(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】AVB8インテグリンに関連する疾患を処置および予防するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240126BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240126BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240126BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240126BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240126BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240126BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240126BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240126BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240126BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240126BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240126BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240126BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240126BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240126BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240126BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240126BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P11/06
A61P37/06
A61P17/06
A61P11/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P35/00
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544637
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2022013735
(87)【国際公開番号】W WO2022164816
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】シェパード ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ビドリングマイヤー スコット
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ビン
(72)【発明者】
【氏名】アタキリット アムハ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG06
4C085GG08
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
インテグリンβ8抗体を含む組成物および方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトインテグリンβ8に特異的に結合し、潜在関連ペプチド(LAP)とαvβ8との接着を阻害する、単離された抗体であって、
(1)SEQ ID NO:1、5、および6のうちのいずれか一つの配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1);
(2)SEQ ID NO:2、4、および7のうちのいずれか一つの配列を有するHCDR2;
(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;
(4)SEQ ID NO:8、11、13、および14のうちのいずれか一つの配列を有する軽鎖相補性決定領域1(LCDR1);
(5)SEQ ID NO:9および12のうちのいずれか一つの配列を有するLCDR2;ならびに
(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3
を含む、前記単離された抗体。
【請求項2】
SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項3】
SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:4の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項4】
SEQ ID NO:5の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項5】
SEQ ID NO:6の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項6】
SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:7の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項7】
SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項8】
SEQ ID NO:11の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項9】
SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項10】
SEQ ID NO:13の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項11】
SEQ ID NO:14の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項12】
SEQ ID NO:15~19のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域を含む、請求項1~11のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項13】
SEQ ID NO:20~25のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1~12のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項14】
SEQ ID NO:47~50のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有するFcポリペプチドを含む、請求項1~13のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項15】
前記Fcポリペプチドがアミノ酸置換L234AおよびL235Aを含む、請求項14記載の単離された抗体。
【請求項16】
前記Fcポリペプチドがアミノ酸置換N297Aを含む、請求項14または15記載の単離された抗体。
【請求項17】
(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;
(2)SEQ ID NO:4の配列を有するHCDR2;
(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;
(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;
(5)SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2;および
(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3
を含む、請求項1記載の単離された抗体。
【請求項18】
SEQ ID NO:16の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域を含む、請求項17記載の単離された抗体。
【請求項19】
SEQ ID NO:22の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む、請求項17または18記載の単離された抗体。
【請求項20】
SEQ ID NO:47~50のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有するFcポリペプチドを含む、請求項17~19のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項21】
前記Fcポリペプチドがアミノ酸置換L234AおよびL235Aを含む、請求項20記載の単離された抗体。
【請求項22】
前記Fcポリペプチドがアミノ酸置換N297Aを含む、請求項19または20記載の単離された抗体。
【請求項23】
モノクローナル抗体である、請求項1~22のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項24】
ヒト化抗体である、請求項1~23のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項25】
マウスインテグリンβ8と交差反応する、請求項1~24のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項26】
TGFβ活性化を遮断する、請求項1~25のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項27】
5nMより少ないIC
50でLAPとαvβ8との結合をアンタゴナイズする、請求項1~26のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項28】
1つまたは複数のヒトフレームワーク領域を含む、請求項1~27のいずれか一項記載の単離された抗体。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項記載の単離された抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項30】
請求項29記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項31】
請求項30記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項32】
請求項1~28のいずれか一項記載の単離された抗体と薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項33】
その必要のあるヒトにおいてTGFβ活性化を低減する方法であって、治療的有効量の請求項1~28のいずれか一項記載の単離された抗体または請求項32記載の薬学的組成物を該ヒトに投与し、それによって、該ヒトにおいてTGFβ活性化を低減する工程を含む、前記方法。
【請求項34】
前記ヒトが、喘息、多発性硬化症、または急性肺傷害からなる群より選択される疾患を有し、該疾患の少なくとも1つの症状が、TGFβ活性化の低減によって改善する、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記ヒトが、関節リウマチ、乾癬、および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される疾患を有し、該疾患の少なくとも1つの症状が、TGFβ活性化の低減によって改善する、請求項33記載の方法。
【請求項36】
ヒトにおいて癌を処置する方法であって、治療的有効量の請求項1~28のいずれか一項記載の単離された抗体または請求項32記載の薬学的組成物をヒトに投与し、それによって、癌を処置する工程を含む、前記方法。
【請求項37】
癌が転移癌である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
癌が固形腫瘍癌である、請求項36または37記載の方法。
【請求項39】
ヒトにおいて癌に対する免疫応答を強化する、請求項36~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
免疫調節剤をヒトに投与する工程をさらに含む、請求項36~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
免疫調節剤が、PD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、または41BBアゴニストである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
放射線療法をヒトに施す工程をさらに含む、請求項36~41のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年1月26日に出願された米国仮出願番号63/141,703に係る優先権を主張する。米国仮出願番号63/141,703の開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
インテグリンファミリーのメンバーは空間的に制限された様々な細胞外リガンドを認識する。古典的に、インテグリン発現細胞におけるインテグリン連結は細胞質シグナルを活性化し、細胞接着、遊走、増殖、および生存に寄与する。このファミリーの少なくとも2つのメンバーであるαvβ6およびαvβ8は、さらなる機能である、トランスフォーミング増殖因子βの潜在型複合体(latent complex)の活性化を行う。実際に、このプロセスによって、ある細胞の表面にあるインテグリンが、隣接する細胞(αvβ6の場合)または近くの細胞(αvβ8の場合)の表面でシグナルを活性化することが可能になる。インテグリンを介したTGFβ活性化は、例えば、組織線維症、急性肺傷害、および肺気腫の調節において役割を果たすことが示されている。
【発明の概要】
【0003】
簡単な概要
一局面では、本開示は、ヒトインテグリンβ8に特異的に結合し、潜在関連ペプチド(LAP)とαvβ8との接着を阻害する、単離された抗体であって、(1)SEQ ID NO:1、5、および6のうちのいずれか一つの配列を有する重鎖相補性決定領域1(HCDR1);(2)SEQ ID NO:2、4、および7のうちのいずれか一つの配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8、11、13、および14のうちのいずれか一つの配列を有する軽鎖相補性決定領域1(LCDR1);(5)SEQ ID NO:9および12のうちのいずれか一つの配列を有するLCDR2;ならびに(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む、前記単離された抗体を特徴とする。
【0004】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む。
【0005】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:4の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む。
【0006】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:5の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む。
【0007】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:6の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む。
【0008】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、SEQ ID NO:7の配列を有するHCDR2、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3を含む。
【0009】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む。
【0010】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:11の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む。
