(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】大変形、定抵抗及び支持機能を有するグラウト注入用アンカーケーブル
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
E02D5/80 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550306
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2022135223
(87)【国際公開番号】W WO2023142654
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202211114126.2
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514248617
【氏名又は名称】中国▲鉱▼▲業▼大学(北京)
(71)【出願人】
【識別番号】523315636
【氏名又は名称】北京中▲鉱▼▲創▼新▲連▼盟能源▲環▼境科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】胡▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】何▲満▼潮
(72)【発明者】
【氏名】陶志▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】彭迪
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041GA01
(57)【要約】
【課題】 大変形、定抵抗及び支持機能を有するグラウト注入用アンカーケーブル、即ちグラウト注入用NPRアンカーケーブルを提供する。
【解決手段】 大変形、定抵抗及び支持機能を有するグラウト注入用アンカーケーブル、即ちグラウト注入用NPRアンカーケーブルは、アンカーケーブル本体であって、アンカーケーブル本体の端末には周囲の岩石での掘削孔(11)の孔底に固定するために使用されている固定セグメント(18)が設けられているアンカーケーブル本体と、定抵抗体(4)及び定抵抗スリーブ(6)を含む定抵抗装置であって、定抵抗体(4)はアンカーケーブル本体の外周に外嵌され、定抵抗スリーブ(6)は定抵抗体(4)の外周に外嵌され、定抵抗体(4)は定抵抗スリーブ(6)においてアンカーケーブル軸方向に沿って一定の抵抗で移動するために使用されている定抵抗装置と、定抵抗装置の端末に設けられている定抵抗装置シールアセンブリであって、定抵抗装置シールアセンブリはアンカーケーブル本体と周囲の岩石での掘削孔(11)との間の隙間を塞ぐために使用され、定抵抗装置は定抵抗装置シールアセンブリを押圧する定抵抗装置シールアセンブリと、パレット(3)及びアンカー(2)を含む固定アセンブリであって、アンカー(2)及びパレット(3)は、いずれも、アンカーケーブル本体が周囲の岩石での掘削孔(11)から突出する一端に設けられており、アンカーケーブル本体の引張が設計予圧力に達した後、アンカーケーブル本体を固定ロックするために使用されている固定アセンブリと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーケーブル本体であって、前記アンカーケーブル本体の端末には掘削孔の孔底に固定するために使用されている固定セグメントが設けられているアンカーケーブル本体と、
定抵抗体及び定抵抗スリーブを含む定抵抗装置であって、前記定抵抗体は前記アンカーケーブル本体の外周に外嵌され、前記定抵抗スリーブは前記定抵抗体の外周に外嵌され、前記定抵抗体は前記定抵抗スリーブにおいてアンカーケーブル軸方向に沿って一定の抵抗で移動するために使用されている定抵抗装置と、
定抵抗装置の端末に設けられている定抵抗装置シールアセンブリであって、前記定抵抗装置シールアセンブリはアンカーケーブル本体と掘削孔との間の隙間を塞ぐために使用され、前記定抵抗装置は前記定抵抗装置シールアセンブリを押圧する定抵抗装置シールアセンブリと、
パレット及びアンカーを含む固定アセンブリであって、前記アンカー及びパレットは、いずれも、アンカーケーブル本体が周囲の岩石での掘削孔から突出する一端に設けられており、アンカーケーブル本体の引張が設計予圧力に達した後、アンカーケーブル本体を固定ロックするために使用されている固定アセンブリと、
