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特表2024-505101マルチリンクを用いる無線通信方法及びこれを用いる無線通信端末
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】マルチリンクを用いる無線通信方法及びこれを用いる無線通信端末
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20240101AFI20240126BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240126BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20240126BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W84/12
H04W76/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546498
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2022001681
(87)【国際公開番号】W WO2022164293
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0014046
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0015795
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0042404
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516079109
【氏名又は名称】ウィルス インスティテュート オブ スタンダーズ アンド テクノロジー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サンヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ゴンジュン・コ
(72)【発明者】
【氏名】ハンスル・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジュヒョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジンサム・カク
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置が開示される。マルチリンク装置は、送受信部、及び、プロセッサを含む。前記プロセッサは、前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記マルチリンク装置が含む複数のステーションのうち一つである第1ステーションがTXOP(transmission opportunity)ホルダーとして前記フレーム交換を行う時に、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信するとした時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時点以前に前記フレーム交換のためのTXOPを終了する。前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置であって、
送受信部、及び
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記マルチリンク装置が含む複数のステーションのうち一つである第1ステーションがTXOP(transmission opportunity)ホルダーとして前記フレーム交換を行う時に、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信するとした時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時点以前に前記フレーム交換のためのTXOPを終了し、
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間であるマルチリンク装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを受信し、
前記第2リンクで前記ビーコンフレームを受信するために前記初期制御フレームに対する応答フレームを送信しない、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項3】
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了しない場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信しなく、
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了する場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信する、請求項2に記載のマルチリンク装置。
【請求項4】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)である、請求項2に記載のマルチリンク装置。
【請求項5】
前記ビーコンフレームは、DTIMビーコンである、請求項2に記載のマルチリンク装置。
【請求項6】
前記初期制御フレームは、あらかじめ指定されたフォーマットを用いてあらかじめ指定されたデータレートで送信される、請求項2に記載のマルチリンク装置。
【請求項7】
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置によってシグナルされる、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記リンクスイッチングのために必要な初期制御フレームのパディングの最小長さ(duration)をシグナルし、前記初期制御フレームは、前記EMLSRモードにおいて前記EMLSRリンクでフレーム交換を開始し、
前記初期制御フレームは、前記パディングの最小長さと等しい又は長い時間に対応するパディングを含む、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項9】
前記EMLSRモードは、前記マルチリンク装置が含む複数のステーションが動作する前記複数のリンクのうち一部にのみ適用される、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項10】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置と通信するアクセスポイントであって、
送受信部、及び
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを送信し、前記マルチリンク装置が前記第2リンクでビーコンフレームを受信するとした時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時点以前に前記フレーム交換のためのTXOPを終了し、
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間であるマルチリンク装置。
【請求項11】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)である、請求項10に記載のマルチリンク装置。
【請求項12】
前記ビーコンフレームは、DTIMビーコンである、請求項10に記載のマルチリンク装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記初期制御フレームをあらかじめ指定されたフォーマットを用いてあらかじめ指定されたデータレートで送信する、請求項10に記載のマルチリンク装置。
【請求項14】
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置によってシグナルされる、請求項10に記載のマルチリンク装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記マルチリンク装置から前記リンクスイッチングのために必要な初期制御フレームのパディングの最小長さ(duration)を受信し、
前記初期制御フレームに、前記パディングの最小長さと等しい又は長い時間に対応するパディングを含める、請求項14に記載のマルチリンク装置。
【請求項16】
前記EMLSRモードは、前記マルチリンク装置が含む複数のステーションが動作する前記複数のリンクのうち一部にのみ適用される、請求項10に記載のマルチリンク装置。
【請求項17】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置の動作方法であって、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記マルチリンク装置が含む複数のステーションのうち一つである第1ステーションがTXOP(transmission opportunity)ホルダーとして前記フレーム交換を行う時に、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信するとした時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時点以前に前記フレーム交換のためのTXOPを終了する段階を含み、
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間である動作方法。
【請求項18】
前記動作方法は、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを受信する段階、及び
前記第2リンクで前記ビーコンフレームを受信するために前記初期制御フレームに対する応答フレームを送信しない段階をさらに含む、請求項17に記載の動作方法。
【請求項19】
前記第2リンクで前記ビーコンフレームを受信するために前記初期制御フレームに対する応答フレームを送信しない段階は、
前記初期制御フレームが開始する前記フレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了しない場合に、前記初期制御フレームに対する応答を送信しない段階と、
前記初期制御フレームが開始する前記フレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了する場合に、前記初期制御フレームに対する応答を送信する段階を含む、請求項18に記載の動作方法。
【請求項20】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)である、請求項18に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチリンクを用いる無線通信方法及びこれを用いる無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、モバイル機器の普及が拡大されるにつれ、それらに速い無線インターネットサービスを提供し得る無線LAN(Wireless LAN)技術が脚光を浴びている。無線LAN技術は、近距離で無線通信技術に基づいてスマートフォン、スマートパッド、ラップトップPC、携帯型マルチメディアプレーヤー、エンベデッド機器などのようなモバイル機器を家庭や企業、または特定サービス提供地域において、無線でインターネットに接続し得るようにする技術である。
【0003】
IEEE(Istitute of Electronics Engineers) 802.11は、2.4GHのz周波数を利用した初期の無線LAN技術を支援した以来、多様な技術の標準を実用化または開発中である。まず、IEEE 802.11bは2.4GHzバンドの周波数を使用し、最高11Mbpsの通信速度を支援する。IEEE 802.11bの後に商用化されたIEEE 802.11aは2.4GHzバンドではなく5GHzバンドの周波数を使用することで、相当混雑した2.4GHzバンドの周波数に比べ干渉への影響を減らしており、OFDM技術を使用して通信速度を最大54Mbpsまで向上させている。しかし、IEEE 802.11aはIEEE 802.11bに比べ通信距離が短い短所がある。そして、IEEE 802.11gはIEEE 802.11bと同じく2.4GHzバンドの周波数を使用して最大54Mpbsの通信速度を具現し、下位互換性(backward compatibility)を満足していて相当な注目を浴びたが、通信距離においてもIEEE 802.11aより優位にある。
【0004】
そして、無線LANで脆弱点として指摘されていた通信速度に関する限界を克服するために制定された技術規格として、IEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nはネットワークの速度と信頼性を増加させ、無線ネットワークの運営距離を拡張するのにその目的がある。詳しくは、IEEE 802.11nではデータ処理速度が最大540Mbps以上の高処理率(High Throughput、HT)を支援し、また、伝送エラーを最小化しデータの速度を最適化するために送信部と受信部の両端共に多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基盤している。また、この規格はデータの信頼性を上げるために重複する写本を複数個伝送するコーディング方式を使用している。
【0005】
無線LANの普及が活性化され、また、それを使用したアプリケーションが多様化するにつれ、IEEE 802.11nが支援するデータの処理速度より高い処理率(Very High Throughput、VHT)を支援するための新たな無線LANシステムに対する必要性が台頭している。そのうち、IEEE 802.11acは5GHz周波数で広い帯域幅(80MHz~160MHz)を支援する。IEEE 802.11ac標準は5GHz帯域でのみ定義されているが、従来の2.4GHz帯域の製品との下位互換性のために、初期11acチップセットは2.4GHz帯域での動作も支援すると考えられる。理論的に、この規格によると多重ステーションの無線LANの速度は最小1Gbps、最大単一リンク速度は最小500Mbpsまで可能になる。これはより広い無線周波数帯域幅(最大160MHz)、より多いMIMO空間的ストリーム(最大8個)、マルチユーザMIMO、そして、高い密度の変調(最大256QAM)など、802.11nで受け入れられた無線インタフェースの概念を拡張して行われる。また、従来の24GHz/5GHzに代わって60GHzバンドを利用してデータを伝送する方式として、IEEE 802.11adがある。IEEE 802.11adはビームフォーミング技術を利用して最大7Gbpsの速度を提供する伝送規格であって、大容量のデータや無圧縮HDビデオなど、高いビットレート動画のストリーミングに適合している。しかし、60GHz周波数バンドは障害物の通過が難しく、近距離空間でのデバイスの間でのみ利用可能な短所がある。
【0006】
一方、802.11ac及び802.11ad以後の無線LAN標準として、APと端末が密集した高密度環境における高効率及び高性能の無線LAN通信技術を提供するためのIEEE 802.11ax(High Efficiency WLAN,HEW)標準が開発され、完了段階にある。802.11axベース無線LAN環境では、高密度のステーションとAP(Access Point)の存在下に屋内/屋外で高い周波数効率の通信が提供される必要があり、これを具現するための様々な技術が開発されている。
【0007】
また、高画質ビデオ、実時間ゲームなどのような新しいマルチメディア応用を支援するために、最大送信速度を上げるための新しい無線LAN標準を開発し始めた。7世代無線LAN標準であるIEEE 802.11be(Extremely High Throughput,EHT)では、2.4/5/6GHzの帯域でより広い帯域幅と増加した空間ストリーム及び多重AP協調などによって最大で30Gbpsの送信率を支援することを目標に標準開発を進行している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施例は、マルチリンクを用いる無線通信方法及びこれを用いる無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例によって、複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置は、送受信部、及び、プロセッサを含む。前記プロセッサは、前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記マルチリンク装置が含む複数のステーションのうち一つである第1ステーションがTXOP(transmission opportunity)ホルダーとして前記フレーム交換を行う時に、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信するとした時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時点以前に、前記フレーム交換のためのTXOPを終了する。前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間であってよい。
【0010】
前記プロセッサは、前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを受信し、前記第2リンクで前記ビーコンフレームを受信するために前記初期制御フレームに対する応答フレームを送信しなくてよい。
【0011】
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了しない場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信しなく、前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了する場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信することができる。
【0012】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)であってよい。
【0013】
前記ビーコンフレームは、DTIMビーコンであってよい。
【0014】
前記初期制御フレームは、あらかじめ指定されたフォーマットを用いてあらかじめ指定されたデータレートで送信されてよい。
【0015】
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置によってシグナルされてよい。
【0016】
前記プロセッサは、前記リンクスイッチングのために必要な初期制御フレームのパディングの最小長さ(duration)をシグナルし、前記初期制御フレームは、前記EMLSRモードにおいて前記EMLSRリンクでフレーム交換を開始し、前記初期制御フレームは、前記パディングの最小長さと等しい又は長い時間に対応するパディングを含んでよい。前記EMLSRモードは、前記マルチリンク装置が含む複数のステーションが動作する前記複数のリンクのうち一部にのみ適用されてよい。
【0017】
本発明の実施例によって、複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置と通信するアクセスポイントは、送受信部、及び、プロセッサを含む。前記プロセッサは、前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを送信し、前記マルチリンク装置が前記第2リンクでビーコンフレームを受信するとした時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時点以前に前記フレーム交換のためのTXOPを終了する。前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間である。
【0018】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)であってよい。
【0019】
前記ビーコンフレームは、DTIMビーコンであってよい。
【0020】
前記プロセッサは、前記初期制御フレームを、あらかじめ指定されたフォーマットを用いてあらかじめ指定されたデータレートで送信することができる。
【0021】
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置によってシグナルされてよい。
【0022】
前記プロセッサは、前記マルチリンク装置から前記リンクスイッチングのために必要な初期制御フレームのパディングの最小長さ(duration)を受信し、前記初期制御フレームに前記パディングの最小長さと等しい又は長い時間に対応するパディングを含めることができる。前記EMLSRモードは、前記マルチリンク装置が含む複数のステーションが動作する前記複数のリンクのうち一部にのみ適用されてよい。
【0023】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置の動作方法は、前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記マルチリンク装置が含む複数のステーションのうち一つである第1ステーションがTXOP(transmission opportunity)ホルダーとして前記フレーム交換を行う時に、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信するとした時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時点以前に前記フレーム交換のためのTXOPを終了する段階を含む。前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間である。
【0024】
前記動作方法は、前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを受信する段階、及び、前記第2リンクで前記ビーコンフレームを受信するために前記初期制御フレームに対する応答フレームを送信しない段階をさらに含んでよい。
【0025】
前記第2リンクで前記ビーコンフレームを受信するために前記初期制御フレームに対する応答フレームを送信しない段階は、前記初期制御フレームが開始する前記フレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了しない場合に、前記初期制御フレームに対する応答を送信しない段階と、前記初期制御フレームが開始する前記フレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了する場合に、前記初期制御フレームに対する応答を送信する段階とを含んでよい。
【0026】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)であってよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施例は、効率的にマルチリンクを用いる無線通信方法及びこれを用いる無線通信端末を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例による無線LANシステムを示す図である。
図2】本発明の他の実施例による無線LANシステムを示す図である。
図3】本発明の一実施例によるステーションの構成を示す図である。
図4】本発明の一実施例によるアクセスポイントの構成を示す図である。
図5】STAがAPとリンクを設定する過程を概略的に示す図である。
図6】無線LAN通信で使用されるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)/CA(Collision Avoidance)方法を示す図である。
図7】様々な標準世代別PPDU(PLCP Protocol Data Unit)フォーマットの一例を示す。
図8】本発明の実施例に係る様々なEHT(Extremely High Throughput)PPDU(Physical Protocol Data Unit)フォーマット及びこれを指示するための方法の一例を示す。
図9】本発明の実施例に係るマルチリンク装置(multi-link device)を示す。
図10】本発明の実施例によってマルチリンク動作において互いに異なるリンクの送信が同時に行われることを示す。
図11】本発明の一実施例によってリンクが変更された場合に、マルチリンク装置の動作を示す。
図12】本発明の一実施例によってnon-STRマルチリンク装置のいずれか一つのステーションが受信中である時に、non-STRマルチリンク装置の他のステーションのチャネルアクセスが禁止されることを示す。
図13】本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置のステーションが受信するPPDUの意図した受信者がステーションでないことを確認した場合に、チャネルアクセス禁止を解除する動作を示す。
図14】本発明の実施例に係るステーションがチャネルアクセス禁止が解除された後にチャネルアクセスを行うことを示す。
図15】本発明の一実施例に係るステーションがチャネルアクセス禁止解除後に送信を行う動作を示す。
図16】本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置内のステーションの状態に基づいて行われる送信を示す。
図17】リンク間の干渉又は衝突が発生し得る状況を示す。
図18】本発明の一実施例によってSTRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に対する送信を中止する動作を示す。
図19】本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置がリンク間の送信衝突を認知した場合に、CWの値を処理することを示す。
図20】本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に対する送信を中止した後に再度チャネルアクセスを行う動作を示す。
図21】本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に対する送信を行う前にCTS-to-Selfフレームを送信する動作を示す。
図22】本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置に含まれた複数のAPが、一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれた複数のステーションに送信を行うことを示す。
図23】本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置に含まれた複数のAPが、一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれた複数のステーションに、送信の終了が同期化した複数の送信を行うことを示す。
図24】本発明の実施例によってマルチリンク装置がRTS/CTSフレームを交換することを示す。
図25図24で説明した実施例に係るRTS/CTSフレーム交換手順において発生する隠しノード問題を示す。
図26】本発明の実施例によってマルチリンク装置がRTS/CTSフレームを交換することを示す。
図27】本発明の実施例によってマルチリンク装置が、チャネルアクセスが禁止された場合にも例外的に制御フレームに対する応答を送信することを示す。
図28】non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を再送信することを示す。
図29】本発明の実施例によってチャネルアクセスが禁止されたステーションが動作するリンクではなくチャネルアクセスが禁止されていないステーションが動作するリンクで制御フレームが送信されることを示す。
図30】本発明の実施例によってマルチリンク装置がACKを送信することを示す。
図31】本発明の実施例によってシンクPPDU受信支援又は送信支援に関する情報を指示するエレメントフィールドを示す。
図32】本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置がリンク間TXOP(Inter-link TXOP)節電モード動作を行うことを示す。
図33】本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置のステーションがシンクPPDU受信待機において節電状態に進入することを示す。
図34】本発明のさらに他の実施例によってnon-STRマルチリンク装置のステーションがシンクPPDU受信待機において節電状態に進入することを示す。
図35】本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置とAPマルチリンク装置との連結を示す。
図36】本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置がMIMO送信を行うことを示す。
図37】本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置がRF(radio frequency)チェーン変更の遅延時間を考慮してチャネルアクセスを行う動作を示す。
図38】本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置が用いるCapabilityエレメントとOperationエレメントを示す。
図39】本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置がMIMOを用いてPPDUを送信することを示す。
図40】本発明の実施例に係るステーションと単一ラジオマルチリンク装置がNDPサウンディングプロセスを行うことを示す。
図41】本発明の実施例に係るステーションと単一ラジオマルチリンク装置がフィードバックビームフォーミングサウンディングシーケンスを行うことを示す。
図42】本発明の実施例に係るステーションと単一ラジオマルチリンク装置がNDPサウンディングプロセスを行うことを示す。
図43】UPとAC間のマッピング関係を示す。
図44】本発明の実施例によってマルチリンク装置がマルチリンク装置のステーション別にマップされたトラフィックを送信することを示す。
図45】本発明の実施例によってマルチリンク装置がTIDリンクマッピングによってフレーム交換を行うことを示す。
図46】本発明の実施例に係るAPマルチリンク装置とnon-APマルチリンク装置にTIDとリンク間の基本マッピングが設定されたことを示す。
図47】本発明の実施例に係るマルチリンク装置がEMLSRモードを活性化させる時にTIDとリンク間のマッピングが変更されることを示す。
図48】本発明の実施例に係るMulti-Linkエレメントのフォーマットを示す。
図49】本発明の実施例に係るマルチリンク装置がEMLSRモードを非活性化させる時にTIDとリンク間のマッピングが変更されることを示す。
図50】本発明の実施例によって初期制御フレームのパディングの長さに関する情報をシグナルするMulti-Linkエレメントを示す。
図51】本発明の実施例に係るマルチリンク装置がEMLSRモードにおいてフレーム交換が行われないEMLSRリンクで受信されるDTIMビーコンを考慮して、EMLSRモードにおいてフレーム交換が行われるリンクでTXOPを終了することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で使用される用語は、本発明での機能を考慮してできる限り現在広く使用されている一般的な用語を選択しているが、これは該当技術分野に携わる技術者の意図、慣例、または新たな技術の出現などによって異なり得る。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、このような場合は該当する発明の説明部分でその意味を記載する。よって、本明細書で使用される用語は単なる用語の名称ではなく、その用語が有する実質的な意味と本明細書全般にわたる内容に基づいて解釈すべきであることを明らかにする。
【0030】
明細書全体にわたって、ある構成が他の構成と「連結」されているとすると、これは「直接連結」されている場合だけでなく、その中間に他の構成要素を間に挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある構成要素が特定の構成要素を「含む」とすると、これは特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素を更に含み得ることを意味する。加えて、特定臨界値を基準に「以上」または「以下」という限定事項は、実施例によってそれぞれ「超過」または「未満」に適切に代替され得る。
【0031】
以下、本発明において、フィールドとサブフィールドは同じ意味で使われてよい。
【0032】
図1は、本発明の一実施例による無線LANシステムを示す図である。
【0033】
無線LANシステムは、一つまたはそれ以上のベーシックサービスセット(Basic Service Set、BSS)を含むが、BSSは同期化に成功し互いに通信し得る機器の集合を示す。一般に、BSSはインフラストラクチャBSS(infrastructure BSS)と独立BSS(Independent BSS、IBSS)に区分されるが、図1はこのうちインフラストラクチャBSSを示している。
【0034】
図1に示すように、インフラストラクチャーBSS BSS1,BSS2は、1つ又はそれ以上のステーションSTA1,STA2,STA3,STA4,STA5、分配サービス(Distribution Service)を提供するステーションであるアクセスポイントAP-1,AP-2、及び複数のアクセスポイントAP-1,AP-2を連結させる分配システム(Distribution System)DSを含む。
【0035】
ステーション(Station、STA)は、IEEE 802.11標準の規定に従う媒体接続制御(Medium Access Control、MAC)と無線媒体に対する物理層(Physical Layer)インタフェースを含む任意のディバイスであって、広い意味では非アクセスポイントnon-APステーションのみならずアクセスポイントAPを全て含む。また、本明細書において、「端末」とはnon-APまたはAPを指すか、両者を全て指す用語として使用される。無線通信のためのステーションはプロセッサと通信部を含み、実施例によってユーザインタフェース部とディスプレーユニットなどを更に含む。プロセッサは無線ネットワークを介して伝送するフレームを生成するか、または前記無線ネットワークを介して受信されたフレームを処理し、その他にステーションを制御するための多様な処理を行う。そして、通信部は前記プロセッサと機能的に連結されており、ステーションのために無線ネットワークを介してフレームを送受信する。本発明において、端末はユーザ端末機(user equipment、UE)を含む用語として使用される。
【0036】
アクセスポイント(Access Point、AP)は、自らに結合された(associated)ステーションのために無線媒体を経由して分配システムDSに対する接続を提供する個体である。インフラストラクチャBSSにおいて、非APステーション間の通信はAPを経由して行われることが原則であるが、ダイレクトリンクが設定されている場合は非APステーションの間でも直接通信が可能である。一方、本発明において、APはPCP(Personal BSS Coordination Point)を含む概念として使用されるが、広い意味では集中制御器、基地局(Base Station、BS)、ノードB、BTS(Base Transceiver System)、またはサイト制御器などの概念を全て含む。本発明において、APはベース無線通信端末とも称されるが、ベース無線通信端末は、広い意味ではAP、ベースステーション(base station)、eNB(eNodeB)、及びトランスミッションポイントTPを全て含む用語として使用される。それだけでなく、ベース無線通信端末は複数の無線通信端末との通信で通信媒介体(medium)資源を割り当て、スケジューリング(scheduling)を行う多様な形態の無線通信端末を含む。
【0037】
複数のインフラストラクチャBSSは、分配システムDSを介して互いに連結される。この際、分配システムを介して連結された複数のBSSを拡張サービスセット(Extended Service Set、ESS)という。
【0038】
図2は、本発明の他の実施例による無線LANシステムである独立BSSを示す図である。図2の実施例において、図1の実施例と同じであるか相応する部分は重複する説明を省略する。
【0039】
図2に示したBSS3は独立BSSであってAPを含まないため、全てのステーション(STA6、STA7)がAPと接続されていない状態である。独立BSSは分配システムへの接続が許容されず、自己完備的ネットワーク(self-contained network)をなす。独立BSSにおいて、それぞれのステーション(STA6、STA7)はダイレクトに互いに連結される。
【0040】
図3は、本発明の一実施例によるステーション100の構成を示すブロック図である。図示したように、本発明の実施例によるステーション100は、プロセッサ110、通信部120、ユーザインタフェース部140、ディスプレーユニット150、及びメモリ160を含む。
【0041】
まず、通信部120は、無線LANパケットなどの無線信号を送受信し、ステーション100に組み込まれる又は外付けられて具備されてよい。実施例によれば、通信部120は、互いに異なる周波数バンドを用いる少なくとも1つの通信モジュールを含むことができる。例えば、前記通信部120は、2.4GHz、5GHz、6GHz及び60GHzなどの異なる周波数バンドの通信モジュールを含むことができる。一実施例によれば、ステーション100は、7.125GHz以上の周波数バンドを用いる通信モジュールと、7.125GHz以下の周波数バンドを用いる通信モジュールを備えることができる。それぞれの通信モジュールは、当該通信モジュールが支援する周波数バンドの無線LAN規格に基づいてAP又は外部ステーションと無線通信を行うことができる。通信部120は、ステーション100の性能及び要求事項に応じて1回に1つの通信モジュールのみを動作させるか、同時に複数の通信モジュールを共に動作させることができる。ステーション100が複数の通信モジュールを含む場合に、各通信モジュールはそれぞれ独立した形態で備えられてもよく、複数のモジュールが1つのチップとして統合して備えられてもよい。本発明の実施例において、通信部120は、RF(Radio Frequency)信号を処理するRF通信モジュールを表すことができる。
【0042】
次に、ユーザインタフェース140は、ステーション100に備えられた多様な形態の入出力手段を含む。つまり、ユーザインタフェース部140は多様な入力手段を利用してユーザの入力を受信し、プロセッサ110は受信されたユーザ入力に基づいてステーション100を制御する。また、ユーザインタフェース部140は、多様な出力手段を利用してプロセッサ110の命令に基づいた出力を行う。
【0043】
次に、ディスプレーユニット150は、ディスプレー画面にイメージを出力する。前記ディスプレーユニット150は、プロセッサ110によって行われるコンテンツ、またはプロセッサン110の制御命令に基づいたユーザインタフェースなどの多様なディスプレーオブジェクトを出力する。また、メモリ160は、ステーション100で使用される制御プログラム及びそれによる各種データを貯蔵する。このような制御プログラムには、ステーション100がAPまたは外部のステーションと接続を行うのに必要な接続プログラムが含まれる。
【0044】
