(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】エアロゾル発生アセンブリのための加熱システムを制御するための方法及び関連するエアロゾル発生アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240129BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240129BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/57
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540134
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 EP2022052697
(87)【国際公開番号】W WO2022167575
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリー, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンコ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジグムンド, ブラニスラヴ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AB11
4B162AB21
4B162AC22
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、気化性材料を含むエアロゾル発生アセンブリのための加熱システムを制御するための方法に関する。方法は、 - 気化性材料に固有の少なくとも1つの気化性材料特性、又はエアロゾル発生アセンブリに固有の少なくとも1つのデバイス特性、又は周囲領域に固有の周囲特性に基づいて、サセプタの温度を制御することを含む予熱段階と、 - 加熱温度センサによって提供される温度測定値と、所定のオフセットとに基づいて、サセプタの温度を制御することを含む加熱段階と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生アセンブリ(10)のための加熱システム(34)を制御するための方法であって、前記エアロゾル発生アセンブリ(10)は、気化性材料を貯蔵するための貯蔵部(66)を備え、前記加熱システム(34)は、前記貯蔵部(66)内に配置されるサセプタ(74)と、前記貯蔵部(66)に隣接して又は前記貯蔵部(66)の内側に配置され、前記気化性材料の温度を測定するよう構成される加熱温度センサ(78)とを備え、
前記方法は、
- 前記気化性材料に固有の少なくとも1つの気化性材料特性、又は前記エアロゾル発生アセンブリ(10)に固有の少なくとも1つのデバイス特性、又は前記周囲領域に固有の周囲特性に基づいて、前記サセプタ(74)の温度を制御することを含む予熱段階と、
- 前記加熱温度センサ(78)によって提供される温度測定値と、前記温度測定値の所定のオフセットとに基づいて、前記サセプタ(74)の温度を制御することを含む加熱段階と、を含む、
方法。
【請求項2】
前記又は各気化可能材料特性は、
- 気化性材料組成物、
- 気化性材料の製造における一貫性、
- 少なくとも1つの気化性材料成分の大きさ、
- 少なくとも1つの気化性材料成分の濃度、
を含む群において選択される要素に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記又は各デバイス特性は、
- 貯蔵部(66)設計、
- サセプタ(74)設計、
- サセプタ(74)材料、
- 前記貯蔵部内のサセプタ(74)配置、
- 前記エアロゾル発生アセンブリ(10)の少なくとも1つの電気コンポーネントの経年劣化、
を含む群において選択される要素に対応する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記周囲特性は、前記エアロゾル発生アセンブリ(10)によって測定される周囲温度、又は前記エアロゾル発生アセンブリ(10)の近接周囲の温度に対応する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記予熱段階は、少なくとも1つの気化性材料特性及び少なくとも1つのデバイス特性に基づいて前記サセプタ(74)の温度を制御することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記サセプタ(74)の温度は、更に、前記予熱段階中に前記周囲特性に基づいて制御される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記予熱段階は、前記エアロゾル発生アセンブリ(10)の起動後の所定の時間間隔の間に実行される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の時間間隔は、約10秒未満であり、好ましくは約5秒未満であり、より好ましくは2~4秒の間に含まれ、有利には2秒に略等しい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所定のオフセットは、経時的に一定値を提示する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記サセプタ(74)の温度は、前記予熱段階の間は所定の予熱温度プロファイルに従って、前記加熱段階の間は所定の加熱温度プロファイルに従って制御される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記サセプタ(74)の温度は、前記サセプタ(74)上の発熱を制御することによって、前記対応する温度プロファイルに従って制御される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
