(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20240126BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20240126BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023545834
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2022051851
(87)【国際公開番号】W WO2022162046
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】モネー パトリック フィリップ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC34
4B162AD08
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設に関する。加熱配設は、DC電源と、DC電源に接続されたDC/ACインバータを含む電源電子回路とを備える。DC/ACインバータは、少なくとも一つのトランジスタスイッチ、トランジスタスイッチに関連付けられた少なくとも一つのトランジスタスイッチドライバ回路、およびLC負荷ネットワークを有する共振スイッチング電力増幅器を含む。LC負荷ネットワークは、少なくとも一つのコンデンサおよび少なくとも一つのインダクタを含み、インダクタは、エアロゾル形成基体を誘導加熱するために、加熱配設の動作中に交番磁場を発生するように構成されている。トランジスタスイッチドライバ回路は、調整可能なスイッチング周波数を有するトランジスタスイッチにスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータを含む。加熱配設はさらに、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を判定するための電流センサーと、電流センサーからDC供給電流を示す電流信号を受信し、受信した電流信号に応答して、DC電源から引き出されるDC供給電流を所定の範囲内になるように調整するために、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整するように構成されたコントローラとを備える。本発明はさらに、こうした誘導加熱配設を備えるエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムに関する。さらに、本発明は、こうした加熱配設を較正するための方法および機器に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設であって、前記加熱配設定は、DC電源と、前記DC電源に接続されたDC/ACインバータを含む電源電子回路とを備え、前記DC/ACインバータが、少なくとも一つのトランジスタスイッチ、前記トランジスタスイッチに関連付けられた少なくとも一つのトランジスタスイッチドライバ回路、および少なくともコンデンサおよび少なくともインダクタを含むLC負荷ネットワークを有する共振スイッチング電力増幅器を含み、前記インダクタが、前記エアロゾル形成基体を誘導加熱するために前記加熱配設の動作中に交番磁場を発生するように構成され、前記トランジスタスイッチドライバ回路が、調整可能なスイッチング周波数を有するトランジスタスイッチにスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータを含み、前記加熱配設がさらに、前記加熱配設の動作中に前記DC電源から引き出される前記DC供給電流を判定するための電流センサーと、前記電流センサーから前記DC供給電流を示す電流信号を受信し、前記受信した電流信号に応答して、前記DC電源から引き出される前記DC供給電流を所定の範囲内になるように調整するために、前記スイッチング信号の前記スイッチング周波数を調整するように構成されたコントローラと、をさらに備える、誘導加熱配設。
【請求項2】
前記スイッチング周波数が、中央周波数の前後±20パーセント、特に±10パーセント、好ましくは±5パーセントの範囲内で調整可能である、請求項1に記載の誘導加熱配設。
【請求項3】
前記スイッチング周波数が、5.4MHz~8MHz、特に6.0MHz~7.5MHz、好ましくは6.4MHz~7.2MHzの範囲内で調整可能である、請求項1または2のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項4】
前記コンデンサの静電容量の公差が、前記コンデンサの公称静電容量値の±2パーセント~±4パーセントの範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項5】
前記インダクタのインダクタンスの公差が、前記インダクタの公称のインダクタンス値の±3パーセント~±7パーセント、特に±4パーセント~±6パーセント、好ましくは5パーセントの範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項6】
前記スイッチング電力増幅器が、クラスC電力増幅器、クラスD電力増幅器、およびクラスE電力増幅器のうちの一つである、請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項7】
前記コントローラが、前記調整可能なオシレータをセットアップして、前記受信した電流信号に応答して判定された、それに対する前記DC電源から引き出される前記DC供給電流が前記所定の範囲内にある動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項8】
前記コントローラが、前記電流信号に応答して、それに対する動作中に前記DC電源から引き出される前記DC供給電流の動作が前記所定の範囲内にある、前記スイッチング信号の前記動作スイッチング周波数を判定するように構成された較正機器に動作可能に連結可能であり、前記コントローラが、前記電流信号を前記較正機器に伝達し、前記較正機器から伝達された前記判定された動作スイッチング周波数を示す信号を受信するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項9】
前記コントローラが、フィードバックループ構成で前記電流センサーおよび前記トランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結される、請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項10】
前記コントローラが、特に前記電流信号に応答して、それに対する動作中の前記DC電源から引き出される前記DC供給電流が所定の範囲内にある、前記スイッチング信号の前記動作スイッチング周波数を判定するように構成されている、請求項9に記載の誘導加熱配設。
【請求項11】
サセプタ配設をさらに備え、前記サセプタ配設が、前記加熱配設の動作中に前記インダクタによって発生する前記交番磁場内に配設される、請求項1~10のいずれか一項に記載の誘導加熱配設。
【請求項12】
前記方法が、
-前記加熱配設を基準サセプタ配設に動作可能に連結することと、
-前記加熱配設を動作させて前記基準サセプタ配設を加熱することと、
-前記加熱配設の動作中に前記DC電源から引き出される実際のDC供給電流を判定することと、
-前記調整可能なオシレータをセットアップして、前記判定された動作スイッチング周波数スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力することと、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の誘導加熱配設の較正方法。
【請求項13】
前記動作スイッチング周波数を判定することが、前記スイッチング信号の前記スイッチング周波数を調整する一方で、前記実際のDC供給電流が所定の範囲内になるまで、前記DC電源から引き出される前記実際のDC供給電流を判定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記較正機器が、前記加熱配設の前記インダクタに誘導連結された基準サセプタ配設と、前記加熱配設の前記コントローラに動作可能に連結可能な較正コントローラとを備え、前記較正コントローラが、前記加熱配設の前記コントローラから伝達された前記電流信号を受信し、前記電流信号に応答して、それに対する動作中に前記DC電源から引き出される前記DC供給電流が前記所定の範囲内にある、前記動作スイッチング周波数を判定し、前記判定された動作スイッチング周波数を示す信号を前記加熱配設の前記コントローラに伝達するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の誘導加熱配設を較正するための、特に請求項12に記載の方法で使用するための較正機器。
【請求項15】
前記較正コントローラが、前記受信した電流信号に関連する前記DC供給電流が測定された前記スイッチング周波数に適用される、前記DC電流と前記スイッチング周波数との間の予め既知の関数を使用して周波数シフトを計算することによって、前記スイッチング信号の前記動作スイッチング周波数を判定するように構成されている、請求項14に記載の較正機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設に関する。本発明はさらに、こうした誘導加熱配設を備えるエアロゾル発生装置およびエアロゾル発生システムに関する。さらに、本発明は、こうした加熱配設を較正するための方法および機器に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なエアロゾルを形成する能力を有するエアロゾル形成基体を誘導加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生するために使用される誘導加熱配設は、従来技術から一般的に公知である。一般に、こうした加熱配設は、加熱される基体と熱的に近接して、または物理的に直接接触しているサセプタ配設を誘導加熱するための誘導源を備え得る。誘導源は、熱を発生する渦電流またはヒステリシス損失のうちの少なくとも一つをサセプタ配設内に誘発する交番磁場を発生するように構成されている。誘導源は、典型的にはエアロゾル発生装置の一部であるが、サセプタ配設は、装置の一部であるか、または加熱される基体を含み、かつ誘導源を含むエアロゾル発生装置内に受容されるように構成されたエアロゾル発生物品の一部のいずれかであってもよい。
【0003】
交番磁場を発生するために、加熱配設は、共振スイッチング電力増幅器を含むDC/ACインバータを備え得る。増幅器は、スイッチング装置、およびコンデンサおよびインダクタを含む共振LC負荷ネットワークを含み、インダクタは、動作中に交番磁場を発生する。こうした共振スイッチングインバータは、サセプタ内における必要な熱の迅速な発生に関して有利であることが分かっており、出力電力は、公称目標出力電力に対して変動を受け得る。原理的には、厳格な公差を有する電子構成要素を使用することにより、出力電力の変動を制限することができる。しかしながら、こうした構成要素は高価であるか、製造における要求が高い。
