(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20240126BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G06K19/06 037
G06K19/06 103
G06K19/06 075
G06K7/14 017
G06K7/14 073
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023567084
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2021073774
(87)【国際公開番号】W WO2022155983
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110077095.7
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523273576
【氏名又は名称】上海▲馳▼▲亜▼信息技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】李若▲渓▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲斌▼
(57)【要約】
本発明は、ドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステムを提供する。当該方法は、N×N個のマトリクス配置の情報セルを構築し、情報セルを情報単位モジュール又はシンボル単位モジュールとし、情報セル内の情報点の相対位置に応じて情報単位モジュールに異なる値を格納し、情報セル内の情報点の配置方式によって、シンボル単位モジュールにドットマトリクスコードの識別情報を標識する、とのステップを含む。本発明におけるドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステムは、均一に分布し、且つ情報マスキング機能を有するドットマトリクスコードを提供可能であり、実際の応用シーンにおける要求を満足させられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N×N個のマトリクス配置の情報セルを構築し、
前記情報セルを情報単位モジュール又はシンボル単位モジュールとし、
情報セル内の情報点の相対位置に応じて、前記情報単位モジュールに異なる値を格納し、
情報セル内の情報点の配置方式によって、前記シンボル単位モジュールにドットマトリクスコードの識別情報を標識する、
とのステップを含むことを特徴とするドットマトリクスコードの構築方法。
【請求項2】
前記ドットマトリクスコードの識別情報には、ドットマトリクスコードの方向及びドットマトリクスコードの境界が含まれることを特徴とする請求項1に記載のドットマトリクスコードの構築方法。
【請求項3】
前記情報単位モジュールにおいて、前記情報点は前記情報セルの左上、左下、右上及び右下の4つ領域に分布しており、それぞれが4進法コードの1つの値を表すことを特徴とする請求項1に記載のドットマトリクスコードの構築方法。
【請求項4】
前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードのうち、頂点を含む上境界及び下境界の情報点は情報セルの中央に位置し、頂点を含まない左境界及び右境界の情報点は情報セル内の左右の側に交互に位置することを特徴とする請求項1に記載のドットマトリクスコードの構築方法。
【請求項5】
前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードの上境界、下境界、左境界及び右境界の情報点は情報セルの中央に位置し、ドットマトリクスコードの真中の情報点は情報セルの左上隅の領域に位置することを特徴とする請求項1に記載のドットマトリクスコードの構築方法。
【請求項6】
前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードのうち頂点を含まない境界上の情報点は情報セルの中央に位置し、4つの頂点の情報点は情報セルの左上隅の領域に位置することを特徴とする請求項1に記載のドットマトリクスコードの構築方法。
【請求項7】
前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードの上下の境界と左右の境界との交差箇所は円弧状又は直角状に配置されることを特徴とする請求項1に記載のドットマトリクスコードの構築方法。
【請求項8】
ドットマトリクスコード内の埋め込み情報を取得し、
ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報を取得し、
前記埋め込み情報を暗号化し、
暗号化した前記埋め込み情報について誤り訂正符号化を行い、
誤り訂正符号化後の前記埋め込み情報を、請求項1~7のいずれかに記載のドットマトリクスコードの構築方法に基づいて構築したドットマトリクスコードに変換し、
前記ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報に基づいて前記ピクチャの背景紋様を生成し、
データ情報に基づいて、前記ピクチャの背景紋様に前記ドットマトリクスコードを埋め込む、
とのステップを含むことを特徴とするドットマトリクスコードの生成方法。
【請求項9】
暗号化した前記埋め込み情報について誤り訂正符号化を行う際には、RS符号と畳み込み符号で構成される連接符号を使用するとともに、インターリーブ技術を組み合わせることを特徴とする請求項8に記載のドットマトリクスコードの生成方法。
【請求項10】
誤り訂正符号化後の前記埋め込み情報をドットマトリクスコードに変換する際には、
誤り訂正符号化後の16進法の文字列を4進法のデータストリームに変換し、
まず、上から下、続いて左から右という順序で、前記埋め込み情報をドットマトリクスに順に埋め込むことにより、前記ドットマトリクスコードを生成する、
とのステップを含むことを特徴とする請求項8に記載のドットマトリクスコードの生成方法。
【請求項11】
