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特表2024-505139排便を誘発するための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】排便を誘発するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 31/164 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P43/00 111
A61K31/165
A61K31/164
A61P1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541367
(86)(22)【出願日】2022-01-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2022012220
(87)【国際公開番号】W WO2022155273
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/137,778
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516027812
【氏名又は名称】ディグニファイ セラピューティクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トール、カール、ブルース
(72)【発明者】
【氏名】マーソン、レスリー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA17
4C084MA28
4C084MA60
4C084NA14
4C084ZA66
4C084ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA03
4C206GA07
4C206GA23
4C206GA26
4C206GA28
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA48
4C206MA80
4C206NA14
4C206ZA66
(57)【要約】
一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1アゴニスト)を用いて哺乳動物の直腸圧を上昇させ、排便を誘発するための方法、医薬製剤、及びキットを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物において排便を誘発する方法であって、治療上有効量の一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1)受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に投与することを含み、ここで投与は直腸内モードによるものであり、TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、排便を誘発するものである、上記方法。
【請求項2】
哺乳動物において排便を誘発する方法であって、治療上有効量のTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を、即時放出剤形として製剤化して必要に応じて哺乳動物に投与することを含み、ここで投与は直腸内モードによるものであり、必要に応じて排便を誘発するものである、上記方法。
【請求項3】
直腸内投与が、直腸座薬、軟膏、クリーム又は溶液を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物が、ヒト、ネコ、又はイヌである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
急速発現が、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒から約10分の範囲の発現時間によって特徴付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
急速発現が、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒から約5分の範囲の発現時間によって特徴付けられる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
短い作用時間が、TRPV1受容体アゴニスト投与後、約1時間から約10分の範囲の作用時間であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
短い作用時間が、TRPV1受容体アゴニスト投与後、約30分~約10分の範囲の作用時間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
短い作用時間が、TRPV1受容体アゴニスト投与後、約15分~約1分の範囲の作用時間であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項10】
TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩が、ノニバミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩が、OEAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩が、OLDAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
必要に応じて投与することが、排便が望まれるときの約0分前から約5分前までの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
必要に応じて投与することが、排便が望まれるときの約0分前から約10分前までの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
哺乳動物が、脊髄損傷などの神経症状を有するか又は有しない雌である、請求項1又は請求項2の1つに記載の方法。
【請求項16】
治療を必要とする哺乳動物における排便機能障害を治療するための方法であって、即時放出剤形として製剤化された治療有効量の一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1)受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に必要に応じて投与することを含み、ここで、投与が直腸内モードによるものであり、TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩が、急速発現及び短い作用時間を有し、必要に応じて排便を誘発するものである、上記方法。
【請求項17】
排便機能障害が特発性及び/又は脊髄損傷、外傷性脳損傷、多発性硬化症、二分脊椎、変性脳疾患、アルツハイマー、パーキンソン、認知症、糖尿病、高齢、又は術後の状態、慢性特発性便秘、及び便秘を伴う過敏性腸症候群、薬物誘発便秘(例えば、オピオイド、抗ムスカリン薬)、又は他の形態の便秘、又はそれらの組み合わせの1つの結果である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩が、ノニバミドを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩が、OEAを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩が、OLDAを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
直腸内投与が直腸座薬を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
哺乳動物が、ヒト、ネコ、又はイヌである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
急速発現が、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒から約10分の範囲の発現時間によって特徴付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
短い作用時間が、TRPV1受容体アゴニスト投与後、約1時間から約10分の範囲の作用時間であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
必要に応じて投与することが、排便が望まれるときの約0分前から約10分前までの範囲である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月15日に出願された米国仮特許出願第63/137,778号の優先権の利益を主張し、その開示は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示の主題は、排便を誘発するための一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1)受容体アゴニストの使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
便は大腸で形成され、直腸に一時的に貯留される。健康な人の場合、排便のタイミングは、脳、脊髄、直腸に供給される末梢神経を介した自発的なコントロール下にある。便が直腸に充満し膨張すると、直腸壁の伸張受容体が直腸平滑筋の反射的収縮と内肛門括約筋の弛緩を引き起こす(すなわち直腸肛門抑制反射)。排便時には、直腸内圧の上昇により肛門管が拡張され、便が肛門を通過することができる(図1参照)。図1に示すように、排便は直腸壁の伸張受容体及び求心性末端の刺激により開始され、刺激に対して吻状の直腸収縮と肛門括約筋の抑制/弛緩が同時に生じる。
【0004】
便の排泄が自発的にできない状態(すなわち排便機能障害)は、生命を脅かす可能性がある。排便機能障害に対する現在の標準的な治療法は、直腸からの糞便のデジタル抽出と便秘薬の併用、便を軟らかくして通過を促進することを目的とした食事療法である。人によっては、水と糞便が排出されるまでに30分から1時間かかる大容量(1L)の温水浣腸を必要とする場合もある。
【0005】
排便機能障害者は、直腸からの自制不能な又は不随意の便の漏出のエピソードも経験することがある。自発的な排便や排便を促す治療薬の使用により、直腸を定期的に空にすることで、その後の失禁エピソードの可能性を減らすことができる。
【0006】
排便機能障害は、脊髄損傷、二分脊椎、多発性硬化症、パーキンソン病、脳卒中、及び脊髄やその他の中枢神経系の病理を伴うその他の疾患の患者に非常に多くみられる。排便機能障害は、慢性特発性便秘(CIC)及び便秘優位の過敏性腸症候群(IBS‐c)の被験者にも多くみられる。また、排便機能障害は高齢者にも多く、施設入所の主な原因となっている。
【0007】
脊髄損傷(SCI)は、排泄に深く影響する最も一般的な傷害であり、通常、身体的外傷(交通事故、スポーツ傷害、武力戦闘)のほか、感染症、血管障害、がん、先天奇形、ポリオ、結核、その他の原因によって引き起こされる。負傷現場で死亡した人を除いたSCIの年間発生率は、米国では人口100万人あたり約54例、毎年約17,730例が新たに発症すると推定されている。また、2019年に生存していた米国内のSCIを有する人の数は、約291,000人と推定されている。
【0008】