【0004】
したがって、従来技術の解決策の利点を有しつつもそれらの欠点を軽減する、エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設、ならびにこうした加熱配設を備えるエアロゾル発生装置およびシステムを有することが望ましい。特に、構成要素の公差に置かれる厳格な要件を小さくすることができる一方で、依然として性能変動を許容可能な制限内に維持する、エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設、ならびにこうした加熱配設を備えたエアロゾル発生装置およびシステムを有することが好ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明によると、エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設が提供されている。加熱配設は、DC電源と、DC電源に接続されたDC/ACインバータを含む電源電子回路とを備える。DC/ACインバータは、少なくとも一つのトランジスタスイッチ、トランジスタスイッチに関連付けられた少なくとも一つのトランジスタスイッチドライバ回路、およびLC負荷ネットワークを有する共振スイッチング電力増幅器を含む。LC負荷ネットワークは、少なくとも一つのコンデンサおよび少なくとも一つのインダクタを含み、インダクタは、サセプタ配設を介してエアロゾル形成基体を誘導加熱するために、加熱配設の動作中に交番磁場を発生するように構成されている。トランジスタスイッチドライバ回路は、調整可能なスイッチング周波数を有するトランジスタスイッチにスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータを含む。
【0006】
本発明によると、従来技術装置において観察される出力電力の変動は、LC負荷ネットワークの実際の共振曲線の公称共振曲線からの偏差に起因することが見出された。結果として、従来、公称共振曲線上の所望の作用点に対して有効に選択されるスイッチング装置のスイッチング周波数は、実際の共振曲線上の異なる作用点にあり、次いで所望の目標値とは異なる出力電力に関連付けられる。特に、LC負荷ネットワークのインダクタの公称インダクタンスおよびコンデンサの公称静電容量の±1パーセント超の公差により、加熱配設の公称目標出力電力の±17パーセント超の変動がもたらされ得ることが見出された。異なる装置にわたる出力電力のこうした変動は、典型的には許容されない。厳格な公差を有するコンデンサおよびインダクタを使用する代わりに、本発明は、調整可能なスイッチング周波数を有するトランジスタスイッチにスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータを含むトランジスタスイッチドライバ回路を使用することを提唱する。これにより、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整すること、およびしたがってLC負荷ネットワークの実際の共振曲線上の実効作用点を所望の目標出力電力に関連付けられた位置へとシフトさせることが可能になる。例えば、スイッチング信号のスイッチング周波数は、LC負荷ネットワークの実際の共振周波数前後の所望の範囲に調整され得る。同様に、スイッチング信号のスイッチング周波数は、LC負荷ネットワークの実際の共振周波数に対してオフセットされた所望の範囲に調整され得る。言い換えれば、スイッチング周波数を調整することにより、共振スイッチング電力増幅器を、所望の実際の目標出力電力前後の許容可能な小さな範囲に関連付けられた実際の共振曲線上の適切な作用点に調整することが可能である。結果として、出力電力の変動を著しく制限することができると同時に、コンデンサおよびインダクタの公差に対する要件を低く設定することができる。例えば、それぞれ公称静電容量およびインダクタンスの±1パーセント以下の公差を有するコンデンサおよびインダクタを使用する代わりに、調整可能なオシレータは、静電容量の±2パーセント以上の公差を有するコンデンサ、およびインダクタンスの±5パーセント以上の公差を有するインダクタを使用することを可能にする。
【0007】
特に、LC負荷ネットワークのコンデンサの静電容量の公差は、コンデンサの公称静電容量値の±2パーセント~±4パーセントの範囲内であってもよい。同様に、LC負荷ネットワークのインダクタのインダクタンスの公差は、インダクタの公称インダクタンス値の±3パーセント~±7パーセント、特に、±4パーセント~±6パーセント、好ましくは±5パーセントの範囲内であってもよい。本明細書で使用される「公差」という用語は、本明細書ではそれぞれコンデンサの静電容量、およびインダクタのインダクタンスである、物理的特性の許容限界または変動限界(公称値からの偏差)を指す。これらの範囲内の公差を有するコンデンサおよびインダクタを使用することにより、これらの構成要素の製造の要求が少なくなるため、コストの大幅な削減がもたらされる。
【0008】
概して、誘導加熱配設は、高周波の交番磁場を発生するように構成され得る。本明細書において参照される通り、高周波交番磁場は、500kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)、特に5MHz(メガヘルツ)~15MHz(メガヘルツ)、好ましくは5MHz(メガヘルツ)~10MHz(メガヘルツ)の範囲内であり得る。
【0009】
好ましくは、スイッチング周波数は、中央周波数の前後±20パーセント、特に±10パーセント、好ましくは±5パーセントの範囲内で調整可能である。一般に、中央周波数は、上記に定義した交番磁場の周波数範囲内の任意の周波数であり得る。好ましくは、中央周波数は、6.5MHz(メガヘルツ)~7.1MHz(メガヘルツ)、特に6.7MHz(メガヘルツ)~6.9MHz(メガヘルツ)の範囲内、例えば、6.78MHz(メガヘルツ)である。同様に、スイッチング周波数は、5.4MHz(メガヘルツ)~8MHz(メガヘルツ)、特に6.0MHz(メガヘルツ)~7.5MHz(メガヘルツ)、好ましくは6.4MHz(メガヘルツ)~7.2MHz(メガヘルツ)の範囲内で調整可能であり得る。一方で、これらの調整範囲は、スイッチング電力増幅器をその所望の作動点に調整し、それ故に出力電力の変動を制限するのに十分に大きい場合がある。他方で、これらの調整範囲は、調整可能なオシレータのコストを低く保つのに十分に小さい一方で、依然としてスイッチング周波数を正確に調整し、特定の値に設定した後は安定させて維持することを可能にする。
【0010】
調整可能なオシレータは、MEMSベース(微小電気機械システム)調整可能オシレータ、電圧制御オシレータ(VOC)、またはコルピッツオシレータであることが好ましい。
【0011】
本明細書で使用される「スイッチング電力増幅器」という用語は、他の増幅器におけるようにリニアゲイン装置としてではなく、電子スイッチとして動作する一つ以上の増幅トランジスタを含む電子増幅器を指す。スイッチング電力増幅器は、クラスC電力増幅器、クラスD電力増幅器、およびクラスE電力増幅器のうちの一つであってもよい。
【0012】
クラスD増幅器は、二つのトランジスタスイッチのオンオフを切り替えるための二つのトランジスタスイッチおよび二つのトランジスタスイッチドライバ回路を含む電子増幅器である。トランジスタスイッチは、二つのトランジスタスイッチのうちの他方がオンになっている時に、二つのトランジスタスイッチのうちの一方が確実にオフになる様式で高周波で制御される。
【0013】
対照的に、クラスE電力増幅器は、単一のトランジスタスイッチのみを含む。クラスE電力増幅器は、スイッチング移行中のトランジスタスイッチにおける電力損失が最小であることが公知である。回路は、スイッチ内の電力損失を最小化するゼロ電流(オンからオフへの切替)またはゼロ電圧(オフからオンへの切替)点でトランジスタスイッチを動作させることによってのみ、高い効率を得る。クラスE電力増幅器の一般的な動作原理は公知であり、例えば、論文「Class-E RF Power Amplifiers」(Nathan O.Sokal,published in the bimonthly magazine QEX,edition January/February 2001,the American Radio Relay League(ARRL)Newington,CT,USA、ページ9-20)に詳細に記載されている。一般に、クラスE電力増幅器は、低オーム負荷で動作するように構成されたトランジスタスイッチおよびLC負荷ネットワークを含んでもよく、LC負荷ネットワークは、コンデンサおよびインダクタの直列接続を含む。特に、LC負荷ネットワークは、コンデンサおよびインダクタの直列接続を含み得る。さらに、LC負荷ネットワークは、分路コンデンサを含む。クラスE電力増幅器は、単一のトランジスタスイッチのみを有するシングルエンドの一次クラスE電力増幅器であることが好ましい。
【0014】
スイッチング電力増幅器の少なくとも一つのトランジスタスイッチは、任意のタイプのトランジスタとすることができ、バイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)として埋め込まれてもよい。ただし、トランジスタスイッチは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)などの、電界効果トランジスタ(FET)として埋め込まれることがより好ましい。
【0015】
構成要素の数が非常に少ないため、電源電子回路の体積は極端に小さく保つことができる。この極端に小さな体積の電源電子回路は、LC負荷ネットワークのインダクタがサセプタ配設との誘導連結のためのインダクタとして直接的に使用されているために可能である。小さな体積はさらに、誘導加熱配設全体の全体的寸法を小さく維持することを可能にする。
【0016】
DC電源は、一般に、DC供給電圧およびDC供給電流を電源電子回路に提供するように構成された任意の適切なDC電源を含み得る。DC電源は、リン酸鉄リチウム電池などの一つ以上の電池を含むことが好ましい。DC電源は、再充電可能であってもよい。特に、DC電源は一つ以上の再充電可能電池を含んでもよい。DC電源は、一回以上のユーザー体験のために十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有し得る。例えば、DC電源はおおよそ六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、DC電源は所定の吸煙回数、または誘導加熱配設の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。DC電源のDC供給電圧は、約2.5ボルト~約4.5ボルトの範囲内であってもよく、DC供給電流は、約2.5アンペア~約5アンペアの間の範囲内(約6.25ワット~約22.5ワットの範囲内のDC供給電力に対応する)であってもよい。
【0017】
