(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】磁気頂部コンタクトを含むMRAM
(51)【国際特許分類】
H10B 61/00 20230101AFI20240129BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240129BHJP
【FI】
H10B61/00
H10N50/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540049
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2022050731
(87)【国際公開番号】W WO2022161792
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】リッツォーロ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ゼア、サーバ
(72)【発明者】
【氏名】メータ、ビラト、バサフ
(72)【発明者】
【氏名】エバーツ、エリック、レイモンド
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA20
4M119BB01
4M119CC05
4M119JJ04
5F092AA20
5F092AB06
5F092AC12
5F092AD25
5F092BB23
5F092BB43
5F092CA02
5F092CA03
(57)【要約】
本発明の一実施形態は、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体およびその構造体を作製する方法を含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタックを含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタックと頂部コンタクトとの間に配置された磁気ライナを含むことができ、磁気ライナは強磁性材料であってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体であって、
磁気トンネル接合スタックと、
前記磁気トンネル接合スタックと頂部コンタクトとの間に配置された磁気ライナであって、強磁性材料を含む、前記磁気ライナと、
を備える、構造体。
【請求項2】
前記強磁性材料が、コバルト、ニッケル、鉄、希土類元素からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記強磁性材料の厚さが1nm~20nmである、請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記頂部コンタクトと前記磁気ライナとの間に拡散ライナをさらに含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項5】
前記磁気ライナと前記磁気トンネル接合スタックとの間に配置された金属をさらに含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項6】
前記磁気ライナが前記金属の頂面に配置されている、
請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記磁気ライナが前記金属の側面に配置されている、
請求項5または6に記載の構造体。
【請求項8】
磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を形成する方法であって、
磁気トンネル接合スタックを形成することと、
前記磁気トンネル接合スタックの上方に磁気ライナを形成することと、
前記磁気ライナの上方に頂部コンタクトを形成することであって、前記磁気ライナが強磁性材料を含む、前記形成することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記強磁性材料が、コバルト、ニッケル、鉄、希土類元素からなる群から選択された少なくとも1つの材料を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記磁気ライナと前記磁気トンネル接合スタックとの間に金属ハード・マスクを形成することをさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属ハード・マスクの頂面に前記磁気ライナを形成すること、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属ハード・マスクの側面に前記磁気ライナを形成すること、
をさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属ハード・マスクの頂面に配置された前記磁気ライナの一部を除去することをさらに含む、請求項10ないし12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記磁気ライナの厚さが1nm~20nmである、請求項8ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ・デバイスに関し、より詳細には、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のランダム・アクセス・メモリ(RAM)チップ技術とは異なり、磁気RAM(MRAM)は、電荷としてデータを記憶せず、代わりに、記憶素子の磁気分極によってデータを記憶する。典型的には、記憶素子は、トンネル層によって分離された2つの強磁性層から形成されている。強磁性層の一方は、特定の極性に設定された少なくとも1つのピン止めされた磁気分極(「参照」層または「固定」層としても知られている)を有する。もう一方の強磁性層(または自由層)の磁気極性は、「1」(すなわち、固定層に対して逆平行の極性)または「0」(すなわち、固定層に対して平行の極性)のいずれかを表すように変更される。固定層、トンネル層、および自由層を有する1つのデバイスは、磁気トンネル接合(MTJ)である。MTJの電気抵抗は、固定層の磁気極性と比較した自由層の磁気極性に依存する。MRAMなどのメモリ・デバイスは、個々にアドレス指定可能なMTJのアレイから構築することができる。
