(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】トランスジェニックCory
(51)【国際特許分類】
A01K 67/027 20240101AFI20240129BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
A01K67/027
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541962
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022012158
(87)【国際公開番号】W WO2022155230
(87)【国際公開日】2022-07-21
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519351303
【氏名又は名称】グローフィッシュ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100225598
【氏名又は名称】桐島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】アラン ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】リチャード クロケット
(72)【発明者】
【氏名】アイダス ナセビシウス
(57)【要約】
本発明は、トランスジェニック観賞魚、並びに生殖細胞移植技術によってそのような魚を作製する方法に関する。また、そのようなトランスジェニック魚の個体群を確立する方法、及びマーケティングを目的として観賞魚産業にそれらを提供する方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むトランスジェニックCoryであって、前記Coryが、「Red Cory 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックCory。
【請求項2】
繁殖力のあるトランスジェニックCoryとして更に定義され、前記Red Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127094として寄託されている、請求項1に記載のトランスジェニックCory。
【請求項3】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項1に記載のトランスジェニックCory。
【請求項4】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項1に記載のトランスジェニックCory。
【請求項5】
トランスジェニックCoryを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項1に記載のトランスジェニックCoryを得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項6】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
トランスジェニックCoryを生産する方法であって、
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むCoryを得ることであって、前記Coryが、「Red Cory 1形質転換イベント」を含む、得ることと、
(b)得られた前記Coryを第2のCoryと繁殖させて、前記Red Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを提供することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第2のCoryが、非トランスジェニックCoryである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含む、請求項1に記載のトランスジェニックCoryの子孫であって、前記Cory及び前記子孫が、蛍光を呈し、「Red Cory 1形質転換イベント」を含み、前記Red Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127094として寄託されている、子孫。
【請求項12】
繁殖力のあるトランスジェニックCoryとして更に定義される、請求項11に記載の子孫の魚。
【請求項13】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項11に記載の子孫の魚。
【請求項14】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項11に記載の子孫の魚。
【請求項15】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項11に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項11に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記Red Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むトランスジェニックCoryであって、前記Coryが、「Orange Cory 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックCory。
【請求項22】
繁殖力のあるトランスジェニックCoryとして更に定義され、前記Orange Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127095として寄託されている、請求項21に記載のトランスジェニックCory。
【請求項23】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項21に記載のトランスジェニックCory。
【請求項24】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項21に記載のトランスジェニックCory。
【請求項25】
トランスジェニックCoryを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項21に記載のトランスジェニックCoryを得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項26】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
トランスジェニックCoryを生産する方法であって、
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むCoryを得ることであって、前記Coryが、「Orange Cory 1形質転換イベント」を含む、得ることと、
(b)得られた前記Coryを第2のCoryと繁殖させて、前記Orange Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを提供することと、を含む、方法。
【請求項30】
前記第2のCoryが、非トランスジェニックCoryである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含む、請求項21に記載のトランスジェニックCoryの子孫であって、前記Cory及び前記子孫が、蛍光を呈し、「Orange Cory 1形質転換イベント」を含み、前記Orange Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127095として寄託されている、子孫。
【請求項32】
繁殖力のあるトランスジェニックCoryとして更に定義される、請求項31に記載の子孫の魚。