を含むグラウト注入用NPRアンカーケーブルであって、
前記定抵抗装置シールアセンブリは、
アンカーケーブル本体の外周に外嵌され、且つ定抵抗スリーブの底部に外嵌されており、定抵抗スリーブの底部をシールするために使用されているシールリングと、
前記アンカーケーブル本体と掘削孔との間に設けられ、隙間を塞いでグラウト注入の圧力を高めるために使用されているグラウト止め栓と、
前記シールリングと前記グラウト止め栓との間に設けられ、定抵抗装置の押力をグラウト止め栓へ伝達させるために使用されている押圧部材であって、押圧部材はI字型押し管であり、前記I字型押し管は前記アンカーケーブル本体に外嵌されている押圧部材と、
を含み、
前記I字型押し管の定抵抗装置の一端に近い断面形状は前記シールリングと同じであり、前記I字型押し管のグラウト止め栓の一端に近い断面形状は前記グラウト止め栓と同じであり、前記定抵抗スリーブの端部にはフランジリムが設けられ、前記パレットは、定抵抗スリーブの外周に外嵌され、且つ定抵抗スリーブのフランジリムによって周囲の岩石に押圧され、
前記アンカーはクリップ式のアンカーであり、前記クリップ式のアンカーはアンカーケーブル本体の外周に外嵌され、且つ前記定抵抗体と当接して接触する、
ことを特徴とするグラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【請求項2】
前記アンカーケーブル本体は複数の鋼より線及びグラウト注入管を含み、複数の鋼より線は前記グラウト注入管の外周に巻き付けられ、鋼より線の長さは前記グラウト注入管の長さより大きく、アンカーケーブル本体の掘削孔から突出する一端において、鋼より線はグラウト注入管と整列している、
ことを特徴とする請求項1に記載のグラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【請求項3】
グラウト注入管の掘削孔へ突出する一端にはプラスチック管が接続され、前記グラウト注入管及びプラスチック管の外周にはラップ管が外嵌され、
プラスチック管と固定セグメントとの間の前記アンカーケーブル本体は、グラウト排出口であり、前記グラウト排出口は、アンカーケーブル本体が拡径した後、任意の隣接する鋼より線の間のグラウト排出用隙間から形成されているものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のグラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【請求項4】
前記アンカーケーブル本体には外套管が外嵌されており、前記外套管は、一端が定抵抗スリーブ内に位置され、他端がラップ管の前に位置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のグラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【請求項5】
前記グラウト注入用NPRアンカーケーブルはアンカーケーブルシールアセンブリをさらに含み、前記アンカーケーブルシールアセンブリは外套管のラップ管に近い一端に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のグラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【請求項6】
前記アンカーケーブルアセンブリは、
鋼より線とグラウト注入管との間に位置され、外套管のグラウト排出口に近い一端に対応して設けられている内側封止管と、
鋼より線の外周に設けられている外側封止管であって、前記外側封止管と前記外套管はラップセグメントを有する外側封止管と、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のグラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【請求項7】
