(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】アズレン系化合物及びその作製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C07C 35/34 20060101AFI20240126BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240126BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20240126BHJP
A61K 36/63 20060101ALI20240126BHJP
C07C 29/74 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
C07C35/34 CSP
A61P29/00
A61K31/122
A61K36/63
C07C29/74
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548289
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 CN2022111978
(87)【国際公開番号】W WO2023045612
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111114354.5
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523300942
【氏名又は名称】江西本草天工科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGXI BENCAO TIANGONG TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 56 Yangming Road, Donghu District Nanchang, Jiangxi 330006, China
(71)【出願人】
【識別番号】521558329
【氏名又は名称】江西中医薬大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGXI UNIVERSITY OF TRADITIONAL CHINESE MEDICINE
【住所又は居所原語表記】1688 Meiling Avenue,Wanli District,Nanchang,Jiangxi 330000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】馮 育林
(72)【発明者】
【氏名】何 明珍
(72)【発明者】
【氏名】李 志強
(72)【発明者】
【氏名】李 志峰
(72)【発明者】
【氏名】欧陽 輝
(72)【発明者】
【氏名】李 軍茂
(72)【発明者】
【氏名】楊 世林
【テーマコード(参考)】
4C088
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C088AB64
4C088AC05
4C088BA08
4C088BA10
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4C088ZB11
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA04
4C206CB24
4C206KA04
4C206KA18
4C206MA01
4C206MA04
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4C206MA72
4C206MA86
4C206NA20
4C206ZB11
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AD15
4H006AD16
4H006AD17
4H006BB11
4H006BB14
4H006BB16
4H006FC26
4H006FE12
4H006FG30
(57)【要約】
【課題】アズレン系化合物及びその作製方法と使用を提供する。
【解決手段】アズレン系化合物は、互いに異性体となる2つの化合物を備え、その化学名が8-(1,2-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-ヒドロキシ-1,10-ジメチル-9-ジヒドロアズレン-3,4-ジオンである。アズレン系化合物の作製方法は、操作が簡単であり、純粋な化合物が分離して得られ、実験によると、両化合物では、24h内にRAW264.7マクロファージの増殖に対する明らかな影響がなく、LPSで誘発されるRAW264.7細胞のNO放出と、細胞におけるIL-1β、IL-6及びTNF-αの過剰分泌が顕著に抑制され、明らかな抗炎症作用がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式で示される化合物1または化合物2である、ことを特徴とするアズレン系化合物。
【請求項2】
請求項1に記載のアズレン系化合物の作製方法であって、