【0003】
磁気トンネル接合(MTJ)において、電流誘起磁化がMRAMデバイスにとって関心のある主な現象である。そのため、自由層(FL)に対する平均外部磁場はゼロである必要がある。そうするために、参照層は、反対方向の磁化を有するように薄い反強磁性層で分離され、これらの2つの層をバランスさせることによってゼロ磁場を達成する。2つの層間のバランスをとることは、非常に困難な場合があり、これらの層のそれぞれの厚さを数オングストロームにまで制御することによって行われている。さらに、IBEなどの一部の統合プロセス・フローは、頂部参照層および底部参照層をそれらの側壁において不均一にエッチングすることによって、ブランケット膜の堆積後であっても、参照層のサイズを単純に修正し、バランスを変更することができる。
【0004】
したがって、当技術分野では、前述の問題に対処する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様から見ると、本発明は、磁気トンネル接合スタックと、磁気トンネル接合スタックと頂部コンタクトとの間に配置された磁気ライナとを備え、磁気ライナが強磁性材料を含む、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を提供する。
【0006】
さらなる態様から見ると、本発明は、磁気トンネル接合スタックと、磁気トンネル接合スタック上の金属と、金属の頂面に配置された磁気ライナとを備え、磁気ライナが強磁性材料を含む、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を提供する。
【0007】
さらなる態様から見ると、本発明は、磁気トンネル接合スタックと、磁気トンネル接合スタック上の金属と、金属の側面に配置された磁気ライナとを備え、磁気ライナが強磁性材料を含む、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を提供する。
【0008】
さらなる態様から見ると、本発明は、磁気トンネル接合スタックと、磁気トンネル接合スタック上の金属と、金属の頂面および側面に配置された磁気ライナとを備え、磁気ライナが磁性材料を含む、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を提供する。
【0009】
さらなる態様から見ると、本発明は、磁気トンネル接合スタックの上方に磁気ライナを形成することと、磁気ライナの上方に頂部コンタクトを形成することとを含む、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を形成する方法を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態は、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタックを含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタックと頂部コンタクトとの間に配置された磁気ライナを含むことができ、磁気ライナは強磁性材料であってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0011】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、コバルトであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0012】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、ニッケル、鉄、希土類元素、またはそれらの組合せであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0013】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料の厚さは、約1~約20nmであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0014】
MRAM構造体の一実施形態では、頂部コンタクトと磁気ライナとの間に拡散ライナが存在してもよい。これにより、磁気ライナの長期的なデバイス信頼性および機能を向上させることができる。
【0015】
MRAM構造体の一実施形態では、金属コンタクトと磁気トンネル接合スタックとの間に配置された金属が存在してもよい。これにより、磁気ライナの長期的なデバイス信頼性および機能を向上させることができる。
【0016】
本発明の一実施形態は、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタックを含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタック上に金属を含むことができる。MRAM構造体は、金属の頂面に配置された磁気ライナを含むことができ、磁気ライナは、強磁性材料であってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0017】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、コバルトであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0018】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、ニッケル、鉄、希土類元素、またはそれらの組合せであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0019】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料の厚さは、約1~約20nmであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0020】