本発明のプロセッサ110は多様な命令またはプログラムを行い、ステーション100内部のデータをプロセッシングする。また、前記プロセッサ110は上述したステーション100の各ユニットを制御し、ユニット間のデータの送受信の制御する。本発明の実施例によると、プロセッサ110はメモリ160に貯蔵されたAPとの接続のためのプログラムを行い、APが伝送した通信設定メッセージを受信する。また、プロセッサ110は通信設定メッセージに含まれたステーション100の優先条件に関する情報を読み取り、ステーション100の優先条件に関する情報に基づいてAPに関する接続を要請する。本発明のプロセッサ110はステーション100のメインコントロールユニットを指してもよく、実施例によってステーション100の一部の構成、例えば、通信部120などを個別的に制御するためのコントロールユニットを指してもよい。つまり、プロセッサ110は通信部120から送受信される無線信号を変復調するモデム、または変復調部(modulator and/or demodulator)であってもよい。プロセッサ110は、本発明の実施例によるステーション100の無線信号送受信の各種動作を制御する。それに関する詳しい実施例は後述する。
【0045】
図3に示したステーション100は本発明の一実施例によるブロック図であって、分離して示したブロックはディバイスのエレメントを論理的に区別して示したものである。よって、上述したディバイスのエレメントは、ディバイスの設計に応じて一つのチップまたは複数のチップに取り付けられる。例えば、前記プロセッサ110及び通信部120は一つのチップに統合されて具現されてもよく、別途のチップで具現されてもよい。また、本発明の実施例において、前記ステーション100の一部の構成、例えば、ユーザインタフェース部140及びディスプレーユニット150などはステーション100に選択的に備えられてもよい。
【0046】
図4は、本発明の一実施例によるAP200の構成を示すブロック図である。図示したように、本発明の実施例によるAP200は、プロセッサ210、通信部220、及びメモリ260を含む。図4において、AP200の構成のうち図3のステーション100の構成と同じであるか相応する部分については重複する説明を省略する
【0047】
図4を参照すると、本発明に係るAP 200は、少なくとも1つの周波数バンドにおいてBSSを運営するための通信部220を備える。図3の実施例において前述したように、前記AP 200の通信部220も、互いに異なる周波数バンドを用いる複数の通信モジュールを含むことができる。すなわち、本発明の実施例に係るAP 200は、異なる周波数バンド、例えば、2.4GHz、5GHz、6GHz及び60GHzのいずれかを用いる2つ以上の通信モジュールを共に備えることができる。好ましくは、AP 200は、7.125GHz以上の周波数バンドを用いる通信モジュールと、7.125GHz以下の周波数バンドを用いる通信モジュールを備えることができる。それぞれの通信モジュールは、当該通信モジュールが支援する周波数バンドの無線LAN規格に基づいてステーションと無線通信を行うことができる。前記通信部220は、AP 200の性能及び要求事項に応じて1回に1つの通信モジュールのみを動作させるか、同時に複数の通信モジュールを共に動作させることができる。本発明の実施例において、通信部220は、RF(Radio Frequency)信号を処理するRF通信モジュールを表すことができる。
【0048】
次に、メモリ260は、AP200で使用される制御プログラム及びそれによる各種データを貯蔵する。このような制御プログラムには、ステーションの接続を管理する接続プログラムが含まれる。また、プロセッサ210はAP200の各ユニットを制御し、ユニット間のデータの送受信を制御する。本発明の実施例によると、プロセッサ210はメモリ260に貯蔵されたステーションとの接続のためのプログラムを行い、一つ以上のステーションに対する通信設定メッセージを伝送する。この際、通信設定メッセージには各ステーションの接続優先条件に関する情報が含まれる。また、プロセッサ210はステーションの接続要請に応じて接続設定を行う。一実施例によると、プロセッサ210は通信部220から送受信される無線信号を変復調するモデム、または変復調部である。プロセッサ210は、本発明の実施例によるAP200の無線信号送受信の各種動作を制御する。それに関する詳しい実施例は後述する。
【0049】
図5は、STAがAPとリンクを設定する過程を概略的に示す図である。
【0050】
図5を参照すると、STA100とAP200間のリンクは大きくスキャニング(sanning)、認証(authentication)、及び結合(association)の3つのステップを介して設定される。まず、スキャニングステップは、AP200が運営するBSSの接続情報をSTA100が獲得するステップである。スキャニングを行うための方法としては、AP200が周期的に伝送するビーコン(beacon)メッセージS101のみを活用して情報を獲得するパッシブスキャニング(passive sanning)方法と、STA100がAPにプローブ要請(probe request)を伝送しS103、APからプローブ応答(probe response)を受信してS105、接続情報を獲得するアクティブスキャニング(active sanning)方法がある。
【0051】
スキャニングステップにおいて無線接続情報の受信に成功したSTA100は、認証要請(authentication request)を伝送しS107a、AP200から認証応答(authentication response)を受信してS107b、認証ステップを行う。認証ステップが行われた後、STA100は結合要請(association request)を伝送しS109a、AP200から結合応答(association response)を受信してS109b、結合ステップを行う。本明細書において、結合とは基本的に無線結合を意味するが、本発明はこれに限らず、広い意味での結合は無線結合及び有線結合を全て含む。
【0052】
一方、追加に802.1X基盤の認証ステップS111、及びDHCPを介したIPアドレス獲得ステップS113が行われる。図5において、サーバ300はSTA100と802.1X基盤の認証を処理するサーバであって、AP200に物理的に結合されて存在するか、別途のサーバとして存在してもよい。
【0053】
図6は、無線LAN通信で使用されるCSMA(Carrier Sense Multiple Access)/CA(Collision Avoidance) 方法を示す図である。
【0054】
無線LAN通信を行う端末は、データを伝送する前にキャリアセンシング(Carrier Sensing)を行ってチャネルが占有状態(busy)であるのか否かをチェックする。もし一定強度以上の無線信号が感知されれば該当チャネルが占有状態と判別され、前記端末は該当チャネル対するアクセスを遅延する。このような過程をクリアチャネル評価(Clear Channel Assessment、CCA)といい、該当信号の感知有無を決定するレベルをCCA臨界値(CCA threshold)という。もし端末に受信されたCCA臨界値以上の無線信号が該当端末を受信者とすれば、端末は受信された無線信号を処理する。一方、該当チャネルから無線信号が感知されないかCCA臨界値より小さい強度の無線信号が感知されれば、前記チャネルは遊休状態(idle)と判別される。
【0055】
チャネルが遊休状態と判別されれば、伝送するデータがある各端末は、各端末の状況によるIFS(Inter Frame Space)、例えば、AIFS(Arbitration IFS)、PIFS(PCF IFS)などの時間の後にバックオフ手順を行う。実施例によって、前記AIFSは従来のDIFS(DCF IFS)を代替する構成として使用される。各端末は、該当端末に決定された乱数(random number)だけのスロットタイムを前記チャネルの遊休状態の間隔(interval)の間に減少させながら待機し、スロットタイムを全て消尽した端末が該当チャネルに対するアクセスを試みる。このように、各端末がバックオフ手順を行う区間を競争ウィンドウ区間という。このとき、乱数をバックオフカウンターと呼ぶことができる。すなわち、端末の取得した乱数である整数によってバックオフカウンターの初期値が設定される。端末が、スロットタイム間にチャネルが遊休であると感知した場合に、端末は、バックオフカウンターを1減少させることができる。また、バックオフカウンターが0に到達すると、端末は当該チャネルでチャネルアクセスを行うことが許容されてよい。したがって、AIFS時間及びバックオフカウンターのスロット時間にチャネルが遊休である場合に端末の送信が許容されてよい。
【0056】
もし特定端末が前記チャネルのアクセスに成功すれば、該当端末は前記チャネルを介してデータを伝送する。しかし、アクセスを試みた端末が他の端末と衝突すれば、衝突した端末はそれぞれ新しい乱数を割り当てられて更にバックオフ手順を行う。一実施例によると、各端末に新しく割り当てられる乱数は、該当端末が以前割り当てられた乱数の範囲(競争ウィンドウ、CW)の2倍の範囲(2*CW)内で決定される。一方、各端末は、次の競争ウィンドウ区間で更にバックオフ手順を行ってアクセスを試みるが、この際、各端末は以前の競争ウィンドウ区間に残ったスロットタイムからバックオフ手順を行う。このような方法で無線LAN通信を行う各端末は、特定チャネルに対する互いの衝突を回避することができる。
【0057】
<様々なPPDUフォーマットの実施例>
【0058】
図7には、様々な標準世代別PPDU(PLCP Protocol Data Unit)フォーマットの一例を示す。より具体的に、図7(a)は、802.11a/gに基づくレガシーPPDUフォーマットの一実施例、図7(b)は、802.11axに基づくHE PPDUフォーマットの一実施例を示し、図7(c)は、802.11beに基づくノン-レガシーPPDU(すなわち、EHT PPDU)フォーマットの一実施例を示す。また、図7(d)は、前記PPDUフォーマットで共通に用いられるL-SIG及びRL-SIGの細部フィールド構成を示す。
【0059】
図7(a)を参照すると、レガシーPPDUのプリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training field)、L-LTF(Legacy Long Training field)及びL-SIG(Legacy Signal field)を含む。本発明の実施例において、前記L-STF、L-LTF及びL-SIGは、レガシープリアンブルと呼ぶことができる。
【0060】
図7(b)を参照すると、HE PPDUのプリアンブルは、前記レガシープリアンブルに、RL-SIG(Repeated Legacy Short Training field)、HE-SIG-A(High Efficiency Signal A field)、HE-SIG-B(High Efficiency Signal B field)、HE-STF(High Efficiency Short Training field)、HE-LTF(High Efficiency Long Training field)をさらに含む。本発明の実施例において、前記RL-SIG、HE-SIG-A、HE-SIG-B、HE-STF及びHE-LTFは、HEプリアンブルと呼ぶことができる。HEプリアンブルの具体的な構成は、HE PPDUフォーマットによって変形されてよい。例えば、HE-SIG-Bは、HE MU PPDUフォーマットのみにおいて用いられてよい。
【0061】
図7(c)を参照すると、EHT PPDUのプリアンブルは、前記レガシープリアンブルに、RL-SIG(Repeated Legacy Short Training field)、U-SIG(Universal Signal field)、EHT-SIG-A(Extremely High Throughput Signal A field)、EHT-SIG-A(Extremely High Throughput Signal B field)、EHT-STF(Extremely High Throughput Short Training field)、EHT-LTF(Extremely High Throughput Long Training field)をさらに含む。本発明の実施例において、前記RL-SIG、EHT-SIG-A、EHT-SIG-B、EHT-STF及びEHT-LTFは、EHTプリアンブルと呼ぶことができる。ノン-レガシープリアンブルの具体的な構成は、EHT PPDUフォーマットによって変形されてよい。例えば、EHT-SIG-AとEHT-SIG-Bは、EHT PPDUフォーマットのうち一部のフォーマットのみにおいて用いられてよい。
【0062】
PPDUのプリアンブルに含まれたL-SIGフィールドは、64 FFT OFDMが適用され、総64個のサブキャリアで構成される。このうち、ガードサブキャリア、DCサブキャリア及びパイロットサブキャリアを除く48個のサブキャリアが、L-SIGのデータ送信用に用いられる。L-SIGにはBPSK、Rate=1/2のMCS(Modulation and Coding Scheme)が適用されるので、総24ビットの情報を含むことができる。図7(d)には、L-SIGの24ビット情報構成を示す。
【0063】
図7(d)を参照すると、L-SIG、は、L_RATEフィールドとL_LENGTHフィールドを含む。L_RATEフィールドは、4ビットで構成され、データ送信に用いられたMCSを示す。具体的に、L_RATEフィールドは、BPSK/QPSK/16-QAM/64-QAMなどの変調方式と1/2、2/3、3/4などの符号率を組み合わせた6/9/12/18/24/36/48/54Mbpsの送信速度のうち1つの値を示す。L_RATEフィールドとL_LENGTHフィールドの情報を組み合わせると当該PPDUの全長を示すことができる。ノン-レガシーPPDUフォーマットでは、L_RATEフィールドを最小速度である6Mbpsに設定する。
【0064】
L_LENGTHフィールドの単位はbyteであり、総12ビットが割り当てられて最大4095までシグナリング可能であり、L_RATEフィールドとの組合せで当該PPDUの長さを示すことができる。このとき、レガシー端末とノン-レガシー端末は、L_LENGTHフィールドを互いに異なる方法で解析できる。
【0065】
まず、レガシー端末又はノン-レガシー端末がL_LENGTHフィールドを用いて当該PPDUの長さを解析する方法は次の通りである。L_RATEフィールドが6Mbpsに設定された場合に、64FFTの1個のシンボルデューレーションである4usで3バイト(すなわち、24ビット)が送信されてよい。したがって、L_LENGTHフィールド値に、SVCフィールド及びテール(Tail)フィールドに該当する3バイトを足し、これを、1個のシンボルの送信量である3バイトで割ると、L-SIG以後の64FFT基準シンボル個数が取得される。取得されたシンボル個数に1個のシンボルデューレーションである4usをかけた後、L-STF、L-LTF及びL-SIGの送信にかかる20usを足すと、当該PPDUの長さ、すなわち、受信時間(RXTIME)が取得される。これを数式で表現すれば、下記の式1の通りである。
【0066】
【数1】
【0067】
このとき、
【数2】
は、xより大きい又は等しい最小の自然数を表す。L_LENGTHフィールドの最大値は4095であるので、PPDUの長さは、最大5.484msまでに設定されてよい。当該PPDUを送信するノン-レガシー端末は、L_LENGTHフィールドを下記の式2のように設定しなければならない。
【0068】
【数3】
【0069】
ここで、TXTIMEは、当該PPDUを構成する全体送信時間であり、下記の式3の通りである。このとき、TXは、Xの送信時間を表す。
【0070】
【数4】
【0071】
以上の式を参照すると、PPDUの長さは、L_LENGTH/3の切上げ値に基づいて計算される。したがって、任意のk値に対してL_LENGTH={3k+1,3k+2,3(k+1)}の3つの異なる値が、同一のPPDU長を指示する。
【0072】
図7(e)を参照すると、U-SIG(Universal SIG)フィールドは、EHT PPDU及び後続世代の無線LANのPPDUにおいて存続し、11beを含めてどの世代のPPDUであるかを区分する役割を担う。U-SIGは、64FFTベースのOFDMの2シンボルであり、総52ビットの情報を伝達することができる。このうち、CRC/テール9ビットを除く43ビットは、大きく、VI(Version Independent)フィールドとVD(Version Dependent)フィールドに区分される。
【0073】
VIビットは、現在のビット構成を後にも維持し続け、後続世代のPPDUが定義されても、現在の11be端末が、当該PPDUのVIフィールドから当該PPDUに関する情報を得ることができる。そのために、VIフィールドは、PHYバージョン、UL/DL、BSSカラー、TXOP、リザーブド(Reserved)フィールドで構成される。PHYバージョンフィールドは3ビットであり、11be及び後続世代の無線LAN標準を順次にバージョンで区分する役割を担う。11beは000bの値を有する。UL/DLフィールドは、当該PPDUが上りリンク/下りリンクPPDUのいずれであるかを区分する。BSSカラーは、11axで定義されたBSS別識別子を意味し、6ビット以上の値を有する。TXOPは、MACヘッダーで伝達されていた送信機会デュレーション(Transmit Opportunity Duration)を意味するが、PHYヘッダーに追加することにより、MPDUをデコードすることなく、当該PPDUが含まれたTXOPの長さを類推でき、7ビット以上の値を有する。
【0074】
VDフィールドは、11beバージョンのPPDUにのみ有用なシグナリング情報としてPPDUフォーマット、BWのように、如何なるPPDUフォーマットにも共通に用いられるフィールド、及びPPDUフォーマット別に異なるように定義されるフィールドで構成されてよい。PPDUフォーマットは、EHT SU(Single User)、EHT MU(Multiple User)、EHT TB(Trigger-based)、EHT ER(Extended Range)PPDUなどを区分する区分子である。BWフィールドは、大きく、20、40、80、160(80+80)、320(160+160)MHzの5個の基本PPDU BWオプション(20*2の冪乗の形態で表現可能なBWを基本BWと呼ぶことができる。)と、プリアンブルパンクチャリング(Preamble Puncturing)によって構成される様々な残りのPPDU BWをシグナルする。また、320MHzでシグナルされた後、一部の80MHzがパンクチャーされた形態でシグナルされてよい。また、パンクチャーされて変形されたチャネル形態は、BWフィールドで直接シグナルされてもよく、或いはBWフィールドとBWフィールド以後に現れるフィールド(例えば、EHT-SIGフィールド内のフィールド)を共に用いてシグナルされてもよい。仮に、BWフィールドを3ビットとする場合に、総8個のBWシグナリングが可能なので、パンクチャリングモードは最大で3個をシグナルできる。仮にBWフィールドを4ビットとする場合に総16個のBWシグナリングが可能なので、パンクチャリングモードは最大で11個をシグナルできる。
【0075】
BWフィールド以後に位置するフィールドは、PPDUの形態及びフォーマットによって異なり、MU PPDUとSU PPDUは同一のPPDUフォーマットでシグナルされてよく、EHT-SIGフィールドの前に、MU PPDUとSU PPDUを区別するためのフィールドが位置してよく、そのための追加のシグナリングが行われてよい。SU PPDUとMU PPDUは両方ともEHT-SIGフィールドを含んでいるが、SU PPDUで不要な一部のフィールドが圧縮(compression)されてよい。この時、圧縮が適用されたフィールドの情報は省略されるか、あるいはMU PPDUに含まれる本来フィールドのサイズよりも縮小したサイズを有してよい。例えば、SU PPDUの場合、EHT-SIGの共通フィールドが省略又は代替されるか、ユーザ特定フィールドが代替されるか、或いは1個に縮小するなど、異なる構成を有してよい。
【0076】
又は、SU PPDUは、圧縮されたか否かを示す圧縮フィールドをさらに含むことができ、圧縮フィールドの値によって一部のフィールド(例えば、RAフィールドなど)が省略されてよい。
【0077】
SU PPDUのEHT-SIGフィールドの一部が圧縮された場合に、圧縮されたフィールドに含まれる情報は、圧縮されていないフィールド(例えば、共通フィールドなど)で一緒にシグナルされてよい。MU PPDUの場合、複数ユーザの同時受信のためのPPDUフォーマットであるので、U-SIGフィールド以後にEHT-SIGフィールドが必須に送信される必要があり、シグナルされる情報の量が可変的であってよい。すなわち、複数個のMU PPDUが複数個のSTAに送信されるので、それぞれのSTAは、MU PPDUが送信されるRUの位置、それぞれのRUが割り当てられたSTA、及び送信されたMU PPDUが自分に送信されたか否かを認識しなければならない。したがって、APは、EHT-SIGフィールドに上のような情報を含めて送信しなければならない。そのために、U-SIGフィールドではEHT-SIGフィールドを効率的に送信するための情報をシグナルし、これは、EHT-SIGフィールドのシンボル数及び/又は変調方法であるMCSであってよい。EHT-SIGフィールドは、各ユーザに割り当てられたRUのサイズ及び位置情報を含むことができる。
【0078】
SU PPDUである場合、STAに複数個のRUが割り当てられてよく、複数個のRUは連続又は不連続してよい。STAに割り当てられたRUが連続しない場合、STAは、中間にパンクチャーされたRUを認識してこそ、SU PPDUを効率的に受信することができる。したがって、APは、SU PPDUに、STAに割り当てられたRUのうちパンクチャーされたRUの情報(例えば、RUのパンクチャリングパターンなど)を含めて送信できる。すなわち、SU PPDUの場合、パンクチャリングモードが適用されたか否か及びパンクチャリングパターンをビットマップ形式などで示す情報を含むパンクチャリングモードフィールドがEHT-SIGフィールドに含まれてよく、パンクチャリングモードフィールドは、帯域幅内で現れる不連続するチャネルの形態をシグナルできる。
【0079】
シグナルされる不連続チャネルの形態は制限的であり、BWフィールドの値と組み合わせてSU PPDUのBW及び不連続チャネル情報を示す。例えば、SU PPDUの場合、単一端末にのみ送信されるPPDUであるので、STAは、PPDUに含まれたBWフィールドから、自分に割り当てられた帯域幅が認識でき、PPDUに含まれたU-SIGフィールド又はEHT-SIGフィールドのパンクチャリングモードフィールドから、割り当てられた帯域幅のうちパンクチャーされたリソースが認識できる。この場合、端末は、パンクチャーされたリソースユニットの特定チャネルを除く残りのリソースユニットでPPDUを受信できる。このとき、STAに割り当てられた複数個のRUは、互いに異なる周波数帯域又はトーンで構成されてよい。
【0080】
制限された形態の不連続チャネル形態のみがシグナルされる理由は、SU PPDUのシグナリングオーバーヘッドを減らすためである。パンクチャリングは、20MHzサブチャネル別に行われてよいので、80、160、320MHzのように20MHzサブチャネルを複数個有するBWに対してパンクチャリングを行うと、320MHzの場合、プライマリーチャネルを除く残りの20MHzサブチャネル15個の使用有無をそれぞれ表現して、不連続チャネル(端部20MHzのみがパンクチーされた形態も不連続と見なす場合)形態をシグナルしなければならない。このように単一ユーザ送信の不連続チャネル形態をシグナルするために15ビットを用いることは、シグナリング部分の低い送信速度を考慮したとき、過大なシグナリングオーバーヘッドとなり得る。
【0081】
本発明は、SU PPDUの不連続チャネル形態をシグナルする手法を提案し、提案した手法によって決定された不連続チャネル形態を図示する。また、SU PPDUの320MHz BW構成においてプライマリー160MHzとセカンダリー160MHzのパンクチャリング形態をそれぞれシグナルする手法を提案する。
【0082】
また、本発明の一実施例では、PPDUフォーマットフィールドに、シグナルされたPPDUフォーマットによって、プリアンブルパンクチャリングBW値が指示するPPDUの構成を異ならせる手法を提案する。BWフィールドが4ビットである場合を仮定し、EHT SU PPDU又はTB PPDUである場合には、U-SIG以後に1シンボルのEHT-SIG-Aをさらにシグナルするか、初めからEHT-SIG-Aをシグナルしなくてよいので、これを考慮して、U-SIGのBWフィールドのみを用いて最大で11個のパンクチャリングモードを完全にシグナルする必要がある。しかし、EHT MU PPDUである場合に、U-SIG以後にEHT-SIG-Bをさらにシグナルするので、最大で11個のパンクチャリングモードを、SU PPDUと異なる方法でシグナルできる。EHT ER PPDUの場合に、BWフィールドを1ビットに設定し、20MHz又は10MHzのいずれの帯域を使用するPPDUであるかをシグナルできる。前記PPDUタイプ別に細部的なパンクチャリングパターンは、図11及び図12で詳細に後述する。
【0083】
図7(f)には、U-SIGのPPDUフォーマットフィールドでEHT MU PPDUと指示された場合に、VDフィールドのフォーマット特異的(Format-specific)フィールドの構成を示す。MU PPDUの場合、複数ユーザの同時受信のためのシグナリングフィールドであるSIG-Bが必須であり、U-SIG後に別途のSIG-A無しでSIG-Bが送信されてよい。そのために、U-SIGではSIG-Bをデコードするための情報をシグナルしなければならない。このようなフィールドは、SIG-B MCS、SIG-B DCM、SIG-Bシンボルの数(Number of SIG-B Symbols)、SIG-B圧縮(SIG-B Compression)、EHT-LTFシンボルの数(Number of EHT-LTF Symbols)フィールドなどである。
【0084】
図8は、本発明の実施例に係る様々なEHT(Extremely High Throughput)PPDU(Physical Protocol Data Unit)フォーマット及びこれを指示するための方法の一例を示す。
【0085】
図8を参照すると、PPDUは、プリアンブルとデータ部分で構成されてよく、一つのタイプであるEHT PPDUのフォーマットは、プリアンブルに含まれているU-SIGフィールドによって区別されてよい。具体的に、U-SIGフィールドに含まれているPPDUフォーマットフィールドに基づき、PPDUのフォーマットがEHT PPDUであるか否かが指示されてよい。
【0086】
図8の(a)は、単一STAのためのEHT SU PPDUフォーマットの一例を示す。EHT SU PPDUは、APと単一STA間の単一ユーザ(Single User:SU)送信のために用いられるPPDUであり、U-SIGフィールド以後に追加のシグナリングのためのEHT-SIG-Aフィールドが位置してよい。
【0087】
図8の(b)は、トリガーフレームに基づいて送信されるEHT PPDUであるEHTトリガーベース(Trigger-based)PPDUフォーマットの一例を示す。EHTトリガーベースPPDUは、トリガーフレームに基づいて送信されるEHT PPDUであり、トリガーフレームに対する応答のために用いられる上りリンクPPDUである。EHT PPDUは、EHT SU PPDUとは違い、U-SIGフィールド以後にEHT-SIG-Aフィールドが位置しない。
【0088】
図8の(c)は、多重ユーザのためのEHT PPDUであるEHT MU PPDUフォーマットの一例を示す。EHT MU PPDUは、1つ以上のSTAにPPDUを送信するために用いられるPPDUである。EHT MU PPDUフォーマットは、U-SIGフィールド以後にHE-SIG-Bフィールドが位置してよい。
【0089】
図8の(d)は、拡張された範囲にあるSTAとの単一ユーザ送信のために用いられるEHT ER SU PPDUフォーマットの一例を示す。EHT ER SU PPDUは、図8の(a)で説明したEHT SU PPDUよりも広い範囲のSTAとの単一ユーザ送信のために用いられてよく、時間軸上でU-SIGフィールドが反復して位置してよい。
【0090】
図8の(c)で説明したEHT MU PPDUは、APが複数個のSTAに下りリンク送信のために用いることができる。このとき、EHT MU PPDUは、複数個のSTAがAPから送信されたPPDUを同時に受信できるようにスケジューリング情報を含むことができる。EHT MU PPDUは、EHT-SIG-Bのユーザ特定(user specific)フィールドを通じて送信されるPPDUの受信者及び/又は送信者のAID情報を、STAに伝達することができる。したがって、EHT MU PPDUを受信した複数個の端末は、受信したPPDUのプリアンブルに含まれたユーザ特定フィールドのAID情報に基づいて空間再使用(spatial reuse)動作を行うことができる。
【0091】
具体的に、HE MU PPDUに含まれたHE-SIG-Bフィールドのリソースユニット割り当て(resource unit allocation,RA)フィールドは、周波数軸の特定帯域幅(例えば、20MHzなど)におけるリソースユニットの構成(例えば、リソースユニットの分割形態)に関する情報を含むことができる。すなわち、RAフィールドは、STAがPPDUを受信するために、HE MU PPDUの送信のための帯域幅で分割されたリソースユニットの構成を指示できる。分割された各リソースユニットに割り当て(又は、指定)されたSTAの情報は、EHT-SIG-Bのユーザ特定フィールドに含まれてSTAに送信されてよい。すなわち、ユーザ特定フィールドは、分割された各リソースユニットに対応する1つ以上のユーザフィールドを含むことができる。
【0092】
例えば、分割された複数個のリソースユニットのうち、データ送信のために用いられる少なくとも1つのリソースユニットに対応するユーザフィールドは、受信者又は送信者のAIDを含むことができ、データ送信に用いられない残りのリソースユニットに対応するユーザフィールドは、既に設定されたヌル(Null)STA IDを含むことができる。
【0093】
説明の便宜のために、本明細書においてフレーム又はMACフレームは、MPDUと同じ意味で使われてよい。
【0094】
1つの無線通信装置が複数のリンクを用いて通信する場合に、無線通信装置の通信効率を高めることができる。このとき、リンクは物理的経路(path)であり、MSDU(MAC service data unit)を伝達するために使用可能な一つの無線媒介体として構成されてよい。例えば、いずれか一つのリンクの周波数帯域が他の無線通信装置によって使用中である場合に、無線通信装置は、他のリンクで継続して通信を行うことができる。このように、無線通信装置は複数のチャネルを有用に使用することができる。また、無線通信装置が複数のリンクを用いて同時に通信を行う場合に、全体スループット(throughput)を高めることができる。ただし、既存無線LANは、1つの無線通信装置が1つのリンクを用いることを前提に規定されている。このため、複数のリンクを用いるための無線LAN動作方法が必要である。図9図26を参照して、複数のリンクを用いる無線通信装置の無線通信方法について説明する。まず、図9を用いて、複数のリンクを用いる無線通信装置の具体的な形態について説明する。
【0095】
図9は、本発明の実施例に係るマルチリンク装置(multi-link device)を示す。
【0096】
前述した複数のリンクを用いる無線通信方法のためにマルチリンク装置(multi-link device,MLD)が定義されてよい。マルチリンク装置は、一つ以上の提携された(affiliated)ステーションを有する装置を表すことができる。具体的な実施例によって、マルチリンク装置は、2つ以上の提携されたステーションを有する装置を表すことができる。また、マルチリンク装置はマルチリンクエレメントを交換することができる。マルチリンクエレメントは、一つ以上のステーション又は一つ以上のリンクに関する情報を含む。マルチリンクエレメントは、後述されるmulti-link setupエレメントを含むことができる。このとき、マルチリンク装置は論理的なエンティティ(entity)であってよい。具体的には、マルチリンク装置は複数の提携されたステーションを有することができる。マルチリンク装置は、MLLE(multi-link logical entity)又はMLE(multi-link entity)と呼ぶことができる。マルチリンク装置は、ロジカルリンク制御(logical link control,LLC)まで一つのMACサービスアクセスポイント(medium access control service access point,SAP)を有することができる。また、MLDは一つのMACデータサービス(MAC data service)を有することができる。
【0097】
マルチリンク装置に含まれた複数のステーションは、複数のリンクで動作できる。また、マルチリンク装置に含まれた複数のステーションは、複数のチャネルで動作できる。具体的には、マルチリンク装置に含まれた複数のステーションは、異なる複数のリンク又は異なる複数のチャネルで動作できる。例えば、マルチリンク装置に含まれた複数のステーションは、2.4GHz、5GHz、及び6GHzの異なる複数のチャネルで動作できる。
【0098】
マルチリンク装置の動作は、マルチリンクオペレーション、MLD動作、又はマルチ-バンド動作と呼ぶことができる。また、マルチリンク装置に提携されたステーションがAPである場合に、マルチリンク装置は、AP MLDと呼ぶことができる。また、マルチリンク装置に提携されたステーションがノン-APステーションである場合に、マルチリンク装置は、non-AP MLDと呼ぶことができる。
【0099】
図9は、non-AP MLDとAP-MLDとが通信する動作を示す。具体的には、non-AP MLDとAP-MLDはそれぞれ3個のリンクを用いて通信する。AP MLDは、第1AP(AP1)、第2AP(AP2)及び第3AP(AP3)を含む。non-AP MLDは、第1non-AP STA(non-AP STA1)、第2non-AP STA(non-AP STA2)及び第3non-AP STA(non-AP STA3)を含む。第1AP(AP1)と第1non-AP STA(non-AP STA1)は第1リンク(Link1)を通じて通信する。また、第2AP(AP2)と第2non-AP STA(non-AP STA2)は第2リンク(Link2)を通じて通信する。また、第3AP(AP3)と第3non-AP STA(non-AP STA3)は第3リンク(Link3)を通じて通信する。
【0100】
マルチリンク動作はマルチリンク設定(setup)動作を含むことができる。マルチリンク設定は、前述したシングルリンク動作の結合(association)動作に対応するものであり、マルチリンクでのフレーム交換のために先行される必要がある。マルチリンク装置は、マルチリンク設定のために必要な情報をmulti-link setupエレメントから取得することができる。具体的には、multi-link setupエレメントは、マルチリンクと関連した能力情報を含むことができる。このとき、能力情報は、マルチリンク装置に含まれた複数の装置のいずれか一つが送信を行い、同時に他の装置が受信を行うことができるかを示す情報を含むことができる。また、能力情報は、MLDに含まれた各ステーションが利用できるリンクに関する情報を含むことができる。また、能力情報は、MLDに含まれた各ステーションが利用できるチャネルに関する情報を含むことができる。
【0101】
マルチリンク設定はピアステーション間の交渉によって設定されてよい。具体的には、APとの通信無しでステーション間の通信によってマルチリンク設定が行われてよい。また、マルチリンク設定は、いずれか一つのリンクを通じて設定されてよい。例えば、マルチリンクを通じて第1リンク~第3リンクが設定される場合であっても、第1リンクを通じてマルチリンク設定が行われてよい。
【0102】
また、TID(traffic identifier)とリンクとのマッピングが設定されてよい。具体的には、特定値のTIDに該当するフレームは、あらかじめ指定されたリンクのみを通じて交換されてよい。TIDとリンクとのマッピングは、方向ベース(directional-based)で設定されてよい。例えば、第1マルチリンク装置と第2マルチリンク装置との間に複数のリンクが設定された場合に、第1マルチリンク装置は、複数の第1リンクに第1TIDのフレームを送信するように設定され、第2マルチリンク装置は、第1リンクに第2TIDのフレームを送信するように設定されてよい。また、TIDとリンクとのマッピングに基本設定が存在してよい。具体的には、マルチリンク設定において追加設定がない場合に、マルチリンク装置は、基本(default)設定にしたがって各リンクでTIDに該当するフレームを交換することができる。このとき、基本設定は、いずれか一つのリンクで全TIDが交換されるものであってよい。
【0103】
TIDについて具体的に説明する。TIDは、QoS(quality of service)を支援するためにトラフィック、データを分類するIDである。また、TIDは、MACレイヤよりも上位レイヤにおいて用いられたリ割り当てられてよい。また、TIDは、トラフィックカテゴリー(traffic category,TC)、トラフィックストリーム(traffic stream,TS)を示すことができる。また、TIDは16個に区別されてよい。例えば、TIDは、0から15のいずれか一つと指定されてよい。アクセス政策(access policy)、チャネルアクセス又は媒体(medium)アクセス方法によって、使用されるTID値が異なるように指定されてよい。例えば、EDCA(enhanced distributed channel access)又はHCAF(hybrid coordination function contention based channel access)が用いられる場合に、TIDの値は0から7の範囲で割り当てられてよい。EDCAが用いられる場合に、TIDはユーザ優先順位(user priority,UP)を示すことができる。このとき、UPはTC又はTSによって指定されてよい。UPは、MACよりも上位レイヤで割り当てられてよい。また、HCCA(HCF controlled channel access)又はSPCAが用いられる場合に、TIDの値は8から15の範囲で割り当てられてよい。HCCA又はSPCAが用いられる場合に、TIDはTSIDを示すことができる。また、HEMM又はSEMMが用いられる場合に、TIDの値は8から15の範囲で割り当てられてよい。HEMM又はSEMMが用いられる場合に、TIDはTSIDを示すことができる。
【0104】
UPとAC(access category)はマップされてよい。ACは、EDCAにおいてQoSを提供するためのラベルであってよい。ACは、EDCAパラメータセットを示すためのラベルであってよい。EDCAパラメータ又はEDCAパラメータセットは、EDCAのチャネル競合(contention)で用いられるパラメータである。QoSステーションはACを用いてQoSを保障することができる。また、ACは、AC_BK、AC_BE、AC_VI及びAC_VOを含むことができる。AC_BK、AC_BE、AC_VI及びAC_VOのそれぞれは、バックグラウンド(background)、ベストエフォート(best effort)、ビデオ(video)、ボイス(voice)を示すことができる。また、AC_BK、AC_BE、AC_VI及びAC_VOは、下位ACに分類されてよい。例えば、AC_VIは、AC_VI primaryとAC_VI alternateとに細分化できる。また、AC_VOは、AC_VO primaryとAC_VO alternateとに細分化できる。また、UP又はTIDはACにマップされてよい。例えば、UP又はTIDにおける1、2、0、3、4、5、6、7のそれぞれは、AC_BK、AC_BK、AC_BE、AC_BE、AC_VI、AC_VI、AC_VO、AC_VOのそれぞれにマップされてよい。また、UP又はTIDの1、2、0、3、4、5、6及び7のそれぞれは、AC_BK、AC_BK、AC_BE、AC_BE、AC_VI alternate、AC_VI primary、AC_VO primary、AC_VO alternateのそれぞれにマップされてよい。また、UP又はTIDの1、2、0、3、4、5、6、及び7はその順に優先順位が高いものであってよい。すなわち、1の方が低い優先順であり、7の方が高い優先順位であってよい。したがって、AC_BK、AC_BE、AC_VI、AC_VOの順に優先順位が高くなってよい。また、AC_BK、AC_BE、AC_VI、AC_VOのそれぞれは、ACI(AC index)0、1、2、3のそれぞれに該当し得る。このようなTIDの特性上、TIDとリンクとのマッピングは、ACとリンクとのマッピングを表すことができる。また、リンクとACとのマッピングは、TIDとリンクとのマッピングを表すことができる。