前記ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報には、ピクチャの幅及び高さと、ピクチャの背景紋様情報及び復号鍵が含まれることを特徴とする請求項8に記載のドットマトリクスコードの生成方法。
【請求項12】
更に、前記ドットマトリクスコードを材料の表面に印刷することを含み、前記材料は、紙材料、金属材料、プラスチック材料のうちの1種類又は複数種類の組み合わせを含むことを特徴とする請求項8に記載のドットマトリクスコードの生成方法。
【請求項13】
ドットマトリクスコード生成端末であって、
プロセッサ及びメモリを含み、
前記メモリはコンピュータプログラムを格納するために用いられ、
前記プロセッサは、前記メモリに格納されているコンピュータプログラムを実行させることにより、前記ドットマトリクスコード生成端末に請求項8~12のいずれかに記載のドットマトリクスコードの生成方法を実行させるために用いられることを特徴とするドットマトリクスコード生成端末。
【請求項14】
ドットマトリクスコードを含むピクチャを取得し、前記ドットマトリクスコードは、請求項8~12のいずれかに記載のドットマトリクスコードの生成方法に基づき生成され、
前記ピクチャに基づいて、ドットマトリクスコードの符号化情報を識別するとともに、復号鍵を取得し、
誤り訂正符号技術を用い、前記ドットマトリクスコードの符号化情報について誤り訂正を行い、
前記復号鍵を用いて、誤り訂正に成功したドットマトリクスコードの符号化情報を復号することにより、前記ドットマトリクスコードに対応する埋め込み情報を取得する、
とのステップを含むことを特徴とするドットマトリクスコードの読み取り方法。
【請求項15】
ドットマトリクスコード読み取り端末であって、
プロセッサ及びメモリを含み、
前記メモリはコンピュータプログラムを格納するために用いられ、
前記プロセッサは、前記メモリに格納されているコンピュータプログラムを実行させることにより、前記ドットマトリクスコード読み取り端末に請求項14に記載のドットマトリクスコードの読み取り方法を実行させるために用いられることを特徴とするドットマトリクスコード読み取り端末。
【請求項16】
請求項13に記載のドットマトリクスコード生成端末と、請求項15に記載のドットマトリクスコード読み取り端末を含むことを特徴とするドットマトリクスコードシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドットマトリクスコードの技術分野に関し、特に、ドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
バーコード技術は、現在主流となっている情報技術手段の一つとして、日常生活に幅広く使用されている。情報の構成方式の違いによって、バーコードは、一次元バーコード(1D barcodes)と二次元バーコード(2D barcodes)に分けることができる。一次元バーコードは、平行線の幅とピッチを変えることでデータを表し、幅の異なるこれらの情報バー同士の配列や組み合わせ及び間隔によってより多くの情報が表される。識別及び読み取り時には比較的強い方向の制約があるが、極めて素早い情報の入力及び読み取りが利点である。一方、二次元バーコードの構成方式には、一般的に、「二次元バーコード」と「二次元マトリクスコード」が存在する。実際のところ、二次元バーコードは、一次元バーコードを垂直に積み上げてバーコードを一次元から二次元に拡大したものである。そのため、単位モジュール面積あたりにより多くのデータ量を格納可能であるが、情報の表示方式及び識別時の方向については、依然として一次元バーコードとの共通性を有している。これに対し、二次元マトリクスコードは、マトリクスによる構成方式でバーコードを二次元に直接拡大したものである。また、情報の表示方式については、いずれかの二次元セル内で着色の有無によりコンピューター言語の「1」又は「0」を表し、二次元符号と形状によってデータを表す。
【0003】
多種多様なバーコードが分野別に応用されており、日常生活に多くの利便性をもたらしている。しかし、応用分野によっては、現在のバーコードが完全に適しているとは言えない。例えば、現在の大多数の商品は、外装にバーコード又は二次元バーコードが貼り付けられている。メーカーの在庫管理用であれ、ユーザによる商品識別のためであれ、二次元バーコードは、その商品の標識としてほぼ全ての商品のパッケージに見られる。しかし、商品の外装は商品本体の一部ではないため、このような二次元バーコード標識は商品からの分離が可能であり、それに伴う標識の入れ替え、紛失又は改ざん等を解決不可能な点が問題となっている。当然ながら、二次元バーコードを商品本体に直接印刷してもよいが、これでは商品の外観に影響が及ぶとともに、情報格納パターンが過度に明らかに露出してしまう。
【0004】
現在常用されている二次元バーコードの場合には、通常、二次元バーコード自体を迅速に見つけてスキャンすることが可能である。なぜなら、これらの一般的な二次元バーコードには、二次元バーコード内のセルを区別して迅速なスキャンを実現するための明らかなシンボル位置が存在しているからである。且つ、二次元バーコードの情報構成方式によれば、これらの二次元バーコードには連続した大きな着色領域が存在する。そのため、不均一に分布する色によって商品の外観が影響を受けるだけでなく、二次元バーコードの情報マスキングも困難となっている。
【0005】
そこで、可用性を有し、ある程度の情報マスキングを保証可能な二次元バーコードを構築することが求められている。従来技術において、最も広く用いられている二次元バーコードはクイックレスポンスコード(Quick Response Code,QRコード(登録商標))である。QRコード(登録商標)は、作製しやすさ、反応の早さ、操作の手軽さ、迅速な位置決め、極めて大きな情報容量、及び30%にも達するフォールトトレランス等の優れた性能から、通信、医療、小売り、決済等の多くの分野に幅広く応用されている。そのため、人々は、二次元バーコードをQRコード(登録商標)と同義であると広く識別している。一方、情報格納量が大きく、優れた誤り訂正能力を有するというQRコード(登録商標)の特性に基づき、現在のQR二次元バーコードにおける情報マスキング及び美化方式は、それぞれ次のようになっている。
【0006】
(1)マスキング