MRAM構造体の一実施形態では、頂部コンタクトと磁気ライナとの間に拡散ライナが存在してもよい。これにより、磁気ライナの長期的なデバイス信頼性および機能を向上させることができる。
【0021】
本発明の一実施形態は、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタックを含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタック上に金属を含むことができる。MRAM構造体は、金属の側面に配置された磁気ライナを含むことができ、磁気ライナは、強磁性材料であってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0022】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、コバルトであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0023】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、ニッケル、鉄、希土類元素、またはそれらの組合せであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0024】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料の厚さは、約1~約20nmであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0025】
MRAM構造体の一実施形態では、頂部コンタクトと磁気ライナとの間に拡散ライナが存在してもよい。これにより、磁気ライナの長期的なデバイス信頼性および機能を向上させることができる。
【0026】
本発明の一実施形態は、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタックを含むことができる。MRAM構造体は、磁気トンネル接合スタック上に金属を含むことができる。MRAM構造体は、金属の頂面および側面に配置された磁気ライナを含むことができ、磁気ライナは、強磁性材料であってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0027】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、コバルトであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0028】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料は、ニッケル、鉄、希土類元素、またはそれらの組合せであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0029】
MRAM構造体の一実施形態では、強磁性材料の厚さは、約1~約20nmであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0030】
MRAM構造体の一実施形態では、頂部コンタクトと磁気ライナとの間に拡散ライナが存在してもよい。これにより、磁気ライナの長期的なデバイス信頼性および機能を向上させることができる。
【0031】
本発明の一実施形態は、磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)構造体を形成する方法を含むことができる。本方法は、磁気トンネル接合スタックの上方に金属ライナを形成することを含むことができる。本方法は、金属ライナの上方に頂部コンタクトを形成することを含むことができる。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用する構造体を形成することを可能にすることができる。
【0032】
本方法の一実施形態では、強磁性材料は、コバルトであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用する構造体を形成することを可能にすることができる。
【0033】
本方法の一実施形態では、強磁性材料の厚さは、約1~約20nmであってもよい。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用する構造体を形成することを可能にすることができる。
【0034】
本方法の一実施形態において、磁気トンネル接合スタックの上方に磁気ライナを形成することは、磁気トンネル接合スタックの上方に配置された金属ハード・マスク上に磁気ライナを選択的に形成することを含むことができる。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用する構造体を形成することを可能にすることができる。
【0035】
本方法の一実施形態において、金属ハード・マスクの頂面に配置された磁気ライナの一部を除去することができる。これにより、MTJ層においてゼロ磁場を達成するために、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用する構造体を形成することを可能にすることができる。
