(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】物質混合物中の物質量を測定する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 22/04 20060101AFI20240129BHJP
G01N 22/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G01N22/04 Z
G01N22/00 V
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023536186
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021084803
(87)【国際公開番号】W WO2022135936
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020134372.8
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521382078
【氏名又は名称】テウス エレクトロニク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】シュレム ウド
(72)【発明者】
【氏名】リヒター ヘンドリック
(57)【要約】
マイクロ波共振器を用いて、2つの物質(M
1、M
2)を有する物質混合物中の物質量(m1、m2)を測定する方法であって、
前記2つの物質のうちの第1の物質(M
1)に関する第1の水分値(φ
1)を決定すること、および前記2つの物質のうちの第2の物質(M
2)に関する第2の水分値(φ
2)を決定することと、
前記物質混合物に関する2つの測定値(A、B)を測定することと、
前記物質混合物に関する前記2つの測定値(A、B)からの2つの水分ベクトル(
)に対して2つのスカラー因子(θ
1、θ
2)を計算することであって、前記水分ベクトル(
)は、前記第1および第2の水分値(φ
1、φ
2)を用いて、前記測定値(A、B)の平面において、物質の水分が均等になる直線の方向をそれぞれ示すことと、
前記スカラー因子(θ
1、θ
2)から、前記物質量(m
1、m
2)を決定することと
を含む、方法。
【選択図】
図2、
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波共振器を用いて、2つの物質(M
1、M
2)を有する物質混合物中の物質量(m
1、m
2)を測定する方法であって、
前記2つの物質のうちの第1の物質(M
1)に関する第1の水分値(φ
1)を決定すること、および前記2つの物質のうちの第2の物質(M
2)に関する第2の水分値(φ
2)を決定することと、
前記物質混合物に関する2つの測定値(A、B)を測定することと、
前記物質混合物に関する前記2つの測定値(A、B)からの2つの水分ベクトル(
)に対して2つのスカラー因子(θ
1、θ
2)を計算することであって、前記水分ベクトル(
)は、前記第1および第2の水分値(φ
1、φ
2)を用いて、前記測定値(A、B)の平面において、物質の水分が均等になる直線の方向をそれぞれ示すことと、
前記スカラー因子(θ
1、θ
2)から、前記物質量(m
1、m
2)を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記物質量(m
1、m
2)は、前記物質混合物中の前記スカラー因子(θ
1、θ
2)、および温度(T)に応じて決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物質量(m
1、m
2)と前記スカラー因子(θ
1、θ
2)との相関関係は、前記物質混合物の多数の測定値から決定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記物質量(m
1、m
2)と前記スカラー因子(θ
1、θ
2)との前記相関関係は、前記第1の物質の前記物質量が前記第1の物質(M
1)の前記水分値の前記スカラー因子(θ
1)に依存し、前記第2の物質の前記物質量が前記第2の物質(M
2)の前記水分値の前記スカラー因子(θ
2)に依存するような相関関係であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スカラー因子(θ
1、θ
2)は、特定の前記物質の多数の個別測定値から決定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの物質(M
1、M
2)に関する前記水分値(φ
1、φ