前記アンカーケーブルアセンブリは外側押圧管をさらに含み、前記外側押圧管は、外側封止管と周囲の岩石での掘削孔との間の隙間を塞ぐために、前記外側封止管の外周に外嵌され、外側封止管と周囲の岩石での掘削孔内壁との間に充填されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のグラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル支持技術分野に属し、具体的には大変形、定抵抗及び支持機能を有するグラウト注入用アンカーケーブル、即ちグラウト注入用NPRアンカーケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
地下工事において、アンカーケーブルは補強効果が高い初期支持構造として広く用いられる。地下工事が青蔵高原に向かって進むことにつれて、トンネルは断層を通過することが避けられず、断層帯の物質の多くは破裂岩と断層砂利、節理並びに微小クラックの発育であり、岩体が破砕し且つ砕石角砂利状構造を呈し、アンカーケーブルの固定端の安定に不利である。グラウト注入によって周囲の岩石の内部の節理、微小クラックとキャビティに石体を形成し、周囲の岩石の強度、安定性、全体性及び浸透防止性能を向上させ、周囲の岩石の内部のクラックの更なる発育を効果的に抑制することができ、それにより周囲の岩石の物理力学的性質を改善するという目的を達成する。グラウト注入して補強した後の周囲の岩石はより高い強度及び全体性を取得し、アンカーケーブルに高い固定力を提供できるとともに、グラウト注入が組み合わせアーチの厚さを大きくし、アンカーケーブルの高いプレストレスを深部へ伝達することに有利である。グラウト注入用NPRアンカーケーブルは断層破砕帯の周囲の岩石に対してグラウト注入して補強することにより、周囲の岩石の強度及び完全性を向上させ、アンカーケーブル及び吊り作用をより有利に発揮し、周囲の岩石の安定性を保障する。
【0003】
しかし、従来技術におけるグラウト注入用NPRアンカーケーブルはシール性が悪いため、グラウト注入固定効果が保障されない。
【0004】
したがって、上記従来技術の不足に対して改善した技術案を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、現在の従来技術におけるグラウト注入用NPRアンカーケーブルはシール性が悪いため、グラウト注入固定が保障されないなどの問題を少なくとも解決するための大変形、定抵抗及び支持機能を有するグラウト注入用アンカーケーブル、即ちグラウト注入用NPRアンカーケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を提供する。
【0007】
アンカーケーブル本体であって、前記アンカーケーブル本体の端末には掘削孔の孔底に固定するために使用されている固定セグメントが設けられているアンカーケーブル本体と、定抵抗体及び定抵抗スリーブを含む定抵抗装置であって、前記定抵抗体は前記アンカーケーブル本体の外周に外嵌され、前記定抵抗スリーブは前記定抵抗体の外周に外嵌され、前記定抵抗体は前記定抵抗スリーブにおいてアンカーケーブル軸方向に沿って一定の抵抗で移動するために使用されている定抵抗装置と 定抵抗装置の端末に設けられている定抵抗装置シールアセンブリであって、前記定抵抗装置シールアセンブリはアンカーケーブル本体と掘削孔との間の隙間を塞ぐために使用され、前記定抵抗装置は前記定抵抗装置シールアセンブリを押圧する定抵抗装置シールアセンブリと パレット及びアンカーを含む固定アセンブリであって、前記アンカー及びパレットは、いずれも、アンカーケーブル本体が周囲の岩石での掘削孔から突出する一端に設けられており、アンカーケーブル本体の引張が設計予圧力に達した後、アンカーケーブル本体を固定ロックするために使用されている固定アセンブリと、を含むグラウト注入用NPRアンカーケーブルであって、前記定抵抗装置シールアセンブリは、アンカーケーブル本体の外周に外嵌され、且つ定抵抗スリーブの底部に外嵌されており、定抵抗スリーブの底部をシールするために使用されているシールリングと、前記アンカーケーブル本体と掘削孔との間に設けられ、隙間を塞いでグラウト注入の圧力を高めるために使用されているグラウト止め栓と、 前記シールリングと前記グラウト止め栓との間に設けられ、定抵抗装置の押力をグラウト止め栓へ伝達させるために使用されている押圧部材であって、押圧部材はI字型押し管であり、前記I字型押し管は前記アンカーケーブル本体に外嵌されている押圧部材と、を含み、前記I字型押し管の定抵抗装置の一端に近い断面形状は前記シールリングと同じであり、前記I字型押し管のグラウト止め栓の一端に近い断面形状は前記グラウト止め栓と同じであり、前記定抵抗スリーブの端部にはフランジリムが設けられ、前記パレットは、定抵抗スリーブの外周に外嵌され、且つ定抵抗スリーブのフランジリムによって周囲の岩石に押圧され、
