(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】伸縮性不織布、伸縮性不織布の製造方法、及び伸縮性不織布を含む物品
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20240126BHJP
D04H 3/007 20120101ALI20240126BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/007
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545350
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2021016784
(87)【国際公開番号】W WO2022163980
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0012489
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504092127
【氏名又は名称】トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・ヨル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ド・キュン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】グン・シク・ジョン
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA14
4L047AB03
4L047AB10
4L047CA05
4L047CA19
4L047CB01
4L047CB10
4L047CC03
4L047CC12
4L047EA05
(57)【要約】
伸縮性不織布、伸縮性不織布の製造方法、及び伸縮性不織布を含む物品を提供する。該伸縮性不織布は、MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上である、伸縮性不織布。
【請求項2】
前記伸縮性不織布は、単層または複数層のスパンボンド不織ウェブを含む、請求項1に記載の伸縮性不織布。
【請求項3】
前記スパンボンド不織ウェブは、ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部を含む、請求項2に記載の伸縮性不織布。
【請求項4】
前記伸縮原料は、0.860~0.870g/cm
3の密度を有するポリプロピレン85~90重量部及びポリエチレン10~15重量部を含む共重合体樹脂を含む、請求項3に記載の伸縮性不織布。
【請求項5】
前記伸縮原料は、0.860~0.870g/cm
3の密度を有するポリプロピレン86.5~93重量部及びポリエチレン7~13.5重量部を含む共重合体樹脂を含む、請求項4に記載の伸縮性不織布。
【請求項6】
前記伸縮性不織布は、2層のスパンボンド不織ウェブを含む、請求項2に記載の伸縮性不織布。
【請求項7】
前記伸縮性不織布は、一対のスパンボンド不織ウェブ及びそれらの間に介在されたメルトブローン不織ウェブを含む、請求項6に記載の伸縮性不織布。
【請求項8】
前記メルトブローン不織ウェブは、ポリプロピレンを含む、請求項7に記載の伸縮性不織布。
【請求項9】
前記メルトブローン不織ウェブの含量は、前記伸縮性不織布100重量部に対して30重量部以下である、請求項7に記載の伸縮性不織布。
【請求項10】
基本重量が20~80gsmである、請求項1に記載の伸縮性不織布。
【請求項11】
ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部の混合物を紡糸し、スパンボンド不織ウェブを製造する段階S10と、
前記スパンボンド不織ウェブを50~65%のCD方向収縮加工率でCD方向に収縮させる段階S20と、
を含む、伸縮性不織布の製造方法。
【請求項12】
前記段階S10と前記段階S20との間に、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブ上に積層されるように、ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部の混合物を紡糸し、他のスパンボンド不織ウェブを製造する段階S12をさらに含む、請求項11に記載の伸縮性不織布の製造方法。
【請求項13】
前記段階S10と前記段階S20との間に、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブと、前記段階S12で製造されたスパンボンド不織ウェブとの間に介在されるように、ポリプロピレンを紡糸し、メルトブローン不織ウェブを製造する段階14をさらに含む、請求項12に記載の伸縮性不織布の製造方法。
【請求項14】
前記段階S20においてCD方向に収縮されたスパンボンド不織ウェブを冷却ローラに通過させた後に巻き取る段階S30をさらに含む、請求項11に記載の伸縮性不織布の製造方法。
【請求項15】
前記段階S30において、前記冷却ローラは、60~80℃の温度に維持される、請求項14に記載の伸縮性不織布の製造方法。
【請求項16】
前記段階S20は、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブを120~150℃の温度で熱風乾燥させながら、MD方向に20~50Nの張力を付与することによって遂行される、請求項11に記載の伸縮性不織布の製造方法。
【請求項17】
請求項1ないし10のうちいずれか一項に記載の伸縮性不織布を含む、物品。
【請求項18】