脊髄及び/又は脳の損傷により、自発的に排便することができなくなることがある。したがって、SCIを有する者の大多数は、直腸のデジタル刺激と手による便の抽出を用いた「腸管プログラム」にかなりの時間を費やす必要があり、これは本人(56%)又は介護者(44%)によって行われる。排便反射は、指を直腸に挿入して上皮をなでることで起こる。この撫で方は、便が直腸内を通過する際の直腸機械的受容器の生理的刺激を模したもので、直腸の粘膜層にある機械的受容器を活性化する。機械的受容器の刺激は末梢及び脊髄の排便反射を活性化し、下行結腸及びS状結腸の蠕動性収縮を生じさせる。これらの直腸収縮は肛門括約筋の協調的弛緩を伴い、便を肛門管に通過させる。さらに、機械的刺激によって粘液や電解質の分泌が促進され、便の通過が容易になる。
【0009】
腸管プログラムは負担が大きく、SCIを有する者の56%が30分~2時間を費やし、その多くは毎日(42%)又は隔日(23%)腸管プログラムを実施しなければならない。手作業による排便に加えて、大容量(1L)の温水浣腸が使用され、水と便の内容物が排出されるまで30分~1時間トイレに座っている必要がある。また、刺激性便秘薬を経口又は肛門内に投与する場合もあるが、効果が必要以上に長く続く場合があり、慢性的に投与することはできない。これらの方法は自尊心を傷つけるものであり、個人的な士気を低下させ得るものであり、社会的関係を変化させ、うつ病、怒り、自己イメージの低下、恥ずかしさ、フラストレーション、生産性の低下などを引き起こす。
【0010】
便失禁は、まず直腸に存在するはずの固体又は液体の便又は粘液を直腸から排出するものである。自発的な排便又は排便を促す薬理学的な薬物の使用により、直腸から固体又は液体の便又は粘液を取り除くと、その後しばらくの間、失禁の可能性が低くなる。
【0011】
排便機能障害者は、遠位結腸や直腸から便を排出することに困難を経験する便秘のエピソードも経験することがある。便秘は、米国で最も一般的な胃腸の不調のひとつである。4,000万人を超えるアメリカ人が頻繁な便秘に悩まされており、年間800万人の医師が診察に訪れている。便秘の治療には、市販の(OTC)便秘薬による自己治療が圧倒的に多い。アメリカでは、毎年約25億ドルがOTC便秘薬に費やされている。
【0012】
便秘は、CIC、IBS‐c、セリアック病やグルテン過敏性腸疾患、甲状腺機能低下症に伴う巨大結腸、消化管の偽閉塞、大腸炎、糖尿病に伴う結腸の運動機能低下、成人発症のヒルシュスプルング病、神経疾患、筋疾患、脊髄損傷、多発性硬化症、パーキンソン病、脳卒中、二分脊椎、二次性巨大結腸を伴う空腸‐回腸バイパス、がん化学療法、重度の火傷を含む重病及びその他の大きなストレス、大うつ病、術後状態、薬物誘発便秘(例えば、オピオイド、抗ムスカリン薬など)、その他の病的状態など多くの消化管疾患によく見られるが、これらに限定されない。
【0013】
現在の治療法としては、OTC便秘薬、AMITIZA(塩化物チャネル活性化剤であるルビプロストン、IBS‐C及びCICの治療薬として承認)、LINZESS(リナクロチド、グアニル酸シクラーゼ‐Cアゴニスト、IBS‐C及びCICの治療薬として承認)などがある。しかし、これらの入手可能な薬物はいずれも結腸直腸の収縮と便の排出をもたらすものではなく、むしろ腸内の流体を増加させて便を軟らかくし、その通過を促進するものである。また、作用発現が遅く(通常数時間)、失禁のリスクを高める可能性がある。このように作用のタイミングが予測できないため、既存の治療薬では排便の自発的な制御を回復させることはできない。
【0014】
排便機能障害に対する既存の療法及び治療は、上記のような制限を伴うため、新たな療法及び治療が望まれている。本開示の主題は、これらの限界に対処するためのそのような新しい療法及び治療を提供する。
【発明の概要】
【0015】
本開示の主題の一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物における排便機能障害を治療するための方法が提供され、この方法は、治療有効量の一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1)受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を必要に応じて投与することを含み、ここでTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、急速発現及び短い作用時間を有し、排便が誘発されるようにする。
【0016】
本開示の主題の一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物における排便機能障害を治療するための方法が提供され、この方法は、治療有効量のTRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に必要に応じて投与して排便を誘発させることを含む。
【0017】
本開示の主題の一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物における排便機能障害を必要に応じて治療するための医薬製剤であって、治療有効量の急速発現及び短時間作用型のTRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩、及びTRPV1受容体アゴニストを必要に応じて哺乳動物に投与するための担体を含むものが提供される。
【0018】
本開示の主題の一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物における排便機能障害を必要に応じて治療するための医薬製剤であって、治療有効量のTRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩、及びTRPV1受容体アゴニストを必要に応じて哺乳動物に投与するための担体を含むものが提供される。
【0019】
本開示の主題の一実施形態では、患者が排便機能障害の治療に使用するためのパッケージ化されたキットであって、これは、治療有効量の急速発現及び短時間作用型TRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩の医薬製剤、保管中及び投与前に医薬製剤を収容する容器、及び適用のための指示書を含むものが提供される。
【0020】
本開示の主題の一実施形態では、患者が排便の自発的制御の喪失又は減少の治療に使用するためのパッケージ化されたキットであって、治療有効量のTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩の医薬製剤;保管中及び投与前に医薬製剤を収容する容器;及び制御の喪失又は減少の治療に有効な方法での投与を実施するための指示書を含むキットが提供される。
【0021】
本開示の主題の一実施形態では、患者が必要に応じて排便機能障害を治療するために使用するためのパッケージ化されたキットであって、治療有効量の急速発現及び短時間作用型TRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩の医薬製剤;保管中及び投与前に医薬製剤を収容する容器;及び排便機能障害を治療するために必要に応じて投与を実施するための説明書を含むキットが提供される。
【0022】
本開示の主題の一実施形態では、患者が必要に応じて排便機能障害を治療するために使用するためのパッケージ化されたキットであって、治療有効量のTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩の医薬製剤、保管中及び投与前に医薬製剤を収容する容器、及び排便機能障害を治療するために必要に応じて投与を実施するための説明書を含むキットが提供される。
【0023】
本開示の主題の一実施形態では、哺乳動物において排便を誘発するための方法が提供され、この方法は、治療有効量のTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に必要に応じて投与することを含み、ここでTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、急速発現及び短い作用時間を有し、排便を誘発するものである。
【0024】
本開示の主題の一実施形態では、哺乳動物において排便を誘発するための方法が提供され、この方法は、治療上有効量のTRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に必要に応じて投与し、排便を誘発することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の前述の態様及び他の特徴は、添付図面との関連でとらえた以下の説明で説明される。
【0026】
図1図1は、直腸求心性刺激により排便が開始される様子を示す模式図である。
図2図2は、TRPV1受容体アゴニストであるノニバミドの直腸内投与により、直腸圧が急激に一過性に上昇したことを示すフィジオグラフトレーシングである。
図3図3は、TRPV1受容体アゴニストであるノニバミドの直腸内投与により、直腸圧が繰り返し上昇することを示すフィジオグラフトレーシングである。
図4図4は、TRPV1受容体アゴニストであるノニバミドの直腸内投与により、バルーンカテーテルを排出するのに十分な直腸圧の上昇が認められたことを示すフィジオグラフトレーシングである。
図5図5は、TRPV1受容体アゴニストであるOEAの直腸内投与により、直腸圧が急激に一過性に上昇したことを示すフィジオグラフトレーシングである。
図6図6は、TRPV1受容体アゴニストであるOLDAの直腸内投与により、直腸圧が急激に一過性に上昇したことを示すフィジオグラフトレーシングである。
図7A図7Aは、例7に関連する図である。図7Aは、フィジオグラフトレーシングである。
図7B図7Bは、例7に関連する図である。図7Bは、TRPV1受容体アゴニストであるカプサイシンが、麻酔したラットにおいて、他のTRPV1受容体アゴニストによって生じる圧力と同等の、直腸圧の急速かつ一過性の増加を生じ、そして覚醒ラットにおいて糞ペレットの数及び糞の重量として測定される排便を生じるのに十分であることを示す棒グラフである。
図7C図7Cは、例7に関連する図である。図7Cは、TRPV1受容体アゴニストであるカプサイシンが、麻酔したラットにおいて、他のTRPV1受容体アゴニストによって生じる圧力と同等の、直腸圧の急速かつ一過性の増加を生じ、そして覚醒ラットにおいて糞ペレットの数及び糞の重量として測定される排便を生じるのに十分であることを示す棒グラフである。
図8図8は、カプサイシンの直腸内投与により、直腸圧が一過性で繰り返し上昇したことを示すフィジオグラフトレーシングである。
図9図9は、カプサイシンを染み込ませた綿球座薬の直腸内投与により、カプサイシン溶液の直腸内投与と同様の直腸圧反応が得られたことを示す一連のフィジオグラフトレーシングである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
本開示の原理の理解を促進する目的で、次に、好ましい実施形態に言及し、特定の言語を使用して同じものを説明することにする。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定はそれによって意図されず、本明細書に例示されるような本開示の変更及びさらなる修正は、本開示が関連する技術分野の当業者に通常生じるように企図されることが理解されるであろう。
【0028】