デジタル画像の分野では、DCT埋め込みアルゴリズムによって二次元バーコードピクチャをキャリア画像に埋め込んだあと、その中から元の二次元バーコード画像を抽出して識別する。当該技術は、主としてデジタル画像をキャリアとして二次元バーコードをマスキングするため、物理画像として印刷したあとは含まれる情報の識別が困難となる。また、誤り訂正能力については、途中で発生する画素の増減を許容可能となっている。しかし、このような画像透かし技術による二次元バーコードのマスキングは人間の目では全く識別できない。且つ、デジタル画像にのみ適用され、印刷後にスキャンされる光学画像には適用できない。
【0007】
(2)美化及び融合
美化及び融合の方法としては、QRコード(登録商標)の優れた誤り訂正能力と位置決め能力に基づいて、二次元バーコードの一部にパターンを埋め込んだり、周辺にデザインを追加したり、背景を組み込んだり、全体の色を変えて美化したりすることが可能であり、ダイナミックピクチャに組み込むことすら可能である。二次元バーコードのシンボル位置は、美化されたデザインから二次元バーコードの切り出しを可能とするが、これらの明らかな位置決めシンボルパターンは、画像がある程度美化されるものの、マスキングについては実現困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的は、均一に分布し、且つ情報マスキング機能を有するドットマトリクスコードを提供可能とすることで、実際の応用シーンにおける要求を満足させるドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的及び関連するその他の目的を実現するために、本発明は、ドットマトリクスコードの構築方法を提供する。当該方法は、N×N個のマトリクス配置の情報セルを構築し、前記情報セルを情報単位モジュール又はシンボル単位モジュールとし、情報セル内の情報点の相対位置に応じて前記情報単位モジュールに異なる値を格納し、情報セル内の情報点の配置方式によって、前記シンボル単位モジュールにドットマトリクスコードの識別情報を標識する、とのステップを含む。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記ドットマトリクスコードの識別情報には、ドットマトリクスコードの方向及びドットマトリクスコードの境界が含まれる。
【0011】
本発明の一実施形態では、前記情報単位モジュールにおいて、前記情報点は前記情報セルの左上、左下、右上及び右下の4つ領域に分布しており、それぞれが4進法コードの1つの値を表す。
【0012】
本発明の一実施形態では、前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードのうち、頂点を含む上境界及び下境界の情報点は情報セルの中央に位置し、頂点を含まない左境界及び右境界の情報点は情報セル内の左右の側に交互に位置する。
【0013】
本発明の一実施形態では、前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードの上境界、下境界、左境界及び右境界の情報点は情報セルの中央に位置し、ドットマトリクスコードの真中の情報点は情報セルの左上隅の領域に位置する。
【0014】
本発明の一実施形態では、前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードのうち頂点を含まない境界上の情報点は情報セルの中央に位置し、4つの頂点の情報点は情報セルの左上隅の領域に位置する。
【0015】
本発明の一実施形態では、前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードの上下の境界と左右の境界との交差箇所は円弧状又は直角状に配置される。
【0016】
本発明は、ドットマトリクスコードの生成方法を提供する。当該方法は、ドットマトリクスコード内の埋め込み情報を取得し、ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報を取得し、前記埋め込み情報を暗号化し、暗号化した前記埋め込み情報について誤り訂正符号化を行い、誤り訂正符号化後の前記埋め込み情報を、上記のドットマトリクスコードの構築方法に基づいて構築したドットマトリクスコードに変換し、前記ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報に基づいて前記ピクチャの背景紋様を生成し、データ情報に基づいて、前記ピクチャの背景紋様に前記ドットマトリクスコードを埋め込む、とのステップを含む。
【0017】
本発明の一実施形態において、暗号化した前記埋め込み情報について誤り訂正符号化を行う際には、RS符号と畳み込み符号で構成される連接符号を使用するとともに、インターリーブ技術を組み合わせる。
【0018】
本発明の一実施形態において、誤り訂正符号化後の前記埋め込み情報をドットマトリクスコードに変換する際には、誤り訂正符号化後の16進法の文字列を4進法のデータストリームに変換し、まず、上から下、続いて左から右という順序で、前記埋め込み情報をドットマトリクスに順に埋め込むことで、前記ドットマトリクスコードを生成する、とのステップを含む。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報には、ピクチャの幅及び高さと、ピクチャの背景紋様情報及び復号鍵が含まれる。
【0020】
本発明の一実施形態において、更に、前記ドットマトリクスコードを材料の表面に印刷することを含む。前記材料は、紙材料、金属材料、プラスチック材料のうちの1種類又は複数種類の組み合わせを含む。
【0021】
本発明は、プロセッサ及びメモリを含むドットマトリクスコード生成端末を提供する。
【0022】
前記メモリは、コンピュータプログラムを格納するために用いられる。
【0023】
前記プロセッサは、前記メモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することで、前記端末に上記のドットマトリクスコードの生成方法を実行させるために用いられる。
【0024】