前記物品は、マスクイヤーバンドを含む、請求項17に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性不織布、伸縮性不織布の製造方法、及び伸縮性不織布を含む物品に関し、より詳しくは、吸水性及び冷感性能に優れた伸縮性不織布、伸縮性不織布の製造方法、及び伸縮性不織布を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのマスクは、着用のためのイヤリング部分が紐状のイヤーバンドで構成されている。
【0003】
一部特化されたマスクには、イヤリング部分に不織布資材を適用しているが、この場合、一般不織布と弾性フィルムとを合紙した資材が適用されることが一般的である。その理由は、紐状のイヤーバンドは長時間着用時に痛症を誘発するが、イヤーバンド部分に不織布資材が適用されれば、痛症誘発がなく、それに基づいて販促活動を展開することができるためである。
【0004】
一般不織布と弾性フィルムとを合紙する理由は、マスク着用時にイヤリング部分に伸縮性があってこそ、着用後に肌に密着され、マスクの役割を行うことができるためである。
【0005】
一般不織布と弾性フィルムとを合紙した資材を純粋な不織布に代替するのには、弾性フィルムなしに伸縮回復性を有さなければならないが、一般不織布は伸縮回復性がないため、マスクのイヤリング部分に適用し難いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一具現例は、CD方向伸縮回復性に優れた伸縮性不織布を提供する。
【0007】
本発明の他の具現例は、前記伸縮性不織布の製造方法を提供する。
【0008】
本発明のさらに他の具現例は、前記伸縮性不織布を含む物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、
MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上である、伸縮性不織布を提供する。
【0010】
前記伸縮性不織布は、単層または複数層のスパンボンド不織ウェブを含んでもよい。
【0011】
前記スパンボンド不織ウェブは、ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部を含んでもよい。
【0012】
前記伸縮原料は、0.860~0.870g/cm3の密度を有するポリプロピレン85~90重量部及びポリエチレン10~15重量部を含む共重合体樹脂を含んでもよい。
【0013】
前記伸縮原料は、0.860~0.870g/cm3の密度を有するポリプロピレン86.5~93重量部及びポリエチレン7~13.5重量部を含む共重合体樹脂を含んでもよい。
【0014】
前記伸縮性不織布は、2層のスパンボンド不織ウェブを含んでもよい。
【0015】
前記伸縮性不織布は、一対のスパンボンド不織ウェブ及びそれらの間に介在されたメルトブローン不織ウェブを含んでもよい。
【0016】
前記メルトブローン不織ウェブは、ポリプロピレンを含んでもよい。
【0017】
前記メルトブローン不織ウェブの含量は、前記伸縮性不織布100重量部に対して30重量部以下でもある。
【0018】
前記伸縮性不織布は、基本重量が20~80gsmでもある。
【0019】
本発明の他の側面は、
ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部の混合物を紡糸し、スパンボンド不織ウェブを製造する段階S10と、
前記スパンボンド不織ウェブを50~65%のCD方向収縮加工率でCD方向に収縮させる段階S20と、
を含む、伸縮性不織布の製造方法を提供する。
【0020】
前記伸縮性不織布の製造方法は、前記段階S10と前記段階S20との間に、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブ上に積層されるように、ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部の混合物を紡糸し、他のスパンボンド不織ウェブを製造する段階S12をさらに含んでもよい。
【0021】
また、前記伸縮性不織布の製造方法は、前記段階S10と前記段階S20との間に、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブと、前記段階S12で製造されたスパンボンド不織ウェブとの間に介在されるように、ポリプロピレンを紡糸し、メルトブローン不織ウェブを製造する段階S14をさらに含んでもよい。
【0022】
また、前記伸縮性不織布の製造方法は、前記段階S20においてCD方向に収縮されたスパンボンド不織ウェブを冷却ローラに通過させた後に巻き取る段階S30をさらに含んでもよい。
【0023】
前記段階S30において、前記冷却ローラは、60~80℃の温度に維持されてもよい。
【0024】
前記段階S20は、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブを120~150℃の温度で熱風乾燥させながら、MD方向に20~50Nの張力を付与することによっても遂行される。
【0025】
本発明のさらに他の側面は、
前記伸縮性不織布を含む物品を提供する。
【0026】
前記物品は、マスクイヤーバンドを含んでもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一具現例による伸縮性不織布は、MD方向への伸長は抑制され、CD方向には、伸長後に元来の形態に70%以上回復することにより、マスクイヤーバンドのような伸縮性が要求される物品に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】「CD方向収縮加工率」という用語の定義を説明するための図面である。