【0105】
前述したように、複数のリンクのそれぞれにTIDがマップされてよい。マッピングは、特定TID又はACに該当するトラフィックが交換され得るリンクが指定されることであってよい。また、リンク内で送信方向別に送信され得るTID又はACが指定されてよい。前述したように、TIDとリンクとのマッピングに基本設定が存在してよい。具体的には、マルチリンク設定において追加設定がない場合に、マルチリンク装置は基本(default)設定にしたがって、各リンクでTIDに該当するフレームを交換することができる。このとき、基本設定は、いずれか一つのリンクで全てのTIDが交換されるものであってよい。常に、ある時点に、いかなるTID又はACも少なくともいずれか一つのリンクとマップされてよい。マネジメントフレームとコントロールフレームは全てのリンクで送信されてよい。
【0106】
リンクがTID又はACにマップされた場合に、当該リンクで当該リンクにマップされたTID又はACに該当するデータフレームのみが送信されてよい。したがって、リンクがTID又はACにマップされた場合に、当該リンクで当該リンクにマップされていないTID又はACに当該しないフレームは送信されなくてよい。リンクがTID又はACにマップされた場合に、ACKもTID又はACがマップされたリンクに基づいて送信されてよい。例えば、ブロックACK合意(agreement)が、TIDとリンクとのマッピングに基づいて決定されてよい。さらに他の具体的な実施例において、TIDとリンクとのマッピングがブロックACK合意に基づいて決定されてよい。具体的には、特定リンクにマップされたTIDに対してブロックACK合意が設定されてよい。
【0107】
前述したTIDとリンクとのマッピングにより、QoSが保障されてよい。具体的には、相対的に少ない数のステーションが動作するか、或いはチャネル状態の良いリンクに優先順位の高いAC又はTIDがマップされてよい。また、前述したTIDとリンクとのマッピングにより、ステーションがより長い時間に節電状態を保つようにすることができる。
【0108】
図10は、本発明の実施例によって、マルチリンク動作において互いに異なるリンクの送信が同時に行われることを示す。
【0109】
マルチリンク装置の具現によって、マルチリンクで同時動作が支援されないことがある。例えば、マルチリンク装置が複数のリンクで同時に送信を行う、複数のリンクで同時に受信を行う、或いはいずれか一つのリンクで送信を行うと同時に他のリンクで受信を行うことが支援されことがある。いずれか一つのリンクで行われる受信又は送信が他のリンクで行われる受信又は送信に影響を及ぼすことがあるわけである。具体的に、一つのリンクでの送信が他のリンクの干渉として作用することがある。一つのマルチリンク装置の一つのリンクで他のリンクに作用する干渉を内部洩れ(internal leakage)と呼ぶことができる。リンク間の周波数間隔が小さいほど内部洩れが大きくなることがある。内部洩れが大きすぎないと、いずれか一つのリンクで送信を行う時に他のリンクで送信が行うことができる。内部洩れが大きいと、いずれか一つのリンクで送信を行う時に他のリンクで送信を行うことができない。このように、マルチリンク装置が複数のリンクで同時に動作を行うことをSTR(simultaneous transmit and receive,simultaneous transmission and reception)と呼ぶことができる。例えば、マルチリンク装置が複数のリンクで同時に送信する、いずれか一つのリンクで送信を行うと同時に他のリンクで受信を行う、或いは複数のリンクで同時に受信を行うことを、STRと呼ぶことができる。
【0110】
先に言及したように、マルチリンク装置はSTRを支援することもでき、制限的に支援することもできる。具体的に、マルチリンク装置は特定条件下でのみSTRを支援することができる。例えば、マルチリンク装置が単一ラジオ(single radio)で動作する場合に、マルチリンク装置はSTRを行えないことがある。また、マルチリンク装置が単一アンテナで動作する場合に、マルチリンク装置がSTRを行えないことがある。また、内部洩れがあらかじめ指定された大きさ以上と感知される場合に、マルチリンク装置はSTRを行えないことがある。
【0111】
ステーションは、ステーションのSTR能力に関する情報を他のステーションと交換できる。具体的に、ステーションは、ステーションが複数のリンクで同時に送信を行うか複数のリンクで同時に受信を行うかの能力の制限の有無に関する情報を、他のステーションと交換できる。具体的に、複数のリンクで送信又は受信を行う能力の制限の有無に関する情報は、複数のリンクで同時に送信するか、同時に受信するか、或いは送信と受信が同時に行われるかを示すことができる。また、複数のリンクで送信を行うか受信を行うかの能力の制限の有無に関する情報は、段階別に指示される情報であってよい。具体的に、複数のリンクで送信を行うか受信を行うかの能力の制限の有無に関する情報は、内部洩れの大きさを示す段階を指示する情報であってよい。具体的な実施例において、内部洩れの大きさを示す段階を指示する情報は、内部洩れによって発生する干渉の大きさを示す段階を指示する情報であってよい。さらに他の具体的な実施例において、内部洩れに影響を及ぼし得るリンク間の周波数間隔を示す段階を指示する情報であってよい。また、内部洩れの大きさを示す段階を指示する情報は、リンク間の周波数間隔と内部洩れの大きさとの関係を段階別に指示する情報であってよい。
【0112】
図10で、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は一つのnon-APマルチリンク装置に提携(affiliate)される。また、第1AP(AP1)と第2AP(AP2)は一つのnon-APマルチリンク装置に提携されてよい。第1AP(AP1)と第1ステーション(STA1)との間には第1リンク(link1)が設定され、第2AP(AP2)と第2ステーション(STA2)との間には第2リンク(link2)が設定される。図10で、non-APマルチリンク装置は制限的にSTRを行うことができる。第2ステーション(STA2)が第2リンク(Link2)で送信を行う場合に、第1リンク(Link1)で第1ステーション(STA1)の受信は、第2リンク(Link2)で行われる送信によって妨害されることがある。例えば、次のような場合、第1リンク(Link1)で第1ステーション(STA1)の受信は、第2リンク(Link2)で行われる送信によって妨害されることがある。第2リンク(Link2)で第2ステーション(STA2)が第1データ(Data1)を送信し、第1AP(AP1)が第1データ(Data1)に対する応答(Ack for Data1)を第1ステーション(STA1)に送信する。第2リンク(Link2)で第2ステーション(STA2)が第2データ(Data2)を送信する。この時、第2データ(Data2)の送信時期と第1データ(Data1)に対する応答(Ack for Data1)の送信時期が重なることがある。この時、第2リンク(Link2)で第2ステーション(STA2)への送信によって第1リンク(Link1)に干渉が発生し得る。このため、第1ステーション(STA1)が第1データ(Data1)に対する応答(Ack for Data1)を受信できないことがある。
【0113】
マルチリンク装置がチャネルアクセスを行う動作について説明する。具体的な説明がないマルチリンクの動作は、図6で説明したチャネルアクセス手順に従うことができる。
【0114】
マルチリンク装置は、複数のリンクから独立にチャネルアクセスを行うことができる。このとき、チャネルアクセスはバックオフベースチャネルアクセスであってよい。マルチリンク装置が複数のリンクから独立にチャネルアクセスを行い、複数のリンクでバックオフカウンターが0に到達する場合に、マルチリンク装置は複数のリンクで同時に送信を始めることができる。具体的な実施例において、マルチリンクのリンクのバックオフカウンターのいずれか一つが0に到達し、あらかじめ指定された条件を満たす場合に、マルチリンク装置は、バックオフカウンターが0に到達したリンクの他に、バックオフカウンターが0に到達していない他のリンクでもチャネルアクセスを行うことができる。具体的に、マルチリンクのリンクのバックオフカウンターのいずれか一つが0に到達した場合に、マルチリンク装置は、バックオフカウンターが0に到達していない他のリンクでエネルギー感知を行うことができる。この時、あらかじめ指定された大きさ以上のエネルギーが感知されない場合に、マルチリンク装置は、バックオフカウンターが0に到達したリンクの他に、エネルギー感知を行ったリンクでもチャネルアクセスを行うことができる。これにより、マルチリンク装置は複数のリンクで同時に送信を始めることができる。エネルギー感知に用いられる閾値の大きさは、バックオフカウンターを減少させるかを判断する時に用いられる閾値の大きさよりも小さくてよい。また、バックオフカウンターを減らすかを判断する時に、マルチリンク装置は、無線LAN信号だけでなく、いかなる形態の信号も感知できる。また、前述したエネルギー感知において、マルチリンク装置は、無線LAN信号だけでなく、いかなる形態の信号も感知できる。内部洩れは無線LAN信号として感知されないことがある。このような場合、マルチリンク装置は、内部洩れによって感知される信号をエネルギー感知によって感知することができる。また、前述したように、エネルギー感知に用いられる閾値の大きさが、バックオフカウンターを減らすか否かを判断する時に用いられる閾値の大きさよりも小さくてよい。したがって、いずれか一つのリンクで送信が行われている中であっても、マルチリンク装置は他のリンクでバックオフカウンターを減らすことができる。
【0115】
マルチリンク装置が用いるリンク間の干渉の程度によって、マルチリンク装置は、各リンクで動作するステーションが独立して動作できるかが決定されてよい。このとき、リンク間の干渉程度は、マルチリンク装置のいずれか一つのステーションがいずれか一つのリンクで送信を行う時にマルチリンク装置の他のステーションが感知する干渉の大きさであってよい。マルチリンク装置の第1ステーションの第1リンクでの送信が、第2リンクで動作するマルチリンク装置の第2ステーションにあらかじめ指定された大きさ以上の干渉を発生させる場合に、第2ステーションの動作が制限されてよい。具体的に、第2ステーションの受信又はチャネルアクセスが制限されてよい。干渉が発生する場合に、第2ステーションは干渉によって受信する信号のデコーディングに失敗することがあるわけである。また、干渉が発生する場合に、第2ステーションがバックオフを用いたチャネルアクセス時に、第2ステーションはチャネルが使用中であると判断することがあるわけである。
【0116】
また、マルチリンク装置の第1ステーションの第1リンクでの送信が、第2リンクで動作するマルチリンク装置の第2ステーションにあらかじめ指定された大きさ未満の干渉を発生させる場合に、第1ステーションと第2ステーションは独立して動作できる。具体的に、マルチリンク装置の第1ステーションの第1リンクでの送信が、第2リンクで動作するマルチリンク装置の第2ステーションにあらかじめ指定された大きさ未満の干渉を発生させる場合に、第1ステーションと第2ステーションは独立してチャネルアクセスを行うことができる。また、マルチリンク装置の第1ステーションの第1リンクでの送信が、第2リンクで動作するマルチリンク装置の第2ステーションにあらかじめ指定された大きさ未満の干渉を発生させる場合に、第1ステーションと第2ステーションは独立して送信又は受信を行うことができる。あらかじめ指定された大きさ未満の干渉が発生する場合に、第2ステーションは、干渉が存在する場合にも、受信する信号のデコーディングに成功できるわけである。また、あらかじめ指定された大きさ未満の干渉が発生する場合に、第2ステーションがバックオフを用いたチャネルアクセス時に、第2ステーションはチャネルが遊休であると判断できるわけである。
【0117】
マルチリンク装置のステーション間に発生する干渉程度は、ステーションが動作するリンクの周波数帯域間の間隔だけでなく、マルチリンク装置のハードウェア特性によって変わることがある。例えば、高RF(radio frequency)装置を含むマルチリンク装置で発生する内部干渉は、低RF装置を含むマルチリンク装置で発生する内部干渉もより小さくてよい。したがって、マルチリンク装置のステーション間に発生する干渉程度は、マルチリンク装置の特性に基づいて判断されてよい。
【0118】
図10には、リンクの周波数帯域間の間隔とマルチリンク装置の特性によって発生する干渉の大きさが変わることを示す。図10の実施例において、第1マルチリンク装置(MLD#1)は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)-1と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA1)-2を含む。第2マルチリンク装置(MLD#2)は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA2)-1と、第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)-2を含む。第1マルチリンク装置(MLD#1)が動作する第1リンク(Link1)と第2リンク(Link2)間の周波数間隔と、第2マルチリンク装置(MLD#2)が動作する第1リンク(Link1)と第2リンク(Link2)間の周波数間隔は同一である。ただし、第1マルチリンク装置(MLD#1)の特性と第2マルチリンク装置(MLD#2)の特性との差によって発生する干渉の大きさが異なる。具体的に、第1マルチリンク装置(MLD#1)で発生する干渉の大きさよりも第2マルチリンク装置(MLD#2)で発生する干渉の大きさが大きくてよい。このように、マルチリンク装置の特性によって発生する干渉の大きさが異なることがあり、マルチリンク装置別にSTR支援の有無が異なることがあることを考慮するとき、STRの支援されるか否かに関する情報が交換される必要がある。
【0119】
マルチリンク装置は、マルチリンク装置が含むステーションのSTR支援の有無をシグナルすることができる。具体的に、APマルチリンク装置とnon-APマルチリンク装置は、APマルチリンク装置が含むAPのSTR支援の有無とnon-APマルチリンク装置が含むSTAのSTR支援の有無を交換することができる。このような実施例において、STR支援の有無を示すエレメントが用いられてよい。STR支援の有無を示すエレメントは、STR支援(support)エレメントと呼ぶことがてきる。STR支援エレメントは、1ビットにより、STR支援エレメントを送信したマルチリンク装置のステーションのSTR支援の有無を示すことができる。具体的に、STR支援エレメントは、STR支援エレメントを送信するマルチリンク装置が含むステーションのそれぞれのSTR支援の有無を1ビット別に示すことができる。このとき、ステーションがSTRを支援する場合に、ビットの値は1であり、ステーションがSTRを支援しない場合に、ビットの値は0であってよい。STR支援エレメントを送信したマルチリンク装置が第1ステーション(STA1)、第2ステーション(STA2)及び第3ステーション(STA3)を含み、第1ステーション(STA1)と第3ステーション(STA3)はSTRを支援し、第2ステーション(STA2)はSTRを支援しない場合に、STR支援エレメントは、1011bを有するフィールドを含むことができる。互いに異なる周波数帯域で動作するステーションはSTRを支援すると仮定され、STR支援エレメントは、互いに異なる周波数帯域で動作するステーション間のSTR支援の有無に対するシグナリングを省略してよい。例えば、第1ステーション(STA1)が2.4GHzの第1リンクで動作し、第2ステーション(STA2)と第3ステーション(STA3)のそれぞれが5GHzの第2リンクと第3リンクで動作する。この時、STR支援エレメントは、第2ステーション(STA2)と第3ステーション(STA3)間にSTRが支援されることを1ビットで示すことができる。また、STR支援エレメントは、STR支援エレメントがシグナルするステーションが2個である場合に1ビットのみを含むことができる。
【0120】
具体的な実施例において、マルチリンク装置のリンクのうち2.4GHzに位置しているリンクと、5GHz又は6GHzに位置しているリンクとの関係は、常にSTRと判断されてよい。したがって、2.4GHzに位置しているリンクと5GHz又は6GHzに位置しているリンクのSTRの有無に対してはシグナリングが省略されてよい。
【0121】
前述した実施例においてマルチリンク装置のステーションの動作として説明したものは、マルチリンク装置の動作に置換されてよい。また、前述した実施例においてAPの動作はnon-APステーションの動作に置換され、non-APステーションの動作はAPの動作に置換されてよい。したがって、non-STRマルチリンク装置のAPの動作は、non-STRマルチリンク装置のnon-APステーションの動作に置換され、STRマルチリンク装置のnon-APステーションの動作は、STRマルチリンク装置のAPの動作に置換されてよい。また、non-STRマルチリンク装置のnon-APステーションの動作は、non-STRマルチリンク装置のAPの動作に置換され、STRマルチリンク装置のAPの動作は、STRマルチリンク装置のnon-APステーションの動作に置換されてよい。
【0122】
図11には、本発明の一実施例によってリンクが変更された場合に、マルチリンク装置の動作を示す。
【0123】
リンクの周波数帯域が変更される場合に、STR支援エレメントが交換されてよい。前述したように、ステーションのSTR支援の有無は、リンクの周波数帯域間の距離によって変わることがあり、リンクの周波数帯域が変更される場合に、ステーションのSTR支援の有無が変更されることがあるためである。リンクの周波数帯域が変更される場合は、リンクの中心周波数の変更、周波数帯域の帯域幅の変更及び20MHz主チャネルのうち少なくともいずれか一つを含むことができる。APとステーションは要請と応答によってSTR支援エレメントを交換することができる。さらに他の具体的な実施例において、リンクの周波数帯域が変更される場合に、STR支援エレメントが別途の要請無しにも交換されてよい。また、前述した実施例において、リンクの周波数帯域が変更される場合は、ステーションの動作チャネル(operating channel)が変更されることを含むことができる。
【0124】
non-APマルチリンク装置のステーションがSTRを行うことができない場合に、non-APマルチリンク装置のステーションはAPにリンクの変更を要請することができる。具体的に、non-APマルチリンク装置のステーションは、中心周波数の変更、周波数帯域の帯域幅の変更及び20MHz主チャネルのうち少なくともいずれか一つの変更を要請することができる。リンク変更要請は、変更を要請するリンクを通じてAPに送信されてよい。さらに他の具体的な実施例において、リンク変更要請は、変更を要請しないリンクを通じてAPに送信されてよい。このとき、リンク変更要請は、変更を要請するリンクを指示する情報を含むことができる。リンクを指示する情報は、リンクを識別する番号であってよい。このような実施例において、リンクの変更は、一つの周波数帯域内で動作(operating)チャネルが変更されることであってよい。また、リンクの変更は、リンクを変更する方法に関する情報を含むことができる。具体的に、リンク変更要請は、リンクの中心周波数を現在中心周波数よりも高い周波数に移動させるか、リンクの中心周波数を現在中心周波数よりも低い周波数に移動させるかを示すことができる。さらに他の具体的な実施例において、リンク変更要請は、隣接したリンクと遠ざかる周波数帯域への変更を暗示的に示すことができる。また、リンク変更要請は、リンクの帯域幅を減らすことを示すことができる。また、リンク変更要請は、主チャネルの位置の変更を要請できる。具体的に、リンク変更要請は、主チャネルの位置を、現在の主チャネルの位置よりも低い周波数帯域のチャネル又は高い周波数帯域のチャネルに変更することを示すことができる。リンク変更要請を受信したAPは、リンク変更要請に応じてリンクを変更することができる。また、具体的な実施例において、リンク変更要請を受信したAPは、リンク変更要請を無視できる。
【0125】
図11の実施例において、non-APマルチリンク装置の第2ステーション(STA2)と第3ステーション(STA3)はSTRを支援できない状態である。Non-APマルチリンク装置はAPマルチリンク装置に第3リンク(Link3)の変更を要請する。リンク変更要請を受信したAPマルチリンク装置は、第3AP(AP3)の動作リンクを変更する。この時、変更する第3リンク(link3)で動作する第3ステーション(STA3)が、第3AP(AP3)に変更要請を送信できる。さらに他の具体的な実施例において、第3リンク(link3)で動作しないステーションが、第3リンク(link3)で動作しないAPに変更要請を送信できる。
【0126】
APがリンクを変更する場合に、APはビーコンフレームを用いてリンク変更に関する情報をブロードキャストすることができる。このとき、リンク変更に関する情報はリンクの周波数に関する情報を含むことができる。リンクの周波数に関する情報は、リンクの中心周波数、動作帯域幅及び主チャネルの変更のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。また、リンク変更に関する情報は、リンク変更時点に関する情報を含むことができる。また、リンク変更は、リンク変更に関する情報を含むビーコン送信時に完了されてよい。
【0127】
図11で、第3ステーション(STA3)が動作するリンクが変更され、第3ステーション(STA3)と第2ステーション(STA2)はSTRを支援できる。前述したように、non-APマルチリンク装置は、APマルチリンク装置にSTR支援エレメントを送信し、変更されたSTR支援の有無をシグナルすることができる。
【0128】
前述したリンク変更が許容されないか或いはリンク変更によってもSTRが支援されないことがある。また、図11の実施例のように、APマルチリンク装置はSTRを支援するが、non-APマルチリンク装置がSTRを支援しないことがある。これは、APマルチリンク装置に相対的に高RF装置が用いられ、non-APマルチリンク装置に相対的に低RF装置が用いられることが一般的であるためである。したがって、マルチリンク装置間の通信時に、いずれか一つのマルチリンク装置がSTRを支援しない時にも効率的な通信ができる方法が必要である。この時、STRは、送信と受信が同時に行われることを表すことができる。これについて図12で説明する。
【0129】
図12には、本発明の一実施例によってnon-STRマルチリンク装置のいずれか一つのステーションが受信中である時に、non-STRマルチリンク装置の他のステーションのチャネルアクセスが禁止されることを示す。
【0130】
non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのリンクで送信が行われ、non-STRマルチリンク装置の他のリンクで受信が行われる場合に、non-STRマルチリンク装置の受信と送信に失敗することがある。これを解決するために、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのリンクで受信が行われる時に、non-STRマルチリンク装置の他のリンクでチャネルアクセスが禁止されてよい。具体的に、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのリンクで受信が行われる時に、non-STRマルチリンク装置の他のリンクでチャネルアクセスのバックオフが禁止されてよい。これにより、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのリンクで受信が行われる時にnon-STRマルチリンク装置の他のリンクで送信が始まることを防止できる。具体的な実施例において、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのリンクで受信が始まる時に、non-STRマルチリンク装置の他のリンクでチャネルアクセスのバックオフが禁止されてよい。これは、チャネル接近禁止フラグのようなメモリの特定ビットによって設定されてよい。これは、マルチリンク装置内部のメモリによってチャネルアクセス禁止の有無が共有されてよい。このような実施例により、別途のフレーム交換無しでチャネルアクセス禁止を具現することができる。説明の便宜のために、本明細書で用いられるチャネルアクセス禁止は、特に説明がない限り、non-STRマルチリンク装置の送信又は受信を保護するためにチャネルアクセス又は送信を禁止することを表す。
【0131】
チャネルアクセスが禁止される場合に、チャネルアクセスが禁止されるリンクで動作するステーションは、NAV及びCCA結果に関係なくバックオフ手順を行うことができない。また、チャネルアクセスが禁止される場合に、チャネルアクセスが禁止されるリンクで動作するステーションは、NAV及びCCA結果に関係なく送信を行うことができない。ただし、チャネルアクセスが禁止されても、チャネルアクセスが禁止されるリンクで動作するステーションは受信を行うことができる。また、第1リンクで行われる受信による第2リンクでのチャネルアクセス禁止は、第1リンクでの受信が完了した時に基づいて解除されてよい。具体的に、第1リンクで行われる受信による第2リンクでのチャネルアクセス禁止は、第1リンクでの受信が完了した時に解除されてよい。さらに他の具体的な実施例において、第1リンクで行われる受信による第2リンクでのチャネルアクセス禁止は、第1リンクで受信が完了した後にACKが送信される時点に基づいて解除されてよい。具体的に、第1リンクで行われる受信による第2リンクでのチャネルアクセス禁止は、第1リンクで受信が完了した後にACKが送信される時点に解除されてよい。さらに他の具体的な実施例において、具体的な実施例において、第1リンクで行われる受信による第2リンクでのチャネルアクセス禁止は、第1リンクで受信が完了した後にACKが送信が完了した時点に解除されてよい。また、チャネルアクセス禁止が解除された直後に、ステーションは追加センシング無しでバックオフカウンターを直ちに減らすことができる。このとき、追加センシングは、DIFS(DCF Interframe Space)間に行われるセンシングを表すことができる。さらに他の具体的な実施例において、チャネルアクセス禁止が解除される直前に、あらかじめ指定された時間でチャネルが遊休である場合に、ステーションは、追加センシング無しでバックオフカウンターを直ちに減らすことができる。このとき、あらかじめ指定された時間は、PIFS(PCF Interframe Sapce)、DIFS、SIFS(Short Interframe Sapce)及びAIFS(Arbitration Interframe Space)のいずれか一つであってよい。
【0132】
図12の実施例において、non-STRマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第1ステーション(STA1)が受信を行う間に第2リンク(Link2)で第2ステーション(STA2)が送信を行う場合に、装置内干渉が発生する。前述したように、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)が受信を行う間に、第2リンク(Link2)で行われる第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される。第1リンク(Link1)での第1ステーション(STA1)の受信が完了した後に、チャネルアクセス禁止が解除される。チャネルアクセス禁止が解除された直後に、第2ステーション(STA2)は追加センシング無しで以前バックオフカウンター値を3から2へと、1減らすことができる。
【0133】
表現上の便宜のために、図12では、Rx及びTxを単一ブロック(Tx実線、Rx点線)を用いて表現しており、該単一ブロックは別途のAckブロックが示されていなくとも、Tx/Ack受信、Rx/Ack送信が含まれた動作を表現したものと理解されてよい。これは、以後に説明する図面にも同一に適用されてよい。
【0134】
ステーションが受信するPPDUの意図した受信者がステーションでないことを確認した場合に、ステーションはPPDUの受信を中断してよい。このような場合、マルチリンク装置のチャネルアクセス禁止解除動作が問題になる。本明細書において、意図した受信者は、目的ステーションと同じ意味で使われる。
【0135】
図13には、本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置のステーションが受信するPPDUの意図した受信者がステーションでないことを確認した場合に、チャネルアクセス禁止を解除する動作を示す。
【0136】
ステーションが受信するPPDUの意図した受信者がステーションでないことを確認した場合に、ステーションはチャネルアクセス禁止を解除できる。ステーションは、PPDUのシグナリングフィールドの受信者アドレスを指示する情報に基づいて、ステーションがPPDUの意図した受信者であるか否か判断できる。このとき、PPDUのシグナリングフィールドの受信者アドレスを指示する情報は、前述したEHT-SIGフィールドのSTA-IDフィールドの値であってよい。具体的に、ステーションは、EHT-SIGフィールドのSTA-IDフィールドがステーションを指示するか否か判断できる。また、ステーションは、PPDUが含むMACフレームのRAフィールドの値に基づいて、ステーションがPPDUの意図した受信者であるか否か判断できる。具体的に、ステーションは、PPDUが含むMACフレームのRAフィールドがステーションを指示するか否か判断できる。図13で、non-STRマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第1ステーション(STA1)がPPDUを受信する。第1ステーション(STA1)は、受信されるPPDUの意図した受信者が第1ステーション(STA1)でないことに判断し、PPDUの受信を中断する。この時、第1ステーション(STA1)は第2ステーション(STA2)のチャネルアクセス禁止を解除することができる。第2ステーション(STA2)のチャネルアクセス禁止が解除されても、第2ステーション(STA2)に設定されたNAVによって第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが遅延されることがある。
【0137】
図13のように、チャネルアクセス禁止が解除されても、マルチリンク装置に含まれないステーション又はSTRマルチリンク装置に含まれたステーションに比べて、non-STRマルチリンク装置に含まれたステーションがチャネルアクセス機会を有し得ない場合が多い。したがって、他のステーションと公正な競合のために、non-STRマルチリンク装置に含まれたステーションのチャネルアクセス機会を補償するための方法が必要である。例えば、チャネルアクセス禁止解除の直後に、チャネルアクセス禁止が解除されたステーションがバックオフカウンターを減らす時に2以上減らすことが許容されてよい。これについては図14で説明する。
【0138】
図14には、本発明の実施例に係るステーションがチャネルアクセス禁止が解除された後にチャネルアクセスを行うことを示す。
【0139】
チャネルアクセス禁止が解除されたステーションは、チャネルアクセス禁止解除直後にバックオフカウンターを2以上減らすことができる。ステーションのチャネルアクセスが禁止される間に他のステーションはバックオフ手順を行ったため、他のステーションとチャネルアクセス機会の公平性を合わせるためである。
【0140】
さらに他の具体的な実施例において、チャネルアクセスが禁止されたステーションは、チャネルアクセスが禁止される間にCCA(CSMA)及びバックオフカウンターを減らすチャネルアクセス手順を行うことができる。図14で、non-STRマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。図14で、第1ステーション(STA1)が受信を行う間に第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される。図14(a)で、第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される間に、第2ステーション(STA2)は、CCA(CSMA)及びバックオフカウンターを減らすチャネルアクセス手順を行うことができる。図14(a)で、第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される間に、第2リンク(Link2)のチャネルが遊休であるので、第2ステーション(STA2)はバックオフカウンターを減らす。
【0141】
また、チャネルアクセスが禁止されたステーションは、チャネルアクセスが禁止される間にバックオフカウンターが0に到達しても送信を始めずに送信を遅延させることができる。この時、ステーションはバックオフカウンターの値を0と維持できる。また、ステーションが送信を遅延させても、ステーションはCWの値をそのまま維持できる。したがって、ステーションのアクセスするチャネルが使用中(busy)であることから、ステーションがCWの値をダブリング(doubling)することとは差別化される。これは、送信が遅延された事由が、チャネルが使用中であると判断された場合でないためである。図14(b)で、第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される間に、第2ステーション(STA2)はCCA(CSMA)及びバックオフカウンターを減らすチャネルアクセス手順を行うことができる。図14(b)で、第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される間に、第2リンク(Link2)のチャネルが遊休であるので、第2ステーション(STA2)はバックオフカウンターを減らす。第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される間に、第2ステーション(STA2)のバックオフカウンターが0に到達する。第2ステーション(STA2)は送信を遅延させ、チャネルアクセス禁止が解除された後に送信を始める。
【0142】
前述したように、チャネルアクセス禁止は、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが送信を行う時に、第2ステーションに対する送信が禁止されることを含むことができる。また、チャネルアクセス禁止は、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが受信を行う時に、第2ステーションの送信が禁止されることを含むことができる。
【0143】
図14(b)で説明される実施例において、チャネルアクセスが禁止されたステーションが複数である場合に、複数のステーションのチャネルアクセス禁止が同時に解除され、複数のステーションが同時に送信を試みる可能性が高い。このため、送信衝突確率を下げ得る方法が必要である。これについては図15で説明する。
【0144】
図15には、本発明の一実施例に係るステーションがチャネルアクセス禁止解除後に送信を行う動作を示す。
【0145】
前述したように、non-STRマルチリンク装置が動作する複数のリンクのうち、第1リンクで送信が行われ、第2リンクで送信が禁止されることがある。第1リンクで当該送信が完了した場合に、第2リンクでの送信はRTS/CTSフレーム交換によって始まってよい。したがって、non-STRマルチリンク装置が動作する複数のリンクのうち第1リンクで送信が行われる場合に、non-STRマルチリンク装置は第2リンクでRTS/CTSフレーム交換を始めることができる。チャネルアクセス禁止によって送信が遅延されたステーションのチャネルアクセス禁止解除後に、ステーションは、遅延された送信を始める前にRTS/CTS(request to send/clear to send)フレームの交換を始めることができる。この時、ステーションがCTSフレームを受信できないと、遅延された送信を開始できないことがある。図15(a)の実施例において、チャネルアクセス禁止によって送信が遅延されたステーションは、遅延された送信を始める前にRTSフレームを送信する。ステーションはRTSフレームに対する応答としてCTSフレームを受信した後、遅延された送信を始める。
【0146】
さらに他の具体的な実施例において、チャネルアクセス禁止によって送信が遅延されたステーションのチャネルアクセス禁止解除後に、ステーションは、遅延された送信の一部のみを含むフレームを送信できる。この時、ステーションが遅延された送信の一部のみを含むフレームに対する応答、例えばACKを受信した後に、ステーションは、遅延された送信のうち送信されていない部分の送信を行うことができる。ステーションが遅延された送信の一部のみを含むフレームに対する応答を受信できないと、ステーションは、遅延された送信のうち、送信されない部分の送信を行わなくてよい。このように、ステーションがチャネルアクセス禁止解除後にRTS/CTS交換を始める或いは遅延された送信の一部のみを送信することは、一般的な送信に比べてチャネルアクセス禁止後の送信の衝突確率が高いためである。したがって、前述した実施例が、チャネルアクセス禁止解除後に行われた送信に義務的に適用されてよい。既存の無線LAN動作においてRTS/CTSフレームは隠しノード(hidden node)問題を解決するために用いられ、送信データの大きさに基づいて用いることができた。前述した実施例においてRTS/CTSフレームは、non-STRマルチリンク装置の送信又は受信を保護するために遅延された送信を行おうとするステーションとの送信衝突を防止するためのものである。
【0147】
前述したように、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのステーションが受信を行う時に、non-STRマルチリンク装置の他のステーションの送信が制限されてよい。また、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのステーションが送信を行う時に、non-STRマルチリンク装置の他のステーションが、ステーションが動作するリンクのチャネル状態を正確にセンシングし難いことがあり得る。具体的に、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが送信を行う時に、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションは、第2ステーションが動作するリンクのチャネル状態を常に使用中(busy)と判断することがある。このため、第2ステーションは、第2ステーションが動作するリンクのチャネルが遊休である場合にも、装置内干渉によってチャネルを使用中と判断することがある。このように、装置内干渉によってチャネル状態を判断できないステーション又はnon-STRマルチリンク装置のいずれか一つのステーションの送信が継続中である場合に、non-STRマルチリンク装置の他のステーションをブラインド(blind)状態であるという。前述した状況によってブラインド状態であるステーションは、バックオフ手順を行って送信を試みることが困難であり得る。また、前述した状況によってブラインド状態であるステーションは、PPDUの受信を始めたりデコーディングに成功したりすることが難しいであろう。このため、ブラインド状態であるステーションを考慮した送信方法が必要である。これについては図16で説明する。
