(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】非線形ニューラルネットワーク等化器を有するイーサネット(登録商標)物理層トランシーバ
(51)【国際特許分類】
H04B 3/23 20060101AFI20240126BHJP
H04L 25/03 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H04B3/23
H04L25/03 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544594
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022013656
(87)【国際公開番号】W WO2022159870
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520078248
【氏名又は名称】マーベル アジア ピーティーイー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナンガレ、ニティン
【テーマコード(参考)】
5K029
5K046
【Fターム(参考)】
5K029AA03
5K029GG05
5K029HH05
5K029LL01
5K046AA01
5K046BA05
5K046HH01
5K046HH56
5K046HH79
5K046HH80
(57)【要約】
ホストデバイスを有線チャネル媒体に接続するための物理層トランシーバは、ホストデバイスに結合するためのホストインタフェース、チャネル媒体に結合するためのラインインターフェイス、ホストインタフェース及びラインインターフェイスに動作可能に結合された送信経路、ラインインターフェイス及びホストインタフェースに動作可能に結合された受信経路、及び送信経路及び受信経路のうちの少なくとも1つの上で信号をフィルタリングするために送信経路及び受信経路のうちの少なくとも1つに動作可能に結合された適応フィルタ回路、適応フィルタ回路は非線形等化器を含む。非線形等化器は、多層パーセプトロン又は放射基底関数に基づいたニューラルネットワーク等化器であってもよく、又は、非線形活性化関数を用いた線形等化器であってもよい。非線形等化器はまた、入力の複雑さを減少させるべく、フロントエンドフィルタを有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストデバイスを有線チャネル媒体に接続するための物理層トランシーバであって、前記物理層トランシーバは:
前記ホストデバイスに結合するためのホストインタフェース;
前記有線チャネル媒体に結合するためのラインインターフェイス;
前記ホストインタフェース及び前記ラインインターフェイスに動作可能に結合された、ホストデータをエンコードしてエンコードされたホストデータを前記有線チャネル媒体に駆動するための回路を含む、送信経路;
前記ラインインターフェイス及び前記ホストインタフェースに動作可能に結合された、前記有線チャネル媒体から受信されたデータをデコードして前記デコードされたデータを前記ホストインタフェースに渡すための回路を含む、受信経路;及び
前記送信経路及び前記受信経路のうちの少なくとも1つの上で信号をフィルタリングするために前記送信経路及び前記受信経路のうちの前記少なくとも1つに動作可能に結合された適応フィルタ回路、前記適応フィルタ回路は非線形等化器を含む
を備える、物理層トランシーバ。
【請求項2】
前記適応フィルタ回路は、前記送信経路においてインラインで非線形等化器を含み、送信信号を等化するように構成された、請求項1に記載の物理層トランシーバ。
【請求項3】
前記適応フィルタ回路は、前記受信経路においてインラインで非線形等化器を含み、受信信号を等化するように構成された、請求項1又は2に記載の物理層トランシーバ。
【請求項4】
前記適応フィルタ回路は、前記送信経路及び前記受信経路の両方に結合された非線形エコーキャンセレーション回路を含み、前記送信経路及び前記受信経路の間においてエコーをキャンセルするように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載の物理層トランシーバ。
【請求項5】
前記適応フィルタ回路は、前記物理層トランシーバのアナログ領域において動作している非線形エコーキャンセレーション回路を含む、請求項4に記載の物理層トランシーバ。
【請求項6】
前記適応フィルタ回路は、前記物理層トランシーバのデジタル領域において動作している非線形エコーキャンセレーション回路を含む、請求項4又は5に記載の物理層トランシーバ。
【請求項7】
前記適応フィルタ回路は、前記送信経路及び前記受信経路の間において(a)近端クロストーク、及び(b)遠端クロストークのうちの少なくとも1つをキャンセルするために前記送信経路及び前記受信経路の両方に結合された非線形クロストークキャンセレーション回路を含む、請求項4から6のいずれか一項に記載の物理層トランシーバ。
【請求項8】
前記適応フィルタ回路の出力を既知のデータと比較し、後続の反復に対する前記出力におけるエラーを減少させるべくコスト関数に基づいて前記適応フィルタ回路を適応させるように構成された適応回路をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の物理層トランシーバ。
【請求項9】
前記適応回路は、それぞれのビット及び前記それぞれのビットに対応する対数尤度比の間の交差エントロピーに基づいて前記適応フィルタ回路を適応させるように構成された、請求項8に記載の物理層トランシーバ。
【請求項10】
前記非線形等化器は、ニューラルネットワーク等化器を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の物理層トランシーバ。
【請求項11】
前記ニューラルネットワーク等化器は、多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器を含む、請求項10に記載の物理層トランシーバ。
【請求項12】
前記ニューラルネットワーク等化器は、放射基底関数ニューラルネットワーク等化器を含む、請求項10又は11に記載の物理層トランシーバ。
【請求項13】
前記ニューラルネットワーク等化器は、第1の数の入力及び第2の数の出力を有するフロントエンドフィルタ、ここで前記第2の数は前記第1の数より小さい、及び、前記フロントエンドフィルタの前記出力を入力として有するニューラルネットワークフィルターを含む、低複雑ニューラルネットワーク等化器である、請求項10から12のいずれか一項に記載の物理層トランシーバ。
【請求項14】
前記低複雑ニューラルネットワーク等化器の前記フロントエンドフィルタは、前記第1の数の入力を前記第2の数の入力に減少させるべく、有限インパルス応答フィルタを含む、請求項13に記載の物理層トランシーバ。
【請求項15】
前記非線形等化器は、線形フィルタ及び非線形活性化関数を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の物理層トランシーバ。
【請求項16】
前記非線形活性化関数は、双曲線正接関数である、請求項15に記載の物理層トランシーバ。
【請求項17】
前記非線形活性化関数は、シグモイド関数である、請求項15に記載の物理層トランシーバ。
【請求項18】
ホストデバイスを有線チャネル媒体に接続するための物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法であって、前記方法は;
送信経路及び受信経路のうちの少なくとも1つの上で信号をフィルタリングするために前記送信経路及び前記受信経路のうちの前記少なくとも1つに対して非線形等化を実行する段階;及び
等化器出力及び前記有線チャネル媒体におけるデータ信号の間の交差エントロピーに基づいて非線形等化器を適応させる段階
を備える、物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項19】
前記送信経路及び前記受信経路のうちの少なくとも1つに対して非線形等化を実行する段階は、送信信号を等化するべく前記送信経路においてインラインで非線形等化を実行する段階を含む、請求項18に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項20】
前記送信経路及び前記受信経路のうちの少なくとも1つに対して非線形等化を実行する段階は、受信信号を等化するべく前記受信経路においてインラインで非線形等化を実行する段階を含む、請求項18又は19に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項21】
非線形等化を実行する段階は、前記送信経路及び前記受信経路の間において非線形エコーキャンセレーションを実行する段階を含む、請求項18から20のいずれか一項に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項22】
非線形等化を実行する段階は、前記送信経路及び前記受信経路の間において(a)近端クロストーク、及び(b)遠端クロストークのうちの少なくとも1つをキャンセルするための非線形クロストークキャンセレーションを実行する段階を含む、請求項18から21のいずれか一項に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項23】
非線形等化を実行する段階は、非線形活性化関数を適用する段階、及び線形フィルタリングを実行する段階を含む、請求項18から22のいずれか一項に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項24】
