(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ウイルス感染を予防するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7008 20060101AFI20240126BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A61K31/7008
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545972
(86)(22)【出願日】2022-01-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022014456
(87)【国際公開番号】W WO2022165282
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523078982
【氏名又は名称】ハッサン,アミール イー
【氏名又は名称原語表記】HASSAN, Ameer E.
(71)【出願人】
【識別番号】523078993
【氏名又は名称】ハリーリ,ユーセフ ハサン アフマド
【氏名又は名称原語表記】KHALILI, Yousef Hasan Ahmad
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン,アミール イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリーリ,ユーセフ ハサン アフマド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086EA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
本開示は、インフルエンザ感染、ライノウイルス感染またはヒトコロナウイルス、例えばSARSコロナウイルス、MERSコロナウイルスおよびCOVID-19などのβコロナウイルス感染を含むウイルス感染により生じる、ウイルス感染に関連する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む感染、症状または後遺症を予防するための、化合物および方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予防有効量のN-アセチルグルコサミンを投与することを含む、インフルエンザ感染、ライノウイルス感染、またはβコロナウイルス感染などのウイルス感染によって引き起こされる病気を予防する方法。
【請求項2】
βコロナウイルス感染がSARS-CoV-2感染である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予防有効量のN-アセチルグルコサミンを投与することが、対象体における1つ以上の症状を予防するか、またはその確率を低下させ、1つ以上の症状が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、および血糖値上昇よりなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
予防有効量がβコロナウイルス感染の1つ以上の症状を予防する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
N-アセチルグルコサミンを、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮、または経鼻投与する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
N-アセチルグルコサミンを経口投与する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
N-アセチルグルコサミンの予防有効量が、約200 mgから約2100 mgの範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
予防有効量のN-アセチルグルコサミンを、1日1回(QD)、1日2回(BID)、または1日3回(TID)投与する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
予防有効量のN-アセチルグルコサミンを、1回の投与あたり約300 mgから約900 mgの用量にて1日2回(BID)投与する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の更なる補助剤の投与をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の更なる補助剤がビタミンまたは必須ミネラルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、または亜鉛である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
N-アセチルグルコサミン、および場合により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンが、インフルエンザ、ライノウイルス、またはβコロナウイルス感染を予防するための予防有効量である、医薬組成物。
【請求項14】
N-アセチルグルコサミンが組成物中に約200 mgから約2100 mgの量である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
N-アセチルグルコサミンが組成物中に約300 mgから約900 mgの量である、請求項13または14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、または亜鉛である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
インフルエンザ感染、ライノウイルス感染、またはβコロナウイルス感染によって引き起こされる対象体における病気を予防するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンの使用。
【請求項20】
βコロナウイルス感染がSARS-CoV-2感染である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
N-アセチルグルコサミンが、対象体における1つ以上の症状を予防するか、またはその確率を低下させる予防有効量であり、1つ以上の症状が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、および血糖値上昇よりなる群から選択される、請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