2)は、較正ステップにおいて予め決定されること特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つの物質を、もう一方の物質と混合する前に測定する少なくとも1つの追加の測定システムが設けられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1つの物質の水分値をそれぞれ測定する2つの追加の測定システム(12、16)が設けられることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記追加の測定システムの1つまたは複数の前記水分値が再スケーリングされ、パラメータが前記再スケーリングのために較正されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波共振器を使用して2つの物質を有する物質混合物中の物質量を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、マイクロ波共振法を用いて物質混合物中の2つの非分散性、または弱分散性物質の物質量を測定することを可能にする。2つの湿性物質の混合物においては、物質量の測定は、2パラメータ法を用いた場合、常習的に過少決定される。従って、混合物中の変動する物質成分から水分を独立して決定できない。従って、物質の混合物においてマイクロ波共振器を使用して測定する際は、例えばサンプルコンテナ、または第2の物質用の基板等、物質成分の1つが一定のままである必要がある。そして、一定の物質成分の影響は、例えばオフセットを用いて、測定値から概ね除去することが可能である。
【0003】
本発明は、物質混合物中に存在しているが、同時に水分が比較的わずかにしか変動しないか、または全く変動しないか、あるいは個々の物質の水分が予め測定されている2つの物質の比較的強く変動する成分の測定の問題に対処しようとするものである。簡単な妥当性チェックにより、マイクロ波共振器の2つの測定値に基づくと、物質混合物中の2つの物質量を決定する測定タスクが過小決定されないことが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、マイクロ波共振器を使用して2つの物質を有する物質混合物中の物質量を測定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。従属請求項の主題は、有利な実施形態を形成する。
【0006】
本発明による方法は、1つの物質混合物に対して2つの物質量を供給する。各物質は必ずしも化学的に純粋な物質でなくてもよく、各物質、およびそれらの物質量は物質混合物中で決定される。本発明による方法は、純粋な物質に限定されないため、2つ以上の物質を有する物質混合物において、2つの物質群の物質量を互いに区別できる。
【0007】
本発明による方法は、まず、2つの物質のうちの第1の物質に関する第1の水分値、および2つの物質のうちの第2の物質に関する第2の水分値の決定に基づく。物質の水分値は、例えば、マイクロ波共振器の2つの測定量の商から決定される、マイクロ波測定における一般的な量である。次のステップでは、物質混合物の2つの測定値が、マイクロ波共振器を使用して決定される。その際に、共振周波数のシフトおよび共振曲線の広がりが決定されることが好ましい。
【0008】
第1および第2の水分値を用いて、2つのスカラー因子が、物質混合物の2つの測定値からの2つの水分ベクトルに対して計算される。水分ベクトルは、第1および第2の水分値を用いて、測定値の平面において、物質の水分が均等になる直線の方向をそれぞれ示すベクトルである。従って、水分ベクトルはそれぞれ、水分値が物質ごとに一定である測定値の平面における方向を示す。
【0009】
別のステップでは、各物質量が2つのスカラー因子から決定される。最後のステップは、測定問題が未決定ではないことを示す。本発明による測定方法を用いて達成可能な精度は、2つの物質成分の水分の変動がどれだけわずかであるか、または2つの物質成分の水分がどれだけ周知であるかに大きく依存する。発明者による分析計算により、2つの物質ごとの水分値が強く変動することも測定精度に良い影響を与えることが明らかになった。物質混合物はマイクロ波共振器を用いて測定されるため、物質量の決定における達成精度は驚くべきものである。
【0010】
好ましい実施形態では、物質量は、スカラー因子および物質混合物の温度に応じて決定される。実験により、スカラー因子に加えて、物質混合物の温度が、実用において容易に入手可能であり、測定精度の向上に寄与する決定要因であることが示された。
【0011】
物質量とスカラー因子との相関関係を決定するために、多数の測定値が使用され、次に相応に評価される。
【0012】