薬用材料であるライラックの茎に、エタノール溶液を投入して抽出し、濾過後に抽出液を収集し、抽出液をエキスとして濃縮するステップ(1)と、
エキスを取り出し、水で分散し、ジクロロメタン、及び酢酸エチルで順に抽出し、2つの溶媒抽出液及び水を収集し、溶媒を減圧・濃縮して乾燥することにより、ジクロロメタン抽出部、酢酸エチル抽出部及び水部を得るステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた酢酸エチル抽出部を取り出し、クロマトグラフィーによる分離精製を行い、アズレン系化合物を得るステップ(3)と、を備え、
ステップ(3)におけるクロマトグラフィーによる分離精製は、
ステップ(2)で得られた酢酸エチル抽出部をメタノールで溶解し、シリカゲルを投入して攪拌し、得られた試料をシリカゲルカラムに入れ、カラムクロマトグラフィーによる分離を行い、体積比の異なる石油エーテル/アセトンによりグラジエント溶出を行い、11個のフラクション1、2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11を得るステップAと、
フラクション4を取り、ODSカラムを用いた中圧クロマトグラフィーによる分離を行い、体積比の異なるメタノール/水でグラジエント溶出を行い、5個のフラクションA、B、C、D及びEを得るステップBと、
フラクションBを取って液相クロマトグラフィーによる分離を行い、体積濃度が13%であるアセトニトリル/水で溶出し、各クロマトグラフィーピークのピーク時間に応じてフラクションを収集し、各フラクションを濃縮して純粋な化合物1及び2の結晶を得るステップCと、を備え、
ステップAにおける、攪拌用のシリカゲルは、100~200メッシュであり、前記酢酸エチル抽出部と攪拌用のシリカゲルとの質量比は、1:10であり、前記シリカゲルカラムのシリカゲルは、200~300メッシュであり、グラジエント溶出を行う石油エーテルとアセトンの体積比は、それぞれ5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、及び0:1であり、
ステップBにおいて、グラジエント溶出を行うメタノール水溶液の体積濃度は、それぞれ5%、15%、30%、50%、70%、及び100%であり、前記ODSカラムを用いた中圧クロマトグラフィーは、ODS-C18のクロマトグラフィーカラムを用い、クロマトグラフィーカラムサイズは800×25mmで、粒度は20~45μmで、流速は30ml/minで、カラム温度は25℃であり、
ステップCにおける、液相クロマトグラフィーは、YMC-Triart C18のクロマトグラフィーカラムを用い、クロマトグラフィーカラムサイズは250×20mmで、粒度は5μmで、流速は10ml/minである、ことを特徴とするアズレン系化合物の作製方法。
【請求項3】
ステップ(1)におけるエタノール溶液は、5~95%体積濃度のエタノール水溶液であり、前記抽出は、冷浸法、浸透法、マイクロ波抽出法、超音波抽出法、還流抽出法または連続還流抽出法による抽出である、ことを特徴とする請求項2に記載のアズレン系化合物の作製方法。
【請求項4】
ステップ(1)における抽出回数は、1~3回であり、エタノール溶液の投入量と薬用材料であるライラックの茎の質量比は、(8~30):1であり、ステップ(2)におけるジクロロメタン、及び酢酸エチルでの抽出の回数は、それぞれ4~6回であり、各回のジクロロメタン、及び酢酸エチルの使用量は、抽出される液の体積の1/2~1/4である、ことを特徴とする請求項2に記載のアズレン系化合物の作製方法。
【請求項5】
抗炎症薬の作製における請求項1に記載のアズレン系化合物の使用。
【請求項6】
前記抗炎症薬は、前記アズレン系化合物を、薬学的に許容される担体または賦形剤に直接または間接的に投入して作製した経口剤または注射剤であり、前記経口剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、脂肪乳剤、マイクロカプセルまたは滴丸であり、前記注射剤は、注射液または粉末注射剤である、ことを特徴とする請求項5に記載のアズレン系化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬の技術分野に属し、具体的にアズレン系化合物及びその製造方法と使用に関し、特に抗炎症薬の作製における使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炎症は、例えば、病原体、損傷された細胞、刺激物といった有害な刺激に対する組織の複雑な生物学的応答である。これは通常、有害な刺激を除去し、組織の治癒過程を起こさせるための生物体による保護的な試みである。しかし、炎症は、十分に制限されないと、さまざまな病気の発症を招く可能性がある。体の免疫反応状態が異常になる場合には、不適切や過剰な免疫反応を引き起こし、組織や細胞を損傷して炎症が引き起こす可能性がある。免疫反応による組織損傷は、例えば、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹といったI型アレルギーと、抗基底膜糸球体腎炎といったII型アレルギーと、免疫複合体の沈着による糸球体腎炎といったIII型アレルギーと、結核、腸チフスといったIV型アレルギーと、さらに、リンパ性甲状腺炎、潰瘍性大腸炎などの多くの自己免疫疾患と、のさまざまな型の過敏反応で最も一般的である。