【0036】
本発明は、ここで、以下の図面に示されるような好ましい実施形態を参照して、単なる例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】例示的な実施形態によるMRAMセルを示す図である。
【
図2】例示的な実施形態による、金属ハード・マスク上に逆カップ形状の磁気ライナを堆積させた後のMRAMセルを示す図である。
【
図3】例示的な実施形態による、ライナを堆積させた後のMRAMセルを示す図である。
【
図4】例示的な実施形態による、頂部コンタクトを形成した後のMRAMセルを示す図である。
【
図5】例示的な実施形態によるMRAMセルを示す図である。
【
図6】例示的な実施形態による、金属ハード・マスク上に磁気ライナを堆積させた後のMRAMセルを示す図である。
【
図7】例示的な実施形態による、おおむね平坦なライナを堆積させた後のMRAMセルを示す図である。
【
図8】例示的な実施形態による、頂部コンタクトを形成した後のMRAMセルを示す図である。
【
図9】例示的な実施形態によるMRAMセルを示す図である。
【
図10】例示的な実施形態による、金属ハード・マスクの周りに環状磁気ライナを堆積させた後のMRAMセルを示す図である。
【
図11】例示的な実施形態による、ライナを堆積させた後のMRAMセルを示す図である。
【
図12】例示的な実施形態による、頂部コンタクトを形成した後のMRAMセルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図の要素は、必ずしも縮尺通りではなく、本発明の特定のパラメータを描写することを意図したものではない。説明を明確かつ容易にするために、要素の寸法は誇張されている場合がある。正確な寸法については、詳細な説明を参照されたい。図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すことが意図されており、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は同様の要素を表す。
【0039】
次に、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、例示的な実施形態について本明細書でより完全に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に伝えるように提供される。説明において、よく知られている特徴および技術の詳細は、提示された実施形態を不必要に曖昧にすることを避けるために省略されることがある。
【0040】
以下の説明の目的のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、およびそれらの派生語などの用語は、図面において方向付けられるような、開示された構造および方法に関連するものとする。「上にある(overlying)」、「の上に(atop)」、「上に(on top)」、「上に位置する(positioned on)」または「の上に位置する(positioned atop)」などの用語は、第1の構造などの第1の要素が、第2の構造などの第2の要素上に存在し、界面構造などの介在要素が第1の要素と第2の要素との間に存在してもよいことを意味する。「直接接触」という用語は、第1の構造などの第1の要素と、第2の構造などの第2の要素とが、2つの要素の界面において中間の導電層、絶縁層または半導体層なしに接続されることを意味する。
【0041】
本発明の実施形態の提示を不明瞭にしないために、以下の詳細な説明では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは動作は、提示および例示のために一緒に組み合わされていることがあり、場合によっては、詳細に説明されていないことがある。他の事例では、当技術分野で知られているいくつかの処理ステップまたは動作は、全く説明されないことがある。以下の説明は、むしろ、本発明の様々な実施形態の特有の特徴または要素に焦点を当てていることを理解されたい。
【0042】
MTJスタックのコンタクトに選択的な金属ライナを追加することによって、自由層の磁場をバランスさせるための追加の調整可能なパラメータを生成することができる。
【0043】
図1は、始めの磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)を示す。MRAMデバイスは、半導体デバイスのMx層100上に配置されている。MRAMデバイスは、底部コンタクト120と、拡散バリア130と、磁気トンネル接合(MTJ)スタック140と、金属ハード・マスク150とを含むことができる。MRAMデバイスは、ILD110によって周囲のデバイスから絶縁されていてもよい。
【0044】
Mx層100は、下層にある配線、メモリ、または論理デバイスを含むことができる。このような下層構造では、MRAMに含まれる状態を、MRAMが一部である半導体デバイスの計算または機能に使用する。
【0045】
ILD110は、SiO2、Si3N4、SiOxNy、SiC、SiCO、SiCOH、およびSiCH化合物などのシリコン含有材料、Siの一部または全部が炭素ドープ酸化物によって置換された上述のシリコン含有材料、無機酸化物、無機ポリマ、ハイブリッド・ポリマ、ポリアミドまたはSiLK(商標)などの有機ポリマ、他の炭素含有材料、スピン・オン・ガラスおよびシルセスキオキサン系材料などの有機無機材料、ならびに非晶質水素化炭素(α-C:H)としても知られているダイヤモンド状炭素(DLC)からなる群から選択することができる。ILD110の追加の選択肢には、多孔質形態の、あるいは処理中に多孔質または透過性あるいはその両方から、非多孔質または非透過性あるいはその両方に変化する形態の、前述の材料のいずれかが含まれる。本実施形態では、ILD110内のトレンチは、金属ハード・マスク150の頂部よりも下に達し、それにより、金属ハード・マスク150の側面の下まで磁気ライナ160を形成することが可能になる。金属ハード・マスク150の高さを下回るトレンチの距離は、金属ハード・マスク150の高さの5~50%であってもよい。
