IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 何 志忠の特許一覧

特表2024-505020角度を備えるロッキングテーパー型支柱体
<>
  • 特表-角度を備えるロッキングテーパー型支柱体 図1
  • 特表-角度を備えるロッキングテーパー型支柱体 図2
  • 特表-角度を備えるロッキングテーパー型支柱体 図3
  • 特表-角度を備えるロッキングテーパー型支柱体 図4
  • 特表-角度を備えるロッキングテーパー型支柱体 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】角度を備えるロッキングテーパー型支柱体
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545185
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2021096436
(87)【国際公開番号】W WO2022246748
(87)【国際公開日】2022-12-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513200173
【氏名又は名称】何 志忠
【氏名又は名称原語表記】HO, Chih-Chung
【住所又は居所原語表記】No.6-2, Sinsing St., Meinong District, Kaohsiung City, Taiwan, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】何 志忠
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA42
(57)【要約】
角度を備えるロッキングテーパー型支柱体であって、第1部分と、第2部分と、第3部分とを含む。第1部分は、デンタルインプラントの開口部内に設けるためのものである。第2部分は、第1部分の上方に接続され、第2部分は、第1部分に接続される下部領域と、下部領域に接続される中間領域と、中間領域に接続される上部領域とを含み、下部領域は、歯槽骨内に位置し、上部領域は、歯肉内に位置し、且つ上部領域の外周縁に拡張領域が設けられ、第2部分の中間領域又は下部領域は屈曲部を有し、これによってある側の角化歯肉が不足するという問題を効果的に未然に防ぐことができる。第3部分は、第2部分の上部領域に接続され、補綴物を接続させるためのものであり、第3部分に少なくとも1つの断面が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンタルインプラントの開口部内に設けるための第1部分と、
前記第1部分の上方に接続される第2部分であって、前記第1部分に接続される下部領域と、前記下部領域に接続される中間領域と、前記中間領域に接続される上部領域とを含み、そのうち、前記第2部分の前記下部領域は歯槽骨内に位置し、前記上部領域は、歯肉内に位置し、且つ前記上部領域の外周縁に拡張領域が設けられ、前記第2部分の前記中間領域又は前記下部領域は屈曲部を有する前記第2部分と、
前記第2部分の前記上部領域に接続され、補綴物を接続させるための第3部分あって、少なくとも1つの断面が設けられる前記第3部分と、を含む、
角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【請求項2】
前記第1部分は、テーパー状であり、前記デンタルインプラントの前記開口部と締まりばめを形成し、ここで、前記第2部分は、前記第1部分の上方に向かって延在するテーパー状である、請求項1に記載の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【請求項3】
対向側に対する前記断面の角度は0°に近い、請求項1に記載の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【請求項4】
前記屈曲部は、前記第3部分の中心線と前記第1部分の中心線の連結部であり、且つ前記屈曲部の角度は最大25°を超えない、請求項1に記載の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【請求項5】
前記上部領域の外周縁には前記拡張領域が設けられない、請求項1に記載の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【請求項6】
前記第1部分は、テーパー状であり、前記デンタルインプラントの前記開口部と締まりばめを形成し、ここで、前記第2部分は、前記第1部分の上方に向かって延在するテーパー状である、請求項5に記載の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【請求項7】
対向側に対する前記断面の角度は0°に近い、請求項5に記載の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【請求項8】
前記屈曲部は、前記第3部分の中心線と前記第1部分の中心線の連結部であり、且つ前記屈曲部の角度は最大25°を超えない、請求項5に記載の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱体に関し、特に、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体である。
【背景技術】
【0002】