前記アンカーはクリップ式のアンカーであり、前記クリップ式のアンカーはアンカーケーブル本体の外周に外嵌され、且つ前記定抵抗体と当接して接触する、グラウト注入用NPRアンカーケーブル。
【発明の効果】
【0008】
該当グラウト注入用NPRアンカーケーブルはより良好なグラウト注入効率を有する。アンカーケーブル本体は中空構造を有し、グラウト注入芯管を有し、現場でグラウト注入管及び排気管を結束する必要がなく、逆圧グラウト注入を採用し、キャビテーション空洞の発生確率を低減させる。同時にグラウトナイロン管はグラウト鋼管と合わせて使用し、且つグラウト止め栓を配置することによって、シール効果を良好にし、グラウト施工効率を顕著に向上させる。また、2つのシールアセンブリを設けることによって、グラウトを効果的に阻止できる。また、最大限にグラウト注入圧力を向上させ、グラウト注入固定効果を大幅に改善する。該当グラウト注入用NPRアンカーケーブルは大きい変形量、高い担持能力及びグラウトの漏れないという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】グラウト注入用NPRアンカーケーブルの全体構成模式図である。
【
図2】アンカーケーブルシールアセンブリの構造模式図である。
【
図3】定抵抗装置シールアセンブリの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図4に示すように、本発明の具体的な実施例によれば、本発明は、アンカーケーブル本体であって、アンカーケーブル本体の端末には掘削孔の孔底に固定するために使用されている固定セグメント18が設けられているアンカーケーブル本体と、定抵抗体及び定抵抗スリーブ6を含む定抵抗装置であって、定抵抗体はアンカーケーブル本体の外周に外嵌され、定抵抗スリーブ6は定抵抗体4の外周に外嵌され、定抵抗体は定抵抗スリーブ6においてアンカーケーブル軸方向に沿って一定の抵抗で移動するために使用されている定抵抗装置と、定抵抗装置の端末に設けられている定抵抗装置シールアセンブリであって、定抵抗装置シールアセンブリはアンカーケーブル本体と掘削孔との間の隙間を塞ぐために使用され、定抵抗装置は定抵抗装置シールアセンブリを押圧する定抵抗装置シールアセンブリと、パレット3及びアンカー2を含む固定アセンブリであって、アンカー2及びパレット3は、いずれも、アンカーケーブル本体が周囲の岩石での掘削孔11から突出する一端に設けられており、アンカーケーブル本体の引張が設計予圧力に達した後、アンカーケーブル本体を固定ロックするために使用されている固定アセンブリと、を含む大変形、定抵抗及び支持機能を有するグラウト注入用アンカーケーブル、即ちグラウト注入用NPRアンカーケーブルを提供する。
【0011】
定抵抗装置の端末にはシールアセンブリを設けることにより、掘削孔とアンカーケーブル本体との隙間をシールすることを実現し、グラウト注入圧力の向上に便利であるとともに、掘削孔中のグラウトが定抵抗装置に溢れることを避け、定抵抗装置がグラウトと接触しないことを保証することができる。
【0012】
定抵抗装置シールアセンブリは、シールリング7と、グラウト止め栓10と、押圧部材と、を含む。シールリング7は、アンカーケーブル本体の外周に外嵌され、且つ定抵抗スリーブ6の底部に外嵌されており、定抵抗スリーブ6の底部をシールするために使用されている。他の実施例では、シールリング7と定抵抗スリーブ6は一体構造であってもよく、本実施例では、シールリング7と定抵抗スリーブ6は別体で設けられており、製作と取り付けを容易にすることができる。
【0013】
グラウト止め栓10は、アンカーケーブル本体と掘削孔との間に設けられ、隙間を塞いでグラウト注入の圧力を高めるために使用されている。本実施例では、グラウト止め栓10は丸管型であり、グラウト止め栓10が周囲の岩石での掘削孔11に突出する部分は小径セグメントであり、グラウト止め栓10が径拡大用掘削孔9に位置する部分は大径セグメントであり、大径セグメントは円台形であり、大径セグメントの直径は