【0148】
図16には、本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置内のステーションの状態に基づいて行われる送信を示す。
【0149】
non-STRマルチリンク装置のステーションに送信を行おうとするステーションは、non-STRマルチリンク装置のステーションがブラインド状態であるか否かによって送信を行うか否かを決定できる。このとき、non-STRマルチリンク装置のステーションに送信を行おうとするステーションは、STRマルチリンク装置に含まれたステーションであってよい。また、non-STRマルチリンク装置のステーションに送信を行おうとするステーションは、APマルチリンク装置に含まれたAPであり、non-STRマルチリンク装置は、non-APマルチリンク装置であってよい。non-STRマルチリンク装置のステーションに送信を行おうとするステーションは、non-STRマルチリンク装置のステーションがブラインド状態であるか否かによって判断できる。送信を行おうとするステーションは、ステーションが含まれたマルチリンク装置の他のステーションが当該non-STRマルチリンク装置に送信を実行中であるか否か判断できる。ステーションが含まれたマルチリンク装置の他のステーションが当該non-STRマルチリンク装置から受信を実行中である場合に、ステーションは、ステーションの送信を受信するnon-STRマルチリンク装置のステーションがブラインド状態であると判断できる。図16の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第2ステーション(STA2)が第2AP(AP2)に送信中である。したがって、第2AP(AP2)は第2ステーション(STA2)から受信中であることを第1AP(AP1)に知らせることができる。具体的に、第2AP(AP2)は、第2AP(AP2)に対する送信の主体が第2ステーション(STA2)であることを第1AP(AP1)に知らせることができる。さらに他の具体的な実施例において、第2AP(AP2)は、第2ステーション(STA2)が現在送信中であることを第1AP(AP1)に知らせることができる。この時、第1AP(AP1)は、知らせに基づいて、第1ステーション(STA1)がブラインド状態であると判断できる。
【0150】
マルチリンク装置内のステーションは共通MACを介して動作することができるので、上述した第1のAP(AP1)と第2のAP(AP2)との情報交換は明示的に行われない場合がある。
【0151】
ステーションは、ブラインド状態であるステーションに送信を行わなくてよい。これは、ブラインド状態であるステーションに送信を行っても、ブラインド状態であるステーションが受信を開示できないか、或いはブラインド状態であるステーションがPPDUをデコードできない可能性が高いためである。この時、ステーションは、ブラインド状態であるステーションに対する送信を取消し、他のステーションに対する送信を行うことができる。
【0152】
STRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に送信を行う時に、STRマルチリンク装置は複数のリンクでnon-STRマルチリンク装置に対する送信を行うことができる。具体的に、STRマルチリンク装置が第1リンクでnon-STRマルチリンク装置に対する送信を行う時に、STRマルチリンク装置は第2リンクでnon-STRマルチリンク装置に対する送信を始めることができる。この時、STRマルチリンク装置はnon-STRマルチリンク装置に対する送信であることに基づいて、第2リンクで行われる送信の長さを決定できる。具体的に、STRマルチリンク装置は、第1リンクでnon-STRマルチリンク装置に対する送信の長さに基づいて第2リンクでnon-STRマルチリンク装置に対する送信の長さを決定できる。具体的な実施例において、STRマルチリンク装置は、第1リンクでの送信と第2リンクでの送信を同時に終了できる。これは、non-STRマルチリンク装置のステーションのいずれか一つに対する送信が先に終了し、non-STRマルチリンク装置のステーションのいずれか一つが送信に対する応答、例えばACKを送信する間にnon-STRマルチリンク装置の他のステーションに対する送信が行われることを防止するためである。前述した実施例によってnon-STRマルチリンク装置の複数のステーションが複数のステーションに対する送信に対する応答を同時に送信することができる。
【0153】
STRマルチリンク装置はnon-STRマルチリンク装置に含まれたステーションの状態を実時間で判断できない。このため、STRマルチリンク装置が図16で説明した実施例によって動作しても、non-STRマルチリンク装置が動作するリンク間で干渉又は送信衝突が発生することがある。例えば、図16の実施例において、第2ステーション(STA2)が第2AP(AP2)に対する送信を実行中であることを認識する前に、第1AP(AP1)が第1ステーション(STA1)に対する送信を始めることがある。このように、リンク間の干渉又は衝突の発生確率がリンク内干渉又は送信衝突の発生確率よりも大きいことがある。これについては図17でより具体的に説明する。
【0154】
図17には、リンク間の干渉又は衝突が発生し得る状況を示す。
【0155】
non-STRステーションマルチリンク装置の第2ステーションのSTR APマルチリンク装置の第2APに対する送信が、STR APマルチリンク装置の第1APのnon-STRステーションマルチリンク装置の第1ステーションに対する送信と同時に始まる場合に、リンク間で送信衝突が発生することがある。これは図17(a)に示さている。これは、前述したように、STRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に含まれたステーションの状態を実時間で判断できないことから発生し得る。
【0156】
また、non-STRステーションマルチリンク装置の第2ステーションのSTR APマルチリンク装置の第2APに対する送信が、STR APマルチリンク装置の第1APのnon-STRステーションマルチリンク装置の第1ステーションに対する送信よりも早く始まった場合であっても、リンク間で送信衝突が発生し得る。れは図17(b)に示されている。第2AP(AP2)が第1AP(AP1)に、第2ステーション(STA2)が送信を実行中であることを知らせるまでに時間がかかり得るためである。このように、互いに異なる時点に送信を始めたステーション間でも送信衝突が発生するので、装置間の干渉又は送信衝突の発生確率が、リンク内干渉又は衝突の発生確率よりも大きいことがある。また、STRマルチリンク装置のAPが受信するPPDUの送信者を識別する時間が遅延されるほどリンク間の干渉又は送信衝突の発生確率が大きくなり得る。したがって、これを解決するための方法が必要である。STRマルチリンク装置のステーションのうち一つが受信を実行中である場合に、STRマルチリンク装置の他のステーションのチャネルアクセスを行わなくてよい。ただし、このようにチャネルアクセスが禁止される場合、STR機能具現の意味が消えることがある。このため、STRマルチリンク装置のチャネルアクセス禁止でない動作方法が必要である。これについては図18で説明する。
【0157】
前述のように、マルチリンク装置がマルチリンク装置に送信を行うステーションを迅速に判断することが重要であり得る。EHT UL PPDUのEHT-SIGのUserフィールドは、EHT UL PPDUを送信するステーションの識別子(STA-ID)を示すことができる。具体的には、EHT PPDUのシグナリングフィールドのDL/ULフィールドが、EHT PPDUがUL PPDUであることを示す場合に、EHT PPDUのEHT-SIGのUserフィールドは、EHT UL PPDUを送信するステーションの識別子を示すことができる。EHT PPDUを受信するマルチリンク装置は、EHT UL PPDUのEHT-SIGのUserフィールドに基づいてEHT PPDUを送信するステーションを識別することができる。これにより、APマルチリンク装置はEHT UL PPDUを送信するステーションを判断し、APマルチリンク装置は、送信の宛先装置を決定することができる。具体的には、APマルチリンク装置は、実行しようとした送信がリンク間(Inter-link)衝突により失敗する可能性が高いか否かを判断することができる。また、APマルチリンク装置が実行しようとした送信に失敗する可能性が高い場合に、APマルチリンク装置は、実行しようとした送信を遅延させ、他の送信を行うことができる。
【0158】
図18には、本発明の一実施例によってSTRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に対する送信を中止する動作を示す。
【0159】
STRマルチリンク装置のステーションがnon-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信中にnon-STRマルチリンク装置のステーションがブラインド状態と判断した場合に、STRマルチリンク装置は、ブラインド状態であるnon-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を中断できる。具体的に、STRマルチリンク装置は、受信されるPPDUのシグナリングフィールドがSTA(AID)-IDとして指示する値又は受信されるPPDUが含むMACフレームのTA(transmitting address)フィールドに基づいて、non-STRマルチリンク装置のステーションがブラインド状態であるか否かを判断できる。このとき、STA-IDは、UL PPDUでUL PPDUを送信するステーションを指示する値であってよい。具体的な実施例において、STRマルチリンク装置は、受信されるPPDUのシグナリングフィールドがSTA(AID)-IDとして指示する値が、non-STRマルチリンク装置に含まれた第1ステーションを示す場合に、non-STRマルチリンク装置に含まれた第2ステーションがブラインド状態であると判断できる。また、STRマルチリンク装置は、受信されるPPDUが含むMACフレームのTAフィールドがnon-STRマルチリンク装置に含まれた第1ステーションを指示する場合に、non-STRマルチリンク装置に含まれた第2ステーションがブラインド状態であると判断できる。送信取消後のステーションの動作についてまず説明する。
【0160】
non-STRマルチリンク装置のステーションに設定されたTXOPが残っている場合に、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、当該non-STRマルチリンク装置のステーション以外の他のステーションに対する送信を試みることができる。この時、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、別途のバックオフ手順無しでnon-STRマルチリンク装置のステーション以外の他のステーションに対する送信を行うことができる。具体的な実施例において、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取り消した後、別途のバックオフ手順無しであらかじめ指定された時間区間でチャネルが遊休と感知される場合に、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、non-STRマルチリンク装置のステーション以外の他のステーションに対する送信を行うことができる。このとき、あらかじめ指定された時間区間は、SIFS、PDIF及びDIFSのいずれか一つであってよい。
【0161】
non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、non-STRマルチリンク装置のステーション以外の他のステーションに対する送信を行う時に、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、取消した送信のトラフィックと同じ優先順位(priority)を有するトラフィック又はより高い優先順位を有するトラフィックを送信することができる。これは、取消した送信のためのチャネルアクセス時に使用したトラフィックの優先順位よりも低い優先順位に該当するトラフィックを送信すると、公平性に合わないためである。前述した実施例において、STRマルチリンク装置のステーションはAPであってよい。
【0162】
non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、設定したTXOPを初期化できる。具体的に、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、送信取消後にCF-Endフレームを送信できる。これにより、送信の予定されたリンクで動作する他のステーションがリンクを用いることができる。
【0163】
図18で、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第2ステーション(STA2)が第2AP(AP2)に送信中である。第1AP(AP1)は第1ステーション(STA1)に対する送信を実行中に第1ステーション(STA1)がブラインド状態であると判断する。したがって、第1AP(AP1)は第1ステーション(STA1)に対する送信を中断する。図18(a)で、第1ステーション(STA1)に対する送信を中断後に、第1AP(AP1)は、先に説明した実施例のように、第1ステーション(STA1)以外の他のステーションに対する送信を行う。図18(b)で、第1ステーション(STA1)に対する送信を中断後に、第1AP(AP1)は、後に説明した実施例のようにCF-ENDフレームを送信する。
【0164】
ステーションが送信を中断する時に、送信中であったフラグメントを送信した後に、次のフラグメントを送信しなくてよい。さらに他の具体的な実施例において、ステーションは、送信中であったパケットの送信を直ちに中止してよい。
【0165】
前述した実施例において、STRマルチリンク装置がブラインド状態であるnon-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を中断し、ブラインド状態であるnon-STRマルチリンク装置のステーション以外の他のステーションに対する送信を行う時に、安定した受信のために、他のステーションに、他のステーションに対する送信が行われ得るということを知らせる必要がある。そのための方法について説明する。説明の便宜のために、ブラインド状態であるnon-STRマルチリンク装置のステーション以外の他のステーションを他のステーションと呼ぶ。
【0166】
STRマルチリンク装置のステーションは、MACフレームに他のステーションのアドレスを挿入することができる。具体的に、STRマルチリンク装置のステーションは、MACフレームのRA(receiving address)に、MACフレームの意図した受信者のアドレスを挿入し、別途のフィールドに他のステーションのアドレスを挿入できる。さらに他の具体的な実施例において、装置のステーションは、EHT-SIGに他のステーションのアドレスを挿入できる。具体的に、STRマルチリンク装置のステーションは、PPDUのシグナリングフィールドのUserフィールドにPPDUの意図した受信者のアドレス及び他のステーションのアドレスを挿入できる。このとき、他のステーションのアドレスはPPDUのシグナリングフィールドのUserフィールドにおいてPPDUの意図した受信者のアドレス後に挿入されてよい。
【0167】
さらに他の具体的な実施例において、ステーションは、受信されるPPDUの意図した受信者がステーションでないことを認識した後にも、あらかじめ指定された時間でPPDUの受信をモニタすることができる。具体的に、ステーションは、受信されるPPDUの意図した受信者がステーションでないことを認識した後にも、あらかじめ指定された時間でPPDUの受信が続くか否かをモニタできる。これにより、ステーションは、PPDUの送信が中断され、ステーションに対する送信が始まるか否かを判断できる。このような実施例において、あらかじめ指定された時間でPPDUの送信が続くと判断された場合に、ステーションは、節電状態(doze state)に進入できる。あらかじめ指定された時間でPPDUの送信が続かないと判断された場合に、ステーションは、ウエイク-アップ状態を維持できる。この時、ステーションに新しいPPDUが受信される場合に、ステーションはPPDUをデコードすることができる。
【0168】
さらに他の具体的な実施例において、PPDUを送信するステーションが、PPDUの送信が中断され得ることをシグナルする情報をPPDUに挿入することができる。PPDUの送信が中断され得ることをシグナルする情報は、1ビットのサブフィールドであってよい。例えば、PPDUの送信が中断され得ることをシグナルするサブフィールドの値が1である場合に、PPDUを受信するステーションは、PPDUの送信がPPDUのシグナリングフィールドのLengthフィールド及びMACフレームのDurationフィールドが指示する時点よりも前にPPDUの送信が中断され得ると判断できる。ステーションがPPDUの送信がPPDUのシグナリングフィールドのLengthフィールド及びMACフレームのDurationフィールドが指示する時点よりも前にPPDUの送信が中断され得ると判断した場合に、ステーションは節電状態に進入することを猶予できる。また、PPDUを送信するステーションがPPDUのリザーブドフィールドに、送信が中断され得ることをシグナルする情報を挿入できる。
【0169】
このように、送信取消又は送信中断により、不要にチャネルを占有することを防止することができる。
【0170】
リンク間の送信衝突によって送信が中断又は延期された場合に、一般的な送信失敗と同様に、チャネルアクセスに用いられるCWの値がダブリングされてよい。リンク間の送信衝突によって送信が中断又は延期された場合に、一般的なチャネルアクセス失敗又は送信失敗とは違い、チャネルアクセスに用いられるCWの値がダブリング(doubling)されなくてよい。すなわち、ステーションは、チャネルアクセスに用いられるCWの値をそのまま維持できる。CWの値をダブリングすることは、バックオフカウンターの値になり得る数の範囲を増やし、送信衝突の確率を減らすためである。ステーションがリンク間の送信衝突であることを明確に認識できる場合、このような必要は減り得る。また、リンク間の送信衝突によって送信が中断又は延期された場合に、ステーションがCWの値をダブリングすることが、送信を遅延させることがある。ただし、リンク間の送信衝突とリンク内衝突が同時に発生する場合に、ステーションはCWの値をダブリングする必要がある。これについては図19で説明する。
【0171】
図19には、本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置がリンク間の送信衝突を認知した場合に、CWの値を処理することを示す。
【0172】
ステーションは、前述した実施例におけるように、non-STRマルチリンク装置で行われる送信によって送信を取消した場合に、送信を取消した後にチャネル状態を感知することができる。チャネルが遊休でないと感知された場合に、ステーションはCWの値をダブリングすることができる。このとき、ダブリングは、図6で説明した実施例に従うことができる。また、チャネルが遊休であると感知された場合に、ステーションはCWの値を維持できる。このような実施例は、チャネルが遊休であると感知されても、リンク内の送信衝突が発生する可能性が低いので、送信成時とし異なるように取扱うためである。具体的には、APマルチリンク装置のAPがnon-STRマルチリンク装置のステーションへの送信に失敗した場合に、APマルチリンク装置のAPはCWを増加させずにCW内でバックオフカウンターを得ることができる。この時、APマルチリンク装置のnon-STRマルチリンク装置が第1ステーションへの送信に失敗し、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが送信を行う場合に、APマルチリンク装置のAPはCWを増加させずにCW内でバックオフカウンターを得ることができる。前述したように、APマルチリンク装置は、PPDUのシグナリングフィールドが示すPPDUの送信ステーション又はPPDUが含むMACフレームのTAフィールドが指示するステーションに基づいて、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが送信を行うか否かを判断できる。前述した実施例においてEDCAが適用される場合に、CW調整及びバックオフカウンター生成に関する手順はAC別に行われてよい。
【0173】
さらに他の具体的な実施例において、STRマルチリンク装置は、PPDUに対する応答を受信したか否かに基づいて、PPDUの送信に失敗したか否かが判断できる。この時、STRマルチリンク装置は、PPDUを受信するステーションがnon-STRマルチリンク装置に含まれるか否かを考慮しなくてよい。例えば、PPDUを受信する第1ステーションがnon-STRマルチリンク装置に含まれ、当該non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが送信を行うことにより、第1ステーションがPPDUに対する応答を送信できない場合であっても、STRマルチリンク装置はPPDUの送信に失敗したと判断できる。また、STRマルチリンク装置のPPDUの送信に失敗した場合に、STRマルチリンク装置は、CWの値を、CW値が有し得る値のうち、次に大きい値と増加させることができる。このとき、CWの値が最大値である場合に、STRマルチリンク装置はCWの値を同一値に保ってよい。
【0174】
さらに他の具体的な実施例において、チャネルが遊休であると感知された場合に、ステーションは、CWの値をトラフィックのCWの最小値(CW_min)に設定できる。このような実施例は、チャネルが遊休であると感知された場合に、リンク内の送信衝突が発生する可能性が低いので、送信成功時と同一に取扱うためである。ステーションは、前述した実施例は、取消した送信に含まれたトラフィックのACのCWに適用できる。
【0175】
また、ステーションは、前述した実施例によって送信を取消した場合に、Retry Counterを増加させなくてよい。このとき、Retry Counterは、long retry counter及びshort retry counterのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0176】
先の実施例において、送信を取消すことは、送信を中断するか或いは送信を始める前に送信を遅延することのうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0177】
ステーションが送信を試みる前にCTS-to-Selfフレームを送信した後、送信を取消した場合に、ステーションは、送信取消後に送信を試みる前にRTS/CTSフレーム交換を始めなくてよい。既にCTS-to-SelfフレームによってNAVが設定されたためである。また、ステーションが送信を取消した後、再び送信を試みる時にTXOPが残っていると、ステーションは、バックオフ手順無しで送信を試みることができる。
【0178】
図19で、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第2ステーション(STA2)が第2AP(AP2)に送信中である。第1AP(AP1)は、第1ステーション(STA1)に対する送信を実行中に第1ステーション(STA1)をブラインド状態と判断する。したがって、第1AP(AP1)は第1ステーション(STA1)に対する送信を中断する。図19(a)で、第1AP(AP1)は第1リンク(Link1)のチャネルが遊休であると判断する。この時、TXOPが残っていないので、第1AP(AP1)はバックオフ手順によってチャネルにアクセスする。図19(b)で、第1AP(AP1)は第1リンク(Link1)のチャネルが遊休でないと判断する。この時、TXOPが残っているので、第1AP(AP1)はバックオフ手順無しで送信を試みる。
【0179】
前述した実施例において、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消した後に、別途のバックオフ手順無しであらかじめ指定された時間区間でチャネルが遊休であると感知される場合に、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を取消したステーションは、non-STRマルチリンク装置のステーション以外の他のステーションに対する送信を行うことができる。この時、あらかじめ指定された時間区間のデューレーションが問題になり得る。取り消された送信のPPDUを受信したステーションは、PPDUのデコーディングに失敗することがある。この時、EIFS(extended interframe space)分だけチャネルが遊休であると感知された場合に、PPDUのデコーディングに失敗したステーションは、バックオフ手順を始めることができる。このため、あらかじめ指定された時間区間をEIFSよりも長く設定するか同一に設定するかが問題になる。これについては図20で説明する。
【0180】
図20には、本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に対する送信を中止した後に再度チャネルアクセスを行う動作を示す。
【0181】
図20(a)のように、あらかじめ指定された時間区間はDIFSであってよい。これは、STRマルチリンク装置のステーションが競合手順によってチャネルアクセス機会を獲得し、リンク間の送信衝突によって獲得したチャネルアクセス機会を失ったことが考慮されたものである。すなわち、STRマルチリンク装置のステーションが競合手順によってチャネルアクセス機会を獲得したので、他のステーションがチャネルアクセスを行うことに比べて優先権を与えたものである。EDCAが適用される場合に、DIFSはAIFS[AC]に代替されてよい。
【0182】
さらに他の具体的な実施例において、図20(b)のように、あらかじめ指定された時間区間はEIFSであってよい。これは、STRマルチリンク装置が既に送信機会を消尽したものと見なし得ること、及び他のステーションとの公平性が考慮されたものである。
【0183】
さらに他の具体的な実施例において、図20(c)のように、PPDUのシグナリングフィールドで送信が中断され得ることをシグナルする場合に、あらかじめ指定された時間区間はDIFSであってよい。また、PPDUを受信したステーションがPPDUの送信が中断されたことを感知した場合に、ステーションは、EIFSの代わりにDIFSでチャネルが遊休であるか否か感知することができる。この時、DIFSでチャネルが遊休であると感知された場合に、当該ステーションはバックオフ手順を始めることができる。このような実施例により、全体ネットワークの性能を向上させ、ステーション間の公平性も保障することができる。EDCAが適用される場合に、DIFSはAIFS[AC]に代替されてよい。
【0184】
前述したように、STRマルチリンク装置は、リンク間の送信衝突が発生し得ることを認知できる。具体的に、STRマルチリンク装置の第1ステーションがバックオフ手順を完了した時に、STRマルチリンク装置の第2ステーションがPPDUの受信中であってよい。この時、第2ステーションがPPDUのシグナリングフィールドのデコーディングを完了できなかった場合、第1ステーションはリンク間の送信衝突が起きたことを認知できないが、可能性があると判断できる。この時、第1ステーションは、前述したように、送信するPPDUに、送信が中断され得ることを示す情報を挿入できる。また、NSTRマルチリンク装置は、安定且つ効率的な送信のために、non-STRマルチリンク装置に対する送信前にCTS-to-Selfフレームを送信できる。これについては図21で説明する。
【0185】
図21には、本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置に対する送信を行う前にCTS-to-Selfフレームを送信する動作を示す。
【0186】
STRマルチリンク装置のステーションは、non-STRマルチリンク装置に対する送信前にCTS-to-Selfフレームを送信できる。具体的に、STRマルチリンク装置の第1ステーションが受信を行う間にSTRマルチリンク装置の第2ステーションがnon-STRマルチリンク装置に対する送信を試みる場合、STRマルチリンク装置の第2ステーションは、non-STRマルチリンク装置に対する送信前にCTS-to-Selfフレームを送信できる。これにより、第2ステーションはnon-STRマルチリンク装置に対する送信のためのTXOPを確保することができる。また、第2ステーションは、non-STRマルチリンク装置に対する送信を行う前に、第1ステーションに対する送信が当該non-STRマルチリンク装置から送信されるか否かを判断できる。第2ステーションは、第1ステーションに対する送信が当該non-STRマルチリンク装置から送信されているか否かによって送信の目的ステーションを決定できる。具体的に、第1ステーションに対する送信が当該non-STRマルチリンク装置から送信されない場合に、第2ステーションは、当該non-STRマルチリンク装置に対する送信を行うことができる。第1ステーションに対する送信が当該non-STRマルチリンク装置から送信される場合に、第2ステーションは、当該non-STRマルチリンク装置に含まれていないステーションに対する送信を行うことができる。例えば、第1ステーションがnon-STRマルチリンク装置のステーションに対するSU-PPDU、non-STRマルチリンク装置のステーションに対するデータを含むMU-PPDU、non-STRマルチリンク装置のステーションの送信をトリガーするトリガーフレームを含むPPDUの送信を計画した場合に、第1ステーションは、計画した送信を取消すことができる。この時、第1ステーションは、non-STRマルチリンク装置のステーション以外のステーションに対するSU-PPDU、non-STRマルチリンク装置のステーションに対するデータを含まないMU-PPDU、non-STRマルチリンク装置のステーションの送信をトリガーしないトリガーフレームを含むPPDUの送信を試みることができる。この時、第1ステーションは、CTS-to-Selfフレームを送信した時からSIFSよりも大きい時間後に送信を始めることができる。具体的に、第1ステーションは、CTS-to-Selfフレームを送信してからPIFS後に送信を始めることができる。CTS-to-Selfフレームを送信したステーションは、CTS-to-Selfフレームを送信した時からSIFS後に送信を始めなければならない。前述した実施例のように、計画された送信を取消し、新しい送信を試みる場合に、新しく送信しようとするMPDUを生成するなど、STRマルチリンク装置のプロセシング時間が必要である。このため、CTS-to-Selfフレームと送信との間の時間間隔に対する規定に対する例外が適用されてよい。このような実施例においては原則として、第2ステーションはCTS-to-Selfによって獲得されたTXOPを超えて送信を行うことができない。
【0187】
図21で、STRマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。第2AP(AP2)が受信を行い、第1AP(AP1)がnon-STRマルチリンク装置のステーションに送信を計画するので、第1AP(AP1)は、計画した送信前にCTS-to-Selfフレームを送信する。前述したように、第1AP(AP1)は、第2AP(AP2)が受信するPPDUを送信したステーションに対する判断に基づいて送信の目的ステーションを決定する。また、第1AP(AP1)は、CTS-to-Selfフレームを送信した時からSIFS又はPIFS後に送信を行う。
【0188】
第2ステーションは、CTS-to-Selfフレームを送信する代わりにRTSフレームを送信し、RTS/CTSフレーム交換手順を始めることができる。これにより、第2ステーションは、CTS-to-Selfフレームを送信することと類似の効果を得ることができる。RTS/CTSフレーム交換の場合、送信の目的ステーションがブラインド状態でない場合にのみ、第2ステーションがTXOPを獲得できる。
【0189】
図22には、本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置に含まれた複数のAPが、一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれた複数のステーションに送信を行うことを示す。
【0190】
一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれた複数のステーションは、同時に受信を行うことができる。複数のステーションが同時に受信することは、比較的小さい干渉しか起こさないためである。図22は、一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれた複数のステーションは同時に受信を行うことを示す。この時、STRマルチリンク装置は、non-STRマルチリンク装置の安定した動作のために、STRマルチリンク装置に含まれた複数のAPが、一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれた複数のステーションに、送信の終了が同期化した複数の送信を行うことができる。これについては図23で説明する。
【0191】
図23には、本発明の実施例によってSTRマルチリンク装置に含まれた複数のAPが、一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれた複数のステーションに、送信の終了が同期化した複数の送信を行うことを示す。
【0192】
non-STRリンクにおいて、いずれか一つのリンクでマルチリンク装置が送信を行う時に、マルチリンク装置は、他のリンクで行われる送信のためのチャネルアクセス手順を簡素化できる。具体的に、マルチリンク装置の第1ステーションが第1リンクでバックオフチャネルアクセス手順を完了した時に、STRマルチリンク装置の第2ステーションのリンク内であらかじめ指定された時間区間でチャネルが遊休であると、STRマルチリンク装置の第2ステーションは第2リンクで送信を始めることができる。
【0193】
具体的な実施例において、STRマルチリンク装置の一つのステーションがnon-STRマルチリンク装置の一つのステーションに対する送信を行う時に、STRマルチリンク装置の他のステーションのチャネルアクセス手順が簡素化し得る。具体的に、STRマルチリンク装置の第1ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第1ステーションに対する送信のバックオフチャネルアクセス手順を完了した時に、STRマルチリンク装置の第2ステーションのリンク内であらかじめ指定された時間区間でチャネルが遊休であると、STRマルチリンク装置の第2ステーションは、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションに対する送信を始めることができる。このとき、あらかじめ指定された時間区間はPIFSであってよい。このような動作は、STRマルチリンク装置の第1ステーションと第2ステーションが一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれるステーションに送信を行う時に適用されてよい。このような実施例において、第1ステーションと第2ステーションは、あらかじめ指定された時間区間以内の差で送信を始めることができる。あらかじめ指定された時間区間はスロットタイムであってよい。
【0194】
また、STRマルチリンク装置の第1ステーションと第2ステーションが一つのnon-STRマルチリンク装置に含まれるステーションに送信を行う場合に、第1ステーションと第2ステーションの送信終了は同期化してよい。この時、第1ステーションと第2ステーションの送信終了が同期化することは、第1あらかじめ指定された時間区間内の差で第1ステーションの送信と第2ステーションの送信が終了することを表すことができる。第1あらかじめ指定された時間区間内は、スロット境界内又はシンボル境界内を表すことができる。
【0195】
同期化した送信終了を受信したnon-STRマルチリンク装置の複数のステーションは、同時に、続く送信、例えば、応答を送信できる。この時、応答は、ACKを含むことができる。従来の無線LANでは受信後に続く送信は、受信からSIFS後に送信される。ただし、若干の時差をおいて終了した複数の送信に対して、若干の時差をおいて、続く送信を送信することが、同時に、続く送信を送信することと比べて具現を複雑にさせることがある。したがって、前述したように、同期化した送信終了を受信したnon-STRマルチリンク装置の複数のステーションは、同時に、続く送信を送信できる。この時、送信終了が同期化した複数の送信のうち少なくともいずれか一つに続く送信と送信との間隔は、SIFSと、あらかじめ指定された時間区間内の時間との和であってよい。具体的に、送信終了が同期化した複数の送信のうち、先に終了した送信に続く送信は、送信からSIFSとあらかじめ指定された時間区間内の時間が合算された間隔で送信されてよい。この時、あらかじめ指定された時間区間は、スロットタイム又はシンボル長のうち一つであってよい。また、あらかじめ指定時間区間内の差は、送信終了が同期化した複数の送信のうち、最後に終了した送信の終了と、送信終了が同期化した複数の送信のうち先に終了した送信との差であってよい。
【0196】
さらに他の具体的な実施例において、第1あらかじめ指定された時間区間内の時間差で複数の送信が終了した場合に、送信を受信した複数のステーションは、同期化した続く送信を送信できる。送信終了が同期化した複数の続く送信は、第2あらかじめ指定された時間区間内の時間差で送信された複数の続く送信を表すことができる。また、第2あらかじめ指定時間区間内の差は、同期化した複数の送信のうち、最後に終了した送信の終了と、送信終了が同期化した複数の送信のうち先に終了した送信との差であってよい。このとき、第2あらかじめ指定された時間区間は、第1あらかじめ指定された時間区間よりも小さくてよい。このように、送信終了が同期化したPPDUをシンク(sync)PPDUと呼ぶことができる。
【0197】
図23で、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第1AP(AP1)と第2AP(AP2)はそれぞれ、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)に対する送信の終了を同期化する。すなわち、第1ステーション(STA1)が送信を終了した後、第2ステーション(STA2)は、第1ステーション(STA1)からあらかじめ指定された時間区間内で送信を終了する。第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)は同時にACKを送信する。この時、第1ステーション(STA1)は、第1ステーション(STA1)に対する送信終了から、SIFSと、第1ステーションに対する送信の終了と第2ステーション(STA2)に対する送信終了との差の後にACKを送信する。
【0198】
このような実施例は、ACK政策(policy)がNo ACKと設定されていない送信に対して適用されてよい。具体的に、ACK政策が即座応答でない場合にも適用されてよい。具体的な実施例において、マルチリンク装置の複数のステーションが、送信の終了が同期化した送信を受信した場合に、マルチリンク装置の複数のステーションは、ACK要請(request)を同時に受信し、ACK要請に応じて同時にACKを送信できる。No ACK以外の値にACK政策が設定された送信をあらかじめ指定された時間内で受信したマルチリンク装置の複数のステーションは、同時にACKを始めることができる。
【0199】
non-STRマルチリンク装置が存在する場合に、RTS/CTSフレーム及びCTS-to-Selfフレームを送信してTXOPを設定する動作においてnon-STRマルチリンク装置が考慮される必要がある。これについては図24図29で説明する。
【0200】
図24は、本発明の実施例によってマルチリンク装置がRTS/CTSフレームを交換することを示す。
【0201】