【0011】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む。
【0012】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:13の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む。
【0013】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:14の配列を有するLCDR1、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む。
【0014】
一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:15~19のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域を含む。一部の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:20~25のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む。
【0015】
さらに、前記抗体は、SEQ ID NO:47~50のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有するFcポリペプチドを含んでもよい。Fcポリペプチドはアミノ酸置換L234AおよびL235Aを含んでもよい。さらに、Fcポリペプチドはアミノ酸置換N297Aを含んでもよい。
【0016】
一部の態様では、前記抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:4の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含む。前記抗体は、SEQ ID NO:16の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域を含んでもよい。前記抗体は、SEQ ID NO:22の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変領域を含んでもよい。特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:47~50のうちのいずれか一つの配列に対して少なくとも90%の同一性を有するFcポリペプチドを含んでもよい。Fcポリペプチドはアミノ酸置換L234AおよびL235Aを含んでもよい。さらに、Fcポリペプチドはアミノ酸置換N297Aを含んでもよい。
【0017】
この局面の一部の態様では、前記抗体はモノクローナル抗体である。一部の態様では、前記抗体はヒト化抗体である。一部の態様では、前記抗体はマウスインテグリンβ8と交差反応する。一部の態様では、前記抗体はTGFβ活性化を遮断する。一部の態様では、前記抗体は、5nMより少ないIC50でLAPとαvβ8との結合をアンタゴナイズする。一部の態様では、前記抗体は1つまたは複数のヒトフレームワーク領域を含む。
【0018】
別の局面では、本開示は、本明細書に記載の単離された抗体をコードする単離された核酸を特徴とする。別の局面では、本開示は、本明細書に記載の単離された抗体をコードする核酸を含む発現ベクターを特徴とする。さらに別の局面では、本開示は、発現ベクターを含む単離された宿主細胞を特徴とする。
【0019】
別の局面では、本開示は、本明細書に記載の単離された抗体と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を特徴とする。
【0020】
別の局面では、本開示は、その必要のあるヒトにおいてTGFβ活性化を低減する方法であって、治療的有効量の本明細書に記載の単離された抗体または単離された抗体を含む薬学的組成物をヒトに投与し、それによって、該ヒトにおいてTGFβ活性化を低減する工程を含む、前記方法を特徴とする。一部の態様では、ヒトは、喘息、多発性硬化症、または急性肺傷害からなる群より選択される疾患を有し、該疾患の少なくとも1つの症状が、TGFβ活性化の低減によって改善する。一部の態様では、ヒトは、関節リウマチ、乾癬、および慢性閉塞性肺疾患からなる群より選択される疾患を有し、該疾患の少なくとも1つの症状が、TGFβ活性化の低減によって改善する。
【0021】
別の局面では、本開示は、ヒトにおいて癌を処置する方法であって、治療的有効量の本明細書に記載の単離された抗体、または単離された抗体を含む薬学的組成物をヒトに投与し、それによって、癌を処置する工程を含む、前記方法を特徴とする。一部の態様では、癌は転移癌である。一部の態様では、癌は固形腫瘍癌である。一部の態様では、前記方法は、ヒトにおいて癌に対する免疫応答を強化する。前記方法のある特定の態様では、単離された抗体は、免疫調節剤(例えば、PD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、41BBアゴニスト)と組み合わせて投与される。前記方法のある特定の態様では、単離された抗体は放射線療法と組み合わせて投与される。前記方法のある特定の態様では、単離された抗体は化学療法と組み合わせて投与される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、ADWA16が、αvβ8発現L229細胞とTGFb1 LAPとの接着を阻害するのにADWA11よりも強かったことを示す。
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、非標識ADWA11が標識ADWA11とαvβ8発現L229細胞との結合において効果的に競合したが、非標識ADWA16が競合しなかったことを示す。これにより、2種類の抗体は異なるエピトープを認識することが証明される。
【
図3-1】
図3A~3Eは各抗体の会合/解離曲線を示す。
【
図4】
図4は、ヒト化された、親和性成熟されたIgG(ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、およびADWA16-4)が、親マウスIgG(ADWA16-キメラおよびADWA16)と同等の、細胞表面発現ヒトαvβ8に対する親和性を示したことを示す。
【
図5】
図5Aおよび5Bは、ADWA16-3およびADWA16-3.2が、親マウスIgG(ADWA16-キメラ)と同等の、組換えヒトαvβ8に対する親和性を示し、組換えマウスαvβ8に対する親和性を有意に向上させたことを示す。
【
図6】
図6は、ADWA16-3およびADWA16-3.2が、親マウスIgG(ADWA16-キメラおよびADWA16)と同等の、細胞表面発現ヒトαvβ8に対する親和性を示したことを示す。
【
図7】
図7は、ADWA16-3.2 IgGが、親マウスIgG(ADWA16)と比較して、表面発現マウスαvβ8に対する有意に向上した結合を示したことを示す。
【
図8】
図8は、ADWA16-3およびADWA16-3.2が、αvβ3、αvβ5、またはαvβ6を発現するSW480細胞に結合せず、αvβ3、αvβ5、およびαvβ8を発現するSNB19細胞にのみ結合を示したことを示す。
【
図9A】
図9A~9Cは、ADWA16-3およびADWA16-3.2が、TGFβ活性化を阻害する、マウス親ADWA16の高い効能を保持したことを示す。
【
図10】
図10Aおよび10Bは、ADWA16-3.2が、SNB19細胞とTGFβ1-LAPとの接着を阻害するのに低ナノモル濃度での効能を保持したことを示す。
【
図11】
図11は、ADWA16-3.2が親マウス抗体ADWA-16と比較して向上した熱安定性を示したことを示す。
【
図12】
図12は、SNB19ヒト星状細胞腫細胞におけるADWA16-3.2およびADWA11の結合を示す。
【
図13】
図13Aおよび13Bは、ADWA16-3.2およびADWA11がSNB19細胞とTGFb1 LAPとの接着を阻害したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
I.序論
本発明者らは、マウスインテグリンβ8とヒトインテグリンβ8の両方に結合し、αvβ8リガンド接着のより強力な阻害剤である新たな抗体を発見した。本明細書に記載の抗体は、癌および肺線維症などのαvβ8発現に関連する疾患を処置または予防するのに使用することができる。
【0024】
II.定義
「アンタゴニスト」とは、インテグリン(例えば、αvβ8)に結合し、インテグリンの刺激を部分的または完全に遮断するか、インテグリンを減少させるか、インテグリンを阻止するか、インテグリンの活性化を遅延するか、インテグリンを不活性化するか、インテグリンを脱感作するか、またはインテグリンの活性をダウンレギュレートする薬剤を指す。
【0025】
「同一の」またはパーセント「同一性」という用語は、2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈では、BLAST 2.0配列比較アルゴリズムと、下記のデフォルトパラメータを用いて、または手作業のアラインメントおよび目視検査(例えば、NCBIウエブサイトncbi.nlm.nih.gov/BLAST/などを参照されたい)によって測定された時に、比較ウィンドウまたは指定された領域にわたって最大に一致するように比較およびアラインメントされた時に、同じであるか、または指定された領域にわたって指定されたパーセント(すなわち、約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな)の同一性の同じアミノ酸残基もしくはヌクレオチドを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。次いで、このような配列は「実質的に同一」だと言われる。下記のように、好ましいアルゴリズムはギャップなどを明らかにすることができる。好ましくは、同一性は、長さが少なくとも約25のアミノ酸もしくはヌクレオチドの領域にわたって、またはより好ましくは、長さが50~100もしくはそれより多いアミノ酸もしくはヌクレオチドの領域にわたって存在する。
【0026】
配列比較の場合、典型的に、ある配列が、試験配列と比較する参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて、部分配列の座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。好ましくは、デフォルトプログラムパラメータが使用されてもよく、代替パラメータが指定されてもよい。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0027】
本明細書で使用する「比較ウィンドウ」は、20~600、通常は約50~約200、より通常は約100~約150からなる群より選択される連続した位置の数のいずれか1つのセグメントについての言及を含む。このセグメントにおいて、ある配列と、同じ数の連続した位置の参照配列が最適にアラインメントされた後に2つの配列を比較することができる。比較のための配列のアラインメント方法は当技術分野において周知である。
【0028】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムはBLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらは、それぞれ、Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1977)およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されている。本開示の核酸およびタンパク質についてパーセント配列同一性を決定するために、BLASTおよびBLAST 2.0は本明細書に記載のパラメータと共に用いられる。BLAST解析を行うためのソフトウェアは米国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公的に入手することができる。このアルゴリズムはまず最初に、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインメントした場合に正の値の閾値スコアTと一致またはそれを満たす、クエリー配列中の長さWの短いワードを特定することによって、高スコア配列ペア(high scoring sequence pair)(HSP)を特定することを伴う。Tは隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と呼ばれる(Altschul et al,前出)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むさらに長いHSPを発見する検索を開始するためのシード(seed)として働く。このワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加する限り、それぞれの配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメータM(一致している残基の対に対するリワードスコア(reward score);常に、>0)およびN(ミスマッチ残基に対するペナルティースコア(penalty score);常に、<0)を用いて計算される。アミノ酸配列の場合、累積スコアを計算するためにスコアリングマトリックスが用いられる。累積アラインメントスコアが、その達成される最大値から量Xだけ減少した時に;1つもしくは複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積のために累積スコアが0もしくはそれより小さくなった時に;またはいずれかの配列の末端に到達した時に、各方向でのワードヒットの延長は止まる。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXはアラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照されたい)、アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。
【0029】
「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖の形をしたデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびその重合体、ならびにその相補鎖を指す。この用語は、合成、天然、および非天然であり、参照核酸と類似した結合特性を有し、参照ヌクレオチドと同じように代謝される、既知のヌクレオチド類似体または改変されたバックボーン残基もしくは結合を含有する核酸を含む。このような類似体の例には、ホスホロチオエート、ホスホルアミダート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNA)が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0030】
特別の定めのない限り、ある特定の核酸配列はまた、その保存的に改変されたバリアント(例えば、縮重コドン置換)および相補配列、ならびに明確に示された配列も言外に含む。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(または全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基によって置換されている配列を作製することにより達成することができる(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
【0031】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基の重合体を指すために本明細書において同義で用いられる。これらの用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工化学ミメティックであるアミノ酸重合体、ならびに天然アミノ酸重合体および非天然アミノ酸重合体を含む。
【0032】
「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同じように機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸ミメティックを指す。天然アミノ酸とは、遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、ならびに後で修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然アミノ酸と同じ基本化学構造、例えば、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合しているα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチドバックボーンを有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。アミノ酸ミメティックとは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同じように機能する化合物を指す。