【請求項33】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項31に記載の子孫の魚。
【請求項34】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項31に記載の子孫の魚。
【請求項35】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項31に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項36】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項31に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記Orange Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項40】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むトランスジェニックCoryであって、前記Coryが、「Green Cory 1形質転換イベント」を含む、トランスジェニックCory。
【請求項42】
繁殖力のあるトランスジェニックCoryとして更に定義され、前記Green Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127096として寄託されている、請求項41に記載のトランスジェニックCory。
【請求項43】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項1に記載のトランスジェニックCory。
【請求項44】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項41に記載のトランスジェニックCory。
【請求項45】
トランスジェニックCoryを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項1に記載のトランスジェニックCoryを得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項46】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
トランスジェニックCoryを生産する方法であって、
(a)蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むCoryを得ることであって、前記Coryが、「Green Cory 1形質転換イベント」を含み、前記Green Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127096として寄託されている、得ることと、
(b)得られた前記Coryを第2のCoryと繁殖させて、前記Green Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを提供することと、を含む、方法。
【請求項50】
前記第2のCoryが、非トランスジェニックCoryである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含む、請求項41に記載のトランスジェニックCoryの子孫であって、前記Cory及び前記子孫が、蛍光を呈し、「Green Cory 1形質転換イベント」を含み、前記Green Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127096として寄託されている、子孫。
【請求項52】
繁殖力のあるトランスジェニックCoryとして更に定義される、請求項51に記載の子孫の魚。
【請求項53】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してホモ接合性である、請求項51に記載の子孫の魚。
【請求項54】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項51に記載の子孫の魚。
【請求項55】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項51に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項56】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項51に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、前記Green Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項60】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
緑色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、オレンジ色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、を含む、トランスジェニックcory。
【請求項62】
繁殖力のあるトランスジェニックcoryとして更に定義される、請求項61に記載のトランスジェニックcory。
【請求項63】
繁殖不能なトランスジェニックYellow Coryとして更に定義される、請求項61に記載のトランスジェニックcory。
【請求項64】
前記魚が、前記組み込み発現カセットのうちの少なくとも1つに対してホモ接合性である、請求項61に記載のトランスジェニックcory。
【請求項65】
前記魚が、前記組み込み発現カセットのうちの少なくとも1つに対してヘテロ接合性である、請求項61又は64に記載のトランスジェニックcory。
【請求項66】
トランスジェニックcoryを観賞魚市場に提供する方法であって、請求項61に記載のトランスジェニックcoryを得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項67】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
トランスジェニックcoryを生産する方法であって、
(a)緑色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、オレンジ色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、を含むcoryを得ることと、
(b)得られた前記coryを第2のcoryで繁殖させることと、を含む、方法。
【請求項71】
前記第2のcoryが、非トランスジェニックcoryである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
緑色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、オレンジ色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、を含む、請求項61に記載のトランスジェニックcoryの子孫。
【請求項73】
繁殖力のあるトランスジェニックcoryとして更に定義される、請求項72に記載の子孫の魚。
【請求項74】
繁殖不能なYellow Coryとして更に定義される、請求項72に記載の子孫の魚。
【請求項75】
前記魚が、GFP又はYFP組み込み発現カセットのうちの少なくとも1つに対してホモ接合性である、請求項72に記載の子孫の魚。
【請求項76】
前記魚が、前記組み込み発現カセットに対してヘテロ接合性である、請求項72に記載の子孫の魚。
【請求項77】
トランスジェニック魚を観賞魚市場に提供する方法であって、請求項72に記載の子孫の魚を得ることと、前記魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む、方法。