医薬が、βコロナウイルス感染の1つ以上の症状を予防するために有効であるN-アセチルグルコサミンの量を含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
医薬が、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮、または経鼻投与される、請求項19から22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
医薬が、経口投与される、請求項19から23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
医薬が、約200 mgから約2100 mgの範囲のN-アセチルグルコサミンを含む、請求項19から24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
医薬が、1日1回(QD)、1日2回(BID)、または1日3回(TID)投与される、請求項19から25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
医薬が、1日2回投与(BID)投与され、医薬中に約300 mgから約900 mgの量のN-アセチルグルコサミンを含む、請求項19から26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
医薬が、1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、請求項19から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
1つ以上の更なる補助剤がビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、または亜鉛である、請求項28または29に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年1月29日に出願された米国仮特許出願番号63/143,321の米国特許法第119条(e)の定めによる優先権の利益を主張し、参照によりその開示全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、インフルエンザ感染、ライノウイルス感染またはヒトコロナウイルス、例えばSARSコロナウイルス、MERSコロナウイルスおよびCOVID-19などのβコロナウイルス感染を含むウイルス感染により生じる、ウイルス感染に関連する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む、感染、症状または後遺症を予防するための、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ウイルス感染は、ヒト集団で最も蔓延している健康リスクの1つである。ウイルス感染は、インフルエンザ、コロナウイルス、ライノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、発疹性ウイルス、肝臓ウイルスなどを含む様々なウイルスに由来する。ウイルス感染から生じる病気の重症度は、最小限または軽度から致死の臨床結果までの範囲であり得る。コロナウイルス、特にβコロナウイルスは、ヒトに影響を及ぼし、軽度から致死までの範囲の呼吸器感染を引き起こし得る、関連RNAウイルスのグループである。ヒト疾患を引き起こすβコロナウイルス(ヒトコロナウイルス、HCoV)は、SARS-CoV-1(SARS)、MERS-CoV(MERS)、HCoV-HKU1、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-229E、および直近のSARS-CoV-2(COVID-19)として表される7つの構成員を含む。ヒトでの軽度の病気は、一般的な風邪(コロナウイルスによって引き起こされ、他のウイルス、主にライノウイルスによっても引き起こされる)のいくつかのケースを含み、一方、より致死的な種類は、SARS、MERSおよびCOVID-19を引き起こし得る。
【0004】
COVID-19は、主に感染者が呼吸、咳またはくしゃみをしたときに生成される呼吸器飛沫を介して、人から人へと広がると考えられている。新たなデータは、COVID-19の重症度が患者の肺のウイルス量と相関している可能性があることを示唆している。吸入後、SARS-CoV-2は、鼻腔の上皮細胞に感染し、複製を開始する。感染した細胞は、ウイルス粒子を放出し、それが隣接する細胞に感染する。疾患が進行するにつれて、ウイルス粒子が肺のII型肺胞細胞に感染する。これらの細胞は、大量のウイルス粒子を産生し、最終的には死に、肺の上皮層に損傷を引き起こす。この損傷とそれに対応する免疫反応により、肺炎の一種が引き起こされる。2020年8月の時点で、世界の少なくとも200か国で2,500万人以上が感染しており、ほとんどの症例は米国、ブラジルおよびインドで報告されており、ウイルスによる世界の死者数は急速に85万人に近づいている。
【0005】
COVID-19の感染の臨床所見は、主に悪性肺炎として現れる。疾病管理センター(CDC)によって特定されたCOVID-19の現在の症状のリストには、発熱、咳、息切れまたは呼吸困難、悪寒、悪寒を伴う繰り返しの震え、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、味覚または嗅覚の喪失、持続的な胸部の痛みまたは圧迫感、混乱または覚醒不可、蒼白の唇または顔、下痢または嘔吐が含まれる。COVID-19の重症度レベルは、一般的に3つのレベルに分類される: 軽度の病気(一般的に無症状); 重度の病気(測定可能な呼吸困難を含む); および重篤な病気(呼吸不全、ショックまたは多臓器不全を特徴とする)。COVID-19の全体的な死亡率は低いが(1.4~2.3%)、併存疾患のある患者は重症化して死亡する可能性が高くなる。利用可能なほとんどの研究は、真性糖尿病(DM)がより深刻な疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARD)、および死亡率の増加と関連していることを示している。
【0006】
今日まで、SARS-CoV-2またはSARS-CoV-2感染により生じる病気の効果的な予防は、開発または承認されていない。したがって、SARS-CoV-2を含む、インフルエンザおよびβコロナウイルスなどのウイルス感染の予防(ウイルス感染により生じるまたは悪化する疾患および障害の予防を含む)が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本開示は、予防有効量のN-アセチルグルコサミンを投与することを含む、ウイルス感染、例えばインフルエンザ感染、ライノウイルス感染またはβコロナウイルス感染から対象体を予防する方法を提供する。