【0033】
アミノ酸は、IUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)により勧告された、一般に知られている三文字記号または一文字記号によって本明細書において言及されることがある。同様に、ヌクレオチドは、一般に受け入れられている一文字暗号によって言及されることがある。
【0034】
「組換え」という用語は、例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関して用いられる時、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、異種の核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸もしくはタンパク質の変化によって改変されていること、あるいは細胞が、このように改変された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組換え細胞は、天然の(非組換え)型の細胞内に見出されない遺伝子を発現するか、または別の方法で異常発現された、過小発現された、または全く発現されない天然遺伝子を発現する。
【0035】
本明細書に記載の抗体は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にコードされる1つまたは複数のポリペプチドからなってもよい。認められた免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はκまたはλとして分類される。重鎖はγ、μ、α、δ、またはεとして分類され、そして次に、γ、μ、α、δ、またはεは、それぞれ、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを規定する。一部の態様では、前記抗体はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA、IgD、またはIgEである。
【0036】
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体からなることが知られている。それぞれの四量体は2つの同じポリペプチド鎖対からなり、各対は1本の「軽」(約25kD)鎖および1本の「重」鎖(約50~70kD)を有する。各鎖のN末端は、主に抗原認識を担う約100~110以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。
【0037】
本明細書で使用する「抗体」という用語は、結合特異性を保持している抗体断片を含む。例えば、よく特徴付けられた多数の抗体断片がある。従って、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域にあるジスルフィド結合のC末端側で抗体を消化して、ジスルフィド結合によって軽鎖とVH-CH1がつながっているFabの二量体であるF(ab)'2を生成する。F(ab)'2を穏やかな条件下で還元して、ヒンジ領域のジスルフィド結合を切断し、それによって、(Fab')2二量体をFab'単量体に変換することができる。Fab'単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を有するFabである(他の抗体断片のさらに詳細な説明については、Fundamental Immunology, W.E. Paul, ed., Raven Press, N.Y. (1993)を参照されたい)。インタクトな抗体の消化の点で様々な抗体断片が定義されているが、当業者は、断片を化学的に、または組換えDNA法を利用することによって新規に合成できることを理解する。従って、本明細書で使用する抗体という用語は、抗体全体を改変することによって生成された、または組換えDNA法を用いて合成された抗体断片も含む。
【0038】
抗体において、置換バリアントは、少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されている。置換変異誘発のための最も関心が高い部位は超可変領域を含むが、フレームワーク変化も意図される。保存的置換の例は上記で説明されている。
【0039】
前記抗体の生物学的特性の実質な改変は、(a)置換領域、例えば、βシートもしくはヘリックスコンホメーションにおけるポリペプチドバックボーンの構造、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の容積の維持に対する影響の点で大きく異なる置換を選択することによって成し遂げられる。天然残基は、共通の側鎖特性に基づいて以下のグループ:
(1)非極性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷がなく極性がある:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負に荷電している):Asp、Glu;
(4)塩基性(正に荷電している):Lys、Arg;
(5)鎖の方向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe、His
に分けられる。非保存的置換は、これらのクラスのうち1つのメンバーと別のクラスのメンバーを交換することによってなされる。
【0040】
加えることができる1つの置換タイプは、抗体の中にある、化学反応し得る1つまたは複数のシステインを、アラニンまたはセリンなどがあるが、それに限定されるわけではない別の残基に変えるものである。例えば、非古典的システインの置換があってもよい。この置換は、可変ドメインのCDR中またはフレームワーク領域中で行われてもよく、抗体の定常領域中で行われてもよい。一部の態様では、システインは古典的である(例えば、ジスルフィド結合形成に関与する)。分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋結合を阻止するために、前記抗体の正しいコンホメーションの維持に関与しない、どのシステイン残基も、通常、セリンで置換され得る。逆に、抗体の安定性を向上させるために、特に、抗体がFv断片などの抗体断片である場合に、システイン結合が抗体に加えられることがある。
【0041】
抗体には、単鎖抗体(1本のポリペプチド鎖として存在する抗体)、例えば、可変重鎖領域と可変軽鎖領域が(直接、またはペプチドリンカーを介して)つながれて、連続したポリペプチドを形成している単鎖Fv抗体(sFvまたはscFv)を含むVH-VL二量体が含まれる。単鎖Fv抗体は、直接つなげられた、またはペプチドをコードするリンカーによってつなげられた、VHコード配列とVLコード配列を含む核酸から発現され得る、共有結合により連結されたVH-VLである(例えば、Huston, et al. Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883, 1988)。VHとVLが1本のポリペプチド鎖として、それぞれに接続されている間、VHドメインとVLドメインは非共有結合により会合している。または、抗体は別の断片でもよい。他の断片も、例えば、組換え法を用いて、可溶性タンパク質として、またはディスプレイ法から得られた断片として作製することができる。抗体はジ抗体(diantibody)およびミニ抗体も含む場合がある。本開示の抗体はまた、重鎖二量体、例えば、ラクダ科の動物に由来する抗体も含む。一部の態様では、抗体は二量体である。他の態様では、前記抗体は、活性アイソタイプを有する単量体の形をとってもよい。一部の態様では、前記抗体は多価の形、例えば、三価または四価の形をとる。
【0042】
本明細書で使用する「可変領域」および「可変ドメイン」という用語は、相補性決定領域(CDR、例えば、HCDR1、HCDR2、HCR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)とフレームワーク領域(FR)のアミノ酸配列を含む、抗体の軽鎖および重鎖の部分を指す。重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ、一般的にVHおよびVLと名付けられる。可変領域は、本明細書に記載のFab、F(ab’)2、Fv、およびscFv抗体断片上に含まれ、特異的抗原認識に関与する。
【0043】
本明細書で使用する「相補性決定領域(CDR)」とは、軽鎖可変領域および重鎖可変領域によって定められる4つの「フレームワーク」領域を中断する、各鎖にある3つの超可変領域を指す。CDRは主に抗原のエピトープへの結合を担っている。それぞれの鎖のCDRは、典型的には、N末端から開始して連続番号が付けられているCDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、典型的には、特定のCDRが配置されている鎖によっても特定される。従って、VH CDR3は、これが見出される抗体の重鎖の可変ドメインに配置されているのに対して、VL CDR1は、これが見出される抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。
【0044】
異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は種内で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成要素である軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域はCDRを三次元空間内に配置し、並べるのに役立つ。
【0045】
CDRおよびフレームワーク領域のアミノ酸配列は、当技術分野の様々な周知の定義、例えば、Kabat、North法(例えば、North et al., J Mol Biol. 406(2):228-256, 2011を参照されたい)、Chothia、international ImMunoGeneTics database(IMGT)、およびAbMを用いて決定することができる(例えば、Johnson et al., 前出; Chothia & Lesk, 1987, Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins. J. Mol. Biol. 196, 901-917; Chothia C. et al., 1989, Conformations of immunoglobulin hypervariable regions. Nature 342, 877-883; Chothia C. et al., 1992, structural repertoire of the human VH segments J. Mol. Biol. 227, 799-817; Al-Lazikani et al., J. Mol. Biol 1997, 273(4))を参照されたい)。抗原結合部位の定義はまた、以下: Ruiz et al., IMGT, the international ImMunoGeneTics database. Nucleic Acids Res., 28, 219-221 (2000);およびLefranc, M.-P. IMGT, the international ImMunoGeneTics database. Nucleic Acids Res. Jan 1;29(1):207-9 (2001); MacCallum et al, Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography, J. Mol. Biol., 262 (5), 732-745 (1996);およびMartin et al, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 86, 9268-9272 (1989); Martin, et al, Methods Enzymol., 203, 121-153, (1991); Pedersen et al, Immunomethods, 1, 126, (1992);およびRees et al, In Sternberg M.J.E. (ed.), Protein Structure Prediction. Oxford University Press, Oxford, 141-172 1996)にも記載されている。
【0046】
本明細書で使用する「キメラ抗体」とは、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なる、もしくは変更されたクラス、エフェクター機能、および/もしくは種の定常領域、または新たな特性をキメラ抗体に付与する全く異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬物などに連結されるように、定常領域またはその一部が変更、置換、または交換されている免疫グロブリン分子、あるいは(b)可変領域またはその一部が、異なる、または変更された抗原特異性を有する可変領域またはその一部を用いて、あるいは別の種、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに由来する対応する配列を用いて変更、置換、または交換されている免疫グロブリン分子を指す。
【0047】
本明細書で使用する「ヒト化抗体」とは、ドナー抗体に由来するCDRがヒトフレームワーク配列につながれた免疫グロブリン分子を指す。ヒト化抗体はまたフレームワーク配列中にドナー由来の残基も含んでよい。ヒト化抗体はまたヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部も含んでよい。ヒト化抗体はまたレシピエント抗体中にも、移入されたCDR中にもフレームワーク配列中にも見出されない残基も含んでよい。ヒト化は、「超ヒト化(superhumanizing)」抗体(Tan et al., J. Immunol. 169: 1119, 2002)および「リサーフェシング(resurfacing)」(例えば、Staelens et al., Mol. Immunol. 43: 1243, 2006;およびRoguska et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 91: 969, 1994)などの技法を含む、当技術分野において公知の方法(例えば、Jones et al., Nature 321:522-525; 1986; Riechmann et al., Nature 332:323-327、1988; Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536, 1988;Presta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596, 1992; 米国特許第4,816,567号)を用いて実施することができる。
【0048】
「抗原」、「免疫原」、「抗体標的」、「標的分析物」という用語、および同様の用語は、本明細書では、抗体が認識する、すなわち、抗体が特異的に結合することができる分子、化合物、または複合体を指すために用いられる。この用語は、抗体が特異的に認識することができる任意の分子、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、脂質、化学部分、またはその組み合わせ(例えば、リン酸化またはグリコシル化されたポリペプチドなど)を指すことがある。当業者は、この用語が、上記の分子が、あらゆる状況で免疫原性があることを示しておらず、単に、抗体によって標的化できることを示していると理解する。
【0049】
抗体は、抗原上にある「エピトープ」に結合する。エピトープは、抗体によって認識および結合される、抗原上にある局部的な部位である。エピトープは、いくつかのアミノ酸、またはいくつかのアミノ酸の一部、例えば、5個もしくは6個、またはそれより多いアミノ酸、例えば、20個以上のアミノ酸、またはこれらのアミノ酸の一部を含んでもよい。場合によっては、エピトープは非タンパク質成分、例えば、炭水化物、核酸、または脂質に由来する非タンパク質成分を含む。場合によっては、エピトープは三次元部分である。従って、例えば、標的がタンパク質である場合、エピトープは連続するアミノ酸で構成されてもよく、タンパク質フォールディングによって近接されるタンパク質の異なる部分に由来するアミノ酸で構成されてもよい(例えば、不連続なエピトープ)。同じことが、三次元構造を形成する他のタイプの標的分子にも当てはまる。エピトープは、典型的には、独特の空間コンホメーションにおいて少なくとも3個、さらに通常は少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間コンホメーションを決定する方法には、例えば、X線結晶学および2次元核磁気共鳴が含まれる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, Ed (1996)を参照されたい。
