(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】外科用インプラントのラチェットドライブ送達
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545292
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2022050655
(87)【国際公開番号】W WO2022162535
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】アール.ミッチェル シェリー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB04
4C097MM09
4C097SA10
(57)【要約】
ラチェットドライブを使用して眼にインプラントを送達するための装置。眼にインプラントを送達するための装置のいくつかの実施形態は、インプラントに結合されるように構成された歯車ラックと、前進歯車ホイールと、前進歯車ホイールと噛合した入力歯車ホイールと、入力歯車ホイールと噛合したアイドラ歯車ホイールと、アイドラ歯車ホイールと噛合した後退歯車ホイールとを含み得る。作動レバーは、入力歯車ホイールを回転させるように構成され得る。いくつかの実施形態は、前進歯車ホイール及び後退歯車ホイールを歯車ラックに選択的に係合させるように操作可能なピボットアームを更に含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼にインプラントを送達するための装置であって、
前記インプラントに結合されるように構成された歯車ラックと、
前進歯車ホイールと、
前記前進歯車ホイールと噛合した入力歯車ホイールと、
前記入力歯車ホイールを回転させるように構成された作動レバーと、
前記入力歯車ホイールと噛合したアイドラ歯車ホイールと、
前記アイドラ歯車ホイールと噛合した後退歯車ホイールと、
前記前進歯車ホイール及び前記後退歯車ホイールを前記歯車ラックに選択的に係合させるように操作可能なピボットアームと、
を含む、装置。
【請求項2】
前記作動レバーと前記入力歯車ホイールとに結合されたラチェットホイールを更に含み、前記ラチェットホイールは、前記作動レバーが前記入力歯車ホイールを一方向にのみ回転させることを可能にするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記作動レバーを前記入力歯車ホイールに結合する入力シャフトを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ピボットアームは、前記入力シャフトを中心に旋回可能な、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ピボットアームは、前記入力シャフトに取り付けられている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記ピボットアームは、第1の位置と第2の位置との間で回転するように動作可能で、
前記第1の位置では、前記前進歯車ホイールを前記歯車ラックに係合し、
前記第2の位置では、前記後退歯車ホイールを前記歯車ラックに係合する、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ピボットアームを前記第1の位置に戻すように構成されたばねを更に含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
眼にインプラントを送達するための装置であって、
前記インプラントに結合されるように構成された歯車ラックと、
前記歯車ラックと噛合した前進歯車ホイールと、
前記前進歯車ホイールと噛合した入力歯車ホイールと、
前記入力歯車ホイールに結合されたラチェットホイールと、
前記ラチェットホイールを一方向にのみ回転させ、それにより、前記入力歯車ホイール及び前記前進歯車ホイールを回転させて、前記歯車ラックを前進させるように構成された作動レバーと、
を含む、装置。
【請求項9】
前記入力歯車ホイールと噛合したアイドラ歯車ホイールと、
前記アイドラ歯車ホイールと噛合した後退歯車ホイールと、
前記前進歯車ホイール及び前記後退歯車ホイールを前記歯車ラックに選択的に係合させるように操作可能なピボットアームと、
を更に含む、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記作動レバーを前記入力歯車ホイールに結合する入力シャフトを更に含む、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記ピボットアームは、前記入力シャフトを中心に旋回可能な、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ピボットアームは、前記入力シャフトに取り付けられている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記ピボットアームは、第1の位置と第2の位置との間で回転するように動作可能で、
前記第1の位置では、前記前進歯車ホイールを前記歯車ラックに係合し、
前記第2の位置では、前記後退歯車ホイールを前記歯車ラックに係合する、