【0008】
別の態様において、本開示は、N-アセチルグルコサミン、および場合により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンが、ウイルス感染、例えばインフルエンザ感染、ライノウイルス感染またはβコロナウイルス感染を予防するための予防有効量である、医薬組成物を提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は、ウイルス感染、例えばインフルエンザ感染、ライノウイルス感染またはβコロナウイルス感染を有する対象体を予防するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンの使用を提供する。
【0010】
本開示の更なる実施態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および本開示の実施を通じて明らかになる。本開示の化合物、方法および組成物は、以下に挙げる項のいずれかにおける実施態様として記載され得る。本明細書に記載の実施態様のいずれも、実施態様が互いに矛盾しない範囲で、本明細書に記載の他の実施態様と関連して用い得ると理解される。
【0011】
1. 予防有効量のN-アセチルグルコサミンを投与することを含む、インフルエンザ感染、ライノウイルス感染、またはβコロナウイルス感染などのウイルス感染によって引き起こされる病気を予防する方法。
【0012】
2. 予防されるβコロナウイルス感染がSARS-CoV-2感染である、項1に記載の方法。
【0013】
3. 予防有効量のN-アセチルグルコサミンを投与することが、対象体における1つ以上の症状を予防するか、またはその確率を低下させ、1つ以上の症状が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、および血糖値上昇よりなる群から選択される、項1または2に記載の方法。
【0014】
4. 予防有効量がβコロナウイルス感染の1つ以上の症状を予防する、項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0015】
5. N-アセチルグルコサミンを、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮、または経鼻投与する、項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0016】
6. N-アセチルグルコサミンを経口投与する、項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
7. N-アセチルグルコサミンの予防有効量が、約200 mgから約2100 mgの範囲である、項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
8. 予防有効量のN-アセチルグルコサミンを、1日1回(QD)、1日2回(BID)、または1日3回(TID)投与する、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
9. 予防有効量のN-アセチルグルコサミンを、1回の投与あたり約300 mgから約900 mgの用量にて1日2回(BID)投与する、項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
10. 1つ以上の更なる補助剤の投与をさらに含む、項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0021】
11. 1つ以上の更なる補助剤がビタミンまたは必須ミネラルである、項10に記載の方法。
【0022】
12. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、または亜鉛である、項10または11に記載の方法。
【0023】
13. N-アセチルグルコサミン、および場合により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンが、ウイルス感染、例えばβコロナウイルス感染を予防するための予防有効量である、医薬組成物。
【0024】
14. N-アセチルグルコサミンが組成物中に約200 mgから約2100 mgの量である、項13に記載の医薬組成物。
【0025】
15. N-アセチルグルコサミンが組成物中に約300 mgから約900 mgの量である、項13または14に記載の医薬組成物。
【0026】
16. 1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、項13から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【0027】
17. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、項16に記載の方法。
【0028】
18. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、または亜鉛である、項16または17に記載の方法。
【0029】
19. インフルエンザ感染、ライノウイルス感染、またはβコロナウイルス感染によって引き起こされる対象体における病気を予防するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンの使用。
【0030】
20. βコロナウイルス感染がSARS-CoV-2感染である、項19に記載の使用。
【0031】
21. N-アセチルグルコサミンが、対象体における1つ以上の症状を予防するか、またはその確率を低下させる予防有効量であり、1つ以上の症状が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、および血糖値上昇よりなる群から選択される、項19または20に記載の使用。
【0032】
22. 医薬が、βコロナウイルス感染の1つ以上の症状を予防するために有効であるN-アセチルグルコサミンの量を含む、項19から21のいずれか一項に記載の使用。
【0033】
23. 医薬が、静脈内、経口、皮下、バッカル、経皮、または経鼻投与される、項19から22のいずれか一項に記載の使用。
【0034】
24. 医薬が、経口投与される、項19から23のいずれか一項に記載の使用。
【0035】
25. 医薬が、約200 mgから約2100 mgの範囲のN-アセチルグルコサミンを含む、項19から24のいずれか一項に記載の使用。
【0036】
