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特表2024-505156直接接触式熱交換器技術によるグランドコンデンサスキッドシステム
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  • 特表-直接接触式熱交換器技術によるグランドコンデンサスキッドシステム 図1
  • 特表-直接接触式熱交換器技術によるグランドコンデンサスキッドシステム 図2
  • 特表-直接接触式熱交換器技術によるグランドコンデンサスキッドシステム 図3
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  • 特表-直接接触式熱交換器技術によるグランドコンデンサスキッドシステム 図5
  • 特表-直接接触式熱交換器技術によるグランドコンデンサスキッドシステム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】直接接触式熱交換器技術によるグランドコンデンサスキッドシステム
(51)【国際特許分類】
   F01K 9/00 20060101AFI20240129BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
F01K9/00 E
F28B1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542473
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2022025028
(87)【国際公開番号】W WO2022167148
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021000002366
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロンキエリー,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ソレーニ,アレッサンドロ
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、蒸気タービンシーリングシステムからの蒸気を回収して凝縮するように構成されたグランドコンデンサ(20)として直接接触式熱交換器を備える、グランドコンデンサスキッドシステムに関し、蒸気タービンシーリングシステムには、蒸気タービンシーリングシステムから蒸気タービンシャフト潤滑油システムを分離する、空気バッファリングシール装置(16)が設けられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンシーリングシステムからの蒸気を回収して凝縮するように構成された直接接触式熱交換器(20)を備えるグランドコンデンサシステムであって、前記直接接触式熱交換器(20)が、垂直軸を有する円筒形カラムであり、前記カラムの下部にある前記蒸気タービンシーリングシステムからの空気及び蒸気の混合流入口(21)と、前記カラムの頂部にある冷却水入口(22)と、前記カラムの底部にある凝縮液出口(23)と、前記カラムの上部にある残留水蒸気及び空気出口(24)と、を備える、グランドコンデンサシステム。
【請求項2】
前記冷却水入口(22)に、噴霧ノズル(29)が設けられている、請求項1に記載のグランドコンデンサスキッドシステム。
【請求項3】
前記残留水蒸気及び空気出口(24)が、真空発生器として構成された排気装置(26)に接続されている、請求項1に記載のグランドコンデンサスキッドシステム。
【請求項4】
前記排気装置(26)が、蒸気入口(28)からの駆動蒸気によって送給されるベンチュリ蒸気作動ポンプである、請求項3に記載のグランドコンデンサスキッドシステム。
【請求項5】
前記排気装置(26)が、サイレンサ(27)の下流に接続されている、請求項3に記載のグランドコンデンサスキッドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直接接触式熱交換器技術に基づく、グランドコンデンサを含むグランドコンデンサスキッドシステムに関する。本明細書に開示される実施形態は、具体的には、直接接触式熱交換器がグランドコンデンサとして作用するように構成されている、蒸気タービン発電機及び/若しくはエンジン発電機、又は機械駆動ステーションなどの、改善された熱力学的機械に関する。
【背景技術】
【0002】
グランドコンデンサスキッドシステムは、蒸気タービンシーリングシステム(グランドシールシステムとも称される)からの蒸気、具体的には、蒸気タービンのシャフトのシールの第1のセクションを越えて漏出する蒸気を凝縮するために使用される。具体的には、タービンが真空システム内へ排気する場合、タービンの低圧端が大気を引き込むことを防ぐために、シール蒸気をシール内へ注入することが必要である。この低圧端からのシール蒸気及び高圧端からの通常の漏出は、軸受ハウジングに向かって漏出及び吹出する傾向がある。潤滑油システム内に水の蓄積を生じさせるこの漏出の可能性を低減するために、グランドコンデンサスキッドシステムを使用して、軸シールの外側セクションにおいて極僅かな真空(典型的には、1又は2in-Hg)に引く。典型的には、グランドコンデンサのシェル側圧は、0.96baraである。