本明細書では、哺乳動物において排便を誘発するための方法を記載する。この方法は、治療上有効量の一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1)受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に投与することを含む。投与は直腸内モードで行う。TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、排便を誘発する。
【0029】
また、治療を必要とする哺乳動物における排便機能障害を治療するための方法も記載されている。本方法は、治療有効量の一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1)受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に投与することを含む。投与は直腸内モードによるものであり、TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、排便を誘発する。
【0030】
本開示の主題の一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物における排便機能障害を治療するための方法が提供され、この方法は、治療有効量の一過性受容体電位型バニロイド1(TRPV1)アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に必要に応じて投与することを含み、ここでTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は急速発現及び短い作用時間を有し、排便を誘発する。本開示の組成物及び方法は、例えば、便秘及び自発的に排便できないことを含む排便機能障害に対する新たな治療に対する既存の必要性を満たすものである。排便機能障害は、脊髄損傷、外傷性脳損傷、多発性硬化症、二分脊椎、変性脳疾患、アルツハイマー、パーキンソン、認知症、糖尿病、高齢、薬物誘発、及び術後状態のうちの1つ以上のものを含む、広範囲の傷害、状態、疾患、又は障害の結果であり得る。
【0031】
本開示の主題の一実施形態では、哺乳動物において排便を誘発するための方法が提供され、この方法は、治療有効量のTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に必要に応じて投与することを含み、ここでTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、急速発現及び短い作用時間を有し、排便を誘発する。本開示の組成物及び方法は、例えば、無意識に排便する前に排便を引き起こすために無意識である人の排便を誘発するための新しい治療法に対する既存の必要性を満たす。本開示の方法及び組成物の別の利点は、必要としている哺乳動物、又は、例えば、特定の都合のよい場所又は時間で、普段飼っている犬に排便を誘発させたいと思うかもしれないペットの飼い主のためのものである。
【0032】
括約筋協調不全に対する有効な治療を提供するために、本開示の方法及び製剤によるTRPV1受容体アゴニストの投与は、αアドレナリン受容体遮断薬、一酸化窒素(NO)ドナー、PDE5阻害薬、及びプロスタグランジンE受容体(EP1,2,3)アゴニストなど(ただしこれらに限らない)の1つ以上の括約筋弛緩薬と組み合わせてよい。
【0033】
治療上有効量の1つ以上のTRPV1受容体アゴニストを、直腸内投与により投与することができる。
【0034】
本明細書では、薬物誘発性排便を提供するために、活性剤又はその他本明細書で互換的に「医薬剤」と呼ばれるものを使用する方法が提供される。薬物誘発性排便は、オンデマンド、急速発現、及び/又は短い時間のうちの1つ以上であり得る。薬物誘発性排便は、排便機能障害を有する者、又は排便を誘発することが他の方法で望ましい哺乳動物にとって有用であり得る。本開示の活性剤又は医薬剤は、TRPV1受容体アゴニストを含み得る。TRPV1受容体アゴニストである既知の医薬剤が存在するが、これらの薬剤の生体への全身投与は、治療的排便とは対照的に毒性を生じ得る。対照的に、本開示の組成物及び方法は、排便を生じさせ、その後、直腸を弛緩させて、新たに形成された便の貯蔵を可能にし、その後の失禁又は他の有害な効果を防止できる作用時間を提供するTRPV1受容体アゴニストの医薬製剤及びその投与方法を提供する。本開示の製剤及び投与方法は、副作用の時間を最小化することができる。
【0035】
本記載の主題の1つの利点は、急速発現及び短い時間の直腸の収縮を達成するために哺乳動物に投与するための、急速発現及び短い作用時間を有するTRPV1受容体アゴニストを提供することである。驚くべきことに、これらのTRPV1受容体アゴニストの投与によって生じる収縮は、実際に直腸の生理的に有意な収縮、肛門括約筋の弛緩、及び排便を誘発することができる。直腸のTRPV1受容体を刺激すると、肛門括約筋の収縮と閉鎖が起こり、排便が阻止される可能性があったため、これは予想外である。
【0036】
本記載の主題の別の利点は、TRPV1受容体アゴニスト誘発の排便が、口腔内の灼熱感及びGI管全体の収縮による痛みを伴うけいれんの発生という副作用なしに達成され得ることである。
【0037】
長年の特許法の慣例に従い、用語「a」、「an」、及び「the」は、特許請求の範囲を含む本願で使用する場合、「1つ以上」を指す。したがって、例えば、「被験体」への言及は、文脈が明らかにそう(例えば、複数の被験体)ではないとしていないのであれば、複数の被験体等を含む。
【0038】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、用語「含む」(「comprise」、「comprises」、及び「comprising」)は、文脈がそうでないことを要求する場合を除き、非排他的な意味で使用されている。同様に、用語「含む」(「include」)及びその文法的変形は、リスト内の項目の記載が、リストされた項目に置換又は追加され得る他の同様の項目を除外するものではないように、非限定的であることを意図している。
【0039】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において、用語「約」は、1つ以上の数値又は数値範囲に関連して使用される場合、範囲内のすべての数値を含む、そのようなすべての数値を指すと理解すべきであり、定められた数値の上下に境界を拡張することによってその範囲を修正するものである。端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含されるすべての数値、例えば、その端数を含む全整数(例えば、1~5の記載は、1、2、3、4、及び5、並びにその端数、例えば、1.5、2.25、3.75、4.1、など)及びその範囲内のいかなる範囲も含める。
【0040】
「SCI」とは、脊髄損傷を意味する。
「GI」とは、胃腸管を意味する。
【0041】
「TRPV1」とは、一過性受容体電位型バニロイド1(transient receptor potential vanilloid 1)(TRPV1)を意味する。例示的なTRPV1受容体アゴニストとしては、限定されないが、カプサイシン、レジニフェラトキシン、ノニバミド、アナンダミド、オルバニル、パルバニル、アルバニル、ピペリン、N‐オレオイルドーパミン、及びSDZ‐249665が挙げられる。
【0042】
例えばTRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩を含む本開示の薬物又は薬理学的活性剤の「有効」量又は「治療上有効」量とは、無毒であるが、所望の効果、すなわち随意排便の実行などの排便機能障害の治療を提供するに十分な量の薬物又は活性剤のことを意味する。薬物又は薬理学的活性剤の有効量は、投与手段、選択された化合物、及び薬物又は薬理学的活性剤が投与される種に依存して変化することが認識される。また、当業者であれば、代謝、バイオアベイラビリティなどの要因、及び本明細書でさらに開示する単位用量範囲内での投与後の薬物又は薬理活性剤のレベルに影響を与える他の要因などを考慮して、適切な有効量を決定することが認識される。
【0043】
薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される酸付加塩」の記載のような「薬学的に許容される」とは、生物学的に又はその他の点で望ましくないわけではない材料を意味し、すなわち、その材料が含まれる組成物の他の成分のいずれとも、望ましくない生物学的効果を引き起こしたり劇的に相互作用することなく、患者に投与する医薬組成物に組み込むことができることを意味する。「薬理学的に活性な」誘導体又は代謝物における「薬理学的に活性な」(又は単に「活性な」)とは、親化合物と同じ種類の薬理学的活性を有する誘導体又は代謝物を意味する。用語「薬学的に許容される」が活性剤の誘導体(例えば、塩又はアナログ)を指すために使用される場合、その化合物は同様に薬理学的に活性であり、すなわち、排便機能障害を治療するために治療的に有効であると理解されるものとする。
【0044】
「連続」投与とは、選択された活性剤の慢性的な投与を意味する。
「必要に応じて」の投与(「pro re nata」又は「prn」投与としても知られる)、及び「オンデマンド」の投与とは、排便の開始前のある時間における活性剤の単回用量の投与を意味する。投与は、製剤及び投与経路に応じて、そのような時間の直前とすることができ、これはそのような時間の約0分、約0~約5分、約0~約10分、約0~約20分、約0~約30分、又は約0~約40分前を含む。
【0045】
「急速発現」(rapid‐onset)とは、活性剤投与後、約0秒から約1時間、約0秒から約45分、約0秒から約30分、約0秒から約15分、約0秒から約10分、又は0秒から5分の薬物発現まで及びそれを含む時間を意図する。
【0046】
「短い作用時間」とは、活性剤投与後、約2時間から約10分、約1時間から約10分、約30分から約10分、15分から約5分の時間を意図している。
【0047】
「即時放出」という用語は、従来の意味で、薬物投与後直ちに薬物の放出を提供する薬物製剤を指すために使用される。
【0048】
「排便機能障害」とは、遠位腸や直腸から便を排出することができない状態を指す。排便機能障害は、排便障害、肛門直腸排出障害、宿便、便秘、大腸運動障害とも呼ばれる。
【0049】
「直腸」又は「直腸内」薬物送達とは、個体の直腸内に薬物を送達することである。
【0050】
排便反射は、便が直腸内を通過し、直腸にある機械的受容器を活性化する際に直腸機械的受容器が生理的に刺激されることで引き起こされる。機械的受容器の刺激は末梢及び脊髄の排便反射を活性化し、下行結腸及びS状結腸の蠕動性収縮を生じさせる。これらの直腸収縮は、肛門括約筋の協調的弛緩を伴い、肛門管を通る便の通過を可能にする(MacDonagh,Sun et al.1992,Shafik 1996,Shafik 1999,Shafik,El‐Sibai et al.2001,Callaghan,Furness et al.2018)。さらに、機械的刺激により粘液や電解質が分泌され、便の通過が促進される。排便を誘発できる結腸収縮を起こすには、腸管プログラム中にデジタル刺激を加えて1時間以上かかることもある。
【0051】
直腸内及び経口刺激性便秘薬(例:ビサコジルやセンナ)は、直腸の機械的受容器や化学受容器を「感作」して排便を促進するために使用されてきた。これらの刺激薬は直腸の粘膜バリアを透過させ、糞便中の刺激性物質が粘膜下層の侵害受容性求心性神経末端を活性化することを可能にする。求心性の活性化は消化管に信号を送り、粘液と電解質を分泌させ、直腸を収縮させ、肛門括約筋を緩め、刺激物質を排除させる。しかし、これらの薬剤は排便開始までに30分から数時間を要し、投与後数時間は排便を刺激し続けるため、排便後の便失禁が懸念される。また、長時間にわたる消化管粘膜の損傷や便秘薬効果への耐性のため、毎日使用することはできない。