【請求項78】
前記魚が、養殖者によって商業的流通業者に流通される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記魚が、養殖者又は商業的流通業者によって小売業者に流通される、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記小売業者が、観賞魚部門を有する多品種小売業者である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
トランスジェニック魚を生産する方法であって、
(a)請求項72に記載のトランスジェニック魚を得ることと、
(b)得られた前記魚を第2の魚と繁殖させて、Yellow cory 1形質転換イベント形質転換イベントを含むトランスジェニック魚を提供することと、を含む、方法。
【請求項82】
前記第2の魚が、非トランスジェニック魚である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
緑色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、オレンジ色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、を含む、トランスジェニックcory。
【請求項84】
繁殖力のあるトランスジェニックcoryとして更に定義される、請求項83に記載のトランスジェニックcory。
【請求項85】
繁殖不能なトランスジェニックYellow Coryとして更に定義される、請求項83に記載のトランスジェニックcory。
【請求項86】
前記魚が、前記組み込み発現カセットのうちの少なくとも1つに対してホモ接合性である、請求項83に記載のトランスジェニックcory。
【請求項87】
前記魚が、前記組み込み発現カセットのうちの少なくとも1つに対してヘテロ接合性である、請求項83又は86に記載のトランスジェニックcory。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際特許出願として2022年1月11日に出願され、全てが2021年1月12日に出願された米国仮特許出願第63/136,454号、同第63/136,460号、及び同第63/136,464号の優先権及び利益を主張し、それらの各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、トランスジェニック魚、特に、赤色、ピンク色、オレンジ色、緑色、及び黄色のトランスジェニックCoryに関する。
【0003】
導入
トランスジェニック技術は、宿主が新しい遺伝的形質を獲得することを可能にする宿主生物への外来遺伝子の移行を伴う。トランスジェニック技術には多くの潜在用途がある。例えば、それは、魚の新しい品種を作成するために、導入遺伝子を魚に導入するために使用することができる。マイクロインジェクション(例えば、Zhu et al.,1985、Du et al.,1992)、エレクトロポレーション(Powers et al.,1992)、精子媒介性遺伝子導入(Khoo et al.,1992、Sin et al.,1993)、遺伝子衝突又は遺伝子銃(Zelenin et al.,1991)、リポソーム媒介性遺伝子導入(Szelei et al.,1994)、及び筋肉組織へのDNAの直接注入(Xu et al.,1999)を含む、外来遺伝子を魚に導入する多くの方法が存在する。
【0004】
最初のトランスジェニック魚の報告は、マウスメタロチオネイン遺伝子プロモーター及びヒト成長ホルモン遺伝子からなるキメラ遺伝子構築物を使用してZhu et al.,(1985)によって公開された。初期のトランスジェニック魚の研究のほとんどは、急速に成長する魚を生成することを目的とした成長ホルモン遺伝子導入に焦点を当ててきた。初期の試みの大部分は、異種成長ホルモン遺伝子及びプロモーターを使用し、これらの魚を生産することができなかったが(例えば、Chourrout et al.,1986、Penman et al.,1990、Brem et al.,1988、Gross et al.,1992)、トランスジェニック魚の増強された成長は、タイセイヨウサケ、タイヘイヨウサケのいくつかの種、及びドジョウを含むいくつかの魚種で示されている(例えば、Du et al.,1992、Delvin et al.,1994,1995、Tsai et al.,1995)。
【0005】
Corydoras(Cory)は、Callichthyidae及び亜科Corydoradinaeの淡水ナマズの属である。Corydorasに割り当てられた種は、体の色の幅広い多様性を示す。この属は、その多くの種について水族館管理者の間で周知である。それらの種は、他の種とうまくやっていて、まったく攻撃的ではないため、熱帯の淡水コミュニティ水族館に十分に好適である。しかし、観賞魚業界にとって、青銅、アルビノ、又は黒色の体は、様々な色の効率的な表示を助けない。蛍光タンパク質による遺伝子導入のための修飾された色素沈着を有するそのようなCoryの利用可能性は、様々な色のより良好な視覚化に起因して、観賞魚産業のためのより良好な製品をもたらすであろう。
【0006】
多くの蛍光タンパク質が当該技術分野で既知であり、様々な緑色、赤色、ピンク色、黄色、オレンジ色、青色、又は紫色を呈する蛍光タンパク質を含む様々な細胞プロセスを調査するために使用されている。蛍光タンパク質を含むトランスジェニック実験は、遺伝子導入のための新しいマーカー及びレポーターを提供してきたが、そのようなタンパク質を発現するCoryの開発及び生産の分野における進歩は限られている。
【0007】
トランスジェニックCory
ある特定の実施形態では、本開示は、トランスジェニック蛍光魚を作製し、そのような魚を観賞魚産業に提供することに関する。
【0008】
いくつかの実施形態では、トランスジェニック魚又はトランスジェニック魚を作製する方法が提供される。ある特定の態様では、トランスジェニック魚は、繁殖力のあるトランスジェニック蛍光魚である。特定の実施形態では、開示される構築物及び方法とともに使用するための魚は、Coryである。Coryの皮膚の色は、皮膚内の色素細胞によって決定され、それは、メラノソーム(黒色又は茶色)、キサントソーム(黄色)、エリスロソーム(オレンジ色又は赤色)、又はイリドソーム(白色を含む虹色)と称される色素顆粒を含む。色素細胞当たりの色素顆粒の数、サイズ、及び密度は、魚の皮膚の色に影響を及ぼす。
【0009】
ある特定の具体的な実施形態では、本明細書において形質転換イベントと称される特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックCory又はその子孫が提供される。これらの魚は、例えば、審美的に好ましい赤色を具現化するため、特に興味深いものである。これらの特定のトランスジェニックイベントを含むトランスジェニック魚は、形質転換イベントに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。形質転換イベントを欠く魚で繁殖したホモ接合性魚は、ほぼ全てのケースで100%ヘテロ接合性子孫を生産する。これらの特定のトランスジェニックイベントを含む生殖細胞、卵子、精子、及び胚もまた、本発明の一部として含まれる。
【0010】
特定のトランスジェニック組み込みイベントに関する1つのそのような実施形態では、染色体組み込み導入遺伝子を含む赤色のトランスジェニックCory又はその子孫が提供され、Coryは、「Red Cory 1形質転換イベント」を含み、Red Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127094として寄託されている。染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックCoryは、繁殖力のあるトランスジェニックCoryである。そのようなトランスジェニックCoryは、導入遺伝子又は組み込み発現カセットに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0011】
