低減するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、エッジガードの緩衝充填物は、流体収容層と患者との間で熱エネルギーを伝導するように構成された熱伝導性材料を含む。
いくつかの実施形態では、エッジガードは、エッジガードが熱エネルギーを伝導するための直接径路を提供するように、患者の皮膚の輪郭に適合するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、緩衝充填物は、ガーゼ充填物、発泡体充填物、又はメッシュ充填物のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、柔軟なカバーは、織布、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリウレタン、別のプラスチック、又はラテックスのうちの1つ以上を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、エッジガードは、エッジに沿って位置する。エッジは、可撓性上部シートの外周を実質的に取り囲む。エッジガードは、可撓性上部シートの外周を実質的に取り囲む。
【0008】
いくつかの実施形態では、医療用パッドは、ヒドロゲル材料の適合性の熱伝導性層を更に含む。
いくつかの実施形態では、可撓性ベース部材は、複数の蛇行流体流路を画定する複数の凹みを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の凹みは、円錐台構成、円筒状構成、又は長尺状の角錐台構成のうちの1つ以上を含む所定の構成である。
いくつかの実施形態では、複数の凹みは、可撓性ベース部材の上面に所定の千鳥状パターンで配置されており、可撓性上部シートの下側平滑面は、凹みとの複数の接触点で支持されており、凹みは、可撓性ベース部材の上面に少なくとも2つの横断方向に千鳥状に配置されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、所定の千鳥状パターンは、オフセットした行及び列を含む。
いくつかの実施形態では、隣接する行及び隣接する列内の凹みは、互いに60度だけオフセットしている。
【0011】
いくつかの実施形態では、凹みは、ヘリンボーンパターンで配置されている。
いくつかの実施形態では、ベース部材は、複数の凹みを一体的に画定するように形成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、フィルタは、医療用パッドに流体を提供する流体流路に沿って配置されている。いくつかの実施形態では、フィルタは、流体流路に沿って流体の流れ方向に平行に配置された多孔質壁を含む。いくつかの実施形態では、フィルタは、医療用パッドに取り付けられている。いくつかの実施形態では、フィルタは、医療用パッドの流体収容層内に配置されている。
【0013】
また、本明細書中に開示されるのは、患者と熱エネルギーを交換するための医療用パッドである。医療用パッドは、可撓性ベース部材と、可撓性フィルムと、熱伝導性層と、エッジガードと、接着面とを含み得る。可撓性ベース部材は発泡構造であり、複数の一体的に画定された凹みを有する。可撓性フィルムは可撓性ベース部材に相互接続され、可撓性ベース部材と可撓性フィルムとの間に流体収容層を画定する。複数の凹みは、流体収容層内の蛇行流体流路を画定する。熱伝導性層は、可撓性フィルムの片面に積層されている。エッジガードは、熱伝導性層のエッジに沿って位置し、エッジガードは、熱伝導性層のエッジから外側に向かって延びる。接着面は、熱伝導性層及びエッジガード上に配置されている。接着面は、患者の皮膚と剥離可能に接着接触するように適合されている。
【0014】
また、本明細書中に開示されるのは、患者と接触し、熱エネルギーを交換するための医療用パッドである。医療用パッドは、流体収容層と、流体入口と、流体出口と、接着面と、エッジガードとを含み得る。流体収容層は、患者と熱エネルギーを交換するように構成された熱交換流体を収容する。熱交換流体は、流体入口から流体出口まで流体収容層内を循環しながら患者に熱エネルギーを伝達する。接着面は、流体収容層の皮膚接触側に配置されており、熱エネルギーは、接着面にわたって交換可能である。エッジガードは、接着面と患者との間の接着面のエッジに沿って配置される。
【0015】
本明細書で提供される概念のこれら及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。
【0016】
本開示の実施形態は、限定するものではなく例示として、類似する符号が類似の要素を示す、添付された図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】いくつかの実施形態による、患者を加熱及び/又は冷却するための医療用パッドを使用する目標体温管理(TTM)システムを示す。
図2】いくつかの実施形態による、患者に配置されるパッドを示す。
図3】いくつかの実施形態による、例示的な医療用パッドの構造を示す。
図4】いくつかの実施形態による、エッジガードを有する医療用パッドの構造を示す。
図5A】いくつかの実施形態による、ガーゼを含むエッジガードの構造を示す。
図5B】いくつかの実施形態による、発泡体を含むエッジガードの構造を示す。
図5C】いくつかの実施形態による、メッシュを含むエッジガードの構造を示す。
図6A】いくつかの実施形態による、医療用パッドの外周を囲むエッジガードを示す。
図6B】いくつかの実施形態による、医療用パッドの外周の一部分を覆うエッジガードを示す。
図7】いくつかの実施形態による、エッジガードの代替的な実施形態の詳細を示す。
図8A】いくつかの実施形態による、TTM流体フィルタの分解斜視図を提供する。
図8B】いくつかの実施形態による、図8Aのフィルタの側断面図を提供する。