図1が参照されるとおり、ロッキングテーパー(locking taper)という接続はデンタルインプラント2に用いる接続形態の1つである。従来の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体1は、第1部分11と、第2部分12と、第3部分13とを含む。従来のデンタルインプラント2は開口部21を含む。そのうち、第1部分11は、デンタルインプラント2の開口部21内に設けるためのものである。第2部分12は、下部領域121と、中間領域122と、上部領域123とを含む。下部領域121は第1部分11に接続され、中間領域122は下部領域121に接続され、上部領域123は中間領域122に接続される。第2部分12の下部領域121は歯槽骨100内に位置し、上部領域123は歯肉101内に位置し、且つ上部領域123の外周縁に拡張領域124が設けられる。第3部分13は第2部分12の上部領域123に接続され、補綴物10(例えば、義歯)を接続させるためのものであり、且つ第3部分13の角度θ1は約6°~8°である。
【0003】
また図1が参照されるとおり、デンタルインプラント2の埋込角度が優れず、角度を備える支柱体を使用しなければならない時には、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体1の第3部分13の第2部分12につながる屈曲部の角度は最大25°を超えず、それは、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体1の屈曲部が拡張領域124の上方に位置するため、第2部分12は左側の歯102に近すぎ、当該屈曲部の角化歯肉101が不足し、炎症を起こしやすいためである。
【0004】
さらに、従来の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体1とデンタルインプラント2を結合させる時には、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体1の第1部分11がテーパー状となる角度が約1°~1.5°であり、且つ第1部分11の角度bがデンタルインプラント2の開口部21の角度aよりわずかに大きいという構造を利用すれば、効果的にロッキングして結合させることができる。このようなねじなしの接続は良好な細菌封鎖性を有するため、デンタルインプラント2を歯槽骨100内に2mm~3mmほど埋め込んでも接続部以上の骨は損傷されずにすむのだから、ロングタイプの支柱体は臨床でよく利用されている。
【0005】
そこで、新規性と進歩性を有する角度を備えるロッキングテーパー型支柱体を提供して、上記の問題を解決する必要があり、更なる改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、従来の当該角度を備えるロッキングテーパー型支柱体から生じる問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するために、第1部分と、第2部分と、第3部分とを含む、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体を提供する。当該第1部分は、デンタルインプラントの開口部内に設けるためのものである。当該第2部分は、当該第1部分の上方に接続され、当該第2部分は、当該第1部分に接続される下部領域と、当該下部領域に接続される中間領域と、当該中間領域に接続される上部領域とを含み、そのうち、当該第2部分の当該下部領域は歯槽骨内に位置し、当該上部領域は、歯肉内に位置し、且つ当該上部領域の外周縁に拡張領域が設けられ、当該第2部分の当該中間領域又は当該下部領域は屈曲部を有する。当該第3部分は、当該第2部分の当該上部領域に接続され、補綴物を接続させるためのものであり、当該第3部分に少なくとも1つの断面が設けられる。
【0008】
さらに、当該第1部分は、テーパー状であり、当該デンタルインプラントの当該開口部と締まりばめを形成し、ここで、当該第2部分は、当該第1部分の上方に向かって延在するテーパー状である。
【0009】
さらに、対向側に対する当該断面の角度は0°に近い。
【0010】
さらに、当該屈曲部は、当該第3部分の中心線と当該第1部分の中心線の連結部であり、且つ当該屈曲部の角度は最大25°を超えない。
【0011】
さらに、当該上部領域の外周縁には当該拡張領域が設けられない。
【0012】
さらに、当該第1部分は、テーパー状であり、当該デンタルインプラントの当該開口部と締まりばめを形成し、ここで、当該第2部分は、当該第1部分の上方に向かって延在するテーパー状である。
【0013】
さらに、対向側に対する当該断面の角度は0°に近い。
【0014】
さらに、当該屈曲部は、当該第3部分の中心線と当該第1部分の中心線の連結部であり、且つ当該屈曲部の角度は最大25°を超えない。
【発明の効果】
【0015】
上記に開示される本発明は、従来技術と比べて次の特徴を有する。
1.本発明の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体は、屈曲部が第2部分の中間領域又は下部領域に位置してもよいため、ある側の角化歯肉が不足するという問題を効果的に未然に防ぐことができる。
【0016】
2.本発明では、第3部分が、第2部分の上部領域の上方に向かって少なくとも1つの断面だけ延在しており、対向側に対する断面の角度は0°に近く、従来の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体の第3部分の角度が6°に近いのと違い、対向側に対する第3部分の断面の角度は0°に近いのは角度を備えるロッキングテーパー型支柱体の補綴物(例えば、義歯)との保持力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体が、埋込角度が優れないデンタルインプラントに取り付けられたことの模式図である。