DC電源は、DCフィードチョークを含み得る。本明細書で使用される「DCフィードチョーク」という用語は、電気回路内に直流(DC)および低周波数の交流(AC)を流す間に高周波を遮断するのに使用されるインダクタを指す。
【0018】
概して、誘導加熱配設装置の出力電力は、DC供給電流、ならびにDC電源から引き出されるDC供給電圧の両方の関数である。DC供給電圧が特定の時間の間一定であると仮定すると、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流は、加熱配設の出力電力に実質的に比例し、したがって加熱配設の出力電力を示す。したがって、加熱配設の出力電力を示す信号を判定するために、誘導加熱配設は、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を判定するための電流センサーを備え得る。好ましくは、電流センサーは、感知抵抗器および電流分路増幅器を含む。電流センサー、特に電流分路増幅器は、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を示す電流信号を出力するように構成され得る。
【0019】
また、経時的なDC供給電圧の可能性のある低減を考慮に入れるために、誘導加熱配設は、DC電源から引き出されるDC供給電圧を判定するための電圧センサーをさらに備えてもよい。このため、電圧センサーは、分圧器を含み得る。特に、電圧センサーは、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電圧を示す電圧信号を出力するように構成されてもよい。したがって、誘導加熱配設装置の出力電力は、DC電源から引き出されるDC供給電流ならびにDC供給電圧の両方の関数として判定され得る。
【0020】
別の方法として、以下にさらに詳細に記述するように、電流センサーおよび随意の電圧センサー、または電流分路増幅器、感知抵抗器、または分圧器などのそれらの少なくとも一部は、加熱配設の出力電力を(微小電気機械システム)調整可能なオシレータ、電圧制御オシレータ(VOC)、またはコルピッツオシレータ(微小電気機械システム)調整可能なオシレータ、電圧制御オシレータ(VOC)またはコルピッツオシレータ作用点に調整するための較正機器の一部であってもよい。
【0021】
電流センサーおよび随意の電圧センサーが加熱配設の一部であるか較正機器の一部であるかに関係なく、上述のセットアップにより、少なくともDC電源から引き出されるDC供電流、および場合によっては加えてDC供給電圧を測定することによって、加熱配設の出力電力を所望の作用点に調整することが可能になる一方で、測定されたDC供給電流が所定の基準範囲内になるまで、調整可能なオシレータによってトランジスタスイッチに提供されるスイッチング信号のスイッチング周波数を調整することが可能になる。測定されたDC供給電流またはそれを示す電流信号の所定の基準範囲は、加熱配設の所望の加熱性能、特に加熱配設の所望の出力電力を示すように、(例えば、較正により)事前に判定されてもよい。
【0022】
このように加熱配設の出力電力を調整するために、誘導加熱配設は、少なくとも電流センサーおよびトランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結されたコントローラを備え得る。特に、誘導加熱配設は、少なくとも電流センサーおよびトランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結されたコントローラをフィードバックループ構成で備え得る。
【0023】
コントローラは、電流センサーからDC供給電流を示す電流信号を受信し、受信した電流信号に応答して、特にこれに基づいて、DC電源から引き出されるDC供給電流を所定の基準範囲内になるように調整するために、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整するように構成され得る。本明細書で使用する「受信した電流信号に応答してスイッチング信号のスイッチング周波数を調整する」という用語は、コントローラが、調整可能なオシレータをセットアップして、受信した電流信号に応答して、特にこれに基づいて判定された、それに対する(すなわち動作スイッチング周波数に対する)電流センサーから受信した電流信号が電流信号の所定の基準範囲内にある動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成されていることを意味し得る。言い換えれば、コントローラは、受信した電流信号に応答して、特にこれに基づいて判定された、それに対する(すなわち動作スイッチング周波数に対する)電流センサーから受信した電流信号が電流信号の所定の基準範囲内にある動作スイッチング周波数に対応するように、スイッチング信号のスイッチング周波数を設定するように構成され得る。
【0024】
すなわち、本発明は、エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設に関し得、加熱配設は、DC電源と、DC電源に接続されたDC/ACインバータを含む電源電子回路とを備え、DC/ACインバータは、少なくとも一つのトランジスタスイッチ、トランジスタスイッチに関連付けられた少なくとも一つのトランジスタスイッチドライバ回路、および少なくともコンデンサおよび少なくともインダクタを含むLC負荷ネットワークを有する共振スイッチング電力増幅器を含み、インダクタは、エアロゾル形成基体を誘導加熱するために加熱配設の動作中に交番磁場を発生するように構成され、トランジスタスイッチドライバ回路は、調整可能なスイッチング周波数を有するトランジスタスイッチにスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータを含み、加熱配設はさらに、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を判定するための電流センサーと、電流センサーおよびトランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結されたコントローラとを備え、コントローラは、電流センサーからDC供給電流を示す電流信号を受信し、調整可能なオシレータをセットアップして、受信した電流信号に応答して、特にこれに基づいて判定された、それに対する(すなわち、動作スイッチング周波数に対する)電流センサーから受信した電流信号が電流信号の所定の基準範囲内にある動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成されている。
【0025】
特に、コントローラは、電流センサーから受信した電流信号を、電流信号の所定の基準範囲と比較するように構成されてもよい。
【0026】
それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の基準範囲内にある、特に、それに対する電流センサーから受信した電流信号が電流信号の所定の基準範囲内にあるスイッチング信号の動作スイッチング周波数は、加熱配設の一部ではない加熱配設の出力電力を調整するために、加熱配設のコントローラによって、または較正機器によって判定され得る。例えば、こうした較正機器は、加熱配設の製造中に加熱配設の出力電力を調整するために使用され得る。
【0027】
後者の場合、加熱配設のコントローラは、較正機器に動作可能に連結可能であり得る。較正機器は、電流信号に応答して、特にこれに基づいて、それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定するように構成され得る。このため、較正機器は、較正コントローラを含み得る。加熱配設のコントローラは、電流信号を較正機器に、特に較正機器の較正コントローラに伝達し、較正機器から、特に較正機器の較正コントローラから、判定された動作スイッチング周波数を示す信号を受信するように構成され得る。加熱配設のコントローラは、電流信号に応答して、特にこれに基づいて判定されたこの信号を使用して、DC電源から引き出されるDC供給電流を所定の基準範囲内に調整するために、スイッチング信号のスイッチング周波数を判定された動作スイッチング周波数に調整し得る。この構成では、それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の範囲内にあるスイッチング信号の動作スイッチング周波数は較正機器によって判定されるが、この較正は依然として、「コントローラは、電流センサーからDC供給電流を示す電流信号を受信し、受信した電流信号に応答して、特にこれに基づいて、DC電源から引き出されるDC供給電流を所定の基準範囲内になるように調整するために、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整するように構成されているという言い回しの範囲内にある。較正機器のさらなる詳細を、以下に説明する。
【0028】
さらに、加熱配設のコントローラは、(電流信号に応答して、特にこれに基づいて)それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の基準範囲内にある、特にそれに対する電流センサーから受信した電流信号が電流信号の所定の基準範囲内にあるスイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定するように(それ自体が)構成され得る。
【0029】
コントローラは、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路を備えてもよい。
【0030】
好ましくは、加熱配設の出力電力の調整は、加熱配設の製造中に、すなわち較正プロセスの一種として実施される。これは、特に配設される加熱配設がサセプタ配設自体を備えないが、サセプタ配設がエアロゾル発生物品の一部である場合に、基準サセプタ配設を使用して行われることが好ましい。
【0031】
こうした較正プロセスにおいて動作スイッチング周波数が判定されると、判定された動作スイッチング周波数は、オシレータが判定された動作スイッチング周波数を有する固定のスイッチング信号を出力するように、調整可能なオシレータに書き込まれ得る。すなわち、較正された後は、調整可能なオシレータの動作スイッチング周波数は、加熱配設における寿命の間それ以上変化しない。調整可能なオシレータのセットアップは、上述のように、コントローラによって達成され得る。すなわち、コントローラは、調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成され得る。すなわち、コントローラは、それに対するDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の基準範囲内にある、判定された動作スイッチング周波数に対応するように、スイッチング信号のスイッチング周波数を設定するように構成され得る。
【0032】
交番磁場を発生するのに使用される加熱配設のインダクタは、少なくとも一つの誘導コイル、すなわち、単一の誘導コイルまたは複数の誘導コイルを含み得る。誘導コイルの数は、要素の数、サセプタ配設のサイズおよび形状次第であり得る。誘導コイルまたは複数のコイルは、加熱配設がその一部であり得る、エアロゾル発生装置のハウジングの形状に適合する形状を有し得る。
