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特表2024-505088動的ターゲット・ジオメトリを有する投影システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】動的ターゲット・ジオメトリを有する投影システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240126BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240126BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G03B21/14 D
H04N5/74 A
H04N5/74 D
G03B21/14 Z
G03B21/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546233
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022014793
(87)【国際公開番号】W WO2022165441
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】21154553.8
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/144,027
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】510185767
【氏名又は名称】ドルビー・インターナショナル・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ペルティエラ,ファン パブロ
(72)【発明者】
【氏名】ピーレス アリファーノ,アンジェロ ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ル バルベンション,クレモン リューク キャロル
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,マーティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リッピー,バレット
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA24
2K203FA25
2K203FA62
2K203FA75
2K203FA82
2K203FA92
2K203FB03
2K203GA20
2K203GB27
2K203GB35
2K203GB53
2K203GB62
2K203GB69
2K203HA53
2K203HB19
2K203KA27
2K203KA36
2K203MA23
5C058BA27
5C058EA02
(57)【要約】
投影システムおよび方法が、画像データに応答して光を放射するように構成された光源と;前記光源から前記光を受け取り、前記光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより前記光をステアリングし、投影光を生成するように構成された位相光変調器と;ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリを動的に決定し、前記ターゲット・ジオメトリに基づいて、前記画像データのフレームについての位相構成を決定し、前記位相光変調器に位相制御信号を提供するように構成されたコントローラとを有しており、前記位相制御信号は前記位相光変調器に、前記フレームについての前記位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影システムであって:
画像データに応答して光を放射するように構成された光源と;
前記光源から前記光を受け取り、前記光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより前記光をステアリングし、投影光を生成するように構成された位相光変調器と;
ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリおよび起伏を動的に決定し、
前記ターゲット・ジオメトリおよび前記起伏に基づいて、前記画像データのフレームについての位相構成を決定し、
前記位相光変調器に位相制御信号を提供する
ように構成されたコントローラであって、前記位相制御信号は前記位相光変調器に、前記フレームについての前記位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成されている、コントローラとを有する、
投影システム。
【請求項2】
前記位相光変調器は、アレイ状に配置された複数の変調要素と、前記位相制御信号に応答して前記複数の要素のそれぞれの状態を修正するように構成された回路とを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記位相光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスまたは液晶オン半導体デバイスである、請求項2に記載の投影システム。
【請求項4】
前記投影面に投影された較正コードを検出し、前記較正コードに基づいて前記センサー信号を生成するように構成された赤外線センサーをさらに有する、請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項5】
較正コードをユーザー選択された投影面に投影するように構成されたユーザー制御の入力デバイスをさらに有する、請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項6】
前記ユーザー制御の入力デバイスは赤外スペクトルの光を発するように構成される、請求項5に記載の投影システム。
【請求項7】
前記光源は、可視光と多重化された赤外光を放出するように構成される、請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項8】
前記投影面の表面特徴を検出し、前記表面特徴に基づいて前記センサー信号を生成するように構成された奥行きセンサーをさらに有する、請求項1ないし7のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項9】
前記表面特徴は、非平坦な表面特徴を含む、請求項8に記載の投影システム。
【請求項10】
前記コントローラは:
前記投影面のターゲット領域の数を決定し;
前記画像データのフレーム期間を、前記ターゲット領域の数に対応する数のサブ期間に分割し;
サブ期間ごとに、前記ターゲット・ジオメトリおよび前記起伏を動的に決定する動作、前記位相構成を決定する動作、および前記位相制御信号を提供する動作を時分割式に実行するように構成される、請求項1ないし9のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項11】
前記ターゲット領域は互いに連続していない、請求項10に記載の投影システム。
【請求項12】
前記投影光の一部を遮断するフィルタをさらに有する、請求項1ないし11のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項13】
前記光源はコヒーレント光源である、請求項1ないし12のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【請求項14】
投影システムを駆動する方法であって:
画像データに応答して、光源によって光を放射するステップと;
位相光変調器によって前記光を受け取るステップと;
前記位相光変調器によって前記光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより前記光をステアリングして投影光を生成するステップと;
ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリおよび起伏を動的に決定するステップと;
前記ターゲット・ジオメトリおよび前記起伏に基づいて、前記画像データのフレームについての位相構成を決定するステップと;
位相制御信号を前記位相光変調器に提供するステップであって、前記位相制御信号は、前記位相光変調器に、前記フレームについての前記位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成される、ステップと、を含む、
方法。
【請求項15】
前記位相光変調器は、アレイ状に配置された複数の変調要素を含み、前記方法は:
前記位相制御信号に応答して前記複数の変調要素のそれぞれの状態を修正することを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記位相光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスまたは液晶オン半導体デバイスである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記投影面に投影された較正コードを赤外線センサーによって検出するステップと;
前記較正コードに基づいて前記センサー信号を生成するステップとをさらに含む、
請求項14ないし16のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ユーザー制御の入力デバイスによって、較正コードをユーザー選択された投影面に投影するステップをさらに含む、
請求項14ないし17のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ユーザー制御の入力デバイスによって、赤外スペクトルの光を発することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光源によって、赤外光および可視光を発し、前記赤外光を前記可視光と多重化することをさらに含む、請求項14ないし17のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記投影面の表面特徴を奥行きセンサーによって検出するステップと;
前記表面特徴に基づいて前記センサー信号を生成するステップとをさらに含む、
請求項14ないし20のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記表面特徴が、非平坦な表面特徴を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記投影面のターゲット領域の数を決定することと;
前記画像データのフレーム期間を、前記ターゲット領域の数に対応する数のサブ期間に分割することと;
各サブ期間について、前記ターゲット・ジオメトリおよび前記起伏を動的に決定する動作、前記位相構成を決定する動作、および前記位相制御信号を提供する動作を時分割式に実行することとをさらに含む、
請求項14ないし22のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ターゲット領域は互いに連続していない、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
フィルタによって前記投影光の一部を遮断するステップをさらに含む、請求項14ないし24のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
投影デバイスのプロセッサによって実行されると、前記投影デバイスに、請求項14ないし25のうちいずれか一項に記載の方法を含む動作を実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2021年2月1日に出願された米国仮出願第63/144,027号および欧州特許出願第21154553.8号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願のそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
1. 開示の分野
本願は、概括的には、投影システムおよび投影システムを駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 関連技術の説明
デジタル投影システムは、典型的には、光源および光学系を利用して、画像を表面またはスクリーン上に投影する。光学系は、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバー、ビームスプリッター、ディフューザー、空間光変調器(SLM)などの構成要素を含む。一部の投影システムは、空間振幅変調を実施するSLMに基づいている。そのようなシステムでは、光源は、画像上に再現されうる最も明るいレベルを具現する光の場を提供し、光は、所望のシーン・レベルを生成するために減衰される(たとえば、廃棄される)。そのような構成では、画像のどの部分も形成するように投影されない光は、減衰されるか、または捨てられる。投影された光は、投影システムの一方の側のレンズを通過する。投影システムは、スクリーンがプロジェクターの光軸に対して垂直であり、投影された画像が焦点が合っていることを確実にするために、投影システムの要素(たとえば、システム自体の位置、さまざまなレンズ光学系の構成など)を調整することによって所定のスクリーン領域と位置合わせ〔アラインメント〕される。
【0004】
よって、比較用デジタル投影システムは、静的スクリーン・ジオメトリを必要とする。スクリーン・ジオメトリが変化した場合(たとえば、投影システムの位置または向きが意図的にまたは意図せずして変化した場合)、画像が変化しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示のさまざまな側面は、動的ジオメトリを有する一つまたは複数の表面上への画像投影を提供するために位相光変調を使用する投影ディスプレイのための回路、システム、および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある例示的な側面では、画像データに応答して光を放出するように構成された光源と;光源から光を受け取り、その光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより光をステアリングし、投影光を生成するように構成された位相光変調器と;ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリを動的に決定し、ターゲット・ジオメトリに基づいて画像データのフレームについての位相構成を決定し、位相光変調器に位相制御信号を提供するように構成されたコントローラとを有し、位相制御信号は、位相光変調器に、フレームについての位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成されている、投影システムが提供される。
【0007】
本開示の別の例示的な側面では、画像データに応答して光源によって光を放射するステップと;位相光変調器によって光を受け取るステップと;位相光変調器によってその光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより光をステアリングして投影光を生成するステップと;ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリを動的に決定するステップと;ターゲット・ジオメトリに基づいて、画像データのフレームについての位相構成を決定するステップと;位相制御信号を位相光変調器に提供するステップであって、位相制御信号は、位相光変調器に、フレームについての位相構成に従って投影光を生成させるように構成されている、ステップとを含む投影方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