本発明は、ドットマトリクスコードの読み取り方法を提供する。当該方法は、ドットマトリクスコードを含むピクチャを取得し、前記ドットマトリクスコードは上記のドットマトリクスコードの生成方法に基づき生成され、前記ピクチャに基づいて、ドットマトリクスコードの符号化情報を識別するとともに、復号鍵を取得し、誤り訂正符号技術を用い、前記ドットマトリクスコードの符号化情報について誤り訂正を行い、前記復号鍵を用いて、誤り訂正に成功したドットマトリクスコードの符号化情報を復号することで、前記ドットマトリクスコードに対応する埋め込み情報を取得する、とのステップを含む。
【0025】
本発明は、プロセッサ及びメモリを含むドットマトリクスコード読み取り端末を提供する。
【0026】
前記メモリはコンピュータプログラムを格納するために用いられる。
【0027】
前記プロセッサは、前記メモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することで、前記端末に上記のドットマトリクスコードの読み取り方法を実行させるために用いられる。
【0028】
本発明は、上記のドットマトリクスコード生成端末と上記のドットマトリクスコード読み取り端末を含むドットマトリクスコードシステムを提供する。
【発明の効果】
【0029】
上述したように、本発明におけるドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステムは、以下の有益な効果を有する。
【0030】
(1)均一に分布するドットマトリクスコードを構築可能であるとともに、情報マスキングの機能要求を満たすこともできるため、様々な応用シーンにおける要求を満足させられる。
【0031】
(2)本発明のドットマトリクスコードは、従来の二次元バーコードの情報表示方式を変更し、情報セルの範囲を拡大して、格納される異なる情報値を情報セル内の情報点の相対位置により表す。同一の情報セル内には情報点が1つしか存在せず、且つ、これらの情報点は厳密に均一となるよう分布している。そのため、ドットマトリクスコードの空間内における情報点の分布度が制限されて、相対的に均一な分布が実現される。
【0032】
(3)本発明のドットマトリクスコードには明らかな「位置決めマーク」又は「シンボル位置」が存在しないため、外観が目立ちにくく、見た目の良さにも影響を及ぼさない。
【0033】
(4)本発明のドットマトリクスコードは、連続的に広範囲にわたり分布可能なため、二次元バーコードの分布や外観の色をそのまま利用して、それ自体を物品の外観のベースとすることができる。よって、二次元バーコードのマスキング及び外観の美化を実現するのにより有利となる。
【0034】
(5)本発明のドットマトリクスコードは、紙、プラスチック、セラミックス、金属等の異なる材料の表面に印刷可能であり、位置を占有しないだけでなく、ドットマトリクスコードのマスキングによって美化効果を有効に向上させることも可能である。
【0035】
(6)ドットマトリクスコードの唯一性、完全性及び可用性が保証されるほか、改ざん防止、複製防止の機能が備わる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態におけるドットマトリクスコードの構築方法のフローチャートを示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態における均一に分布するドットマトリクスコードの概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態における均一に分布するドットマトリクスコードの概略図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態における均一に分布するドットマトリクスコードの美化の概略図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態におけるドットマトリクスコードの生成方法のフローチャートを示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態におけるドットマトリクスコード生成端末の概略構成図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態におけるドットマトリクスコードの読み取り方法のフローチャートを示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態におけるドットマトリクスコード読み取り端末の概略構成図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態におけるドットマトリクスコードシステムの概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、特定の具体的な実施形態によって本発明の実施形態につき説明する。なお、当業者であれば、本明細書に開示した内容から本発明のその他の利点及び効果を容易に理解可能である。更に、本発明は、その他の異なる具体的実施形態によっても実施又は応用が可能である。また、本明細書における各詳細事項は、異なる視点及び応用に基づき、本発明の精神を逸脱しないことを前提に各種の改変又は変形を加えてもよい。説明すべき点として、矛盾が生じなければ、以下の実施形態及び実施形態の特徴は互いに組み合わせ可能である。
【0038】
説明すべき点として、以下の実施形態で提供する図面は本発明の基本思想を概略的に説明するためのものにすぎない。図面には本発明に関連するアセンブリのみを示しており、実際に実施する際のアセンブリの数、形状及びサイズに基づき記載しているわけではない。実際に実施する際の各アセンブリの形態、数量及び比率は任意に変更してもよく、且つ、アセンブリのレイアウトや形態がより複雑になることもある。
【0039】
本発明におけるドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステムは、均一に分布するドットマトリクスコードを構築可能であるとともに、情報マスキングの機能要求を満たすこともでき、唯一性、完全性、可用性、改ざん防止、複製防止等の利点を有するため、様々な応用シーンにおける要求を満足させられる。
【0040】
図1に示すように、一実施形態において、本発明のドットマトリクスコードの構築方法は、以下のステップS11~ステップS14を含む。
【0041】
ステップS11において、N×N個のマトリクス配置の情報セルを構築する。