【0046】
底部コンタクト120は、半導体デバイス全体にわたって配置された他のデバイスへの接続を含むことができる。底部コンタクト120は、例えば、銅、アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル、またはタングステンなどの材料を含むことができる。
【0047】
拡散バリア130は、MTJスタック140から底部コンタクト120への、またはその逆の原子またはイオンの移動を阻止する任意の導電性材料であってもよい。例えば、拡散バリア130は、タンタル、チタン、タングステン、窒化タングステン、ニッケル、白金、ルテニウムなどの金属で形成することができる。
【0048】
MTJスタック140は、薄い絶縁トンネル障壁層によって分離された2層の強磁性材料を含む。絶縁トンネル障壁層は、電荷キャリアの量子力学的トンネリングが強磁性電極間で起こるように十分に薄い。トンネリング・プロセスは、電子スピン依存性があり、これは、接合を横切るトンネル電流が、強磁性材料のスピン依存性電子特性に依存し、2つの強磁性層の磁気モーメントの相対的配向(磁化方向)の関数であることを意味する。2つの強磁性層は、それらのモーメントの相対的な配向を外部磁場によって変化させることができるように、磁場に対する応答が異なるように設計されている。MTJは、例えば、不揮発性磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)アレイ内のメモリ・セルとして、および例えば、磁気記録ディスク・ドライブ内の磁気抵抗読取りヘッドなどの磁場センサとして使用可能である。強磁性層材料は、CoFe、CoFeB、NiFeなどを含む強磁性材料または強磁性薄膜などの、磁気特性を示す任意の適切な材料、材料の組合せ、または合金とすることができる。絶縁層は、絶縁性であり、絶縁層を横切るトンネリングを可能にする任意の適切な材料または材料の組合せであってもよい。
【0049】
MRAMは、情報を記憶するためにトンネル磁気抵抗(TMR)を使用する固体メモリの一種である。MRAMは、磁気トンネル接合(MTJ)と呼ばれる磁気抵抗メモリ素子の電気的に接続されたアレイで構成される。各MTJは、磁化方向が可変の自由層と、磁化方向が不変の固定層とを含む。自由層および固定層はそれぞれ、磁性材料の層を含み、絶縁非磁性トンネル障壁によって分離されている。MTJは、自由層の磁化状態を切り替えることによって情報を記憶する。自由層の磁化方向が固定層の磁化方向と平行である場合、MTJは低抵抗状態にある。自由層の磁化方向が固定層の磁化方向に対して反平行である場合、MTJは高抵抗状態にある。MTJの抵抗の差を使用して、論理「1」または「0」を示すことができ、それによって1ビットの情報を記憶することができる。MTJのTMRは、高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗の差を決定する。高抵抗状態と低抵抗状態との比較的大きな差は、MRAMの読み出し動作を容易にする。
【0050】
金属ハード・マスク150は、形成中にMTJスタック140のフットプリントを画定するために使用される金属層であってもよい。金属ハード・マスク150は、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、ルテニウム/窒化ルテニウム、窒化コバルト、白金族金属窒化物、これらの純金属対応物(pure-metal counterpart)などとすることができる。
【0051】
図2を参照すると、金属ハード・マスク150の表面に磁気ライナ160を選択的に堆積させている。磁気ライナ160の堆積は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、またはILD110上に磁気ライナを堆積させることなく金属ハード・マスク150上に磁気ライナ160を選択的に堆積させることができる任意の他の適切な技術によって行うことができる。磁気ライナ160は、MTJスタック140に磁場を作用させることができる強磁性ライナであってもよい。磁気ライナ160は、例えば、コバルト、ニッケル、鉄、希土類元素、またはそれらの組合せなどの材料で作られてもよい。磁気ライナは、約1~20nmの厚さを有することができ、金属ハード・マスク150の高さの5~50%延在することができる。
【0052】
図3を参照すると、磁気ライナ上に、かつトレンチの側壁に沿ってライナ170を堆積させることができる。拡散バリア130と同様に、ライナ170は、原子またはイオンが磁気ライナ160の外または中に移動するのを阻止することができる材料を含むことができる。ライナは、例えば、タンタルまたは窒化タンタルで作られてもよく、ライナ材料の1つまたは複数の層を含んでもよい。ライナ170は、電気めっき、無電解めっき、化学気相堆積、物理的気相堆積、または方法の組合せなどの充填堆積技術を使用して形成されてもよい。
【0053】
図4を参照すると、トレンチは、頂部コンタクト180で充填することができる。頂部コンタクト180は、例えば、Al、W、Cu、TiN、TaN、または他の適切な材料などの低抵抗金属として選択されてもよい。頂部コンタクト180は、電気めっき、無電解めっき、化学気相堆積、物理的気相堆積、または方法の組合せなどの充填技術を使用して形成されてもよい。頂部コンタクト180は、トレンチまたはビアの一部として形成されてもよく、半導体チップのより高レベルの追加配線に接続されてもよい。