図8C】いくつかの実施形態による、図8Aのフィルタを組み込んだ医療用パッドの側断面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができ、任意選択的に、本明細書に開示される他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせる又は置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0019】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、全般的に、特徴又は工程の群内の異なる特徴若しくは工程を区別又は識別するために使用され、連続的又は数値的な限定を提供するものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」特徴又は工程は、その順序で必ずしも現れる必要はなく、そのような特徴又は工程を含む特定の実施形態は、3つの特徴又は工程に必ずしも限定される必要はない。例えば「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などのラベルは、便宜的に使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、又は方向を示唆することを意図するものではない。その代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するように使用される。単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で別段の明確な指示のない限り、複数形の参照を含む。
【0020】
例えば、本明細書において開示されているプローブの「近位の」、「近位部」、または「基端部」に関しては、プローブが患者に対して使用される際に、臨床医の近くに位置することを意図されたプローブの部分を含む。同様に、例えば、プローブの「近位の長さ」は、プローブが患者に対して使用される際に、臨床医の近くに位置することを意図されたプローブの長さを含む。例えば、プローブの「近位端」は、プローブが患者に対して使用される際に、臨床医の近くに位置することを意図されたプローブの端部を含む。プローブの、近位部、基端部、または近位の長さは、プローブの近位端を含み得る。しかしながら、プローブの、近位部、基端部、または近位の長さは、プローブの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、プローブの、近位部、基端部、または近位の長さは、プローブの、末端部、または末端の長さではない。
【0021】
例えば、本明細書において開示されているプローブの「遠位の」、「遠位部」、または「先端部」に関しては、プローブが患者に対して使用される際に、患者の近くまたは患者の体内に位置することを意図されたプローブの部分を含む。同様に、例えば、プローブの「遠位の長さ」は、プローブが患者に対して使用される際に、患者の近くまたは患者の体内に位置することを意図されたプローブの長さを含む。例えば、プローブの「遠位端」は、プローブが患者に対して使用される際に、患者の近くまたは患者の体内に位置することを意図されたプローブの端部を含む。プローブの、遠位部、先端部、または遠位の長さは、プローブの遠位端を含み得る。しかしながら、プローブの、遠位部、先端部、または遠位の長さは、プローブの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、プローブの、遠位部、先端部、または遠位の長さは、プローブの、末端部、または末端の長さではない。
【0022】
「ロジック」という用語は、1つ以上の機能を実行するように構成されたハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェアを表す場合がある。ハードウェアとして、ロジックという用語は、データ処理及び/又は記憶機能を有する回路を指す又は含む場合がある。そのような回路の例としては、ハードウェアプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、1つ以上のプロセッサコア、デジタルシグナルプロセッサ、プログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路「ASIC」など)、半導体メモリ、又は組み合わせ要素が挙げられ得るが、これらに限定又は制限されない。
【0023】
加えて又は或いは、ロジックという用語は、1つ以上のプロセス、1つ以上のインスタンス、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、サブルーチン、関数、アプレット、サーブレット、ルーチン、ソースコード、オブジェクトコード、共有ライブラリ/ダイナミックリンクライブラリ(dll)、又は更には1つ以上の命令などのソフトウェアを指す又は含むことがある。このソフトウェアは、任意のタイプの適切な非一時的な記憶媒体、又は一時的な記憶媒体(例えば、搬送波、赤外線信号、又はデジタル信号などの、電気、光学、音響、又は他の形態の伝搬信号)に格納され得る。非一時的な記憶媒体の例としては、プログラマブル回路、揮発性メモリなどの非永続型のストレージ(例えば、任意のタイプのランダムアクセスメモリ「RAM」)、又は不揮発性メモリなどの永続型ストレージ(例えば、読出し専用メモリ「ROM」、パワーバックアップRAM、フラッシュメモリ、相変化メモリなど)、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、又はポータブルメモリデバイスを含み得るが、これらに限定又は制限されない。ファームウェアとして、ロジックは、永続型ストレージに格納されてもよい。
【0024】
人体に対する温度変化の影響は十分に文書化されている。高温は、通常の状況下において、更により重要には、疾患又は手術などの身体的ストレスの期間中には脳に有害な場合がある。その反面、より低い体温、すなわち軽度低体温は、ある程度の神経保護を提供し得る。中程度から超低体温(32℃未満)は、身体により有害となる傾向があり、死に至ることもある。
【0025】
目標体温管理(TTM)は、卒中又は手術後の神経保護などの医療的利益を提供するために患者を冷却又は加熱することを指す。TTM又は体温調節は、2つの異なる様式で解釈することができる。温度管理の第1の側面は、異常体温を治療すること、すなわち、身体を高温(高体温)から冷却すること、又は低体温を管理するために身体を加温することを含む。低体温は、低温環境への暴露、外傷、又は長時間の複雑な外科的処置に応答して生じる可能性がある。高体温は、全身性の炎症、敗血症、卒中、又は他の脳損傷に応答して生じる可能性がある。
【0026】
体温調節の第2の側面は、ある程度の神経保護のための冷却などの生理的利益を提供するために、患者の体温を物理的に制御する手法を用いる治療である。深部体温の2~3℃の低下と定義される軽度低体温療法による治療は、卒中患者の神経保護を提供し、外傷性脳損傷の場合に24~72時間適用された場合に、神経病学的回復を促進し、転帰を向上させる可能性があることが研究で示されている。特に、卒中による脳損傷では、最大の効果に達するまで数時間かかる場合があることが研究で示唆されている。この時間枠内に冷却などの神経保護療法が適用された場合、神経損傷は限定され、卒中患者の転帰が改善する可能性がある。