さまざまな実施形態のこれらおよび他のより詳細かつ具体的な特徴は、添付の図面を参照して、以下の説明においてより完全に開示される。
【0009】
図1】本開示のさまざまな側面による例示的な投影システムのブロック図を示す。
【0010】
図2】本開示のさまざまな側面による例示的な位相変調器を示す。
【0011】
図3】本開示のさまざまな側面による別の例示的な位相変調器を示す。
【0012】
図4】本開示のさまざまな側面による投影システムのための例示的なセッティングを示す図である。
【0013】
図5】本開示のさまざまな側面による投影システムのための別の例示的なセッティングを示す。
【0014】
図6】本開示のさまざまな側面による例示的なプロセス・フローを示す。
【0015】
図7】本開示のさまざまな側面による別の例示的なプロセス・フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示およびその側面は、コンピュータ実装方法によって制御されるハードウェアまたは回路、コンピュータ・プログラム・プロダクト、コンピュータ・システムおよびネットワーク、ユーザーインターフェース、ならびにアプリケーションプログラミングインターフェース、ならびにハードウェア実装方法、信号処理回路、メモリアレイ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含む、さまざまな形で具現されうる。前述の概要は、本開示のさまざまな側面の一般的な概念を与えることのみを意図しており、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【0017】
以下の説明では、本開示の一つまたは複数の側面の理解を提供するために、回路構成、タイミング、動作など、多数の詳細が記述される。これらの具体的な詳細は単に例示的なものであり、本出願の範囲を限定することを意図するものではないこと当業者には容易に明らかになるであろう。
【0018】
さらに、本開示は、さまざまな回路がデジタル投影システムにおいて使用される例に主に焦点を当てているが、これは実装の一例に過ぎないことが理解されるであろう。開示されるシステムおよび方法は、光を投影する必要がある任意のデバイス、たとえば、映画館、消費者および他の商用投影システム、ヘッドアップディスプレイ、仮想現実ディスプレイ等において使用されうることがさらに理解されるであろう。
【0019】
プロジェクター・システム
【0020】
SLMに基づく投影システムでは、デバイスは所定のスクリーン領域と正確に位置合わせされなければならない。デバイス位置およびレンズ光学系は、画像がスクリーン上に正確に位置合わせされ(たとえば、スクリーンはデバイスの光軸に対して垂直でなければならない)、焦点が合っていることを確実にするように特に調整されなければならない。プロジェクターが意図的にまたは不注意により動かされた場合、位置合わせが外れる可能性がある。家庭またはオフィスでの使用のような環境では、これは頻繁に起こりうる。さらに、そのような投影システムは、典型的には、スクリーンが平坦であることを必要とし、また、スクリーンの平坦性における任意の変化またはそれからの逸脱は、投影された画像の歪みをもたらしうる。デバイスが大きく、典型的には専用の部屋に配置される映画館環境であっても、技師は、デバイスをスクリーンに位置合わせする、および/またはスクリーンの平坦性を確保するのにかなりの時間を費やす。複数の投影デバイスが単一のスクリーン上で使用される環境(たとえば、3D映画投影)では、この時間はそれに応じて増加する。
【0021】
位相光変調器(PLM)の使用は、これらの問題を軽減することができる。たとえば、比較投影システムは各ピクセルにおいて共通光源を遮断することによって動作するが、PLMベースの投影システムは、より暗いことが望ましい領域からの光を、より明るいことが意図される領域にステアリングすることによって動作する。さらに、PLM自体のアーキテクチャーに基づいて、そのような投影システムは、比較投影システムと比較して著しく速い応答時間(すなわち、投影された画像を変更するのに必要な時間)を有することができる。
【0022】
図1は、本開示のさまざまな側面による例示的な投影システム100のブロック図を示す。具体的には、図1は、第1の光102を放射するように構成された光源101と;第1の光102を受光し、第1の光を方向転換し、または他の仕方で修正し、それにより第2の光104を生成するように構成された照明光学系103と;第2の光104に空間的に変化する位相変調を適用し、それにより第2の光104をステアリングし、第3の光106を生成するように構成されたPLM 105と;第3の光106を受光し、第3の光を方向転換し、または他の仕方で修正し、それにより第4の光108を生成するように構成された第1の投影光学系107と;第4の光108をフィルタリングし、それにより第5の光110を生成するように構成されたフィルタ109と;第5の光110を受光し、それを第6の光112としてスクリーン113上に投影するように構成された第2の投影光学系111とを含む投影システム100を示している。
【0023】
投影システム100は、光源101および/またはPLM 105などの投影システム100のさまざまな構成要素を制御するように構成されたコントローラ114をさらに含む。いくつかの実装では、コントローラ114は、追加的または代替的に、照明光学系103、第1の投影光学系107、および/または第2の投影光学系111を含むがこれらに限定されない、投影システム100の他の構成要素を制御することができる。コントローラ114は、投影システム100の中央処理装置(CPU)などの一つまたは複数のプロセッサであってもよい。照明光学系103、第1の投影光学系107、および第2の投影光学系111はそれぞれ、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバー、ビームスプリッター、ディフューザーなどの一つまたは複数の光学構成要素を含むことができる。さらに、図1は単一の変調器を示しているが、投影システム100は、PLM 105に加えて他の変調器を含むことができる。たとえば、第1の投影光学系107は、コントローラ114によって制御することができる振幅ベースのSLMを含んでいてもよい。スクリーン113を除いて、図1に示される構成要素は、投影デバイスを提供するためにハウジングに統合されてもよい。そのような投影デバイスは、メモリ、入出力ポート、通信回路、電源などの追加の構成要素を含むことができる。
【0024】
光源101は、たとえば、レーザー光源等であってもよい。一般に、光源101は、コヒーレント光を放射する任意の発光体である。本開示のいくつかの側面では、光源101は、それぞれが異なる波長または波長帯域に対応する複数の個々の発光体を有していてもよい。光源101は、コントローラ114によって提供される画像信号に応答して光を放出する。画像信号は、逐次的に表示される複数のフレームに対応する画像データを含む。画像信号は、ストリーミングまたはクラウドベースの態様では外部ソースに由来してもよく、ハードディスクなどの投影システム100の内部メモリに由来してもよく、投影システム100に動作上接続されたリムーバブル媒体に由来してもよく、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0025】