【0003】
グランドコンデンサスキッドシステムは、蒸気を凝縮するための小型の熱交換器と、蒸気ストリームの凝縮不可能な画分を抽出するための排気装置と、を含む。追加的に、グランドコンデンサスキッドシステムはまた、サイレンサと、配管と、フィルタと、弁と、測定器と、構造的支持体と、を含む。
【0004】
蒸気タービンシーリングシステム(グランドコンデンサとも称される)からの蒸気を凝縮するために使用される熱交換器は、通常、冷却水がチューブを通って流れ、蒸気が(シェルを通って)チューブの上を流れる、水冷シェルアンドチューブ式熱交換器である。凝縮液を収集するシェルの底部には、出口が設けられている。
【0005】
グランドコンデンサとしてのシェルアンドチューブ式熱交換器の使用はまた、API規格612によって必要とされ、この参照規範は、蒸気タービン並びにその石油及びガス(石油、石油化学、及び天然ガス)への添加剤のマーケットセクションに関連する。その有効性及び用途は、世界的に認識されており、石油及びガス技術におけるその適用性は、エンドユーザに対する直接的な保険基準として使用することができる。API612規範によれば、凝縮器の標準的なソリューションは、鋼製シェルと、少なくとも1.25mm(0.050インチ)の公称壁厚さ及び少なくとも15.88mm(0.625インチ)の直径を有する黄銅又はキュプロニッケルチューブと、チューブ側面に水を伴う固定チューブシートと、を有する。適用される冷却水のタイプに応じて、代替的な材料の選択が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シェルアンドチューブ式熱交換器として構成されたグランドコンデンサの高い信頼性にもかかわらず、このソリューションには、次のような多くの欠点もある。
a)占有面積及び容積が大きく、重量及びコストが高い、
b)熱交換能力が低い、
c)オーバーデザインレベルによって機器使用が制限される、
d)チューブバンドルが損傷した場合に、チューブプラグの適用が必要であり、熱交換能力が低減する、
e)チューブバンドルの存在が構成要素の複雑さを高めることになる、並びに、その結果、
f)設置及びメンテナンスコストが高い。
【0007】
このソリューションは、シール蒸気タービン油による冷却流体のいかなる可能な汚染に対しても保証しないので、直接接触式熱交換器は、グランドコンデンサとして使用されない。実際には、直接接触式熱交換器は、冷却流体とプロセス流体とを完全に分離するという要件に対応していない。
【0008】
本発明によれば、蒸気タービン発電機及び/若しくはエンジン発電機などの熱力学的機械のためのグランドコンデンサとして、又は機械駆動ステーションとして使用される、具体的には油田及びガス田において使用される、直接接触式熱交換器が提案される。この目的のために、直接接触式熱交換器は、蒸気タービン制御システムとともに使用されて、蒸気タービン油を封止することによって冷却流体のいかなる可能な汚染も回避する。
【0009】
したがって、一態様では、本明細書に開示される主題は、直接接触式熱交換器技術に基づくグランドコンデンサを含むグランドコンデンサスキッドシステムを対象とし、当該グランドコンデンサスキッドシステムは、いかなる可能な汚染も空気によって阻止するために、シールバッファリングシステムが設けられている蒸気タービンに接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の開示された実施形態、及びそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、それらがより良好に理解されるように、容易に得られるであろう。
図1図1は、本開示の例示的な実施形態による、蒸気タービンシーリングシステム及び関連するグランドコンデンサスキッドシステムの概略図を例解する。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態による、蒸気タービンシーリングシステムのグランドシールの概略図を例解する。
図3図3は、本開示の例示的な実施形態による、グランドコンデンサとして直接接触式熱交換器を備えるグランドコンデンサシステムと結合するための、蒸気タービンシャフトの軸受のオイルシールの全周に配置されたシールシステム空気バッファリングシール装置の概略図を例解する。
図4図4は、本開示の例示的な実施形態による、グランドコンデンサとして直接接触式熱交換器を備えるグランドコンデンサシステムと結合するための、蒸気タービンシャフトの軸受のオイルシールの概略図を例解する。
図5図5は、本開示の例示的な実施形態による、グランドコンデンサとして直接接触式熱交換器を備えるグランドコンデンサシステムの概略図を例解する。
図6図6は、グランドコンデンサとして直接接触式熱交換器を備えるグランドコンデンサシステムの配管計装図(piping and instrumentation diagram、P&ID)の概略図を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一態様によれば、本主題は、グランドコンデンサとして直接接触式熱交換器を備えるグランドコンデンサスキッドシステムを対象とする。