【0027】
医療用パッドを使用するTTMシステムは、治療的TTMを必要とする処置を受ける患者の体温を調整することができる及び/又は特定の医学的若しくは外科的条件に対する体温の制御を支援することができる。このようなシステムは、「流体圧力維持による患者体温制御システム(Patient Temperature Control System with Fluid Pressure Maintenance)」という名称の米国特許第6,645,232号明細書に記載されており、医療用パッドは、「冷却/加熱パッド及びシステム(Cooling/Heating Pad and System)」という名称の米国特許第6,375,674号明細書に記載されている。これらのそれぞれは、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0028】
TTMシステムで生じることの多い課題の1つは、TTMシステムの冷却及び加熱医療用パッドのエッジからの圧力による患者の皮膚の刺激である。具体的には、医療用パッドは、例えば、湾曲部又は角に、一部の患者にとっては不快感及び刺激の原因となる可能性のある荒いエッジを有し得る。パッドは、患者の皮膚に適合し、良好な熱接触を提供することができるヒドロゲルなどの適応可能な材料を含むことはできるが、一部の患者は、それでも、皮膚刺激を経験する可能性がある。いくつかの場合では、患者は、パッドを長期間にわたって使用し、繰り返しの接触後にそのような不快感及び刺激が悪化することがある。開示される装置及びシステムの実施形態は、この課題に対処することができる。
【0029】
ここで、いくつかの実施形態による、患者Pを加熱及び/又は冷却するための医療用パッド120を使用するTTMシステム100を示す図1を参照する。図示の患者体温制御システム100は、患者体温を32℃~38.5℃(89.6°F~101.3°F)の範囲内に監視及び制御する温度制御システム及び装置である。TTMシステム100は、患者Pと熱エネルギーを交換するための1つ以上の医療用接触パッド120に選択的に相互接続され、負圧下で、温度制御された熱流体(例えば、水又はガス)をパッド120を通して引き込むための循環ポンプも含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、TTMシステム100は、制御モジュール110と、流体及び患者Pとの熱エネルギー交換を容易にするように構成された1つ以上の使い捨て医療用接触パッド120(パッド又は医療用パッド)と、制御モジュール110内のリモートディスプレイと、患者体温プローブ130と、1つ以上の流体循環ライン140と、任意の追加の付属品とを含み得る。典型的な実施形態では、図示のように患者の上半身に2つのパッド120が配置され、患者の下半身に2つのパッド120(図示せず)が配置される場合がある。TTMシステム100は、負圧を使用して、4℃~42℃(39.2°F~107.6°F)の範囲の水などの温度制御された流体を、パッド120を通して、約0.7リットル/分/パッドで引き込むことができる。これにより、循環する流体と患者Pとの間に熱交換がもたらされる。患者体温プローブ130は制御モジュール110に接続され、制御モジュール110の内部制御アルゴリズムに患者体温フィードバック情報を提供する。そのような内部制御アルゴリズムに基づいて、制御モジュール110は、患者Pを臨床医によって設定され得る目標患者体温まで加熱又は冷却するように、循環する水の温度を増加又は減少させることができる。
【0031】
流体循環ライン140(又は「流体送達ライン」)は、循環ポンプの出口ポート及び入口ポートに相互接続するための対向するチューブアセンブリを含んでもよく、パッド120は、対向するパッドマニホールドによって流体的に相互接続可能である。図1はまた、1つ以上の外部又は内部患者体温センサ130と制御モジュール110の信号調整インターフェースとの相互接続を示す。温度センサ130から受け取った温度情報は、制御モジュール110のプロセッサにおいて、事前設定又はユーザ定義の患者目標体温に関して、システム100により影響を受ける熱交換の量及び速度を決定するために利用され得る。したがって、プロセッサは、TTMシステム100のヒータ、ラジエータ、ファン、及び/又は補助ポンプに適切な制御駆動信号を提供し得る。一実施形態では、循環ポンプ、ヒータ、ラジエータ、ファン、及び/又は補助ポンプは、制御モジュール110内に収容されてもよい。
【0032】
図2は、いくつかの実施形態による、患者Pに配置されるパッド120を示す。パッド120、特に生体適合性ヒドロゲルを含むパッド120の内側層は、患者の皮膚に適合し、それにより、患者Pとの良好な熱接触を提供することができる。医療用パッド120は、患者Pに付着して適合する内側の生体適合性ヒドロゲル層、流体収容層、流体バリアとして機能する1つ以上の薄膜層、及び環境への熱伝達を防止する外側絶縁層などのいくつかの層を含み得る(図3を参照)。ヒドロゲル層は、TTM療法中にパッド120を患者P上の所定の位置に保持するのに十分な接着強度を有し得るが、その後除去されるときに組織損傷を引き起こさない。
【0033】
パッド120は、とりわけ、特小、小、中、及び大サイズ、並びに汎用パッドで利用可能な場合がある。臨床医は、患者Pに適用されるパッド120の型、サイズ、及び数を、患者の処置、適用、又は患者Pの利用可能な体表面積に基づいて決定することができる。例えば、臨床医は、図2に示されるように患者の背中及び胴部などの患者の上半身に2つのパッド120を、患者の下半身に、例えば患者の大腿に巻き付けて2つのパッドを配置してもよい。パッド120は、最大数及び正しいサイズが使用された場合に最良の性能を提供する。
【0034】
いくつかの実施形態では、システム100によって加えられる負の流体圧力により、流体が流れている間にパッド120が損傷又は破損した場合であっても、顕著な流体の漏れは起こらない。したがって、パッド120は、流体がパッドを通ってすでに流れている間に患者に適用することができる。治療の目的及び患者に意識がある(又はそうでなければ、覚醒し、首尾一貫している)かどうかに応じて、配置前にパッド120を予備加温又は予備冷却してもよい。
【0035】