【0052】
TRPV1受容体は、非選択的なカチオンチャネルとして機能し、各サブユニットが6個のN末端アンキリンリピートを含む4量体複合体によって形成されるポリモーダル受容体である。TRPV1受容体は主に知覚神経に発現しており、アゴニストによる活性化によって知覚神経の活動が調節される。例えば、唐辛子を摂取した際に感じ得るカプサイシンの痛覚は、痛みを感じる求心性神経線維上のTRPV1受容体の活性化によって媒介される。
【0053】
消化管では、TRPV1受容体はマウスの遠位結腸及び直腸の神経線維に多く発現しており、カプサイシンによる遠位結腸及び直腸の収縮を媒介する(Matsumoto,Kurosawa et al. 2009)。カプサイシンは、意識のあるイヌに結腸内投与すると結腸の過活動を誘発し、排便を開始する薬理学的ツールとして用いられている(Hayashi,Shibata et al.2010,Kikuchi,Shibata et al.2014);イヌにおける直腸内投与の効果についてはこれまで報告されていない。ヒトでは、カプサイシンの直腸内投与後の排便の報告はないが、不快感や「排便衝動」を訴えた被験者において、カプサイシンによる直腸求心性末端の活性化が立証されている(van Wanrooij,Wouters et al.2014)。
【0054】
完全な脊髄損傷者(SCI)では、脊髄の感覚経路が完全に破壊されているため、TRPV1受容体アゴニストを直腸内に投与しても、不快感を感じることはないだろう。直腸の感覚を経験する個人では、現在不完全な脊髄損傷者が経験しているデジタル刺激や手作業による便の抽出に要求される身体的不快感、スティグマ、時間、労力よりも、軽い直腸の不快感の方が好ましいと思われる可能性がある。
【0055】
直腸内投与は、標的組織への曝露が集中するため、安全性の面で有利である。直腸内投与によるTRPV1受容体アゴニストの治療効果は、直腸内容物の排出と電解質、水分、粘液の分泌が望ましいため、TRPV1受容体アゴニストは直腸から速やかに排出され、その作用を終了し、著しい全身への吸収を避けることが期待される。さらに、TRPV1受容体アゴニストの直腸吸収は経口吸収よりも少ないかもしれない。
【0056】
TRPV1受容体アゴニストとその構造を表1に示す。
カプサイシノイドは、トウガラシ属の植物から単離された類似のアルカロイド分子群を構成する天然由来のTRPV1受容体アゴニストであり(Fattori,Hohmann et al.2016)、バニリルアミンと、様々な鎖長の脂肪酸の縮合から形成されるアミドである(Reyes‐Escogido Mde,Gonzalez‐Mondragon et al.2011)。カプサイシノイドには、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシンなどがあり、これらはすべて構造類似物質である。レジニフェラトキシンは、Euphorbia Resiniferaの植物から単離された天然由来のレジニフェロイドの例である。レジニフェラトキシンは、非常に強力なTRPV1受容体アゴニストである。
【0057】
その他のTRPV1受容体アゴニストとしては、オルバニル、パルバニル、アルバニル、ピペリン、N‐オレオイルドーパミン、SDZ‐249665など(表1)がある。
【0058】
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】
【0059】
一実施形態では、本開示の主題は、作用の急速発現と短い作用時間という明確な薬物動態学的特性、並びに薬力学的特性を有する薬理学的活性剤、組成物、及び製剤を投与し、遠位結腸及び直腸を収縮させて、例えば、意識のない人及び無意識に排便する可能性がある人などの排便機能障害に苦しむ人又はその他のこの種の治療を必要とする人に対して便利で適切なときに「必要に応じて」排便を誘発する方策を提供する。本開示の組成物及び方法はまた、必要としている哺乳動物に有用であるか、又はペットの飼い主が特定の便利な場所又は時間でペットに排便を誘発することを可能にし得る。
【0060】
実施形態において、TRPV1受容体アゴニストによって誘発される直腸圧の上昇は、排便を誘発するのに十分である。20mmHgを超える直腸圧は、麻酔ラット及び覚醒ラット、並びに除脳ラットにおいて、排便を誘発するのに十分であることが示されている。以下の例7は、TRPV1受容体アゴニストであるカプサイシンが、麻酔したラットにおいて、他のTRPV1受容体アゴニストによって生じる圧力と同等の、直腸圧の急速かつ一過性の増加を生じ、これは、覚醒ラットにおいて便ペレットの数及び便の重量として測定される排便をもたらすのに十分であることを示す。以下の例4、5及び6は、ノニバミド、OEA及びOLDAを含む他のTRPV1受容体アゴニストが、例7においてカプサイシンによって誘発される圧力と同じかそれを超える圧力を誘発することを示す。したがって、当業者であれば、ノニバミド、OEA、OLDA、及び他の類似のTRPV1アゴニストが、カプサイシンが行ったのと同じ方法で排便を誘発すると予想するであろう。
【0061】
本開示の一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物において排便機能障害を治療するための方法が提供される。本開示の一実施形態では、必ずしも排便機能障害を有していない可能性のある哺乳動物において排便を誘発するための方法が提供される。この方法は、治療有効量のTRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩を哺乳動物に必要に応じて投与することを含み、ここで、TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、急速発現及び短い作用時間を有している。TRPV1受容体アゴニストとしては、レジニフェラトキシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、オルバニル、パルバニル、アルバニル、ピペリン、ノニバミド、N‐オレイルドーパミン、SDZ‐249665及びアナンダミドなど表1に記載のものが挙げられるが、それだけに限らない。哺乳動物としては、例えば、ヒト、ネコ、イヌなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本開示の組成物及び活性剤の製剤は、本明細書でさらに定義されるように、活性剤の必要に応じた投与を達成するように製剤化される限り、必要に応じた剤形で提供され、短い時間、急速発現、急速消失、制御放出、遅延放出及び拍動放出製剤を含むことができる。
【0063】
本開示の方法及び組成物のすべてにおいて、TRPV1受容体アゴニストの急速発現は、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒~約1時間の範囲、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒~約45分の範囲、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒から約30分の範囲、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒から約15分の範囲、TRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒から約10分の範囲、又はTRPV1受容体アゴニスト投与後約0秒から5分の範囲の作用発現によって特徴付けることができる。
【0064】
本開示の方法及び組成物のすべてにおいて、TRPV1受容体アゴニストの短い作用時間は、TRPV1受容体アゴニスト投与後約1時間~約10分の範囲、TRPV1受容体アゴニスト投与後約30分~約10分の範囲、又はTRPV1受容体アゴニスト投与後約15~約1分の範囲の作用時間によって特徴付けることができる。
【0065】
TRPV1受容体アゴニスト又はその薬学的に許容される塩は、即時放出剤形として製剤化することができ、必要に応じての投与は、排便が望まれるときの約0分~約40分前、排便が望まれるときの約0分~約20分前、又は排便が望まれるときの約0分~約5分前の範囲で行うことができる。
【0066】
一実施形態では、1つ以上の追加活性剤を、TRPV1受容体アゴニスト活性剤と同時又は順次、別個又は単一製剤のいずれかで投与することができる。追加の活性剤は、糞便貯留を伴う腸の機能障害の治療に有効なものであってもよい。追加の活性剤は、排便機能障害を治療するためのTRPV1受容体アゴニスト活性剤の効果を増強するものであってもよい。好適な追加の活性剤としては、例えば、便秘薬、αアドレナリンアンタゴニスト(例えば、シロドシン、テラゾシン、タムスロシン、ドキサゾシン、プラゾシン、アルフゾシン)、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル)ルビプロストン、リナクロチド、及び/又は主要活性剤の作用を阻害しない任意の薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
追加の活性剤は、対象において結腸収縮及び/又は肛門括約筋弛緩のいずれかを誘発することができる化合物であり得る。肛門括約筋弛緩剤は、例えば、血管作動性腸管ポリペプチド(VIP)、NOドナー、硝酸アミル、硝酸ブチル、三硝酸グリセリル、αアドレナリン受容体遮断薬、タムスロシン、シロドシン、アルフゾシン、又はナフトピジル、又は他の適切な肛門括約筋緩衝剤のうちの1つとすることができる。
【0068】
活性剤のいずれも、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、誘導体などの形態で投与することができ、ただし、塩、エステル、アミド、プロドラッグ又は誘導体が、薬理学的に適切、すなわち、本発明の方法において有効である。活性剤の塩、エステル、アミド、プロドラッグ及び他の誘導体は、有機合成化学の技術分野における当業者に知られている標準的な手順を使用して調製することができ、例えば、J.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,4th Ed.(New York:Wiley‐Interscience,1992)に記載されている。例えば、酸付加塩は、従来の方法論を用いて遊離塩基から調製され、適切な酸との反応を伴う。酸付加塩を調製するのに適した酸には、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、サリチル酸など、及び無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸の両方を挙げることができる。酸付加塩は、適当な塩基で処理することにより、遊離塩基に再変換することができる。本明細書の活性剤の特に好ましい酸付加塩は、有機酸で調製した塩である。逆に、活性剤上に存在し得る酸部分の塩基性塩の調製は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンなどの薬学的に許容される塩基を用いて同様に調製する。
【0069】