また、Red Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを観賞魚市場に提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックCory又はその子孫を得ることであって、Coryは、「Red Cory 1形質転換イベント」を含み、Red Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127094として寄託されている、得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多品種小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0012】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、かつ1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むCoryを得ることであって、Coryが、「Red Cory 1形質転換イベント」を含み、Red Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127094として寄託されている、得ることと、(b)得られたCoryを第2のCoryと繁殖させて、Red Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを提供することと、を含むトランスジェニックCoryを生産する方法が提供される。第2のCoryは、トランスジェニック又は非トランスジェニックCoryであり得る。
【0013】
更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法もまた提供され、方法は、トランスジェニック子孫を生産するために、生殖細胞移植を使用して、Red Cory 1形質転換を生み出すことを含み、そのような凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127094として寄託されている。そのような子孫は、例えば、Cory、Corydoras科の種、Coryに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0014】
特定のトランスジェニック組み込みイベントに関する別の実施形態では、染色体組み込み導入遺伝子を含むオレンジ色のトランスジェニックCory又はその子孫が提供され、Coryは、「Orange Cory 1形質転換イベント」を含み、Orange Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127095として寄託されている。染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックCoryは、繁殖力のあるトランスジェニックCoryである。そのようなトランスジェニックCoryは、導入遺伝子又は組み込み発現カセットに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0015】
また、Orange Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを観賞魚市場に提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックCory又はその子孫を得ることであって、Coryは、「Orange Cory 1形質転換イベント」を含み、Orange Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127095として寄託されている、得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多品種小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0016】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、かつ1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むCoryを得ることであって、Coryが、「Orange Cory 1形質転換イベント」を含み、Orange Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127095として寄託されている、得ることと、(b)得られたCoryを第2のCoryと繁殖させて、Orange Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを提供することと、を含むトランスジェニックCoryを生産する方法が提供される。第2のCoryは、トランスジェニック又は非トランスジェニックCoryであり得る。
【0017】
更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法もまた提供され、方法は、トランスジェニック子孫を生産するために、生殖細胞移植を使用して、Orange Cory 1形質転換を生み出すことを含み、そのような凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127095として寄託されている。そのような子孫は、例えば、Cory、Corydoras科の種、Coryに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0018】
特定のトランスジェニック組み込みイベントに関する別の実施形態では、染色体組み込み導入遺伝子を含む緑色のトランスジェニックCory又はその子孫が提供され、Coryは、「Green Cory 1形質転換イベント」を含み、Green Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127096として寄託されている。染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックCoryは、繁殖力のあるトランスジェニックCoryである。そのようなトランスジェニックCoryは、導入遺伝子又は組み込み発現カセットに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0019】
また、Green Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを観賞魚市場に提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックCory又はその子孫を得ることであって、Coryは、「Green Cory 1形質転換イベント」を含み、Green Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127096として寄託されている、得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多品種小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0020】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、かつ1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むCoryを得ることであって、Coryが、「Green Cory 1形質転換イベント」を含み、Green Cory 1形質転換イベントを含む凍結保存された成体生殖幹細胞が、ATCC受託番号PTA-127096として寄託されている、得ることと、(b)得られたCoryを第2のCoryと繁殖させて、Green Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニックCoryを提供することと、を含むトランスジェニックCoryを生産する方法が提供される。第2のCoryは、トランスジェニック又は非トランスジェニックCoryであり得る。