本発明による方法の好ましい実施形態では、物質量とスカラー因子との相関関係に関して、第1の物質の物質量が第1の物質に対する水分値のスカラー因子に依存し、第2の物質の物質量が第2の物質に対する水分値のスカラー因子に依存すると仮定できることが明らかとなった。物質混合物中の2つの物質のこの独立性により、スカラー因子の決定が容易になる。2つの物質の水分値に関しては、特に2つの物質の水分が一定であるか、またはほとんど変動しない場合に、予め較正ステップを実施できる。この較正ステップにより、物質混合物中の2つの物質ごとの水分値を非常に正確に決定できる。
【0013】
水分値の較正ステップの代わりに、またはそれに加えて、1つの物質の水分値を、もう一方の物質と混合する前に測定する少なくとも1つの追加の測定システムを設けることもできる。このようにすると、水分値のうちの一方を測定方法において正確に入手可能となる。好ましい実施形態では、1つの物質について1つの水分値をそれぞれ測定する2つの追加の測定システムを設けることができる。この実施形態では、本発明による方法を、物質混合物を形成する物質の水分値が強く変動する物質混合物にも使用できる。個々の物質の水分値を正確に検出することにより、物質混合物の測定から生じる測定値の変動が、物質量の変化に明確に起因し得る。この文脈においては、2つ以上の測定システムが使用されているという事実を、1つまたは複数の他の測定システムの水分値を再スケーリングすることにより考慮することが有利であると証明されている。スケーリング因子は、較正ステップにおいて予め決定できる。
【0014】
好ましい本発明の設計は、例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1a】
図1(a)は、A-B平面における測定値および関連する水分ベクトルの描写を示す。
【
図1b】
図1(b)は、A-B平面における測定値および関連する水分ベクトルの描写を示す。
【
図2】
図2は、水分値を事前に測定する測定装置を示す。
【
図3】
図3は、セルロースフリースの12個のサンプル、およびSAP層の12個のサンプルの平均値のA-B図を示す。
【
図4】
図4は、A、B値の例示的なプロファイルを示す。
【
図5】
図5は、A,B値をθ値に分割したプロファイルを示す。
【
図7】
図7は、SAPおよびセルロースの表面密度の縦断プロファイルを示す。
【
図8】
図8は、A値およびφ値によるプロファイルの代替表示である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明をより理解するためには、物理原理を簡潔に考慮することが有用である。水分測定の分野でマイクロ波共振器を使用する場合、2つの測定量AおよびBが生じる。測定量Aは、共振周波数のシフトの形で共振周波数における変化を示す。第2の測定量Bは、共振曲線の幅における変化を表す。測定量Aの物理的根拠は、測定対象物質の誘電特性による波長の短縮である。測定量Bを導く第2の作用は、測定対象サンプルにおけるマイクロ波の吸収を表す。
【0017】
測定対象の誘電体材料の分極Pは、その感受性χeおよび真空ε0の誘電率に従って電界Bとなる。
【0018】
【0019】
電気感受性は複素数であり、その実数部をχe´で示し、その虚数部をχe´´で示す。
【0020】
【0021】
マイクロ波共振器の測定量AおよびBとの相関関係について、感受性は、測定量Aがχe´に比例し、測定量Bがχe´´に比例することを示している。
【0022】
【0023】
【0024】
ここで、ε´は比誘電率の実数部を表し、ε´´はこの虚数部を表す。
【0025】
複数の材料M1~MNの材料混合物の場合、電気感受性は、各材料の電気感受性の和となる。
【0026】
【0027】
物質混合物の場合の電気感受性のこの挙動により、マイクロ波測定値が互いに加算される。これは、混合物のA値が、混合物中の個々の物質のA値の和であることを意味する。同様に、B値は、混合物中の物質の個々のB値の和である。
【0028】
【0029】
【0030】
2つの物質からなる物質混合物について、以下で検討する。原理的には、3つ以上の物質を有する物質混合物を分析することも可能であり、その場合はいくつかの物質を組み合わせて、まとめて1つの物質とみなすことができる。
【0031】
図1は、測定値A、Bによって広がる平面を示す。均等な水分の線が、物質M
1およびM
2について描写されている。均等な水分の直線の傾きが、水分値φ
1、φ
2によって示される。
図1bのようにグラフで示される、混合物のAおよびB値について上記の式で表される値の加算が、2つの量のベクトル加算となる。これは、混合物の測定値AおよびBは、物質M
1およびM
2の水分値のベクトル加算として決定できることを意味する。物質混合物におけるこの重ね合わせをより上手く分析するためには、ベクトルe
1、ベクトルe
2の水分ベクトルを導入することが有利である。従って、一定な水分を有する線上の各点は、水分単位ベクトルを乗じたスカラー因子θによって示すことができる。