エステルの調製には、薬物の分子構造内に存在する可能性のあるヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基の官能基化が含まれる。エステルは、典型的には、遊離アルコール基のアシル置換誘導体、すなわち、式RCOOHのカルボン酸から誘導される部分であり、Rはアルキルであり、好ましくは低級アルキルである。エステルは、所望により、従来の水素化分解又は加水分解手順を使用して、遊離酸に再変換することができる。アミド及びプロドラッグはまた、当業者に知られている技術又は関連文献に記載されている技術を用いて調製することができる。例えば、アミドは、適切なアミン反応物を使用して、エステルから調製することができ、又はアンモニア又は低級アルキルアミンとの反応によって無水物又は酸塩化物から調製することができる。プロドラッグは、通常、部分の共有結合によって調製され、その結果、個人の代謝系によって修飾されるまで治療的に不活性な化合物である。
【0070】
活性剤の他の塩、エナンチオマー、類似体、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、及び誘導体は、有機合成化学の当業者に知られた標準技術を用いて調製することができ、又は関連文献を参照して推論することができる。さらに、キラル活性剤は異性的に純粋な形態であってもよく、異性体のラセミ混合物として投与されてもよい。
【0071】
本開示の活性剤は、直腸内投与を含む様式によって投与され得る。
【0072】
本開示の活性剤は、医薬製剤内に含まれ得る。医薬製剤は、単位剤形とすることができる。医薬製剤は、座薬、カプセル、錠剤、粉末、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、溶液、エマルジョン、及び懸濁液からなる群から選択され得る。
【0073】
医薬製剤は、座薬、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、溶液、エマルジョン、及び懸濁液からなる群から選択することができる。医薬製剤は、浸透促進剤を含むことができる。
【0074】
好適な組成物及び剤形は、直腸投与用の座薬、カプセル剤、錠剤、粉末、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、溶液、エマルジョン及び懸濁液であり、さらに、当業者であれば、これらの組成物及び剤形を含む適切な製剤は、本書の他の箇所に記載されている製剤を含めて容易に推論できるであろう。
【0075】
錠剤は、標準的な錠剤加工手順及び装置を用いて製造することができる。錠剤を形成するための1つの方法は、活性剤(単数又は複数)を単独で又は1つ以上の担体、添加剤等と組み合わせて含む粉末状、結晶状又は粒状の組成物を、直接圧縮することである。直接圧縮の代替として、錠剤は湿式造粒又は乾式造粒のプロセスを用いて調製することができる。錠剤はまた、湿った又は他の扱いやすい材料から出発して、圧縮するよりもむしろ成形することもできるが、圧縮及び造粒技術が好ましい。
【0076】
活性剤(単数又は複数)に加えて、本開示の方法を用いて直腸内投与のために調製される錠剤は、一般に、結合剤、希釈剤、潤滑剤、崩壊剤、充填剤、安定剤、界面活性剤、保存剤、着色剤、香味剤などの他の材料を含む。結合剤は、錠剤に凝集性を付与するために使用され、したがって、錠剤が圧縮後に無傷であることを保証する。好適な結合剤材料としては、デンプン(コーンスターチ及びプレゼラチン化デンプンを含む)、ゼラチン、糖類(スクロース、グルコース、デキストロース及びラクトースを含む)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ワックス、並びに天然及び合成ガム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系ポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを含む)、Veegumが挙げられるが、これらに限定されない。希釈剤は、最終的に実用的なサイズの錠剤が提供されるように、嵩を増すために一般的に必要である。適切な希釈剤としては、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、粉糖などが挙げられる。錠剤の製造を容易にするために潤滑剤が使用される;適切な潤滑剤の例としては、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、テオブロマの油などの植物油、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸が挙げられる。ステアリン酸塩は、存在する場合、好ましくは、薬物含有コアの約2wt%以下を占める。崩壊剤は、錠剤の崩壊を促進するために使用され、一般に、デンプン、クレー、セルロース、アルギン、ガム又は架橋ポリマーである。充填剤としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、微結晶セルロースなどの材料や、マンニトール、尿素、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトールなどの可溶性の材料が挙げられる。安定剤は、一例として酸化反応を含む薬物分解反応を抑制又は遅延させるために使用される。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性の表面活性剤であり得る。
【0077】
剤形はまた、カプセルであってもよく、この場合、活性剤含有組成物は、液体又は固体(顆粒、ビーズ、粉末又はペレットなどの微粒子を含む)の形態でカプセル化され得る。好適なカプセルは、硬質又は軟質のいずれでもよく、一般にゼラチン、デンプン、又はセルロース系材料で作られており、ゼラチンカプセルが好ましい。2ピースの硬質ゼラチンカプセルは、好ましくは、ゼラチンバンドなどで密封される。(例えば、カプセル化された医薬品を調製するための材料及び方法を記載した、Loyd V.Allen,Nicholas G.Popovich,Howard C.Ansel 2011によるAnsel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems 9th Editionを参照されたい)。活性剤含有組成物が液体形態でカプセル内に存在する場合、活性剤を溶解するために液体担体が必要である。担体は、カプセル材料及び医薬組成物の全成分と適合し、直腸内への挿入に適していなければならない。
【0078】
また、剤形はカプセルであってもよく、1種以上の不活性成分からなる充填物を含むハードカプセル又はソフトカプセルと、カプセル上の1種以上のコーティングを含み、少なくとも1つのコーティングが適切な製剤及び剤形を含む。
【0079】
好ましい直腸内投与剤形には、直腸座薬、カプセル剤、錠剤、粉末、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、溶液、エマルジョン、及び懸濁液が含まれる(Jannin、Lemagnen et al.2014)。直腸内送達用の座薬、カプセル剤、錠剤、粉末、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、溶液、エマルジョン、又は懸濁剤形は、治療上有効量の選択された有効成分及び直腸内薬物投与に適した1つ以上の従来の非毒性担体を含む。本発明の直腸内投与剤形は、従来のプロセスを用いて製造することができる。直腸内投与ユニットは、急速に又は数時間の時間にわたって崩壊するように作製することができる。完全に崩壊するまでの時間は、好ましくは、約1分~約6時間の範囲であり、最適には、約3時間未満である。
【0080】
直腸内投与の場合、製剤は、活性剤と、水、シリコーン、ワックス、ワセリン、ポリエチレングリコール(「PEG」)、プロピレングリコール(「PG」)、リポソーム、マンニトールやラクトースなどの糖類、及び/又は種々の他の材料などの1つ以上の選択された担体又は賦形剤とを含む直腸用剤形を含み、ポリエチレングリコール及びその誘導体はとりわけ好ましい。
【0081】
直腸内薬物投与は、様々な直腸用剤形を用いて、多くの異なる方法で実施することができる。例えば、薬物は柔軟なチューブ、スクイズボトル、又はポンプから直腸に導入することができる。薬物はまた、直腸で吸収、溶融又は生物学的浸食されるコーティング、ペレット、錠剤、カプセル又は座薬に含まれ得る。特定の実施形態では、薬物は、直腸挿入物の外表面上のコーティングに含まれる。必須ではないが、薬物が直腸内の少なくとも約1cmから送達されることが好ましく、好ましくは直腸内の少なくとも約4cmから送達される。一般に、直腸内の少なくとも約3cm~約8cmからの送達は、本発明の方法と関連して有効な結果をもたらす。
【0082】
PEG、硬質脂肪、グリセロール、ゼラチン又はポリグリセロールエステルを含む直腸座薬製剤は、当業者に理解されるように、そして関連文献及び医薬テキストに記載されているように、従来の技術、例えば圧縮成形、熱成形などを使用して都合よく製剤化することができる。(例えば、直腸座薬の形態の医薬組成物を調製する典型的な方法を開示する、Loyd V.Allen,Nicholas G.Popovich,Howard C.Ansel 2011によるAnsel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems 9th Editionを参照されたい)。PEG又はPEG誘導体は、好ましくは、約200~約3500g/molの範囲、より好ましくは約1000~約2000g/molの範囲内の分子量を有する。好適なポリエチレングリコール誘導体としては、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールモノステアラート、ポリエチレングリコールソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート、等が挙げられる。また、硬質油脂等(例えば、ココアバター、Wipetsol(登録商標))も使用することができる。特定の活性剤に応じて、直腸座薬は、PEG又は他の直腸内ビヒクル中の活性剤の溶解度を高めるのに有効な1つ以上の可溶化剤を含むことが好ましい場合もある。
【0083】
直腸用剤形は、好ましくは、長さが約0.1~約10cm、好ましくは約0.5~約3cm、幅が約2cm未満、好ましくは約1cm未満のオーダーである座薬を含むであろう。座薬の重量は、典型的には、約0.5gmから約5gmの範囲、好ましくは、約1gmから約2gmの範囲にあるであろう。しかしながら、座薬の大きさは、薬物の効力、製剤の性質、及び他の要因に依存して、変化し得、かつ変化することが当業者には理解されよう。他の成分もまた、本明細書に記載の直腸内剤形に組み込むことができる。追加の成分には、硬化剤、酸化防止剤、保存剤などが含まれるが、これらに限定されるものではない。使用され得る硬化剤の例としては、例えば、パラフィン、白色ワックス、及び黄色ワックスが挙げられる。好ましい酸化防止剤は、使用される場合、重亜硫酸ナトリウム及びメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。
【0084】