更に、前記加熱温度センサ(78)によって提供される温度測定値を所定の挙動プロファイルと比較することによって、前記気化性材料を制御することを含む制御段階を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記制御段階は、更に、前記温度測定値が前記所定の挙動プロファイルと一致しない場合に、前記エアロゾル発生アセンブリ(10)の動作を停止することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記制御段階は、前記予熱段階中に実行される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
気化性材料を貯蔵するための貯蔵部(66)と、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法によって制御される加熱システム(34)とを備えるエアロゾル発生アセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生アセンブリのための加熱システムを制御するための方法に関する。
【0002】
本発明はまた、加熱システムを制御するためのかかる方法に関連するエアロゾル発生アセンブリに関する。エアロゾル発生アセンブリは、例えば、エアロゾル発生デバイス及びカートリッジを含みうる。
【背景技術】
【0003】
異なる種類のエアロゾル発生デバイスが当該技術分野において既に公知である。一般に、かかるデバイスは、例えば液体又は固体を含むことができる気化性材料を貯蔵するための貯蔵部を備える。加熱システムは、前記気化性材料を加熱してエアロゾルを発生させるよう配置される1つ以上の電気作動抵抗性加熱要素から形成される。エアロゾルは、デバイスの入口と出口との間に延在する流路内に放出される。出口は、エアロゾルを送出するためにユーザが吸入するマウスピースとして配置されうる。
【0004】
幾つかのエアロゾル発生デバイスにおいて、気化性材料は、着脱可能なカートリッジに貯蔵される。従って、気化性材料が消費される場合、カートリッジを容易に取り外して交換することができる。着脱可能なカートリッジをデバイス本体に取り付けるために、例えばねじ込み接続を用いることができる。
【0005】
異なる種類の加熱システムを用いて、かかるデバイスにおいて気化性材料を加熱することができる。例えば、液体気化性材料の場合、加熱システムは、流路内に配置され、液体気化性材料と連通する芯の周囲に巻装される抵抗によって形成されてもよい。従って、ウィックによって担持される気化性材料は、流路内に配置される抵抗によって蒸発させることができる。別の実施例によれば、加熱システムは、例えば固体気化性材料であることができる気化性材料と直接接触する加熱プレートを備える。従って、プレートは、気化性材料を加熱して蒸気を形成することができる。
【0006】
加熱システムの別の実施例によれば、気化性材料は、気化性材料と当接して配置されるサセプタ要素によって加熱することができる。このサセプタ要素は、デバイスのバッテリに接続されるコイルと磁気的に結合され、従って、誘導加熱によって気化性材料を加熱することができる。発生した熱の発生源は、磁気ヒステリシス損失及び/又は渦電流損失機構である。この場合、コイルは、コイル上に交流電流を発生させることを可能にする自己発振回路を介してバッテリに接続される。コントローラは、通常、この電流を制御し、結果として、気化性材料の温度を制御するよう設けられる。この最後の種類の加熱システムは、一般に、固体気化性材料と共に用いられ、かかるシステムを組み込んでいるエアロゾル発生デバイスは、「加熱非燃焼式」デバイスとして公知である。実際、これらの加熱システムは、気化性材料を燃焼させることなく加熱することができるものでなければならない。加えて、より良好なユーザ体験を提供するために、気化性材料を、所定の加熱プロファイルに従って加熱することができる。
【0007】
従って、正確な温度制御がエアロゾル発生デバイスにとって重要であると考えることができる。当該技術分野において、自己発振回路を組み込んでいる幾つかの加熱システムは、かかる制御を提供することができない。気化性材料は、例えば、極めてゆっくりと加熱されるか、又は反対に、極めて速く加熱され得る。これは、気化性材料を燃焼させ、及び/又は不十分なユーザ体験を提供する可能性がある。他の加熱システムは、デバイスのコストを増加させ、その設計に影響を及ぼす可能性がある複雑な構造を示す可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、コストを増加させることなく、又はエアロゾル発生デバイスの設計に影響を及ぼすことなく、気化性材料の正確な温度制御を実行することができるエアロゾル発生アセンブリの加熱システムを制御するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、エアロゾル発生アセンブリのための加熱システムを制御するための方法に関し、エアロゾル発生アセンブリは、気化性材料を貯蔵するための貯蔵部を備え、加熱システムは、貯蔵部内に配置されるサセプタと、貯蔵部に隣接して又は貯蔵部の内側に配置され、気化性材料の温度を測定するよう構成される加熱温度センサとを備える。
【0010】
方法は、
- 気化性材料に固有の少なくとも1つの気化性材料特性、又はエアロゾル発生アセンブリに固有の少なくとも1つのデバイス特性、又は周囲領域に固有の周囲特性に基づいて、サセプタの温度を制御することを含む予熱段階と、
- 加熱温度センサによって提供される温度測定値と、前記温度測定値の所定のオフセットとに基づいて、サセプタの温度を制御することを含む加熱段階と、を含む。