non-STRマルチリンク装置が存在する場合にも、RTS/CTSフレーム交換手順は、既存無線LANで定義する手順に従うことができる。RTS/CTSフレームは、他のリンクで動作するステーションのNAVを設定するのに用いられてよい。具体的に、RTS/CTSフレームを受信したステーションは、当該ステーションが動作するリンク以外の他のリンクで動作し、当該ステーションが含まれたマルチリンク装置に含まれた他のステーションに伝達することができる。
【0202】
ただし、前述した実施例におけるように、non-STRマルチリンク装置が存在する場合に、チャネルアクセス又は送信が制限されてよい。このため、図24のようにRTS/CTSを送信できないことがある。すなわち、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションに対する送信を計画するステーションは、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが受信を実行中である場合に、RTS/CTSフレーム交換を試みなくてよい。
【0203】
図24で、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第1AP(AP1)が第1ステーション(STA1)にRTSフレームを送信する時に、第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される。第2AP(AP2)は、第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止されると判断できる。このため、第2AP(AP2)は第2ステーション(STA2)とのRTS/CTSフレーム交換を試みない。このような実施例において隠しノード(hidden node)問題が発生し得る。これについては図25で説明する。
【0204】
図25には、図24で説明した実施例に係るRTS/CTSフレーム交換手順において発生する隠しノード問題を示す。
【0205】
non-STRマルチリンク装置のステーションに送信するステーションは、前述したように、CTS/RTS交換をできずに送信を行うことがある。この時、他のステーションにTXOPが設定されないため、他のステーションが送信を試み、non-STRマルチリンク装置のステーションが送信受信に失敗することがある。図25の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第1AP(AP1)の第1ステーション(STA1)に対する送信によって、第2AP(AP2)は送信前にRTSフレームを送信できなかった。したがって、第2AP(AP2)の送信のためのTXOPが、第2リンク(Link2)で動作するステーションに設定されない。このため、第2AP(AP2)が第2ステーション(STA2)に対する送信を行う時に、他のBSSのステーション(OBSS STA)が第2リンク(Link2)で送信を行う。これによって第2ステーション(STA2)は第2AP(AP2)の送信を受信することに失敗する。このような隠しノード問題を解決するために次のような実施例が適用されてよい。
【0206】
具体的な実施例において、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのステーションが受信を実行中である場合に、ステーションは、non-STRマルチリンク装置のいかなるステーションにも送信を行うことが許容されなくてよい。さらに他の具体的な実施例において、ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第1ステーションに送信する時に、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが受信実行中であると、ステーションは、第2ステーションに対する送信と同時に送信を行ってよい。ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第1ステーションに送信する時に、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが受信実行中であると、ステーションは、第1ステーションに対する送信終了を第2ステーションに対する送信の終了と同期化してよい。具体的に、ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第1ステーションに送信する時に、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが受信実行中であると、ステーションは、第1ステーションに対する送信を第2ステーションに対する送信と同時に終了してよい。このような実施例において、第2ステーションに対する送信は、ステーションを含むマルチリンク装置の他のステーションによって行われてよい。
【0207】
図26には、本発明の実施例によってマルチリンク装置がRTS/CTSフレームを交換することを示す。
【0208】
本発明のさらに他の実施例において、マルチリンク装置の第1ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第3ステーションに送信を継続している中に、マルチリンク装置の第2ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第4ステーションにRTSフレームを送信しようとする場合、第1ステーションは、第4ステーションがRTSフレームを送信しようとする時点前に第3ステーションに対する送信を終了してよい。これにより、第4ステーションは第2ステーションにCTSフレームを送信することができる。したがって、第2ステーションと第4ステーション間のフレーム交換のためのTXOP仮設定ができる。ただし、第1ステーションにとって、第4ステーションがRTSフレームを送信しようとする時点前に送信を終了することが具現し難いことがあり得る。
【0209】
本発明のさらに他の実施例において、マルチリンク装置の第1ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第3ステーションに送信を継続する中に、マルチリンク装置の第2ステーションがnon-STRマルチリンク装置の第4ステーションにRTSフレームを送信しようとする場合、第2ステーションは、第1ステーションの第3ステーションに対する送信終了時点に合わせて第4ステーションにRTSフレームを送信できる。そのために、第2ステーションはRTSフレームにパディングを挿入できる。このとき、RTSフレームは、送信長を柔軟に調節できるRTSフレームフォーマットであってよい。説明の便宜のために、このようなRTSフレームフォーマットをML(multilink)-RTSフレームと呼ぶ。ML-RTSフレームは、パディングのためのパッドフィールドを含むことができる。例えば、ML-RTSフレームのフォーマットは、図26に記載のRTSフレームフォーマットと同一であってよい。また、第1ステーションは、RTSフレームと送信終了時点を合わせるために、第3ステーションに対する送信にパディングを挿入できる。
【0210】
図26の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第2AP(AP2)は、第1AP(AP1)の第1ステーション(STA1)に対する送信終了時点に合わせて第2STA(STA2)にML-RTSフレームを送信する。その後、第1ステーション(STA1)は第1AP(AP1)にACKを送信する時に、第2ステーション(STA2)は第2AP(AP2)にACKを送信する。これにより、第2リンクのチャネルで動作するステーションに、第2AP(AP2)と第2ステーション(STA2)間のフレーム交換のためのTXOPが設定される。
【0211】
さらに他の具体的な実施例において、RTS/CTSフレームの代わりにNAVを設定する他のフレームが交換されてよい。前述した実施例において、RTSフレームの代わりにACK要請フレームが送信されてよい。ACK要請フレームは、送信終了時点と関連したデューレーション情報を含むことができる。また、ACK要請に対応して送信されるACKを含むフレームも、デューレーション情報を含むことができる。このとき、ACKを含むフレームのデューレーション情報は、ACK要請フレームのデューレーション情報によって設定されてよい。
【0212】
前述した実施例は、RTS/CTSフレーム交換のためのものと説明されたが、RTS/CTSフレーム以外の制御(control)フレーム交換のためにも用いられてよい。このとき、制御フレーム交換は、PS-Pollフレーム及びPS-Pollに対する応答フレームの交換を含むことができる。
【0213】
図27には、本発明の一実施例によってマルチリンク装置が、チャネルアクセスが禁止された場合にも例外的に制御フレームに対する応答を送信することを示す。
【0214】
前述した実施例で説明したように、non-STRマルチリンク装置が存在する場合に、一部のステーションのチャネルアクセスが禁止されてよい。ステーションのチャネルアクセスが禁止されても、ステーションは制御フレームに対する応答を送信できる。具体的に、ステーションのチャネルアクセスが禁止されても、ステーションはRTSフレームに対する応答としてCTSフレームを送信できる。
【0215】
このように、チャネルアクセス禁止の例外として制御フレームに対する応答が送信される場合に、次のような実施例が適用されてよい。第1ステーションがチャネルアクセス禁止の例外として制御フレームに対する応答を送信する。第1ステーションが制御フレームに対する応答を送信する時に、第3ステーションは、第1ステーションが含まれたマルチリンク装置に含まれた第2ステーションに送信を行う。このような場合、第3ステーションは、第1ステーションに対する再送信を行うことができる。第3ステーションは、第2ステーションに対する送信が失敗すると予想できるわけである。
【0216】
図27の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第1AP(AP)は、第1ステーション(STA1)に対する送信を行う。第2AP(AP2)は、第2ステーション(STA2)にRTSフレームを送信する。第1ステーション(STA1)が受信を行うので、第2ステーション(STA2)のチャネルアクセスが禁止される。ただし、第2ステーション(STA2)は、チャネルアクセス禁止の例外として第2AP(AP2)にCTSフレームを送信する。第1AP(AP1)は、第2ステーション(STA2)のCTSフレーム送信によって第1AP(AP1)の送信に失敗する可能性が高いと判断できる。したがって、第1AP(AP1)は第1ステーション(STA1)に再送信を行う。再送信方法については図28でより詳細に説明する。
【0217】
図28には、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を再送信することを示す。
【0218】
図27で説明した再送信において最初の送信に含まれたパケットのうち一部のみが再送信されてよい。具体的に、再送信を行うステーションは、最初の送信に含まれたパケットのうち一部のみを再送信できる。再送信を行うステーションは、再送信を行うステーションがCTSフレームを受信した時間区間に基づいて、最初の送信に含まれたパケットのうち一部を再送信するパケットと決定できる。具体的に、再送信を行うステーションは、最初の送信に含まれたパケットのうち、再送信を行うステーションがCTSフレームを受信した時間区間を含む時間区間に送信されたパケットを、再送信するパケットと決定できる。この時、再送信を行うステーションは、伝搬遅延(propagation delay)に基づいて再送信を行うステーションCTSフレームを受信した時間区間を含む時間区間で送信されたパケットを再送信できる。さらに他の具体的な実施例において、再送信を行うステーションは、最初の送信に含まれた全てのパケットを再送信できる。
【0219】
また、再送信を行うステーションは、送信に対するACKを受信する前に再送信を行うことができる。この時、再送信を行うステーションは、再送信を行った後、最初の送信及び再送信に対する受信の有無を示すBlock ACKを受信することができる。そのために、再送信を行うステーションは、最初の送信後からSIFS以前に再送信を行うことができる。さらに他の具体的な実施例において、チャネルアクセス禁止の例外として送信された制御フレームによって受信に失敗したステーションは、ACKを送信しないで再送信の受信を待つことができる。
【0220】
図28の実施例において、第1AP(AP1)は、第2AP(AP2)がCTSフレームを受信する区間と送信ディレイを考慮して、第4パケットと第5パケットを再送信する。第1AP(AP1)は、再送信後に、再送信の受信有無を含むACKを受信する。
【0221】
図29には、本発明の実施例によってチャネルアクセスが禁止されたステーションが動作するリンクではなくチャネルアクセスが禁止されていないステーションが動作するリンクで制御フレームが送信されることを示す。
【0222】
図26で説明した実施例のようにnon-STRマルチリンク装置の複数ステーションに対する送信の終了を同期化してよい。ただし、これは、既に生成したMPDUを調整したり或いは再びMPDUを生成したすることがあり、具現し難い。したがって、マルチリンク装置は、チャネルアクセスが禁止されたステーションが動作するリンクではなくチャネルアクセスが禁止されていないステーションが動作するリンクで制御フレームを送信してよい。具体的に、マルチリンク装置は、non-STRマルチリンク装置のステーションのうちマルチリンク装置から現在受信を実行中であるリンクを通じて制御フレームを送信できる。このとき、制御フレームはRTSフレームであってよい。
【0223】
図29の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。第1AP(AP1)は、第1ステーション(STA1)に送信を行う。第2AP(AP2)がバックオフ手順に成功しても、第1ステーション(STA1)が第1AP(AP1)から送信された送信を受信中であるため、第2AP(AP2)は第2ステーション(STA2)に対する送信を行うことができない。この時、第2AP(AP2)は第1AP(AP1)に、第2ステーション(STA2)が受信者であるRTSフレームを送信することを要請する。この時、第1AP(AP1)が、第1AP(AP1)が実行中である送信に、第2ステーション(STA2)が受信者であるRTSフレームを含めることができる。さらに他の具体的な実施例において、第1AP(AP1)が、第1AP(AP1)が実行中である送信を終了した後、第1AP(AP1)は第1リンク(Link1)を通じて、当該送信からSIFS後に、第2ステーション(STA2)が受信者であるRTSフレームを送信できる。第1ステーション(STA1)は、第2ステーション(STA2)が受信者であるRTSフレームを受信し、受信したRTSフレームを第2ステーション(STA2)に伝達する。第2ステーション(STA2)はPIFSでCCA行う。PIFSでチャネルが遊休である場合に、第2ステーション(STA2)はCTS-to-Selfフレームを送信する。第1AP(AP1)は、第2ステーション(STA2)がRTSフレームに対する応答を送信すると予想される時間区間で第1ステーション(STA1)に対する送信を中止してよい。また、第2ステーション(STA2)がRTSフレームに対する応答を送信する間に、第1ステーション(STA1)は受信した送信に対するACKを送信できる。さらに他の具体的な実施例において、第2ステーション(STA2)がRTSフレームに対する応答を送信する間に、第1ステーション(STA1)はRTSフレームに対する応答を共に送信できる。図29は説明の理解を助けるためのものであり、RTSフレーム及びCTS-to-Selfフレーム以外の制御フレームの送信にも用いられてよい。また、PIFS以外の他の時間区間が用いられてもよい。
【0224】
図30は、本発明の実施例によってマルチリンク装置がACKを送信することを示す。
【0225】
マルチリンク装置のステーションは、no-STRマルチリンク装置のステーションにACKを送信するリンクを要請できる。具体的に、マルチリンク装置のステーションは、送信を行ったリンク以外の他のリンクでACKを送信することを要請できる。図28の実施例において、STRマルチリンク装置の第1AP(AP1)は、non-STRマルチリンク装置の第1ステーション(STA1)に対する送信(Tx(#2))を行う。この時、第1AP(AP1)は、送信(Tx(#2))に対するACKを第2リンク(Link2)で送信することを要請する。これは、第2AP(AP2)の第2ステーション(STA2)に対する送信よりも第1AP(AP1)の送信(Tx(#2))が先に終了し、第1AP(AP1)の送信(Tx(#2))に対するACKを送信し難いと判断したためである。
【0226】
また、このようなACK送信のためにステーションは、送信に対する即刻応答を送信しないように暗黙的(implicit)BARとACK政策を設定できる。さらに他の具体的な実施例において、ステーションは、送信に対するACK政策をBlockAckReqと設定できる。ただし、Block ACKを送信するためにはBlockAckReqを送信しなければならず、チャネルアクセス負担と送信遅延が発生し得る。このため、マルチリンク装置のための新しいACK政策が必要である。
【0227】
マルチリンク装置の一つのステーションは、ステーションが受信した送信に対するACKと、同じマルチリンク装置に含まれた他のステーションが受信した送信に対するACKを共に送信できる。このようなACK送信をML(multilink)-ACKと呼ぶことができる。また、ACK政策としてML-ACKが設定されてよい。図30の実施例において、第1AP(AP1)は送信(Tx(#2))のACK政策をML-ACKと設定する。第1ステーション(STA1)は送信(Tx(#2))を受信した後に、第1AP(AP1)にACKを送信しない。第2ステーション(STA2)は、第2AP(AP2)から送信された送信を受信完了し、第2AP(AP2)に、第1AP(AP1)からの送信に対するACKと第2AP(AP2)からの送信に対するACKを共に送信する。non-STRマルチリンク装置が第1ステーション(STA1)、第2ステーション(STA2)の他に、第3ステーション(STA3)も含み、STRマルチリンク装置が第1AP(AP1)、第2AP(AP2)の他に第3AP(AP3)も含むことができる。このとき、第2AP(AP2)からの第2ステーション(STA2)に対する送信のACK政策もML-ACKと設定されてよい。第3AP(AP3)からの第3ステーション(STA3)に対する送信が第2AP(AP2)からの第2ステーション(STA3)に対する送信よりも遅く完了する場合に、第3ステーション(STA1)は、第1AP(AP1)から第1ステーション(STA1)への送信に対するACK、第2AP(AP2)から第2ステーション(STA2)への送信に対するACK、及び第3AP(AP3)から第3ステーション(STA3)への送信に対するACKを第3AP(AP3)に送信できる。
【0228】
このような実施例により、non-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信が同時に完了しなくても、ACK送信によって発生し得るリンク間の干渉を防止することができる。前述した実施例において、ACK政策はML-ACKの代わりにBlockAckと設定されてもよい。さらに他の具体的な実施例において、ACK政策は、ML-ACK代わりにNo Ackと設定されてもよい。
【0229】
マルチリンク装置がトラフィックを送信を行いながら送信機会を獲得したリンクの個数が増えることがある。このとき、マルチリンク装置は、先に送信機会を獲得したリンクで送信しようとしたトラフィックを、後で信機会を獲得したリンクで送信することがある。この時、マルチリンク装置が先に送信機会を獲得したリンクで設定されたNAVは、トラフィックを送信するために必要なNAVよりも大きく設定されていることがある。マルチリンク装置が先に送信機会を獲得したリンクでトラフィックを送信するために必要なNAVよりも大きく設定された場合に、マルチリンク装置は、先に送信機会を獲得したリンクで送信を完了した後、CF-ENDフレームを送信してNAVをリセットできる。
【0230】
前述したシンクPPDUの受信及びシンクPPDUの受信に関連したシグナリングに関して図31図34で説明する。
【0231】
non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが前述したシンクPPDUを受信するためには、第1ステーションとnon-STR関係である第2ステーションがシンクPPDUを受信し始めるか否かを判断しなければならない。また、第1ステーションは、持続してPD(preamble detection)を行わなければならない。シンクPPDUを受信する第1ステーションがnon-STRマルチリンク装置の他のステーションの受信実行によってチャネルアクセスが禁止されたことを考慮すれば、第1ステーションのこのような動作は不合理であり得る。したがって、第1ステーションは、あらかじめ指定された条件内で節電状態に入ることができる。シンクPPDUは、既存に設定されたTXOP内で送信されてよい。したがって、シンクPPDUを受信することによって得られる性能利得は、残っているTXOPの長さによって決定されてよい。したがって、第1ステーションは、シンクPPDUの長さに基づいて、シンクPPDUの受信をあきらめるか否かを判断できる。第1ステーションがシンクPPDUの受信をあきらめる場合に、第1ステーションは節電状態に進入できる。このような節電動作をinter-link TXOP PS(power save)と称することができる。inter-link TXOP PSで節電状態に進入したステーションは、APから周期的に送信されるフレーム、例えば、ビーコンフレーム、TIMフレーム及びDTIMフレームを受信するために、節電状態から起床することができる。また、TXOPが終了する場合に、例えば、CF-ENDフレームが送信される場合に、inter-link TXOP PSで節電状態に進入したステーションは、節電状態から起床することができる。
【0232】
前述したTXOPは、PPDUのシグナリングフィールドのlengthフィールド、MACフレームのDurationフィールドで指示される期間に変更されてよい。具体的に、前述した実施例において、ステーションは、lengthフィールド、MACフレームのDurationフィールドで指示される期間に基づいて、PPDUが占有する時間を判断できる。
【0233】
non-APマルチリンク装置はAPマルチリンク装置に、シンクPPDU受信支援の有無及びシンクPPDU支援条件に関する情報をシグナルすることができる。また、APマルチリンク装置はnon-APマルチリンク装置に、APマルチリンク装置シンクPPDUの送信支援の有無をシグナルすることができる。この時、マルチリンク装置は、マルチリンク装置別にシンクPPDUの支援の有無をシグナルすることができる。例えば、APマルチリンク装置は、APマルチリンク装置別にシンクPPDU送信支援の有無をシグナルすることができる。さらに他の具体的な実施例において、マルチリンク装置は、ステーション別にシンクPPDUの支援の有無をシグナルすることができる。具体的に、APマルチリンク装置は、APマルチリンク装置に含まれたAP別にシンクPPDU送信支援の有無をシグナルすることができる。例えば、第1AP、第2AP及び第3APを含むAPマルチリンク装置は、第1APはシンクPPDU送信を支援し、第2AP及び第3APはシンクPPDU送信を支援しないことを指示できる。
【0234】
non-APマルチリンク装置と連結(association)されたAPマルチリンク装置がシンクPPDU送信を支援しないことをシグナルする場合に、non-APマルチリンク装置のステーションは、non-APマルチリンク装置の他のステーションが受信を行う中に、前述したinter-link PSの節電状態に進入できる。これは、non-APマルチリンク装置と連結(association)されたAPマルチリンク装置がシンクPPDUを送信できないためである。この時、non-APマルチリンク装置のステーションは、non-APマルチリンク装置の他のステーションが受信するPPDUの長さに基づいて、節電状態を維持する時間の長さを決定できる。
【0235】
前述したシンクPPDUの送信支援又は受信支援の有無は、ハードウェア性能の他にも運営政策によって決定されてよい。したがって、シンクPPDUの送信支援又は受信支援の有無は、性能に関する情報の他にも動作モード(operating mode)に関する情報によってシグナルされてよい。シンクPPDUの送信支援又は受信支援のシグナリング方法については、図31で具体的に説明する。
【0236】
図31には、本発明の実施例によってシンクPPDU受信支援又は送信支援に関する情報を指示するエレメントフィールドを示す。
【0237】
前述したように、シンクPPDU送信支援の有無を示す情報は、ステーションの能力を指示するエレメントに含まれてよい。説明の便宜のために、ステーションの能力を指示するエレメントをCapabilityエレメントと呼ぶ。また、CapabilityエレメントにおいてシンクPPDU送信支援の有無を示す情報のフィールドをSupporting Sync PPDU Txサブフィールドと称する。このとき、Capabilityエレメントは、マルチリンクに関する能力を指示するエレメントであるMulti-Linkエレメントであってよい。また、Capabilityエレメントは、EHT関連能力を指示するエレメントであるEHT Capabilityエレメントであってよい。図31(a)には、Capabilityエレメントの一例を示す。
【0238】
Supporting Sync PPDU Txサブフィールドの値が1である場合に、Supporting Sync PPDU Txは、Supporting Sync PPDU Txサブフィールドが指示するステーション又はマルチリンク装置がシンクPPDUの送信を支援することを示すことができる。Supporting Sync PPDU Txサブフィールドの値が0である場合に、Supporting Sync PPDU Txは、Supporting Sync PPDU Txサブフィールドが指示するステーション又はマルチリンク装置がシンクPPDUの送信を支援しないことを示すことができる。また、マルチリンク装置に含まれないステーションがCapabilityエレメントを送信する場合に、Supporting Sync PPDU Txサブフィールドは、シンクPPDU送信支援の有無と関連のない情報でない情報をシグナルするか或いはリザーブドフィールドとして用いられてよい。
【0239】
前述したように、シンクPPDU受信支援の有無を示す情報は、ステーションの動作関連情報を指示するエレメントに含まれてよい。説明の便宜のために、ステーションの動作関連情報を指示するエレメントを、Operationエレメントと称する。また、OperationエレメントにおいてシンクPPDU受信支援の有無を示す情報のフィールドを、Supporting Sync PPDU Rx Disableサブフィールドと称する。図31(b)は、Operationエレメントの一例を示す。Supporting Sync PPDU Rx Disabledサブフィールドの値が1である場合に、シンクPPDUの受信を所望しないことを示すことができる。具体的に、Supporting Sync PPDU Rx Disabledサブフィールドの値が1である場合に、Supporting Sync PPDU Rx Disabledサブフィールドは、Supporting Sync PPDU Rx Disabledサブフィールドを送信するステーションが、シンクPPDUの受信待機を所望しないことを示すことができる。Supporting Sync PPDU Rx Disabledサブフィールドの値を1に設定したマルチリンク装置は、マルチリンク装置の第1ステーションが受信を実行中に、マルチリンク装置の第2ステーションがPD及びCCAを行わなくてよい。Supporting Sync PPDU Rx Disabledサブフィールドを送信したマルチリンク装置と連結されたAPマルチリンク装置は、Supporting Sync PPDU Rx Disabledサブフィールドを送信したマルチリンク装置の複数ステーションに同時にPPDUを送信しない。PPDUは、non-HT PPDU、HT PPDU、VHT PPDU、HE PPDU及びEHT PPDUフォーマットのいずれか一つで送信されるSU PPDU、Full BW MU PPDU、OFDMA MU PPDUであってよい。この時、APマルチリンク装置は、応答、例えば、即刻応答を要請するフレームを送信してはならない。応答を要請するフレームは、RTS、MU-RTS(Multi-User RTS)、トリガーフレーム、BAR(Block Ack Request)のうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0240】
また、Operationエレメントは、Operationエレメントを送信したステーション又はマルチリンク装置が受信できるシンクPPDUの最小長と関連した情報を含むことができる。このとき、シンクPPDUの最小長さと関連した情報を指示するサブフィールドを、Remaining TXOP Thresholdサブフィールドと称する。Remaining TXOP Thresholdサブフィールドは時間を指示できる。また、Remaining TXOP Thresholdサブフィールドは、us、ms又はシンボル単位で指示できる。Remaining TXOP Thresholdサブフィールドを送信したマルチリンク装置と連結されたマルチリンク装置は、Remaining TXOP Thresholdサブフィールドが指示する長さよりも短いシンクPPDUを、Remaining TXOP Thresholdサブフィールドを送信したマルチリンク装置又はステーションに送信することが許容されなくてよい。
【0241】
また、Remaining TXOP Thresholdサブフィールドがあらかじめ指定された値に設定された場合に、Remaining TXOP Thresholdサブフィールドを送信したマルチリンク装置又はステーションがシンクPPDUの受信を支援しないことを示すことができる。あらかじめ指定された値は、Remaining TXOP Thresholdサブフィールドが示し得る最大時間よりも大きい時間を示す値であってよい。さらに他の具体的な実施例において、あらかじめ指定された値は0であってよい。このような実施例が適用される場合に、OperationエレメントにおいてSync PPDU Rx Disableサブフィールドは省略されてよい。
【0242】
また、前述した実施例においてSync PPDU Rx Disableサブフィールド及びRemaining TXOP ThresholdサブフィールドがOperationエレメントによってシグナルされ得ることを説明した。Sync PPDU Rx Disableサブフィールド及びRemaining TXOP Thresholdサブフィールドが、Operationエレメント以外のエレメント又はシグナリング情報によってシグナルされてよい。図32図34で、図31で説明したシグナリングによってリンク間TXOP節電モードが行われる実施例を説明する。
【0243】
図32には、本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置がリンク間TXOP節電モード動作を行うことを示す。
【0244】
non-STRマルチリンク装置がシンクPPDU受信を支援しないことをシグナルした場合に、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが受信を実行中に、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションは節電状態に進入できる。この時、第2ステーションは、第1ステーションの受信するPPDUが指示するTXOPの終了時点まで節電状態を維持できる。前述したように、第2ステーションは、APから周期的に送信されるフレーム受信が予測される時点が、第1ステーションの受信するPPDUが指示するTXOPの終了時点前の場合であってよい。この時、第2ステーションは、第1ステーションの受信するPPDUが指示するTXOPの終了時点前に節電状態から起床することができる。前述したように、APから周期的に送信されるフレームは、ビーコンフレーム、TIMフレーム及びDTIMフレームのうち少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0245】
第2ステーションは、第1ステーションの受信するPPDUが指示するTXOPの終了時点後にも節電状態を維持できる。具体的に、第2ステーションは、第2ステーションが連結されたAPから受信した情報に基づいて、第1ステーションの受信するPPDUが指示するTXOPの終了時点後にも節電状態を維持するか否かを判断できる。この時、第2ステーションが連結されたAPから受信した情報は、NAV関連情報であってよい。また、第2ステーションが連結されたAPから受信した情報は、第1ステーションが連結されたAPの動作情報であってよい。non-APマルチリンク装置の第2ステーションに送信を実行中であるAPマルチリンク装置の第2APが設定したNAVが満了していない場合に、APマルチリンク装置の第1APはシンクPPDUの受信を所望しないことをシグナリングしたnon-APマルチリンク装置の第1ステーションに、第1APの送信又は受信の予想終了時点及びNAVの満了予定時点に関する情報を送信することができる。non-APマルチリンク装置の第2ステーションに送信を実行中であるAPマルチリンク装置の第2APが設定したNAVが満了していない場合は、第2APがいずれか一つのステーションからPPDUを送信又は受信することを含むことができる。non-APマルチリンク装置の第2ステーションに送信を実行中であるAPマルチリンク装置の第2APが設定したNAVが満了していない場合は、第2ステーションが送信しなかったPPDUによって第2APにNAVが設定されたことを含むことができる。
【0246】
図32の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、シンクPPDUの受信を所望しないことをシグナルする。第1AP(AP1)は、第1ステーション(STA1)に送信を行う。このとき、第2ステーション(STA2)は、第1AP(AP1)が第1ステーション(STA1)に送信したPPDUが指示するTXOPの終了時点まで節電状態を維持する。
【0247】
図33には、本発明の実施例によってnon-STRマルチリンク装置のステーションがシンクPPDU受信待機において節電状態に進入することを示す。
【0248】
non-STRマルチリンク装置の第1ステーションは、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが受信中であるPPDUが指示したTXOPの残ったデューレーションが、non-STRマルチリンク装置の送信したRemaining TXOP Thresholdサブフィールドが指示する長さと同一である又は短い場合に、inter-link TXOPの節電状態に進入できる。この時、節電状態に進入する前に、すなわち第1ステーションが受信中であるPPDUが指示したTXOPの残ったデューレーションが、non-STRマルチリンク装置が送信したRemaining TXOP Thresholdサブフィールドが指示する長さよりも大きい場合に、第2ステーションが、第2ステーションに送信されたシンクPPDUを受信することができる。この時、第2ステーションはシンクPPDUを受信することができる。そのために、第2ステーションはPDを行い、受信したPPDUの意図した受信者が第2ステーションであるか否かを判断できる。具体的に、第2ステーションは、PPDUのシグナリングフィールドが指示するAID又はPPDUに含まれたMACフレームのRAが第2ステーションを指示するか否かを判断できる。
【0249】
図33の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、シンクPPDUの受信を所望することをシグナルする。この時、non-STR non-APマルチリンク装置は、シンクPPDU受信に必要な最小TXOPの長さ、「a」を共にシグナルする。第1AP(AP1)は第1ステーション(STA1)に送信を行い、第2ステーション(STA2)はシンクPPDUの受信を待つ。第1AP(AP1)が第1ステーション(STA1)に送信したPPDUのTXOPが「a」と同一である又は短い時に、第2ステーション(STA2)はinter-link TXOP節電状態に進入する。
【0250】
図34には、本発明のさらに他の実施例によってnon-STRマルチリンク装置のステーションがシンクPPDU受信待機において節電状態に進入することを示す。
【0251】
non-STRマルチリンク装置のステーションがシンクPPDUを受信を待機する中に、non-STRマルチリンク装置のステーションと連結されたAPが運営するBSSからシンクPPDU以外のPPDUの送信を感知した場合に、non-STRマルチリンク装置のステーションはinter-link TXOP節電状態に進入できる。このとき、ステーションは、ステーションが意図した受信者でないPPDUをシンクPPDUでないと判断できる。また、ステーションは、ステーションのシグナルした最小TXOPが残っていても、non-STRマルチリンク装置のステーションと連結されたAPが運営するBSSからシンクPPDUでないPPDUの送信を感知した場合に、non-STRマルチリンク装置のステーションはinter-link TXOP節電状態に進入できる。
【0252】
図34の実施例において、STR APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1AP(AP1)と第2リンク(Link2)で動作する第2AP(AP2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、第1リンク(Link1)で動作する第1ステーション(STA1)と第2リンク(Link2)で動作する第2ステーション(STA2)を含む。non-STR non-APマルチリンク装置は、シンクPPDUの受信を所望することをシグナルする。この時、non-STR non-APマルチリンク装置は、シンクPPDU受信に必要な最小TXOPの長さ、「a」を共にシグナルする。第1AP(AP1)は第1ステーション(STA1)に送信を行い、第2ステーション(STA2)はシンクPPDUの受信を待つ。第2ステーション(STA2)は、第2ステーションの属したBSSからシンクPPDUでないPPDUが送信されることを感知する。第1AP(AP1)が第1ステーション(STA1)に送信したPPDUのTXOPが「a」よりも大きいが、第2ステーション(STA2)はinter-link TXOP節電状態に進入する。
【0253】
<マルチリンク単一ラジオ(Single Radio)マルチリンク装置サービス手順>
【0254】
前述したように、マルチリンク装置は、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが送信を行うことによって第2ステーションがブラインド状態になることを考慮して適応的に動作することができる。具体的には、マルチリンク装置がnon-STRマルチリンク装置のステーションがブラインド状態であると判断した場合に、マルチリンク装置はnon-STRマルチリンク装置のステーションに対する送信を中断してよい。また、non-STRマルチリンク装置のステーションは、non-STRマルチリンク装置の他のステーションの動作、例えば、送信及び受信に基づいて節電状態(doze state)に進入してよい。これにより、non-STRマルチリンク装置のいずれか一つのステーションの動作によって他のステーションの動作が制限される時に発生し得る問題を解決することができる。
【0255】