【0054】
図1~
図4に概説されたステップの後に、磁気ライナ160が金属ハード・マスク150によってMTJスタック140から分離されたMRAMセルが存在する。MTJスタック140は、拡散バリア130によって底部コンタクト120から分離されていてもよい。磁気ライナ160は、ライナ170によって頂部コンタクト180から分離されていてもよい。磁気ライナ160は、ILD110を越えて延在する金属ハード・マスク150のすべての部分に配置されていてもよい。これにより、MTJスタック140の自由層において0磁場を達成するために、その層の磁場を磁気ライナ160がバランスさせることを可能にすることができる。これにより、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0055】
図5は、始めの磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)を示す。MRAMデバイスは、半導体デバイスのMx層200上に配置されている。MRAMデバイスは、底部コンタクト220と、拡散バリア230と、磁気トンネル接合(MTJ)スタック240と、金属ハード・マスク250とを含むことができる。MRAMデバイスは、ILD210によって周囲のデバイスから絶縁されていてもよい。
【0056】
Mx層200は、下層にある配線、メモリ、または論理デバイスを含むことができる。このような下層構造では、MRAMに含まれる状態を、MRAMが一部である半導体デバイスの計算または機能に使用する。
【0057】
ILD210は、SiO2、Si3N4、SiOxNy、SiC、SiCO、SiCOH、およびSiCH化合物などのシリコン含有材料、Siの一部または全部が炭素ドープ酸化物によって置換された上述のシリコン含有材料、無機酸化物、無機ポリマ、ハイブリッド・ポリマ、ポリアミドまたはSiLK(商標)などの有機ポリマ、他の炭素含有材料、スピン・オン・ガラスおよびシルセスキオキサン系材料などの有機無機材料、ならびに非晶質水素化炭素(α-C:H)としても知られているダイヤモンド状炭素(DLC)からなる群から選択することができる。ILD210の追加の選択肢には、多孔質形態の、あるいは処理中に多孔質または透過性あるいはその両方から、非多孔質または非透過性あるいはその両方に変化する形態の、前述の材料のいずれかが含まれる。ILD210に形成されたトレンチの底部は、金属ハード・マスク250の頂面と実質的に同一平面上にある。
【0058】
底部コンタクト220は、半導体デバイス全体にわたって配置された他のデバイスへの接続を含むことができる。底部コンタクト220は、例えば、銅、アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル、またはタングステンなどの材料を含むことができる。
【0059】
拡散バリア230は、MTJスタック240から底部コンタクト220への、またはその逆の原子またはイオンの移動を阻止する任意の導電性材料であってもよい。例えば、拡散バリア230は、タンタル、チタン、タングステン、窒化タングステン、ニッケル、白金、ルテニウムなどの金属で形成することができる。
【0060】
MTJスタック240は、薄い絶縁トンネル障壁層によって分離された2層の強磁性材料を含む。絶縁トンネル障壁層は、電荷キャリアの量子力学的トンネリングが強磁性電極間で起こるように十分に薄い。トンネリング・プロセスは、電子スピン依存性があり、これは、接合を横切るトンネル電流が、強磁性材料のスピン依存性電子特性に依存し、2つの強磁性層の磁気モーメントの相対的配向(磁化方向)の関数であることを意味する。2つの強磁性層は、それらのモーメントの相対的な配向を外部磁場によって変化させることができるように、磁場に対する応答が異なるように設計されている。MTJは、例えば、不揮発性磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)アレイ内のメモリ・セルとして、および例えば、磁気記録ディスク・ドライブ内の磁気抵抗読取りヘッドなどの磁場センサとして使用可能である。強磁性層材料は、CoFe、CoFeB、NiFeなどを含む強磁性材料または強磁性薄膜などの、磁気特性を示す任意の適切な材料、材料の組合せ、または合金とすることができる。絶縁層は、絶縁性であり、絶縁層を横切るトンネリングを可能にする任意の適切な材料または材料の組合せであってもよい。
【0061】
MRAMは、情報を記憶するためにトンネル磁気抵抗(TMR)を使用する固体メモリの一種である。MRAMは、磁気トンネル接合(MTJ)と呼ばれる磁気抵抗メモリ素子の電気的に接続されたアレイで構成される。各MTJは、磁化方向が可変の自由層と、磁化方向が不変の固定層とを含む。自由層および固定層はそれぞれ、磁性材料の層を含み、絶縁非磁性トンネル障壁によって分離されている。MTJは、自由層の磁化状態を切り替えることによって情報を記憶する。自由層の磁化方向が固定層の磁化方向と平行である場合、MTJは低抵抗状態にある。自由層の磁化方向が固定層の磁化方向に対して反平行である場合、MTJは高抵抗状態にある。MTJの抵抗の差を使用して、論理「1」または「0」を示すことができ、それによって1ビットの情報を記憶することができる。MTJのTMRは、高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗の差を決定する。高抵抗状態と低抵抗状態との比較的大きな差は、MRAMの読み出し動作を容易にする。
【0062】
金属ハード・マスク250は、形成中にMTJスタック240のフットプリントを画定するために使用される金属層であってもよい。金属ハード・マスク250は、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、ルテニウム/窒化ルテニウム、窒化コバルト、白金族金属窒化物、これらの純金属対応物などとすることができる。