【0011】
サセプタは貯蔵部の内側に配置されるため、その温度制御は、外部からアクセスすることができず、極めて困難である。従って、大抵の場合、温度センサは、貯蔵部に隣接して配置し、サセプタの温度ではなく気化性材料の温度を測定するよう構成することができる。しかし、気化性材料が十分に加熱されると、その温度は、サセプタ温度とは実験的に特定することができるオフセットだけ異なることが観察された。従って、サセプタ温度が温度センサによって提供される温度測定値及びオフセットに基づいて極めて正確に制御される加熱段階を実行することが可能である。また、予熱段階の間、サセプタ温度は、気化性材料の温度とは極めて異なる可能性があり、異なる挙動に従う可能性があることも観察された。この目的のために、本発明による方法は、サセプタ温度制御が気化性材料温度とは無関係に実行される予熱段階を提案する。この場合、気化性材料に固有の気化性材料特性、又はエアロゾル発生アセンブリに固有のデバイス特性、又は周囲領域に固有の周囲特性として、少なくとも1つの別のパラメータに基づいてサセプタ温度を制御することが可能である。従って、予熱段階及び加熱段階の両方は、気化性材料温度の極めて正確な制御のために用いることができるサセプタ温度をモデル化することによって実行することができる。
【0012】
本発明によれば、前記又は各気化性材料特性は、
- 気化性材料組成物、
- 気化性材料の製造における一貫性、
- 少なくとも1つの気化性材料成分の大きさ、
- 少なくとも1つの気化性材料成分の濃度、
を含む群において選択される要素に対応する。
【0013】
これらの特徴により、予熱段階中のサセプタ温度は、貯蔵部に備えられる気化性材料の性質に従って特定することができる。特に、サセプタ温度と気化性材料の上述の特性との間の1つ又は複数の関係を定義することが可能である。これらの関係は、実験的に特定することができ、例えば、気化性材料の性質に従ってエアロゾル発生アセンブリにおいてプログラムすることができる。加えて、気化性材料を変更する場合、前記関係を容易に適合させることができる。
【0014】
本発明によれば、前記又は各デバイス特性は、
- 貯蔵部設計、
- サセプタ設計、
- サセプタ材料、
- 貯蔵部内のサセプタ配置、
- エアロゾル発生アセンブリの少なくとも1つの電気コンポーネントの経年劣化、
を含む群において選択される要素に対応する。
【0015】
これらの特徴により、予熱段階中のサセプタ温度は、デバイスの上述の特性のうちの少なくとも1つに従って特定することができる。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、周囲特性は、エアロゾル発生アセンブリによって測定される周囲温度、又はエアロゾル発生アセンブリの近接周囲の温度に対応する。
【0017】
これらの特徴により、周囲特性は、例えば、エアロゾル発生アセンブリのハウジング上に配置される温度センサを用いて、予熱段階中に動的に特定することができる。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、予熱段階は、少なくとも1つの気化性材料特性及び少なくとも1つのデバイス特性に基づいてサセプタの温度を制御することを含む。
【0019】
これらの特徴により、サセプタ温度の制御はより正確になる可能性がある。この制御は、例えば、前記気化性材料特性及び前記デバイス特性を用いる所定の関係を用いて実行することができる。この関係は、例えば、実験的に特定することができる前記特性に関する重み付けパラメータを含むことができる。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、サセプタの温度は、更に、予熱段階中に周囲特性に基づいて制御される。
【0021】
これらの特徴により、サセプタ温度の制御を更により正確にすることができる。例えば、前記種類の特性のそれぞれに応じた所定の関係を用いることができる。気化性材料特性及びデバイス特性に関して、周囲特性は、実験的に特定される重み付けパラメータとの前記関係に含めることができる。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、予熱段階は、エアロゾル発生アセンブリの起動後の所定の時間間隔の間に実行される。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、前記所定の時間間隔は、約10秒未満であり、好ましくは約5秒未満であり、より好ましくは2~4秒の間に含まれ、有利には2秒に略等しい。
【0024】
これらの特徴により、加熱段階が開始されるべき瞬間を特定することが可能である。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、所定のオフセットは、経時的に一定値を提示する。
【0026】
これらの特徴により、所定のオフセットの同じ値を加熱段階の全ての間に用いることができる。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、サセプタの温度は、予熱段階の間は所定の予熱温度プロファイルに従って、加熱段階の間は所定の加熱温度プロファイルに従って制御される。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、サセプタの温度は、サセプタ上の発熱を制御することによって、対応する温度プロファイルに従って制御される。
【0029】