非線形活性化関数を適用する段階は、双曲線正接関数を適用する段階を含む、請求項23に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項25】
非線形活性化関数を適用する段階は、シグモイド関数を適用する段階を含む、請求項23に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項26】
前記非線形等化の入力数を減少させることによって複雑さを減少させるべく、前記非線形等化を実行する段階の前に等化入力の初期フィルタリングを適用する段階をさらに備える、請求項18から25のいずれか一項に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【請求項27】
初期フィルタリングを適用する段階は、有限インパルス応答フィルタリングを適用する段階を含む、請求項26に記載の物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2021年1月25日に出願された同一出願人による同時係属の米国仮特許出願第63/141,460号の利益を主張しており、当該出願はその全体が本明細書において参照によってここに組み込まれる。
【0002】
[使用分野]
本開示は、物理層トランシーバにおける非線形等化器の使用に関する。より具体的に、本開示は、イーサネット(登録商標)物理層トランシーバなどの物理層トランシーバの送信及び受信経路における、並びに、キャンセレーションエコー、近端クロストーク及び遠端クロストークにも使用される、非線形ニューラルネットワーク等化器の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書において提供される背景説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的とする。本明細書の発明者の研究は、その研究がこの背景セクションに記載されている限り、出願時に先行技術として認められ得ない説明の態様と同様に、本開示の主題に対する先行技術であると明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
多くの集積回路デバイス、特に「システムオンチップ」(SoC)は、様々なデバイスコンポーネント(例えば、SoCにおける個々のシリコンダイス)間に高速シリアルリンクを含む。「SERDES」(シリアライザ/デシリアライザ)として一般的に知られているそのタイプの典型的な高速シリアルリンクは、例えば挿入損失、符号間干渉(ISI)などの結果として、信号経路における著しい非線形性又はチャネル障害、及び、光学系における散乱損失などの非線形性、又は銅(すなわち、配線)システムにおけるクロストーク、ジッタを被り得る。そのようなチャネル障害の軽減を試みるために、そのようなリンクのレシーバ端において様々な形態の線形等化が典型的に使用されている。しかしながら、線形等化は、特にデータ信号において区別されるべき信号レベル(例えば、電圧レベル)が互いに近く、信号対雑音比(SNR)が低いときに、そのような非線形性を補償するには十分でない場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の主題の実装によると、ホストデバイスを有線チャネル媒体に接続するための物理層トランシーバは、前記ホストデバイスに結合するためのホストインタフェース、前記有線チャネル媒体に結合するためのラインインターフェイス、前記ホストインタフェース及び前記ラインインターフェイスに動作可能に結合された、ホストデータをエンコードしてエンコードされたホストデータを前記有線チャネル媒体に駆動するための回路を含む、送信経路、前記ラインインターフェイス及び前記ホストインタフェースに動作可能に結合された、前記有線チャネル媒体から受信されたデータをデコードして前記デコードされたデータを前記ホストインタフェースに渡すための回路を含む、受信経路、及び、前記送信経路及び前記受信経路のうちの少なくとも1つの上で信号をフィルタリングするために前記送信経路及び前記受信経路のうちの前記少なくとも1つに動作可能に結合された適応フィルタ回路、前記適応フィルタ回路は非線形等化器を含む。
【0006】
そのような物理層トランシーバの第1の実装において、前記適応フィルタ回路は、前記送信経路においてインラインで非線形等化器を含み、送信信号を等化するように構成され得る。
【0007】
そのような物理層トランシーバの第2の実装において、前記適応フィルタ回路は、前記受信経路においてインラインで非線形等化器を含み、受信信号を等化するように構成され得る。
【0008】
本開示の主題の第3の実装において、前記適応フィルタ回路は、前記送信経路及び前記受信経路の両方に結合された非線形エコーキャンセレーション回路を含み、送信経路及び受信経路の間においてエコーをキャンセルするように構成され得る。
【0009】
その第3の実装の第1の態様によると、前記適応フィルタ回路は、前記物理層トランシーバのアナログ領域において動作している非線形エコーキャンセレーション回路を含み得る。
【0010】
その第3の実装の第2の態様によると、前記適応フィルタ回路は、前記物理層トランシーバのデジタル領域において動作している非線形エコーキャンセレーション回路を含み得る。
【0011】
その第3の実装の第4の態様によると、前記適応フィルタ回路は、前記送信経路及び前記受信経路の間において(a)近端クロストーク、及び(b)遠端クロストークのうちの少なくとも1つをキャンセルするために前記送信経路及び前記受信経路の両方に結合された非線形クロストークキャンセレーション回路を含み得る。
【0012】
そのような物理層トランシーバの第4の実装はさらに、前記適応フィルタ回路の出力を既知のデータと比較し、後続の反復に対する前記出力におけるエラーを減少させるべくコスト関数に基づいて前記適応フィルタ回路を適応させるように構成された適応回路を含み得る。
【0013】
そのような物理層トランシーバの第5の実装において、前記適応回路は、それぞれのビット及び前記それぞれのビットに対応する対数尤度比の間の交差エントロピーに基づいて前記適応フィルタ回路を適応させるように構成され得る。
【0014】
そのような物理層トランシーバの第6の実装において、前記非線形等化器は、ニューラルネットワーク等化器を含み得る。
【0015】
その第6の実装の第1の態様によると、前記ニューラルネットワーク等化器は、多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器を含み得る。
【0016】
その第6の実装の第2の態様によると、前記ニューラルネットワーク等化器は、放射基底関数ニューラルネットワーク等化器を含み得る。
【0017】
その第6の実装の第3の態様によると、前記ニューラルネットワーク等化器は、第1の数の入力及び第2の数の出力を有するフロントエンドフィルタ、ここで前記第2の数は前記第1の数より小さい、及び、前記フロントエンドフィルタの前記出力を入力として有するニューラルネットワークフィルターを含む、低複雑ニューラルネットワーク等化器であり得る。
【0018】
第6の実装のその第3の態様の第1のインスタンスにおいて、前記低複雑ニューラルネットワーク等化器の前記フロントエンドフィルタは、前記第1の数の入力を前記第2の数の入力に減少させるべく、有限インパルス応答フィルタを含み得る。
【0019】
そのような物理層トランシーバの第7の実装において、前記非線形等化器は、線形フィルタ及び非線形活性化関数を含み得る。
【0020】
その第7の実装の第1の態様によると、前記非線形活性化関数は、双曲線正接関数であり得る。
【0021】
その第7の実装の第1の態様によると、前記非線形活性化関数は、シグモイド関数であり得る。
【0022】
本開示の主題の実装によると、ホストデバイスを有線チャネル媒体に接続するための物理層トランシーバにおいて干渉をフィルタリングする方法は、送信経路及び受信経路のうちの少なくとも1つの上で信号をフィルタリングするために前記送信経路及び前記受信経路のうちの前記少なくとも1つに対して非線形等化を実行する段階、及び等化器出力及び前記有線チャネル媒体におけるデータ信号の間の交差エントロピーに基づいて前記非線形等化器を適応させる段階を含む。
【0023】
そのような方法の第1の実装において、前記送信経路及び前記受信経路のうちの少なくとも1つに対して非線形等化を実行する段階は、送信信号を等化するべく前記送信経路においてインラインで非線形等化を実行する段階を含み得る。
【0024】
そのような方法の第2の実装において、前記送信経路及び前記受信経路のうちの少なくとも1つに対して非線形等化を実行する段階は、受信信号を等化するべく前記受信経路においてインラインで非線形等化を実行する段階を含み得る。
【0025】
そのような方法の第3の実装において、非線形等化を実行する段階は、前記送信経路及び前記受信経路の間において非線形エコーキャンセレーションを実行する段階を含み得る。
【0026】
そのような方法の第4の実装において、非線形等化を実行する段階は、前記送信経路及び前記受信経路の間において(a)近端クロストーク、及び(b)遠端クロストークのうちの少なくとも1つをキャンセルするための非線形クロストークキャンセレーションを実行する段階を含み得る。
【0027】
そのような方法の第5の実装において、非線形等化を実行する段階は、非線形活性化関数を適用する段階、及び線形フィルタリングを実行する段階を含み得る。
【0028】
その第5の実装の第1の態様によると、非線形活性化関数を適用する段階は、双曲線正接関数を適用する段階を含み得る。
【0029】
その第5の実装の第2の態様によると、非線形活性化関数を適用する段階は、シグモイド関数を適用する段階を含み得る。