パッド120を配置するために、臨床医は、最初に、第1の上半身パッド120の上部を患者の外側に伸ばした腕の腋窩と位置合わせする。その後、臨床医は、パッド120の長辺を患者の背骨の側面に沿って配置する。次いで、臨床医は、図示のように、パッド120を後ろから前に巻き付けることができ、パッドの流体入口ライン及び出口ラインが前側にあるようにする。下半身については、臨床医は、第1の下半身パッドのラインを膝と位置合わせし、下方に向けることができる。臨床医は、第1の下半身パッドの長端を側方に巻き付け、必要であれば内側で重ね合わせる。
【0036】
その後、臨床医は、患者Pの向きを変え、患者の背骨に沿ってスペースを残して、患者の他の側に第2の上半身パッドを配置してもよい。次いで、臨床医は、第2の下半身パッドを患者の他方の脚に巻き付けることができ、短い方のエッジが内側に配置され、長い方の側が側方に巻き付けられるようにする。更に、更なる表面被覆が必要な場合には、臨床医は、任意選択的に、患者の腹部に汎用パッドを配置することができる。
【0037】
パッド120は、本明細書ではパッドラインと呼ばれる、流体の流れのための入口ライン及び出口ラインを有する。これらのラインは、パッドマニホールドによってパッド120に接続されている。特に、Y字形の流体送達ラインは、パッドラインコネクタ(例えば、合計6つのコネクタ)に接続する一方向弁を含む。流体送達ラインの各側は、患者の足のそばに又は患者の下腿に沿って配置され得る。コネクタは、4つのパッド120に大柄の患者用の最大2つの任意の汎用パッドを加えたフルセットに対応し得る。パッドラインチューブを把持したまま、臨床医は、パッドラインコネクタをパッド流体送達ラインマニホールドに挿入することができる。例えば、臨床医は、各々のコネクタをマニホールドに向けて押し、関連するキャッチを解除し、その後、引き離すことができる。続いて、臨床医は、例えば、コネクタ上のウイングを共に握ることによってラインを切り離すことができる。
【0038】
図3は、いくつかの実施形態による、例示的なパッド120の構造を示す。パッド120は、患者の皮膚320に隣接し、適合することができる内側の生体適合性ヒドロゲル層340(又は「適合性熱伝導層」)を含む。更に、パッド120は、患者の皮膚320にパッド120を接着するためにヒドロゲル層340の皮膚接触側に配置された接着層341を含み得る。図示しないが、パッド120が使用されていない間に接着面341を汚染から保護するために、取り外し可能な剥離ライナーが接着面341の上に設けられていてもよい。
【0039】
パッド120は、流体収容層350と、環境への熱エネルギーの損失を防止するための絶縁層360とを更に含む。流体収容層350は、1つ以上のフィルム層及び/又は絶縁層360の間に画定され得る。流体は、4℃~42℃(39.2°F~107.6°F)の温度まで加熱又は冷却することができ、流体収容層350を通って循環し、ヒドロゲル層340を介して患者の皮膚320と熱エネルギー330を交換し、患者Pを目標体温まで加温又は冷却することができる。この例では、皮膚320から層350内の流体に流れる熱エネルギー330が示されているが、熱330は、患者Pを目標体温まで加熱又は冷却するために、患者Pと層350との間でいずれの方向にも流れることができる。
【0040】
或いは、いくつかの実施形態では、パッド120は、ヒドロゲル層340と、流体バリアとして機能する薄膜層と、水路を有する発泡体を含む外側絶縁層360とを含む。
ヒドロゲルは生体適合性であり、その接着強度が従来の接着剤と比較して時間の経過とともに増加する傾向がなく、患者の皮膚320上の毛を包み込む傾向にあり、それによって良好な熱接触を促進し、その高い含水率が比較的高い熱伝導率をもたらすため、ヒドロゲルは、層340に適した材料である。したがって、ヒドロゲル層340は、熱伝導性層として機能し得る一方で、接着面を一体的に提供するような十分な接着性も有する。或いは、いくつかの実施形態では、適合性の熱伝導性層と接着面は、異なる材料で構成され得る。例えば、適切な接着材料が、接着材料と異なる適切な適合性の熱伝導性材料の層の表面上に噴霧又は他の手法で塗布されてもよい。
【0041】
流体収容層350は、絶縁層360上又は流体収容層350内の凹み又は他の長尺状の部材によって画定され得る蛇行流体流路を含み得る。そのような蛇行流体流路は、流体の流れを調整し、流体の一部が流体収容層350の内面に沿って実質的に静止したままになる境界層の形成を阻止するように機能し得る。静止した流体は流体収容層350内に留まるが、患者Pの現在の体温に近づくにつれて、最終的に、患者Pの加熱又は冷却において効果的でなくなるため、そのような境界層は、パッド120の効率を低下させる可能性がある。更に、蛇行流路を画定する長尺状の部材の交差した形状は、負流圧循環システムによって要求される入口と出口との間の均一な低い圧力降下も促進する。
【0042】
パッド120は、ヒドロゲル層350などの適合性のある生体適合性材料を含むことはできるが、一部の患者は、それでも、パッド120の使用中に皮膚刺激を経験する可能性がある。いくつかの場合では、不快感及び皮膚刺激は、パッド120のエッジからの圧力に起因することがある。具体的には、パッド120は、例えば角又は湾曲した領域に、一部の患者にとって不快感及び刺激の原因となる可能性のある荒い又はざらついたテクスチャのエッジを有することがある。いくつかの場合では、患者は、パッドを長期間にわたって使用し、繰り返しの接触後にそのような不快感及び刺激が悪化することがある。開示されるエッジガード装置及びシステムは、この課題に対処することができる。
【0043】
図4は、いくつかの実施形態による、エッジガード400を有するパッド120の構造を示す。パッド120に接触するときに患者の皮膚320に影響を及ぼす可能性のあるあらゆる刺激を低減するために、開示されるエッジガード400は、パッド120のエッジから外側に向かって延び、パッド120と皮膚320との間の可撓性バリアとして機能し得る。この例では、エッジガード400は、パッド120の3つの層340、350、及び360全てを覆う最初の厚さから先細る三角形の立体形状を有する。或いは、エッジガード400は、別の形状又はサイズを有してもよく、例えば、パッド120の3つの層全てを覆う厚さを持つ矩形の立体、ヒドロゲル層340のみを覆う矩形の立体、又はヒドロゲル層340のみの最初の厚さから先細る三角形の立体を有してもよい。エッジガード400は、パッド120のエッジを取り囲み、柔らかいパッド状の充填物430で満たすことができる。この充填物430は、パッド120のあらゆる荒い角及びエッジを先細りさせ、軟化するように機能し、それにより、TTM治療の副作用、すなわち患者の不快感及び皮膚刺激を改善する。