【0032】
【0033】
上記の式の添字iは、物質1および2を表す。
【0034】
上記の相関関係は、もちろん水、または例えばグリセリン等の分散性の高い他の物質には当てはまらない。そのような高分散性物質の場合、一定の水分の値は直線上にはない。
【0035】
混合物について、A値は各物質のA値の和として、B値は各物質のB値の和として得られることを思い出すと、この相関関係は、ベクトル表記で次のように表すことができる。
【0036】
【0037】
水分ベクトルが標準化されていない場合、水分ベクトルはそれぞれ、座標表現を有する。
【0038】
【0039】
このような背景から、今や測定値A、Bを、物質混合物に関してコンパクトに記載可能である。
【0040】
【0041】
φ1がφ2と等しくないという条件下では、本方程式系を反転可能である。この反転形態では、以下の相関関係が得られる。
【0042】
【0043】
上記の式は、本発明による測定方法の中心的な態様を形成する。
【0044】
混合物中で測定されたA、B値から、水分値φ1、φ2を用いてスカラー因子θ1、θ2を計算できる。また、上記の式により、水分値φ1、φ2がプロセス中に一定であるか、あるいはわずかに変動していると推定されることが明確になる。この場合、φ1およびφ2値を事前に決定して、評価に用いることができる。
【0045】
一方、測定用途において物質の水分値が強く変動する場合、これらを連続的に測定できる。スカラー因子と混合物の測定値との間の上記の相関関係の利点は、この式が、分析式として、測定された水分値φ1およびφ2の直接使用を可能とし、したがって評価を可能にすることである。今や、決定されたスカラー因子により、物質量m1、m2を確実に決定できるようになる。最初に温度依存性を見落とした場合、線形アプローチをここで選択可能である。
【0046】
【0047】
この場合、パラメータα、βは、スカラー因子と物質量との間の相関関係を示す。原理的には、パラメータα、βを温度に応じて選択可能である。また、温度依存性を線形的に直接考慮できることも分かった。これにより、下記の相関関係が得られる。
【0048】
【0049】
例えば、おむつの芯におけるセルロースおよび超吸収体の含有量の測定等の物質混合物の測定の評価である。人工繊維および天然繊維の糸の混紡比率の決定、ならびにタバコフィルター中の活性炭およびその他の顆粒の決定により、スカラー因子を用いた物質量の決定が高精度の方法であることが明らかになった。定性的には、水分値φが密度に依存しないことを考慮することにより、これが信ぴょう性を持ち得る。この密度に依存しない値は水分ベクトルeに含まれるため、測定量A、Bへの密度依存の影響は、スカラー因子中でより強く表現される。従って、混合物について測定されたA、B値からスカラー因子を決定することは、物質の量の決定を可能にする信頼性のある要素である。このような定性的な考慮にもかかわらず、決定時に達成される精度は、驚くべきものである。
【0050】
物質ごとの水分値φ
1、φ
2を事前に正確に決定できないか、あるいは測定状況により水分値φ
1、φ
2が変動する測定状況では、
図2に示す測定装置を用いることができる。
図2の測定装置は、材料M
1の材料流10の概略図を示す。材料流M
1の水分は、概略的に示された測定装置12を使用して測定される。同様に、測定装置16は、材料M
2の材料流14の水分値φ
2を測定する。両材料M
1、M
2は、フィーダー18に供給され、ここで第2の材料14の供給の下流で混合物20となる。混合物20は、測定装置22において測定される。このようにして決定されたAおよびB値は、次にスカラー因子θ
1およびθ
2に変換され得る。常に現在の水分値φ
1、φ
2に基づいて、スカラー因子を直接変換できる。
【0051】
水分角度が別個の測定装置12、16を用いて決定される場合、対応する水分値を処理前に変換することが有利であると証明されている。
【0052】
【0053】
【0054】
破線の水分角度は、個々の装置12、16の混合前の水分角度である。パラメータai、biは、それ自体が公知の方法で較正される。
【0055】
上記の分析を、セルロースフリースの12個のサンプル、およびSAP層(超吸収体パウダーを有する層)の12個のサンプルを用いた具体例において以下で繰り返す。測定の平均値は、A、B平面に入力され、ここでAおよびB値は、上述のように共振周波数のシフトおよび幅の変化を示す。
図3にプロットした回帰直線により、SAPのtan(φ
1)=0.388の値に対し、セルロースのtan(φ
2)の値が0.2636であることが分かる。
【0056】
図4は、おむつの芯のセルロースフリースにSAPが振りかけられたおむつの芯の、そのプロファイルに沿ったAおよびB値を示す。回帰直線の傾きを用いて、測定されたA、B値はそれぞれ、スカラー因子θ
1およびθ