フィルタ109は、投影システム100の内部構成要素によって引き起こされる影響を軽減するために設けることができる。いくつかのシステムでは、PLM 105(以下でより詳細に説明される)は、カバーガラスを含み、反射を引き起こす可能性があり、デバイス・スイッチングは、一時的に、望ましくないステアリング角を引き起こす可能性があり、さまざまな構成要素が散乱を引き起こす可能性がある。これに対抗し、投影システム100のフロア・レベルを減少させるために、フィルタ109は、第4の光108の一部を遮断するように構成されたフーリエ(「DC」)フィルタ・コンポーネントであってもよい。よって、フィルタ109は、カバーガラス反射、ストローク遷移状態などの要素に対応する、0角度付近の光からのフロア・レベルを低減することによって、コントラストを増大させることができる。このDCブロック領域は、ある種の光がスクリーンに到達するのを防ぐためにアルゴリズムによって能動的に使用されうる。本開示のいくつかの側面では、フィルタ109は、コントローラ114からの制御に応答して、前記光をアクティブ画像領域の外側に位置する光ダンプにステアリングすることによって、望ましくない光がスクリーンに到達するのを防止する。
【0026】
第2の投影光学系111は、投影デバイス101の視野(FOV)を拡大するように構成された光学構成要素を含むことができる。そのような光学構成要素は、魚眼レンズまたは他の広角光学構成要素を含んでいてもよいが、それらに限定されない。
【0027】
位相光変調器
【0028】
図1に示されるように、コントローラ114は、光源101からの光を受けるPLM 105も制御する。PLM 105は、空間的に変化する位相変調を光に与え、変調された光を第2の投影光学系111に向け直す。PLM 105は、PLM 105が空間的に変化する位相をもって入射光を反射する反射型であってもよく、あるいはまた、PLM 105は、PLM 105がPLM 105を通過する光に空間的に変化する位相を付与する透過型であってもよい。本開示のいくつかの側面では、PLM 105は、液晶オンシリコン(LCOS)アーキテクチャーを有するか、またはデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)などの微小電気機械システム(MEMS)であってもよい。
【0029】
図2は、反射型LCOS PLM 200として実装され、部分断面図で示されるPLM 105の一例を示す。図2に示されるように、PLM 200は、シリコン・バックプレーン210、第1の電極層220、第2の電極層230、液晶層240、カバーガラス250、およびスペーサー260を含む。シリコン・バックプレーン210は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスタなど、PLM 200に付随する電子回路を含む。第1の電極層220は、透明マトリクス222内に配置された反射要素221のアレイを含む。反射要素221は、アルミニウムまたは銀等の任意の光学的に反射性の高い材料で形成されうる。透明マトリクス222は、透明酸化物などの任意の光学的に透過性の高い材料で形成されうる。第2の電極層230は、インジウムスズ酸化物(ITO)の薄膜等の任意の光学的に透明な伝導性材料で形成されてもよい。第2の電極層230は、第1の電極層220の反射要素221のうちの複数に対応する共通電極として設けられてもよい。そのような構成では、反射要素221のうちの前記複数のそれぞれは、それぞれの電場を介して第2の電極層230に結合し、よって、PLM 200を変調要素(たとえば、ピクセル)のアレイに分割する。よって、反射要素221のうちの前記複数の個々のもの(またはサブセット)は、シリコン・バックプレーン210内に配置された電子回路を介してアドレス指定され、それにより対応する反射要素221の状態を修正することができる。
【0030】
液晶層240は、第1の電極層220と第2の電極層230との間に配置され、複数の液晶241を含む。液晶241は、固体と液体の中間の相にて存在する粒子であり、言い換えれば、液晶241は、ある程度の方向秩序を示すが、位置秩序を示さない。液晶241が指す傾向がある方向は、「ダイレクター〔配向子〕」と呼ばれる。液晶層240は、ダイレクターに平行な方向の屈折率とダイレクターに垂直な方向の屈折率との間の差として表されうる液晶241の複屈折性Δnに基づいて、カバーガラス250から入射する入射光を修正する。このことから、最大光路差は、複屈折性に液晶層240の厚さを乗じたものとして表すことができる。この厚さは、PLM 200を封止し、カバーガラス250とシリコン・バックプレーン210との間の設定距離を確保するスペーサー260によって設定される。液晶241は一般に、第1の電極層220と第2の電極層230との間の電場線に沿って配向する。図2に示されるように、PLM 200の中心付近の液晶241は、このように配向されるが、PLM 200の周付近の液晶241は、電場線が存在しないので、実質的に無配向である。位相駆動信号を介して複数の反射要素221のうちの個々の反射要素をアドレス指定することによって、液晶241の配向をピクセルごとに決定することができる。
【0031】
図3は、DMD PLM 300として実装され、部分断面図で示されるPLM 105の別の例を示す。図3に示されるように、PLM 300は、バックプレーン310と、変調要素としての複数の制御可能な反射要素とを含み、そのそれぞれは、ヨーク321と、ミラー・プレート322と、一対の電極330とを含む。図3の断面図では2つの電極330しか見えないが、各反射要素は実際には追加の電極を含むことができる。図3には特に示されていないが、PLM 300は、スペーサー層、支持層、ミラー・プレート322の高さまたは配向を制御するためのヒンジ構成要素などをさらに含むことができる。バックプレーン310は、CMOSトランジスタ、メモリアレイなど、PLM 300に付随する電子回路を含む。
【0032】
ヨーク321は、バイアス電圧がミラー・プレート322に印加されることを許容するように、電気伝導性材料から形成されてもよく、または電気伝導性材料を含んでいてもよい。ミラー・プレート322は、アルミニウムまたは銀などの任意の高反射性材料で形成されうる。電極330は、それぞれ、第1の電圧および第2の電圧を受け取るように構成され、個別にアドレス指定されうる。電極330上の電圧およびミラー・プレート322上の電圧(たとえば、バイアス電圧)の値に応じて、ミラー・プレート322と電極330との間に電位差が存在し、これがミラー・プレート322に作用する静電力を生成する。ヨーク321は、静電力に応答してミラー・プレート322の垂直移動を許容するように構成される。静電力とヨーク322のばねのような力とが等しいときに生じるミラー・プレート322の平衡位置が、ミラー・プレート322の上面から反射される光の光路長を決定する。よって、複数の制御可能な反射要素の個々のものは、いくつか(図示では3つ)の離散高さ、よっていくつかの離散位相構成または位相状態を提供するように制御される。図示されるように、位相状態のそれぞれは平坦なプロファイルを有する。本開示のいくつかの側面では、電極330は、ミラー・プレート322に傾斜を与えるように、互いに異なる電圧を提供されうる。そのような傾斜は、上述したタイプの光ダンプと共に利用されうる。
【0033】
PLM 300は、PLM 300が、たとえば数十μsのオーダーで1つの位相状態から切り替わるように、高いスイッチング速度が可能でありうる。位相制御の全サイクルを提供するために、ミラー・プレート322がその最高点にある状態とミラー・プレート322がその最低点にある状態との間の全光路差は、入射光の波長λにほぼ等しくあるべきである。よって、最高点と最低点との間の高さ範囲は、λ/2にほぼ等しくあるべきである。
【0034】
どの特定のアーキテクチャーがPLM 105のために使用されるかにかかわらず、それは、ピクセルごとに特定の位相構成をとるようにコントローラ114によって制御される。よって、PLM 105は、960×540アレイなどのそれぞれの変調要素のアレイを利用する。アレイ内の変調要素の数は、PLM 105の解像度に対応することができる。実施されうるステアリングの性質に起因して、光は、再構成画像平面上の任意の場所にステアリングされることができ、PLM 105と同じピクセル・グリッドに縛られない。PLM 105は高速応答時間が可能であるので、再構成画像平面上に高解像度の動画像を生成することができる。PLM 105の動作は、投影システム100のデータ帯域幅、PLM 105のストローク量子化、および/またはPLM 105の応答時間によって影響を受ける可能性がある。最大解像度は、光源101の点拡散関数(point-spread function、PSF)によって、および投影システム100内のさまざまな光学構成要素のパラメータに基づいて決定されうる。