【0021】
更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法もまた提供され、方法は、トランスジェニック子孫を生産するために、生殖細胞移植を使用して、Green Cory 1形質転換を生み出すことを含み、そのような凍結保存された成体生殖幹細胞は、ATCC受託番号PTA-127096として寄託されている。そのような子孫は、例えば、Cory、Corydoras科の種、Coryに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0022】
更なる実施形態では、黄色のcoryは、2つの発現カセットを含む。両方のカセットは、ホモ接合性であり得る。他の実施形態では、カセットの各々は、ヘテロ接合性であり得る。代替的な実施形態では、一方の発現カセットは、ホモ接合性であり得、他方の発現カセットは、ヘテロ接合性であり得る。異なる接合性の魚は、繁殖時に異なる比率の子孫を生み出すことを理解されたい。
【0023】
少なくとも1つの例示的な実施形態では、coryは、特定のトランスジェニック組み込みイベントを含み、染色体組み込み導入遺伝子を含む黄色のトランスジェニックcory又はその子孫が提供される。染色体組み込み導入遺伝子は、緑色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、オレンジ色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットと、を含む。
【0024】
いくつかの例示的な実施形態では、黄色のcoryは、緑色蛍光タンパク質、若しくはその一部、及び/又はオレンジ色蛍光タンパク質、若しくはその一部を含む。少なくともこれらの例示的な実施形態では、トランスジェニックcoryは、繁殖力のあるトランスジェニックcoryである。そのようなトランスジェニックcoryは、導入遺伝子又は組み込み発現カセットに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0025】
染色体組み込み導入遺伝子は、1つの組み込み発現カセット又は2つ以上の組み込み発現カセット上に存在してもよい。いくつかの例示的な実施形態では、黄色のcoryは、緑色蛍光タンパク質、又はその一部、及びオレンジ色蛍光タンパク質、又はその一部を含む。少なくともこれらの例示的な実施形態では、トランスジェニック緑色coryは、繁殖力のあるトランスジェニックcoryであり、繁殖力のあるトランスジェニックcoryであるトランスジェニックオレンジ色coryと交配される。より具体的な態様では、そのような交配の子孫は、トランスジェニック黄色coryである。少なくともこれらの例示的な実施形態では、そのようなトランスジェニックcoryは、導入遺伝子又は組み込み発現カセットに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。
【0026】
また、観賞魚市場に黄色のcoryを含むトランスジェニックcoryを提供する方法も開示される。いくつかの実施形態では、方法は、染色体組み込み導入遺伝子を含むトランスジェニックcory又はその子孫を得ることと、魚を観賞魚市場に流通させることと、を含む。そのような魚は、養殖者によって商業的流通業者に流通され得るか、又はそのような魚は、養殖者若しくは商業的流通業者によって、例えば、観賞魚部門を有する多品種小売業者などの小売業者に流通され得る。
【0027】
いくつかの態様では、(a)蛍光を呈し、かつ1つ以上の染色体組み込み導入遺伝子又は発現カセットを含むcoryを得ることと、(b)得られたcoryを第2のcoryと繁殖させて、トランスジェニックcoryを提供することと、を含むトランスジェニックcoryを生産する方法が提供される。第2のcoryは、トランスジェニック又は非トランスジェニックcoryであり得る。更なる実施形態では、トランスジェニック生物を生産する方法も提供され、方法は、黄色のcoryを使用してトランスジェニック子孫を生産することを含む。そのような子孫は、例えば、cory、coryに関連する魚種若しくは属、又は別の魚種若しくは属であり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書で特許請求の範囲で使用される場合、単語「含む」とともに使用される場合、単語「a」又は「an」は、1つ又は1つ超を意味し得る。
【0029】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、代替物のみを指すように明示的に示されない限り、又は代替物が相互に排他的である場合を除いて、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、代替物のみ及び「及び/又は」のみを指す定義も支持する。本明細書で使用される場合、「別の」とは、少なくとも第2の、又はそれ以上を意味し得る。
【0030】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、その値を決定するために用いられる方法についてのデバイスの固有の誤差の変動、又は研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。
【0031】
本方法、キット、及び組成物のうちのいずれかの任意の実施形態は、記載された特徴及び/又はステップを含む(comprise)/含む(include)/含む(contain)/有するのではなく、それらからなるか、又は本質的にそれらからなることができる。したがって、特許請求の範囲のいずれかにおいて、「~からなる」又は「~から本質的になる」という用語は、所与の特許請求の範囲を、オープンエンドの連結動詞を使用する別の方法でなるであろうものから変更するために、上記のオープンエンドの連結動詞のうちのいずれかに置換され得る。
【0032】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明から、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正が当業者に明らかになるため、詳細な説明及び好ましい実施例は、本発明の特定の実施形態を示しながら、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
トランスジェニック魚