non-STRマルチリンク装置は、前述したように、装置内干渉のため、non-STRマルチリンク装置が含む別個のステーションが受信と送信を同時に行うことができない。また、non-STRマルチリンク装置のハードウェア構成の制約のため、non-STRマルチリンク装置が含む別個のステーションが受信と送信を同時に行うことができない。具体的には、non-STRマルチリンク装置の第1ステーションが送信又は受信を行う時に、non-STRマルチリンク装置の第2ステーションが送受信部を使用することが制限され得る。例えば、non-STRマルチリンク装置は、1個のPPDUプロセシングのみを支援できる。このとき、non-STRマルチ装置の第1ステーションが送信又は受信を行う場合に、non-STRマルチ装置の第2ステーションは送信又は受信を行うことができない。このように複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含むか複数のステーションが同時に送信又は受信することを支援しないマルチリンク装置を単一ラジオマルチリンク装置と呼ぶ。したがって、単一ラジオマルチリンク装置のいずれか一つのステーションが送受信を行う時に単一ラジオマルチリンク装置の他のステーションは送受信を行うことができない。マルチリンク装置が単一ラジオマルチリンク装置で動作することは、前述したようにハードウェア制約又は動作モード定義に従い得る。したがって、本明細書において、単一ラジオマルチリンク装置は、ハードウェア制約によってステーションの動作が制限されるマルチリンク装置の他、動作モードの定義によってステーションの動作が制限されるマルチリンク装置のことを指すことができる。したがって、本明細書の単一ラジオマルチリンク装置は、マルチリンク装置の複数のステーションが同時に送信又は受信を行うことを支援するが、特定条件でマルチリンク装置の複数のステーションが同時に送信又は受信を行うことを支援しないマルチリンク装置を含むことができる。このとき、特定条件は、特定時点を含むことができる。
【0256】
具体的には、マルチリンク装置は、動作モードによって単一ラジオマルチリンク装置として動作できる。例えば、特定モードが非活性化されるとマルチリンク装置が複数のリンクで送信又は受信を行い、特定モードが活性化される場合に、特定時間区間で複数のリンクのうち単一リンクでのみ送信又は受信を行うことができる。この時、特定モードが非活性化されると、マルチリンク装置は、複数のステーションで送信又は受信を行い、特定モードが活性化される場合に、特定時間区間では複数のステーションのうち単一ステーションでのみ送信又は受信を行うことができる。この時、特定時間区間は、いずれか一つのリンクでマルチリンク装置がフレーム交換を行う時間を含んでよい。具体的には、特定時間区間は、マルチリンク装置が、いずれか一つのリンクでフレーム交換を開始(initiate)する初期制御フレームを受信した時から当該フレーム交換の終了時点までであってよい。特定モードの特定時間区間においてマルチリンク装置が単一リンクで単一ラジオを用いる場合に、特定モードをEMLSR(enhanced multi-link single radio)モードと呼ぶことができる。EMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでマルチリンク装置がフレーム交換を行う間に、マルチリンク装置はEMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わない。また、特定モードの特定時間区間においてマルチリンク装置の特定ステーションが用いるRFチェーンの一部をマルチリンク装置の他のステーションが用いて送信又は受信を行う場合に、特定モードをEMLMR(enhanced multi-link multi-radio)モードと呼ぶ。具体的には、EMLMRモードでマルチリンク装置のいずれか一つのステーションがマルチリンク装置の他のステーションのRFチェーンを全て用いて送信又は受信を行う場合に、マルチリンク装置の動作はEMLSRモードでのマルチリンクの動作と同一であってよい。また、マルチリンク装置がEMLSRモードで動作しても、マルチリンク装置が動作する複数のリンクのうち一部のリンクは、EMLSRモードによる制限無しで動作できる。マルチリンク装置がEMLSRモードで動作する時に、EMLSRモードが適用されるリンクは、マルチリンク装置が動作するリンクのうち一部であってよい。例えば、マルチリンク装置が第1リンク~第3リンクで動作する時に、第1リンク及び第2リンクにのみEMLSRモード又はEMLMRモードが適用されてよい。したがって、EMSLRモードの特定時間区間においてマルチリンク装置が第1リンクで送信又は受信を行う時に、マルチリンク装置は第2リンクで送信又は受信を行うことができない。この時、マルチリンク装置は、第3リンクでEMLSRモードによる制限無しで送信又は受信を行うことができる。説明の便宜のために、第1リンクと第2リンクのようにEMLSRモードが適用され得るリンクをEMLSRリンクと呼び、EMLMRモードが適用される得るリンクをEMLMRリンクと呼ぶ。EMLSRモードとEMLMRモードで特定ステーションのRFチェーンを用いて送信又は受信を行うことは、特定ステーションが動作するリンクでの送信、受信又はモニタリング能力の転換をもたらす。したがって、以下の説明においてEMLSRモードと関連して適用される本発明の実施例は、特に言及がなくても、EMLMRモードと関連して同一に適用されてよい。
【0257】
前述したnon-STRマルチリンク装置の動作に関する実施例は、単一ラジオマルチリンク装置の動作にも適用可能である。また、前述したnon-STRマルチリンクのステーションと送受信を行うステーションの動作に関する実施例は、単一ラジオマルチリンク装置のステーションと送受信を行うステーションの動作にも適用可能である。例えば、第2リンクで単一ラジオマルチリンク装置の送信又は受信によってステーションが第1リンクで単一ラジオマルチリンク装置に対する送信に失敗したと判断する場合に、ステーションは、第1リンクで行うチャネルアクセスのCWを増加させなくてよい。具体的には、ステーションは、図14で説明した実施例を適用することができる。この時、第2リンクで単一ラジオマルチリンク装置の送信又は受信によってステーションが第1リンクで単一ラジオマルチリンク装置に対する送信に失敗したと判断する方法は、non-STRマルチリンク装置の動作制限によってステーションがnon-STRマルチリンクのステーションに対する送信に失敗したかと判断する方法に類似し得る。
【0258】
図35には、本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置とAPマルチリンク装置との連結を示す。
【0259】
本明細書において、PHYバックエンドは、PPDUをエンコード及びデコードするプロセッサを含むフィジカルレイヤのデジタルプロセッサを総称する。また、PHYフロントエンドは、RFチェーンを含むアナログベースバンドサーキットを総称する。
【0260】
単一ラジオマルチリンク装置の複数のステーションは互いに異なるリンクで動作する。複数のステーションはPHYバックエンドを共有し得る。この時、いずれか一つのステーションがPPDUを送信する場合に、PHYバックエンドはPPDUのエンコーディングに用いられる。したがって、この時、複数のステーションの残りステーションはPHYバックエンドを用いることができない。したがって、単一ラジオマルチリンク装置は、互いに異なるリンクで動作する複数のステーションを含むが、1回に1個のリンクでしか送信又は受信を行うことができない。
【0261】
ただし、単一ラジオマルチリンク装置は、複数のリンクでチャネルアクセスを行うことができる。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置は複数のリンクでモニタリングを行うことができる。したがって、単一ラジオマルチリンク装置は複数のリンクでチャネルアクセスを行うことができる。この時、モニタリングはチャネルセンシングを含むことができる。また、チャネルセンシングは、CCA(clear channel assessment)及びPD(preamble detection)の少なくともいずれか一方を含むことができる。これにより、単一ラジオマルチリンク装置はチャネルアクセス遅延を減らすことができる。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置の第1ステーションが、第1リンクで行われる他の無線通信装置のチャネル占有によってチャネルアクセスを行うことができないとしても、単一ラジオマルチリンク装置の第2ステーションは第2リンクでバックオフ手順を行うことができる。これらの実施例において、単一ラジオマルチリンク装置は、前述したように、EMLSRモードで動作するマルチリンク装置であってよい。
【0262】
このような実施例を支援するために単一ラジオマルチリンク装置のPHYフロントエンドは、PHYバックエンドから独立してチャネルモニタリングを支援することができる。また、単一ラジオマルチリンク装置のPHYフロントエンドは、PDのためにPHYバックエンドから独立してPPDUのプリアンブルに対するデコーディングを支援することができる。また、単一ラジオマルチリンク装置のPHYフロントエンドは、PHYバックエンドから独立して低いMCSによって送信されるフレームの受信を支援することができる。この時、低いMCSによって送信されるフレームは、RTSフレーム及びMU-RTSフレームの少なくとも一方を含むことができる。したがって、PHYフロントエンドはMACプロセッサを含むことができる。また、このような実施例により、PHYバックエンドのプロセシングパワーはデータフレームのエンコーディング及びデコーディングに集中的に活用され得る。
【0263】
図35の実施例において、APマルチリンク装置は、第1AP(AP1)と第2AP(AP2)を含む。単一ラジオマルチリンク装置は、第1non-APステーション(Non-AP STA1)と第2non-APステーション(Non-AP STA2)を含む。第1AP(AP1)は第1リンクLink1で第1non-APステーション(Non-AP STA1)と連結され、第2AP(AP2)は第2リンクLink2で第2non-APステーション(Non-AP STA2)と連結される。前述した実施例のように、第1Non-APステーション(Non-AP STA1)と第2Non-APステーション(Non-AP STA2)のそれぞれは、PHYフロントエンドを用いて独立してチャネルアクセスを行う。
【0264】
単一ラジオマルチリンク装置は、送信又は受信に参加しないステーションのRFチェーンをMIMO送信に用いることができる。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置の第1ステーションがチャネルアクセス機会を得た場合に、第1ステーションは、第1ステーションが用いたRFチェーンの他にも、単一ラジオマルチリンク装置の第2ステーションが用いたRFチェーンまで用いてMIMO送信を行うことができる。これについては図36で説明する。
【0265】
図36には、本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置がMIMO送信を行うことを示す。
【0266】
図36の実施例において、単一ラジオマルチリンク装置の第1ステーションSTA1は第1リンクLink1で動作し、単一ラジオマルチリンク装置の第2ステーションSTA2は第2リンクLink2で動作する。第1ステーションSTA1は第1リンクLink1でチャネルアクセスを行い、第2ステーションSTA2は第2リンクLink2でチャネルアクセスを行う。第1ステーションSTA1が第1リンクLink1でチャネルアクセスに成功した場合に、第1ステーションSTA1は第1リンクLink1でチャネルアクセスに用いたRFチェーンの他に、第2ステーションSTA2が第2リンクLink2でチャネルアクセスに用いたRFチェーンも用いて第1リンクLink1で2x2MIMO送信を行う。
【0267】
このように、第2リンクで動作するRFチェーンが第1リンクで動作するように変更される場合に、単一ラジオマルチリンク装置は第2リンクでモニタリング及びチャネルアクセスを行うことができない。また、第2リンクで動作する途中に第1リンクで動作するように変更されたRFチェーンが再び第2リンクで動作する場合に、単一ラジオマルチリンク装置は、あらかじめ指定された時間だけ待機した後、第2リンクでチャネルアクセスを行うことができる。このように、第1リンクで動作するRFチェーンが第2リンクで動作するように変更される場合に、単一ラジオマルチリンク装置は、第1リンクでモニタリング及びチャネルアクセスを行うことができない。また、当該RFチェーンが再び第2リンクで動作する場合に、単一ラジオマルチリンク装置はあらかじめ指定された時間の間に待機した後に第2リンクでチャネルアクセスを行うことができる。この時、RF変更の完了した時からあらかじめ指定された時間において第2リンクで単一ラジオマルチリンク装置のチャネルアクセスが制限されてよい。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置は、RF変更の完了した時からあらかじめ指定された時間だけ待機した後、第2リンクでチャネルアクセスを行うことができる。このとき、チャネルアクセスはバックオフ手順を含むことができる。また、あらかじめ指定された時間は、チャネルモニタリングが不可能な時間によってチャネルアクセスに対する制限が必要な時に適用されるあらかじめ指定された時間であってよい。具体的には、あらかじめ指定された時間は、NAVSyncdelayであってよい。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置は、NAVSyncdelayだけ待機した後にバックオフ手順を行うことができる。これは、単一ラジオマルチリンク装置にとってチャネルモニタリングが行えなかった期間によって、第2リンクで行われている他の無線通信端末の送信を感知できない確率が高いためである。また、RFチェーンが動作するリンクが変更される場合に、RFチェーンが動作を始めるための遅延時間が必要であり得る。したがって、単一ラジオマルチリンク装置はRFチェーン変更の遅延時間を考慮してチャネルアクセスを行うことができる。これについては図37で説明する。また、説明の便宜のために、いずれか一つのリンクで動作するRFチェーンを他のリンクで動作するように変更させることをRFチェーンの変更と称する。また、リンクの変更は、リンクで支援するRFチェーンの変更のことを指すことができる。具体的には、第1リンクで複数のRFチェーンの使用を支援しているが一つのRFチェーンの使用を支援する場合、又は第2リンクで一つのRFチェーンの使用も支援していないが一つのRFチェーンの使用を支援する場合を、RFチェーンの変更と称することができる。
【0268】
前述したEMLSRモード又はEMLMRモードでマルチリンク装置が動作する時に、EMLSRモード又はEMLMRモードが適用されるリンクで送信、受信又はモニタリング能力が変更されてよい。これにより、EMLSRモード又はEMLMRモードが適用されるリンクのRFチェーンが再び設定されてよい。このようにEMLSRモード又はEMLMRモードでリンクがスイッチング(switch)される場合にも前述のチャネルアクセス制限が適用されてよい。EMLSRモード又はEMLMRモードが適用されるリンクでリンクスイッチングが行われる場合に、再設定時点からあらかじめ指定された時間の間に、マルチリンク装置のステーションのうちモード転換が適用されるステーションのチャネルアクセスが制限されてよい。あらかじめ指定された時間は、NAVSyncDelay又はMediumSyncDelayであってよい。あらかじめ指定された時間が経過しなかった場合にも、NAVを設定できるフレームを受信すると、マルチリンク装置のチャネルアクセス制限が解除されてよい。また、あらかじめ指定された時間は、NAVSyncDelayパラメータによって指示された時間であってよい。これらの実施例において、リンクスイッチングが完了した時点、すなわち、モニタリング能力を回復した時点からあらかじめ指定された時間が経過する前であっても、ステーションは、NAVを設定するコントロールフレームを送信してフレーム交換を始めることができる。NAVを設定するコントロールフレームは、RTSフレーム及びMU-RTSフレームの少なくとも一方であってよい。以下の説明において、リンクのスイッチングは、リンクの送信、受信又はモニタリング能力の全部又は一部を喪失してから回復することを含んでよい。
【0269】
このとき、EMLSRモード又はEMLMRモードが適用されるリンクの送信、受信又はモニタリング能力が変更される場合は、RFチェーンの周波数帯域又は中心周波数が変更される場合を含んでよい。
【0270】
また、マルチリンク装置のチャネルアクセス制限は、マルチリンク装置の送信が禁止され、マルチリンク装置がCCAを行うことであってよい。
【0271】
単一ラジオマルチリンク装置とMIMOを用いて通信するステーションは、マルチリンク装置のステーションであってよい。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置とMIMOを用いて通信するステーションは、マルチリンク装置に含まれたAPであってよい。本明細書において特に説明がない限り、単一ラジオマルチリンク装置とMIMOを用いて通信するステーションは、マルチリンク装置に含まれたステーションであってよい。このとき、マルチリンク装置に含まれたステーションは、APであってよい。また、本明細書においてマルチリンク装置のステーションの動作として説明したものは、マルチリンク装置の動作を表現したものであってよい。
【0272】
図37には、本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置がRFチェーン変更の遅延時間を考慮してチャネルアクセスを行う動作を示す。
【0273】
単一ラジオマルチリンク装置は、チャネルアクセスに成功することが予想される時点前にRFチェーンを変更することができる。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置は、チャネルアクセスに成功することが予想される時点から、RFチェーン変更の遅延時間に基づいて設定された時間分だけの前にRFチェーンを変更できる。例えば、単一ラジオマルチリンク装置は、チャネルアクセスに成功することが予想される時点からRFチェーン変更の遅延時間分だけ早い時点にRFチェーンを変更することができる。
【0274】
図37の実施例において、単一ラジオマルチリンク装置の第1ステーションSTA1は第1リンクLink1で動作し、単一ラジオマルチリンク装置の第2ステーションSTA2は第2リンクLink2で動作する。第1ステーションSTA1は第1リンクLink1でチャネルアクセスを行い、第2ステーションSTA2は第2リンクLink2でチャネルアクセスを行う。第1ステーションSTA1が第1リンクLink1でチャネルアクセスに成功した場合に、第1ステーションSTA1は第1リンクLink1でチャネルアクセスに用いたRFチェーンの他に、第2ステーションSTA2が第2リンクLink2でチャネルアクセスに用いたRFチェーンも用いて、第1リンクLink1で2x2MIMO送信を行う。図37(a)の実施例において、単一ラジオマルチリンク装置は、チャネルアクセスに成功することが予想される時点(Expected Tx time)から、RFチェーン変更の遅延時間(RF chain switching delay)分だけ早い時点にRFチェーンを変更する。
【0275】
さらに他の具体的な実施例において、単一ラジオマルチリンク装置がRFチェーンを変更した後に送信開始において、単一ラジオマルチリンク装置はRTSフレーム/CTSフレーム交換を開始することができる。さらに他の具体的な実施例において、単一ラジオマルチリンク装置がRFチェーンを変更した後に送信開始において、単一ラジオマルチリンク装置はCTS-to-Selfフレームを送信することができる。また、単一ラジオマルチリンク装置は、CTS-to-Selfフレームの代わりに、比較的短い長さを有するフレームを送信することができる。このような実施例により、単一ラジオマルチリンク装置は、RFチェーン変更が完了するまでにかかる時間を取得ことができる。また、このような実施例は、前述した実施例と違い、予測した時点にチャネルアクセスに成功できない場合にも問題が発生しなくてすむ。
【0276】
図37(b)の実施例において、単一ラジオマルチリンク装置は、第1リンクLink1でRTSフレーム/CTSフレーム交換によって送信を開始する。
【0277】
図38には、本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置が用いるCapabilityエレメントとOperationエレメントを示す。
【0278】
単一ラジオマルチリンク装置は、図36及び図37で説明したように、RFチェーンを変更して送信又は受信を行うことができる。また、単一ラジオマルチリンク装置はRFチェーンを変更せずに送信又は受信を行うことができる。単一ラジオマルチリンク装置はRFチェーンを変更するか否かを選択することができる。
【0279】
単一ラジオマルチリンク装置は、OperationエレメントのMIMO Rx supportサブフィールドで、当該リンクでMIMO通信を行う際に他のリンクのRFチェーンも用いるかを示すことができる。例えば、単一ラジオマルチリンク装置がOperationエレメントのMIMO Rx supportサブフィールドの値を1に設定する場合に、MIMO Rx supportサブフィールドは、OperationエレメントのMax Rx spatial streamサブフィールドの値以下の個数の空間(spatial)ストリームを用いてMIMO受信を行うことを示すことができる。このとき、単一ラジオマルチリンク装置にMIMO送信を行うステーションは、OperationエレメントのMax Rx spatial streamサブフィールドの値以下の個数の空間(spatial)ストリームを用いてMIMO送信を行わなければならない。具体的な実施例において、Operationエレメントのフォーマットは、図38(a)の通りでよい。
【0280】
また、単一ラジオマルチリンク装置は、RFチェーン変更にかかる時間をCapabilityエレメントでシグナルすることができる。このとき、capabilityエレメントのswitching latencyサブフィールドが、RFチェーン変更にかかる時間を示すことができる。単一ラジオマルチリンク装置にMIMO送信を行うステーションは、RFチェーン変更にかかる時間を考慮してMIMO送信を行わなければならない。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置にMIMO送信を行うステーションは、単一ラジオマルチリンク装置に対する最初の送信から、RFチェーン変更にかかる時間が経過した後にMIMO送信を始めることができる。具体的な実施例において、Capabilityエレメントのフォーマットは図38(a)の通りでよい。
【0281】
単一ラジオマルチリンク装置が第1リンクで送信又は受信を行う場合に、単一ラジオマルチリンク装置に送信を行おうとするステーションが第1リンク以外のリンクで送信を行うことが許容されなくてよい。これは、第1リンクで送信又は受信が行われる間に単一ラジオマルチリンク装置が第1リンクでないリンクで受信を行うことができないためである。具体的には、第1リンクでフレームが交換が行われる間の他に、単一ラジオマルチリンク装置がフレーム交換シーケンスを完了した時から一定時間が経過するまでも、単一ラジオマルチリンク装置に送信を行おうとするステーションが第1リンクでないリンクで送信を行うことが許容されなくてよい。具体的には、フレーム交換シーケンスの完了は、フレーム交換シーケンスの最後のフレームの受信又は送信に基づいて決定されてよい。このとき、フレーム交換シーケンスは、複数のRFチェーンの使用が可能なリンクで行われてよい。具体的には、フレーム交換シーケンスは、MIMOを用いて行われてよい。一定時間は、RFチェーン変更にかかる時間に基づいて決定されてよい。具体的には、一定時間は、RFチェーン変更にかかる時間であってよい。
【0282】
マルチリンク装置のEMLSRモードが活性化される場合に、特定時間区間で当該マルチリンク装置のEMLSRモードが適用される複数のリンクのうち特定リンクでのみ送信及び受信が可能である。また、マルチリンク装置のEMLMRモードが活性化される場合に、特定時間区間で当該マルチリンク装置のEMLMRモードが適用される複数のリンクのうち特定リンクでのみ送信及び受信が可能になる。また、前述したように、EMLSRモード又はEMLMRモードが適用されるリンクの送信、受信又はモニタリング能力が変更される時にRFチェーンが再設定されてよい。これは、EMLMRモード又はEMLSRモードで送信、受信又はモニタリング能力の全部又は一部を喪失したリンクでのモニタリング能力を回復するためである。すなわち、RFチェーンの再設定は、EMLMRモード又はEMLSRモードが適用されたリンクでのモニタリング又は送受信能力を回復するためである。したがって、マルチリンク装置のステーションのうち、送信、受信又はモニタリング能力が回復する、例えば、EMLSRモードにおいてフレーム交換が行われていないリンクで動作するステーションに送信を行おうとするステーションは、リンクの送信、受信又はモニタリング能力が再び設定される時点からあらかじめ指定された時間の間に、EMLMRリンク又はEMLSRリンクでマルチリンク装置とのフレーム交換を始めることができない。このとき、EMLMRリンク又はEMLSRリンクは、リンクスイッチング、例えば、RFチェーンが再設定されたリンクに限定されてよい。このとき、あらかじめ指定された時間は、リンクスイッチングのための遅延時間であってよい。このとき、リンクスイッチングは、モニタリング能力を喪失したリンクでモニタリング能力を回復するための動作を表すことができる。具体的には、あらかじめ指定された時間は、リンクスイッチング、例えば、RFチェーン変更の所要時間に基づいて設定されてよい。このような動作のためには、マルチリンク装置とフレーム交換を行うステーション又はマルチリンク装置にとってリンクスイッチング時点を判断できる必要がある。前述したように、ステーション又はマルチリンク装置がEMLMRモード又はEMLSRモードの終了時点を判断できるが、以下の終了時点判断方法の実施例に関する説明では、説明の便宜のために、ステーションを主体にして説明する。説明の便宜のために、EMLMRモードとEMLSRモードをEMLモードと総称する。また、EMLMRリンクとEMLSRリンクをEMLリンクと総称する。
【0283】
ステーションは、EMLリンクのうち一つである第1リンクでフレーム交換を行う時に、EMLリンクのうち一つである第2リンクでフレーム交換終了時点に対するタイマーを設定することができる。説明の便宜のために、このタイマーを終了時点タイマーと称する。このとき、ステーションは、EMLモードに進入するマルチリンク装置から受信したフレームのDuration/IDフィールドに基づいて終了時点タイマーを設定することができる。ステーションは、終了時点タイマーが満了した時を、タイマーに該当するフレーム交換の終了時点と判断できる。また、EMLモードが適用されたマルチリンク装置も、終了時点に対するタイマーを設定することができる。この時、マルチリンク装置は、ステーションの終了時点タイマーと終了時点タイマーとを同期化させることができる。マルチリンク装置は、APから受信したフレームのDuration/IDフィールドに基づいて終了時点タイマーを設定することができる。
【0284】
フレーム交換終了時点は、EMLモードでフレーム交換が完了する時点であってよい。さらに他の具体的な実施例において、フレーム交換終了時点は、EMLMRモード又はEMLSRモードにおいてフレーム交換を保護するために設定されたTXOPの終了時点であってよい。
【0285】
したがって、ステーションは、EMLモードが適用される時に交換されるフレームのために設定されたTXOPの終了時点をフレーム交換終了時点と判断できる。このとき、TXOPの終了は、TXOPが完了する前に新しいバックオフ手順を開始(invoke)しなければならず、TXOPが終了した場合を含んでよい。TXOP内で(aSIFSTime+aSlotTime)の間にTXOPホルダー及びTOXP応答者(responder)の誰もチャネルを占有できなかった場合に、新しいバックオフ手順を開始しなければならない。aSIFSTimeは、802.11で定義するSIFS、すなわち16usを表し、aSlotTimeは、EDCA及びDCFにおいてチャネルセンシングのための単位時間、すなわち9usを表す。以下の説明においてaSIFSTimeとaSlotTimeが使われる場合に、特に説明がない限り、このような意味で使われる。具体的には、ステーションは、EMLモードにおいてEMLリンクで送信されたフレームのDuration/IDフィールドが指示する期間が経過した時をフレーム交換終了時点と判断できる。
【0286】
また、ステーションは、EMLモードにおいてフレーム交換が行われるEMLリンクでマルチリンク装置に応答フレームを送信した後、当該リンクが一定時間遊休として感知された時を、フレーム交換終了時点と判断できる。ステーションは、マルチリンク装置から即刻の応答フレームを要求しないフレームを受信することができる。この時、ステーションは応答フレームを送信しない。したがって、ステーションは、EMLモードにおいてフレーム交換が行われるEMLリンクでマルチリンク装置に応答フレームを要請しないフレームを受信した時から当該リンクが一定時間遊休として感知された時をフレーム交換終了時点と判断できる。また、ステーションが応答フレームを要請するフレームを受信した場合に、ステーションは、EMLモードにおいてフレーム交換が行われるEMLリンクでマルチリンク装置に応答フレームを送信した後、当該リンクが一定時間遊休として感知された時をフレーム交換終了時点と判断できる。これらの実施例において、一定時間は、PIFS+aRXPHYStartDelayであってよい。PIFSは、aSIFSTime+aSlotTimeであってよい。また、aRXPHYStartDelayは、PHYがRx動作を開始した後、MACが当該事実を認知するまでにかかる時間に関連した遅延時間であってよい。このとき、ステーションは、応答フレームを送信した時点を、応答したフレームに対するPHY-TXEND.confirmプリミティブ(primitive)が発生した時点と判断できる。また、ステーションが応答フレームを要求しないフレームを受信した時点は、PHY-RXEND.indicationプリミティブが発生した時点であってよい。これらの実施例は、従来WLANにおいてTXOPホルダーがTXOP内で連続のフレームを送信できる条件が満たされない場合を考慮したものである。すなわち、TXOPホルダーが送信に失敗して再びバックオフ手順を試みなければならない場合にフレーム交換は終了すると判断する実施例である。具体的な実施例においてTXOPは次のように終了してよい。
【0287】
受信したPPDUに含まれたフレームのAck Policyが「HETP Ack」である場合に、EMLモードのマルチリンク装置は、Ack応答を行うためには、PPDUに含まれたTiggerフレーム又はTRS Controlフィールドを成功的に受信しなければならない。EMLモードのマルチリンク装置がTriggerフレーム又はTRS Controlフィールドを成功的に受信できなかった場合に、マルチリンク装置は、応答フレームを要請するフレームを受信した場合にも応答を送信できない。この時、即刻の応答を要求するフレームをステーションが再送信しないとTXOPは終了する。
【0288】
APマルチリンク装置は、EMLモードで交換されるフレームを保護するために設定されたTXOP時点からEMLモードが適用されたマルチリンク装置のRFスイッチング変更所要時間の間に、EMLモードが適用されたマルチリンク装置に初期制御フレームを送信することが許容されない。すなわち、APマルチリンク装置は、EMLモードで交換されるフレームを保護するために設定されたTXOP時点からEMLモードが適用されたマルチリンク装置のRFスイッチング変更所要時間後に、EMLモードが適用されたマルチリンク装置に初期制御フレームを送信することができる。
【0289】
また、ステーションは、EMLモードにおいてフレーム交換が行われるEMLリンクでCF-Endフレームを受信した時をフレーム交換終了時点と判断できる。このとき、ステーションは、CF-EndフレームによるPHY-RXSTART.indicationプリミティブ発生時点にCF-Endフレームを受信したと判断できる。さらに他の具体的な実施例において、ステーションは、CF-EndフレームによるPHY-RXEND.indicationプリミティブ発生時点にCF-Endフレームを受信したと判断できる。さらに他の具体的な実施例において、ステーションは、CF-Endフレームを受信した時点からaSIFSTime前をフレーム交換終了時点と判断できる。このとき、ステーションは、CF-EndフレームによるPHY-RXSTART.indicationプリミティブ発生時点にCF-Endフレームを受信したと判断できる。さらに他の具体的な実施例において、ステーションは、CF-EndフレームによるPHY-RXEND.indicationプリミティブ発生時点にCF-Endフレームを受信したと判断できる。
【0290】
ステーションが終了時点タイマーを設定できるということについては上述した。ステーションがCF-Endフレームを受信した時に、ステーションは終了時点タイマーをリセット、すなわち0に設定できる。さらに他の具体的な実施例において、ステーションがCF-Endフレームを受信した時に、ステーションは、終了時点タイマーを0よりも小さい値に設定できる。このとき、0よりも小さい値は、CF-Endフレームの送信時間(air time)に対応する時間であってよい。このとき、EMLモードが適用されていたマルチリンク装置とフレーム交換を行おうとするステーションは、CF-Endフレームを受信すると直ちに新しいフレーム交換を始めることができる。
【0291】
前述したリンクスイッチングによる送信制限は、EMLモードで送信、受信又はモニタリング能力を喪失していたリンク、例えば、EMLSRモードにおいてフレーム交換が行われなかったリンクにのみ適用されてよい。すなわち、リンクスイッチングによる送信制限は、EMLモードで送信、受信又はモニタリング能力を喪失していないリンク、例えば、EMLSRモードにおいてフレーム交換が行われたリンクには適用されなくてよい。例えば、EMLリンクが第1リンク及び第2リンクであり、EMLモードにおいて第1リンクでフレーム交換が行われ、第1リンクでのフレーム交換が終了する時に第2リンクにのみ送信制限が適用されてよい。また、リンクスイッチングが行われる時に第1リンクには送信制限が適用されなくてよい。
【0292】
上のような実施例が適用されるとき、リンクスイッチングを行ったマルチリンク装置は、フレーム交換終了時点からあらかじめ指定された時間内にEMLモードで送信、受信又はモニタリング能力を喪失したリンク、例えば、EMLSRモードにおいてフレーム交換が行われなかったリンクに対するモニタリングを回復する必要がある。また、ステーション、例えば、APマルチリンク装置のAPは、フレーム交換終了時点からあらかじめ指定された時間後に、EMLモードで送信、受信又はモニタリング能力を喪失したリンク、例えば、EMLSRモードにおいてフレーム交換が行われなかったEMLリンクで、EMLモードが適用されたマルチリンク装置に対するフレーム交換を始めることができる。
【0293】
EMLモードが適用されるステーションは、フレーム交換の終了を示すフレームを送信することができる。このとき、フレーム交換の終了を示すフレームは、CF-Endフレームであってよい。例えば、EMLモードでフレーム交換を完了したステーションは、フレーム交換のために設定されたTXOPが終了する前にCF-Endフレームを送信することができる。この時、CF-Endフレームを受信したマルチリンク装置は、CF-Endフレームを送信したマルチリンク装置がEMLSRモード又はEMLMRモードでフレーム交換を完了したと判断できる。これにより、リンクスイッチングによって送信及び受信が制限されていたリンクでのフレーム交換を早めることができる。
【0294】
また、RFチェーン変更直後のフレーム交換シーケンスにおいて、単一ラジオマルチリンク装置に送信を行おうとするステーションは、単一ラジオマルチリンク装置のRFチェーン変更にかかる時間に基づいて、フレーム交換シーケンスで最初(initial)に送信するPPDUのフォーマットを決定することができる。また、RFチェーンの変更後に始まる最初のフレーム交換シーケンスにおいて、単一ラジオマルチリンク装置に送信を行おうとするステーションは、単一ラジオマルチリンク装置のRFチェーン変更にかかる時間に基づいてフレーム交換シーケンスで最初(initial)に送信するPPDU送信に用いられるパディングの長さを決定することができる。このとき、パディングは、フィジカルレイヤのパディング又はMACレイヤのパディングのいずかれ一方であってよい。具体的には、ステーションは、RFチェーン変更にかかる時間が相対的に大きい単一ラジオマルチリンク装置に送信するパケットのパディングよりも、RFチェーン変更にかかる時間が相対的に少ない単一ラジオマルチリンク装置に送信するパケットのパディングを短く設定することができる。
【0295】
さらに他の具体的な実施例において、EMLSRモードのフレーム交換において最初に送信される制御(control)フレームである初期(initial)制御フレームにパディングが挿入されてよい。このとき、パディング長さ(duration)は、リンクスイッチングの所要時間に基づいて決定されてよい。具体的には、マルチリンク装置は、リンクスイッチングの所要時間と(2x SIFS+CTS_time)との差と等しい又は大きい時間に該当するパディングの長さと等しい又は長い長さのパディングを初期制御フレームに挿入することができる。このとき、CTS_timeは、CTSフレームを送信するためにかかる時間(air time)を示す。すなわち、マルチリンク装置は、リンクスイッチング時間から(2x SIFS+CTS_time)を引いた時間に該当するパディングの長さと等しい又は長い長さのパディングを初期制御フレームに挿入することができる。さらに他の具体的な実施例において、マルチリンク装置は、リンクスイッチングの所要時間とSIFSとの差と等しい又は大きい時間に該当するパディングの長さと等しい又は長い長さのパディングを初期制御フレームに挿入することができる。マルチリンク装置は、リンクスイッチング時間からSIFSを引いた時間に該当するパディングの長さと等しい又は長い長さのパディングを初期制御フレームに挿入することができる。
【0296】
このような実施例において、EMLSRモードを支援するマルチリンク装置は相手マルチリンク装置に初期制御フレームのパディング長さ(duratioin)をシグナルすることができる。例えば、前述した実施例において、EMLSRモードを支援するマルチリンク装置は、リンクスイッチングの所要時間に代えて初期制御フレームのパディング長さをシグナルすることができる。このとき、相手マルチリンク装置は、シグナルされたパディング長さよりも長い時間に該当するパディングを、初期制御フレームに挿入することができる。例えば、相手マルチリンク装置は、シグナルされたパディング長さのパディングを初期制御フレームに挿入することができる。
【0297】
これらの実施例により、初期制御フレームのパディングが送信される間に、マルチリンク装置はRFチェーンを設定する時間を確保することができる。
【0298】
図39には、本発明の実施例に係る単一ラジオマルチリンク装置がMIMOを用いてPPDUを送信することを示す。
【0299】
単一ラジオマルチリンク装置に対するMIMO送信を行おうとするステーションは、RFチェーンを変更した後に送信開始において、RTSフレーム/CTSフレーム交換を始めることができる。この時、RTSフレームは、RFチェーンが変更する時間を確保し、その後、フレーム交換を保護することができる。RTSフレーム/CTSフレーム交換後にもRFチェーンの変更が完了していないと判断される場合に、単一ラジオマルチリンク装置に対するMIMO送信を行おうとするステーションは、MIMO送信を行わなくてよい。このとき、単一ラジオマルチリンク装置に対するMIMO送信を行おうとするステーションは、単一空間ストリームを用いて送信を行うことができる。
【0300】