【0042】
具体的に、本発明におけるドットマトリクスコードの最小単位は情報セルであり、N×N個の情報セルがマトリクスの行と列をなして均一に分布している。Nは2以上の自然数である。各情報セルは、マトリクス分布をなすM×M個の画素点で構成される。Mは2以上の自然数である。好ましくは、Mの値は2である。
【0043】
ステップS12において、前記情報セルを情報単位モジュール又はシンボル単位モジュールとする。
【0044】
具体的に、ドットマトリクスコードの情報セルは、情報単位モジュールとシンボル単位モジュールの2種類に大別される。前記情報単位モジュールは情報を格納するために用いられ、前記シンボル単位モジュールは前記ドットマトリクスコードの識別情報を標識するために用いられる。
【0045】
ステップS13において、情報セル内の情報点の相対位置に応じて、前記情報単位モジュールに異なる値を格納する。
【0046】
具体的に、前記情報単位モジュールには情報点が設けられており、前記情報単位モジュール内の前記情報点の位置に応じて異なる情報値が表される。
【0047】
本発明の一実施形態では、前記情報単位モジュールにおいて、前記情報点は、前記情報セルの左上、左下、右上及び右下の4つ領域に分布しており、それぞれが4進法コードの1つの値を表す。
【0048】
ステップS14において、情報セル内の情報点の配置方式によって、前記シンボル単位モジュールにドットマトリクスコードの識別情報を標識する。
【0049】
具体的に、前記シンボル単位モジュールには情報点が設けられており、前記情報点の配置方式によって、例えば、ドットマトリクスコードの方向やドットマトリクスコードの境界といった前記ドットマトリクスコードの識別情報を標識する。これにより、連続する複数のドットマトリクスコード内で個々のドットマトリクスコードの分離を迅速に実現可能となり、ドットマトリクス符号化情報の読み取りが実現される。前記ドットマトリクスコードの境界には、上下左右4つの境界の情報セルが含まれる。
【0050】
本発明では、応用シーン別の要求を満足させられるよう、前記シンボル単位モジュールについて複数種類の配置方式を設定可能である。好ましくは、
図2及び
図3に示すように、前記シンボル単位モジュールは次の数種類の配置方式を含む。
【0051】
(1)前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードの上下の境界及び左右の境界の情報点は、情報セル内の存在位置が異なっている。
図2に示すように、ドットマトリクスコードのうち、頂点を含む上境界及び下境界の情報点は情報セルの中央に位置し、頂点を含まない左境界及び右境界の情報点は情報セル内の左右の側に交互に位置する。このような配置によれば、上下の境界に存在する情報点を同一直線上に位置させるとともに、同一のピッチを持たせることが可能となり、これらの均一に分布する散布点によって上下の境界が構成される。また、左右の境界は上下の境界に対して垂直の方向となり、それらの境界の情報点は情報セル内の左右の側に交互に出現する。ドットマトリクスコードは大きさがN×Nのマトリクスであるため、その上下の側の境界及び左右の側の境界はいずれもN個のドットで構成される。そのため、左右の側の境界におけるドットの個数の偏りによってドットマトリクスコードの方向のうちの「上、下、左、右」を区別可能となる。
【0052】
(2)前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードの上下の境界及び左右の境界の情報点は、情報セル内の存在位置が同じであり、いずれも情報ブロックの中央に位置する。
図3に示すように、ドットマトリクスコードの上境界、下境界、左境界及び右境界の情報点は情報セルの中央に位置する。こうすることで、境界の形態が統一され、ドットマトリクスコードの複雑度が簡略化されるとともに、マスキング性についてはやや低下する。ただし、境界からドットマトリクスコードの方向は区別できなくなる。そのため、ドットマトリクスコードの方向シンボルを別途定義する必要がある。好ましくは、ドットマトリクスコード全体のセルの真中に位置する情報セルを用いて、その情報点を情報セルの左上隅の領域に位置させる。
【0053】
(3)前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードのうち頂点を含まない境界上の情報点は情報セルの中央に位置し、4つの頂点の情報点は情報セルの左上隅の領域に位置する。即ち、左上隅、右上隅、左下隅及び右下隅の情報セル内の情報点は情報セルの左上隅に位置する。これにより、ドットマトリクスコードの境界の識別が実現される。
【0054】
(4)前記シンボル単位モジュールにおいて、ドットマトリクスコードの上下の境界と左右の境界との交差箇所は円弧状又は直角状に配置される。これにより、ドットマトリクスコードの位置及び方向を明確にすることができる。
【0055】
ドットマトリクスコードの境界上の情報点に関し、情報セル内の存在位置が異なる場合と存在位置が同じ場合の2種類の配置方案について、それらの特性を表1に示す。
【0056】
【0057】
従って、本発明におけるドットマトリクスコードの構築方式には以下の利点がある。
【0058】
1)情報セルが均一に分布する。従来技術における二次元バーコードの情報は、着色の有無によって「0」と「1」を表していた。このような方式は、便利でスピーディーであり、情報の書き込み及び読み取りを迅速に実現可能であるが、こうした方式では情報セルの均一な分布を実現できない。なぜなら、情報の書き込み過程では、隣接する情報セル全てが着色される場合や着色されない場合がどうしても出現するため、自ずと「均一」な分布は実現できないからである。且つ、均一な分布を実現する場合でも、情報の組み込みは必要である。このことは、異なる情報セル同士に違いを持たせねばならないことを意味する。そこで、本発明のドットマトリクスコードでは、主流となっている二次元バーコードの情報表示方式を変更し、情報セルの範囲を拡大して、格納される異なる情報値を情報セル内の情報点の相対位置により表すこととした。同一の情報セル内には情報点が1つしか存在せず、且つ、これらの情報点は厳密に均一となるよう分布している。こうすることで、ドットマトリクスコードの空間内における情報点の分布度が制限されて、相対的に「均一」な分布が実現される。