【0030】
そのような方法の第6の実装はさらに、前記非線形等化の入力数を減少させることによって複雑さを減少させるべく、前記非線形等化を実行する段階の前に等化入力の初期フィルタリングを適用する段階を含み得る。
【0031】
その第6の実装の第1の態様によると、初期フィルタリングを適用する段階は、有限インパルス応答フィルタリングを適用する段階を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本開示のさらなる特徴、その性質、及び様々な利点は、同様の参照符号が全体を通して同様の部分を指す、添付図面と併せて解釈される以下の詳細な説明を考慮すると明らかになるであろう。
【0033】
【
図1】本開示の主題の実装を組み込み得る物理層トランシーバの表現である。
【0034】
【
図2】本開示の主題を組み込んだ物理層トランシーバの特定の実装の表現である。
【0035】
【
図3】本開示の主題の実装によって解決される問題を示す、デカルト座標空間における排他的OR関数のプロットである。
【0036】
【
図4】本開示の主題の実装に基づく解決手段を示す、
図2の排他的OR関数の異なる座標空間への変換のプロットである。
【0037】
【
図5】本開示の主題に従って使用され得る非線形等化器の第1の実装の図である。
【0038】
【
図6】本開示の主題を組み込んだ非線形等化器の第2の実装の図である。
【0039】
【
図7】本開示の主題を組み込んだ非線形等化器の第3の実装の図である。
【0040】
【
図8】本開示の主題を組み込んだ非線形等化器の第4の実装の図である。
【0041】
【
図9】本開示の主題を組み込んだ非線形等化器の第5の実装の図である。
【0042】
【
図10】本開示の主題を組み込んだ非線形等化器の第6の実装の図である。
【0043】
【
図11】本開示の主題に従った低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターのクラスの一般的な実装を示す。
【0044】
【
図12】
図11において一般的に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターのクラスにおける非線形等化器の第1の実装の図である。
【0045】
【
図13】
図11において一般的に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターのクラスにおける非線形等化器の第2の実装の図である。
【0046】
【
図14】
図11において一般的に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターのクラスにおける非線形等化器の第3の実装の図である。
【0047】
【
図15】
図14に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターの実装の代替的な表現の図である。
【0048】
【
図16】
図11において一般的に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターのクラスにおける非線形等化器の第4の実装の図である。
【0049】
【
図17】
図11において一般的に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターのクラスにおける非線形等化器の第5の実装の図である。
【0050】
【
図18】
図17の低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターを使用して等化され得る非線形関数のグラフィック図である。
【0051】
【
図19】
図11において一般的に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターのクラスにおける非線形等化器の第6の実装の図である。
【0052】
【
図20】本開示の主題の実装に係る方法を示すフロー図である。
【0053】
【発明を実施するための形態】
【0054】
上記のように、集積回路デバイスは、様々なデバイスコンポーネント間に高速SERDESリンクを含み得る。典型的なSERDESリンクは、例えば挿入損失、符号間干渉(ISI)などの結果として、信号経路における著しい非線形性又はチャネル障害、及び、光学系における散乱損失などの非線形性、又は銅(すなわち、有線)システムにおけるクロストーク、ジッタを被り得る。そのようなチャネル障害への対処を試みるために、そのようなリンクのレシーバ端において様々な形態の線形等化が典型的に使用されている。
【0055】
しかしながら、特にイーサネット物理層トランシーバ(PHY)において、線形等化はそのような非線形性を補償するには十分でない場合があり、これは、データ信号において区別されるべき信号レベル(例えば、電圧レベル)が互いに近接し得るからである。例えば、2つのレベルを使用して「0」及び「1」を表す典型的な非ゼロ復帰(NRZ)シグナリングとは対照的に、SoCデバイスにおけるSERDESは、4つの電圧レベルを有するが最大電圧スイングがNRZシグナリングと同じである4レベルパルス振幅変調(PAM4)シグナリングを使用して4つの可能な2ビット符号(「00」、「01」、「10」、「11」)を表し得る。さらに、イーサネットシグナリングは、8レベルパルス振幅変調(PAM8)又は16レベルパルス振幅変調(PAM16)又はそれより高いレベルのパルス振幅変調などのさらに高い変調を使用し得る。したがって、2つの信号レベル間を分割する電圧範囲内の1つの閾値ではなく、16個(又はそれより多く)もの信号レベル間を分割する電圧範囲内の15個(又はそれより多く)の閾値が存在し得る。線形等化は、閾値が互いに近接しており信号対雑音比が低いときに、レベル間の閾値付近の受信サンプルを正しい送信ビット又は符号に正確に割り当てるには十分でない場合がある。
【0056】
さらに、イーサネットタイプシグナリングでは、様々な形態の異なる干渉、特にエコー、近端クロストーク及び遠端クロストークに寄与するチャネル上の多くの信号源が存在し得る。
【0057】
本開示の主題の実装によると、非線形等化は、PHYチャネルにおける非線形性を補償すること、並びに、エコーをキャンセルすること、近端クロストークをキャンセルすること、及び遠端クロストークをキャンセルすることに使用されており、それによって、ビット誤り率(BER)を減少させる。異なる実装では、異なるタイプの非線形等化器が使用され得る。
【0058】
概念的に、線形等化器は、二次元(例えば、(x,y))空間にプロットされたサンプルのグループ間に実質的に直線を描くことによって、1つレベル又は別のレベルへの割り当てのためのサンプルの分離を実行する。直線性が不十分なチャネルにおいて、又はレベルが互いに近すぎる場合には、そのようなプロット上で異なるレベルからのサンプル間に描かれ得る直線がない場合がある。非線形等化器は、異なるレベルからのサンプルが直線又は他の滑らかな曲線によって分離され得る異なる非線形(例えば、放射状又は極性)の空間にサンプルを効果的に再マッピングする。
【0059】
本開示の主題の実装による非線形等化器は、多少複雑であり得る。例えば、非線形等化器は、より多い又はより少ない変数又はタップを有し得、複雑性は変数の数に比例する。加えて、ビットレベルで動作する、すなわち、符号全体に対してではなく各符号のビット(例えば、PAM4シグナリングでは2ビット/符号)に対して別個に動作する非線形等化器は、符号レベルで動作する非線形等化器よりも複雑性がより小さい場合がある。いずれにせよ、他の全ての検討事項が同等である場合、より大きい複雑性はより良い性能をもたらす。しかしながら、より大きい複雑性はまた、より大きいデバイス面積及び/又は電力消費を必要とし得る。
【0060】
本開示の主題に従って使用され得る非線形等化器のタイプは、以下でより詳細に記載されている通り、多層パーセプトロンニューラルネットワーク(MLPNN)等化器、及び低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク(RC-MLPNN)等化器、並びに、放射基底関数ニューラルネットワーク(RBFNN)等化器、及び低複雑放射基底関数ニューラルネットワーク(RC-RBFNN)等化器を含み得る。
【0061】
非線形等化器の性能は、等化器の適応のために使用されるコスト関数によって影響を受け得る。例えば、本開示の主題の実装によれば、非線形等化器は、最小平均二乗誤差(MMSE又はMSE)コスト関数又は交差エントロピー(CE)ベースのコスト関数のいずれかを含む、適応のための様々な異なるコスト関数のうちの1つを使用し得る。CEベースのコスト関数はMMSEコスト関数よりも良好な結果をもたらし得るが、CEベースのコスト関数はMMSEコスト関数よりも複雑である。
【0062】
したがって、本開示の主題の実装によると、どの非線形等化器の形態を使用するか、及びどのコスト関数を使用するかの選択は、複雑さ(したがって、費用)対性能のトレードオフであり得る。
【0063】
本開示の主題は、
図1から
図21を参照することによってより良く理解され得る。
【0064】
図1は、本開示の主題の実装を組み込み得る物理層トランシーバ100の構造を、イーサネットネットワークチャネルなどの通信チャネルの文脈で示している。物理層トランシーバ100は、ホストデバイス170及び有線チャネル媒体(例えば、ケーブル)180の間を流れるデータのためのトランスミッタ経路/チャネル101、及びレシーバ経路/チャネル102を含み得る。ホストインタフェース171は、トランスミッタ経路/チャネル101及びレシーバ経路/チャネル102をホストデバイス170に結合し、一方で、媒体依存インタフェース(MDI)181は、トランスミッタ経路/チャネル101及びレシーバ経路/チャネル102をチャネル媒体180に結合する。