26. 医薬が、1日1回(QD)、1日2回(BID)、または1日3回(TID)投与される、項19から25のいずれか一項に記載の使用。
【0037】
27. 医薬が、1日2回投与(BID)投与され、医薬中に約300 mgから約900 mgの量のN-アセチルグルコサミンを含む、項19から26のいずれか一項に記載の使用。
【0038】
28. 医薬が、1つ以上の更なる補助剤をさらに含む、項19から27のいずれか一項に記載の使用。
【0039】
29. 1つ以上の更なる補助剤が、ビタミンまたは必須ミネラルである、項28に記載の使用。
【0040】
30. 1つ以上の更なる補助剤がビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、または亜鉛である、項28または29に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示をさらに説明する前に、本開示は、記載する特定の実施態様に限定されず、当然変化し得ることを理解されたい。本明細書で用いる用語は、特定の実施態様のみを説明するためのものであり、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0042】
簡潔にするために、本明細書で引用する特許を含む刊行物の開示は、出典明示により本明細書の一部とする。他に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0043】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、文脈で明確に示されない限り、複数形の言及を含む。さらに、特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草できることに留意されたい。そのため、この記載は、請求項の構成要素の記載と関連して「だけ(solely)」、「のみ(only)」などの排他的な用語の使用、または「否定的な」限定の使用のための先行詞として機能することを意図している。
【0044】
本明細書で用いる用語「含む(including)」、「含む(containing)」、および「含む(comprising)」は、オープンで非限定的な意味で用いる。
【0045】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載されている量的表現の一部は、用語「約」で修飾されていない。用語「約」が明示的に使用されているかどうかにかかわらず、本明細書で与えられているすべての量は、実際の所与の値を指すことを意味し、当業者に基づいて合理的に推測されるそのような所与の値の近似値(そのような所与の値の実験および/または測定条件による等価物および近似値を含む)を指すことも意図されることが理解される。
【0046】
他に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等のあらゆる方法および材料も、本開示の実施または試験において使用できるが、好ましい方法および材料をここで説明する。
【0047】
明確にするために、別個の実施態様の文脈で記載される本開示の特定の特徴は、単一の実施態様において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施態様の文脈で説明される本開示の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0048】
(代表的な実施態様)
いくつかの実施態様において、本開示は、予防有効量のN-アセチルグルコサミン
(NAG)を投与することを含む、対象体のインフルエンザ感染、ライノウイルス感染、またはβコロナウイルス感染などのウイルス感染を予防する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、対象体のインフルエンザ感染、ライノウイルス感染、またはβコロナウイルス感染などのウイルス感染を予防するための医薬の製造におけるN-アセチルグルコサミンの使用を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、N-アセチルグルコサミン、および場合により医薬的に許容される担体または添加剤を含む医薬組成物であって、N-アセチルグルコサミンが、βコロナウイルス感染を予防するための予防有効量である、医薬組成物を提供する。本明細書で用いる用語「N-アセチルグルコサミン」または「NAG」は、式
【化1】
で示される、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース(N-((2R,3R,4R,5S,6R)-2,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)アセトアミド)、を意味する。
【0049】
本明細書で用いる用語「対象体」は、ヒト、または獣医学的適用の場合には、実験動物、農業用動物、家庭用動物もしくは野生動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒト、実験動物、例えばげっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスターなど)、ウサギ、サル、チンパンジー、家庭用動物、例えばイヌ、ネコおよびウサギ、農業用動物、例えばウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギを含むがこれらに限定されない、対象体に適用できる。
【0050】
本明細書で用いる用語「予防有効量」は、個人、研究者、獣医師、医師または他の臨床医によって対象体(すなわち、組織系、動物またはヒト)において求められている生物学的または医学的応答(ウイルス病原体による感染に関連する疾患または障害の症状の予防、ウイルス病原体による感染の予防、ウイルス感染の悪化阻止、ウイルス感染に関連する症状の悪化阻止、ウイルス感染に関連する症状の発現の予防、ウイルス陰性と試験された対象体のウイルス感染に対する陰性の延長、およびウイルスの存在が陽性と試験された対象体の無症状状態の延長、を含むがこれらに限定されない)を誘発する薬剤(例えば、NAG)の量を指す。いくつかの実施態様において、予防有効量は、任意の医学的予防に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で無症状から疾患の症状を有する状態への疾患の悪化を予防または阻止し得る薬剤(例えば、NAG)の量である。いくつかの実施態様において、予防有効量は、任意の医学的予防に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比でウイルス感染に関連する症状の悪化を予防または阻止し得る薬剤(例えば、NAG)の量である。いくつかの実施態様において、予防有効量は、任意の医学的予防に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比でウイルス感染に関連する症状の悪化の確率を低下し得る薬剤(例えば、NAG)の量である。ウイルス病原体またはウイルス感染とは、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、ならびにSARS-CoV-2を含むコロナウイルスなどのウイルス、およびインフルエンザ感染、ライノウイルス感染、またはβコロナウイルス感染などのウイルス感染に関すると理解されたい。