【0059】
2)明らかな「位置決めマーク」又は「シンボル位置」が存在しない。一般的な二次元バーコードでは、位置決め及び画像の補正に用いられる「シンボル位置」と、情報の格納に用いられる情報位置の形態が明らかに異なっている。この一見して明らかな「シンボル位置」によって、二次元バーコードの位置決めを迅速に実現し、素早く識別することが可能となる。しかし、この場合には、二次元バーコードのマスキング性が大幅に低下するだけでなく、連続分布を有する二次元バーコード配列に適用して個々の二次元バーコードセルを区別することもできない。そのため、これらの常用される二次元バーコードのシンボル位置の存在は、二次元バーコードの識別効率を向上させはするが、二次元バーコードの外観を過度に目立たせるため、二次元バーコードのマスキングや美化には不利である。これに対し、本発明のドットマトリクスコードには明らかな「位置決めマーク」又は「シンボル位置」が存在しないため、一般的な二次元バーコードと比較して、外観が目立ちにくく、見た目の良さにも影響を及ぼさない。
【0060】
3)ドットマトリクスコードを連続的且つ広範囲に分布させられる。従来技術の二次元バーコードはいずれも個々に分布するため、識別及び読み取りには便利である。しかし、このような二次元バーコードは物品の外観にうまく融合させることができない。二次元バーコードの連続的且つ広範囲にわたる分布を実現できれば、二次元バーコードの分布や外観の色をそのまま利用して、二次元バーコードを物品の外観に融合させるのではなく、それ自体を物品の外観のベースとすることができる。つまり、二次元バーコードを物品の外観のベースとすることで、二次元バーコードのマスキング及び外観の美化を実現するのにより有利となる。
【0061】
4)情報のマスキングと外観の美化を実現可能である。
図4に示すように、ドットマトリクスコードに着色されたデザインが存在する場合、画素点の密度の増加に伴ってデザインがいっそう目立つようになる。この場合、観察者の注意はまずデザインに引き付けられる。また、画素点の密度が高いことから、情報セル内の情報点の相対位置がそれほど目立たなくなり、観察者は、デザインを鑑賞する際にドットマトリクスコードに注意が向かない。これにより、ドットマトリクスコードのマスキング性が顕著に向上する。また、ドットマトリクスコードの外周形状を調整することで、外部形状上でドットマトリクスコードのマスキングを実現するのに役立つだけでなく、外観の美化も可能となる。
【0062】
5)紙、プラスチック、セラミックス、金属等の異なる材料の表面に印刷可能である。一般的な二次元バーコードも異なる材料の表面に印刷可能であるが、かなりの位置を占有するだけでなく、見た目の良さにも影響を及ぼす。これに対し、本発明のドットマトリクスコードは、材料の表面に印刷する際に位置を占有することがない。且つ、ドットマトリクスコードのマスキングによって美化効果が向上する。
【0063】
6)物品に付帯する「指紋」とすることが可能なため、物品の情報秘密保持、真偽の鑑定といった面において極めて重要な応用価値を有する。
【0064】
図5に示すように、一実施形態において、本発明のドットマトリクスコードの生成方法は以下のステップS51~ステップS57を含む。
【0065】
ステップS51において、ドットマトリクスコード内の埋め込み情報を取得する。
【0066】
具体的に、前記埋め込み情報は、文字、数字、URI、URL等を含む。埋め込み情報が数字の場合には、直接符号化する。
【0067】
情報復号サブシステムは、符号化サブシステムが生成したデータストリームを解析することで、元の情報を取得する。これは、主に次のいくつかのステップに分けられる。即ち、モバイル機器を利用して、印刷媒体から均一に散布点が分布するドットマトリクスコードを取得し、取得したピクチャから、符号化情報と、復号時に必要な秘密鍵等の情報を識別する。また、取得したデータについて、誤り訂正符号技術を用いて誤り訂正を行う。誤り訂正に失敗した場合には誤りが多いことを意味している。この場合には、再識別が必要なため、第1ステップに戻る。そして、誤り訂正に成功したデータを解析して、元の情報を取得する。
【0068】
ステップS52において、ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報を取得する。
【0069】
具体的に、前記ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報には、ピクチャの幅及び高さと、ピクチャの背景紋様情報及び復号鍵等の情報が含まれる。
【0070】
ステップS53において、前記埋め込み情報を暗号化する。
【0071】
ステップS54において、暗号化した埋め込み情報について誤り訂正符号化を行う。
【0072】
本発明の一実施形態において、暗号化した埋め込み情報について誤り訂正符号化を行う際には、RS符号と畳み込み符号で構成される連接符号を使用するとともに、インターリーブ技術を組み合わせる。前記暗号化した埋め込み情報について、符号化を行い、パリティビット及び誤り訂正ビットを追加することで、情報復号過程における誤り率を低下させることができ、情報のフォールトトレランス率が向上する。
【0073】
RS符号とは、アービング・S・リードとギュスタブ・ソロモンにより1960年に提案された前方誤り訂正におけるチャネル符号化の1つであり、現在、情報の格納及び伝送分野に幅広く応用されている。RS符号はエンコーダとデコーダの2つの部分に分けられる。エンコーダは元の情報を受信して符号化するとともに、パリティチェックビットデータを別途追加するために用いられる。また、デコーダは、データを処理して元の情報の回復を試みるために用いられる。
【0074】