【0035】
動的スクリーン・ジオメトリ
【0036】
PLM 105は、図2のPLM 200または図3のPLM 300であってもよく、投影システム100から任意の距離に投影画像を作成することができる。さらに、PLM 105は、選択された投影面(たとえば、スクリーン114、投影システム100を含む部屋の壁など)が光軸に対して垂直である必要がないように、投影画像を任意の形状で形成することができる。投影面が平坦な平面である実装では、投影画像は2D画像であってもよい。しかしながら、いくつかの実装では、投影面は平坦面でなくてもよい。そのような実装では、投影された画像は事実上3D画像であり、これは、非平坦面にマッピングされた2D画像に対応しうる。さらに、PLM 105はデジタル制御されたデバイスであるので、有効スクリーン・ジオメトリはオンザフライで変更できる。いくつかの実装では、スクリーン・ジオメトリを変更することは、リアルタイムのユーザー入力に応答して実行されうる。
【0037】
図4は、投影システムが実装されうるセッティングの一例を示す。特に、図4は、図1に示された投影システム100でスクリーン113を除いたものでありうる投影装置401を示す。投影装置401は、第1の壁411および第2の壁412が示されている部屋に配置されている。説明を容易にするために、投影に直接関与しない図4のさまざまな要素(たとえば、家具)は、ここでは別個に説明されない。静止したままである間、投影デバイス401は、複数の異なる位置のうちの一つまたは複数に画像を動的に投影することができ、第1の壁411上の第1の投影面421および第2の投影面422、ならびに第2の壁412上の第3の投影面423が示されている。第1の投影面421、第2の投影面422、および第3の投影面423はスクリーンであってもよく、または、単にそれぞれ第1の壁411および第2の壁412の一部であってもよい。図4では3つの投影面のみが示されているが、実際には、ターゲット投影面は、プロジェクター・デバイス401のFOV内の任意の面であってもよい。投影デバイス401は(たとえば、PLM 105に起因して)速い応答時間を有するので、投影面は、互いに隣接〔連続〕していなくてもよく、異なる壁に配置されてもよい。
【0038】
画像位置、サイズ、および/または他のパラメータは、図5に示されるように、インターフェースを介して調整されてもよい。図5では、ユーザーが選択したスクリーン位置に較正コード511を投影するユーザー制御の入力デバイス501が示されている。入力デバイス501は、投影装置401に付随するリモコンやスマートフォン等であってもよい。いくつかの実装では、入力デバイス501は、赤外線(IR)スペクトルで放射するように構成され、よって、較正コード511は人間の目に見えない。較正コード511を検出するために、投影デバイス401は、IRセンサーなどのカメラを備えることができる。投影デバイス401は、リアルタイムで較正コード511を位置特定し、モニタリングすることができる。他の実装では、入力デバイス501は、較正コード511を発しなくてもよく、代わりに、入力デバイス501上にインストールされたアプリの使用を通じて投影デバイス401を制御してもよい。たとえば、ユーザーは、複数の候補スクリーン位置(たとえば、第1の投影面421、第2の投影面422、および第3の投影面423に対応する)を事前指定し、その後、候補スクリーン位置の中から選択してもよい。さらに他の実装では、投影デバイス401は、飛行時間(TOF)センサーなど、投影面の表面特徴を検出する距離センサーまたは奥行きセンサーを備えうる。表面特徴は、平坦な表面特徴(たとえば、位置およびジオメトリ)および/または非平坦な表面特徴(たとえば、ジオメトリおよび起伏)を含んでいてもよい。
【0039】
投影デバイス401は、カメラと距離センサーの両方を含むことができ、一方または両方のセンサーを使用して、色補正(たとえば、塗料色に対応するため)などの追加の動作を実行することができる。追加的または代替的に、入力デバイス501は、カメラおよび/または距離センサーを含み、投影装置401と通信(たとえば、部屋または部屋の一部のマップを表すデータを送信)してもよい。
【0040】
図6は、本開示のさまざまな側面による動的スクリーン・ジオメトリを用いた投影方法のための例示的なプロセス・フローを示す。プロセス・フローは、図1に示される投影システム100(投影デバイス401に対応する)のコントローラ114など、投影システムのコントローラにおいて、またはそれによって実行されうる。プロセス・フローを実行するために、投影システム100は、非一時的コンピュータ可読媒体(たとえば、ハードディスク、取外し可能記憶媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)など)に記憶された命令を備えることができ、該命令は、該命令がコントローラ114によって実行されると、投影システム100に図6の動作を実行させる。
【0041】
動作601において、コントローラ114は、スクリーンまたは投影面の位置ジオメトリおよび/または起伏(一般に「ターゲット・ジオメトリ」または「ターゲット構成」と呼ばれる)を決定する。この決定は、入力として、ユーザー入力、カメラ入力、TOFセンサー入力、または同様のデータから選択された一つまたは複数をとりうる。動作601の決定は、複数の段階で行われうる。たとえば、コントローラ114は、まず、スクリーンについての粗い位置および/またはジオメトリを決定してもよく、その後、位置、ジオメトリ、および/または起伏を洗練してもよい。図6は、動作601がプロセス・フローの開始時に行われることを示しているが、いくつかの実装では、動作601は、画像投影全体を通して連続的に繰り返されてもよい。よって、投影面のターゲット・ジオメトリおよび/または起伏は、少なくとも画像投影の実際の時間またはその近くで決定されるので、動的に決定される。
【0042】
動作602では、コントローラ114は、画像データのフレームについての適切な位相構成を決定する。フレームは、外部、内部または取り外し可能なソースから提供される画像信号の形であってもよい。画像信号は、特定のアプリケーションのフレームレートに依存するレートで一連のフレームを含む。各フレームは、特定の解像度でスクリーン上に画像を生成するための画像データを含む。本開示は、実装されうるフレームレートおよび/または解像度において特に限定されない。たとえば、フレームレートは、映画館用途については24Hzまたは48Hz、家庭用途については30Hz、60Hzまたは120Hz等でありうる。また、解像度は、2K(2048×1080)、4K(4096×2160)、1080p(1920×1080)、消費者4K(3840×2160)等であってもよい。段階602での決定は、段階601の出力、画像データのフレームに含まれたピクセル・データ、または同様のデータから選択された一つまたは複数を入力として取ることができる。位相構成に加えて、動作602は、光源101の適切な輝度レベルを決定することを含んでいてもよい。
【0043】
動作602における決定は、再構成されたときにターゲットの光の場を近似するPLM 105の構成のためのビームステアリング駆動解を計算することを含むことができる。いくつかの例では、計算は、変調平面におけるフェーザー場M(x,y,0)=AM(x,y,0)∠φM(x,y,0)(「変調場」と呼ばれる)と再構成平面におけるフェーザー場R(x',y',z')=AR(x',y',z')∠φR(x',y',z')(「再構成場」と呼ばれる)との間のマッピング(たとえば、双方向マッピング)を確立することができる。マッピングは、フレネル法またはレイリー・ゾンマーフェルト法を含むがこれらに限定されない任意の数値波伝播(numerical wave propagation)として表されてもよい。