【0051】
本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、インフルエンザ、コロナウイルスおよびライノウイルスなどを含むがこれらに限定されない様々なウイルス感染により生じる病気に適用できると理解されたい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、ヒトに影響を及ぼし、軽度から致死までの範囲の呼吸器感染を引き起こし得る、インフルエンザ、ライノウイルス、またはコロナウイルス、特にβコロナウイルスから生じる病気の予防に適用できる。いくつかの実施態様において、βコロナウイルスは、SARS-CoV-1(SARS)、MERS-CoV(MERS)、HCoV-HKU1、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-229E、SARS-CoV-2(COVID-19)などを含むが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で用いる「COVID-19」は、SARS-CoV-2コロナウイルスにより引き起こされるコロナウイルス病2019を指す。SARS-CoV-2コロナウイルスは、例えばS、O、L、V、G、GH、GR、GVなどの多くの系統(クレード)、B.1.1.207、B.1.1.248、懸念すべき変異株202012/01、クラスター5、501.VA変異株、501Y.V2変異株、CAL.20C.などの変異株、および例えばD614G、E484K、N501Yなどの変異、を有することがわかっており、本明細書に記載される方法、使用、組成物、または化合物は、COVID-19の系譜、変異株、または変異体のいずれか1つ以上の予防のために使用され得ることを理解されたい。炎症を引き起こす病原性細胞の集団は、例えば、COVID-19をもたらすSARS-CoV-2感染の結果として、対象体に肺炎など本明細書に記載する様々な病気および症状を引き起こし得ると理解されたい。
【0053】
いくつかの実施態様において、インフルエンザ感染、ライノウイルス感染またはコロナウイルス、特にSARS-CoV-2(COVID-19)感染の結果として対象体が経験し得る病気または症状は、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、全身性炎症反応症候群、例えばサイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、炎症、多臓器炎症症候群、血管炎、発熱、悪寒を伴う発熱、疲労、食欲不振、筋肉痛、関節痛、悪心、嘔吐、頭痛、発疹、腎疾患、腸疾患、肝疾患、下痢、頻呼吸、低酸素血症、頻脈、脈圧拡大、低血圧、心拍出量増加、心拍出量の潜在的な減少、深部静脈血栓症(DVT)、微小血栓症、内皮症、および血栓症につながる血液凝固障害(すなわち虚血性脳卒中)、血糖値上昇、D-ダイマーの上昇、低フィブリノゲン血症、出血を伴う低フィブリノゲン血症、高窒素血症、トランスアミノ炎、高ビリルビン血症、精神状態の変化、混乱、せん妄、喚語困難、幻覚、振戦、測定障害、歩行の変化、および発作を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2感染を経験している対象体の病気または症状は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、微小血栓症、内皮症、および血栓症につながる血液凝固障害(すなわち虚血性脳卒中)、および血糖値上昇を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、コロナウイルス、特にSARS-CoV-2(COVID-19)感染から対象体が経験し得る病気または症状は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サイトカイン放出症候群(CRS)、中枢神経系障害、せん妄、認知障害、心血管疾患、腎疾患、腸疾患、肝疾患、深部静脈血栓症(DVT)、微小血栓症、内皮症、および血栓症につながる血液凝固障害(すなわち虚血性脳卒中)、および血糖値上昇を含むが、これらに限定されない。
【0054】
いくつかの例において、SARS-CoV-2(COVID-19)を含むインフルエンザ感染、ライノウイルス感染またはコロナウイルス感染の結果として対象体が経験し得る病気および/または症状は、挿管または人工呼吸または死亡に至り得る。理論に拘束されるものではないが、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、グルコサミン受容体との相互作用によってウイルスRNA複製を減少させ、これがウイルス量の減少を引き起こし、最終的に感染または、挿管または人工呼吸または死亡の可能性へとつながる無症状から症候性への悪化の発生率の低下を引き起こすことができると考えられる。
【0055】
本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、当該技術分野で知られているあらゆる投与様式で投与され得ると理解されたい。本明細書に記載の「投与する」または「投与される」は、経口(po)、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮、吸入、バッカル、眼、舌下、鼻、膣、直腸などを含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の化合物および組成物を対象体へ導入するすべての手段を含む。本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、従来の無毒性の医薬的に許容される担体、アジュバントおよび/またはビヒクルを含む、単位剤形および/または製剤で投与され得る。
【0056】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、経口投与され得る。経口投与に適する製剤は、固形製剤、例えば錠剤、粒子を含有するカプセル剤、液剤、または散剤、ロゼンジ剤(液体充填を含む)、咀嚼錠、ナノ多粒子剤、ゲル剤、固溶液剤、リポソーム剤、フィルム剤、丸剤(ovules)、スプレー剤および液体製剤を含む。