図1において右から左方向に徐々に大きくなり、グラウト止め栓10が押し管の接触面積に適合するようにする。押圧部材はシールリング7とグラウト止め栓10との間に設けられ、定抵抗装置の押力をグラウト止め栓10へ伝達させるために使用されている。グラウト止め栓10を押圧部材を介して定抵抗装置と当接し、グラウト止め栓10が周囲の岩石での掘削孔11から簡単に退出しないことを保証し、ひいてはグラウト止め栓10が常にシール効果を持つことを保証するようにする。
【0014】
押圧部材はI字型押し管8であり、I字型押し管8はアンカーケーブル本体に外嵌されている。I字型押し管8の定抵抗装置の一端に近い断面形状はシールリング7と同じであり、I字型押し管8はグラウト止め栓10の一端に近い断面形状はグラウト止め栓10と同じである。I字型押し管8はシールリング7やグラウト止め栓10との接触面積を大きくすることができ、定抵抗装置とグラウト止め栓10との押し上げ作用をより容易にすることができる。
【0015】
定抵抗スリーブ6の端部にフランジリムが設けられ、パレット3は、定抵抗スリーブ6の外周に外嵌され、且つ定抵抗スリーブ6のフランジリムによって周囲の岩石に押圧され、アンカー2はクリップ式のアンカー2であり、クリップ式のアンカー2はアンカーケーブル本体の外周に外嵌され、且つ定抵抗体4と当接して接触する。
【0016】
定抵抗装置のフランジ縁はパレット3を押圧し、クリップ式のアンカー2はパレット3と直接接触しないことによって、アンカーケーブルが外力を受けて変形した後、アンカーケーブルの変形がクリップ式のアンカー2と定抵抗体4を同時に周囲の岩石の内部に向かって移動させ、定抵抗体4は定抵抗スリーブ6において一定の抵抗でのスライドを行い、アンカーケーブルの定抵抗変形を実現し、NPRアンカーケーブルが変形しても破断せず、アンカーケーブルの常に有効な支持を保証している。
【0017】
本実施例において、アンカー2はクリップ式のアンカー2であり、引張装置によって逆引張した後にロック固定することにより、30tの予備引張力を提供することができる。パレット3は、傘型固定パレット3と凹球面調脚マットリングとに置き換えることができる。
【0018】
アンカーケーブル本体は複数の鋼より線5及びグラウト注入管16を含み、複数の鋼より線5はグラウト注入管16の外周に巻き付けられ、鋼より線5の長さはグラウト注入管16の長さより大きく、アンカーケーブル本体の掘削孔から突出する一端において、鋼より線5はグラウト注入管16と整列している。本実施例では、グラウト注入管16はアンカーケーブル本体の硬度と強度を高めることができるグラウト注入鋼管を採用する。アンカーケーブル本体の掘削孔から突出する端部には中空の六角ナット1が設けられ、中空の六角ナット1はグラウト注入管16と連通し、中空六角ねじはグラウト入口であり、グラウト逆止弁と合わせて使用し、グラウト注入装置との接続を容易にする。
【0019】
本実施例では、鋼より線5は8本設けられており、8本の鋼より線5はグラウト注入鋼管を密に巻き付け、鋼より線5はNPR材質を採用することによって、該当グラウト注入用NPRアンカーケーブルがより良い支持効果を有するようにする。一方、破砕の周囲の岩石の大変形に対する支持手段は、大変形量と一定の支持抵抗を両立させたNPRアンカーケーブルを支持部材として採用する。グラウト注入用NPRアンカーケーブルはNPRアンカーケーブルに予圧力を加えた後、アンカーケーブルと周囲の岩石はNPR岩体構造を形成し、周囲の岩石の大きな変形に適応できる。一方、中空の鋼より線5内のグラウト注入鋼管によりグラウト注入した後、NPRアンカーケーブルと破砕の周囲の岩石との全体性がさらに増加し、より厚い組み合わせアーチを形成し、破砕の周囲の岩石の大変形に対応し、破砕の周囲の岩石の支持効果を大幅に高めることができる。グラウト注入用NPRアンカーケーブルは、NPRアンカーケーブルの施工工程とグラウト注入工程とを結合し、1つの穴が2つの作用を有することを実現し、即ち、NPRアンカーケーブルの取り付けを満たすとともに、グラウト注入需要を満たし、施工をより便利にすることができる。
【0020】
グラウト注入管16の掘削孔へ突出する一端にはプラスチック管が接続され、グラウト注入管16及びプラスチック管の外周にはラップ管19が外嵌され、プラスチック管と固定セグメント18との間のアンカーケーブル本体は、グラウト排出口17であり、グラウト排出口17は、アンカーケーブル本体が拡径した後、任意の隣接する鋼より線5の間のグラウト排出用隙間21から形成されているものである。
【0021】