【0012】
別の態様によれば、当該グランドコンデンサスキッドシステムは、蒸気タービンシールシステムからの、及びグランドコンデンサに方向付けられる蒸気のいかなる可能な汚染も空気によって阻止するために、シールバッファリングシステムが設けられている蒸気タービンに接続されている。
【0013】
以下、図面を参照すると、図1は、グランドシール5及び6が設けられており、各グランドシール5及び6が、シールの複数のセクション7を備える、タービンシャフト10を示す。タービンの低圧端が大気を引き込むことを防ぐために、タービンが真空システム内へ排気し、水蒸気ライン2を通してシール蒸気がシール5及び6に注入される。グランドコンデンサ20のスキッドシステムを使用して、グランドシール5及び6の外側セクション7において極僅かな真空(典型的には、1又は2in-Hg)に引く。大気からの空気はまた、グランドシール5及び6の外側セクション7に吸引されて、それぞれの蒸気及び空気排出ライン4を通してグランドコンデンサ20のスキッドシステムに向かって引き込まれる。図1はまた、図3及び図4に詳細に例解される空気バッファリングシールライン1を例解する。
【0014】
図2は、各セクション7にラビリンスシール8が設けられているグランドシール5を詳細に例解する。図2はまた、各セクション7とシャフト10との間に、それぞれ水蒸気ライン2を備え、かつ蒸気及び空気排出ライン4を備えた空洞の接続を例解する。
【0015】
図3は、蒸気タービンシャフト10の軸受15を潤滑するために使用されるオイルシステムのための外部障壁を有することを可能にする、空気バッファリングシール装置を例解する。本図は、潤滑油を含有する内部オイル空洞14を外部空気空洞13から分離したままにし、したがって、外部空気空洞13のいかなる油漏れも回避する、ラビリンスオイルシール11を示す。外部空気空洞には、ラビリンスエアシール12が設けられている。このように、外部ラビリンスシール12からの残留空気だけがグランドコンデンサに方向付けられて、真空発生器として構成された排気装置26によって通気される。
【0016】
図4は、二重オイル空洞14がラビリンスオイルシール11を用いてそれぞれの空気空洞13によって分離されている、二重ラビリンスオイルシールソリューションの例を示す。
【0017】
図5及び図6を参照すると、本開示の例示的な実施形態によるグランドコンデンサスキッドシステムは、ガスタービンシーリングシステムからの空気及び蒸気の混合流入口21が設けられている直接接触式グランドコンデンサ20を備える。直接接触式グランドコンデンサ20の頂部には、直接接触を通して蒸気を凝縮するために使用される水のための入口22が設けられている。その有効性を最大にするために、噴霧ノズル29を通して水が噴霧される。凝縮液は、直接接触式グランドコンデンサ20の底部において凝縮液出口23から収集される。
【0018】
残留水蒸気は、空気とともに、直接接触式グランドコンデンサ20のより高位のゾーンにおいて出口24を通して引き込まれて、排気装置26によってサイレンサ27に、かつ、その後、大気に方向付けられる。最後に、排気装置は、真空発生器であり、具体的には、蒸気入口28からの駆動蒸気によって送給されるベンチュリ蒸気作動ポンプである。
【0019】
グランドコンデンサスキッドシステムは、圧力インジケータ30と、温度指示計31と、を備え、鋼製の構造体25によって支持される。
【0020】
直接接触技術に基づくグランドコンデンサを含むグランドコンデンサスキッドシステムは、以下のような、シェルアンドチューブ技術に基づくグランドコンデンサに勝る多くの利点を含む。
-直接接触式熱交換器ソリューションは、凝縮が生じる単純な容器に基づいているので、ジオメトリがより単純であり、かつ製造がより容易である。チューブバンドルの存在は、不要である。
-直接接触式熱交換器タイプは、従来のシェルアンドチューブレイアウトよりも高い効率を有するので、レイアウトがよりコンパクトかつ柔軟である。特定の必要性に応じて、容器の直径、長さ、流れの方向などの決定が容易なパラメータを最適化することによって、適切な設計を開発することができる。
-チューブバンドルが存在しないことで、その耐用期間中のいかなる可能な容器の損傷も大幅に低減するので、垂直レイアウトによる占有面積の低減のため設置がより低くなり、かつメンテナンスコストがより低くなる。
-より単純なシステムにより熱効率を保証することが可能であることによる性能信頼性。性能の向上は、噴霧器の交換又は簡単な洗浄によって解決することができる。更に、チューブの汚れによるいかなる永続的な性能の低下も解消される。
-材料及びサイズクラスに応じて、シェルアンドチューブソリューションと比較して15~30%の範囲のコスト利益を伴う、様々な石油化学用途における高い信頼性及びコスト効率的な生産。
-特定の水の類型に応じて、炭素鋼からステンレス鋼、Cu/Ni鋼に及ぶ、完全な材料適用性。
-圧力容器コードを制限なく適用することができるので、主要な設計及び製作コンプライアンスに準拠する。
-出口の冷却水ラインが不要であるので、標準的な手法に対してグランドシステムのP&IDが完全に維持される。
【0021】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】