【0033】
例えば、少なくとも一つの誘導コイルは、らせん状コイルまたは平坦な平面状コイル、特にパンケーキコイルまたは湾曲した平面状コイルであってもよい。フラットスパイラルコイルの使用は、頑丈でかつ製造が安価なコンパクトな設計を可能にする。らせん状誘導コイルの使用は有利なことに、均質な交番磁場を発生することを可能にする。本明細書で使用される「フラットスパイラルコイル」は、一般的に平面状のコイルであり、コイルの巻線の軸がコイルのある表面に対して垂直であるコイルを意味する。フラットスパイラル誘導はコイルの平面内で任意の所望の形状を有することができる。例えば、フラットスパイラルコイルは円形の形状を有してもよく、または概して楕円形もしくは長方形の形状を有してもよい。しかしながら、本明細書で使用される「平坦なスパイラルコイル」という用語は、平面状のコイルと、湾曲した表面に適合するように形作られた平坦なスパイラルコイルとの両方を網羅する。例えば、誘導コイルは、好ましくは円筒形のコイル支持体(例えば、フェライトコア)の周囲に配設された「湾曲した」平面状コイルであってもよい。さらに、平坦なスパイラルコイルは、例えば四回巻きの平坦なスパイラルコイルの二つの層、または四回巻きの平坦なスパイラルコイルの単一の層を含み得る。一つ以上の誘導コイルは、加熱配設のハウジング、または加熱配設を備えるエアロゾル発生装置の主本体またはハウジングのうちの一つ内に保持されることができる。一つ以上の誘導コイルは、好ましくは円筒状コイル支持体、例えばフェライトコアの周りに巻かれてもよい。
【0034】
上述のように、加熱配設のインダクタによって発生される交番磁場に曝露されるサセプタ配設は、エアロゾル発生装置の一部であってもよく、加熱配設もまたその一部である。別の方法として、サセプタは、加熱されるエアロゾル形成基体を含む装置と共に使用されるエアロゾル発生物品の一部であってもよい。また、サセプタ配設の一部分をエアロゾル発生物品の一部とし、サセプタ配設の他の部分をエアロゾル発生装置の一部とすることも可能である。特に第一の場合、本発明による加熱配設は、サセプタ配設を備え得る。加熱配設の一部として、サセプタ配設は、加熱配設の動作中に、インダクタによって発生される交番磁場内に配設されてもよい。
【0035】
本明細書で使用される「サセプタ配設」という用語は、交番磁場に供されたときに電磁エネルギーを熱へと変換する能力を有する少なくとも一つのサセプタ材料を含む構成要素を指す。これは、サセプタ材料の電気的特性および磁性に応じてサセプタ材料内で誘発されたヒステリシス損失または渦電流のうちの少なくとも一つの結果であってもよい。ヒステリシス損失は、交番磁場の影響下で切り替えられる材料内の磁区に起因して、強磁性またはフェリ磁性のサセプタ材料内で生じる。渦電流は、導電性サセプタ材料内で誘発される。導電性の強磁性またはフェリ磁性サセプタ材料の場合、渦電流とヒステリシス損失の両方によって熱が発生する。
【0036】
概して、サセプタ配設は、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度に誘導加熱されることができる任意の材料を含んでもよく、またはこれから形成されてもよい。サセプタ配設は、金属または炭素を含み得る。サセプタ配設は、強磁性材料、例えばフェライト鉄、または強磁性の鋼もしくはステンレス鋼を含んでもよい。好ましいサセプタは、400シリーズのステンレス鋼、例えばグレード410、またはグレード420、またはグレード430のステンレス鋼から形成されてもよい。別の適切なサセプタはアルミニウムを含みうる。
【0037】
サセプタ配設は、様々な幾何学的構成を含み得る。少なくとも一つのサセプタは、サセプタピン、サセプタロッド、サセプタブレード、サセプタブレード、サセプタ細片、またはサセプタプレートのうちの一つを含み得るか、またはそれらであり得る。サセプタ配設がエアロゾル発生装置の一部である場合、サセプタピン、サセプタピン、サセプタロッド、サセプタブレード、サセプタ細片、またはサセプタプレートは、好ましくは、エアロゾル発生物品を空洞に挿入するための空洞の挿入開口部に向かって、装置の受容空洞内に突出し得る。
【0038】
サセプタ配設は、フィラメントサセプタ、メッシュサセプタ、ウィックサセプタを含んでもよく、またはそれらであってもよい。同様に、サセプタ配設は、サセプタスリーブ、サセプタカップ、円筒状サセプタ、または管状サセプタを含んでもよく、またはそれらであってもよい。好ましくは、サセプタスリーブ、サセプタカップ、円筒形サセプタ、または管状サセプタの内側空隙は、加熱されるエアロゾル形成基体の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するように構成されている。前述のサセプタ配設は、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、または任意の他の適切な形状などの任意の断面形状を有してもよい。
【0039】
サセプタ配設は、単一のサセプタ材料を含んでもよい。別の方法として、サセプタ配設は、少なくとも第一のサセプタ材料および第二のサセプタ材料を含み得る。第一のサセプタ材料は、熱損失、およびそれ故に加熱効率について最適化され得、第二のサセプタ材料は温度マーカーとして使用され得る。このため、第二のサセプタ材料は、フェリ磁性材料または強磁性材料のうちの一つを含むことが好ましい。特に、第二のサセプタ材料は、所定の加熱温度に対応するキュリー温度を有するように選ばれ得る。そのキュリー温度にて、第二のサセプタ材料の磁性は強磁性またはフェリ磁性から常磁性に変化し、これにはその電気抵抗の一時的な変化が伴う。したがって、DC電源から引き出される電流の対応する変化を監視することによって、第二のサセプタ材料がそのキュリー温度に達したとき、およびそれゆえに、所定の加熱温度に達したときを検出することができる。
【0040】
本発明はさらに、エアロゾル形成基体を誘導加熱することによってエアロゾルを発生させるために使用されるエアロゾル発生装置に関する。エアロゾル発生装置は、本発明による、および本明細書に記載の誘導加熱配設を備える。
【0041】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、誘導加熱によって基体を加熱することによってエアロゾルを発生するように、少なくとも一つのエアロゾル形成基体と相互作用する能力、特にエアロゾル発生物品内に提供されたエアロゾル形成基体と相互作用する能力を有する電気的に作動する装置を指す。エアロゾル発生装置は、ユーザーによってユーザーの口を通して直接吸入可能なエアロゾルを発生するための吸煙装置であることが好ましい。特に、エアロゾル発生装置は手持ち式のエアロゾル発生装置である。
【0042】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾル形成基体の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。好ましくは、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる形成揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図される。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部であってもよい。エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体、ゲル様エアロゾル形成基体、液体エアロゾル形成基体、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。エアロゾル形成基体は、固体成分および液体成分のうちの少なくとも一つを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。特に、エアロゾル形成基体は、たばこ含有エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例はグリセリンおよびプロピレングリコールである。エアロゾル形成基体はまた、その他の添加物および成分(ニコチンまたは風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はまた、ペースト様の材料、エアロゾル形成基体を含む多孔性材料のサシェ、または、例えば、ゲル化剤または粘着剤と混合されたばらのたばこであってもよく、これはグリセリンなどの一般的なエアロゾル形成体を含むことができ、これはプラグへと圧縮または成形される。
【0043】
エアロゾル発生装置は、加熱されるエアロゾル形成基体を取り外し可能に受容するための、特に、加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を取り外し可能に受容するための受容空洞を備えてもよい。受容空洞は、エアロゾル発生装置のハウジングに埋め込まれてもよい。
【0044】
エアロゾル発生装置は、装置の動作を制御するための全体的なコントローラを備えてもよい。コントローラ全体は、上述の加熱配設のコントローラを含んでもよく、またはコントローラであってもよい。コントローラは、マイクロプロセッサ、例えばプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路を備えてもよい。
【0045】
エアロゾル発生装置はまた、電源、特に電池などのDC電源を備えてもよい。特に、エアロゾル発生装置は、(単一の)全体的な電源を備えてもよい。好ましくは、装置のDC電源は、さらに上述した加熱配設のDC電源を含んでもよく、またはさらに上述した加熱配設のDC電源であってもよい。
【0046】
エアロゾル発生装置は、DC電源を含むことが好ましい主本体と、加熱配設の電源電子回路、特にトランジスタスイッチ、少なくとも一つのトランジスタスイッチドライバ回路、およびLC負荷ネットワークのコンデンサ、および存在する場合には分路コンデンサおよびDCフィードチョークの少なくとも一部を備え得る。LC負荷ネットワークのインダクタもまた、主本体の一部であってもよい。
【0047】
主本体に加えて、エアロゾル発生装置は、具体的には装置とともに使用されるエアロゾル発生物品がマウスピースを備えていない場合には、マウスピースをさらに備えてもよい。マウスピースは、装置の主本体に据え付けられてもよい。マウスピースは、マウスピースを主本体に取り付けると受容空洞を閉じるように構成されてもよい。マウスピースを主本体に取り付けるために、主本体の近位端部分は、マウスピースの遠位端部分にて対応する相手側と係合する磁気的マウントまたは機械的マウント、例えばバヨネットマウントまたはスナップ嵌めマウントを備えてもよい。装置がマウスピースを備えない場合、エアロゾル発生装置と共に使用されるエアロゾル発生物品はマウスピース、例えばフィルタープラグを備えてもよい。
【0048】
エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気吸込み口、特に空気が受容空洞に入ることを可能にする空気吸込み口を備え得る。例えば、空気吸込み口は、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品を空洞の中に挿入するのに使用される受容空洞の挿入開口部によって形成されてもよい。エアロゾル発生装置はまた、少なくとも一つの空気出口、例えばマウスピース(存在する場合)に空気出口を備えてもよい。エアロゾル発生装置は、少なくとも一つの空気吸込み口から、受容空洞を通って、そして場合によってはさらに、もしあれば、マウスピースの空気出口に延びる空気経路を備えることが好ましい。エアロゾル発生装置は、受容空洞と流体連通する少なくとも一つの空気吸込み口を備えることが好ましい。例えば、エアロゾル発生システムは、受容空洞の挿入開口部から受容空洞の内表面に沿って延びる、および場合によっては物品内のエアロゾル形成基体とマウスピースを通してユーザーの口の中にさらに延びる空気経路を備えてもよい。
【0049】
上述のように、エアロゾル発生装置は、加熱配設のインダクタによって発生される交番磁場に曝露されるサセプタ配設をさらに備え得る。したがって、サセプタ配設は、加熱配設の特定の部分であってもよい。サセプタの詳細は、上記に記述されている。
【0050】
本発明によるエアロゾル発生装置のさらなる特徴および利点は、本発明による加熱配設に関して上述されており、等しく適用される。
【0051】
本発明によると、エアロゾル発生システムも提供されている。システムは、本発明による、および本明細書に記載のエアロゾル発生装置、ならびに装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品を備える。
【0052】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する、少なくとも一つのエアロゾル形成基体を備える物品を指す。すなわち、物品は、装置によって加熱される少なくとも一つのエアロゾル形成基体を備える。好ましくは、エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されている少なくとも一つのエアロゾル形成基体を備える。エアロゾル発生物品は、消耗品、特に単回使用後に廃棄される消耗品であってもよい。エアロゾル発生物品はたばこ物品であってもよい。例えば、物品は、加熱される液体または固体エアロゾル形成基体を含むカートリッジであってもよい。別の方法として、物品は従来の紙巻たばこに似ている、および固体エアロゾル形成基体を含む、ロッド状の物品、特にたばこ物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、円形または楕円形または長円形または正方形または長方形または三角形または多角形断面を有することが好ましい。
【0053】
上述のように、加熱配設のインダクタによって発生される交番磁場に曝露されるサセプタ配設は、エアロゾル発生装置の一部、またはエアロゾル発生物品エアロゾル発生物品の一部のいずれかであってもよい。したがって、エアロゾル発生システムの物品は、エアロゾル形成基体に熱的に接触した、または熱的に近接したサセプタ配設を備え、サセプタ配設は、物品が装置の空洞内に受容された時に、加熱配設の動作中にインダクタによって発生した交番磁場内に配設される。
【0054】
物品は、以下の要素、すなわち第一の支持要素、基体要素、第二の支持要素、冷却要素、およびマウスピース要素のうちの一つ以上を備えてもよい。エアロゾル発生物品は、少なくとも第一の支持要素、第二の支持要素、および第一の支持要素と第二の支持要素との間に位置する基体要素を備えることが好ましい。前述の要素のすべては、上述の順序で物品の長さ軸に沿って逐次的に配設されてもよく、第一の支持要素は物品の遠位端に配設されることが好ましく、かつフィルター要素は物品の近位端に配設されることが好ましい。前述の要素の各々は、実質的に円筒状であってもよい。具体的には、すべての要素は、同じ外側断面形状を有してもよい。加えて、要素は、要素を一緒にまとめて保持するように、かつロッド状の物品の所望の断面形状を維持するように、外側ラッパーによって囲まれてもよい。ラッパーは紙で作製されることが好ましい。
【0055】
基体要素は、少なくとも一つのエアロゾル形成基体と、存在する場合にはサセプタ配設とを含み得る。好ましくは、サセプタ配設は、エアロゾル形成基体と熱的に接触して、または熱的に近接している。
【0056】
本明細書で使用される「マウスピース要素」という用語は、それを通ってエアロゾルがエアロゾル発生物品から出る物品の一部分を指す。特に、マウスピース要素は、物品からエアロゾルを直接的に吸入するために、ユーザーの口内に配置され得る。好ましくは、マウスピース要素は、フィルターを含む。
【0057】
第一の支持要素および第二の支持要素のうちの少なくとも一つは、中央空気通路を備えてもよい。好ましくは、第一の支持要素および第二の支持要素のうちの少なくとも一つは、中空のセルロースアセテートチューブを備えてもよい。別の方法として、第一の支持要素は、基体要素の遠位前方端を覆い、かつ保護するために使用されてもよい。
【0058】
エアロゾル冷却要素は、大きい表面積および低い引き出し抵抗(例えば、15mmWG~20mmWG)を有する要素である。使用時に、基体要素から放出された揮発性化合物によって形成されたエアロゾルは、エアロゾル発生物品の近位端へと搬送される前にエアロゾル冷却要素を通して引き出される。
【0059】
本発明によるエアロゾル発生システムのさらなる特徴および利点は、本発明によるエアロゾル発生装置および加熱配設に関してすでに上述されており、等しく適用される。
本発明はさらに、本発明による、および本明細書に記載の誘導加熱配設を較正する方法に関する。方法は:
加熱配設を基準サセプタ配設に動作可能に連結することと、
-加熱配設を動作させて基準サセプタ配設を加熱することと、
-加熱配設の動作中にDC電源から引き出される実際のDC供給電流を判定することと、
-それに対する動作中にDC電源から引き出される実際のDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定することと、
-調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力することと、を含む。
【0060】
特に、本発明はさらに、本明細書による、および本明細書に記載の誘導加熱配設を較正する方法に関し得、方法は、
-加熱配設を基準サセプタ配設に動作可能に連結することと、
-加熱配設を動作させて基準サセプタ配設を加熱することと、
-加熱配設の動作中にDC電源から引き出される実際のDC供給電流を判定することと、
-スイッチング信号のスイッチング周波数を調整する一方で、実際のDC供給電流が所定の範囲内になるまで、DC電源から引き出される実際のDC供給電流を判定することと、
-それに対する動作中にDC電源から引き出される実際のDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定することと、
-調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力することと、を含む。
【0061】
本発明による加熱配設に関してさらに上述したように、加熱配設の出力電力は、DC電源から引き出される少なくともDC供給電流を測定することによって、DC供給電流、またはそれを示す信号に応答して、特にこれに基づいて、それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の基準範囲内にある、特に、それに対する電流センサーから受信した電流信号が電流信号の所定の基準範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定することによって、およびその後、調整可能なオシレータをセットアップして、それに対するDC電源から引き出される実際のDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力することによって、所望の作動点に較正され得ることが見出された。特に、スイッチング信号の動作スイッチング周波数は、受信した電流信号に関連するDC供給電流が測定されたスイッチング周波数に適用される、DC電流とスイッチング周波数との間の予め既知の関数(周波数変化の関数としての電流変化)を使用して周波数シフトを計算することによって、判定されてもよい。これは、加熱配設のコントローラ、または加熱配設のコントローラに動作可能に連結可能/連結された較正機器のいずれかによって実現させることができる。その後、DC電流は、シフトされたスイッチング周波数において再び測定され、動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流がシフトされたスイッチング周波数の所定の範囲内にあるかどうかを検証し得る。
【0062】
同様に、加熱配設の出力電力は、DC電源から引き出される少なくともDC供給電流を測定する一方で、測定されたDC供給電流が所定の基準範囲内になるまで、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整することによって、およびその後、調整可能なオシレータをセットアップして、それに対するDC電源から引き出される実際のDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力することによって、所望の作用点に較正され得る。
【0063】
有利なことに、この較正により、構成要素の公差に対して置かれる厳格な制限を小さくすることが可能である一方で、依然として出力電力の性能変動を許容可能な制限内に維持することが可能である。
【0064】
実際のDC供給電流は、スイッチング周波数を調整する間に連続的に判定されてもよい。また、スイッチング周波数を段階的に、特に複数の周波数値を通して調整し、各調整工程ごとに、特に各周波数値ごとにそれぞれの実際のDC供給電流を判定することも可能である。特に、スイッチング周波数を新たな周波数値に調整する工程と、それぞれの実際のDC供給電流を判定する工程は、交互であってもよい。
【0065】
同様に、実際のDC供給電流は、単数の予め特定された(固定の)スイッチング周波数において、例えば、調整可能なオシレータの供給業者によって特定される事前設定されたスイッチング周波数において測定されてもよい。この測定は、平均値の検証または判定ごとに繰り返されてもよい。次いで、それに対する出力電力が所望の範囲内にある、「新たな」スイッチング周波数は、その後に受信した電流信号に関連する(単数の)DC供給電流が測定された予め特定されたスイッチング周波数に適用され得る、DC電流とスイッチング周波数との間の予め既知の関数(周波数変化の関数としての電流変化)を使用して周波数シフトを計算することによって、判定されてもよい。このプロセスは、フィードバックループまたは電流センサーから受信したDC電流信号と所定の基準範囲の電流信号との比較を伴わない。好ましくは、この種類の較正は、加熱配設の製造中に実施される。
【0066】
本発明による較正方法のさらなる特徴および利点は、本発明による加熱配設に関して既に記述されており、等しく適用される。