請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記ピボットアームを前記第1の位置に戻すように構成されたばねを更に含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
送達ルーメンを有するノズルと、
前記ノズルに結合されたインプラント区画と、
前記インプラント区画内の前記インプラントに前記歯車ラックを結合し、前記インプラントを前記送達ルーメンに前進させるように構成されたプッシュロッドと、
を更に含む、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、発明者がR.Mitchell Sherryである、2021年1月29日に出願された「RATCHET DRIVE DELIVERY FOR SURGICAL IMPLANTS」という名称の米国仮特許出願第63/143,091号明細書の優先権の利益を主張するものであり、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載する本発明は、概して、眼科手術に関する。より詳細には、限定はしないが、特許請求の対象は、眼にインプラントを挿入するためのシステム、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は、軽度の劣化から視力の完全な喪失までを引き起こす多くの疾患に罹患する可能性がある。コンタクトレンズ及び眼鏡は、一部の疾患を補うことができるが、他の場合には眼科手術が必要になり得る。いくつかの例では、インプラントが有益である又は望ましい場合がある。例えば、眼内レンズは、眼内の濁った天然水晶体に取って代わり、視力を改善することができる。
【0004】
眼内レンズ及び他のインプラントの利点は既知であるが、送達システム、構成要素及びプロセスの改善は、結果を改善し、患者に利益をもたらすために継続されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
眼科手術のための新規且つ有用なシステム、装置、及び方法を添付の特許請求の範囲に記載する。特許請求の対象を当業者が作製及び使用することを可能にするために、例示的な実施形態も提供する。
【0006】
いくつかの実施形態は、プランジャ又は他のタイプのプッシュロッドを円滑且つ確実に駆動することができる、再利用可能又は使い捨ての、手動操作式の、片手式送達デバイスを提供し得る。例えば、例示的な装置は、レバー操作式ラチェット機構によって駆動され得る歯車式駆動機構を含み得る。いくつかの実施形態は、とりわけ、駆動歯車及び従動歯車、アイドラ歯車、作動レバー、駆動爪及び後退防止爪、レバーを開始位置に戻すためのばね、及び前進/後退スイッチを組み込み得る。いくつかの実施形態では、レバーは、いずれかの手の人差し指によって手動で操作され得る。
【0007】
更に特定の例では、送達装置は、ピボットプレートに取り付けられた歯車の集合体と、レバーと、歯車ラックの直線運動を生成するラチェットとを含み得る。直線運動により、プランジャ又はロッドを駆動してインプラントを前進させることができる。いくつかの実施形態では、装置は、インプラントと接続して、インプラントを送達のために準備することができる。例えば、プランジャは、眼にインプラントを前進させる前に、インプラントを折り畳んでもよい。歯車機構は、前進歯車とアイドラ歯車とに噛合する駆動歯車を含んでもよい。アイドラ歯車は、ひいては、後退歯車と噛合してもよい。レバーは、ラチェット機構と相互作用して駆動歯車を回転させ、動作中における一方向のみへの確実な駆動を保証し得る。駆動爪及び任意の後退防止爪は、ラチェットを制御することができる。ばねは、レバーが解除された場合に開始位置に戻すために用いられ得る。いくつかの実施形態では、手動操作式スイッチは、意図した歯車が歯車ラックと係合するようにピボットプレートを回転させることによって、移動方向(すなわち、前進又は後退)を決定することができる。
【0008】
より一般には、眼にインプラントを送達するための装置のいくつかの実施形態は、インプラントに結合されるように構成された歯車ラックと、前進歯車ホイールと、前進歯車ホイールと噛合した入力歯車ホイールと、入力歯車ホイールと噛合したアイドラ歯車ホイールと、アイドラ歯車ホイールと噛合した後退歯車ホイールとを含み得る。作動レバーは、入力歯車ホイールを回転させ、それにより、他の歯車に歯車ラックを移動させるように構成され得る。いくつかの実施形態は、前進歯車ホイール及び後退歯車ホイールを歯車ラックに選択的に係合させるように操作可能なピボットアームを更に含み得る。
【0009】
更なる特定の実施形態では、装置は、作動レバーと入力歯車ホイールとに結合されたラチェットホイールを含み得る。ラチェットホイールは、作動レバーが入力歯車ホイールを一方向にのみ回転させることを可能にするように構成され得る。入力シャフトは、いくつかの実施形態では、作動レバーを入力歯車ホイールに結合することができ、ピボットアームは、入力シャフトを中心に旋回可能である。例えば、ピボットアームは、第1の位置と第2の位置との間で回転するように動作可能である。第1の位置では、前進歯車ホイールを歯車ラックに係合することができ、第2の位置では、後退歯車ホイールを歯車ラックに係合することができる。いくつかの実施形態は、ピボットアームを第1の位置に戻すように構成されたばねを含み得る。