【0003】
ライラックは、モクセイ科ライラック属の植物としてのライラック(Syringa oblata Lindl.)である。その根、茎、葉及び心材は、薬として利用可能であり、暑さや湿気の取り除き、抗菌、抗肝炎などの機能を有し、ライラックの根及び心材は、モンゴル医学で心臓の熱さやうずき、めまい、不眠症、動悸、喘息、および「ヘイ」病(Khiigenous)の治療に用いられている。ライラックは、観賞用の花として我が国で広く栽培されて資源が豊富であるが、その薬用の開発が主に葉に対する開発に注目されており、その茎に関する研究や報告が少なく、その薬効や薬効成分について深く研究や開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ライラックの茎の化学成分に対して深く研究し、ライラックの茎におけるアズレン系化合物の作製方法及びその使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
アズレン系化合物であって、互いに異性体(Isomeride)となる2つの化合物1及び化合物2を備え、化学名が8-(1,2-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-ヒドロキシ-1,10-ジメチル-9-ジヒドロアズレン-3,4-ジオンであり、構造式が、以下の通りである。
【0006】
【0007】
アズレン系化合物。
さらに、上記アズレン系化合物の作製方法は、
【0008】
ライラックの茎の薬用材料を取り、エタノール溶液を投入して抽出し、濾過後に抽出液を収集し、抽出液をエキス(Extractum)として濃縮するステップ(1)と、
【0009】
エキスを取り、水で分散し、ジクロロメタン、酢酸エチルで順に抽出し、2つの溶媒抽出液及び水を収集し、溶媒を減圧・濃縮して乾燥することにより、ジクロロメタン抽出部位、酢酸エチル抽出部位及び水部位を得るステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた酢酸エチル抽出部位を取り、クロマトグラフィーによる分離精製を行い、前記アズレン系化合物を得るステップ(3)と、を備える。
さらに、ステップ(3)におけるクロマトグラフィーによる分離精製は、具体的に、
【0010】
ステップ(2)で得られた酢酸エチル抽出部位を取ってメタノールで溶解し、シリカゲルを投入して試料攪拌を行い、シリカゲルカラムへ試料を添加し、カラムクロマトグラフィーによる分離を行い、体積比の異なる石油エーテル-アセトンによりグラジエント溶出を行い、11個のフラクション(Fraction)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11を得るステップAと、
【0011】
フラクション4を取り、ODS中圧でクロマトグラフィーによる分離を作製し、体積濃度の異なるメタノール-水でグラジエント溶出を行い、5個のフラクションA、B、C、D、Eを得るステップBと、
【0012】
フラクションBを取って液相クロマトグラフィーによる分離を作製し、体積濃度が13%であるアセトニトリル-水で溶出し、各クロマトグラフィーピークのピーク時間に応じてフラクションを収集し、各フラクションを濃縮して純粋な化合物1、2の結晶を得るステップCと、を備える。
【0013】
さらに、ステップ(1)におけるエタノール溶液は、5~95%体積濃度のエタノール水溶液であり、前記抽出方法は、冷浸法、浸透法(Percolation)、マイクロ波抽出法、超音波抽出法、還流抽出法または連続還流抽出法である。
【0014】
さらに、ステップ(1)における抽出回数は、1~3回であり、エタノール溶液の投入量とライラックの茎の薬用材料との質量比は、(8~30):1であり、ステップ(2)におけるジクロロメタン、酢酸エチル抽出の回数は、それぞれ4~6回であり、毎回のジクロロメタン、酢酸エチルの使用量は、抽出される液の体積の1/2~1/4である。
【0015】
さらに、ステップAにおいて、試料攪拌用のシリカゲルは、100~200メッシュであり、前記酢酸エチル抽出部位と試料攪拌用のシリカゲルとの質量比は、1:10であり、前記シリカゲルカラムは、200~300メッシュのシリカゲルカラムであり、グラジエント溶出が行われる石油エーテル-アセトンの体積比は、それぞれ5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0:1である。
【0016】
さらに、ステップBにおいて、グラジエント溶出が行われるメタノール-水の体積濃度は、それぞれ5%、15%、30%、50%、70%、100%であり、前記ODS中圧でクロマトグラフィーを作製するクロマトグラフィー条件は、ODS-C18のクロマトグラフィーカラム、800×25mmのクロマトグラフィーカラムサイズ、20~45μmの粒度、30ml/minの流速、25℃のカラム温度である。
【0017】