RS符号は、誤り訂正能力に大変優れた二進法ではない特殊なBCH符号の一種である。任意に選択された正の整数Sについて、対応する符号長がn=qS-1であるq進法のBCH符号を構成可能である。なお、qはいずれかの素数のべき数を表す。S=1、q>2の場合に構成される符号長がn=q-1のq進法のBCH符号がRS符号となる。RS(n,k)の場合を例示すると、kは情報符号の長さを表し、nは情報符号をベースにn-k個のパリティ符号を追加して構成される長さnの符号化シーケンス、即ちコードワードの全長を表す。このようなRS符号において、デコーダは最大t=(n-k)/2個の誤りを訂正可能である。通常は、システムコーディング方式でパリティ符号を追加する。システムコーディングとは、元のデータ情報の後ろにパリティ符号を直接追加するものであり、元の情報は変更しない。元の情報の長さがsビットの場合、RS符号の最大コードワード長はn=2s-1となる。RS符号は、有限体における1変数多項式に基づいて演算されるため、一般的な8ビットコーディングの場合、nは255以下となるはずである。RS符号は、ランダムエラーに対応可能であるほか、バーストエラーにも対応可能である。
【0075】
畳み込み符号は、1955年にイライアスらが提案したものである。ブロック符号との根本的な違いとして、畳み込み符号は、情報シーケンスをグループ化したあと個別に符号化するのではなく、連続的に入力される情報シーケンスから連続的に出力する符号化シーケンスを取得する。ブロック符号では、そのグループにおけるn-k個のパリティエレメントが当該グループのk個の情報エレメントにのみ関連し、ほかの各グループの情報には関連しない。しかし、畳み込み符号では、エンコーダがk個の情報シンボルをn個のシンボルに符号化する際に、このn個のシンボルは、そのセグメントのk個の情報に関連するだけでなく、前方の(m-1)セグメントの情報にも関連する(mは符号化における拘束長)。(n,k,m)で畳み込み符号について述べると、kは毎回畳み込みエンコーダに入力されるビット数である。また、nについては、各kタプルのコードワードに対応する畳み込み符号からnタプルのコードワードが出力される。mは符号化の格納度合である。つまり、畳み込みエンコーダのkタプルの級数であり、mを拘束長と称する。畳み込み符号では、kタプル入力シンボルをnタプル出力シンボルに符号化するが、通常、kとnは大変小さい。よって、シリアル形式での伝送に特に適しており、遅延が小さい。畳み込み符号の誤り訂正性能は、mの増加に伴って増大し、誤り率はNの増加に伴って指数が低下する。
【0076】
畳み込み符号の誤り訂正能力は、拘束長に関連するだけでなく、使用する復号方式にも関連する。常用されている復号法には、代数的復号、ビタビ復号及び逐次復号という3種類が存在する。ビタビ復号は、受信シーケンスに基づいて、符号のトレリス線図から受信シーケンスと距離(又はその他の尺度)が最も小さいものを見つけるアルゴリズムである。これは、オペレーションズ・リサーチにおける最短経路を求めるアルゴリズムと類似している。現在最も多用されている復号アルゴリズムは、ビタビ復号アルゴリズムである。
【0077】
インターリーブ符号化は、実際の移動通信環境で移動通信信号のフェージングを改善するための通信技術である。デジタル信号の伝送においてはバーストエラーが生じ得るが、インターリーブ符号化技術によって、このようなバーストエラーを離散化及び訂正することで、移動通信の伝送特性を改善可能である。インターリーブ符号化の目的は、比較的長いバーストエラーをランダムエラーに離散化したあと、ランダムエラーを訂正する符号化技術によりランダムエラーを除去することである。インターリーブ深度が大きいほど離散度は大きくなり、バーストエラー耐性も強くなる。しかし、インターリーブ深度が大きくなるほど、インターリーブ符号化の処理時間は長くなるため、データ伝送時の遅延が増大してしまう。
【0078】
ステップS55において、誤り訂正符号化後の埋め込み情報を、上記のドットマトリクスコードの構築方法に基づいて構築したドットマトリクスコードに変換する。
【0079】
具体的に、誤り訂正符号化後の埋め込み情報をドットマトリクスコードに変換する際には、以下のステップを含む。
【0080】
A)誤り訂正符号化後の16進法の文字列を4進法のデータストリームに変換する。
【0081】
B)まず、上から下、続いて左から右という順序で、前記埋め込み情報をドットマトリクスに順に埋め込むことで、前記ドットマトリクスコードを生成する。データストリームが多い場合には、1つのドットマトリクスの情報を埋め込んだあと、続いて次のドットマトリクスに埋め込んでもよい。また、ドットマトリクス間の埋め込み方向はランダムとし、連続して埋め込めばよく、スキャン時に情報の埋め込み方向に従って順にスキャンできればよい。
【0082】
ステップS56において、前記ドットマトリクスコードのピクチャ構成情報に基づいてピクチャの背景紋様を生成する。
【0083】
ステップS57において、前記データ情報に基づいて、前記ピクチャの背景紋様に前記ドットマトリクスコードを埋め込む。
【0084】
本発明の一実施形態において、本発明のドットマトリクスコードの生成方法は、更に、前記ドットマトリクスコードを材料の表面に印刷することを含む。前記材料は、紙材料、金属材料、プラスチック材料のうちの1種類又は複数種類の組み合わせを含む。
【0085】
図6に示すように、一実施形態において、本発明のドットマトリクスコード生成端末は、プロセッサ61及びメモリ62を含む。
【0086】
前記メモリ62は、コンピュータプログラムを格納するために用いられる。
【0087】
前記メモリ62は、ROM、RAM、磁気ディスク、USB、メモリカード又は光ディスク等のプログラムコードを格納可能な各種媒体を含む。
【0088】
前記プロセッサ61は、前記メモリ62に接続されて、前記メモリ62に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、前記端末に上記のドットマトリクスコードの生成方法を実行させるために用いられる。
【0089】
好ましくは、前記プロセッサ61は、中央処理装置(Central Processing Unit,CPUと略称する)、ネットワークプロセッサ(Network Processor,NPと略称する)等を含む汎用プロセッサであってもよいし、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor,DSPと略称する)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASICと略称する)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array,FPGAと略称する)、又は、その他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート或いはトランジスタのロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであってもよい。