【0010】
更なる特定の実施形態は、送達ルーメンを有するノズルと、ノズルに結合されたインプラント区画と、インプラント区画内のインプラントに歯車ラックを結合するように構成されたプッシュロッドとを更に含み得る。プッシュロッドはまた、インプラントを送達ルーメンに前進させるように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素及び態様はまた、省略すること、組み合わせること、又は代替的な特徴に置換することができる。他の特徴、目的、利点、並びに特許請求の対象を作製及び使用する好ましい態様は、例示的な実施形態の添付図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0012】
添付図面は、いくつかの目的、利点並びに特許請求の対象のいくつかの実施形態を作製及び使用する好ましい態様を示す。例において、同様の参照番号は、同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、眼にインプラントを送達するための例示的な装置の等角図である。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態と関連し得る駆動アセンブリの追加の詳細を示す、
図1の例示的な装置の一部分の等角図である。
【
図3】
図3は、駆動アセンブリのいくつかの実施形態と関連し得る追加の詳細を示す、
図1の例示的な装置の一部分の別の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の例示的な実施形態の記載は、添付の特許請求の範囲に記載される対象を当業者が作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当技術分野で既に公知の特定の詳細は省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、例示的なものであり、限定的なものではないものと解釈される。
【0015】
例示的な実施形態は、添付図面に描かれた様々な要素間の空間的関係又は様々な要素の空間的方向を参照して本明細書に記載されることもある。一般に、そのような関係又は方向は、インプラントを受け入れる姿勢にある患者に一致する又はこれに対する座標系を想定する。しかしながら、当業者には理解されるように、この座標系は、厳密な規定ではなく、単に記述的な便宜上のものである。
【0016】
図1は、眼にインプラントを送達することができる装置100の一例の等角図である。いくつかの実施形態では、装置100は2つ以上のモジュールを含み得、これらのモジュールは、保管、組み立て、使用及び廃棄のために、適宜、結合及び分離されるように構成することができる。例えば、
図1に示されるように、装置100のいくつかの実施形態は、ノズル105と、ノズル105に結合されたインプラント区画110と、インプラント区画110に結合されたアクチュエータ115とを含み得る。
【0017】
ノズル105は、概して、切開を通した眼への挿入用に適合された先端120を含む。先端120の大きさは、必要に応じて、外科的要件及び技術に適合され得る。例えば、治癒時間を短縮又は最小化するために、小さい切開が概して好ましい。いくつかの例では、3ミリメートル未満の切開が好ましいことがあり、いくつかの実施形態では、ノズル105の先端120は、3ミリメートル未満の幅を有し得る。
【0018】
インプラント区画110は、概して、眼内への送達前にインプラントを格納するのに適した多様な装置を表す。いくつかの実施形態において、インプラント区画110は、追加的に又は代替的に、送達のためにインプラントを準備するように構成され得る。例えば、インプラント区画110のいくつかの実施形態は、アクチュエータ115のその後の動作による送達のためにインプラントを準備するように、外科医又は他のオペレータによって作動されるように構成され得る。いくつかの例では、インプラント区画110は、インプラントをノズル105内に前進させる前にインプラントの特徴を能動的に変形、伸長、拡張、又は他の手法で操作するように構成され得る。例えば、インプラント区画110は、眼内レンズの支持部などの1つ以上の特徴を伸ばす又は広げるように構成され得る。
【0019】
アクチュエータ115は、概して、インプラントをインプラント区画110からノズル105に、その後、ノズル105から切開を通して眼内に前進させるように構成されている。
図1の例では、アクチュエータ115は、ハウジング125と、作動レバー130と、ロッカスイッチ135とを更に含む。作動レバー130及びロッカスイッチ135は、オペレータがアクチュエータ115を手動で動作することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータ115は、作動レバー130とハウジング125とに結合され得る戻りばね140を更に含み得る。
【0020】