図2】本発明の第1実施例の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体及びデンタルインプラントの模式図である。
図3図2の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体の斜視図である。
図4】本発明の第2実施例の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体及びデンタルインプラントの模式図である。
図5図4の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の構造の組み立て方、使い方を詳細に説明し、これにより本発明の目的、技術内容、特徴及びそれによって達成される効果が一層知りやすくなるだろう。
【0019】
図2及び図3が参照されるとおり、本発明によって提供される角度を備えるロッキングテーパー型支柱体の第1実施例として、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体3は、第1部分31と、第2部分32と、第3部分33とを含む。第1部分31は、デンタルインプラント4の開口部41内に設けるためのものである。当実施例では、第1部分31は完全にデンタルインプラント4の開口部41内に設けられる。第1部分31のテーパー状となる角度は約1°~1.5°であり、デンタルインプラント4の開口部41と締まりばめが形成され、且つ第1部分31の角度dはデンタルインプラント4の開口部41の角度cよりわずかに大きい。第1部分31は特定のサイズのデンタルインプラント4の開口部41としか結合しない。
【0020】
また図2及び図3が参照されるとおり、第2部分32は、第1部分31の上方に接続される。第2部分32は、下部領域321と、中間領域322と、上部領域323とを含む。そのうち、下部領域321は、第1部分31に接続される。中間領域322は、下部領域321に接続される。上部領域323は、中間領域322に接続される。下部領域321、中間領域322及び上部領域323は、下部から上部へと延在するテーパー状であり、これにより第3部分33に接続されやすい。また、第2部分32の下部領域321は歯槽骨6内に位置し、上部領域323は、歯肉60内に位置し、且つ上部領域323の外周縁に拡張領域324が設けられる。
【0021】
また図2及び図3が参照されるとおり、第3部分33は、第2部分32の上部領域323に接続され、補綴物5(例えば、義歯)を接続させるためのものである。第3部分33は、第2部分32の上部領域323の上方に向かって延在し、第3部分33に少なくとも1つの断面331が設けられ、対向側に対する断面331の角度は0°に近く、従来の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体1の第3部分13の角度θ1が6°に近いのと違い、対向側に対する第3部分33の断面331の角度が0°に近いので、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体3の補綴物5との保持力を高めることができる。
【0022】
さらに、また図2が参照されるとおり、本発明の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体3は、埋込角度が優れないデンタルインプラント4に用いることができ、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体3の屈曲部は第2部分32の中間領域322又は下部領域321に位置してもよく、当該屈曲部は第3部分33の中心線と第1部分31の中心線の連結部であり、且つ当該屈曲部の角度θ2は最大25°を超えない。組み付ける時には、第1部分31が斜めになるようデンタルインプラント4の上方の開口部41内に設けられ、これによって第2部分32の上部領域323及び第3部分33は直立する状態となり、第3部分33を補綴物5に接続させることができるようになり、こうなれば第2部分32の歯肉60での位置を効果的に調整することで、角度を備えるロッキングテーパー型支柱体3は左側の歯7とはそれほど近くないようになる。
【0023】
図4及び図5が参照されるとおり、本発明の角度を備えるロッキングテーパー型支柱体3の第2実施例は、図2に示される角度を備えるロッキングテーパー型支柱体3とほぼ同じであり、ただし、上部領域323の外周縁に当該拡張領域が設けられず、第2部分32の上部領域323の外周縁には、角化歯肉60に対してより大きな空間が提供されるという点で異なる。
【0024】
前述したのは本発明の好ましい実施例に過ぎず、その目的は、本発明の実施の範囲を限定するのではなく、当業者が本発明の内容を把握してそれに基づいて実施できるようにすることである。そのために、本発明の特許請求の範囲に記載の形状、構造及び特徴に基づいて均等な変化又は変更を行った場合、そのいずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0025】
1 ロッキングテーパー型支柱体
10 補綴物
100 歯槽骨
101 歯肉
102 歯
11 第1部分
12 第2部分
121 下部領域
122 中間領域
123 上部領域
124 拡張領域
13 第3部分
2 デンタルインプラント
21 開口部
3 ロッキングテーパー型支柱体
31 第1部分
32 第2部分
321 下部領域
322 中間領域
323 上部領域
324 拡張領域
33 第3部分
331 断面
4 デンタルインプラント
41 開口部
5 補綴物
6 歯槽骨
60 歯肉
7 歯
a 角度
b 角度
c 角度
d 角度
θ1 角度
θ2 角度
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】