【0044】
上記の図3の例で説明したように、医療用パッド120は、患者の皮膚320に接触し、適合することができるヒドロゲル層340を含む。パッド120は、パッド120を通る流体流路のベースを形成するフィルム層350と、環境への熱エネルギーの損失を防止する絶縁層360とを更に含む。
【0045】
エッジガード400は、パッド120のエッジから延び得る。エッジガード400は、パッド120とは別個の材料を含んでもよく、パッド120に取り付けられてもよい又は固定されてもよい。いくつかの実施形態では、エッジガード400をパッド120のエッジに固定するために防腐材料が使用される。或いは、エッジガード400は、パッド120を構成する同じ材料の延長部又は連続部から形成されてもよく、本開示によって限定されるものではない。
【0046】
この例では、エッジガード400は、弾性外側シェル410によって被覆される。いくつかの実施形態では、外側シェル410は、例えば、織布、プラスチック(ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、又はポリウレタンなど)、又はラテックスなどの材料を含む。様々な実施形態において、外側シェル410は、エッジガード400を皮膚320に付着させるために、接着性であってもよく、又は別個の接着層420が外側シェル410を覆ってもよい。一例では、接着層420は、パッド120又はそのヒドロゲル層340を覆ってもよく、エッジガード400の上にも延びてよい。
【0047】
エッジガード400は、軟質発泡体、綿ガーゼ、又はメッシュなどの軟質充填物430を含み得る(図5A図5Cを参照)。いくつかの実施形態では、充填物430は、ポリエステル、ウール、又はラテックスなどの別の材料を含み得る。充填物430は、医療用パッド120のエッジから圧力を吸収することができ、それによって患者の皮膚320に対する医療用パッド120、特にその荒いエッジの衝撃を和らげることができる。したがって、医療用パッド120は、例えば数時間又は数日間にわたる長期間のTTM治療の間、皮膚320に刺激を与えたり患者に顕著な不快感を生じさせたりすることなく、患者の皮膚320上に留まることができる。いくつかの実施形態では、充填物430は、パッド120と患者の皮膚320との間で熱エネルギーを伝導するように構成された熱伝導性材料を含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、エッジガード400をパッド120のエッジに取り付けるために使用される防腐材料は、パッド120から皮膚320への圧力を更に低減することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、上記のように、流体収容層350は、蛇行流体流路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、蛇行流体流路は、流体収容層350内に配置された蛇行チューブで構成されてもよい。例えば、1つ以上の内部流路と呼ばれることもある蛇行チューブは、図8A図8Cに見られるようなフィルタを含んでもよい。
【0050】
図5Aは、いくつかの実施形態による、ガーゼ510を含むエッジガード400の例示的な構造を示す。パッド120は、患者の皮膚320に隣接し適合し得るヒドロゲル層340を含む。パッド120は、蛇行流体流路を含み得、1つ以上のフィルム層の間に収容され得る流体収容層350と、環境への熱エネルギーの損失を防止する絶縁層360とを更に含む。この例では、接着層420は、パッド120を覆い、エッジガード400上にも延びる。
【0051】
図示のように、エッジガード400は、パッド120のエッジから外側に向かって延び、これに取り付けられ得る。エッジガード400は、外側シェル410によって覆われ、ガーゼ充填物510を含む。例えば、ガーゼ510は、綿、1つ以上のガーゼスワブ又はスポンジ、1つ以上のガーゼボール、絹、スクリム、プラスチック多孔質フィルム、ポリブレンド、及び/又は別のガーゼ材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガーゼは、メッシュ内に収容され得るガーゼボールに形成されてもよい。
【0052】
エッジガード400は実質的に三角形の立体形状を有するものとして図示されているが、外側シェル410は、エッジガード400の形状が患者の皮膚320に適合し得る及び/又は長時間を含む圧力に応答して変形し得るように、柔軟性又は可撓性であってもよい。これは、力及び圧力に応答して湾曲する及び/又は曲がることができる、患者の皮膚320と反対に面する外側シェル410の部分(すなわち、図5Aに示すような下部分)に特に当てはまる場合がある。当然ながら、例えばパッド120からの外力に対するエッジガード400によるそのような機械的応答は、そうでなければ力が患者の皮膚320に伝達され得るため、患者の不快感を低減させることができる。更に、様々な実施形態において、エッジガード400は、その代わりに、矩形の立体、扁平楕円体(図7を参照)などの任意の他の形状に形成されてもよい。
【0053】
ガーゼ510は非常に柔らかいため、パッド120のエッジからの圧力又は機械的衝撃を吸収し、患者の皮膚を緩衝することができ、それにより長期のTTM治療中であっても患者の快適性を高め、患者の許容度を向上させる。更に、ガーゼ510を含むエッジガード400は、パッド120のエッジと患者の皮膚との間のバリアとして機能することができる。すなわち、エッジガード400は、パッド120のエッジと患者の皮膚との間の直接接触、摩擦、擦れなどを防止することもできる。いくつかの実施形態では、ガーゼは、パッド120のエッジに対するより結合力があり且つ効果的なバリアを形成するために、互いに結合又は接着され得る、及び/又は外側シェル410の内面に接着され得る。
【0054】
図5Bは、いくつかの実施形態による、発泡体540を含むエッジガード400の例示的な構造を示す。パッド120は、患者の皮膚320に接触し、適合することができるヒドロゲル層340を含む。パッド120は、蛇行流体流路を含み得る流体収容層350と、環境への熱エネルギーの損失を防止する絶縁層360とを更に含む。この例では、接着層420は、パッド120を覆い、エッジガード400の上にも延びる。
【0055】