【
図2】「CD方向伸縮回復性」という用語の定義を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一具現例による伸縮性不織布について詳細に説明する。
【0030】
本明細書において、「CD方向(cross direction)収縮加工率」とは、
図1に示されたように、不織布を熱風乾燥させながら、MD方向(machine direction)に張力(tenstion)を付与して引っ張る場合、不織布が最初の長さに対してCD方向に収縮された長さの割合を意味する。具体的には、
図1を参照すれば、「CD方向収縮加工率」は、下記数式1によっても計算される。
【0031】
[数1]
CD方向収縮加工率(%)=(Li-Lf)/Li*100
【0032】
本発明の一具現例による伸縮性不織布は、MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上である。MD方向の伸度、CD方向の伸度、及びCD方向伸縮回復性がそれぞれ前記範囲以内である伸縮性不織布は、本発明者らが最初に開発したものであり、既存には存在しなかった新規の不織布である。
【0033】
前記伸縮性不織布は、単層または複数層のスパンボンド不織ウェブを含んでもよい。
【0034】
前記スパンボンド不織ウェブは、ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部を含んでもよい。前記ポリプロピレン及び前記伸縮原料の含量がそれぞれ前記範囲以内であれば、MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上である伸縮性不織布が得られる。
【0035】
前記伸縮原料は、0.860~0.870g/cm3の密度を有するポリプロピレン85~90重量部及びポリエチレン10~15重量部を含む共重合体樹脂を含むものでもある。例えば、前記伸縮原料は、0.860~0.870g/cm3の密度を有するポリプロピレン86.5~93重量部及びポリエチレン7~13.5重量部を含む共重合体樹脂を含んでもよい。
【0036】
一例として、前記伸縮性不織布は、2層のスパンボンド不織ウェブを含むものでもある。例えば、前記伸縮性不織布は、2層のスパンボンド不織ウェブが上下に積層された複層構造の複合不織布でもある。この場合、2層のスパンボンド不織ウェブは、基本重量が互いに同一でもある。
【0037】
他の例として、前記伸縮性不織布は、一対のスパンボンド不織ウェブ及びそれらの間に介在されたメルトブローン不織ウェブを含むこともできる。例えば、前記伸縮性不織布は、第1スパンボンド不織ウェブ、メルトブローン不織ウェブ及び第2スパンボンド不織ウェブが順に積層された3層構造の複合不織布でもある。
【0038】
前記メルトブローン不織ウェブは、ポリプロピレンを含むものでもある。例えば、前記メルトブローン不織ウェブは、ポリプロピレンで構成されてもよい。
【0039】
また、前記伸縮性不織布において、前記メルトブローン不織ウェブの含量は、前記伸縮性不織布100重量部に対して30重量部以下でもある。前記メルトブローン不織ウェブの含量が前記範囲以内であれば、MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上である伸縮性不織布が得られる。
【0040】
さらに、前記伸縮性不織布は、基本重量が20~80gsm(g/m2)でもある。
【0041】
以下、本発明の一具現例による伸縮性不織布の製造方法について詳細に説明する。
【0042】
本発明の一具現例による伸縮性不織布の製造方法は、ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部の混合物を紡糸し、スパンボンド不織ウェブを製造する段階S10と、前記スパンボンド不織ウェブを50~65%のCD方向収縮加工率でCD方向に収縮させる段階S20と、を含む。
【0043】
前記段階S10において、前記混合物中の前記ポリプロピレン及び前記伸縮原料の含量がそれぞれ前記範囲以内であり、前記段階S20において、前記CD方向収縮加工率が前記範囲以内であれば、MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上である伸縮性不織布が得られる。
【0044】
前記段階S10の伸縮原料は、前述の伸縮性不織布関連部分の伸縮原料とも同一である。
【0045】
前記段階S20は、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブを120~150℃の温度で熱風乾燥させながら、MD方向に20~50Nの張力を付与することによっても遂行される。
【0046】
また、前記伸縮性不織布の製造方法は、前記段階S10と前記段階S20との間に、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブ上に積層されるように、ポリプロピレン15~30重量部及び伸縮原料70~85重量部の混合物を紡糸し、他のスパンボンド不織ウェブを製造する段階S12をさらに含んでもよい。
【0047】
前記段階S12で製造されたスパンボンド不織ウェブは、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブと同一組成を有することができる。
【0048】
また、前記段階S12においてスパンボンド不織ウェブを製造するとき、その基本重量は、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブの基本重量と同一であるように調節されうる。
【0049】