さらに、ステップCにおいて、液相クロマトグラフィーを作製するクロマトグラフィー条件は、YMC-Triart C18のクロマトグラフィーカラム、250×20mmのクロマトグラフィーカラムサイズ、5μmの粒度、10ml/minの流速である。
本発明は、抗炎症薬の作製における上記アズレン系化合物の使用をさらに提供する。
【0018】
本発明は、上記アズレン系化合物を、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、接着剤等の薬学的に許容され通常に使用される各種の補助材料に直接または間接的に投入して経口剤または注射剤を作製してもよい。
【0019】
前記経口剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、脂肪乳剤、マイクロカプセル、滴丸であり、前記注射剤は、注射液または粉末注射剤である。
【発明の効果】
【0020】
有益効果:本発明に係るアズレン系化合物の作製方法は、操作が簡単であり、分離により純粋な化合物が得られる。実験によると、本発明に係るアズレン系化合物は、24h内でRAW264.7マクロファージの増殖対する明な影響がなく、LPSで誘発されるRAW264.7細胞のNO放出と、細胞におけるIL-1β、IL-6及びTNF-αの過剰分泌が顕著に抑制される。従って、本発明に係る化合物は、抗炎症薬の作製に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係るアズレン系化合物の化学平面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るアズレン系化合物のECD測定値及び計算値スペクトルグラムである。
【
図3】
図3は、本発明に係る化合物1の
1H-NMRスペクトルグラムである。
【
図4】
図4は、本発明に係る化合物1の
13C-NMRスペクトルグラムである。
【
図5】
図5は、本発明に係る化合物1の質量スペクトルグラムである。
【
図6】
図6は、本発明に係る化合物1のDEPT炭素スペクトルグラムである。
【
図7】
図7は、本発明に係る化合物1のHMBC炭素スペクトルグラムである。
【
図8】
図8は、本発明に係る化合物1のHSQC炭素スペクトルグラムである。
【
図9】
図9は、本発明に係る化合物1のNOESY炭素スペクトルグラムである。
【
図10】
図10は、本発明に係る化合物1のH-H-COSY炭素スペクトルグラムである。
【
図11】
図11は、本発明に係る化合物2の
1H-NMRスペクトルグラムである。
【
図12】
図12は、本発明に係る化合物2の
13C-NMRスペクトルグラムである。
【
図13】
図13は、本発明に係る化合物2の質量スペクトルグラムである。
【
図14】
図14は、本発明に係る化合物2のDEPT炭素スペクトルグラムである。
【
図15】
図15は、本発明に係る化合物2のHMBC炭素スペクトルグラムである。
【
図16】
図16は、本発明に係る化合物2のHSQC炭素スペクトルグラムである。
【
図17】
図17は、本発明に係る化合物2のNOESY炭素スペクトルグラムである。
【
図18】
図18は、本発明に係る化合物2のH-H-COSY炭素スペクトルグラムである。
【
図19】
図19は、RAW264.7細胞活性に対する本発明に係る化合物1の影響の模式図である。
【
図20】
図20は、RAW264.7細胞活性に対する本発明に係る化合物2の影響の模式図である。
【
図21】
図21は、LPSで誘発されるRAW264.7細胞脂質過酸化反応に対する本発明に係る化合物1の影響の模式図である。
【
図22】
図22は、LPSで誘発されるRAW264.7細胞脂質過酸化反応に対する本発明に係る化合物2の影響の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、記載の実施例が本発明の一部の実施例に過ぎずその全体ではないことは、明らかである。当業者であれば、本発明における実施例に基づいて、創造的な労働付かずに取得する他のすべての実施例は、何れも本発明の保護請求範囲に属する。
【0023】
本発明に係る実施例に関連する試剤は、特に断りのない限り、いずれも市販品であり、商業ルートにより購入できるものである。
実施例1
【0024】
本実施例は、ライラックにおけるアズレン系化合物であって、互いに異性体となる2つの化合物1及び化合物2を備え、化学名が8-(1,2-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-ヒドロキシ-1,10-ジメチル-9-ジヒドロアズレン-3,4-ジオンであり、構造式が、以下の通りである。
【0025】
【0026】
アズレン系化合物を提供する。
上記ライラックにおけるアズレン系化合物の作製方法は、
【0027】
乾燥したライラックの茎の薬用材料を取り、8倍量の70%(体積濃度)エタノールを投入し、加熱・還流抽出を3回行い、時間をそれぞれ2時間、2時間、1時間とし、濾過して抽出液を併せて、アルコール臭がなくなるまで減圧・濃縮することにより、エキスを抽出物として得るステップ(1)と、
【0028】