【0065】
図2は、本開示の主題に係る物理層トランシーバ100の特定の実装190の詳細を示す。トランシーバ190のトランスミッタ経路/チャネル101において、エンコーダ140、例えば、前方誤り訂正(FEC)エンコーダは、送信されることを希望された送信データビット146をエンコードするために使用され得、続いて、パルス整形回路141が、送信波形の時間領域特性を操作し、その結果、信号タイミング情報は受信機側において容易に抽出され得る。送信等化器142は、望ましくないコンポーネントを除去するか、又は、隣接符号に拡散する信号コンポーネントを送信前に再取り込みするために提供され得る。等化された出力は、送信デジタル-アナログコンバータ143による送信のためにデジタルからアナログに変換され、次に、ハイブリッド結合器及び変圧器145(MDI181として機能する)を介して送信ドライバー144によってチャネル媒体103上に駆動される。
【0066】
トランシーバ190のレシーバ経路/チャネル102において、データは、ハイブリッド結合器及び変圧器145においてチャネル媒体180から受信され、受信機102のアナログフロントエンド151に、次にアナログ-デジタルコンバータ(ADC)152に送信され得る。等化器153は、干渉を除去するべく、1又は複数の等化器を含み得る。等化器ブロック153の出力は、スライサ154においてスライスされ、受信されたデータビット156を出力するデコーダ155、例えば、前方誤り訂正(FEC)デコーダに提供される。
【0067】
アナログエコーキャンセラ161は、112において送信経路101、及び受信経路102のアナログ領域の間において提供され得る。デジタルエコーキャンセラ162は、122において送信経路101、及び受信経路102のデジタル領域の間において提供され得る。近端クロストーク、遠端クロストーク又はその両方をフィルタリングし得るクロストークキャンセラ163は、122において送信経路101、及び受信経路102のデジタル領域の間においても提供され得る。
【0068】
本開示の主題の実装によると、送信等化器142、受信機等化器153、アナログエコーキャンセラ161、デジタルエコーキャンセラ162、及びクロストークキャンセラ163のうち任意の1又は複数は、非線形フィルタ、特に非線形ニューラルネットワークフィルターに基づき得る。適切な非線形ニューラルネットワークフィルターは、2021年2月2日に出願された同一出願人による同時係属の米国特許出願第17/248,658号、及び、本明細書で同時に出願された同一出願人による同時係属の米国特許出願第17/648,831号に記載されており、それらの出願はここにその全体がそれぞれ参照により本明細書において組み込まれる。
【0069】
適応関数164は、等化器153によって出力された対数尤度比165を、出力データビット156と比較するか、又は、トレーニングモード中に、トレーニングビット166と比較することで、様々な非線形等化器142、153、161、162、163を適応させ得る。
【0070】
チャネルに対して等化を実装する目的は、上で言及した様々な干渉源に対して修正を行い、それにより、閾値の誤った側にあるサンプルを閾値の正しい側に実質的に移動させることである。線形等化は、二次元(x,y)空間においてサンプルのプロットを効果的にとり、閾値がどこにあるはずなのかを示すべく、サンプル間に直線を描く。しかしながら、非線形性を有するチャネルにおいて、その二次元プロット上に描くことができる、サンプルを正確に分ける直線が存在しない場合がある。そのような場合、非線形等化が使用され得る。非線形等化は、サンプルを正確に分離する直線が存在する異なる空間(例えば、異なるスケール又は座標システムを有する)にサンプルを効果的に再マッピングし得る。
【0071】
代替的に、非線形等化関数は、サンプルを、サンプルを正確に分ける直線以外の何らかの滑らかな曲線が存在する空間に再マッピングし得る。例えば、非線形等化関数は、サンプルを、円又は楕円によって分けられ得る円状又は環状バンドにサンプルがグループ化されている極座標又は放射状空間に再マッピングし得る。
【0072】
非線形チャネルにおける、線形等化に対する非線形等化の利点は、
図3及び4に示されるような簡略化された例示において見ることができ、ここで、等化されるべき信号は、排他的OR(XOR又は
【数1】
)関数により特徴づけられている。
図3は、(x
1,x
2)空間における
【数2】
のプロットであり、ここで、開いたドット201、202はy=0を表し、斜線のドット203、204はy=1を表している。開いたドットを斜線のドットから分けるために描かれ得る直線がないことは明らかである。
【0073】
しかしながら、放射基底関数
【数3】
を使用して、以下のように、線形デカルト(x
1,x
2)空間から非線形放射状
【数4】
空間へとXOR関数を変換することができる。
【表1】
これは
図4に図式化されている。ここで見ることができるように、非線形放射状
【数5】
空間にマッピングされると、XOR関数300の値301、302、303(ここで見ることができるように、(x
1,x
2)空間における2つのy=1の点201、202はいずれも、
【数6】
空間において同じ点301にマッピングされる)は直線304によって分けられ得る。
【0074】
以下で論じられるように、様々なタイプの非線形等化器が利用可能である。どのタイプの非線形等化器が使用されるかは、チャネル状態の変化に対応するために適応可能であり得る。コスト関数の様々な形態は、後続の反復におけるエラーを減少すべく、適応するために使用され得る。
【0075】
使用され得る1つのタイプの適応関数は、最小平均二乗誤差(MMSE)であり、ここで、平均二乗誤差(MSE)は、等化された信号(Y)及び理想的な信号
【数7】
の間の差の標準の二乗として定義される。等化器は、最初に、理想的な信号の値が利用可能となるトレーニングモードにおいて適応され得る。後で、ランタイム動作中に、等化されたチャネルの検出された出力値は、適応のために使用されるために理想的な値に十分に近くなるはずである。
【0076】
使用され得る別のタイプの適応関数は、トレーニングビット及びその対数尤度比(LLR)の間の交差エントロピー(CE)である。特に、コスト関数回路は、検出されたビット値の確率分布(LLR信号の関数)及びトレーニングビット値の確率分布の間の差を示す交差エントロピー値を計算するように構成され得る。コスト関数回路は次に、等化器パラメータ(例えば、等化器のフィルタタップの1又は複数の係数)を、計算された交差エントロピー値及び1又は複数の以前に計算された交差エントロピー値の中から最小交差エントロピー値に対応する値にセットすることによって等化器を適応して、チャネルのビット誤り率を下げる。MSE等化の場合と同様に、等化器は、最初に、理想的な信号の値が利用可能となるトレーニングモードにおいて適応され得る。後で、ランタイム動作中に、等化されたチャネルの検出された出力値は、適応のために使用されるために理想的な値に十分に近くなるはずである。具体的には、等化器の後に任意の前方誤り訂正コード(FEC)デコーダ(例えば、リードソロモン(RS)デコーダ又は低密度パリティ検査(LDPC)デコーダ)が利用可能である場合、FECデコーダの出力からの首尾良くデコードされたフレームが適応のために使用され得る。
【0077】
LLRは、ビットが「0」である確率(P
0)及びビットが「1」である確率(P
1)の間の関係として定義され得る。
【数8】
トレーニングビット及びそのLLRの間の交差エントロピーは以下のように計算され得る。
【0078】
【数9】
真のビットが論理「0」であるが、LLRによって表される検出されたビットの確率がP
0=0を示す場合、又は真のビットが論理「1」であるが、LLRによって表される検出されたビットの確率がP
1=0を示す場合、真の値は、予期された値の正反対であり、これは、コスト(クロスエントロピー)が無限に近づくことを意味する。他方で、LLRによって示される検出されたビット値の確率が真のビット値と一致する場合、交差エントロピーはゼロに等しい。ほとんどの場合において両方の確率P
0及びP
1が0より高くかつ1より低い限り、交差エントロピーは有限の非ゼロ値となる。そうして、このコスト関数は適応のために使用されることができ、交差エントロピーを最小化する目的で、検出されるビットの品質を反映する。
【0079】
LLRに関する交差エントロピーの勾配は、交差エントロピーの等式においてP
0及びP
1について代入することによって計算され得る。
【数10】
【0080】
LLRは、交差エントロピー(すなわち、
【数11】
)を以下のように最小化するように適応され得る。
【数12】
【0081】
負のLLRは、ビット=0がビット=1より高い確率を有することを意味し、一方で、正のLLRは、ビット=1がビット=0より高い確率を有することを意味する。これらの等式において、P0及びP1は確率であり、したがって、正の値であり、αは適応帯域幅であり、これも正である。したがって、真のビット=0である場合、交差エントロピーを使用する適応は負のLLRをより負にさせることになり、真のビット=1である場合、交差エントロピーを使用する適応は正のLLRをより正にさせることになる。したがって、交差エントロピーベースの適応は、LLRの規模を最大化し、そのため最大尤度適応であり、これはBERを低減させる。そうして、交差エントロピーを最小化するための等化器の適応はまた、BERを最小化させる。
【0082】
パラメータXが出力Yの値に影響を及ぼし、これがLLRに影響を及ぼし、そこから交差エントロピーが計算され得るように、パラメータX→Y→LLR→CEからの一般的な計算グラフがあると想定した場合、交差エントロピー勾配は、他のパラメータに関して表され得る:
【数13】
したがって、交差エントロピーを最小化するために任意のパラメータが適応され得る。
【0083】
本開示の主題に従って使用され得る非線形フィルタの1つの適切な実装は、
図5において見られる非線形等化器401である。非線形等化器401は、431において遅延され且つ多層パーセプトロンニューラルネットワーク402において組み合わされた入力デジタル化サンプル421から等化された信号(Y)411を提供する多層パーセプトロンニューラルネットワーク402である。
【0084】
図5に見られるように、多層パーセプトロンニューラルネットワーク441は、隠れノード451の少なくとも1つの隠れ層450を含む。この図面では1つの隠れ層450のみが示されているが、本開示の主題の実装による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器は複数の隠れ層(図示せず)を有し得る。同様に、
図5は隠れ層450において4つの隠れノード451を示している一方、本開示の主題の実装による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器における各隠れ層は、パラメータ(フィルタタップ係数)の数を反映して、より多い又はより少ない隠れノード451を有し得る。
【0085】
各隠れノード451は、遅延サンプル421(図面における混雑を回避するために、遅延431のうち1つのみがノード451に結合されているものとして示されている;しかしながら、各遅延431がノード451に結合されている)を、パラメータ(フィルタタップ係数;図示せず)で乗算し、その後、フィルタタップを合計する(Σ)。各隠れノード451はその後、その計算された合計に対して非線形活性化関数(例えば、双曲線正接活性化関数
【数14】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)を適用して、ノード出力を生成し、これはその後、次の層などに渡される。最終層452は非線形活性化関数を含まないが、単にその入力を合計する。
【0086】
隠れノード451は、フィードフォワード遅延431からだけでなく、スライサ402のフィードバックされた以前の符号決定412のサンプル460を表すフィードバック遅延461からも入力を受信し得、これは、符号間干渉を緩和することにおいて役立ち得る。
【0087】
非線形等化器401の前述のパラメータは、出力Yに基づいて適応される。非線形等化器401のパラメータを適応させる1つの手法は、トレーニング符号469から導出された理想的なサンプル
【数15】
に対するエラー(e)を472において計算することである。473における平均二乗誤差の最小化は次に、471に示されたようにノード451においてフィルタタップ係数を適応させるべく、コスト関数として使用され得る。
【0088】
多層パーセプトロンニューラルネットワーク401の代わりに、本開示の主題に係る実装500(
図6)は、入力デジタル化サンプル521上で動作されている低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク501を含み得る。低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク501は2つのフィードフォワードフィルタ542、543を含み、これらは、例えば有限インパルス応答(FIR)フィルタであり得る。スライサ502は、決定フィードバック等化器(DFE)544を介してフィードバックされ且つ第2のフィードフォワード(例えば、FIR)フィルタ543の出力と組み合わされた出力決定Y512を提供することで、以前の符号から符号間干渉を緩和する。低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク501は、非線形活性化関数545(他の非線形活性化関数が使用され得るが、例えば、双曲線正接活性化関数、
【数16】
)が適用された追加のフィードフォワードフィルタ542の出力をその入力として有する線形等化器560(FIRフィルタ543及び決定フィードバック等化器544を含む)に類似する。
【0089】
非線形等化器401の場合と同様に、非線形等化器501のパラメータは、出力Yに基づいて適応される。非線形等化器501のパラメータを適応させる1つの手法は、トレーニング符号569から導出された理想的なサンプル
【数17】
に対するエラー(e)を計算することである。573における平均二乗誤差の最小化は、その後、571に示されるようなFIRフィルタ542、543のフィルタタップ係数に適応されために、コスト関数として使用され得る。
【0090】
しかしながら、上記のように、交差エントロピーは、BERを最小化するために非線形等化器のパラメータを適応させるためのより効果的なコスト関数として機能し得る。
【0091】
図7は、本開示の主題に係る非線形等化器の実装600を示す。非線形等化器601は、631において遅延され且つ多層パーセプトロンニューラルネットワーク641において組み合わされた入力デジタル化サンプル621から4つの個別の等化された信号(Y
ij;i=0,1;j=0,1)611を提供する多層パーセプトロンニューラルネットワーク641である。回路602に実装されるソフトマックス関数:
【数18】
は、出力決定(sym)612を提供し、当該出力決定(sym)612は、多層パーセプトロンニューラルネットワーク641に(PAM4などの4レベルシグナリングシステムの場合において、648で電圧に変換された後、例えば、「00」の場合は-1、「01」の場合は-1/3、「10」の場合は+1/3、及び「11」の場合は+1)フィードバックされ、以前の符号からの符号間干渉、及び出力対数尤度比(LLR
sym)622を緩和する。
【0092】
図5の場合のように、多層パーセプトロンニューラルネットワーク641は、隠れノード651の少なくとも1つの隠れ層650を含む。この図面では1つの隠れ層650のみが示されているが、本開示の主題の実装による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器は複数の隠れ層(図示せず)を有し得る。同様に、
図7は隠れ層650において4つの隠れノード651を示している一方、本開示の主題の実装による多層パーセプトロンニューラルネットワーク等化器における各隠れ層は、パラメータ(フィルタタップ係数)の数を反映して、より多い又はより少ない隠れノード651を有し得る。
【0093】
各隠れノード651は、遅延サンプル(図面における混雑を回避するために、遅延631のうち1つのみがノード651に結合されているものとして示されている;しかしながら、各遅延631がノード651に結合されている)を、パラメータ(フィルタタップ係数;図示せず)で乗算し、その後、フィルタタップを合計する(Σ)。各隠れノード651はその後、その計算された合計に対して非線形活性化関数(例えば、双曲線正接活性化関数
【数19】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)を適用して、ノード出力を生成し、これはその後、次の層などに渡される。最終層652は非線形活性化関数を有しないが、単に、4つの符号の各々に対して別個にその入力を合計する。
【0094】
隠れノード651は、符号間干渉を軽減するために、フィードフォワード遅延631からのみではなく、フィードバックされた以前の符号決定660のサンプルを表すフィードバック遅延661からも入力を受け取る。
【0095】
等化器601はLLRの形態のソフト出力を提供するため、出力は、低密度パリティ検査(LDPC)デコーダ又はリードソロモンデコーダなどの前方誤り訂正(FEC)デコーダであり得るさらなる外部デコーダ(図示せず)と共に使用され得る。
【0096】
非線形等化器601の前述のパラメータは、トレーニングビット671をグループ化することによって取得されるトレーニング符号(
【数20】
)、及び出力対数尤度比(LLR
sym)622の間で、交差エントロピー適応回路670を使用して交差エントロピーを最小化するために適応され得る。交差エントロピー適応回路670は、680において非線形等化器601のパラメータを調整して、トレーニング符号(
【数21】
)、及び、LLR
sym622により表される検出された符号の確率の間の交差エントロピーを最小化することができる。ランタイムの間、首尾良くデコードされたフレームのみからの、外部デコーダ(例えば、前方誤り訂正又はFECデコーダ;図示せず)の出力ビット690が、トレーニングビット671の代わりに使用され得る。
【0097】
図8は、本開示の主題に係る実装700を示しており、実装700は、決定フィードバック等化器742と結合された低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク741、並びに、入力デジタル化サンプル721から導出された等化された信号(Y)711を入力して、符号決定(sym)744及びその符号決定の対数尤度比(LLR
sym)745をターゲット符号値
【数22】
【数23】
【数24】
【数25】
に基づいて出力する、対数尤度比回路743を含む。
【0098】
低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク741は、2つのフィードフォワードフィルタ746、747を含み、これらは例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタであり得る。非線形活性化関数748(例えば、双曲線正接活性化関数