これらの特徴により、最適なユーザ体験を保証にするために、気化性材料の温度を最適な方法で制御することが可能である。加えて、前記プロファイルは、ユーザ自身の好みに従ってユーザが特定することができる。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、制御段階は、加熱温度センサによって提供される温度測定値を所定の挙動プロファイルと比較することによって、気化性材料を制御することを含む。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、制御段階は、更に、温度測定値が所定の挙動プロファイルと一致しない場合に、エアロゾル発生アセンブリの動作を停止することを含む。
【0032】
これらの特徴により、ユーザによって用いられる気化性材料の性質を制御することが可能である。例えば、認可されていない又は偽造された気化性材料の場合、その挙動プロファイルは、アセンブリによって記憶された又は例えばサーバ上で遠隔的にアクセス可能な所定プロファイルとは異なる可能性がある。この場合、エアロゾル発生デバイスの動作を阻止することができる。上述の特徴は、気化性材料が着脱自在カートリッジ内に貯蔵されている場合に有利に用いることができる。この場合、例えば、所定回数用いられた後に同じカートリッジを用いることを防止すること、又は偽造若しくは改造されたカートリッジを用いることを防止することが可能である。
【0033】
本発明はまた、気化性材料を貯蔵するための貯蔵部と、上で定義されたような方法によって制御される加熱システムとを備えるエアロゾル発生アセンブリにも関する。
【0034】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、且つ添付の図面を参照して記述される以下の説明を読むことでより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明によるエアロゾル発生アセンブリを示す略図であり、エアロゾル発生アセンブリは加熱システムを備えている。
【
図3】
図1の加熱システムの例示的な配置の詳細図である。
【
図4】
図2の加熱システムを制御するための方法を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載する構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行できることは、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0037】
本明細書中で用いるとき、用語「エアロゾル発生デバイス」又は「デバイス」とは、エアロゾル発生ユニット(例えば、ユーザが吸入するための、例えばマウスピースにおいてデバイスの出口に送出される前に、エアロゾルに凝縮する蒸気を発生させるエアロゾル発生要素)によって、蒸気吸入用のエアロゾルを含むエアロゾルをユーザに送出するための蒸気吸入デバイスを含んでいてもよい。デバイスは、可搬でありうる。「可搬」とは、ユーザが保持する場合に用いられるデバイスを指してもよい。デバイスは、例えば、可変の時間量にわたり、ヒーターシステムを作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生するよう適応してもよく、それは、トリガによって制御されてもよい。トリガは、蒸気吸入ボタン及び/又は吸入センサ等、ユーザが作動させることができるものであってもよい。吸入センサは、吸入強度並びに吸入継続時間に対する感度が高いものであってもよく、(たばこ、葉巻、又はパイプ等のような従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にしてもよい。デバイスは、ヒータ及び/又は加熱されたエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、エアロゾルの効率的な発生を可能にする目標温度で温度を維持するための温度調節制御部を含んでもよい。
【0038】
本明細書中で用いるとき、用語「エアロゾル」は、気化性材料の懸濁液を、固体粒子、液滴、気体のうちの1つ以上として含んでいてもよい。前記懸濁液は、空気を含む気体の状態であってもよい。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指すか又はそれを含んでいてもよい。エアロゾルは、気化性材料の1つ以上の成分を含んでいてもよい。
【0039】
本明細書中で用いるとき、用語「気化性材料」若しくは「前駆体」又は「エアロゾル形成物質」若しくは「物質」とは、エアロゾルを形成するよう空気中で気化可能な任意の材料を指定するために用いられる。気化は、一般に、400℃未満、好ましくは350℃までの温度等の気化性材料の沸点までの温度上昇によって得られる。気化性材料は、例えば、エアロゾル発生液、ゲル、ワックス、発泡体等、ロッドの形態であってもよく、処理されたたばこ材料、再構成たばこ(RTB)の圧着シート若しくは配向ストリップ、若しくはこれらの任意の組み合わせを含む、エアロゾル発生固体を含むか、又はそれらからなっていてもよい。気化性材料は、ニコチン、カフェイン、又は他の有効成分の1つ以上を含んでいてもよい。有効成分は、液体であってもよい担体で運ばれてもよい。担体は、プロピレングリコール又はグリセリンを含んでいてもよい。フレーバーが存在していてもよい。香料は、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナ油)、又は類似物を含んでいてもよい。
【0040】
図1を参照すると、本発明によるエアロゾル発生アセンブリ10は、エアロゾル発生デバイス12と、気化性材料を貯蔵するよう構成されるカートリッジ14とを備えている。この
図1の実施例において、カートリッジ14は、以下で詳細に説明するように、エアロゾル発生デバイス12のペイロード区画に挿入することができる着脱可能なカートリッジである。この場合、カートリッジ14は、例えば、気化性材料が使い果たされた場合に交換又は再充填することができる。別の実施形態(図示せず)によれば、カートリッジは、エアロゾル発生デバイスのペイロード区画によって形成されてもよい。従って、気化性材料が使い果たされた場合、カートリッジを再充填することができる。