【0044】
動作603では、コントローラ114は、動作603で決定された位相構成に従って光を投影するように投影システム100の構成要素を制御する。動作603は、位相構成に従って、光を放射するように光源101を制御すること、および/または光を変調するようにPLM 105を制御することを含むことができる。この制御は、光源101に提供される発光制御信号および/またはPLM 105に提供される位相制御信号を使用することを通じて実施できる。動作603の結果として、画像データのフレームが、適切な位置およびジオメトリを有する投影面上に投影される。動作601が画像表示全体を通じて連続的に行われる実装では、動作603は、可視光と多重化されたIR照明を放出することも含んでいてもよい。すると、IR照明が投影システム100によって検出され、スクリーン・ジオメトリの決定を洗練するために使用されうる。光源は、可視光と多重化された赤外光を放出するように構成されうる。
【0045】
動作604では、コントローラ114は、スクリーン・ジオメトリを変更するかどうかを決定する。変化が生じない場合、プロセス・フローは動作602に戻り、画像データ内の次のフレームのための適切な位相構成を決定する。変更が発生する場合、プロセス・フローは動作601に戻り、次のフレームが処理され表示される前に適切なスクリーン・ジオメトリを決定する。コントローラ114は、ユーザー入力、投影システム100に関連付けられたカメラおよび/またはTOFセンサーからの信号などに応答して、変化が生じることを決定することができる。いくつかの実装では、動作604はフレームごとに1回行われてもよく、その場合、動作602~604はフレームごとに繰り返し実行される。他の実装では、動作604は、いくつかのフレームごとに1回(たとえば、1秒ごとに1回)のみ行われてもよい。その場合、動作602および603は各フレームについて繰り返し実行され、動作604は適切な間隔で行われる。
【0046】
投影システム100は、観察者に同時に見えるように、複数の投影面上に複数の画像を表示するように構成されてもよい。図7は、図6に示される動作601、602、および/または603を補完または置換しうる、そのような動作の例示的なプロセス・フローを示す。プロセス・フローを実行するために、投影システム100は、非一時的なコンピュータ可読媒体(たとえば、ハードディスク、リムーバブル記憶媒体、RAMなど)に記憶された命令を備えることができ、該命令は、該命令がコントローラ114によって実行されると、投影システム100に図7の動作を実行させる。
【0047】
動作701において、コントローラ114は、正の整数N>1によって表される、異なるスクリーン(または他の投影面もしくは投影面のターゲット領域)の数を決定する。動作701はまた、各スクリーンの適切なジオメトリを決定することを含んでいてもよい。動作702において、1からNまで変化するインデックス変数nが1に初期化または再初期化される。
【0048】
動作703では、コントローラは、画像データのフレームを受信し、動作704では、コントローラ114は、n番目の投影面に対応する画像データのフレームについての適切な位相構成を決定する。上記のように、フレームは、外部、内部または取り外し可能なソースから提供される画像信号の形であってもよい。画像信号は、特定の用途のフレームレートに依存するレートで一連のフレームを含む。各フレームは、特定の解像度でスクリーン上に画像を生成するための画像データを含む。本開示は、実装されうるフレームレートおよび/または解像度において特に限定されない。フレームレートは、基本フレームレートをNで除算したものであってもよい。たとえば、基本フレームレートは、映画館用途については24Hzまたは48Hz、家庭用途については30Hz、60Hz、または120Hzなどであってもよい。また、基本解像度は、2K(2048×1080)、4K(4096×2160)、1080p(1920×1080)、消費者4K(3840×2160)等であってもよい。よって、各フレーム期間(すなわち、フレームの持続時間に対応するフレームレートの逆数)は、N個のサブ期間に分割される。動作704での決定は、動作701の出力、画像データのフレームに含まれるピクセル・データ、または同様のデータから選択された一つまたは複数を入力として取ることができる。位相構成に加えて、動作704は、光源101の適切な輝度レベルを決定することを含んでいてもよい。
【0049】
動作705では、コントローラ114は、動作704で決定された位相構成に従って光を投影するように投影システム100の構成要素を制御する。動作705は、位相構成に従って、光を放射するように光源101を制御すること、および/または光を変調するようにPLM 105を制御することを含むことができる。この制御は、光源101に提供される発光制御信号および/またはPLM 105に提供される位相制御信号を使用することを通じて行うことができる。動作705の結果として、画像データのフレームが、適切な位置およびジオメトリを有するn番目の投影面上に投影される。動作703はまた、可視光と多重化されたIR照明を放出することを含んでいてもよい。それにより、IR照明が投影システム100によって検出され、スクリーン・ジオメトリの決定を洗練するために使用されうる。
【0050】
動作706において、コントローラ114は、インデックスnをNと比較することによって、すべてのN個の投影面について動作703~704が完了したかどうかを判定する。nがN未満である場合、動作707においてnがインクリメントされ、プロセス・フローは動作703に戻る。そうでない場合、プロセス・フローは動作702に戻り、画像データ内の次のフレームのためにnが1に再初期化される。
【0051】
図7は、複数のディスプレイのための時分割投影方法を示し、各フレームは、逐次的にフル輝度または解像度で表示されるが、フレームレートは基本フレームレートより小さい。他の実装では、投影システム100は、空間的に多重化された仕方でフレームを表示することができる。そのような実装では、各フレームは、すべてのN個の投影面について同時に、フル・フレームレートで、ただし基本輝度またはフレームレートより小さい輝度または解像度で、表示されうる。
【0052】
効果
【0053】
本明細書で説明する投影システムおよび方法のビームステアリング特性および高速応答時間により、画像および/またはスクリーン・ジオメトリを動的に移動および/または再整形することができる投影システムを実現することが可能である。他の投影システムと比較して、本明細書に記載のシステムは、広範囲の環境における広範囲の投影用途に適している。たとえば、本開示による投影システムおよび方法は、家庭環境、オフィス環境、ライブ会場、自動車環境、産業環境、商業および/または小売環境、またはグループ(たとえば、「クラウドソース」)環境に好適でありうる。
【0054】
さらに、上記の説明は主に、スクリーン・ジオメトリに適応するように画像を動的に移動および/または再整形することを説明しているが、本開示はそのように限定されない。いくつかの実装では、上記で説明した投影システムおよび方法は、レーザー安全性の理由で画像を動的に移動および/または再整形することができる。たとえば、投影システムは、人がビームの経路内に移動したかどうかを判定し、ビームを人から(たとえば、人の眼から)離してもよい。
【0055】