エッジガード400は、パッド120のエッジから外側に向かって延び、これに取り付けられ得る。エッジガード400は、外側シェル410によって覆われ、発泡体540を含む。例えば、発泡体540は、シリコーン発泡体、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、メモリ発泡体、発泡ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)発泡体、低密度ポリエチレン(LDPE)発泡体、ニトリルゴム(NBR)発泡体、ポリクロロプレン発泡体、高分子発泡体、又は別の発泡体材料を含み得る。様々な実施形態において、発泡体充填物540は、独立気泡押出ポリスチレン発泡体ユニットなどの単一発泡体ブロック又は複数の発泡体部分を含んでもよい。発泡体540は柔軟でしなやかなため、パッド120のエッジからの機械的な圧力又は衝撃を吸収することができ、患者の皮膚320を緩衝し、それにより患者の快適性を高め、長期のTTM治療の患者の許容度を向上させる。更に、発泡体540を含むエッジガード400は、パッド120のエッジと患者の皮膚320との間のバリアとして機能することができ、すなわち、パッド120のエッジと皮膚320との間の直接接触、摩擦、擦れなどを防止することができる。
【0056】
図5Cは、いくつかの実施形態による、メッシュ570を含むエッジガード400の例示的な構造を示す。パッド120は、患者の皮膚320に隣接し適合し得るヒドロゲル層340を含む。パッド120は、蛇行流体流路を含み得る流体収容層350と、環境への熱エネルギーの損失を防止する絶縁層360とを更に含む。この例では、接着層420は、パッド120を覆い、エッジガード400の上にも延びる。
【0057】
エッジガード400は、パッド120のエッジから延び、それに取り付けられ得る。エッジガード400は、外側シェル410によって覆われ、メッシュ570を含む。例えば、メッシュ570は、外科用メッシュ、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ナノファイバーメッシュ、別の無機メッシュ、又は別のメッシュ材料を含み得る。いくつかの例では、エッジガード400の充填物内で2つ以上の材料を組み合わせてもよい。例えば、充填物は、メッシュによって囲まれたガーゼボール、又はガーゼ510、発泡体540、及び/又はメッシュ570の他の混合物を含み得る。
【0058】
いくつかの例では、エッジガード400内のメッシュ充填物570は、より大きな弾性応答を提供するために、1つ以上の折られた、畳まれた、しわくちゃにされた、及び/又は圧縮されたメッシュシートを含み得る。一例では、メッシュ充填物570は、複数の切片又は部分に分割又は切断された1つ以上のメッシュシートを含み得る。別の例では、メッシュ充填物は、互いに積み重ねられた複数のメッシュシートを単に含んでもよい。更に別の例では、より大きな弾性を提供するために、メッシュの複数のシート又は部分は、互いに結合又は固定されてもよい。
【0059】
メッシュ570は柔らかく弾性であるため、パッド120のエッジからの機械的な圧力又は衝撃を吸収することができ、患者の皮膚320を緩衝し、それにより患者の快適性を高め、長期のTTM治療の患者の許容度を向上させる。更に、メッシュ570を含むエッジガード400は、パッド120のエッジと患者の皮膚320との間のバリアとして機能することができる。すなわち、メッシュ570を含むエッジガード400は、パッド120のエッジと皮膚320との間の直接接触、摩擦、擦れなどを防止することができる。
【0060】
図6Aは、いくつかの実施形態による、パッド120の外周610を囲むエッジガード600を示す。エッジガード600は、図4図5Cに示されるエッジガード400の実施形態のいずれかであり得、パッド120のエッジ610に沿って位置し得る。したがって、この例では、エッジガード600は、実質的にパッド120の外周610全体を囲む。したがって、パッド120が患者の皮膚を摩擦又は擦過する可能性のあるパッド120の全てのエッジ610は、エッジガード600によって軟化され、患者にとってより快適になる可能性がある。
【0061】
図6Bは、いくつかの実施形態による、パッド120の外周の一部分660を覆うエッジガード650を示す。エッジガード650は、図4図5Cに示されるエッジガード400実施形態のいずれかであってもよく、いくつかの実施形態では、エッジガード650は、パッド120の外周を部分的に囲むだけである。例えば、エッジガード650は、パッド120が患者の皮膚にとって特に荒いエッジを有し得るパッド120のカーブ又は角660に位置してもよい。別の例では、エッジガード650は、臨床医が、必要に応じて、パッド120の外周の一部に沿ってエッジガード650を配置することができるように、パッド120のエッジから取り付け可能及び/又は取り外し可能であってもよい。
【0062】
図7は、いくつかの実施形態による、医療用パッド120とともに使用するエッジガード700を示す。図示のように、エッジガード700は、エッジガード700を患者の皮膚に付着させるための接着層と、医療用パッドのエッジから患者に対して発生する圧力及び刺激を吸収し低減する、柔軟でしなやかな充填物510と、柔軟な充填物510を収容するための外側シェル410とを含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、外側シェル410は、絆創膏に類似する材料、例えば、織布、プラスチック(ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、又はポリウレタンなど)、又はラテックスを含む。外側シェル410は、弾性及び接着性であり得る。
【0064】
この実施形態では、エッジガード700は、綿ガーゼなどの軟質充填物510を含む。他の例では、充填物は、軟質発泡体又はメッシュ(図5A図5Cを参照)、又はこれらのいくつかの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、充填物510は、ポリエステル、ウール、又はラテックス、又は任意の他の材料を含み得、本開示によって限定されない。充填物は、医療用パッドのエッジからの圧力を吸収することができ、それにより患者の皮膚に対する医療用パッドの衝撃を和らげることができる。したがって、患者は、改善された快適性及びより少ない副作用で、医療用パッドを長期間にわたって使用することができる。いくつかの実施形態では、充填物510は、パッドと患者との間で熱エネルギーを伝導するように構成された熱伝導性材料を含み得る。