単一ラジオマルチリンク装置がいずれか一つのリンクで送信又は受信を行う場合に、単一ラジオマルチリンク装置は、当該リンクと異なるリンクで送信又は受信を行うことができない。したがって、単一ラジオマルチリンク装置がいずれか一つのリンクで送信又は受信を行う場合に、当該リンクと異なるリンクで動作するステーションはブラインド状態と見なすことができる。したがって、単一ラジオマルチリンク装置がいずれか一つのリンクで送信又は受信を行う場合に、単一ラジオマルチリンク装置に送信を行おうとするAPは、当該リンクと異なるリンクで動作するステーションに送信を行わなくてよい。この時、単一ラジオマルチリンク装置に送信を行おうとするAPは、当該リンクと異なるリンクで動作するステーションに行っている送信を中断してよい。
【0301】
単一ラジオマルチリンク装置がいずれか一つのリンクで送信又は受信を行う場合に、単一ラジオマルチリンク装置のステーションに送信を行ったり送信を中断したAPは、送信のためのチャネルアクセスに用いられたバックオフ手順のCWを増加させなくてよい。その後、単一ラジオマルチリンク装置が当該ステーションに再び送信を試みる場合に、以前に用いたCW内でバックオフカウンターを取ることができる。これにより、単一ラジオマルチリンク装置のステーションに送信を行ったり中断したステーションは、あらかじめ指定された条件を満たす場合に、送信のためのチャネルアクセスに用いられたバックオフ手順のCWを増加させなくてよい。あらかじめ指定された条件は、前述した実施例によってステーションが、単一マルチリンク装置のステーションのいずれか一つが送信を行ったり受信を行うと判断したことであってよい。具体的には、ステーションが含まれたマルチリンク装置の他のステーションが受信するPPDUを送信したステーションが単一マルチリンク装置に含まれると判断した場合に、ステーションは、単一マルチリンク装置のステーションのいずれか一つが送信を行うと判断できる。この時、ステーションは、PPDUのシグナリングフィールドが指示するPPDUを送信するステーションの識別子に基づいて、PPDUを送信するステーションを判断することができる。この時、ステーションは、HE PPDUのUserフィールドのSTA-IDが単一マルチリンク装置のどのステーションを指示するかを判断できる。また、ステーションは、EHT PPDUのUserフィールドのSTA-IDが単一マルチリンク装置のどのステーションを指示するかを判断できる。また、ステーションは、PPDUが含むMACフレームのTAフィールドが単一マルチリンク装置のどのステーションを指示するかを判断できる。MACフレームは、MSDU、MPDU及びA-MPDUのいずれか一つであってよい。これは、先に図19で説明したnon-STRマルチリンク装置に対する送信に適用される実施例と類似してよい。また、EDCAが適用されるチャネルアクセス手順である場合に、前述したCWは、チャネルアクセスに用いられるACのCWを示すことができる。
【0302】
また、単一ラジオマルチリンク装置のいずれか一つのステーションの送信又は受信によって単一ラジオマルチリンク装置の他のステーションに対する送信に失敗した場合に、単一ラジオマルチリンク装置の他のステーションに対する送信を行ったステーションは、Retry counterを増加させなくてよい。このとき、Retry counterは、Long retry counter及びShort retry counterの少なくともいずれか一方を含むことができる。
【0303】
また、ステーションが単一ラジオマルチリンク装置のステーションを含む複数のステーションにMU PPDUを送信する場合に、前述したCWのサイズ維持に関する実施例が適用されなくてもよい。具体的には、ステーションが単一ラジオマルチリンク装置のステーションを含む複数のステーションにMU PPDUを送信したが、複数のステーションのいずれからも応答を受信できなかった場合に、MU PPDUを送信したステーションはCWのサイズを増加させることができる。この時、MU PPDUを送信したステーションは、CWの値を、CW値が有し得る値のうち次に大きい値に増加させることができる。CWの値が最大値である場合に、MU PPDUを送信したステーションは、CWの値を同一値に保ってよい。
【0304】
図39の実施例において、単一ラジオマルチリンク装置は、第1リンクLink1で動作する第1ステーションSTA1と第2リンクLink2で動作する第2ステーションSTA2を含む。第1ステーションSTA1にMIMOを用いて送信を行おうとステーションが第1リンクLink1でチャネルアクセスに成功し、第1ステーションSTA1にRTSフレームを送信する。第1ステーションSTA1はRTSフレームに対する応答としてCTSフレームを送信する。単一ラジオマルチリンク装置のRFチェーン変更が完了し、2x2MIMOを用いてPPDUを受信する。第1ステーションSTA1がPPDUを受信した後、単一ラジオマルチリンク装置はRFチェーンを変更し、第2ステーションSTA2は、RFチェーンを変更した時からNAVSyncdelayだけ待機した後、第2リンクLink2でチャネルアクセスを始める。
【0305】
<単一ラジオマルチリンク装置のためのNDP(null data packet)送信手順>
【0306】
前述したように、単一ラジオマルチリンク装置は、RFチェーンが動作するリンクを変更してMIMOを行うことができる。RFチェーンが動作するリンクが変更される場合に、MIMO通信前に、変更されたリンクでのRF特性に対する学習が必要である。
【0307】
前記RFチェーンのチャネル特性に対する学習がなされなかったため、閉ループ(closed-loop)多重アンテナ技術(beamforming)を活用できないことがある。このため、チャネル推定を必要とし得る。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置は、NDPサウンディング(sounding)プロトコルを用いてチャネル推定を行うことができる。明示的な(explicit)NDPサウンディングシーケンスにおいてビームフォーマー(beamformer)はNDPA(NDP announcement)を送信した後にNDPを送信する。この時、NDPAとNDPとの間の間隔はSIFSである。NDPAを受信したステーションは、NDPAのSTA User Info listフィールドがステーションを指示する場合に、ステーションは、NDPを受信した後、NDPを受信する時に測定されたCSI(channel state information)フィードバックをビームフォーマーに送信する。
【0308】
この時、NDPサウンディングプロトコルが行われる前に、RTSフレーム/CTSフレーム交換が行われてよい。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置とNDPサウンディングプロトコルを始めようとするステーションは、NDPAフレームを送信する前にRTSフレームを送信できる。説明の便宜のために、単一ラジオマルチリンク装置とNDPサウンディングプロトコルを始めようとするステーションを、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションと呼ぶ。前述した実施例によってNDPサウンディングプロトコル開始ステーションはNDPサウンディングシーケンスを保護することができる。また、これによって、RFチェーン変更にかかる時間を確保することができる。また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、RTSフレーム/CTSフレーム交換手順の代わりに、MU-RTSフレーム/CTSフレーム交換手順を行うことができる。また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、MU-RTSフレーム/CTSフレーム交換手順の代わりに、MU-RTSフレームと異なるタイプのトリガーフレーム及びトリガーフレームに対する応答交換を行うことができる。また、このような実施例においてNDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、あらかじめ指定されたPPDUフォーマットでMU-RTSフレーム、MU-RTSフレームと異なるタイプのトリガーフレーム及びNDPAフレームを送信することができる。具体的には、あらかじめ指定されたPPDUフォーマットは、non-HTフォーマット又はHTフォーマットの少なくともいずれか一方であってよい。また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、あらかじめ指定されたデータレート以下でMU-RTSフレーム、MU-RTSフレームと異なるタイプのトリガーフレーム及びNDPAフレームを送信することができる。
【0309】
NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、RFチェーン変更にかかる時間に基づいてNDPサウンディングシーケンスの長さを調節することができる。NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、比較的短いRFチェーン変更にかかる時間を有する単一ラジオマルチリンク装置とNDPサウンディングシーケンスを交換する時に比べて、比較的長いRFチェーン変更にかかる時間を有する単一ラジオマルチリンク装置とNDPサウンディングシーケンスを交換する時に、より長いNDPサウンディングシーケンスを用いることができる。この時、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、NDPサウンディングシーケンスの一部を省略してNDPサウンディングシーケンスの長さを調節できる。また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、NDPサウンディングシーケンスで交換されるフレームのパディングを調節してNDPサウンディングシーケンスの長さを調節できる。また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、NDPサウンディングシーケンスで追加フレームを送信してNDPサウンディングシーケンスの長さを調節できる。このとき、パディングは、フィジカルレイヤのパディングであってよい。また、パディングは、MACレイヤのパディングであってよい。したがって、以下に説明する実施例において、パディングはNフィジカルレイヤのパディングであるか或いはMACレイヤのパディングであってよい。
【0310】
また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションが複数の単一ラジオマルチリンク装置とNDPサウンディングプロトコルを行う場合に、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、複数の単一ラジオマルチリンク装置のRFチェーン変更にかかる時間のうち最も長いものに基づいてNDPサウンディングシーケンスの長さを調節できる。NDPサウンディングシーケンスの長さを調節する方法については、図40図42で説明する。
【0311】
図40には、本発明の実施例に係るステーションと単一ラジオマルチリンク装置がNDPサウンディングプロセスを行うことを示す。
【0312】
前述したように、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、NDPサウンディングシーケンスで交換されるフレームのパディングを調節してNDPサウンディングシーケンスの長さを調節できる。NDPサウンディングシーケンスがRTSフレーム/CTフレーム交換を含む場合に、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、RTSフレームにパディングを挿入してNDPサウンディングシーケンスの長さを調節できる。具体的には、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションが、RTSフレーム/CTSフレーム交換後にもRFチェーン変更が完了しないと判断した場合に、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションはRTSフレームにパディングを挿入することができる。
【0313】
さらに他の具体的な実施例において、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションが、RTSフレーム/CTSフレーム交換後にもRFチェーン変更が完了しないと判断した場合に、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションはRTSフレームの代わりにMU-RTSフレームを送信できる。この時、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションはMU-RTSフレームにパディングを挿入することができる。
【0314】
前述した実施例において、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、単一ラジオマルチリンク装置のRTSフレーム受信完了時点から、CTSフレームの長さに2 X SIFS分だけ足した時間が経過した以後にRFチェーン変更が完了しないか否かに基づいて、RTSフレーム/CTSフレーム交換後にもRFチェーン変更が完了するか否かを判断できる。また、RTS受信完了時点は、RTSフレームを含むPPDUの送信開始時点、RTSフレームをPPDUのフィジカルレイヤヘッダーが送信完了する時点、RTSフレームを含むPPDUの送信完了時点、RTSフレーム又はRTSフレームが含まれたA-MPDUの送信完了時点のうち一つであってよい。また、RTSフレームの代わりにMU-RTSフレームが用いられる上記の実施例において、RTSフレームの代わりにMU-RTSフレームが適用されてよい。図40(a)は、前述した実施例によってRTSフレーム/CTSフレーム交換以後にNDPAフレーム、NDPフレーム及びフィードバックフレームが交換されることを示している。この時、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、受信したフィードバックフレームに基づいてMIMO送信を行う。
【0315】
また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、NDPサウンディングシーケンスにおいてNDPAフレーム送信を省略してよい。このとき、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションと単一ラジオマルチリンク装置は、NDPAフレーム送信無しでNDPサウンディングプロトコルを行うことを協議することができる。したがって、単一ラジオマルチリンク装置のステーションは、NAPAフレーム受信無しでNDP受信を待つことができる。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置のステーションは、Capabilityエレメントを用いて、NDPA受信無しでNDPを受信できることをシグナルすることができる。具体的な実施例において、単一ラジオマルチリンク装置のステーションは、CapabilityエレメントのNDPA compression supportサブフィールドを1に設定し、NDPAフレーム受信無しでNDPフレームを受信できることをシグナルすることができる。また、ラジオマルチリンク装置のステーションは、CapabilityエレメントのNDPA compression supportサブフィールドを0に設定し、NDPAフレーム受信無しでNDPフレームを受信できないことをシグナルすることができる。NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、NDPAフレーム送信を省略するか否かを決定できる。このとき、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、NDPAフレーム受信無しでNDPフレームを受信できることを受信した単一ラジオマルチリンク装置に行うNDPサウンディングシーケンスにおいてNDPAフレーム送信を省略することができる。また、このようにNDPサウンディングシーケンスからNDPAフレーム送信を省略する実施例は、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションが一つのステーションにNDPを送信する場合に限って適用可能である。この時、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションが複数のステーションにNDPを送信する場合には、NDPAフレーム送信を省略することができない。図40(b)は、前述した実施例によってRTSフレーム/CTSフレーム交換以後にNDPAフレーム無しでNDPフレーム及びフィードバックフレームが交換されることを示している。このとき、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、受信したフィードバックフレームに基づいてMIMO送信を行う。
【0316】
前述した実施例において、NDPサウンディングシーケンスにNDPAフレーム、NDPフレーム、及びフィードバックフレーム交換前に制御フレーム交換が含まれるため、過度なオーバーヘッドが発生し得る。また、NDPA送信が省略されても過度なオーバーヘッドが発生し得る。過度なオーバーヘッドを減らすために暗黙的な(implicit)フィードバックビームフォーミングサウンディングシーケンスが行われてよい。これについては図41で説明する。
【0317】
図41には、本発明の実施例に係るステーションと単一ラジオマルチリンク装置がフィードバックビームフォーミングサウンディングシーケンスを行うことを示す。
【0318】
フレーム交換を開始するフレーム交換開始ステーションは、NDPAフレーム送信の他にNDPフレーム送信及びフィードバックフレーム送信も省略できる。この時、ただし、フレーム交換開始ステーションはコントロールフレーム、例えば、RTSフレーム、MU-RTSフレーム、MU-RTSフレームと異なるタイプのトリガーフレームに対する応答を含むPPDUを受信しながらチャネル状態を測定することができる。フレーム交換開始ステーションは、測定したチャネル状態に基づいて、MIMO送信に使用するステアリングマトリックスを取得することができる。具体的には、フレーム交換開始ステーションは、測定したチャネル状態に基づいてステアリングマトリックスを取得することができる。フレーム交換開始ステーションは、取得したステアリングマトリックスを用いてMIMO送信を行うことができる。
【0319】
このような実施例において、フレーム交換開始ステーションは、前述したように、RFチェーン変更にかかる時間に基づいてコントロールフレームにパディングを挿入することができる。具体的には、フレーム交換開始ステーションは、RFチェーン変更にかかる時間からSIFSを引いた値に基づいてコントロールフレームにパディングを挿入することができる。
【0320】
また、フレーム交換開始ステーションは、制御フレームの代わりにQoSデータフレームを送信することができる。このとき、単一ラジオマルチリンク装置は、QoSデータフレームに対する応答としてAckフレーム、又はBlock Ackフレームを送信することができる。
【0321】
また、前述した実施例において、フレーム交換開始ステーションは、制御フレームとQoSデータフレームのTRQ(training request)ビットを1に設定できる。
【0322】
また、前述した実施例において、制御フレーム、例えばMU-RTSフレームのように複数のステーションを受信者として設定できる制御フレームであっても、制御フレームの受信者としては一つのステーションが設定されてよい。
【0323】
図41(a)の実施例において、フレーム交換開始ステーションは、TRQフィールドを1に設定してMU-RTSフレームを送信する。フレーム交換開始ステーションは、MU-RTSフレームを含むPPDUを送信し、フレーム交換開始ステーションは、MU-RTSフレームに対する応答であるCTSフレームを含むPPDU受信しながらチャネル状態を測定する。フレーム交換開始ステーションは、取得したチャネル状態に基づいてステアリングマトリックスを取得し、取得したステアリングマトリックスを用いてMIMO送信を行う。図41(b)の実施例において、フレーム交換開始ステーションは、MU-RTSフレームの代わりにRTSフレームを送信する。これは、RFチェーン変更にかかる時間がSIFSよりも短い場合であってよい。その後、フレーム交換開始ステーションと単一ラジオマルチリンク装置のステーションは、図41(a)の実施例と同一に動作する。ただし、図41(b)の実施例において単一ラジオマルチリンク装置のステーションはSISO(single input single output)でBAフレームを送信する。
【0324】
RFチェーン変更直後に行われるフレーム交換シーケンスにおいて最後のフレーム交換はSISO(single input single output)(1x1)で行われてよい。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置のステーションは、RFチェーン変更直後に行われるフレーム交換シーケンスの最後のフレームをSISO(1x1)で送信できる。また、RFチェーンを変更直後に行われるフレーム交換シーケンスにおいてMIMO送信又は受信するフレームが残っていない場合に、単一ラジオマルチリンク装置のステーションはRFチェーンを変更できる。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置のステーションは、RFチェーンを変更直後に行われるフレーム交換シーケンスの最後のフレーム送信前にRFチェーンの変更を始めることができる。
【0325】
図42には、本発明の実施例に係るステーションと単一ラジオマルチリンク装置がNDPサウンディングプロセスを行うことを示す。
【0326】
NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、MIMO送信開始時点を、単一ラジオマルチリンク装置のRFチェーン変更にかかる時間に基づいて決定することができる。具体的には、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、MIMO送信開始時点を単一ラジオマルチリンク装置のRFチェーン変更が完了した時点へと遅延させることができる。例えば、コントロールフレーム/コントロールフレームに対する応答フレーム、例えば、RTSフレーム/CTSフレーム又はMU-RTSフレーム/CTSフレーム交換が行われる間にRFチェーン変更が完了しなかった場合に、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションはMIMO送信開始時点を遅延させることができる。具体的には、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、コントロールフレーム/コントロールフレームに対する応答以後に送信される最初のPPDUをSISOを用いて送信できる。
【0327】
このようにRFチェーン変更が完了しなかった場合に、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションのMIMO送信が許容されなくてよい。また、前述した明示的及び暗黙的NDPサウンディングプロトコルも、RFチェーン変更が完了する前には許容されなくてよい。
【0328】
また、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、単一ラジオマルチリンク装置が送信するCapabilityエレメントが指示するRFチェーン変更にかかる時間に基づいて、コントロールフレーム/コントロールフレームに対する応答フレームの交換中にRFチェーン変更が完了するかどうかを判断できる。
【0329】
単一ラジオマルチリンク装置がSISOを用いて送信を行った場合に、複数のRFチェーンの使用が支援されるリンクでフレーム交換シーケンスを行ったステーションは、SISOを用いて当該フレーム交換シーケンスで残ったフレームを送信できる。説明の便宜のために、本実施例に関連した説明において、複数のRFチェーンの使用が支援されるリンクでフレーム交換シーケンスを行ったステーションを、フレーム交換シーケンス実行ステーションと呼ぶ。すなわち、単一ラジオマルチリンク装置がSISOを用いて送信を行った場合に、フレーム交換シーケンス実行ステーションが当該フレーム交換シーケンスで残ったフレームをMIMOを用いて送信することが許容されなくてよい。具体的には、単一ラジオマルチリンク装置がフレーム交換シーケンス実行ステーションの送信に対するACKをSISOを用いて送信した場合に、フレーム交換シーケンス実行ステーションはSISOを用いて当該フレーム交換シーケンスで残ったフレームを送信できる。このとき、ACKはACKフレーム及びBAフレームを含むことができる。したがって、単一ラジオマルチリンク装置がフレーム交換シーケンス実行ステーションの送信に対するACKをSISOを用いて送信した場合に、フレーム交換シーケンス実行ステーションはMIMOを用いて当該フレーム交換シーケンスで残ったフレームを送信できない。
【0330】
図42(a)及び図42(b)の実施例において、RTSフレーム及びCTSフレーム交換中にも単一ラジオマルチリンク装置のRFチェーン変更が完了しなかった。したがって、図42(a)の実施例において、RTSフレーム及びCTSフレーム交換後にPPDU及びBAフレーム送信までもSISOが用いられる。NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、ACKフレームを受信すると、RFチェーンの変更が完了したと判断する。この時、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、MIMO(2x2)を用いてサウンディングプロトコルを開始する。
【0331】
また、図42(b)の実施例では、RTSフレーム及びCTSフレーム交換後にPPDU送信までもSISOが用いられる。PPDU受信後にRFチェーン変更が完了したので、単一ラジオマルチリンク装置の第1ステーションSTA1は、MIMO(2x2)を用いてBAフレームを送信する。単一ラジオマルチリンク装置の第1ステーションSTA1がMIMO(2x2)を用いてBAフレームを送信することから、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションはMIMO(2x2)送信が許容されると判断する。したがって、NDPサウンディングプロトコル開始ステーションは、MIMO(2x2)を用いて送信されたBAフレームを受信した後、MIMO(2x2)を用いてPPDUを送信する。
【0332】
WLANの送信速度の上昇にもかかわらず、一部のサービスに対しては依然として送信遅延が問題とされている。特に、非免許帯域で運営されるWLANは、トラフィック送信にかかる時間の予測が難しいため、低遅延送信が要求されるサービスを運営するには不都合である。このような不都合を解決するためにEDCAが導入されたことがある。EDCAを支援するステーションをQoSステーションと呼び、EDCAを支援するAPをQoS APと呼び、EDCAを支援するBSSをQoS BSSと呼ぶ。以下、説明の便宜のために、QoS APをAPと、QoSステーションをステーションと、QoS BSSをBSSと称する。EDCAにおいてトラフィックは特性によって4個のAC(access category)に区別される。このとき、4個のACは、AC_VO(AC Voice)、AC_VI(AC Video)、AC_BE(AC Best effort)、AC_BK(AC Background)である。前述したバックオフ手順においてACによってCWに関するパラメータの値が決定される。また、ACによってTXOPの最大値が決定されてよい。また、ACによってAIFSNパラメータの値が決定されてよい。これにより、各AC別トラフィック送信の優先順位が調整されてよい。トラフィックは、TC(traffic category)又はTS(traffic stream)別に4個のACにマップされてよい。4個のACにマップされたトラフィックは、AC別に運営される4個のキュー(queue)で管理される。
【0333】
AC_VOは、音声トラフィックのようにトラフィックの絶対的な量が多いものではないが、送信遅延に脆弱なトラフィックのためのACであり、相対的に小さいCWパラメータ及びAIFSNパラメータ値がマップされる。ただし、AC_VOのTXOPの最大値は、他のACのTXOPの最大値よりも相対的に小さい値を有する。AC_VIは、音声トラフィックよりは送信遅延に強いが、低遅延送信を要求し、多い量のトラフィックを処理しなければならない映像トラフィックのためのACである。AC_VIは、AC_VOよりは大きいが、他のACのCWパラメータ及びAIFSNパラメータよりは小さいCWのパラメータ及びAIFSNパラメータ値がマップされる。AC_VOのTXOPの最大値は、AC_VIのTXOP最大値よりも約2倍長い。AC_BEは、送信遅延に強いトラフィックのためのACであり、音声データ及びストリーミングビデオデータ以外の大部分の一般トラフィックがAC_BEに分類されてよい。AC_BEのCWパラメータとAIFSNパラメータには、AC_VOのCWパラメータとAIFSNパラメータ及びAC_VIのCWパラメータとAIFSNパラメータよりも大きい値がマップされる。また、AC_BEには、別のTXOP最大値がマップされない。AC_BEは、連続した送信シーケンスを用いた送信が許容されない。AC_BKは、AC_BEのように送信遅延に強いトラフィックであるが、優先順位がBEトラフィックよりは低いトラフィックのためのACである。AC_BKは、AC_BEと同じCWパラメータ値がマップされ、AIFSNパラメータ値は、AC_BEのAIFSNパラメータよりも大きい値がマップされる。また、AC_BKには別のTXOP最大値がマップされない。AC_BKは、連続した送信シーケンスを用いた送信が許容されない。
【0334】
前述した4個のACは、802.1DのUP(user-priority)にマップされ、有線で受信したトラフィックが有しているUP値或いは上位レイヤから指示されたMSDUのTIDによってEDCA ACが決定される。この時、MSDUのTIDが0~7の値を指示する場合に、前記TIDの指示する値はUPと1対1で対応し得る。
【0335】
図43には、UPとAC間のマッピング関係を示す。
【0336】
4個の各ACのデフォルト(default)CWパラメータ(CWmin,CWmax)、AIFSNパラメータ、TXOP最大値は802.11標準で定義される。ACのCWパラメータ(CWmin,CWmax)、AIFSNパラメータ、TXOP最大値はAPによって変更され、BSSごとに異なる値が用いられてよい。EDCAによって、トラフィックは、4個のキューのうちトラフィックのACに対応するキューに格納される。4個のAC間にチャネルアクセス競合が行われ、競合に勝ったACのトラフィックが送信される。チャネルアクセス競合では、AC別アクセスパラメータ(CW[AC],AIFSN[AC])が用いられる。このとき、チャネルアクセス動作はDCFのチャネルアクセス動作と同一である。
【0337】
前述したように、AC別にチャネルアクセスパラメータ値が異なるため、AC別に送信優先順位が適用されてよい。
【0338】
EDCAの他にも、802.11MACプロトコルは、QoS管理のためのHCCA(HCF controlled channel access)が適用されてよい。HCCAは、周期的にサービスしなければならないアプリケーションの(Voice、Videoのような)TS(Traffic Stream)QoSを保障するための中央集中型(centralized/hybrid)コーディネイター(coordinator)機能を提供する。その他、SPCA(Service Period Channel Access)、サービスピリオドの動的割り当て(Dynamic allocation of service period)機能などが用いられてよい。ただし、これはDMGステーションのみにとって使用可能である。
【0339】
マルチリンク装置のためのQoS強化方法が必要であり得る。マルチリンク装置のリンク別に独立した送信キューが用いられてよい。このとき、キューは論理的に独立したものであってよい。リンク別にトラフィックがマップされる場合に、トラフィックのQoSを強化させることができる。これについて図44を用いて説明する。
【0340】
図44には、本発明の実施例によってマルチリンク装置がマルチリンク装置のステーション別にマップされたトラフィックを送信することを示す。
【0341】
図44で、APマルチリンク装置(AP MLD)は、第1AP(AP1)~第4AP(AP4)が含まれる(affiliated)。また、non-APマルチリンク装置(Non-AP MLD)は、第1ステーション(non-AP STA1)~第4ステーション(non-AP STA4)が含まれる。第1ステーション(non-AP STA1)~第4ステーション(non-AP STA4)のそれぞれは、第1リンク(Link1)~第4リンク(Link1)で動作する。第1AP(AP1)~第4AP(AP4)のそれぞれは、第1リンク(Link1)~第4リンク(Link1)で動作する。このとき、第1AP(AP1)~第4AP(AP4)のそれぞれにAC別にトラフィックがマップされる。第1AP(AP1)にAC_BKがマップされ、第2AP(AP2)にAC_BEがマップされ、第3AP(AP3)にAC_VIがマップされ、第4AP(AP4)にAC_VOがマップされる。これにより、APマルチリンク装置(AP MLD)において、AC_BKに該当するトラフィックは第1AP(AP1)で送信され、AC_BEに該当するトラフィックは第2AP(AP2)で送信され、AC_VIに該当するトラフィックは第3AP(AP3)で送信され、AC_VOに該当するトラフィックは第4AP(AP4)で送信される。各リンクのチャネル品質及びロード状況がそれぞれ異なることがある。また、各ステーションの性能及び動作帯域幅が異なることがある。したがって、マルチリンク装置がどのトラフィックをどのリンクにマップするかによって、トラフィックを含むPPDUの帯域幅とMCSが変わり得る。
【0342】
例えば、APマルチリンク装置(AP MLD)の第1AP(AP1)が2.4GHz帯域で運営される場合に、第1AP(AP1)は40MHzの運営チャネル(operating channel)を運営できる。第4AP(AP4)が6GHz帯域で運営される場合に、第4AP(AP4)は最大で320MHzの運営チャネルを運営できる。APマルチリンク装置(AP MLD)は、多い処理量と低遅延送信が要求されるトラフィックを第4AP(AP4)にマッピングできる。マルチリンク装置はトラフィックの特性を考慮して複数のリンクのそれぞれにトラフィックをマップすることができる。これにより、トラフィックの送信のQoSを強化させることができる。
【0343】
QoS強化を細分化させるために各リンクにTIDマップされ、各リンクで当該リンクにマップされたTIDに該当するトラフィックの送信が優先視されてよい。これについて図45を用いて説明する。
【0344】
図45には、本発明の実施例によってマルチリンク装置がTIDリンクマッピングによってフレーム交換を行うことを示す。
【0345】
WLANで送信されるトラフィックは、TIDで識別される。MACフレーム、例えばデータフレーム又はQoSデータフレームは、TIDサービスフィールドを用いてMACフレームが含むトラフィックのTIDをシグナルする。このとき、QoS controlフィールドは、TIDサービスフィールドを含んでよい。TIDは、MACフレームのMSDU又はフラグメント又はA-MSDUに含まれるトラフィックを識別する。また、TIDは、UP(user priorities)又はTSID(traffic stream identifier)に対応する。また、TIDサービスフィールドは総4ビットフィールドであり、0から15までの値を示すことができる。TIDサブフィールドの値が0から7のいずれか一つである場合に、TIDサブフィールドの値は、TIDサブフィールドを含むMACフレームのフレームボディーに含まれるMSDUのUPを示す。MACフレームは、EDCAによってUPに該当するACパラメータを用いてMACエンティティ(entity)で処理される。TIDサブフィールドの値が8から15までのいずれか一つである場合に、TIDサブフィールドの値は、TIDサブフィールドを含むMACフレームのフレームボディーに含まれるMSDUのTSIDを示す。MACフレームは、TSPECのTS InfoフィールドのUser Priorityサービスフィールドで指示されたTSIDのUPに該当するパラメータ用いてMACエンティティ(entity)で処理される。TSIDのUPは、TCLASのUser Priorityフィールドで指示されてよい。また、TSIDのAccess Policyは、TS InfoサブフィールドのAccess Policyフィールドによって指示される。Access Policyサブフィールドの7番目ビットと8番目ビットが10である場合にEDCAを示し、11である場合にHCCAを示す。
【0346】
マルチリンク装置がTSのTIDをリンクにマップするとき、TSを生成する時に用いられたADDTS RequestフレームのIntra-Access Category PriorityエレメントのIntra-Access PrioriyフィールドからTSのUP及びTS送信に使用する代替キュー(Alternate queue)に関する情報を取得することができる。マルチリンク装置は、TSのTIDに対応するトラフィックを送信する時に取得したUP及び代替キューに関する情報を用いることができる。
【0347】
マルチリンク装置が動作する複数のリンクのそれぞれにTIDがマップされてよい。この時、マルチリンク装置は、マルチリンク装置と連結された(associated)マルチリンク装置に、各リンクにマップされたTIDに関する情報をシグナルすることができる。この時、シグナリングを受信したマルチリンク装置は、TIDとのリンクマッピングに対して受諾又は拒絶することができる。TIDとリンク間のマッピングに対する合意が成立しない場合に、各リンクではTID制限無しでフレーム交換が行われてよい。さらに他の具体的な実施例において、TIDとリンク間のマッピングに対する合意が成立しない場合に、各リンクでTIDとリンク間の基本(default)マッピングによってフレーム交換が行われてよい。
【0348】
マルチリンク装置がTIDをリンクにマップする場合に、マルチリンク装置は、全てのTIDを1個以上のリンクにマップしなければならない。具体的な実施例において、マルチリンク装置は、リンクで当該リンクにマップされたTIDに該当するトラフィックを含むフレームを送信し、当該リンクにマップされないTIDに該当するトラフィックを含むフレームの送信が許容されなくてよい。TIDとリンク間のマッピングはマルチリンク装置別に行われてよい。また、TIDとリンク間のマッピングは送信方向別にマップされてよい。例えば、一つのリンクでアップリンクにマップされたTIDとダウンリンクにマップされたTIDとが異なることがある。したがって、第1マルチリンク装置と第2リンク装置が第1リンク及び第2リンクで連結された時に、第1マルチリンク装置は第1リンクにTID値0~3をマップし、第2マルチリンク装置は第1リンクにTID値4~7をマップできる。
【0349】
本明細書において、TIDとリンク間のマッピングは、ACとリンク間のマッピング又はUPとリンク間のマッピング又はTCとリンク間のマッピング又はTSとリンク間のマッピングに代替されてよい。
【0350】
また、TIDとリンク間のマッピングにおいて明示的に指示されていない残りのTID値は、残りのリンクにマップされてよい。例えば、第1リンクにTID値0~3がマップされることがシグナルされた場合に、第2リンクに、TID値0~3以外の残りTID値がマップされてよい。さらに他の具体的な実施例において、第2リンクで全てのTIDに該当するトラフィックの送信が許容されてよい。
【0351】