概して、装置100の構成要素は、直接的又は間接的に結合され得る。例えば、ノズル105は、インプラント区画110に直接結合され得、インプラント区画110を介してアクチュエータ115に間接的に結合され得る。結合は、流体的、機械的、熱的、電気的若しくは化学的結合(化学的付着など)、又はいくつかの状況においては結合のいくつかの組み合わせを含み得る。例えば、インプラント区画110は、アクチュエータ115に機械的に結合され得、ノズル105に機械的及び流体的に結合され得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、物理的近接、単一構造体に対する一体化、又は同一材料片からの形成によっても結合され得る。
【0021】
図2は、いくつかの実施形態と関連し得る追加の詳細を示す、ハウジング125の一部分を取り外した状態の
図1の装置100の等角図である。
図2の例に示されるように、いくつかの実施形態では、ハウジング125は、プッシュロッド205及び駆動アセンブリ210を収容し得る。プッシュロッド205は、概して、医療グレードのポリマー材料などの実質的に剛性の材料から構成される。ハウジング125は、駆動アセンブリ210を少なくとも部分的に支持し得る。例えば、
図2において、駆動アセンブリ210は、駆動アセンブリ210を支持するためにハウジング125に結合され得る入力シャフト215を含む。
【0022】
図3は、駆動アセンブリ210のいくつかの実施形態と関連し得る追加の詳細を示す、ハウジング125の残りの部分を取り外した状態の
図2の装置100の等角図である。
図3の例に示されるように、いくつかの実施形態は、歯車ラック305と、前進歯車ホイール310と、入力歯車ホイール315と、アイドラ歯車ホイール320と、後退歯車ホイール325と、ピボットアーム330とを含み得る。
【0023】
ピボットアーム330は、入力シャフト215を中心に旋回又はそうでなければ回転可能である。いくつかの実施形態では、ピボットアーム330は、入力シャフト215に回転可能に取り付けられ得る。例えば、ピボットアーム330は、オペレータがピボットアーム330を回転させるために作動させることができるロッカスイッチ135に結合され得る。戻りばね335は、ロッカスイッチ135が停止された場合に、ピボットアーム330を戻すように構成され得る。例えば、戻りばね335の一端は、ハウジング125(図示せず)によって支持されてもよく、他端は、
図3に示されるように、ピボットアーム330に結合されてもよい。これにより、ピボットアーム330を静止位置に回転させるための復元力を提供することができる。
【0024】
図4A及び
図4Bは、異なる位置における
図3の駆動アセンブリ210の背面図である。
図4A及び
図4Bの例に示されるように、前進歯車ホイール310、アイドラ歯車ホイール320、及び後退歯車ホイール325は、ピボットアーム330に回転可能に取り付けられ得る。ピボットアーム330は、前進歯車ホイール310及び後退歯車ホイール325を歯車ラック305に対して選択的に係合及び係合解除可能であり得る。例えば、ピボットアーム330は、入力シャフト215に回転可能に取り付けられてもよく、ロッカスイッチ135を作動させて、ピボットアーム330を、
図4Aに示される第1の位置と
図4Bに示される第2の位置との間で、入力シャフト215の周りで回転させることができる。
【0025】
入力シャフト215は、作動レバー130を入力歯車ホイール315に結合し得る。例えば、
図4A及び
図4Bに示されるように、駆動アセンブリ210のいくつかの実施形態は、作動レバー130と入力歯車ホイール315とを間接的に結合するラチェットホイール405を含み得る。いくつかの実施形態では、爪410によりラチェットホイール405を作動レバー130に間接的に結合してもよい。ラチェットホイール405は、作動レバー130が入力歯車ホイール315を一方向にのみ回転させることを可能にするように構成されてもよい。例えば、
図4A及び
図4Bでは、入力歯車ホイール315及びラチェットホイール405は、入力シャフト215と入力歯車ホイール315とラチェットホイール405とが同時に回転するように、入力シャフト215に対して強固に結合又はそうでなければ回転可能に取り付けられ得る。第1の方向(
図4A及び
図4Bの例では下方)における作動レバー130の動きにより、爪410をラチェットホイール405上の非対称歯に係合させることができ、これにより第1の方向(
図4A及び
図4Bの例では時計回り方向)におけるラチェットホイール405の回転を生じさせることができる。
図4A及び
図4Bの例では、第1の方向におけるラチェットホイール405の回転は、第1の方向における入力シャフト215及び入力歯車ホイール315の回転も生じさせることができる。作動レバー130の反対の動きにより、爪410をラチェットホイール405上の非対称歯の上で摺動させ、ラチェットホイール405、入力シャフト215、及び入力歯車ホイール315の反対の動きを実質的に低減又は防止することができる。
【0026】
図4Aでは、ピボットアーム330は第1の位置に示されている。
図4Aの第1の位置において、前進歯車ホイール310は、歯車ラック305と噛合又はそうでなければ係合され得、入力歯車ホイール315は、前進歯車ホイール310と噛合され得る。アイドラ歯車ホイール320は、入力歯車ホイール315と噛合され得、後退歯車ホイール325は、アイドラ歯車ホイール320と噛合され得る。後退歯車ホイール325は、
図4Aの例に示されるピボットアーム330の第1の位置においては歯車ラック305から係合解除されている。
【0027】
ピボットアーム330が