【0057】
液体製剤は、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。このような製剤は、軟または硬カプセル剤中に充填剤として用いられ得て、典型的には、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油、および1つ以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、例えば小袋から、固体の再構成により調製され得る。
【0058】
結合剤は、一般的に、錠剤の製剤に凝集性を付与するために用いられる。適切な結合剤としては、結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、結晶セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物を含み得る。
【0059】
錠剤はまた、場合により、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80、および流動促進剤、例えば二酸化ケイ素およびタルクを含む。存在するとき、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%~5重量%を構成し得て、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%~1重量%を構成し得る。
【0060】
錠剤はまた、一般的に、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含む。滑沢剤は、一般的に、錠剤の0.25重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%を構成する。
【0061】
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、着香剤、防腐剤および味マスキング剤を含む。例示的な錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%~25 約90重量%の結合剤、約0重量%~約85重量%の希釈剤、約2重量%~約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%~約10重量%の滑沢剤を含む。
【0062】
錠剤混合物を、直接またはローラーにより圧縮して、錠剤を形成し得る。あるいは、錠剤混合物または混合物の一部を、打錠前に、湿式、乾式もしくは溶融造粒、溶融凝固または押出し得る。最終製剤は、1つ以上の層を含み得て、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。カプセル化されてもよい。錠剤の製剤は、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1, by H. Lieberman and L. Lachman (Marcel Dekker, New York, 1980)に説明されている。
【0063】
経口投与用の固形製剤を、即時および/または調節放出製剤に製剤化し得る。調節放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的およびプログラム放出製剤を含む。
【0064】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、血流、筋肉または内臓に直接投与され得る。非経腸投与に適した手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下投与手段を含む。
【0065】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法、使用、組成物または化合物は、1つ以上の更なる補助剤、例えばビタミン、必須ミネラル、薬物などと共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、1つ以上の更なる補助剤は、ビタミンA、ビタミンB、例えば葉酸、ビタミンC、ビタミンDまたは亜鉛である。いくつかの実施態様において、NAGは約200 mgから約2000 mgの間のビタミンCと共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約500 mgから約1500 mgの間のビタミンCと共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約750 mgから約1250 mgの間のビタミンCと共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約900 mgから約1100 mgの間のビタミンCと共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約50 mcgから約500 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約100 mcgから約200 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約100 mcgから約150 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約20 mgから約100 mgの間の亜鉛と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約40 mgから約75 mgの間の亜鉛と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約40 mgから約60 mgの間の亜鉛と共投与または共製剤化され得る。
【0066】