【0041】
図1に示すように、エアロゾル発生デバイス12は、デバイス軸Xに沿ってバッテリ端部22とマウスピース端部24との間に延在するデバイスハウジング21を備える。
【0042】
デバイスハウジング21は、デバイス12に電力を供給するよう設計される電力ブロック32と、電力ブロック32によって電力が供給される加熱システム34の少なくとも一部と、コントローラ36とを備えるエアロゾル発生デバイス12の内部を画成する。デバイスハウジング21はまた、デバイス12の内部に配置されるか、又は/及びデバイスハウジング21の少なくとも1つの壁によって少なくとも部分的に画成されてもよいペイロード区画38も画成する。加えて、
図1の実施例において、マウスピース端部24において、デバイスハウジング21はマウスピース40を画成する。マウスピース40は、ペイロード区画38と流体連通しており、エアロゾル発生デバイス12がカートリッジ14と共に動作する場合にエアロゾルをユーザに送出するよう構成される気流出口を画成する。別の実施形態によれば、マウスピース40は、カートリッジ14に一体化することができる。デバイスハウジング21は、更に、当該技術分野において公知のデバイス12の異なる機能を実行する他の内部コンポーネントを備えていてもよい。
【0043】
幾つかの実施形態において、デバイスハウジング21は、更に、その近傍の周囲温度、例えば、デバイスハウジング21の内部の温度、或いはデバイスハウジング21の外面上の温度、又はエアロゾル発生アセンブリ10の近接周囲の温度を測定するよう構成される周囲温度センサ39を備える。
図1の実施例において、周囲温度センサ39は、デバイスハウジング21のバッテリ端部22に配置される。幾つかの他の実施形態において、デバイスハウジング21は、ハウジング21の異なる場所に配置される幾つかの周囲温度センサを備える。
【0044】
図1は、エアロゾル発生デバイス12の異なるコンポーネントの略図のみを提示し、これらのコンポーネントの実際の物理的な配置及び寸法を必ずしも示していないことにも留意されたい。特に、かかる配置は、エアロゾル発生デバイス12の設計及びそのコンポーネントの技術的特徴に従って選択することができる。
【0045】
電力ブロック32は、バッテリ32B(
図2に示す)及びバッテリ充電器を備える。バッテリ32Bは、例えば、外部供給源によって供給される電源を用いて充電され、所定電圧の直流電流DCを供給するよう設計される公知のバッテリである。バッテリ32Bは、例えば正の電圧端子V
+である第1のバッテリ端子と、例えば負の電圧端子V
-である第2のバッテリ端子とを規定する。バッテリ充電器は、バッテリを外部供給源に接続することが可能であり、この目的のために、電力コネクタ(例えばmini-USBコネクタのような)、又は無線充電コネクタを備える。バッテリ充電器はまた、外部供給源からバッテリに送出される電力を、例えば所定の充電プロファイルに従って、制御することが可能である。かかる充電プロファイルは、例えば、その充電レベルに応じて、バッテリの充電電圧を規定することができる。
【0046】
コントローラ36は、エアロゾル発生デバイス12の動作を制御することが可能である。特に、コントローラ36は、以下で更に詳細に説明する加熱システムを制御するための方法に従って、電源ブロック32から加熱システム34に電力を供給して、気化性材料から蒸気を発生させるよう構成される。コントローラ36は、ベイピングボタンを介してユーザによって、又は更に、例えばユーザのパフの検出等のイベントトリガに対して作動させることができる。コントローラ36は、それ自体公知のデバイス12の他の任意の追加機能を実行してもよい。かかる機能は、例えば、デバイス12の外部デバイスとの通信能力、保守能力、分析能力等に関係してもよい。
【0047】
ペイロード区画38は、カートリッジ14を受け入れるよう設計されるキャビティを画成する。本発明の好ましい実施形態において、キャビティは円筒形を有する。
図1の実施例において、ペイロード区画38は、デバイスハウジング21の一対の平行な壁41、42の間をデバイス軸Xに沿って延在する。同じ実施例において、ペイロード区画38は、更に、デバイス軸Xに沿って平行壁41、42の間に延在する少なくとも1つの側壁43によって画成される。この場合、ペイロード区画38は、更に、カートリッジ14をペイロード区画38に挿入するために用いられる開口部を画成してもよい。開口部は、例えば、デバイス軸Xに対して垂直に延在してもよく、デバイスハウジング21の着脱自在部分が、特にペイロード区画38を含むデバイスハウジング21の固定部分から離れて移動する場合に形成される。着脱自在部分は、例えば、マウスピース24及び壁42を備えることができる。着脱自在部分は、固定部分にヒンジ留め又はねじ留めすることができる。マウスピース40がカートリッジ14に一体化される実施形態において、ペイロード区画38への開口部は、例えば、デバイス10のマウスピース端部24においてデバイス軸Xに対して垂直に延在することができる。この場合、カートリッジ14は、デバイス軸Xに沿ってペイロード区画38に挿入することができる。カートリッジ14がペイロード区画38によって形成される実施形態において、ペイロード区画38の開口部は、気化性材料を再充填するために用いることができる。
【0048】
平行壁41、42のそれぞれは、例えば、デバイス軸Xに対して垂直である。壁41は、バッテリ端部22に隣接し、デバイスハウジング21の内側に形成される空気流チャネルとカートリッジ14との間の空気流路に適した孔を画成する。壁42は、マウスピース端部24に隣接し、カートリッジ14とマウスピース40の気流出口との間の空気流路に適した孔を画成する。