【0063】
図6を参照すると、金属ハード・マスク250の表面に磁気ライナ260を選択的に堆積させている。磁気ライナ260の堆積は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、またはILD210上に磁気ライナを堆積させることなく金属ハード・マスク250上に磁気ライナ260を選択的に堆積させることができる任意の他の適切な技術によって行うことができる。磁気ライナ260は、MTJスタック240に磁場を作用させることができる強磁性ライナであってもよい。磁気ライナ260は、例えば、コバルト、ニッケル、鉄、希土類元素、またはそれらの組合せなどの材料で作られてもよい。磁気ライナは、約2~20nmの厚さを有することができ、金属ハード・マスク250の高さの5~50%延在することができる。
【0064】
図7を参照すると、磁気ライナ上に、かつトレンチの側壁に沿ってライナ270を堆積させることができる。拡散バリア230と同様に、ライナ270は、磁気ライナ260からの原子またはイオンの移動を阻止することができる材料を含むことができる。ライナは、例えば、タンタルまたは窒化タンタルで作られてもよく、ライナ材料の1つまたは複数の層を含んでもよい。ライナ270は、電気めっき、無電解めっき、化学気相堆積、物理的気相堆積、または方法の組合せなどの充填技術を使用して形成されてもよい。
【0065】
図8を参照すると、トレンチは、頂部コンタクト280で充填することができる。頂部コンタクト280は、例えば、Al、W、Cu、TiN、TaN、または他の適切な材料などの低抵抗金属として選択されてもよい。頂部コンタクト280は、電気めっき、無電解めっき、化学気相堆積、物理的気相堆積、または方法の組合せなどの充填技術を使用して形成されてもよい。頂部コンタクト280は、トレンチまたはビアの一部として形成されてもよく、半導体チップのより高レベルの追加配線に接続されてもよい。
【0066】
図5~
図8に概説されたステップの後に、磁気ライナ260が金属ハード・マスク250によってMTJスタック240から分離されたMRAMセルが存在する。MTJスタック240は、拡散バリア230によって底部コンタクト220から分離されていてもよい。磁気ライナ260は、ライナ270によって頂部コンタクト280から分離されていてもよい。磁気ライナ260は、金属ハード・マスク250の頂面に配置されていてもよい。これにより、MTJスタック240の自由層において0磁場を達成するために、その層の磁場を磁気ライナ260がバランスさせることを可能にすることができる。これにより、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0067】
図9は、始めの磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)を示す。MRAMデバイスは、半導体デバイスのMx層300上に配置されている。MRAMデバイスは、底部コンタクト320と、拡散バリア330と、磁気トンネル接合(MTJ)スタック340と、金属ハード・マスク350とを含むことができる。MRAMデバイスは、ILD310によって周囲のデバイスから絶縁されていてもよい。
【0068】
Mx層300は、下層にある配線、メモリ、または論理デバイスを含むことができる。このような下層構造では、MRAMに含まれる状態を、MRAMが一部である半導体デバイスの計算または機能に使用する。
【0069】
ILD310は、SiO2、Si3N4、SiOxNy、SiC、SiCO、SiCOH、およびSiCH化合物などのシリコン含有材料、Siの一部または全部が炭素ドープ酸化物によって置換された上述のシリコン含有材料、無機酸化物、無機ポリマ、ハイブリッド・ポリマ、ポリアミドまたはSiLK(商標)などの有機ポリマ、他の炭素含有材料、スピン・オン・ガラスおよびシルセスキオキサン系材料などの有機無機材料、ならびに非晶質水素化炭素(α-C:H)としても知られているダイヤモンド状炭素(DLC)からなる群から選択することができる。ILD310の追加の選択肢には、多孔質形態の、あるいは処理中に多孔質または透過性あるいはその両方から、非多孔質または非透過性あるいはその両方に変化する形態の、前述の材料のいずれかが含まれる。本実施形態では、ILD110内のトレンチは、金属ハード・マスク150の頂部よりも下に達し、それにより、金属ハード・マスク150の側面の下まで磁気ライナ160を形成することが可能になる。金属ハード・マスク150の高さを下回るトレンチの距離は、金属ハード・マスク150の高さの5~50%であってもよい。
【0070】
底部コンタクト320は、半導体デバイス全体にわたって配置された他のデバイスへの接続を含むことができる。底部コンタクト320は、例えば、銅、アルミニウム、窒化チタン、窒化タンタル、またはタングステンなどの材料を含むことができる。
【0071】
拡散バリア330は、MTJスタック340から底部コンタクト320への、またはその逆の原子またはイオンの移動を阻止する任意の導電性材料であってもよい。例えば、拡散バリア330は、タンタル、チタン、タングステン、窒化タングステン、ニッケル、白金、ルテニウムなどの金属で形成することができる。
【0072】