さらに、前記伸縮性不織布の製造方法は、前記段階S10と前記段階S20との間に、前記段階S10で製造されたスパンボンド不織ウェブと、前記段階S12で製造されたスパンボンド不織ウェブとの間に介在されるように、ポリプロピレンを紡糸し、メルトブローン不織ウェブを製造する段階S14をさらに含んでもよい。
【0050】
前記段階S14においてメルトブローン不織ウェブを製造するとき、その基本重量は、最終の伸縮性不織布の基本重量の30%以下となるように調節されうる。
【0051】
また、前記伸縮性不織布の製造方法が前記段階S12、または前記段階S12と前記段階S14の両方を含む場合、前記伸縮性不織布の製造方法は、前記スパンボンド不織ウェブを50~65%のCD方向収縮加工率でCD方向に収縮させる段階S20の代わりに、全体の不織ウェブ積層体を50~65%のCD方向収縮加工率でCD方向に収縮させる段階S20’を含むこともできる。
【0052】
さらに、前記伸縮性不織布の製造方法は、前記段階S20においてCD方向に収縮されたスパンボンド不織ウェブを冷却ローラに通過させた後に巻き取る段階S30をさらに含んでもよい。
【0053】
前記段階S30において、前記冷却ローラは、60~80℃の温度にも維持される。
【0054】
本発明のさらに他の具現例は、前記伸縮性不織布を含む物品を提供する。
【0055】
前記物品は、マスクイヤーバンドを含んでもよい。
【0056】
以下、実施例を通じて、本発明についてより詳細に説明する。本実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がそれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力(tension)を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0058】
実施例2:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が30重量部であり、伸縮原料の含量が70重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0059】
実施例3:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が15重量部であり、伸縮原料の含量が85重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0060】
実施例4:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を50%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0061】
実施例5:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を65%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0062】
実施例6:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。また、ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブを、最終の伸縮性不織布100重量部に対して10重量部の割合で製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブ、前記ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブ及び前記第2スパンボンド不織ウェブを順に積層し、3層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0063】
実施例7:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。また、ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブを、最終の伸縮性不織布100重量部に対して20重量部の割合で製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブ、前記ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブ及び前記第2スパンボンド不織ウェブを順に積層し、3層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0064】
実施例8:伸縮性不織布の製造
MD方向への伸長は最大限抑制され、かつCD方向への伸縮性を有する不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。また、ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブを、最終の伸縮性不織布100重量部に対して30重量部の割合で製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブ、前記ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブ及び前記第2スパンボンド不織ウェブを順に積層し、3層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0065】
比較例1:不織布の製造
不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が35重量部であり、伸縮原料の含量が65重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0066】