【0067】
本発明はさらに、本発明による、および本明細書に記載の誘導加熱配設の出力電力を較正するための、特に、本発明による、および本明細書に記載の誘導加熱配設を較正するための方法において使用するための較正機器に関する。較正機器は、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を判定するための基準サセプタ配設および電流センサーを含み得る。
【0068】
基準サセプタ配設は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱配設のその後の動作において使用されるサセプタ配設と同じタイプのものであることが好ましい。また、基準サセプタ配設は、加熱配設のインダクタに対して、エアロゾル形成基体を加熱するためにその後の動作において使用される実際のサセプタ配設と同じ位置に配置されてもよい。
【0069】
好ましくは、電流センサーは、感知抵抗器および電流分路増幅器を含む。電流センサー、特に電流分路増幅器は、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を示す電流信号を出力するように構成され得る。
【0070】
経時的なDC供給電圧の可能性のある低減を考慮に入れるために、較正機器は、DC電源から引き出されるDC供給電圧を判定するための電圧センサーをさらに含んでもよい。このため、電圧センサーは、分圧器を含み得る。電圧センサーは、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電圧を示す電圧信号を出力するように構成されることが好ましい。したがって、誘導加熱配設装置の出力電力は、DC電源から引き出されるDC供給電流ならびにDC供給電圧の両方の関数として判定され得る。
【0071】
電流センサー、および存在する場合には電圧センサーは、加熱配設のコントローラに、DC供給電流およびDC供給電圧をそれぞれ示すそれぞれの信号を提供するために、加熱配設のコントローラに動作可能に連結可能であり得る。これにより、次いで、加熱配設のコントローラが、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整する一方で、測定されたDC供給電流が所定の基準範囲内にあるかどうかを判定することが可能になる。
【0072】
別の方法として、較正機器は、フィードバックループ構成で較正機器の電流センサーに動作可能に連結され、かつ加熱配設のトランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結可能である、較正コントローラ自体を含んでもよい。加熱配設のコントローラと同様に、較正コントローラは、電流センサーからDC供給電流を示す電流信号を受信し、受信した電流信号に応答して、DC電源から引き出されるDC供給電流を所定の範囲内になるように調整するために、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整するように構成され得る。
【0073】
さらに、較正コントローラは、それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定するように構成され得る。また、較正コントローラは、調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成され得る。
【0074】
本発明はさらに、本発明による、および本明細書に記載の誘導加熱配設の出力電力を較正するための、特に本発明による、および本明細書に記載の誘導加熱配設を較正するための方法で使用するための較正機器に関し、較正機器は、加熱配設のインダクタに誘導連結可能な基準サセプタ配設と、加熱配設のコントローラに動作可能に連結可能な較正コントローラとを含む。較正コントローラは、加熱配設のコントローラから伝達された電流信号を受信し、電流信号に応答して、特にこれに基づいて、それに対するDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定し、判定された動作スイッチング周波数を示す信号を加熱配設のコントローラに伝達するように構成され得る。
【0075】
較正方法に関して上述したように、較正コントローラに伝達された実際のDC供給電流は、単数の予め特定された(固定の)スイッチング周波数において、例えば、調整可能なオシレータの供給業者によって特定された事前設定されたスイッチング周波数において測定された単一の(平均)値であり得、これは次いで、それに対する出力電力が所望の範囲内にある「新たな」スイッチング周波数を判定するために、受信した電流信号に関連する(単数の)DC供給電流における予め特定されたスイッチング周波数に適用される周波数シフトを計算するのに使用される。したがって、較正コントローラは、受信した電流信号に関連するDC供給電流が測定されたスイッチング周波数に適用される、DC電流とスイッチング周波数との間の予め既知の関数(周波数変化の関数としての電流変化)を使用して周波数シフトを計算することによって、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定するように構成されてもよい。その後、DC電流は、シフトされたスイッチング周波数において再び測定され、動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流がシフトされたスイッチング周波数の所定の範囲内にあるかどうかを検証し得る。
【0076】
本発明による較正機器のさらなる特徴および利点は、本発明による加熱配設および較正方法に関して既に記述されており、等しく適用される。
【0077】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【0078】
実施例1:
エアロゾル形成基体を加熱するための誘導加熱配設であって、加熱配設は、DC電源と、DC電源に接続されたDC/ACインバータを含む電源電子回路とを備え、DC/ACインバータは、少なくとも一つのトランジスタスイッチ、トランジスタスイッチに関連付けられた少なくとも一つのトランジスタスイッチドライバ回路、および少なくとも一つのコンデンサおよび少なくとも一つのインダクタを含むLC負荷ネットワークを有する共振スイッチング電力増幅器を含み、インダクタは、エアロゾル形成基体を誘導加熱するために、加熱配設の動作中に交番磁場を発生するように構成され、トランジスタスイッチドライバ回路は、調整可能なスイッチング周波数を有するトランジスタスイッチにスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータを含む、誘導加熱配設。
実施例2:
スイッチング周波数は、中央周波数の前後±20パーセント、特に±10パーセント、好ましくは±5パーセントの範囲内で調整可能である、実施例1による誘導加熱配設。
実施例3:
中央周波数は、6.5MHz~7.1MHz、特に6.7MHz~6.9MHzの範囲内である、実施例2による誘導加熱配設。
実施例4:
スイッチング周波数は、5.4MHz~8MHz、特に6.0MHz~7.5MHz、好ましくは6.4MHz~7.2MHzの範囲内で調整可能である、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例5:
調整可能なオシレータは、(微小電気機械システム)調整可能なオシレータ、電圧制御オシレータ(VOC)、またはコルピッツオシレータである、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例6:
コンデンサの静電容量の公差は、コンデンサの公称静電容量値の±2パーセント~±4パーセントの範囲内である、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例7:
インダクタのインダクタンスの公差は、インダクタの公称インダクタンス値の±3パーセント~±7パーセント、特に±4パーセント~±6パーセント、好ましくは±5パーセントの範囲内である、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例8:
スイッチング電力増幅器は、クラスC電力増幅器、クラスD電力増幅器、およびクラスE電力増幅器のうちの一つである、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例9:
LC負荷ネットワークは、コンデンサおよびインダクタの直列接続を含む、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例10:
LC負荷ネットワークは、分路コンデンサを含む、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例11:
加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を判定するために電流センサーをさらに備える、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例12:
電流センサーは、感知抵抗器および電流分路増幅器を含む、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例13:
フィードバックループ構成で電流センサーおよびトランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結されたコントローラをさらに備え、コントローラは、電流センサーからDC供給電流を示す電流信号を受信し、受信した電流信号に応答して、DC電源から引き出されるDC供給電流を所定の範囲内になるように調整するために、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整するように構成されている、実施例11または実施例12のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例14:
コントローラは、それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定するように構成されている、実施例13による誘導加熱配設。
実施例15:
コントローラは、調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成されている、実施例14による誘導加熱配設。
実施例16:
サセプタ配設をさらに備え、サセプタ配設は、加熱配設の動作中にインダクタによって発生する交番磁場内に配設される、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例17:
DC電源から引き出されるDC供給電圧を判定するための電圧センサーをさらに備える、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設。
実施例18:
電圧センサーは、分圧器を含む、実施例17による誘導加熱配設。
実施例19:
エアロゾル形成基体を誘導加熱することによってエアロゾルを発生するために使用されるエアロゾル発生装置であって、装置は、先行する実施例のいずれか一つによる誘導加熱配設を備える、エアロゾル発生装置。
実施例20:
装置は、加熱されるエアロゾル形成基体を取り外し可能に受容するための、特に加熱されるエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を取り外し可能に受容するための受容空洞を備える、実施例19によるエアロゾル発生装置。
実施例21:
実施例19または実施例20のいずれか一つによるエアロゾル発生装置と、装置と共に使用するためのエアロゾル発生物品とを備え、物品は、装置によって加熱されるエアロゾル形成基体を含む、エアロゾル発生システム。
実施例22:
物品は、エアロゾル形成基体に熱的に接触した、または熱的に近接したサセプタ配設を含み、サセプタ配設は、物品が装置の受容空洞内に受容された時に加熱配設の動作中にインダクタによって発生される交番磁場内に配設される、実施例21によるエアロゾル発生システム。
実施例23:
方法は:
-加熱配設を基準サセプタ配設に動作可能に連結することと、
-加熱配設を動作させて基準サセプタ配設を加熱することと、
-加熱配設の動作中にDC電源から引き出される実際のDC供給電流を判定することと、
-スイッチング信号のスイッチング周波数を調整する一方で、実際のDC供給電流が所定の範囲内になるまで、DC電源から引き出される実際のDC供給電流を判定することと、
-それに対する動作中にDC電源から引き出される実際のDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定することと、
-調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力することと、を含む、実施例1~18のいずれか一つによる誘導加熱配設の較正方法。
実施例24:
較正機器は、加熱配設のインダクタに誘導連結可能な基準サセプタ配設、および加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を判定するための電流センサーを備える、実施例1~18のいずれかによる、特に実施例23による方法で使用するための、誘導加熱配設を較正するための較正機器。
実施例25:
電流センサーは、感知抵抗器および電流分路増幅器を含む、実施例24による較正機器。
実施例26:
電流センサーは、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を示す電流信号を出力するように構成されている、実施例24または25のいずれか一つによる較正機器。
実施例27:
DC電源から引き出されるDC供給電圧を判定するための電圧センサーをさらに備える、実施例24~26のいずれか一つによる較正機器。
実施例28:
電圧センサーは、分圧器を含む、実施例27による較正機器。
実施例29:
電圧センサーは、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電圧を示す電圧信号を出力するように構成されている、実施例27または実施例28のいずれか一つによる較正機器。
実施例30:
電流センサー、および存在する場合には電圧センサーは、加熱配設のコントローラに動作可能に連結可能である、実施例24~29のいずれか一つによる較正機器。
実施例31:
フィードバックループ構成で較正機器の電流センサーに動作可能に連結され、かつ加熱配設のトランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結可能である較正コントローラをさらに備え、較正コントローラは、電流センサーからDC供給電流を示す電流信号を受信し、受信した電流信号に応答して、DC電源から引き出されるDC供給電流を所定の範囲内になるように調整するために、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整するように構成されている、実施例24~29のいずれか一つによる較正機器。
実施例32:
較正コントローラは、それに対する動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定するように構成されている、実施例31による誘導加熱配設。
実施例33:
較正コントローラは、調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成されている、実施例32による誘導加熱配設。
【0079】
ここで、図を参照しながら実施例を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システム1の例示的な一実施形態を概略的に示す。
【
図2】
図2は、
図1によるエアロゾル発生装置で使用され得る、本発明による誘導加熱配設の第一の例示的な実施形態を示す。
【
図3】
図3は、
図2による誘導加熱配設の公称の共振曲線および実際の共振曲線を概略的に示す。
【
図4】
図4は
図2による加熱配設の出力電力を較正するための方法の一実施形態を例示する。
【
図5】
図5は、加熱配設で使用される電流センサー40の一例を示す。
【
図6】
図6は、
図1によるエアロゾル発生装置で代替的に使用され得る、本発明による誘導加熱配設の第二の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システム1の例示的な一実施形態を概略的に示す。システム1は、エアロゾル発生装置10、ならびに装置と共に使用するように構成され、加熱されて吸入可能なエアロゾルを形成するエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品100を備える。
【0082】
エアロゾル発生物品100は、同軸に整列して連続的に配設された四つの要素、すなわち、エアロゾル形成ロッドセグメント110、中央空気通路を有する支持要素140、エアロゾル冷却要素150、およびフィルターを含むマウスピース要素160を備えたロッド形状の消耗品である。エアロゾル形成ロッドセグメント110は、物品100の遠位端に配設され、細片形状のサセプタ配設120と、加熱されるエアロゾル形成基体130とを含む。対照的に、マウスピース要素160は、物品100の近位端に配設され、ユーザーがそれで吸煙することを可能にする。支持要素140およびエアロゾル冷却要素150は、その間に配設される。四つの要素の各々は実質的に円筒状の要素であり、これらはすべて実質的に同じ直径を有する。四つの要素は、四つの要素をまとめて保持し、ロッド様物品100の所望の円形断面形状を維持するように、外側ラッパー170によって包囲される。ラッパー170は紙で作製されることが好ましい。物品、特に四つの要素のさらなる詳細は、国際公開第2015/176898A1号に記載されている。
【0083】
エアロゾル発生装置10は、物品100の少なくとも遠位部分をその中に受容するために、装置10の近位部分12内に画定された円筒状の受容空洞20を備える。装置10はさらに、高周波の交番磁場を発生するためのインダクタ31を含む誘導加熱配設30を備える。本実施形態において、インダクタ31は、円筒状の受容空洞20を円周方向に囲むらせん状コイルである。コイル31は、エアロゾル発生物品100のサセプタ配設120が、物品100が装置10と係合するのに伴い交番磁場に曝露されるように配設される。したがって、誘導加熱配設30を起動させると、サセプタ配設120は、サセプタ配設120の磁気的および電気的特性に応じて、交番磁場によってサセプタ配設120内に誘発される渦電流および/またはヒステリシス損失に起因して加熱する。サセプタ配設120は、物品100内のサセプタ配設120を囲むエアロゾル形成基体130を気化させるのに十分な動作温度に達するまで加熱される。遠位部分13内に、エアロゾル発生装置10は、電力を供給し、加熱プロセスを制御するためのDC電源50とコントローラ60(
図1に概略的にのみ示される)とをさらに備える。
【0084】
エアロゾル発生物品100の一部であるが、サセプタ配設120は、誘導加熱配設30の一部であると見なされ得る。DC電源50およびコントローラ60についても同様である。
【0085】
システム1の使用において、ユーザーが物品100のマウスピース要素160で吸煙すると、空気は、空洞20の物品挿入開口部25の縁において空洞20内に引き出される。気流はさらに、円筒形の空洞20の内表面と物品100の外表面との間に形成される通路を通って、空洞20の遠位端に向かって延びる。空洞20の遠位端において、気流は、基体要素110を通してエアロゾル発生物品100に入り、そしてさらに、支持要素140、エアロゾル冷却要素150、およびマウスピース要素160を通過し、最終的に物品100を出る。基体要素110では、エアロゾル形成基体130からの気化した材料が気流に同伴される。その後、支持要素140、冷却要素150およびマウスピース要素160を通過する時、気化した材料を含む気流は、マウスピース要素160を通って物品10を抜け出るエアロゾルを形成するように冷却される。
【0086】
図2は、
図1によるエアロゾル発生装置10内に実装され得る、本発明による誘導加熱配設30の例示的な実施形態を示す。本発明によれば、誘導加熱配設30は、DC電源50に接続されたDC/ACインバータを備える。本実施形態において、DC/ACインバータは、クラスE電力増幅器、すなわち、共振スイッチング電力増幅器を含み、これは、以下の構成要素、すなわち、電界効果トランジスタT(FET)、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含むトランジスタスイッチ36と、スイッチング信号(ゲート・ソース間電圧)をトランジスタスイッチ36に供給するためのトランジスタスイッチ供給回路37と、分路コンデンサC1、およびコンデンサC2とインダクタL2の直列接続を含むLC負荷ネットワーク33とを含む。インダクタL2は、システム1の動作中に交番磁場を空洞20内に発生するように構成された
図1に示すインダクタ31に対応する。加えて、DC供給電圧+V_DCをDC電源50に供給するためのDCフィードチョークL1が提供されている。同じく
図2には、総等価抵抗または総抵抗負荷38を表すオーム抵抗Rが示されており、これは、動作中の、
図1にL2として記されたインダクタ31のオーム抵抗と、サセプタ配設120のオーム抵抗の合計に対応する。物品が空洞20内に挿入されない場合、等価抵抗または抵抗負荷38は、インダクタ31のオーム抵抗のみに対応する。本実施形態による誘導加熱配設30のさらなる詳細は、特にその動作原理に関して、例えば、国際公開第2015/177046A1号に開示されている。
【0087】
電子構成要素、特にコンデンサC2およびインダクタL2の製造公差に起因して、LC負荷ネットワーク33の実際の共振曲線は、公称の共振曲線から逸脱し得る。これは
図3に示されており、図中、実線曲線は、コンデンサC2およびインダクタL2の公称値によって定義されるLC負荷ネットワーク33の公称の共振曲線510を表し、点線曲線は、コンデンサC2およびインダクタL2の実際の値によって定義されるLC負荷ネットワーク33の実際の共振曲線520を表す。従来、トランジスタスイッチ供給回路37によってトランジスタスイッチ36に提供されるスイッチング信号のスイッチング周波数f_1は、公称の共振曲線510に対して、すなわち、所望の目標出力電力P_1に関連付けられた公称の共振曲線510上の特定の作用点511に対して判定されてきた。しかしながら、