【0049】
図1に示すように、カートリッジ14は、以下で更に詳細に説明するように、カートリッジハウジング51と、エアロゾル発生デバイス12に備えられない加熱システム34の一部とを備える。カートリッジハウジング51は、デバイス端部とマウスピース端部との間でカートリッジ軸Yに沿って延在し、これらの端部において、カートリッジ軸Yに垂直な2つの平行壁61、62と、平行壁61、62の間でカートリッジ軸Yに沿って延在する少なくとも1つの側壁63とを画成する。本発明の好ましい実施形態において、カートリッジハウジング51は円筒形を有する。この場合、平行壁61、62は円形状を有することができる。カートリッジハウジング51の壁61、62、63は、例えばプラスチック材料のような誘電材料から作成される。有利には、本発明によれば、壁61、62、63は、適切な工業プロセスによって作成される単一部品を形成することができる。カートリッジハウジング51の壁61、62、63は、エアロゾル形成前駆体を貯蔵するよう構成される貯蔵部66を画成する。
【0050】
図1の実施例において、カートリッジ14がエアロゾル発生デバイス12のペイロード区画38内に受け入れられると、カートリッジ軸Yはデバイス軸Xと一致し、カートリッジハウジング51の平行壁61、62はペイロード区画38の平行壁41、42と当接する。特に、この場合、壁61は、壁41と当接し、壁41の対応する孔に面する空気流入口を画成して、カートリッジ14内に空気流が入ることを可能にする。同様に、壁62は、壁42と当接し、壁42の対応する孔に面する空気流出口を画成して、カートリッジ14から空気流を排出することを可能にする。
【0051】
図2は、加熱システム34をより詳細に示している。この
図2を参照すると、加熱システム34は、カートリッジ14がペイロード区画38内に受け入れられる場合に貯蔵部66の近傍に配置されるコイル72と、貯蔵部66内に配置されるサセプタ74と、バッテリ32Bによって供給されるDC電流からコイル72上にAC電流を生成するよう構成される発振回路76と、気化性材料の温度を測定するよう構成される加熱温度センサ78とを備える。
【0052】
コイル72及びサセプタ74は、サセプタ74がコイル72との磁気相互作用に対して更に気化性材料を加熱することができるように、それぞれ配置される。かかる配置の特定の実施例を
図3に示す。
【0053】
この
図3を参照すると、
図1の破線上にも見ることができるコイル72は、カートリッジ14がペイロード区画38内に受け入れられる場合に、カートリッジ軸Yに沿ってカートリッジ14の貯蔵部66の周囲に配置されるよう意図されている。特に、
図1及び3の実施例において、コイル72は、カートリッジハウジング51の側壁63の周囲に、好ましくは側壁63の全長に沿って延在するよう意図されている。この目的のために、コイル72は、ペイロード区画38の側壁43に一体化されるか、又はこの側壁43から突出して、デバイス軸Xに沿ってペイロード区画38の周囲に延在する。従って、コイル72は、デバイス12に一体化され、カートリッジ14がペイロード区画38に受け入れられる場合、コイル72は、カートリッジハウジング51の側壁63の周囲に延在し、その結果、カートリッジ14の貯蔵部66の周囲に延在する。
【0054】
サセプタ74は、カートリッジ14の貯蔵部66内に、好ましくはカートリッジ軸Yに沿って配置される。サセプタ74は、導電性材料、例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金等の金属材料、又は軟鋼等の強磁性材料から作成される。サセプタ74の形状及び寸法は、コイル72との磁気結合、従ってエネルギー伝達効率を最適化するように選択される。サセプタ74の形状及び寸法はまた、カートリッジの形式に応じて選択される。
図3の実施例によれば、サセプタ74は、カートリッジ軸Yに沿って延在する平行六面体形状を有する。別の実施例によれば、サセプタ74は、同じくカートリッジ軸Yに沿って延在する細い管形状を有する。例えば、管は、30μm~150μmの間に含まれ、例えば略50μmに等しい壁厚を画成することができる。製造プロセスを簡略化するよう、より大きな壁厚を選択することができる。両方の実施例によれば、サセプタ74の長さは、5mm~13mmの間、有利には7mm~11mmの間で選択することができる。一般的な場合、サセプタ74の形状は、コイル72によって生成される電磁界をより良好に集中させるように選択される。例えば、磁界の強度が幾何学的中心で最も低い丸い形状を有するコイル72の場合、サセプタ74の形状は、コイル72の巻線により近接するように選択される。幾つかの実施形態によれば、サセプタ74は、略同じ形状及び寸法又は異なる形状及び/又は寸法を有する幾つかの別個の要素から作成することができる。
【0055】
加熱温度センサ78は、気化性材料の温度を測定することができるように配置される。例えば、
図3に示すように、加熱温度センサ78は、カートリッジハウジング51の少なくとも1つの壁、例えば、平行壁61、62のうちの1つに隣接することができる。別の実施例によれば、加熱温度センサ78は、少なくとも部分的にかかる壁を形成することができる。更に別の実施形態によれば、加熱温度センサ78は、貯蔵部66の内側に配置される。本発明の好ましい実施形態によれば、加熱温度センサ78は、気化性材料と当接するよう配置される。加熱温度センサ78は、例えば「PT100」センサのような任意の公知のセンサに対応することができる。
【0056】
制御方法とも呼ばれる、加熱システム34を制御するための方法を、ここで、特に
図4を参照して説明する。上述したように、この方法は、例えば、コントローラ36によって実行される。本発明によれば、制御方法は、気化性材料を予熱するよう意図される予熱段階と、気化性材料を加熱してエアロゾルを発生させるよう意図される加熱段階とを含む。