ラップ管19、グラウト注入管16、プラスチック管には互いに重なり合う部分を存在し、ラップ管19はグラウト注入管16とプラスチック管を接続するために使用されるものであり、グラウト注入管16は鋼管を使用してアンカーケーブル本体の構造強度を増加させるのに便利であるが、グラウト出口の位置にはプラスチック管を使用し、プラスチック管の弾性がより大きくなるため、グラウトのスムーズな流出に便利にする。グラウト注入鋼管はグラウト剛性輸送路であり、プラスチック管はグラウト弾性輸送路である。
【0022】
本実施例では、プラスチック管はナイロン管20であり、ナイロン管20は、強度が高くて靭性が良い。アンカーケーブル本体を拡径し、且つ隣接する鋼より線5の間のグラウト排出用隙間21を利用してグラウト排出口17を形成することによって、スムーズにグラウト排出することができるだけでなく、アンカーケーブル本体が破損しないことを保証でき、アンカーケーブル本体が常に良好な構造強度を持つようにすることができる。
【0023】
アンカーケーブル本体には外套管12が外嵌されており、外套管12は、一端が定抵抗スリーブ6内に位置され、他端がラップ管19の前に位置されている。
【0024】
外套管12はラップ管19より前のアンカーケーブル本体の1セグメントを全体に配筋することができるだけでなく、このセグメントのアンカーケーブル本体により良好なシール性を有するようにすることができる。
【0025】
グラウト注入用NPRアンカーケーブルはアンカーケーブルシールアセンブリをさらに含み、アンカーケーブルシールアセンブリは外套管12のラップ管19に近い一端に設けられている。
【0026】
外套管12の端部にはアンカーケーブルシールアセンブリを設けることにより、アンカーケーブル本体のラップ管19に近い一端をシールし、すなわちアンカーケーブル本体のグラウト排出口17に近い位置でシールし、このグラウト注入用NPRアンカーケーブルにおいて二重シールを形成させ、グラウト注入圧力を大幅に高め、グラウト注入用NPRアンカーケーブルにより良いグラウト注入固定効果を有するようにする。
【0027】
アンカーケーブルアセンブリは、鋼より線5とグラウト注入管16との間に位置され、外套管12のグラウト排出口17に近い一端に対応して設けられている内側封止管15と、鋼より線5の外周に設けられている外側封止管13であって、外側封止管13と外套管12は1セグメントのラップセグメントを有する外側封止管13と、を含む。
【0028】
内側封止管15は鋼より線5の内部のシール構造を形成し、外側封止管13は鋼より線5の外部のシール構造を形成することができ、鋼より線5とグラウト注入管16の内外接続箇所をシールすることができ、且つ、このアンカーケーブルアセンブリはグラウト排出口17に近い位置に設けられており、周囲の岩石での掘削孔11に形成された1番目のシールは、より良いグラウト注入圧力を形成するための基礎を提供する。
【0029】
アンカーケーブルアセンブリは外側押圧管14をさらに含み、外側押圧管14は、外側封止管13と周囲の岩石での掘削孔11との間の隙間を塞ぐために、外側封止管13の外周に外嵌され、外側封止管13と周囲の岩石での掘削孔11内壁との間に充填されている。
【0030】
外側押圧管14を設けることで、内側封止管15と外側封止管13の圧縮作用をより良くすることができるだけでなく、外側封止管13と周囲の岩石での掘削孔11との間の隙間を十分に充填することができ、アンカーケーブルシールアセンブリがより良いシール効果を発揮することができるようにする。
【0031】
グラウト注入用NPRアンカーケーブルの使用手順は次のとおりである。
【0032】
まず岩体内において周囲の岩石での掘削孔11を打ち、その後、周囲の岩石での掘削孔11の孔口セグメントに径拡大用掘削孔9を加工し、その後、いくつの固定剤を周囲の岩石での掘削孔11の孔底に巻き付け、その後、外部に外套管12、外側封止管13、外側押圧管14を被覆した中空の鋼より線5(組み立てたアンカーケーブル)を周囲の岩石での掘削孔11内に入れ、外力により中空の鋼より線5を駆動させて周囲の岩石での掘削孔11の孔底に挿入された樹脂固定剤を、樹脂固定剤が硬化して設計強度に達するまで撹拌する。
【0033】
中空の鋼より線5が樹脂固定剤によって周囲の岩石での掘削孔11の孔底に固定された後、まずグラウト止め栓10を中空の鋼より線5内に挿入し、その後パレット3を定抵抗装置6の小端から挿入し、定抵抗装置6の大端に当接して係止し、その後、底部に定抵抗装置の底孔のシールリング7とI字型押し管8が取り付けられた定抵抗装置6を中空の鋼より線5に挿入して径拡大用掘削孔9に送り、最後に中空の鋼より線5の端末にクリップ式のアンカー2を取り付ける。