いくつかの態様では、本開示は、トランスジェニック魚に関する。トランスジェニック魚を作製する方法は、例えば、米国特許第7,135,613号、同第7,700,825号、同第7,834,239号に記載されており、それらの各々は参照によりその全体が組み込まれる。例えば、トランスジェニック赤色Coryは、TurboRFP、DsRed2、tdTomato、dTomato、eqFP578、DsRed-Express、DsRed-Express2、TagRFP、TagRFP-T、RRvT、cgfTagRFP、mApple、mRuby3、mNectarine、meffRFP、mScarlet-I、及びamilFP593などの赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。トランスジェニックオレンジ色Coryは、ZsYellow1、TurboYFP、E2-Orange、phiYFP、zFP538、Venus、yPet、ccalYFP1、mGold、Citrine、mCitrine、Topaz、mPapaya、及びmBananaなどの黄色蛍光タンパク質(YFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。トランスジェニック緑色Coryは、zsGreen1、eYGFPdp、AausFP1、mNeonGreen、maxNeonGreen、mGreenLantern、Clover、mClover3、PlamGFP、aeurGFP、afraGFP、WasCFP、NowGFP、cerFP505、pporGFP、Kohinoor、efasGFP、eechGFP1、bfloGFPa1、LanFP1、及びLanFP2などの緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。トランスジェニック黄色Coryは、zsGreen1などの緑色蛍光タンパク質(GFP)及びZsYellow1などの黄色蛍光タンパク質(YFP)をコードする発現カセットを使用して生成され得る。
【0034】
商業的価値、特に観賞魚産業内の商業的価値のある魚の種及び品種に属する魚を使用することが好ましい。そのような魚には、これらに限定されないが、cory、ナマズ、ゼブラフィッシュ、及び他のdanio、メダカ、コイ(carp)、ティラピア、金魚、テトラ、バーブ、サメ(レインボーシャークなどのcyprinidae科)、エンゼルフィッシュ、ドジョウ、コイ(koi)、グラスフィシュ、ディスカス、ウナギ、ハゼ、グーラミ、グッピー、Xiphophorus、ハチェットフィッシュ、モリーフィッシュ、又はpangasiusが含まれる。本開示の文脈における使用のための特定の魚は、Coryである。Coryはますます人気のある観賞動物であり、様々な色で商業的価値が付加されるであろう。Cory胚は簡単に入手可能である。Coryの皮膚の色は、皮膚内の色素細胞によって決定され、それは、メラノソームと称される色素顆粒を含む。色素細胞当たりのメラノソームの数、サイズ、及び密度は、魚の皮膚の色に影響を及ぼす。
【0035】
商業養殖では、Coryは自然に産卵する。1つの例示的な実施形態では、雌及び雄の群は、PVCタイルが産卵培地として水槽側から吊り下げられる水槽内に配置される。卵が堆積したタイルを収集し、水槽に移し、稚魚が孵化するまで(すなわち、約3~5日)華氏74~82度でインキュベートする。この時点でタイルは除去される。稚魚は、およそ2週間にわたって孵化したばかりのArtemia naupliiを与えられる。この時点で、稚魚は安全に扱うことができ、成長水槽又は土の池の外に移すことができる。coryが成熟するまでには約6カ月かかる。関連する実施形態では、系統繁殖は、凍結保存された精巣によって維持される。
【0036】
胚細胞移植
魚の生殖腺凍結法は、当該技術分野において周知であり、例えば、Lee et al.(2013)、及びSeki et al.(2017)を参照されたく、これらの両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されるトランスジェニック魚を得るために、分離した凍結Cory生殖腺から得られた生殖細胞を使用してもよい。
【0037】
例示的な実施形態では、あまり成熟していない若い雌のCoryを、トリカインなどの鎮静剤の過剰摂取を使用して安楽死させ、続いて、ハサミを使用して脳破壊を行う。魚は、拭き取って乾燥され、解剖され、それらの卵巣が除去され、氷冷L-15培地に移される。理想的には、収集された組織は、成熟卵母細胞がないか、又は非常に少ないはずである。所望の量の組織が得られると、卵巣を浸軟してはさみを使用して、約1~2mmの断片にする。組織断片を沈降させ、L-15培地を除去し、2U/mlのDNaseIを含む1×PBS中の0.25%のトリプシンを組織に添加し、これは、4~5匹の魚から収集された組織に対して約1mlの溶液である。組織を30分間氷上でインキュベートし、10分毎に混合する。その後、組織を室温に移し、1時間インキュベートし、5分毎に穏やかに粉砕する。インキュベーション後、残りの組織断片とともに得られた細胞懸濁液を40ミクロンのふるいに通して濾過する。保持された組織をL-15培地ですすぎ、濾過し、以前に得られた濾液と組み合わせる。濾液を、Opti-MEM培地で作製された40%のPercollの上に重ね、10℃で、1500RPMで15分間スイングローターで遠心分離する。界面相を収集し、2倍体積のL-15培地を添加する。懸濁液を10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。上清を除去して廃棄し、ペレットを冷たいOpti-MEM培地中に懸濁する。懸濁液を氷上で維持する。細胞を凍結するために、1×HBSS中の100μLの氷冷1.8M DMSOをクライオバイアルに移す。33μLの細胞懸濁液を添加し、混合し、1分当たり1℃の凍結速度のためにiCellBox又は同等の細胞凍結容器に移す。iCellBoxがいっぱいになると、それをドライアイスを含むクーラーに移し、一晩又は少なくとも12時間凍結させる。凍結後、クライオバイアルをiCellBoxから液体窒素に移し、長期保存する。
【0038】
赤色のCory系統を回収する例の方法では、クライオバイアルを液体窒素から10~15℃の水浴に移すこと、及び細胞懸濁液が解凍されるまで、およそ1分間、インキュベートすることによって、凍結保存された細胞を解凍する。1mlの氷冷Opti-MEM培地を懸濁液に添加し、混合し、10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。50μLを除く上清を除去して廃棄し、0.5mlのOpti-MEM培地をペレットに添加する。ペレットを懸濁し、懸濁液を30℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、懸濁液を10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。15μLを除く上清を除去して廃棄し、細胞を残りの上清中で再懸濁する。次いで、細胞懸濁液を、プリモルダジンBで処理した、トリカインで麻酔された5~6日齢のCory稚魚に注入し、稚魚当たりおよそ100~200nlの懸濁液である。注入された稚魚は成体まで育てられ、赤色のCory子孫を得るために通常のプロトコルを使用して産卵する。cory胚をプリモルダジンBで処理するために、およそ200~300個の1時間未満齢のcory卵をタイルから除去し、魚に好適な40mlの水を含むペトリ皿に移す。DMSO中のプリモルダジンB溶液を、5.5μg/mlの最終濃度まで添加し、混合する。卵を、室温で24時間、溶液中でインキュベートし、次いで、孵化のためにタンクに移す。
【0039】
本開示は、Red Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0040】
Red Cory 1形質転換イベントを含む魚を識別する最も単純な方法は、問題の魚が赤色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。使用される特定のRFP及び/又は発現カセットの挿入位置に応じて、トランスジェニック赤色Coryは、トランスジェニック赤色Coryの生涯にわたって、及び/又は複数世代にわたって維持される色を有し得ることを理解されたい。また、使用される特定のRFP及び/又は発現カセットの挿入位置に応じて、トランスジェニック赤色Coryは、トランスジェニック赤色Coryの生涯にわたって色褪せする色を有し得ることも理解されたい。例えば、赤色のトランスジェニックCoryは、赤色から淡い赤色、又は赤色からピンク色に色が変化し得る。更に、使用される特定のRFP及び/又は発現カセットの挿入位置に応じて、トランスジェニック赤色Coryは、世代にわたって色褪せする色を有し得る。例えば、赤色のトランスジェニックCoryは、古い世代が赤色を呈し得るが、若い世代が淡い赤色、又はピンク色に見え得るように、ある世代から次の世代に色が変化し得る。