【0057】
予熱段階は、例えば、ユーザによるベイピングボタンの起動、又は例えばユーザのパフの検出としてのトリガーイベントを検出するよう、更にコントローラ36によって起動される。この段階の間、コントローラ36は加熱システム34に電力を供給して、サセプタ74上に所定の予熱温度プロファイルを生じさせる。この所定の予熱温度プロファイルは、例えば、最適なユーザ体験を保証するよう実験的に特定される。別の実施形態によれば、所定の予熱温度プロファイルは、ユーザ自身の好みに従ってユーザによって選択される。
【0058】
サセプタ74上に所定の予熱プロファイルを生じさせるために、コントローラ36は、コイル72に電力を供給する発振回路76の動作を制御することにより、加熱システム34の動作を制御することができる。コイル72は、熱に変換されるサセプタ74上の電流を誘導する。予熱段階の間、コントローラ36によって実行される加熱システム34の制御は、気化性材料に固有の少なくとも1つの気化性材料特性、又はエアロゾル発生アセンブリ10に固有の少なくとも1つのデバイス特性、或いは周囲領域に固有の周囲特性に基づく。従って、予熱段階中、加熱システム34は、少なくとも1つの外部特性を用いて制御され、これは、それが開ループ制御に従って制御されることを意味する。幾つかの実施形態において、コントローラ36は、少なくとも2つの異なる種類の前記特性を用いて加熱システム34の動作を制御することができる。幾つかの実施形態において、加熱システム34の動作は、全ての種類の前記特性を用いて実行される。例えば、コントローラ36は、少なくとも1つの気化性材料特性及び少なくとも1つのデバイス特性に基づいて加熱システム34の動作を制御してもよい。加えて、この制御は、更に周囲特性に基づいて行うことができる。
【0059】
特に、場合によっては、コントローラ36は、前記特性のうちの少なくとも1つに基づいて加熱システム34の電力供給を制御することができる。この目的のために、コントローラ36は、例えば、前記特性のうちの少なくとも1つとバッテリ32Bから加熱システム34に供給される電力との間の所定の関係を用いることができる。かかる関係は、以下の式
P=F(c)
で表記することができ、ここで、Pは加熱システム34に供給される電力であり、cは前記特性のうちの少なくとも1つである。前述のように、関数Fは、異なる種類の幾つかの特性によって決まる可能性がある。その上、例えば時間と共に変化する同じ特性の幾つかの値によっても決まる可能性がある。関数Fは更に時間によって決まる可能性がある。例えば、予熱段階の最初の1秒間に、利用可能な電力の100%を加熱システム34に供給することができる。次の1秒間、電力は80%に低減され、次の1秒間、50%に低減することができる。一変形例において、前記特性のうちの少なくとも1つと加熱システム34に供給される電力との間の前記所定の関係は、例えば実験的データに基づくルックアップテーブルの形で表すことができる。
【0060】
本発明によれば、各気化性材料特性は、以下を含む群において選択される要素に対応する。
【0061】
- 気化性材料組成物、
- 気化性材料の製造における一貫性、
- 少なくとも1つの気化性材料成分の大きさ、
- 少なくとも1つの気化性材料成分の濃度。
【0062】
従って、各気化性材料の特性は、カートリッジ14に含まれる気化性材料の性質に応じて特定することができる。この特性は、例えば、製造業者によって提供され、コントローラ36によって記憶することができる。従って、新しいカートリッジ14を検出すると、コントローラ36は、例えば、気化性材料の性質を特定し、この性質に応じて、少なくとも1つの気化性材料の特性を特定する。この目的のために、カートリッジ14は、気化性材料の性質に関するデータをコントローラ36に送信することができるNFCタグのようなメモリを備えることができる。代替として、気化性材料の性質は、例えば、エアロゾル発生アセンブリ10に組み込まれた適切なユーザインターフェース又はコントローラ36と通信する外部デバイスを用いて、ユーザが提供することができる。更に別の実施形態によれば、新しいカートリッジ14を検出すると、コントローラ36は、カートリッジ14によって提供されるデータから少なくとも1つの気化性材料の特性を直接特定する。代替として、この特性は、ユーザが提供することができる。
【0063】
本発明によれば、各デバイス特性は、以下を含む群において選択される要素に対応する。
【0064】
- 例えば、貯蔵部66の形状及び寸法のような貯蔵部の設計、
- 例えば、サセプタの形状、形態(固有の部品であるか否か)、及び寸法のようなサセプタ設計、
- サセプタ材料、
- 貯蔵部内のサセプタ配置、
- エアロゾル発生アセンブリの少なくとも1つの電気コンポーネントの経年劣化。
【0065】
最後の要素は、例えば、サセプタ74、コイル72、及び/又はバッテリ32Bの経年劣化に関係することができ、コントローラ36によって経時的に格納及び変更することができる。
【0066】
周囲特性は、周囲温度センサ39によって測定される周囲温度又はエアロゾル発生アセンブリ10の近接周囲の温度に対応することができる。変形例において、周囲特性は、エアロゾル発生アセンブリ10の異なる場所に配置される異なる温度センサによって特定される幾つかの温度値の平均温度に対応することができる。
【0067】