軟膏は、医薬製剤の技術分野でよく知られているように、典型的にはペトロラタム又は他の石油誘導体をベースとする半固形製剤である。使用される特定の軟膏基剤は、当業者に理解されるように、最適な薬物送達を提供するものであり、好ましくは、他の望ましい特性、例えば、エモリエント性などを提供するものである。他の担体又はビヒクルと同様に、軟膏ベースは不活性で安定であり、非刺激性で非感作性であるべきである。Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems 9th Edition by Loyd V.Allen,Nicholas G.Popovich,Howard C.Ansel 2011に説明されているように、軟膏基剤は、油脂性基剤、乳化性基剤、エマルジョン基剤、及び水溶性基剤の4クラスに分類することができる。油脂性軟膏基剤としては、例えば、植物油、動物から得られる脂肪、石油から得られる半固形炭化水素などが挙げられる。乳化性軟膏基剤は、吸収性軟膏基剤とも呼ばれ、ほとんど又は全く水を含まず、例えば、硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリン、親水性ペトロラタムなどがある。エマルジョン軟膏基剤は、油中水型(W/O)エマルジョン又は水中油型(O/W)エマルジョンであり、例えば、セチルアルコール、グリセリルモノステアラート、ラノリン及びステアリン酸が挙げられる。好ましい水溶性軟膏ベースは、分子量の異なるポリエチレングリコールから調製される(例えば、Loyd V.Allen,Nicholas G.Popovich,Howard C.Ansel 2011によるAnsel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems 9th Editionを参照されたい)。
【0085】
クリームは、当技術分野でよく知られてもいるように、水中油型又は油中水型の粘性液体又は半固体エマルジョンである。クリームベースは水洗いが可能であり、油相、乳化剤、及び水相を含む。油相は「内相」とも呼ばれ、一般にペトロラタムとセチルアルコールやステアリルアルコールなどの脂肪アルコールで構成されている。水相は、必ずしもそうではないが、通常、体積で油相を上回り、一般に保湿剤を含む。クリーム製剤中の乳化剤は、一般に非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤である。
【0086】
医薬製剤の分野で働く人々には理解されるであろうが、ゲルは半固体の懸濁液タイプのシステムである。単相ゲルは、キャリア液体中に実質的に均一に分布した有機高分子を含み、これは典型的には水性であるが、好ましくは、アルコール及び任意に油も含む。好ましい「有機高分子」、すなわちゲル化剤は、「カルボマー」ファミリーのポリマー、例えば、CARBOPOL商標で市販されているカルボキシポリアルキレンなどの架橋したアクリル酸ポリマーである。また、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンコポリマー、ポリビニルアルコールなどの親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、メチルセルロースなどのセルロース系ポリマー;トラガカント、キサンタンガムなどのゴム;アルギン酸ナトリウム;及びゼラチンが好ましい。均一なゲルを調製するために、アルコール、グリセリンなどの分散剤を添加したり、トリチュレーション、機械的混合、及び/又は撹拌によりゲル化剤を分散させることができる。
【0087】
当業者に知られている様々な添加剤を直腸内製剤に含めることができる。例えば、特定の活性剤を可溶化するために可溶化剤を使用することができる。粘膜組織を通過する透過率が異常に低い薬物については、製剤に透過促進剤を含めることが望ましい場合がある。適切な直腸内透過促進剤の例としては、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、N,N‐ジメチルアセトアミド(「DMA」)、デシルメチルスルホキシド(「C10MSO」)、ポリエチレングリコールモノラウラート(「PEGML」)、グリセロールモノラウラート、レシチン、1‐置換アザシクロヘプタン‐2‐オン、特に1‐n‐ドデシルシクラザシクロヘプタン‐2‐オン(Nelson Research & Development Co.,Irvine,Calif.から商標AZONEで入手できる)、SEPA(Macrochem Co,Lexington,Massから入手可能)、例えばTERGITOL、NONOXYNOL‐9及びTWEEN‐80を含む上述のような界面活性剤、及びエタノールなどの低級アルカノールを挙げることができる。
【0088】
当業者であれば、前述のいずれかの剤形及び組成物における活性剤の濃度は大きく変化し得、組成物又は剤形の種類、対応する投与様式、特定の活性剤の性質及び活性、並びに意図する薬物放出プロファイルを含む種々の要因に依存すると認識する。好ましい剤形は、単位用量の活性剤、すなわち、単一の治療上有効な用量を含む。クリーム、軟膏などの場合、「単位用量」は、適用される製剤の特定量に単位用量を提供する活性剤濃度を必要とする。特定の活性剤の単位用量は、もちろん、活性剤と投与様式に依存する。同様に、TRPV1受容体アゴニストのTRPV1受容体に対する親和性は、構造的に異なる各TRPV1受容体アゴニスト間で実質的に異なると予想され、各TRPV1受容体アゴニストの用量及び濃度は、各々別個のTRPV1受容体アゴニストの適切な用量を決定する際に、各々別個のTRPV1受容体アゴニストのTRPV1受容体に対する親和性を、TRPV1受容体に対する、例えば、カプサイシンなどの親和性と比較することに基づいて調整する必要がある。
【0089】
TRPV1受容体親和性は、Kiを確立するための放射性標識カプサイシンの濃度変位曲線の生成など、標準的な受容体結合プロトコルを使用して容易に決定される。同一ではないにしても同様の結合条件を使用して、例えばカプサイシンを含む本開示の特定のTRPV1受容体アゴニストの結合親和性を確立することができる。選択したTRPV1受容体アゴニストがTRPV1受容体に対してカプサイシンよりも低い親和性を有する場合、特定のTRPV1受容体アゴニストを投薬する際に、カプサイシンで観察された濃度よりも高い血漿濃度を達成する必要があるだろう。一方、TRPV1受容体アゴニストがTRPV1受容体に対してカプサイシンよりも高い親和性を有する場合、TRPV1受容体アゴニストを投薬する際に、より低い血漿濃度を用いて治療効果を達成することができる。例えば、TRPV1受容体アゴニストがカプサイシンよりも10倍低い親和性を有する場合、TRPV1受容体アゴニストの治療効果を達成するための血漿濃度(例えば、nM)は、カプサイシンよりも10倍高くすることができる。
【0090】
TRPV1受容体アゴニスト活性を示し、急速発現及び短い作用時間を有する活性剤の投薬については、製剤又は送達様式にかかわらず、薬物動態プロファイル(すなわち、Cmax、Tmax及びT1/2)を、治療利益をもたらすように、本明細書に記載のように提供できる(例えば、TRPV1受容体の親和性を補償して約1ng/kg~約100mg/kgの範囲内)。
【0091】
TRPV1受容体アゴニスト活性を示す急速発現化合物及び/又はTRPV1受容体アゴニスト活性を示す短時間作用型化合物を含む、TRPV1受容体アゴニスト活性を示す活性剤については、直腸内投与の単位用量は、約1ng~約10,000mgの範囲、約100ng~約5,000mgの範囲にありえる。直腸内投与のための単位用量は、約1ng、約5ng、約10ng、約20ng、約30ng、約40ng、約50ng、約100ng、約200ng、約300ng、約400ng、約500ng、約1μg、約5μg、約10μg、約20μg、約30μg、約40μg、約50μg、約100μg、約200μg、約300μg、約400μg、約500μg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約1,000mg、約1,500mg、約2,000mg、約2,500mg、約3,000mg、約3,500mg、約4,000mg、約4,500mg、約5,000mg、約5,500mg、約6,000mg、約6,500mg、約7,000mg、約7,500mg、約8,000mg、約8,500mg、約9,000mg又は約9,500mgより大きくすることができる。医薬製剤の分野における当業者は、TRPV1受容体アゴニスト活性を示す急速発現化合物及び/又はTRPV1受容体アゴニスト活性を示す短時間作用型化合物を含む、TRPV1受容体アゴニスト活性を示す他の化合物に適した単位用量を容易に推論できる。医薬製剤の分野における当業者はまた、本発明の剤形に組み込むことができる他のタイプの活性剤のための適切な単位用量を容易に推論することができる。
【0092】
所与の個体に投与される特定の活性剤の治療上有効量は、もちろん、特定の活性剤、組成物又は剤形の濃度、選択された投与様式、治療される個体の年齢及び一般状態、個体の状態の重症度、及び処方する医師に知られている他の要因を含む多数の要因に依存するであろう。しかしながら、当業者であれば、特定の活性剤の治療上有効量は、本明細書でさらに定義するように、必要に応じて投与できるように選択されなければならないことを容易に認識するであろう。
【0093】
即時放出剤形では、必要に応じての投与は、排便の開始が望ましいと思われる時の直前に薬物を投与することを含むことができる。必要に応じての投与は、所望の排便の約0分~約40分前、約0分~約20分前、又は約0分~約5分前の範囲であり得る。
【0094】
別の実施形態では、投与すべき医薬製剤、すなわち、排便機能障害の治療のために選択された治療有効量の活性剤を含む医薬製剤、保管中及び使用前に製剤を収容するための容器(好ましくは密閉式)、及び排便機能障害の治療に有効な方法で薬物投与を行うための指示を含むパッケージキットが提供される。指示は、典型的には、添付文書及び/又はラベルに記載された指示書であろう。製剤の種類及び意図される投与様式に応じて、キットはまた、製剤を投与するための装置、例えば、直腸用チップを有するか有しないシリンジ及びプランジャーを含むことができる。製剤は、本明細書に記載されるような任意の好適な製剤であり得る。活性剤は、急速発現及び短時間作用型のTRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩であり得る。排便機能障害を治療するための態様は、排便機能障害を治療するために、必要に応じての投与であり得る。必要に応じての投与は、排便が望まれるときの約0分~約40分前、排便が望まれるときの約0分~約20分前、又は排便が望まれるときの約0分~約5分前の範囲であり得る。
【0095】
本キットには、同じ薬剤の異なる用量の複数の製剤が含まれていてもよい。また、本キットは、異なる活性剤の複数の製剤を含むことができる。キットは、排便機能障害の治療において順次、別々に、及び/又は同時に使用するのに適した製剤、並びに排便機能障害の治療において製剤が順次、別々に、及び/又は同時に投与される薬物投与を実施するための指示書を含むことができる。キットの各部分は、1つ以上の容器‐例えば、ボトル、シリンジ、プレート、ウェル、ブリスターパック、又は任意の他のタイプの医薬品パッケージ‐に独立して保持され、また特定の用量を投与できる装置、例えば、DIASTAT AcuDial、又は校正済みシリンジを含むことができる。
【0096】
別の実施形態では、治療を必要とする哺乳動物の排便機能障害を必要に応じて治療するための医薬製剤であって、治療有効量の急速発現及び短時間作用型のTRPV1受容体アゴニスト、又はその薬学的に許容される塩、及びTRPV1受容体アゴニストを必要に応じて哺乳動物に投与するための担体を含む、医薬製剤を提供する。本発明の医薬製剤は、実際の排便機能障害を伴わない哺乳動物の排便を誘発するためにも有用である。投与のための担体は、本明細書に記載されるような任意の適切な製剤であり得る。必要に応じての投与は、排便が望まれるときの約0分~約40分前、排便が望まれるときの約0分~約20分前、又は排便が望まれるときの約0分~約5分前の範囲であり得る。
【実施例
【0097】