エキスを取り、水で分散し、ジクロロメタンで5回、酢酸エチルで5回順に抽出し、毎回のジクロロメタン、酢酸エチルの使用量を抽出される液の体積の1/3とし、2つの溶媒抽出液及び水を収集し、溶媒を減圧・濃縮して乾燥することにより、ジクロロメタン抽出部位、酢酸エチル抽出部位及び水部位を得るステップ(2)と、
【0029】
ステップ(2)で得られた酢酸エチル抽出部位を取り、メタノールで完全に溶解し、100~200メッシュのシリカゲルを投入して乾式試料攪拌を行い、予め充填された200~300メッシュのシリカゲルカラムへ試料を添加し、カラムクロマトグラフィーによる分離を行い、石油エーテル-アセトン(体積比が5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0:1である)でグラジエント溶出を行い、シリカゲルGF254及びG薄層板で識別し、類似スポット含有のフラクションを併せて11個のフラクション1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11を得、フラクション4を取ってメタノールで溶解し、濾過し、濾液をODS中圧でクロマトグラフィーによる分離を作製し、5%、15%、30%、50%、70%、100%のメタノール-水でグラジエント溶出を行い、シリカゲルGF254及び薄層板で検査し、類似スポット含有のフラクションを併せ、濃縮・乾燥することにより、5個のフラクションA、B、C、D、Eを得、フラクションBを取って50%のアセトニトリルで溶解し、濾過し、液相クロマトグラフィーによる分離を作製し、13%のアセトニトリル-水で溶出し、各クロマトグラフィーピークのピーク時間に応じてフラクションを収集し、各フラクションを濃縮して純粋な化合物1(200mg)、2(450mg)の結晶を得、ただし、HPLC面積正規化法で検出される両化合物の純度は、いずれも98%以上であるステップ(3)と、を備える。
【0030】
ただし、ODS中圧でクロマトグラフィーを作製するクロマトグラフィー条件は、ODS-C18のクロマトグラフィーカラム、800×25mmのクロマトグラフィーカラムサイズ、20~45μmの粒度、30ml/minの流速、25℃のカラム温度である。
【0031】
液相クロマトグラフィーを作製するクロマトグラフィー条件は、YMC-Triart C18のクロマトグラフィーカラム、250×20mmのクロマトグラフィーカラムサイズ、5μmの粒度、10ml/minの流速である。
実施例2
本実施例は、ライラックにおけるアズレン系化合物を提供し、その作製方法は、
【0032】
乾燥したライラックの茎の薬用材料を取り、15倍量の80%濃度のエタノールを投入し、冷浸法で抽出し、毎回24時間で冷浸を2回行い、濾過して抽出液を併せて、アルコール臭がなくなるまで減圧・濃縮することにより、エキスを抽出物として得るステップ(1)と、
【0033】
エキスを取り、水で分散し、ジクロロメタンで4回、酢酸エチルで4回順に抽出し、毎回のジクロロメタン、酢酸エチルの使用量を抽出される液の体積の1/2とし、2つの溶媒抽出液及び水を収集し、溶媒を減圧・濃縮して乾燥することにより、ジクロロメタン抽出部位、酢酸エチル抽出部位及び水部位を得るステップ(2)と、
【0034】
ステップ(2)で得られた酢酸エチル抽出部位を取り、メタノールで完全に溶解し、100~200メッシュのシリカゲルを投入して乾式試料攪拌を行い、予め充填された200~300メッシュのシリカゲルカラムへ試料を添加し、カラムクロマトグラフィーによる分離を行い、石油エーテル-アセトン(体積比が5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0:1である)でグラジエント溶出を行い、シリカゲルGF254及びG薄層板で識別し、類似スポット含有のフラクションを併せて11個のフラクション1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11を得、フラクション4を取ってメタノールで溶解し、濾過し、濾液をODS中圧でクロマトグラフィーによる分離を作製し、5%、15%、30%、50%、70%、100%のメタノール-水でグラジエント溶出を行い、シリカゲルGF254及び薄層板で検査し、類似スポット含有のフラクションを併せ、濃縮・乾燥することにより、5個のフラクションA、B、C、D、Eを得、フラクションBを取って50%のアセトニトリルで溶解し、濾過し、液相クロマトグラフィーによる分離を作製し、13%のアセトニトリル-水で溶出し、各クロマトグラフィーピークのピーク時間に応じてフラクションを収集し、各フラクションを濃縮して純粋な化合物1、2の結晶を得、ただし、HPLC面積正規化法で検出される両化合物の純度は、いずれも98%以上であるステップ(3)と、を備える。
【0035】
その他は、実施例1と同じである。
実施例3
本実施例は、ライラックにおけるアズレン系化合物を提供し、その作製方法は、
【0036】
乾燥したライラックの茎の薬用材料を取り、30倍量の95%濃度のエタノールを投入し、浸透法で抽出し、1週間浸透させ、濾過して抽出液を併せて、アルコール臭がなくなるまで減圧・濃縮することにより、エキスを抽出物として得るステップ(1)と、
【0037】