MTJスタック340は、薄い絶縁トンネル障壁層によって分離された2層の強磁性材料を含む。絶縁トンネル障壁層は、電荷キャリアの量子力学的トンネリングが強磁性電極間で起こるように十分に薄い。トンネリング・プロセスは、電子スピン依存性があり、これは、接合を横切るトンネル電流が、強磁性材料のスピン依存性電子特性に依存し、2つの強磁性層の磁気モーメントの相対的配向(磁化方向)の関数であることを意味する。2つの強磁性層は、それらのモーメントの相対的な配向を外部磁場によって変化させることができるように、磁場に対する応答が異なるように設計されている。MTJは、例えば、不揮発性磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)アレイ内のメモリ・セルとして、および例えば、磁気記録ディスク・ドライブ内の磁気抵抗読取りヘッドなどの磁場センサとして使用可能である。強磁性層材料は、CoFe、CoFeB、NiFeなどを含む強磁性材料または強磁性薄膜などの、磁気特性を示す任意の適切な材料、材料の組合せ、または合金とすることができる。絶縁層は、絶縁性であり、絶縁層を横切るトンネリングを可能にする任意の適切な材料または材料の組合せであってもよい。
【0073】
MRAMは、情報を記憶するためにトンネル磁気抵抗(TMR)を使用する固体メモリの一種である。MRAMは、磁気トンネル接合(MTJ)と呼ばれる磁気抵抗メモリ素子の電気的に接続されたアレイで構成される。各MTJは、磁化方向が可変の自由層と、磁化方向が不変の固定層とを含む。自由層および固定層はそれぞれ、磁性材料の層を含み、絶縁非磁性トンネル障壁によって分離されている。MTJは、自由層の磁化状態を切り替えることによって情報を記憶する。自由層の磁化方向が固定層の磁化方向と平行である場合、MTJは低抵抗状態にある。自由層の磁化方向が固定層の磁化方向に対して反平行である場合、MTJは高抵抗状態にある。MTJの抵抗の差を使用して、論理「1」または「0」を示すことができ、それによって1ビットの情報を記憶することができる。MTJのTMRは、高抵抗状態と低抵抗状態の抵抗の差を決定する。高抵抗状態と低抵抗状態との比較的大きな差は、MRAMの読み出し動作を容易にする。
【0074】
金属ハード・マスク350は、形成中にMTJスタック340のフットプリントを画定するために使用される金属層であってもよい。金属ハード・マスク350は、窒化タンタル、窒化チタン、窒化タングステン、ルテニウム/窒化ルテニウム、窒化コバルト、白金族金属窒化物、これらの純金属対応物などとすることができる。
【0075】
図10を参照すると、金属ハード・マスク350の表面に磁気ライナ360を選択的に堆積させている。磁気ライナ360の堆積は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、またはILD310上に磁気ライナを堆積させることなく金属ハード・マスク350上に磁気ライナ360を選択的に堆積させることができる任意の他の適切な技術によって行うことができる。磁気ライナ360は、MTJスタック340に磁場を作用させることができる強磁性ライナであってもよい。磁気ライナ360は、例えば、コバルト、ニッケル、鉄、希土類元素、またはそれらの組合せなどの材料で作られてもよい。磁気ライナは、約3~30nmの厚さを有することができ、金属ハード・マスク350の高さの5~50%延在することができる。選択的堆積に続いて、RIEなどの異方性エッチングを行って、金属ハード・マスク250の頂面から磁性材料を除去することができる。
【0076】
図11を参照すると、磁気ライナ上に、かつトレンチの側壁に沿ってライナ370を堆積させることができる。拡散バリア330と同様に、ライナ370は、磁気ライナ360からの原子またはイオンの移動を阻止することができる材料を含むことができる。ライナは、例えば、タンタルまたは窒化タンタルで作られてもよく、ライナ材料の1つまたは複数の層を含んでもよい。ライナ370は、電気めっき、無電解めっき、化学気相堆積、物理的気相堆積、または方法の組合せなどの充填技術を使用して形成されてもよい。
【0077】
図12を参照すると、トレンチは、頂部コンタクト380で充填することができる。頂部コンタクト380は、例えば、Al、W、Cu、TiN、TaN、または他の適切な材料などの低抵抗金属として選択されてもよい。頂部コンタクト380は、電気めっき、無電解めっき、化学気相堆積、物理的気相堆積、または方法の組合せなどの充填技術を使用して形成されてもよい。頂部コンタクト380は、トレンチまたはビアの一部として形成されてもよく、半導体チップのより高レベルの追加配線に接続されてもよい。
【0078】
図9~
図12に概説されたステップの後に、磁気ライナ360が金属ハード・マスク350によってMTJスタック340から分離されたMRAMセルが存在する。MTJスタック340は、拡散バリア330によって底部コンタクト320から分離されていてもよい。磁気ライナ360は、ライナ370によって頂部コンタクト380から分離されていてもよい。磁気ライナ360は、ILD310を越えて延在する金属ハード・マスク350の側壁の部分に配置されていてもよい。これにより、MTJスタック340の自由層において0磁場を達成するために、その層の磁場を磁気ライナ360がバランスさせることを可能にすることができる。これにより、MTJ膜スタックの磁気パラメータの多くをバランスさせるための独立変数として磁気ライナが作用することを可能にすることができる。
【0079】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されてきたが、網羅的であることは意図されておらず、開示された実施形態に限定されることも意図されていない。記載された実施形態の範囲から逸脱することなく、当業者には多くの変更形態および変形形態が明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出される技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するために、または他の当業者が本明細書に開示された実施形態を理解できるようにするために選択された。したがって、本発明は、説明および図示された厳密な形態および詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】