【0034】
クリップ式のアンカー2を定抵抗装置6の端部に押し込み、ジャッキ引張装置を用いて中空の鋼より線5に予圧力を加え、ジャッキはクリップ式のアンカー2を支えて中空の鋼より線5でスライドさせ、設計予圧力に達した後、クリップ式のアンカー2はテーパ穴の楔締め原理を用いて中空の鋼より線5を固定する。
【0035】
中空の鋼より線5が設計予圧力に達した後、ジャッキ張力装置を除去することができ、その後、グラウト逆止弁付きのグラウト注入装置と中空の鋼より線5の端部の中空の六角ナット1とを接続し、グラウトは中空の六角ナット1、グラウト鋼管16、グラウト用のナイロン管20、グラウト排出口17、グラウト排出用隙間21を順次通過し、最終的に周囲の岩石での掘削孔11内に流入し、逆グラウト注入によって、グラウトは周囲の岩石での掘削孔11の孔底から周囲の岩石での隙間に入り始め、グラウトが硬化すると、破砕の周囲の岩石へのグラウト固定を完成した。
【0036】
なお、中空の鋼より線5は工場のプリフォームであり、内部のグラウト注入鋼管16、内側封止管15、ラップ管19、グラウト注入用のナイロン管20、中空の六角ナット1は、いずれも、プレキャスト埋設取付を行い、中空の鋼より線5の端部の中空の六角ナット1はプラグ付きであり、グラウト注入時にプラグ(plug)をひねる必要がある。
【0037】
さらに、定抵抗装置6が径拡大用掘削孔9に送る前に、定抵抗装置の底孔のシールリング7とI字型押し管8を事前に取り付けておく必要がある。
【0038】
グラウト注入時のグラウト漏れ及びグラウトの定抵抗装置6内部への進入を回避するために、本発明は2つのグラウトの外漏れの防止措置を採用する。
【0039】
1番目の措置は外套管12、外側封止管13、外側押圧管14、内側封止管15であり、一方、外套管12と中空の鋼より線5の間にグラウトバリアを形成し、他方、中空の鋼より線5の内壁とグラウト注入鋼管16との間にグラウトバリアを形成し、組み合わせ形式によって周囲の岩石での掘削孔11の深部の1番目のグラウトバリアを完成する。
【0040】
2番目の措置は定抵抗装置の底孔のシールリング7、I字型押し管8、グラウト止め栓10であり、組み合わせ形式によって周囲の岩石での掘削孔11と径拡大用掘削孔9のシール及び径拡大用掘削孔9と定抵抗装置6の底部のシールを完成する。以上の2つのグラウト液の外漏れの防止措置により、周囲の岩石での掘削孔11の孔底のグラウト液が外套管12と中空の鋼より線5の間に還流できないこと、及び、グラウト液が定抵抗装置6の内部に入ることを確保し、一方、中空の鋼より線5がグラウト液に直接接触しない一端である自由伸長セグメントを残すことを保証し、それによりNPRアンカーケーブルがその大変形能力を発揮しやすい。一方、定抵抗体4が定抵抗装置6内にスリップ空間を有することを確保する。上記2つのグラウトバリアの措置を経て、グラウト注入圧力を最大限に高め、グラウト注入固定効果を大幅に改善することができる。
【0041】
要するに、本発明が提供されているグラウト注入用NPRアンカーケーブルの技術方案において、グラウト注入管と複数の鋼より線を結合してアンカーケーブル本体を形成し、グラウト注入芯管を有し、現場でグラウト注入管及び排気管を結束する必要がなく、逆圧グラウト注入を採用し、キャビテーション空洞の発生確率を低減させる。同時にグラウトナイロン管はグラウト鋼管と合わせて使用し、且つグラウト止め栓を配置することによって、シール効果を良好にし、グラウト施工効率を顕著に向上させる。また、2つのシールアセンブリを設けることによって、グラウトを効果的に阻止できる。また、最大限にグラウト注入圧力を向上させ、グラウト注入固定効果を大幅に改善する。
【符号の説明】
【0042】
1 中空の六角ナット
2 アンカー
3 パレット
4 定抵抗体
5 鋼より線
6 定抵抗スリーブ
7 シールリング
8 I字型押し管
9 径拡大用掘削孔
10 グラウト止め栓
11 周囲の岩石での掘削孔
12 外套管
13 外側封止管
14 外側押圧管
15 内側封止管
16 グラウト注入管
17 グラウト排出口
18 固定セグメント
19 ラップ管
20 ナイロン管
21 グラウト排出用隙間
【国際調査報告】