図3に示すように、公称の共振曲線510からの偏差により、所与のスイッチング周波数f_1に対する電力増幅器の実効作用点は、所望の目標出力P1とは異なる出力電力P_2に関連付けられた実際の共振曲線520上の点522になり得る。したがって、この偏差は、その公称値からの加熱配設30の出力電力の偏差をもたらし得る。例えば、LC負荷ネットワーク33のインダクタL2の公称インダクタンス、およびコンデンサC2の公称静電容量の±1パーセント超の公差は、加熱配設30の出力電力の±17パーセント超の変動をもたらし得る。通常、これは許容されない。厳格な公差を有するコンデンサおよびインダクタを使用する代わりに、本発明による加熱配設30は、調整可能なスイッチング周波数を有するトランジスタスイッチ36にスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータ39を含むトランジスタスイッチドライバ回路37を含む。同じく
図3に示すように、これにより、LC負荷ネットワークの実際の共振曲線上の実効作用点を点521に、または所望の目標出力電力P_1に関連付けられた点521前後の十分に小さな範囲にシフトさせるために、スイッチング信号のスイッチング周波数を調整することが可能になる。したがって、スイッチング信号のスイッチング周波数を
図3に示す値f_1から値f_2に調整することによって、共振スイッチング電力増幅器が所望の作動点に効果的に調整され得る。結果として、出力電力の変動を著しく制限することができると同時に、コンデンサおよびインダクタの公差に対する要件を低く設定することができる。
図3に示す本実施例では、スイッチング周波数は、LC負荷ネットワークの実際の共振周波数に対してオフセットされた所望の範囲に調整される。
【0088】
加熱配設の出力電力の調整は、好ましくは、加熱配設の製造中に、すなわち、較正プロセスの一種として実施される。これは、
図1に示すように、特にエアロゾル形成基体を加熱するのに使用される実際のサセプタ配設がエアロゾル発生物品の一部である場合に、基準サセプタ配設(
図2に図示せず)を使用して行われることが好ましい。
【0089】
図4は、
図2による加熱配設30の出力電力を較正するための方法300の一実施形態を例示的に示す。第一の工程301において、基準サセプタ配設(図示せず)は、加熱配設30に動作可能に連結される。
図1のエアロゾル発生装置10を参照すると、基準サセプタ配設は、例えば、装置10の受容空洞20の中に挿入され得る。好ましくは、基準サセプタ配設は、装置と共に使用され、後に基体を加熱する、エアロゾル発生物品100内のサセプタ配設120と同じタイプ、かつ受容空洞20内の同じ位置に配置される。次の工程302において、加熱配設10を動作させて基準サセプタ配設を加熱する。加熱配設の動作中、DC電源50から引き出される実際のDC供給電流が判定される。このため、加熱配設30は、
図2に示すように、電流センサー40を備え得る。電流センサーの詳細について、
図5に関して以下に詳述する。判定された実際のDC供給電流は、所定の範囲と比較される。判定された実際のDC供給電流が所定の範囲内にない場合、トランジスタスイッチ供給回路37によってトランジスタスイッチ36に提供されるスイッチング信号のスイッチング周波数は、LC負荷ネットワークの実際の共振曲線上の実効作用点を所望の目標出力電力に関連付けられた位置または十分に小さな範囲にするために、変更される。これは、
図4の工程303に示される。スイッチング周波数は、判定された実際のDC供給電流が、所望の目標出力電力に関連付けられた所定の範囲内になるまで調整される(
図3参照)。実際のDC供給電流は、スイッチング周波数を調整する間に連続的に判定されてもよい。また、スイッチング周波数を段階的に、特に複数の周波数値を通して調整し、各調整工程ごとに、特に各周波数値ごとに、それぞれの実際のDC供給電流を判定することも可能である。スイッチング周波数を新たな周波数値に調整する工程と、それぞれの実際のDC供給電流を判定する工程は、交互であってもよい。次の工程304では、判定された実際のDC供給電流が所定の範囲内にある場合、それに対する動作中にDC電源から引き出される実際のDC供給電源が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数が判定される。最後に、工程305で、調整可能なオシレータをセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力する。
【0090】
加熱配設の動作中にDC電源50から引き出されるDC供給電流を判定するために、誘導加熱配設30は、
図2に示す電流センサー40を備えてもよい。電流センサー40は、DC供給電流を示す電流信号を出力するように構成されている。
図5に示すように、電流センサー40は、感知抵抗器41および電流分路増幅器42を含み得る。経時的なDC供給電圧の可能性のある低減を考慮に入れるために、誘導加熱配設30は、DC電源50から引き出されるDC供給電圧を判定するための電圧センサー45をさらに備え得る。
図2に示すように、電圧センサー45は、分圧器を含み得る。電圧センサー45は、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電圧を示す電圧信号を出力するように構成され得る。したがって、誘導加熱配設の出力電力は、DC供給電流、ならびにDC電源50から引き出されるDC供給電圧の両方の関数として判定され得る。
【0091】
加熱配設の出力電力を調整するため、特に調整可能なオシレータ39のスイッチング周波数をLC負荷ネットワークの実際の共振曲線上の所望の作用点、例えば、LC負荷ネットワーク33の共振周波数前後、またはこれに対してオフセットされた所望の範囲内に調整するために、電流センサー40、調整可能なオシレータ39、および存在する場合には電圧センサー45は、
図2に示すように、フィードバックループ構成でコントローラ60に動作可能に連結される。コントローラ60は、
図1に示すものと同じであってもよく、電流センサー40からDC供給電流を示す電流信号を受信するように構成されている。さらに、コントローラ60は、DC電源から引き出されるDC供給電流を
図4に示す較正方法に関して上述した所定の範囲内に調整するために、受信した電流信号に応答して、調整可能なオシレータによって出力されたスイッチング信号のスイッチング周波数を調整するように構成されている。コントローラ60はさらに、それに対する動作中にDC電源50から引き出されるDC供給電流が所定の範囲内にある、スイッチング信号の動作スイッチング周波数を判定するように構成されてもよい。また、コントローラ60は、調整可能なオシレータ39をセットアップして、判定された動作スイッチング周波数を有するスイッチング信号を出力するように構成されてもよい。すなわち、判定された動作スイッチング周波数は、オシレータ39が判定された動作スイッチング周波数を有する固定のスイッチング信号を出力するように、調整可能なオシレータ39に書き込まれ得る。
【0092】
内部電流センサー40を使用する代わりに、較正方法は、別個の較正機器を使用して実施されてもよい。上述の基準サセプタ配設に加えて、較正機器は、加熱配設の動作中にDC電源から引き出されるDC供給電流を判定するための電流センサーを含み得る。電流センサーの電流センサーは、
図2および
図5に示す電流センサー40に関して上述するのと同様に構成され得る。較正機器はまた、経時的なDC供給電圧の可能性のある低減を考慮に入れるために、DC電源50から引き出されるDC供給電圧を判定するための上述の電圧センサーを含み得る。
【0093】
較正機器の電流センサー、および存在する場合には電圧センサーは、加熱配設30またはエアロゾル発生装置のコントローラ60にそれぞれ動作可能に連結可能であってもよい。別の方法として、内部コントローラ60を使用する代わりに、較正機器は、較正コントローラ自体を含んでもよい。較正コントローラは、フィードバックループ構成で較正機器の電流センサーに動作可能に連結され、かつ加熱配設のトランジスタスイッチドライバ回路に動作可能に連結可能であり得る。較正コントローラは、
図1および
図2に示される内部コントローラ60に関して上述するのと同様に構成され得る。
【0094】
図6は、
図1のエアロゾル発生装置で代替的に使用され得る、本発明による誘導加熱配設430の第二の例示的な実施形態を示す。誘導加熱配設430が
図2による誘導加熱配設30と同じか、または類似の特徴を含む限り、
図5において使用されるのと同じ参照番号が使用されるが、400だけ増分されている。クラスE増幅器の代わりに、
図6による誘導加熱配設430は、その後にサセプタ配設を加熱するための交番磁場を発生するのに使用される高周波の振動電流をインダクタ431に提供するための、二つのトランジスタスイッチ436.1および436.2を含むクラスD増幅器を含む。
図2と同様、インダクタ431は、ここでもL2によって示され、インダクタ431およびサセプタ配設の組み合わせのオーム抵抗438は、Rで示される。誘導加熱配設430は、二つのトランジスタスイッチ436.1および436.2に接続されたDC電源450をさらに備える。二つのトランジスタスイッチドライバ回路437.1および437.2は、二つのトランジスタスイッチ436.1および436.2のオンオフを切り替えるために提供される。スイッチは、二つのトランジスタスイッチ436.1および436.2のうちの他方がオンになっている時に、この二つのトランジスタのうちの一方が確実にオフになるような様式で高周波で制御される。誘導加熱配設430の出力電力の調整を可能にするために、二つのトランジスタスイッチドライバ回路437.1および437.2の各々は、調整可能なスイッチング周波数を有するそれぞれのトランジスタスイッチ436.1および436.2にスイッチング信号を出力するように構成された調整可能なオシレータ439.1および439.2を含む。これにより、
図6による加熱配設430は、
図4に関して上述したのと同じ方法で較正することができる。C1およびC2の値は、サセプタ配設内での電力の効率的な分散が最大となるように選択することができる。
【0095】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。したがって、この文脈では、数AはA±Aの5パーセントとして理解される。この文脈内において、数Aは、数Aが修飾する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数Aは、添付の特許請求の範囲で使用されるような一部の事例において、それによってAが逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を与えないという条件で、上記に列挙される割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
【国際調査報告】