【0065】
この例では、外側シェル410は、弾性カバーで充填物を封入して収容するように充填物510を囲む。いくつかの実施形態では、外側シェルは、上部410及び底部720を含む。図7は、エッジガード700の断面を示す、すなわち、図7では充填物510が見えるが、外側シェルは充填物510を完全に覆うことができるものと理解されたい。
【0066】
或いは、いくつかの実施形態では、外側シェル410は充填物を部分的にしか覆わなくてもよい。例えば、弾性材料を含む外側シェル410は、患者と反対に面するエッジガード700の基端側を覆ってもよい一方で、患者の皮膚に接触する底部は、図4の例で説明した接着層420などの接着材料を含んでもよい。例えば、外側シェル自体が接着性であってもよい。更なる例では、底部は、異なる材料(接着層420など)を含んでもよく、外側シェル410と異なる弾性特性を有してもよい。例えば、底部は、患者の皮膚に付着及び/又は適合し得るが、それが付着する患者の皮膚の部分が底部に対して実質的な圧力を作用しないため、上部410に比べてより固定されていてもより剛性が高くてもよい。
【0067】
図7をなお参照すると、パッド120は、ヒドロゲル層340と、流体収容層350と、絶縁層360とを含む。この例では、接着層420はパッド120を覆い、エッジガード700の上にも延びる。エッジガード700は、パッド120のエッジから外側に向かって延び、これに取り付けられ得る。エッジガード700は、外側シェル410によって覆われ、ガーゼ510を含む。エッジガード700は、或いは又は更に、発泡体、メッシュ、又は別の材料を含んでもよい。ガーゼ510又は別のクッション充填物は柔らかく且つ柔軟なため、パッド120のエッジからの機械的な圧力又は衝撃を吸収することができ、患者の皮膚320を緩衝し、それによって患者の快適性を高め、長期のTTM治療の患者の許容度を向上させる。更に、充填物510を含むエッジガード700は、パッド120のエッジと患者の皮膚320との間のバリアとして機能することができる。
【0068】
いくつかの例では、本明細書中に記載されるパッド120と任意のエッジガードは、単一の構成要素として一体形成され得ることに留意されたい。そのような実施形態は、エッジガードがパッド120に適切に固定され、パッド120のエッジと患者の皮膚との間に適切に配置されることを確実にするために有利な場合がある。しかしながら、別の例では、パッド120とエッジガードは、目標体温管理手順の開始時にエッジガードがパッド120のエッジと患者の皮膚との間に配置されるように別々に製造され得る。別々の製造は、エッジガードなしで製造されたが、そのようなエッジガードの利用が患者及び/又は臨床医によって望まれる場合に、パッド120へのエッジガードの後付けを可能にするために有利な場合がある。
【0069】
ここで図8A図8Bを参照すると、いくつかの実施形態による、TTMシステム100に含まれ得るフィルタ800が示されている。フィルタ800は、循環するTTM流体がフィルタ800を通って流れるように、TTMシステム100のTTM流体流路に沿って配置され得る。フィルタ800は、流体112の流量制限を生じさせることなく、0.2ミクロン以上のサイズを有する物質/粒子をTTM流体112から除去する(すなわち、ろ過する)ように構成され得る。
【0070】
フィルタ800は、第1の端部802から第2の端部803まで延びる流路801を有する長手方向の形状を含む。フィルタ800は、第1の端部802に隣接するディフューザ810と、第2の端部803に隣接するノズル820と、ディフューザ810とノズル820との間に延びる本体830とを含む。ディフューザ810に沿って、フィルタ800の断面流領域は、入口流領域811から本体流領域831まで拡大し、ノズル820に沿って、フィルタ800の断面流領域は、本体流領域831から出口流領域821まで縮小する。いくつかの実施形態では、入口流領域811と出口流領域821は、実質的に等しくてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、本体流領域831は、本体830に沿って一定であり得る。他の実施形態では、本体流領域831は、本体流領域831が、本体830の端部よりも本体830の中間部分に沿って大きくなる又は小さくなるように、本体830の長さに沿って変化し得る。いくつかの実施形態では、本体流領域831は、円形であり得る。
【0072】
フィルタ800は、本体830内に配置された、本体830の長さに沿って延びる内部管840を含む。内部管840は、第1の端部802にてフィルタ800に入る流体112が第1の内部管端部841にて内部管840にも入るように、第1の内部管端部841にてディフューザ810に結合され得る。内部管840は、第2の端部803にてフィルタ800を出る流体112が第2の内部管端部842にて内部管840も出るように、第2の内部管端部842にてノズル820に結合され得る。
【0073】
内部管840は、内部管840の長さに延びる内部管流領域845を含む。内部管流領域845は、入口流領域811及び/又は出口流領域821よりも大きくてもよい。内部管流領域845は、内部管840の長さに沿って一定であり得る。いくつかの実施形態では、内部管流領域845は、内部管840の長さに沿って変化し得る。いくつかの実施形態では、内部管840は、円形断面を含み得る。内部管840及び本体830は、本体流領域831が内部管流領域845と環状流領域836との組み合わせを含むように構成され得る。
【0074】
内部管840は、多孔質の周壁847を含む。多孔質壁847は、流体112が多孔質壁847を通って、すなわち、多孔質壁847の細孔848を通って流れ得るように構成され得る。その結果、流体112は、多孔質壁847を通って、内部管流領域845から環状流領域836に、及び環状流領域836から内部管流領域845に流れ得る。
【0075】