【0090】
図7に示すように、一実施形態において、本発明のドットマトリクスコードの読み取り方法は以下のステップS71~ステップS74を含む。
【0091】
ステップS71において、ドットマトリクスコードを含むピクチャを取得する。前記ドットマトリクスコードは、上記のドットマトリクスコードの生成方法に基づき生成される。
【0092】
ステップS72において、前記ピクチャに基づいて、ドットマトリクスコードの符号化情報を識別するとともに、復号鍵を取得する。
【0093】
具体的には、予め取得したドットマトリクスコードのピクチャ構成情報から復号鍵を取得する。
【0094】
ステップS73において、誤り訂正符号技術を用い、前記ドットマトリクスコードの符号化情報について誤り訂正を行う。
【0095】
具体的には、前記ドットマトリクスコードの符号化情報について誤り訂正を行い、誤り訂正に成功した場合には、誤り訂正後のデータを復号モジュールに出力する。また、誤り訂正に失敗した場合には、誤りが多いことを意味しているため、この場合には、ドットマトリクスコードの再識別が必要である。本発明では、インターリーブ技術を組み合わせた連接符号を使用するため、誤り訂正効率は25%に達する。従って、同じ情報容量の二次元バーコードと比較して、フォールトトレランス率がより高くなる。
【0096】
ステップS74において、前記復号鍵を用いて誤り訂正に成功したドットマトリクスコードの符号化情報を復号することで、前記ドットマトリクスコードに対応する埋め込み情報を取得する。
【0097】
誤り訂正符号復号単位モジュールは、主に
図8に示すように、一実施形態において、本発明のドットマトリクスコード読み取り端末は、プロセッサ81及びメモリ82を含む。
【0098】
前記メモリ82は、コンピュータプログラムを格納するために用いられる。
【0099】
前記メモリ82は、ROM、RAM、磁気ディスク、USB、メモリカード又は光ディスク等のプログラムコードを格納可能な各種媒体を含む。
【0100】
前記プロセッサ81は、前記メモリ82に接続されて、前記メモリ82に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、前記端末に上記のドットマトリクスコードの読み取り方法を実行させるために用いられる。
【0101】
好ましくは、前記プロセッサ81は、中央処理装置(Central Processing Unit,CPUと略称する)、ネットワークプロセッサ(Network Processor,NPと略称する)等を含む汎用プロセッサであってもよいし、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor,DSPと略称する)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASICと略称する)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array,FPGAと略称する)、又は、その他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート或いはトランジスタのロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであってもよい。
図9に示すように、一実施形態において、本発明のドットマトリクスコードシステムは、上記のドットマトリクスコード生成端末91と、上記のドットマトリクスコード読み取り端末92を含む。これにより、ドットマトリクスコードの生成及び読み取りを実現して、ドットマトリクスコードの実際の応用を完了する。
【0102】
以上述べたように、本発明におけるドットマトリクスコードの構築方法、生成及び読み取り方法、端末、並びにドットマトリクスコードシステムは、均一に分布するドットマトリクスコードを構築可能であるとともに、情報マスキングの機能要求を満たすこともできるため、様々な応用シーンにおける要求を満足させられる。また、本発明のドットマトリクスコードは、従来の二次元バーコードの情報表示方式を変更し、情報セルの範囲を拡大して、格納される異なる情報値を情報セル内の情報点の相対位置により表す。同一の情報セル内には情報点が1つしか存在せず、且つ、これらの情報点は厳密に均一となるよう分布している。そのため、ドットマトリクスコードの空間内における情報点の分布度が制限されて、相対的に均一な分布が実現される。また、本発明のドットマトリクスコードには明らかな「位置決めマーク」又は「シンボル位置」が存在しないため、外観が目立ちにくく、見た目の良さにも影響を及ぼさない。また、本発明のドットマトリクスコードは、連続的に広範囲にわたり分布可能なため、二次元バーコードの分布や外観の色をそのまま利用して、それ自体を物品の外観のベースとすることができる。よって、二次元バーコードのマスキング及び外観の美化を実現するのにより有利となる。また、本発明のドットマトリクスコードは、紙、プラスチック、セラミックス、金属等の異なる材料の表面に印刷可能であり、位置を占有しないだけでなく、ドットマトリクスコードのマスキングによって美化効果を有効に向上させることも可能である。また、ドットマトリクスコードの唯一性、完全性及び可用性が保証されるほか、改ざん防止、複製防止の機能が備わる。従って、本発明は、従来技術における各種の欠点を有効に解消しており、高度な産業上の利用価値を有する。
【0103】
上記の実施形態は、本発明の原理と効果を例示的に説明するものにすぎず、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する者であれば、本発明の精神及び範疇を逸脱しないことを前提に、上記の実施形態を改変又は変形することが可能である。従って、当業者が本発明で開示する精神及び技術思想を逸脱することなく完了するあらゆる等価の改変又は変形は、依然として本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【国際調査報告】