【0041】
オレンジ色のCory系統を回収する例の方法では、クライオバイアルを液体窒素から10~15℃の水浴に移すこと、及び細胞懸濁液が解凍されるまで、およそ1分間、インキュベートすることによって、凍結保存された細胞を解凍する。1mlの氷冷Opti-MEM培地を懸濁液に添加し、混合し、10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。50μLを除く上清を除去して廃棄し、0.5mlのOpti-MEM培地をペレットに添加する。ペレットを懸濁し、懸濁液を30℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、懸濁液を10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。15μLを除く上清を除去して廃棄し、細胞を残りの上清中で再懸濁する。次いで、細胞懸濁液を、プリモルダジンBで処理した、トリカインで麻酔された5~6日齢のCory稚魚に注入し、稚魚当たりおよそ100~200nlの懸濁液である。注入された稚魚は成体まで育てられ、オレンジ色のCory子孫を得るために通常のプロトコルを使用して産卵する。cory胚をプリモルダジンBで処理するために、およそ200~300個の1時間未満齢のcory卵をタイルから除去し、魚に好適な40mlの水を含むペトリ皿に移す。DMSO中のプリモルダジンB溶液を、5.5μg/mlの最終濃度まで添加し、混合する。卵を、室温で24時間、溶液中でインキュベートし、次いで、孵化のためにタンクに移す。
【0042】
本開示は、Orange Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0043】
Orange Cory 1形質転換イベントを含む魚を識別する最も単純な方法は、問題の魚がオレンジ色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。
【0044】
緑色のCory系統を回収する例の方法では、クライオバイアルを液体窒素から10~15℃の水浴に移すこと、及び細胞懸濁液が解凍されるまで、およそ1分間、インキュベートすることによって、凍結保存された細胞を解凍する。1mlの氷冷Opti-MEM培地を懸濁液に添加し、混合し、10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。50μLを除く上清を除去して廃棄し、0.5mlのOpti-MEM培地をペレットに添加する。ペレットを懸濁し、懸濁液を30℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、懸濁液を10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。15μLを除く上清を除去して廃棄し、細胞を残りの上清中で再懸濁する。次いで、細胞懸濁液を、プリモルダジンBで処理した、トリカインで麻酔された5~6日齢のCory稚魚に注入し、稚魚当たりおよそ100~200nlの懸濁液である。注入された稚魚は成体まで育てられ、緑色のCory子孫を得るために通常のプロトコルを使用して産卵する。cory胚をプリモルダジンBで処理するために、およそ200~300個の1時間未満齢のcory卵をタイルから除去し、魚に好適な40mlの水を含むペトリ皿に移す。DMSO中のプリモルダジンB溶液を、5.5μg/mlの最終濃度まで添加し、混合する。卵を、室温で24時間、溶液中でインキュベートし、次いで、孵化のためにタンクに移す。
【0045】
本開示は、Green Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0046】
Green Cory 1形質転換イベントを含む魚を識別する最も単純な方法は、問題の魚が緑色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。
【0047】
黄色のCory系統を回収する例の方法では、クライオバイアルを液体窒素から10~15℃の水浴に移すこと、及び細胞懸濁液が解凍されるまで、およそ1分間、インキュベートすることによって、凍結保存された細胞を解凍する。1mlの氷冷Opti-MEM培地を懸濁液に添加し、混合し、10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。50μLを除く上清を除去して廃棄し、0.5mlのOpti-MEM培地をペレットに添加する。ペレットを懸濁し、懸濁液を30℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後、懸濁液を10℃で、1000RPMで5分間スイングローターで遠心分離する。15μLを除く上清を除去して廃棄し、細胞を残りの上清中で再懸濁する。次いで、細胞懸濁液を、プリモルダジンBで処理した、トリカインで麻酔された5~6日齢のCory稚魚に注入し、稚魚当たりおよそ100~200nlの懸濁液である。注入された稚魚は成体まで育てられ、黄色のCory子孫を得るために通常のプロトコルを使用して産卵する。cory胚をプリモルダジンBで処理するために、およそ200~300個の1時間未満齢のcory卵をタイルから除去し、魚に好適な40mlの水を含むペトリ皿に移す。DMSO中のプリモルダジンB溶液を、5.5μg/mlの最終濃度まで添加し、混合する。卵を、室温で24時間、溶液中でインキュベートし、次いで、孵化のためにタンクに移す。
【0048】
本開示は、Green Cory 1形質転換イベント及びOrange Cory 1形質転換イベントを含むトランスジェニック魚、すなわち、黄色のトランスジェニックcory、並びにトランスジェニック魚卵、精子細胞、胚、又は遺伝子組換えトランスジェニック構築物を含む他の細胞に由来するそのようなトランスジェニック魚の子孫を更に包含する。「子孫」は、用語が本明細書で使用される場合、本発明の2匹のトランスジェニック魚を繁殖させること、又は本発明の第1のトランスジェニック魚を本発明のトランスジェニック魚ではない第2の魚に繁殖させることから生じ得る。後者の場合、第2の魚は、例えば、野生型魚、特殊な魚株、変異魚、又は他のトランスジェニック魚であり得る。第2の魚は、同じ種であってもよく、又は異なる種若しくは属であってもよい。これらの交配のハイブリッド子孫は、これらの他の系統に由来する利点と組み合わせた蛍光のための導入遺伝子の利点を有する。
【0049】
黄色のトランスジェニックcoryを識別する最も単純な方法は、問題の魚が黄色であり、非トランスジェニック魚と直ちに区別されるため、目視検査によるものである。
【実施例】
【0050】
本発明のある特定の実施形態は、以下の実施例を参照して更に説明される。これらの実施例は、本発明の単なる例示を意図するものであり、いかようにも本発明の範囲をいかなる方法でも限定又は制限することを意図するものではなく、本発明の技術を実施するためにのみ利用されなければならない条件、パラメータ、試薬、又は出発材料を提供するものと解釈されるべきではない。
【0051】
実施例1-赤色のトランスジェニックCory
赤色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化された特定のトランスジェニックイベントは、「Red Cory 1形質転換イベント」に指定される。これらの魚由来の生殖細胞をCory卵に移植し、それによって特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックCoryを得ることができる。この系統由来の凍結保存された成体生殖幹細胞は、ブダペスト条約の条項に基づいて「Red Cory 1」としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託された(寄託は受託番号PTA-127094として指定された)。