エキスを取り、水で分散し、ジクロロメタンで6回、酢酸エチルで6回順に抽出し、毎回のジクロロメタン、酢酸エチルの使用量を抽出される液の体積の1/4とし、2つの溶媒抽出液及び水を収集し、溶媒を減圧・濃縮して乾燥することにより、ジクロロメタン抽出部位、酢酸エチル抽出部位及び水部位を得るステップ(2)と、
【0038】
ステップ(2)で得られた酢酸エチル抽出部位を取り、メタノールで完全に溶解し、100~200メッシュのシリカゲルを投入して乾式試料攪拌を行い、予め充填された200~300メッシュのシリカゲルカラムへ試料を添加し、カラムクロマトグラフィーによる分離を行い、石油エーテル-アセトン(体積比が5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、0:1である)でグラジエント溶出を行い、シリカゲルGF254及びG薄層板で識別し、類似スポット含有のフラクションを併せて11個のフラクション1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11を得、フラクション4を取ってメタノールで溶解し、濾過し、濾液をODS中圧でクロマトグラフィーによる分離を作製し、5%、15%、30%、50%、70%、100%のメタノール-水でグラジエント溶出を行い、シリカゲルGF254及び薄層板で検査し、類似スポット含有のフラクションを併せ、濃縮・乾燥することにより、5個のフラクションA、B、C、D、Eを得、フラクションBを取って50%のアセトニトリルで溶解し、濾過し、液相クロマトグラフィーによる分離を作製し、13%のアセトニトリル-水で溶出し、各クロマトグラフィーピークのピーク時間に応じてフラクションを収集し、各フラクションを濃縮して純粋な化合物1、2の結晶を得、ただし、HPLC面積正規化法で検出される両化合物の純度は、いずれも98%以上であるステップ(3)と、を備える。
その他は、実施例1と同じである。
実施例4
本実施例は、ライラックにおけるアズレン系化合物を提供し、その作製方法におけるステップ(1)は、
【0039】
乾燥したライラックの茎の薬用材料を取り、20倍量の5%(体積濃度)エタノールを投入し、加熱・還流抽出を3回行い、時間をそれぞれ3時間、2時間、1時間とし、濾過して抽出液を併せて、アルコール臭がなくなるまで減圧・濃縮することにより、エキスを抽出物として得ることである。
その他は、実施例1と同じである。
一、本発明に係る化合物の構造解析
【0040】
その構造は、主に紫外、赤外、質量スペクトル、核磁気共鳴(1H-NMR、13C-NMR、2D-NMR)などの分光法技術により鑑定され、具体的なスペクトルグラムが図 2~18に示され、そのスペクトルデータ及び解析過程は、以下の通りである。
【0041】
(1)実施例1で得られた化合物1、2を取って構造解析を行い、ただし、化合物1、2は淡黄色の非晶質粉末であり、高分解能質量スペクトルESI-TOF-MSm/zが301.1046[M+Na]+である。
【0042】
化合物1及び化合物2は、分子式がいずれもC15H18O5であり、正確な分子量が278.1154であり、不飽和度が7である。且つ、両化合物の1H NMR、13C NMR、HMBC、DEPT及びHSQCスペクトルグラムは、ほぼ一致している。
【0043】
1H NMR、13C NMRを総合的に分析して分かるように、化合物の構造には、3つのメチル基[δC24.2,23.5及び11.0(それぞれがC-11,C-15及びC-12に対応する),δH2.06(s,Me-12),δH1.38(s,Me-15)及びδH1.37(s,Me-11)]と、2つのメチレン基[δC69.1及び38.6(それぞれがC-14及びC-9である),δH3.65(d,J=11.3Hz,H-14a)及びδH3.53(d,J=11.3Hz,H-14b),δH3.02(d,J=17.7Hz,H-9a)及び2.00(dd,J=2.0,17.6Hz,H-9b)]と、2つのメチン[δC126.2及び125.5(それぞれがC-5及びC-7に対応する),δH6.78(s,H-5),δH6.49(d,J=2.4Hz,H-7)]と、8つの四級炭素[δC189.3,181.8,171.2,160.0,147.0,135.9,76.6及び45.7(それぞれがC-3,C-4,C-8,C-6,C-2,C-1,C-13及びC-10である)]と、が存在している。
【0044】
HMBC、DEPT及びHSQCスペクトルなどの2次元核磁気共鳴スペクトルデータを組み合わせることで化合物の平面構造が確定され、その化学平面構造式が
図1に示され、化学名が8-(1,2-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-ヒドロキシ-1,10-ジメチル-9-ジヒドロアズレン-3,4-ジオンである。この化合物には、2つのキラル中心、つまりC-10及びC-13があるため、この平面構造には、(10R,13S)、(10S,13R)、(10R,13R)、(10S,13S)という4つの立体配置がある。測定された電子円二色性スペクトル(ECD)と理論的に計算された(Gaussian 09Wソフトウェアによって計算された)ECDスペクトルグラムとを比べて確定できるように、化合物の絶対配置は、(10R,13R)及び(10R,13S)であり、具体的なスペクトルグラムが