【数26】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)は、フィードフォワードフィルタ746の出力に適用され、これはその後、フィードフォワードフィルタ747に入力される。符号決定744は749において、決定フィードバック等化器742への入力のために電圧に変換され、その出力は750において、以前の符号からの符号間干渉を軽減するためにフィードフォワードフィルタ747の出力と組み合わされて、等化された信号(Y)711が得られる。
【0099】
フィードフォワードフィルタ746、747のパラメータは、出力対数尤度比(LLR
sym)745、及びトレーニングビットであり得る、又はランタイム中はさらなる外部デコーダ(図示せず)の出力であり得る真のビットから取得された「真の」符号の間の交差エントロピーを最小化するために適応され得る。交差エントロピー適応回路760は、入力として、出力対数尤度比(LLR
sym)745を有する。トレーニングモードにおいて、交差エントロピー適応回路760はまた、入力として既知のトレーニングビット761をし、これは、その後、真の符号を取得するためにグループ化される「真の」ビットとして機能する。交差エントロピー適応回路760は770において、トレーニングビット(
【数27】
)をグループ化することによって取得されたトレーニング符号、及び、出力対数尤度比(LLR
sym)745により表される検出された符号の確率の間の交差エントロピーを最小化することによって、フィードフォワードフィルタ746、747のパラメータを調整することができる。ランタイムにおいて、首尾良くデコードされたフレームのみからの、外部デコーダ(例えば、FECデコーダ;図示せず)の出力ビット790が、トレーニングビット761の代わりに使用され得る。
【0100】
ニューラルネットワーク等化器は、PAM4符号における2ビットなどのマルチビット符号のビットの相関を失わせることが可能であるので、本開示の主題に係るさらなる実装800が提供され得る(
図9)。実装800は、831において遅延されたサンプル(図面における混雑を回避するために、遅延831のうち1つのみがノード851に結合されているものとして示されている;しかしながら、各遅延831がノード851に結合されている)を、パラメータ(フィルタタップ係数;図示せず)で乗算し、その後、フィルタタップが合計される(Σ)隠れノード851の少なくとも1つの隠れ層850を含むという点でMLPNN等化器541と同様であるMLPNN等化器841を含む。各隠れノード851はその後、その計算された合計に対して非線形活性化関数(例えば、双曲線正接活性化関数
【数28】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)を適用して、ノード出力を生成し、これはその後、次の層などに渡される。
【0101】
MLPNN841は、最終層852が2つのノード853、854を含むという点でMLPNN541とは異なり、入力は、MLPNN541の層552のように単に合計されるのではなく、合計した後にノード851の非線形活性化関数とは異なる、各符号の2つのビットの相関を失わせる非線形活性化関数も適用され、各ノード853、854が2つのビットのうちの1つを提供する。各ノード853、854の非線形活性化関数は、双曲線正接活性化関数の代わりに、
【数29】
と類似するプロファイルを有するが、-1~+1ではなく0~+1の範囲であるシグモイド関数であり得る。
【0102】
ノード853は、符号における2つのビットのうちの最上位ビットのための確率予測863(p(bitmsb))を提供し、ノード854は、符号の2つのビットのうちの最下位ビットのための確率予測864(p(bitlsb))を提供する。2つの確率予測863、864はその後、スライサ855において、符号における各ビットについて、ビット予測(例えば、p<0.5の場合はビット=0、及びp≧0.5の場合はビット=1)を取得するために閾値の0.5と比較される。
【0103】
シグナリングが4つより多くのレベルを含む(例えば、PAM8又はPAM16)における実装では、符号ごとにより多くのビット(例えば、それぞれ3又は4ビット)が存在するであろう。そのような場合において、単に2つのノード853、854ではなく、対応する数のノードが存在するであろう。
【0104】
856において、個別のビットは符号に再びグループ化され、次に857においてフィードバックされ、フィードバック遅延861への入力のために858において対応する電圧に変換され(PAM4などの4レベルシグナリングシステムにおいて、例えば、「00」の場合は-1、「01」の場合は-1/3、「10」の場合は+1/3、及び「11」の場合は+1)、符号間干渉を緩和するためにフィードフォワード遅延831からの次の入力に対するフィードバックされた以前の符号決定のサンプルを表す。
【0105】
実装800は符号レベルではなくビットレベルで動作するため、交差エントロピー適応回路870もビットレベルで動作し、別個のビットレベルの確率863、864及びトレーニングビット871、又はランタイムにおいては外部デコーダ(例えば、FECデコーダ;図示せず)の出力890になどに基づいて交差エントロピーを判断する。
【0106】
ビットレベルにおいて、交差エントロピーは、まず、上記のように確率予測から対数尤度比を判断することによって判断され得る。P0がp(bitmsb=0)であり、P1がp(bitmsb=1)である最上位ビットから開始し、LLR(bitmsb)を計算することができる。その後、LLR(bitmsb)及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最上位ビットから、CE(bitmsb)を計算することができる。次に、p(bitlsb=0)をP0として、P1としてp(bitlsb=1)を使用することで、LLR(bitlsb)が計算され得る。その後、LLR(bitlsb)、及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最下位ビットから、CE(bitlsb)を計算することができる。ビットレベルの交差エントロピーは、CE(bitmsb)+CE(bitlsb)の合計である。
【0107】
図10は、本開示の主題に係る実装900を示しており、実装900は、PAM4符号における2ビットなどの、各それぞれのビットのそれぞれの決定フィードバック等化器942、952に結合されたマルチビット符号のビットの相関を失わせ得る低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク941を含む。
【0108】
低複雑多層パーセプトロンニューラルネットワーク941は、第1のフィードフォワードフィルタ946を含み、これらは例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタであり得る。非線形活性化関数945(例えば、双曲線正接活性化関数
【数30】
であるが、他の非線形活性化関数が使用されてもよい)は、フィードフォワードフィルタ946の出力に適用され、これはその後、第2のフィードフォワードフィルタ947、及び並行して第3のフィードフォワードフィルタ957に入力される。フィードフォワードフィルタ947、957の各々は、それぞれの等化されたビット出力Y
msb944及びY
lsb954を生成する。
【0109】
非線形活性化関数945とは異なるそれぞれの非線形活性化関数961、962は、各それぞれの等化されたビット出力Y
msb944及びY
lsb954に適用される。非線形活性化関数961、962は、双曲線正接活性化関数の代わりに、
【数31】
と類似するプロファイルを有するが、-1~+1ではなく0~+1の範囲であるシグモイド関数であり得る。
【0110】
非線形活性化関数961は、符号における2ビットのうちの最上位ビットのための確率予測p(bitmsb)を提供し、非線形活性化関数962は、符号の2ビットのうちの最下位ビットのための確率予測p(bitlsb)を提供する。2つの確率予測の各々はその後、それぞれのスライサ955、956において、符号における各ビットについて、ビット予測(例えば、p<0.5の場合はビット=0、及びp≧0.5の場合はビット=1)を取得するために閾値の0.5と比較される。
【0111】
970において、2つのビットは符号971にグループ化され、その後、972において、最上位ビット経路における決定フィードバック等化器942への入力、及び最下位ビット経路における決定フィードバック等化器952への入力のために対応する電圧(例えば、「00」に対して-1、「01」に対して-1/3、「9」に対して+1/3、及び「11」に対して+1)に変換される。以前の符号からの符号間干渉を軽減するために、各それぞれの決定フィードバック等化器942、952の出力はそれぞれ、943、953において、それぞれのフィードフォワードフィルタ947、957の出力と組み合わされて、それぞれの等化されたビット出力Ymsb944及びYlsb954、すなわち、上記のように、非線形活性化関数961、962への入力が得られる。
【0112】
交差エントロピーは、実装800の場合におけるように、まず、上記のように確率予測から対数尤度比を判断することによって、p(bitmsb)、p(bitmsb)、及び交差エントロピー適応回路980におけるトレーニングビット981又は外部デコーダ出力990から判断され得る。P0がp(bitmsb=0)であり、P1がp(bitmsb=1)である最上位ビットから開始し、LLR(bitmsb)を計算することができる。その後、LLR(bitmsb)及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最上位ビットから、CE(bitmsb)を計算することができる。次に、p(bitlsb=0)をP0として、P1としてp(bitlsb=1)を使用することで、LLR(bitlsb)が計算され得る。その後、LLR(bitlsb)、及びトレーニングビット又は外部デコーダビットのうちの最下位ビットから、CE(bitlsb)を計算することができる。ビットレベルの交差エントロピーは、CE(bitmsb)+CE(bitlsb)の合計である。