さらに、上記のシステム、方法、および効果は、協働する複数の投影デバイスの使用を通して達成されてもよく、複数の投影デバイスはそれぞれ、本開示の上記の諸側面に従って構成される。そのような例では、複数の投影デバイスは、単一の投影デバイスのみで達成可能であるよりも大きい空間部分をカバーするように(たとえば、大きい投影面にわたって、重複ありまたはなしで、それぞれの投影画像をタイリングすることによって)、投影画像の輝度を増加させるように(たとえば、複数の投影デバイスのうちの2つ以上に、投影面の同じ部分に同じ画像を投影させることによって)、および/または立体視投影を実現するように(たとえば、複数のプロジェクターのうちの2つに、投影面の同じ部分に同じ画像の異なる眼のビューを投影させることによって)動作しうる。1つの特定の例では、個々の投影デバイスは、自動車ヘッドライトとして、自動車ヘッドライトとともに、または自動車ヘッドライトを使用して実装されてもよく、それにより、一つまたは複数の自動車が(たとえば、ドライブイン劇場において)協働して、異なる位置から大型スクリーン上に画像を投影することができる。
【0056】
本開示によるシステム、方法、およびデバイスは、以下の構成のうちの任意の一つまたは複数をとりうる。
【0057】
(1)投影システムであって、画像データに応答して光を放射するように構成された光源と;前記光源から前記光を受け取り、前記光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより前記光をステアリングし、投影光を生成するように構成された位相光変調器と;ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリを動的に決定し、前記ターゲット・ジオメトリに基づいて、前記画像データのフレームについての位相構成を決定し、前記位相光変調器に位相制御信号を提供するように構成されたコントローラであって、前記位相制御信号は前記位相光変調器に、前記フレームについての前記位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成されている、コントローラとを有する、投影システム。
【0058】
(2)前記位相光変調器は、アレイ状に配置された複数の変調要素と、前記位相制御信号に応答して前記複数の変調要素のそれぞれの状態を修正するように構成された回路とを含む、(1)に記載の投影システム。
【0059】
(3)前記位相光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、(1)または(2)に記載の投影システム。
【0060】
(4)前記位相光変調器は、液晶オン半導体デバイスである、(1)または(2)に記載の投影システム。
【0061】
(5)前記投影面に投影された較正コードを検出し、前記較正コードに基づいて前記センサー信号を生成するように構成された赤外線センサーをさらに有する、(1)ないし(4)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0062】
(6)前記投影面の表面特徴を検出し、前記表面特徴に基づいて前記センサー信号を生成するように構成された奥行きセンサーをさらに有する、(1)ないし(5)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0063】
(7)前記コントローラは:前記投影面のターゲット領域の数を決定し;前記画像データのフレーム期間を、前記ターゲット領域の数に対応する数のサブ期間に分割し;サブ期間ごとに、前記ターゲット・ジオメトリを動的に決定する動作、前記位相構成を決定する動作、および前記位相制御信号を提供する動作を時分割式に実行するように構成される、(1)ないし(6)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0064】
(8)前記複数のターゲット領域は互いに連続していない、(7)に記載の投影システム。
【0065】
(9)前記投影光の一部を遮断するフィルタをさらに有する、前記(1)ないし(8)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0066】
(10)前記光源はコヒーレント光源である、(1)ないし(9)のうちいずれか一項に記載の投影システム。
【0067】
(11)投影方法であって、画像データに応答して、光源によって光を放射するステップと;位相光変調器によって前記光を受け取るステップと;前記位相光変調器によって前記光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより前記光をステアリングして投影光を生成するステップと;ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリを動的に決定するステップと;前記ターゲット・ジオメトリに基づいて、前記画像データのフレームについての位相構成を決定するステップと;位相制御信号を前記位相光変調器に提供するステップであって、前記位相制御信号は、前記位相光変調器に、前記フレームについての前記位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成される、ステップと、を含む、方法。
【0068】
(12)前記位相光変調器は、アレイ状に配置された複数の変調要素を含み、前記方法は:前記位相制御信号に応答して前記複数の変調要素のそれぞれの状態を修正することを含む、(11)に記載の方法。
【0069】
(13)前記位相光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、(11)または(12)に記載の方法。
【0070】
(14)前記位相光変調器は、液晶オン半導体デバイスである、(11)または(12)に記載の方法。
【0071】
(15)前記投影面に投影された較正コードを赤外線センサーによって検出するステップと;前記較正コードに基づいて前記センサー信号を生成するステップとをさらに含む、(11)ないし(14)のうちいずれか一項に記載の方法。
【0072】
(16)前記投影面の表面特徴を奥行きセンサーによって検出するステップと;前記表面特徴に基づいて前記センサー信号を生成するステップとをさらに含む、(11)ないし(15)のうちいずれか一項に記載の方法。
【0073】
(17)前記投影面のターゲット領域の数を決定することと;前記画像データのフレーム期間を、前記ターゲット領域の数に対応する数のサブ期間に分割することと;各サブ期間について、前記ターゲット・ジオメトリを動的に決定する動作、前記位相構成を決定する動作、および前記位相制御信号を提供する動作を時分割式に実行することとをさらに含む、(11)ないし(16)のうちいずれか一項に記載の方法。
【0074】
(18)前記ターゲット領域は互いに連続していない、(17)に記載の方法。
【0075】
(19)フィルタによって前記投影光の一部を遮断するステップをさらに含む、(11)ないし(18)のうちいずれか一項に記載の方法。
【0076】
(20)投影デバイスのプロセッサによって実行されると、前記投影デバイスに、(11)ないし(19)のうちいずれか一項に記載の方法を含む動作を実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0077】
本明細書で説明されるプロセス、システム、方法、ヒューリスティックなどに関して、そのようなプロセスなどのステップは、ある順序付けられたシーケンスに従って行われるものとして説明されているが、そのようなプロセスは、本明細書で説明される順序以外の順序で実行される説明されたステップを用いて実施されることができることを理解されたい。さらに、ある種のステップが同時に実行されうること、他のステップが追加されうること、または本明細書で説明されるある種のステップが省略されうることが理解されるべきである。言い換えれば、本明細書におけるプロセスの説明は、ある種の実施形態を例示する目的で提供されており、決して特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0078】