【0050】
「標識」または「検出可能な部分」という用語は、分光学的手段、放射線学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段、または他の物理的手段によって検出可能な診断剤または診断成分を指す。例示的な標識には、放射標識(例えば、111In、99mTc、131I、67Ga)および他のFDAにより認可された画像化薬剤が含まれる。さらなる標識には、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、または検出可能にすることができる、例えば、放射標識を、標的化薬剤に組み込むことによって検出可能にすることができる、ハプテンおよびタンパク質または他の実体が含まれる。核酸またはナノキャリアを標識に結合体化するための当技術分野において公知の任意の方法を、例えば、Hermanson, Bioconjugate Techniques 1996, Academic Press, Inc., San Diegoに記載の方法を用いて使用することができる。
【0051】
「標識された」もしくは「タグ化された」抗体もしくは薬剤とは、この抗体もしくは薬剤と結合した標識の存在を検出することによって、この抗体もしくは薬剤の存在が検出できるように、リンカーもしくは化学結合を介して標識と共有結合された抗体もしくは薬剤、またはイオン結合、ファン・デル・ワールス結合、静電結合、もしくは水素結合を介して非共有結合された抗体もしくは薬剤である。
【0052】
検出可能な薬剤および治療剤を抗体に結合体化するための技法は周知である(例えば、Arnon et al., 「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al., 「Antibodies For Drug Delivery」Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」 Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985);およびThorpe et al., 「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates」, Immunol. Rev., 62:119-58 (1982)を参照されたい)。
【0053】
「特異的な」、「特異的に結合する」という用語、および同様の用語は、非標的化合物よりも少なくとも2倍大きな親和性で、例えば、少なくとも、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、25倍、50倍、または100倍大きな親和性のいずれかで標的に結合する分子(例えば、抗体または抗体断片)を指す。例えば、標的(例えば、ヒトまたはマウスαvβ8)に特異的に結合する抗体は、典型的には、非標的よりも少なくとも2倍大きな親和性で標的に結合する。特異性は、標準的な方法、例えば、固相ELISAイムノアッセイを用いて確かめることができる(例えば、特異的免疫反応性を確かめるのに使用することができるイムノアッセイフォーマットおよび条件の説明については、Harlow & Lane, Using Antibodies, A Laboratory Manual (1998)を参照されたい)。
【0054】
抗体標的(例えば、抗原、分析物、免疫複合体)に関して「結合する」という用語は、典型的には、抗体が、純粋な集団の中で抗体標的の大多数に結合することを示す(適切なモル比を想定する)。例えば、ある特定の抗体標的に結合する抗体は、典型的には、溶液中にある抗体標的の少なくとも2/3(例えば、少なくとも、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のいずれか)に結合する。当業者は、結合を確かめる方法および/または閾値に応じて、いくらかのばらつきが生じることを認める。
【0055】
「対照」試料または値とは、試験試料と比較するための基準、通常、既知の基準として役立つ試料を指す。例えば、試験試料を、試験条件から、例えば、試験化合物の存在下で採取し、既知の条件からの試料、例えば、試験化合物の非存在下の試料(負の対照)、または既知の化合物の存在下の試料(正の対照)と比較することができる。対照はまた、多数の試験または結果から作成した平均値または範囲でもよい。当業者は、任意の数のパラメータを評価するために対照を設計できることを認める。例えば、薬理学的データ(例えば、半減期)に基づいて治療利益を比較するために、または治療尺度を比較するために(例えば、利益および/もしくは副作用の比較)、対照を考案することができる。インビトロ用途のために対照を設計することができる。当業者は、どの対照が、ある特定の状況で役立つかを理解し、対照値との比較に基づいてデータを分析することができる。対照はまた、データの有意性を確かめるのにも役立つ。例えば、ある特定のパラメータの値が対照において大きく異なる場合、試験試料のばらつきは有意だとみなされない。
【0056】
本明細書中の「治療有効用量」、「有効用量」、または「治療有効量」という用語は、投与されたものに対して効果を生じる用量を意味する。正確な用量および処方は処置の目的に左右され、公知の技法を用いて当業者によって突き止めることができる(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999); Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, Gennaro, Editor (2003)、およびPickar, Dosage Calculations (1999)を参照されたい)。例えば、ある特定のパラメータについて、治療有効量は、治療効果の、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%のいずれか、または少なくとも100%の増加または減少を示す。治療効力はまた、増加または減少の「倍」で表すこともできる。例えば、治療有効量は、対照と比べて少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍のいずれか、またはそれより大きな効果を有してもよい。
【0057】
「薬学的に許容される塩」または「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書に記載の抗体上に見出される特定の置換基に応じて、比較的無毒の酸または塩基を用いて調製された活性化合物の塩を含むこと意味する。薬学的に許容される塩基添加塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が含まれる。本開示の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、酸添加塩は、無溶媒で、または適切な不活性溶媒に溶解して、このような化合物の中性形態と十分な量の望ましい酸と接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸添加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素(monohydrogencarbonic)、リン酸、リン酸一水素(monohydrogenphosphoric)、リン酸二水素(dihydrogenphosphoric)、硫酸、硫酸一水素(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などのような無機酸から得られた酸添加塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的無毒の有機酸から得られた塩が含まれる。アミノ酸の塩、例えば、アルギナート(arginate)など、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などのような有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al., Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19 (1977)を参照されたい)。本開示のある特定の化合物は、塩基添加塩または酸添加塩のいずれかに変換するのを可能にする塩基性官能基と酸性官能基を両方とも含有する。当業者に公知の他の薬学的に許容される担体が本開示に適している。
【0058】
「低減する」、「低減する工程」、または「低減」という用語は、αvβ8を介したTGFβ活性化の文脈で用いられる時には、同じ条件下だが、本明細書に記載の抗体(例えば、抗αvβ8抗体)の非存在下で得られる標準値と比較した、TGFβ活性化を反映するパラメータの量の任意の検出可能なマイナスの変化または減少を指す。本明細書に記載の抗体(例えば、抗αvβ8アンタゴニスト、抗αvβ8抗体および免疫結合体)に曝露された後の、この減少のレベルは、一部の態様では、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%である。
【0059】
抗体に関して本明細書で使用する「競合する」という用語は、第1の抗体またはその抗原結合部分が、第2の抗体またはその抗原結合部分と結合において競合することを意味する。この場合、第2の抗体の存在下での、第1の抗体とそのコグネイトエピトープとの結合は、第2の抗体の非存在下での第1の抗体との結合と比較して検出可能に減少する。第1の抗体の存在下での、第2の抗体とそのエピトープとの結合も検出可能に減少する別の事例が該当する場合があるが、そうである必要はない。すなわち、第2の抗体が第1の抗体とそのそれぞれのエピトープとの結合を阻害しなくても、第1の抗体は、第2の抗体とそのエピトープとの結合を阻害することができる。しかしながら、各抗体が他の抗体とそのコグネイトエピトープまたはリガンドとの結合を、同じ程度であっても、それより大きな程度であっても、それより小さな程度であっても、検出可能に阻害する場合、それぞれのエピトープの結合において互いに「交差競合する(cross-compete)」と言われる。競合抗体と交差競合抗体が両方とも本開示に含まれる。このような競合または交差競合が起こる機構(例えば、立体障害、コンホメーション変化、または共通エピトープもしくはその一部への結合など)に関係なく、当業者は、本明細書において提供される開示に基づいて、このような競合抗体および/または交差競合抗体が含まれ、本明細書において開示される方法に有用であり得ることを理解するだろう。
【0060】
多くのタイプの競合結合アッセイ、例えば、直接的または間接的な固相ラジオイムノアッセイ(RIA)、直接的または間接的な固相酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al., Methods in Enzymology 9:242-253 (1983)を参照されたい);直接的固相ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al., J. Immunol. 137:3614-3619 (1986)を参照されたい);直接的固相標識アッセイ、直接的固相標識サンドイッチアッセイ(Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press (1988)を参照されたい);I-125標識を用いた直接的固相標識RIA(Morel et al., Molec. Immunol. 25(1):7-15 (1988)を参照されたい);直接的固相ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al., Virology 176:546-552 (1990));および直接的標識RIA(Moldenhauer et al., Scand. J. Immunol. 32:77-82 (1990))が公知である。典型的に、このようなアッセイは、これらのいずれかを有する固体表面または細胞に結合した、精製された抗原、非標識試験免疫グロブリン、および標識参照免疫グロブリンの使用を伴う。競合的阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で、固体表面または細胞に結合した標識の量を求めることで測定される。通常、試験免疫グロブリンは過剰に存在する。競合アッセイ(競合抗体)によって特定される抗体は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、および立体障害が起こるほど、参照抗体が結合するエピトープに十分に近い隣接エピトープに結合する抗体を含む。通常、競合抗体が過剰に存在する時には、参照抗体と共通抗原との特異的結合を少なくとも50%または75%阻害する。
【0061】
III.インテグリンβ8に結合する抗体
ヒトインテグリンβ8に特異的に結合する抗体(抗体断片を含む)、ならびにTGFβ活性化の減少が改善効果を有する疾患を処置または予防するための方法が提供される。「インテグリンβ8」はβ8およびβ-8と同義で用いられる。ヒトインテグリンβ8タンパク質配列はUniprotアクセッション番号P26012に見出されるのに対して、マウスインテグリンβ8配列はUniprotアクセッション番号Q0VBD0を有する。Moyle et al. Journal of Biological Chemistry 266:19650-19658 (1991); Nishimura et al., J. Biological Chemistry 269:28708-28715 (1994)も参照されたい。
【0062】
一部の態様では、インテグリンβ8に特異的に結合し、潜在関連ペプチド(LAP)とαvβ8との結合を阻害する(部分的または完全に遮断する)抗体が提供される。LAPはαvβ8のリガンドである。例えば、Sheppard, Cancer and Metastasis Reviews 24(3):395-402 (2005); Lu et al. J Cell Sci 115:4641-4648 (2002)を参照されたい。抗体は、例えば、10nM未満、5nM未満、1nM未満、0.1nM未満、またはそれより小さいIC50でLAPとαvβ8との結合をアンタゴナイズすることができる。
【0063】
一部の態様では、本開示の抗体はマウスインテグリンβ8および/またはヒトインテグリンβ8に特異的に結合する。このような抗体の1つの利点は、マウスならびにヒトにおいて、これらの抗体の臨床データを作成できることである。一部の態様では、本開示の抗体はヒトインテグリンβ8に結合する。
【0064】
細胞におけるLAPとαvβ8との結合の遮断の一局面は、前記抗体が、細胞によるTGFβ活性化を阻止または低減することでもよい。従って、一部の態様では、本明細書に記載の抗体は、細胞または動物(例えば、マウスまたはヒト)においてTGFβ活性化を減少させるのに有用である。
【0065】
一部の態様では、本開示の抗体は、表1に記載のような重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、HCDR2、HCDR3、軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、LCDR2、LCDR3、重鎖可変領域(VH)、および/または軽鎖可変領域(VL)の配列を含んでもよい。表1に記載のCDRはNorth法(例えば、North et al., J Mol Biol. 406(2):228-256, 2011を参照されたい)によって決定される。
【0066】
【0067】
一部の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1、5、および6のうちのいずれか一つの配列を有するHCDR1、またはSEQ ID NO:1、5、および6のうちのいずれか一つの配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント;(2)SEQ ID NO:2、4、および7のうちのいずれか一つの配列を有するHCDR2、またはSEQ ID NO:1、4、および7のうちのいずれか一つの配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3、またはSEQ ID NO:3の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント;(4)SEQ ID NO:8、11、13、および14のうちのいずれか一つの配列を有するLCDR1、またはSEQ ID NO:8、11、13、および14のうちのいずれか一つの配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント;(5)SEQ ID NO:9および12のうちのいずれか一つの配列を有するLCDR2、またはSEQ ID NO:9および12のうちのいずれか一つの配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント;ならびに(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3、またはSEQ ID NO:10の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含む。