図4Aの第1の位置にある状態で、前進歯車ホイール310は歯車ラック305に係合し、後退歯車ホイール325は係合解除されている。この第1の位置において、前進歯車ホイール310(すなわち、
図4Aの向きにおいて前方又は下方)に向けた作動レバー130の動きにより、爪410をラチェットホイール405に係合させ、ラチェットホイール405を第1の方向(すなわち、
図4Aの向きにおいて時計回り方向)に回転させ、それにより、入力シャフト215及び入力歯車ホイール315も同じ方向に回転させる。第1の方向における入力歯車ホイール315の回転は、同時に、前進歯車ホイール310を反対方向(すなわち、
図4Aの向きにおける反時計回り方向)に回転させる。
図4Aの例のように歯車ラック305に係合している間のこの方向における前進歯車ホイール310の回転は、歯車ラック305を第1の方向(すなわち、
図4Aの向きにおいて右方向)に前進させる。作動レバー130の動きを反転させ、適宜、作動レバー130をリセットし、歯車ラック305の更なる前進を可能にすることができる。
図4Aの例において、爪410は、作動レバー130が逆方向に動くときに、入力シャフト215の回転を生じさせることなく、ラチェットホイール405の歯の上を摺動することができる。いくつかの実施形態では、戻りばね140は、作動レバー130を反転させ、リセットすることができる。
【0028】
ピボットアーム330が
図4Bの第2の位置にある状態で、前進歯車ホイール310は歯車ラック305から係合解除され、後退歯車ホイール325は歯車ラック305に係合している。この第2の位置において、前進歯車ホイール310に向けた作動レバー130の動きは、爪410をラチェットホイール405に係合させ、ラチェットホイール405を第1の方向に回転させ、それにより、入力シャフト215及び入力歯車ホイール315も同じ方向に回転させることができる。第1の方向における入力歯車ホイール315の回転は、同時に、アイドラ歯車ホイール320を反対方向に回転させることができ、これによりひいては、後退歯車ホイール325を入力歯車ホイール315と同じ方向に回転させることができる。
図4Bの例のように歯車ラック305に係合している間のこの方向における後退歯車ホイール325の回転は、歯車ラック305を第2の方向に後退させ、それにより
図4Aの例における動きの方向を反転させることができる。
【0029】
戻りばね335は、ロッカスイッチ135が停止された場合に、前進歯車ホイール310を歯車ラック305に戻し、後退歯車ホイール325を係合解除するために、ピボットアーム330に復元力を与えることができる。
【0030】
図5A~
図5Bは、装置100からインプラント500を排出する例示的な方法を示す概略図である。最初に、システムの様々な構成要素が、必要に応じて又は適宜、組み立てられ得る。
図5A~
図5Bの例では、ノズル105とインプラント区画110とアクチュエータ115とは互いに固定されて一体構造を形成している。他の実施形態では、装置100は2つ以上のモジュールを含み得、これらのモジュールは、保管、組み立て、使用及び廃棄のために、適宜、結合及び分離されるように構成することができる。
【0031】
図5Aの例に示されるように、インプラント500は、最初に、インプラント区画110内に格納され得る。歯車ラック305は、インプラント区画110内のインプラント500に結合されるように構成され得る。例えば、歯車ラック305は、プッシュロッド205を介してインプラント500に間接的に結合され得る。他の例では、歯車ラック305は、インプラント500に直接結合されるように構成され得る。
図5Aの例に示されるように、プッシュロッド205の少なくとも一部分は、インプラント区画110に延び得る。いくつかの実施形態では、プッシュロッド205は、インプラント区画110内のインプラント500に係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、インプラント500は、眼の天然水晶体の形状と同様の形状を有する眼内レンズを含み得、多数の材料から作製され得る。好適な材料の例としては、シリコーン、アクリル、及びそのような好適な材料の組み合わせが挙げられ得る。いくつかの例では、インプラント500は、流体が充填された調節型眼内レンズなどの、流体が充填された眼内レンズを含み得る。インプラント500はまた、支持部などの、眼内で眼内レンズを位置決めするための1つ以上の特徴を含む眼内レンズを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、インプラント区画110は、追加的に又は代替的に、送達のためにインプラント500を準備するように構成され得る。例えば、インプラント区画110のいくつかの実施形態は、インプラント500をアクチュエータ115のその後の動作による送達のために準備するように、外科医又は他のオペレータによって作動されるように構成され得る。いくつかの例では、インプラント区画110は、インプラント500をノズル105内に前進させる前に、インプラント500の特徴を能動的に変形、伸長、拡張、又は他の手法で操作するように構成され得る。例えば、インプラント区画110のいくつかの実施形態は、インプラントを方向付ける又は折り畳むように構成され得る。インプラント500のいくつかの実施形態は、送達のために方向付けられ得る1つ以上の支持部を含み得る。