また、TIDとリンク間のマッピングは、マルチリンク装置間で初めて連結される他にも運営中に変更されてよい。マルチリンク装置が特定リンクのステーションを連結解除(disassociation)する場合に、マルチリンク装置はTIDとリンク間のマッピングを変更することができる。このとき、マルチリンク装置は、特定リンクのステーションが節電モードに進入する時にステーションを連結解除することができる。また、マルチリンク装置は相手マルチリンク装置に、TIDとリンク間のマッピング変更を要請することができる。例えば、第1リンクにTID値0~3がマップされた場合に、non-APマルチリンク装置は、APマルチリンク装置にTID値0~3を第2リンクにマップすることを要請できる。具体的には、マルチリンク装置がリンクにマップされたトラフィックのQoSを保障し難い場合に、マルチリンク装置は相手マルチリンク装置にTIDとリンク間のマッピング変更を要請することができる。
【0352】
また、マルチリンク装置がTIDとリンク間のマッピング要請を拒絶した場合に、TIDとリンク間のマッピング要請を送信したマルチリンク装置が以前に要請したTIDとリンク間マッピングと同じTIDとリンク間のマッピングを再び要請することは、あらかじめ指定された時間で制限されてよい。これは、反復するTIDとリンク間マッピング要請を防止するためである。このとき、あらかじめ指定された時間は、APによって指示される時間であってよい。具体的には、APマルチリンク装置は、あらかじめ指定された時間をBSS運営パラメータでシグナルすることができる。
【0353】
TIDとリンク間のマッピングをシグナルする方法について説明する。マルチリンク装置は、TIDとリンク間のマッピングを、TID-to-Link Mappingエレメントを用いてシグナルすることができる。TID-to-Link MappingエレメントはLink IDフィールドを含んでよい。Link IDフィールドは、TID-to-Link Mappingエレメントがシグナルするリンクを指示する。また、TIDs Infoフィールドは、Link IDフィールドによって指示されたリンクにマップされたTIDに関する情報を示す。TIDs Infoフィールドは、Link IDフィールドによって指示されたリンクにマップされたTIDの値を示すフィールドを含んでよい。このとき、TIDs Infoフィールドは、Link IDフィールドによって指示されたリンクにマップされたTIDの値を示すビットマップを含んでよい。このとき、ビットマップの各ビットは特定TIDにマップされ、ビットが1に設定される場合に、当該ビットに該当するTIDが、Link IDフィールドによって指示されたリンクにマップされることを示すことができる。
【0354】
図45の実施例において、APマルチリンク装置(AP MLD)は、non-APマルチリンク装置(non-AP MLD)に送信するトラフィックのうち、TIDが0~3であるトラフィックを、第1リンク(Link1)で送信することを計画する。APマルチリンク装置(AP MLD)はnon-APマルチリンク装置(non-AP MLD)に、TID-to-Link Mappingエレメントを用いて、第1リンク(Link1)にTID値0~3をマップし、第2リンク(Link2)にTID値4~7をマップすることをシグナルする。TID-to-Link Mappingエレメントは、それぞれ第1リンクと第2リンクを指示する2つのLink IDフィールドを含み、それぞれ第1リンクにマップされたTIDに関する情報と第2リンクにマップされた情報を示す2つのTIDs Infoフィールドを含む。また、TIDs InfoフィールドはそれぞれTID0から7までを指示する7ビットを含んでよい。例えば、TID 0~3を指示するためにTIDs infoサブフィールドの8ビットが11110000に設定され、TID4~7を指示するためにTIDs infoサブフィールドの8ビットが00001111に設定されてよい。
【0355】
さらに他の具体的な実施例において、TIDs Infoフィールドは、Min TIDフィールドとMax TIDフィールドを含んでよい。Min TIDフィールドは、TIDs Infoフィールドに該当するリンクにマップされたTIDのうち最小値を指示し、Max TIDフィールドは、TIDs Infoフィールドに該当するリンクにマップされたTIDのうち最大値を指示する。Min TIDフィールドとMax TIDフィールドのそれぞれは、3ビット又は4ビットフィールドであってよい。例えば、Min TIDフィールドとMax TIDフィールドのそれぞれが3ビットである場合に、TIDs Infoフィールドが0から3を指示すると、Min TIDフィールドは000に設定され、Max TIDフィールドは011に設定されてよい。前述したように、TID-to-Link Mappingエレメントは、第1リンクにマップされたTIDに対してのみシグナルし、第2リンクにマップされたTIDは暗黙的にシグナルされてよい。具体的には、TID-to-Link Mappingエレメントは明示的に第1リンクに0から7のTIDがマッピングされることをシグナルするため、TID-to-Link Mappingエレメントは暗黙的に第2リンクに残りのTIDがマッピングされることをシグナルすることができる。
【0356】
non-APマルチリンク装置は、TID-to-Link Mappingエレメントが示すTIDとリンク間のマッピングを受諾する。
【0357】
一つのリンクに複数のTIDがマップされ、複数のTIDが2個以上のACに該当する場合に、マルチリンク装置は、EDCAによってACを差別化してトラフィックを送信することができる。例えば、第1リンクにAC_VOに該当するTIDとAC_BKに該当するTIDがマップされる場合に、マルチリンク装置は、EDCAによって、AC_VOに該当するトラフィックをAC_BKに該当するトラフィックよりも優先して送信できる。また、全てのTIDは少なくとも1個のリンクにマップされなければならず、マルチリンク装置は、いずれか一つのTIDでもいずれかのリンクにマップされていないTIDとリンク間のマッピング要請が許容されなくてよい。
【0358】
図46には、本発明の実施例に係るAPマルチリンク装置とnon-APマルチリンク装置に、TIDとリンク間の基本マッピングが設定されたことを示す。
【0359】
前述したように、TIDとリンク間の別のマッピングが設定されていない場合に、TIDとリンク間の基本マッピングが適用される。図46の実施例において、TIDとリンク間の基本マッピングは、リンクに全てのTIDとTSIDがマップされる。
【0360】
前述したEMLモードにおいて複数のリンクのうちいずれか一つのリンクでのみフレーム交換が行われるので、TIDとリンク間のマッピングから得ようとしたQoS向上効果が、EMLモードで動作するマルチリンク装置には適用されないことがある。このため、これを考慮したTIDとリンク間のマッピングが必要である。これについて図47図51を用いて説明する。
【0361】
図47には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置がEMLSRモードを活性化させる時にTIDとリンク間のマッピングが変更されることを示す。
【0362】
EMLモードが適用されるマルチリンク装置は、TIDとリンク間のマッピングを行うことが許容されないことがある。EMLモードが適用されるマルチリンク装置にはTIDとリンク間の基本マッピングが適用されてよい。このとき、EMLモードが適用されるマルチリンク装置は、TIDとリンク間のマッピングのための交渉を行うことができない。EMLモードが適用されるマルチリンク装置がTIDとリンク間のマッピング要請を送信する場合に、相手マルチリンク装置はTIDとリンク間のマッピング要請を拒絶することができる。さらに他の具体的な実施例において、EMLモードが適用されるマルチリンク装置がTIDとリンク間のマッピング要請を送信する場合に、相手マルチリンク装置はTIDとリンク間のマッピング要請に応答を送信しなくてよい。この時、EMLモードが適用されるマルチリンク装置は、EMLリンクに限ってTIDとリンク間のマッピングを行わなくてよい。したがって、EMLモードが適用されるマルチリンク装置であっても、EMLモードが適用されないリンクにTIDとリンク間マッピングを行うことができる。
【0363】
また、EMLモードが活性化されていないマルチリンク装置がリンクにTIDマッピングを行い、マルチリンク装置のEMLモードが活性化された場合に、マルチリンク装置が動作するリンクのうちEMLリンクにTIDとリンク間の基本マッピングが適用されてよい。この時、TIDとリンク間の基本マッピングは別の交渉無しで行われてよい。
【0364】
また、EMLモードが活性化されたマルチリンク装置と連結されたマルチリンク装置も同様、EMLリンクにTIDとリンク間の基本マッピングを適用できる。
【0365】
マルチリンク装置がEMLモードを活性化させるために連結(associatioin)を再び行うことができる。この時、マルチリンク装置は、リンク運営のための情報を初期化させることができる。この時、マルチリンク装置は、リンクとTID間のマッピングを初期化させることができる。
【0366】
図47の実施例において、APマルチリンク装置(AP MLD)は、第1AP(AP1)と第2AP(AP2)を含み(affiliate)、non-APマルチリンク装置(STA MLD)は、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)を含む。第1AP(AP1)と第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で動作し、第2AP(AP2)と第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で動作する。APマルチリンク装置(AP MLD)とnon-APマルチリンク装置(STA MLD)は、第1リンク(Link1)にTID値0から3までをマップし、第2リンク(Link2)にTID値4から7までをマップする。non-APマルチリンク装置(STA MLD)にEMLSRモードが活性化され、第1リンク(Link1)及び第2リンク(Link2)の両方にEMLSRモードが適用される。この時、APマルチリンク装置(AP MLD)とnon-APマルチリンク装置(STA MLD)はTIDとリンク間の基本マッピングを適用する。すなわち、APマルチリンク装置(AP MLD)とnon-APマルチリンク装置(STA MLD)は、第1リンク(Link1)にTID値0から7までをマップし、第2リンク(Link2)にTID値0から7までをマップする。この時、non-APマルチリンク装置(STA MLD)は、EMLSRモードを活性化させるために、(Re)Association Requestフレームを送信できる。このとき、(Re)Association Requestフレームは、Multi-Linkエレメントを含んでよい。Multi-Linkエレメントについて図48を用いて説明する。
【0367】
図48には、本発明の実施例に係るMulti-Linkエレメントのフォーマットを示す。
【0368】
前述したように、non-APマルチリンク装置がEMLSRモードを活性化させるために送信する(Re)Association Requestフレームは、Multi-Linkエレメントを含んでよい。このとき、non-APマルチリンク装置は、Multi-LinkエレメントのCommon InfoフィールドのEMLSR modeサブフィールドを1に設定できる。このとき、Multi-LinkエレメントのCommon InfoフィールドはBasic variantフォーマットであってよい。Non-APマルチリンク装置からMulti-Linkエレメントを受信したAPマルチリンク装置は、Non-APマルチリンク装置がEMLSRモードを活性化しようとすることを認知できる。このとき、APマルチリンク装置とNon-APマルチリンク装置はEMLSRモードを活性化させることができる。
【0369】
図49を用いて、EMLモードが活性化された後EMLモードが非活性化される場合に、TIDとリンク間のマッピング設定について説明する。
【0370】
図49には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置がEMLSRモードを非活性化させる時にTIDとリンク間のマッピングが変更されることを示す。
【0371】
EMLモードが非活性化される時に、EMLモードが活性化される前に用いられたTIDとリンク間のマッピングが再び適用されてよい。このとき、マルチリンク装置はTIDとリンク間のマッピング交渉を再び行わなくてよい。
【0372】
図49の実施例において、APマルチリンク装置(AP MLD)は、第1AP(AP1)と第2AP(AP2)を含み(affiliate)、non-APマルチリンク装置(STA MLD)は、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)を含む。non-APマルチリンク装置(STA MLD)にEMLSRモードが活性化され、第1リンク(Link1)及び第2リンク(Link2)の両方にEMLSRモードが適用される。第1AP(AP1)と第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で動作し、第2AP(AP2)と第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で動作する。APマルチリンク装置(AP MLD)とnon-APマルチリンク装置(STA MLD)は、TIDとリンク間の基本マッピングを適用する。すなわち、APマルチリンク装置(AP MLD)とnon-APマルチリンク装置(STA MLD)は、第1リンク(Link1)にTID値0から7までをマップし、第2リンク(Link2)にTID値0から7までをマップする。non-APマルチリンク装置(STA MLD)にEMLSRモードが非活性化される。APマルチリンク装置(AP MLD)とnon-APマルチリンク装置(STA MLD)は、EMLSRモードが活性化される前に適用されたTIDとリンク間のマッピングを、第1リンク(Link1)及び第2リンク(Link2)に適用する。すなわち、APマルチリンク装置(AP MLD)とnon-APマルチリンク装置(STA MLD)は、第1リンク(Link1)にTID値0から3までをマップし、第2リンク(Link2)にTID値4から7までをマップする。
【0373】
前述したように、APマルチリンク装置は、EMLモードが活性化されたマルチリンク装置に送信を行うために初期制御フレームを送信することができる。このとき、初期制御フレームは、MU-RTSフレーム又は他のバリアント(variant)のトリガーフレームであってよい。他のバリアントのトリガーフレームは、マルチリンクのためのRTSフレームであるML-RTSフレームであってよい。他のバリアント(variant)のトリガーフレームを受信したnon-APマルチリンク装置は、他のバリアント(variant)のトリガーフレームに対する応答フレームを送信することができる。具体的には、初期制御フレームは、BSRP(buffer status report poll)トリガーフレームであってよい。このとき、BSRPトリガーフレームを受信したnon-APマルチリンク装置は、BSRフレームを応答フレームとして送信できる。トリガーフレームの種類によってトリガーフレームに対する応答フレームの種類が異なり、応答フレーム送信にかかる時間が変わってよい。したがって、non-APマルチリンク装置は、初期制御フレームの長さを初期制御フレームのタイプに基づいて設定できる。このとき、パディングは、前述したように、RFチェーンの再設定のための時間を確保するためのものであってよい。
【0374】
初期制御フレームがMU-RTSフレームである場合に、MU-RTSフレームは、(RF switching latency-SIFS-CTStime-SIFS)の時間と等しい又は長い時間に該当するパディングを含んでよい。初期制御フレームがBSRPトリガーフレームである場合に、BSRPトリガーフレームは、(RF switching latency-SIFS-BSRtime-SIFS)の時間と等しい又は長い時間に該当するパディングを含んでよい。このとき、BSRtimeは、BSRフレームの送信所要時間、例えばエアータイムであってよい。また、BSRtimeは、BSRフレームが特定のデータレートで送信されることを仮定して決定された値であってよい。さらに他の具体的な実施例において、non-APマルチリンク装置は、トリガーフレームのCommon InfoフィールドのUL Lengthサブフィールドの値に基づいてトリガーフレームのパディングの長さを決定することができる。これは、トリガーフレームを受信したステーションが、Common InfoフィールドのUL Lengthサブフィールドの値に基づいて、トリガーフレームに対する応答フレームを含むPPDUの長さを決定するからである。具体的には、non-APマルチリンク装置は、(RF switching latency-SIFS-前記Trigger frameで指示したUL length(response frameの長さ)-SIFS)時間と等しい又は長い時間に該当するパディングをトリガーフレームに含めることができる。初期制御フレームがBSRPトリガーフレームである場合に、non-APマルチリンク装置は、BSRPトリガーフレームのCommon InfoフィールドのUL Lengthサブフィールドの値に基づいてBSRPトリガーフレームのパディングの長さを決定することができる。
【0375】
前述したように、EMLモードが適用されるマルチリンク装置は、RFチェーン変更の所要時間をシグナルすることができる。APマルチリンク装置は、シグナルされたRFチェーン変更の所要時間に基づいて初期制御フレームのパディングの長さを決定することができる。APマルチリンク装置は、シグナルされたRFチェーン変更の所要時間と等しい又はより長い時間に対応するパディングを初期制御フレームに含めることができる。さらに他の具体的な実施例において、EMLモードが適用されるマルチリンク装置は、初期制御フレームのパディング長さをシグナルすることができる。これについて図50を用いて説明する。
【0376】
図50には、本発明の実施例によって初期制御フレームのパディングの長さに関する情報をシグナルするMulti-Linkエレメントを示す。
【0377】
EMLモードが適用されるマルチリンク装置が初期制御フレームのパディング長さをシグナルされる場合に、APマルチリンク装置は、シグナルされたパディングの長さによって初期制御フレームのパディングの長さを決定することができる。具体的には、APマルチリンク装置は、シグナルされたパディングの長さと等しい又はより長い長さのパディングを初期制御フレームに含めることができる。このとき、トリガーフレームのタイプ別にパディング長さがシグナルされてよい。具体的な実施例において、シグナルされたパディングの長さは、MU-RTSフレームに含まれるべきパディングの長さであってよい。このとき、APマルチリンク装置が、MU-RTSフレームでない初期制御フレーム、例えばBSRPトリガーフレームを送信する場合に、APマルチリンク装置は、シグナルされたパディングの長さでない他の長さのパディングを初期制御フレームに含めることができる。APマルチリンク装置は、CTSフレームの送信所要時間(airtime)と初期制御フレームに対する応答フレームの送信所要時間(airtime)との差、及びシグナルされたパディングの長さに基づいて、初期制御フレームのパディングの長さを決定することができる。APマルチリンク装置は、シグナルされたパディングの長さに(CTStime-初期制御フレームに対する応答フレームの送信所要時間(airtime))に該当するパディング長さを足した値と等しい又はより長い長さのパディングを初期制御フレームに挿入することができる。
【0378】
さらに他の具体的な実施例において、APマルチリンク装置は、シグナルされたパディングの長さに基づいてRFチェーン変更の所要時間を逆算することができる。このとき、APマルチリンク装置は、逆算したRFチェーン変更の所要時間によって、初期制御フレームに含まれるパディングの長さを決定することができる。シグナルされたパディングの長さは、RFチェーン変更の所要時間に基づいて決定された値であるからである。
【0379】
前述したパディングの長さは、Multi-Linkエレメントでシグナルされてよい。図50の実施例において、Multi-Linkエレメントは、初期制御フレームのパディングの長さを示すEMLSR Delayフィールドを含む。
【0380】
前述したように、EMLモードで行われるリンクスイッチングにより、EMLリンクのうち一部のリンクでは送信、受信又はモニタリング能力が喪失されることがある。このとき、モニタリングは、CCA及びPD(preamble detection)のうち少なくとも一つを含んでよい。また、マルチリンク装置がリンクでの送信、受信又はモニタリング能力を回復するリンクスイッチングを行っても、リンクスイッチング時点からあらかじめ指定された時間の間に、マルチリンク装置は当該リンクで送信、受信又はモニタリングを行えないことがある。具体的には、あらかじめ指定された時間は、EMLモードが活性化されるマルチリンク装置のリンクスイッチングの所要時間に基づいて決定されてよい。具体的な実施例において、あらかじめ指定された時間は、EMLモードが活性化されるマルチリンク装置のRFチェーンが変更される時間区間を含んでよい。EMLモードを支援するマルチリンク装置とEMLリンクでフレームを交換するステーションは、EMLモードでのマルチリンク装置のフレーム交換を考慮してTXOPを管理することができる。また、EMLモードを支援するマルチリンク装置も、EMLモードでのマルチリンク装置のフレーム交換を考慮してEMLリンクでのTXOPを管理することができる。これについて図51を用いて説明する。
【0381】
図51には、本発明の実施例に係るマルチリンク装置がEMLSRモードにおいてフレーム交換が行われないEMLSRリンクで受信されるDTIMビーコンを考慮して、EMLSRモードにおいてフレーム交換が行われるリンクでTXOPを終了することを示す。
【0382】
前述したように、EMLモードで行われるリンクスイッチングによってEMLリンクのうち一部のリンクでは送信、受信又はモニタリング能力を喪失することがある。例えば、EMLSRモードにおいてEMLSRリンクのいずれか一つのリンクでフレーム交換が行われる場合に、マルチリンク装置は、EMLSRリンクのうち残りのリンクで送信、受信及びモニタリングを行うことができない。このとき、モニタリングは、CCA及びPD(preamble detection)のうち少なくとも一つを含んでよい。また、マルチリンク装置がリンクでの送信、受信又はモニタリング能力を回復するリンクスイッチングを行っても、リンクスイッチング開始時点からあらかじめ指定された時間の間に、マルチリンク装置は当該リンクで送信、受信及びモニタリングを行えないことがある。このとき、あらかじめ指定された時間は、リンクスイッチングのための遅延時間であってよい。具体的には、あらかじめ指定された時間は、EMLモードを支援するマルチリンク装置のRFチェーンが変更される時間区間を含んでよい。EMLモードを支援するマルチリンク装置とEMLリンクでフレームを交換するステーションは、EMLモードでのマルチリンク装置のフレーム交換を考慮してTXOPを管理することができる。また、EMLモードを支援するマルチリンク装置も、EMLモードでのマルチリンク装置のフレーム交換を考慮してEMLリンクでのTXOPを管理することができる。
【0383】
EMLモードが活性化されたマルチリンク装置は、EMLモードにおいてEMLリンクのうち送信、受信又はモニタリング能力を喪失した、例えばEMLSRモードにおいてフレーム交換が行われていない第1リンクで特定フレームを受信する必要がある場合に、EMLモードにおいて、マルチリンク装置又はEMLモードのマルチリンク装置とフレームを交換するステーションは、第1リンクでの特定フレームの受信時点に基づいて、EMLリンクのうち一つであり、フレームを交換が行われる第2リンクで、当該フレーム交換のためのTXOPを終了することができる。説明の便宜のために、EMLモードが活性化されたマルチリンク装置を、マルチリンク装置と称し、EMLモードが活性化されたマルチリンク装置とフレームを交換するステーションを、ステーションと称する。このとき、マルチリンク装置がTXOPのホルダーである場合に、ステーションがTXOP応答者である。また、マルチリンク装置がTXOPの応答者である場合に、ステーションがTXOPホルダーである。EMLモードが活性化された状態で、第2リンクのTXOPは、第1リンクでマルチリンク装置が特定フレームを受信しようとする時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に終了しなければならないことがある。このとき、あらかじめ指定された時間は、マルチリンク装置のリンクスイッチング遅延に基づいて決定されてよい。具体的には、あらかじめ指定された時間は、マルチリンク装置のRFチェーンの変更所要時間に基づいて決定されてよい。具体的な実施例において、あらかじめ指定された時間は、マルチリンク装置のRFチェーンの変更所要時間であってよい。このとき、特定フレームは、周期的に受信されるフレームであってよい。具体的には、特定フレームはビーコンフレームであってよい。具体的な実施例において、特定フレームはDTIMビーコンフレームであってよい。また、特定フレームを受信しようとする時点は、TBTTであってよい。マルチリンク装置又はステーションは、第1リンクでの特定フレームの受信時点に基づいて、EMLモードでフレーム交換を行っていた第2リンクで当該フレーム交換のためのTXOPを終了してよい。また、ステーションがTXOPホルダーである場合に、ステーションは、マルチリンク装置が第1リンクで特定フレームを受信する予定であることを指示する情報に基づいて、第2リンクでのTXOPを終了することができる。このとき、マルチリンク装置が第1リンクで特定フレームを受信する予定であることを指示する情報は、マルチリンク装置とステーション間に約束された方法でシグナルされてよい。マルチリンク装置が第1リンクで特定フレームを受信する予定であることを指示する情報は、第1リンクのビーコンフレームがDTIMビーコンフレームであることをシグナルする情報であってよい。ステーションがTXOPホルダーであり、第1リンクで受信されるビーコンがDTIMビーコンである場合に、ステーションは、マルチリンク装置が第1リンクで特定フレームを受信する予定であることを指示する情報に基づいて、第2リンクでのTXOPを終了することができる。
【0384】
EMLモードが適用されるマルチリンク装置が初期制御フレームを受信しても、マルチリンク装置は、初期制御フレームに対する応答フレームを送信しなくてよい。具体的には、EMLモードが適用されるマルチリンク装置がEMLリンクのうち第1リンクで初期制御フレームを受信しても、マルチリンク装置は、EMLリンクのうち第2リンクで特定フレームを受信するために、初期制御フレームに対する応答フレームを送信しなくてよい。例えば、EMLモードが適用されるマルチリンク装置がEMLリンクのうち第1リンクで初期制御フレームを受信しても、EMLリンクのうち第2リンクで特定フレームを受信しようとする時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に初期制御フレームが開始するフレーム交換が終了しない場合に、マルチリンク装置は、第1リンクで初期制御フレームに対する応答フレームを送信しなくてよい。第2リンクで特定フレームを受信しようとする時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に、初期制御フレームが開始するフレーム交換が終了する場合に、マルチリンク装置は、第1リンクで初期制御フレームに対する応答フレームを送信することができる。これらの実施例において、初期制御フレームは、前述したように、MU-RTSフレーム、ML-RTSフレーム及びBSRPトリガーフレームであってよい。初期制御フレームがMU-RTSフレーム又はML-RTSフレームであり、EMLモードが適用されるマルチリンク装置が初期制御フレームを受信しても、マルチリンク装置は、初期制御フレームに対する応答としてCTSフレームを送信しなくてよい。これにより、マルチリンク装置はフレーム交換開始を拒絶することができる。これは、既存の無線LAN動作においてステーションがMU-RTSフレーム又はRTSフレームを受信した場合に、ステーションはCTSフレーム送信しなければならないということの例外である。具体的には、EMLモードが適用されるマルチリンク装置が、EMLリンクのうち一つである第1リンクで初期制御フレームを受信しても、マルチリンク装置は、第2リンクで行われるフレーム交換のために、初期制御フレームに対する応答フレームを送信しなくてよい。
【0385】
EMLSRが活性化されたnon-APマルチリンク装置は、第1ステーション(STA1)と第2ステーション(STA2)を含む。第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で動作し、第2ステーション(STA2)は第2リンク(Link2)で動作する。第1リンク(Link1)で第1ステーション(STA1)は第1APからRTSフレームを受信し、RTSフレームに対する応答としてCTSフレームを送信する。第1ステーション(STA1)は第1リンク(Link1)で第1APからPPDUを受信する。このとき、第1APは第2リンク(Link2)で予定されたビーコンフレーム受信時点からnon-APマルチリンク装置のRF変更の所要時間だけ早い時点にTXOPを終了する。このように第2リンク(Link2)で予定されたビーコンフレーム受信時点からnon-APマルチリンク装置のRF変更の所要時間だけ早い時点にTXOPを終了することは、前述したように、第1ステーション(STA1)がTXOPを取得した場合にも同一に適用されてよい。
【0386】
EMLSRモードが活性化されたマルチリンク装置がビーコンフレームを受信する場合に、EMLSRマルチリンク装置はRFチェーンを変更しなくてよい。ビーコンフレームがMIMOで送信されないからである。EMLSRモードの活性化されたマルチリンク装置が第1リンクでビーコンフレームを受信する時に、EMLSRモードの活性化されたマルチリンク装置は第2リンクでモニタリング及びチャネルアクセスのうち少なくとも一つを行うことができる。この時、マルチリンク装置が第2リンクでチャネルアクセス手順を完了した場合であっても、送信を行うことは許容されなくてよい。さらに他の具体的な実施例において、マルチリンク装置が第2リンクであらかじめ指定されたデータレートでのみ送信及び受信のうち少なくとも一つを行うことができる。このとき、あらかじめ指定されたデータレートは、6Mbps、12Mbps及び24Mbpsのいずれか一つであってよい。
【0387】
また、EMLSRモードの活性化されたマルチリンク装置とフレームを交換しようとするステーションは、マルチリンク装置がEMLSRリンクのうち一つである第1リンクで特定フレームを受信する時に、EMLSRリンクのうち一つである第2リンクでフレーム交換手順を始めることが許容されなくてよい。EMLSRモードの活性化されたマルチリンク装置とフレームを交換しようとするステーションは、マルチリンク装置がEMLSRリンクのうち一つである第1リンクで特定フレームを受信する時に、EMLSRリンクのうち一つである第2リンクで初期制御フレームを送信することが許容されなくてよい。このとき、特定フレームは、グループキャストフレーム又はグループアドレスドフレーム、例えばビーコンフレームであってよい。具体的には、ビーコンフレームはDTIMビーコンフレームであってよい。
【0388】
上記のように無線LAN通信を取り上げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、セルラー通信などの他の通信システムでも同一に適用可能である。また、本発明の方法、装置及びシステムは特定の実施例と関連して説明されたが、本発明の構成要素、動作の一部又は全部は、汎用ハードウェアアーキテクチャーを有するコンピュータシステムによって具現可能である。
【0389】
以上で実施例に説明された特徴、構造、効果などは本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されない。なお、各実施例で例示された特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって他の実施例に対しても組合せ又は変形して実施可能である。したがって、このような組合せ及び変形に関係する内容は本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【0390】
以上では実施例を中心に説明したが、これは単に例示であるだけ、本発明を限定するものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で、以上に例示されていない様々な変形及び応用が可能であることが理解できよう。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は変形実施が可能である。また、このような変形及び応用に関係する差異点は、添付する特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0391】
100 ステーション
110 プロセッサ
120 通信部
140 ユーザインタフェース部
150 ディスプレーユニット
160 メモリ
200 AP
210 プロセッサ
220 通信部
260 メモリ
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【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置であって、
送受信部、及び
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを受信し、
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信する時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了しない場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信しなく、
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了する場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信するように構成され、
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間であるマルチリンク装置。
【請求項2】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)である、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項3】
前記ビーコンフレームは、DTIMビーコンである、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項4】
前記初期制御フレームは、あらかじめ指定されたフォーマットを用いてあらかじめ指定されたデータレートで送信される、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項5】
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置によってシグナルされる、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記リンクスイッチングのために必要な初期制御フレームのパディングの最小長さ(duration)をシグナルし、前記初期制御フレームは、前記EMLSRモードにおいて前記EMLSRリンクでフレーム交換を開始し、
前記初期制御フレームは、前記パディングの最小長さと等しい又は長い時間に対応するパディングを含む、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項7】
前記EMLSRモードは、前記マルチリンク装置が含む複数のステーションが動作する前記複数のリンクのうち一部にのみ適用される、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項8】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置と通信するアクセスポイントであって、
送受信部、及び
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを送信し、
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信する時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了しない場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信しなく、
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了する場合に、前記プロセッサは、前記初期制御フレームに対する応答を送信するように構成され、
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間であるマルチリンク装置。
【請求項9】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)である、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項10】
前記ビーコンフレームは、DTIMビーコンである、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記初期制御フレームをあらかじめ指定されたフォーマットを用いてあらかじめ指定されたデータレートで送信する、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項12】
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置によってシグナルされる、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記マルチリンク装置から前記リンクスイッチングのために必要な初期制御フレームのパディングの最小長さ(duration)を受信し、
前記初期制御フレームに、前記パディングの最小長さと等しい又は長い時間に対応するパディングを含める、請求項1に記載のマルチリンク装置。
【請求項14】
前記EMLSRモードは、前記マルチリンク装置が含む複数のステーションが動作する前記複数のリンクのうち一部にのみ適用される、請求項に記載のマルチリンク装置。
【請求項15】
複数のリンクでそれぞれ動作する複数のステーションを含み、EMLSR(enhanced multi-link single radio)モードにおいてEMLSRモードが適用される複数のリンクであるEMLSRリンクの第1リンクでフレーム交換を行う間に前記EMLSRリンクの第2リンクで送信及び受信を行わないマルチリンク装置の動作方法であって、
前記EMLSRモードにおいて前記第1リンクで前記フレーム交換を開始する初期制御フレームを受信する段階と、
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置がビーコンフレームを受信する時点からあらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了しない場合に、前記初期制御フレームに対する応答を送信しない段階と、
前記初期制御フレームが開始するフレーム交換が、前記第2リンクで前記マルチリンク装置が前記ビーコンフレームを受信する時点から前記あらかじめ指定された時間だけ早い時間以前に完了する場合に、前記初期制御フレームに対する応答を送信する段階とを含み、
前記あらかじめ指定された時間は、前記マルチリンク装置がリンクスイッチングを行うための遅延時間である動作方法。
【請求項16】
前記初期制御フレームは、MU-RTS(multi-user request to send)フレーム又はBSRP(buffer status report poll)である、請求項1に記載の動作方法。
【国際調査報告】