【0068】
一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、またはSEQ ID NO:1の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:4の配列を有するHCDR2、またはSEQ ID NO:4の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3、またはSEQ ID NO:3の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、またはSEQ ID NO:1の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、またはSEQ ID NO:2の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3、またはSEQ ID NO:3の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1、またはSEQ ID NO:1の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:7の配列を有するHCDR2、またはSEQ ID NO:7の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3、またはSEQ ID NO:3の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:5の配列を有するHCDR1、またはSEQ ID NO:5の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、またはSEQ ID NO:2の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3、またはSEQ ID NO:3の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。さらなる態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:6の配列を有するHCDR1、またはSEQ ID NO:6の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2、またはSEQ ID NO:2の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3、またはSEQ ID NO:3の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。
【0069】
本開示の抗体は、本明細書に記載のHCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有する重鎖可変領域(VH)を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:1~3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:15の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または 100%)の同一性を有する、重鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:1、4、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:16の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:5、2、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:17の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:6、2、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:18の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:1、7、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:19の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域を含んでもよい。
【0070】
一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1、またはSEQ ID NO:8の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2、またはSEQ ID NO:12の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3、またはSEQ ID NO:10の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1、またはSEQ ID NO:8の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、またはSEQ ID NO:9の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3、またはSEQ ID NO:10の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:11の配列を有するLCDR1、またはSEQ ID NO:11の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、またはSEQ ID NO:9の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3、またはSEQ ID NO:10の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。
【0071】
一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:13の配列を有するLCDR1、または SEQ ID NO:13の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2、またはSEQ ID NO:12の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3、またはSEQ ID NO:10の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。一部の態様では、本開示の抗体は、SEQ ID NO:14の配列を有するLCDR1、またはSEQ ID NO:14の配列と比べて1個、2個、もしくは3個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2、またはSEQ ID NO:9の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアント、およびSEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3、またはSEQ ID NO:10の配列と比べて1個もしくは2個のアミノ酸置換を有する配列を有する、そのバリアントを含んでもよい。
【0072】
本開示の抗体は、本明細書に記載のLCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有する軽鎖可変領域(VL)を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:8~10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:20の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:11、9、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:21の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:8、12、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:22の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:13、12、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:23の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:14、9、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:24の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。ある特定の態様では、本開示の抗体は、それぞれSEQ ID NO:14、9、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:25の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。
【0073】
ADWA16-1
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1~3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:15の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:8~10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:20の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4でもよい。
【0074】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:26:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0075】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:28:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0076】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:29:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0077】
ADWA16-2
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:11の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1~3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:15の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:11、9、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:21の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4でもよい。
【0078】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:26:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:30:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0079】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:28:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:30:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0080】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:29:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:30:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0081】
ADWA16-3
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1~3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:15の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:8、12、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:22の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4でもよい。
【0082】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:26:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0083】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:28:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0084】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:29:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0085】
ADWA16-4
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:13の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1~3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:15の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:13、12、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:23の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、または IgG4でもよい。
【0086】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:26:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:32:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0087】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:28:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:32:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0088】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:29:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:32:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0089】
ADWA16-3.2