【0052】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚の赤色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0053】
実施例2-オレンジ色のトランスジェニックCory
オレンジ色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化された特定のトランスジェニックイベントは、「Orange Cory 1形質転換イベント」に指定される。これらの魚由来の生殖細胞をCory卵に移植し、それによって特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックCoryを得ることができる。この系統由来の凍結保存された成体生殖幹細胞は、ブダペスト条約の条項に基づいて「Orange Cory 1」としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託された(寄託は受託番号PTA-127095として指定された)。
【0054】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚のオレンジ色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0055】
実施例3-緑色のトランスジェニックCory
緑色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化された特定のトランスジェニックイベントは、「Green Cory 1形質転換イベント」に指定される。これらの魚由来の生殖細胞をCory卵に移植し、それによって特定のトランスジェニック組み込みイベントを含むトランスジェニックCoryを得ることができる。この系統由来の凍結保存された成体生殖幹細胞は、ブダペスト条約の条項に基づいて「Green Cory 1」としてATCC(Historic District,10801 University Blvd,Manassas,VA 20110)に寄託された(寄託は受託番号PTA-127096として指定された)。
【0056】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚の緑色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0057】
実施例4-黄色のトランスジェニックCory
黄色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化された特定のトランスジェニックイベントは、「Yellow Cory 1形質転換イベント」に指定される。黄色を呈するトランスジェニック魚が提供される。これらの魚において具現化された特定のトランスジェニックイベントは、Yellow Cory 1形質転換イベントに指定される。これらの魚由来の成体生殖幹細胞は、例えば、緑色蛍光cory及びオレンジ色蛍光coryを交配した子孫から得ることができる。「色が交配された」組み合わせを含む色を表示するトランスジェニック魚を提供する能力は、当業者には容易には明らかではなく、過度の実験なしに容易に得られる新規の色を得る能力でもないことを理解されたい。これは、Yellow Cory 1形質転換イベントの一貫した可視化を複数世代にわたって望む場合に特に明白である。以下の実施例は、得ることができる黄色のcoryの様々な関連する例を示す。
【0058】
いくつかの例示的な実施形態では、zsGreen1、eYGFPdp、AausFP1、mNeonGreen、maxNeonGreen、mGreenLantern、Clover、mClover3、PlamGFP、aeurGFP、afraGFP、WasCFP、NowGFP、cerFP505、pporGFP、Kohinoor、efasGFP、eechGFP1、bfloGFPa1、LanFP1、及びLanFP2などの緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現カセット、並びにZsYellow1、TurboYFP、E2-Orange、phiYFP、zFP538、Venus、yPet、ccalYFP1、mGold、Citrine、mCitrine、Topaz、mPapaya、及びmBananaなどの黄色蛍光タンパク質(YFP)をコードする発現カセットが注入され、それによって、緑色及びオレンジ色の両方をコードするが、Coryは、黄色の可視化効果を含む。
【0059】
他の実施形態では、各蛍光タンパク質の1つの組み込み発現カセット又は各蛍光タンパク質の2つ以上の組み込み発現カセット上に存在し得る染色体組み込み導入遺伝子を含む特定のトランスジェニック組み込みイベント、GFP及びYFP Cory又はその子孫が提供される。ある特定の態様では、そのようなトランスジェニックCoryは、繁殖力のあるトランスジェニックCoryである。そのようなトランスジェニックCoryは、導入遺伝子又は組み込み発現カセットに対してホモ接合性又はヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性を含む)であり得る。関連する実施形態では、黄色のcoryは、緑色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むcoryを、黄色蛍光タンパク質をコードする染色体組み込み発現カセットを含むcoryで繁殖させることから形成される。そのような繁殖の子孫は、繁殖力のある次世代の魚の系統をもたらす。いくつかの例では、繁殖不能な子孫系統が所望され、黄色のcoryが、例えば、(F1、F2、F3など)などの特定の世代系統から供給されることを可能にする。
【0060】
蛍光トランスジェニック魚は、市場で観賞魚として使用されている。安定的に発現しているトランスジェニック系統は、トランスジェニック個体を野生型魚、変異魚、又は他のトランスジェニック魚で繁殖させることによって発達させることができる。所望のトランスジェニック魚は、白色光、日光、紫外線、青色光、又はトランスジェニック魚の黄色の可視化を可能にする任意の他の有用な光条件で魚を観察することによって、非トランスジェニック魚と区別することができる。
【0061】
蛍光トランスジェニック魚は、細胞系統及び細胞遊走を追跡するなどの胚研究に使用され得るため、科学研究ツールの市場でも価値があるはずである。更に、これらの魚は、遺伝子モザイク実験及び魚のがんモデルで細胞をマークするために使用され得る。
【0062】
本明細書に開示及び特許請求される全ての組成物及び/又は方法は、本開示に照らして、過度の実験なしに作製及び実施することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、本明細書に記載の組成物及び/又は方法並びにステップ又は方法の一連のステップに、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、変形例が適用され得ることが明らかであろう。より具体的には、化学的及び生理学的の両方に関連する特定の薬剤が、同じ又は同様の結果が達成されるとともに、本明細書に記載の薬剤と置き換えられ得ることが明らかであろう。当業者に明らかである全てのそのような同様の代替物及び修飾は、添付の特許請求項の範囲によって定義されるように、本発明の趣旨、範囲、及び概念内にあるとみなされる。
【0063】
上記の明細書、実施例、及びデータは、本発明の組成物の製造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の多くの実施形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得るため、本発明は以下に添付される特許請求の範囲に属する。
【国際調査報告】