【0113】
本開示の主題に従って使用され得る非線形ニューラルネットワークフィルターのいくつかの追加的な複雑さが低減した実装は、
図11から
図19に示されている。
【0114】
図11は、有線媒体180上の2つの信号源から入力111、121の2つのセットを等化するための(例えば
図12に関連して以下に説明されたように、これは単なる例示であり、任意の数、すなわち、1又は複数のセットの入力信号が存在し得る)、本開示の主題に係る低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1001の一般的な実装1000を示す。低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1001は、一定の複雑さの入力111、121を受け入れるが、非線形フィルタ回路1003を介して低複雑入力1011、1021をフィルタリングする前に、最初に、フロントエンドフィルタ1002を介して入力111、121をフィルタリングすることで、入力111、121の複雑さを減少させる。入力1011、1021の複雑さの低減は、非線形フィルタ回路1003の(次元によって測定された)複雑さにおける低減を可能にし、したがって、非線形ニューラルネットワークフィルター1001の複雑さは、フィルタリング済みの入力111、121の複雑さを減少させる必要がない。
【0115】
図12に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1100の第1の実装は、有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1102とともに、放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルター1101に基づく。
【0116】
放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルター1101において、2つの入力1111、1121からのデジタルサンプルは遅延線1131によって遅延され、放射基底関数非線形ニューラルネットワーク1141において組み合わされる。
図12で見られるように、放射基底関数非線形ニューラルネットワーク1141は、隠れノード1151の少なくとも1つの隠れ層1150を含む。各隠れノード1151は、放射基底関数を用いて各遅延サンプル上で動作するが、図面における混雑を回避するために、遅延線1131における一部の遅延のみが各隠れノード1151に結合されているものとして示されている。隠れ層1150の出力は、1152において(例えば、加算によって)組み合わされ、Y出力1103を提供する。
【0117】
1111、1121における各サンプル入力は、放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルター1101にパラメータ又は次元を追加し、フィルタの複雑さを増やす。放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルター1101の複雑さを減少させるべく、低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1100は、減少された数の入力1111、1121を放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルター1101に提供するためにADC出力111、121からの入力の一部を組み合わせる、フロントエンドフィルタ1102を含む。
図12において見られ得るように、この実装において、フロントエンドフィルタ1102は、FIRフィルタリングを使用して(遅延1112を合計1122に接続している各線は、フィルタタップを形成する係数(図示せず)によるサンプルの乗算を表し、タップは1122において合計される)、例えば、ADC出力111、121から4つ毎の入力サンプルを1つの入力サンプル1111、1121に組み合わせて、それによって、放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルター1101の(次元によって測定された)複雑さにおける低減を可能にして、したがって、非線形ニューラルネットワークフィルター1100の複雑さは、フィルタリング済みの入力111、121の複雑さを減少させる必要がない。視認されていない係数は、逆方向伝搬アルゴリズムを用いて適応されたパラメータであり得、例えば、交差エントロピー勾配に関連して上記された等式から導出され得る。
【0118】
図12の実装において、入力サンプル111、121の各セットは遅延線1112の個別の部分において処理され、遅延線1131の個別の部分にある。この実装において、2つのセットの入力サンプルを用いて、各遅延線は、2つのセグメントに分割される。しかしながら、より一般的には、セグメントの数は入力セットの数に対応する。したがって、単一入力セットの場合、1つのセグメントのみが存在する(すなわち、遅延線はセグメント化されない)であろうが、3つの入力セットが存在する場合、遅延線は、3つのセグメントに分割され得、以下同様である。
【0119】
図13に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターの第2の実装1200はまた、有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1202とともに、放射基底フィルタニューラルネットワークフィルター1201に基づいている。フロントエンドフィルタ1102の場合におけるように、フロントエンドフィルタ1202はFIRフィルタリングを使用して(遅延1212を放射基底関数1250に接続している各線は、フィルタタップを形成する係数(図示せず;
図12に関連した上記の説明を参照されたい)によるサンプルの乗算を表し、例えば、ADC出力111、121から4つ毎の入力サンプルを1つの入力サンプル1211、1221に組み合わせて、それによって、放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルター1201の(次元によって測定された)複雑さにおける低減を可能にして、したがって、非線形ニューラルネットワークフィルター1200の複雑さは、フィルタリング済みの入力111、121の複雑さを減少させる必要がない。
【0120】
しかしながら、この実装において、合計されるのではなく、遅延線1212のタップは、放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルターステージ1201の隠れノード1250に直接入力され、それらはこの実装において遅延線1231の上流にある。
【0121】
改めて、2つのソースからの入力111、121を用いて、フロントエンドフィルタ1202の遅延線1212の半分1213は入力111に当てられており、その一方、フロントエンドフィルタ1202の遅延線1212の半分1214は入力121に当てられており、各入力ソース111、121には、放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルターステージ1201のそれぞれ1つの隠れノード1250がある。放射基底関数非線形ニューラルネットワークフィルターステージ1201内の遅延線1231についても同じことが当てはまり、遅延線1231は入力111、121から別個で導出される入力に当てられた遅延線1231の分離された半分1232、1233を有する。ここでまた、遅延1231は最終FIRフィルタの個々のタップを形成し、それらは出力Yを得るべく加算ノード1241において組み合わされる。
【0122】
図14に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1300の第3の実装は、有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1301とともに、多層パーセプトロン(MLP)非線形ニューラルネットワークフィルター1302に基づく。
【0123】
典型的には、MLPフィルタは、入力サンプルのための遅延線を含み、その後に、少なくとも1つの隠れ層が続き、ここで、サンプルが合計され、次に、例えば双曲線正接関数
【数32】
などの非線形活性化関数を通過し、その後、1又は複数の合計を含む層が続く。
【0124】
有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1301において、遅延線1331は、入力111を受信する第1の部分1332及び入力121を受信する第2の部分1333に分割される。遅延1312を合計1322に接続する各線は、FIRフィルタタップを形成する係数(図示せず;
図12に関連した上記の説明を参照されたい)によるサンプルの乗算を表す。タップは各隠れノード1350の合計部分によって合計され、当該合計部分は合計関数を含み、その後、この実装において
【数33】
関数である非線形活性化関数が続く。隠れ層は、入力111、121の各それぞれのセットにおける全ての入力に対して1つのみの隠れノード1350を有するものとして示されているが、他の実装(図示せず)では、入力111、121の各セットに対して複数のノード1350が存在し得る。任意のイベントにおいて、出力1311のセットが入力111のフロントエンドフィルタリングに基づいて生成され、出力1321の別のセットが入力121のフロントエンドフィルタリングに基づいて生成される。