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:4の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1、4、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:16の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:8、12、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:22の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、または IgG4でもよい。
【0090】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:33:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0091】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:34:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0092】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:35:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0093】
ADWA16hugraft
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:5の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:14の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:5、2、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:17の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:14、9、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:24の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、または IgG4でもよい。
【0094】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:36:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:37:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0095】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:38:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:37:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0096】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:39:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:37:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0097】
ADWA16
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:6の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:2の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:14の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:6、2、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:18の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:14、9、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:25の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、または IgG4でもよい。
【0098】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:40:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:41:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0099】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:42:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:41
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0100】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:43:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:41:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0101】
Ab1
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:4の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1、4、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:16の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:8~10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:20の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4でもよい。
【0102】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:33:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0103】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:34:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0104】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:35:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0105】
Ab2
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:7の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:12の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1、7、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:19の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:8、12、および10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:22の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、または IgG4でもよい。
【0106】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:44:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0107】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:45:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0108】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:46:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:31:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0109】
Ab3
特定の態様では、本開示の抗体は、(1)SEQ ID NO:1の配列を有するHCDR1;(2)SEQ ID NO:7の配列を有するHCDR2;(3)SEQ ID NO:3の配列を有するHCDR3;(4)SEQ ID NO:8の配列を有するLCDR1;(5)SEQ ID NO:9の配列を有するLCDR2;および(6)SEQ ID NO:10の配列を有するLCDR3を含んでもよい。一部の態様では、前記抗体は、(1)それぞれSEQ ID NO:1、7、および3である、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を有し、SEQ ID NO:19の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、重鎖可変領域と、(2)それぞれSEQ ID NO:8~10である、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を有し、SEQ ID NO:20の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する、軽鎖可変領域を含んでもよい。このような抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4でもよい。
【0110】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:44:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0111】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:45:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0112】
ある特定の態様では、前記抗体は、SEQ ID NO:46:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する重鎖と、SEQ ID NO:27:
の配列に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する軽鎖を含む。
【0113】
一部の態様では、重鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3と、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3はNorth法(例えば、North et al., J Mol Biol. 406(2):228-256, 2011を参照されたい)によって決定される。一部の態様では、前記抗体は、ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、ADWA16-4、ADWA16-3.2、ADWA16hugraft、ADWA16、Ab1、Ab2、およびAb3より選択される抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の、North法(例えば、North et al., J Mol Biol. 406(2):228-256, 2011を参照されたい)によって決定されたCDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
【0114】
他の態様では、抗体のCDRは、本明細書において提供される重鎖可変領域および軽鎖可変領域からKabatナンバリングスキームによって決定することができる。
【0115】
本明細書に記載の抗体はいずれも、1つまたは複数のヒトフレームワーク領域(例えば、1つ、2つ、3つ、または4つのFR)を含んでもよい。一部の態様では、1つまたは複数のヒトフレームワーク領域は少なくとも1つの逆突然変異を含む。
【0116】
さらなる態様では、本明細書に記載の抗体はマウスインテグリンβ8と交差反応することができる。ある特定の態様では、前記抗体はTGFβ活性化を遮断することができる。さらに、前記抗体は、5nMより少ない(例えば、4.5nMより少ない、4nMより少ない、3.5nMより少ない、3nMより少ない、2.5nMより少ない、2nMより少ない、1.5nMより少ない、1nMより少ない、または0.5nMより少ない)IC50でLAPとαvβ8との結合をアンタゴナイズすることができる。
【0117】
一部の態様では、任意で、例えば、インビボ半減期を延ばす目的で、ペグ化または長鎖ポリエチレングリコールポリマー(PEG)の組み込みなどの改変を前記抗体の中に(例えば、ポリペプチド鎖の内部に、またはN末端もしくはC末端のいずれかに)導入することができる。例えば、尿中への急速な濾過を阻止する目的で、PEGまたはPEGの長鎖ポリマーを導入するとポリペプチドの有効分子量が増加する。一部の態様では、配列中のリジン残基がPEGに直接、またはリンカーを介して結合体化される。このようなリンカーは、例えば、適切に改変されたPEG鎖に連結するためにチオール官能基を含有するGlu残基またはアシル残基でもよい。PEG鎖を導入するための別の方法は、最初に、C末端に、または溶媒露出残基、例えば、ArgもしくはLys残基の代替にCys残基を導入する方法である。次いで、このCys残基は、例えば、マレイミド官能基を含有するPEG鎖に部位特異的に取り付けられる。PEGまたはPEGの長鎖ポリマーを組み込むための方法は当技術分野において公知である(例えば、Veronese, F. M., et al., Drug Disc. Today 10: 1451-8 (2005); Greenwald, R. B., et al., Adv. Drug Deliv. Rev. 55: 217-50 (2003); Roberts, M. J., et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 54: 459-76 (2002)に記載)。これらの内容は本明細書に参照により組み入れられる。
【0118】
ある特定の態様では、前記ポリペプチドのグリコシル化を変えるように抗体の特異的変異を加えることができる。このような変異は、O結合型グリコシル化部位またはN結合型グリコシル化部位を含むが、これに限定されない1つまたは複数のグリコシル化部位を導入または排除するように選択されてもよい。ある特定の態様では、前記タンパク質のグリコシル化部位およびグリコシル化パターンは天然タンパク質と比べて変化していない。ある特定の態様では、タンパク質のバリアントは、グリコシル化部位の数および/またはタイプが天然タンパク質と比べて変化しているグリコシル化バリアントを含む。ある特定の態様では、ポリペプチドのバリアントは、天然ポリペプチドと比べて多くの、または少ない数のN結合型グリコシル化部位を含む。N結合型グリコシル化部位は配列:Asn-X-SerまたはAsn-X-Thrを特徴とし、Xに指定されているアミノ酸残基は任意のアミノ酸残基でよい。この配列を作り出すアミノ酸残基置換は、N結合型炭水化物鎖を付加するための潜在的な新しい部位を提供する。または、この配列を排除する置換によって、既存のN結合型炭水化物鎖が除去される。ある特定の態様では、1つまたは複数のN結合型グリコシル化部位(典型的には、天然のN結合型グリコシル化部位)が排除され、1つまたは複数の新たなN結合型部位が作り出されるN結合型炭水化物鎖の再編成が提供される。一部の態様では、本明細書に記載の抗体は、N結合型グリコシル化部位を排除するようにアミノ酸置換がHCDR2配列に導入されている。一部の態様では、YINPTTGYTE(SEQ ID NO:2)の配列中に太字で示したN-グリコシル化部位は、NからS、NからI、またはNからVへのアミノ酸置換を受けることができる。
【0119】