比較例2:不織布の製造
不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が10重量部であり、伸縮原料の含量が90重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0067】
比較例3:不織布の製造
不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を45%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0068】
比較例4:不織布の製造
不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブと前記第2スパンボンド不織ウェブとを積層し、複層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を70%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0069】
比較例5:不織布の製造
不織布を製造した。具体的には、ポリプロピレンの含量が22重量部であり、伸縮原料の含量が78重量部である、第1スパンボンド不織ウェブと第2スパンボンド不織ウェブをそれぞれ製造した。また、ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブを、最終の伸縮性不織布100重量部に対して35重量部の割合で製造した。ここで、伸縮原料としては、0.865g/cm3の密度を有するポリプロピレン90重量部及びポリエチレン10重量部を含む共重合体樹脂を使用した。前記第1スパンボンド不織ウェブ、前記ポリプロピレンメルトブローン不織ウェブ及び前記第2スパンボンド不織ウェブを順に積層し、3層構造の複合体を形成した後、11%のエンボス比率を有するカレンダーロールに通過させ、ボンディングを実施した。次いで、前記ボンディングされた複合体を、150℃の温度に設定された熱風が発生するDryerに通過させながら、MD方向に張力を付与して引っ張ることにより、CD方向収縮加工率を58%に調節し、伸縮性不織布を製造した。
【0070】
前記実施例1~8及び比較例1~5で製造された不織布の原料、組成、製造方法及び製造条件を下記表1に示した。下記表1において、第1スパンボンド不織ウェブまたは第2スパンボンド不織ウェブにおいて、伸縮原料の含量及びポリプロピレン(PP)の含量は、それぞれ第1スパンボンド不織ウェブまたは第2スパンボンド不織ウェブの総重量100重量部を基準としたものであり、メルトブローン不織ウェブにおいて、PPの含量は、全体の不織布の総重量100重量部を基準としたものである。
【0071】
【0072】
評価例:不織布の物性評価
前記実施例1~8及び比較例1~5で製造された不織布の物性を、下記のような方法で評価し、その結果を下記表2に示した。
【0073】
(1)MD方向の伸度及びCD方向の伸度:引張強伸度器(インストロン社製)測定設備を利用して、KSK 0520法によって、試験片の幅5cm、間隔10cm、及び引張速度500mm/minの条件で引張試験を行い、最大伸長時の伸度を求めた。
【0074】
(2)CD方向伸縮回復性:引張強伸度器(インストロン社製)測定設備を利用して、
図2に示された方法によってCD方向伸縮回復性を評価した。具体的には、前記実施例1~8及び比較例1~5で製造された不織布を、CD方向の長さが30mmであり、MD方向の幅が25mmとなるように切断し、不織布試片を製造した。次いで、それぞれの不織布試片を、一対のジグを利用して、一次的にCD方向に500mm/minの速度で100%伸ばした後(すなわち、一対のジグ間の間隔を開けて、不織布試片をCD方向に長さが60mmとなるように伸ばす)、このように100%伸びた状態で1分間維持させ、一対のジグ間の間隔を狭めて原位置させた後(すなわち、リラックス後)、1分間回復を行った。次いで、二次的にCD方向に500mm/minの速度で100%伸ばした後、このように100%伸びた状態で1分間維持させ、一対のジグ間の間隔を狭めて原位置させた後(すなわち、リラックス後)、試験を終了した。
【0075】
図2を参照すれば、CD方向伸縮回復性は、二次伸長時の出発地点によって判断する。すなわち、
図2のグラフにおいて、二次伸長時に20%地点(すなわち、本来の長さから20%伸びた長さ=30mm+30mm*0.2=36mm)から力(すなわち、伸長力)が作用するので、CD方向伸縮回復性は、80%と記録される。この場合、二次伸長時に20%地点までは、何の力も作用せず、CD方向伸縮回復性を20%ほど喪失したことが分かる。
【0076】
(3)紡糸性:不織ウェブが破断されるか否かを観察し、破断されない場合には、「良好」と記録した。
【0077】
【0078】
前記表1を参照すれば、実施例1~8で製造された不織布は、MD方向の伸度が40%以下であり、CD方向の伸度が300~400%であり、CD方向伸縮回復性が70%以上であり、紡糸性にも優れたものと示されている。
【0079】
一方、比較例1~5で製造された不織布は、MD方向の伸度が40%超過であるか、CD方向の伸度が300%未満または400%超過であるか、CD方向伸縮回復性が70%未満であるか、及び/または紡糸性が不良であるものと示されている。
【0080】
本発明を、図面及び実施例を参照して説明したが、これは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、それらから多様な変形及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まらなければならない。
【国際調査報告】