図2に示される。NOESYスペクトルデータから分かるように、化合物1のC-11、C-12、C-15メチル水素関連信号があるが、化合物2にはC-11及びC-12メチル水素の関連信号のみが生成されるため、化合物1及び化合物2の絶対配置がそれぞれ(10R,13R)及び(10R,13S)であることは判定でき、その構造式が実施例1に示される。
(2)化合物1、2のスペクトルデータは、以下のようにまとめられる。
【0045】
化合物1:1H NMR(600MHz,MeOD)δ6.79(s,1H,H-5),6.49(d,J=2.4Hz,1H,H-7),3.70(d,J=11.3Hz,1H,H-14a),3.62(d,J=11.3Hz,1H,H-14b),3.14(d,J=17.7Hz,1H,H-9a),2.43(dd,J=17.6,2.0Hz,1H,H-9b),2.07(s,3H,H-12),1.38(s,3H,H-15),1.36(s,3H,H-11)。
【0046】
13C NMR(150MHz,MeOD)δ187.9(C-3),180.5(C-4),169.7(C-8),158.7(C-6),145.6(C-2),134.6(C-1),124.7(C-5),124.1(C-7),74.9(C-13),68.1(C-14),44.2(C-10),37.0(C-9),22.9(C-11),22.1(C-15),9.6(C-12)。
【0047】
化合物2:1HNMR(600MHz,MeOD)δ6.79(s,1H,H-5),6.51(d,J=2.4Hz,1H,H-7),3.68(d,J=11.3Hz,1H,H-14a),3.56(d,J=11.3Hz,1H,H-14b),3.05(d,J=17.7Hz,1H,H-9a),2.47(dd,J=17.6,2.0Hz,1H,H-9b),2.08(s,3H,H-12),1.40(s,3H,H-15),1.38(s,3H,H-11)。
【0048】
13C NMR(150MHz,MeOD)δ187.9(C-3),180.4(C-4),169.8(C-8),158.6(C-6),145.6(C-2),134.5(C-1),124.8(C-5),123.6(C-7),75.2(C-13),67.7(C-14),44.2(C-10),37.2(C-9),22.8(C-11),22.1(C-15),9.6(C-12)。
【0049】
二、本発明に係る化合物の抗炎症作用についての研究
(一)実験材料及び試薬
1.薬物及び試薬
【0050】
実施例1で作製された2つの化合物1、2(自己抽出、純度98%以上);マウス腹腔マクロファージRAW264.7(上海Heng科生物技術株式会社);ウシ胎児血清(FBS)(Thermo Fisher/Gibco会社)。CCK-8試薬キット、IL-1β試薬キット、IL-6試薬キット、TNF-α試薬キット、DMEM培地、ペニシリン及びストレプトマイシン混合液(100×)(北京索来宝科技株式会社)、DMSO、LPS(米国sigma会社));一酸化窒素検出試薬キット(上海碧雲天生物技術株式会社)。
2.実験器具
【0051】
BT 125D型電子天秤(北京ザルトリウス(Sartorius)科学器具株式会社);SPECTRO star Nano全波長マイクロプレートリーダー(BMGLABTECH);Form 311型二酸化炭素インキュベーター(Thermo Scientific会社)。
3.被験薬物及び処理方法
【0052】
127.82mgの化合物及び227.79mgの化合物をそれぞれ精密に量り、5mlのメスフラスコに置き、少量のDMSOで溶解し、DMEM完全培地で希釈して標線の量に調整することにより、化合物濃度が20mmol/L、19.98mmol/Lの薬含有のDMEM培地母液をそれぞれ取得し、実験中にDMEM培地で需要な濃度まで希釈する。DMSOの体積比を千分の三以内に制御する。
(二)実験方法
【0053】
1.細胞培養:RAW264.7細胞を10%FBS、1%ペニシリン及びストレプトマイシン混合液含有のDMEM培地に投入し、5%CO2含有、37℃のインキュベーター中で継代し、隔日継代培養する。
2.RAW264.7細胞活性に対する両化合物の影響の評価
【0054】
対数増殖期のRAW264.7細胞を取り、10%FBS培養液含有のDMEM培地で細胞密度を1×104ml-1までに調整し、96孔板に播種し、薬物濃度の異なる化合物含有の細胞培養液を100μL/孔で96孔板に入れ、薬物濃度がそれぞれ12.5、25、50、100、200、400μmol/Lである薬供給群を設計し、正常細胞対照群を別途に設定し、正常群に薬物なしの細胞培養液を添加し、各群で6個の複数孔とする。37℃、5%CO2で24h培養した後、上清を捨て、10%CCK-8溶液を1孔毎に100μLを添加し、マイクロプレートリーダーにより450nmで吸光度(OD値)を測定し、細胞生存率を計算する。
LPSで誘発されるRAW264.7細胞脂質過酸化反応に対する両化合物の影響の評価
【0055】
(1)標準曲線の描き方:標準品を濃度が0、1.56、3.125、6.25、12.5、25、50、100mMである溶液に希釈し、等量のGriess試薬を添加し、マイクロプレートリーダーにより波長550nmで吸光度を測定し、標準曲線を描く。