本明細書に記載の抗体のヒト治療用途にはモノクローナル抗体、およびキメラ抗体、特に、ヒト化抗体が特に有用である。モノクローナル抗体は、当業者によく知られている様々な技法によって入手することができる。簡潔に言えば、望ましい抗原で免疫化した動物に由来する脾臓細胞が、普通はミエローマ細胞との融合によって不死化される(例えば、Kohler & Milstein, Eur. J. Immunol. 6: 511-519 (1976)を参照されたい)。別の不死化法は、エプスタイン-バーウイルス、癌遺伝子、もしくはレトロウイルスを用いた形質転換、または当技術分野において周知の他の方法を含む。抗原に対して望ましい特異性および親和性の抗体を産生するために、1個の不死化細胞から生じたコロニーがスクリーニングされる。このような細胞によって産生されたモノクローナル抗体の収率は、脊椎動物宿主の腹膜腔への注射を含む様々な技法によって強化され得る。または、Huse et al., Science 246: 1275-1281 (1989)に概説される一般的なプロトコールに従ってヒトB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその結合断片をコードするDNA配列が単離され得る。
【0120】
さらに、イムノアッセイ、例えば、リガンドが固体支持体上に固定化されている固相イムノアッセイにおいてβ8リガンド(例えば、LAP)に対するモノクローナル抗体を収集および滴定することができる。一部の態様では、モノクローナル抗体は、少なくとも約0.1mM、例えば、少なくとも約1μM、例えば、少なくとも約0.1μM以下、例えば、0.01μM以下のKdで結合することができる。
【0121】
例示的な態様では、ウサギまたはマウスなどの動物を、β8ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドをコードする核酸構築物で免疫化することができる。免疫化の結果として産生された抗体は標準的な方法を用いて単離することができる。一部の態様では、動物はインテグリンβ8のノックアウトであり、ヒトβ8インテグリンポリペプチドまたはその断片で免疫化される。
【0122】
本開示の免疫グロブリンは、その結合断片および他の誘導体を含めて、トランスフェクトされた細胞(例えば、不死化真核細胞、例えば、ミエローマもしくはハイブリドーマ細胞)における発現、または周知の方法によって抗体を産生することができるマウス、ラット、ウサギ、もしくは他の脊椎動物における発現を含む様々な組換えDNA法によって容易に産生され得る。免疫グロブリン発現および分泌のためのDNA配列および宿主細胞に適した供給源細胞は、American Type Culture Collection (Catalogue of Cell Lines and Hybridomas, Fifth edition (1985) Rockville, Md)などの多数の供給源から入手することができる。
【0123】
一部の態様では、前記抗体は、ヒト化抗体、すなわち、ヒトでの免疫原性が低下しているが非ヒト抗体の反応性を保持している抗体である。これは、例えば、非ヒトCDR領域を保持し、前記抗体の残りの部分をそのヒト対応物と交換することによって成し遂げることができる。例えば、Morrison et al., PNAS USA, 81:6851-6855 (1984); Morrison and Oi, Adv. Immunol., 44:65-92 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988); Padlan, Molec. Immun., 28:489-498 (1991); Padlan, Molec. Immun., 31(3):169-217 (1994)を参照されたい。抗体をヒト化するための技法は当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第4,816,567号;同第5,530,101号;同第5,859,205号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,777,085号;同第6,180,370号;同第6,210,671号;および同第6,329,511号;WO87/02671;EP特許出願0173494; Jones et al. (1986) Nature 321:522;ならびにVerhoyen et al. (1988) Science 239:1534に記載されている。ヒト化抗体は、例えば、Winter and Milstein (1991) Nature 349:293においてさらに説明される。例えば、ヒト化免疫グロブリンフレームワーク領域をコードする第1の配列と、望ましい免疫グロブリン相補性決定領域をコードする第2の配列セットを含むポリヌクレオチドは合成により生成されてもよく、適切なcDNAセグメントおよびゲノムDNAセグメントを組み合わせることによって生成されてもよい。ヒト定常領域DNA配列は様々なヒト細胞から周知の手順に従って単離することができる。本開示の免疫グロブリンを産生するためのCDRは、αvβ8インテグリンに特異的に結合することができるモノクローナル抗体から同じように得ることができる。
【0124】
一部の態様では、前記抗体はFab、F(ab’)2、Fv、またはscFvなどの抗体断片である。抗体断片は、化学的消化(例えば、パパインまたはペプシン)および組換え方法を含む、当技術分野において公知の任意の手段を用いて作製することができる。組換え核酸を単離および調製するための方法は当業者に公知である(Sambrook et al., Molecular Cloning. A Laboratory Manual (2d ed. 1989); Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995)を参照されたい)。前記抗体は、大腸菌、他の細菌宿主、酵母、ならびに様々な高等真核細胞、例えば、COS、CHO、およびHeLa細胞株ならびにミエローマ細胞株を含む様々な宿主細胞において発現することができる。
【0125】
αvβ8インテグリンとの特異的結合において本明細書に記載の抗体と競合する抗体を特定するために競合的結合アッセイを使用することができる。当技術分野において公知の多数の競合的結合アッセイのうちのどれを用いても、2種類の抗体と、同じ抗原との間の競合を測定することができる。簡単に述べると、異なる抗体が別の抗体の結合を阻害する能力を試験することができる。例えば、サンドイッチELISAアッセイを用いて、抗体が結合するエピトープによって抗体を差別化することができる。これは、捕捉抗体を用いてウェル表面をコーティングすることによって行うことができる。次いで、飽和濃度未満のタグ化抗原を捕捉表面に添加することができる。このタンパク質は、特異的な抗体:エピトープ相互作用を介して前記抗体に結合することができる。洗浄後に、検出可能な部分(例えば、HRP。標識された抗体は検出抗体と定義される)に共有結合により連結されている第2の抗体をELISAに添加することができる。この抗体が、捕捉抗体と同じエピトープを認識すれば、標的タンパク質に結合できないだろう。なぜなら、特定のエピトープがもはや結合に利用できないからである。しかしながら、この第2の抗体が、標的タンパク質上にある異なるエピトープを認識すれば、結合が可能であり、この結合は、関連する基質を用いて活性レベル(従って、結合した抗体)を定量することによって検出することができる。バックグラウンドは、捕捉抗体および検出抗体として1種類の抗体を使用することによって定義できるのに対して、最大シグナルは、抗原特異的抗体を用いて捕捉し、抗原上のタグに対する抗体を用いて検出することによって確立することができる。基準としてバックグラウンドと最大シグナルを使用することによって、エピトープ特異性を確かめるために抗体を2つ1組で評価することができる。一部の態様では、上記のアッセイのいずれかを用いて第1の抗体の存在下で第2の抗体と抗原との結合が少なくとも30%、通常、少なくとも約40%、50%、60%、または75%、多くの場合、少なくとも約90%低減すれば、第1の抗体は第2の抗体の結合を競合的に阻害するとみなされる。
【0126】
IV.Fcポリペプチド
本明細書に記載の抗体はFcポリペプチドを含んでもよい。Fcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチド、例えば、ヒトIgG1 Fcポリペプチドでもよい。ある特定の態様では、本明細書に記載の抗体は、SEQ ID NO:47:
の配列を有する野生型Fcポリペプチドを含んでもよい。他の態様では、本明細書に記載の抗体は、野生型Fcポリペプチドの配列(例えば、SEQ ID NO:47)に対して少なくとも90%(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%)同一性を有し、かつ野生型Fcポリペプチドの配列(例えば、SEQ ID NO:47)と比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を有する野生型Fcポリペプチドのバリアントを含んでもよい。
【0127】
一部の態様では、本明細書に記載の抗体の中にあるFcポリペプチドは、エフェクター機能を調節するアミノ酸置換を含んでもよい。ある特定の態様では、本明細書に記載の抗体の中にあるFcポリペプチドは、エフェクター機能を低減するか、または無くすアミノ酸置換を含んでもよい。エフェクター機能を低減する例示的なFcポリペプチドアミノ酸置換には、CH2ドメインの中での置換、例えば、位置234および235での置換(SEQ ID NO:26の配列と比べた位置ナンバリング)または位置4および5での置換(SEQ ID NO:47の配列と比べた位置ナンバリング)が含まれるが、これに限定されない(例えば、Lund et al., J Immunol. 147(8):2657-62,1991を参照されたい)。例えば、一部の態様では、本明細書に記載の抗体の中にある1つの、または両方のFcポリペプチドがL234AおよびL235A置換を含んでもよい。特定の態様では、本明細書に記載の抗体の中にある1つの、または両方のFcポリペプチドは、SEQ ID NO:48:
の配列を有してもよい。
【0128】
エフェクター機能を調節する、さらなるFcポリペプチドアミノ酸置換には、例えば、位置329における置換および位置297における置換(SEQ ID NO:26の配列と比べた位置ナンバリング)が含まれる。例えば、一部の態様では、本明細書に記載の抗体の中にある1つの、または両方のFcポリペプチドはP329G置換を含んでもよい。ある特定の態様では、本明細書に記載の抗体の中にある1つの、または両方のFcポリペプチドは、L234A、L235A、およびP329G置換を有してもよい。特定の態様では、本明細書に記載の抗体の中にある1つの、または両方のFcポリペプチドは、SEQ ID NO:49:
の配列を有してもよい。さらに、本明細書に記載の抗体の中にある1つの、または両方のFcポリペプチドは、N297A置換(SEQ ID NO:26の配列と比べた位置ナンバリング)またはN67A置換(SEQ ID NO:47の配列と比べた位置ナンバリング)を含んでもよい(例えば、Tao and Morrison, J Immunol. 143(8):2595-601, 1989を参照されたい)。特定の態様では、本明細書に記載の抗体の中にある1つの、または両方のFcポリペプチドは、SEQ ID NO:50
の配列を有してもよい。
【0129】
V.治療的処置
本明細書に記載の抗体(抗体断片を含む)は、細胞または動物においてTGFβ活性化を低減するのに使用することができる。従って、前記抗体を、その必要のある動物(例えば、ヒトまたは非ヒト動物)に投与し、それによって、該動物におけるTGFβ活性化を低減することができる。TGFβ低減が少なくとも改善につながる疾患には、喘息、多発性硬化症、急性肺傷害、関節リウマチ、乾癬、および慢性閉塞性肺疾患が含まれるが、これに限定されない。例えば、本発明者らは、喘息、多発性硬化症、および急性肺傷害マウスモデルにおけるβ8ノックアウトマウスが、天然インテグリンβ8を発現するマウスモデルと比較して症状を改善させたことを発見した。
【0130】
癌
さらに、本明細書に記載の抗体は癌を処置または予防するのに使用することができる。一部の態様では、癌は、細胞表面にαvβ8を発現する細胞、またはαvβ8を発現する細胞で構成される組織を含む。ある特定の態様では、癌は、細胞表面にαvβ8を発現する腫瘍細胞を含む。一部の態様では、本明細書に記載の抗体は、癌細胞上で発現しているαvβ8に結合し、リガンドとαvβ8との結合を遮断して癌を処置または予防する。ある特定の態様では、本明細書に記載の抗体は、腫瘍サイズ、癌細胞の数、癌細胞の増殖速度、癌細胞の転移活性、および/または非癌細胞の細胞死を低減することができる。一部の態様では、本明細書に記載の抗体は癌転移を低減または予防するのに使用することができる。
【0131】
さらに、本明細書に記載の抗体は、チェックポイントアンタゴニストおよびチェックポイントアゴニストなどの免疫調節剤、ならびに他の非薬物ベースの免疫療法、例えば、放射線療法の有効性を高めることができる。チェックポイントアンタゴニストの例には、PD1アンタゴニスト(例えば、RMP1-14、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、JTX-4014、スパルタリズマブ(PDR001)、カムレリズマブ(SHR1210)、シンチリマブ(IBI308)、チスレリズマブ(BGB-A317)、トリパリマブ(JS001)、ドスタルリマブ(TSR-042、WBP-285)、INCMGA00012(MGA012)、AMP-224、AMP-514)、PDL1アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CK-301、AUNP12、CA-170、BMS-986189)、およびCTLA4アンタゴニスト(例えば、9D9、イピリムマブ、トレメリムマブ)が含まれるが、これに限定されない。
【0132】
チェックポイントアゴニストの例には、41BBアゴニスト(例えば、MAB9371、ウトミルマブ、ウレルマブ)が含まれるが、これに限定されない。
【0133】
一部の態様では、本明細書に記載の抗体は、チェックポイントアンタゴニスト(例えば、上記のようなPD1アンタゴニスト、PDL1アンタゴニスト、またはCTLA4アンタゴニスト)と組み合わせて癌を処置または予防するのに使用することができる。一部の態様では、本明細書に記載の抗体は、チェックポイントアゴニスト(例えば、上記のような41BBアゴニスト)と組み合わせて癌を処置または予防するのに使用することができる。さらに、本明細書に記載の抗体はまた、非薬物ベースの免疫療法、例えば、放射線療法と組み合わせて、癌を処置または予防するのに使用することもできる。
【0134】
一部の態様では、本明細書に記載の抗体はまた、免疫細胞上に、例えば、調節性T細胞上に発現しているαvβ8にも結合することができる。一部の態様では、αvβ8は免疫細胞(例えば、調節性T細胞)の機能および/または発生を遮断し、本明細書に記載の抗体は癌細胞に対する免疫を刺激することができる。
【0135】
本明細書に記載の抗体によって処置することができる癌は、前癌細胞、新生物細胞、形質転換細胞、および癌細胞を含み、固形腫瘍を指してもよく、非固形癌を指してもよい(例えば、Edge et al. AJCC Cancer Staging Manual (7th ed. 2009); Cibas and Ducatman Cytology: Diagnostic principles and clinical correlates (3rd ed. 2009)を参照されたい)。癌は良性新生物と悪性新生物(異常増殖)を両方とも含んでもよい。さらに、癌は、癌腫、肉腫、腺癌、リンパ腫、白血病、固形癌およびリンパ系癌などを含んでもよい。様々なタイプの癌の例には、肺癌(例えば、非小細胞肺癌またはNSCLC)、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肝臓癌(すなわち、肝細胞癌)、腎臓癌(すなわち、腎細胞癌)、膀胱癌、乳癌、甲状腺癌、胸膜癌、膵臓癌、子宮癌、子宮頚癌、精巣癌、肛門癌、膵臓癌、胆管癌、胃腸カルチノイド腫瘍、食道癌、胆嚢癌、虫垂癌、小腸癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、中枢神経系の癌、皮膚癌、絨毛癌;頭頚部癌、血液癌、骨原性肉腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、メラノーマ、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、小細胞型リンパ腫、大細胞型リンパ腫、単球性白血病、骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、および多発性骨髄腫が含まれるが、これに限定されない。
【0136】
VI.薬学的組成物および投与