【0033】
プッシュロッド205は、概して、インプラント区画110からノズル105の送達ルーメン505にインプラント500を前進させるように構成されている。例えば、前進歯車ホイール310が歯車ラック305に係合している場合、歯車ラック305は、
図4Aを参照して説明したように、実質的に前進することができ、これにより、プッシュロッド205を
図5Aに示される第1の位置から
図5Bに示される第2の位置に前進させることができる。プッシュロッド205の前進により、更に、示されるように、インプラント500をインプラント区画110から送達ルーメン505に前進させることができる。
【0034】
図6A~
図6Bは、眼600にインプラント500を送達するための装置100の例示的な使用を更に示す概略図である。示されるように、例えば、外科医によって眼600内に切開605が作成され得る。いくつかの例では、切開605は、眼600の強膜610を通して作成され得る。他の例では、切開は、眼600の角膜615に形成され得る。切開605は、インプラント500を水晶体嚢620内に送達するために、ノズル105の一部の挿入を可能にするようなサイズにされ得る。例えば、いくつかの例では、切開605のサイズは、約3000ミクロン(3ミリメートル)未満の長さを有し得る。他の例では、切開605は、約1000ミクロン~約1500ミクロン、約1500ミクロン~約2000ミクロン、約2000ミクロン~約2500ミクロン又は約2500ミクロン~約3000ミクロンの長さを有し得る。
【0035】
切開605の作成後、ノズル105は、切開605を通して眼600の内部部分625に挿入することができる。その後、装置100は、
図5A及び
図5Bを参照して実質的に説明したように、ノズル105を通して眼600の水晶体嚢620内にインプラント500を排出することができる。
図6A及び
図6Bの例では、インプラント500は、光学体630と、前支持部635と、後支持部640とを有する眼内レンズを例示する。いくつかの用途では、インプラント500は、
図6Bに示すように、前支持部635及び後支持部640の一方又は両方が展開された構成である、直線状構成で送達されてもよく、水晶体嚢620内で、前支持部635及び後支持部640が光学体630の周囲で少なくとも部分的に湾曲している、初期の静止状態に戻ることができる。水晶体嚢620は、光学体630が網膜(図示せず)に向けられた光を屈折するような眼600に対する関係性で眼600内にインプラント500を保持することができる。前支持部635及び後支持部640は、水晶体嚢620に係合して、水晶体嚢620の中にインプラント500を固定することができる。インプラント500を水晶体嚢620内に送達した後、ノズル105は切開605を通して眼600から除去することができ、眼600は、一定期間かけて治癒され得る。
【0036】
本明細書に記載されるシステム、装置及び方法は、顕著な利点を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態は、眼内レンズを送達するのに特に有利な場合がある。いくつかの実施形態のより具体的な利点としては、第2の手を他の外科用器具のために空けることができる片手操作を容易にし、これによりひいては、外科的処置に必要なスタッフの数を潜在的に削減できることが挙げられ得る。いくつかの実施形態は、送達制御を高め、スティックスリップを実質的に低減又は除去することができ、これによりインプラントのより円滑な送達を可能にすることができる。追加的又は代替的に、いくつかの実施形態は、送達手順の制御を更に高めることができる片手式反転駆動機構を提供し得る。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態に示されているが、当業者であれば、本明細書に記載されるシステム、装置及び方法は、添付の特許請求の範囲内の範囲に入る様々な変更形態及び修正形態が可能であることを認識するであろう。更に、「又は」等の用語を用いた様々な代替形態の記載は、文脈によって明らかに要求されない限り、相互排他性を必要とせず、また不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、文脈によって明らかに要求されない限り、対象を単一の例に限定するものではない。販売、製造、組み立て又は使用を目的として、構成要素を様々な構成で組み合わせる又は排除することもできる。例えば、いくつかの構成では、ノズル105、インプラント区画110、及びアクチュエータ115は、それぞれ製造又は販売のために、互いに分離することができる又は様々な手法で組み合わせることができる。
【0038】
特許請求の範囲は、特に詳細に記載されていない追加の対象も包含することができる。例えば、特定の特徴、要素又は態様は、新規且つ発明的な特徴を当業者に既に周知のものと区別するために必要でない場合には、特許請求の範囲から省略されることがある。いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素及び態様は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、省略すること、組み合わせること、又は同一の、同等な若しくは同様の目的を果たす代替の特徴によって置換することもできる。
【国際調査報告】