よって、上記の説明は制約するものではなく例示的なものであることが意図されていることを理解されたい。提供された例以外の多くの実施形態および用途が、上記の説明を読むと明らかになるであろう。範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が資格を有する均等物の全範囲とともに決定されるべきである。本明細書で説明される技術において将来の開発が行われ、開示されるシステムおよび方法がそのような将来の実施形態に組み込まれることが予想され、意図される。要するに、本願は、修正および変形が可能であることを理解されたい。
【0079】
特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で反対の明示的な指示がなされない限り、本明細書で説明される技術に精通する者によって理解される、それらの最も広い合理的な解釈およびそれらの通常の意味を与えられることが意図される。特に、「ある」、「その」、「前記」などの単数形の冠詞の使用は、請求項がそれに反する明示的な限定を記載しない限り、示された要素のうちの一つまたは複数を記載するように読まれるべきである。
【0080】
本開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを許容するために提供される。要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという理解の下で提出される。加えて、前述の詳細な説明では、本開示の流れをよくする目的で、さまざまな特徴がさまざまな実施形態において一緒にグループ化されていることがわかる。この開示方法は、特許請求される実施形態が、各請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴を組み込むという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ないものにある。よって、以下の特許請求の範囲は、ここに詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個に請求される主題として自立する。
【0081】
本発明のさまざまな側面は、以下に列挙される箇条書き例示的実施形態(enumerated example embodiment、EEE)から理解されうる。
EEE1。投影システムであって:
画像データに応答して光を放射するように構成された光源と;
前記光源から前記光を受け取り、前記光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより前記光をステアリングし、投影光を生成するように構成された位相光変調器と;
ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリを動的に決定し、
前記ターゲット・ジオメトリに基づいて、前記画像データのフレームについての位相構成を決定し、
前記位相光変調器に位相制御信号を提供する
ように構成されたコントローラであって、前記位相制御信号は前記位相光変調器に、前記フレームについての前記位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成されている、コントローラとを有する、
投影システム。
EEE2。前記位相光変調器は、アレイ状に配置された複数の変調要素と、前記位相制御信号に応答して前記複数の要素のそれぞれの状態を修正するように構成された回路とを含む、請求項1に記載の投影システム。
EEE3。前記位相光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、請求項2に記載の投影システム。
EEE4。前記位相光変調器は、液晶オン半導体デバイスである、請求項2に記載の投影システム。
EEE5。前記投影面に投影された較正コードを検出し、前記較正コードに基づいて前記センサー信号を生成するように構成された赤外線センサーをさらに有する、請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載の投影システム。
EEE6。前記投影面の表面特徴を検出し、前記表面特徴に基づいて前記センサー信号を生成するように構成された奥行きセンサーをさらに有する、請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の投影システム。
EEE7。前記コントローラは:前記投影面のターゲット領域の数を決定し;前記画像データのフレーム期間を、前記ターゲット領域の数に対応する数のサブ期間に分割し;サブ期間ごとに、前記ターゲット・ジオメトリを動的に決定する動作、前記位相構成を決定する動作、および前記位相制御信号を提供する動作を時分割式に実行するように構成される、請求項1ないし6のうちいずれか一項に記載の投影システム。
EEE8。前記複数のターゲット領域は互いに連続していない、請求項7に記載の投影システム。
EEE9。前記投影光の一部を遮断するフィルタをさらに有する、請求項1ないし8のうちいずれか一項に記載の投影システム。
EEE10。前記光源はコヒーレント光源である、請求項1ないし9のうちいずれか一項に記載の投影システム。
EEE11。投影システムを駆動する方法であって:
画像データに応答して、光源によって光を放射するステップと;
位相光変調器によって前記光を受け取るステップと;
前記位相光変調器によって前記光に対して空間的に変化する位相変調を適用し、それにより前記光をステアリングして投影光を生成するステップと;
ユーザー入力またはセンサー信号のうちの少なくとも1つに基づいて、前記投影光が投影される投影面のターゲット・ジオメトリを動的に決定するステップと;
前記ターゲット・ジオメトリに基づいて、前記画像データのフレームについての位相構成を決定するステップと;
位相制御信号を前記位相光変調器に提供するステップであって、前記位相制御信号は、前記位相光変調器に、前記フレームについての前記位相構成に従って前記投影光を生成させるように構成される、ステップと、を含む、
方法。
EEE12。前記位相光変調器は、アレイ状に配置された複数の変調要素を含み、前記方法は:
前記位相制御信号に応答して前記複数の変調要素のそれぞれの状態を修正することを含む、
請求項11に記載の方法。
EEE13。前記位相光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、請求項12に記載の方法。
EEE14。前記位相光変調器は、液晶オン半導体デバイスである、請求項12に記載の方法。
EEE15。前記投影面に投影された較正コードを赤外線センサーによって検出するステップと;
前記較正コードに基づいて前記センサー信号を生成するステップとをさらに含む、
請求項11ないし14のうちいずれか一項に記載の方法。
EEE16。前記投影面の表面特徴を奥行きセンサーによって検出するステップと;
前記表面特徴に基づいて前記センサー信号を生成するステップとをさらに含む、
請求項11ないし15のうちいずれか一項に記載の方法。
EEE17。前記投影面のターゲット領域の数を決定することと;
前記画像データのフレーム期間を、前記ターゲット領域の数に対応する数のサブ期間に分割することと;
各サブ期間について、前記ターゲット・ジオメトリを動的に決定する動作、前記位相構成を決定する動作、および前記位相制御信号を提供する動作を時分割式に実行することとをさらに含む、
請求項11ないし16のうちいずれか一項に記載の方法。
EEE18。前記ターゲット領域は互いに連続していない、請求項17に記載の方法。
EEE19。フィルタによって前記投影光の一部を遮断するステップをさらに含む、請求項11ないし18のうちいずれか一項に記載の方法。
EEE20。投影デバイスのプロセッサによって実行されると、前記投影デバイスに、請求項11ないし19のうちいずれか一項に記載の方法を含む動作を実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
図1
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【国際調査報告】