2に変換され得る。
【0057】
図5は同じプロファイルを示すが、今度はスカラー因子θ
1、θ
2についてプロットしている。A、B値と比較すると、セルロースは、特に10~22の区間で、SAPのθ値とはより明確に異なっていることが分かる。
【0058】
図6は表面測定の較正を示し、この場合、温度に依存しない較正が行われた。この較正では、得られたθ値に、線形アプローチでミリグラム/cm
2の表面密度が割り当てられた。
【0059】
【0060】
上記の式に対して、以下のパラメータ値が得られた。
【0061】
【0062】
【0063】
このようにして決定した値を用いて、測定したA、B値をθ値に変換することにより、表面密度に直接変換できる。
図7に示すプロファイルにより、SAPおよびセルロースの表面密度の特性が得られる。SAPの表面密度がプロファイル上でほぼ均一に広がっているのに対し、セルロースは10~22の範囲内で表面密度が著しく低くなっていることが明確に分かる。
【0064】
比較のために、
図4のAおよびB値のプロファイル、または
図8の典型的なマイクロ波水分値φを参照する。水分値φは、互いに独立した2つの物質成分を測定するのに適した基準ではないことが容易に分かる。特に、
図4および
図8のフィルタープロファイルからは、ある区間における特徴的な低セルロース成分を識別できない。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの物質(M
1、M
2)を有する物質混合物中の物質量(m
1、m
2)を測定する方法であって、
マイクロ波共振器を用いて、前記2つの物質のうちの第1の物質(M
1)に関する第1の水分値(φ
1)を決定すること、および前記2つの物質のうちの第2の物質(M
2)に関する第2の水分値(φ
2)を決定することと、
前記マイクロ波共振器を用いて、前記物質混合物に関する2つの測定値(A、B)を測定することであって、
前記2つの測定値のうちの一方の測定値(A)が共振周波数のシフトを表し、他方の測定値(B)が共振曲線の幅の変化を表すことと、
前記物質混合物に関する前記2つの測定値(A、B)からの2つの水分ベクトル(
)に対して2つのスカラー因子(θ
1、θ
2)を計算することであって、前記水分ベクトル(
)は、前記第1および第2の水分値(φ
1、φ
2)を用いて、前記測定値(A、B)の平面において、
前記第1および第2の物質(M
1
、M
2
)の水分が均等になる直線の方向をそれぞれ示すことと、
前記スカラー因子(θ
1、θ
2)から、
前記物質混合物中の前記物質量(m
1、m
2)を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記物質量(m
1、m
2)は、前記物質混合物中の前記スカラー因子(θ
1、θ
2)、および温度(T)に応じて決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物質量(m
1、m
2)と前記スカラー因子(θ
1、θ
2)との相関関係は、前記物質混合物の多数の測定値から決定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記物質量(m
1、m
2)と前記スカラー因子(θ
1、θ
2)との前記相関関係は、前記第1の物質の前記物質量が前記第1の物質(M
1)の前記水分値の前記スカラー因子(θ
1)に依存し、前記第2の物質の前記物質量が前記第2の物質(M
2)の前記水分値の前記スカラー因子(θ
2)に依存するような相関関係であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スカラー因子(θ
1、θ
2)は、特定の前記物質の多数の個別測定値から決定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの物質(M
1、M
2)に関する前記水分値(φ
1、φ
2)は、較正ステップにおいて予め決定されること特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つの物質を、もう一方の物質と混合する前に測定する少なくとも1つの追加の測定システムが設けられることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1つの物質の水分値をそれぞれ測定する2つの追加の測定システム(12、16)が設けられることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記追加の測定システムの1つまたは複数の前記水分値が再スケーリングされ、パラメータが前記再スケーリングのために較正されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【国際調査報告】