【0125】
この実装において、フロントエンドフィルタ1301及びMLP非線形ニューラルネットワークフィルター1302の間における境界は、隠れノード1350の隠れ層を介して動作するが、それは必ずしも全ての実装においてそうであるとは限らない。
【0126】
この実装におけるMLP非線形ニューラルネットワークフィルター1302は、各それぞれの1つの隠れノード1350の一部としてのそれぞれの
【数34】
非線形活性化関数、及び、遅延線1312及び加算ノード1322によって形成されたFIRフィルタを含んでいる。遅延線1312の部分1351はフロントエンドフィルタ1302から出力サンプル1311を受信し、その一方、遅延線1312の部分1352はフロントエンドフィルタ1301から出力サンプル1321を受信する。遅延1312を合計1322に接続する各線は、FIRフィルタタップを形成する係数(図示せず;
図12に関連した上記の説明を参照されたい)によるサンプルの乗算を表し、タップは、出力Yを得るべく加算ノード1322において組み合わされる。
【0127】
低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1300は、
図15に示す等価フィルタ配置1400として表され得る。低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1400は4つのFIRフィルタ1401、1402、1403、1404、及び2つの非線形活性化関数1405、1406(それぞれ
【数35】
非線形活性化関数であり得る)を含む。
【0128】
FIRフィルタ1401、1402は、有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1410を形成し、FIRフィルタ1401は入力111を受信し、その一方、FIRフィルタ1402は入力121を受信する。FIRフィルタ1403、1404及び非線形活性化関数1405、1406は、低複雑非線形ニューラルネットワーク1420を形成する。低複雑非線形ニューラルネットワーク1420において、活性化関数1405はFIRフィルタ1401の出力を受信して、非線形活性化の後にそれらの出力をFIRフィルタ1403に渡し、その一方、活性化関数1406はFIRフィルタ1402の出力を受信して、非線形活性化の後にそれらの出力をFIRフィルタ1404に渡す。FIRフィルタ1403及びFIRフィルタ1404の出力は、出力Yを得るべく、加算ノード1408において組み合わされる。
【0129】
図16に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1500の別の実装はまた、有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1501とともに、多層パーセプトロン(MLP)非線形ニューラルネットワークフィルター1502に基づく。この実装1500において、有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1501は、それぞれが入力111、121のそれぞれのセットをフィルタリングする2つのFIRフィルタ1511、1521を含む。FIRフィルタ1511、1521のそれぞれの出力は、加算ノード1531によって組み合わされる。
【0130】
有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1501の出力1541は次に、多層パーセプトロン(MLP)非線形ニューラルネットワークフィルター1502によってフィルタリングされ、これは、非線形活性化関数1512(
【数36】
非線形活性化関数であり得る)を含み、その後にFIRフィルタ1522が続く。
【0131】
図17に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1500の変形例1600において、スケーラブルバイパス経路1601が、非線形ニューラルネットワークフィルター1502の周囲に提供されている。スケーラブルバイパス経路1601は、スケーリング係数g(1611)によって制御されている。FIRフィルタ1522は、同様のスケーリング制御を本質的に含んでいる。スケーラブルバイパス経路1601の提供は、いくつかの動作モードを可能にする。まず、g=0である場合、低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1600は、低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1500と同一に動作する。次に、g=1をセットすること、及びFIRフィルタ1522のスケーリングファクタを0にセットすることによって、低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1600は線形フィルタとして動作する。この線形モードは、フィルタの非線形部分が適応されている間、「ジャンプ開始」モードとして使用され得る。
【0132】
加えて、非線形関数1700(特に、線形関数1701に近いもの)は、
図18に示されるように、異なる傾きの一連の線形関数1702として近似され得る。傾きを変えるためにgを変えることで、非線形関数1700は、ほとんどが、セグメント化された線形近似値及び実際の非線形関数の間の差を補正する非線形ニューラルネットワークフィルター1502とともに、線形である有限インパルス応答(FIR)ベースのフロントエンドフィルタ1501を使用することでフィルタリングされ得る。
【0133】
低複雑非線形ニューラルネットワークフィルター1400に基づいた同様の変形例1800が
図19に示されている。スケーラブルバイパス経路1801は、非線形ニューラルネットワークフィルター1420の周囲に提供される。スケーラブルバイパス経路1801は、スケーリング係数g(1811)によって制御されている。非線形ニューラルネットワークフィルター1420のFIRフィルタ1403、1404は、同様のスケーリング制御を本質的に含んでいる。1811においてgを制御することによって、非線形ニューラルネットワークフィルター1800は、非線形ニューラルネットワークフィルター1600と同様の方式で様々なモードで動作され得る。
【0134】
示された実装のそれぞれにおいて、追加のフィルタ層又はステージが追加され得る(図示せず)。例えば、チャネルにおける非線形性が深刻である、又は、時間領域における干渉長さがより長いとき、次に、1つより多くの非線形変換が、信号を分離するのに必要となり得る。各非線形ステージはその入力を出力において異なる空間に変換するであろう。複数の変換の後に、最終空間は、次に信号が線形的に分離され得るという結果をもたらすであろう。
図15から
図17及び
図19の実装において、各追加層は、追加の非線形活性化関数を含み得、その後、追加のFIRフィルタが続く。さらに、遅延-線実装に関連して上述されたように、遅延線は、異なる入力グループに対応する遅延グループにセグメント化され得る。同様に、活性化関数プラスFIRフィルタ実装において、活性化関数及びFIRフィルタの追加の並列セットが提供され得、1つ又は複数の共通の加算ノードに供給する。
【0135】
上記に示された低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターの様々な実装が、特に交差エントロピーを使用して適応されたときに、非低複雑非線形ニューラルネットワークフィルターとほぼ同じ程度の良い性能を提供することが示され得る。しかしながら、減少された複雑さは、デバイス面積及び電力消費における実質的な節減を提供する。
【0136】
本開示の主題の実装による方法1900が
図20において図式化されている。
【0137】
方法1900は、送信経路及び受信経路のうちの少なくとも1つの上で信号をフィルタリングするために、ホストデバイスを有線チャネル媒体に接続するための物理層トランシーバにおける送信経路及び受信経路のうちの少なくとも1つ上で非線形等化が実行される1901において開始される。1902において、非線形等化は、等化器出力及び有線チャネル媒体におけるデータ信号の間の交差エントロピーに基づいて適応され、方法1900は終了する。しかしながら、1903において見られるように、任意選択的に(破線で示される)、初期フィルタリング、例えば、有限インパルス応答(FIR)フィルタリングは、非線形等化の複雑さを減少させるべく、非線形等化の前に適用され得る。
【0138】
図21において見られるように、1901において非線形等化を実行する1つの実装は、非線形活性化関数、例えば、
【数37】
関数を2001において適用すること、及び、次に、2002において線形等化を実行することを含み得る。
【0139】
したがって、送信及び/又は受信経路における、及び/又は、キャンセレーションエコー、近端クロストーク、及び遠端クロストークのための非線形ニューラルネットワーク等化器を使用した物理層トランシーバが提供されることが見られる。
【0140】
本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用される場合、「A及びBのうちの1つ」という解釈は、「A又はB」を意味するものとする。
【0141】
上記は本発明の原理の例示にすぎず、本発明は、限定ではなく説明の目的で提示された、説明される実施形態以外によっても実施でき、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることに留意されたい。
【国際調査報告】