本発明の一実施形態において、予熱段階の継続時間は、所定の時間間隔に固定される。この継続時間は、例えば約10秒未満、好ましくは約5秒未満、より好ましくは2~4秒の間に含まれ、有利には2秒又は3秒に略等しくてもよい。この場合、コントローラ36は、前記所定の時間間隔の終了を検出し、加熱段階を開始する。本発明の別の実施形態によれば、予熱段階の継続時間は、例えば上述の特性のうちの少なくとも1つに基づいて、コントローラ36によって動的に特定される。例えば、予熱段階の継続時間は、周囲温度の関数として特定されてもよい。この場合、コントローラ36は、最初に予熱段階の継続時間を特定し、次いで予熱段階を完了し、この継続時間に従って加熱段階を開始する。有利には、両方の場合において、予熱段階の終わりに、気化性材料は、定常温度まで、例えばエアロゾル発生を引き起こす温度まで加熱されることが考えられる。
【0068】
予熱段階中のように、加熱段階の間、コントローラ36は、加熱システム34に電力を供給して、サセプタ74上に所定の加熱温度プロファイルを生じさせる。この所定の加熱温度プロファイルは、例えば、最適なユーザ体験を保証するよう実験的に特定される。別の実施形態によれば、所定の加熱温度プロファイルは、ユーザ自身の好みに従ってユーザによって選択される。所定の加熱温度プロファイルは、例えば、全てのベイピングセッション中に同じサセプタ74温度を維持するよう選択されてもよい。
【0069】
サセプタ74上に所定の加熱温度プロファイルを生じさせるために、予熱段階中のように、コントローラ36は、発振回路76の動作、特にコイル72の電力供給を制御することにより、加熱システム34の動作を制御することができる。しかし、加熱段階の間、コントローラ36は、加熱温度センサ78によって提供される温度測定値及び所定のオフセットに基づいて、加熱システム34の動作を制御する。温度測定以外の外部特性を用いないため、この種の制御は閉ループ制御と呼ばれる。幾つかの実施形態において、温度測定値は、貯蔵部66の近傍及び/又は貯蔵部66の内側に配置される幾つかの加熱温度センサから発することができる。
【0070】
所定のオフセットは、サセプタ74の温度と、加熱温度センサ78によって測定される温度、即ち、気化性材料の温度測定値との間の差に対応する。オフセットは、経時的に一定値を提示する可能性がある。別の実施形態によれば、オフセットは、例えば所定の法則に従って経時的に変化することができる。どちらの場合も、オフセットは実験的に特定することができる。幾つかの実施形態において、オフセットは、上で説明した少なくとも1つの特性の関数とすることができる。特に、オフセットは、気化性材料に固有の少なくとも1つの気化性材料特性及び/又はエアロゾル発生アセンブリ10に固有の少なくとも1つのデバイス特性及び/又は周囲領域に固有の周囲特性の関数として特定することができる。例えば、オフセットは、貯蔵部及び/又はサセプタ設計に応じて特定することができる。特に、幾つかの実施形態において、オフセットは、サセプタ74と温度センサ78との間の距離に比例することができる。
【0071】
前の場合と同様に、サセプタ温度を制御するよう、コントローラ36は、例えば、一方では温度測定値とオフセットとの間の所定の関係を用いて、他方ではバッテリ32Bから加熱システム34に供給される電力を用いて、加熱システム34の電力供給を制御することができる。かかる関係は、以下の式
P=f(Tk,O)
で表記することができ、ここで、Pは加熱システム34に供給される電力であり、Tkはk時点における温度測定値であり、Oは所定のオフセットであり、上述したように、1つ以上の特性によって決まる可能性がある。
【0072】
図4は、本発明による制御方法の予熱段階PHP及び加熱段階HPを実行している間の異なる温度測定値を示している。この
図4において、曲線L1は、エアロゾル発生アセンブリ10から離れた周囲領域の温度測定値に対応し、曲線L2は、例えば、周囲温度センサ39を用いてエアロゾル発生アセンブリ10の表面上で行われる温度測定値に対応し、曲線L3は、例えば、加熱温度センサ78によって行われる気化性材料の温度測定値に対応し、曲線L4は、サセプタ74の温度測定値に対応する。曲線L1は、全てのベイピングセッションにわたって略一定のままであり、曲線L2は、予熱段階後に僅かな温度上昇を示すことが見て取れる。曲線L3及びL4に関して、それらの挙動は、予熱段階PHPの間に極めて異なることが見て取れる。特に、サセプタ温度は、気化性材料温度と比較して、予熱段階PHP中に著しく上昇する。それらの最大差Dは、加熱段階HP中のオフセットよりも数倍大きい可能性がある。しかし、上で説明したように、サセプタ温度は、上述した1つ又は複数の特性を用いてモデル化することができる。対照的に、加熱段階HPの間、サセプタ温度と蒸発性材料温度との間の差は、より規則的であり、オフセットによってモデル化することができる。
【0073】
本発明の特定の実施形態によれば、制御方法は、更に、例えば予熱段階中に実行される制御段階を含む。特に、この制御段階の間、コントローラ36は、例えば加熱温度センサ78によって提供される気化性材料の温度測定値を取得し、これらの測定値を気化性材料の所定の挙動プロファイルと比較する。挙動プロファイルは、例えば、コントローラ36が格納することができるか、及び/又は、例えばサーバ上で遠隔的にアクセス可能であってもよい。かかる挙動プロファイルは、予熱段階中の既知の気化性材料の温度上昇の通常の挙動に対応することができる。測定値が所定の挙動プロファイルと一致しない場合、コントローラ56は、加熱システム34の動作を停止させるか、及び/又は対応する信号をユーザに発することができる。この場合、ユーザによって用いられる気化性材料は、エアロゾル発生アセンブリ10と共に用いられることを意図した気化性材料に対応しないと考えられる。これは、例えば、気化性材料(又はカートリッジ14)が偽造された場合、又はユーザが気化性材料(又はカートリッジ14)を2回目に使用しようとする場合に起こり得る。この場合、コントローラ36は、例えば、ユーザが、カートリッジ14を、既知の気化性材料又はユーザによって用いることを許可された気化性材料を含む新しいものと交換する場合に、加熱システム34の通常動作を再開することができる。
【国際調査報告】