いくつかの実施態様において、NAGは約200 mgから約2000 mgの間のビタミンC、および約50 mcgから約500 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約750 mgから約1250 mgの間のビタミンC、および約100 mcgから約200 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約900 mgから約1100 mgの間のビタミンC、および約100 mcgから約150 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約200 mgから約2000 mgの間のビタミンC、および約100 mcgから約150 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約750 mgから約1250 mgの間のビタミンC、および約100 mcgから約150 mcgの間の葉酸と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約200 mgから約2000 mgの間のビタミンC、約100 mcgから約150 mcgの間の葉酸、および約20 mgから約100 mgの間の亜鉛と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約750 mgから約1250 mgの間のビタミンC、約100 mcgから約150 mcgの間の葉酸、および約20 mgから約100 mgの間の亜鉛と共投与または共製剤化され得る。いくつかの実施態様において、NAGは約900 mgから約1100 mgの間のビタミンC、約100 mcgから約150 mcgの間の葉酸、および約20 mgから約100 mgの間の亜鉛と共投与または共製剤化され得る。
【0067】
本明細書に記載の化合物および組成物を投与するためのあらゆる効果的なレジメンを用い得る。例えば、本明細書に記載の化合物および組成物を、単回投与として投与することができ、または投与を、1日に複数回投与のレジメンとして分割して、投与することができる。また、時差レジメン、例えば週に1~5日が、毎日の予防に代わって用いられ得る。いくつかの実施態様において、対象体は、本明細書に記載の方法、使用、化合物または組成物を複数回用量で投与される。いくつかの実施態様において、対象体は、本明細書に記載の化合物または組成物を複数回用量(好ましくは約2~約80用量)で、例えば8~72時間間隔または8~12時間間隔にて投与される。
【0068】
本明細書に記載のN-アセチルグルコサミンでのあらゆる適切な投与コースを用い得る。一実施態様において、個々の用量および投与レジメンは、ある1日の間に約200 mg~約2100 mg; または約500 mg~約1500 mgの総用量が投与されるように選択される。一実施態様において、個々の用量および投与レジメンは、ある1日の間に約200 mg~約2100 mg; または約500 mg~約1500 mgの総用量が投与されるように選択され、本明細書に記載される1つ以上の更なる補助剤、例えば本明細書に記載されるビタミンC、葉酸、亜鉛などと共投与または共製剤化される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、1日1回投与(QD)または1日2回投与(BID)、または1日3回投与(TID)で投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、1回の投与当たり約300 mg~約900 mgの用量にて1日2回投与(BID)で投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、本明細書に記載される1つ以上の更なる補助剤、例えば本明細書に記載されるビタミンC、葉酸、亜鉛などと共投与または共製剤化して、一用量あたり約300 mg~約900 mgの用量にて1日2回投与(BID)で投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、数日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間など続くサイクルで投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、10~300日間、または予防がなされたと信頼して投与を休止するまで、毎日投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、10~200日間、または予防がなされたと信頼して投与を休止するまで、毎日投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、25~100日間、または予防がなされたと信頼して投与を休止するまで、毎日投与される。いくつかの実施態様において、N-アセチルグルコサミンは、本明細書に記載の方法または使用において、約10~30日間、または予防がなされたと信頼して投与を休止するまで、毎日投与される。
【0069】
本明細書に記載のN-アセチルグルコサミンの単位1日用量は、患者の状態、予防されるウイルス、N-アセチルグルコサミンの投与経路、および本明細書に記載の更なる補助剤の共投与の可能性に応じて著しく変化させ得ると理解される。患者に投与される有効量は、体表面積、体重および患者の状態の医師による評価に基づく。
【実施例】
【0070】
実施例1
N-アセチルグルコサミンの単独での使用、またはビタミンもしくは必須ミネラルなどの1つ以上の更なる補助剤と組み合わせた使用を評価するために、医師は、例えばmRNA、PCR、抗体などの試験を含む、標準的な臨床評価または利用可能な診断試験の使用を含む、臨床環境で被験者(または患者)を検査および試験する。covid-19陽性と試験され、無症状である対象体のみが本実施例の研究に登録される。
【0071】
被験者集団は、年齢、性別、人種または民族的起源に関係なく一般集団であり、肥満、糖尿病、心臓疾患、自己免疫疾患などの既存の状態を有する被験者を含んでもよく、または他の原因で免疫が低下していてもよい。
【0072】
covid-19に対する陽性診断試験を通して被験者として識別されると、被験者はN-アセチルグルコサミンを用いたcovid-19の予防研究に推薦される。被験者は、少なくともN-アセチルグルコサミンと場合によりビタミンまたは必須ミネラルなどの1つ以上の補助剤を含む組成物をある用量(500 mg、600 mg、700 mg、800 mg、900 mgまたは1000 mgなど)で1日2回(BID投与)、14~30日間経口投与される。被験者を、予防サイクルの終了前に予防する医師によって決定される中間期間に、標準的な臨床評価または利用可能な診断検査によって臨床状態を評価し得る。予防する医師の決定において、被験者(または患者)は、予防する医師によって決定される標準用量および間隔で、本明細書に記載されるビタミンC、葉酸および/または亜鉛を含む1つ以上の更なる補助剤を、N-アセチルグルコサミンの投与と同時、前、または後のいずれかで共投与され得る。予防研究結果を収集し、例えばmRNA、PCR、抗体などの試験を含む利用可能な診断試験を使用してcovid-19陽性である個人の対照群と比較する。結果は、例えばcovid-19について本明細書に記載される症状などの症状のモニタリングを含むがこれらに限定されない指標によって、対照群に対してベンチマークされる。
【国際調査報告】