前記抗体は薬学的組成物の形で提供することができる。本開示の薬学的組成物は薬学的に許容される担体を含んでもよい。薬学的に許容される担体は、部分的には、投与されている特定の組成物によって、ならびに組成物を投与するのに用いられる特定の方法によって決定される。従って、本開示の薬学的組成物の多種多様な適切な製剤がある(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1989を参照されたい)。
【0137】
投与に適した製剤には、水溶液および非水溶液、抗酸化物質を含有し得る等張滅菌溶液、緩衝液、静菌剤、および製剤を等張性にする溶質、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液が含まれる。本開示の実施では、組成物は、例えば、経口投与、経鼻投与、局所投与、静脈内投与、腹腔内投与、またはくも膜下腔内投与することができる。化合物の製剤はアンプルおよびバイアルなどのユニットドーズ密閉容器またはマルチドーズ密閉容器に入れて提供することができる。溶液および懸濁液は、以前に述べられた種類の滅菌した散剤、顆粒、および錠剤から調製することができる。モジュレーターもまた、調理済み食品または薬物の一部として投与することができる。
【0138】
患者に投与される用量は、時間が経つにつれて対象において有益な応答をもたらすのに十分でなければならない。どの患者の最適用量レベルも、使用される抗体の効力、患者の年齢、体重、身体活動、および食事を含む様々な要因と、他の薬物との可能性のある組み合わせに左右される。用量はまた、特定の対象における特定の化合物またはベクターの投与に付随する任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定される。
【0139】
投与しようとするαvβ8インテグリンの抗体アンタゴニストの有効量を決定する際に、医師は、アンタゴニストの循環血漿中レベルとアンタゴニスト毒性を評価することがある。一般的に、アンタゴニストの用量当量は、典型的な対象の場合、約1ng/kg~10mg/kgである。一部の態様では、皮下投与またはiv投与の用量範囲は0.1~20mg/kg、例えば、0.3~10mg/kgである。
【0140】
投与の場合、αvβ8インテグリンのアンタゴニストは、対象の集団および健康全般に適用された時には、アンタゴニストのLD50および様々な濃度のアンタゴニストの副作用によって決定される割合で投与することができる。投与は単回量または分割量によって行われてもよい。
【0141】
前記組成物は、ある期間(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは1~3週間またはそれより長く)にわたって定期的に(例えば、毎日)投与されることがある。本明細書に記載の抗体を含む製剤は、製剤がどのように投与されるかに左右されることがある。
【実施例】
【0142】
実施例1 - L229細胞接着の阻害
96ウェル組織培養プレートを、PBSに溶解した1μg/ml LAPでコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。ウェルを2%BSAで37℃でもう1時間ブロックした。SNB19細胞を50k細胞/ウェルでプレートした。ブロッキング条件のために、示された抗体と細胞を4℃で10分間インキュベートした後に、最終プレーティングを行った。非接着細胞を遠心分離によって500rpmで5分間除去した。残っている接着細胞を0.5%クリスタルバイオレットを用いて染色した。2%Triton X-100による可溶化後に細胞の相対数を求めた。全ての測定を3回繰り返して行った。
図1に示したように、ADWA16は、αvβ8発現L229細胞とその主なリガンドであるTGFb1 LAPとの接着の阻害においてADWA11よりも10倍強力であった。
【0143】
実施例2 - 結合の競合
LN-229細胞を10cmディッシュから収集し、PBSに再懸濁した。最初に、細胞を、1μg、3μg、30μg、および100μgの、β8に対する一次抗体(ADWA11、ADWA16)でブロックした。細胞をPBSで洗浄した後に、それに続いて最終1:500希釈度のAPC結合ADWA11とインキュベートした。APC発現についてはBD FACSCantollによって細胞を分析した。
図2Aおよび2Bに示したように、非標識ADWA11は標識ADWA11とαvβ8発現L229細胞との結合において効果的に競合したが、非標識ADWA16は競合しなかった。これにより、2種類の抗体は異なるエピトープを認識することが証明される。
【0144】
実施例3 - 抗体とαvβ8との結合
組換えヒトαvβ8およびマウスαvβ8に対する、ヒト化親和性成熟抗αvβ8 IgG(ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、およびADWA16-4)ならびにキメラバージョンの親ADWA-16マウスIgG(ADWA16-キメラ)の親和性をバイオレイヤー干渉法を用いて測定した。抗ヒトFab-CH1チップにヒト化抗αvβ8 IgG(ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、およびADWA16-4)またはキメラADWA-16をロードし、その後に、ヒトαvβ8またはマウスαvβ8(200nM)との会合工程とそれに続く解離工程を行った。全工程を結合緩衝液(25mM Tris、0.15M NaCl、0.05%Tween-20、pH7.5)中で行った。結合親和性(表2に示した)をカーブフィッティングソフトウェアを用いて計算した。
図3A~3Eは各抗体の会合/解離曲線を示す。
図3A~3Eから分かるように、ヒト化親和性成熟IgG(ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、およびADWA16-4)は、親マウスIgG(ADWA16-キメラ)と同等の、組換えヒトαvβ8に対する親和性を示し、組換えマウスαvβ8に対する親和性を向上させた。
【0145】
【0146】
実施例4 - 抗体と、αvβ8を発現するヒトSNB19星状細胞腫細胞との結合
SNB19ヒト星状細胞腫細胞に対する、ヒト化親和性成熟抗αvβ8 IgG(ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、およびADWA16-4)、キメラバージョンの親ADWA16マウスIgG(ADWA16-キメラ)、ならびにADWA16の親和性をFACSによって測定した。IgGをPBS中で様々な濃度でSNB19細胞とRTで1時間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、蛍光標識抗ヒト(ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、ADWA16-4、およびADWA16-キメラ)または抗マウス(ADWA16)二次抗体とインキュベートした後に2回のPBS洗浄工程とFACSによる分析によって結合を検出した。結合親和性(表3に示した)をカーブフィッティングソフトウェアを用いて計算した。
図4から分かるように、ヒト化親和性成熟IgG(ADWA16-1、ADWA16-2、ADWA16-3、およびADWA16-4)は、親マウスIgG(ADWA16-キメラおよびADWA16)と同等の、細胞表面発現ヒトαvβ8に対する親和性を示した。
【0147】
【0148】
実施例5 - N-グリコシル化部位の除去
ADWA16重鎖CDR2のインシリコ分析によって潜在的なNグリコシル化部位(YINPTTGYTE(SEQ ID NO:2)の配列中にある太字)が明らかになった。ADWA16-3 scFvの酵母表面ディスプレイを用いて、重鎖CDR2の中にある、予測された潜在的なN-グリコシル化部位におけるアミノ酸置換をスクリーニングした。N-グリコシル化部位をNからSに置換すると、ヒトαvβ8に対する同様の結合と、マウスαvβ8に対する(16-3と比べて)向上した結合が起こることが見出された。
【0149】
実施例6 - ADWA16-3、ADWA16-3.2、およびADWA16-キメラとαvβ8との結合
組換えヒトαvβ8およびマウスαvβ8に対する、ヒト化親和性成熟抗αvβ8 IgG(ADWA16-3およびADWA16-3.2)ならびにキメラバージョンの親ADWA16マウスIgG(ADWA16-キメラ)の親和性をバイオレイヤー干渉法を用いて測定した。抗ヒトFab-CH1チップにヒト化抗αvβ8 IgGまたはキメラADWA16をロードし、その後に、ヒトαvβ8またはマウスαvβ8(200nM)との会合工程とそれに続く解離工程を行った。全工程を結合緩衝液(25mM Tris、0.15M NaCl、0.05%Tween-20、pH7.5)中で行った。結合親和性(表4に示した)をカーブフィッティングソフトウェアを用いて計算した。
図5Aおよび5Bに示したように、ヒト化され、親和性成熟され、かつN-グリコシル化部位が除去されたIgG(ADWA16-3.2)は、親マウスIgG(ADWA16-キメラ)と同等の、組換えヒトαvβ8に対する親和性を示し、組換えマウスαvβ8に対する親和性を有意に向上させた。ADWA16-3.2の親和性はADWA16-3と比べても向上した。
【0150】
【0151】
実施例7 - ADWA16-3およびADWA16-3.2、αvβ8を発現するヒトSNB19星状細胞腫細胞
SNB19ヒト星状細胞腫細胞に対する、ヒト化され、親和性成熟された、かつN-グリコシル化部位が除去された抗αvβ8 IgG(ADWA16-3およびADWA16-3.2)の親和性をFACSによって測定した。IgGをPBS中で様々な濃度でSNB19細胞とRTで1時間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、蛍光標識抗ヒト二次抗体とインキュベートした後に2回のPBS洗浄工程とFACSによる分析によって結合を検出した。ADWA16-3は830pMの結合親和性を示し、ADWA16-3.2は512pmの結合親和性を示した。
図6から分かるように、ヒト化された、親和性成熟されたおよびN-グリコシル化部位が除去された抗αvβ8 IgG(ADWA16-3およびADWA16-3.2)は、親マウスIgG(ADWA16-キメラおよびADWA16)と同等の、細胞表面発現ヒトαvβ8に対する親和性を示した。
【0152】
実施例8 - 抗体とマウス星状細胞との結合
マウス星状細胞に対するADWA16、ADWA11、およびADWA16-3.2の親和性をFACSによって測定した。IgGをPBS中で様々な濃度で前記細胞とRTで1時間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、蛍光標識抗ヒト二次抗体または抗マウス二次抗体とインキュベートした後に2回のPBS洗浄工程とFACSによる分析によって結合を検出した。ADWA16-3.2は1.1nMの結合親和性を示し、ADWA11は5.6nMの結合親和性を示した。
図7に示したように、ADWA16-3.2IgGは、親マウスIgG(ADWA16)と比較して、表面発現マウスαvβ8に対する有意に向上した結合を示した。
【0153】
実施例9 - 結合特異性
ADWA16およびADWA16-3.2と細胞表面発現ヒトαvβ3、αvβ5、αvβ6、およびαvβ8との結合をFACSによって試験した。ADWA16-3またはADWA16-3.2のいずれかと、モックトランスフェクトされたSW480細胞(αvβ5インテグリンしか発現しない)を用いてフローサイトメトリーを行った。SW480細胞をαvβ3またはαvβ6を発現もするようにもトランスフェクトした。SNB19細胞はαvβ3、αvβ5、およびαvβ8を発現した。
図8に示したように、ADWA16およびADWA16-3.2は、αvβ3、αvβ5、またはαvβ6を発現するSW480細胞に結合せず、αvβ3、αvβ5、およびαvβ8を発現するSNB19細胞にのみ結合を示した。
【0154】
実施例10 - TGFβ活性化の阻害
96ウェル組織培養プレートの中で、唯一のTGFβ活性化インテグリンとしてαvβ8を発現するSNB19細胞を、ホタルルシフェラーゼを発現させるPAI-1プロモーターのTGFβ応答部分を発現するようにトランスフェクトされたミンク肺レポーター細胞(TMLC細胞)と共に一晩、同時培養した。各実験の開始時に、ADWA16、ADWA16-3、またはADWA16-3.2いずれかの、ある範囲の希釈液を添加した。細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定し、抗体のないTMLCとSNB19細胞の同時培養からのルシフェラーゼ活性の割合としてプロットした。全ての測定を3回繰り返して行った。エラーバーは+/-SEMを示す。ADWA16は364pMのIC
50を示した。ADWA16-3は1360pMのIC
50を示した。ADWA16-3.2は580pMのIC
50を示した。
図9A~9Cに示したように、ADWA16-3およびADWA16-3.2は、TGFβ活性化を阻害するマウス親ADWA16の高い効能を保持した
【0155】
実施例11 - SNB19細胞とTGFβ1-LAPとの接着の阻害
96ウェル組織培養プレートを、PBSに溶解した1μg/ml LAPでコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。ウェルを2%BSAで37℃でもう1時間ブロックした。SNB19細胞を50k細胞/ウェルでプレートした。ブロッキング条件のために、示された抗体と細胞を4℃で10分間インキュベートした後に最終プレーティングを行った。非接着細胞を遠心分離によって500rpmで5分間除去した。残っている接着細胞を0.5%クリスタルバイオレットを用いて染色した。2%Triton X-100による可溶化後に細胞接着を吸光度によって定量した。全ての測定を3回繰り返して行った。エラーバーは+/-SEMを示す。ADWA16は1.1nMのIC
50を示した。ADWA16-3.2は2.1nMのIC
50を示した。
図10Aおよび10Bに示したように、ADWA16-3.2は、SNB19細胞とTGFβ1-LAPとの接着を阻害するのに低ナノモル濃度での効能を保持した。
【0156】
実施例12 - 熱安定性
タンパク質凝集物の表面に結合する分子ローター色素をダラツムマブ、ADWA16-3.2、およびADWA16抗体と混合し、蛍光を連続して読み取りながら温度を3℃/分の速度で30℃から90℃まで上げるようにリアルタイムPCR機器をプログラムした。一次導関数(first derivative)プロットを用いて抗体の凝集温度を計算した。
図11は、ADWA16-3.2が親マウス抗体ADWA-16と比較して向上した熱安定性を示したことを示す。
【0157】
実施例13 - 抗体とヒト星状細胞腫株SNB19との結合
SNB19ヒト星状細胞腫細胞上でのADWA16-3.2およびADWA11の親和性をFACSによって測定した。IgGをPBS中で様々な濃度でSNB19細胞とRTで1時間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、蛍光標識抗ヒト二次抗体とインキュベートした後に2回のPBS洗浄工程とFACSによる分析によって結合を検出した。結合親和性をカーブフィッティングソフトウェアを用いて計算した。ADWA16-3.2およびADWA11は、それぞれ、392pMおよび1040pMのK
D値を示した。結合曲線を
図12に示した。証明されたように、ADWA16-3.2は細胞表面発現ヒトαvβ8に対してADWA11よりも大きな親和性を示した。
【0158】
実施例14 - SNB19細胞とTGFb1 LAPとの接着の阻害
96ウェル組織培養プレートを、PBSに溶解した1μg/ml LAPでコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。ウェルを2%BSAで37℃でもう1時間ブロックした。SNB19細胞を50k細胞/ウェルでプレートした。ブロッキング条件のために。示された抗体と細胞を4℃で10分間インキュベートした後に最終プレーティングを行った。非接着細胞を遠心分離によって500rpmで5分間除去した。残っている接着細胞を0.5%クリスタルバイオレットを用いて染色した。2%Triton X-100による可溶化後に細胞接着を吸光度によって定量した。全ての測定を3回繰り返して行った。エラーバーは+/-SEMを示す。
図13Aおよび13Bに示したように、ADWA16のヒト化誘導体であるADWA16-3.2は、SNB19細胞とTGFb1 LAPとの接着をADWA11よりも大きな効能で阻害した。ADWA11は1435pMのIC
50を示した。ADWA16-3.2は650pMのIC
50を示した。
【0159】
上記の実施例は、本開示を例示するために提供されるが、本開示の範囲を限定するために提供されない。本開示の他のバリアントは当業者に容易に明らかであり、添付の特許請求の範囲に含まれる。本明細書において引用された全ての刊行物、データベース、インターネットソース、特許、特許出願、およびアクセッション番号は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】