使用中、流体112の長手方向速度は、フィルタ800の長さに沿って変化し得る。フィルタを通る流体112の体積流量は一定であるため、流体112の長手方向速度は、以下に記載されるように、フィルタ800の流れ領域によって少なくとも部分的に定義され得る。流体112は、第1の長手方向速度851でフィルタ800に入り、ディフューザに沿って減少し得るため、流体112は、第1の長手方向速度851よりも低い第2の速度852で内部管に入る。この時点で、流体112の一部は、多孔質壁847を通って、内部管流領域845から環状流領域836に流れ、流体流を内部管流領域845内の第3の速度853と環状流領域836内の第4の速度854とに分割し得る。第4の速度854は、第3の速度853よりも低くてもよい。その後、流体112の一部は、環状流領域836から内部管流領域845に逆流し、内部管流領域845に沿って、第2の速度852にほぼ等しくてもよい第5の速度855を定義し得る。その後、流体112は、ノズル820に沿って進み、フィルタ800を出る第6の速度856を定義し得る。いくつかの実施形態では、第1の速度851と第6の速度856はほぼ等しくてもよい。
【0076】
フィルタ800は、沈降原理を使用して、有害な細菌及びウイルスを流体112から除去するように構成され得る。使用中、フィルタ800は、フィルタ800を通る流体流の方向が重力865に対して垂直になるように、水平に向けられ得る。場合によっては、細菌、ウイルス、及び流体112内の他の粒子は、流体112よりも高い密度を有することがあるため、流体の流れの方向に対して垂直な方向に重力865によって引き寄せられ得る(すなわち、沈む)。場合によっては、内部管流領域845内の粒子は、多孔質壁847に向けて、多孔質壁847を通って、環状流領域836内に沈み得る。その後、環状流領域836内の粒子は、本体830の内面831に向けて沈み、内面831の近傍に捕捉され得る。フィルタ800の幾何学的形状は、0.2マイクロメートルの細菌/ウイルス粒子がTTM流体112の流れから落下し、内面831に沿って捕捉されることを可能にするように構成され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、内部管流領域845から環状流領域836への流体112の流れが、多孔質壁847を通して粒子を引き出し得るように構成され得る。いくつかの実施形態では、入口流領域811、内部管流領域845、及び環状流領域836は、第3の速度853が、第1の速度851の約50パーセント、25パーセント、又は10パーセント以下よりも低くなるような大きさであり得る。いくつかの実施形態では、本体830及び内部管840は、第4の速度854が第3の速度853よりも低くなるように構成され得る。いくつかの実施形態では、第4の速度854は、第3の速度853の約50パーセント、25パーセント、又は10パーセント以下よりも低くなり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、内部管流領域845内の流れが層流であるように、すなわち、多孔質壁847の内面841に隣接又は近接する流体流の速度が内面841から離隔した場所の速度よりも低くなるように構成され得る。そのような実施形態では、粒子は、多孔質壁847に向けて、及び多孔質壁847を通ってより容易に沈み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、環状流れ領域836内の流体流が層流であるように、すなわち、本体830の内面831に隣接又は近接する流体流の速度が内面831から離隔した場所の速度よりも低くなるように構成され得る。そのような実施形態では、粒子は、内面831に向けてより容易に沈み、内面831に沿って捕捉され得る。
【0080】
フィルタ800は、内部管840と、内側本体シェル838と、外側本体シェル839とを含む3つの構成要素を含み得る。3つの構成要素の各々は、プラスチック射出成形プロセスによって形成され得る。フィルタ800の組み立てには、内側本体シェル838及び外側本体シェル839内に内部管840を捕捉することと、内側本体シェル838を外側本体シェル839内に摺動させることとが含まれ得る。内側本体シェル838と外側本体シェル839との間の嵌合は締まり嵌めである。
【0081】
いくつかの実施形態では、フィルタ800は、パッド120内に配置され得る。図8Cは、流体収容層350内に配置されたフィルタ800を含むパッド120の詳細断面図を示す。フィルタ800は、パッド120内を循環する流体112がフィルタ800を通過するように、流体収容層350内の内部流路860に沿って結合されている。フィルタ800は、入口流領域811及び出口流領域821が、流体収容層350内の内部流路860の断面流領域に類似するようにサイズ決めされてもよい。内部流路860は、流体収容層350内に配置される(例えば、流体送達ライン140に類似する)チューブで構成されてもよい。そのような実施形態では、内部流路860のチューブは、入口ポートで流体送達ライン140から流体112を受け取る。流体112は、内部流路860のチューブを通って流れ、フィルタ800を通過し、出口ポートに向かい、この時点で、流体112はパッド120を出て、第2の流体送達ライン140によって受け取られる。
【0082】
いくつかの実施形態では、流体収容層350の厚さは、フィルタ800の本体直径864に適応するために、フィルタ800の近傍で増大し得る。本体直径864に更に適応するために、絶縁層360及び/又は熱伝導層340は、それぞれ内部凹部862、863を含み得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタ800が、TTMシステム100の他の場所に、流体112の流れに沿って配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタ800は、TTMモジュール110内に配置され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のフィルタ800は、1つ以上の流体送達ライン140に沿って配置され得る。いくつかの実施形態では、フィルタ800は、パッドコネクタとパッド120との間に延びる導管などの、流体収容層350の外部にあるパッドの流体導管に沿って配置され得る。
【0084】
いくつかの特定の実施形態が本明細書において開示され、特定の実施形態はある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書において提供されているコンセプトの範囲を制限することは意図されていない。追加の改良及び/または修正は当業者にとって明らかであり得て、より広い態様では、これらの改良及び/または修正も同様に包含される。したがって、本明細書において提供されているコンセプトの範囲から逸脱せずに、本明細書において開示されている特定の実施形態から逸脱してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】