以下の実施例は、本開示の主題の代表的な実施形態を実践するためのガイダンスを当業者に提供するために含まれているものである。本開示及び当技術分野における一般的な技術レベルに照らして、当業者は、以下の実施例が例示的であることのみを意図しており、本開示の主題の範囲から逸脱することなく多数の変更、修正及び改変を採用することができることを理解できる。
【0098】
例1
一般的な方法:ラットにおけるオンデマンド排便のためのTRPV1受容体アゴニスト
ナイーブラットにおいて、各種TRPV1受容体アゴニストの消化管(GI)機能に対する有効性、特異性、作用発現、作用時間を以下の方法で検討した。さらに、TRPV1受容体アゴニストを直腸内投与した場合の複数回投与の再現性、薬力学的(PD)反応についても検討した。その結果、TRPV1受容体アゴニストは用量依存的に大腸収縮を増大させ、TRPV1受容体アゴニストを排便誘発に使用することに矛盾はなかった。TRPV1受容体アゴニストの作用発現は急速で、持続時間は短い。TRPV1受容体アゴニストの反復投与により、有意な反応の低下なく、結腸直腸圧の上昇が認められた。
【0099】
ラットメソッド:
一般的な方法:In vivo試験は、麻酔をかけ、脊髄損傷のないラット(N=10)を用いて実施した。成熟した雄のSprague Dawleyラット(Charles River、250‐300g)は、AAALAC承認施設で、実験の1‐2週間前に12時間明暗サイクルに維持されたコロニールームで水と餌に自由にアクセスできるケージ(2‐3/ケージ)に収容した。ラットはウレタン(1.2~1.4g/kg皮下注射)で麻酔をかけた。その後、ウレタンの完全な麻酔効果が約1‐2時間かかるため、イソフルラン麻酔(O中0.05‐1.5%)を加えて外科的処置を行った。
【0100】
ヘパリン化生理食塩水(30単位/ml)を満たしたカテーテルを頸動脈に挿入し、血圧と心拍数の測定のために圧力変換器に接続した。頸静脈にはカテーテルを挿入し、薬物の静脈内(i.v.)投与に使用した。血圧と直腸圧の信号は増幅され、LABCHARTソフトウェア(AD Instruments,Colorado Springs,CO)を用いてコンピュータに表示された。
【0101】
結腸直腸の収縮性:結腸直腸圧は、結腸直腸遠位部に挿入した(~3~4cm)ラテックスバルーンカテーテル(長さ2~3cm)により測定した。カテーテルは圧力モニタリングシステムに接続された。バルーンカテーテル内の圧力は、生理食塩水(総容量0.2‐0.5ml)を注入することでゆっくりと10‐15mmHgまで上昇し、試験中この圧力が維持された。これにより、薬物による結腸直腸圧の変化をモニターすることができた。測定されたパラメータは、結腸直腸圧反応のピーク値、ベースライン活動を上回る時間(薬物投与後最初の5分間)、曲線下面積(薬物投与後最初の5分間で測定)、ビヒクル及び薬物投与後の収縮イベントの数である。
【0102】
覚醒した動物の排便は、代謝ケージでモニターされた。動物は投与前に2~4回、ハンドリングと代謝ケージに慣れさせ、その後、治療群に無作為に割り振られた。ラットの体重を測定し、ビヒクル又はTRPV1アゴニストを直腸内投与する10分前に代謝ケージに入れた。糞便の数とイベントのタイミングは、治療に対して盲検化された訓練された担当者によって記録された。糞便の重量は投与後20分に測定された。
【0103】
投与:直腸内TRPV1アゴニストは0.01‐2%wt/volの用量範囲で投与された。ノニバミド、OEA、OLDA及びカプサイシンを95%エタノールに20‐100mg/mLで溶解し、ビヒクル(Tween‐80:95%エタノール:生理食塩水を10:10:80の割合で)で0.01‐2%に希釈して、小ゲージチューブ、又は溶液を浸した綿毛栓を用いて溶液として、座剤様の剤形に似せて直腸内に投与された。
【0104】
データ分析:データは質的及び量的に検討した。平均値及び平均値の標準誤差は、MICROSOFT EXCELを使用して算出した。PRISM 5 for WINDOWS(Graphpad Software,Inc.,La Jolla,CA)を用いてスチューデントの対応のないt検定(Student’s unpaired t‐test)を実施した。P値<0.05を統計的に有意とみなした。
【0105】
例2
麻酔したナイーブラットにおけるノニバミド溶液(0.1%)の直腸内投与は直腸圧の上昇をもたらした
方法:TRPV1受容体アゴニストであるノニバミドを、麻酔をかけた脊髄無傷の雄ラット(N=6)に投与し、肛門から3~4cmの直腸にバルーンカテーテルを挿入して直腸圧を記録するための器具をつけた。ノニバミドの0.1%溶液(Tween‐80:エタノール:生理食塩水(比10:10:80)中の1mg/ml溶液の0.2mL)を、直腸に2cmほど挿入した20ゲージ栄養チューブで投与した。比較のため、ビヒクル(Tween‐80:エタノール:生理食塩水の比率10:10:80)を同じ手法で投与した。
【0106】
結果:0.1%ノニバミド溶液の直腸内投与により、6匹中6匹に一過性の直腸圧上昇が認められ、その発現時間は1~2分と早く、持続時間も5分と短かった。なお、ビヒクルは直腸圧の上昇を誘発しなかった。図2は、雄ラットから測定された直腸圧の代表的な例を示す。図2において、黒い矢印は、ビヒクル又はノニバミド溶液(0.1%)を直腸に投与した時を示す。
【0107】
結論:ビヒクルではなく、ノニバミドの直腸内投与は、直腸圧の一過性の上昇をもたらし、その発現は早く、持続時間は短かった。
【0108】
例3
麻酔したナイーブラットにおけるノニバミド溶液(1%)の直腸内投与は直腸圧の反復的上昇をもたらした
方法:TRPV1受容体アゴニストであるノニバミドを、肛門から3~4cmの直腸に挿入したバルーンカテーテルを介して直腸圧記録用の器具を装着した麻酔した脊髄無傷の雄ラットへ投与した。ノニバミドの1%溶液(Tween‐80:エタノール:生理食塩水(比10:10:80)中の10mg/ml溶液の0.2mL)を、直腸から2~3cmに挿入した20ゲージ栄養チューブを通して投与した。
【0109】
結果:1%ノニバミド溶液の直腸内投与は、一過性の直腸圧上昇を生じ、その発現時間は1~2分と早く、持続時間は5~10分と短かった。また、初回投与から17分後に1%ノニバミドを反復投与したところ、同様の反応が認められた。図3は、雄ラットから測定した直腸圧の代表例である。図3において、黒い矢印は、ノニバミド溶液(Tween‐80:エタノール:生理食塩水の10:10:80の割合での0.2mL中に1%)を20ゲージの栄養チューブカテーテルを介して直腸に投与したときを示す。
【0110】
結論:ノニバミドの直腸内投与は、一過性の直腸圧上昇を繰り返し生じさせ、その発生は早く、持続時間は短かった。
【0111】
例4
麻酔したナイーブラットにおいて、ノニバミドを含有する座薬製剤に類似した綿毛栓を直腸内に挿入したところ、直腸圧の上昇と直腸内容物の排出が認められた。
方法:肛門から2‐4cmの直腸にバルーンカテーテルを挿入し、直腸圧記録用の器具を装着したナイーブな麻酔をかけた雄ラットにノニバミドを投与した。座薬製剤を模倣するため、ノニバミド(1%)を液体を染み込ませた小さな綿毛栓を通して投与した。綿毛栓は直腸遠位部の肛門管に入れられた。
【0112】
結果:ノニバミドは、投与後1分以内に直腸圧の急激な上昇をもたらした。図4は、1匹の雄ラットから測定した直腸圧の代表例である。ノニバミド(Tween‐80:エタノール:生理食塩水の割合で10:10:80の1%ノニバミドの0.2mLに浸した小さな綿毛栓)を直腸に投与し(図4の黒矢印)、バルーンカテーテルを排出するのに十分な直腸応答を誘発した(図4)。図4の白抜きの矢印は、綿毛栓が取り除かれた時を示している。直腸バルーンカテーテルは、ノニバミドが誘発した直腸圧の上昇により、肛門を通じて直腸から排出された。
【0113】
結論:ノニバミドの直腸内投与は、直腸内容物を排出するのに十分な強さの直腸圧の急速な上昇をもたらした。
【0114】
例5
直腸内OEAは麻酔したナイーブラットで直腸圧の急速かつ一過性の上昇をもたらした
TRPV1受容体アゴニストOEAは、上記のように行った実験において、結腸直腸圧の上昇をもたらした。
【0115】
方法:肛門から3~4cmの直腸に挿入したバルーンカテーテルで直腸圧を記録するための器具を装着した麻酔したナイーブ雄ラット(N=5)に、OAE(N=4)を投与した。OEAは0.01~0.2%溶液(Tween‐80:95%エタノール:生理食塩水(比10:10:80)中の0.01~2mg/ml溶液を0.2mL)として、座薬剤形を模した溶液0.2mlを浸した小さな綿毛栓を直腸に挿入し投与された。比較のため、ビヒクルをすべてのラットに同じ手法で投与した。
【0116】
結果:OEAの直腸内投与は、一過性の直腸圧上昇を生じ、その発現時間は0.5~2分と早く、持続時間は5~10分と短かった。ビヒクルは直腸圧の上昇を引き起こさなかった。図5は、ビヒクル又は0.2%OEAを直腸内投与した雄ラットから測定した直腸圧の代表例である。図5に示すように、ビヒクル(Tween‐80:エタノール:生理食塩水を10:10:80の割合で0.2mL浸した綿毛栓)投与(黒矢印)では直腸圧に変化はなかった。OEA(0.2%OEAを0.2mL浸した綿毛栓)を直腸に投与したところ(黒矢印)、バルーンカテーテルを排出するのに十分な直腸反応を誘発した()。図5において、白抜きの矢印は綿毛栓が外された時を示し、#の記号は糞便ペレットの排便を示す。
【0117】
結論:直腸内OEAは、ビヒクルとは違い、直腸内圧の一過性の上昇をもたらし、その発現は早く、持続時間は短かった。この圧力上昇はバルーンカテーテルを排出し、排便を誘発するのに十分であった。
【0118】
例6
麻酔したナイーブラットにおいて、直腸内OLDAは直腸圧の急速かつ一過性の上昇をもたらした
TRPV1受容体アゴニストOLDAは、上記のように行った実験において、結腸直腸圧の上昇をもたらした。
【0119】
方法:肛門から3~4cmの直腸に挿入したバルーンカテーテルで直腸圧を記録するための器具を装着した麻酔したナイーブな雄ラットにOLDA(N=1)を投与した。OLDAは0.01~0.2%溶液(Tween‐80:95%エタノール:生理食塩水(比10:10:80)中の0.01~2mg/ml溶液を0.2mL)として、OLDAの座薬剤形を模した溶液0.2mlを浸した小さな綿毛栓を直腸に挿入し、投与された。比較のため、ビヒクルを同じ手法で投与した。
【0120】
結果:0.2%OLDAの直腸内投与は、一過性の直腸圧上昇を生じ、その発現時間は0.5~2分と早く、持続時間は5分と短かった。ビヒクルは直腸圧の上昇を起こさなかった。図6は、0.2%OLDAを直腸内投与した雄ラットから測定した直腸圧の一例を示す。図6に示すように、OLDA(Tween‐80:エタノール:生理食塩水を10:10:80の割合で混合した0.2%OLDAの0.2mLに浸した綿毛栓)を直腸内に投与したところ(黒矢印)、バルーンカテーテルを排出させるに足る直腸反応を誘発した()。白抜きの矢印は綿毛栓が除去された時を示す。
【0121】
結論:直腸内OLDAは、直腸圧の一過性の上昇をもたらし、その発現は早く、持続時間は短く、バルーンカテーテルを排出するのに十分な強さを有していた。
【0122】
例7
カプサイシンの直腸内投与は、意識ある脊髄無傷ラットの排便を誘発するのに十分な力の結腸直腸圧上昇をもたらした
方法:肛門から3‐4cmの直腸にバルーンカテーテルを挿入し、直腸圧を記録できるようにした麻酔下のナイーブな雄ラットに、カプサイシンの座薬剤形に似せた小さな綿毛栓を通して直腸内カプサイシン(N=3)を投与した。直腸内カプサイシンは、直腸に挿入された小さなゲージのチューブを用いて、0.01‐0.2%溶液(Tween‐80:95%エタノール:生理食塩水(比率10:10:80)中の0.01‐2mg/ml溶液の0.2mL)として意識のあるラット(N=6)に投与された。比較のため、ビヒクルをすべてのラットに同じ手法で投与した。