【0056】
(2)LPSで誘発されるRAW264.7のNO産生に対する抑制作用をGriess法により測定する。対数増殖期のRAW264.7細胞を96孔板に播種し(5×104細胞/孔)、37℃、5%CO2で24h培養し、旧培地を捨て、薬供給群の孔毎に薬含有のDMEM培地(低用量50μmol/L、中用量100μmol/L、高用量200μmol/L)を100μL添加し、モデル群及びブランク群の孔毎に100μLのブランク培地を添加し、1h培養した後、ブランク群を除く残りの各群に100μLのLPS(2μg/ml)溶液を添加し、24h培養し続いた後、各孔から50μLの上清を新たな96孔板に吸い取り、50μLのGriessI液及び50μLのGriessII液を順次添加し、マイクロプレートリーダーにより550nmでそのOD値を測定し、NO抑制率を計算する。
4.炎症因子IL-1β、IL-6及びTNF-αの含有量をELISA法により検出する
【0057】
試験群の分割、モデリング及び薬供給プロセスをステップ3(2)と同じようにとし、細胞上清を収集し、細胞因子検出試薬キットの操作説明に従って3、6、12、24hでの各試験群のRAW264.7細胞上清におけるIL-1β、IL-6及びTNF-αの分泌量を測定する。
5.データ処理及び分析
【0058】
データをExcelソフトウェアによりt検定分析を行い、結果を「x±s」で表す。Graph Pad Prism 8.0.2ソフトウェアによりヒストグラムを描く。
(三)実験結果
1.RAW264.7細胞活性に対する両化合物の影響の評価結果
【0059】
CCK-8法による検出結果を
図19、20に示すように、400μmol/Lの場合、両化合物は24h内でRAW264.7マクロファージの増殖に対して明らかに影響しない。
2.LPSで誘発されるRAW264.7細胞脂質過酸化反応に対する両化合物の影響の評価
LPSで誘発されるRAW264.7細胞NO放出に対する両化合物の影響の結果を下記の表1及び
図21、22に示す。
【0060】
分析の結果、化合物1、2のモデル群と対照群とを比べて分かるように、両者が極めて顕著的な差があり(P<0.01)、LPS刺激によりRAW264.7細胞におけるNO産生が顕著的に増加されてモデリングが成功した。薬供給群とモデル群とを比べて分かるように、化合物1、2の高、中用量群には極めて顕著的な差があり(P<0.01)、低用量群には顕著的な差があり(P<0.05)、化合物1、2が、LPSにより刺激されるRAW264.7細胞におけるNO産生に対して明らかな抑制作用を奏する。
【0061】
表1 LPSで誘発されるRAW264.7細胞脂質過酸化反応に対する両化合物の影響
【0062】
3.炎症因子IL-1β、IL-6及びTNF-αの含有量をELISA法により検出する
【0063】
実験結果を表2、3に示すように、モデル群とブランク群とを比べて分かるように、LPS刺激後、モデル群の細胞上清におけるIL-1β、IL-6及びTNF-αの含有量は、いずれも極めて顕著的に上昇し、モデリングは成功した。薬供給群とモデル群とを比べて分かるように、化合物1、2の高用量群、化合物2の中用量群におけるIL-1βの含有量は、4つの時点でいずれも極めて顕著的な下降傾向を表現し、また、化合物1の中用量群におけるIL-1βもある程度の下降傾向を表現し、且つ、両化合物は、同じ時点で用量依存関係を表現し、化合物1の高用量群におけるIL-6の含有量は、4つの時点でいずれも極めて顕著的に下降し、化合物1の中用量群及び化合物2の高、中用量群も下降傾向を表現する。化合物1、2の高用量群におけるTNF-αの含有量は、いずれも極めて顕著的に下降し、一方、化合物1、2における低用量群は、TNF-αの含有量に対してある程度の抑制効果を奏し、これから分かるように、化合物1、2は、LPS誘発条件でのRAW264.7細胞によるIL-1β、IL-6及びTNF-αの過剰分泌をある程度に明らかに抑制することができ、化合物1、2が明らかな抗炎症作用を有することは分かった。
【0064】
表2 LPS誘発でのRAW264.7細胞の炎症因子IL-1β、IL-6及びTNF-α分泌に対する化合物1の影響
【0065】
表3 LPS誘発でのRAW264.7細胞の炎症因子IL-1β、IL-6及びTNF-α分泌に対する化合物2の影響
【0066】
備考:上記の表1、2、3及び
図21、22において、
#はモデル群とブランク群との比較を意味し、
#はP<0.05を表し、
##はP<0.01を表し、
*は化合物(高、中、低)用量群とモデル群との比較を意味し、
*はP<0.05を表し、
**はP<0.01を表す。
【0067】
最後に、上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、前述実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者にとっては、依然として前述実施例に記載の技術案を修正したりその一部の技術特徴を同等に置き換えたりしてもよい。本発明の精神及び原理でなされたあらゆる修正、同等置換、改善などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】