【0123】
意識のあるラットの排便は、代謝ケージでモニターされた。ラットは、投与前に2~4回、取り扱い及び代謝ケージに慣れさせ、その後、治療群に無作為に割り付けた。ラットの体重を測定し、ビヒクル又はカプサイシンの直腸内投与を受ける10分前に代謝ケージに入れた。意識のあるラットの直腸内投与中の手動刺激は排便を誘発するため、直腸遠位部の触診を行い、肛門括約筋の領域にある糞便ペレットを取り除いた。この操作により、肛門括約筋の収縮/弛緩に伴い、排出寸前の糞便が1~3個除去された。肛門括約筋の収縮/弛緩が止まると(15‐90秒)、細いカテーテル(22Gソフト/フレキシブルブラントチップカテーテル)を使用して、ビヒクル又はカプサイシンを投与した。この方法では、手動による刺激がほとんどないためである。カプサイシンは、0.01、0.1、又は1%溶液(0.1、1、又は10mg/mlのTween‐80/エタノール/生理食塩水(10/10/80の比))又はビヒクルとして調製した。投与量は0.1mLで、肛門から直腸に1インチほど挿入したカテーテルから投与した。糞便ペレットの数及びイベントのタイミングは、治療について盲検化された訓練された担当者によって記録された。糞便重量は投与後20分で記録した。
【0124】
結果:カプサイシンは、麻酔をかけたラットにおいて、発現が早く(1分未満)、持続時間が短い(5分未満)結腸直腸圧の上昇を誘発した(図7A)。意識のある覚醒した自由に動くラットにおいて、カプサイシンは、排出された糞便ペレットの数及び総重量を、ビヒクルと比較して有意に増加させた(図7B図7C)。排便は5分以内に起こり、10分以内に完了した。図7Aは、直腸内1%カプサイシンを投与された雄ラットから測定された直腸圧の例である。図7Aに見られるように、カプサイシン(1%浸漬綿毛栓)を直腸内に投与し(黒矢印)、結腸直腸圧の急速かつ一過性の増加(ピーク圧~40mmHg)が見られた。この圧力の上昇は、覚醒したラットの排便を誘発するのに十分であった。図7B及び図7Cは、排便の誘発を示すグラフである。図7Bは、ビヒクル(白抜きの棒)又は1%カプサイシン(黒い棒)の10分後に排出された糞便ペレットの数を示す。図7Cは、ビヒクル(白抜きの棒)又は1%カプサイシン(黒い棒)の20分後に排出された糞便の総重量を示す。+記号は、ビヒクル群との有意差を示す(p<0.05、対応のないt‐検定)。さらに、図7.7B及び7Cは、平均値及び平均値の標準誤差を示し、ビヒクルについてはN=6ラット、1%カプサイシンについては6ラットである。
【0125】
結論:カプサイシンは、麻酔ラットの結腸直腸圧の上昇を誘発し、意識のあるナイーブなラットの排便を誘発するのに十分な強さを持つ。
【0126】
例8
カプサイシンを用いた追加試験を実施した。一般的な方法:カプサイシンによる直腸反応の測定
ナイーブラット及び慢性脊髄損傷モデルラットにおいて、カプサイシンの排便誘発の効果、特異性、作用発現及び作用時間を以下の方法で検討した。また、直腸内投与によるカプサイシン投与の複数回投与の再現性、及び薬力学的(PD)反応について検討した結果、直腸内投与によるカプサイシン投与の再現性、薬力学的(PD)反応について検討した。
【0127】
一般的:In vivo試験は、麻酔をかけた急性脊髄損傷(SCI)ラット、麻酔をかけた脊髄無傷ラット、及び覚醒した慢性脊髄損傷ラットを用いて実施された。成体の雌及び雄のSprague Dawleyラット(Charles River,NC;250‐650g)をAAALAC承認施設で、12時間/12時間の明暗サイクルで維持されるコロニールームで水と餌に自由にアクセスできるケージ(1‐3/ケージ)に入れて飼育した。
【0128】
慢性SCIモデル作製では、動物をケタミン/キシラジンの混合薬(それぞれ腹腔内50~100mg/kg及び5~10mg/kg)で麻酔し、胸椎レベルの背側の皮膚及び筋肉を切開し、椎弓切除により脊髄を慎重に露出させてT3~T4又はT8~T10脊椎レベルのいずれかで切断した。切開部位にGelfoam(登録商標)を置き、椎骨の上にある筋肉と皮膚を創傷クリップで閉じた。動物は7‐10週間手術から回復した後、試験した。
【0129】
急性SCIモデルは、動物をウレタン(1.0~1.4g/kg皮下注射)で麻酔し、胸椎の高さで背側の皮膚と筋肉を切開し、椎弓切除により脊髄を慎重に露出させてT8~T10脊髄レベルで切断した。切開部位にGelfoam(登録商標)を置き、椎骨の上にある筋肉と皮膚を創傷クリップで閉じた。脊髄は、実験プロトコルを開始する少なくとも60分前に切断した。
【0130】
すべての直腸収縮性試験において、動物はウレタン(1.0~1.4g/kg皮下注射)で麻酔をかけた。その後、必要に応じてイソフルラン麻酔(O2中0.05‐1.5%)を加えて外科的処置を行った。直腸圧信号は、LABCHART(AD Instruments,Colorado Springs,CO)を用いて増幅し、コンピュータに表示した。
【0131】
直腸収縮性:直腸圧は、直腸遠位部にラテックスバルーンカテーテル(長さ1.5~4cm)を挿入(~4cm)して測定した。カテーテルは圧力モニタリングシステムに接続された。バルーンカテーテル内の圧力は、生理食塩水(総量0.2‐0.5ml)を注入することで15‐20mmHgまでゆっくりと上昇し、この圧力は試験中維持され、直腸圧の薬物による変化を監視することができた。測定されたパラメータは、ピーク直腸圧反応、ベースライン活動を上回る時間(薬物投与後最初の5分)、曲線下面積(薬物投与後最初の5分間に測定)、及びビヒクル及び薬物投与後の収縮イベント数であった。
【0132】
覚醒した動物の排便は、代謝ケージでモニターされた。動物は投与前に2‐4回、ハンドリングと代謝ケージに慣れさせ、その後、治療群に無作為に割り振られた。ラットの体重を測定し、ビヒクル又はカプサイシンの直腸内投与の10分前に代謝ケージに入れた。糞便ペレットの数及びイベントのタイミングは、治療に対して盲検化された訓練された担当者によって記録された。糞便の重量は、投与後10分と30分に計量される。動物は2‐3日後にクロスオーバーデザインで再試験を受けた。
【0133】
投与:カプサイシンの直腸内投与は、0.1~2%wt/volの用量範囲で実施した。カプサイシンを95%エタノールに50~100mg/mLで溶解し、次いで生理食塩水又は水で2~20mg/mLに希釈して懸濁液とし、マイクロピペット、鈍端管(22G)を用いて溶液として直腸内に投与するか、溶液を浸した小さな綿球座薬(直径3~5mm)として投与した。ビヒクル投与は、水又は生理食塩水中に同濃度のエタノールを用いて調製した。
【0134】
データ分析:データは質的及び量的に検討した。平均値、標準偏差、及び平均値の標準誤差は、MICROSOFT EXCELを使用して計算した。PRISM 5 for WINDOWS(GraphPad Software,Inc.,La Jolla,CA)を用いて一元配置分散分析を行い、EXCELで対応のない及び対応のあるt‐検定を実施した。P<0.05は統計的に有意であるとみなされる。
【0135】
例9
カプサイシン溶液を直腸内に投与すると、麻酔をかけたナイーブラットにおいて一過性の直腸圧上昇反応を反復して起こす
方法:肛門から2‐4cmの直腸にバルーンカテーテルを挿入して直腸圧の記録用の装置を取り付けた麻酔をかけた脊髄無傷の雄雌ラット(N=4雄、1雌)にカプサイシンを投与した。カプサイシンは0.2%溶液(4.7又は9.5%エタノール/生理食塩水に2mg/mlの溶液を0.05‐0.32mL)として、PE50チューブを介してバルーンカテーテルと並行して直腸に挿入して投与された。比較のため、ビヒクルを同じ手法ですべてのラットに投与した。
【0136】
結果:0.2%カプサイシン溶液の直腸内投与により、5匹中5匹のラットに一過性の直腸圧上昇が認められ、その発現時間は1~2分と早く、持続時間は5分と短かった。なお、ビヒクルは直腸の活動を喚起しなかった。図8は、雄ラットから測定した直腸圧の代表例である。最初の投与から20分後に0.2%カプサイシンを繰り返し投与すると、同様の反応が誘発された(図8)。ビヒクル又はカプサイシン溶液の投与は、図8において矢印で示されている。図8によって示されるように、直腸内カプサイシンは、直腸圧の一過性で反復可能な増加を生じた。
【0137】
結論:カプサイシンの直腸内投与は、ビヒクルと違い、直腸圧の一過性の上昇をもたらし、急速発現であり、持続時間は短かった。直腸圧の上昇は同一動物で反復可能であった。
【0138】
例10
カプサイシンを含む綿球座薬を直腸内に挿入すると、麻酔をかけた脊髄損傷(SCI)ラットの直腸圧が一過性に上昇する反応が見られた。
方法:肛門から2~4cmの直腸にバルーンカテーテルを挿入して直腸圧を記録するための装置を取り付けた麻酔をかけた雌ラット2匹にカプサイシンを投与した。カプサイシン溶液の接触時間を長くするため、カプサイシン(0.2%)を液体を染み込ませた綿球座薬で投与した。カプサイシン(0.2%溶液50uL)を染み込ませた小さな綿球を直腸に投与した(図9の塗りつぶし矢印)。綿球は直腸遠位部の肛門管に入れられた。綿球は5~12分後に取り除かれた(図9のアスタリスク)。図9の上下のトレースは、個々の雌ラットから記録された。
【0139】
結果:カプサイシンによる直腸圧上昇は、両ラットにおいて、急速発現(2分未満)かつ短時間(5分未満)であることが確認された。図9は、2匹の雌ラットから測定された直腸圧の代表例を示す。上のトレースは、麻酔をかけた脊髄無傷のナイーブ雌ラットから記録されたものである。下側のトレースは、麻酔をかけた急性T9切断SCI雌ラットから記録されたものである。示したように、カプサイシンを染み込ませた綿球を直腸内に投与すると、カプサイシン溶液を直腸内に投与した場合と同様の直腸圧反応が両ラットで得られた。また、ビヒクルを染み込ませた綿球を設置すると、綿球の挿入が手動であるため、反応がないか、直腸の活動がわずかに増加することがわかった。
【0140】
結論:カプサイシンは、脊髄損傷ラットの直腸圧の上昇を、局所的に制限された剤形を用いて投与した場合に生じた。
【0141】
当業者であれば、本記載の主題が、目的を遂行し、言及された目的及び利点、並びにそれに固有のものを得るためによく適合していることを容易に理解するであろう。本明細書に記載された方法とともに本実施例は、現在、好ましい実施形態の代表であり、例示的であり、本発明の範囲に対する制限として意図されない。特許請求の範囲によって定義される本発明の精神内に包含されるそこでの変更及び他の使用は、当業者に想到されるであろう。
【0142】
参考文献
本明細書で言及したすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、本開示の主題が関係する当業者のレベルを示すものである。すべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、個々の刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
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Ansel's Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems 9th Edition by Lloyd V. Allen, Nicholas G. Popovich, Howard C. Ansel 2011
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【国際調査報告】